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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/18 20060101AFI20231219BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231219BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20231219BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20231219BHJP
   B26D 1/10 20060101ALI20231219BHJP
   B26D 1/20 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
B26D7/18 E
B41J2/01 305
B41J11/70
B26D7/06 Z
B26D1/10
B26D1/20 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020014622
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121452
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】早川 直人
(72)【発明者】
【氏名】山谷 啓介
(72)【発明者】
【氏名】沢田 圭志
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 健一
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-199035(JP,A)
【文献】特公昭50-024466(JP,B1)
【文献】特開2003-182172(JP,A)
【文献】特開2001-232700(JP,A)
【文献】特開2016-175170(JP,A)
【文献】特開2004-074373(JP,A)
【文献】特開2017-177582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
B41J 2/01
B41J 11/70
B26D 7/06
B26D 1/10
B26D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に印刷する印刷部と、
前記媒体が搬送される搬送路における前記印刷部よりも下流で前記媒体を切断する切断部と、
前記切断部の下方に配置され、前記切断部による前記媒体の切断で生じた切断屑を収容する収容部と、
を備え、
前記切断部は、前記媒体の下流端と前記印刷部による印刷領域との間の領域である下流余白と前記印刷領域との境界を切断可能であると共に、前記媒体の上流端と前記印刷領域との間の領域である上流余白と前記印刷領域との境界を切断可能であり、
前記搬送路における前記切断部による前記媒体の切断位置の上流と下流とには、前記収容部に連通する隙間があり、
前記収容部は、前記切断部の下方に位置した場合に前記切断位置の上流の隙間に連通する第1室を有する第1収容部と、前記切断部の下方に位置した場合に前記切断位置の下流の隙間に連通する第2室を有する第2収容部と、を備え、第1収容部及び前記第2収容部のうち少なくとも前記第2収容部が前記切断部の下方から前記媒体の搬送方向で下流となる前方に向けて取り外し可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記切断部は、前記印刷部により第1面に印刷がされた前記媒体における前記第1面とは異なる第2面での、前記下流余白と前記印刷領域との境界及び前記上流余白と前記印刷領域との境界を、切断することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記切断部は、前記搬送路と交差する方向に刃線が延びる固定刃と、前記固定刃の前記刃線に沿って延びるように設けられたガイド部材と、前記ガイド部材に取り付けられ、前記固定刃の前記刃線に沿って移動可能な移動刃と、を有し、
前記固定刃及び前記ガイド部材は、前記印刷装置の本体フレームに固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記切断部は、前記移動刃が第1方向に移動するときと、前記移動刃が前記第1方向とは反対の第2方向に移動するときと、の両方で前記媒体を切断することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記切断部は、前記上流余白を複数の紙片に切断することを特徴とする請求項1~請求項のうち何れか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記切断部は、前記下流余白を複数の紙片に切断することを特徴とする請求項1~請求項のうち何れか一項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載の印刷装置の一例であるプリンターは、媒体に印刷する印刷部と、媒体が搬送される搬送路における印刷部よりも下流で媒体を切断する切断部と、を備えている。そして、切断部が媒体を切断したことで生じた切断屑であるカット屑を切断部の下方に配置した収集ボックス内に収集している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-177582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来のプリンターにおいて、切断部が媒体から切り離したカット屑は、搬送路において切断部による媒体の切断位置を境として当該切断位置の上流に設けられた隙間を介して下方の収集ボックス内に落下する。この場合、媒体における上流端側の上流余白がカット屑として媒体から切り離されたときは、切断位置の上流の隙間を介して下方の収集ボックス内に収集可能である。しかし、その媒体における下流端側の下流余白がカット屑として媒体から切り離されたときは、そのカット屑は切断位置よりも下流に生じるため、切断位置の上流に設けられた隙間を介しては下方の収集ボックス内に収集することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する印刷装置は、媒体に印刷する印刷部と、前記媒体が搬送される搬送路における前記印刷部よりも下流で前記媒体を切断する切断部と、前記切断部の下方に配置され、前記切断部による前記媒体の切断で生じた切断屑を収容する収容部と、を備え、前記切断部は、前記媒体の下流端と前記印刷部による印刷領域との間の領域である下流余白と前記印刷領域との境界を切断可能であると共に、前記媒体の上流端と前記印刷領域との間の領域である上流余白と前記印刷領域との境界を切断可能であり、前記搬送路における前記切断部による前記媒体の切断位置の上流と下流とには、前記収容部に連通する隙間がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】印刷装置の一実施形態の斜視図。
図2】媒体の給送工程と第1印刷工程を実行中の印刷装置を示す断面図。
図3】第1印刷工程を経た媒体の平面図。
図4】第1印刷工程を経た媒体の断面図。
図5】切断屑の切除工程を実行中の印刷装置を示す断面図。
図6】媒体の切断工程を実行中の印刷装置を示す断面図。
図7】媒体の重ね工程の前半を実行中の印刷装置を示す断面図。
図8】媒体の重ね工程の後半を実行中の印刷装置を示す断面図。
図9】媒体の逆送工程を開始直後の印刷装置を示す断面図。
図10】媒体の逆送工程を実行中の印刷装置を示す断面図。
図11】媒体の逆送工程を終了直前の印刷装置を示す断面図。
図12】媒体の反転工程を実行中の印刷装置を示す断面図。
図13】媒体の第2印刷工程を実行中の印刷装置を示す断面図。
図14】第2印刷工程を経た媒体の平面図。
図15】第2印刷工程を経た媒体の断面図。
図16】下流端側の切断屑の切除工程を実行中の印刷装置を示す断面図。
図17】上流端側の切断屑の切除工程を実行中の印刷装置を示す断面図。
図18】変形例の印刷装置を示す断面図。
図19】第2印刷工程を経た変形例の媒体の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、印刷装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。印刷装置は、例えば、用紙などの媒体にインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。
図面では、印刷装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、X軸と平行な方向を幅方向X、Y軸と平行な方向を印刷装置11の奥行方向ともなる前後方向Y、Z軸と平行な方向を鉛直方向Zともいう。
【0008】
図1に示すように、本実施形態の印刷装置11は、筐体12を備える。筐体12は、前後方向Yの前面に開口する開口部13と、印刷された媒体Sが排出される排出口14と、を有する。排出口14は、筐体12の前面において開口部13の上側に形成される。
【0009】
印刷装置11は、長尺の媒体Sを円筒状に巻き重ねたロール体Rから媒体Sを繰り出す繰出部16を備える。繰出部16は、開口部13を通じて筐体12から引き出し可能な状態で、筐体12内に収容されている。繰出部16は、筐体12に収容された場合に印刷装置11の外装の一部を構成する前板部17と、ロール体Rを回転自在に支持する一対の支持壁18と、を備える。
【0010】
印刷装置11は、長尺の媒体Sから図2に二点鎖線で示すように切断屑47として切り落とされた部分を収容可能な収容部20を備える。収容部20は、鉛直方向Zの上側が開口した有底の箱体であり、内部の空間が切断屑47を収容可能な収容室21を構成する。本実施形態の収容部20は、筐体12に対して着脱可能に取り付けられ、筐体12に取り付けられることで開口部13を塞いだ状態になったとき、その前面20aが繰出部16の前板部17と面一となって印刷装置11の外装の一部を構成する。収容部20が筐体12から外されると、繰出部16が筐体12から引き出し可能な状態になる。
【0011】
図2に示すように、印刷装置11は、媒体Sが搬送される二点鎖線で示す搬送路22を備える。印刷装置11は、搬送路22に沿って媒体Sを搬送する搬送部23と、媒体Sに印刷する印刷部24と、媒体Sを切断する切断部25と、を備える。
【0012】
印刷部24は、インクを吐出可能なノズル26を有する吐出ヘッド27を備える。吐出ヘッド27は、媒体Sの幅方向Xの略全域に同時にインクを吐出可能なラインヘッド型としてもよいし、幅方向Xと平行な方向に往復移動しながらインクを吐出するシリアルヘッド型としてもよい。
【0013】
印刷装置11は、長尺の媒体Sのうち印刷部24に印刷される部分を鉛直方向Zの下方から支持する支持部29を備える。本実施形態の支持部29は、印刷部24から吐出されるインクを受けるインク受け30と、媒体Sを支持する支持面31と、を有する。インク受け30は、インクを吸収する吸収体により構成してもよい。インク受け30は、例えば印刷部24が縁なし印刷を行う際に、媒体Sから外れて吐出されるインクを受容する。支持面31は、インク受け30より鉛直方向Zの上方に位置する。換言すると、支持面31は、吐出ヘッド27とインク受け30との間に位置する。本実施形態では、搬送路22において支持面31と吐出ヘッド27との間の位置を印刷位置A1という。印刷部24は、搬送路22を搬送される媒体Sのうち、印刷位置A1に位置する部分に印刷を行う。
【0014】
搬送路22は、媒体Sが移動可能な空間であり、複数の部材により構成される。搬送路22は、最上流に位置する繰出部16から、最下流に位置する排出口14まで続く。印刷部24、支持部29及び切断部25は、搬送路22の一部を構成する。
【0015】
図2に示すように、切断部25は、搬送路22における印刷部24よりも下流であって且つ排出口14よりも上流に位置し、切断位置A2で媒体Sを切断する。すなわち、切断位置A2は、搬送路22において、印刷部24よりも下流であって且つ排出口14よりも上流に位置する。切断位置A2は、筐体12に取り付けられた状態にある収容部20から見て収容室21の上方となる位置である。切断位置A2に刃先が位置する切断部25の下方に、切断部25による媒体Sの切断で生じた切断屑47を収容する収容部20は配置される。
【0016】
本実施形態の切断部25は、搬送路22と交差する幅方向Xに刃線が延びる固定刃34と、固定刃34の刃線に沿って延びるように設けられたガイド部材35と、ガイド部材35に固定刃34の刃線に沿って移動可能に取り付けられた移動刃33と、を備える。固定刃34は、搬送路22の下方に位置する本体フレーム32に固定され、ガイド部材35は、搬送路22の上方に位置する図示しない本体フレームに固定されている。切断部25は、搬送路22における固定刃34の刃先の位置である切断位置A2で、移動刃33が固定刃34の刃線に沿う第1方向と当該第1方向とは反対の第2方向とに往復移動することで、媒体Sを幅方向Xに亘って切断する。
【0017】
図3及び図4に示すように、切断部25により切断される前の長尺の媒体Sは、固定刃34の幅方向Xに沿う長さよりも幅方向Xの寸法Wが短い帯状シートであり、印刷部24による印刷が可能な第1面S1及び第1面S1とは異なる第2面S2を有する。第1面S1は媒体Sがロール体Rの状態のときに外側となる面であり、第2面S2は第1面S1とは反対側の面である。図3及び図4に示す媒体Sは、その第1面S1に印刷部24により既に文字、図形等の画像が印刷された印刷領域60を有する。
【0018】
この場合、ロール体Rから巻き解かれて搬送路22を下流に向けて搬送される媒体Sの搬送時における下流端Saと印刷部24による印刷領域60との間の領域は、画像が印刷されない余白部分61となる。長尺の媒体Sの第1面S1には、その下流端Saから上流に向けて複数の余白部分61と複数の印刷領域60が交互に位置するように形成される。そして、そのように第1面S1に複数の印刷領域60が余白部分61と交互に形成された長尺の媒体Sは、その余白部分61において前後方向Yで隣り合う2つの印刷領域60の中間となる位置を幅方向Xに延びる切断線62に沿って切断される。
【0019】
この切断線62での切断により、媒体Sにおける印刷領域60の下流側には、幅方向Xに沿う境界63を介して印刷領域60と接する余白64が下流余白として切り残される。その一方、媒体Sにおける印刷領域60の上流側には、幅方向Xに沿う境界65を介して印刷領域60と接する余白66が上流余白として切り残される。そして、こうした2箇所の切断線62での切断により、長尺の媒体Sからは、下流端側の余白64と印刷領域60と上流端側の余白66とが第1面S1上に前後方向Yに並んだ1つの枚葉紙状の切断片が切り離される。
【0020】
なお、長尺の媒体Sにおける下流端Saに連なる余白部分61のうち、切断線62での切断で下流余白となる余白64は、収容部20に向けて落下する切断屑47となる。また、第1面S1に対する印刷後に媒体Sを反転させて第2面S2にも印刷する所謂両面印刷でなく、第1面S1だけに印刷する所謂片面印刷の場合は、切断線62の箇所ではなく、下流端側の余白部分61と印刷領域60との境界63及び上流端側の余白部分61と印刷領域60との境界65で媒体Sを切断してもよい。この場合には、第1面S1上に下流端側及び上流端側の各余白が無くて印刷領域60だけしかない1つの枚葉紙状の切断片が長尺の媒体Sから切り離される。
【0021】
図2に示すように、搬送路22は、印刷位置A1よりも上流の供給路22a及び反転路22bと、印刷位置A1よりも下流の排出路22cと、を有する。供給路22aは、搬送路22において最上流に位置する繰出部16と印刷部24が位置する印刷位置A1とを結ぶ通路である。反転路22bは、搬送路22における印刷位置A1よりも上流で供給路22aから分岐する分岐点P1と、分岐点P1よりも上流で供給路22aに合流する合流点P2とを結ぶ通路である。排出路22cは、搬送路22において印刷位置A1と最下流に位置する排出口14とを結ぶ通路である。
【0022】
搬送部23は、媒体Sを巻き重ねたロール体Rから媒体Sを解いて搬送する。搬送部23は、供給路22aに上流から順に設けられる供給ローラー対36、反転ローラー37、従動ローラー38、及び上流搬送ローラー対39を有する。搬送部23は、従動ローラー38を複数備えてもよい。従動ローラー38は、回転自在に設けられ、反転ローラー37との間に媒体Sを挟んで従動回転する。搬送部23は、排出路22cに上流から順に設けられる下流搬送ローラー対40、第1ローラー対41及び第2ローラー対42を有する。第1ローラー対41は、搬送路22において切断部25よりも上流に位置する。第2ローラー対42は、搬送路22において切断部25よりも下流に位置する。
【0023】
供給ローラー対36、反転ローラー37、従動ローラー38、上流搬送ローラー対39、下流搬送ローラー対40、第1ローラー対41、及び第2ローラー対42は、媒体Sを挟んだ状態で回転することにより媒体Sを搬送する。搬送部23は、正転駆動されることにより媒体Sを上流から下流に搬送し、逆転駆動されることにより媒体Sを下流から上流に搬送する。本実施形態では、搬送路22に沿って下流に向かう方向を順送方向D1といい、上流に向かう方向を逆送方向D2という。
【0024】
印刷装置11は、第2ローラー対42より上流に設けられる接触部44と、第2ローラー対42より下流に設けられるガイド部45と、を備えてもよい。本実施形態のガイド部45は、回転自在なローラーにより構成され、搬送路22の天井に設けられる。搬送路22の天井とは、媒体Sの通過可能な範囲を規定するもののうち、媒体Sより鉛直方向Zの上方に位置するものである。
【0025】
接触部44は、切断部25と第2ローラー対42との間に位置し、切断部25から順送方向D1に離れて設けられる。すなわち、切断部25が有する固定刃34と接触部44を有する部材との間には、切断位置A2の下流側で媒体Sから切り落とされた切断屑47を鉛直方向Zの下方に通過可能とする隙間B1が形成される。この隙間B1は、筐体12に取り付けられた状態にある収容部20の収容室21の上方に位置する。換言すると、搬送路22における切断部25による媒体Sの切断位置A2の下流には、収容部20の収容室21に連通する隙間B1がある。そのため、切断位置A2の下流側で長尺の媒体Sから切り落とされた紙片状の切断屑47は、この隙間B1を落下して収容部20の収容室21に収容される。
【0026】
一方、搬送路22において切断部25から逆送方向D2に離れて位置する第1ローラー対41と切断部25の固定刃34との間、すなわち、切断位置A2の上流にも、切断位置A2の下流の隙間B1と同様に紙片状の切断屑47を鉛直方向Zの下方に通過可能とする隙間B2が形成される。この隙間B2も、隙間B1と同様に、筐体12に取り付けられた状態にある収容部20の収容室21の上方に位置する。換言すると、搬送路22における切断部25による媒体Sの切断位置A2の上流にも、収容部20の収容室21に連通する隙間B2がある。そのため、切断位置A2の上流側で切断部25による切断で生じた紙片状の切断屑47は、この隙間B2を落下して収容部20の収容室21に収容される。以上のように、収容部20の収容室21は、切断位置A2の下流の隙間B1と上流の隙間B2との両方に連通している。
【0027】
本実施形態の搬送路22は、鉛直方向Zの高さが上流から下流まで一定ではなく、部分的に異なる。例えば、搬送路22は、切断部25の上流の高さの方が、切断部25の下流の高さより低く設定されている。切断部25の下流の高さは、接触部44の上流の端における搬送路22の高さであって、接触部44の下流の端における搬送路22の高さより低い。本実施形態の接触部44は、下流の端が上流の端より上方に位置して順送方向D1に上る上り斜面である。
【0028】
印刷装置11は、印刷装置11で実行される各種動作を制御する制御部49を備える。制御部49は、例えばコンピューター及びメモリーを含む処理回路等から構成され、メモリーに記憶されたプログラムに従って印刷部24、切断部25、及び搬送部23などを制御する。
【0029】
本実施形態の作用について説明する。
印刷装置11は、順送工程、切断工程、重ね工程、逆送工程と、を含む搬送制御方法により媒体Sを搬送する。搬送制御方法は、媒体Sを給送する給送工程と、媒体Sに印刷する第1印刷工程及び第2印刷工程と、媒体Sの端を切断屑47として切除する切除工程と、媒体Sを反転させる反転工程と、を実行する。本実施形態の印刷装置11は、媒体Sの両面に縁なし印刷をする場合に、給送工程、第1印刷工程、切除工程、順送工程、切断工程、重ね工程、逆送工程、反転工程、第2印刷工程、及び切除工程を順に実行する。
【0030】
制御部49は、上流搬送ローラー対39、及び反転ローラー37などの駆動時間に基づいて各機構の駆動制御を行う。印刷装置11は、上流搬送ローラー対39、及び反転ローラー37などの回転量を検出するセンサーを備える。印刷装置11は、媒体Sを検出するセンサーを備える。そして、制御部49は、センサーの検出結果に基づいて各機構の駆動制御を行う。
【0031】
図2に示すように、制御部49は、搬送部23を駆動し、ロール体Rから巻き解かれた媒体Sを供給路22aに沿って印刷位置A1へ搬送する給送工程を実行する。具体的には、制御部49は、搬送部23を正転駆動して媒体Sを順送方向D1に搬送し、繰出部16から繰り出された媒体Sを印刷位置A1まで搬送する。
【0032】
媒体Sにおいて印刷領域60となる部分が印刷位置A1まで達すると、制御部49は、印刷部24からインクを吐出して媒体Sの第1面S1に印刷する第1印刷工程を実行する。第1印刷工程では、搬送部23が媒体Sを順送方向D1に搬送しつつ、印刷部24が媒体Sの第1面S1のうち印刷位置A1に位置する部分に向けてインクを吐出して印刷する。このとき、印刷部24は、媒体Sの第1面S1における下流端Saから上流に連なる部分であって幅方向Xに細長い部分を印刷されない余白部分61として当該余白部分61から上流に連なる印刷領域60に画像を印刷する。
【0033】
次に、図5に示すように、制御部49は、順送方向D1に搬送中の媒体Sの下流端Saが切断位置A2を通過して余白部分61における前後方向Yの中間位置が切断位置A2に達すると、切断部25が媒体Sから切断屑47を図3及び図4において示す切断線62で切断して切除する切除工程を実行する。切除工程は、媒体Sの搬送を停止させた状態で実行する。切除工程において切断位置A2の下流側で媒体Sから切り落とされた切断屑47は、下方の隙間B1を落下して収容部20に集められる。
【0034】
なお、印刷部24の吐出ヘッド27における最上流のノズル26の位置から切断部25の切断位置A2までの装置側長さが、長尺の媒体Sの下流端Saに連なる余白部分61の上流側に印刷される1つの印刷領域60の上流端までの媒体側長さより短い場合、制御部49は、第1印刷工程の途中で切除工程を実行する。その一方、装置側長さが媒体長さより長い場合、制御部49は、第1印刷工程が終了した後、切除工程を実行する。
【0035】
切除工程が終了すると、制御部49は、下流端Saを含む部分である切断屑47が切り落とされた媒体Sを下流に搬送する順送工程を実行する。順送工程では、制御部49は、搬送部23を正転駆動し、媒体Sを順送方向D1に搬送する。第1印刷工程により印刷された印刷領域60が切断位置A2を通過すると、制御部49は、媒体Sの搬送を停止させる。具体的には、制御部49は、その印刷領域60に境界65を介して接する上流余白としての余白66の上流端が切断位置A2に達したときに搬送を停止させる。
【0036】
そして次に、図6に示すように、制御部49は、第1面S1に印刷された媒体Sを切断部25が切断位置A2で切断する切断工程を実行する。切断部25は、搬送が停止された状態の媒体Sを切断部25による切断位置A2よりも上流の元部51と、切断位置A2よりも下流の枚葉紙状の切断片52と、に切り分ける。すなわち、切断部25は、図3及び図4において余白66と余白64とを区切る切断線62に沿って媒体Sを切断する。このとき第1ローラー対41は、切断位置A2よりも上流で元部51を保持し、第2ローラー対42は、切断部25よりも下流で切断片52を保持する。
【0037】
第2ローラー対42より下流には、切断片52の上面に接触して切断片52をガイド可能なガイド部45が設けられる。したがって、切断前の媒体S及び切断後の切断片52は、印刷された面がガイド部45にガイドされる。
【0038】
次に、図7及び図8に示すように、制御部49は、第1面S1に印刷された枚葉紙状の切断片52の順送方向D1への搬送時に上流端となる第2端52bと元部51とを重ねる重ね工程を実行する。重ね工程では、制御部49は、まず図7に示すように搬送部23を正転駆動して元部51と切断片52とを順送方向D1に搬送する。続いて制御部49は、図8に示すように、第1ローラー対41の駆動を停止させた状態で、第2ローラー対42を逆転駆動する。
【0039】
図7に示すように、切断部25による媒体Sの切断位置A2と接触部44との間には、切断屑47を落下させるための隙間B1が設けられている。そのため、切断位置A2を通過した媒体Sの元部51は、円筒状に巻かれていた時の巻きぐせと自重により垂れ下がるように下向きに進み、元部51の下流端51aが接触部44に接触する。元部51の下流端51aが接触部44に接触すると、制御部49は、搬送部23の駆動を停止させ、元部51及び切断片52の搬送を停止させる。
【0040】
切断部25が媒体Sを切断する切断位置A2の高さ及び接触部44は、第2ローラー対42が切断片52を挟んで保持する保持位置より下方に位置する。切断位置A2から接触部44までの距離は、保持位置から接触部44までの距離より長い。そのため、元部51の下流端51aが接触部44に接触するとき、その時点での切断片52の上流端である第2端52bは、接触部44より上方に位置する。換言すると、接触部44は、第2ローラー対42に保持された状態の切断片52の上流端である第2端52bより鉛直方向Zにおける下方で元部51の下流端51aに接触可能である。
【0041】
図8に示すように、第1ローラー対41の駆動を停止させた状態で第2ローラー対42を逆転駆動すると、切断片52の第2端52bが元部51に重なる。この時点での重なるとは、切断片52の第2端52bが元部51の下流端51aより上流に位置する状態をいい、切断片52と元部51とが接触する状態に限らず、切断片52と元部51が離れた状態を含む。切断片52の第2端52bは、元部51に重なった状態において元部51より上方に位置する。切断片52及び元部51において、互いに重なる量は、切断片52側の余白66及び元部51側の余白64の各々の前後方向Yの長さより小さくすると、例えば重なった部分が擦れて傷がついても切断屑47として切り落とすことができる。
【0042】
次に、図9に示すように、制御部49は、切断片52の第2端52bが元部51に重なった状態で切断部25を通過するように、切断片52を下流から上流に搬送する逆送工程を実行する。逆送工程では、搬送部23は、ロール体Rの状態での外側の面である第1面S1を切断片52の上面として切断片52を切断部25より下流から切断部25より上流に搬送する。
【0043】
制御部49は、重ね工程において第2ローラー対42を逆転駆動した状態で、第1ローラー対41を逆転駆動することで、逆送工程を行う。すなわち、制御部49は、重ね工程及び逆送工程において、第1ローラー対41が第2ローラー対42より遅れて回転を開始するように搬送部23を駆動する。例えば、制御部49は、第1ローラー対41を回転させるモーターと、第2ローラー対42を回転させるモーターと、の駆動を個別に制御してもよい。搬送部23は、例えばクラッチにより動力伝達を切り替えて第1ローラー対41と第2ローラー対42とが時間差で回転を開始するようにしてもよい。
【0044】
次に、図10に示すように、制御部49は、第1ローラー対41と共に、下流搬送ローラー対40、上流搬送ローラー対39、反転ローラー37、及び供給ローラー対36を逆転駆動する。搬送部23は、切断片52の第2端52bが元部51に重なった状態で切断部25、第1ローラー対41、下流搬送ローラー対40、支持部29、及び上流搬送ローラー対39の順に通過するように、切断片52及び元部51を下流から上流に搬送する。換言すると、搬送部23は、切断片52の第2端52bが元部51に重なった状態で、切断片52の第2端52bを第1ローラー対41の上流まで搬送する。搬送部23は、切断片52の第2端52bが元部51に重なった状態で、切断片52の第2端52bをインク受け30より上流まで搬送する。
【0045】
下流から上流に搬送される切断片52の第2端52b及び元部51の下流端51aが上流搬送ローラー対39を通過すると、制御部49は、上流搬送ローラー対39、下流搬送ローラー対40、第1ローラー対41、第2ローラー対42の駆動を停止する。具体的には、制御部49は、切断片52と元部51の重なった部分が上流搬送ローラー対39より上流に位置し、且つ供給路22aから反転路22bが分岐する分岐点P1と上流搬送ローラー対39との間に切断片52の第2端52bが位置するように、切断片52の搬送を停止する。
【0046】
次に、図11に示すように、制御部49は、上流搬送ローラー対39、下流搬送ローラー対40、第1ローラー対41、第2ローラー対42の駆動を停止するのに対し、反転ローラー37及び供給ローラー対36の逆転駆動は続ける。そのため、切断片52は、第2端52bが上流搬送ローラー対39と分岐点P1との間に位置したまま残るのに対し、元部51は、逆送方向D2に搬送される。元部51の下流端51aが合流点P2を下流に通過すると、制御部49は、反転ローラー37及び供給ローラー対36の駆動を停止する。
【0047】
次に、図12に示すように、制御部49は、切断片52の第2面S2を上面とする反転工程を実行する。反転工程では、制御部49は、供給ローラー対36の駆動を停止させた状態で反転ローラー37を正転駆動し、上流搬送ローラー対39、下流搬送ローラー対40、第1ローラー対41、及び第2ローラー対42を逆転駆動する。搬送部23は、切断片52を逆送方向D2に搬送し、分岐点P1から反転路22bに送ると共に、合流点P2から供給路22aに戻す。供給路22aに戻った切断片52は、供給路22aを順送方向D1に搬送される。この反転後の順送方向D1への搬送時に切断片52の下流端となる第2端52bが上流搬送ローラー対39を下流に通過すると、制御部49は、逆転駆動していた上流搬送ローラー対39、下流搬送ローラー対40、第1ローラー対41、及び第2ローラー対42を正転駆動に切り替える。
【0048】
切断片52は、反転工程により上流端と下流端が入れ替わり、それまで上流端であった第2端52bが下流端になると共に、それまで下流端であった第1端52aが上流端となる。また、それまで下面であった第2面S2が上面になると共に、それまで上面であった第1面S1が下面になる。切断片52が合流点P2を通過して反転すると、制御部49は、停止していた供給ローラー対36を正転駆動する。
【0049】
次に、図13に示すように、制御部49は、切断片52に印刷する第2印刷工程を実行する。第2印刷工程では、搬送部23が枚葉紙状の媒体である切断片52を順送方向D1に搬送しつつ印刷部24が印刷位置A1に位置する切断片52の第2面S2に向けてインクを吐出し印刷する。
【0050】
すなわち、図14及び図15に示すように、枚葉紙状の媒体である切断片52の第2面S2には、第1面S1に印刷された印刷領域60と前後方向Yで位置が一致する印刷領域60が形成される。また、切断片52の第2面S2において、順送方向D1への搬送時に下流端となる第2端52bと印刷領域60との間の領域は、幅方向Xに沿う境界65を介して印刷領域60に接する下流余白としての余白66となる。また、切断片52の第2面S2において、同じく順送方向D1への搬送時に上流端となる第1端52aと印刷領域60との間の領域は、幅方向Xに沿う境界63を介して印刷領域60に接する上流余白としての余白64となる。切断片52は、こうした下流余白としての余白66及び上流余白としての余白64が印刷領域60の両側に存在することで、姿勢が安定するため、第2印刷工程での印刷不良が抑制される。
【0051】
次に、図16に示すように、制御部49は、順送方向D1に搬送される切断片52での下流余白である余白66と印刷領域60との境界65が切断位置A2に達すると、搬送部23の駆動を停止させた状態で、切断片52から余白66の部分である切断屑47を切除する下流余白の切除工程を実行する。すなわち、固定刃34に刃先を接触させた移動刃33が切断片52を幅方向Xの一方側から他方側となる第1方向へ境界65に沿って横切るように移動することで切断する。すると、切断片52から切断位置A2の下流側に余白66の部分である切断屑47が切り落とされる。そして、その切断屑47は、図16に二点鎖線で示すように切断位置A2の下流の隙間B1を落下して、下方の収容部20の収容室21に収容される。
【0052】
次に、図17に示すように、制御部49は、順送方向D1に搬送される切断片52での上流余白である余白64と印刷領域60との境界63が切断位置A2に達すると、搬送部23の駆動を停止させた状態で、切断片52から余白64の部分である切断屑47を切除する上流余白の切除工程を実行する。すなわち、固定刃34に刃先を接触させた移動刃33が切断片52を幅方向Xの他方側から一方側となる第2方向へ境界63に沿って横切るように移動することで切断する。すると、切断片52から切断位置A2の上流側に余白64の部分である切断屑47が切り落とされる。そして、その切断屑47は、図17に二点鎖線で示すように切断位置A2の上流の隙間B2を落下して、下方の収容部20の収容室21に収容される。
【0053】
また、この場合において、切断片52から切断位置A2の上流側に切り落とされた切断屑47は、隙間B2に臨んで固定刃34を固定している本体フレーム32の上端部が隙間B2内に向かって斜め下方に傾斜した斜面32aになっているため、引っ掛かったりすることなく隙間B2を落下して収容部20に収容される。なお、上記の下流余白の切除工程及び上流余白の切除工程で切断片52から切除される部分は、重ね工程及び逆送工程において、元部51と重なっていた部分を含む。その後、制御部49は、両面に印刷された切断片52を、排出口14から排出する。
【0054】
本実施形態の効果について説明する。
(1)枚葉紙状の媒体である切断片52の下流端側の余白66と印刷領域60との境界65を切断することで切断部25による切断位置A2の下流には下流端側の切断屑47が生じる。一方、枚葉紙状の媒体である切断片52の上流端側の余白64と印刷領域60との境界63を切断することで切断部25による切断位置A2の上流には上流端側の切断屑47が生じる。この場合、本実施形態では、切断位置A2の下流にある隙間B1と上流にある隙間B2を介して下流端側の切断屑47及び上流端側の切断屑47を共に収容部20に収容することができる。
【0055】
(2)第1面S1に印刷がされた枚葉紙状の媒体である切断片52を反転させて第2面S2に印刷する第2印刷工程の時点では切断片52に下流余白である余白66と上流余白である余白64とが残されている。そのため、第2印刷工程では切断片52の姿勢を安定させて印刷不良を抑制でき、その後の切除工程で各余白66,64を、切断屑47として切除できる。
【0056】
(3)移動刃33は、本体フレーム32に固定された固定刃34と同様に本体フレームに固定されたガイド部材35に取り付けられた状態で固定刃34の刃線に沿って移動する構成であるため、切断部25を構成する固定刃34と移動刃33との位置関係を安定させ易い。
【0057】
(4)固定刃34の刃線に沿って移動刃33が第1方向に移動するときだけではなく、その第1方向への移動に続けて第2方向に移動するときにも、長尺の媒体S又は枚葉紙状の媒体である切断片52から切断屑47を切り離すことができるので、切断屑47の切除を継続して効率よく実行できる。
【0058】
(5)収容部20は枚葉紙状の媒体である切断片52から切断された下流端側の切断屑47及び上流端側の切断屑47を共に同じ1つの収容室21に収容でき、その収容部20を前方に向けて取り外すことにより収容室21に収容されている切断屑47を容易に捨てることができる。
【0059】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図18に示すように、収容部20は、切断部25の下方に位置した場合に切断位置A2の上流の隙間B2に連通する第1室121を有する第1収容部120と、切断部25の下方に位置した場合に切断位置A2の下流の隙間B1に連通する第2室221を有する第2収容部220と、を備える構成としてもよい。また、この場合には、第1収容部120及び第2収容部220のうち少なくとも第2収容部220が切断部25の下方から媒体Sの搬送方向で下流となる前方に向けて取り外し可能である構成であってもよい。
【0060】
この構成によれば、上流側の第1室121よりも多くの切断屑47が溜まりやすい下流側の第2室221を有する第2収容部220が取り外し可能であるので、第2室221に収容されている切断屑47を容易に捨てることができる。
【0061】
図19に示すように、切断部25は、枚葉紙状の媒体である切断片52において下流余白である余白66や上流余白である余白64を、幅方向Xに平行な複数の切断線62に沿って複数の紙片に各々切断する構成であってもよい。
【0062】
この構成によれば、下流余白である余白66の切断により生じる下流端側の切断屑47及び上流余白である余白64の切断により生じる上流端側の切断屑47の各々を細くできる。そのため、そうした切断屑47を落下させる上流の隙間B2や下流の隙間B1も狭いものにでき、その分、印刷装置11のコンパクト化に貢献できる。なお、長尺の媒体Sに縁無し印刷をする場合には、印刷領域60と印刷領域60との間の余白部分61が縁有り印刷をする場合に比して大きくなるため、こうした余白部分の切断で生じる切断屑47を細かくすることは、印刷装置11のコンパクト化を図る上で好ましい。
【0063】
・切断部25は、移動刃33が固定刃34の刃線に沿って幅方向Xの第1方向及び第2方向の何れか一方向への移動時に媒体Sを切断する構成であってもよい。
・切断部25は、固定刃34を備えずに、幅方向Xに移動する移動刃33又は前後方向Yと交差する方向に移動して媒体Sを切断する移動刃33を備える構成であってもよい。この場合には、固定刃34が存在しないため、移動刃33が切断時の位置から退避位置に退避すれば、切断屑47を落下させるための隙間B1,B2を大きくできる。
【0064】
・収容部20は、印刷装置11の筐体12から取り外しされずに、切断部25の下方に固定された構成であってもよい。但し、その場合には、収容部20の前面20aに収容室21内からの切断屑47の取り出しを可能とするための開閉蓋などを設けることが好ましい。
【0065】
・枚葉紙状の媒体である切断片52における下流余白としての余白66及び上流余白としての余白64は、全く画像が印刷されない領域に限らず、印刷領域60に印刷された画像の品質に影響を与えない範囲内で当該印刷領域60の一部も含む所定の領域であってもよい。換言すると、切断部25は、印刷領域60を有する枚葉紙状の媒体である切断片52から、搬送時における下流端である第2端52b側の余白66を含む部分及び上流端である第1端52a側の余白64を含む部分を、余白66と印刷領域60との境界65及び余白64と印刷領域60との境界63とは異なる箇所で切断してもよい。
【0066】
・印刷装置11は、媒体にインクなどの液体やトナーなどの流体を付着させることにより文字や絵、写真などの画像を印刷する装置であって、シリアルプリンター、ラテラル式プリンター、ラインプリンター、ページプリンターなどとしてもよい。また、印刷装置は、オフセット印刷装置、捺染印刷装置などとしてもよい。印刷装置は、少なくとも媒体に印刷する印刷機能を有していればよく、印刷機能以外の機能も併せ持つ複合機としてもよい。
【0067】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)印刷装置は、媒体に印刷する印刷部と、前記媒体が搬送される搬送路における前記印刷部よりも下流で前記媒体を切断する切断部と、前記切断部の下方に配置され、前記切断部による前記媒体の切断で生じた切断屑を収容する収容部と、を備え、前記切断部は、前記媒体の下流端と前記印刷部による印刷領域との間の領域である下流余白と前記印刷領域との境界を切断可能であると共に、前記媒体の上流端と前記印刷領域との間の領域である上流余白と前記印刷領域との境界を切断可能であり、前記搬送路における前記切断部による前記媒体の切断位置の上流と下流とには、前記収容部に連通する隙間がある。
【0068】
この構成によれば、媒体の下流余白と印刷領域との境界を切断することで切断部による切断位置の下流に生じる下流端側の切断屑と、媒体の上流余白と印刷領域との境界を切断することで切断部による切断位置の上流に生じる上流端側の切断屑とを、切断位置の下流と上流の各隙間を介して収容部に収容することができる。
【0069】
(B)印刷装置において、前記切断部は、前記印刷部により第1面に印刷がされた前記媒体における前記第1面とは異なる第2面での、前記下流余白と前記印刷領域との境界及び前記上流余白と前記印刷領域との境界を、切断する構成であってもよい。
【0070】
この構成によれば、第1面に印刷がされた媒体を反転させて第2面に印刷する時点では媒体の姿勢を安定させるために当該媒体に下流余白と上流余白とを残しておき、第2面の印刷が終わってから下流端側の切断屑及び上流端側の切断屑を切断位置の下流と上流との各隙間を介して収容部に収容することができる。
【0071】
(C)印刷装置において、前記切断部は、前記搬送路と交差する方向に刃線が延びる固定刃と、前記固定刃の前記刃線に沿って延びるように設けられたガイド部材と、前記ガイド部材に取り付けられ、前記固定刃の前記刃線に沿って移動可能な移動刃と、を有し、前記固定刃及び前記ガイド部材は、前記印刷装置の本体フレームに固定されている構成であってもよい。
【0072】
この構成によれば、移動刃は、固定刃と同様に本体フレームに固定されたガイド部材に取り付けられた状態で固定刃の刃線に沿って移動する構成であるため、切断部を構成する固定刃と移動刃との位置関係を安定させ易い。
【0073】
(D)印刷装置において、前記切断部は、前記移動刃が第1方向に移動するときと、前記移動刃が前記第1方向とは反対の第2方向に移動するときと、の両方で前記媒体を切断する構成であってもよい。
【0074】
この構成によれば、固定刃の刃線に沿って移動刃が第1方向に移動するときだけではなく、その第1方向への移動に続けて第2方向に移動するときにも、媒体から切断屑を切り離すことができるので、切断屑の切除を継続して効率よく実行できる。
【0075】
(E)印刷装置において、前記収容部は、前記切断部の下方に位置した場合に前記切断位置の上流の隙間と前記切断位置の下流の隙間との両方に連通する収容室を有し、前記切断部の下方から前記媒体の搬送方向で下流となる前方に向けて取り外し可能である構成であってもよい。
【0076】
この構成によれば、収容部は媒体から切断された下流端側の切断屑及び上流端側の切断屑を共に同じ1つの収容室に収容でき、その収容部を前方に向けて取り外すことにより収容室に収容されている切断屑を容易に捨てることができる。
【0077】
(F)印刷装置において、前記収容部は、前記切断部の下方に位置した場合に前記切断位置の上流の隙間に連通する第1室を有する第1収容部と、前記切断部の下方に位置した場合に前記切断位置の下流の隙間に連通する第2室を有する第2収容部と、を備え、第1収容部及び前記第2収容部のうち少なくとも前記第2収容部が前記切断部の下方から前記媒体の搬送方向で下流となる前方に向けて取り外し可能である構成であってもよい。
【0078】
この構成によれば、上流側の第1室よりも多くの切断屑が溜まりやすい下流側の第2室を有する第2収容部が取り外し可能であるので、第2室に収容されている切断屑を容易に捨てることができる。
【0079】
(G)印刷装置において、前記切断部は、前記上流余白を複数の紙片に切断する構成であってもよい。
この構成によれば、上流余白の切断により生じる上流端側の切断屑を細くできるため、そうした切断屑を落下させる上流の隙間も狭いものにでき、その分、装置のコンパクト化に貢献できる。
【0080】
(F)印刷装置において、前記切断部は、前記下流余白を複数の紙片に切断する構成であってもよい。
この構成によれば、下流余白の切断により生じる下流端側の切断屑を細くできるため、そうした切断屑を落下させる下流の隙間も狭いものにでき、その分、装置のコンパクト化に貢献できる。
【符号の説明】
【0081】
11…印刷装置、14…排出口、20…収容部、20a…前面、21…収容室、22…搬送路、24…印刷部、25…切断部、32…本体フレーム、32a…斜面、33…移動刃、34…固定刃、35…ガイド部材、41…第1ローラー対、42…第2ローラー対、44…接触部、45…ガイド部、47…切断屑、52…切断片、52a…上流端としての第1端、52b…下流端としての第2端、60…印刷領域、63…境界、64…上流余白としての余白、65…境界、66…下流余白としての余白、120…第1収容部、121…第1室、220…第2収容部、221…第2室、A2…切断位置、B1,B2…隙間、D1…順送方向、D2…逆送方向、S…媒体、S1…第1面、S2…第2面、X…幅方向、Y…前後方向、Z…鉛直方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19