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特許7404915モータユニット及び電動パワーステアリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】モータユニット及び電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20231219BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20231219BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20231219BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20231219BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02K5/22
B62D5/04
H02K11/33
H02K5/00 B
H05K9/00 F
H05K9/00 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020022536
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021129402
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 友里
(72)【発明者】
【氏名】金子 昇
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-029287(JP,A)
【文献】国際公開第2007/026894(WO,A1)
【文献】特開2000-021505(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101258067(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0262089(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
B62D 5/04
H02K 11/33
H02K 5/00
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のモータケース、前記モータケースの一端に配置される導体であるギヤボックス、及び前記ギヤボックスの径方向の外側に延びるモータ端子を備える電動モータと、
前記電動モータに支持される制御装置ケース、及び前記モータ端子が接続される3つの接続端子を有するコネクタを備える制御装置と、
を備え、
前記ギヤボックスは、前記ギヤボックスの外周面から径方向外側に突出し、且つ前記コネクタと離隔した状態で前記コネクタの一部を覆うカバー部を備え、
前記カバー部は、前記電動モータの軸方向から見た場合に前記コネクタの全部と重なり、3つの前記接続端子が並ぶ配列方向及び前記軸方向の両方に対して直交する方向から見た場合に前記コネクタの少なくとも一部と重なり、且つ前記配列方向から見た場合に前記コネクタと重ならない
モータユニット。
【請求項2】
絶縁体であって前記コネクタと前記カバー部との間に配置される絶縁カバーを備える
請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のモータユニットを備え、
前記制御装置が前記電動モータを制御し、前記電動モータに補助操舵トルクを発生させる
電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニット及び電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動パワーステアリング装置は、電動モータと、電動モータを制御する制御装置と、を備えている。電動パワーステアリング装置において、構造を簡素化するために、制御装置を電動モータに取り付けることによって制御装置と電動モータを一体化する技術が知られている。例えば、特許文献1には、コントロールユニットを電動モータに固定する方法の一例が記載されている。特許文献1においては、コントロールユニットに設けられるユニット側コネクタがギヤボックスで覆われることによって、電磁環境適合性(EMC)が改善されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-029287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のようにギヤボックスがコネクタを覆う場合、ギヤボックスの体積が大きくなることから、軽量化が難しい。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、軽量化でき且つ電磁環境適合性を向上できるモータユニット及び電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様のモータユニットは、筒状のモータケース、前記モータケースの一端に配置される導体であるギヤボックス、及び前記ギヤボックスの径方向の外側に延びるモータ端子を備える電動モータと、前記電動モータに支持される制御装置ケース、及び前記モータ端子が接続される3つの接続端子を有するコネクタを備える制御装置と、を備え、前記ギヤボックスは、前記コネクタの一部を覆うカバー部を備え、前記カバー部は、前記電動モータの軸方向から見た場合に前記コネクタの全部と重なり、3つの前記接続端子が並ぶ配列方向及び前記軸方向の両方に対して直交する方向から見た場合に前記コネクタの少なくとも一部と重なり、且つ前記配列方向から見た場合に前記コネクタと重ならない。
【0007】
これにより、導体であるカバー部がコネクタの一部を覆うことによって、電磁環境適合性が向上する。また、カバー部がコネクタの一部を露出させていても、本開示のモータユニットは、使用に耐える程度の電磁環境適合性を有する。その一方で、ギヤボックスがコネクタを全方向から覆う場合と比較して、必要なギヤボックスの体積が小さくなる。このため、本開示のギヤボックスは、ギヤボックスがコネクタを全方向から覆う場合と比較して軽量である。したがって、本開示のモータユニットは、軽量化でき且つ電磁環境適合性を向上できる。
【0008】
モータユニットの望ましい態様として、絶縁体であって前記コネクタと前記カバー部との間に配置される絶縁カバーを備える。
【0009】
これにより、コネクタと導体であるカバー部との間の絶縁性が向上する。このため、カバー部がコネクタを流れる電流に影響を与えにくくなる。
【0010】
本開示の一態様の電動パワーステアリング装置は、上記のモータユニットを備え、前記制御装置が前記電動モータを制御し、前記電動モータに補助操舵トルクを発生させる。
【0011】
モータユニットが高い電磁環境適合性を有するので、制御装置から電動モータへ供給される電流が放射ノイズによって妨害されにくくなる。また、電動パワーステアリング装置は、放射ノイズの発生を抑制することによって、ラジオ放送等に伝播するノイズを減らすことができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、軽量化でき且つ電磁環境適合性を向上できるモータユニット及び電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。
図2図2は、実施形態の電動パワーステアリング装置の斜視図である。
図3図3は、実施形態のモータユニットの正面図である。
図4図4は、実施形態のモータユニットの左側面図である。
図5図5は、図3のA-A断面図である。
図6図6は、図5の拡大図である。
図7図7は、実施形態の絶縁カバーの斜視図である。
図8図8は、第1比較例、第2比較例、及び実施例に対するエミッション試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0015】
(実施形態)
図1は、実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。図2は、実施形態の電動パワーステアリング装置の斜視図である。図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、第1ユニバーサルジョイント84と、中間シャフト85と、第2ユニバーサルジョイント86と、を備えピニオンシャフト87に接合されている。以下の説明においては、電動パワーステアリング装置80が搭載された車両における前方は単に前方と記載され、車両における後方は単に後方と記載される。
【0016】
図1に示すように、ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結される。
【0017】
図1に示すように、中間シャフト85は、第1ユニバーサルジョイント84と第2ユニバーサルジョイント86とを連結している。中間シャフト85の一方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結される。ピニオンシャフト87の一方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結され、ピニオンシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。ステアリングシャフト82の回転が中間シャフト85を介してピニオンシャフト87に伝わる。すなわち、中間シャフト85はステアリングシャフト82に伴って回転する。
【0018】
図1に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを備える。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。ラック88bが移動することで車輪の角度が変化する。
【0019】
図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、減速装置92と、モータユニット1と、を備える。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。モータユニット1は、電動モータ2と、制御装置3を備える。電動モータ2で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォーム及びウォームホイールによって、電動モータ2で生じたトルクを増加させる。そして、減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。すなわち、電動パワーステアリング装置80はコラムアシスト方式である。制御装置3は、ECU(Electronic Control Unit)である。
【0020】
図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、トルクセンサ94と、車速センサ95と、を備える。電動モータ2、トルクセンサ94及び車速センサ95は、制御装置3と電気的に接続される。トルクセンサ94は、入力軸82aに伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信により制御装置3に出力する。車速センサ95は、電動パワーステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信により制御装置3に出力する。
【0021】
制御装置3は、電動モータ2に取り付けられており、電動モータ2の動作を制御する。例えば、制御装置3は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって電動モータ2を制御する。PWM制御によるスイッチングノイズが制御装置3の外部に発生する可能性がある。制御装置3は、トルクセンサ94及び車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。制御装置3には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電流が供給される。制御装置3は、操舵トルク及び車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。制御装置3は、補助操舵指令値に基づいて電動モータ2へ供給する電流値を調節し、電動モータ2に補助操舵トルクを発生させる。制御装置3は、電動モータ2から誘起電圧の情報又は電動モータ2に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。制御装置3が電動モータ2を制御し、電動モータ2に補助操舵トルクを発生させることによってステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
【0022】
図3は、実施形態のモータユニットの正面図である。図4は、実施形態のモータユニットの左側面図である。図5は、図3のA-A断面図である。図6は、図5の拡大図である。図7は、実施形態の絶縁カバーの斜視図である。
【0023】
以下の説明において、XYZ直交座標系が用いられる。X軸は、コネクタ35の接続端子355が並ぶ方向(配列方向)と平行である。Y軸は、X軸及び電動モータ2の回転軸Rに対して直交する。Z軸は、電動モータ2の回転軸Rと平行である。X軸と平行な方向は、X方向と記載される。Y軸と平行な方向は、Y方向と記載される。Z軸と平行な方向は、Z方向と記載される。Y方向のうち電動モータ2から制御装置3に向かう方向を+Y方向とする。Z方向のうち絶縁カバー5からコネクタ35に向かう方向を+Z方向とする。+Y方向を上として+Z方向を向いた場合の右方向を+X方向とする。
【0024】
図3に示すように、モータユニット1は、電動モータ2と、制御装置3と、を備える。モータユニット1においては、電動モータ2と制御装置3とが近接して配置されている。以下の説明において、電動モータ2の回転軸Rに平行な方向は軸方向と記載される。軸方向に対して直交する方向は径方向と記載される。回転軸Rを中心とした円に沿う方向は周方向と記載される。
【0025】
図3から図5に示すように、電動モータ2は、モータケース21と、ギヤボックス23と、モータ端子25と、を備える。モータケース21は、略円筒状の部材であって、例えば金属で形成されている。モータケース21は、ロータ及びステータ等を内蔵している。ロータは回転軸Rを中心に回転する。ステータにはコイルが巻かれている。コイルには三相交流が供給される。モータケース21は、金属で形成される。
【0026】
ギヤボックス23は、金属で形成される。ギヤボックス23は、導体である。ギヤボックス23は、モータケース21の一端に配置される。例えば、ギヤボックス23には、ウォームホイール及びウォームギヤが収納される。図3に示すように、ギヤボックス23は、ギヤボックス本体部230と、支持部231と、カバー部4と、を備える。ギヤボックス本体部230は、モータケース21の一端の開口を塞ぐ部材である。ギヤボックス本体部230は、略円盤状である。支持部231は、ギヤボックス本体部230の外周面から、+Y方向に突出する。ギヤボックス23は、2つの支持部231を備える。カバー部4は、ギヤボックス本体部230の外周面から、+Y方向に突出する。Z方向から見た場合、カバー部4は、2つの支持部231の間に配置される。図4に示すように、カバー部4は、側壁部41と、上壁部43と、を備える。側壁部41は、ギヤボックス本体部230の外周面から+Y方向に延びる板状の部材である。側壁部41の厚さ方向は、Z方向と平行である。上壁部43は、側壁部41の+Y方向の端部から+Z方向に延びる板状の部材である。上壁部43の厚さ方向は、Y方向と平行である。
【0027】
図5に示すモータ端子25は、導体であって、コイルと制御装置3とを接続する部材である。モータ端子25は、金属で形成されている。電動モータ2は、3つのモータ端子25を備える。3つのモータ端子25は、図3に示すように一列に並ぶように配置される。制御装置3で生成される三相交流が、3つのモータ端子25を介してコイルに供給される。モータ端子25は、ギヤボックス23から径方向の外側に延びている。モータ端子25は、モータケース21とギヤボックス23の間を通って外に延びている。
【0028】
図3から図5に示すように、制御装置3は、制御装置ケース31と、基板36と、コネクタ34と、コネクタ35と、を備える。制御装置ケース31は、本体32と、蓋33と、を備える。本体32及び蓋33は、金属で形成されている。本体32及び蓋33は、導体である。本体32は、基板36を支持する部材である。本実施形態の本体32は、基板36の放熱を促進するための部材でもある。すなわち、本体32は、ヒートシンクでもある。本体32の底面は、モータケース21の外周面に面している。本体32は、ギヤボックス23に支持される。より具体的には、本体32は、固定部材39によってギヤボックス23の支持部231に取り付けられる。蓋33は、基板36を覆うように本体32に取り付けられる。
【0029】
基板36は、例えば樹脂等で形成されたプリント基板である。基板36は、ネジ等によって本体32に取り付けられる。基板36は、制御回路を構成する複数の電子部品、及び電源回路を構成する複数の電子部品を含む。基板36は、制御回路基板及び電源回路基板を兼ねている。基板36は、複数のモータ駆動素子37を備える。モータ駆動素子37は、FET(Field Effect Transistor)である。モータ駆動素子37によって、スイッチングノイズが発生する。モータ駆動素子37は、基板36のうちコネクタ35に近い部分に配置される。モータ駆動素子37で発生するスイッチングノイズによるコネクタ35への影響を小さくすることによって、電磁環境適合性(EMC)が向上する。コネクタ34は、本体32に取り付けられる。コネクタ34は、モータ端子25ではない他の機器に接続される。
【0030】
コネクタ35は、モータ端子25が接続される部材である。図4に示すように、コネクタ35は、制御装置ケース31の蓋33に覆われないように配置される。すなわち、コネクタ35は、制御装置ケース31から露出している。
【0031】
図6に示すように、コネクタ35は、コネクタケース350と、3つの接続端子355と、を備える。コネクタケース350は、制御装置ケース31の本体32に取り付けられる。接続端子355は、コネクタケース350に支持される導体である。接続端子355は、金属で形成されている。3つの接続端子355は、図3に示すように一列に並ぶように配置される。接続端子355は、取付部材38によってモータ端子25と接続される。具体的には、取付部材38の頭部と接続端子355との間にモータ端子25が挿入された後、取付部材38が締め付けられる。接続端子355は、基板36と接続されている。
【0032】
図6に示すように、絶縁カバー5は、コネクタ35を囲むように制御装置ケース31に取り付けられる部材である。絶縁カバー5は、絶縁体である。例えば、絶縁カバー5は、樹脂で形成される。より具体的には、絶縁カバー5は、ポリカーボネイトで形成される。図7に示すように、絶縁カバー5は、基部51と、2つのアーム部53と、2つの爪部57と、2つの側面部54と、上面部55と、底面部58と、を備える。
【0033】
図7に示すように、基部51は、Z軸に対して直交する板状の部材である。アーム部53は、基部51のX方向の両端に配置される。アーム部53は、基部51から+Z方向に延びている。爪部57は、アーム部53の先端に配置される。爪部57の幅は、アーム部53から離れるにしたがって小さくなっている。側面部54は、基部51のX方向の両端に配置される。側面部54は、アーム部53の-Y方向に配置される。側面部54は、X軸に対して直交する板状の部材である。
【0034】
上面部55は、基部51の+Y方向の端部に配置される。上面部55は、Y軸に対して直交する板状の部材である。上面部55は、2つの穴551を備える。底面部58は、基部51の-Y方向の端部に配置される。底面部58は、Y軸に対して直交する板状の部材である。
【0035】
絶縁カバー5をコネクタ35に取り付ける時、コネクタ35に設けられた突起が上面部55の穴551に嵌められる。その後、アーム部53がコネクタ35に押し込まれる。爪部57がコネクタ35から受ける反力によって、アーム部53が弾性変形する。爪部57がコネクタ35に設けられた凹部に達すると、アーム部53の弾性変形が戻り、爪部57が凹部に嵌まる。これにより、絶縁カバー5がコネクタ35に取り付けられる。このように、絶縁カバー5は、固定部材等を使用せずに1度の動作でコネクタ35に取り付けることが可能である。また、絶縁カバー5でコネクタ35が覆われることによって、コネクタ35への異物の侵入が抑制される。また、爪部57が凹部に嵌まることによって、絶縁カバー5がコネクタ35から脱落しにくくなる。
【0036】
図3及び図4に示すように、カバー部4は、コネクタ35の一部を覆う。カバー部4の側壁部41は、Z方向から見た場合に、コネクタ35の全部と重なる。すなわち、側壁部41は、コネクタ35の-Z方向側の面の全てを覆う。カバー部4の上壁部43は、Y方向から見た場合にコネクタ35の少なくとも一部と重なる。すなわち、上壁部43は、コネクタ35の+Y方向側の面の少なくとも一部を覆う。カバー部4は、X方向から見た場合にコネクタ35と重ならない。すなわち、カバー部4は、コネクタ35の+X方向側の面及び-X方向側の面を覆わない。カバー部4は、X方向から見た場合にコネクタ35よりも外側に配置される。カバー部4は、コネクタ35をX方向に露出させている。
【0037】
図8は、第1比較例、第2比較例、及び実施例に対するエミッション試験の結果を示す図である。第1比較例、第2比較例、及び実施例に対して実施されたエミッション試験は、車載用電子機器から外部への放射される不要輻射を評価する試験であり、CISPR25規格に準拠した試験である。EUT(供試品)としての比較例、第1比較例、第2比較例、及び実施例のモータユニットが、ハーネスを介して負荷と接続された状態で、水平な基準グラウンド面に置かれる。アンテナが、ハーネスから水平方向に所定距離だけ離れた位置に配置される。第1比較例は、上述したカバー部4を備えないモータユニットである。第2比較例は、側壁部41を備えるが、上壁部43を備えないモータユニットである。実施例は、上述したモータユニット1である。すなわち、実施例は、側壁部41及び上壁部43を有するカバー部4をギヤボックス23が備えるモータユニットである。図8は、測定される放射ノイズ電圧の1分間当たりの平均値である。図8は、上述したXYZ直交座標系のZ方向が鉛直方向となり且つ+X方向がアンテナに向くように、モータユニット1が基準グラウンド面に置かれた状態で行われたエミッション試験の結果である。
【0038】
図8に示すように、実施例においては、第1比較例及び第2比較例と比較して、測定される放射ノイズが低減されやすい。すなわち、実施例は、第1比較例及び第2比較例よりも電磁環境適合性を向上できる。
【0039】
以上で説明したように、本実施形態のモータユニット1は、電動モータ2と、制御装置3と、を備える。電動モータ2は、筒状のモータケース21、モータケース21の一端に配置される導体であるギヤボックス23、及びギヤボックス23の径方向の外側に延びるモータ端子25を備える。制御装置3は、電動モータ2に支持される制御装置ケース31、及びモータ端子25が接続される3つの接続端子355を有するコネクタ35を備える。ギヤボックス23は、コネクタ35の一部を覆うカバー部4を備える。カバー部4は、電動モータ2の軸方向(Z方向)から見た場合にコネクタ35の全部と重なる。カバー部4は、3つの接続端子355が並ぶ配列方向(X方向)及び軸方向(Z方向)の両方に対して直交する方向(Y方向)から見た場合にコネクタ35の少なくとも一部と重なる。カバー部4は、配列方向(X方向)から見た場合にコネクタ35と重ならない。
【0040】
これにより、導体であるカバー部4がコネクタ35の一部を覆うことによって、図8に示すように電磁環境適合性が向上する。また、カバー部4がコネクタ35の一部を露出させていても、本実施形態のモータユニット1は、使用に耐える程度の電磁環境適合性を有する。より具体的には、モータユニット1は、制御装置3のPWM制御によるスイッチングノイズに対する耐性が向上する。その一方で、ギヤボックス23がコネクタ35を全方向から覆う場合と比較して、必要なギヤボックス23の体積が小さくなる。このため、本実施形態のギヤボックス23は、ギヤボックス23がコネクタ35を全方向から覆う場合と比較して軽量である。したがって、本実施形態のモータユニット1は、軽量化でき且つ電磁環境適合性を向上できる。
【0041】
本実施形態のモータユニット1は、絶縁体であってコネクタ35とカバー部4との間に配置される絶縁カバー5を備える。
【0042】
これにより、コネクタ35と導体であるカバー部4との間の絶縁性が向上する。このため、カバー部4がコネクタ35を流れる電流に影響を与えにくくなる。
【0043】
本実施形態の電動パワーステアリング装置80は、モータユニット1を備える。制御装置3が電動モータ2を制御し、電動モータ2に補助操舵トルクを発生させる。
【0044】
モータユニット1が高い電磁環境適合性を有するので、制御装置3から電動モータ2へ供給される電流が放射ノイズによって妨害されにくくなる。また、電動パワーステアリング装置80は、放射ノイズの発生を抑制することによって、ラジオ放送等に伝播するノイズを減らすことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 モータユニット
2 電動モータ
3 制御装置
4 カバー部
5 絶縁カバー
21 モータケース
23 ギヤボックス
25 モータ端子
31 制御装置ケース
32 本体
33 蓋
34 コネクタ
35 コネクタ
36 基板
37 モータ駆動素子
38 取付部材
39 固定部材
41 側壁部
43 上壁部
51 基部
53 アーム部
54 側面部
55 上面部
57 爪部
58 底面部
80 電動パワーステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
82a 入力軸
82b 出力軸
84 第1ユニバーサルジョイント
85 中間シャフト
86 第2ユニバーサルジョイント
87 ピニオンシャフト
88 ステアリングギヤ
88a ピニオン
88b ラック
89 タイロッド
92 減速装置
94 トルクセンサ
95 車速センサ
98 イグニッションスイッチ
99 電源装置
230 ギヤボックス本体部
231 支持部
350 コネクタケース
355 接続端子
551 穴
R 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8