(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 3/36 20060101AFI20231219BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20231219BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20231219BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41J3/36 T
B41J29/13
H01M50/244 Z
H01M50/271 B
H05K5/03 A
(21)【出願番号】P 2020015261
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】谷▲崎▼ 将司
(72)【発明者】
【氏名】岩本 匡司
(72)【発明者】
【氏名】神田 龍一
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕也
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-301272(JP,A)
【文献】特開2016-068491(JP,A)
【文献】特開2014-194874(JP,A)
【文献】特開2013-111756(JP,A)
【文献】実開昭58-187966(JP,U)
【文献】実開昭59-036004(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0153618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/36
H01M 50/20
B41J 29/13
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用テープを収納した印刷用カセットが装着可能なカセット収納部と、バッテリが装着可能なバッテリ収納部とを有する筐体と、
前記バッテリを動力源として前記印刷用テープに印刷を行う印刷部と、
前記カセット収納部の少なくとも一部を覆う閉位置と、前記カセット収納部への前記印刷用カセットの装着を許容する開位置とに移動可能な筐体カバーと、
前記筐体カバーと分離して前記バッテリ収納部の少なくとも一部を覆
い、前記カセット収納部を覆わないように前記筐体に装着可能なバッテリカバーと、
を備え、
前記筐体カバーは、前記閉位置にあるとき、前記筐体に装着された前記バッテリカバーの少なくとも一部を覆う、印刷装置。
【請求項2】
印刷用テープを収納した印刷用カセットが装着可能なカセット収納部と、バッテリが装着可能なバッテリ収納部とを有する筐体と、
前記バッテリを動力源として前記印刷用テープに印刷を行う印刷部と、
前記カセット収納部の少なくとも一部を覆う閉位置と、前記カセット収納部への前記印刷用カセットの装着を許容する開位置とに移動可能な筐体カバーと、
前記筐体カバーと分離して前記バッテリ収納部の少なくとも一部を覆うように前記筐体に装着可能なバッテリカバーと、
を備え、
前記筐体カバーは、前記閉位置にあるとき、前記筐体に装着された前記バッテリカバーの少なくとも一部を覆うように構成され、
更に、前記筐体カバーは、
前記カセット収納部の少なくとも一部を覆う蓋部と、
前記蓋部を前記筐体に対し回動させる軸部と、
前記蓋部と前記軸部とを連結するアーム部と、
を有し、
前記筐体は、前記軸部を回転可能に支持する軸受けを有し、
前記軸部は、前記軸受けを前記軸部の回転軸心と平行な方向に貫通し、
前記バッテリカバーが前記筐体に装着され、かつ前記筐体カバーが前記閉位置にある状態で、前記バッテリカバーは、前記軸部の前記回転軸心と平行な方向において、前記アーム部と重なる
、印刷装置。
【請求項3】
前記アーム部は、前記軸部の前記回転軸心と平行な方向において、前記筐体に装着された前記バッテリカバーよりも前記筐体の内側に配置される、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷用テープを収納した印刷用カセットが装着可能なカセット収納部と、バッテリが装着可能なバッテリ収納部とを有する筐体と、
前記バッテリを動力源として前記印刷用テープに印刷を行う印刷部と、
前記カセット収納部の少なくとも一部を覆う閉位置と、前記カセット収納部への前記印刷用カセットの装着を許容する開位置とに移動可能な筐体カバーと、
前記筐体カバーと分離して前記バッテリ収納部の少なくとも一部を覆うように前記筐体に装着可能なバッテリカバーと、
を備え、
前記筐体カバーは、前記閉位置にあるとき、前記筐体に装着された前記バッテリカバーの少なくとも一部を覆うように構成され、
更に、前記筐体カバーは、
前記カセット収納部の少なくとも一部を覆う蓋部と、
前記蓋部を前記筐体に対し回動させる軸部と、
前記蓋部と前記軸部とを連結するアーム部と、
前記筐体カバーが前記閉位置にあるときに前記印刷用カセットの前記カセット収納部から離脱する方向の移動を規制すると共に、前記アーム部と一体化された規制部と、
を有する
、印刷装置。
【請求項5】
印刷用テープを収納した印刷用カセットが装着可能なカセット収納部と、バッテリが装着可能なバッテリ収納部とを有する筐体と、
前記バッテリを動力源として前記印刷用テープに印刷を行う印刷部と、
前記カセット収納部の少なくとも一部を覆う閉位置と、前記カセット収納部への前記印刷用カセットの装着を許容する開位置とに移動可能な筐体カバーと、
前記筐体カバーと分離して前記バッテリ収納部の少なくとも一部を覆うように前記筐体に装着可能なバッテリカバーと、
を備え、
前記筐体カバーは、前記閉位置にあるとき、前記筐体に装着された前記バッテリカバーの少なくとも一部を覆うように構成され、
前記筐体は、前記バッテリ収納部内に配置された端子を有し、
前記バッテリカバーは、前記筐体へ装着される際に前記バッテリを前記端子に向かって押圧する押圧部を有し、
前記押圧部による前記バッテリの押圧方向は、前記筐体カバーの前記開位置から前記閉位置への移動方向と交差する
、印刷装置。
【請求項6】
印刷用テープを収納した印刷用カセットが装着可能なカセット収納部と、バッテリが装着可能なバッテリ収納部とを有する筐体と、
前記バッテリを動力源として前記印刷用テープに印刷を行う印刷部と、
前記カセット収納部の少なくとも一部を覆う閉位置と、前記カセット収納部への前記印刷用カセットの装着を許容する開位置とに移動可能な筐体カバーと、
前記筐体カバーと分離して前記バッテリ収納部の少なくとも一部を覆うように前記筐体に装着可能なバッテリカバーと、
を備え、
前記筐体カバーは、前記閉位置にあるとき、前記筐体に装着された前記バッテリカバーの少なくとも一部を覆うように構成され、
前記印刷部による印刷が行われた前記印刷用テープを切断するカッターをさらに備え、
前記印刷部は、前記印刷用テープをニップするように前記カセット収納部に装着された前記印刷用カセットに向かって移動する可動部を有し、
前記筐体カバーは、
前記カセット収納部の少なくとも一部を覆う蓋部と、
前記蓋部を前記筐体に対し回動させる軸部と、
を有し、
前記バッテリ収納部、前記カセット収納部及び前記可動部は、前記軸部の回転軸心と平行な方向において、前記バッテリ収納部、前記カセット収納部及び前記可動部の順に配置され、
前記軸部、前記カセット収納部及び前記カッターは、前記軸部の前記回転軸心と前記カセット収納部への前記印刷用カセットの挿入方向との双方に直交する方向において、前記軸部、前記カセット収納部及び前記カッターの順に配置される
、印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷用テープに対し、印刷ヘッド及びローラを駆動して印刷を行う印刷装置が公知である。印刷用テープは、カセットを筐体に装着することで供給される。また、筐体に装着されたバッテリから印刷ヘッド及びローラへ動力が供給される。
【0003】
バッテリは、一般に筐体に設けられたバッテリ収納部に挿入され、着脱可能なバッテリカバーによって覆われる(特許文献1参照)。このバッテリカバーは、筐体の外装の一部を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、バッテリカバーが筐体の外装を構成する場合、印刷装置が落下した際にバッテリカバーが筐体から外れ易い。そのため、印刷装置の落下時にバッテリが筐体から飛び出すおそれがある。
【0006】
本開示の一局面は、バッテリの筐体から飛び出しを抑制できる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、印刷用テープを収納した印刷用カセットが装着可能なカセット収納部と、バッテリが装着可能なバッテリ収納部とを有する筐体と、バッテリを動力源として印刷用テープに印刷を行う印刷部と、カセット収納部の少なくとも一部を覆う閉位置と、カセット収納部への印刷用カセットの装着を許容する開位置とに移動可能な筐体カバーと、バッテリカバーと、を備える印刷装置である。
【0008】
バッテリカバーは、筐体カバーと分離してバッテリ収納部の少なくとも一部を覆うように筐体に装着可能である。筐体カバーは、閉位置にあるとき、筐体に装着されたバッテリカバーの少なくとも一部を覆う。
【0009】
このような構成によれば、バッテリカバーを筐体カバーが覆うため、バッテリが二重のカバーで保護される。そのため、印刷装置の落下時にバッテリカバーが筐体から外れても筐体カバーによってバッテリの筐体からの飛び出しが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1Aは、実施形態における印刷装置を示す模式的な斜視図であり、
図1Bは、
図1Aの印刷装置において筐体カバーを開位置に移動させた状態を示す模式的な斜視図である。
【
図3】
図3Aは、
図1Bの印刷装置においてバッテリカバー及びバッテリを取り出した状態を示す模式的な斜視図であり、
図3Bは、
図1Bの印刷装置においてバッテリカバーを取り出した状態を示す模式的な斜視図である。
【
図8】
図8は、
図3Bの印刷用装置にバッテリカバーを装着する状態を示す模式的な斜視図である。
【
図9】
図9は、
図1Aの印刷装置における筐体の内部の一部を図示した模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1A,1Bに示す印刷装置1は、筐体2と、印刷部3と、筐体カバー4と、バッテリカバー5と、カッター6とを備える。
【0012】
印刷装置1は、筐体2に装着される印刷用カセットが収納したテープ状の印刷媒体(つまり印刷用テープ)に印刷を行う装置である。
【0013】
本実施形態では、印刷装置1に印刷用カセット及びバッテリBが挿入される方向を後方、印刷装置1から印刷用カセット及びバッテリBが取り出される方向を前方とする。また、筐体2から印刷後の印刷用テープが排出される方向を左方、その反対方向を右方とし、前後方向と左右方向との双方に直交する方向を上下方向とする。
【0014】
<筐体>
筐体2は、
図2及び
図3Aに示すように、本体21と、カセット収納部22と、第1軸受け23と、第2軸受け24と、バッテリ収納部25と、端子26と、ガイド27と、第1受容部28と、第2受容部29とを有する。
【0015】
(本体)
本体21は、略立方体形状である。本体21は、筐体2の外面を構成する。
【0016】
本体21は、前方の端部が開口し、後方の端部が閉じている。本体21を前後方向から視た形状は、角が面取りされた矩形状である。本体21は、印刷装置1の上面、下面、左側面、右側面、及び後面を構成する。本体21の左側面には、開口21Bが設けられている。
【0017】
(カセット収納部)
カセット収納部22は、印刷用テープを収納した印刷用カセットが装着可能に構成された凹部である。カセット収納部22は、印刷用カセットの位置決め機能を有する。
【0018】
印刷装置1は、印刷用カセットの交換により、印刷媒体の補給、及び印刷媒体の種類(例えば、色、材質等)の変更ができる。
【0019】
カセット収納部22は、本体21の内面21Sと、本体21の内部に配置された内壁21Aとによって画定されている。カセット収納部22は、前方が開口している。印刷用カセットは、前方から後方に向かってカセット収納部22に挿入される。
【0020】
(軸受け)
第1軸受け23は、筐体カバー4の第1軸部42を回転可能に支持している。第2軸受け24は、筐体カバー4の第2軸部43を回転可能に支持している。
【0021】
第1軸受け23及び第2軸受け24は、それぞれ、本体21内部の右端に配置されている。つまり、第1軸受け23及び第2軸受け24は、それぞれ、カセット収納部22よりも右に配置されている。また、第1軸受け23と第2軸受け24とは、上下方向に離れて配置されている。
【0022】
(バッテリ収納部)
バッテリ収納部25は、印刷部3に電力を供給するバッテリB(
図3B参照)が装着可能に構成された凹部である。
【0023】
バッテリ収納部25は、本体21の内面21Sと、本体21の内部に配置された内壁21Aとによって画定されている。バッテリ収納部25は、カセット収納部22の下方に配置されている。
【0024】
バッテリ収納部25は、上面と下面と左側面と後面とを有する。つまり、バッテリ収納部25は、前方と右方とが開口している。バッテリBは、前方から後方に向かってバッテリ収納部25に挿入される。
【0025】
(端子)
端子26は、バッテリ収納部25内において、バッテリ収納部25の左側面に配置されている。端子26は、バッテリ収納部25に装着されたバッテリBの端子と電気的に接続されることで、バッテリBから印刷部3へ電力を供給する。
【0026】
(ガイド)
ガイド27は、バッテリ収納部25の外側に配置されると共に、バッテリカバー5を筐体2への装着位置に向けて誘導する板状のリブである。ガイド27は、本体21内部の右端に配置されている。
【0027】
(受容部)
第1受容部28は、バッテリカバー5が装着位置にあるときに第1爪51Dが係合する凹部又は孔である。第1受容部28は、バッテリ収納部25の後面を構成する本体21の底面に設けられ、バッテリ収納部25よりも右に位置している。
【0028】
第2受容部29は、バッテリカバー5が装着位置にあるときに第2爪52Bが係合する凹部又は孔である。第2受容部29は、バッテリ収納部25の左方かつ上方に配置されている。
【0029】
<印刷部>
印刷部3は、バッテリ収納部25に装着されたバッテリBを動力源として、カセット収納部22に装着された印刷用カセットの印刷用テープに印刷を行う。印刷部3は、
図2に示すように、印刷ヘッド31と、可動部32と、駆動シャフト33とを備える。
【0030】
(印刷ヘッド)
印刷ヘッド31は、バッテリ収納部25の内部に配置されている。印刷ヘッド31は、個別に発熱が制御される複数の発熱素子を有する。
【0031】
(可動部)
可動部32は、前後方向と垂直な面内で揺動可能なように筐体2に取り付けられている。可動部32は、印刷用テープを印刷装置1から排出するためのプラテンローラ32Aを有する。
【0032】
可動部32は、プラテンローラ32Aによって印刷用カセットの印刷用テープをニップするように、カセット収納部22に配置された印刷ヘッド31に向かって移動する。印刷用テープは、プラテンローラ32Aによって印刷ヘッド31に押し当てられる。
【0033】
図3Aに示すように、バッテリ収納部25、カセット収納部22及び可動部32は、上下方向において、下からバッテリ収納部25、カセット収納部22及び可動部32の順に配置されている。
【0034】
(駆動シャフト)
駆動シャフト33は、バッテリ収納部25の内部に配置されている。駆動シャフト33は、印刷用カセットに印刷用テープを搬送するための駆動力を入力する。
【0035】
<筐体カバー>
筐体カバー4は、カセット収納部22の少なくとも一部を覆う閉位置(
図1A参照)と、カセット収納部22への印刷用カセットの装着を許容する開位置(
図1B参照)とに移動可能である。また、筐体カバー4は、閉位置にあるとき、筐体2に装着されたバッテリカバー5の少なくとも一部を覆う。
【0036】
本実施形態では、筐体カバー4は、閉位置において、カセット収納部22の全体と、バッテリ収納部25及びバッテリカバー5の全体と、印刷部3の全体とを覆う。つまり、筐体カバー4は、筐体2の全体を前方から覆って、筐体2の内部(つまりカセット収納部22)に閉空間を形成するように構成されている。
【0037】
筐体カバー4は、蓋部41と、第1軸部42と、第2軸部43と、第1アーム部44と、第2アーム部45と、第1規制部46Aと、第2規制部46Bと、第3規制部46Cと、第4規制部46Dと、第5規制部46Eとを有する。
【0038】
(蓋部)
蓋部41は、筐体カバー4が閉位置にあるときにカセット収納部22及びバッテリ収納部25を覆う部位である。蓋部41は、印刷装置1の前面を構成する。
【0039】
蓋部41は、閉位置において筐体2の本体21に係合するカバー爪41Aを有する。カバー爪41Aは、閉位置における蓋部41の左端に設けられている。筐体カバー4は、カバー爪41Aの係合によって、閉位置に保持される。
【0040】
(軸部及びアーム)
第1軸部42及び第2軸部43は、それぞれ、蓋部41を筐体2に対し回動させる棒状の部位である。
【0041】
第1軸部42は、第1軸受け23を第1軸部42の回転軸心と平行な方向に貫通している。第2軸部43は、第2軸受け24を第2軸部43の回転軸心と平行な方向に貫通している。
【0042】
第1アーム部44は、蓋部41と第1軸部42とを連結する部位である。第1アーム部44は、筐体カバー4が閉位置にある状態において、蓋部41から後方に向かって突出している。第1アーム部44の第1軸部42が取り付けられた端部は、筐体カバー4が閉位置にある状態において、右方向に湾曲している。
【0043】
第2アーム部45は、蓋部41と第2軸部43とを連結する部位である。第2アーム部45は、第1アーム部44と同様の形状を有する。第2アーム部45は、第1アーム部44よりも上方に配置されている。
【0044】
第1軸部42及び第2軸部43は、それぞれ、上下方向と平行な回転軸心を有する。したがって、蓋部41は、第1軸部42、第2軸部43、第1アーム部44及び第2アーム部45によって、上下方向と平行な回転軸心を中心として回動する。
【0045】
(規制部)
規制部46A,46B,46C,46D,46Eは、それぞれ、筐体カバー4が閉位置にあるときに印刷用カセットのカセット収納部22から離脱する方向の移動を規制する。
【0046】
規制部46A,46B,46C,46D,46Eは、それぞれ、筐体カバー4が閉位置にある状態において、蓋部41から後方に向かって突出している。筐体カバー4が閉位置にある状態でカセット収納部22内の印刷用カセットが蓋部41に近づく方向(つまり前方)に移動すると、規制部46A,46B,46C,46D,46Eに当接し、印刷用カセットのそれ以上の移動が規制される。
【0047】
第1規制部46Aは、第1アーム部44と一体化されている。具体的には、第1規制部46Aは、蓋部41に近い根元部分が第1アーム部44と接合されている。第1規制部46Aは、筐体カバー4が閉位置にある状態において、第1アーム部44よりも左方かつ上方に位置する。
【0048】
第2規制部46Bは、第2アーム部45と一体化されている。具体的には、第2規制部46Bは、蓋部41に近い根元部分が第2アーム部45と接合されている。第2規制部46Bは、筐体カバー4が閉位置にある状態において、第2アーム部45よりも左方かつ上方に位置する。
【0049】
<バッテリカバー>
バッテリカバー5は、筐体カバー4と分離してバッテリ収納部25の少なくとも一部を覆うように筐体2に装着可能である。本実施形態では、バッテリカバー5は、バッテリ収納部25の全体を覆って、バッテリ収納部25内に閉空間を形成するように構成されている。
【0050】
バッテリカバー5は、
図4A,4B,4C及び
図5A,5B,5C,5Dに示すように、第1壁部51と、第2壁部52と、押圧部53と、補強部54とを有する。
【0051】
(第1壁部)
第1壁部51は、バッテリカバー5が筐体2への装着位置にあるときに、バッテリ収納部25に配置されたバッテリBの右側面を覆う部位である。
【0052】
第1壁部51は、バッテリカバー5の装着時に、筐体2のガイド27に沿って後方にスライドする。第1壁部51は、第1端部51Aと、第2端部51Bと、第1壁面51Cと、第1爪51Dとを有する。
【0053】
第1端部51Aは、バッテリカバー5が装着位置にあるときに後方に位置する端部である。第2端部51Bは、バッテリカバー5が装着位置にあるときに前方に位置する端部である。
【0054】
第1壁面51Cは、第1端部51Aの右側面である。第1爪51Dは、第1壁面51Cから後方に向かって突出している。第1爪51Dは、筐体2の第1受容部28に係合する。第1爪51Dは、バッテリカバー5の筐体2への装着時に、ガイド27に当接する外面51Eを有する。外面51Eは、第1爪51Dの右側面の一部であり、左右方向と直交する。
【0055】
(第2壁部)
第2壁部52は、バッテリカバー5が筐体2への装着位置にあるときに、バッテリ収納部25に配置されたバッテリBの前面を覆う部位である。
【0056】
第2壁部52は、第1壁部51の第2端部51Bから、第1壁部51の外面51Eと交差する方向(具体的には左方向)に延伸している。第2壁部52は、第2壁面52Aと、第2爪52Bとを有する(
図5B参照)。
【0057】
第2壁面52Aは、第2壁部52の左端部における後方の面である。第2爪52Bは、第2壁面52Aから左方に向かって突出している。第2爪52Bは、筐体2の第2受容部29に係合する。
【0058】
(押圧部)
図5Dに示す押圧部53は、バッテリカバー5が筐体2へ装着される際にバッテリBを端子26に向かって押圧する部位である。
【0059】
図6に矢印で示すように、押圧部53によるバッテリBの押圧方向は、左方向である。そのため、押圧部53によるバッテリBの押圧方向は、筐体カバー4の開位置から閉位置への移動方向と交差する。
【0060】
押圧部53は、板状の第1リブ53Aと、板状の第2リブ53Bとを有する。第1リブ53A及び第2リブ53Bは、それぞれ、第1壁部51の外面51Eとは反対側の内面51Fと、第2壁部52の内側の面(つまり内面)52Cとに跨って配置されている(
図5B参照)。
【0061】
第1リブ53A及び第2リブ53Bは、それぞれ、第1壁部51のスライド方向(つまりに前後方向)に延伸している。第1リブ53A及び第2リブ53Bの厚み方向は、上下方向と平行である。第1リブ53Aと第2リブ53Bとは、上下方向に離れて配置されている。
【0062】
(補強部)
補強部54は、第1壁部51から、第2壁部52の延伸方向(つまり左方)に突出すると共に、前端部が第2壁部52に連結された板状の部位である。
【0063】
補強部54は、第1壁部51の第1端部51Aから第2端部51Bに向かうに連れて第2壁部52の延伸方向における突出幅が大きくなる。つまり、補強部54は、上方から視て、短い隣辺が第2壁部52の後端に連結され、長い隣辺が第1壁部51の左端に連結された直角三角形状を有する。補強部54は、バッテリカバー5が筐体2への装着位置にあるときに、バッテリ収納部25に配置されたバッテリBの上面の一部を覆う。
【0064】
(バッテリカバーと筐体カバーとの位置)
図7に示すように、バッテリカバー5が筐体2に装着され、かつ筐体カバー4が閉位置にある状態で、バッテリカバー5は、第1軸部42の回転軸心と平行な方向(つまり上下方向)において、第1アーム部44と重なる。具体的には、バッテリカバー5の第1壁部51の一部が、第1アーム部44と上下方向に重なる。
【0065】
第1アーム部44は、上下方向において、筐体2に装着されたバッテリカバー5よりも筐体2の内側に配置されている。つまり、第1アーム部44は、バッテリカバー5に上方から重なっている。
【0066】
(バッテリカバーの装着)
バッテリカバー5は、筐体カバー4が開位置にある状態で、以下の手順で筐体2に装着される。
【0067】
まず、
図8に示すように、第1端部51Aがスライドの先頭となる(つまりバッテリカバー5の装着時に第1端部51Aが後端部となる)向きで、第1壁部51を筐体2のガイド27に沿って後方にスライドさせる。
【0068】
具体的には、第2壁部52がバッテリBと前後方向に重なる向き(つまり、第2壁部52の延伸方向が左右方向と一致する向き)となるように、第1壁部51をバッテリBとガイド27との間に挿入する。このとき、第1壁部51のガイド27に沿ったスライドに伴って、押圧部53がバッテリBを端子26に向かって押圧する。
【0069】
第1壁部51のスライドにより、第1爪51Dが筐体2の第1受容部28に係合する。第1爪51Dの係合後、第2壁部52をバッテリBに向けて押すことで、第2爪52Bが筐体2の第2受容部29に係合する。このように、第1爪51Dは、バッテリカバー5の筐体2への装着時に、第2爪52Bが第2受容部29に係合する前に、第1受容部28に係合する。
【0070】
バッテリカバー5が装着され、かつ、印刷用カセットがカセット収納部22に装着された状態で筐体カバー4が閉位置に移動することで、印刷装置1が印刷可能状態となる。なお、本実施形態の印刷装置1は、例えば、下面(つまりバッテリ収納部25に最も近い面)を下にした姿勢で使用される。
【0071】
<カッター>
カッター6は、印刷部3による印刷が行われた印刷用テープを切断する。
図9に示すように、カッター6は、筐体2の左端に配置されている。カッター6は、上下方向に移動する刃を有する。カッター6で切断された印刷用テープは、筐体2の本体21の開口21Bから排出される。
【0072】
図3Aに示すように、第1軸部42、カセット収納部22及びカッター6は、左右方向において、右から第1軸部42、カセット収納部22及びカッター6の順に配置されている。
【0073】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)バッテリカバー5を筐体カバー4が覆うため、バッテリBが二重のカバーで保護される。そのため、印刷装置1の落下時にバッテリカバー5が筐体2から外れても筐体カバー4によってバッテリBの筐体2からの飛び出しが抑制される。
【0074】
(1b)バッテリカバー5が筐体2に装着され、かつ筐体カバー4が閉位置にある状態で、バッテリカバー5が上下方向において第1アーム部44と重なることで、第1軸部42の回転軸心と平行な方向における移動が規制される。その結果、第1軸部42が第1軸受け23から外れ、筐体カバー4が筐体2から脱離することが抑制できる。
【0075】
(1c)第1規制部46A及び第2規制部46Bがそれぞれ第1アーム部44及び第2アーム部45と一体化されることで、第1アーム部44及び第2アーム部45の強度が高められる。その結果、筐体カバー4の回転軸部分の耐久性が向上する。
【0076】
(1d)押圧部53によるバッテリBの押圧方向が筐体カバー4の開位置から閉位置への移動方向と交差することで、筐体カバー4の開閉に起因するバッテリBの端子26への押圧力の変動が抑制される。その結果、バッテリBと端子26との接続信頼性が高められる。
【0077】
(1e)上下方向においてバッテリ収納部25、カセット収納部22及び可動部32がこの順に配置されると共に、左右方向において第1軸部42、カセット収納部22及びカッター6がこの順に配置されることで、印刷用カセットの収納スペースを確保しつつ、筐体2の小型化を図ることができる。また、印刷装置1の使用時の重心が下方に配置されるため、印刷装置1の姿勢の安定性を高めることができる。
【0078】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0079】
(2a)上記実施形態の印刷装置において、筐体カバーは、必ずしもカセット収納部の全体とバッテリカバーの全体とを覆わなくてもよい。例えば、筐体カバーは、カセット収納部の一部のみを覆ってもよい。また、筐体カバーは、バッテリカバーの一部のみを覆ってもよい。
【0080】
(2b)上記実施形態の印刷装置において、筐体カバーは、必ずしも筐体に対して回動可能でなくてもよい。例えば、筐体カバーは、筐体に対してスライドするように構成されてもよいし、筐体に対して脱着可能に構成されてもよい。
【0081】
(2c)上記実施形態の印刷装置において、バッテリカバーは、必ずしもバッテリ収納部の全体を覆わなくてもよい。つまり、バッテリカバーはバッテリ収納部の一部のみを覆ってもよい。
【0082】
(2d)上記実施形態の印刷装置において、カセット収納部に収納される印刷用カセットは、印刷用テープの他に、インクリボン及びラミネートテープを収納してもよい。
【0083】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0084】
1…印刷装置、2…筐体、3…印刷部、4…筐体カバー、5…バッテリカバー、
6…カッター、21…本体、21A…内壁、21B…開口、22…カセット収納部、
23…第1軸受け、24…第2軸受け、25…バッテリ収納部、26…端子、
27…ガイド、28…第1受容部、29…第2受容部、31…印刷ヘッド、
32…可動部、32A…プラテンローラ、33…駆動シャフト、41…蓋部、
41A…カバー爪、42…第1軸部、43…第2軸部、44…第1アーム部、
45…第2アーム部、46A…第1規制部、46B…第2規制部、51…第1壁部、
51A…第1端部、51B…第2端部、51C…第1壁面、51D…第1爪、
51E…外面、51F…内面、52…第2壁部、52A…第2壁面、52B…第2爪、
53…押圧部、53A…第1リブ、53B…第2リブ、54…補強部。