(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】中継接続システムおよびゲートウェイ
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20231219BHJP
H04M 3/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H04L12/46 100C
H04M3/00 B
(21)【出願番号】P 2020033067
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 史人
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆昭
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-136786(JP,A)
【文献】特開2014-60538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
H04M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信回線を介してIP電話網と接続する上位ゲートウェイと、
第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイと接続するとともに、配下に電話装置を接続する第1の下位ゲートウェイと、
前記第1の通信回線を介して前記IP電話網および前記上位ゲートウェイと接続するとともに、前記第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイおよび前記第1の下位ゲートウェイと接続し、配下に電話装置を接続する第2の下位ゲートウェイとを備え、
前記上位ゲートウェイは、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録し、
前記第1の下位ゲートウェイは、前記第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイに位置登録し、
前記第2の下位ゲートウェイは、前記第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイに位置登録し、
前記第2の下位ゲートウェイは、前記上位ゲートウェイで障害が発生した場合、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録し、
前記第1の下位ゲートウェイは、前記第2の下位ゲートウェイによる前記IP電話網への位置登録の成功に応じて、前記第2の通信回線を介して前記第2の下位ゲートウェイに位置登録する
ことを特徴とする中継接続システム。
【請求項2】
請求項1に記載の中継接続システムにおいて、
前記第2の下位ゲートウェイは、前記上位ゲートウェイへの位置登録が失敗した場合、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録することを特徴とする中継接続システム。
【請求項3】
請求項2に記載の中継接続システムにおいて、
前記第2の下位ゲートウェイは、前記上位ゲートウェイへの位置登録が失敗した場合、前記第1の通信回線を介して前記上位ゲートウェイに登録解除を要求し、
前記上位ゲートウェイは、前記第2の下位ゲートウェイからの登録解除の要求に応じて、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に、位置登録の解除を要求する
ことを特徴とする中継接続システム。
【請求項4】
請求項1に記載の中継接続システムにおいて、
前記第2の下位ゲートウェイは、前記上位ゲートウェイによる前記IP電話網への位置登録が失敗した場合、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録することを特徴とする中継接続システム。
【請求項5】
請求項4に記載の中継接続システムにおいて、
前記上位ゲートウェイは、前記IP電話網への位置登録が失敗した場合、前記第2の通信回線を介して前記第2の下位ゲートウェイへ前記IP電話網への位置登録の失敗を通知し、
前記第2の下位ゲートウェイは、前記上位ゲートウェイからの位置登録の失敗の通知に応じて、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録する
ことを特徴とする中継接続システム。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載の中継接続システムにおいて、
前記第2の下位ゲートウェイは、前記IP電話網への位置登録に成功した場合、前記第2の通信回線を介して前記第1の下位ゲートウェイに、自己への位置登録を指示し、
前記第1の下位ゲートウェイは、前記第2の下位ゲートウェイからの位置登録の指示に応じて、前記第2の通信回線を介して前記第2の下位ゲートウェイに位置登録する
ことを特徴とする中継接続システム。
【請求項7】
第1の通信回線を介してIP電話網と接続し、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録する上位ゲートウェイと、第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイと接続するとともに、配下に電話装置を接続し、前記第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイに位置登録する第1の下位ゲートウェイとを備える中継接続システムで用いられるゲートウェイであって、
前記第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイに位置登録し、前記上位ゲートウェイで障害が発生した場合、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録し、前記IP電話網への位置登録に成功した場合、前記第2の通信回線を介して前記第1の下位ゲートウェイに、自己への位置登録を要求する
ことを特徴とするゲートウェイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位ゲートウェイでの障害発生に応じて、下位ゲートウェイの配下に接続されている電話装置がIP電話網を利用可能とするための障害復旧技術に関する。
【背景技術】
【0002】
IP電話網に対してPBX、ビジネスホン、さらには単独電話などの電話装置を複数接続する際、VoIP対応のゲートウェイを階層的に接続することにより構成した中継接続システムを用いる場合がある。
図8は、一般的な中継接続システムの構成例を示す説明図である。
図8に示した中継接続システム5において、IP電話網NWに接続された上位ゲートウェイ50の配下に、複数の下位ゲートウェイ51が階層的に接続されており、各下位ゲートウェイ51に電話装置60がそれぞれ接続されている。
【0003】
中継接続システム5において、上位ゲートウェイ50は、IP電話網NWに対して配下に接続された下位ゲートウェイ51に関する位置登録を行い、下位ゲートウェイ51は、上位ゲートウェイ50に対して配下に接続されたそれぞれの電話装置60に関する位置登録を行う。これにより、各電話装置60が、下位ゲートウェイ51から上位ゲートウェイ50を介してIP電話網NWに中継接続されることになる。
このような中継接続システム5において、上位ゲートウェイ50に障害が発生した場合、下位ゲートウェイ51とIP電話網NWとの中継接続が遮断されてしまうため、各電話装置60が、IP電話網NWを利用できなくなる。
【0004】
従来、データ通信を行う通信システムでは、現用経路での障害発生に備えて、予め予備経路を用意しておき、現用経路での障害発生に応じて、データ通信に用いる経路を現用経路から予備経路に切り替える技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来技術は、一般的なデータ通信を行う通信システムを前提としたものであるため、IP電話網に特有の位置登録が必要となる中継接続システムには対応することができないという問題点があった。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、上位ゲートウェイで障害が発生しても下位ゲートウェイの配下に接続された電話装置からIP電話網を利用可能とする障害復旧技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる中継接続システムは、第1の通信回線を介してIP電話網と接続する上位ゲートウェイと、第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイと接続するとともに、配下に電話装置を接続する第1の下位ゲートウェイと、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網および前記上位ゲートウェイと接続するとともに、前記第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイおよび前記第1の下位ゲートウェイと接続し、配下に電話装置を接続する第2の下位ゲートウェイとを備え、前記上位ゲートウェイは、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録し、前記第1の下位ゲートウェイは、前記第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイに位置登録し、前記第2の下位ゲートウェイは、前記第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイに位置登録し、前記第2の下位ゲートウェイは、前記上位ゲートウェイで障害が発生した場合、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録し、前記第1の下位ゲートウェイは、前記第2の下位ゲートウェイによる前記IP電話網への位置登録の成功に応じて、前記第2の通信回線を介して前記第2の下位ゲートウェイに位置登録するようにしたものである。
【0008】
また、本発明にかかる上記中継接続システムの一構成例は、前記第2の下位ゲートウェイが、前記上位ゲートウェイへの位置登録が失敗した場合、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録するようにしたものである。
【0009】
また、本発明にかかる上記中継接続システムの一構成例は、前記第2の下位ゲートウェイが、前記上位ゲートウェイへの位置登録が失敗した場合、前記第1の通信回線を介して前記上位ゲートウェイに登録解除を要求し、前記上位ゲートウェイは、前記第2の下位ゲートウェイからの登録解除の要求に応じて、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に、位置登録の解除を要求するようにしたものである。
【0010】
また、本発明にかかる上記中継接続システムの一構成例は、前記第2の下位ゲートウェイが、前記上位ゲートウェイによる前記IP電話網への位置登録が失敗した場合、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録するようにしたものである。
【0011】
また、本発明にかかる上記中継接続システムの一構成例は、前記上位ゲートウェイが、前記IP電話網への位置登録が失敗した場合、前記第2の通信回線を介して前記第2の下位ゲートウェイへ前記IP電話網への位置登録の失敗を通知し、前記第2の下位ゲートウェイは、前記上位ゲートウェイからの位置登録の失敗の通知に応じて、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録するようにしたものである。
【0012】
また、本発明にかかる上記中継接続システムの一構成例は、前記第2の下位ゲートウェイが、前記IP電話網への位置登録に成功した場合、前記第2の通信回線を介して前記第1の下位ゲートウェイに、自己への位置登録を指示し、前記第1の下位ゲートウェイは、前記第2の下位ゲートウェイからの位置登録の指示に応じて、前記第2の通信回線を介して前記第2の下位ゲートウェイに位置登録するようにしたものである。
【0013】
また、本発明にかかるゲートウェイは、第1の通信回線を介してIP電話網と接続し、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録する上位ゲートウェイと、第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイと接続するとともに、配下に電話装置を接続し、前記第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイに位置登録する第1の下位ゲートウェイとを備える中継接続システムで用いられる下位ゲートウェイであって、前記第2の通信回線を介して前記上位ゲートウェイに位置登録し、前記上位ゲートウェイで障害が発生した場合、前記第1の通信回線を介して前記IP電話網に位置登録し、前記IP電話網への位置登録に成功した場合、前記第2の通信回線を介して前記第1の下位ゲートウェイに、自己への位置登録を要求するようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上位ゲートウェイで障害が発生した場合、障害復旧動作として、第2の下位ゲートウェイが自動的にIP電話網に位置登録して、第2の下位ゲートウェイに対する第1の下位ゲートウェイの位置登録が行われることになる。したがって、上位ゲートウェイで障害が発生しても第1の下位ゲートウェイおよび第2の下位ゲートウェイの配下に接続された電話装置からIP電話網を利用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施の形態にかかる中継接続システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】通常時の位置登録動作を示すシーケンス図である。
【
図4】LAN側障害発生時の障害復旧動作を示すシーケンス図である。
【
図5】LAN側障害発生時の障害復旧動作を示す説明図である。
【
図6】WAN側障害発生時の障害復旧動作を示すシーケンス図である。
【
図7】WAN側障害発生時の障害復旧動作を示す説明図である。
【
図8】一般的な中継接続システムの構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる中継接続システム1について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる中継接続システムの構成を示すブロック図である。
【0017】
[中継接続システム]
この中継接続システム1は、PBX、ビジネスホン、さらには単独電話などの複数の電話装置を、IP電話網NWに対して接続するためのシステムである。
図1に示すように、中継接続システム1は、主な構成として、階層的に接続された1つの上位ゲートウェイ10と、1つまたは複数の第1の下位ゲートウェイ11と、1つの第2の下位ゲートウェイ12とを備えている。
【0018】
これら上位ゲートウェイ10、第1の下位ゲートウェイ11、および第2の下位ゲートウェイ12は、全体として、PSTN(Public Switched Telephone Network:公衆交換電話網)やISDN(Integrated Services Digital Network:サービス総合ディジタル網)を、IP(Internet Protocol)電話網に中継接続する際に用いられる一般的なVoIP(Voice over Internet Protocol)ゲートウェイ装置と、同等の構成および機能を有している。
【0019】
本発明では、基本的なシステム構成として上位ゲートウェイ10の配下に第1の下位ゲートウェイ11および第2の下位ゲートウェイ12が接続された2階層を例として説明するが、これに限定されるものではない。例えば、第1の下位ゲートウェイ11および第2の下位ゲートウェイ12の配下に、ゲートウェイが接続されている3階層以上のシステム構成であっても、その上位2階層に対して以下と同様にして本発明を適用することが可能である。
【0020】
[上位ゲートウェイ]
上位ゲートウェイ(上位GW)10は、WAN側インターフェース(以下、WAN側I/Fという)10Wから通信回線(第1の通信回線)L1を介してIP電話網NWと接続するとともに、LAN側インターフェース(以下、LAN側I/Fという)10Lから通信回線(第2の通信回線)L2を介して第1の下位ゲートウェイ11および第2の下位ゲートウェイ12と接続する機能を有している。
【0021】
また、上位ゲートウェイ10は、配下に接続された第1の下位ゲートウェイ11および第2の下位ゲートウェイ12をIP電話網NWに中継接続する機能と、通信回線L1を介してIP電話網NWに位置登録を行う機能と、第2の下位ゲートウェイ12からの登録解除の要求に応じて、通信回線L1を介してIP電話網NWに位置登録の解除を要求する機能とを有している。
【0022】
なお、位置登録とは、IP電話網を利用するノードが、IP電話網上のどの位置に接続されているかを管理するための処理である。例えば、ノードの起動時にノードから自己のURI(Uniform Resource Identifier)やIPアドレスを含む位置登録要求(REGISTER)メッセージが送信され、IP電話網NWのロケーションサーバに位置情報として登録される。この位置情報には有効期間が設けられており、有効期間が満了するまでにノードから再び位置登録を行う必要がある。
【0023】
[第1の下位ゲートウェイ]
第1の下位ゲートウェイ(第1の下位GW)11は、WAN側I/F11Wから通信回線L2を介して上位ゲートウェイ10または第2の下位ゲートウェイ12と接続するとともに、電話装置I/F11Pを介して配下に電話装置20を接続する機能を有している。
【0024】
また、第1の下位ゲートウェイ11は、通信回線L2を介して上位ゲートウェイ10に位置登録する機能と、第2の下位ゲートウェイ12によるIP電話網NWへの位置登録の成功に応じて、通信回線L2を介して第2の下位ゲートウェイ12に位置登録する機能とを有している。
この際、第2の下位ゲートウェイ12によるIP電話網NWへの位置登録の成功については、第2の下位ゲートウェイ12からの位置登録の指示、例えば第2の下位ゲートウェイ12から第1の下位ゲートウェイ11に送信される、ゲートウェイ側情報の再取得を要求するための再取得要求メッセージに基づき判定すればよい。
【0025】
[第2の下位ゲートウェイ]
第2の下位ゲートウェイ(第2の下位GW)12は、WAN側I/F12Wから通信回線L1を介してIP電話網NWおよび上位ゲートウェイ10と接続する機能と、LAN側I/F12Lから通信回線L2を介して上位ゲートウェイ10および第1の下位ゲートウェイ11と接続する機能と、電話装置I/F12Pを介して配下に電話装置20を接続する機能とを有している。
【0026】
また、第2の下位ゲートウェイ12は、通信回線L2を介して上位ゲートウェイ10に位置登録する機能と、自己から上位ゲートウェイ10への位置登録が失敗した場合、通信回線L1を介して上位ゲートウェイ10へ、上位ゲートウェイ10からIP電話網NWに対して行った位置登録の登録解除を要求する機能と、自己から上位ゲートウェイ10への位置登録が失敗した場合、通信回線L1を介してIP電話網NWに位置登録する機能と、IP電話網NWへの位置登録に成功した場合、通信回線L2を介して第1の下位ゲートウェイ11に自己への位置登録を指示する機能とを有している。
【0027】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる中継接続システム1の動作として、上位ゲートウェイ10で障害が発生していない通常時の位置登録動作と、上位ゲートウェイ10でLAN側I/F10Lを用いたデータ通信が行えないという障害が発生したLAN側障害発生時の障害復旧動作とについて説明する。
【0028】
[通常時の位置登録動作]
まず、
図2および
図3を参照して、上位ゲートウェイ10で障害が発生していない通常時の位置登録動作について説明する。
図2は、通常時の位置登録動作を示すシーケンス図である。
図3は、通常時の位置登録動作を示す説明図である。
【0029】
上位ゲートウェイ10は、
図2および
図3に示すように、ステップS10でIP電話網NWに位置登録を行う際、まず、WAN側I/F10Wから通信回線L1を介してIP電話網NWへ、位置登録に用いる網情報を取得するため網情報取得要求メッセージを送信する(ステップS100)。これに応じて、IP電話網NWから上位ゲートウェイ10へ網情報取得成功メッセージが返送され、網情報取得成功メッセージに含まれている網情報を取得する(ステップS101)。
【0030】
次に、上位ゲートウェイ10は、取得した網情報に基づいて自己の位置登録を行うための位置登録要求メッセージを生成し、WAN側I/F10Wから通信回線L1を介してIP電話網NWに送信する(ステップS102)。これに応じて、IP電話網NWから上位ゲートウェイ10へ位置登録成功メッセージが返送される(ステップS103)。これにより、IP電話網NWに対する上位ゲートウェイ10の位置登録が完了する。
【0031】
第2の下位ゲートウェイ12は、
図2および
図3に示すように、ステップS11で上位ゲートウェイ10に位置登録を行う際、まず、LAN側I/F12Lから通信回線L2を介して上位ゲートウェイ10へ、位置登録に用いるGW側情報を取得するためGW側情報取得要求メッセージを送信する(ステップS110)。これに応じて、上位ゲートウェイ10から第2の下位ゲートウェイ12へGW側情報取得成功メッセージが返送され、第2の下位ゲートウェイ12は、GW側情報取得成功メッセージに含まれているGW側情報を取得する(ステップS111)。
【0032】
次に、第2の下位ゲートウェイ12は、取得したGW側情報に基づいて自己の位置登録を行うための位置登録要求メッセージを生成し、LAN側I/F12Lから通信回線L2を介して上位ゲートウェイ10に送信する(ステップS112)。これに応じて、上位ゲートウェイ10から第2の下位ゲートウェイ12へ位置登録成功メッセージが返送される(ステップS113)。これにより、上位ゲートウェイ10に対する第2の下位ゲートウェイ12の位置登録が完了する。
【0033】
第1の下位ゲートウェイ11は、
図2および
図3に示すように、ステップS12で上位ゲートウェイ10に位置登録を行う際、まず、WAN側I/F11Wから通信回線L2を介して上位ゲートウェイ10へ、位置登録に用いるGW側情報を取得するためGW側情報取得要求メッセージを送信する(ステップS120)。これに応じて、上位ゲートウェイ10から第1の下位ゲートウェイ11へGW側情報取得成功メッセージが返送され、第1の下位ゲートウェイ11は、GW側情報取得成功メッセージに含まれているGW側情報を取得する(ステップS121)。
【0034】
次に、第1の下位ゲートウェイ11は、取得したGW側情報に基づいて自己の位置登録を行うための位置登録要求メッセージを生成し、WAN側I/F11Wから通信回線L2を介して上位ゲートウェイ10に送信する(ステップS122)。これに応じて、上位ゲートウェイ10から第1の下位ゲートウェイ11へ位置登録成功メッセージが返送される(ステップS123)。これにより、上位ゲートウェイ10に対する第1の下位ゲートウェイ11の位置登録が完了する。
【0035】
[LAN側障害発生時の障害復旧動作]
次に、
図4および
図5を参照して、上位ゲートウェイ10でLAN側I/F10Lを用いたデータ通信が行えないという障害が発生したLAN側障害発生時の障害復旧動作について説明する。
図4は、LAN側障害発生時の障害復旧動作を示すシーケンス図である。
図5は、LAN側障害発生時の障害復旧動作を示す説明図である。
【0036】
図4および
図5に示すように、上位ゲートウェイ10においてLAN側障害が発生した場合(ステップS130)、第2の下位ゲートウェイ12がステップS13で上位ゲートウェイ10に位置登録を行う際、LAN側I/F12Lから通信回線L2を介して送信した位置登録要求メッセージが、上位ゲートウェイ10で受信できなくなる(ステップS131)。このため、位置登録要求メッセージへの応答である上位ゲートウェイ10からの位置登録成功メッセージが一定の待機期間内に届かないことから、第2の下位ゲートウェイ12は応答なしと判定し(ステップS132)、IP電話網NWに位置登録を行うため、WAN側I/F12Wを起動する(ステップS133)。
【0037】
この後、第2の下位ゲートウェイ12は、ステップS14で、上位ゲートウェイ10からIP電話網NWに対して行った位置登録の登録解除を要求する際、まず、WAN側I/F12Wから通信回線L1を介して上位ゲートウェイ10へ、登録解除要求メッセージを送信する(ステップS140)。通信回線L1を介して第2の下位ゲートウェイ12が上位ゲートウェイ10とデータ通信を行う際に用いるIPアドレスについては、例えば、第2の下位ゲートウェイ12と上位ゲートウェイ10との間でAPIPA(Automatic Private IP Addressing)などのプロトコルで割り当てたリンクローカルアドレスを用いればよい。
【0038】
上位ゲートウェイ10は、第2の下位ゲートウェイ12からの登録解除要求メッセージに応じて、WAN側I/F12Wから通信回線L1を介してIP電話網NWへ、位置登録解除要求メッセージを送信する(ステップS141)。これに応じて、IP電話網NWから上位ゲートウェイ10へ位置登録解除成功メッセージが返送され(ステップS142)、上位ゲートウェイ10から第2の下位ゲートウェイ12へ、登録解除承認メッセージが返送される(ステップS143)。
【0039】
続いて、第2の下位ゲートウェイ12は、上位ゲートウェイ10から登録解除承認メッセージに応じて、ステップS15で、IP電話網NWへの位置登録を行う際、まず、WAN側I/F12Wから通信回線L1を介してIP電話網NWへ、位置登録に用いる網情報を取得するため網情報取得要求メッセージを送信する(ステップS150)。これに応じて、IP電話網NWから第2の下位ゲートウェイ12へ網情報取得成功メッセージが返送され、第2の下位ゲートウェイ12は、網情報取得成功メッセージに含まれている網情報を取得する(ステップS151)。
【0040】
次に、第2の下位ゲートウェイ12は、取得した網情報に基づいて自己の位置登録を行うための位置登録要求メッセージを生成し、WAN側I/F12Wから通信回線L1を介してIP電話網NWに送信する(ステップS152)。これに応じて、IP電話網NWから第2の下位ゲートウェイ12へ位置登録成功メッセージが返送される(ステップS153)。これにより、IP電話網NWに対する第2の下位ゲートウェイ12の位置登録が完了する。
【0041】
この後、第2の下位ゲートウェイ12は、IP電話網NWに対する位置登録完了に応じて、ステップS16で、第1の下位ゲートウェイ11を自己に位置登録させるため、LAN側I/F12Lから通信回線L2を介して第1の下位ゲートウェイ11へ、GW側情報の再取得を要求する再取得要求メッセージを送信する(ステップS160)。
【0042】
第1の下位ゲートウェイ11は、第2の下位ゲートウェイ12からの再取得要求メッセージに応じて、WAN側I/F11Wから通信回線L2を介して第2の下位ゲートウェイ12へ、位置登録に用いるGW側情報を取得するためGW側情報取得要求メッセージを送信する(ステップS161)。これに応じて、第2の下位ゲートウェイ12から第1の下位ゲートウェイ11へGW側情報取得成功メッセージが返送され、第1の下位ゲートウェイ11は、GW側情報取得成功メッセージに含まれているGW側情報を取得する(ステップS162)。
【0043】
次に、第1の下位ゲートウェイ11は、取得したGW側情報に基づいて自己の位置登録を行うための位置登録要求メッセージを生成し、WAN側I/F11Wから通信回線L2を介して第2の下位ゲートウェイ12に送信する(ステップS163)。これに応じて、第2の下位ゲートウェイ12から第1の下位ゲートウェイ11へ位置登録成功メッセージが返送される(ステップS164)。これにより、第2の下位ゲートウェイ12に対する第1の下位ゲートウェイ11の位置登録が完了する。
【0044】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、上位ゲートウェイ10で障害が発生した場合、具体的には、第2の下位ゲートウェイ12が、上位ゲートウェイ10への位置登録が失敗した場合、通信回線L1を介してIP電話網NWに位置登録し、第1の下位ゲートウェイ11が、第2の下位ゲートウェイ12によるIP電話網NWへの位置登録の成功に応じて、通信回線L2を介して第2の下位ゲートウェイ12に位置登録するようにしたものである。
【0045】
これにより、上位ゲートウェイ10でLAN側I/F10Lを用いたデータ通信が行えないという障害が発生した場合には、障害復旧動作として、第2の下位ゲートウェイ12が自動的にIP電話網NWに位置登録して、第2の下位ゲートウェイ12に対する第1の下位ゲートウェイ11の位置登録が行われることになる。
したがって、上位ゲートウェイ10で障害が発生しても第1の下位ゲートウェイ11および第2の下位ゲートウェイ12の配下に接続された電話装置20からIP電話網NWを利用可能とすることができる。
【0046】
また、本実施の形態において、第2の下位ゲートウェイ12が、上位ゲートウェイ10への位置登録が失敗した場合、通信回線L1を介して上位ゲートウェイ10に登録解除を要求し、上位ゲートウェイ10が、第2の下位ゲートウェイ12からの登録解除の要求に応じて、通信回線L1を介してIP電話網NWに、位置登録の解除を要求するようにしてもよい。これにより、上位ゲートウェイ10の登録解除を自動的に行うことができ、IP電話網NWにおける上位ゲートウェイ10の位置登録の残存による不具合発生を、事前を回避することが可能となる。
【0047】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる中継接続システム1について説明する。第1の実施の形態では、上位ゲートウェイ10でLAN側I/F10Lを用いたデータ通信が行えないという障害が発生したLAN側障害発生時の障害復旧について説明した。本実施の形態では、上位ゲートウェイ10でWAN側I/F10Wを用いたデータ通信が行えないという障害が発生したWAN側障害発生時の障害復旧について説明する。
【0048】
本実施の形態において、第2の下位ゲートウェイ12は、上位ゲートウェイ10によるIP電話網NWへの位置登録が失敗した場合、具体的には上位ゲートウェイ10からの位置登録の失敗の通知に応じて、通信回線L1を介してIP電話網NWに位置登録する機能を有している。
また、上位ゲートウェイ10は、IP電話網NWへの位置登録が失敗した場合、通信回線L2を介して第2の下位ゲートウェイ12へIP電話網NWへの位置登録の失敗を通知する機能を有している。
本実施の形態にかかる中継接続システム1のその他の構成については、
図1と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0049】
[第2の実施の形態の動作]
次に、
図6および
図7を参照して、本実施の形態にかかる中継接続システム1の動作として、上位ゲートウェイ10でWAN側I/F10Wを用いたデータ通信が行えないという障害が発生したWAN側障害発生時の障害復旧動作について説明する。
図6は、WAN側障害発生時の障害復旧動作を示すシーケンス図である。
図7は、WAN側障害発生時の障害復旧動作を示す説明図である。
【0050】
図6および
図7に示すように、上位ゲートウェイ10においてWAN側障害が発生した場合(ステップS200)、上位ゲートウェイ10がIP電話網NWに対して位置登録を行うことができなくなる。このため、ステップS20において、上位ゲートウェイ10から代替候補として予め設定されている第2の下位ゲートウェイ12に対して、位置登録失敗メッセージが送信される(ステップS201)、第2の下位ゲートウェイ12は、上位ゲートウェイ10からの位置登録失敗メッセージに応じて、IP電話網NWに位置登録を行うため、WAN側I/F12Wを起動する(ステップS202)。
【0051】
この後、第2の下位ゲートウェイ12は、ステップS21で、IP電話網NWへの位置登録を行う際、まず、WAN側I/F12Wから通信回線L1を介してIP電話網NWへ、位置登録に用いる網情報を取得するため網情報取得要求メッセージを送信する(ステップS210)。これに応じて、IP電話網NWから第2の下位ゲートウェイ12へ網情報取得成功メッセージが返送され、第2の下位ゲートウェイ12は、網情報取得成功メッセージに含まれている網情報を取得する(ステップS211)。
【0052】
次に、第2の下位ゲートウェイ12は、取得した網情報に基づいて自己の位置登録を行うための位置登録要求メッセージを生成し、WAN側I/F12Wから通信回線L1を介してIP電話網NWに送信する(ステップS212)。これに応じて、IP電話網NWから第2の下位ゲートウェイ12へ位置登録成功メッセージが返送される(ステップS213)。これにより、IP電話網NWに対する第2の下位ゲートウェイ12の位置登録が完了する。
【0053】
この後、第2の下位ゲートウェイ12は、IP電話網NWに対する位置登録完了に応じて、ステップS22で、第1の下位ゲートウェイ11を自己に位置登録させるため、LAN側I/F12Lから通信回線L2を介して第1の下位ゲートウェイ11へ、GW側情報の再取得を要求する再取得要求メッセージを送信する(ステップS220)。
【0054】
第1の下位ゲートウェイ11は、第2の下位ゲートウェイ12からの再取得要求メッセージに応じて、WAN側I/F11Wから通信回線L2を介して第2の下位ゲートウェイ12へ、位置登録に用いるGW側情報を取得するためGW側情報取得要求メッセージを送信する(ステップS221)。これに応じて、第2の下位ゲートウェイ12から第1の下位ゲートウェイ11へGW側情報取得成功メッセージが返送され、第1の下位ゲートウェイ11は、GW側情報取得成功メッセージに含まれているGW側情報を取得する(ステップS222)。
【0055】
次に、第1の下位ゲートウェイ11は、取得したGW側情報に基づいて自己の位置登録を行うための位置登録要求メッセージを生成し、WAN側I/F11Wから通信回線L2を介して第2の下位ゲートウェイ12に送信する(ステップS223)。これに応じて、第2の下位ゲートウェイ12から第1の下位ゲートウェイ11へ位置登録成功メッセージが返送される(ステップS224)。これにより、第2の下位ゲートウェイ12に対する第1の下位ゲートウェイ11の位置登録が完了する。
【0056】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、上位ゲートウェイ10がIP電話網NWへの位置登録に失敗した場合、第2の下位ゲートウェイ12が通信回線L1を介してIP電話網NWに位置登録し、第1の下位ゲートウェイ11が、第2の下位ゲートウェイ12によるIP電話網NWへの位置登録の成功に応じて、通信回線L2を介して第2の下位ゲートウェイ12に位置登録するようにしたものである。
【0057】
これにより、上位ゲートウェイ10でWAN側I/F10Wを用いたデータ通信が行えないという障害が発生した場合には、障害復旧動作として、第2の下位ゲートウェイ12が自動的にIP電話網NWに位置登録して、第2の下位ゲートウェイ12に対する第1の下位ゲートウェイ11の位置登録が行われることになる。
したがって、上位ゲートウェイ10で障害が発生しても第1の下位ゲートウェイ11および第2の下位ゲートウェイ12の配下に接続された電話装置20からIP電話網NWを利用可能とすることができる。
【0058】
また、本実施の形態において、上位ゲートウェイ10が、IP電話網NWへの位置登録が失敗した場合、通信回線L2を介して第2の下位ゲートウェイ12へIP電話網NWへの位置登録の失敗を通知し、第2の下位ゲートウェイ12が、上位ゲートウェイ10からの位置登録の失敗の通知に応じて、通信回線L1を介してIP電話網NWに位置登録するようにしてもよい。これにより、上位ゲートウェイ10の位置登録失敗を第2の下位ゲートウェイ12が容易に検知することが可能となる。
【0059】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…中継接続システム、10…上位ゲートウェイ、10W…WAN側I/F、10L…LAN側I/F、11…第1の下位ゲートウェイ、11W…WAN側I/F、11P…電話装置I/F、12…第2の下位ゲートウェイ、12W…WAN側I/F、12L…LAN側I/F、12P…電話装置I/F、20…電話装置、NW…IP電話網、L1…通信回線(第1の通信回線)、L2…通信回線(第2の通信回線)、50…上位ゲートウェイ、51…下位ゲートウェイ、60…電話装置。