(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電力変換装置及び電力変換方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
H02M3/28 H
(21)【出願番号】P 2020013569
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝上 恭生
(72)【発明者】
【氏名】趙 茜
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/016106(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/004825(WO,A1)
【文献】特開2017-204998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入出力端子対と、
第2入出力端子対と、
前記第1入出力端子対及び前記第2入出力端子対に接続されたDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、
を有し、
前記DC/DCコンバータは、
第1接続点を介して直列接続された第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を有し、前記第1入出力端子対に接続された、第1スイッチングレグと、
第2接続点を介して直列接続された第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を有し、前記第1スイッチングレグに並列接続された、第2スイッチングレグと、
第3接続点を介して直列接続された第5スイッチング素子及び第7スイッチング素子を有し、前記第2入出力端子対に接続された、第3スイッチングレグと、
第4接続点を介して直列接続された第6スイッチング素子及び第8スイッチング素子を有し、前記第3スイッチングレグに並列接続された、第4スイッチングレグと、
前記第1接続点と前記第2接続点とに接続されたトランスの一方の巻線と第1リアクトルとが直列接続された第1エネルギー蓄積変換部と、
前記第3接続点と前記第4接続点とに接続された前記トランスの他方の巻線と第2リアクトルとが直列接続された第2エネルギー蓄積変換部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、前記第6スイッチング素子、前記第7スイッチング素子及び前記第8スイッチング素子をそれぞれON又はOFFする制御信号を出力し、
前記第1スイッチング素子に対する前記制御信号を基準制御信号とし、
前記基準制御信号の位相を反転した制御信号を基準反転信号としたとき、
前記第4スイッチング素子及び前記第6スイッチング素子に対する前記制御信号として
前記基準制御信号を出力し、
前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び第8スイッチング素子に対する前記制御信号として前記基準反転信号を出力し、
前記第2スイッチングレグに含まれる前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子に対する前記制御信号に対する、前記第4スイッチングレグに含まれる前記第6スイッチング素子及び第8スイッチング素子に対する前記制御信号の位相の遅れ量を第1位相シフト量とし、
前記第1スイッチングレグに含まれる前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子に対する前記制御信号に対する、前記第2スイッチングレグに含まれる前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子に対する前記制御信号の位相の遅れ量を第2位相シフト量としたとき、
前記第1位相シフト量及び前記第2位相シフト量の少なくともいずれか一方を0とし、
前記第1位相シフト量を0まで減少させた後に、前記第2位相シフト量を0から増加させることによって、前記第1入出力端子対に入力される入力電圧よりも前記第2入出力端子対から出力される出力電圧が大きくなる昇圧動作から前記入力電圧よりも前記出力電圧が小さくなる降圧動作に切り替え、
前記第2位相シフト量を0まで減少させた後に、前記第1位相シフト量を0から増加させることによって、前記降圧動作から前記昇圧動作に切り替えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記昇圧動作において、
前記制御部は、
前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がONされ、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子がOFFされる第1状態と、
前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第6スイッチング素子がONされ、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がOFFされる第2状態と、
前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第6スイッチング素子がONされ、前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がOFFされる第3状態と、
前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がONされ、前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子がOFFされる第4状態と、
を順に遷移させ、
前記第1状態の期間に対応する前記第1位相シフト量を増加させることによって前記入力電圧に対する前記出力電圧の昇圧比を増加させることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記降圧動作において、
前記制御部は、
前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第6スイッチング素子がONされ、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がOFFされる第5状態と、
前記第2スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第6スイッチング素子が
ONされ、前記第1スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記
第5スイッチング素子と前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がOFFされる第6状態と、
前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がONされ、前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子がOFFされる第7状態と、
前記第1スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がONされ、前記第2スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子がOFFされる第8状態とを順に遷移させ、
前記第8状態の期間に対応する前記第2位相シフト量を増加させることによって前記入力電圧に対する前記出力電圧の降圧比を減少させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第5スイッチング素子及び前記第7スイッチング素子は、それぞれ逆並列に接続される第5ダイオード及び第7ダイオードとして、ボディダイオードを含み、
前記制御部は、
前記第5スイッチング素子及び前記第7スイッチング素子は、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子とそれぞれ同じタイミングでONすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
第1入出力端子対と、
第2入出力端子対と、
前記第1入出力端子対及び前記第2入出力端子対に接続されたDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、
を有し、
前記DC/DCコンバータは、
第1接続点を介して直列接続された第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を有し、前記第1入出力端子対に接続された、第1スイッチングレグと、
第2接続点を介して直列接続された第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を有し、前記第1スイッチングレグに並列接続された、第2スイッチングレグと、
第3接続点を介して直列接続された第5スイッチング素子及び第7スイッチング素子を有し、前記第2入出力端子対に接続された、第3スイッチングレグと、
第4接続点を介して直列接続された第6スイッチング素子及び第8スイッチング素子を有し、前記第3スイッチングレグに並列接続された、第4スイッチングレグと、
前記第1接続点と前記第2接続点とに接続されたトランスの一方の巻線と第1リアクトルとが直列接続された第1エネルギー蓄積変換部と、
前記第3接続点と前記第4接続点とに接続された前記トランスの他方の巻線と第2リアクトルとが直列接続された第2エネルギー蓄積変換部と、
を備え、
前記制御部が、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、前記第6スイッチング素子、前記第7スイッチング素子及び前記第8スイッチング素子をそれぞれON又はOFFする制御信号を出力し、
前記第1スイッチング素子に対する前記制御信号を基準制御信号とし、
前記基準制御信号の位相を反転した制御信号を基準反転信号としたとき、
前記第4スイッチング素子及び前記第6スイッチング素子に対する前記制御信号として
前記基準制御信号を出力し、
前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び第8スイッチング素子に対する前記制御信号として前記基準反転信号を出力する電力変換装置における電力変換方法であって、
前記第2スイッチングレグに含まれる前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子に対する前記制御信号に対する、前記第4スイッチングレグに含まれる前記第6スイッチング素子及び第8スイッチング素子に対する前記制御信号の位相の遅れ量を第1位相シフト量とし、
前記第1スイッチングレグに含まれる前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子に対する前記制御信号に対する、前記第2スイッチングレグに含まれる前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子に対する前記制御信号の位相の遅れ量を第2位相シフト量としたとき、
少なくともいずれか一方が0である前記第1位相シフト量及び前記第2位相シフト量に対して、
前記第1位相シフト量を0まで減少させる第1ステップと、
前記第2位相シフト量を0から増加させる第2ステップとを、
を含む、前記第1入出力端子対に入力される入力電圧よりも前記第2入出力端子対から出力される出力電圧が大きくなる昇圧動作から前記入力電圧よりも前記出力電圧が小さくなる降圧動作への第1切替ステップと、
前記第2位相シフト量を0まで減少させる第3ステップと、
前記第1位相シフト量を0から増加させる第4ステップとを、
を含む、前記降圧動作から前記昇圧動作への第2切替ステップと、
を有する電力変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置及び電力変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降圧動作ができる絶縁型双方向DC/DCコンバータが実用化されているが、十分な効率が得られていない。
【0003】
高効率を実現するために、絶縁型の双方向昇圧チョッパと降圧チョッパを切り替える方式が提案されているが(例えば、特許文献1を参照)、昇降圧の切り替え時に短時間スイッチングを止めるため、出力電圧が変動するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、昇降圧の切替時における出力電圧の変動を抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための本発明は、
第1入出力端子対と、
第2入出力端子対と、
前記第1入出力端子対及び前記第2入出力端子対に接続されたDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、
を有し、
前記DC/DCコンバータは、
第1接続点を介して直列接続された第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を有し、前記第1入出力端子対に接続された、第1スイッチングレグと、
第2接続点を介して直列接続された第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を有し、前記第1スイッチングレグに並列接続された、第2スイッチングレグと、
第3接続点を介して直列接続された第5スイッチング素子及び第7スイッチング素子を有し、前記第2入出力端子対に接続された、第3スイッチングレグと、
第4接続点を介して直列接続された第6スイッチング素子及び第8スイッチング素子を有し、前記第3スイッチングレグに並列接続された、第4スイッチングレグと、
前記第1接続点と前記第2接続点とに接続されたトランスの一方の巻線と第1リアクトルとが直列接続された第1エネルギー蓄積変換部と、
前記第3接続点と前記第4接続点とに接続された前記トランスの他方の巻線と第2リアクトルとが直列接続された第2エネルギー蓄積変換部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、前記第6スイッチング素子、前記第7スイッチング素子及び前記第8スイッチング素子をそれぞれON又はOFFする制御信号を出力し、
前記第1スイッチング素子に対する前記制御信号を基準制御信号とし、
前記基準制御信号の位相を反転した制御信号を基準反転信号としたとき、
前記第4スイッチング素子及び前記第6スイッチング素子に対する前記制御信号として前記基準制御信号を出力し、
前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び第8スイッチング素子に対する前記制御信号として前記基準反転信号を出力し、
前記第2スイッチングレグに含まれる前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子に対する前記制御信号に対する、前記第4スイッチングレグに含まれる前記第6スイッチング素子及び第8スイッチング素子に対する前記制御信号の位相の遅れ量を第1位相シフト量とし、
前記第1スイッチングレグに含まれる前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子に対する前記制御信号に対する、前記第2スイッチングレグに含まれる前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子に対する前記制御信号の位相の遅れ量を第2位相シフト量としたとき、
前記第1位相シフト量及び前記第2位相シフト量の少なくともいずれか一方を0とし、
前記第1位相シフト量を0まで減少させた後に、前記第2位相シフト量を0から増加させることによって、前記第1入出力端子対に入力される入力電圧よりも前記第2入出力端子対から出力される出力電圧が大きくなる昇圧動作から前記入力電圧よりも前記出力電圧が小さくなる降圧動作に切り替え、
前記第2位相シフト量を0まで減少させた後に、前記第1位相シフト量を0から増加させることによって、前記降圧動作から前記昇圧動作に切り替えることを特徴とする電力変換装置である。
【0007】
本発明によれば、第1入出力端子対側を入力側、第2入出力端子対を出力側として、昇圧動作及び降圧動作のいずれにおいても、第1スイッチングレグ、第2スイッチングレグ及び第4スイッチングレグを構成するスイッチング素子、すわなち、昇降圧動作で同じ組合せのスイッチング素子のON・OFF制御によって電力変換を行っている。このため、スイッチング素子に対する制御信号を停止させることなく、第1位相シフト量及び第2位相シフト量の少なくともいずれか一方を0としつつ、これらの値を制御することにより、昇降圧動作をシームレスに切り替えることができるので、昇降圧の切替時における出力電圧の変動を抑制することができる。
【0008】
また、本発明においては、
前記昇圧動作において、
前記制御部は、
前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がONされ、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子がOFFされる第1状態と、
前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第6スイッチング素子がONされ、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がOFFされる第2状態と、
前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第6スイッチング素子がONされ、前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がOFFされる第3状態と、
前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がONされ、前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子がOFFされる第4状態
と、
を順に遷移させ、
前記第1状態の期間に対応する前記第1位相シフト量を増加させることによって前記入力電圧に対する前記出力電圧の昇圧比を増加させるようにしてもよい。
【0009】
これによれば、昇降圧動作をシームレスに切り替えることができるので、昇降圧の切替時における出力電圧の変動を抑制することができる。
【0010】
また、本発明においては、
前記降圧動作において、
前記制御部は、
前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第6スイッチング素子がONされ、前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がOFFされる第5状態と、
前記第2スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第6スイッチング素子がONされ、前記第1スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記5スイッチング素子と前記第7スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がOFFされる第6状態と、
前記第2スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がONされ、前記第1スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子がOFFされる第7状態と、
前記第1スイッチング素子と前記第3スイッチング素子と前記第8スイッチング素子がONされ、前記第2スイッチング素子と前記第4スイッチング素子と前記第5スイッチング素子と前記第6スイッチング素子と前記第7スイッチング素子がOFFされる第8状態とを順に遷移させ、
前記第8状態の期間に対応する前記第2位相シフト量を増加させることによって前記入力電圧に対する前記出力電圧の降圧比を減少させるようにしてもよい。
【0011】
これによれば、昇降圧動作をシームレスに切り替えることができるので、昇降圧の切替時における出力電圧の変動を抑制することができる。
【0012】
また、本発明においては、
前記第5スイッチング素子及び前記第7スイッチング素子は、それぞれ逆並列に接続される第5ダイオード及び第8ダイオードとして、ボディダイオードを含み、
前記制御部は、
前記第5スイッチング素子及び前記第7スイッチング素子は、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子とそれぞれ同じタイミングでONするようにしてもよい。
【0013】
これによれば、第5スイッチング素子及び第7スイッチング素子に逆並列される第5ダイオード及び第7ダイオードとして、各スイッチング素子のボディダイオードを利用する場合に、順方向電圧降下が大きく、損失が多くなってしまうような半導体材を用いたスイッチング素子についても、ダイオードによる損失を低減することができるので、電力変換におけるエネルギー損失を低減することができる。
【0014】
また、本発明は、
第1入出力端子対と、
第2入出力端子対と、
前記第1入出力端子対及び前記第2入出力端子対に接続されたDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータを制御する制御部と、
を有し、
前記DC/DCコンバータは、
第1接続点を介して直列接続された第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を有し、前記第1入出力端子対に接続された、第1スイッチングレグと、
第2接続点を介して直列接続された第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を有し、前記第1スイッチングレグに並列接続された、第2スイッチングレグと、
第3接続点を介して直列接続された第5スイッチング素子及び第7スイッチング素子を有し、前記第2入出力端子対に接続された、第3スイッチングレグと、
第4接続点を介して直列接続された第6スイッチング素子及び第8スイッチング素子を有し、前記第3スイッチングレグに並列接続された、第4スイッチングレグと、
前記第1接続点と前記第2接続点とに接続されたトランスの一方の巻線と第1リアクトルとが直列接続された第1エネルギー蓄積変換部と、
前記第3接続点と前記第4接続点とに接続された前記トランスの他方の巻線と第2リアクトルとが直列接続された第2エネルギー蓄積変換部と、
を備え、
前記制御部が、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、前記第4スイッチング素子、前記第5スイッチング素子、前記第6スイッチング素子、前記第7スイッチング素子及び前記第8スイッチング素子をそれぞれON又はOFFする制御信号を出力し、
前記第1スイッチング素子に対する前記制御信号を基準制御信号とし、
前記基準制御信号の位相を反転した制御信号を基準反転信号としたとき、
前記第4スイッチング素子及び前記第6スイッチング素子に対する前記制御信号として前記基準制御信号を出力し、
前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び第8スイッチング素子に対する前記制御信号として前記基準反転信号を出力する電力変換装置における電力変換方法であって、
前記第2スイッチングレグに含まれる前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子に対する前記制御信号に対する、前記第4スイッチングレグに含まれる前記第6スイッチング素子及び第8スイッチング素子に対する前記制御信号の位相の遅れ量を第1位相シフト量とし、
前記第1スイッチングレグに含まれる前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子に対する前記制御信号に対する、前記第2スイッチングレグに含まれる前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子に対する前記制御信号の位相の遅れ量を第2位相シフト量としたとき、
少なくともいずれか一方が0である前記第1位相シフト量及び前記第2位相シフト量に対して、
前記第1位相シフト量を0まで減少させる第1ステップと、
前記第2位相シフト量を0から増加させる第2ステップとを、
を含む、前記第1入出力端子対に入力される入力電圧よりも前記第2入出力端子対から出力される出力電圧が大きくなる昇圧動作から前記入力電圧よりも前記出力電圧が小さくなる降圧動作への第1切替ステップと、
前記第2位相シフト量を0まで減少させる第3ステップと、
前記第1位相シフト量を0から増加させる第4ステップとを、
を含む、前記降圧動作から前記昇圧動作への第2切替ステップと、
を有する電力変換方法である。
【0015】
本発明によれば、第1入出力端子対側を入力側、第2入出力端子対を出力側として、昇圧動作及び降圧動作のいずれにおいても、第1スイッチングレグ、第2スイッチングレグ及び第4スイッチングレグを構成するスイッチング素子、すわなち、昇降圧動作で同じ組合せのスイッチング素子のON・OFF制御によって電力変換を行っている。このため、スイッチング素子に対する制御信号を停止させることなく、第1位相シフト量及び第2位相シフト量の少なくともいずれか一方を0としつつ、第1位相シフト量を0まで減少させる第1ステップと、第2位相シフト量を0から増加させる第2ステップとを、を含む、昇圧動作から降圧動作への第1切替ステップと、第2位相シフト量を0まで減少させる第3ステップと、第1位相シフト量を0から増加させる第4ステップとを、を含む、降圧動作から昇圧動作への第2切替ステップとにより、昇降圧動作をシームレスに切り替えることができるので、昇降圧の切替時における出力電圧の変動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、昇降圧の切替時における出力電圧の変動を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例における電力変換装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施例における電力変換装置の基本動作のタイミングチャートである。
【
図3】本発明の実施例における電力変換装置の基本動作における電流の経路を示す図である。
【
図4】本発明の実施例における電力変換装置の基本動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図5】本発明の実施例における電力変換装置の昇圧動作のタイミングチャートである。
【
図6】本発明の実施例における電力変換装置の昇圧動作における電流の経路を示す図である。
【
図7】本発明の実施例における電力変換装置の昇圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図8】本発明の実施例における電力変換装置の昇圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図9】本発明の実施例における電力変換装置の昇圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図10】本発明の実施例における電力変換装置の降圧動作のタイミングチャートである。
【
図11】本発明の実施例における電力変換装置の降圧動作における電流の経路を示す図である。
【
図12】本発明の実施例における電力変換装置の降圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図13】本発明の実施例における電力変換装置の降圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図14】本発明の実施例における電力変換装置の降圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図15】本発明の実施例における電力変換装置の昇降圧制御のフローチャートである。
【
図16】従来例における電力変換装置の昇圧動作のタイミングチャートである。
【
図17】従来例における電力変換装置の昇圧動作における電流の経路を示す図である。
【
図18】従来例における電力変換装置の昇圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図19】従来例における電力変換装置の昇圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図20】従来例における電力変換装置の昇圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図21】従来例における電力変換装置の降圧動作のタイミングチャートである。
【
図22】従来例における電力変換装置の降圧動作における電流の経路を示す図である。
【
図23】従来例における電力変換装置の降圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図24】従来例における電力変換装置の降圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【
図25】従来例における電力変換装置の降圧動作における電流の他の経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明が適用される電力変換装置1の概略構成図である。
電力変換装置1は、DC/DCコンバータ10と制御ユニット20と2対の入出力端子対13(13p、13m)及び入出力端子対14(14p、14m)とを備える。DC/DCコンバータ10は、第1巻線Wn1及び第2巻線Wn2を含むトランスTR、第1リアクトルLr1及び第2リアクトルLr2並びに第1フルブリッジ回路11及び第2フルブリッジ回路12を主要構成要素とした絶縁型双方向DC/DCコンバータである。
【0019】
第1フルブリッジ回路11は、直列接続された第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を有する第1スイッチングレグL1と、直列接続された第3スイッチング素子SW3及び第4スイッチング素子SW4を有する第2スイッチングレグL2と、を備える。図示してあるように、各スイッチングレグ(以下、単にレグという。)の第nスイッチング素子SWn(n=1~4)の端子間には、ダイオードDnが並列に接続されている。また、各レグは、第1入出力端子対13と接続されており、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2間の接続点p1は、第1リアクトルLr1を介してトランスTRの第1巻線Wn1の一端に接続されている。そして、第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3及び第4スイッチング素子SW4間の接続点p2は、トランスTRの第1巻線Wn1の他端に接続されている。ここでは、第1リアクトルLr1及び第1巻線Wn1が、本発明の第1エネルギー蓄積変換部に対応する。
【0020】
第2フルブリッジ回路12は、直列接続された第5スイッチング素子SW5及び第7スイッチング素子SW7を有する第3レグL3と、直列接続された第6スイッチング素子SW6及び第8スイッチング素子SW8を有する第4レグL4と、を備える。図示してあるように、各レグの第nスイッチング素子SWn(n=5~8)の端子間には、ダイオードDnが並列に接続されている。また、第3レグL3、第4レグL4は、いずれも、第2入出力端子14と接続されている。そして、第3レグL3の、第5スイッチング素子SW5及び第7スイッチング素子SW7間の接続点p3は、第2リアクトルLr2を介してトランスTRの第2巻線Wn2の一端に接続され、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6及び第8スイッチング素子SW8間の接続点p4は、トランスTRの第2巻線Wn2の他端に接続されている。ここでは、第2リアクトルLr2及び第2巻線Wn2が、本発明の第2エネルギー蓄積変換部に対応する。なお、ここでは、トランスTRの第1巻線Wn1と第2巻線Wn2との巻数比は1:1である。
【0021】
DC/DCコンバータ10には、第1リアクトルLr1及び第2リアクトルLr2を流れる電流の大きさをそれぞれ測定するための電流センサ15p、15sが取り付けられている。なお、DC/DCコンバータ10には、入出力電圧や入出力電流の大きさを測定するための各種センサ(図示略)も取り付けられている。
【0022】
制御ユニット20は、DC/DCコンバータ10内の各スイッチング素子への制御信号のレベルを変更することにより、DC/DCコンバータ10(DC/DCコンバータ10内の各スイッチング素子のON/OFF)を制御するユニットである。以下、第nスイッチング素子SWn(n=1~8)用の制御信号のことを、制御信号Gnと表記する。
【0023】
本発明の適用例である電力変換装置1と対比するために、本発明の適用例である電力変換装置1と同じ構成のDC/DCコンバータ10を有する従来例に係る電力変換装置における昇圧及び降圧動作について以下に説明する。
図16は、従来例に係る電力変換装置の昇圧動作時のスイッチング素子S1~S6に対する制御信号Gn(n=1~6)のタイミングチャートを示す。スイッチング素子SW7及びSW8は常にOFFにされるため表記を省略している。このとき、DC/DCコンバータ10は、mode31、mode32、mode33及びmode34の4つのモードの遷移を周期Tで繰り返す。制御信号Gn(1~6)は、制御信号Gnの電圧がハイレベルになったときにスイッチング素子SWnがONとなり、制御信号Gnの電圧がローレベルになったときにスイッチング素子がOFFとなる。
【0024】
mode31、mode32、mode33及びmode34におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路を
図17、
図18、
図19及び
図20にそれぞれ示す。
図17に示すように、mode31では、トランスTRの一次側に入力電圧が印加され、トランスTRの二次側が短絡され、第1リアクトルLr1と第2リアクトルLr2にエネルギーが蓄えられる。
図18に示すように、mode32では、トランスTRの一次側に入力電圧が印加され、トランスTRの二次側はダイオードD6及びダイオードD7を介して、コンデンサCに接続される。このため、mode31において第1リアクトルLr1と第2リアクトルLr2に蓄積されたエネルギーを用いて、入出力端子対13から入出力端子対14にエネルギーが供給される。このとき、第1リアクトルLr1と第2リアクトルLr2の起電力が入力電圧に加わるので、昇圧動作となる。
【0025】
図19に示すmode33における電流経路は、mode31における電流経路とトランスTRの一次側及び二次側で電圧の極性を入れ替えたものとなっている。また、
図20に示すmode34における電流経路は、mode32における電流経路とトランスTRの一次側及び二次側で電圧の極性を入れ替えたものとなっている。このため、mode33及びmode34では、上述のmode31及びmode32と同様の昇圧動作が行われる。この従来例では、mode31及びmode33、すなわち、制御信号G5及びG6がONされる時間の長さに応じて昇圧比が調整される。
【0026】
図21は、本発明の適用例である電力変換装置1と同じ構成のDC/DCコンバータ10を有する従来例に係る電力変換装置の降圧動作時のスイッチング素子S1~S6に対する制御信号Gn(n=1~6)のタイミングチャートを示す。スイッチング素子S7及びS8は常にOFFにされるため表記を省略している。このとき、DC/DCコンバータ10は、mode41、mode42、mode43及びmode44の4つのモードの遷移を周期Tで繰り返す。
【0027】
mode41、mode42、mode43及びmode44におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路を
図22、
図23、
図24及び
図25にそれぞれ
示す。
図22に示すように、mode41では、トランスTRの一次側に入力電圧が印加され、トランスTRの二次側はコンデンサCに接続される。トランスTRの二次側にエネルギーを送るとともに、第1リアクトルLr1と第2リアクトルLr2にエネルギーを蓄える。トランスTRの一次側よりも二次側の電圧が低くないと電流が流れないので、降圧動作となる。
図23に示すように、mode42では、トランスTRの一次側が短絡され、トランスTRの二次側コンデンサCに接続される。mode41において第1リアクトルLr1に蓄積されたエネルギーがトランスTRの二次側に送られ、第2リアクトルLr2に蓄積されたエネルギーとともに二次側コンデンサCに供給される。
【0028】
図24に示すmode43における電流経路は、mode41における電流経路とトランスTRの一次側及び二次側で電圧の極性を入れ替えたものとなっている。また、
図25に示すmode44における電流経路は、mode42における電流経路とトランスTRの一次側及び二次側で電圧の極性を入れ替えたものとなっている。このため、mode43及びmode44では、上述のmode41及びmode42と同様の降圧動作が行われる。この従来例では、mode41及びmode43の時間が長いほど出力電圧が高くなる。
【0029】
このように、従来例の電力変換装置では、第1入出力端子対13側を一次側、第2入出力端子対14を二次側として昇圧動作を行う場合には、
図16に示すように、二次側である第2フルブリッジ回路12では、第3レグL3に含まれるスイッチング素子SW5と第4レグL4に含まれるスイッチング素子SW6がON・OFF制御される。そして、従来例の電力変換装置において、第1入出力端子対13側を一次側、第2入出力端子対14を二次側として降圧動作を行う場合には、第2フルブリッジ回路12では、スイッチング素子SW5及びSW6はいずれもOFF制御が維持される。なお、第1入出力端子対13側を一次側、第2入出力端子対14を二次側として昇圧動作及び降圧動作において、第3レグL3に含まれるスイッチング素子SW7と第4レグL4に含まれるスイッチング素子SW8は、OFF制御が維持されている。
【0030】
一方、本発明の適用例である電力変換装置1では、第1入出力端子対13側を一次側、第2入出力端子対14を二次側として昇圧動作を行う場合には、
図5に示すように、二次側である第2フルブリッジ回路12では、第4レグL4に含まれるスイッチング素子SW6及びSW8をON・OFF制御している。また、電力変換装置1では、第1入出力端子対13側を一次側、第2入出力端子対14を二次側として降圧動作を行う場合にも、
図10に示すように、二次側である第2フルブリッジ回路12では、第4レグL4に含まれるスイッチング素子SW6及びSW8をON・OFF制御している。なお、電力変換装置1において、第1入出力端子対13側を一次側、第2入出力端子対13を二次側として昇圧動作及び降圧動作において、第3レグL3に含まれるスイッチング素子SW5及びSW7は、OFF制御が維持されている。このように、電力変換装置1において、第1入出力端子対13側を一次側、第2入出力端子対14を二次側として、昇圧動作及び降圧動作を行う場合のいずれにおいても、第2フルブリッジ回路12では、第4レグL4に含まれるスイッチング素子SW6及びSW8をON・OFF制御し、第3レグL3に含まれるスイッチング素子SW5及びSW7はOFF制御が維持されている。
【0031】
電力変換装置1では、
図15に示すように、第1入出力端子対13側を一次側、第2入出力端子対14を二次側として、降圧動作から昇圧動作に切り替える場合には、第1レグL1に対する第2レグL2の位相遅れ量であるTbuk(
図10参照)を0まで減少させる。そして、第2レグL2に対する第4レグL4の位相遅れ量であるTbstとTbukに対してTbuk=Tbst=0である基本動作(
図2参照)を経て、Tbukを0に維持しつつTbstを0から所望の値に調整する。さらに、第1入出力端子対13側を一次
側、第2入出力端子対14を二次側として、昇圧動作から降圧動作に切り替える場合には、Tbstを0まで減少させる。そして、基本動作を経て、Tbstを0に維持しつつTbukを0から所望の値に調整する。
【0032】
このように、本発明の適用例である電力変換装置1では、第1入出力端子対13側を一次側、第2入出力端子対14を二次側として、昇圧動作及び降圧動作のいずれにおいても、第1レグ、第2レグ及び第4レグを構成するスイッチング素子、すわなち、昇降圧動作で同じ組合せのスイッチング素子のON・OFF制御によって電力変換を行っている。このため、スイッチング素子に対する制御信号を停止させることなく、Tbuk及びTbstの少なくともいずれか一方を0としつつ、これらの値を制御することにより、昇降圧動作をシームレスに切り替えることができ、出力電圧の変動を抑制することができる。
【0033】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例に係る電力変換装置1について、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0034】
<電力変換装置の構成>
図1に、本発明の実施形態に係る電力変換装置1の概略構成を示す。
本実施形態に係る電力変換装置1は、双方向の電力変換が可能な装置である。図示してあるように、電力変換装置1は、DC/DCコンバータ10と制御ユニット20と2対の入出力端子対13(13p、13m)及び入出力端子対14(14p、14m)とを備える。なお、入出力端子対13及び14においても、入出力端子13p、14pが、高電位側の入出力端子であり、入出力端子13m、14mが、低電位側の入出力端子である。
【0035】
DC/DCコンバータ10は、トランスTR、2つのリアクトルLr1及びLr2及び2つのフルブリッジ回路11及び12を主要構成要素とした絶縁型双方向DC/DCコンバータである。以下、
図1における左側のフルブリッジ回路11、右側のフルブリッジ回路12のことを、それぞれ、第1フルブリッジ回路11、第2フルブリッジ回路12と表記する。同様に、
図1における左側及び右側のリアクトルLr1及びLr2のことを、それぞれ、第1リアクトルLr1、第2リアクトルLr2と表記し、トランスTRの
図1における左側の巻線Wn1、右側の巻線Wn2のことを、それぞれ、第1巻線Wn1、第2巻線Wn2と表記する。また、
図1における左側及び右側の各入出力端子対13(13p、13m)及び入出力端子対14(14p、14m)のことを、それぞれ、第1入出力端子対13、第2入出力端子対14と表記する。第1リアクトルLr1及び第2リアクトルLr2は、トランスTRの第1巻線Wn1及び第2巻線Wn2の漏れインダクタンスを利用してもよい。なお、DC/DCコンバータ10のトランスTRは、巻数比が1:1のものでなくても良い。ただし、以下では、トランスTRの巻数比が1:1であるものとして、電力変換装置1の構成及び動作を説明する。
【0036】
DC/DCコンバータ10の第1フルブリッジ回路11は、直列接続された第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を有する第1レグL1と、直列接続された第3スイッチング素子SW3及び第4スイッチング素子SW4を有する第2レグL2と、を備える。図示してあるように、各レグの第nスイッチング素子SWn(n=1~4)の端子間には、第nダイオードDn(n=1~4)が並列に接続されている。また、各レグは、第1入出力端子対13と接続されており、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2間の接続点p1は、第1リアクトルLr1を介してトランスTRの第1巻線Wn1の一端に接続されている。そして、第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3及び第4スイッチング素子SW4間の接続点p2は、トランスTRの第1巻線Wn1の他端に接続されている。
【0037】
DC/DCコンバータ10の第2フルブリッジ回路12は、直列接続された第5スイッチング素子SW5及び第7スイッチング素子SW7を有する第3レグL3と、直列接続された第6スイッチング素子SW6及び第8スイッチング素子SW8を有する第4レグL4と、を備える。図示してあるように、各レグの第nスイッチング素子SWn(n=5~8)の端子間には、第nダイオードDn(n=5~8)が並列に接続されている。また、第3レグL3、第4レグL4は、いずれも、第2入出力端子14と接続されている。そして、第3レグL3の、第5スイッチング素子SW5及び第7スイッチング素子SW7間の接続点p3は、第2リアクトルLr2を介してトランスTRの第2巻線Wn2の一端に接続され、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6及び第8スイッチング素子SW8間の接続点p4は、トランスTRの第2巻線Wn2の他端に接続されている。
【0038】
スイッチング素子SW1~SW8としては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体スイッチング素子を用いることができるが、これらに限定されない。半導体スイッチング素子の半導体材料としては、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムナイトライド(GaN)等を用いることができる。スイッチング素子SW1~SW8として用いられるこれらの半導体スイッチング素子に対して、各ダイオードD1~D8は逆並列に接続される。
【0039】
DC/DCコンバータ10には、第1リアクトルLr1及び第2リアクトルLr2を流れる電流の大きさをそれぞれ測定するための電流センサ15p、15sが取り付けられている。なお、DC/DCコンバータ10には、入出力電圧や入出力電流の大きさを測定するための各種センサ(図示略)も取り付けられている。
【0040】
制御ユニット20は、DC/DCコンバータ10内の各スイッチング素子への制御信号のレベルを変更することにより、DC/DCコンバータ10(DC/DCコンバータ10内の各スイッチング素子のON/OFF)を制御するユニットである。以下、第nスイッチング素子SWn(n=1~8)用の制御信号のことを、制御信号Gnと表記する。
【0041】
制御ユニット20は、プロセッサ(本実施形態では、マイクロコントローラ)、ゲートドライバ等から構成されており、制御ユニット20には、上記した各種センサ(電流センサ15p、15s等)の出力が入力されている。
【0042】
そして、制御ユニット20は、入力されているデータ(電流値、電圧値)に基づき、DC/DCコンバータ10を、以下の4種のコンバータの中のいずれかとして動作させるかを決定し、決定したコンバータとして動作するようにDC/DCコンバータ10を制御するように構成(プログラミング)されている。
・第1入出力端子対13側が一次側の昇圧コンバータ
・第1入出力端子対13側が一次側の降圧コンバータ
・第2入出力端子対14側が一次側の昇圧コンバータ
・第2入出力端子対14側が一次側の降圧コンバータ
【0043】
また、制御ユニット20は、DC/DCコンバータ10に対する制御内容の変更(DC/DCコンバータ10を第1入出力端子対13側が一次側の昇圧コンバータとして動作させる制御から、DC/DCコンバータ10を第2入出力端子対14側が一次側の降圧コンバータとして動作させる制御への変更等)を、即座に行うようにも構成(プログラミング)されている。
【0044】
以下、本実施形態に係る電力変換装置1の構成及び動作を具体的に説明する。
【0045】
まず、制御ユニット20によるDC/DCコンバータ10の制御内容を説明する。
図2に示すタイミングチャートは、DC/DCコンバータ10を、昇圧コンバータとして動作させる制御から降圧コンバータとして動作させる制御、又は、降圧コンバータとして動作させる制御から昇圧コンバータとして制御させる制御へと切り替える際に経由することとなる基本的な動作を実現する制御である。
なお、後述する制御信号G1~G4、G6、G8は、実際には、2つのスイッチング素子のON、OFF(第1スイッチング素子SW1のONと第2スイッチング素子SW2のOFF等)が、時間差(いわゆるデッドタイム)をもって行われることになるものである。ただし、説明が煩雑になるのを避けるために、以下では、当該時間差が与えられていないものとして制御ユニット20の動作を説明する。
【0046】
ここでは、制御ユニット20は、ON時間が周期Tの1/2の制御信号G1、換言すれば、デューティ比が1/2の制御信号G1を出力する。また、制御ユニット20は、制御信号G1の位相を反転した制御信号G2、つまり、第1スイッチング素子SW1のON/OFF時に、第2スイッチング素子SW2がOFF/ONすることになる制御信号G2を出力する。そして、制御ユニット20は、制御信号G1と同じ位相の制御信号G4と、制御信号G4の位相を反転した制御信号G3を出力する。さらに、制御ユニット20は、制御信号G1と同じ位相の制御信号G6と、制御信号G6の位相を反転した制御信号G8とを出力する。なお、制御ユニット20は、スイッチング素子SW5及びSW7を常にOFFする制御信号G5及びG7を出力するために図示を省略している(以下のタイミングチャートも同様である。)。上述の制御信号G1ではデューティ比を1/2と設定しているが、これに限定されるわけではない。ここでは、制御信号G1が、本発明の基準制御信号に対応し、制御信号G2が、本発明の基準反転信号に対応する。
【0047】
具体的には、mode01において、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1がON、第2スイッチング素子SW2がOFF、第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3がOFF、第4スイッチング素子SW4がON、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6がON、第8スイッチング素子SW8がOFFされる。そして、mode02では、第1レグの、第1スイッチング素子SW1がOFF、第2スイッチング素子SW2がON、第2レグの第3スイッチング素子SW3がON、第4スイッチング素子SW4がOFF、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6がOFF、第8スイッチング素子SW8がONされる。
【0048】
図3に、mode01におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路の説明図を示す。
このとき、第1フルブリッジ回路11では、第1入出力端子13p→第1スイッチング素子SW1→第1リアクトルLr1→トランスTR→第4スイッチング素子SW4→第1入出力端子13mという経路で電流が流れる。第2フルブリッジ回路12では、第2入出力端子14m→第6スイッチング素子SW6→トランスTR→第2リアクトルLr2→第7ダイオードD7→第2入出力端子14pという経路で電流が流れる。このように、トランスTRを介してエネルギーが二次側に伝送され、第2フルブリッジ回路12により整流されて、第2入出力端子対14から出力される。
【0049】
図4に、mode02におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路の説明図を示す。
このとき、第1フルブリッジ回路11では、第1入出力端子13p→第3スイッチング素子SW3→トランスTR→第1リアクトルLr1→第2スイッチング素子SW2→第1入出力端子13mという経路で電流が流れる。そして、第2フルブリッジ回路12では、第2入出力端子14m→第5ダイオードD5→第2リアクトルLr2→トランスTR→第8スイッチング素子SW8→第2入出力端子14pという経路で電流が流れる。mode
02では、mode01とは、トランスTRに入力される電圧の極性が入れ替わっている。
【0050】
図2に示す制御が行われる基本動作においては、DC/DCコンバータ10の第1入出力端子13p及び第1入出力端子13m間の電圧である入力電圧と、第2入出力端子14p及び第2入出力端子14m間の電圧である出力電圧は等しい。すなわち、基本動作におけるDC/DCコンバータ10では、第1入出力端子対13に印加される入力電圧が、そのまま第2入出力端子対14に出力電圧として生じる。
【0051】
<昇圧動作>
(1)DC/DCコンバータ10を第1入出力端子対13側が一次側である昇圧コンバータとして機能させる場合
この場合、制御ユニット20は、基本的には、
図5に示すように時間変化する制御信号G1~G4、G6、G8を出力する。
ここでは、第1スイッチング素子SW1~第4スイッチング素子SW4に対する制御は、基本動作と同じである。すなわち、制御ユニット20は、ON時間が周期Tの1/2の制御信号G1を出力する。また、制御ユニット20は、制御信号G1の位相を反転した制御信号G2を出力する。そして、制御ユニット20は、制御信号G1と同じ位相の制御信号G4と、制御信号G4の位相を反転した制御信号G3を出力する。
【0052】
一方、第6スイッチング素子SW6及び第8スイッチング素子SW8に対する制御は、基本動作とは異なっている。ここでは、制御ユニット20は、ON時間が周期Tの1/2の制御信号G6を制御信号G1及びG4からTbstだけ遅れたタイミングで出力する。また、制御ユニット20は、制御信号G6と位相が反転した制御信号G8を出力する。
【0053】
図5のタイミングチャートと
図2の基本動作のタイミングチャートとを比較すると、スイッチング素子SW6に対する制御信号G6及びスイッチング素子SW8に対する制御信号G8が、スイッチング素子SW1~スイッチング素子SW4に対する制御信号G1~制御信号G4に対してTbstだけ遅れていることが分かる。基本動作における制御を基準として、第2レグL2(スイッチング素子SW3及びスイッチング素子SW4)に対する第4レグL4(スイッチング素子SW6及びスイッチング素子SW8)の位相遅れ量をTbst、第1レグL1に対する第2レグL2の位相遅れ量をTbukと定義する(なお、以下の説明では、特に断らない限り位相Tbuk及びTbstは時間で表現されたものとして説明する。)。Tbuk=Tbst=0の場合が
図2に示した基本動作に該当する。
図5に示す制御は、Tbuk=0の場合に該当する。後述するように、Tbuk及びTbstの少なくともいずれか一方を0に設定するので、Tbstは、第1レグL1及び第2レグL2に対する第4レグL4の位相遅れ量と表現することもできる。また、Tbukは、第1レグL1に対する第2レグL2及び第4レグの位相遅れ量と表現することもできる。ここでは、Tbstが本発明の第1位相シフト量に対応し、Tbukが本発明の第2位相シフト量に対応する。なお、制御信号G1~G8は周期的に変化するので、位相遅れは位相進みとしても表現することができる。
【0054】
ここでのDC/DCコンバータ10の動作モードは、mode11からTbstのタイミングでmode12に遷移し、T/2のタイミングでmode13に遷移し、T/2+Tbstのタイミングでmode14に遷移し、Tのタイミングでmode11に遷移し、mode11~mode14の遷移を周期Tで繰り返す。ここでは、mode11、mode12、mode13及びmode14が、それぞれ本発明の第1状態、第2状態、第3状態及び第4状態に対応する。
【0055】
具体的には、mode11において、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1が
ON、第2スイッチング素子SW2がOFF、第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3がOFF、第4スイッチング素子SW4がONされる。そして、第4レグL3の、第6スイッチング素子SW6がOFF、第8スイッチング素子SW8がONされる。
【0056】
図6にmode11におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路の説明図を示す。
このとき、第1フルブリッジ回路11では、第1入出力端子13p→第1スイッチング素子SW1→第1リアクトルLr1→トランスTR→第4スイッチング素子SW4→第1入出力端子13mという経路で電流が流れる。第2フルブリッジ回路12では、第2リアクトルLr2→第7ダイオードD7→第8スイッチング素子SW8→トランスTR→第2リアクトルLr2という経路で電流が循環する。
【0057】
mode11では、第1スイッチング素子SW1及び第4スイッチング素子SW4をONすることにより、トランスTRの一次側に電圧を印加している。そして、第6スイッチング素子SW6をOFFし、第8スイッチング素子をONすることにより、トランスTRの二次側を短絡している。これにより、トランスTRの一次側では、第1リアクトルLr1にエネルギーが蓄えられ、トランスTRの二次側では、第2リアクトルLr2にエネルギーが蓄えられる。この第8スイッチング素子SW8がONされる期間、すなわちTbstによって、トランスTRの二次側に供給されるエネルギーを調整することができる。Tbstが長くなるほど、第2入出力端子対14に生じる出力電圧は高くなる。
【0058】
mode12において、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2、第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3及び第4スイッチング素子SW4に対してはmode11における制御が維持される。ここでは、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6がON、第8スイッチング素子SW8がOFFされる。
【0059】
図7にmode12におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路の説明図を示す。
このとき、第1フルブリッジ回路11では、第1入出力端子13p→第1スイッチング素子SW1→第1リアクトルLr1→トランスTR→第4スイッチング素子SW4→第1入出力端子13mという経路で電流が流れる。第2フルブリッジ回路12では、第2入出力端子14m→第6スイッチング素子SW6→トランスTR→第2リアクトルLr2→第7ダイオードD7→第2入出力端子14pという経路で電流が流れる。
【0060】
mode12においても、トランスTRの一次側はmode11と同様に、第1スイッチング素子SW1及び第4スイッチング素子SW4をONすることにより、トランスTRの一次側に電圧を印加している。一方、トランスTRの二次側では、第8スイッチング素子SW8がOFFされ、第6スイッチング素子SW6がONされる。これにより、トランスTRの二次側では、第2入出力端子14mから、トランスTR及び第2リアクトルLr2を経由して第2入出力端子14pへと電流が流れるので、第1リアクトルLr1と第2リアクトルLr2に蓄えられたエネルギーが第2入出力端子14を通じて負荷に供給される。このときには、第1リアクトルLr1と第2リアクトルLr2の起電力が入力電圧に加わるので、出力電圧>入力電圧となり、昇圧動作が実現される。
【0061】
そして、mode13において、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1がOFF、第2スイッチング素子SW2がON、第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3がON、第4スイッチング素子SW4がOFFされる。ここでは、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6と第8スイッチング素子SW8に対してはmode12における制御が維持される。
【0062】
図8にmode13におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路の説明図を示す。
このとき、第1フルブリッジ回路11では、第1入出力端子13p→第3スイッチング素子SW3→トランスTR→第1リアクトルLr1→第2スイッチング素子SW2→第1入出力端子13mという経路で電流が流れる。第2フルブリッジ回路12では、第2リアクトル→トランスTR→第6スイッチング素子SW6→第5ダイオードD5→第2リアクトルLr2という経路で電流が循環する。
【0063】
mode13では、第2スイッチング素子SW2及び第3スイッチング素子SW3をONすることにより、トランスTRの一次側に、mode11とは逆方向の電圧を印加している。そして、第6スイッチング素子SW6をONし、第8スイッチング素子SW8をOFFすることにより、トランスTRの二次側を短絡している。これにより、トランスTRの一次側では、第1リアクトルLr1にエネルギーが蓄積され、トランスTRの二次側では、第2リアクトルLr2にエネルギーが蓄積される。ただし、第1リアクトルLr1と第2リアクトルLr2には、mode11とは逆方向の電流が流れる。この第6スイッチング素子SW6がONされる期間はTbstであり、これによってトランスTRの二次側に供給されるエネルギーを調整することができる。このように、mode13では、DC/DCコンバータ10は、mode11とはトランスTRの一次側及び二次側の電圧の極性を入れ替えて同じ動作をしている。
【0064】
mode14においては、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2、第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3及び第4スイッチング素子SW4に対してはmode11における制御が維持される。ここでは、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6がOFF、第8スイッチング素子SW8がONされる。
【0065】
図9にmode14におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路の説明図を示す。
このとき、第1フルブリッジ回路11では、第1入出力端子13p→第3スイッチング素子SW3→トランスTR→第1リアクトルLr1→第2スイッチング素子SW2→第1入出力端子13mという経路で電流が流れる。第2フルブリッジ回路12では、第2入出力端子14m→第5ダイオードD5→第2リアクトルLr→トランスTR→第8スイッチング素子SW8→第2入出力端子14pという経路で電流が流れる。
【0066】
mode14においても、トランスTRの一次側はmode13と同様に、第2スイッチング素子SW2及び第3スイッチング素子SW3をONすることにより、トランスTRの一次側に電圧を印加している。一方、トランスTRの二次側では、第6スイッチング素子SW6がOFFされ、第8スイッチング素子SW8がONされる。これにより、トランスTRの二次側では、第2入出力端子14mから、トランスTR及び第2リアクトルLr2を経由して第2入出力端子14pへと電流が流れるので、第1リアクトルLr1と第2リアクトルLr2に蓄えられたエネルギーが第2入出力端子14を通じて負荷に供給される。mode14では、第2リアクトルLr2を流れる電流はmode12とは逆方向であるが、入出力端子14を流れる電流はmode12と同方向である。このときには、第1リアクトルLr1と第2リアクトルLr2の起電力が入力電圧に加わるので、出力電圧>入力電圧となり、昇圧動作が実現される。このように、mode14では、DC/DCコンバータ10は、mode12とはトランスTRの一次側及び二次側の電圧の極性を入れ替えて同じ動作をしている。
【0067】
<降圧動作>
(2)DC/DCコンバータ10を第1入出力端子対13側が一次側である降圧コンバ
ータとして機能させる場合
この場合、制御ユニット20は、基本的には、
図10に示すように時間変化する制御信号G1~G4、G6、G8を出力する。
ここでは、スイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2に対する制御は、基本動作と同じである。すなわち、制御ユニット20は、ON時間が周期Tの1/2の制御信号G1を出力する。また、制御ユニット20は、制御信号G1を反転した制御信号G2を出力する。
【0068】
一方、第3スイッチング素子SW3~第8スイッチング素子SW8に対する制御は、基本動作とは異なっている。ここでは、制御ユニット20は、ON時間が周期Tの1/2の制御信号G4及びG6を、制御信号G1からTbukだけ遅れたタイミングで出力する。そして、制御ユニット20は、制御信号G4及び制御信号G6と、それぞれ反転した制御信号G3及び制御信号G8を出力する。
【0069】
図10のタイミングチャートと
図2の基本動作のタイミングチャートとを比較すると、スイッチング素子SW3、スイッチング素子SW4、スイッチング素子SW6、スイッチング素子SW8に対する制御信号G3、制御信号G4、制御信号G6、制御信号G8が、スイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2に対する制御信号G1及び制御信号G2に対してTbukだけ遅れていることが分かる。
図10に示す制御は、Tbst=0の場合に該当する。
【0070】
ここでのDC/DCコンバータ10の動作モードは、第1スイッチング素子SW1がONされるタイミングからTbukのタイミングでmode21に遷移し、T/2のタイミングでmode22に遷移し、T/2+Tbukのタイミングでmode23に遷移し、Tのタイミングでmode24に遷移し、mode21~mode24の遷移を周期Tで繰り返す。ここでは、mode21、mode22、mode23及びmode24が、それぞれ本発明の第5状態、第6状態、第7状態及び第8状態に対応する。
【0071】
具体的には、mode21において、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1がON、第2スイッチング素子SW2がOFF、第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3がOFF、第4スイッチング素子SW4がONされる。そして、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6がON、第8スイッチング素子SW8がOFFされる。
【0072】
図11にmode21におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路の説明図を示す。
このとき、第1フルブリッジ回路11では、第1入出力端子13p→第1スイッチング素子SW1→第1リアクトルLr1→トランスTR→第4スイッチング素子SW4→第1入出力端子13mという経路で電流が流れる。第2フルブリッジ回路12では、第2入出力端子14m→第6スイッチング素子SW6→トランスTR→第2リアクトルLr2→第7ダイオードD7→第2入出力端子14pという経路で電流が流れる。
【0073】
mode21では、第1スイッチング素子SW1及び第4スイッチング素子SW4をONすることにより、トランスTRの一次側に電圧を印加し、第1リアクトルLr1にエネルギーを蓄積している。そして、トランスTRの二次側では、第6スイッチング素子SW6をONし、第8スイッチング素子SW8をOFFすることにより、第2入出力端子14mからトランスTR及び第2リアクトルLr2を経由して第2入出力端子14pに電流が流れ、第2リアクトルLr2にエネルギーを蓄積するとともに負荷にエネルギーが供給される。mode21の時間が長いほど、第2入出力端子対14に生じる出力電圧が高くなる。従って、Tbukによって出力電圧を調整することができる。ここでは、トランスTRの一次側よりも二次側の電圧が低くないと電流が流れないため、降圧動作となる。
【0074】
mode22において、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1がOFF、第2スイッチング素子SW2がONされる。第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3及び第4スイッチング素子SW4、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6及び第8スイッチング素子SW8に対してはmode21における制御が維持される。
【0075】
図12にmode22におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路の説明図を示す。
このとき、第1フルブリッジ回路11では、第1リアクトルLr1→トランスTR→第4スイッチング素子SW4→第2スイッチング素子SW2→第1リアクトルLr1という経路で電流が循環する。第2フルブリッジ回路12では、第2入出力端子14m→第6スイッチング素子SW6→トランスTR→第2リアクトルLr2→第7ダイオードD7→第2入出力端子14pという経路で電流が流れる。
【0076】
mode22では、第2スイッチング素子SW2及び第4スイッチング素子SW4をONすることにより、トンランスTRの一次側が短絡され、トランスTRの二次側では、mode21と同様に、第2入出力端子14mからトランスTR及び第2リアクトルLr2を経由して第2入出力端子14pに電流が流れ、負荷にエネルギーが供給される。これにより、第1リアクトルLr1に蓄積されたエネルギーがトランスTRの二次側に送られ、第2リアクトルLr2に蓄積されたエネルギーとともに負荷に供給される。
【0077】
mode23において、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2に対してはmode22における制御が維持される。そして、第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3がON、第4スイッチング素子SW4がOFFされる。そして、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6がOFF、第8スイッチング素子SW8がONされる。
【0078】
図13にmode23におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路の説明図を示す。
このとき、第1フルブリッジ回路11では、第1入出力端子13p→第3スイッチング素子SW3→トランスTR→第1リアクトルLr1→第2スイッチング素子SW2→第1入出力端子13mという経路で電流が流れる。第2フルブリッジ回路12では、第2入出力端子14m→第5ダイオードD5→第2リアクトルLr2→トランスTR→第8スイッチング素子SW8→第2入出力端子14pという経路で電流が流れる。
【0079】
mode23では、第2スイッチング素子SW2及び第3スイッチング素子SW3をONすることにより、トランスTRの一次側に、mode21とは逆方向の電圧を印加している。そして、第6スイッチング素子SW6をOFFし、第8スイッチング素子SW8をONすることにより、第2入出力端子14mからトランスTR及び第2リアクトルLr2を経由して第2入出力端子14pに電流が流れ、負荷にエネルギーが供給される。ただし、第2リアクトルLr2には、mode21とは逆方向の電流が流れる。mode23の時間の長さは、mode21の時間と同じであり、この時間が長いほど、第2入出力端子対14に生じる出力電圧が高くなる。従って、Tbukによって出力電圧を調整することができる。このように、mode23では、DC/DCコンバータ10は、mode21とはトランスTRの一次側及び二次側の電圧の極性を入れ替えて同じ動作をしている。
【0080】
mode24において、第1レグL1の、第1スイッチング素子SW1がON、第2スイッチング素子SW2がOFFされる。第2レグL2の、第3スイッチング素子SW3及び第4スイッチング素子SW4、第4レグL4の、第6スイッチング素子SW6及び第8スイッチング素子SW8に対してはmode23における制御が維持される。
【0081】
図14にmode24におけるDC/DCコンバータ10の一次側、二次側の電流経路の説明図を示す。
このとき、第1フルブリッジ回路11では、第1リアクトルLr1→第1スイッチング素子SW1→第3スイッチング素子SW3→トランスTR→第1リアクトルLr1という経路で電流が循環する。第2フルブリッジ回路12では、第2入出力端子14m→第5ダイオードD5→第2リアクトルLr2→トランスTR→第8スイッチング素子SW8→第2入出力端子14pという経路で電流が流れる。
【0082】
mode24では、第1スイッチング素子SW1及び第3スイッチング素子SW3をONすることにより、トンランスTRの一次側が短絡され、トランスTRの二次側では、mode22と同様に、第2入出力端子14mからトランスTR及び第2リアクトルLr2を経由して第2入出力端子14pに電流が流れ、負荷にエネルギーが供給される。これにより、第1リアクトルLr1に蓄積されたエネルギーがトランスTRの二次側に送られ、第2リアクトルLr2に蓄積されたエネルギーとともに負荷に供給される。mode24では、第2リアクトルLr2を流れる電流はmode22とは逆方向であるが、入出力端子対14を流れる電流はmode22と同方向である。このように、mode24では、DC/DCコンバータ10は、mode22とはトランスTRの一次側及び二次側の電圧の極性を入れ替えて同じ動作をしている。
【0083】
<電圧制御方法>
以下に、DC/DCコンバータ10による電圧制御方法について説明する。
図15は、電圧制御方法の手順を説明するフローチャートである。
DC/DCコンバータ10の制御ユニット20が受け付けた電圧制御の指示が昇圧動作であるか降圧動作であるかを判断する(ステップS1)。
ステップS1において受け付けた指示が昇圧動作であると判断された場合には、制御ユニット20は設定されているTbukについてTbuk=0であるか否かを判断する(ステップS2)。
ステップS2において、Tbuk=0であると判断された場合には、DC/DCコンバータ10では基本動作又は昇圧動作が行われているので、制御ユニット20はTbstを現在の設定値から所望の値になるよう調整する(ステップS3)。
ステップS2において、Tbuk=0ではないと判断された場合には、DC/DCコンバータ10では降圧動作が行われているので、制御ユニット20はTbukを現在の値から0に向けて減少させ(ステップS4)、Tbuk=0になった段階(ステップS2)でステップS3に進み、昇圧動作に移行する。
ここでは、ステップS2及びステップS4が、本発明の第3ステップに対応し、ステップS2及びステップS3が本発明の第4ステップに対応し、ステップS2、ステップS3及びステップS4が本発明の第2切替ステップに対応する。
【0084】
ステップS1において受け付けた指示が降圧動作であると判断された場合には、制御ユニット20は設定されているTbstについてTbst=0であるか否かを判断する(ステップS5)。
ステップS5において、Tbst=0であると判断された場合には、DC/DCコンバータ10では基本動作又は降圧動作が行われているので、制御ユニット20はTbukを現在の設定値から所望の値になるように調整する(ステップS6)。
ステップS5において、Tbst=0ではないと判断された場合には、DC/DCコンバータ10では昇圧動作が行われているので、制御ユニット20はTbstを現在の値から0に向けて減少させ(ステップS7)、Tbst=0になった段階(ステップS5)でステップS6に進み、降圧動作に移行する。
ここでは、ステップS5及びステップS7が、本発明の第1ステップに対応し、ステッ
プS5及びステップS6が本発明の第2ステップに対応し、ステップS5、ステップS6及びステップS7が本発明の第1切替ステップに対応する。
【0085】
DC/DCコンバータ10において、昇圧動作を行う場合には、Tbukを0とし、Tbstを所望の昇圧比に応じて調節し、降圧動作を行う場合には、Tbstを0とし、Tbukを所望の降圧比に応じて調節する。すなわち、DC/DCコンバータ10において、昇降圧動作を行う場合には、TbukとTbstの少なくともいずれか一方は0である。Tbuk=Tbst=0であるのは入力電圧=出力電圧となる基本動作である。
このように、DC/DCコンバータ10では、昇圧動作から降圧動作へ、降圧動作から昇圧動作に制御を切り替える際に、DC/DCコンバータ10を構成するスイッチング素子SW1~SW8に対する制御信号を止めることなく、Tbuk及びTbstの値を調整することにより、シームレスに実現することができる。また、DC/DCコンバータ10を構成するスイッチング素子SW1~SW8に対する制御信号を止めることなく、昇降圧動作の切り替えができるので、切替時の出力電圧の変動を抑制することができる。
【0086】
〔変形例〕
上述した実施例1では、DC/DCコンバータ10の第1スイッチング素子SW~第8スイッチング素子SW8のそれぞれに並列にダイオードD1~ダイオードD8を設けている。このような第1ダイオードD1~第8ダイオードD8は、第1スイッチング素子SW1~第8スイッチング素子SW8とは別にダイオードを接続してもよいし、第1スイッチング素子SW1~第8スイッチング素子SW8のボディダイオードを利用してもよい。
このようにボディダイオードを利用した場合に、上述した制御では、第5スイッチング素子SW5及び第7スイッチング素子SW7は常にOFFされており、ダイオードとしてのみ使用されている。しかし、スイッチング素子としてSiC-MOSFETやGaNを使用する場合には、ボディダイオードの順方向電圧降下が数Vと大きいので、ボディダイオードのおける損失が大きくなってしまう。そのため、これらのダイオードに電流が流れる間だけスイッチング素子をONにする、いわゆる同期整流を行うことがある。
【0087】
実施例1において説明したDC/DCコンバータ10の各モードの制御では、第2レグL2の第3スイッチング素子SW3がONされるタイミングで第4レグL4の第5ダイオードD5に電流が流れ、第2レグL2の第4スイッチング素子SW4がONされるタイミングで第4レグL4の第7ダイオードD7に電流が流れる。従って、上述の同期整流を行う場合には、いずれの制御においても、第3スイッチング素子SW3をONするタイミングで第5スイッチング素子SW5をONし、第4スイッチング素子SW4をONするタイミングで第7スイッチング素子SW7をONする。このとき、第5スイッチング素子SW5及び第7スイッチング素子SW7を流れる電流が0になったタイミングでこれらのスイッチをOFFにする。このように第5スイッチング素子SW5及び第7スイッチング素子SW7のON/OFF制御を変更しても、回路動作は、実施例1において説明したDC/DCコンバータ10の回路動作と同じである。
このようにすれば、スイッチング素子としてSiC-MOSFETやGaNを使用し、還流ダイオードとしてスイッチング素子のボディダイオードを利用する場合にも、ダイオードによる損失を低減することができるので、電力変換におけるエネルギー損失を低減することができる。
【0088】
第1入出力端子対13を入力側、第2入出力端子対14を出力側とした場合には、上述した実施形態と本発明の構成とは以下のように対応する。第1接続点p1、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2、及び第1スイッチングレグL1は、本発明の、第1接続点、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子及び第1スイッチングレグにそれぞれ対応する。また、第2接続点p2、第3スイッチング素子SW3、第4スイッチング素子SW4、第2スイッチングレグL2は、本発明の第2接続点、第2スイッ
チングレグ、第3スイッチング素子、第4スイッチング素子及び第2スイッチングレグにそれぞれ対応する。第3接続点p3、第5スイッチング素子SW5、第7スイッチング素子SW7及び第3スイッチングレグL3は、本発明の第3接続点、第5スイッチング素子、第7スイッチング素子及び第3スイッチングレグL3にそれぞれ対応する。第4接続点p4、第6スイッチング素子SW6、第8スイッチング素子SW8及び第4スイッチングレグL4は、本発明の第4接続点、第6スイッチング素子、第8スイッチング素子及び第4スイッチングレグにそれぞれ対応する。また、第1リアクトルLr1、第2リアクトルLr2、第1巻線Wn1及び第2巻線Wn2は、本発明の第1リアクトル、第2リアクトル、第1巻線及び第2巻線にそれぞれ対応する。
【0089】
一方で、実施例に係るDC/DCコンバータ10は、第2入出力端子対14を入力側、第1入出力端子対13を出力側として用いることもできる。このように入力側及び出力側を逆にしてDC/DCコンバータ10を用いる場合には、実施形態と本発明の構成との対応関係は以下のようになる。すなわち、第4接続点p4、第6スイッチング素子SW6、第8スイッチング素子SW8及び第4スイッチングレグL4が、本発明の第1接続点、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子及び第1スイッチングレグにそれぞれ対応する。また、第3接続点p3、第5スイッチング素子SW5、第7スイッチング素子SW7及び第3スイッチングレグL3が、本発明の第2接続点、第3スイッチング素子、第4スイッチング素子及び第2スイッチングレグにそれぞれ対応する。また、第2接続点p2、第3スイッチング素子SW3、第4スイッチング素子SW4及び第2スイッチングレグL2が、本発明の第3接続点、第5スイッチング素子、第7スイッチング素子及び第3スイッチングレグにそれぞれ対応する。そして、第1接続点p1、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2及び第1スイッチングレグL1が、本発明の第4接続点、第6スイッチング素子、第8スイッチング素子及び第4スイッチングレグに、それぞれ対応する。また、第2リアクトルLr2、第1リアクトルLr1、第2巻線Wn2及び第1巻線Wn1が、本発明の第1リアクトル、第2リアクトル、第1巻線及び第2巻線にそれぞれ対応する。このように、DC/DCコンバータ10の入出力側を逆転させて用いる場合にも、DC/DCコンバータ10では、昇圧動作から降圧動作へ、降圧動作から昇圧動作に制御を切り替える際に、DC/DCコンバータ10を構成するスイッチング素子SW1~SW8に対する制御信号を止めることなく、Tbuk及びTbstの値を調整することにより、シームレスに実現することができる。また、DC/DCコンバータ10を構成するスイッチング素子SW1~SW8に対する制御信号を止めることなく、昇降圧動作の切り替えができるので、切替時の出力電圧の変動を抑制することができる。
【0090】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
第1入出力端子対(13)と、
第2入出力端子対(14)と、
前記第1入出力端子対(13)及び前記第2入出力端子対(14)に接続されたDC/DCコンバータ(10)と、
前記DC/DCコンバータ(10)を制御する制御部(20)と、
を有し、
前記DC/DCコンバータ(10)は、
第1接続点(p1)を介して直列接続された第1スイッチング素子(SW1)及び第2スイッチング素子(SW2)を有し、前記第1入出力端子対(13)に接続された、第1スイッチングレグ(L1)と、
第2接続点(p2)を介して直列接続された第3スイッチング素子(SW3)及び第4スイッチング素子(SW4)を有し、前記第1スイッチングレグ(L1)に並列接続された、第2スイッチングレグ(L2)と、
第3接続点(p3)を介して直列接続された第5スイッチング素子(SW5)及び第7スイッチング(SW7)素子を有し、前記第2入出力端子対(14)に接続された、第3スイッチングレグ(L3)と、
第4接続点(p4)を介して直列接続された第6スイッチング素子(SW6)及び第8スイッチング素子(SW8)を有し、前記第3スイッチングレグ(L3)に並列接続された、第4スイッチングレグ(L4)と、
前記第1接続点(p1)と前記第2接続点(p2)とに接続されたトランス(TR)の一方の巻線(Wn1)と第1リアクトル(Lr1)とが直列接続された第1エネルギー蓄積変換部と、
前記第3接続点(p3)と前記第4接続点(p4)とに接続された前記トランス(TR)の他方の巻線(Wn2)と第2リアクトル(Lr2)とが直列接続された第2エネルギー蓄積変換部と、
を備え、
前記制御部(20)は、
前記第1スイッチング素子(SW1)、前記第2スイッチング素子(SW2)、前記第3スイッチング素子(SW3)、前記第4スイッチング素子(SW4)、前記第5スイッチング素子(SW5)、前記第6スイッチング素子(SW6)、前記第7スイッチング素子(SW7)及び前記第8スイッチング素子(SW8)をそれぞれON又はOFFする制御信号を出力し、
前記第1スイッチング素子(SW1)に対する前記制御信号を基準制御信号とし、
前記基準制御信号の位相を反転した制御信号を基準反転信号としたとき、
前記第4スイッチング素子(SW4)及び前記第6スイッチング素子(SW6)に対する前記制御信号として前記基準制御信号を出力し、
前記第2スイッチング素子(SW2)、前記第3スイッチング素子(SW3)及び第8スイッチング素子(SW8)に対する前記制御信号として前記基準反転信号を出力し、
前記第2スイッチングレグ(L2)に含まれる前記第3スイッチング素子(SW3)及び第4スイッチング素子(SW4)に対する前記制御信号に対する、前記第4スイッチングレグ(L4)に含まれる前記第6スイッチング素子(SW6)及び第8スイッチング素子(SW8)に対する前記制御信号の位相の遅れ量(Tbst)を第1位相シフト量とし、
前記第1スイッチングレグ(L1)に含まれる前記第1スイッチング素子(SW1)及び第2スイッチング素子(SW2)に対する前記制御信号に対する、前記第2スイッチングレグ(L2)に含まれる前記第3スイッチング素子(SW3)及び第4スイッチング素子(SW4)に対する前記制御信号の位相の遅れ量(Tbuk)を第2位相シフト量としたとき、
前記第1位相シフト量及び前記第2位相シフト量の少なくともいずれか一方を0とし、
前記第1位相シフト量を0まで減少させた後に、前記第2位相シフト量を0から増加させることによって、前記第1入出力端子対に入力される入力電圧よりも前記第2入出力端子対から出力される出力電圧が大きくなる昇圧動作から前記入力電圧よりも前記出力電圧が小さくなる降圧動作に切り替え、
前記第2位相シフト量を0まで減少させた後に、前記第1位相シフト量を0から増加させることによって、前記降圧動作から前記昇圧動作に切り替えることを特徴とする電力変換装置(1)。
<発明2>
第1入出力端子対(13)と、
第2入出力端子対(14)と、
前記第1入出力端子対(13)及び前記第2入出力端子対(14)に接続されたDC/DCコンバータ(10)と、
前記DC/DCコンバータ(10)を制御する制御部(20)と、
を有し、
前記DC/DCコンバータ(10)は、
第1接続点(p1)を介して直列接続された第1スイッチング素子(SW1)及び第2スイッチング素子(SW2)を有し、前記第1入出力端子対(13)に接続された、第1スイッチングレグ(L1)と、
第2接続点(p2)を介して直列接続された第3スイッチング素子(SW3)及び第4スイッチング素子(SW4)を有し、前記第1スイッチングレグ(L1)に並列接続された、第2スイッチングレグ(L2)と、
第3接続点(p3)を介して直列接続された第5スイッチング素子(SW5)及び第7スイッチング(SW7)素子を有し、前記第2入出力端子対(14)に接続された、第3スイッチングレグ(L3)と、
第4接続点(p4)を介して直列接続された第6スイッチング素子(SW6)及び第8スイッチング素子(SW8)を有し、前記第3スイッチングレグ(L3)に並列接続された、第4スイッチングレグ(L4)と、
前記第1接続点(p1)と前記第2接続点(p2)とに接続されたトランス(TR)の一方の巻線(Wn1)と第1リアクトル(Lr1)とが直列接続された第1エネルギー蓄積変換部と、
前記第3接続点(p3)と前記第4接続点(p4)とに接続された前記トランス(TR)の他方の巻線(Wn2)と第2リアクトル(Lr2)とが直列接続された第2エネルギー蓄積変換部と、
を備え、
前記制御部(20)が、
前記第1スイッチング素子(SW1)、前記第2スイッチング素子(SW2)、前記第3スイッチング素子(SW3)、前記第4スイッチング素子(SW4)、前記第5スイッチング素子(SW5)、前記第6スイッチング素子(SW6)、前記第7スイッチング素子(SW7)及び前記第8スイッチング素子(SW8)をそれぞれON又はOFFする制御信号を出力し、
前記第1スイッチング素子(SW1)に対する前記制御信号を基準制御信号とし、
前記基準制御信号の位相を反転した制御信号を基準反転信号としたとき、
前記第4スイッチング素子(SW4)及び前記第6スイッチング素子(SW6)に対する前記制御信号として前記基準制御信号を出力し、
前記第2スイッチング素子(SW2)、前記第3スイッチング素子(SW3)及び第8スイッチング素子(SW8)に対する前記制御信号として前記基準反転信号を出力する電力変換装置(1)における電力変換方法であって、
前記第2スイッチングレグ(L2)に含まれる前記第3スイッチング素子(SW3)及び第4スイッチング素子(SW4)に対する前記制御信号に対する、前記第4スイッチングレグ(L4)に含まれる前記第6スイッチング素子(SW6)及び第8スイッチング素子(SW8)に対する前記制御信号の位相の遅れ量(Tbst)を第1位相シフト量とし、
前記第1スイッチングレグ(L1)に含まれる前記第1スイッチング素子(SW1)及び第2スイッチング素子(SW2)に対する前記制御信号に対する、前記第2スイッチングレグ(L2)に含まれる前記第3スイッチング素子(SW3)及び第4スイッチング素子(SW4)に対する前記制御信号の位相の遅れ量(Tbuk)を第2位相シフト量としたとき、
少なくともいずれか一方が0である前記第1位相シフト量及び前記第2位相シフト量に対して、
前記第1位相シフト量を0まで減少させる第1ステップ(ステップS5及びステップS7)と、
前記第2位相シフト量を0から増加させる第2ステップ(ステップS5及びステップS6)とを、
を含む、前記第1入出力端子対(13)に入力される入力電圧よりも前記第2入出力端子
対(14)から出力される出力電圧が大きくなる昇圧動作から前記入力電圧よりも前記出力電圧が小さくなる降圧動作への第1切替ステップ(ステップS5、ステップS6及びステップS7)と、
前記第2位相シフト量を0まで減少させる第3ステップ(ステップS2及びステップS4)と、
前記第1位相シフト量を0から増加させる第4ステップ(ステップS2及びステップS3)とを、
を含む、前記降圧動作から前記昇圧動作への第2切替ステップ(ステップS2、ステップS3およびステップS4)と、
を有する電力変換方法。
【符号の説明】
【0091】
1・・・電力変換装置
10・・・DC/DCコンバータ
11・・・第1フルブリッジ回路
12・・・第2フルブリッジ回路
13・・・第1入出力端子対
14・・・第2入出力端子対
20・・・制御ユニット
L1・・・第1スイッチングレグ
L2・・・第2スイッチングレグ
L3・・・第3スイッチングレグ
L4・・・第4スイッチングレグ
Lr1・・・第1リアクトル
Lr2・・・第2リアクトル
p1・・・第1接続点
p2・・・第2接続点
p3・・・第3接続点
p4・・・第4接続点
SW1・・・第1スイッチング素子
SW2・・・第2スイッチング素子
SW3・・・第3スイッチング素子
SW4・・・第4スイッチング素子
SW5・・・第5スイッチング素子
SW6・・・第6スイッチング素子
SW7・・・第7スイッチング素子
SW8・・・第8スイッチング素子
TR・・・トランス
Wn1・・・第1巻線
Wn2・・・第2巻線