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  • 特許-ガラス母材の製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ガラス母材の製造装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 8/04 20060101AFI20231219BHJP
   C03B 37/018 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C03B8/04 Q
C03B37/018 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020030483
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021134109
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】撫佐 宜孝
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-193633(JP,A)
【文献】特開2012-049342(JP,A)
【文献】特開平05-078140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 8/04,37/018,
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火炎中にガラス原料を供給してガラス微粒子を合成するバーナと、
前記バーナを内部に配置した反応容器と、
前記反応容器の外部に配置した腐食性ガスを検知するガスセンサと、
前記ガスセンサからの出力が第一の設定値を超えた際に、前記反応容器内の圧力を下げる制御を行う制御部と、
を備え
前記制御部は、前記ガスセンサからの出力が、前記第一の設定値より大きい第二の設定値を超えた際に、前記バーナへの前記ガラス原料の供給を停止する制御を行う、
ガラス母材の製造装置。
【請求項2】
前記ガスセンサは、前記腐食性ガスが吸引されるガス吸引口を有しており、
前記ガス吸引口は前記反応容器の上端より上に配置された請求項1記載のガラス母材の製造装置。
【請求項3】
前記ガスセンサは、前記腐食性ガスが吸引されるガス吸引口を有しており、
前記ガス吸引口は前記バーナの高さより低い位置に配置された請求項1記載のガラス母材の製造装置。
【請求項4】
前記ガスセンサは、前記腐食性ガスが吸引される複数のガス吸引口を有しており、
前記複数のガス吸引口は、
前記反応容器の上端より上に配置されたガス吸引口と、
前記バーナの高さより低い位置に配置されたガス吸引口と、
を含む請求項1記載のガラス母材の製造装置。
【請求項5】
火炎中にガラス原料を供給してガラス微粒子を合成するバーナと、
前記バーナを内部に配置した反応容器と、
前記反応容器の外部に配置した腐食性ガスを検知するガスセンサと、
前記ガスセンサからの出力が第一の設定値を超えた際に、前記反応容器内の圧力を下げる制御を行う制御部と、
を備え、
前記ガスセンサは、前記腐食性ガスが吸引される複数のガス吸引口を有しており、
前記複数のガス吸引口は、
前記反応容器の上端より上に配置されたガス吸引口と、
前記バーナの高さより低い位置に配置されたガス吸引口と、
を含むガラス母材の製造装置。
【請求項6】
前記ガスセンサは一酸化窒素に不感である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガラス母材の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス母材の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガラス微粒子を堆積する過程で腐食性ガスが反応容器内に発生することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-102207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、腐食性ガスが反応容器内から外部へ漏れ出た場合の対処法についての記載がない。
【0005】
本開示は、腐食性ガスが反応容器から漏れた場合に漏れを抑制することができるガラス母材の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るガラス母材の製造装置は、
火炎中にガラス原料を供給してガラス微粒子を合成するバーナと、
前記バーナを内部に配置した反応容器と、
前記反応容器の外部に配置した腐食性ガスを検知するガスセンサと、
前記ガスセンサからの出力が第一の設定値を超えた際に、前記反応容器内の圧力を下げる制御を行う制御部と、
を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、腐食性ガスが反応容器から漏れた場合に漏れを抑制することができるガラス母材の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態に係るガラス母材の製造装置の代表的な構成例を説明するための概略構成図である。
図2図2は、ガラス母材の製造装置において反応容器およびその周辺部分を示す概略構成図である。
図3図3は、ガラス母材の製造装置の他の構成例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
本開示に係るガラス母材の製造装置は、
(1)火炎中にガラス原料を供給してガラス微粒子を合成するバーナと、
前記バーナを内部に配置した反応容器と、
前記反応容器の外部に配置した腐食性ガスを検知するガスセンサと、
前記ガスセンサからの出力が第一の設定値を超えた際に、前記反応容器内の圧力を下げる制御を行う制御部と、
を備えている。
この構成によれば、腐食性ガスが反応容器から漏れた場合に漏れを抑制することができる。
【0010】
(2)前記制御部は、前記ガスセンサからの出力が、前記第一の設定値より大きい第二の設定値を超えた際に、前記バーナへの前記ガラス原料の供給を停止する制御を行ってもよい。
この構成によれば、腐食性ガスの漏れ量が大きい場合に、ガラス原料の供給を停止するため、腐食性ガスの漏洩を停止できる。
【0011】
(3)前記ガスセンサは、前記腐食性ガスが吸引されるガス吸引口を有しており、
前記ガス吸引口は前記反応容器の上端より上に配置されても良い。
この構成によれば、反応容器内のガスは室温より温度が高いため、反応容器の上部から腐食性ガスが漏れやすい。よって、反応容器の上端より上からガスを吸ってガスセンサで検知させることでより確実に腐食性ガスの漏れを検知できる。
【0012】
(4)前記ガスセンサは、前記腐食性ガスが吸引されるガス吸引口を有しており、
前記ガス吸引口は前記バーナの高さより低い位置に配置されても良い。
この構成によれば、ガラス原料用配管とバーナとの接続接手から腐食性ガスが漏れた場合に、確実に腐食性ガスの漏れを検知できる。また、バーナが破損した場合には、破損した箇所からの腐食性ガスの漏れを確実に検知できる。
【0013】
(5) 前記ガスセンサは、前記腐食性ガスが吸引される複数のガス吸引口を有しており、
前記複数のガス吸引口は、
前記反応容器の上端より上に配置されたガス吸引口と、
前記バーナの高さより低い位置に配置されたガス吸引口と、
を含んでもよい。
この構成によれば、反応容器内のガスは室温より温度が高いため、反応容器の上部から腐食性ガスが漏れやすい。よって、反応容器の上端より上からガスを吸ってガスセンサで検知させることでより確実に腐食性ガスの漏れを検知できる。
また、ガラス原料用配管とバーナとの接続接手から腐食性ガスが漏れた場合に、確実に腐食性ガスの漏れを検知できる。また、バーナが破損した場合には、破損した箇所からの腐食性ガスの漏れを確実に検知できる。
【0014】
(6)前記ガスセンサは一酸化窒素に不感でも良い。
この構成によれば、反応容器内で火炎により一酸化窒素が生成された場合でも腐食性ガスの漏れを確実に検知できる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示に係るガラス母材の製造装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
図1は、本開示の実施形態に係るガラス母材の製造装置1を示す概略構成図である。図2は、ガラス母材の製造装置1において反応容器2およびその周辺部分を示す概略構成図である。なお、以下では、ガラス母材の製造装置1で行われるガラス母材の製造方法としてVAD法(気相軸付け法:vapor phase axial deposition method)を例に説明するが、本開示はこれに限定されない。本開示に係るガラス母材の製造装置1では、OVD法(外付け法:outside vapor deposition method)などの他のガラス母材の製造方法に対しても適用可能である。
【0017】
図1に示すように、ガラス母材の製造装置1は、反応容器2と、ガスセンサ3と、制御部4とを備えている。反応容器2は、本体部2Aと、本体部2Aの上端開口部を覆う上蓋部2Bとを有している。反応容器2の側面には、排気管8が取り付けられている。図2に示すように、反応容器2内には、バーナ11が配置されている。バーナ11には、ガラス原料ガス、燃焼性ガスおよび助燃性ガスが供給される。例えば、ガラス原料ガスは四塩化ケイ素ガス(SiCl)、燃料性ガスは水素ガス(H)、助燃性ガスは酸素ガス(O)である。バーナ11は、燃焼性ガスおよび助燃性ガスにより火炎を形成し、火炎中でガラス原料ガスを火炎加水分解反応させてガラス微粒子15を生成する。反応容器2の上蓋部2Bには下端に種棒13が取り付けられた支持棒12が吊り下げられている。回転されつつ所定の引き上げ速度で引き上げられる種棒13に向けて、バーナ11によりガラス微粒子15を吹き付けることにより、ガラス微粒子堆積体14が作製される。種棒13やガラス微粒子堆積体14に付着しなかった反応容器2内のガラス微粒子15は排気管8を通じて排気される。また、ガラス微粒子15の生成中に火炎加水分解反応で発生する腐食性ガス(例えば、塩化水素ガス(HCl))も排気管8を通じて排気される。
【0018】
図1に戻り、ガスセンサ3は、反応容器2の外部に配置され、腐食性ガスを検知する。ガラス微粒子堆積体14を作製中に発生した腐食性ガスは、上述したようにその一部は排気管8を通じて排気されるが、排気されずに反応容器2内に残った腐食性ガスは、反応容器2の隙間から外部へ漏れ出ることがある。ガスセンサ3は、この反応容器2から漏れ出した腐食性ガスを検知して、検知した腐食性ガスのガス濃度に関する信号を制御部4へ出力する。ガスセンサ3は、例えば、吸引式の定電位電解式センサ(Potentiostatic Electrolysis Method Sensor)である。吸引式の定電位電解式センサは、一定の電位に保たれた電極上で検知対象ガスである腐食性ガスを電気分解し、その時に発生する電流をガス濃度として検知する。吸引式の定電位電解式センサは、設定電位を選ぶことにより選択的にガスを検知することができる。なお、種棒13の芯出しや空焼きの際、バーナ11で熱せられた空気の窒素成分が反応して一酸化窒素ガス(NO)が発生する。一酸化窒素ガスが反応容器2から外部に漏れ出した場合、ガスセンサ3が一酸化窒素ガスを検知して検知信号を制御部4へ出力することにより、制御部4はガラス微粒子堆積体の作製時に発生した腐食性ガスが反応容器2から漏れ出たと判断する可能性がある。このため、ガスセンサ3は、一酸化窒素ガスには不感であることが好ましい。これにより、一酸化窒素ガスが反応容器2から外部に漏れ出たとしてもガスセンサ3は一酸化窒素ガスを検知しないため、ガラス微粒子堆積体の作製時に発生した腐食性ガス(例えば、塩化水素ガス)を確実に検知することができる。
【0019】
また、ガスセンサ3は、そのガス吸込口に配管5が接続されている。配管5のガスセンサ3に接続されている先端とは反対側の先端は、反応容器2の周辺近傍に配置されており、ガスセンサ3のガス吸引口として機能する。すなわち、配管5は、その先端開口から反応容器2から外部に漏れ出た腐食性ガスを吸い込み、腐食性ガスをガスセンサ3へ搬送するように構成されている。配管5は、例えば、可撓性のチューブである。チューブは、好ましくは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のフッ素樹脂(テフロン(登録商標))から形成される。PTFEのフッ素樹脂により形成されたチューブは、柔軟性があるために取り扱いが容易であり、また、塩化水素ガスを吸着しない性質を有しているため、ガスセンサ3において腐食性ガスをより正確に検知することができる。また、所定の長さ(例えば、分岐点5Cから各配管5A,5Bの先端までの長さ12m)を有するチューブを使用することにより、反応容器2の位置に関係なく、ガスセンサ3を自由な位置に配置することができる。
【0020】
配管5は、分岐点5Cで二つの配管5A,5Bに分岐し、各配管5A,5Bの先端はそれぞれ反応容器2の上部および下部の外側の2か所に配置されている。図2に示すように、配管5Aの先端は反応容器2の上端より上に配置されている。反応容器2内に発生したガスは、室温より温度が高いために反応容器2の上部に流れやすい。配管5Aは、その先端が反応容器2の上端よりも上の支持棒12付近に配置されているため、上蓋部2Bの支持棒12の取付箇所の隙間から漏れ出た腐食性ガスを確実に検知することができる。また、配管5Bの先端は、バーナ11の高さより低い位置に配置されている。ガラス微粒子堆積体14を作製中に反応容器2内に発生した腐食性ガスである塩化水素ガスは、常温では空気より重いために反応容器2の下部にも流れることがある。例えばバーナ11が破損した場合には、破損した箇所から塩化水素ガスが反応容器2の外部に漏れ出る可能性がある。また、バーナ11とガラス原料用配管16との接続継手から塩化水素ガスが反応容器2の外部に漏れ出る可能性がある。このような場合であっても、配管5Bは、バーナ11とガラス原料用配管16との接続継手付近に配置されているため、腐食性ガスである塩化水素ガスの漏れを確実に検知することができる。なお、本実施形態のように、二つの配管5A,5Bを用いて一台のガスセンサ3で反応容器の2か所を検知する場合には、配管5A,5Bの先端開口(吸引口)から吸引される腐食性ガスの流量が等しくなるように配管5A,5Bを構成することが好ましい。
【0021】
制御部4は、電子制御ユニット(ECU)により構成されており、ガスセンサ3からの出力に基づいて反応容器2の圧力を制御する。制御部4は、ガスセンサ3から腐食性ガスのガス濃度に関する信号を受信し、腐食性ガスのガス濃度が第一の設定値を超えているか否かを判断する。そして、制御部4は、腐食性ガスのガス濃度が第一の設定値を超えていると判断した場合は、反応容器2内の圧力を下げる制御を行う。反応容器2内の圧力を下げて反応容器2を負圧にすることで反応容器2から外部へ腐食性ガスが漏れ出ることを抑制することができる。例えば制御部4は、排気管8の排気量が多くなるように制御を行う。反応容器2に設けられた排気管8は、ガラス母材の製造装置1が配置された工場内の空気を排気する排気管9と接続されて工場外へ排気されている。工場外へ排気される排気量は予め決められているため、制御部4は、排気管9の排気量が小さくなるように排気管9に設けられた排気バルブ10の開閉状態を制御する。
【0022】
また、制御部4は、腐食性ガスのガス濃度が、第一の設定値より大きい第二の設定値を超えたと判断した場合は、バーナ11へのガラス原料の供給を停止する制御を行う。例えば、制御部4は、ガラス原料を気化させてガラス原料用配管16を介してバーナ11へ原料ガスを供給するガス供給装置17に接続されており、ガス供給装置17を制御して、原料ガスの供給を停止する。なお、第一の設定値および第二の設定値は、適宜所定の値に設定される。例えば、第一の設定値は、1ppm、第二の設定値は、2ppmに設定される。
【0023】
ガラス母材の製造装置1はさらに、ポンプ6と、レシーバ容器7とを備えている。ポンプ6は、配管5を流れる腐食性ガスを吸い上げて、吸い上げた腐食性ガスをレシーバ容器7を経由してガスセンサ3へ送出する。レシーバ容器7は、ポンプ6により圧力変動が生じた腐食性ガスの圧力を安定させることにより、ガスセンサ3の吸引流量を安定させる。レシーバ容器7は、例えば、配管5と同じ材料(PTFEのフッ素樹脂)により形成されている。なお、ガスセンサ3自体により腐食性ガスを吸い上げることが可能な場合には、ポンプ6およびレシーバ容器7の設置を省略することができる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態のガラス母材の製造装置1は、ガラス微粒子堆積体14の作製時に発生し反応容器2から漏れ出た腐食性ガスをガスセンサ3により検知し、ガスセンサ3の出力(腐食性ガスのガス濃度)が第一の設定値を超えた場合に、制御部4により、反応容器2内の圧力を下げる制御を行うように構成されている。これにより、ガラス微粒子堆積体の作製時に発生した腐食性ガスが反応容器から漏れた場合に、漏れを抑制することができる。
【0025】
また、制御部4は、ガスセンサ3からの出力が、第一の設定値より大きい第二の設定値を超えた場合に、バーナ11へガラス原料の供給を停止する制御を行うように構成されている。これにより、腐食性ガスの漏れ量が大きい場合に、ガラス原料の供給を停止するため、腐食性ガスの漏洩を停止できる。
【0026】
また、ガスセンサ3に接続された配管5Aの先端は、反応容器2の上端より上に配置されている。反応容器2内のガスは室温より温度が高いため、反応容器2の上部から腐食性ガスが漏れやすい。このため、反応容器2の上端より上からガスを吸ってガスセンサ3で検知させることでより確実に腐食性ガスの漏れを検知できる。
【0027】
また、ガスセンサ3に接続された配管5Bの先端は、バーナ11の高さより低い位置に配置されている。これにより、バーナ11の破損箇所やガラス原料用配管16とバーナ11との接続接手から腐食性ガスが漏れた場合に、確実に腐食性ガスの漏れを検知できる。
【0028】
また、ガスセンサ3は、一酸化窒素に不感である。これによれば、反応容器2内で火炎により一酸化窒素が生成された場合でも腐食性ガスの漏れを確実に検知できる。
【0029】
以上、本開示を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本開示の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本開示を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【0030】
例えば、上記実施形態において、レシーバ容器7およびガスセンサ3には、腐食性ガスを排気するための排気用バッファが接続されていてもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、排気管8は排気管9と接続された構造となっており、制御部4は、排気管9の排気量を制御することにより、反応容器2内の圧力を制御しているが、これに限られない。制御部4は、排気管8の排気量を直接制御してもよい。また、排気管8とは別の排気管を設けて、そこから腐食性ガスを排気してもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、制御部4は、第一の設定値および第二の設定値の両方に基づいて排気の制御およびガラス原料供給の制御を行っているが、これに限られない。例えば、制御部4は、第一の設定値に基づいて排気の制御のみを行ってもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、一台のガスセンサ3に配管5を接続し、二つに分岐された配管5A、5Bを反応容器2の上部付近および下部付近に配置しているが、これに限られない。例えば、複数のガスセンサ3を用いて反応容器2の上部付近および下部付近をそれぞれ検知する場合には、配管は分岐せずに複数の配管を用いて、各配管を各ガスセンサに接続してもよい。また、ガスセンサ3は反応容器2から離れて配置されているが、反応容器2に隣接して配置されてもよい。ガスセンサ3から直接腐食性ガスを吸引することが可能な場合には、配管5は省略することができる。
【0034】
また、上記実施形態では、反応容器2の上部付近および下部付近の二か所において腐食性ガスを検知しているが、これに限定されない。反応容器2の上部付近および下部付近のうちいずれか一方の箇所で腐食性ガスを検知してもよい。また、反応容器2から外部に腐食性ガスが漏れ出す可能性がある箇所に配置されるのであれば、反応容器2の上部付近および下部付近以外の場所に配置されてもよい。
【0035】
例えば、図3に示されるように、一台のガスセンサ3に接続された配管5を配管5A、5Bに加えて配管5Dの三つに分岐して、配管5Dの先端を排気管9の付近に配置してもよい。工場外へ排気される排気量が減少して腐食性ガスが逆流し、逆流した腐食性ガスが排気管9から工場内に漏れ出た場合などに腐食性ガスを検知することができる。
【0036】
また、上記実施形態では、反応容器2の上部付近の例として、上蓋部2Bの支持棒12の取付箇所付近において腐食性ガスを検知しているが、これに限定されない。反応容器2の上部付近から外部に腐食性ガスが漏れ出す可能性がある箇所に配置されるのであれば、場所は限定されない。例えば、上蓋部2Bと本体部2Aとの接続付近において腐食性ガスを検知してもよい。また、反応容器2の下部付近の例として、バーナ11とガラス原料用配管16との接続継手付近において腐食性ガスを検知しているが、これに限定されない。反応容器2の下部付近から外部に腐食性ガスが漏れ出す可能性がある箇所に配置されるのであれば、場所は限定されない。
【符号の説明】
【0037】
1:ガラス母材の製造装置
2:反応容器
2A:本体部
2B:上蓋部
3:ガスセンサ
4:制御部
5、5A、5B:配管
5C:分岐点
6:ポンプ
7:レシーバ容器
8、9:排気管
10:排気バルブ
11:バーナ
12:支持棒
13:種棒
14:ガラス微粒子堆積体
15:ガラス微粒子
16:ガラス原料用配管
17:ガス供給装置
図1
図2
図3