(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】調光セルおよび調光装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20231219BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20231219BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
G02F1/13 505
G02F1/1345
(21)【出願番号】P 2020019901
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】渡 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】池澤 孝夫
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-063761(JP,A)
【文献】特開昭61-215524(JP,A)
【文献】特開昭60-029726(JP,A)
【文献】国際公開第2019/102773(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G02F 1/13
G02F 1/1345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1積層体と、第2積層体と、前記第1積層体と前記第2積層体との間に配置された液晶層と、を備えており、
前記第1積層体と前記第2積層体との間において、
平面視で、
前記液晶層を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材が配置されており、
前記第1シール材の外側に、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第1シール材よりも高い第2シール材が配置されて
おり、
前記第1シール材は、前記液晶層を構成する液晶による浸食および膨張に対する耐性が、前記第2シール材よりも高く、
前記第1積層体及び前記第2積層体が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片を有しており、
前記第1積層体の前記電極用突出片と前記第2積層体の前記電極用突出片との間に、外部電極基板の一部が配置されており、
平面視で、前記電極用突出片と重なる領域において、
前記外部電極基板と前記第1シール材との間に、前記第2シール材が配置されている、調光セル。
【請求項2】
前記第1シール材と対向する前記外部電極基板の部分における前記第1シール材が延びる方向の長さをL1とし、
前記第2シール材における前記第1シール材が延びる方向の長さをL2とした場合に、
L1よりもL2が長い、請求項1に記載の調光セル。
【請求項3】
第1積層体と、第2積層体と、前記第1積層体と前記第2積層体との間に配置された液晶層と、を備えており、
前記第1積層体と前記第2積層体との間において、
平面視で、
前記液晶層を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材が配置されており、
前記第1シール材の外側に、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第1シール材よりも高い第2シール材が配置されており、
前記第1シール材は、前記液晶層を構成する液晶による浸食および膨張に対する耐性が、前記第2シール材よりも高く、
前記第1積層体及び前記第2積層体が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片を有しており、
前記第1積層体の前記電極用突出片と前記第2積層体の前記電極用突出片との間に、外部電極基板の一部が配置されており、
前記外部電極基板の一部が前記第1シール材に接しており、
平面視で、前記電極用突出片と重なる領域において、
前記外部電極基板を挟んで両側に、前記第2シール材が配置されている、調光セル。
【請求項4】
第1積層体と、第2積層体と、前記第1積層体と前記第2積層体との間に配置された液晶層と、を備えており、
前記第1積層体と前記第2積層体との間において、
平面視で、
前記液晶層を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材が配置されており、
前記第1シール材の外側に、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第1シール材よりも高い第2シール材が配置されており、
前記第1シール材は、前記液晶層を構成する液晶による浸食および膨張に対する耐性が、前記第2シール材よりも高く、
前記第1積層体と前記第2積層体との間であって平面視で前記第1シール材の外側に、外部電極基板の一部が配置されており、
平面視で、前記外部電極基板を挟みつつ、前記第1シール材を取り囲むように前記第2シール材が配置されている、調光セル。
【請求項5】
第1積層体と、第2積層体と、前記第1積層体と前記第2積層体との間に配置された液晶層と、を備えており、
前記第1積層体と前記第2積層体との間において、
平面視で、
前記液晶層を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材が配置されており、
前記第1シール材の外側に、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第1シール材よりも高い第2シール材が配置されており、
前記第1シール材は、前記液晶層を構成する液晶による浸食および膨張に対する耐性が、前記第2シール材よりも高く、
前記第1積層体及び前記第2積層体が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片を有しており、
前記電極用突出片の前記第1積層体と前記第2積層体との間に、前記電極用突出片が突出する方向に延びる外部電極基板の一部が配置されており、
平面視で、前記電極用突出片と重なる領域において、
前記電極用突出片に配置された部分の前記外部電極基板と前記第1シール材との間に、前記第2シール材が配置されており、
前記外部電極基板を挟んで両側に、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第2シール材よりも高い第3シール材が配置されている、調光セル。
【請求項6】
前記第1シール材と対向する前記外部電極基板の部分における前記第1シール材が延びる方向の長さをL3とし、
前記第2シール材における前記第1シール材が延びる方向の長さをL4とした場合に、
L3よりもL4が長い、請求項5に記載の調光セル。
【請求項7】
第1積層体と、第2積層体と、前記第1積層体と前記第2積層体との間に配置された液晶層と、を備えており、
前記第1積層体と前記第2積層体との間において、
平面視で、
前記液晶層を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材が配置されており、
前記第1シール材の外側に、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第1シール材よりも高い第2シール材が配置されており、
前記第1シール材は、前記液晶層を構成する液晶による浸食および膨張に対する耐性が、前記第2シール材よりも高く、
前記第1積層体及び前記第2積層体が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片を有しており、
前記電極用突出片の前記第1積層体と前記第2積層体との間に、前記電極用突出片が突出する方向に延びる外部電極基板の一部が配置されており、
平面視で、
前記電極用突出片と前記第1シール材との間に、前記第2シール材が配置されており、
前記外部電極基板を挟んで両側に、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第2シール材よりも高い第3シール材が配置されている、調光セル。
【請求項8】
平面視で、前記第2シール材が、前記第1シール材と接している、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の調光セル。
【請求項9】
平面視で、前記第2シール材が、前記第1シール材と離間している、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の調光セル。
【請求項10】
平面視で、前記第2シール材が、前記外部電極基板と接している、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の調光セル。
【請求項11】
平面視で、前記第2シール材が、前記外部電極基板と離間している、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の調光セル。
【請求項12】
平面視で、前記第3シール材が、前記第2シール材と接している、請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の調光セル。
【請求項13】
平面視で、前記第3シール材が、前記第2シール材と離間している、請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の調光セル。
【請求項14】
平面視で、前記第3シール材が、前記外部電極基板と接している、請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の調光セル。
【請求項15】
平面視で、前記第3シール材が、前記外部電極基板と離間している、請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の調光セル。
【請求項16】
平面視で、前記第2シール材が枠状の形態を有し、前記第1シール材を取り囲んでいる、請求項4または請求項7に記載の調光セル。
【請求項17】
前記第2シール材を複数有し、平面視で、複数の前記第2シール材が互いに隙間を空けて配列し、前記第1シール材を取り囲んでいる、請求項4または請求項7に記載の調光セル。
【請求項18】
平面視で、前記第1シール材が角部を有する枠状の形態を有しており、
前記角部に接して、若しくは前記角部の近傍に、前記第2シール材が配置されている、
請求項17に記載の調光セル。
【請求項19】
平面視で、前記第1シール材が角部を有する枠状の形態を有しており、
前記第1シール材が有する前記角部のうちの第1の角部と、該第1の角部の隣に位置する第2の角部とを結ぶ辺の中央部に接して、若しくは、前記辺の中央部近傍に、前記第2シール材が配置されている、請求項17に記載の調光セル。
【請求項20】
平面視で、前記第1シール材が角部を有する枠状の形態を有しており、
前記角部に接する位置、および、前記第1シール材が有する前記角部のうちの第1の角部と該第1の角部の隣に位置する第2の角部とを結ぶ辺の中央部に接する位置にのみ、前記第2シール材が配置されている、請求項17に記載の調光セル。
【請求項21】
平面視で、前記第1シール材が角部を有する枠状の形態を有しており、
前記角部の近傍、および、前記第1シール材が有する前記角部のうちの第1の角部と該第1の角部の隣に位置する第2の角部とを結ぶ辺の中央部近傍にのみ、
前記第2シール材が配置されている、請求項17に記載の調光セル。
【請求項22】
第1透明基板と、
第2透明基板と、
前記第1透明基板と前記第2透明基板との間に配置された、前記請求項1乃至請求項
21のいずれか一項に記載の調光セルと、
を備える、調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調光セル及び調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓等の透光部材と組み合わせて用いられ、外来光の透過を制御する電子ブラインド等に利用可能な調光部材や、このような調光部材を用いた調光装置等が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。このような調光部材の1つに、液晶層を備える液晶フィルムが知られている。この液晶フィルムは、透明電極を含む透明な樹脂製の基材により液晶材料を挟持し、これをさらに直線偏光板により挟持する等して作成される。そして、液晶フィルムは、透明電極間に印加する電界を変化させることにより液晶の配向を変化させ、外来光の透過量を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6135816号公報
【文献】特開2017-187810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような液晶フィルムを自動車のルーフウィンドウ、サイドウィンドウ等に利用可能な調光部材とする場合には、液晶フィルムを、中間膜を介して一対のガラスで挟み、合わせガラスとすることが好適である。
ここで、液晶フィルム(調光セル、調光フィルムとも呼ぶ)を挟み込んだ合わせガラスにおいて、液晶を封止するシール材には、液晶による浸食および膨張に対する耐性(耐液晶性)や液晶を挟む上下層との高い密着性が求められる。しかしながら、同一材料から構成される一つのシール材で、これら複種の要求の全てに対し、高い性能で応じることは困難であった。
特に、上記のような合わせガラスは、その表面形状が曲面形状を有する3次元形状により構成される場合が多く、その平面形状が平板状の場合に比べて密着性を保つことが困難になりがちであり、上記のような耐液晶性と密着性を両立させることが可能な調光セルが求められていた。
【0005】
本実施の形態は、上記のような耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することが可能な、調光セルおよび調光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態による調光セルは、第1積層体と、第2積層体と、前記第1積層体と前記第2積層体との間に配置された液晶層と、を備えており、前記第1積層体と前記第2積層体との間において、平面視で、前記液晶層を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材が配置されており、前記第1シール材の外側に、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第1シール材よりも高い第2シール材が配置されている。
【0007】
本実施の形態による調光セルにおいて、前記第1シール材は、前記液晶層を構成する液晶による浸食および膨張に対する耐性が、前記第2シール材よりも高いものであっても良い。
【0008】
本実施の形態による調光セルにおいて、平面視で、前記第2シール材が、前記第1シール材と接していても良い。
【0009】
本実施の形態による調光セルにおいて、平面視で、前記第2シール材が、前記第1シール材と離間していても良い。
【0010】
本実施の形態による調光セルは、平面視で、前記第2シール材が枠状の形態を有し、前記第1シール材を取り囲んでいても良い。
【0011】
本実施の形態による調光セルは、前記第2シール材を複数有し、平面視で、複数の前記第2シール材が互いに隙間を空けて配列し、前記第1シール材を取り囲んでいても良い。
【0012】
本実施の形態による調光セルにおいて、平面視で、前記第1シール材が角部を有する枠状の形態を有しており、前記角部に接して、若しくは前記角部の近傍に、前記第2シール材が配置されていても良い。
【0013】
本実施の形態による調光セルにおいて、平面視で、前記第1シール材が角部を有する枠状の形態を有しており、前記第1シール材が有する前記角部のうちの第1の角部と、該第1の角部の隣に位置する第2の角部とを結ぶ辺の中央部に接して、若しくは、前記辺の中央部近傍に、前記第2シール材が配置されていても良い。
【0014】
本実施の形態による調光セルにおいて、前記第1積層体及び前記第2積層体が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片を有しており、前記第1積層体の前記電極用突出片と前記第2積層体の前記電極用突出片との間に、外部電極基板の一部が配置されており、平面視で、前記外部電極基板と前記第1シール材との間に、前記第2シール材が配置されていても良い。
【0015】
本実施の形態による調光セルにおいて、前記第1積層体及び前記第2積層体が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片を有しており、前記第1積層体の前記電極用突出片と前記第2積層体の前記電極用突出片との間に、外部電極基板の一部が配置されており、平面視で、前記外部電極基板を挟んで両側に、前記第2シール材が配置されていても良い。
【0016】
本実施の形態による調光セルにおいて、前記第1積層体と前記第2積層体との間であって平面視で前記第1シール材の外側に、外部電極基板の一部が配置されており、平面視で、前記外部電極基板を挟みつつ、前記第1シール材を取り囲むように前記第2シール材が配置されていても良い。
【0017】
本実施の形態による調光セルにおいて、前記第1積層体及び前記第2積層体が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片を有しており、前記電極用突出片の前記第1積層体と前記第2積層体との間に、前記電極用突出片が突出する方向に延びる外部電極基板の一部が配置されており、平面視で、前記電極用突出片に配置された部分の前記外部電極基板と前記第1シール材との間に、前記第2シール材が配置されており、前記外部電極基板を挟んで両側に、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第1シール材よりも高い第3シール材が配置されていても良い。
【0018】
本実施の形態による調光セルにおいて、前記第1積層体及び前記第2積層体が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片を有しており、前記電極用突出片の前記第1積層体と前記第2積層体との間に、前記電極用突出片が突出する方向に延びる外部電極基板の一部が配置されており、平面視で、前記第2シール材が枠状の形態を有して前記第1シール材を取り囲むように配置されており、前記外部電極基板を挟んで両側に、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第1シール材よりも高い第3シール材が配置されていても良い。
【0019】
本実施の形態による調光セルにおいて、前記第3シール材は、前記第1積層体と前記第2積層体との密着性が前記第2シール材よりも高いものであっても良い。
【0020】
本実施の形態による調光装置は、第1透明基板と、第2透明基板と、前記第1透明基板と前記第2透明基板との間に配置された前記調光セルと、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本開示の実施の形態によれば、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮できる調光セルおよび調光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、一実施の形態による調光装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態による調光装置を示す断面図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態による調光装置を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4(a)-(d)は、一実施の形態による調光セルの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5(a)-(d)は、一実施の形態による調光セルの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6(a)-(c)は、一実施の形態による調光装置の製造方法の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、一実施の形態による各シール材の配置関係を示す平面図である。
【
図8】
図8は、第1の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
【
図9】
図9は、第2の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
【
図10】
図10は、第3の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
【
図11】
図11は、第4の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
【
図12】
図12は、第5の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
【
図13】
図13は、第6の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
【
図14】
図14は、第7の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
【
図15】
図15は、第8の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
【
図16】
図16は、第1の変形例による調光装置を示す断面図である。
【
図17】
図17は、第1の変形例による調光装置を示す分解斜視図である。
【
図18】
図18は、第1の変形例による調光装置において、調光セルの液晶だまりが解消する際の作用を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に説明する調光装置10は、光の透過率の調整が求められる様々な技術分野に応用可能であり、適用範囲は特に限定されない。調光装置10は、例えば、建築物の窓ガラスや、ショーケース、屋内の透明パーテーション、車両のウィンドウ等の調光を図る部位(外光が入射する部位、例えば、フロントや、サイド、リア、ルーフ等のウィンドウ)に配置され、建築物や車両等の内側への入射光の光量を制御することができる。
【0024】
なお以下に説明する調光装置10は、一実施の形態を例示しているに過ぎない。したがって例えば、調光装置10の構成要素として以下に挙げられている要素の一部が、他の要素に置換されてもよいし、含まれていなくてもよい。また以下に挙げられていない要素が、調光装置10の構成要素として含まれていてもよい。また図面中には、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺及び寸法比等を、実物のそれらから適宜変更又は誇張されている部分がある。
【0025】
(調光装置)
図1は、本実施の形態による調光装置(合わせガラス)10を示す図である。本実施の形態による調光装置10は、その表面形状が曲面形状を有する3次元形状により構成されており、
図1では、一例として、調光装置10が一方の面側に凸となる形状を有している。なお、調光装置10は、これに限らず、例えば、表面形状が平面状(すなわち、平板状)としてもよいし、その表面形状が曲面形状を有する2次元形状(例えば、円筒の一部を構成する形状)等としてもよい。ここで、3次元形状とは、単純な円筒面ではなく、平面を伸縮なしに変形させるだけでは構成できない曲面であり、単一の軸を中心として2次元的に曲がった2次元形状(2次元曲面)、或いは、互いに平行な複数の軸を中心として異なる曲率で2次元的に曲がった2次元形状(2次元曲面)とは区別されるものである。
すなわち、3次元形状とは、互いに対して傾斜した複数の軸の各々を中心として、部分的に又は全体的に曲がっている面による形状である。また本明細書中、平面視とは、調光装置10の主たる面に対して垂直な方向から見た状態をいう。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態による調光装置10は、第1透明基板11と、第1中間膜13と、調光セル20と、第2中間膜14と、第2透明基板12とを備えている。第1透明基板11と、第1中間膜13と、調光セル20と、第2中間膜14と、第2透明基板12とは、この順番で積層配置されている。
【0027】
図2は、本実施の形態による調光装置10の層構成を示す断面図であり、
図3は、本実施の形態による調光装置10の層構成を示す分解斜視図である。なお、本実施の形態の調光装置10は、3次元形状の表面形状を有しているが、
図2及び
図3では、理解を容易にするために、調光装置10の表面形状が平面状である場合の断面図を示している。
【0028】
図2に示すように、調光装置10は、第1透明基板11と、第2透明基板12と、第1透明基板11と第2透明基板12との間に配置された調光セル20とを備えている。調光セル20は、第1基材24と第1透明電極25と第1配向層26とを含む第1積層体21と、第2基材27と第2透明電極28と第2配向層29とを含む第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23とを備えている。
【0029】
第1透明基板11及び第2透明基板12は、それぞれ、調光装置10の表裏面に配置され、高い透光性を有する透明基板である。第1透明基板11及び第2透明基板12は、その表面形状が曲面形状を有する3次元形状であり、一方の面側に凸となる曲面形状を有する形状に予め形成されている(
図1参照)。この場合、第1透明基板11及び第2透明基板12は、第2透明基板12側に対して第1透明基板11側が凸状になるように形成されているが、これに限らず、第1透明基板11側に対して第2透明基板12側が凸状になるように形成されていても良い。また、本実施の形態では、第1透明基板11及び第2透明基板12は、厚さが1mm以上4mm以下であり、一例として、いずれも厚さ2mmの板ガラスを用いている。第1透明基板11及び第2透明基板12は、無機ガラスでも良く、樹脂ガラスでも良い。樹脂ガラスとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル等を用いることができる。第1透明基板11及び第2透明基板12として無機ガラスを用いた場合、耐熱性、耐傷性に優れた調光装置10とすることができる。他方、第1透明基板11及び第2透明基板12として樹脂ガラスを用いた場合、調光装置10を軽量化することができる。さらに、第1透明基板11及び第2透明基板12には、必要に応じて、ハードコート等の表面処理がなされても良い。
【0030】
第1中間膜13は、第1透明基板11と調光セル20とを接合させる部材である。同様に、第2中間膜14は、第2透明基板12と調光セル20とを接合させる部材である。本実施の形態では、第1中間膜13及び第2中間膜14は、それぞれPVB(ポリビニルブチラール)樹脂製のシートを用いている。なお、第1中間膜13及び第2中間膜14の素材としては、上記PVBに限らす、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)、COP(シクロオレフィンポリマー)等を用いてもよい。また、第1中間膜13及び第2中間膜14の厚さに関しても、その材料等に応じて適宜選択してよい。具体的には、第1中間膜13及び第2中間膜14の厚さは、300μm以上2.5mm以下としても良く、一例として厚さ760μmのものが用いられる。
【0031】
また、
図2及び
図3に示すように、第1中間膜13及び第2中間膜14は、額縁中間膜(第3中間膜)16により互いに接続されている。額縁中間膜16は、平面視で額縁状ないしはロ字形状(中央がくり抜かれた四角形形状)を有する中間膜である。額縁中間膜16は、第1中間膜13及び第2中間膜14と同一の材料から構成されても良い。額縁中間膜16を設けることにより、調光装置10の側面からの水分等の侵入を抑止し、調光装置10の遮水性をより高めることができる。
【0032】
具体的には、額縁中間膜16は、(平面視で)第1中間膜13及び第2中間膜14が調光セル20よりも大きい場合に、断面視において、調光セル20の厚み部分に形成される中間膜である。この額縁中間膜16は、平面視において調光セル20の周囲を取り囲むように形成され、第1中間膜13及び第2中間膜14の形状から調光セル20の形状をくり抜いた額縁状の中間膜である。この場合、第1中間膜13と第2中間膜14との間であって、調光セル20の周囲に相当する部分に、額縁中間膜16が形成されている。なお、額縁中間膜16の幅W1(
図3参照)は、0mm以上10mm以下程度とすることが好ましい。
【0033】
調光セル20(調光フィルム、液晶フィルム)は、印加電圧を変化させることにより透過光の光量を制御することができるフィルムである。調光セル20は、第1透明基板11と第2透明基板12との間に挟持されるように配置されている。この調光セル20は、二色性色素を使用したゲストホスト型の液晶層を有しており、液晶に印加する電界により透過光量を変化させる部材である。調光セル20は、フィルム状の第1積層体21と、フィルム状の第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23とを備えている。
【0034】
図2に示すように、第1積層体21は、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とを積層して形成される。すなわち、第1中間膜13側から、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とがこの順番で積層配置されている。また第2積層体22は、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とを積層して形成される。すなわち、第2中間膜14側から、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とがこの順番で積層配置されている。
【0035】
さらに、第1積層体21と第2積層体22との間には、複数のビーズスペーサー31が配置されている。液晶層23は、第1積層体21及び第2積層体22の間において、複数のビーズスペーサー31の間に充填配置されている。複数のビーズスペーサー31は、それぞれ不規則的又は規則的に配置されていても良い。
【0036】
調光セル20は、この第1積層体21及び第2積層体22に設けられた第1透明電極25及び第2透明電極28の駆動により、液晶層23に設けられたゲストホスト液晶組成物による液晶材料の配向を変化させ、これにより透過光の光量を変化させるものである。
【0037】
第1基材24及び第2基材27は、透明な樹脂製であって、可撓性を有するフィルムを適用することができる。第1基材24及び第2基材27としては、光学異方性が小さく、また、可視域の波長(380nm以上800nm以下)における透過率が80%以上である透明樹脂フィルムを適用することが望ましい。透明樹脂フィルムの材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、EVA等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルホン(PEF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、ポリエーテル(PE)、ポリエーテルケトン(PEK)、(メタ)アクロニトリル、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を挙げることができる。透明樹脂フィルムの材料としては、特に、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が好ましい。また、第1基材24及び第2基材27として用いられる透明樹脂フィルムの厚みは、その材料にもよるが、その透明樹脂フィルムが可撓性を有する範囲内で適宜選択することができる。第1基材24及び第2基材27の厚みは、それぞれ50μm以上200μm以下としても良い。本実施の形態では、第1基材24及び第2基材27の一例として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムが適用される。
【0038】
第1透明電極25及び第2透明電極28は、それぞれ第1基材24及び第2基材27(透明樹脂フィルム)に積層される透明導電膜から構成されている。透明導電膜としては、この種の透明樹脂フィルムに適用される各種の透明電極材料を適用することができ、酸化物系の全光透過率が50%以上の透明な金属薄膜を挙げることができる。例えば、酸化錫系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系が挙げられる。
【0039】
酸化錫(SnO2)系としてはネサ(酸化錫SnO2)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫が挙げられる。酸化インジウム(In2O3)系としては、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide)が挙げられる。酸化亜鉛(ZnO)系としては、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛が挙げられる。本実施の形態では、第1透明電極25及び第2透明電極28を構成する透明導電膜は、ITOにより形成されている。
【0040】
ビーズスペーサー31は、液晶層23における外周部を除く部分の厚み(セルギャップ)を規定する部材である。本実施の形態では、ビーズスペーサー31として、球形状のビーズスペーサーを用いている。ビーズスペーサー31の直径は、1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上15μm以下の範囲としても良い。ビーズスペーサー31は、シリカ等による無機材料による構成、有機材料による構成、これらを組み合わせたコアシェル構造の構成等を広く適用することができる。また、このビーズスペーサーは、球形状による構成の他、円柱形状、楕円柱形状、多角柱形状等のロッド形状により構成してもよい。またビーズスペーサー31は、透明部材により製造されるが、必要に応じて着色した材料を適用して色味を調整するようにしてもよい。
【0041】
なお、本実施の形態では、ビーズスペーサー31は、第2積層体22に設けられるが、これに限定されるものでなく、第1積層体21及び第2積層体22の両方、又は、第1積層体21にのみ設けられるようにしてもよい。また、ビーズスペーサー31は必ずしも設けられていなくてもよい。または、ビーズスペーサー31に代えて、あるいはビーズスペーサー31とともに、柱状のスペーサーを用いても良い。
【0042】
第1配向層26及び第2配向層29は、液晶層23に含まれる液晶分子群を所望方向に配向させるための部材である。第1配向層26及び第2配向層29は、光配向層により形成される。光配向層に適用可能な光配向材料は、光配向の手法を適用可能な各種の材料を広く適用することができ、例えば、光分解型、光二量化型、光異性化型等を挙げることができる。本実施の形態では、光二量化型の材料を使用する。光二量化型の材料としては、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又は、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等を挙げることができる。中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。
【0043】
なお、光配向層に代えて、ラビング配向層を用いてもよい。ラビング配向層に関しては、ラビング処理を行わないものとしてもよいし、ラビング処理を行い、微細なライン状凹凸形状を賦型処理して配向層を作製してもよい。なお、本実施の形態では、調光セル20は、第1配向層26及び第2配向層29を備えているが、これに限らず、第1配向層26及び第2配向層29を備えない形態としてもよい。
【0044】
液晶層23には、ゲストホスト液晶組成物、二色性色素組成物を広く適用することができる。ゲストホスト液晶組成物にはカイラル剤を含有させるようにして、液晶材料を水平配向させた場合に液晶層23の厚み方向に螺旋形状に配向させるようにしてもよい。
【0045】
調光セル20は、この遮光時におけるゲストホスト液晶組成物の配向が電界印加時となるように、第1配向層26及び第2配向層29を、一定の方向にプレチルトに係る配向規制力を設定した垂直配向層により構成し、これによりノーマリークリアとして構成される。なお、この透光時の設定を電界印加時としてノーマリーダークとして構成してもよい。ここで、ノーマリーダークとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最小となり、黒い画面になる構造である。ノーマリークリアとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最大となり、透明となる構造である。
【0046】
なお、本実施の形態の調光セル20は、ゲストホスト型の液晶層23を備える例を示したが、これに限られるものではない。調光セル20は、二色性色素組成物を用いないTN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式等の液晶層23を備える構成としてもよい。このような液晶層23を備える場合、第1基材24及び第2基材27の表面にそれぞれ直線偏光層をさらに設けることで、調光フィルムとして機能させることができる。
【0047】
調光セル20では、第1積層体21と第2積層体22との間において、液晶層23を取り囲むように、枠状の第1シール材32Aが配置されており、第1シール材32Aの外側、すなわち、平面視で第1シール材32Aに対して液晶層23とは反対側に、第2シール材32Bが配置されている。
第1シール材32Aは、液晶層23の液晶を外部に漏洩させないように、液晶層23を取り囲む枠状の平面形態を有している。一方、第2シール材32Bは、第1シール材32Aを取り囲む枠状の平面形態であってもよく、後述するように、その他の形態であってもよい。この第2シール材32Bの平面形態については、
図7乃至
図15を用いて、後に詳しく説明する。
【0048】
このように本実施の形態においては、液晶層23を取り囲む第1シール材32Aと、第1シール材32Aの外側に配置される第2シール材32Bとを有している。そして、第1シール材32A、第2シール材32Bには、それぞれ異なる特性を有する材料を用いることができる。
例えば、第1シール材32Aには、耐液晶性(液晶層23を構成する液晶による浸食および膨張に対する耐性)が、より高い材料を用いることができ、第2シール材32Bには、液晶層23を挟む上下層(すなわち、第1積層体21および第2積層体22であって、本実施の形態においては、第1配向層26および第2配向層29)との密着性が、より高い材料を用いることができる。
それゆえ、本実施の形態においては、耐液晶性や密着性に係る複種の要求に対して、高い性能を発揮することが可能な、調光セルおよび調光装置を提供することができる。
すなわち、本実施の形態においては、分離した2つのシール材(第1シール材32A、第2シール材32B)を設け、それぞれに異なる材料を用いて、それぞれのシール材に、求められる機能を分離することで、同一の材料から構成される一のシール材では困難であった、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することができる。
【0049】
第1シール材32A、第2シール材32Bの材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を適用することができる。
ここで、第1シール材32A、第2シール材32Bの材料には、液晶封止用のシール材として用いられる既存の材料を適宜用いることができる。
より具体的には、第1シール材32Aには、たとえ液晶層23を挟む上下層との密着性は低い材料であっても、耐液晶性が高い材料であれば採用することができ、第2シール材32Bには、たとえ耐液晶性は低い材料であっても、液晶層23を挟む上下層との密着性が高い材料を採用することができる。この場合、第1シール材32Aと第2シール材32Bの関係は、第1シール材32Aの耐液晶性が第2シール材32Bの耐液晶性よりも高く、第2シール材32Bの液晶層23を挟む上下層との密着性が第1シール材32Aの液晶層23を挟む上下層との密着性よりも高いことになる 。
【0050】
ここで、上記の「第1シール材32Aの耐液晶性が第2シール材32Bの耐液晶性よりも高い」とは、第2シール材32Bが液晶層23を構成する液晶によって浸食若しくは膨張の作用を受けてしまう条件下においても、第1シール材32Aは該液晶によって浸食および膨張の作用を受けない(若しくは、浸食および膨張が確認されない)ことを言う。
また、上記の「第2シール材32Bの液晶層23を挟む上下層との密着性が第1シール材32Aの液晶層23を挟む上下層との密着性よりも高い」とは、第1シール材32Aが液晶層23を挟む上下層の密着性を保てない条件下においても、第2シール材32Bは該上下層の密着性を保つことができることを言う。
なお、「第2シール材32Bの液晶層23を挟む上下層との密着性が第1シール材32Aの液晶層23を挟む上下層との密着性よりも高い」とは、別の表現を行えば、「液晶層23を挟む上下層に対する第2シール材32Bの密着力が、液晶層23を挟む上下層に対する第1シール材32Aの密着力よりも大きい」ということである。
【0051】
さらに、本実施の形態においては、第2シール材32Bは液晶に接しないため、より広い材料選択が可能になる。すなわち、第2シール材32Bには耐液晶性が要求されないため、例えば、各種の接着剤等も用いることが可能である。
【0052】
このように、第2シール材32Bには、従来から液晶封止用のシール材として用いられてきた物以外の材料も選択できるため、本実施の形態においては、例えば合わせガラスの表面形状が曲面形状を有する3次元形状を有する場合のように、液晶層23を挟む上下層との密着性を保つことが困難な形態であっても、より高い密着力を発揮することが可能になる。
【0053】
次に、
図3に示すように、調光装置10は、調光コントローラ91に接続され、調光コントローラ91にはセンサ装置92及びユーザ操作部93が接続される。調光コントローラ91は、調光装置10の調光状態を制御し、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、調光装置10における光の透過度を変えたりすることができる。具体的には、調光コントローラ91は、調光装置10の外部電極基板35に接続され、調光装置10の液晶層23に印加する電界を調整して液晶層23中の液晶分子の配向を変えることで、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、光の透過度を変えたりすることができる。
【0054】
調光コントローラ91は、任意の手法に基づいて液晶層23に印加する電界を調整できる。調光コントローラ91は、例えばセンサ装置92の測定結果やユーザ操作部93を介してユーザにより入力される指示(コマンド)に応じて、液晶層23に印加する電界を調整し、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、光の透過度を変えたりすることができる。したがって調光コントローラ91は、液晶層23に印加する電界を、センサ装置92の測定結果に応じて自動的に調整してもよいし、ユーザ操作部93を介したユーザの指示に応じて手動的に調整してもよい。なおセンサ装置92による測定対象は特に限定されず、例えば使用環境の明るさを測定してもよく、この場合、調光装置10による光の遮断及び透過の切り換えや光の透過度の変更が使用環境の明るさに応じて行われる。また調光コントローラ91には、必ずしもセンサ装置92及びユーザ操作部93の両方が接続されている必要はなく、センサ装置92及びユーザ操作部93のうちのいずれか一方のみが接続されていてもよい。
【0055】
外部電極基板35は、第1積層体21と第2積層体22とによって挟持されている。外部電極基板35が形成される領域において、第1積層体21及び第2積層体22は、面方向外側に向けて突出する電極用突出片36を有している。外部電極基板35は、電極用突出片36の内部に埋め込まれている。外部電極基板35及び電極用突出片36は、
図3の矢印に示すように、額縁中間膜16と第2中間膜14との間に挟まれ、額縁中間膜16及び第2中間膜14から外方に突出する。しかしながら、これに限らず、外部電極基板35及び電極用突出片36は、額縁中間膜16と第1中間膜13との間に挟まれても良い。
【0056】
(調光セルの製造方法)
次に、本実施の形態による調光装置10の調光セル20の製造方法の一例について、
図4(a)-(d)及び
図5(a)-(d)を用いて説明する。
図4(a)-(d)及び
図5(a)-(d)は、本実施の形態による調光セル20の製造方法の一例を示す断面図である。
【0057】
まず、
図4(a)に示すように、ロール状に供給された第2基材27を準備する。続いて、
図4(b)に示すように、スパッタリング装置を使用したスパッタリング等によって、第2基材27上に例えばITOからなる第2透明電極28を形成する。このとき、透明電極を所定のパターン形状となるようにパターンニングしてもよい。
【0058】
次に、
図4(c)に示すように、第2透明電極28を形成した第2基材27上に第2配向層29に係る塗工液を塗工した後、露光し、第2配向層29を作製する。このようにして、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とが積層された第2積層体22が準備される。
【0059】
なお、
図4(a)-(c)に示す工程と同様にして、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とが積層された第1積層体21も準備する。
【0060】
続いて、
図4(d)に示すように、第2積層体22の第2配向層29上に、ビーズスペーサー31を配置する。このビーズスペーサー31の配置は、湿式/乾式散布に加え、種々の配置方法を広く適用することができる。例えば、ビーズスペーサー31を樹脂成分と共に溶剤に分散して製造した塗工液を部分的に塗工した後、乾燥、焼成の処理を順次実行することにより、第2配向層29上にランダムにビーズスペーサー31を配置して移動困難に保持しても良い。なお、図示していないが、このビーズスペーサー31の外周が第2配向層29で覆われるようにしても良い。具体的には、第2配向層29に係る塗工液にビーズスペーサー31を混合させて第2配向層29を形成することにより、ビーズスペーサー31が第2配向層29に薄く覆われて保持される形態にすることができる。
【0061】
次に、
図5(a)に示すように、第2積層体22の第2配向層29上にディスペンサを使用して第1シール材32Aを塗布する。この第1シール材32Aは、液晶層23を作製する部位を取り囲むように枠状に塗布される。
なお、上記においては、ディスペンサを使用して第1シール材32Aを塗布する例を述べたが、第1シール材32Aを形成する方法はこれに限らず、スクリーン印刷による方法を用いても良い。
【0062】
次に、
図5(b)に示すように、第2積層体22の第2配向層29上にディスペンサを使用して第2シール材32Bを塗布する。この第2シール材32Bは、第1シール材32Aの外側、すなわち、平面視で第1シール材32Aを介して液晶層23を作製する部位とは反対側に配置される。
第2シール材32Bの平面形態は、第1シール材32Aを取り囲むような枠状であってもよく、後述するように、その他の形態であってもよい。この第2シール材32Bの平面形態については、
図7乃至
図15を用いて、後に詳しく説明する。
【0063】
なお、
図5に示す調光セル20の製造方法においては、先に第1シール材32Aを配置し(
図5(a))、その後、第2シール材32Bを配置する(
図5(b))例を示したが、本実施の形態は、これに限定されるものでなく、先に第2シール材32Bを配置し、その後、第1シール材32Aを配置してもよい。
【0064】
次いで、
図5(c)、(d)に示すように、第2積層体22と第1積層体21とを互いに積層し、液晶層23を配置する。この間、まず
図5(c)に示すように、第1シール材32Aによって囲まれた領域に液晶層23を構成する液晶を塗布する。このとき、液晶層23は、第1シール材32Aの内側であって、ビーズスペーサー31の周囲に充填される。
【0065】
続いて、
図5(d)に示すように、液晶層23を配置した第2積層体22と、予め準備した第1積層体21とを互いに積層して押圧する。その後、紫外線を照射することにより第1シール材32Aおよび第2シール材32Bを半硬化させた後、加熱し、これにより第1積層体21と第2積層体22とを一体化する。その後、このようにして作製された第1積層体21と第2積層体22との積層体をトリミングすることにより所望の大きさに切断する。
なお、用いる材料によっては、第2シール材32Bは上記の紫外線の照射による半硬化を生じない場合もある。例えば、第2シール材32Bの材料として、接着剤等を用いる場合が挙げられる。
【0066】
なお、上述したように、液晶層23を配置した後、第2積層体22と第1積層体21とを互いに積層することが好ましいが、これに限らず、第2積層体22と第1積層体21とを互いに積層した後、液晶層23を配置するようにしても良い。その後、第1積層体21と第2積層体22との間に外部電極基板35(
図3参照)を取り付けることにより、本実施の形態による調光セル20が得られる。
【0067】
(調光装置の製造方法)
次に、本実施の形態による調光装置10の製造方法(合わせガラス加工方法)について、
図6(a)-(c)を用いて説明する。
図6(a)-(c)は、調光装置10の製造方法を示す断面図である。
【0068】
まず、
図6(a)に示すように、第1透明基板11及び第2透明基板12を準備するとともに、第1透明基板11及び第2透明基板12によって第1中間膜13と額縁中間膜16と調光セル20と第2中間膜14とを挟み、合わせガラス積層体30を作製する。ここで、第1透明基板11及び第2透明基板12は、予め、表面形状が3次元形状である曲面形状が賦形されている。
【0069】
次に、
図6(b)に示すように、合わせガラス積層体30をバッグ51に封入する。
バッグ51は、可撓性及び気密性を有するゴム製やシリコン製が好適である。また、このバッグ51には、通気管52が接続されており、この通気管52を介して不図示のポンプによりバッグ51内の空気を吸引する。これにより、合わせガラス積層体30の各部材間に残る空気を吸引し、調光装置10の内部に気泡等が残ることによる圧着不良を抑制できる。本実施の形態では、バッグ51内及び合わせガラス積層体30の内部が真空状態となるように吸引し、合わせガラス積層体30に対して差圧により大気圧程度(0.1MPa)の圧力がかかる例を挙げて説明する。しかしながら、これに限らず、例えば、不図示のポンプの吸引力を調整し、バッグ51内が完全に真空ではないが、合わせガラス積層体30の各部材間の空気が十分に吸引され、合わせガラス積層体30に対して、差圧により大気圧よりも小さい圧力がかかる状態としてもよい。
【0070】
続いて、
図6(c)に示すように、バッグ51に合わせガラス積層体30を封入した後、バッグ51ごと加熱・加圧装置53内へ配置する。続いて、所定の温度及び時間で、バッグ51ごと合わせガラス積層体30を加熱する。本実施の形態においては、第1中間膜13、第2中間膜14及び額縁中間膜16の軟化温度以上の温度で所定の時間、合わせガラス積層体30を加熱する。このとき、通気管52を介して不図示のポンプによりバッグ51内の空気を吸引することが好ましい。加熱・加圧装置53として使用する装置は、合わせガラス積層体30に対して十分に加熱や加圧が行えるのであれば特に限定しないが、例えば、オーブンやオートクレーブ用の装置等が挙げられる。この加熱により、第1中間膜13、第2中間膜14及び額縁中間膜16が溶融し、合わせガラス積層体30の第1透明基板11、第1中間膜13、額縁中間膜16、調光セル20、第2中間膜14及び第2透明基板12が圧着されて一体に接合され、調光装置10が得られる。
【0071】
(各シール材の配置形態)
次に、
図7を参照して、本実施の形態による各シール材の配置形態について説明する。
図7は、本実施の形態による各シール材の配置関係を示す平面図である。ここで、
図7は調光セル20における液晶層23、第1シール材32A、第2シール材32Bの配置関係を概念的に示すものであり、その他の構成に関しては記載を省略している。なお、調光装置10は3次元形状の表面形状を有しているため、調光装置10における調光セル20も3次元形状の表面形状を有することになるが、
図7では、理解を容易にするために、調光セル20の表面形状が平面状である場合の平面図を示している。
【0072】
図7に示すように、本実施の形態においては、液晶層23を取り囲むように、枠状の第1シール材32Aが配置されており、第1シール材32Aの外側、すなわち、第1シール材32Aに対して液晶層23とは反対側に、枠状の第2シール材32Bが配置されている。
このように本実施の形態においては、液晶層23を取り囲む第1シール材32Aと、第1シール材32Aの外側に配置される第2シール材32Bとを有している。そして、第1シール材32A、第2シール材32Bには、それぞれ異なる特性を有する材料を用いることができる。例えば、第1シール材32Aには、耐液晶性(液晶層23を構成する液晶による浸食や膨張に対する耐性)が、より高い材料を用いることができ、第2シール材32Bには、液晶層23を挟む上下層(すなわち、第1積層体21および第2積層体22)との密着性が、より高い材料を用いることができる。
それゆえ、本実施の形態においては、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することが可能な、調光セルを提供することができる。
【0073】
図7に示す例において、第1シール材32Aは、液晶層23を取り囲み、外縁が矩形状となる枠状の形態を有しているが、本実施の形態における第1シール材32Aの形態は、これに限定されず、液晶層23の液晶を外部に漏洩させない形態であれば、合わせガラスの形態に応じて各種の形態とすることができる。
本実施の形態において、上記の枠状の形態は、例えば、
図7に例示するような外縁が矩形状の形態以外に、他の四角形状であってもよく、三角形状や五角形状、さらに角の多い多角形状であってもよい。また、曲線を含む各種形態であってもよい。
【0074】
また、
図7に示す例において、第2シール材32Bは、第1シール材32Aを取り囲むように連続して配置されており、外縁が矩形状となる枠状の形態を有しているが、本実施の形態における第2シール材32Bの形態は、これに限定されず、液晶層23を挟む上下層との密着性を向上させる効果を奏する形態であればよく、第1シール材32Aの形態に応じて、各種の枠状の形態とすることができる。
【0075】
ここで、
図7に示す例においては、第2シール材32Bは、第1シール材32Aに接する形態を有している。このように、第2シール材32Bが第1シール材32Aに接する形態とすることにより、第1シール材32Aの内縁から第2シール材32Bの外縁までの幅(W2)を小さくすることができ、調光セル20における液晶層23の領域をより効果的に大きくできる。一例として、W2は、2mm以上8mm以下程度である。
【0076】
(各シール材の配置形態の変形例)
次に、
図8乃至
図15を参照して、本実施の形態の各種変形例について説明する。
図8乃至
図15は、それぞれ本実施の形態の変形例による各シール材の配置関係を示す図である。
図8乃至
図15において、
図1乃至
図7に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。また、
図8乃至
図15においても、上記の
図7同様、表面形状が平面状である場合の平面図を示している。
【0077】
(第1の変形例)
図8は、第1の変形例による各シール材の配置を示す平面図である。この
図8も、上記の
図7同様、調光セル20Aにおける液晶層23、第1シール材32A、第2シール材32Bの配置関係を概念的に示すものであり、その他の構成に関しては記載を省略している。
図8に示すように、この第1の変形例においても、液晶層23を取り囲むように、枠状の第1シール材32Aが配置されており、第1シール材32Aの外側に、外縁が矩形状となる枠状の第2シール材32Bが第1シール材32Aを取り囲むように連続して配置されている。そして、この第1の変形例においても、第1シール材32A、第2シール材32Bには、それぞれ異なる特性を有する材料を用いることができる。
それゆえ、この第1の変形例による調光セル20Aにおいても、上記の
図7に示した調光セル20と同様に、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することができる。
【0078】
ここで、上記の
図7に示した調光セル20においては、第2シール材32Bは、第1シール材32Aに接する形態を有していたが、本変形例の調光セル20Aにおける第2シール材32Bは、第1シール材32Aと離間して配置されている。換言すれば、本変形例の調光セル20Aにおいては、第1シール材32Aと第2シール材32Bの間には、空間部41が介在している。
【0079】
このような形態を有するため、調光セル20Aにおいては、第1シール材32Aと第2シール材32Bが混ざってしまうことを回避できる。それゆえ、第1シール材32Aと第2シール材32Bの各々が相手方に及ぼす化学的な影響等を気にすること無く、広く材料選択することができる。
また、第1シール材32Aと対する第2シール材32Bとの相互の位置精度についても、厳しい精度は必要なく緩和することができ、第1シール材32A及び第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
また、その他の効果として、調光装置10の製造方法(
図6参照)において合わせガラス積層体30の内部が真空状態となるように吸引する際に、空間部41も真空状態となるように吸引されるため、第1シール材32Aを圧し潰す力が働き、シール高さをより低く抑えることができる。このシール高さを低く抑えることで、セルギャップが適正となり、液晶封入量が安定し、気泡の発生や液晶溜りを抑制することができる。
【0080】
(第2の変形例)
図9は、第2の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。この
図9も、調光セル20Bにおける液晶層23、第1シール材32A、第2シール材32Bの配置関係を概念的に示すものであり、その他の構成に関しては記載を省略している。
図9に示すように、この第2の変形例においても、液晶層23を取り囲むように、枠状の第1シール材32Aが配置されており、第1シール材32Aの外側に、第2シール材32Bが配置されている。そして、この第2の変形例においても、第1シール材32A、第2シール材32Bには、それぞれ異なる特性を有する材料を用いることができる。
それゆえ、この第2の変形例による調光セル20Bにおいても、上記の
図7に示した調光セル20と同様に、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することができる。
【0081】
ここで、上記の
図7に示した調光セル20においては、枠状の形態を有する第2シール材32Bを1個有していたが、本変形例の調光セル20Bにおいては、長方形状の第2シール材32Bを複数有し、複数の第2シール材32Bが、隙間部42を介して隙間を空けて、第1シール材32Aを取り囲むように配置されている。
換言すれば、上記の
図7に示した調光セル20においては、第2シール材32Bは、第1シール材32Aを取り囲むように連続して配置されていたが、本変形例の調光セル20Bにおいては、複数の第2シール材32Bが、第1シール材32Aを取り囲むように不連続に(すなわち、隙間部42を介して隙間を空けて)、配置されている。
このような形態を有するため、調光セル20Bにおいては、上記の
図7に示した調光セル20や、
図8に示した調光セル20Aに比べて、第2シール材32Bの使用量を削減できる。また、第2シール材32Bを塗布して形成する工程において、工程時間を短縮することができる。
【0082】
なお、
図9に示す例では、第2シール材32Bは第1シール材32Aに接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、第1シール材32Aと離間して配置されていてもよい。
ここで、第2シール材32Bが第1シール材32Aに接する形態であれば、第1シール材32Aの内縁から第2シール材32Bの外縁までの幅を小さくすることができ、調光セル20Bにおける液晶層23の領域をより効果的に大きくできる。
一方、第2シール材32Bが、第1シール材32Aと離間して配置されている場合は、第1シール材32Aと第2シール材32Bが混ざってしまうことを回避できるため、広く材料選択することができる。また、第1シール材32Aと対する第2シール材32Bとの相互の位置精度も緩和でき、第1シール材32A及び第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0083】
また、
図9に示す例では、複数の第2シール材32Bは、いずれも同じ大きさの長方形状の平面形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、各種の平面形態とすることができる。
例えば、個々の第2シール材32Bは、正方形状や各種多角形状、円形状、楕円状等の各種平面形態とすることができ、また、配置位置によって異なる形態や大きさとすることもできる。
【0084】
(第3の変形例)
図10は、第3の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。この
図10も、調光セル20Cにおける液晶層23、第1シール材32A、第2シール材32Bの配置関係を概念的に示すものであり、その他の構成に関しては記載を省略している。
【0085】
図10に示すように、この第3の変形例においても、液晶層23を取り囲むように、枠状の第1シール材32Aが配置されており、第1シール材32Aの外側に、第2シール材32Bが配置されている。そして、この第3の変形例においても、第1シール材32A、第2シール材32Bには、それぞれ異なる特性を有する材料を用いることができる。
それゆえ、この第3の変形例による調光セル20Cにおいても、上記の
図7に示した調光セル20と同様に、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することができる。
【0086】
ここで、本変形例の調光セル20Cの形態は、上記の
図9に示した調光セル20Bよりも第2シール材32Bの数を減らし、密着性に関してより効果的な位置に第2シール材32Bを配置することを目的とする形態である。
例えば、
図10に示す例においては、第1シール材32Aが角部43を有する枠状の形態を有しており、角部43に接して、若しくは角部43の近傍に、第2シール材32Bが配置されている。上記の角部43の近傍とは、例えば、角部43から10mm以内の距離の範囲とすることができる。
【0087】
また、第1シール材32Aが有する角部43のうちの一の角部(第1の角部)と、該一の角部(第1の角部)の隣に位置する角部(第2の角部)とを結ぶ辺の中央部に接して、若しくは、前記辺の中央部近傍に、第2シール材32Bが配置されている。上記の辺の中央部近傍とは、例えば、上記の辺の中央部から10mm以内の距離の範囲とすることができる。
このような形態を有するため、調光セル20Cにおいては、第2シール材32Bの使用量をさらに削減できる。また、第2シール材32Bを塗布して形成する工程において、工程時間をより短縮することができる。
【0088】
なお、
図10に示す例では、第2シール材32Bは第1シール材32Aに接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、第1シール材32Aと離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bが第1シール材32Aに接する形態であれば、第1シール材32Aの内縁から第2シール材32Bの外縁までの幅を小さくすることができ、調光セル20Cにおける液晶層23の領域をより効果的に大きくできる。
一方、第2シール材32Bが、第1シール材32Aと離間して配置されている場合は、第1シール材32Aと第2シール材32Bが混ざってしまうことを回避できるため、広く材料選択することができる。また、第1シール材32Aと対する第2シール材32Bとの相互の位置精度も緩和でき、第1シール材32A及び第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0089】
また、
図9に示す例では、複数の第2シール材32Bは、いずれも同じ大きさの正方形状の平面形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、各種の平面形態とすることができる。
例えば、個々の第2シール材32Bは、長方形状や各種多角形状、円形状、楕円状等の各種平面形態とすることができる。第1シール材32Aの角部43に接して、若しくは角部43の近傍に配置する第2シール材32Bは、L字型や円弧型であってもよい。
また、個々の第2シール材32Bは、配置位置によって異なる形態や大きさとすることもできる。
【0090】
(第4の変形例)
図11は、第4の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
ここで、
図11は調光セル20Dにおける第1積層体21、第2積層体22、液晶層23、第1シール材32A、第2シール材32B、外部電極基板35、および電極用突出片36の位置関係を概念的に示すものであり、その他の構成に関しては記載を省略している。
図11において、第1積層体21、第2積層体22の外縁は、電極用突出片36の部分を除いて、第1シール材32Aの外縁と一致している。
【0091】
上述したように調光装置10に用いられる調光セルには、第1積層体21と第2積層体22との間に外部電極基板35が取り付けられる(
図3参照)。この外部電極基板35が取り付けられる領域は、外部電極基板35を取り付けた後は外部電極基板35の厚みのために他の領域に比べて厚くなり、調光装置10の製造方法(合わせガラスの加工方法)の加熱・加圧装置53を用いる工程において(
図6(c)参照)、圧力が集中しやすく、第1積層体21と第2積層体22との密着が不足して第1シール材32Aが決壊しやすい。それゆえ、この外部電極基板35が取り付けられる領域を補強するように、密着力が高いシール材を配置しておくことが好ましい。
【0092】
そこで、本変形例では、
図11に示すように、外部電極基板35が取り付けられた状態の調光セル20Dにおいて、第2シール材32Bが、外部電極基板35と第1シール材32Aの間に位置するように、第2シール材32Bを設ける。
換言すれば、
図11に示す調光セル20Dは、第1積層体21と、第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23と、を備えており、第1積層体21と第2積層体22との間において、平面視で液晶層23を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材32Aが配置されており、平面視で第1シール材32Aの外側に第2シール材32Bが配置されている調光セルであって、第1積層体21及び第2積層体22が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片36を有しており、電極用突出片36の第1積層体21と第2積層体22との間に、電極用突出片36が突出する方向に延びる外部電極基板35の一部が配置されており、平面視で電極用突出片36に配置された部分の外部電極基板35と第1シール材32Aとの間に、第2シール材32Bが配置されている形態を有している。
【0093】
このような形態を有するため、調光セル20Dにおいては、第1シール材32Aと外部電極基板35との間における第1積層体21と第2積層体22との密着性を高めることができ、調光装置10の製造方法(合わせガラスの加工方法)の加熱・加圧装置53を用いる工程において第1シール材32Aが決壊することを、効果的に抑制できる。
【0094】
また、本変形例では、
図11に示すように、第2シール材32Bは、第1シール材32Aと外部電極基板35との間に配置されているが、第1シール材32Aを取り囲むようには配置されていない。それゆえ、第1シール材32Aを取り囲むように配置する場合に比べて、第2シール材32Bの使用量を削減できる。また、第2シール材32Bを塗布して形成する工程において、工程時間を短縮することができる。
【0095】
なお、本変形例では、
図11に示すように、第1シール材32Aと対向する外部電極基板35の部分における第1シール材32Aが延びる方向(図中のX方向)の長さ(L1)よりも、第2シール材32Bにおける第1シール材32Aが延びる方向(図中のX方向)の長さ(L2)が、長いことがより好ましい。
上記長さ(L1)の方向(図中のX方向)における外部電極基板35の両端部におけるシール決壊を、より効果的に抑制するためである。
【0096】
また、この第4の変形例においても、液晶層23を取り囲むように、枠状の第1シール材32Aが配置されており、第1シール材32Aの外側に第2シール材32Bが配置されている。そして、第1シール材32A、第2シール材32Bには、それぞれ異なる特性を有する材料を用いることができる。それゆえ、この第4の変形例による調光セル20Dにおいても、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することができる。
【0097】
なお、
図11に示す例では、第2シール材32Bは第1シール材32Aに接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、第1シール材32Aと離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bが第1シール材32Aに接する形態であれば、電極用突出片36の領域内で第2シール材32Bの面積をより大きいものとすることができ、密着性をより高くすることができる。
一方、第2シール材32Bが、第1シール材32Aと離間して配置されている場合は、第1シール材32Aと第2シール材32Bが混ざってしまうことを回避できるため、広く材料選択することができる。また、第1シール材32Aと第2シール材32Bとの相互の位置精度も緩和でき、第1シール材32A及び第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0098】
また、
図11に示す例では、第2シール材32Bは外部電極基板35に接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、外部電極基板35と離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bが外部電極基板35に接する形態であれば、電極用突出片36の領域内で第2シール材32Bの面積をより大きいものとすることができ、密着性をより高くすることができる。
一方、第2シール材32Bが、外部電極基板35と離間して配置されている場合は、外部電極基板35と第2シール材32Bとの相互の位置精度を緩和でき、第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0099】
(第5の変形例)
図12は、第5の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
図12に示すように、調光セル20Eは、第1積層体21と、第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23と、を備えており、第1積層体21と第2積層体22との間において、平面視で液晶層23を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材32Aが配置されており、平面視で第1シール材32Aの外側に第2シール材32Bが配置されている調光セルであって、第1積層体21及び第2積層体22が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片36を有しており、電極用突出片36の第1積層体21と第2積層体22との間に、電極用突出片36が突出する方向に延びる外部電極基板35の一部が配置されており、平面視で電極用突出片36に配置された部分の外部電極基板35を挟んで両側に第2シール材32Bが配置されている。
より詳しくは、
図12に示すように、平面視で電極用突出片36が図面上の上下方向(図中のY方向)に延びるように突出する状態において、外部電極基板35も同様に上下方向(図中のY方向)に延びており、この外部電極基板35の電極用突出片36に配置された部分を挟むように、外部電極基板35の図面上の左右方向(図中のX方向)の両側に第2シール材32Bが配置されている。
【0100】
このような形態を有するため、調光セル20Eにおいては、電極用突出片36に配置された部分の外部電極基板35の両側において第1積層体21と第2積層体22との密着性を高めることができ、調光装置10の製造方法(合わせガラスの加工方法)の加熱・加圧装置53を用いる工程において第1シール材32Aが決壊することを、効果的に抑制できる。
【0101】
また、本変形例においては、
図12に示すように、第1シール材32Aと外部電極基板35との間には、第2シール材32Bは配置されていないため、液晶層23から外部電極基板35までの距離を小さくすることができ、平面視において液晶層23の大きさを広く確保することができる。また、電極用突出片36が突出する方向の大きさを小さくすることができる。
【0102】
なお、本変形例においても、
図12に示すように、第2シール材32Bは、電極用突出片36に配置された部分の外部電極基板35の両側に配置されているが、第1シール材32Aを取り囲むようには配置されていない。それゆえ、第1シール材32Aを取り囲むように配置する場合に比べて、第2シール材32Bの使用量を削減できる。また、第2シール材32Bを塗布して形成する工程において、工程時間を短縮することができる。
【0103】
また、この第5の変形例においても、液晶層23を取り囲むように、枠状の第1シール材32Aが配置されており、第1シール材32Aの外側に、第2シール材32Bが配置されている。そして、第1シール材32A、第2シール材32Bには、それぞれ異なる特性を有する材料を用いることができる。それゆえ、この第5の変形例による調光セル20Eにおいても、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することができる。
【0104】
なお、
図12に示す例では、第2シール材32Bは第1シール材32Aに接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、第1シール材32Aと離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bが第1シール材32Aに接する形態であれば、電極用突出片36の領域内で第2シール材32Bの面積をより大きいものとすることができ、密着性をより高くすることができる。
一方、第2シール材32Bが、第1シール材32Aと離間して配置されている場合は、第1シール材32Aと第2シール材32Bが混ざってしまうことを回避できるため、広く材料選択することができる。また、第1シール材32Aと対する第2シール材32Bとの相互の位置精度も緩和でき、第1シール材32A及び第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0105】
また、
図12に示す例では、第2シール材32Bは外部電極基板35に接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、外部電極基板35と離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bが外部電極基板35に接する形態であれば、電極用突出片36の領域内で第2シール材32Bの面積をより大きいものとすることができる。
一方、第2シール材32Bが、外部電極基板35と離間して配置されている場合は、外部電極基板35と第2シール材32Bとの相互の位置精度を緩和でき、第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0106】
(第6の変形例)
図13は、第6の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
図13に示すように、調光セル20Fは、第1積層体21と、第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23と、を備えており、第1積層体21と第2積層体22との間において、平面視で液晶層23を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材32Aが配置されており、平面視で第1シール材32Aの外側に第2シール材32Bが配置されている調光セルにおいて、第1積層体21と第2積層体22との間であって平面視で第1シール材32Aの外側に外部電極基板35の一部が配置されており、平面視で外部電極基板35の一部を挟みつつ、第1シール材32Aを取り囲むように第2シール材32Bが配置されている。
【0107】
このような形態を有するため、調光セル20Fにおいては、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された部分の外部電極基板35の両側、および、第1シール材32Aの周囲において、第1積層体21と第2積層体22との密着性を高めることができ、調光装置10の製造方法(合わせガラスの加工方法)の加熱・加圧装置53を用いる工程で第1シール材32Aが決壊することを、効果的に抑制できる。
【0108】
また、この第6の変形例においても、液晶層23を取り囲むように、枠状の第1シール材32Aが配置されており、第1シール材32Aも外側に第2シール材32Bが配置されている。そして、第1シール材32A、第2シール材32Bには、それぞれ異なる特性を有する材料を用いることができる。それゆえ、この第6の変形例による調光セル20Fにおいても、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することができる。
【0109】
なお、
図13に示す例では、第2シール材32Bは第1シール材32Aに接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、第1シール材32Aと離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bが第1シール材32Aに接する形態であれば、第1シール材32Aの内縁から第2シール材32Bの外縁までの幅を小さくすることができ、調光セル20Fにおける液晶層23の領域をより効果的に大きくできる。
一方、第2シール材32Bが、第1シール材32Aと離間して配置されている場合は、第1シール材32Aと第2シール材32Bが混ざってしまうことを回避できるため、広く材料選択することができる。また、第1シール材32Aと対する第2シール材32Bとの相互の位置精度も緩和でき、第1シール材32A及び第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0110】
また、
図13に示す例では、第2シール材32Bは外部電極基板35に接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、外部電極基板35と離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bが、外部電極基板35と離間して配置されている場合は、外部電極基板35と第2シール材32Bとの相互の位置精度を緩和でき、第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0111】
(第7の変形例)
図14は、第7の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
図14に示すように、調光セル20Gは、第1積層体21と、第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23と、を備えており、第1積層体21と第2積層体22との間において、平面視で液晶層23を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材32Aが配置されており、平面視で第1シール材32Aの外側に第2シール材32Bが配置されている調光セルであって、第1積層体21及び第2積層体22が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片36を有しており、電極用突出片36の第1積層体21と第2積層体22との間に、電極用突出片36が突出する方向に延びる外部電極基板35の一部が配置されており、平面視で、電極用突出片36に配置された部分の外部電極基板35と第1シール材32Aとの間に、第2シール材32Bが配置されており、電極用突出片36に配置された部分の外部電極基板35を挟んで両側に第3シール材32Cが配置されている。
【0112】
より詳しくは、
図14に示すように、平面視で電極用突出片36が図面上の上下方向(図中のY方向)に延びるように突出する状態において、外部電極基板35も同様に上下方向(図中のY方向)に延びており、外部電極基板35と第1シール材32Aとの間に、第2シール材32Bが配置されており、この外部電極基板35の電極用突出片36に配置された部分を挟むように、外部電極基板35の図面上の左右方向(図中のX方向)の両側に第3シール材32Cが配置されている。
【0113】
第3シール材32Cには、第2シール材32Bと同様に、液晶層23を挟む上下層(すなわち、第1積層体21および第2積層体22)との密着性が高い材料が用いられる。
この第3シール材32Cの材料は、第2シール材32Bと同じ材料であっても良い。また、第3シール材32Cには、第2シール材32Bよりも第1積層体21および第2積層体22との密着性が高い材料が用いられることも、好ましい。
上述したように、外部電極基板35が取り付けられる領域は、外部電極基板35を取り付けた後は外部電極基板35の厚みのために他の領域に比べて厚くなり、調光装置10の製造方法(合わせガラスの加工方法)の加熱・加圧装置53を用いる工程において(
図6(c)参照)、圧力が集中しやすく、第1積層体21と第2積層体22との密着が不足してシール材が決壊しやすい。それゆえ、この外部電極基板35が取り付けられる領域を補強するように、より密着力が高いシール材を配置しておくことが好ましいからである。
なお、この第3シール材32Cが、第2シール材32Bと同じ材料である場合は、材料の種類が増えないため経済的であり、かつ、製造工程も容易になる。
一方、この第3シール材32Cが、第2シール材32Bと異なる材料である場合は、装置や工程上の制約、若しくは製造効率当に応じて使い分けることができる。
【0114】
第3シール材32Cの形成方法には、第2シール材32Bと同様の方法を用いることができる。例えば、第2シール材32Bと同様に、ディスペンサを使用して第3シール材32Cを塗布する方法を用いることができる。
【0115】
このような形態を有するため、調光セル20Gにおいては、第1シール材32Aと外部電極基板35との間における第1積層体21と第2積層体22との密着性を高めることができ、かつ、電極用突出片36に配置された部分の外部電極基板35の両側においても第1積層体21と第2積層体22との密着性を高めることができ、調光装置10の製造方法(合わせガラスの加工方法)の加熱・加圧装置53を用いる工程において第1シール材32Aが決壊することを、効果的に抑制できる。
【0116】
なお、本変形例においても、
図14に示すように、第1シール材32Aと対向する外部電極基板35の部分における第1シール材32Aが延びる方向(図中のX方向)の長さ(L3)よりも第2シール材32Bにおける第1シール材32Aが延びる方向(図中のX方向)の長さ(L4)が、長いことがより好ましい。
上記長さ(L3)の方向(図中のX方向)における外部電極基板35の両端部におけるシール決壊を、より効果的に抑制するためである。
【0117】
また、この第7の変形例においても、液晶層23を取り囲むように、枠状の第1シール材32Aが配置されており、第1シール材32Aの外側に第2シール材32Bが配置されている。そして、第1シール材32A、第2シール材32Bには、それぞれ異なる特性を有する材料を用いることができる。それゆえ、この第7の変形例による調光セル20Gにおいても、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することができる。
【0118】
なお、
図14に示す例では、第2シール材32Bは第1シール材32Aに接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、第1シール材32Aと離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bが第1シール材32Aに接する形態であれば、電極用突出片36の領域内で第2シール材32Bの面積をより大きいものとすることができ、密着性をより高くすることができる。
一方、第2シール材32Bが、第1シール材32Aと離間して配置されている場合は、第1シール材32Aと第2シール材32Bが混ざってしまうことを回避できるため、広く材料選択することができる。また、第1シール材32Aと第2シール材32Bとの相互の位置精度も緩和でき、第1シール材32A及び第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0119】
また、
図14に示す例では、第3シール材32Cは第2シール材32Bに接する形態を有しているが、本変形例における第3シール材32Cは、これに限定されず、第2シール材32Bと離間して配置されていてもよい。
例えば、第3シール材32Cが第2シール材32Bに接する形態であれば、電極用突出片36の領域内で第3シール材32Cの面積をより大きいものとすることができ、密着性をより高くすることができる。
一方、第3シール材32Cが、第2シール材32Bと離間して配置されている場合は、第2シール材32Bと第3シール材32Cが混ざってしまうことを回避できるため、広く材料選択することができる。また、第2シール材32Bと第3シール材32Cとの相互の位置精度も緩和でき、第2シール材32B及び第3シール材32Cの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0120】
また、
図14に示す例では、第2シール材32Bおよび第3シール材32Cは外部電極基板35に接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bおよび第3シール材32Cは、これに限定されず、外部電極基板35と離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bおよび第3シール材32Cが外部電極基板35に接する形態であれば、電極用突出片36の領域内で第2シール材32Bおよび第3シール材32Cの面積をより大きいものとすることができ、密着性をより高くすることができる。
一方、第2シール材32Bおよび第3シール材32Cが、外部電極基板35と離間して配置されている場合は、外部電極基板35と第2シール材32B、および、外部電極基板35と第3シール材32Cとの相互の位置精度を緩和でき、第2シール材32Bおよび第3シール材32Cの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0121】
(第8の変形例)
図15は、第8の変形例による各シール材の配置関係を示す平面図である。
図15に示すように、調光セル20Hは、第1積層体21と、第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23と、を備えており、第1積層体21と第2積層体22との間において、平面視で液晶層23を取り囲むように、枠状の形態を有する第1シール材32Aが配置されており、平面視で第1シール材32Aの外側に第2シール材32Bが配置されている調光セルであって、第1積層体21及び第2積層体が、面方向外側に向けて突出する電極用突出片36を有しており、電極用突出片36の第1積層体21と第2積層体22との間に、電極用突出片36が突出する方向に延びる外部電極基板35の一部が配置されており、平面視で、第2シール材32Bが枠状の形態を有して第1シール材32Aを取り囲むように配置されており、電極用突出片36に配置された部分の外部電極基板35を挟んで両側に第3シール材32Cが配置されている。
【0122】
このような形態を有するため、調光セル20Hにおいては、電極用突出片36に配置された部分の外部電極基板35の両側、および、第1シール材32Aの周囲において、第1積層体21と第2積層体22との密着性を高めることができ、調光装置10の製造方法(合わせガラスの加工方法)の加熱・加圧装置53を用いる工程で第1シール材32Aが決壊することを、効果的に抑制できる。
【0123】
また、この第8の変形例においても、液晶層23を取り囲むように、枠状の第1シール材32Aが配置されており、第1シール材32Aの外側に第2シール材32Bが配置されている。そして、第1シール材32A、第2シール材32Bには、それぞれ異なる特性を有する材料を用いることができる。それゆえ、この第8の変形例による調光セル20Hにおいても、耐液晶性と密着性という異なる2種の要求に対し、その両方において、高い性能を発揮することができる。
【0124】
なお、
図15に示す例では、第2シール材32Bは第1シール材32Aに接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bは、これに限定されず、第1シール材32Aと離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bが第1シール材32Aに接する形態であれば、第1シール材32Aの内縁から第2シール材32Bの外縁までの幅を小さくすることができ、調光セル20Hにおける液晶層23の領域をより効果的に大きくできる。
一方、第2シール材32Bが、第1シール材32Aと離間して配置されている場合は、第1シール材32Aと第2シール材32Bが混ざってしまうことを回避できるため、広く材料選択することができる。また、第1シール材32Aと第2シール材32Bとの相互の位置精度も緩和でき、第1シール材32A及び第2シール材32Bの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0125】
また、
図15に示す例では、第3シール材32Cは第2シール材32Bに接する形態を有しているが、本変形例における第3シール材32Cは、これに限定されず、第2シール材32Bと離間して配置されていてもよい。
例えば、第3シール材32Cが第2シール材32Bに接する形態であれば、電極用突出片36の領域内で第3シール材32Cの面積をより大きいものとすることができ、密着性をより高くすることができる。
一方、第3シール材32Cが、第2シール材32Bと離間して配置されている場合は、第2シール材32Bと第3シール材32Cが混ざってしまうことを回避できるため、広く材料選択することができる。また、第2シール材32Bと第3シール材32Cとの相互の位置精度も緩和でき、第2シール材32B及び第3シール材32Cの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0126】
また、
図15に示す例では、第2シール材32Bおよび第3シール材32Cは外部電極基板35に接する形態を有しているが、本変形例における第2シール材32Bおよび第3シール材32Cは、これに限定されず、外部電極基板35と離間して配置されていてもよい。
例えば、第2シール材32Bが外部電極基板35に接する形態であれば、液晶層23から外部電極基板35までの距離を小さくすることができる。また、電極用突出片36が突出する方向の大きさを小さくすることができる。
また、例えば、第3シール材32Cが外部電極基板35に接する形態であれば、電極用突出片36の領域内で第3シール材32Cの面積をより大きいものとすることができ、密着性をより高くすることができる。
一方、第2シール材32Bおよび第3シール材32Cが、外部電極基板35と離間して配置されている場合は、外部電極基板35と第2シール材32B、および、外部電極基板35と第3シール材32Cとの相互の位置精度を緩和でき、第2シール材32Bおよび第3シール材32Cの塗布工程において、裕度を持たせることができる。
【0127】
(調光装置の変形例)
次に、
図16乃至
図17を参照して、本実施の形態の第1の変形例による調光装置について説明する。
図16は、第1の変形例による調光装置を示す断面図である。
図17は、第1の変形例による調光装置を示す分解斜視図である。
図18は、第1の変形例による調光装置において、調光セルの液晶だまりが解消する際の作用を示す断面図である。
図16乃至
図18において、
図1乃至
図7に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0128】
図16乃至
図17に示す調光装置10Aは、上述した本実施の形態の調光装置10が奏する効果に加えて、液晶の不均一な分布により局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまりの発生を抑制することが可能な調光装置である。
本変形例の調光装置10Aにおいても、調光装置10と同様に、
図7乃至
図15にそれぞれ示す各調光セル(20、20A~20H)を搭載し、その効果を奏することができる。
それゆえ、ここでは、主に調光装置10と異なる構成要素と、この異なる構成要素による効果、すなわち、液晶だまりの発生を抑制する効果について、説明する。
【0129】
図16及び
図17に示すように、調光装置10Aにおいては、調光セル20と第1中間膜13との間に、フィルム33が配置されている。このフィルム33は、調光セル20の第1基材24と第1中間膜13との間に配置されており、第1中間膜13に対して接合されている。フィルム33は、透明な樹脂製であって、可撓性を有する樹脂フィルムであっても良い。
フィルム33としては、光学異方性が小さく、また、可視域の波長(380nm以上800nm以下)における透過率が80%以上である透明樹脂フィルムを適用することが望ましい。透明樹脂フィルムの材料としては、上述した第1基材24及び第2基材27に用いられる透明樹脂フィルムと同一のものを用いることができる。あるいは、フィルム33としては、赤外線(IR)反射フィルム、紫外線(UV)カットフィルムなどの機能性フィルムを用いても良い。さらに、フィルム33は、調光セル、AR(Anti-Reflection)フィルム、AG(Anti-Glare)フィルム、反射型偏光性フィルム、液晶以外の調光方式を有する調光フィルム、又は、デフロスター機能を有するフィルムであっても良い。
また、フィルム33の厚みは、その材料にもよるが、例えば50μm以上250μm以下としても良く、100μm以上125μm以下とすることが好ましい。また、フィルム33の平面形状は、第1中間膜13及び第2中間膜14の平面形状よりも小さい。さらに、フィルム33の平面形状は、調光セル20全体の平面形状よりも小さく、シール材32の内側に位置する液晶層23の平面形状よりも大きいことが好ましい。これにより、フィルム33が液晶層23の全体を覆うので、液晶層23の一部に局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまりの発生を面内全域で抑制することができる。フィルム33の平面形状を、調光セル20のシール材32の内側(液晶層23)よりも小さくし、フィルム33が存在しない領域に液晶だまりを誘導してもよい。このようにして液晶だまりを誘導した部分(外周)は、調光装置10を車両のウィンドウ等に配置した場合に隠すことができる。また、フィルム33と調光セル20の間に、赤外線(IR)反射フィルム、紫外線(UV)カットフィルム、AR(Anti-Reflection)フィルム、AG(Anti-Glare)フィルム等の機能性フィルムを追加してもよい。この場合、機能性フィルムは、フィルム33や調光セル20に貼合わせてもよい。また、上記機能性フィルムは、第1中間膜13とフィルム33との間に追加してもよい。
【0130】
さらに、調光セル20とフィルム33との間に、空隙層Gが設けられている。この空隙層Gは、調光セル20の第1基材24とフィルム33との間の空間に形成される。すなわち調光セル20の第1基材24とフィルム33とは互いに接合されることなく、厚み方向に一定の間隔を空けて配置されている。空隙層Gには、空気が充填されているが、これに限らず、窒素や不活性ガス等の気体が充填されていても良い。
この空隙層Gの厚みは、例えば0μmより大きく10000μm以下であり、0.1μm以上100μm以下とすることが好ましい。空隙層Gの平面形状は、フィルム33の平面形状と略同一であっても良い。このように、調光セル20とフィルム33との間に空隙層Gが形成されることにより、後述するように、調光セル20のセルギャップ不良が減少し、液晶層23の一部に局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまりの発生を抑制することができる。また、調光セル20とフィルム33との間に空隙層Gが設けられることにより、調光装置10Aの断熱性が向上し、調光装置10Aを配置した車両や建物の保温性を高めることができる。また、調光装置10Aは、調光セル20を遮光状態にすると、調光セル20と空隙層Gの界面及びフィルム33と空隙層Gの界面での反射により、第1透明基板11側から見ると、鏡面状に観察される。
【0131】
また、本変形例において、空隙層Gに代えて流動性樹脂層Lを設けても良い。この流動性樹脂層Lは、調光セル20とフィルム33との間の空間に封入されている。流動性樹脂層Lは、例えば、第1中間膜13及び第2中間膜14よりも低い温度で軟化する透明樹脂であり、未硬化の液体であってもゲル状であってもよい。また、流動性樹脂層Lの屈折率は、フィルム33に合わせられていることが好ましい。このような流動性樹脂層Lとしては、例えばグリセリン等を用いることができる。また流動性樹脂層Lは、流動性液体層であってもよい。流動性樹脂層Lの厚さは、0μmより大きく10000μm以下としても良い。このように、調光セル20とフィルム33との間に流動性樹脂層Lを設けることにより、合わせガラス加工後に流動性樹脂層Lを流動させることができる。これにより、調光セル20の液晶層23の厚みを均一化し、液晶だまりの発生を抑えることができる。
【0132】
次に、
図18を参照して、第1の変形例による調光装置10Aにおいて、調光セルの液晶だまりが解消する作用について説明する。
上述のように(
図6(a)-(c)参照)、調光装置を製造する合わせガラス加工の際、合わせガラス積層体30の各部材には圧力が加わる。この際、スペーサー(ビーズスペーサー31)が位置する部分では、本来のセルギャップ(液晶層23の厚み)を維持しているが、ビーズスペーサー31から離れると、本来のセルギャップの値よりも小さくなる。そして、このようなセルギャップにムラが生じると、調光装置に外観不良が生じたり、調光機能が不均一化になったりする等、その品質が低下するおそれがある。
【0133】
これに対して本変形例においては、調光セル20と第1中間膜13との間に、フィルム33が配置され、調光セル20とフィルム33との間に、空隙層Gが設けられている。これにより、調光セル20の液晶層23に液晶だまり(局所的に液晶が多く存在する現象)が生じていた場合でも、調光装置の作製後、液晶層23に加わる圧力が解放された際、調光セル20が空隙層G内でセルギャップ(液晶層23の厚み)が均一になるように自然に移動する(
図18(a)-(c)参照)。これにより、調光セル20の液晶だまりが解消され、調光セル20の液晶層23を面内で均一に分布させることができ、調光装置の品質や外観を高めることができる。
なお、上記のような作用効果は、空隙層Gに代えて流動性樹脂層Lを設けても奏することができる。
【0134】
以上、本開示に係る調光セルおよび調光装置について、各実施の形態及び変形例について説明したが、上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0135】
10、10A 調光装置
11 第1透明基板
12 第2透明基板
13 第1中間膜
14 第2中間膜
16 額縁中間膜(第3中間膜)
20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H 調光セル
21 第1積層体
22 第2積層体
23 液晶層
24 第1基材
25 第1透明電極
26 第1配向層
27 第2基材
28 第2透明電極
29 第2配向層
30 合わせガラス積層体
31 ビーズスペーサー
32A 第1シール材
32B 第2シール材
32C 第3シール材
33 フィルム
35 外部電極基板
36 電極用突出片
41 空間部
42 隙間部
43 角部
51 バッグ
52 通気管
53 加熱・加圧装置
91 調光コントローラ
92 センサ装置
93 ユーザ操作部