(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】シャッター羽根用材料およびシャッター羽根
(51)【国際特許分類】
G03B 9/00 20210101AFI20231219BHJP
G03B 9/28 20210101ALI20231219BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20231219BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20231219BHJP
【FI】
G03B9/00 A
G03B9/28 A
B32B7/025
B32B7/023
(21)【出願番号】P 2020019085
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠木 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】江口 陽明
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-203310(JP,A)
【文献】特開2006-138974(JP,A)
【文献】特開2013-003554(JP,A)
【文献】特開平09-274218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/00-9/54
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッター羽根を製造するための材料であって、
光透過性を有する基材層と、
前記基材層の表側に設けられた透明導電層と、
前記透明導電層と前記基材層との間に設けられた着色層と、
前記基材層の裏側に設けられ、遮光性と導電性とを有する遮光導電層とを備え
、
前記着色層は、黒色以外の色に着色されていることを特徴とするシャッター羽根用材料。
【請求項2】
前記遮光導電層は、単層構成である請求項1に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項3】
前記遮光導電層は、導電性粒子を含有する樹脂材料で構成されている請求項2に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項4】
前記遮光導電層は、金属材料または金属酸化物材料で構成されている請求項2に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項5】
前記遮光導電層は、導電性を有する裏側導電層と、該裏側導電層と前記基材層との間に設けられ、遮光性を有する裏側遮光層とを備える多層構成である請求項1に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項6】
さらに、前記基材層と前記着色層との間に設けられた表側遮光層と、
前記裏側導電層と前記裏側遮光層との間に設けられた裏側着色層とを備え
、
前記裏側着色層は、黒色以外の色に着色されている請求項5に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項7】
前記裏側着色層は、第2顔料を含有する樹脂材料からなる請求項6に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項8】
前記裏側着色層は、第2顔料を含有する金属材料または前記第2顔料を含有する金属酸化物材料からなる請求項6に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項9】
前記第2顔料は、赤色の顔料、黄色の顔料、青色の顔料、緑色の顔料、橙色の顔料または白色の顔料である請求項7または8のいずれか1項に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項10】
前記遮光導電層の表面抵抗値は、前記透明導電層の表面抵抗値より小さい請求項1~
4のいずれか1項に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項11】
前記透明導電層および前記遮光導電層の表面抵抗値は、それぞれ、1×10
8Ω・cm以下である請求項1~
4または10のいずれか1項に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項12】
当該シャッター羽根用材料の厚さ方向における可視光の透過率は、1×10
-8%以下である請求項1~
11のいずれか1項に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1項に記載のシャッター羽根用材料を加工してなることを特徴とするシャッター羽根。
【請求項14】
前記着色層は、第1顔料を含有する樹脂材料からなる請求項1~13のいずれか1項に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項15】
前記着色層は、第1顔料を含有する金属材料または前記第1顔料を含有する金属酸化物材料からなる請求項1~13のいずれか1項に記載のシャッター羽根用材料。
【請求項16】
前記第1顔料は、赤色の顔料、黄色の顔料、青色の顔料、緑色の顔料、橙色の顔料または白色の顔料である請求項14または15のいずれか1項に記載のシャッター羽根用材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター羽根用材料およびシャッター羽根に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシャッター羽根は、一方向に整列した炭素繊維とマトリックス樹脂とからなる複合強化樹脂を複数積層し、その最表層に遮光塗膜として潤滑黒色塗膜を設けた構成である(例えば、特許文献1参照)。かかるシャッター羽根は、色が黒色に限定されてしまう。
近年、プライバシーシャッターとして使用されるシャッター羽根には、シャッターの開閉状態が一目見て認識できるように、PC筐体やレンズと同系色となる黒色以外の様々なカラーバリエーションが要求されている。
この要求を満たすためには、カラーフィルム基材自体を用いる方法や、従来のシャッター羽根をカラー塗料で塗装する方法が考えられる。しかしながら、この場合、シャッター羽根が導電性を有さないか、極めて低くなってしまう。その結果、シャッター羽根が帯電することで、装置に貼り付き易くなり、動作不良の発生が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、遮光性と導電性とを有し、色の制限が少ないシャッター羽根用材料、および、かかるシャッター羽根用材料を加工してなるシャッター羽根を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の例示的な発明は、シャッター羽根を製造するための材料であって、光透過性を有する基材層と、前記基材層の表側に設けられた透明導電層と、前記透明導電層と前記基材層との間に設けられた着色層と、前記基材層の裏側に設けられ、遮光性と導電性とを有する遮光導電層とを備えることを特徴とするシャッター羽根用材料である。
また、本願の他の例示的な発明は、上記シャッター羽根用材料を加工してなることを特徴とするシャッター羽根である。
【発明の効果】
【0006】
本願の例示的な発明によれば、遮光性と導電性とを有し、黒色以外の任意の色を備えるシャッター羽根に加工可能なシャッター羽根用材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明のシャッター羽根用材料の第1実施形態を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明のシャッター羽根用材料の第2実施形態を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明のシャッター羽根用材料の第3実施形態を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明のシャッター羽根用材料の第4実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明のシャッター羽根は、撮像部を有する装置に取り付けられて使用され、撮像部による撮像を許容する状態(開状態)と、撮像を禁止する状態(閉状態)とに変位可能となっている。かかるシャッター羽根は、例えば、プライバシーシャッター等として機能する。
上記装置としては、例えば、ノートパソコン、ホームカメラ等が挙げられる。シャッター羽根の形状は、取り付けられる装置の外形形状に応じて適宜設定される。ノートパソコン用の場合、シャッター羽根の形状は、例えば、平板状とすることができ、ホームカメラ用の場合、例えば、円弧状とすることができる。
【0009】
本発明のシャッター羽根は、本発明のシャッター羽根用材料を加工することで得られる。
<第1実施形態>
まず、本発明のシャッター羽根用材料の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明のシャッター羽根用材料の第1実施形態を示す断面図である。なお、以下では、
図1中の上側を「表面側(または視認側)」と言い、下側を「裏側(または装置側)」と言う。
第1実施形態のシャッター羽根用材料1Aは、光透過性を有する基材層2と、基材層2の表側に設けられた透明導電層3と、透明導電層3と基材層2との間に設けられた着色層4と、基材層2の裏側に設けられ、遮光性と導電性とを有する遮光導電層5Aとを備える。
【0010】
基材層2の構成材料としては、比較的硬質の樹脂材料が好ましい。基材層2を樹脂材料で構成することにより、シャッター羽根用材料1Aを軽量化することができるとともに、製造コストの削減にも寄与する。
かかる樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POM)、ポリイミド等が挙げられる。なお。これらの樹脂材料は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0011】
基材層2の厚さは、特に限定されないが、15~50μm程度であることが好ましく、23~38μm程度であることがより好ましい。かかる厚さの基材層2であれば、機械的強度を確保しつつ、その軽量化を図ることができる。
基材層2は、その機械的強度が低下しない程度で着色されていてもよい。着色には、次に説明する着色層4で挙げる顔料(無機または有機)を使用することができる。
基材層2の表面には、着色層4が形成されている。
この着色層4の構成材料としては、例えば、顔料(無機または有機)を含有する樹脂材料、金属材料、金属酸化物材料等が挙げられる。顔料を含有する樹脂材料で着色層4を構成すれば、顔料の色に応じて、着色層4に色を付与することができる。また、金属材料または金属酸化物材料で着色層4を構成すれば、着色層4に金属色を付与することができる。
【0012】
赤色の顔料としては、例えば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、ピグメントレッド122、ピグメントレッド202等が挙げられる。
黄色の顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、ピグメントイエロー180等が挙げられる。
【0013】
青色の顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ファーストスカイブルー、ピグメントブルー15、インダスレンブルーBC等が挙げられる。
緑色の顔料としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
橙色の顔料としては、例えば、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。
白色の顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
なお、樹脂材料には、基材層2の樹脂材料と相溶性の高い材料を選択するのが好ましい。この場合、基材層2と着色層4との間の剥離を好適に防止することができる。
【0014】
着色層4の表面には、透明導電層3が形成されている。このように、本発明では、表側(すなわち視認側)に着色層4を介して透明導電層3を設けたので、着色層4の色を外部から視認可能である。このため、着色層4の色と装置の外形色との関係を設定することにより、得られるシャッター羽根を取り付けた装置において、シャッター羽根の開閉状態を視認し易くなる。
透明導電層3の表面抵抗値は、1×108Ω・cm以下であることが好ましく、1×106~1×108Ω・cm程度であることがより好ましい。かかる表面抵抗値を有する透明導電層3であれば、シャッター羽根用材料1Aの表面の帯電を十分に防止することができる。また、シャッター羽根用材料1Aを打ち抜きによりシャッター羽根に加工する際に、治具への貼り付きを防止することもできる。
かかる透明導電層3の構成材料としては、例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)、アンチモン-スズ酸化物(ATO)、酸化スズ、酸化亜鉛のような金属酸化物材料、カーボンナノチューブ(CNT)、ケチェンブラック、グラフェンのような炭素材料、金、銀、銅のような金属材料、ポリチオフェン(PEDOT/PSSを含む。)、ポリアニリン、ポリアセチレンのような高分子材料等が挙げられる。
【0015】
なお、シャッター羽根の用途によっては、透明導電層3の表面抵抗値は、1×1010~1×1012Ω・cm程度であっても十分な場合がある。この場合、透明導電層3の構成材料としては、例えば、有機フッ素化合物、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等を使用することもできる。
金属酸化物材料を使用する場合、透明導電層3は、例えば、蒸着法、スパッタリング法のような物理気相成長法(PVD法)、粒子分散液の塗布(液相成膜法)等により形成することができる。また、炭素材料を使用する場合、透明導電層3は、例えば、熱CVD、プラズマCVDのような化学気相成長法(CVD法)、粒子分散液の塗布(液相成膜法)等により形成することができる。金属酸化物材料および炭素材料以外の他の材料を使用する場合、透明導電層3は、例えば、粒子分散液の塗布(液相成膜法)等により形成することができる。
【0016】
透明導電層3の厚さは、特に限定されないが、0.05~5μm程度であることが好ましく、0.1~1μm程度であることがより好ましい。かかる厚さの透明導電層3であれば、十分な導電性を有する。また、高い透明性も有するため、下地の着色層4の色を確実に視認することができる。
基材層2の裏面には、遮光導電層5Aが形成されている。
本実施形態において、遮光導電層5Aは、単層構成である。かかる構成により、シャッター羽根用材料1A全体としての厚さを小さくすることができる。
また、本実施形態の遮光導電層5Aは、導電性粒子を含有する樹脂材料で構成されている。この場合、遮光導電層5Aが樹脂材料を含むため、シャッター羽根用材料の柔軟性を高めることができる。
【0017】
導電性粒子の構成材料は、上述した炭素材料が好ましい。この場合、遮光導電層5Aの遮光性をより高めることができる。
なお、樹脂材料には、基材層2の樹脂材料と相溶性の高い材料を選択するのが好ましい。この場合、遮光導電層5Aと着色層4との間の剥離を好適に防止することができる。
また、遮光導電層5Aの表面抵抗値は、透明導電層3の表面抵抗値より小さいことが好ましい。これにより、得られるシャッター羽根が、これが取り付けられる装置に、より貼り付き難くなる。
遮光導電層5Aの表面抵抗値も、1×108Ω・cm以下であることが好ましく、1×106~1×108Ω・cm程度であることがより好ましい。かかる表面抵抗値を有する遮光導電層5Aであれば、得られるシャッター羽根の裏面の帯電を十分に防止することができる。また、シャッター羽根用材料を打ち抜きによりシャッター羽根に加工する際に、治具への貼り付きを防止することもできる。
【0018】
遮光導電層5Aの厚さは、特に限定されないが、5~20μm程度であることが好ましく、10~15μm程度であることがより好ましい。かかる遮光導電層5Aであれば、高い遮光性と優れた柔軟性とを有することができる。
シャッター羽根用材料1Aの厚さ方向における可視光(波長380~780nm)の透過率は、1×10-8%以下であることが好ましく、1×10-10~1×10-8%程度であることがより好ましい。これにより、プライバシーを保護する効果に優れるシャッター羽根を得ることができる。
以上のようなシャッター羽根用材料では、各層の構成材料に樹脂材料を使用すれば、柔軟性(可撓性)が高まるとともに、反りや歪の発生防止効果を向上させることもできる。
【0019】
<第2実施形態>
次に、本発明のシャッター羽根用材料の第2実施形態について説明する。
図2は、本発明のシャッター羽根用材料の第2実施形態を示す断面図である。なお、以下では、
図2中の上側を「表面側(または視認側)」と言い、下側を「裏側(または装置側)」と言う。
以下、第2実施形態のシャッター羽根用材料1Bについて説明するが、上記第1実施形態のシャッター羽根用材料1Aとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態のシャッター羽根用材料1Bでは、着色層4の厚さおよび遮光導電層5Bの構成材料が異なる以外は、上記第1実施形態のシャッター羽根用材料1Aと同様である。
【0020】
第2実施形態の遮光導電層5Bは、上述したような金属材料または金属酸化物材料で構成されている。金属材料または金属酸化物材料で構成される遮光導電層5Bは、その厚さを小さくしても、高い機械的強度および優れた遮光性を十分に維持することができる。このため、シャッター羽根用材料1Bの薄膜化に寄与する。
この場合、遮光導電層5Bの厚さは、0.1~5μm程度であることが好ましく、0.5~3μm程度であることがより好ましい。遮光導電層5Bは、このような厚さであっても、十分な機械的強度および優れた遮光性を有する。
また、遮光導電層5Bに光反射性を付与することができるため、着色層4の鮮明度を高めることもできる。
この場合、着色層4の厚さは、5~20μm程度であることが好ましく、10~15μm程度であることがより好ましい。これにより、着色層4の鮮明度がより向上する。
【0021】
<第3実施形態>
次に、本発明のシャッター羽根用材料の第3実施形態について説明する。
図3は、本発明のシャッター羽根用材料の第3実施形態を示す断面図である。なお、以下では、
図3中の上側を「表面側(または視認側)」と言い、下側を「裏側(または装置側)」と言う。
以下、第3実施形態のシャッター羽根用材料1Cについて説明するが、上記第1実施形態のシャッター羽根用材料1Aとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態のシャッター羽根用材料1Cでは、遮光導電層5Cの構成が異なる以外は、上記第1実施形態のシャッター羽根用材料1Aと同様である。
【0022】
第3実施形態の遮光導電層5Cは、導電性を有する裏側導電層51と、裏側導電層51と基材層2との間に設けられ、遮光性を有する裏側遮光層52とを備える2層構成(多層構成)である。
かかる構成によれば、遮光性と導電性との2つの性能をそれぞれ、裏側導電層51と裏側遮光層52との別の層に分担させることができる。このため、裏側導電層51および裏側遮光層52を構成する材料の選択の幅を広げることができる。
なお、裏側導電層51は、透明であっても、透明でなくてもよい。
【0023】
また、裏側遮光層52は、黒色顔料を含有する樹脂材料で構成することができる。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
なお、樹脂材料には、基材層2の樹脂材料と相溶性の高い材料を選択するのが好ましい。この場合、裏側遮光層52と基材層2との間の剥離を好適に防止することができる。
裏側導電層51の厚さは、特に限定されないが、0.05~5μm程度であることが好ましく、0.1~1μm程度であることがより好ましい。
また、裏側遮光層52の厚さも、特に限定されないが、1~15μm程度であることが好ましく、5~7μm程度であることがより好ましい。
【0024】
<第4実施形態>
次に、本発明のシャッター羽根用材料の第4実施形態について説明する。
図4は、本発明のシャッター羽根用材料の第4実施形態を示す断面図である。なお、以下では、
図4中の上側を「表面側(または視認側)」と言い、下側を「裏側(または装置側)」と言う。
以下、第4実施形態のシャッター羽根用材料1Dについて説明するが、上記第1~第3実施形態のシャッター羽根用材料1A~1Cとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第4実施形態のシャッター羽根用材料1Dでは、遮光導電層5Dの構成が異なり、かつ、表側遮光層6が追加されている以外は、上記第3実施形態のシャッター羽根用材料1Cと同様である。
【0025】
第4実施形態の遮光導電層5Dは、裏側導電層51と、裏側導電層51と基材層2との間に設けられた裏側遮光層52と、裏側導電層51と裏側遮光層52との間に設けられた裏側着色層53とを備える3層構成(多層構成)である。
また、基材層2と着色層4との間に、表側遮光層6が設けられている。
かかる構成によれば、基材層2の両側で層構成を同一にすることができ、シャッター羽根用材料1Dまたはそれを加工したシャッター羽根の反りの発生を防止し易い。また、基材層2の両側に同一の処理を行って、シャッター羽根用材料1Dを製造できるので、生産性が向上する。具体的には、ディップ処理を用いることにより、基材層2の両側に同一の層構成を容易に形成することができるため、シャッター羽根用材料1Dの生産性が向上する。
なお、裏側着色層53は、上記着色層4と同様の構成とすることが好ましい。
また、裏側導電層51は、上記透明導電層3と同様の構成とすることが好ましい。
さらに、表側遮光層6は、上記裏側遮光層52と同様の構成とすることが好ましい。
【0026】
以上説明したようなシャッター羽根用材料1A~1Dを加工することにより、本発明のシャッター羽根が得られる。かかるシャッター羽根は、上記の優れた特性を有する。
なお、シャッター羽根用材料1A~1Dの全体としての厚さは、特に限定されないが、30~100μm程度であることが好ましい。
シャッター羽根用材料をシャッター羽根に加工する方法としては、例えば、打ち抜き加工、レーザー加工、ウォータージェット加工、カッティングプロッタによる加工等が挙げられる。
以上、本発明のシャッター羽根用材料およびシャッター羽根について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0027】
1A、1B、1C、1D ギアユニット
2 基材層
3 透明導電層
4 着色層
5A、5B、5C、5D 遮光導電層
51 裏側導電層
52 裏側遮光層
53 裏側着色層
6 表側遮光層