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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231219BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20231219BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231219BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
F21V33/00 400
F21Y115:10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020019993
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021125131
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 優
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊也
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 昌俊
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-169382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
F21V 33/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明ユニットとカメラユニットとを具備するカメラ付き照明装置のカメラユニットによって撮影された撮影データを取得する取得部と;
前記取得部によって取得された前記撮影データと、撮影現場におけるエラーを特定するための特定情報とから前記撮影現場におけるエラーを検出する検出部と;
前記検出部によってエラーが検出された場合に、当該エラーが検出された前記撮影データに前記エラーに関するフラグを立てることでエラー情報をタグ付けするタグ付け部と;
を具備する、管理装置。
【請求項2】
前記タグ付け部は、
前記照明ユニットの照明態様を変更することで、前記撮影データに前記タグ付けする、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記タグ付け部によって前記エラー情報がタグ付けされた前記撮影データを切り取って再生する再生部;
をさらに具備する、請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
照明ユニットとカメラユニットとを具備するカメラ付き照明装置のカメラユニットによって撮影された撮影データを取得する取得部と;
撮影現場におけるエラーを特定するための特定情報を入力する入力部と;
前記取得部によって取得された前記撮影データと前記特定情報とから撮影現場におけるエラーを検出する検出部と;
を具備する、管理装置。
【請求項5】
前記特定情報は、作業工程ごとの製品の状態を示す模範データであり、
前記検出部は
前記撮影データに写る前記製品の状態と前記模範データとに基づいて前記エラーを検出する、
請求項1~4のいずれか一つに記載の管理装置。
【請求項6】
前記検出部は、
前記模範データと前記撮影データに写る前記製品の状態それぞれの部品又は付属品の数の差分とに基づいて前記エラーを検出する、
請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記模範データを過去の撮影データから学習する学習部;
をさらに具備する請求項5または6に記載の管理装置。
【請求項8】
前記特定情報は、
前記撮影現場が流れ作業の現場である場合に、前記流れ作業の作業周期に関する情報である、
請求項1~7のいずれか一つに記載の管理装置。
【請求項9】
前記検出部によってエラーが検出された場合に作業者へ通知する通知部;
をさらに具備する請求項1~8のいずれか一つに記載の管理装置。
【請求項10】
前記撮影データから単位時間当たりの作業効率を測定する測定部;
をさらに具備する請求項1~9のいずれか一つに記載の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1つの筐体に照明ユニットと、カメラユニットとを備えたカメラ付き照明装置がある。かかるカメラ付き照明装置は、工場での生産ラインの監視やオフィス内での従業員の状態監視などの用途にも導入されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-204613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、カメラ付き照明装置の利用価値を高めるうえで改善の余地があった。すなわち、カメラユニットによって撮影された撮影データは、表示または記録されるにとどっていた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、カメラ付き照明装置の利用価値を高めることができる管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る管理装置は、取得部と、検出部と、タグ付け部とを備える。前記取得部は、照明ユニットとカメラユニットとを有するカメラ付き照明装置のカメラユニットによって作業現場を撮影された撮影データを取得する。前記検出部は、前記取得部によって取得された前記撮影データと特定情報とから撮影現場におけるエラーを検出する。前記タグ付け部は、前記検出部によってエラーが検出された場合に、当該エラーが検出された前記撮影データに前記エラーに関するエラー情報をタグ付けする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カメラ付き照明装置の利用価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、第1の実施形態に係るカメラ付き照明装置の側面図である。
図1B図1Bは、第1の実施形態に係るカメラ付き照明装置の下面図である。
図1C図1Cは、第1の実施形態に係る照明システムの模式図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る管理装置のブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る検出部の処理の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る検出部の処理の一例を示す図である。
図5図5は、作業効率の測定結果の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る管理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、第2の実施形態に係る管理装置のブロック図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る管理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で説明する実施形態に係る管理装置100は、取得部4aと、検出部4bと、タグ付け部4cとを具備する。取得部4aは、照明ユニット20とカメラユニット30とを有するカメラ付き照明装置10のカメラユニットによって作業現場を撮影された撮影データを取得する。検出部4bは、取得部4aによって取得された撮影データと特定情報とから撮影現場におけるエラーを検出する。タグ付け部4cは、検出部4bによってエラーが検出された場合に、当該エラーが検出された撮影データにエラーに関するエラー情報をタグ付けする。
【0010】
また、以下で説明する実施形態に係る管理装置100において、タグ付け部4cは、照明ユニット20の照明態様を変更することで、撮影データにタグ付けする。
【0011】
また、以下で説明する実施形態に係る管理装置100は、タグ付け部4cによってエラー情報がタグ付けされた撮影データを切り取って再生する再生部4dをさらに具備する。
【0012】
また、以下で説明する実施形態に係る管理装置100aは、取得部4aと、入力部4hと、検出部4bとを具備する。取得部4aは、照明ユニット20とカメラユニット30とを有するカメラ付き照明装置10のカメラユニットによって作業現場を撮影された撮影データを取得する。入力部4hは、特定情報を入力する。検出部4bは、取得部4aによって取得された撮影データと特定情報とから撮影現場におけるエラーを検出する。
【0013】
また、以下で説明する管理装置100において、特定情報は、作業工程ごとの製品の状態を示す模範データであり、検出部4bは撮影データに写る製品の状態と模範データとに基づいてエラーを検出する。
【0014】
また、以下で説明する管理装置100において、検出部4bは、模範データと撮影データに写る製品の状態それぞれの部品又は付属品の数の差分とに基づいてエラーを検出する。
【0015】
また、以下で説明する管理装置100は、模範データを過去の撮影データから学習する学習部4fを具備する。
【0016】
また、以下で説明する管理装置100において、特定情報は、撮影現場が流れ作業の現場である場合に、流れ作業の作業周期に関する情報である。
【0017】
また、以下で説明する管理装置100は、検出部4bによってエラーが検出された場合に作業者へ通知する通知部4gを具備する。
【0018】
また、以下で説明する管理装置100は、撮影データから単位時間当たりの作業効率を測定する測定部4eを具備する。
【0019】
(第1の実施形態)
まず、図1Aおよび図1Bを用いて、第1の実施形態に係るカメラ付き照明装置10について説明する。図1Aは、第1の実施形態に係るカメラ付き照明装置10の側面図である。図1Bは、第1の実施形態に係るカメラ付き照明装置10の下面図である。
【0020】
図1Aに示すように、実施形態に係るカメラ付き照明装置10は、照明ユニット20と、カメラユニット30と、電源ユニット40とを備える。また、照明ユニット20と、カメラユニット30とは、L字金具を介してネジ止めされ、照明ユニット20と、電源ユニット40とは、連結部12を介して連結される。
【0021】
連結部12は、さらに、取付部11と接合し、取付部11を介して、カメラ付き照明装置10が天井などの設置面に取り付けられる。
【0022】
照明ユニット20は、光源部21と、フィン25とを備える。フィン25は、光源部21の上部に設けられ、光源部21の発光による発熱を冷却する。図1Bに示すように、光源部21は、基板21a上にLED(Light Emitting Diode)等の発光素子21bが設けられる。
【0023】
また、光源部21の出射面は、カバー22によって覆われる。なお、カバー22は、例えば、透過性のガラスや樹脂である。なお、図1Bに示す例では、光源部21が4つの基板21aから構成される場合を示しているが、これに限定されるものではない。
【0024】
また、カメラユニット30は、撮像部31と、レンズ32とを備える。撮像部31は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像センサや、画像または映像を撮影するのに必要となる各種部品が含まれる。また、撮像部31の下面は、レンズ32によって覆われる。
【0025】
また、図1Bに示すように、光源部21と、撮像部31との向きは、それぞれ取り付け時に下側を向くことになる。これにより、光源部21によって光が照射されたエリアを撮像部31によって撮像することができるので、撮影対象の照度を確保することができるので、鮮明な画像を撮像することができる。
【0026】
また、カメラ付き照明装置10は、天井に設置されるので、天井から空間内を俯瞰した画像を撮影することができる。なお、図1Aおよび図1Bに示すカメラ付き照明装置10の外観形状は、一例であり、ベースライト、シーリングライトなど、その他の形状であってもよい。
【0027】
次に、図1Cを用いて、実施形態に係る照明システムSについて説明する。図1Cは、実施形態に係る照明システムSの概要を示す図である。なお、以下では、照明システムSが工場に導入される場合を例に挙げて説明する。
【0028】
図1Cに示すように、実施形態に係る照明システムSは、複数のカメラ付き照明装置10と、管理装置100とを備える。また、図1Cに示す例では、各カメラ付き照明装置10が工場の作業現場(例えば、製造ライン等)に設置される場合を示す。
【0029】
管理装置100は、作業現場に設置された各カメラ付き照明装置10を管理する装置である。例えば、管理装置100は、各カメラ付き照明装置10の照明ユニット20の照明態様や、カメラユニット30の撮像向き、倍率等をネットワークNを介して遠隔で制御する。
【0030】
また、管理装置100は、各カメラユニット30で撮影された画像または映像を収集し、記憶する。例えば、管理装置100によって収集された画像または映像は、作業現場の監視等に用いられる。
【0031】
ところで、上述のように、管理装置100には、各カメラユニット30で撮影された撮影データが集積される。しかしながら、従来においては、管理装置に集積された撮影データを記憶したり、管理者に対して表示したりするにとどまっていた。このため、カメラ付き照明装置10の利用価値を高めるうえで、改善の余地があった。
【0032】
そこで、第1の実施形態に係る管理装置100では、撮影データから撮影現場におけるエラーを検出することとした。なお、以下では、撮影現場が作業場である場合について説明する。また、作業場におけるエラーとは、ライン上において行われる作業のミスや誤り、作業場において行われる各種工程の作業における誤りを示す。すなわち、実施形態に係る管理装置100は、作業場において生じた作業や業務のミス等、任意のエラーを作業場のエラーとして検出する。
【0033】
図2は、第1の実施形態に係る管理装置100のブロック図である。図2に示すように、管理装置100は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。通信部2は、ネットワークNを介して各カメラ付き照明装置10とデータ通信を行う通信モジュールである。
【0034】
記憶部3は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、HDD、光ディスク等の記憶装置である。図2に示す例において、記憶部3は、撮影データデータベース3a、特定情報データベース3bおよび作業データデータベース3cを有する。
【0035】
撮影データデータベース3aは、各カメラ付き照明装置10で撮影された撮影データを記憶するデータベースである。本実施形態では、特に、作業場の各作業工程を撮影した撮影データが撮影データデータベース3aに格納される。
【0036】
特定情報データベース3bは、作業場におけるエラーを検出するための特定情報を格納するデータベースである。特定情報の一例として、各作業工程において作業工程ごとの製品の状態を示す模範データが挙げられる。かかる模範データは、例えば、後述する学習部4fによって生成される。
【0037】
作業データデータベース3cは、各製造ラインの作業効率に関する情報を記憶するデータベースである。例えば、作業効率に関する情報は、後述する測定部4eによって生成される。
【0038】
次に、制御部4について説明する。制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。
【0039】
図2に示す例では、制御部4は、取得部4aと、検出部4bと、タグ付け部4cと、再生部4dと、測定部4eと、学習部4fと、通知部4gとを備える。取得部4a、検出部4b、タグ付け部4c、再生部4d、測定部4e、学習部4fおよび通知部4gの機能は、例えば、制御部4のCPUが制御部4のRAM、ROM、または記憶部3に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0040】
なお、取得部4a、検出部4b、タグ付け部4c、再生部4d、測定部4e、学習部4fおよび通知部4gは、それぞれ一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0041】
取得部4aは、照明ユニット20とカメラユニット30とを備えるカメラ付き照明装置10のカメラユニット30によって作業現場を撮影された撮影データを取得する。例えば、取得部4aは、リアルタイムで各カメラユニット30から撮影データを取得し、撮影データの取得毎に取得した撮影データを撮影データデータベース3aに格納する。
【0042】
この際、製造ラインが複数ある場合、製造ラインごとに作業工程ごとの撮影データを順次、撮影データデータベース3aに格納する。
【0043】
検出部4bは、取得部4aによって取得された撮影データと特定情報とから作業場(撮影現場)におけるエラーを検出する。ここで、上述のように、「作業場におけるエラー」とは、ライン上において行われる作業のミスや誤り、作業場において行われる各種工程の作業における誤りを示す。
【0044】
なお、以下では、例えば、人的ミスにより、付属部品の梱包ミスを作業場におけるエラーとして検出する場合について説明する。
【0045】
例えば、検出部4bは、画像解析を行い、作業工程ごとの製品の状態を示す模範データと、撮影データに写る製品の状態とに基づいてエラーを検出する。より詳細には、検出部4bは、模範データと、撮影データに写る製品の状態との部品又は付属品の数の差分に基づいて、エラーを検出する。
【0046】
ここで、図3を用いて、検出部4bによる検出処理の具体例について説明する。図3は、第1の実施形態に係る検出部4bの処理の一例を示す図である。なお、図4では、段ボールに作業工程ごとに部品を順次梱包していく場面を示す。
【0047】
例えば、図3の左に示す模範データLeにおいては、部品P1~P3の計3つの部品が段ボールに梱包されている。これに対して、図3の右図に示す撮影データLaには、段ボールに部品P1、P3が梱包されているものの、部品P2が梱包されていない場合を示す。
【0048】
検出部4bは、模範データLeと、撮影データLaとの差分から部品P2が梱包されていないことを認識し、エラーとして検出する。このように、差分に基づき、エラーを検出することで、容易にエラーを検出することができる。なお、段ボールの通過の有無については、マイクロ波センサによって検出することにしてもよい。すなわち、撮影データ以外にその他のセンサの検出結果の組み合わせに基づき、エラーを検出することにしてもよい。
【0049】
また、検出部4bは、撮影データLaから各部品P1~P3それぞれを画像認識により検出し、画像認識の結果、認識されなかった部品P2が梱包されていないことを認識することにしてもよい。
【0050】
すなわち、この場合、撮影データLaから各部品P1~P3をそれぞれ認識し、認識した部品P1~P3の数と、模範データにおける部品P1~P3の数とが一致しなかった場合に、エラーとして検出する。
【0051】
この場合、撮影データに写る各部品の色から各部品それぞれを認識することにしてもよい。例えば、撮影データの各画素のRGBと、模範データにおける各部品のRGBの一致度に基づいて、各部品を認識することにしてもよい。
【0052】
また、部品が取扱説明書である場合を想定すると、取扱説明書には、通常、文字が印刷されている。このため、撮影データからRGBのコントラスト差から文字の有無を認識し、取扱説明書か梱包されているか否かを判定することにしてもよい。この場合、撮影データ内での部品のRGBの値が模範データのRGBに近づくように、照明ユニット20の照度、色温度、周波数等を調節することにしてもよい。
【0053】
なお、検出部4bは、模範データに代えて、作業工程前後の撮影データの差分からエラーを検出することにしてもよい。例えば、1つの作業工程において、部品P2を梱包する場合、作業工程前と、作業工程後で、段ボール内に変化がなかった場合、すなわち、部品P2が梱包されていなかった場合に、エラーとして検出する。また、検出部4bは、特定の部品が通常よりも多く梱包されていた場合も同様にエラーとして検出することができるのは言うまでもない。
【0054】
また、他の例として、検出部4bは、例えば、作業者の作業間隔に基づいて、上記のエラーを検出することもできる。図4は、検出部4bによる検出処理の具体例について説明する。
【0055】
図4のAに示す動作タイミングは、作業者の梱包作業の動作タイミングを示し、図4のBに示す作業周期は、段ボールの流れる周期を示す。すなわち、ここでは、特定情報が作業周期となり、全ての段ボールに部品P2を梱包したならば、動作タイミングと、作業周期とが一致する。
【0056】
これに対して、作業タイミングにおいて、動作タイミングが少ない場合、部品P2が梱包されていないことになる。なお、この場合においては、検出部4bは、画像認識により、作業者の動作をトラッキングし、作業者の作業間隔に基づいて、エラーを検出する。
【0057】
上述のように、カメラ付き照明装置10は、天井に設置される。このため、例えば、作業者の頭などで段ボールがカメラユニット30から遮られる場合も想定され得る。これに対して、作業者に基づいてエラーを検出することで、部品などを撮影データから直接認識できない場合であっても、エラーの検出が可能となる。
【0058】
図2の説明に戻り、タグ付け部4cについて説明する。タグ付け部4cは、検出部4bによってエラーが検出された場合に、当該エラーが検出された撮影データにエラーに関するエラー情報をタグ付けする。
【0059】
例えば、エラー情報は、フラグであり、エラーが検出されなかった撮影データのフラグは「0」、エラーが検出されなかった撮影データのフラグは「1」となる。
【0060】
また、タグ付け部4cは、エラーが検出された場合に、照明ユニット20の照明態様を変更することで、撮影データにタグ付けすることにしてもよい。具体的には、例えば、タグ付け部4cは、エラーが検出された撮影データを撮影したカメラ付き照明装置10の照明態様を変更する。
【0061】
例えば、照明態様とは、周波数や照度を含む。また、この場合には、照明態様の変更によって、作業をストップさせてしまうと、作業効率の低下を招くため、作業に支障が出ない範囲で照明態様を変更することが好ましい。
【0062】
この場合には、エラーの検出前後で、撮影データに写る照明態様が変化することになり、照明態様の変化点からエラーの発生時刻を検出することが可能となる。
【0063】
再生部4dは、タグ付け部4cによってエラー情報がタグ付けされた撮影データを切り取って再生する。すなわち、再生部4dは、撮影データデータベース3aからエラー情報がタグ付けされた撮影データを抽出し、再生する。
【0064】
なお、上述のように、エラー情報がフラグである場合は、フラグの有無に基づいてエラーに関する撮影データを抽出することができる。また、エラー情報が照明態様の変更である場合は、撮影データのスペクトルの変化によって、エラー情報の有無を検出することができる。
【0065】
そして、再生部4dは、撮影時刻を表示しつつ、撮影データの再生を行う。これにより、エラーの状況を示す撮影データのみが再生されるので、作業管理者は、エラーの状況を容易に把握することが可能となる。
【0066】
なお、この際には、例えば、エラーを検出した時刻を基準として前後所定期間(例えば、前後1分間)を併せて再生することが好ましい。
【0067】
測定部4eは、撮影データから単位時間当たりの作業効率を測定する。例えば、測定部4eは、図4に示したように、動作タイミングに基づいて、単位時間当たりの作業効率を測定することができる。
【0068】
例えば、測定部4eは、作業効率を生産ライン毎に測定し、測定結果を作業データデータベース3cに格納する。図5は、作業効率の測定結果の一例を示す図である。なお、図5の例では、生産ラインごとに作業効率の推移を示す。
【0069】
図5に示すように、例えば、生産ラインw1では、作業効率にムラがなく、生産ラインw2は、一度、生産効率が最大となるピークPを向かえるものの、その他は、生産ラインw1よりも作業効率が劣ることを示す。
【0070】
また、生産ラインw3は、生産ラインw1、w2に比べて、作業効率が劣っていることを示す。ここで、全ての生産ラインw1~w3で、ピークPの作業効率を継続して行った場合が、生産ラインw1~w3の生産能力の上限となる。
【0071】
つまり、作業効率を測定することで、生産ラインの生産能力の上限の把握や、生産ラインの効率化の見直し等に用いることができる。なお、測定部4eは、作業効率の特異点(例えば、ピークP)の撮影データにタグ付けを行うことにしてもよい。また、この際、生産ラインごとの作業員を撮影データから認識し、作業効率の測定結果や撮影データに作業員をタグ付けすることにしてもよい。
【0072】
これにより、作業管理者に対して、人員の配置の見直しの検討を容易にすることができる。なお、上述の例では、生産ラインごとに作業効率を測定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、作業工程ごとの作業効率を測定することにしてもよい。
【0073】
図2の説明に戻り、学習部4fについて説明する。学習部4fは、過去の撮影データから上記の模範データを学習する。例えば、学習部4fは、作業工程ごとに模範となる撮影データを教師データとする機械学習によって模範データを学習することができる。
【0074】
なお、模範データは、例えば、図3に示したように、各部品それぞれを含んだものであってもよいし、作業工程ごとの部品そのものであってもよい。なお、学習部4fの構成を管理装置100とは別の装置(例えば、クラウド)に設けることにしてもよい。
【0075】
通知部4gは、検出部4bによってエラーが検出された場合に、作業者へ通知する。すなわち、管理装置100aでは、即時的にエラーの発生を通知する。例えば、通知部4gは、対応するカメラ付き照明装置10の照明ユニット20の照明態様を変更したり、作業場内のマイクから音声を出力したりすることで、エラーを作業者へ通知する。なお、ここでの照明態様とは、点滅や色温度の変更などを示す。
【0076】
次に、図6を用いて、実施形態に係る管理装置100が実行する処理手順について説明する。図6は、実施形態に係る管理装置100が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、管理装置100の制御部4によって繰り返し実行される。
【0077】
図6に示すように、管理装置100は、撮影データを取得すると(ステップS101)、撮影データの画像解析を行う(ステップS102)。続いて、管理装置100は、画像解析の結果、エラーを検出したか否かを判定し(ステップS103)、エラーを検出した場合(ステップS103,Yes)、撮影データにタグ付けし(ステップS104)、処理を終了する。
【0078】
また、管理装置100は、ステップS103の判定において、エラーを検出しなかった場合には(ステップS103,No)、ステップS104の処理を省略して、処理を終了する。
【0079】
(第2の実施形態)
上述の実施形態では、予め登録された特定情報に基づいて、エラーを検出する場合について説明したがこれに限定されるものではない。すなわち、後から入力された特定情報に基づいて、エラーを検出することにしてもよい。
【0080】
ここで、図7および図8を用いて、第2の実施形態に係る管理装置100aについて説明する。図7は、第2の実施形態に係る管理装置100aのブロック図である。なお、図7に示す例において、管理装置100aは、既に説明した管理装置100の学習部4fに代えて、入力部4hを備える。
【0081】
入力部4hは、特定情報を入力する。例えば、入力部4hは、エラーの検出対象となる情報を特定情報として入力する。例えば、作業員による全ての梱包作業が終わった後に、全て梱包したはずの説明書が余っていた場合を想定する。
【0082】
この場合において、入力部4hは、例えば、作業者の操作に基づき、撮影データから説明書を特定するためのデータを特定情報として入力する。検出部4bは、かかる特定情報に基づいて、撮影データデータベース3aに記録された撮影データからエラーの検出処理を行う。
【0083】
このように、管理装置100aは、入力部4hによって特定情報の入力を受け付けることで、当初、想定していなかったエラーを検出することが可能となる。
【0084】
次に、図8を用いて、第2の実施形態に係る管理装置100aが実行する処理手順について説明する。図8は、第2の実施形態に係る管理装置100aが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0085】
図8に示すように、管理装置100aは、特定情報を入力すると(ステップS201)、特定情報に基づいて、撮影データデータベース3aに格納された撮影データの画像解析を行う(ステップS202)。続いて、管理装置100aは、画像解析の結果、エラーを検出したか否かを判定し(ステップS203)、エラーを検出した場合(ステップS203,Yes)、エラーの該当箇所の撮影データを再生して(ステップS204)、処理を終了する。
【0086】
また、管理装置100aは、ステップS203の判定において、エラーを検出しなかった場合には(ステップS203,No)、ステップS202の処理へ移行する。
【0087】
ところで、上述した実施形態では、学習部4fと、入力部4hとがそれぞれ別の管理装置100に設けられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、学習部4fと、入力部4hをそれぞれ同一の管理装置100に設けることにしてもよい。
【0088】
また、管理装置100の一部またはすべての機能を各カメラ付き照明装置10に設けることにしてもよい。すなわち、各カメラ付き照明装置10でエラーを検出することにしてもよい。
【0089】
また、上述した実施形態では、照明システムSが工場に設置される場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、照明システムSをオフィスや病院など、その他の場所に設置することにしてもよい。
【0090】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
4a 取得部
4b 検出部
4c タグ付け部
4d 再生部
4e 測定部
4f 学習部
4g 通知部
4h 入力部
10 カメラ付き照明装置
20 照明ユニット
30 カメラユニット
40 電源ユニット
100、100a 管理装置
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8