(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】文書管理システム、文書管理方法、及び、文書処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231219BHJP
B02C 18/22 20060101ALI20231219BHJP
B02C 18/06 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
H04N1/00 567L
B02C18/22
H04N1/00 127A
B02C18/06 A
(21)【出願番号】P 2020013338
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】村田 義雄
(72)【発明者】
【氏名】門別 芳信
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-043839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B02C 18/00-18/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書を分解処理する処理装置と、前記文書の処理状況を管理する管理装置と、を備え、
前記処理装置は、
前記文書に付された識別情報を読み取る読取部と、
前記読取部で識別情報の読み取りが行われた前記文書であって分解処理に適すると判定
された前記文書を分解処理する処理部と、
前記文書が前記処理部で分解されたことを判定する判定部と、
前記判定部により前記処理部で分解されたと判定された前記文書の識別情報を、前記管
理装置に送信する通信部と、を備える、文書管理システム。
【請求項2】
前記処理装置は、前記処理部による処理に適する前記文書を分別する分別部を備え、
前記分別部により分別された前記文書の識別情報を特定可能である、請求項1記載の文
書管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記文書の識別情報と処理期限とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記処理装置から受信した前記文書の識別情報と前記記憶部に記憶された前記文書の処
理期限とに基づいて前記文書の処理期限を管理する処理期限管理部と、を備える、請求項
1または2記載の文書管理システム。
【請求項4】
前記処理期限管理部は、前記処理装置から受信した前記文書の識別情報に基づいて、前
記文書を処理済みと判定し、
前記記憶部に記憶された前記文書の処理期限までに処理済みと判定されていない前記文
書を特定する、請求項3記載の文書管理システム。
【請求項5】
前記文書の識別情報と保管期限とを対応付けて
前記記憶部に記憶し、
前記処理装置から受信した前記文書の識別情報と、前記記憶部に記憶された前記文書の
保管期限とに基づいて、前記文書の保管期限より前に処理された前記文書を特定する保管
期限管理部を備える、
請求項3に記載の文書管理システム。
【請求項6】
前記処理装置は、前記処理部から排出される排出物を検知する排出検知部を備え、
前記判定部は、前記排出検知部の検知結果に基づいて、前記文書が前記処理部で分解さ
れたことを判定する、請求項1から5のいずれか1項に記載の文書管理システム。
【請求項7】
前記文書を印刷する印刷部を備え、前記印刷部によって前記文書の内容と前記識別情報
とを印刷する印刷装置を有し、
前記読取部は、前記印刷装置により前記文書に印刷された前記識別情報を読み取る、請
求項1から6のいずれか1項に記載の文書管理システム。
【請求項8】
文書を分解処理する処理装置と、前記文書の処理状況を管理する管理装置と、を用いる
文書管理方法であって、
前記処理装置によって、
前記文書に付された識別情報を読み取り、
前記識別情報を読み取った前記文書の分解処理を行い、
前記文書が分解処理されたことを判定し、
分解処理されたと判定された前記文書の識別情報を、前記管理装置に送信する、文書管
理方法。
【請求項9】
文書に付された識別情報を読み取る読取部と、
前記読取部で識別情報の読み取りが行われた前記文書に対し、分解処理を行う処理部と
、
前記文書が前記処理部で分解されたことを判定する判定部と、
前記判定部により前記処理部で分解されたと判定された前記文書の識別情報を送信する
通信部と、を備える、文書処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理システム、文書管理方法、及び、文書処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、古紙を裁断する装置により、個人情報や機密情報等が記載された紙を破壊処理して、紙に記載されている情報を認識不能とする装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の装置は、給紙部にセットされた古紙の盗難を防止するセキュリティー機能を具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙を処理する装置において、セットされた紙が処理されたことを確認することは提案されていない。このため、紙に記載されている情報が抹消されたことを管理し、或いは、情報の抹消を防止する管理手法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する一態様は、文書を分解処理する処理装置と、前記文書の処理状況を管理する管理装置と、を備え、前記処理装置は、前記文書に付された識別情報を読み取る読取部と、前記読取部で識別情報の読み取りが行われた前記文書であって分解処理に適すると判定された前記文書を分解処理する処理部と、前記文書が前記処理部で分解されたことを判定する判定部と、前記判定部により前記処理部で分解されたと判定された前記文書の識別情報を、前記管理装置に送信する通信部と、を備える、文書管理システムである。
【0006】
上記課題を解決する別の一態様は、文書を分解処理する処理装置と、前記文書の処理状況を管理する管理装置と、を用いる文書管理方法であって、前記処理装置によって、前記文書に付された識別情報を読み取り、前記識別情報を読み取った前記文書の分解処理を行い、前記文書が分解処理されたことを判定し、前記処理部で分解されたと判定された前記文書の識別情報を、前記管理装置に送信する、文書管理方法である。
【0007】
上記課題を解決するさらに別の一態様は、文書に付された識別情報を読み取る読取部と、前記読取部で識別情報の読み取りが行われた前記文書に対し、分解処理を行う処理部と、前記文書が前記処理部で分解されたことを判定する判定部と、前記判定部により前記処理部で分解されたと判定された前記文書の識別情報を送信する通信部と、を備える、文書処理装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るシート製造システムの概略構成を示す図。
【
図3】シートの製造工程の一例を示すフローチャート。
【
図8】シート製造システムの動作を示すシーケンス図。
【
図9】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図10】サーバー装置の動作を示すフローチャート。
【
図11】サーバー装置の動作を示すフローチャート。
【
図12】第2実施形態のシート製造装置の構成の一例を示す図。
【
図13】第2実施形態のシート製造装置の機能ブロック図。
【
図14】第3実施形態のシート製造装置の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
[1.第1実施形態]
[1-1.シート製造システムの構成]
図1は、本実施形態に係るシート製造システム1の概略構成を示す図である。シート製造システム1は、文書管理システムの一例に対応する。
シート製造システム1は、シート製造装置100及びサーバー装置200を含む。シート製造システム1は、プリンター400を含んでもよい。サーバー装置200は端末装置600に接続可能であり、プリンター400は、PC500に接続される。PCはPersonal Computerの略である。
【0011】
シート製造装置100は、繊維を含む原料を繊維化し、再生シートを製造する装置である。シート製造装置100において用いられる原料は、木質系パルプ材料やクラフトパルプ、古紙、合成パルプ等、繊維を含むものであればよく、好ましくは、セルロース繊維を含むものであればよい。また、原料は、炭素繊維、金属繊維、チクソ性繊維を含んでいてもよい。
【0012】
シート製造装置100が製造するシートおよび製造工程の詳細については
図2を参照して後述するが、シート製造装置100は、シートを製造する工程で原料を微細に分解、或いは破壊する。例えば、シート製造装置100の原料として古紙を利用すると、シート製造装置100の処理を経て、古紙に印刷されていた情報は判読不能となり、実質的に消失する。従って、シート製造装置100は、繊維を含む原料を再生利用する装置としての役割に加え、紙に記された情報を抹消する装置としての役割を果たすことができる。シート製造システム1では、シート製造装置100が古紙を原料として利用し、サーバー装置200が、シート製造装置100によって古紙が処理されたか否かを管理する装置として機能する。
【0013】
シート製造装置100は、原料として使用する古紙に記録された情報を読み取ることにより、古紙を一枚一枚、或いは、所定枚数を単位として識別する機能を有する。シート製造装置100が読み取る情報を古紙に記録する方法としては、種々の方法を利用可能である。ここでは、プリンター400が紙に印刷をする際に、シート製造装置100によって読取り可能な情報を印刷する構成を例示する。プリンター400は、PC500に接続され、PC500の制御に従って印刷を実行する。
【0014】
プリンター400は、印刷を実行した場合に、紙に印刷した情報をサーバー装置200に通知する。シート製造装置100は、プリンター400によって印刷された紙が古紙として供給され、この古紙を処理した場合に、処理した古紙に関する情報をサーバー装置200に通知する。このため、シート製造システム1では、通信ネットワークNを介して、サーバー装置200にシート製造装置100およびプリンター400が接続される。
【0015】
サーバー装置200は、シート製造装置100による古紙の処理状況を管理する。サーバー装置200は、古紙の処理状況を他の装置に出力可能な構成であってもよい。この一例として、本実施形態では、
図1に示すように、サーバー装置200が通信ネットワークNを介して端末装置600に接続された構成を示す。端末装置600は、例えば、シート製造装置100を管理または運用するオペレーターが使用する端末装置であり、パーソナルコンピューター、スマートフォン、携帯型電話機等の装置である。サーバー装置200は、古紙の処理状況に関する情報を端末装置600に出力する。サーバー装置200は、管理装置の一例に対応する。
【0016】
通信ネットワークNは、複数の装置間のデータ通信を可能とするデータ通信ネットワークであり、インターネット等のオープン型のネットワークであってもよいし、クローズドネットワークであってもよい。通信ネットワークNは、例えば、LAN、公衆回線網、専用線等の通信回線を含み、ルーターやサーバー等の図示しない各種装置を含んでもよい。LANはLocal Area Networkの略である。
【0017】
上記構成を実現するための構成例として、シート製造装置100は、シート製造装置100の動作を制御する第1制御部110を有し、第1制御部110は第1プロセッサー111および第1メモリー112を備える。第1プロセッサー111は、CPUやMPUにより構成される演算処理装置である。第1プロセッサー111は、制御プログラムを実行してシート製造装置100の各部を制御する。第1プロセッサー111は、単一のプロセッサーにより構成してもよいし、複数のプロセッサーにより構成することも可能であり、半導体記憶素子を含む各種回路と統合されたSoCにより構成してもよい。また、第1プロセッサー111の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。CPUはCentral Processing Unitの略であり、MPUはMicro Processing Unitの略であり、SoCはSystem On Chipの略である。第1メモリー112は、第1プロセッサー111が実行するプログラムや、第1プロセッサー111により処理されるデータ等を記憶する記憶装置である。第1メモリー112は、ワークエリアを形成してデータやプログラムを一時的に記憶する一時記憶装置であってもよく、例えば、RAMであってもよい。第1メモリー112は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶装置であってもよく、例えば、フラッシュROM等の半導体記憶素子や、磁気的記憶装置で構成されてもよい。また、第1メモリー112は、一時記憶装置と不揮発性記憶装置との両方を組み合わせて実現してもよい。RAMはRandom Access Memoryの略であり、ROMはRead Only Memoryの略である。
【0018】
サーバー装置200は、シート製造装置100およびプリンター400から送信される情報を受信して処理することにより、シート製造装置100による古紙の処理状況を管理する。サーバー装置200は、第2プロセッサー201と、第2メモリー202とを有する第2制御部210を備える。第2プロセッサー201は、CPUやMPUにより構成される演算処理装置である。第2プロセッサー201は、制御プログラムを実行してサーバー装置200の各部を制御する。第2プロセッサー201は、第1プロセッサー111と同様に、単一のプロセッサー或いは複数のプロセッサーにより構成することができ、SoCにより構成してもよい。また、第2プロセッサー201の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。第2メモリー202は、第2プロセッサー201が実行するプログラムや、第2プロセッサー201により処理されるデータ等を記憶する記憶装置である。第2メモリー202は、ワークエリアを形成してデータやプログラムを一時的に記憶する一時記憶装置であってもよく、例えば、RAMであってもよい。第2メモリー202は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶装置であってもよく、例えば、フラッシュROM等の半導体記憶素子や、磁気的記憶装置で構成されてもよい。また、第2メモリー202は、一時記憶装置と不揮発性記憶装置との両方を組み合わせて実現してもよい。
【0019】
プリンター400は、PC500により送信される印刷情報に従って、紙に印刷を実行する。プリンター400が使用する印刷媒体は、紙のほか、合成樹脂製のシートを用いることができる。印刷媒体は、ロール紙などの連続シートであってもよいし、定型サイズにカットされたカット紙であってもよく、本実施形態では定型サイズのPPC用紙を例示する。PPCはPlain Paper Copyの略である。プリンター400は、本発明の印刷装置の一例に対応する。
【0020】
プリンター400は、プリンター400の各部を制御する第3制御部410を有し、第3制御部410は、第3プロセッサー411、および、第3メモリー412を備える。第3プロセッサー411は、CPUやMPUにより構成される演算処理装置である。第3プロセッサー411は、制御プログラムを実行してプリンター400の各部を制御する。第3プロセッサー411は、第1プロセッサー111と同様に、単一のプロセッサー或いは複数のプロセッサーにより構成することができ、SoCにより構成してもよい。また、第3プロセッサー411の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。第3メモリー412は、第3プロセッサー411が実行するプログラムや、第3プロセッサー411により処理されるデータ等を記憶する記憶装置である。第3メモリー412は、ワークエリアを形成してデータやプログラムを一時的に記憶する一時記憶装置であってもよく、例えば、RAMであってもよい。第3メモリー412は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶装置であってもよく、例えば、フラッシュROM等の半導体記憶素子や、磁気的記憶装置で構成されてもよい。また、第3メモリー412は、一時記憶装置と不揮発性記憶装置との両方を組み合わせて実現してもよい。
【0021】
[1-2.シート製造装置の構成]
図2は、シート製造装置100の構成を示す図である。シート製造装置100は、原料MAを繊維化して、シートSを製造する。
シート製造装置100は、粗砕部12、解繊部20、搬送ブロアー32、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、分散部60、第2ウェブ形成部70、ウェブ搬送部79、加工部80、及び、切断部90を備える。
【0022】
シート製造装置100は、処理装置、及び、文書処理装置の一例に対応する。処理装置は、粗砕部12、解繊部20、搬送ブロアー32、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、分散部60、第2ウェブ形成部70、ウェブ搬送部79、加工部80、及び、切断部90の構成の一部または全部を含む装置に相当する。シート製造装置100は、原料MAを供給する分別装置16を備える。
【0023】
シート製造装置100で使用される原料MAは、上述したようにセルロース繊維を含むシート状のものであり、本実施形態では古紙である。古紙とは、PPC用紙等の紙に、プリンターや印刷機によって文字や画像が印刷された紙であり、処分を目的としてシート製造装置100に供給される紙をいう。原料MAは、文書に相当する。
【0024】
分別装置16は、原料MAを、シート製造装置100による処理に適する原料MAと、処理に適しない原料MAとに分別し、処理に適する原料MAを粗砕部12に供給する。処理に適しない原料MAとは、例えば、著しい破損や変形を有する紙、サイズが適合しない紙、厚みが制限を超える紙、ステープラーの金属針やペーパークリップが付着している紙、他の紙と固着している紙等が挙げられる。著しい破損や変形を有する紙とは、具体的には、しわ、破れ、汚れ、形状が他の原料MAと明らかに異なるほどの折れ曲がり等を有する紙である。サイズが適合しない紙とは、具体的には、シート製造装置100が処理可能な原料MAのサイズの範囲を逸脱する紙である。これらの紙は分別装置16から粗砕部12まで、或いはその後の搬送経路で詰まりを生じる可能性があるため、処理に適しない。厚みが制限を超える紙、および、他の紙と固着している紙は、硬度が高いために粗砕部12や解繊部20の動作に支障を来す可能性や、解繊部20で解繊されることで多量の解繊物MBを発生し、解繊物MBの詰まりを生じる可能性があるため、処理に適しない。ステープラーの金属針やペーパークリップが付着している紙は、金属針やペーパークリップが粗砕部12や解繊部20の動作に影響を与える可能性があるため、処理に適しない。分別装置16は、処理に適しない原料MAを除いた残りの原料MAを、粗砕部12に搬送する。また、分別装置16は、処理に適しない原料MAを回収する。分別装置16の構成について後述する。
【0025】
粗砕部12は、粗砕刃14により原料MAを裁断するシュレッダーである。粗砕部12により裁断された原料MAは、管を通じて解繊部20に搬送される。
【0026】
解繊部20は、粗砕部12で裁断された細片を乾式で解繊して解繊物MBにする。解繊とは、複数の繊維が結着された状態の原料MAを、1本又は少数の繊維に解きほぐす加工を示す。乾式とは、液体中ではなく、空気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを示す。解繊物MBは、原料MAに含まれていた繊維を含む。また、解繊物MBは、原料MAに含まれていた繊維以外の物質を含むことがある。例えば、原料MAとして古紙を用いる場合には、解繊物MBは、樹脂粒、インクやトナーなどの色剤、にじみ防止材、紙力増強剤等の成分を含む。
【0027】
解繊部20は、例えば、筒状の固定子22と、固定子22の内部で回転するローター24とを備えるミルであり、粗砕片を固定子22とローター24との間に挟んで解繊する。搬送ブロアー32は、解繊部20の下流側に配置され、気流を発生させる。解繊物MBは、搬送ブロアー32によって発生された気流により、管を通じて選別部40に移送される。
【0028】
原料MAに含まれる繊維又は解繊物MBに含まれる繊維については、繊維長が0.1mm以上、100mm以下であり、0.5μm以上~50m以下であることが好ましい。また、これらの繊維の繊維径が、0.1μm以上、1000μm以下であり、1μm~500μm以下であることが好ましい。また、これらの繊維は、複数の種類の繊維を含んでもよく、繊維長及び繊維径の少なくとも一方が異なる繊維を含んでもよい。
【0029】
原料MAは、粗砕部12によって裁断されて粗砕片となり、さらに、解繊部20によって繊維に分解される。このため、原料MAに記されていた文字や画像は、粗砕部12による処理後に判読不能となる。さらに、原料MAを解繊部20によって処理すると、原料MAに記されていた文字や画像は完全に判読不能となり、回復は不可能である。従って、印刷や筆記等で原料MAに記載されていた情報は、解繊部20によって抹消される。
解繊部20は、処理部の一例に対応する。処理部には粗砕部12を含めてもよい。また、粗砕部12を処理部の一例としてもよい。
【0030】
選別部40は、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43とを有する。ドラム部41は、網、フィルター、スクリーン等の開口を有する篩であり、図示しないモーターの動力により回転する。解繊物MBは、回転するドラム部41の内部でほぐされて、ドラム部41の開口を通過して下降する。解繊物MBの成分のうち、ドラム部41の開口を通過しない物は、管を通じて解繊部20に搬送される。
【0031】
第1ウェブ形成部45は、多数の開口を有する無端形状のメッシュベルト46を備える。第1ウェブ形成部45は、ドラム部41から下降する繊維等をメッシュベルト46に堆積させることにより、第1ウェブW1を製造する。ドラム部41から下降した成分のうち、メッシュベルト46の開口より小さい物は、メッシュベルト46を通過して吸引部48により吸引除去される。
【0032】
吸引部48には、捕集管34を通じて廃粉捕集部36が接続される。捕集管34には、吸引部48から空気を吸引して廃粉捕集部36に送気する捕集ブロアー35が配置される。捕集ブロアー35が発生する気流によって、メッシュベルト46を通過した粒子等が吸引部48から廃粉捕集部36に送られる。廃粉捕集部36は、不図示のフィルターを有し、メッシュベルト46を通過した粒子等を捕集する。廃粉捕集部36によって、解繊物MBの成分のうち、シートSの製造に適しない短い繊維や、樹脂粒、インク、トナー、にじみ防止剤等が捕集される。廃粉捕集部36には、捕集量センサー37が配置される。捕集量センサー37は、廃粉捕集部36により捕集された捕集物の量を検出するセンサーである。具体的には、廃粉捕集部36のフィルターの重量を検出する重量センサー、廃粉捕集部36のフィルターに堆積する捕集物の堆積厚を検出する光センサー、廃粉捕集部36のフィルターにおいて捕集物が付着した領域の面積を検出する光センサー等である。捕集量センサー37は、解繊部20が排出する排出物である捕集物を検知する機能を有し、排出検知部の一例に対応する。
【0033】
メッシュベルト46の移動経路には加湿部77が配置され、ミスト状の水又は高湿度の空気により、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1が加湿される。
第1ウェブW1は、メッシュベルト46により搬送され、回転体49に接触する。回転体49は、複数の羽根によって第1ウェブW1を分断し、繊維材料MCとする。繊維材料MCは管54を通じて混合部50に搬送される。
【0034】
混合部50は、繊維材料MCに添加材料ADを添加する添加物供給部52、及び、繊維材料MCと添加材料ADとを混合する混合ブロアー56を備える。
添加材料ADは、複数の繊維を架橋させることにより、繊維同士を結合させて、繊維をシート形状にする。添加材料ADは、繊維同士を結着させる結合材料として機能する樹脂を含み、詳細には、熱可塑性樹脂、及び、熱硬化性樹脂の少なくとも一方を含む。添加材料ADは、熱可塑性芯鞘樹脂を含んでもよい。また、添加材料ADは、上記樹脂に加え、着色剤、凝集抑制剤、難燃剤等を含んでもよい。
【0035】
添加物供給部52は、添加材料ADを貯留するタンクを有し、第1制御部110の制御に従って、タンクから添加材料ADを管54に送り出す。混合ブロアー56は、繊維材料MC及び添加材料ADが搬送される管54に気流を発生させて、繊維材料MCと添加材料ADとを混合し、混合物MXを分散部60に輸送する。
【0036】
分散部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63とを有する。ドラム部61は、ドラム部41と同様に構成される円筒形状の篩であり、図示しないモーターにより駆動されて回転する。ドラム部61の回転により、混合物MXは解きほぐされてハウジング部63の内部を下降する。
【0037】
第2ウェブ形成部70は、多数の開口を有する無端形状のメッシュベルト72を備える。第2ウェブ形成部70は、ドラム部61から下降する混合物MXをメッシュベルト72に堆積させて第2ウェブW2を製造する。混合物MXの成分のうち、メッシュベルト72の開口より小さい物は、メッシュベルト72を通過して吸引部76により吸引される。
【0038】
メッシュベルト72の移動経路には加湿部78が配置され、ミスト状の水又は高湿度の空気により、メッシュベルト72に堆積した第2ウェブW2が加湿される。
【0039】
第2ウェブW2は、ウェブ搬送部79によってメッシュベルト72から剥がされ、加工部80に搬送される。加工部80は、加圧部82、及び、加熱部84を備える。加圧部82は、一対の加圧ローラーにより第2ウェブW2を挟み、所定のニップ圧で加圧して、加圧後シートSS1を形成する。加熱部84は、一対の加熱ローラーによって加圧後シートSS1を挟んで熱を加える。これにより、加圧後シートSS1に含まれる繊維が、添加材料ADに含まれる樹脂により結着し、加熱後シートSS2が形成される。加熱後シートSS2は、切断部90に搬送される。
【0040】
切断部90は、加熱後シートSS2を、搬送方向Fと交差する方向に切断し、所定サイズのシートSを製造する。シートSは、排出部96に貯留される。排出部96には、排出部96に貯留されているシートSの量を検出する排紙量センサー97が配置される。排紙量センサー97は、例えば、排出部96に堆積しているシートSの重量を検出する重量センサー、排出部96に堆積しているシートSの堆積厚を検出する光センサーまたはスイッチ式センサー等である。
【0041】
本実施形態では、シート製造装置100が、乾式で、原料MAを繊維化してシートSを製造するが、シート製造装置100が、湿式で、原料MAを繊維化してシートSを製造してもよい。湿式で、原料MAを繊維化してシートSを製造するシート製造装置は、例えば、特開2011-137251号公報に記載されている。例えば、特開2011-137251号公報に記載の古紙処理装置は、再生パルプ部、脱墨パルプ部、抄紙部、仕上げ部、排水処理部を備える。この構成において、再生パルプ部は、古紙の裁断紙片をパルパーによって離解して再生パルプを調製するものであり、処理部の一例に対応する。
【0042】
[1-3.シートの製造工程]
図3は、シート製造装置100によるシートSの製造工程の一例を示すフローチャートである。
シート製造装置100には、原料MAとして古紙が供給される。ステップST1は、供給された原料MAから、シート製造装置100による処理に適する原料MAを分別する分別工程である。分別工程は、例えば、分別装置16による処理に対応する。
ステップST2は、原料MAを粗砕する粗砕工程であり、例えば、シート製造装置100の粗砕部12による処理に対応する。粗砕工程は、原料MAを、所定サイズ以下に裁断する工程である。
【0043】
ステップST3は、解繊工程であり、例えば、シート製造装置100の解繊部20による処理に対応する。
ステップST4は、解繊物MBから繊維を主とする材料を取り出す工程であり、分離工程という。分離工程は、繊維や樹脂粒等を含む解繊物MBから、樹脂や添加剤等の粒子を分離し、繊維を主な成分とする材料を取り出す工程である。分離工程は、例えば、シート製造装置100の選別部40及び回転体49による処理に対応する。
【0044】
ステップST2で供給される原料MAが、シートSの製造に影響する粒子等を含まない場合、或いは、原料MAに含まれる成分から粒子等を除去する必要がない場合には、ステップST4の分離工程を省略できる。この場合には、解繊物MBが、そのまま繊維材料MCとして利用される。
【0045】
ステップST5は、添加工程であり、ステップST4で分離された繊維材料MCに添加材料ADを添加する工程である。添加工程は、例えば、シート製造装置100の添加物供給部52による処理に対応する。
【0046】
ステップST6は、混合工程であり、繊維材料MCと、添加材料ADとを混合して混合物MXを製造する工程である。混合工程は、例えば、シート製造装置100の混合部50による処理に対応する。
【0047】
ステップST7は、篩工程であり、混合物MXを篩にかけて大気中に分散させ、降下させる工程である。篩工程は、例えば、シート製造装置100の分散部60による処理に対応する。
【0048】
ステップST8は、堆積工程であり、ステップST7の篩工程で降下する混合物MXを堆積させて、ウェブを形成する工程である。堆積工程は、例えば、シート製造装置100の第2ウェブ形成部70により第2ウェブW2を形成する処理に対応する。
【0049】
ステップST9は、加圧加熱工程であり、ウェブに対し、加圧及び加熱を行う工程である。加熱加圧工程は、例えば、シート製造装置100の加工部80により、第2ウェブW2を加熱及び加圧し、加圧後シートSS1及び加熱後シートSS2を経て、シートSを形成する処理に対応する。加圧加熱工程における加圧と加熱との順序は限定されないが、加圧が加熱よりも先に行われることが好ましい。
【0050】
ステップST10は、シートSを排出する排出工程である。排出工程は、例えば、シートSを排出部96に排出する動作に対応する。
【0051】
[1-4.分別装置の構成]
図4は、分別装置16の構成の一例を示す図である。
分別装置16は、筐体160と、筐体160の内部に設けられる原料収容部161とを有する。分別装置16は、分別部の一例に対応する。
【0052】
原料収容部161は、筐体160に設けられた投入口160Aから投入される原料MAを収容する。原料収容部161には、原料量センサー162が配置される。原料量センサー162は、原料収容部161に収容されている原料MAの量を検出するセンサーであり、例えば、原料収容部161に堆積している原料MAの重量を検出する重量センサーである。原料量センサー162は、原料収容部161に堆積している原料MAの堆積高さを検出する光センサーや、スイッチ式センサーであってもよい。投入口160Aは、開閉可能な蓋を有していてもよく、ロック機構により蓋を施錠可能であってもよい。
【0053】
筐体160には、回収トレイ166が設けられる。回収トレイ166は、シート製造装置100による処理に適しない原料MAを収容する。回収トレイ166には、回収量センサー167が配置される。回収量センサー167は、回収トレイ166に収容されている原料MAの量を検出するセンサーであり、例えば、回収トレイ166に堆積している原料MAの重量を検出する重量センサーである。回収量センサー167は、回収トレイ166に堆積している原料MAの堆積高さを検出する光センサーや、スイッチ式センサーであってもよい。
【0054】
分別装置16は、原料MAを搬送する手段として搬送部163を有する。搬送部163は、ピックアップローラー163A、供給ローラー163B、切替アーム163C、及び、ガイド163Fを有する。ピックアップローラー163Aは、原料収容部161から原料MAを取り出す。供給ローラー163Bは、原料MAをニップして回転する一対のローラーにより構成され、ピックアップローラー163Aにより取り出された原料MAを搬送する。
【0055】
切替アーム163Cは、供給位置163Dと分別位置163Eとに変位可能なアームであり、棒状であってもよいし、板状であってもよい。切替アーム163Cは、供給ローラー163Bが送り出す原料MAの搬送経路を、粗砕部12に向かう経路と、回収トレイ166に向かう経路とに切り替える。切替アーム163Cは、供給位置163Dに位置する状態で、供給ローラー163Bが送り出す原料MAを粗砕部12に向けて案内する。切替アーム163Cは、分別位置163Eに位置する状態で、原料MAを、粗砕部12に向かう経路から逸脱させる。ガイド163Fは、粗砕部12に向かう経路から逸脱した原料MAを、回収トレイ166に案内する。
【0056】
原料MAは、ピックアップローラー163Aによって、図中符号FAで示す方向に搬送され、供給ローラー163Bに到達する。ピックアップローラー163Aと供給ローラー163Bとの間の搬送経路には、読取ユニット164、および、原料検査部165が配置される。
【0057】
読取ユニット164は、原料MAに記された識別情報を読み取る装置であり、例えば、識別情報を示す文字、画像、バーコード、二次元コード等を光学的に読み取るスキャナーである。また、原料MAに付された識別情報が磁気インクで印刷された文字等である場合、読取ユニット164として磁気センサーを用いることができる。
【0058】
図5は、読取ユニット164による読取動作の説明図であり、読取ユニット164を含む分別装置16の要部平面図である。
図5の例では、原料MAに識別情報コードMA1が付されている。原料MAは、プリンター400によって文字や画像が印刷された文書であり、プリンター400が文書の内容である文字や画像を印刷する際に、合わせて識別情報コードMA1が印刷される。識別情報コードMA1は、
図5の例ではバーコードであるが、読取ユニット164が読み取り可能であればよく、二次元コードや画像コードであってもよく、文字であってもよい。
【0059】
読取ユニット164は、CMOSイメージセンサーやCCDセンサー等で構成される光学スキャナーである。読取ユニット164は、原料MAの幅方向DBに沿って配置され、方向FAに搬送される原料MAの表面に記録された識別情報コードMA1を読み取る。読取ユニット164は、原料MAの表面に対応する位置と裏面に対応する位置との両方に配置されてもよく、原料MAの裏面側のみに配置されてもよい。読取ユニット164は、読取り結果を示すデータを、第1制御部110に出力する。
読取ユニット164は読取部の一例に対応する。
【0060】
図4に戻り、原料検査部165は、原料MAがシート製造装置100による処理に適するか否かを判定するための検出を行い、検出値を第1制御部110に出力する。原料検査部165は、例えば、原料MAの搬送経路において読取ユニット164の下流、かつ、切替アーム163Cの上流に位置する。
【0061】
原料検査部165は、原料MAのサイズ、原料MAの破損、原料MAの厚み、原料MAの枚数、原料MAに付着する金属、原料MAの硬度を検出する構成とすることができる。
原料検査部165は、原料MAの外形形状を検出する光センサーとしてもよく、この場合、原料MAのサイズや折れを検出できる。また、原料検査部165を、原料MAの厚みを光学的に検出する光センサーとして、原料MAの厚みを検出する構成としてもよい。例えば、原料検査部165を透過型光センサーで構成し、原料MAを透過する光量に基づき原料MAの厚みを検出してもよい。また、例えば、原料検査部165は、原料MAを挟む2つのローラーと、2つのローラーの間の距離を測定する距離センサーとを備え、ローラー間距離により原料MAの厚みを検出する構成とすることができる。また、原料検査部165を超音波センサーにより構成し、原料MAの枚数が複数枚であることを検出する構成であってもよい。この場合、原料検査部165は、複数枚の原料MAがまとめてピックアップローラー163Aにより搬送される現象である重送を検出できる。また、原料検査部165として磁性体センサーや金属センサーを用い、原料MAに付着する金属を検出してもよい。また、原料検査部165として、原料MAを押圧するレバー式のセンサーを設け、レバーの変位量に基づき原料MAの硬度を検出する構成であってもよい。これらは一例であり、複数のセンサーを組み合わせて原料検査部165を構成してもよい。
【0062】
原料MAは、原料検査部165を通過すると、切替アーム163Cの設置位置に到達する。ここで、第1制御部110が切替アーム163Cを分別位置163Eに移動させると、原料MAはガイド163Fにより案内されて、符号FBで示す方向に移動し、回収トレイ166に収容される。また、第1制御部110の制御により、切替アーム163Cが供給位置163Dに移動すると、原料MAは、供給ローラー163Bの動力により粗砕部12に搬送され、粗砕刃14により裁断される。
【0063】
[1-5.シート製造装置の制御系]
図6は、シート製造装置100の機能ブロック図である。
シート製造装置100は、上述した第1制御部110を有し、第1制御部110に各種センサーおよび駆動部が接続された構成を有する。
第1制御部110は、第1プロセッサー111、第1メモリー112、不揮発性記憶部120、センサーI/F121、駆動部I/F122、表示パネル123、タッチセンサー124、及び、通信I/F125を備える。I/Fはインターフェイスの略である。
【0064】
不揮発性記憶部120は、第1プロセッサー111が実行する種々のプログラムや、第1プロセッサー111が処理する種々のデータを記憶する。
表示パネル123は、例えば液晶表示パネルであり、シート製造装置100の外装に設置される。表示パネル123は、第1プロセッサー111の制御に従って、シート製造装置100の動作状態、各種設定値、警告表示等を表示する。
【0065】
タッチセンサー124は、ユーザーによるタッチ操作や押圧操作を検出する。タッチセンサー124は、例えば、表示パネル123の表示面に重ねて配置され、表示パネル123に対する操作を検出する。タッチセンサー124は、ユーザーの操作に対応して、操作位置や操作位置の数を含む操作データを第1プロセッサー111に出力する。
【0066】
通信I/F125は、第1プロセッサー111の制御に従って、通信ネットワークNを通じたデータ通信を実行する。通信I/F125は、通信ケーブルが接続されるコネクターと通信インターフェイス回路とを備える通信ユニットであってもよい。また、通信I/F125は、アンテナと無線通信回路とを有する無線通信モジュールであってもよい。
【0067】
第1制御部110は、センサーI/F121を介して、シート製造装置100の各部に設置されたセンサーに接続される。センサーI/F121は、センサーが出力する検出値を取得して第1プロセッサー111に入力するインターフェイス回路である。センサーI/F121は、センサーが出力するアナログ信号をデジタルデータに変換するA/Dコンバーターを備えてもよい。また、センサーI/F121は、各センサーに駆動電力を供給してもよい。また、センサーI/F121は、各々のセンサーの出力値を、第1プロセッサー111が指定するサンプリング周波数に従って取得し、第1プロセッサー111に出力する回路を備えてもよい。
【0068】
センサーI/F121には、原料量センサー162、読取ユニット164、原料検査部165、回収量センサー167、捕集量センサー37、および、排紙量センサー97が接続される。センサーI/F121には、
図6に示していない各種のセンサーが接続されてもよい。
【0069】
第1制御部110は、駆動部I/F122を介して、シート製造装置100が備える各駆動部に接続される。シート製造装置100が備える駆動部は、モーター、ポンプ、ヒーター等である。駆動部I/F122は、モーターに直接接続される構成のほか、第1制御部110の制御によりモーターに駆動電流を供給する駆動回路や駆動ICに接続されてもよい。ICはIntegrated Circuitの略である。
【0070】
駆動部I/F122には、第1制御部110の制御対象として分別装置16、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、加湿部77、78、混合部50、分散部60、第2ウェブ形成部70、加工部80、及び切断部90等が接続される。
【0071】
分別装置16は、ピックアップローラー163A及び供給ローラー163Bを回転させるモーターや、切替アーム163Cを変位させるアクチュエーター等の駆動部を含む。
粗砕部12は、粗砕刃14を回転させるモーター等の駆動部を含む。
解繊部20は、ローター24を回転させるモーターや、搬送ブロアー32を駆動するモーター等の駆動部を含む。
【0072】
選別部40は、ドラム部41を回転させるモーター等の駆動部を含み、第1ウェブ形成部45はメッシュベルト46を回動させるモーター等の駆動部を含む。加湿部77、78は、ミスト状の水又は高湿度の空気を送出するファン等の駆動部を含む。混合部50は、混合ブロアー56を駆動するモーター等の駆動部を含む。分散部60は、ドラム部61を回転させるモーター等の駆動部を含む。第2ウェブ形成部70は、メッシュベルト72を回動させるモーター等の駆動部を含む。加工部80は、加圧部82及び加熱部84を駆動する駆動部や、加熱部84を加熱する熱源等を含む。切断部90は加熱後シートSS2を切断する刃を動作させるモーター等の駆動部を含む。
また、
図6に示されていない各種の駆動部が駆動部I/F122に接続された構成であってもよい。
【0073】
[1-6.シート製造システムの動作]
図7は、シート製造システム1の機能ブロック図であり、シート製造システム1の各部で送受信される情報を合わせて図示する。
シート製造装置100は、第1制御部110により構成される機能部として、読取部113、分別部114、判定部115、第1記憶部116、及び、第1通信部117を備える。これらの各部は、第1プロセッサー111がプログラムを実行することにより、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。分別部114は、第1プロセッサー111が分別装置16を制御することにより構成される。第1記憶部116は、第1メモリー112または不揮発性記憶部120の記憶領域を利用して構成される。第1通信部117は、第1プロセッサー111が通信I/F125を制御することにより構成される。
【0074】
読取部113は、読取ユニット164を制御して、原料MAに記録された識別情報コードMA1を読み取り、読み取り結果をもとに原料MAの識別情報を取得する。
分別部114は、原料検査部165の検出値を取得する。分別部114は、原料検査部165の検出値に基づいて、原料MAがシート製造装置100の処理に適するか否かを判定する。分別部114は、原料MAがシート製造装置100による処理に適すると判定した場合に、切替アーム163Cを供給位置163Dに位置させて、原料MAを解繊部20に送る。また、分別部114は、原料MAがシート製造装置100による処理に適しないと判定した場合に、切替アーム163Cを分別位置163Eに変位させて、原料MAを回収トレイ166に送る。分別部114は、読取部113の読み取り結果をもとに、回収トレイ166に回収された原料MAの識別情報を特定する。
【0075】
判定部115は、原料MAが解繊部20によって処理されたか否かを判定する。
判定部115は、基準となる時刻T1と、時刻T1から設定時間が経過した時刻T2とにおいて原料量センサー162の検出値を取得する。判定部115は、時刻T1からT2までの検出値の変化に基づいて、原料収容部161からピックアップローラー163Aにより搬送された原料MAの量あるいは数を算出する。判定部115は、時刻T1と時刻T2の捕集量センサー37の検出値を取得し、時刻T1からT2までの検出値の変化に基づいて、廃粉捕集部36に捕集された捕集物の変化量を算出する。判定部115は、原料収容部161から搬送された原料MAの量あるいは数と、廃粉捕集部36に捕集された捕集物の増加量とに基づいて、時刻T1-T2間に解繊部20によって解繊された原料MAの数を算出する。そして、判定部115は、読取部113が識別情報コードMA1を読み取った原料MAのうち、解繊部20によって解繊された原料MAを特定し、特定した原料MAの識別情報を特定する。
【0076】
判定部115は、解繊部20によって解繊された原料MAの数を算出する際に、回収トレイ166に回収された原料MAの枚数を加味してもよい。この場合、判定部115は、時刻T1及び時刻T2において回収量センサー167の検出値を取得し、回収量センサー167の検出値の変化量を算出する。判定部115は、回収量センサー167の検出値の変化量に基づいて、回収トレイ166に回収された原料MAの量あるいは数を算出する。判定部115は、原料収容部161から搬送された原料MAの量あるいは数から、回収トレイ166に回収された原料MAの量あるいは数を減算することで、分別装置16から解繊部20へ搬送された原料MAの量を、より正確に求めることができる。
【0077】
判定部115は、解繊部20によって解繊された原料MAの数を算出する際に、排出部96に排出されたシートSの枚数を加味してもよい。この場合、判定部115は、時刻T1及び時刻T2において排紙量センサー97の検出値を取得し、排紙量センサー97の検出値の変化量を算出する。判定部115は、排紙量センサー97の検出値の変化量に基づいて、排出部96に排出されたシートSの量あるいは数を算出する。判定部115は、原料収容部161から搬送された原料MAの量あるいは数と、廃粉捕集部36に捕集された捕集物の増加量と、排出部96に排出されたシートSの量あるいは数とをもとに処理を行う。この処理により、解繊部20で処理された原料MAの量あるいは数を、より正確に求めることができる。ここで、判定部115は、回収トレイ166に回収された原料MAの量あるいは数を加味して、解繊部20で処理された原料MAの量あるいは数を求めてもよい。
【0078】
第1記憶部116は、読取ユニット164により読み取られた原料MAの識別情報を記憶する。第1記憶部116は、判定部115によって、解繊部20により解繊処理されたと判定された原料MAの識別情報を記憶する。また、第1記憶部116は、分別部114の制御によって回収トレイ166に回収された原料MAの識別情報を記憶してもよい。
【0079】
第1通信部117は、解繊部20によって解繊処理された原料MAの識別情報を含む文書処理情報330を生成し、シート製造装置100に送信する。文書処理情報330は、解繊部20で処理された原料MAの識別情報331を含む。また、文書処理情報330は、識別情報331が示す原料MAが解繊部20により処理された日時、或いは時刻を示す処理日時332を含む文書処理情報330を生成してもよい。第1通信部117は、通信部の一例に対応する。
【0080】
第1通信部117は、分別部114により回収トレイ166に回収された原料MAの識別情報を含む分別情報340を生成し、サーバー装置200に送信してもよい。分別情報340は、回収トレイ166に回収された原料MAの識別情報341を含む。分別情報340は、識別情報341が示す原料MAが回収トレイ166に回収された日時、或いは時刻を示す分別日時342を含む分別情報340を生成してもよい。
【0081】
プリンター400は、第3制御部410により構成される機能部として、印刷部421、文書情報記憶部422、及び、第3通信部423を備える。これらの各部は、第3プロセッサー411がプログラムを実行することにより、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。文書情報記憶部422は、第3メモリー412の記憶領域を利用して構成される。第3通信部423は、第3プロセッサー411が、不図示の通信I/Fを制御することにより構成される。
【0082】
第3通信部423は、PC500が送信する印刷情報310を受信する。印刷情報310は、プリンター400によって印刷媒体に文書を印刷するための情報を含む。印刷情報310は、識別情報311、保管期限312、処理期限313、及び、印刷データ314を含む。
【0083】
印刷データ314は、プリンター400が、PPC用紙等の印刷媒体に印刷する文字や画像のデータである。識別情報311は、印刷データ314とともに印刷媒体に印刷される情報であり、プリンター400の印刷物に識別情報コードMA1として印刷される情報である。保管期限312および処理期限313は、プリンター400が印刷する文書に対して設定される期限であり、例えば、PC500を操作するオペレーターが入力し、或いは、PC500が印刷情報310を生成する際に自動的に設定される。保管期限312および処理期限313は、例えば、特定の日または日時を示す情報である。保管期限312は、印刷された文書を処分せずにいるべき期限を示しており、保管期限312以後は文書をシート製造装置100で処理することが許可される。換言すれば、保管期限312に達する前に文書をシート製造装置100で処理することは禁じられる。処理期限313は、印刷された文書を処分すべき期限を示しており、処理期限313までに文書をシート製造装置100で処理することが求められる。換言すれば、文書をシート製造装置100で処理せずに処理期限313を迎えることは禁じられる。保管期限312および処理期限313は、設定されなくてもよい。この場合、PC500は、保管期限312および/または処理期限313を含まない印刷情報310をプリンター400に送信する。
【0084】
印刷部421は、プリンター400が備える印刷ヘッド、及び、印刷媒体を搬送する搬送機構を制御して、印刷データ314に基づき文字や画像を印刷し、識別情報311に基づく識別情報コードMA1を印刷する。
文書情報記憶部422は、印刷部421によって印刷した文書の識別情報311、保管期限312、および処理期限313を対応付けて記憶する。
【0085】
第3通信部423は、印刷部421による印刷が完了した後、文書情報記憶部422に記憶された情報に基づき、印刷済文書情報320を生成する。印刷済文書情報320は、印刷した文書である原料MAの識別情報321と、保管期限322と、処理期限323とを含む。文書情報記憶部422に保管期限322および/または処理期限323が記憶されていない場合、第3通信部423は、処理期限323および/または処理期限323を含まない印刷済文書情報320を生成する。第3通信部423は、印刷済文書情報320をサーバー装置200に送信する。
【0086】
サーバー装置200は、第2制御部210により構成される機能部として、保管期限管理部211、処理期限管理部212、第2記憶部213、及び、第2通信部214を備える。これらの各部は、第2プロセッサー201がプログラムを実行することにより、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。第2記憶部213は、第2メモリー202の記憶領域を利用して構成される。第2通信部214は、第2プロセッサー201が、不図示の通信I/Fを制御することにより構成される。
【0087】
第2通信部214は、シート製造装置100が送信する文書処理情報330、分別情報340、及び、プリンター400が送信する印刷済文書情報320を受信する。
第2通信部214は、印刷済文書情報320に含まれる識別情報321、保管期限322、及び、処理期限323を抽出し、識別情報と保管期限と処理期限とを第2記憶部213に記憶させる。第2記憶部213は、記憶部の一例に対応する。
【0088】
保管期限管理部211は、シート製造装置100から文書処理情報330を受信した場合に、識別情報331を抽出する。保管期限管理部211は、識別情報331が示す識別情報に対応付けて第2記憶部213に記憶された保管期限を参照し、処理日時332が示す日時と保管期限とを照合する。保管期限管理部211は、照合結果を期限状態352として含む文書管理情報350を生成し、端末装置600に送信する。文書管理情報350は、処理された原料MAの識別情報351と、保管期限が守られたか否かを示す期限状態352とを含む。例えば、保管期限管理部211は、処理日時332が保管期限以後の日時を示している場合、保管期限に従って原料MAが処理されたと判定する。また、保管期限管理部211は、処理日時332が保管期限より前の日時を示している場合、保管期限に反して原料MAが処理されたと判定する。これらの判定結果が期限状態352となる。
【0089】
処理期限管理部212は、第2通信部214が受信した文書処理情報330に含まれる識別情報331に該当する識別情報を、第2記憶部213に記憶された識別情報から検索する。処理期限管理部212は、検索した識別情報を、処理済みとする。また、処理期限管理部212は、第2通信部214が受信した分別情報340に含まれる識別情報341に該当する識別情報を、第2記憶部213に記憶された識別情報から検索する。処理期限管理部212は、検索した識別情報を、処理済みとする。
【0090】
処理期限管理部212は、第2記憶部213に記憶された識別情報のうち、処理済みとされていない識別情報であって、処理期限を徒過した識別情報を検索する。処理期限管理部212は、該当する識別情報を含む文書管理情報350を生成し、端末装置600に送信する。この場合、文書管理情報350は、検索された識別情報351と、処理期限を徒過したことを示す期限状態352とを含む。
【0091】
第2通信部214は、分別情報340を受信した場合、文書管理情報350として端末装置600に転送してもよい。この場合、識別情報351を、分別情報340に含まれる識別情報341とする。第2通信部214は、分別日時342が示す日時と、原料MAが回収トレイ166に収容されたことを示す情報とを含む分別状態353を生成する。第2通信部214は、識別情報351および分別状態353を含む文書管理情報350を生成して端末装置600に送信する。
【0092】
サーバー装置200は、液晶表示パネル等からなる表示画面を有していてもよい。この場合、第2制御部210は、端末装置600に送信する文書管理情報350の内容を、表示画面に表示してもよい。また、文書管理情報350は、端末装置600を含む複数の装置あてに送信されてもよく、文書管理情報350の送信態様は任意である。例えば、第2通信部214は、文書管理情報350を、電子メール形式で送信してもよいし、各種アプリケーションプログラムで処理されるメッセージとして送信してもよいし、ファクシミリで送信してもよい。
【0093】
図8は、シート製造システム1の動作を示すシーケンス図であり、プリンター400とサーバー装置200との間における情報の送受信の態様を示す。
図8の動作は第3制御部410および第2制御部210により実行される。
図8に示す動作は、例えば、プリンター400が原料MAを1枚印刷する毎、プリンター400が印刷した原料MAの数が設定枚数に達する毎、或いは、設定された期間毎に実行される。
【0094】
第3制御部410は、PC500から印刷情報310を受信し(ステップSA11)、印刷情報310に含まれる印刷データ314および識別情報311に従って、印刷部421により印刷を実行する(ステップSA12)。
第3制御部410は、印刷した文書に関する印刷済文書情報320を生成して、サーバー装置200に送信する(ステップSA13)。
【0095】
第2制御部210は、プリンター400が送信する印刷済文書情報320を受信し(ステップSB11)、印刷済文書情報320から識別情報、保管期限、処理期限を抽出し、これらを対応付けて第2記憶部213に記憶する(ステップSB12)。
【0096】
図9は、シート製造装置100の動作を示すフローチャートである。
図9に示す動作は第1制御部110により実行される。
図9の動作は、例えば、シート製造装置100が原料収容部161から原料MAを1枚取り出す毎、原料収容部161から取り出された原料MAの数が設定枚数に達する毎、或いは、設定された期間毎に実行される。
【0097】
第1制御部110は、読取ユニット164によって原料MAの識別情報コードMA1を読み取らせ、読み取り結果を取得する(ステップSC11)。第1制御部110は、原料検査部165により、原料MAの状態を検出させる(ステップSC12)。
【0098】
第1制御部110は、原料検査部165の検出値に基づいて、シート製造装置100による処理に適する原料MAであるか否かを判定する(ステップSC13)。処理に適しない原料MAであると判定した場合(ステップSC13;NO)、第1制御部110は、切替アーム163Cを動作させて原料MAを回収トレイ166に搬送させる(ステップSC14)。第1制御部110は、ステップSC11で読み取った識別情報を含む分別情報340を生成し(ステップSC15)、サーバー装置200に送信する(ステップSC16)。
【0099】
第1制御部110は、処理に適する原料MAであると判定した場合(ステップSC13;YES)、切替アーム163Cを動作させて原料MAを粗砕部12に搬送させる(ステップSC17)。第1制御部110は、ステップSC11で読み取った識別情報を第1記憶部116に一時的に記憶させ(ステップSC18)、識別情報を一時記憶した原料MAの数が設定枚数に達したか否かを判定する(ステップSC19)。ここで、識別情報を一時記憶した原料MAの数が設定枚数に達していない場合(ステップSC19;NO)、第1制御部110はステップSC11に戻る。
【0100】
識別情報を一時記憶した原料MAの数が設定枚数に達した場合(ステップSC19;YES)、第1制御部110は、処理された原料MAの数を算出する処理を開始する。第1制御部110は、原料収容部161の原料MAの数量、回収トレイ166に回収された原料MAの数量、廃粉捕集部36に捕集された捕集物の量、及び、排出部96に排出されたシートSの数量のうち少なくともいずれかを算出する(ステップSC20)。第1制御部110は、ステップSC20で算出した数量に基づいて、解繊部20によって処理した原料MAの数を算出する(ステップSC21)。第1制御部110は、ステップSC22で求めた原料MAの数と、一時記憶した識別情報とをもとに、解繊部20で処理した原料MAの識別情報を特定する(ステップSC22)。
【0101】
第1制御部110は、ステップSC22で特定した識別情報に基づいて文書処理情報330を生成し(ステップSC23)、サーバー装置200に送信する(ステップSC24)。
【0102】
図10は、サーバー装置200の動作を示すフローチャートであり、シート製造装置100が送信する文書処理情報330および分別情報340に対応する動作を示す。
図10に示す動作は第2制御部210により実行される。
図10の動作は、例えば、サーバー装置200がシート製造装置100から文書処理情報330または分別情報340を受信する毎に実行される。
【0103】
第2制御部210は、シート製造装置100が送信する情報を受信すると(ステップSD11)、受信した情報が分別情報340であるか否かを判定する(ステップSD12)。受信した情報が分別情報340である場合(ステップSD12;YES)、第2制御部210は、分別を報知する文書管理情報350を生成し(ステップSD13)、文書管理情報350を送信する(ステップSD14)。
【0104】
受信した情報が分別情報340でない場合(ステップSD12;NO)、受信した情報は文書処理情報330である。第2制御部210は、文書処理情報330の識別情報331および処理日時332と、第2記憶部213に記憶されている保管期限とを照合する。第2制御部210は、上述したように、処理日時332が保管期限内よりも前の日時となっている識別情報の有無を判定する(ステップSD15)。すなわち、ステップSD15で、第2制御部210は、保管期限内に処理された文書である原料MAがあるか否かを判定する。
【0105】
保管期限内に処理された原料MAがある場合(ステップSD15;YES)、第2制御部210は、保管期限内に処理されたことを示す期限状態352を含む文書管理情報350を生成する(ステップSD16)。第2制御部210は、ステップSD14に移行して文書管理情報350を送信する。
【0106】
保管期限内に処理された原料MAがない場合(ステップSD15;NO)、第2制御部210は、処理完了を示す文書管理情報350を生成する(ステップSD17)。第2制御部210は、ステップSD14に移行して文書管理情報350を送信する。
【0107】
図11は、サーバー装置200の動作を示すフローチャートであり、処理期限を徒過した原料MAを検出する動作を示す。
図11に示す動作は第2制御部210により実行される。
図11の動作は、例えば、設定された期間毎に実行される。
【0108】
第2制御部210は、第2記憶部213に記憶された識別情報の中から、処理期限に達した識別情報であって処理済みとされていない識別情報を検索する(ステップSD21)。第2制御部210は、該当する識別情報の有無を判定し(ステップSD22)、該当する識別情報がない場合(ステップSD22;NO)、本処理を終了する。
【0109】
該当する識別情報がある場合(ステップSD22;YES)、第2制御部210は、処理期限を徒過したことの警報を期限状態352として含む文書管理情報350を生成する(ステップSD23)。第2制御部210は、生成した文書管理情報350を送信し(ステップSD24)、本処理を終了する。
【0110】
[1-7.実施形態の作用]
以上説明したように、第1実施形態に係るシート製造システム1は、原料MAを解繊部20により分解処理するシート製造装置100と、原料MAの処理状況を管理するサーバー装置200と、を備える。シート製造装置100は、原料MAに付された識別情報コードMA1の識別情報を読み取る読取ユニット164と、読取ユニット164で識別情報の読み取りが行われた原料MAであって分解処理に適すると判定された原料MAを分解処理する解繊部20と、を備える。シート製造装置100は、原料MAが解繊部20で分解されたことを判定する判定部115と、判定部115により解繊部20で分解されたと判定された原料MAの識別情報を、サーバー装置200に送信する第1通信部117と、を備える。
【0111】
シート製造システム1による文書管理方法は、シート製造装置100によって、原料MAに付された識別情報を読み取り、識別情報を読み取った原料MAの分解処理を行う。また、シート製造装置100により、原料MAが分解処理されたことを判定し、解繊部20で分解されたと判定された原料MAの識別情報を、サーバー装置200に送信する。
【0112】
本発明を適用したシート製造システム1、及び、シート製造システム1による文書管理方法によれば、シート製造装置100に供給された文書である原料MAを識別情報によって特定して、分解処理されたことを判定できる。そして、分解処理された原料MAの識別情報をサーバー装置200が取得できる。このため、文書がシート製造装置100によって処理されたことを確認できる。従って、文書に記録されていた文字や画像等の情報が実質的に抹消されたことを確認できる。
【0113】
シート製造装置100は、解繊部20による処理に適する原料MAを分別する分別部114を備え、第1制御部110は、分別部114により分別された原料MAの識別情報を特定可能である。このため、解繊部20による処理に適する原料MAを対象として、識別情報による管理を行うことができる。これにより、文書に記録されていた文字や画像等の情報が実質的に抹消されたことを確認する処理の効率化を図ることができる。
【0114】
サーバー装置200は、原料MAの識別情報と処理期限とを対応付けて記憶する第2記憶部213を備える。サーバー装置200は、シート製造装置100から受信した原料MAの識別情報と、第2記憶部213に記憶された原料MAの処理期限とに基づいて、原料MAの処理期限を管理する処理期限管理部212を備える。これにより、原料MAが、設定された処理期限までに分解処理されたか否かを管理できる。
【0115】
処理期限管理部212は、シート製造装置100から受信した原料MAの識別情報に基づいて、原料MAを処理済みと判定し、第2記憶部213に記憶された原料MAの処理期限までに処理済みと判定されていない文書を特定する。これにより、設定された処理期限までに分解処理されない文書を発見し、管理できる。
【0116】
サーバー装置200は、原料MAの識別情報と保管期限とを対応付けて第2記憶部213に記憶する。サーバー装置200は、シート製造装置100から受信した原料MAの識別情報と、第2記憶部213に記憶された原料MAの保管期限とに基づいて、保管期限より前に処理された原料MAを特定する保管期限管理部211を備える。これにより、原料MAが、設定された保管期限より前に分解処理されたか否かを管理できる。
【0117】
シート製造装置100は、解繊部20から排出される排出物を検知する捕集量センサー37を備える。判定部115は、捕集量センサー37の検知結果に基づいて、原料MAが解繊部20で分解されたことを判定する。これにより、原料MAが解繊部20で分解処理されたか否かを、より正確に判定し、管理できる。
【0118】
シート製造システム1は、文書を印刷する印刷部421を備え、印刷部によって文書の内容と識別情報とを印刷するプリンター400を有する。読取ユニット164は、プリンター400により印刷された識別情報コードMA1の識別情報を読み取る。これにより、文書をプリンター400によって印刷する際に、シート製造装置100による分解処理の管理に利用できる識別情報コードMA1を印刷する。このため、プリンター400で印刷される文書の分解処理を、容易に管理できる。
【0119】
また、本発明の文書処理装置を適用したシート製造装置100は、原料MAに付された識別情報コードMA1の識別情報を読み取る読取ユニット164と、読取ユニット164で識別情報の読み取りが行われた原料MAの分解処理を行う解繊部20と、を備える。シート製造装置100は、原料MAが解繊部20で分解されたことを判定する判定部115と、判定部115により解繊部20で分解されたと判定された原料MAの識別情報を送信する第1通信部117とを備える。これにより、シート製造装置100によって原料MAを分解処理したことを、第1通信部117が送信する文書処理情報330を受信可能な装置によって、容易に管理できる。
【0120】
[2.第2実施形態]
図12は、本発明を適用した第2実施形態のシート製造装置100Aの構成を示す図である。
図13は、シート製造装置100Aの機能ブロック図である。
シート製造装置100Aは、第1実施形態で説明したシート製造システム1のシート製造装置100と置き換えて、利用可能な装置である。シート製造装置100Aは処理装置の一例に対応する。第2実施形態に関して、第1実施形態と共通する構成部には同符号を付して説明を省略する。
【0121】
第2実施形態では、原料MAを粗砕部12で粗砕して得られる粗砕物を符号MSで示す。
図12に示すように、シート製造装置100Aは、粗砕部12で粗砕された粗砕物MSを一時的に貯留する粗砕物収容部18を備える。粗砕物収容部18は、粗砕刃14で裁断されて形成される粗砕物MSを収容し、解繊部20に向けて排出する。粗砕物収容部18は、粗砕物MSを排出する不図示の回転羽根や、回転羽根を駆動する不図示のモーターを有する構成であってもよい。
【0122】
粗砕物収容部18は、解繊部20に対する粗砕物MSの供給を安定化させる作用がある。例えば、分別装置16において、ピックアップローラー163Aが搬送した原料MAが、連続して回収トレイ166に回収された場合、分別装置16から粗砕部12に原料MAが搬送されない状態が継続する。また、原料MAの厚みやサイズにより、粗砕部12で単位時間に発生する粗砕物MSの量が変動する。このように、粗砕部12から解繊部20への粗砕物MSの供給量を変動させる要因が存在する。粗砕物収容部18を設けた場合、粗砕物MSをいったん粗砕物収容部18に貯留することにより、粗砕部12からの粗砕物MSの供給量の増減を粗砕物収容部18で吸収し、粗砕物収容部18から解繊部20に、安定したペースで粗砕物MSを供給できる。
【0123】
粗砕物収容部18には、粗砕物MSの量を検出する粗砕物量センサー19が配置される。粗砕物量センサー19は、粗砕物収容部18に収容されている粗砕物MSの量を検出するセンサーであり、例えば、粗砕物MSの重量を検出する重量センサーである。また、粗砕物量センサー19は、粗砕物収容部18に溜まっている粗砕物MSの上端までの高さを検出する光センサーであってもよい。
【0124】
図13に示すように、シート製造装置100Aにおいて、第1制御部110が備えるセンサーI/F121には粗砕物量センサー19が接続される。第1制御部110は、粗砕物量センサー19の検出値を取得することにより、粗砕物収容部18に一時的に貯留されている粗砕物MSの量、或いは、粗砕物MSの量の変化を求めることができる。
【0125】
第1制御部110は、第1実施形態で説明した通り、判定部115を有する。判定部115は、
図9に示したステップSC20において、粗砕物量センサー19の検出値を取得し、取得した検出値に基づき、粗砕物収容部18から解繊部20に送られた粗砕物MSの量を算出する。詳細には、例えば基準となる時刻T1および時刻T2において粗砕物量センサー19の検出値を取得し、時刻T1からT2までの検出値の変化に基づいて、粗砕物収容部18における粗砕物MSの変化量を算出する。粗砕物収容部18に収容される粗砕物MSの量は、分別装置16が原料MAを粗砕部12に搬送することで増大し、粗砕物収容部18から解繊部20に粗砕物MSを送ることで減少する。判定部115は、粗砕物量センサー19が検出した粗砕物MSの変化量と、分別装置16が粗砕部12に搬送した原料MAの数と、捕集量センサー37が検出した捕集物の変化量と、を用いて、解繊部20が処理した原料MAの数をより正確に算出できる。
【0126】
第2実施形態で説明したシート製造装置100Aを、シート製造装置100に代えてシート製造システム1に設けることにより、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、解繊部20への粗砕物MSの供給を安定化させて、より高品質のシートSを製造できる。そして、粗砕物量センサー19の検出値を利用することにより、解繊部20が処理した原料MAの数を正確に求めることができる。
【0127】
[3.第3実施形態]
図14は、第3実施形態のシート製造装置100Bの機能ブロック図である。シート製造装置100Bは、第1実施形態で説明したシート製造システム1のシート製造装置100と置き換えて利用可能な装置である。シート製造装置100Bは処理装置の一例に対応する。第3実施形態に関して、第1実施形態と共通する構成部には同符号を付して説明を省略する。
【0128】
シート製造装置100Bは、磁性体センサー17を備える。磁性体センサー17は、解繊部20が排出した解繊物MBが搬送される管、或いは、解繊部20が解繊物MBを排出する排出口に設けられる。磁性体センサー17は、金属等の磁性体を検出するセンサーであり、例えば磁気センサーで構成される。また、磁性体センサー17に代えて金属探知機を用いてもよい。
【0129】
シート製造装置100Bは、分別装置16がセキュリティーペーパーである原料MAを粗砕部12に搬送した場合に、セキュリティーペーパーが解繊部20で解繊されたことを検知する機能を有する。
セキュリティーペーパーは、磁性ワイヤーが漉き込まれた紙であり、セキュリティーの強化を図る目的で利用される。セキュリティーペーパーに所定周波数の交番磁界が与えられた場合、紙にすき込まれた磁性ワイヤーが磁化反転時に急峻なパルス信号を発する。このパルス信号を検知装置で検出することにより、磁性ワイヤーを含む紙の存在を検知できる。このため、建物や部屋の出入り口に、交番磁界を生じる検知装置を設置することにより、セキュリティーペーパーの持ち込みや持ち出しを検知できる。従って、セキュリティーペーパーは、持ち出しや持ち込みを制限または管理する必要がある書類を印刷する場合に利用される。
【0130】
セキュリティーペーパーが原料MAとして粗砕部12に搬送された場合、粗砕部12において磁性ワイヤーを含む粗砕片が発生する。解繊部20は、磁性ワイヤーを含む粗砕片を解繊するので、解繊部20が排出する解繊物MBには磁性ワイヤーを粉砕した磁性粒子が混入している。この磁性粒子を磁性体センサー17により検知することで、シート製造装置100Bは、セキュリティーペーパーが解繊部20で解繊されたことを確認できる。
【0131】
また、分別装置16は、磁性体センサーを含む原料検査部165を備えてもよい。この場合、第1制御部110は、分別装置16がセキュリティーペーパーを解繊部20に搬送したことを確認できる。さらに、第1制御部110は、読取ユニット164の読み取り結果から、セキュリティーペーパーである原料MAの識別情報を特定できる。このため、第1制御部110は、解繊部20に向けて搬送されたセキュリティーペーパーの識別情報を特定し、このセキュリティーペーパーが解繊部20で解繊されたことを正確に判定できる。
【0132】
磁性体センサー17は、粗砕部12が粗砕した粗砕物が解繊部20に向けて搬送される管等に設けられ、粗砕物に含まれる磁性体を検出するものであってもよい。この場合、第1制御部110は、セキュリティーペーパーが粗砕部12で裁断されたことを正確に判定できる。
【0133】
第3実施形態で説明したシート製造装置100Bを、シート製造装置100に代えてシート製造システム1に設けることにより、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、原料MAとしてセキュリティーペーパーが原料収容部161にセットされた場合に、セキュリティーペーパーである原料MAが、粗砕部12または解繊部20で処理されたことを、より正確に判定できる。
【0134】
[4.他の実施形態]
上述した各実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明を実施する具体的態様に過ぎず、本発明を限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、例えば以下に示すように、種々の態様において実施することが可能である。
【0135】
例えば、上記各実施形態において、サーバー装置200の機能を、シート製造装置100またはプリンター400に実装した構成としてもよい。すなわち、第2制御部210が実行する処理、及び動作を、第1制御部110または第3制御部410により実行してもよい。また、第1制御部110が実行する処理の一部を第2制御部210により実行してもよく、シート製造システム1の構成は上記各実施形態で例示した態様に制限されない。
また、上記各実施形態で、読取ユニット164によって読み取られる識別情報コードMA1は、可視光で視認可能なインクやトナーで形成されてもよいし、紫外光等の可視外光の照射で検出可能なものであってもよい。
【0136】
図1、
図6、
図7、
図13及び
図14に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、シート製造装置100の他の各部の具体的な細部構成についても、趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0137】
図9-
図11に示すフローチャートの処理単位は、シート製造システム1の各部の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。これらのフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって制限されることはなく、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0138】
また、第1制御部110、第2制御部210、及び、第3制御部410がそれぞれ実行するプログラムは、各装置に記憶されてもよいし、コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。また、上記各装置に対応したプログラムをサーバー装置等に記憶させておき、サーバー装置から各部にプログラムをダウンロードすることで、シート製造システム1の動作を実現することもできる。
【符号の説明】
【0139】
1…シート製造システム(文書管理システム)、12…粗砕部、14…粗砕刃、16…分別装置、17…磁性体センサー、18…粗砕物収容部、19…粗砕物量センサー、20…解繊部(処理部)、32…搬送ブロアー、34…捕集管、35…捕集ブロアー、36…廃粉捕集部、37…捕集量センサー(排出検知部)、40…選別部、45…第1ウェブ形成部、49…回転体、50…混合部、60…分散部、70…第2ウェブ形成部、79…ウェブ搬送部、80…加工部、90…切断部、96…排出部、97…排紙量センサー、100、100A、100B…シート製造装置(処理装置、文書処理装置)、110…第1制御部、111…第1プロセッサー、112…第1メモリー、113…読取部、114…分別部、115…判定部、116…第1記憶部、117…第1通信部(通信部)、120…不揮発性記憶部、121…センサーI/F、122…駆動部I/F、125…通信I/F、160…筐体、160A…投入口、161…原料収容部、162…原料量センサー、163…搬送部、164…読取ユニット(読取部)、165…原料検査部、166…回収トレイ、167…回収量センサー、200…サーバー装置(管理装置)、201…第2プロセッサー、202…第2メモリー、210…第2制御部、211…保管期限管理部、212…処理期限管理部、213…第2記憶部(記憶部)、214…第2通信部、310…印刷情報、311…識別情報、312…保管期限、313…処理期限、314…印刷データ、320…印刷済文書情報、321…識別情報、322…保管期限、323…処理期限、330…文書処理情報、331…識別情報、332…処理日時、340…分別情報、341…識別情報、342…分別日時、350…文書管理情報、351…識別情報、352…期限状態、353…分別状態、400…プリンター、410…第3制御部、411…第3プロセッサー、412…第3メモリー、421…印刷部、422…文書情報記憶部、423…第3通信部、500…PC、600…端末装置、MA…原料(文書)、MA1…識別情報コード。