(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】自律走行型清掃装置
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20231219BHJP
A47L 9/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/02 A
(21)【出願番号】P 2020042175
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】杉田 幸治
(72)【発明者】
【氏名】今江 友和
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-038402(JP,A)
【文献】特開2014-230745(JP,A)
【文献】特開2005-211362(JP,A)
【文献】特開2004-337301(JP,A)
【文献】国際公開第2019/043938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃面を自律走行しつつ前記被清掃面を清掃する自律走行型清掃装置であって、
吸気ファンと、
前記吸気ファンの吸引力によって前記被清掃面から吸引した吸引物を第1流路を通じて下流側へ送る吸気ノズルと、
前記自律走行型清掃装置の進行方向に対して側方へ突出可能に設けられ、前記側方へ突出した突出姿勢において前記吸気ファンの吸引力によって前記被清掃面から吸引した吸引物を第2流路を通じて下流側へ送る拡張ノズルと、
前記第1流路に連通する第1吸気口、及び、前記第2流路に連通する第2吸気口を有し、前記第1吸気口及び前記第2吸気口から吸入された前記吸引物を収集する収集ボックスと、
前記吸引物を前記第1流路から前記第1吸気口に通す通気口の開度を調整可能な開度調整部材を含み、前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化したことに応じて前記開度調整部材を前記通気口の前記開度を小さくする閉方向へ変位させることにより前記第1流路を絞る絞り機構と、を備え
、
前記絞り機構は、前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化したことに応じて、前記第1流路の流量と前記第2流路の流量とが均等となる均等位置に前記開度調整部材を変位させる自律走行型清掃装置。
【請求項2】
前記絞り機構は、
前記拡張ノズルの前記突出姿勢への姿勢変化に連動して前記開度調整部材を前記閉方向へ変位させる連動機構を有する、請求項
1に記載の自律走行型清掃装置。
【請求項3】
前記絞り機構は、
前記開度調整部材に前記閉方向の駆動力を付与する電動機を有し、
前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化した場合に前記電動機を駆動制御して
、前記均等位置に前記開度調整部材
を変位させる制御部を更に備える、請求項
1又は2に記載の自律走行型清掃装置。
【請求項4】
前記拡張ノズルは、前記自律走行型清掃装置が走行エリア上の予め定められた規定ルートを走行する場合に、側方に突出しない非突出姿勢から前記突出姿勢に変化されるものであり、
前記規定ルートが、前記走行エリアに設けられた壁から所定距離を隔てた位置を前記拡張ノズルが通る第1ルートである場合に、前記制御部は
、前記均等位置に前記開度調整部材
を変位させる、請求項
3に記載の自律走行型清掃装置。
【請求項5】
前記規定ルートが、前記走行エリアに設けられた壁付近を前記拡張ノズルが通る第2ルートである場合に、前記制御部は、前記通気口を閉塞する閉塞位置に前記開度調整部材を変位させる、請求項
4に記載の自律走行型清掃装置。
【請求項6】
被清掃面を自律走行しつつ前記被清掃面を清掃する自律走行型清掃装置であって、
吸気ファンと、
前記吸気ファンの吸引力によって前記被清掃面から吸引した吸引物を第1流路を通じて下流側へ送る吸気ノズルと、
前記自律走行型清掃装置の進行方向に対して側方へ突出可能に設けられ、前記側方へ突出した突出姿勢において前記吸気ファンの吸引力によって前記被清掃面から吸引した吸引物を第2流路を通じて下流側へ送る拡張ノズルと、
前記第1流路に連通する第1吸気口、及び、前記第2流路に連通する第2吸気口を有し、前記第1吸気口及び前記第2吸気口から吸入された前記吸引物を収集する収集ボックスと、
前記吸引物を前記第1流路から前記第1吸気口に通す通気口の開度を調整可能な開度調整部材を含み、前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化したことに応じて前記開度調整部材を前記通気口の前記開度を小さくする閉方向へ変位させることにより前記第1流路を絞る絞り機構と、を備え、
前記絞り機構は、前記開度調整部材に前記閉方向の駆動力を付与する電動機を有し、
前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化した場合に前記電動機を駆動制御して前記開度調整部材を前記閉方向へ変位させる制御部を更に備え、
前記拡張ノズルは、前記自律走行型清掃装置が走行エリア上の予め定められた規定ルートを走行する場合に、側方に突出しない非突出姿勢から前記突出姿勢に変化されるものであり、
前記規定ルートが、前記走行エリアに設けられた壁付近を前記拡張ノズルが通る第2ルートである場合に、
前記制御部は、前記自律走行型清掃装置が前記第2ルートを走行した走行履歴に基づいて前記通気口の前記開度を決定し、決定された前記開度となるように前記開度調整部材を前記閉方向へ変位させる
、自律走行型清掃装置。
【請求項7】
前記規定ルートが、前記走行エリアに設けられた壁から所定距離を隔てた位置を前記拡張ノズルが通る第1ルートである場合に、前記制御部は、前記第1流路の流量と前記第2流路の流量とが均等となる均等位置に前記開度調整部材を変位させる、請求項6に記載の自律走行型清掃装置。
【請求項8】
被清掃面を自律走行しつつ前記被清掃面を清掃する自律走行型清掃装置であって、
吸気ファンと、
前記吸気ファンの吸引力によって前記被清掃面から吸引した吸引物を第1流路を通じて下流側へ送る吸気ノズルと、
前記自律走行型清掃装置の進行方向に対して側方へ突出可能に設けられ、前記側方へ突出した突出姿勢において前記吸気ファンの吸引力によって前記被清掃面から吸引した吸引物を第2流路を通じて下流側へ送る拡張ノズルと、
前記第1流路に連通する第1吸気口、及び、前記第2流路に連通する第2吸気口を有し、前記第1吸気口及び前記第2吸気口から吸入された前記吸引物を収集する収集ボックスと、
前記吸引物を前記第1流路から前記第1吸気口に通す通気口の開度を調整可能な開度調整部材を含み、前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化したことに応じて前記開度調整部材を前記通気口の前記開度を小さくする閉方向へ変位させることにより前記第1流路を絞る絞り機構と、を備え、
前記絞り機構は、前記開度調整部材に前記閉方向の駆動力を付与する電動機を有し、
前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化した場合に前記電動機を駆動制御して前記開度調整部材を前記閉方向へ変位させる制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記吸気ノズルから吸引される前記吸引物の第1吸引量と前記拡張ノズルから吸引される前記吸引物の第2吸引量とを比較して、前記第1吸引量が多い場合に前記通気口の前記開度を大きくする開方向へ前記開度調整部材を変位させ、前記第2吸引量が多い場合に前記閉方向へ前記開度調整部材を変位させ
る、自律走行型清掃装置。
【請求項9】
前記拡張ノズルは、前記自律走行型清掃装置から側方に突出しない位置に保持される非突出姿勢と、前記自律走行型清掃装置から側方に突出した位置に保持される前記突出姿勢とに姿勢変化可能に設けられている、請求項1から
8のいずれかに記載の自律走行型清掃装置。
【請求項10】
前記拡張ノズルに対して、前記拡張ノズルを前記突出姿勢に保持する付勢力を与える保持部材をさらに備え、
前記保持部材は、前記拡張ノズルに外力が加えられた場合に前記拡張ノズルを前記付勢力に抗して前記突出姿勢から前記外力が加えられた方向に回転させ、前記拡張ノズルに前記外力が加えられなくなった場合に前記拡張ノズルを前記付勢力により前記突出姿勢に戻す、
請求項1から
9のいずれかに記載の自律走行型清掃装置。
【請求項11】
前記保持部材は、引張コイルバネで構成されており、
前記引張コイルバネの一端は、前記拡張ノズルに固定されており、
前記引張コイルバネは、前記拡張ノズルを前記突出姿勢に維持するように前記拡張ノズルに引張力を与えている、
請求項
10に記載の自律走行型清掃装置。
【請求項12】
前記拡張ノズルが側方に突出しない非突出姿勢の状態になると、前記拡張ノズルから前記収集ボックスまでの前記第2流路が遮断される、
請求項
9から
11のいずれかに記載の自律走行型清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行可能な自律走行型清掃装置に関し、特に、吸い込んだ塵埃や粉塵などの吸引物を収集する収集ボックスを備える自律走行型清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆる清掃ロボットと称される自律走行型の清掃装置が知られている。この清掃装置は、床面などの被清掃面を自律走行しながら、被清掃面に向けられた吸気ノズルの吸引口から吸気するとともに被清掃面上の塵埃や粉塵などの吸引物(ダスト)を吸い込むことにより、被清掃面を掃除する。吸い込まれた吸引物は、清掃装置に取り付けられた集塵ボックスに収集される。
【0003】
近年、労働力不足や人件費の高騰などにより、駅や空港などにおけるコンコースや、ショッピングモールなどの広範囲なスペースを清掃する清掃要員が不足している。そのため、自律走行を行うように設計され、高い清掃能力と高い安全性を有する産業用の自律走行型清掃装置(特許文献1参照)の導入が進んでいる。この種の自律走行型清掃装置は、通行人や障害物、壁などに衝突しないように、安全に移動することが可能な衝突回避機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の産業用の自律走行型清掃装置は、狭い通路の清掃が可能である一方で、安全性を考慮して壁面から一定距離だけ離れて走行するため、未清掃の領域が生じ易い。また清掃する範囲が広い場合には、走行時間及び走行距離が長くなり、バッテリ切れを起こすおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、清掃の効率を向上させることが可能な自律走行型清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、被清掃面を自律走行しつつ前記被清掃面を清掃する自律走行型清掃装置である。前記自律走行型清掃装置は、吸気ファンと、前記吸気ファンの吸引力によって前記被清掃面から吸引した吸引物を第1流路を通じて下流側へ送る吸気ノズルと、前記自律走行型清掃装置の進行方向に対して側方へ突出可能に設けられ、前記側方へ突出した突出姿勢において前記吸気ファンの吸引力によって前記被清掃面から吸引した吸引物を第2流路を通じて下流側へ送る拡張ノズルと、前記第1流路に連通する第1吸気口、及び、前記第2流路に連通する第2吸気口を有し、前記第1吸気口及び前記第2吸気口から吸入された前記吸引物を収集する収集ボックスと、前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化したことに応じて前記第1流路を絞る絞り機構と、を備える。
【0008】
この構成によれば、例えば、拡張ノズルは、通路幅が広い通路や壁際の通路を走行する場合に、自律走行型清掃装置の側方に突出し、通路幅が狭い場合に自律走行型清掃装置に収容される。これにより、通路幅に応じてゴミ類を吸引するノズルの長さを調整することができるため、清掃の効率を向上させることができる。
【0009】
また、この構成によれば、拡張ノズルが非突出姿勢から前記突出姿勢に姿勢変化すると、吸気ノズルからの吸引が停止して、拡張ノズルだけによる吸引が行われる。つまり、拡張ノズルにより吸入されたゴミ類だけを収集することができる。これにより、拡張ノズルは、床面の粉塵や塵埃などのごみ類を十分に吸い込むことができ、拡張ノズルによる清掃能力を十分に発揮することができる。
【0010】
(2) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記絞り機構は、前記吸引物を前記第1流路から前記第1吸気口に通す通気口の開度を調整可能な開度調整部材を含み、前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化したことに応じて前記開度調整部材を前記通気口の前記開度を小さくする閉方向へ変位させる。
【0011】
これにより、前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化した場合に、拡張ノズルによるごみ類の吸い込み力がアップする。
【0012】
(3) 本発明の自律走行型清掃装置において、 前記絞り機構は、前記拡張ノズルの前記突出姿勢への姿勢変化に連動して前記開度調整部材を前記閉方向へ変位させる連動機構を有する。
【0013】
これにより、モータなどの駆動源を設けることなく、前記拡張ノズルの姿勢変化に応じて前記開度調整部材を前記閉方向へ変位させることができる。
【0014】
(4) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記絞り機構は、前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化したことに応じて前記通気口を閉塞する閉塞位置に前記開度調整部材を変位させる。
【0015】
これにより、吸気ノズルによる吸引が停止し、吸気ファンの吸引力が全て拡張ノズルに付与されるので、拡張ノズルによるごみ類の吸い込み力がより一層アップする。
【0016】
(5) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記絞り機構は、前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化したことに応じて、前記第1流路の流量と前記第2流路の流量とが均等となる均等位置に前記開度調整部材を変位させる。
【0017】
これにより、吸気ノズルによる吸い込み力と拡張ノズルによる吸い込み力とが同等となり、各ノズルによって床面を均一に清掃することができる。
【0018】
(6) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記絞り機構は、前記開度調整部材に前記閉方向の駆動力を付与する電動機を有する。この場合、自律走行型清掃装置は、前記拡張ノズルが前記突出姿勢に姿勢変化した場合に前記電動機を駆動制御して前記開度調整部材を前記閉方向へ変位させる制御部を更に備える。
【0019】
この構成によれば、制御部によって回動調整部材を閉方向の任意の位置に変位させることができる。
【0020】
(7) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記拡張ノズルは、前記自律走行型清掃装置が走行エリア上の予め定められた規定ルートを走行する場合に、側方に突出しない非突出姿勢から前記突出姿勢に変化されるものである。この場合、前記制御部は、前記通気口が前記規定ルートに応じた前記開度となるように前記開度調整部材を前記閉方向へ変位させる。
【0021】
(8) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記規定ルートが、前記走行エリアに設けられた壁から所定距離を隔てた位置を前記拡張ノズルが通る第1ルートである場合に、前記制御部は、前記第1流路の流量と前記第2流路の流量とが均等となる均等位置に前記開度調整部材を変位させる。
【0022】
この構成によれば、通路幅が広い通路(第1ルート)を自律走行型清掃装置が走行する場合に、各ノズルによって床面を均一に清掃することができる。
【0023】
(9) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記規定ルートが、前記走行エリアに設けられた壁付近を前記拡張ノズルが通る第2ルートである場合に、前記制御部は、前記通気口を閉塞する閉塞位置に前記開度調整部材を変位させる。
【0024】
この構成によれば、壁際の通路(第2ルート)を自律走行型清掃装置が走行する場合に、拡張ノズルのみによる強い吸い込み力によって壁際の床面を清掃することができる。
【0025】
(10) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記規定ルートが、前記走行エリアに設けられた壁付近を前記拡張ノズルが通る第2ルートである場合に、前記制御部は、前記自律走行型清掃装置が前記第2ルートを走行した走行履歴に基づいて前記通気口の前記開度を決定し、決定された前記開度となるように前記開度調整部材を前記閉方向へ変位させる。
【0026】
(11) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記制御部は、前記吸気ノズルから吸引される前記吸引物の第1吸引量と前記拡張ノズルから吸引される前記吸引物の第2吸引量とを比較して、前記第1吸引量が多い場合に前記通気口の前記開度を大きくする開方向へ前記開度調整部材を変位させ、前記第2吸引量が多い場合に前記閉方向へ前記開度調整部材を変位させる。
【0027】
(12) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記拡張ノズルは、前記自律走行型清掃装置から側方に突出しない位置に保持される非突出姿勢と、前記自律走行型清掃装置から側方に突出した位置に保持される前記突出姿勢とに姿勢変化可能に設けられている。
【0028】
これにより、前記拡張ノズルの姿勢を、非突出姿勢と突出姿勢とのいずれかに変化させることができる。
【0029】
また、本発明の自律走行型清掃装置において、前記拡張ノズルは、前記自律走行型清掃装置が走行エリア上の予め定められた規定ルートを走行する場合に、側方に突出しない非突出姿勢から前記突出姿勢に変化される。この場合、例えば、拡張ノズルは、前記規定ルートを走行する場合に、自律走行型清掃装置の側方に突出する。
【0030】
(13) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記拡張ノズルに対して、前記拡張ノズルを前記突出姿勢に保持する付勢力を与える保持部材をさらに備える。この場合、前記保持部材は、前記拡張ノズルに外力が加えられた場合に前記拡張ノズルを前記付勢力に抗して前記突出姿勢から前記外力が加えられた方向に回転させ、前記拡張ノズルに前記外力が加えられなくなった場合に前記拡張ノズルを前記付勢力により前記突出姿勢に戻す。
【0031】
この構成によれば、拡張ノズルが側方に突出した状態で自律走行型清掃装置が走行中に、拡張ノズルが障害物に接触した場合、拡張ノズルは後方に回転する。これにより、拡張ノズルの破損を防止することができる。
【0032】
(14) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記保持部材は、引張コイルバネで構成されており、前記引張コイルバネの一端は、前記拡張ノズルに固定されており、前記引張コイルバネは、前記拡張ノズルを前記突出姿勢に維持するように前記拡張ノズルに引張力を与えている。
【0033】
これにより、拡張ノズルが、前記外力が加えられた方向に回転した場合であっても、前記外力が無くなると、拡張ノズルが前記突出姿勢に戻り、前記突出姿勢を維持することができる。
【0034】
(15) 本発明の自律走行型清掃装置において、前記拡張ノズルが側方に突出しない非突出姿勢の状態になると、前記拡張ノズルから前記収集ボックスまでの前記第2流路が遮断される。
【0035】
この構成によれば、拡張ノズルが非突出姿勢である場合には、開度調整部材の位置にかかわらず、拡張ノズルによる吸引が停止されるため、吸気ノズルにおける吸い込み力の低下を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、清掃の効率を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る床面清掃装置の前方側の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、床面清掃装置の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、床面清掃装置の後方側の外観を示す斜視図であり、拡張ノズルが収容姿勢に配置された状態を示す。
【
図4】
図4は、床面清掃装置の後方側の外観を示す斜視図であり、拡張ノズルが側方清掃姿勢に配置された状態を示す。
【
図5】
図5は、床面清掃装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、床面清掃装置が備える支持ホルダの構成を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、床面清掃装置の後方部の側面図であり、(A)は、床面清掃装置の収集ボックスが装着された状態を示す図であり、(B)は、収集ボックスが床面清掃装置から取り外された状態を示す図である。
【
図9】
図9は、
図2における切断線IX-IXの断面を示す模式図である。
【
図10】
図10は、床面清掃装置が備える吸気ノズルの縦断面図である。
【
図11】
図11は、
図10における切断線XI-XIで吸気ノズルを切断したときの底面側から見た断面図である。
【
図12】
図12は、床面清掃装置が備える収集ボックスの構成を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、床面清掃装置が備える拡張ノズルの姿勢変化の様子を示す図であり、(A)は、床面清掃装置を後方から見た図であり、(B)は、床面清掃装置を上方から見た図である。
【
図14】
図14は、拡張ノズルの回転機構を上方から見た模式図である。
【
図15】
図15は、拡張ノズルの回転機構を後方から見た模式図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2実施形態を示す図であり、床面清掃装置が備える連動機構の構成の一例を示す模式図である。
【
図17】
図17は、本発明の第3実施形態を示す図であり、床面清掃装置が備える連動機構の構成の他の例を示す模式図である。
【
図18】
図18は、本発明の第4実施形態を示す図であり、床面清掃装置の制御ユニットによって実行されるシャッター移動制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、本発明の第5実施形態に係る床面清掃装置の構成を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の第5実施形態を示す図であり、床面清掃装置の制御ユニットによって実行されるシャッター移動制御処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、以下の説明では、各図に示される上下方向D1、前後方向D2、左右方向又は幅方向D3を用いる。
【0039】
〈第1実施形態〉
[床面清掃装置10]
図1は、本発明の実施形態に係る床面清掃装置10の前方側の外観を示す斜視図である。床面清掃装置10(本発明の自律走行型清掃装置の一例)は、空港や駅、ショッピングモールなどのコンコースの床面23(被清掃面)を前方(進行方向)へ自律走行しながら、床面23を自動的に清掃する自律走行型の清掃装置であり、送風機などによって空気を吸い込む吸引力を発生させて、その吸引力によって空気とともに床面23の塵や埃などのゴミ類を吸い込み、フィルターによってゴミ類を分離し、収集ボックス16(
図2参照)に収集する装置である。床面清掃装置10は、予め入力された走行ルート(清掃ルート)や清掃エリア、清掃する時間帯、充電のために戻る帰還位置などの各種清掃情報に基づいて、床面23を走行しながら自動的に清掃する。
【0040】
なお、床面清掃装置10は、本発明の自律走行型清掃装置の単なる一例であって、本発明は、例えば、屋外の歩行路や車道路などの路面を自律走行しながら前記路面を清掃する清掃装置にも適用可能である。
【0041】
図2は、床面清掃装置10の構成を示す模式図である。
図1及び
図2に示すように、床面清掃装置10は、装置本体11と、装置本体11に設けられた各機能部とにより構成されている。具体的には、装置本体11には、走行部12(駆動伝達部)、モータ13、バッテリ14、吸気ユニット15、収集ボックス16(本発明の収集ボックスの一例)、支持ホルダ17、吸気ノズル18(本発明の吸気ノズルの一例)、拡張ノズル19(本発明の拡張ノズルの一例)、操作部20、表示パネル21、ホルダ移動機構50、及び制御ユニット40などが設けられている。
【0042】
図1に示すように、装置本体11は、その外装を構成する外装カバー11Aを有する。また、
図2に示すように、装置本体11は、その下部にシャーシ11Bを有する。シャーシ11Bは、床面23に対して概ね平行に設けられている。また、装置本体11の内部には、上述の各機能部を支持するための支持フレームが適宜設けられている。
【0043】
図2に示すように、走行部12は、装置本体11の下部に設けられている。走行部12は、装置本体11の走行姿勢を維持しつつ進行方向の搬送力を床面23に伝達するものであり、シャーシ11Bに取り付けられている。走行部12は、走行用の一対の車輪121と、4つのキャスター122とを有する。
【0044】
車輪121は、シャーシ11Bの前後方向の中央であって、幅方向D3の両端部それぞれに回転可能に支持されている。4つのキャスター122は、装置本体11の走行姿勢を維持するためのものであり、シャーシ11Bの前方端の両端部、及びシャーシ11Bの後方端の両端部に回転可能に支持されている。床面清掃装置10が床面23に置かれた状態で、車輪121及びキャスター122の各外周面は床面23によって支持される。これにより、装置本体11が、
図1や
図2に示される走行姿勢に維持される。
【0045】
車輪121の回転軸には、モータ13の出力軸が減速ギヤなどの伝達機構を介して連結されている。このため、モータ13が駆動されて、その回転駆動力が出力軸から出力されると、モータ13の回転駆動力が車輪121に伝達される。本実施形態では、一対の車輪121のそれぞれに対して、個別にモータ13が設けられている。したがって、各モータ13が個別に駆動制御されることによって、各車輪121の回転速度が制御される。例えば、各車輪121の回転速度が等速に制御されると、床面清掃装置10は真っ直ぐに進行し、各車輪121の回転速度が異なる速度に制御されると、回転速度の遅い車輪121側に床面清掃装置10が旋回する。
【0046】
吸気ユニット15は、装置本体11の内部において、後述のバッテリ14の上側に設けられている。吸気ユニット15は、後述の吸気ノズル18から空気を吸い込む吸引力を発生させるものであり、複数の吸気ファン151(送風機)と、吸気マニホールド152と、排気マニホールド153とを有する。吸気マニホールド152は、幅方向D3に並んで設けられた3つの吸気ポート154を有しており、各吸気ポート154それぞれに吸気用のフレキシブルホース24が接続されている。また、排気マニホールド153には排気管(不図示)の一方側が接続されている。なお、前記排気管の他方側はシャーシ11Bに接続されており、その排気口はシャーシ11Bと床面23との間の空間に配置されている。これにより、吸気ファン151が駆動されると、各フレキシブルホース24の先端の吸気口から空気が吸い込まれ、その空気は、フレキシブルホース24、吸気マニホールド152、吸気ファン151、排気マニホールド153、前記排気管を通って、前記排気口から外部に排出される。
【0047】
バッテリ14は、装置本体11の中心部に設けられている。バッテリ14は、モータ13及び吸気ファン151に駆動用の電力を供給する。また、バッテリ14は、後述する回転ブラシ26の回転駆動用のモータ62(
図9参照)、後述する拡張ノズル19の回転駆動用のモータ30(
図14参照)、及び、後述する拡張ブラシ19Aの回転駆動用のモータ19C(
図15参照)のそれぞれに駆動用の電力を供給する。また、バッテリ14は、後述するホルダ移動機構50の昇降用のモータ56(
図9参照)に駆動用の電力を供給する。
【0048】
図2に示すように、収集ボックス16は、装置本体11の背面に設けられている。収集ボックス16は、装置本体11に装着された状態で、カバー162によって覆われている。装置本体11の背面側には、収集ボックス16を着脱可能に支持するための支持ホルダ17が設けられており、この支持ホルダ17に収集ボックス16が取り外し可能に装着されている。なお、カバー162は、支持ホルダ17に取り付けられている。
【0049】
支持ホルダ17には、3つの吸気ポート174が設けられている。吸気ポート174は、支持ホルダ17の前側の側面を貫通して、収集ボックス16の排出口に至っている。各吸気ポート174それぞれにフレキシブルホース24の端部が接続されている。また、支持ホルダ17の下部には吸気ノズル18が設けられており、支持ホルダ17の側部には拡張ノズル19が設けられている。各ノズル18,19は、収集ボックス16に通している。これにより、吸気ユニット15が駆動されると、吸気ノズル18及び拡張ノズル19のそれぞれから吸い込まれた空気が収集ボックス16を通ってフレキシブルホース24に流入する。なお、収集ボックス16、支持ホルダ17、吸気ノズル18の詳細については後述する。
【0050】
図3及び
図4は、床面清掃装置10の後方側の外観を示す斜視図である。
図3及び
図4に示すように、拡張ノズル19は、支持ホルダ17の左側に設けられている。支持ホルダ17の左側には、後述する収容部176が設けられており、収容部176に拡張ノズル19を収容可能である。拡張ノズル19は、支持ホルダ17に支持されている。具体的には、拡張ノズル19は、収容部176に収容される収容姿勢(
図1及び
図3に示される姿勢)と、収容部176から左側(側方)へ倒されて装置本体11の左側の床面23を清掃可能な側方清掃姿勢(
図4及び
図7に示される姿勢)との間で姿勢変化可能なように、支持ホルダ17に支持されている。前記収容姿勢は本発明の非突出姿勢の一例であり、前記側方清掃姿勢は、本発明の突出姿勢の一例である。本実施形態では、拡張ノズル19は、支持ホルダ17の下端部付近を回動中心として前記収容姿勢と前記側方清掃姿勢との間で回動可能に支持されている。なお、
図3では、拡張ノズル19が前記収容姿勢に配置された状態が示されており、
図4では、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢に配置された状態が示されている。なお、拡張ノズル19の詳細については後述する。
【0051】
操作部20は、装置本体11の背面の上部に設けられている。操作部20は、外装カバー11Aに取り付けられている。操作部20は、オペレータよって操作される装置であり、例えば、タッチ操作が可能なタッチパネルを有する端末装置である。床面清掃装置10に対する各種の清掃情報(走行ルート、清掃エリア、清掃時間帯、帰還位置などの情報)は、操作部20から入力することができる。入力された清掃情報は、制御ユニット40に転送され、制御ユニット40による走行制御に用いられる。
【0052】
表示パネル21は、装置本体11の前面に設けられている。表示パネル21は、例えば液晶パネルである。表示パネル21には、清掃中に各種のアナウンス情報が制御ユニット40によって表示される。前記アナウンス情報は、例えば、清掃中であることを示す情報、清掃しているフロアに関する案内情報などである。
【0053】
ホルダ移動機構50は、装置本体11の内部に設けられており、
図2に示すように、装置本体11の背面側に設けられている。ホルダ移動機構50は、支持ホルダ17を上下方向D1へ移動可能に支持するとともに、上下方向D1の駆動力を支持ホルダ17に伝達して、支持ホルダ17を上下方向D1へ移動させる。本実施形態では、操作部20からメンテナンス指示が入力されると、制御ユニット40は、モータ56(
図9参照)を制御して、床面23を清掃可能な清掃位置(初期位置)に配置されていた支持ホルダ17を上昇させて、メンテナンス位置に配置させる。そして、前記メンテナンス位置に支持ホルダ17を保持させる。その後、メンテナンス終了の信号が入力されると、制御ユニット40は、モータ56を制御して、支持ホルダ17を下降させて、前記清掃位置に配置させる。また、バッテリ残量が閾値を下回ると、床面清掃装置10は前記帰還位置に戻り、制御ユニット40は、モータ56を制御して、支持ホルダ17を上昇させて充電位置に配置させる。支持ホルダ17が充電位置に配置されると、床面清掃装置10は、充電器(不図示)に接続されてバッテリ14の充電処理が開始される。
【0054】
制御ユニット40は、装置本体11の上部に設けられている。制御ユニット40は、床面清掃装置10の走行、吸気ユニット15の吸気ファン151の駆動、回転ブラシ26及び拡張ブラシ19Aの駆動、拡張ノズル19の駆動、ホルダ移動機構50による支持ホルダ17の昇降、表示パネル21の画面表示などを制御する。制御ユニット40は、例えば、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器、HDDやフラッシュメモリなどの記憶媒体又は記憶装置などを有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性のメモリである。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性のメモリであり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。制御ユニット40は、前記ROM又は記憶装置に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより、床面清掃装置10の走行、吸気ファン151の駆動、回転ブラシ26及び拡張ブラシ19Aの駆動、拡張ノズル19の駆動、支持ホルダ17の昇降などを制御する。
【0055】
[支持ホルダ17]
図5及び
図6は、外装カバー11Aが取り外された床面清掃装置10を示す斜視図である。
図5及び
図6に示すように、床面清掃装置10の背面側に支持ホルダ17が設けられている。装置本体11の内部には、シャーシ11Bの後端部から上方へ延びる板状の縦フレーム11Cが設けられている。縦フレーム11Cに支持ホルダ17が取り付けられている。本実施形態では、後述するように、支持ホルダ17は、装置本体11の縦フレーム11Cに上下方向D1へ移動可能なように支持されている。
【0056】
図7は、支持ホルダ17の構成を示す斜視図である。
図7に示すように、支持ホルダ17は、上下方向D1に延びるベース部171と、ベース部171に固定されたボックス収容部172と、を有する。
【0057】
ベース部171は、板金を屈曲加工して形成されたものであり、縦フレーム11C(
図5参照)に取り付けられるベース板171Aと、ベース板171Aの幅方向D3の両端それぞれから後方へ突出する側板171B,171Cとにより構成されている。ベース板171Aの上端には、フレキシブルホース24の端部を接続するための3つの吸気ポート174(
図2参照)が取り付けられている。吸気ポート174は、ベース板171Aから前方へ突出する筒形状に形成されている。
【0058】
ベース板171Aの後方側の面の上端部には、3つの連通穴175が形成されている。連通穴175は、吸気ポート174に対応する位置に形成されている。収集ボックス16がボックス収容部172に装着された状態で、収集ボックス16の側面に設けられた排出ポート167(
図9参照)が連通穴175に接続される。これにより、収集ボックス16から吸引可能なように、フレキシブルホース24と収集ボックス16とが接続される。
【0059】
なお、収集ボックス16の内部には、排出ポート167から排出される空気から粉塵や塵埃などのゴミ類(吸引物)を捕集して取り除き、清浄な空気にするエアーフィルター169(
図9参照)が設けられている。エアーフィルター169として、例えば、ケミカルフィルターや、HEPAフィルター、ULPAフィルターなどを用いることができる。
【0060】
ボックス収容部172は、収集ボックス16を着脱可能に支持する。ボックス収容部172は、ベース部171の後方側の面に固定されており、ベース部171において幅方向D3の中央に配置されている。ボックス収容部172は、板金を屈曲加工して形成されたものであり、ベース部171に固定される取付板172Aと、取付板172Aの幅方向D3の両端それぞれから後方へ突出する側板172B,172Cとにより構成されている。ボックス収容部172は、ベース部171よりも、幅方向D3の長さが短いため、
図7に示すように、ボックス収容部172は、ベース部171における側板171Bと側板171Cとにより囲まれたスペースに収容される。
【0061】
図7に示すように、ボックス収容部172の後方側は開放されており、上方側も開放されている。したがって、
図8に示すように、収集ボックス16は、カバー162に設けられた不図示の扉を開けた状態で、このボックス収容部172に対して後方の斜め上方へ引き上げることができ、ボックス収容部172から収集ボックス16を容易に取り外すことができる。ここで、
図8は、床面清掃装置10の後方部の側面図であり、
図8(A)は、収集ボックス16がボックス収容部172に装着された状態を示し、
図8(B)は、収集ボックス16がボックス収容部172から取り外された状態を示す。
【0062】
図7に示すように、ボックス収容部172の底板172Dに幅方向D3に長い長方形状の開口177(本発明の通気口の一例)が形成されている。開口177は、後述する吸気ノズル18に連通している。ボックス収容部172に収集ボックス16が装着された状態で、収集ボックス16の底面16Aに設けられた吸気口168(
図8(B)、
図11参照)(本発明の第1吸気口の一例)が開口177に位置合わせされる。これにより、吸気ノズル18と収集ボックス16とが連通し、吸気ノズル18から空気とともに吸い上げられた粉塵や塵埃などのゴミ類(吸引物)が開口177から吸気口168に入り、吸気口168を通じて収集ボックス16に収集可能となる。ボックス収容部172から収集ボックス16が取り外された状態では、回転ブラシ26を鉛直上方から目視することが可能となり、外部に露出された状態となる。なお、開口177及び吸気口168は、それぞれの開口面積が概ね同じとなるように形成されている。
【0063】
また、ボックス収容部172の左側の側板172Bの下部には、拡張ノズル19に連通する開口178(
図7参照)が形成されている。ボックス収容部172に収集ボックス16が装着された状態で、収集ボックス16の側方側の側面16Cに設けられた側面吸気口161(
図12参照)(本発明の第2吸気口の一例)が開口178に位置合わせされる。これにより、拡張ノズル19と収集ボックス16とが連通し、拡張ノズル19から空気とともに吸い上げられた粉塵や塵埃などのごみ類(吸引物)が開口178から側面吸気口161に入り、側面吸気口161を通じて収集ボックス16に収集可能となる。なお、開口178及び側面吸気口161は、それぞれの開口面積が概ね同じとなるように形成されている。
【0064】
本実施形態では、開口178及び側面吸気口161の開口面積は、開口177及び吸気口168の開口面積よりも小さく、例えば、開口177及び吸気口168の開口面積の5分の1から3分の1程度である。したがって、吸気ファン151による吸引力によって吸気ノズル18から収集ボックス16に至る第1流路L1(
図10参照)における空気の流量は、拡張ノズル19から収集ボックス16に至る第2流路L2(
図14参照)における空気の流量よりも多い。つまり、第2流路L2における空気の流れは、第1流路L1における空気の流れよりも鈍く、したがって、第1流路L1及び第2流路L2それぞれが収集ボックス16に連通している状態で吸気ファン151が作動した場合、吸気ノズル18による吸い込み力が拡張ノズル19の吸い込み力よりも大きい。この場合、拡張ノズル19は、十分に床面23の粉塵や塵埃などのごみ類を吸い込むことができず、拡張ノズル19による清掃能力を十分に発揮することができない。なお、第1流路L1は、吸気ノズル18から開口177、吸気口168を経て収集ボックス16の内部に至る空気流路である。また、第2流路L2は、開口178、側面吸気口161を経て収集ボックス16の内部に至る空気流路である。
【0065】
図10は、床面清掃装置10が備える吸気ノズル18の縦断面図である。
図10に示すように、床面清掃装置10には、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢に姿勢変化したことに応じて第1流路L1を絞る絞り機構70が設けられている。絞り機構70は、第1流路L1の流路断面積を絞ることによって、第1流路L1の流量と第2流路L2の流量とのバランスを調整するものである。
【0066】
絞り機構70は、開口177の開度を調整可能なシャッター部材71(本発明の開度調整部材の一例)を有している。シャッター部材71は、ボックス収容部172の底板172Dの下面に設けられており、幅方向D3に長い長方形状の板状部材である。シャッター部材71は、開口177を覆うことが可能なサイズに形成されている。シャッター部材71は、底板172Dの下面において、開口177を閉塞する閉塞位置(
図10において点線で示す位置)と、開口177を開放する開放位置(
図10において実線で示す位置)との間で移動可能に構成されている。なお、シャッター部材71は、本発明の開度調整部材の単なる一例であり、開口177の開度を調整可能な部材であれば、弁部材などの種々の部材を適用することが可能である。
【0067】
図11は、
図10における切断線XI-XIで吸気ノズル18を切断したときの底側から見た断面図である。
図11に示すように、ボックス収容部172には、底板172Dの下面において、シャッター部材71を前後方向D2へ往復移動可能に支持する一対のスライドガイド73が設けられている。スライドガイド73は、底板172Dにおいて、幅方向D3の両端に設けられている。スライドガイド73と底板172Dの下面との間には、シャッター部材71の幅方向D3の両側の側端部711が挿入可能な隙間が設けられており、この隙間に側端部711が挿入されることによって、シャッター部材71は、底板172Dの下面において前後方向D2へ往復移動可能に支持される。
【0068】
本実施形態では、ボックス収容部172の取付板172Aの下端部に、シャッター部材71の前端部713を取付板172Aよりも前方側へ露出させるための貫通開口77が形成されている。シャッター部材71が前記開放位置まで移動すると、前端部713が貫通開口77から外部に露出される。なお、貫通開口77の内部には、スポンジ部材などのシール部材が設けられており、吸気ファン151が作動しても、貫通開口77から吸気ノズル18の内部に空気が入り込まない。
【0069】
図11に示すように、ボックス収容部172には、シャッター部材71を前記閉塞位置側(後方)へ付勢する一対のコイルバネ75(弾性部材)が設けられている。コイルバネ75は、底板172Dの裏面において幅方向D3の両端部それぞれに設けられている。コイルバネ75の一端は、シャッター部材71の後端部712に取り付けられており、他端は底板172Dに設けられた固定片76に取り付けられている。なお、本実施形態では、弾性部材の一例としてコイルバネ75を例示するが、例えば、コイルバネ75に替えて、ゴムなどで構成された弾性を有するゴム紐を適用することも可能である。
【0070】
コイルバネ75は、所謂引っ張りバネであり、シャッター部材71が他の外力を受けていない場合は、その弾性力によってシャッター部材71を前記閉塞位置側へ引っ張り、前記閉塞位置を維持する。本実施形態では、拡張ノズル19が前記収容姿勢にあるときは、シャッター部材71に前記外力が常時加えられるため、前記シャッター部材は、開口177の開度が全開となる位置、つまり、前記開放位置を維持する。一方、後述するように、拡張ノズル19が前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に姿勢変化した場合、その姿勢変化に応じて前記外力が弱められる。これにより、コイルバネ75の付勢力によってシャッター部材71が開口177の開度を小さくする閉方向D11、つまり、前記閉塞位置側へ徐々に移動(変位)する。そして、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢に達すると、前記シャッター部材は、開口177の開度が全閉となる前記閉塞位置となり、開口177を塞ぐ。
【0071】
絞り機構70は、拡張ノズル19の前記側方清掃姿勢への姿勢変化に連動してシャッター部材71を閉方向D11へ変位させる連動機構80を有する。本実施形態では、連動機構80は、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢に姿勢変化したことに応じて開口177を閉塞する前記閉塞位置にシャッター部材71を移動させる。
【0072】
具体的には、連動機構80は、支持ホルダ17に設けられた第1プーリー81と、拡張ノズル19に設けられた第2プーリー82(
図14参照)と、これらの各プーリー81,82に巻回された線状部材であるワイヤー83とを有する。
【0073】
図10及び
図11に示すように、第1プーリー81は、ベース部171のベース板171Aに取り付けられている。ベース板171Aの後方側の面にブラケット811が固定されており、このブラケット811に第1プーリー81が回転自在に取り付けられている。第1プーリー81に巻回されたワイヤー83の一端は、シャッター部材71の前端部713の中央に固定されている。
【0074】
図14に示すように、第2プーリー82は、拡張ノズル19の拡張ノズルホルダー32に設けられている。具体的には、拡張ノズルホルダー32の前方端から前方へ突出する支軸821に第2プーリー82が固定されている。支軸821は、拡張ノズルホルダー31に形成された貫通孔822を通じて外部に露出されている。なお、貫通孔222には、スポンジ部材などのシール部材が設けられており、貫通孔822から空気が外部に漏れ出ることはない。拡張ノズルホルダー32は、拡張ノズル19が姿勢変化すると、その姿勢変化に連動して軸心C1を中心にして回転する。
【0075】
本実施形態では、拡張ノズル19が前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に姿勢変化すると、拡張ノズルホルダー32が回転方向D21へ回転し、第2プーリー82も同じ回転方向D21へ回転する。これにより、第2プーリー82に巻回されていたワイヤー83が第1プーリー81側の方向D211へ送り出される。ワイヤー83が送り出されると、コイルバネ75のバネ力によってシャッター部材71が閉方向D11へ移動される。その結果、シャッター部材71が前記閉塞位置まで移動して、開口177を閉塞する。
【0076】
また、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢から前記収容姿勢に姿勢変化すると、拡張ノズルホルダー32が回転方向D21とは反対の回転方向D22へ回転し、第2プーリー82も同じ回転方向D22へ回転する。これにより、第2プーリー82は、ワイヤー83を第2プーリー82側の方向D221へ引っ張って巻き取る。ワイヤー83が巻き取られると、コイルバネ75のバネ力に抗してシャッター部材71が開方向D12へ移動される。その結果、シャッター部材71が前記開放位置まで移動して、開口177を開放する。
【0077】
なお、他の実施形態として、連動機構80は、拡張ノズル19が前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に姿勢変化したことに応じて、シャッター部材71を前記開放位置から、後述の均等位置に移動させるものであってもよい。ここで、前記均等位置は、吸気ファン151が作動したときに、第1流路L1の流量と第2流路L2の流量とが均等となる位置である。前記均等位置は、シャッター部材71の位置を変化させつつ、流量計などによって各流路の流量を実測することによって決定することができる。この場合、拡張ノズル19が前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に変化したときにシャッター部材71が前記均等位置となるように、第1プーリー81や第2プーリー82のサイズが決定される。
【0078】
[収集ボックス16]
収集ボックス16は、後述の吸気ノズル18の吸入口181(
図8参照)から吸引された粉塵や塵埃などのゴミ類(吸引物)を収集するものであり、内部が空洞のボックス形状に形成されている。
図6及び
図12に示すように、収集ボックス16は、前後方向D2に薄い長方形状に形成されている。
図8に示すように、収集ボックス16の内部には、吸気口168を開閉するためのシート状のフラップ163が設けられている。フラップ163は、弾性を有するPET樹脂などの合成樹脂で構成されている。
【0079】
フラップ163の前方側の端部は収集ボックス16の底面16Aに固定されており、この固定端から後方斜め上方へ向けて延出している。フラップ163の延出端は、収集ボックス16の後方側の側面16Bに当接している。フラップ163の前記延出端は自由端であり、フラップ163の前記固定端を中心に揺動可能である。
【0080】
このようなフラップ163が設けられているため、吸気が行われていない場合は、フラップ163は、その弾性によって側面16B側へ付勢している。このため、
図10に示すように、フラップ163の前記延出端は側面16Bに当接した姿勢を保持しており、吸気口168はフラップ163によって覆われている。したがって、収集ボックス16に収集されたゴミ類は吸気口168から外部へ漏れ出ることはない。また、収集ボックス16がボックス収容部172から取り外された場合も、フラップ163によって吸気口168が覆われているため、ゴミ類は吸気口168から外部へ漏れ出ない。
【0081】
一方、吸気ファン151が駆動されて吸気が行われると、収集ボックス16の内部が負圧となり、フラップ163は側面16B側への付勢力に抗して、前方側へ撓まされて、吸気口168を開放する姿勢(
図10の破線で示す姿勢)となる。これにより、吸気口168から空気が内部に流入してくる。また、このときに流入された空気の気流が、吸気口168を開放する姿勢へ向けてフラップ163を押圧するため、吸気口168は、フラップ163によって覆われなくなり、吸気口168から内部に円滑に吸気が吸い込まれる。なお、吸気ファン151の駆動が停止すると、フラップ163は元の状態に戻されて、吸気口168を再び覆う。
【0082】
他の実施形態として、フラップ163は、制御ユニット40によって駆動制御されてもよい。例えば、フラップ163がソレノイド(不図示)のプランジャに連結されており、制御ユニット40は、吸気ファン151を駆動するととともに、前記ソレノイドに所定の駆動力(電流)を与える。これにより、前記ソレノイドが作動して、前記プランジャがフラップ163を上方に押し上げ、吸気口168を開放する。制御ユニット40が吸気ファン151及び前記ソレノイドの駆動を停止すると、前記ソレノイドの前記プランジャが元の位置に戻り、フラップ163が、吸気口168を再び覆う。
【0083】
[吸気ノズル18]
図8に示すように、吸気ノズル18は、吸気ファン151が作動した場合に、床面23から空気とともに粉塵や塵埃などのゴミ類を吸い上げる部分である。吸気ノズル18は、吸気ファン151の吸引力によって床面23から吸引したごみ類を第1流路L1(
図10参照)を通じて下流側の収集ボックス16へ送りこむ。吸気ノズル18は、床面23から上方へ所定の隙間ΔTを隔てた位置に吸入口181を有する。つまり、吸入口181は、床面23から上方へ隙間ΔTを隔てた位置に配置されている。吸気ノズル18は、支持ホルダ17の下端部に設けられている。本実施形態では、吸気ノズル18は、支持ホルダ17のボックス収容部172と一体に形成されている。
【0084】
吸気ノズル18は、幅方向D3に長い形状であり、ボックス収容部172の底板172Dの外周から下方へ突出する四角筒状の外周壁182によって構成されている。つまり、吸気ノズル18とボックス収容部172とは、底板172D(
図7参照)によって上下に隔てられている。言い換えると、吸気ノズル18の鉛直上方に、収集ボックス16と、収集ボックス16を支持するボックス収容部172とが設けられている。外周壁182の下方側は開放されており、上述の吸入口181を形成している。
【0085】
吸気ノズル18の吸入口181の後方側の縁部には、床面23へ延びる弾性を有するシート状のシール部材185が設けられている。シール部材185は、幅方向D3に長い長方形状であり、吸入口181の幅方向D3の全域に接合されている。シール部材185によって、吸入口181の後方側の縁部と床面23との隙間ΔTが塞がれている。
【0086】
吸気ノズル18には、一対の回転ブラシ26(26A,26B)(第1回転ブラシ)が回転可能に設けられている。回転ブラシ26は、前後方向D2に並んで配置されている。各回転ブラシ26の回転軸261(
図9参照)は、吸気ノズル18における幅方向D3の両端の側板184(
図9参照)に貫通して回転可能に支持されている。なお、本実施形態では、一対の回転ブラシ26が吸気ノズル18に設けられた例について説明するが、回転ブラシ26の数は一対(2本)に限定されず、1本でも、3本以上であってもよい。
【0087】
図9に示すように、支持ホルダ17には、回転ブラシ26に駆動力を供給するモータ62が設けられている。ここで、
図9は、
図2における切断線IX-IXの断面を示す模式図である。モータ62は、側板172Cと側板171Cとの間に設けられた収容部179に設けられている。モータ62の回転駆動力は、複数のギヤで構成された伝達機構64を経て、回転軸261に伝達される。床面清掃装置10の走行時にモータ62が制御ユニット40によって駆動されると、回転ブラシ26が回転されて、床面23のゴミ類の回収が良好に行われる。
【0088】
一対の回転ブラシ26のうち、前方側に位置する回転ブラシ26Aの回転軸261に回転コロ60が回転自在に支持されている。回転コロ60は、回転軸261の両端それぞれに取り付けられている。より詳細には、
図9に示すように、回転コロ60は、吸気ノズル18の側板184から幅方向D3の外側に突出した回転軸261の両端部それぞれに取り付けられている。
【0089】
回転コロ60は、その外周面が吸入口181の周縁部と床面23との間に位置するように、支持ホルダ17に設けられている。つまり、
図9に示すように、床面清掃装置10が
図1に示す走行姿勢にある場合に、回転コロ60は吸入口181の縁部から下方へ突出しているが、床面23には接触していない。
【0090】
ここで、収集ボックス16は、上述のように、支持ホルダ17に着脱可能に装着されている。具体的には、
図10に示すように、収集ボックス16は、ボックス収容部172の底板172D(
図7参照)に載置されて装着される。このため、収集ボックス16の底面16Aに設けられた吸気口168(
図12参照)が、ボックス収容部172の底板172Dに形成された開口177に直接に接続される。また吸気ノズル18は、開口177の鉛直下方に設けられており、吸気ノズル18には回転ブラシ26が設けられている。このため、回転ブラシ26の鉛直上方には、開口177を介して収集ボックス16が配置された構造となる。これにより、回転ブラシ26により掃き集められたゴミ類が吸気ノズル18から空気とともに鉛直上方に吸い上げられ、開口177及び吸気口168を通じて直接に収集ボックス16に収集される。このように、収集ボックス16の吸気口168は、回転ブラシ26に対向する位置に設けられている。
【0091】
このように、本実施形態では、収集ボックス16の吸気口168が回転ブラシ26の鉛直上方(直上)において回転ブラシ26に対向するように設けられている。この構成によれば、収集ボックス16をボックス収容部172から取り外した場合に、
図7に示すように、開口177を通じて回転ブラシ26が外部に露出された状態となる。このため、ユーザーは上方から回転ブラシ26を容易に目視することが可能となり、回転ブラシ26の現状を把握することができる。よって、例えば回転ブラシ26にゴミ類が付着したり不具合が生じたりした場合に、ユーザーは収集ボックス16をボックス収容部172から取り外して、回転ブラシ26を容易にメンテナンスすることができる。このように、ユーザーは回転ブラシ26に容易にアクセスすることができるため、回転ブラシ26のメンテナンス性を向上させることができる。
【0092】
また、本実施形態では、
図10に示すように、収集ボックス16の吸気口168が吸気ノズル18に直接に連通している。この構成によれば、吸気ノズル18から空気とともに吸い上げられたゴミ類が、配管などを介することなく、直接に収集ボックス16に収集される。このため、ゴミ類が吸気ノズル18から収集ボックス16に移動する経路で詰まることがない。またゴミ類の移動距離を短縮することができるため、吸引効率を向上させることができる。
【0093】
他の実施形態として、吸気口168は、収集ボックス16の前方側又は後方側の側面に設けられ、かつ、回転ブラシ26の側方(横)において回転ブラシ26に対向する位置に設けられてもよい。この構成によれば、収集ボックス16をボックス収容部172から取り外した場合に、ユーザーは側方から回転ブラシ26を目視することが可能となり、回転ブラシ26をメンテナンスすることができる。
【0094】
[拡張ノズル19]
拡張ノズル19は、床面清掃装置10の進行方向に対して側方へ突出可能に設けられている。拡張ノズル19は、前記側方へ突出した前記側方清掃姿勢において吸気ファン151の吸引力によって床面23から吸引した吸引物を第2流路L2(
図14参照)を通じて下流側へ送りこむ。
【0095】
拡張ノズル19は、床面清掃装置10が走行エリア上の予め設定された規定ルート(走行ルート)を走行する場合に前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に姿勢変化する。例えば、床面清掃装置10が、通路幅が広い通路において壁から所定距離を経てた第1ルート、或いは壁際の第2ルートを走行する場合に、拡張ノズル19は、前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に姿勢変化する。ここで、前記第1ルートは、拡張ノズル19が壁から所定距離を経てた位置を通る走行ルートである。また、前記第2ルートは、拡張ノズル19が前記走行エリアに設けられた壁付近を通る走行ルートである。なお、前記第2ルートは、床面清掃装置10が拡張ノズル19を前記側方清掃姿勢に姿勢変化させて、拡張ノズル19によって壁際を清掃するときに走行するルートである。
【0096】
制御ユニット40は、床面清掃装置10の現在位置をGPS受信機などによって取得し、現在位置が予め設定された前記規定ルート上の位置に一致した場合に、モータ30(
図7、
図14、
図15参照)に拡張ノズル19を前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に変化させる第1制御信号(駆動信号)を出力する。モータ30は、前記第1制御信号に応じた駆動力により拡張ノズル19を回転駆動させて前記側方清掃姿勢に変化させる。また、制御ユニット40は、床面清掃装置10の現在位置が予め設定された前記規定ルートから外れた場合に、モータ30に拡張ノズル19を前記側方清掃姿勢から前記収容姿勢に変化させる第2制御信号(駆動信号)を出力する。モータ30は、前記第2制御信号に応じた駆動力により拡張ノズル19を回転駆動させて前記収容姿勢に変化させる。
【0097】
なお、制御ユニット40は、床面清掃装置10に設けられたセンサ(不図示)の検出結果に基づいて、拡張ノズル19の姿勢を制御してもよい。例えば、前記センサが、所定の通路幅を超える広い通路幅を検知した場合、又は、壁を検知した場合に、制御ユニット40が、前記第1制御信号を出力する。また、前記センサが、所定の通路幅以下の狭い通路幅を検知した場合、又は、障害物を検知した場合に、制御ユニット40が、前記第2制御信号を出力する。
【0098】
図13(A)は、拡張ノズル19が前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に姿勢変化する様子を示す模式図である。拡張ノズル19は、前記第1制御信号に基づいて、軸心C1を中心にして床面23の方向に回転されることにより、前記側方清掃姿勢に変化する。このとき、前記側方清掃姿勢への姿勢変化に応じて、拡張ノズルホルダー32が回転方向D21へ回転し、第2プーリー82も同じ回転方向D21へ回転する。
【0099】
拡張ノズル19を備えた床面清掃装置10によれば、拡張ノズル19が前記収容姿勢である場合には、狭い通路を清掃することが可能となり、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢である場合には、回転ブラシ26(第1回転ブラシ)及び拡張ブラシ19A(第2回転ブラシ)により広範囲を清掃することが可能となる。
【0100】
また、拡張ノズル19は、さらに、前記側方清掃姿勢から進行方向に対して後方に回転可能に支持されている。例えば、
図13(B)に示すように、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢の状態で床面清掃装置10が走行中に、拡張ノズル19が障害物などに接触した場合、拡張ノズル19は軸心C2を中心にして後方に回転する。これにより、拡張ノズル19の破損を防止することができる。床面清掃装置10が障害物を通過した場合には、拡張ノズル19は軸心C2を中心にして前方に回転して元の位置に戻る。
【0101】
図14及び
図15は、拡張ノズル19の具体的な構成を示す模式図である。拡張ノズル19は、拡張ノズルホルダー31,32に回転可能に接続されている。
図14に示すように、拡張ノズルホルダー31は、一端部がボックス収容部172の開口178(
図7参照)に固定されており、他端部には拡張ノズルホルダー32の一端部が挿入されている。拡張ノズルホルダー32は、軸心C1(
図14、
図15参照)を中心にして回転可能に拡張ノズルホルダー31に接続されている。また、
図15に示すように、拡張ノズルホルダー32の他端部は、拡張ノズル19に挿入されている。拡張ノズル19は、軸心C2(
図14参照)を中心にして回転可能に拡張ノズルホルダー32に接続されている。拡張ノズルホルダー32には、モータ30の回転駆動力を伝達するベルト30Aが接続されている。
【0102】
また、上述したように、拡張ノズルホルダー32の前方端には、前方へ突出する支軸821が設けられている。支軸821は、拡張ノズルホルダー31に形成された貫通孔822を通じて外部へ露出されている。この支軸に第2プーリー82が取り付けられており、第2プーリー82にワイヤー83が巻回されている。
【0103】
制御ユニット40は、位置取得部411、走行制御部412、拡張ノズル制御部413などの各種の処理部を含む。制御ユニット40は、前記CPUで各種の制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、制御ユニット40に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。
【0104】
位置取得部411は、床面清掃装置10の現在位置をGPS受信機によって取得する。走行制御部412は、前述のように、床面清掃装置10の走行、吸気ファン151の駆動、支持ホルダ17の昇降などを制御する。例えば、走行制御部412は、位置取得部411により取得される現在位置に基づいて、予め設定された走行ルートに従って床面清掃装置10の走行を制御する。
【0105】
拡張ノズル制御部413は、位置取得部411により取得される現在位置に基づいて、前記第1制御信号及び前記第2制御信号を出力する。拡張ノズル制御部413からモータ30に前記第1制御信号又は前記第2制御信号が入力されると、モータ30が駆動し、ベルト30Aを介して拡張ノズルホルダー32を軸心C1を中心にして回転駆動させる。これにより、拡張ノズル19は、前記収容姿勢又は前記側方清掃姿勢に切り替えられる。
【0106】
拡張ノズルホルダー32には開口32A(
図14参照)が設けられており、拡張ノズル19が前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢の状態になると、開口32Aと拡張ノズルホルダー31の内部空間とが連通する。これにより、拡張ノズルホルダー31,32の内部空間が連通し、拡張ノズル19と収集ボックス16とが連通する。すなわち、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢の状態になると、拡張ノズル19から収集ボックス16までの空気の流路である第2流路L2が形成される。これにより、拡張ノズル19から空気とともに吸い上げられたごみ類が側面吸気口161(
図12参照)を通じて収集ボックス16に収集可能となる。
【0107】
本実施形態では、上述したように、拡張ノズル19が前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢の状態になると、絞り機構70によって、開口177が閉塞される。このため、吸気ノズル18から収集ボックス16までの空気の流路である第1流路L1が遮断される。
【0108】
なお、拡張ノズルホルダー32が回転して拡張ノズル19が前記収容姿勢の状態になると、開口32Aの位置が拡張ノズルホルダー31の内部空間の位置からずれることにより、拡張ノズル19から収集ボックス16までの第2流路L2(空気流路)が遮断される。これにより、収集ボックス16は、拡張ノズル19が前記収容姿勢の状態である場合には、吸気ノズル18により吸入されたゴミ類を吸気口168から収集する一方、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢の状態である場合には、吸気ノズル18により吸入されたゴミ類を吸気口168から収集するとともに、拡張ノズル19により吸入されたゴミ類を側面吸気口161から収集する。
【0109】
このように、床面清掃装置10は、吸気ノズル18により吸入されたゴミ類と、拡張ノズル19により吸入されたゴミ類とを、互いに異なる経路を通じて収集ボックス16に収集する。また、拡張ノズル19が前記収容姿勢にあるときは、吸気ノズル18のみによってゴミ類の吸引が行われ、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢にあるときは、拡張ノズル19のみによってゴミ類の吸引が行われる。つまり、床面清掃装置10は、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢の状態である場合に、吸気ノズル18の駆動を停止して、拡張ノズル19だけを駆動させて、拡張ノズル19により吸入されたゴミ類だけを収集する。これにより、拡張ノズル19は、吸い込み力がアップするため、粉塵や塵埃などのごみ類が溜まり易い壁際のゴミ類を十分に吸い込むことができ、拡張ノズル19による壁際における清掃能力を十分に発揮することができる。
【0110】
また、
図15に示すように、拡張ノズル19には、コイルバネ19B(本発明の保持部材の一例)が設けられている。コイルバネ19Bの一端は拡張ノズルホルダー32に固定されており、他端は拡張ノズル19の本体(外枠)に固定されている。コイルバネ19Bは、拡張ノズル19を、床面清掃装置10の進行方向に対して垂直方向、すなわち回転ブラシ26の延長線上に配置されるように保持する。例えば、コイルバネ19Bは、引張コイルバネで構成されており、拡張ノズル19が
図14に示す位置(保持位置)にある状態で引張力が働くように設けられている。この構成によれば、床面清掃装置10が走行中に障害物などにより拡張ノズル19に外力が加えられると、拡張ノズル19はコイルバネ19Bの引張力に抗して軸心C2を中心にして後方に回転する。拡張ノズル19が障害物から離れると、コイルバネ19Bの引張力により拡張ノズル19は軸心C2を中心にして回転し前記保持位置に戻る。なお、本実施形態では、弾性部材の一例としてコイルバネ19Bを例示したが、例えば、コイルバネ19Bに替えて、ゴムなどで構成された弾性を有するゴム紐を適用することも可能である。
【0111】
また、
図15に示すように、拡張ノズル19には、モータ19Cが設けられており、制御ユニット40の走行制御部412からモータ19Cに制御信号(駆動信号)が入力される。モータ19Cは前記制御信号に応じた駆動力により拡張ブラシ19Aを回転駆動させる。
【0112】
上述の構成によれば、拡張ノズル19が障害物に衝突した場合に衝突力を緩和する方向に回転することが可能であるため、拡張ノズル19及び障害物などの破損を防止することができる。なお、拡張ノズル19は、進行方向に回転することも可能であるため、拡張ノズル19の後方側に障害物が衝突した場合にも同様の回転動作を行うことにより破損を防止することができる。
【0113】
なお、拡張ノズル19は、支持ホルダ17の右側に設けられていてもよいし、支持ホルダ17の左右両方に設けられていてもよい。拡張ノズル19が左右に設けられる場合、制御ユニット40(拡張ノズル制御部413)は、2つの拡張ノズル19を個別に制御してもよい。また、拡張ノズル19は、手動により前記収容姿勢と前記側方清掃姿勢とを切り替えることが可能に設けられてもよい。
【0114】
〈第2実施形態〉
以下、本発明の第2実施形態について説明する。上述の第1実施形態では、2つのプーリー81,82にワイヤー83が券回された連動機構80を例示したが、本発明の連動機構として、
図16に示す連動機構90を適用することも可能である。つまり、絞り機構70は、連動機構80に替えて、連動機構90を有する。ここで、
図16は、拡張ノズル19の回転機構の周辺部分を上方から見た図であり、連動機構90の構成を示す模式図である。なお、本実施形態では、コイルバネ75は不要である。また、以下の説明では、上述した第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の各構成に用いた符号と同符号を付し示すことにより、その説明を省略する。
【0115】
具体的には、
図16に示すように、連動機構90は、支持ホルダ17に設けられた二段ピニオンギヤ93と、拡張ノズル19に設けられたピニオンギヤ95と、これらの各ピニオンギヤ93,95に接続された中間リンク部材94(中間伝達部材)と、二段ピニオンギヤ93に接続された入力リンク部材91(入力伝達部材)と、を有する。
【0116】
入力リンク部材91は、シャッター部材71の前端部713の中央に固定されており、前端部713から前方側へ突出する板状部材である。入力リンク部材91の側面にはラックギヤ911が形成されている。ラックギヤ911は、入力リンク部材91の左側面に形成されている。ラックギヤ911は、後述する二段ピニオンギヤ93の一方側の下段ギヤと噛合している。
【0117】
二段ピニオンギヤ93は、ベース部171のベース板171Aに回転自在に支持されている。ベース板171Aには、上方へ延びる回転軸(不図示)が形成されており、この回転軸に二段ピニオンギヤ93が支持されている。二段ピニオンギヤ93の側面には、上側に形成された上段ギヤと、下側に形成された下段ギヤとが設けられている。前記下段ギヤに入力リンク部材91のラックギヤ911が噛合している。なお、二段ピニオンギヤ93に替えて、前記上段ギヤ及び前記下段ギヤが個別に設けられた二つのピニオンギヤが適用されてもよい。
【0118】
中間リンク部材94は、ベース部171のベース板171Aに左右方向D3へ往復移動可能に支持されている。中間リンク部材94の一方側(右側)の端部の側面(後方側の側面)には、前記上段ギヤと噛合されるラックギヤ941が形成されている。また、中間リンク部材94の他方側(左側)の端部の上面には、ピニオンギヤ95と噛合されるラックギヤ942が形成されている。
【0119】
ピニオンギヤ95は、拡張ノズル19の拡張ノズルホルダー32に設けられている。具体的には、拡張ノズルホルダー32の前方端から前方へ突出する支軸821にピニオンギヤ95が固定されている。ピニオンギヤ95の下側の部分とラックギヤ942とが噛合している。
【0120】
このように構成された連動機構90であっても、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢に姿勢変化したことに応じて開口177を前記閉方向へシャッター部材71を移動させることが可能である。
【0121】
すなわち、拡張ノズル19が前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に姿勢変化すると、ピニオンギヤ95が回転方向D21へ回転する。これにより、ピニオンギヤ95に接続された中間リンク部材94が方向D211へ移動し、この移動に連動して、入力リンク部材91とともにシャッター部材71が閉方向D11へ移動する。その結果、シャッター部材71が前記閉塞位置まで移動して、開口177を閉塞する。
【0122】
また、拡張ノズル19が前記側方清掃姿勢から前記収容姿勢に姿勢変化すると、ピニオンギヤ95が回転方向D21とは反対の回転方向D22へ回転する。これにより、中間リンク部材94が方向D221へ移動し、この移動に連動して、入力リンク部材91とともにシャッター部材71が開方向D12へ移動する。その結果、シャッター部材71が前記開放位置まで移動して、開口177を開放する。
【0123】
〈第3実施形態〉
以下、本発明の第3実施形態について説明する。上述の各実施形態では、床面清掃装置10が絞り機構70を備える構成について例示したが、本発明は、この構成に限られない。例えば、床面清掃装置10は、絞り機構70に替えて、
図17に示す絞り機構100を備えていてもよい。ここで、
図17は、拡張ノズル19の回転機構の周辺部分を上方から見た図であり、絞り機構100の構成を示す模式図である。なお、本実施形態では、コイルバネ75は不要である。また、以下の説明では、上述した各実施形態と共通する構成については、各実施形態の各構成に用いた符号と同符号を付し示すことにより、その説明を省略する。
【0124】
図17に示すように、絞り機構100は、モータ105(本発明の電動機の一例)を有する。モータ105は、制御ユニット40によって駆動制御される。モータ105は、支持ホルダ17に設けられている。モータ105は、シャッター部材71に前記閉方向の駆動力を付与するものである。モータ105の出力軸106には、ピニオンギヤ104が固定されている。また、シャッター部材71の前端部713の中央には、モータ105の駆動力をシャッター部材71に伝達するための入力部材101(入力伝達部材)が固定されている。入力部材101は、前端部713から前方側へ突出する板状部材である。入力部材101の上面にはラックギヤ102が形成されている。ラックギヤ102は、ピニオンギヤ104の下側の部分と噛合している。
【0125】
また、本実施形態では、制御ユニット40は、位置取得部411、走行制御部412、拡張ノズル制御部413に加えて、更に、シャッター制御部414を含んでいる。
【0126】
シャッター制御部414は、拡張ノズル19が前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に姿勢変化された場合にモータ105を駆動制御してシャッター部材71を前記閉方向へ移動させる。上述したように、拡張ノズル制御部413は、拡張ノズル19を前記側方清掃姿勢に変化させる場合に、前記第1制御信号をモータ30に出力し、拡張ノズル19を前記収容姿勢に変化させる場合に、前記第2制御信号をモータ30に出力して、モータ30の駆動を制御する。
【0127】
本実施形態では、シャッター制御部414は、前記第1制御信号が出力されることを検知すると、モータ105を回転方向D21へ回転するように駆動制御する。これにより、入力部材101とともにシャッター部材71が閉方向D11へ移動する。その結果、シャッター部材71が前記閉塞位置まで移動して、開口177を閉塞する。
【0128】
また、シャッター制御部414は、前記第2制御信号が出力されることを検知すると、モータ105を回転方向D22へ回転するように駆動制御する。これにより、入力部材101とともにシャッター部材71が開方向D12へ移動する。その結果、シャッター部材71が前記開放位置まで移動して、開口177を開放する。
【0129】
なお、拡張ノズル19が前記収容姿勢又は前記側方清掃姿勢に姿勢変化したことを検知するセンサが床面清掃装置10に設けられている場合は、シャッター制御部414は、前記センサの検知結果に基づいて、モータ105を回転方向D21又は回転方向D22へ回転するように駆動制御してもよい。
【0130】
〈第4実施形態〉
以下、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、上述の第3実施形態とは異なり、シャッター制御部414は、床面清掃装置10が拡張ノズル19を前記側方清掃姿勢にしたまま上述した規定ルート(前記第1ルート又は前記第2ルート)を走行する場合に、前記規定ルートに応じた開度となるようにシャッター部材71を前記開放位置から閉方向D11へ移動させる処理(シャッター移動制御処理)を行う。ここで、
図18は、制御ユニット40によって実行されるシャッター移動制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、
図18のフローチャートに従って前記シャッター移動制御処理が制御ユニット40によって実行される。なお、以下の説明では、上述した第3実施形態と異なる部分について説明し、その他の説明を省略する。
【0131】
以下、
図18を参照して、制御ユニット40によって実行される前記シャッター移動制御処理について説明する。なお、以下では、前記シャッター移動制御処理の実行前に、拡張ノズル19が前記収容姿勢に配置されており、シャッター部材71が前記開放位置に配置された状態で床面清掃装置10が清掃しつつ走行しているものとする。
【0132】
ステップS11において、制御ユニット40は、床面清掃装置10の走行ルートが前記第2ルートであるか否かを判定する。ここで、前記第2ルートは、上述したように、拡張ノズル19が前記走行エリアに設けられた壁付近を通る走行ルートである。例えば、制御ユニット40は、床面清掃装置10の現在位置を取得し、現在位置が前記第2ルート上の位置に一致している場合に、現在の走行ルートが前記第2ルートと判定する。ステップS11において、前記第2ルートと判定されると、制御ユニット40は、処理をステップS12に移行させる。
【0133】
ステップS12では、制御ユニット40は、過去の清掃時に床面清掃装置10が走行した走行履歴に基づいて、現時点からさかのぼって所定期間以内に前記第2ルートを清掃したことがあるか否かを判定する。前記走行履歴は、床面清掃装置10が過去の清掃時に走行した走行ルート(前記第2ルートを含む)、清掃日時、前記第2ルートの走行回数(清掃回数)などを含む。前記走行履歴は、例えば、制御ユニット40に設けられたHDD又はメモリなどの記憶部(不図示)に記憶されている。ステップS12において、前記所定期間以内の前記第2ルートの走行履歴(清掃履歴)が無いと判定された場合、制御ユニット40は処理をステップS13に移行させ、前記所定期間以内の前記第2ルートの走行履歴(清掃履歴)があると判定された場合、制御ユニット40は処理をステップS15に移行させる。なお、前記所定期間は、例えば、第2ルートの壁際部分に清掃しなければならないほどにゴミが溜まるまでの所要期間に設定される。
【0134】
なお、ステップS12は、例えば、前記走行履歴に基づいて、前記所定期間における前記第2ルートの走行回数(走行頻度)が所定の基準回数以上であるか否かを判定するものであってもよい。この場合、前記走行回数が前記基準回数以上である場合にステップS15の処理が行われ、基準回数未満である場合にステップS13の処理が行われる。
【0135】
ステップS13では、制御ユニット40は、開口177の開度を決定する開度設定値を前記閉塞位置に設定し、その後、ステップS16以降の処理を行う。
【0136】
一方、ステップS11において、現在の走行ルートが前記第2ルートではないと判定されると、次のステップS14では、制御ユニット40は、床面清掃装置10の走行ルートが前記第1ルートであるか否かを判定する。ここで、前記第1ルートは、上述したように、拡張ノズル19が壁から所定距離を経てた位置を通る走行ルートであり、例えば、施設の通路の中央の走行ルートである。例えば、制御ユニット40は、床面清掃装置10の現在位置を取得し、現在位置が前記第1ルート上の位置に一致している場合に、現在の走行ルートが前記第1ルートと判定する。ステップS14において、前記第1ルートと判定されると、制御ユニット40は、処理をステップS15に移行させる。
【0137】
ステップS13では、制御ユニット40は、開口177の開度を決定する開度設定値を前記均等位置に設定し、その後、ステップS16以降の処理を行う。
【0138】
ステップS16では、制御ユニット40は、モータ30を駆動させて、拡張ノズル19を前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に変化させる。
【0139】
続いて、制御ユニット40は、ステップS16において、ステップS13又はステップS15で設定された前記開度設定値に基づいてモータ105を駆動させて、シャッター部材71を前記開放位置から閉方向D11へ移動させる。
【0140】
本実施形態では、ステップS13において前記開度設定値が前記閉塞位置に設定されている場合に、制御ユニット40は、シャッター部材71を前記閉塞位置まで移動させる。これにより、開口177が閉塞される。その結果、床面清掃装置10が前記第2ルートを走行する場合、拡張ノズル19のみによってゴミ類の吸引が行われるため、壁際における粉塵や塵埃などのごみ類を十分に吸い込むことができ、拡張ノズル19による清掃能力を十分に発揮することができる。
【0141】
また、前記ステップS15において前記開度設定値が前記均等位置に設定されている場合に、制御ユニット40は、シャッター部材71を前記閉塞位置まで移動させる。これにより、開口177が完全には閉塞されず、吸気ノズル18及び拡張ノズル19ぞれぞれから均等な吸引力によって床面のゴミ類の吸引が行われる。
【0142】
また、前記所定期間以内に第2ルートを清掃した実績がある場合は、壁際を重点的に清掃する必要性が低い。そのため、この場合、本実施形態では、吸気ノズル18及び拡張ノズル19ぞれぞれから均等な吸引力で清掃される。これにより、前記第2ルートの全域を清掃することができる。
【0143】
〈第5実施形態〉
以下、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、上述の第3実施形態及び第4実施形態とは異なり、シャッター制御部414は、吸気ノズル18から吸引される粉塵や塵埃などのごみ類の吸引量(第1吸引量)と拡張ノズル19から吸引されるごみ類の吸引量(第2吸引量)とを比較して、前記第1吸引量の方が多い場合に開口177の前記開度を大きくする開方向D12へシャッター部材71を移動させ、前記第2吸引量の方が多い場合に閉方向D11へシャッター部材71を移動させる処理(シャッター移動制御処理)を行う。ここで、
図19は、床面清掃装置10の構成を示す図であり、
図20は、制御ユニット40によって実行されるシャッター移動制御処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【0144】
図19に示すように、床面清掃装置10は、第1ダストセンサ186及び第2ダストセンサ196を備えている。第1ダストセンサ186は、吸気ノズル18から収集ボックス16までの第1流路L1(
図10参照)における粉塵の濃度(単位体積当たりの粉塵量)を検知可能である。また、第2ダストセンサ196は、拡張ノズル19から収集ボックス16までの第2流路L2(
図14参照)における粉塵の濃度を検知可能である。第1ダストセンサ186及び第2ダストセンサ196は、例えば、発光素子及び受光素子を有し、光散乱方式によって空気中の粉塵の量を測定する。各ダストセンサ186,196によって検知された粉塵量(検知結果)は、各流路L1,L2を通るごみ類の量に比例する。なお、各ダストセンサ186,196によって検知された粉塵量は、制御ユニット40に転送されて、後述のシャッター移動制御処理(
図20参照)に用いられる。
【0145】
本実施形態では、
図20のフローチャートに従って前記シャッター移動制御処理が制御ユニット40によって実行される。なお、以下の説明では、上述した第3及び第4実施形態と異なる部分について説明し、その他の説明を省略する。
【0146】
以下、
図20を参照して、制御ユニット40によって実行される前記シャッター移動制御処理について説明する。なお、以下では、前記シャッター移動制御処理の実行前に、拡張ノズル19が前記収容姿勢に配置されており、シャッター部材71が前記開放位置に配置された状態で床面清掃装置10が清掃しつつ走行しているものとする。
【0147】
ステップS21において、制御ユニット40は、床面清掃装置10の走行ルートが前記第1ルート又は前記第2ルートであるか否かを判定する。つまり、制御ユニット40は、床面清掃装置10の現在位置を取得し、現在位置が前記規定ルート(前記第1ルート又は前記第2ルート)上の位置に一致しているか否かを判定する。
【0148】
ステップS21において、現在の走行ルートが前記規定ルートと判定されると、制御ユニット40は、モータ30を駆動させて、拡張ノズル19を前記収容姿勢から前記側方清掃姿勢に変化させる(S22)。
【0149】
その後、ステップS23において、制御ユニット40は、シャッター部材71を予め定められた初期位置に移動させる。ここで、前記初期位置は、吸引による前記第1流路L1の流量と前記第2流路L2の流量とが均等となる前記均等位置である。これにより、前記第1流路L1及び前記第2流路L2それぞれにおいて、同じ条件で、各ダストセンサ186,196によって粉塵量を検知することができる。
【0150】
次のステップS24では、制御ユニット40は、各ダストセンサ186,196から検知結果として粉塵量を取得する。
【0151】
ステップS25では、制御ユニット40は、ステップS24で取得された粉塵量の差分を算出し、前記差分が所定の閾値以上か否かを判定する。ステップS25の判定処理は、第1ダストセンサ186の検知結果と第2ダストセンサ196の検知結果とが同等か否かを判定するために行われる。そのため、前記閾値は、検知誤差を考慮して、各検知結果が同等と判定されうる範囲内に設定されている。
【0152】
ステップS25において前記差分が前記閾値未満と判定されると、制御ユニット40は、シャッター部材71を前記均等位置に移動させる(S29)。
【0153】
一方、ステップS25において前記差分が前記閾値以上と判定されると、続いて、制御ユニット40は、ステップS26において、第1流路L1の粉塵量が第2流路L2の粉塵量よりも多いか否かを判定する。
【0154】
ステップS26において第1流路L1の粉塵量が多いと判定されると、制御ユニット40は、シャッター部材71を前記差分に応じた移動量だけ開方向D12へ向けて移動させる(S27)。また、ステップS26において第1流路L1の粉塵量が少ないと判定されると、制御ユニット40は、シャッター部材71を前記差分に応じた移動量だけ閉方向D11へ向けて移動させる(S28)。
【0155】
続いて、床面清掃装置10の走行ルートが変更されて前記規定ルートから外れた場合(S30:Yes)、制御ユニット40は、拡張ノズル19の姿勢を前記収容姿勢に戻し(S31)、シャッター部材71を前記閉塞位置に移動させる(S32)。一方、床面清掃装置10の走行ルートが前記規定ルートに維持されている場合(S30:No)、制御ユニット40は、ステップS24に戻り、前記ステップS24以降の処理を実行する。
【0156】
このようなシャッター移動制御処理が実行されるため、本実施形態では、第1流路L1の粉塵量と第2流路L2の粉塵量とが同等である場合に、シャッター部材71が前記均等位置に配置される。これにより、前記均等ルートの全域を清掃することができる。また、第1流路L1の粉塵量のほうが多い場合、シャッター部材71が前記差分に応じて開方向D12へ移動される。これにより、第1流路L1の流量を第2流路L2の流量よりも多くすることができ、吸気ノズル18によるごみ類の吸い込み効率を高めることができる。その結果、吸気ノズル18による清掃能力を十分に発揮することができる。また、第2流路L2の粉塵量のほうが多い場合、シャッター部材71が前記差分に応じて閉方向D11へ移動される。これにより、第2流路L2の流量を第1流路L1の流量よりも多くすることができ、拡張ノズル19によるごみ類の吸い込み効率を高めることができる。その結果、拡張ノズル19による清掃能力を十分に発揮することができる。
【0157】
なお、ステップS21において、現在の走行ルートが前記第1ルート又は前記第2ルートか否かを判定することとしたが、例えば、現在の走行ルートが前記第2ルートである場合に前記シャッター移動制御処理が行われても良い。
【符号の説明】
【0158】
10 :床面清掃装置
15 :吸気ユニット
16 :収集ボックス
17 :支持ホルダ
18 :吸気ノズル
19 :拡張ノズル
23 :床面
30 :モータ
31 :拡張ノズルホルダー
32 :拡張ノズルホルダー
40 :制御ユニット
50 :ホルダ移動機構
70 :絞り機構
71 :シャッター部材
73 :スライドガイド
75 :コイルバネ
76 :固定片
77 :貫通開口
80 :連動機構
81 :第1プーリー
82 :第2プーリー
83 :ワイヤー
90 :連動機構
91 :入力リンク部材
93 :二段ピニオンギヤ
94 :中間リンク部材
95 :ピニオンギヤ
100 :絞り機構
101 :入力部材
102 :ラックギヤ
104 :ピニオンギヤ
105 :モータ
106 :出力軸
151 :吸気ファン
161 :側面吸気口
168 :吸気口
177 :開口
186 :第1ダストセンサ
196 :第2ダストセンサ
222 :貫通孔
411 :位置取得部
412 :走行制御部
413 :拡張ノズル制御部
414 :シャッター制御部
711 :側端部
712 :後端部
713 :前端部
811 :ブラケット
821 :支軸
822 :貫通孔
911 :ラックギヤ
941 :ラックギヤ
942 :ラックギヤ