IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-戸閉装置 図1
  • 特許-戸閉装置 図2
  • 特許-戸閉装置 図3
  • 特許-戸閉装置 図4
  • 特許-戸閉装置 図5
  • 特許-戸閉装置 図6
  • 特許-戸閉装置 図7
  • 特許-戸閉装置 図8
  • 特許-戸閉装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】戸閉装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/00 20060101AFI20231219BHJP
   B61D 19/02 20060101ALI20231219BHJP
   E05B 77/38 20140101ALI20231219BHJP
   E05F 15/635 20150101ALI20231219BHJP
   E05B 83/36 20140101ALN20231219BHJP
【FI】
B61D19/00 C
B61D19/00 A
B61D19/02 D
E05B77/38
E05F15/635
E05B83/36 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020042890
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021142880
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】城間 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 富雄
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-237569(JP,A)
【文献】特開2011-001749(JP,A)
【文献】特開2010-174435(JP,A)
【文献】特開2011-162974(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0028123(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 19/00 ー19/02
E05B 77/38
E05F 15/635
E05B 83/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸体を開閉させるための駆動源と、
前記駆動源が駆動されることによる前記戸体の開方向への移動を規制する規制部と、を備え、
前記規制部は、
前記戸体に固定されている戸体固定部と係合することにより前記戸体の開方向への移動を規制するとともに、前記戸体固定部との係合位置に向かって付勢されているピン部材と、
前記ピン部材を保持するとともに前記ピン部材と一体的に移動するピン保持部材と、
シャフトを有し、前記シャフトを直線移動させて前記ピン保持部材を押圧することにより、前記ピン保持部材を前記係合位置から離間する方向に移動させるとともに前記ピン保持部材に保持される前記ピン部材を前記係合位置から離間する方向に移動させるシャフト駆動部と、
前記ピン部材が前記係合位置から離間する方向に移動されることに伴って前記ピン部材と前記戸体固定部との係合状態が解除されることにより前記戸体の移動が規制されている施錠状態が解除される際に、前記規制部に含まれる部品同士が衝突することによる衝撃を緩和するための緩衝部と、を含み、
前記緩衝部は、
前記ピン部材と前記ピン保持部材との間と、
前記ピン保持部材と前記シャフト駆動部との間と、
前記シャフト駆動部の部品同士の間と、のうちの少なくとも1つに設けられている、戸閉装置。
【請求項2】
前記緩衝部は、弾性部材を含む、請求項1に記載の戸閉装置。
【請求項3】
前記緩衝部は、前記シャフトの前記ピン保持部材側の先端部に設けられる第1緩衝部材を含む、請求項1または2に記載の戸閉装置。
【請求項4】
前記第1緩衝部材は、前記シャフトの前記先端部に固定される第1部分と、前記第1部分により保持され、前記ピン保持部材と前記第1部分との間に設けられる第2部分と、を含む、請求項3に記載の戸閉装置。
【請求項5】
前記第1部分は、前記第2部分を保持する保持面と、前記保持面を取り囲むように配置され、前記保持面側から前記ピン保持部材側に延びるように設けられる円環状の側面部と、を有する、請求項4に記載の戸閉装置。
【請求項6】
前記ピン保持部材の前記第1緩衝部材側の面に第1凹部が設けられており、
前記緩衝部は、前記ピン保持部材の前記第1凹部に配置され、前記第1緩衝部材の前記第2部分と当接する第2緩衝部材を含む、請求項4または5に記載の戸閉装置。
【請求項7】
前記第2部分の前記第2緩衝部材と当接する部分は、略平坦面状に形成されている、請求項6に記載の戸閉装置。
【請求項8】
前記シャフト駆動部は、
前記シャフトと、前記シャフトが挿入されているソレノイド本体部とを有し、前記シャフトの軸方向において、前記シャフトを磁界の力によって移動させるソレノイドと、
前記ソレノイド本体部に対して前記シャフトの前記ピン保持部材側の先端部とは反対側において前記シャフトに設けられ、前記ソレノイド本体部により前記ピン保持部材側への移動が規制されることによって前記シャフトが前記ピン保持部材側に移動するのを所定の位置で停止させるストッパ部と、を含み、
前記緩衝部は、前記ストッパ部と前記ソレノイド本体部との間に設けられる第3緩衝部材を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の戸閉装置。
【請求項9】
前記ピン部材の前記戸体固定部とは反対側の端部には、前記ピン保持部材と係合する係合部材が設けられており、
前記ピン保持部材は、前記係合部材を前記戸体側から支持する支持面を含み、
前記緩衝部は、前記支持面と前記係合部材との間に挟まれるように設けられるシート状の第4緩衝部材を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の戸閉装置。
【請求項10】
前記ピン保持部材は、前記ピン部材の前記端部が挿入されるとともに前記ピン部材の前記端部に設けられる前記係合部材が収容される貫通孔を含み、
前記貫通孔には、前記係合部材と前記貫通孔の内壁面との間に隙間部が設けられており、
前記緩衝部は、前記貫通孔の前記隙間部に充填され、前記第4緩衝部材とにより前記係合部材を挟むように設けられるゲル状の第5緩衝部材を含む、請求項9に記載の戸閉装置。
【請求項11】
前記緩衝部は、鉄道車両に設けられる前記戸体の前記施錠状態が解除される際に前記規制部に含まれる部品同士が衝突することによる衝撃を緩和する、請求項1~10のいずれか1項に記載の戸閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、戸閉装置に関し、特に、戸体の開方向への移動を規制する規制部を備える戸閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸体の開方向への移動を規制する規制部を備える戸閉装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の引戸装置(戸閉装置)には、電車の乗降口に設けられた戸体を吊り下げ、左右方向に移動する移動体が設けられている。また、上記引戸装置は、戸体(移動体)を閉状態を維持し施錠する施錠機構を備える。施錠機構は、上下方向にスライド移動可能に構成されたラッチ棒を含む。ラッチ棒は、移動体に設けられたラッチ穴に出入りするように構成され、ラッチ穴に篏合されることにより移動体と係合する。これにより、戸体は施錠される。また、ラッチ棒の頭部にはラッチ板が固着されている。
【0004】
また、上記引戸装置には、電磁ソレノイドが設けられている。電磁ソレノイドは、オンされることにより電磁ソレノイドに設けられたプランジャが上方に突出するように構成されている。そして、上方に突出したプランジャは、ラッチ板に接触するとともにラッチ板を押圧することにより、ラッチ板を介してラッチ棒を持ち上げる動作を行う。これにより、ラッチ棒がラッチ穴から離脱されることによりラッチ棒とラッチ穴との係合が解除され、戸体は開状態に解錠される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-237569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1においては、解錠動作時に、上記のようにプランジャとラッチ板とが接触(衝突)すること等の部品同士の接触(衝突)に起因して騒音が発生するという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に発生する騒音を低減することが可能な戸閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による戸閉装置は、戸体を開閉させるための駆動源と、駆動源が駆動されることによる戸体の開方向への移動を規制する規制部と、を備え、規制部は、戸体に固定されている戸体固定部と係合することにより戸体の開方向への移動を規制するとともに、戸体固定部との係合位置に向かって付勢されているピン部材と、ピン部材を保持するとともにピン部材と一体的に移動するピン保持部材と、シャフトを有し、シャフトを直線移動させてピン保持部材を押圧することにより、ピン保持部材を係合位置から離間する方向に移動させるとともにピン保持部材に保持されるピン部材を係合位置から離間する方向に移動させるシャフト駆動部と、ピン部材が係合位置から離間する方向に移動されることに伴ってピン部材と戸体固定部との係合状態が解除されることにより戸体の移動が規制されている施錠状態が解除される際に、規制部に含まれる部品同士が衝突することによる衝撃を緩和するための緩衝部と、を含み、緩衝部は、ピン部材とピン保持部材との間と、ピン保持部材とシャフト駆動部との間と、シャフト駆動部の部品同士の間と、のうちの少なくとも1つに設けられている
【0009】
この発明の一の局面による戸閉装置では、上記のように、上記施錠状態が解除される際に、規制部に含まれる部品同士が衝突することによる衝撃を緩和するための緩衝部が設けられている。これにより、規制部に含まれる部品同士が衝突することにより発生する騒音を低減することができる。その結果、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に発生する騒音を低減することができる。
【0010】
また、上記一の局面による戸閉装置では、好ましくは、緩衝部は、弾性部材を含む。このように構成すれば、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、規制部に含まれる部品同士が衝突することによる衝撃を弾性部材の弾性変形により、容易に緩和することができる。その結果、規制部に含まれる部品同士が衝突することにより発生する騒音をより低減することができる。
【0011】
また、上記一の局面による戸閉装置では、好ましくは、緩衝部は、シャフトのピン保持部材側の先端部に設けられる第1緩衝部材を含む。このように構成すれば、シャフトの先端部とピン保持部材とが衝突する際に発生する騒音を、第1緩衝部材により低減することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、第1緩衝部材は、シャフトの先端部に固定される第1部分と、第1部分により保持され、ピン保持部材と第1部分との間に設けられる第2部分と、を含む。このように構成すれば、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、シャフトの先端部とピン保持部材とが衝突する時に発生する騒音を、第2部分により低減することができる。
【0013】
また、上記第1緩衝部材が第1部分と第2部分とを含む戸閉装置では、好ましくは、第1部分は、第2部分を保持する保持面と、保持面を取り囲むように配置され、保持面側からピン保持部材側に延びるように設けられる円環状の側面部と、を有する。このように構成すれば、側面部が保持面側からピン保持部材側に延びるように設けられることによって、第2部分が破損した場合や第1部分から脱落した場合でも、側面部によりピン保持部材を容易に押圧することができる。また、側面部が円環状に設けられていることによって、側面部のうちピン保持部材と衝突する面の面積を比較的大きくすることができるので、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、側面部がピン保持部材と衝突する時に発生する騒音を小さくすることができる。また、第2部分が保持面により保持されていることにより、第2部分を安定的に保持することができる。
【0014】
また、上記第1緩衝部材が第1部分と第2部分とを含む戸閉装置では、好ましくは、ピン保持部材の第1緩衝部材側の面に第1凹部が設けられており、緩衝部は、ピン保持部材の第1凹部に配置され、第1緩衝部材の第2部分と当接する第2緩衝部材を含む。このように構成すれば、第2緩衝部材により、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、シャフトの先端部とピン保持部材とが衝突する時に発生する騒音をより一層低減することができる。また、第2部分が脱落した場合でも、第2緩衝部材により、シャフトの先端部とピン保持部材とが衝突する際に発生する騒音を低減することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、第2部分の第2緩衝部材と当接する部分は、略平坦面状に形成されている。このように構成すれば、第2部分と第2緩衝部材とを面接触させることができるので、第2部分と第2緩衝部材とが点接触する場合に比べて、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に発生する騒音を低減することができる。
【0016】
また、上記一の局面による戸閉装置では、好ましくは、シャフト駆動部は、シャフトと、シャフトが挿入されているソレノイド本体部とを有し、シャフトの軸方向において、シャフトを磁界の力によって移動させるソレノイドと、ソレノイド本体部に対してシャフトのピン保持部材側の先端部とは反対側においてシャフトに設けられ、ソレノイド本体部によりピン保持部材側への移動が規制されることによってシャフトがピン保持部材側に移動するのを所定の位置で停止させるストッパ部と、を含み、緩衝部は、ストッパ部とソレノイド本体部との間に設けられる第3緩衝部材を含む。このように構成すれば、ストッパ部とソレノイド本体部とが衝突することによる衝撃を第3緩衝部材により緩和することができるので、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、ストッパ部とソレノイド本体部との衝突により発生する騒音を低減することができる。
【0017】
また、上記一の局面による戸閉装置では、好ましくは、ピン部材の戸体固定部とは反対側の端部には、ピン保持部材と係合する係合部材が設けられており、ピン保持部材は、係合部材を戸体側から支持する支持面を含み、緩衝部は、支持面と係合部材との間に挟まれるように設けられるシート状の第4緩衝部材を含む。このように構成すれば、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、支持面と係合部材とが衝突することによる衝撃を第4緩衝部材により緩和することができるので、支持面と係合部材との衝突により発生する騒音を低減することができる。
【0018】
この場合、ピン保持部材は、ピン部材の端部が挿入されるとともにピン部材の端部に設けられる係合部材が収容される貫通孔を含み、貫通孔には、係合部材と貫通孔の内壁面との間に隙間部が設けられており、緩衝部は、貫通孔の隙間部に充填され、第4緩衝部材とにより係合部材を挟むように設けられるゲル状の第5緩衝部材を含む。このように構成すれば、係合部材が第4緩衝部材と第5緩衝部材とにより挟まれることにより、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、貫通孔の内部において係合部材と貫通孔の内壁面とが衝突することによる衝撃を緩和することができる。その結果、係合部材と貫通孔の内壁面との衝突により発生する騒音を低減することができる。
【0019】
また、上記一の局面による戸閉装置では、好ましくは、緩衝部は、鉄道車両に設けられる戸体の施錠状態が解除される際に規制部に含まれる部品同士が衝突することによる衝撃を緩和する。このように構成すれば、鉄道車両において戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に発生する騒音を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、戸体の移動が規制されている施錠状態を解除する際に発生する騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態による戸閉装置の構成を示す斜視図である。
図2】一実施形態による戸閉装置の動作を説明するための図である。(図2(A)は、戸閉状態の図である。図2(B)は、戸開状態の図である。)
図3】一実施形態によるロック装置の施錠状態における正面図である。
図4】一実施形態によるロック装置の施錠状態の解除時における正面図である。
図5図3の200-200線に沿った断面図である。
図6】一実施形態によるソレノイドの近傍の部分拡大断面図である。
図7】一実施形態によるソレノイドの構成を示す斜視図である。
図8】一実施形態によるZ1方向から見た固定部および当接部を示す平面図である。
図9図5のキャップ部の近傍の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[本実施形態]
図1図9を参照して、本実施形態による戸閉装置100の構成について説明する。
【0024】
(戸閉装置の構成)
図1に示すように、戸閉装置100は、戸体AおよびBを開閉させる電動の装置である。戸閉装置100は、鉄道車両に搭載されている。戸閉装置100は、駆動源10と、方向変換装置20と、ロック装置30とを備えている。なお、ロック装置30は、駆動源10が駆動されることによる戸体AおよびBの開方向への移動を規制するために設けられている。また、ロック装置30は、特許請求の範囲の「規制部」の一例である。
【0025】
以下の説明において、戸体(A、B)の開閉方向をX方向とし、X方向のうちの一方をX1方向とし、X方向のうち他方をX2方向とする。また、上下方向をZ方向とし、Z方向のうち一方をZ1方向(上方向)とし、Z方向のうち他方をZ2方向(下方向)とする。X方向およびZ方向に直交する方向をY方向とし、Y方向のうちの一方をY1方向(車内側方向)とし、Y方向のうちの他方をY2方向(車外側方向)とする。また、戸体(A、B)を閉方向に移動させて閉めた状態を戸閉状態(図2(A)参照)とし、戸体(A、B)を開方向に移動させて開いた状態を戸開状態(図2(B)参照)とする。
【0026】
駆動源10は、戸体(A、B)を開閉させるための駆動力を発生するように構成されている。具体的には、駆動源10は、Y方向に沿った方向に延びる回転中心軸線回りに回転する出力軸を有する電動モータにより構成されている。
【0027】
図2に示すように、方向変換装置20は、筐体21(図1参照)と、ピニオンギヤ22と、第1ラック23と、第1連結アーム24と、第2ラック25と、第2連結アーム26と、係合体27とを含んでいる。筐体21は、X方向に沿って延びた細長い箱形状を有している。筐体21には、ピニオンギヤ22、第1ラック23、第1連結アーム24、第2ラック25および第2連結アーム26が内部に収納されている。ピニオンギヤ22は、駆動源10の出力軸に取り付けられている。ピニオンギヤ22は、出力軸の回転に伴って回転する。なお、係合体27は、特許請求の範囲の「戸体固定部」の一例である。
【0028】
第1ラック23は、戸閉状態において、X1方向側に配置されている。第1ラック23は、X方向に延びている。第1ラック23は、ピニオンギヤ22の回転により、ガイドレール23aに沿ってX方向に移動する。第1連結アーム24は、戸体Aと第1ラック23とを連結している。これにより、第1連結アーム24は、第1ラック23と一体的にX方向に移動する。
【0029】
詳細には、第1ラック23は、ピニオンギヤ22のR1方向(時計回り方向)への回転により、ガイドレール23aに沿ってX2方向に移動する。この際に、戸体A(図1参照)は、第1連結アーム24が第1ラック23とともにX2方向に移動することにより、X2方向に移動する。これにより、戸体Aが開く。第1ラック23は、ピニオンギヤ22のR2方向(反時計回り方向)への回転により、ガイドレール23aに沿ってX1向に移動する。この際に、戸体Aは、第1連結アーム24が第1ラック23とともにX1方向に移動することにより、X1方向に移動する。これにより、戸体Aが閉まる。
【0030】
第2ラック25は、戸閉状態において、X2方向側に配置されている。第2ラック25は、X方向に延びている。第2ラック25は、ピニオンギヤ22の回転により、ガイドレール25aに沿ってX方向に移動する。第2連結アーム26は、戸体B(図1参照)と第2ラック25とを連結している。これにより、第2連結アーム26は、第2ラック25と一体的にX方向に移動する。
【0031】
詳細には、第2ラック25は、ピニオンギヤ22のR1方向(時計回り方向)への回転により、ガイドレール25aに沿ってX1方向に移動する。この際に、戸体Bは、第2連結アーム26が第2ラック25とともにX1方向に移動することにより、X1方向に移動する。これにより、戸体Bが開く。第2ラック25は、ピニオンギヤ22のR2方向(反時計回り方向)への回転により、ガイドレール25aに沿ってX2方向に移動する。この際に、戸体Bは、第2連結アーム26が第2ラック25とともにX2方向に移動することにより、X2方向に移動する。これにより、戸体Bが閉まる。
【0032】
係合体27は、ロック装置30の後述するロックピン31(図3参照)に係合する部分を有している。係合体27は、X方向に延びる部材である。係合体27のX2方向側の端部は、第2連結アーム26に固定されている。これにより、係合体27は、第2連結アーム26と一体的にX方向に移動する。なお、ロックピン31は、特許請求の範囲の「ピン部材」の一例である。
【0033】
図3および図4に示すように、ロック装置30は、鉄道車両などが走行中に戸開状態になることを防止するために、戸体Aおよび戸体BのX方向の移動を規制(施錠)するように構成されている。具体的には、ロック装置30は、ロックピン31と、ピン保持部材32と、ソレノイド33と、ベース34(図5参照)と、スライド部35(図5参照)とを含んでいる。なお、ソレノイド33は、特許請求の範囲の「シャフト駆動部」の一例である。
【0034】
ベース34は、ソレノイド33およびスライド部35を保持する板状の部材である。ソレノイド33およびスライド部35は、ベース34に締結部材(図示せず)により固定されている。
【0035】
図5に示すように、ロックピン31は、戸体Bに固定されている係合体27と係合する(図3参照)ことにより戸体Bの開方向への移動を規制するように構成されている。ロックピン31は、ピンガイド部材31aにより、上下方向(Z方向)への移動のみに移動が規制されている。ピンガイド部材31aは、ロックピン31が貫通する貫通孔31bが設けられるガイド部材である。すなわち、ロックピン31は、ピンガイド部材31aの貫通孔31bにおいてZ方向の移動がガイドされている。具体的には、ロックピン31は、Z1方向側の一部およびZ2方向側の一部を突出させた状態で、Z方向に移動可能にピンガイド部材31a内に配置されている。
【0036】
ロックピン31のZ1方向側に突出している端部31d(図9参照)には、おねじ部31f(図9参照)が形成されている。ロックピン31のZ2方向側の突出部分は、係合体27に当接することにより、ロックピン31と係合体27とが係合するので、戸体B(図1参照)のX1方向への移動を規制した規制状態にすることが可能である。なお、戸体BのX1方向への移動は、特許請求の範囲の「戸体の開方向への移動」の一例である。
【0037】
また、ピンガイド部材31aの貫通孔31bには、ロックピン31を、ロックピン31と係合体27との係合位置に向かって(Z2方向側に向かって)付勢するばね部材31cが設けられている。
【0038】
ロックピン31は、後述するシャフト33aがZ1方向に移動することにより、ばね部材31cの付勢力に抗してZ1方向に移動するように構成されている。ロックピン31は、ばね部材31cの付勢力にしたがって、シャフト33aをZ2方向に移動させるように構成されている。すなわち、後述するようにシャフト33aがZ1方向に移動することにより、施錠状態が解除される。また、ばね部材31cの付勢力によりシャフト33aがZ2方向に移動することによって、施錠状態に戻る。
【0039】
図3および図4に示すように、ピン保持部材32は、ロックピン31を保持するとともにロックピン31と一体的に移動するように構成されている。ピン保持部材32は、金属製(鉄鋼材)の板状部材により形成されている。ピン保持部材32は、後述するようにロックピン31に係合するナット31eを支持面32gによりZ2方向側から支持することにより、ロックピン31を保持している。
【0040】
また、ピン保持部材32は、ソレノイド33の後述するシャフト33aにより押圧される平板状の平板部32aと、ロックピン31の端部31dが挿入されているキャップ部32bとを含む。平板部32aと、キャップ部32bとは、図示しない締結部材により締結されている。キャップ部32bは、平板部32aのZ1方向側の面に配置されている。なお、平板部32aとキャップ部32bとは、一体的に形成されていてもよい。
【0041】
また、ピン保持部材32には、後述するスライダ35bに取り付けられているスライダ取付部36(図5参照)が、図示しない締結部材により締結されている。すなわち、ピン保持部材32(平板部32aおよびキャップ部32b)は、スライダ取付部36と一体的に移動するように構成されている。なお、図3および図4では、スライダ取付部36の図示は、簡略化のため省略している。また、スライダ取付部36は、ピン保持部材32と同じ材質により形成されている。
【0042】
ソレノイド33は、Z方向に進退するシャフト33aを有している。また、ソレノイド33は、シャフト33aが挿入されているソレノイド本体部33bを有している。ソレノイド33は、ソレノイド本体部33bの内部において発生した磁界の力によって、シャフト33aをZ方向(シャフトの軸方向)において直線移動させるように構成されている。なお、シャフト33aは、金属製(たとえばステンレス製)である。
【0043】
ソレノイド33は、シャフト33aをZ1側(ピン保持部材32側)に直線移動させることにより、ピン保持部材32(平板部32a)をシャフト33aにより押圧するように構成されている。これにより、ソレノイド33は、ピン保持部材32を、ロックピン31と係合体27との係合位置から離間する方向(Z1方向側)に移動させるとともに、ピン保持部材32に保持されるロックピン31を上記係合位置から離間する方向(Z1方向側)に移動させる(図4参照)ように構成されている。ロックピン31が上記係合位置から離間する方向に移動されることに伴ってロックピン31と係合体27との係合状態が解除されることにより、戸体AおよびBの移動が規制されている施錠状態が解除される。
【0044】
ここで、本実施形態では、ロック装置30は、上記施錠状態が解除される際に、ロック装置30に含まれる部品同士が衝突することによる衝撃を緩和するための緩衝部40を含む。具体的には、緩衝部40により、少なくとも金属部品同士が衝突することが防止されている。緩衝部40の詳細については後述する。
【0045】
図5に示すように、スライド部35は、スライドレール35aと、スライダ35bとを有している。スライドレール35aは、Z方向に延びている。スライドレール35aは、ベース34に固定されている。スライダ35bは、スライドレール35aに沿ってZ方向に移動可能に取り付けられている。スライダ35bには、スライダ取付部36が取り付けられている。
【0046】
(緩衝部の構成)
本実施形態では、図3および図4に示すように、緩衝部40は、シャフト33aのピン保持部材32側の先端部33cに設けられる緩衝部材41を含む。具体的には、緩衝部材41は、シャフト33aの先端部33cとピン保持部材32(平板部32a)との間に設けられている。なお、緩衝部材41は、特許請求の範囲の「第1緩衝部材」の一例である。
【0047】
具体的には、図6に示すように、緩衝部材41は、シャフト33aの先端部33cに固定される固定部41aを含む。また、緩衝部材41は、固定部41aにより保持され、ピン保持部材32(平板部32a)と固定部41aとの間に設けられる当接部41bを含む。固定部41aと当接部41bとは別個に形成されている。これにより、固定部41aおよび当接部41bのいずれか一方が破損した場合に、破損した一方だけの交換をすればよい。なお、当接部41bは、固定部41aの後述する保持面41cに接着されることにより固定されている。また、固定部41aおよび当接部41bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1部分」および「第2部分」の一例である。
【0048】
また、固定部41aは、シャフト33a側(Z2方向側)の端部に設けられた凹部41dにシャフト33aの先端部33cが挿入されることにより、シャフト33aの先端部33cに固定されている。シャフト33aの先端部33cと凹部41dの内壁面とは、接着剤により接着されている。
【0049】
また、本実施形態では、固定部41aは、当接部41bを保持する保持面41cを有する。保持面41cは、Z方向に直交するように延びる平坦面形状を有している。また、固定部41aは、保持面41cを取り囲むように配置され、保持面41c側からピン保持部材32(平板部32a)側に延びるように設けられる円環状(図7参照)の側面部41eを有する。言い換えると、固定部41aには、保持面41cおよび側面部41eが設けられることにより、当接部41bが配置される凹部が形成されている。
【0050】
また、当接部41bは、側面部41eのピン保持部材32側の端部よりもピン保持部材32側に突出するように設けられている。具体的には、固定部41aの下端(Z2側の端部)から当接部41bの上端(Z1側の端部)までの長さL1は、固定部41aのZ方向における長さL2よりも大きい。固定部41aの長さL2は、仮に当接部41bが固定部41aから脱落した場合でも、側面部41eの上端(Z1側の端部)によりピン保持部材32(平板部32a)を押圧することによって、施錠状態が解除可能な程度の長さである。具体的には、長さL1と長さL2との差分(L1-L2)は、たとえば2mm程度である。なお、長さL1と長さL2との差分は、長さL2よりも小さい。また、長さL1と長さL2との差分は、シャフト33aのストローク(Z方向に移動可能な距離)よりも小さい。
【0051】
また、本実施形態では、緩衝部材41は、弾性部材を含む。具体的には、当接部41bは、たとえばウレタンなどの樹脂製である。なお、固定部41aは金属製である。なお、固定部41aは、当接部41bと同様に弾性部材としての樹脂により形成されていてもよい。この場合、当接部41bと固定部41aとが一体的に形成されていてもよい。
【0052】
また、ピン保持部材32(平板部32a)の緩衝部材41側の面32dに凹部32eが設けられている。なお、凹部32eは、特許請求の範囲の「第1凹部」の一例である。
【0053】
ここで、本実施形態では、緩衝部40は、ピン保持部材32(平板部32a)の凹部32eに配置され、緩衝部材41の当接部41bと当接する緩衝部材42を含む。緩衝部材42は、凹部32eの底面(Z1側の面)32fに接着されている。なお、緩衝部材42は、特許請求の範囲の「第2緩衝部材」の一例である。
【0054】
図8に示すように、緩衝部材42は、Z2方向側から見て、円形形状を有している。緩衝部材42は、Z方向において、固定部41aの全体とオーバラップするように設けられている。
【0055】
また、緩衝部材42は、弾性部材を含む。具体的には、緩衝部材42は、たとえばクロロプレンゴム等の樹脂により形成されている。
【0056】
また、本実施形態では、図6に示すように、当接部41bの緩衝部材42と当接する部分は、略平坦面状に形成されている。具体的には、当接部41bは、緩衝部材42と当接する円形形状の端面41fを含む。すなわち、当接部41bは、緩衝部材42と面接触する。また、端面41fの直径rは、たとえば10mm程度である。なお、当接部41bは、Z1方向側に先細る円柱形状を有している。すなわち、当接部41bは、円錐台形状を有している。
【0057】
また、当接部41bの端面41fと緩衝部材42とは、ロックピン31と係合体27とが係合する施錠状態において当接している。すなわち、当接部41bと緩衝部材42との当接状態は、施錠状態の解除動作において維持されている。
【0058】
また、ソレノイド本体部33bのZ2方向側の下面33dには、緩衝部材50が取り付けられている。緩衝部材50は、シャフト33aが貫通するように設けられる円環状の部材である。また、緩衝部材50は、PET樹脂により形成されている。なお、緩衝部材50は、その他の材質(たとえばウレタン樹脂およびクロロプレンゴム等)により形成されていてもよい。
【0059】
また、ソレノイド33は、ソレノイド本体部33bに対してシャフト33aのピン保持部材32側(Z1方向側)の先端部33cとは反対側においてシャフト33aに設けられるストッパ部33eを含む。ストッパ部33eは、緩衝部材50よりもZ2方向側に設けられている。ストッパ部33eは、シャフト33aに固定されているので、シャフト33aのZ方向における移動に伴ってZ方向に移動する。また、ストッパ部33eは、ソレノイド本体部33bによりピン保持部材32側(Z1方向側)への移動が規制されることによってシャフト33aがピン保持部材32側に移動するのを所定の位置で停止させるように構成されている。
【0060】
また、ストッパ部33eは、シャフト33aが貫通するように設けられる円環状の部材である。なお、ストッパ部33eは、金属製の部材である。
【0061】
ここで、本実施形態では、緩衝部40は、ストッパ部33eとソレノイド本体部33b(緩衝部材50)との間に設けられる緩衝部材43を含む。具体的には、緩衝部材43は、ストッパ部33eの上面33f(Z1方向側の面)に重ねて設けられている。これにより、施錠状態の解除時においてシャフト33aとともにストッパ部33eがZ1方向側に移動することによって緩衝部材43がZ1方向側に移動する。そして、緩衝部材43が緩衝部材50と当接する(図4参照)ことにより、シャフト33aの移動が停止される。なお、緩衝部材43も、ストッパ部33eと同様、シャフト33aが貫通するように設けられる円環状の部材である。なお、緩衝部材43は、特許請求の範囲の「第3緩衝部材」の一例である。
【0062】
また、緩衝部材43は、弾性部材を含む。具体的には、緩衝部材42は、たとえばクロロプレンゴム等の樹脂により形成されている。
【0063】
図9に示すように、ロックピン31の係合体27とは反対側の端部31dには、ピン保持部材32(平板部32a)と係合するナット31eが設けられている。また、ピン保持部材32(平板部32a)は、ナット31eを戸体AおよびB側(Z2方向側)から支持する支持面32gを含む。支持面32gは、ナット31eと係合する面である。また、ナット31eは、ロックピン31のおねじ部31fと係合(螺合)されている。なお、ナット31eは、特許請求の範囲の「係合部材」の一例である。
【0064】
また、ロックピン31の端部31dには、ナット31eのZ1方向側においてナット31eと重なるように設けられるナット31hが設けられている。ナット31hは、ナット31eが緩むのを防止するために設けられている。
【0065】
このように構成されていることによって、シャフト33a(図3等参照)がピン保持部材32(平板部32a)をZ1方向側に押圧することにより、ピン保持部材32(平板部32a)と係合するナット31eがZ1方向側に移動され、ナット31eと係合(螺合)しているロックピン31がZ1方向側に移動される。この結果、ロックピン31と係合体27との係合が解除され、ロック装置30の施錠状態が解除される。
【0066】
また、ピン保持部材32は、ロックピン31の端部31d(おねじ部31f)が挿入されるとともにロックピン31の端部31dに設けられるナット31eが収容される貫通孔32hを含む。具体的には、貫通孔32hは、キャップ部32bに設けられている。キャップ部32bの貫通孔32hには、ナット31hも収容されている。
【0067】
キャップ部32bの貫通孔32hには、ナット31eの外周縁31gが入り込むように設けられる凹部32iが設けられている。凹部32iは、円環状のナット31eの形状に合わせて、ロックピン31を中心に周状に設けられている。
【0068】
ここで、上記のように、ピン保持部材32(平板部32a)とロックピン31とが一体的にZ1方向側に移動した後に、シャフト33a(図3等参照)の移動が停止されるとともにピン保持部材32の移動が停止された瞬間に、ロックピン31に慣性力が働くため、ロックピン31だけがZ1方向側にさらに移動しようとする。この場合、ナット31eの外周縁31gが凹部32iに引っ掛かることによって、ロックピン31のZ1方向側への移動が妨げられる。一方で、ナット31eの外周縁31gが、凹部32iにおいてキャップ部32bと衝突する。
【0069】
また、この直後に、ナット31eがZ2方向側(支持面32g)側に戻る際に、ナット31eとピン保持部材32(平板部32a)の支持面32gとが衝突する。
【0070】
ここで、本実施形態では、緩衝部40は、支持面32gとナット31eとの間に挟まれるように設けられるシート状の緩衝部材44を含む。具体的には、緩衝部材44は、ロックピン31が貫通するように設けられる円環状の部材である。なお、緩衝部材44は、特許請求の範囲の「第4緩衝部材」の一例である。
【0071】
緩衝部材44は、Z方向において、厚みtを有している。この緩衝部材44を設けることにより、凹部32iとナット31eの外周縁31gとの間のZ方向における隙間C1を小さくすることが可能である。その結果、ナット31eが凹部32iにおいてキャップ部32bと衝突する際に発生する騒音を低減することが可能である。なお、凹部32iとナット31eの外周縁31gとの間のZ方向における隙間C1を0にしてもよい。
【0072】
また、緩衝部材44は、弾性部材を含む。具体的には、緩衝部材44は、テフロン(登録商標)などの樹脂により形成されている。これにより、ナット31eが滑りやすくなるので、ナット31eにおいて摩擦によって生じる騒音を低減することが可能である。なお、緩衝部材44がウレタン樹脂やクロロプレンゴム等により形成されていてもよい。
【0073】
また、貫通孔32hには、ナット31eおよびナット31hと貫通孔32hの内壁面32jとの間に隙間部C2が設けられている。これにより、Z方向に直交する平面において、ロックピン31が微小に移動することが可能である。すなわち、ロックピン31は、貫通孔32h内において、Z方向に直交する平面における移動が完全には拘束されていない。その結果、ロックピン31に対して上記平面内に力が加わった場合に、ロックピン31が破損するのを抑制することが可能である。なお、隙間部C2は、上記の隙間C1を含む。
【0074】
ここで、本実施形態では、緩衝部40は、貫通孔32hの隙間部C2に充填され、緩衝部材44とによりナット31eを挟むように設けられるゲル状の緩衝部材45を含む。すなわち、上記のように、ナット31eの外周縁31gが凹部32iにおいてキャップ部32bと衝突する際に、ナット31eの外周縁31gは、緩衝部材45を介してキャップ部32bと衝突する。また、緩衝部材45は、凹部32iにも入り込んでいる。なお、緩衝部材45は、特許請求の範囲の「第5緩衝部材」の一例である。
【0075】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
本実施形態では、上記のように、ロック装置30(規制部)は、戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態が解除される際に、ロック装置30に含まれる部品同士が衝突することによる衝撃を緩和するための緩衝部40を含む。これにより、ロック装置30に含まれる部品同士が衝突することにより発生する騒音を低減することができる。その結果、戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態を解除する際に発生する騒音を低減することができる。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部40が、弾性部材を含むように、戸閉装置100を構成する。これにより、戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、ロック装置30(規制部)に含まれる部品同士が衝突することによる衝撃を弾性部材の弾性変形により、容易に緩和することができる。その結果、ロック装置30に含まれる部品同士が衝突することにより発生する騒音をより低減することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部40が、シャフト33aのピン保持部材32側の先端部33cに設けられる緩衝部材41(第1緩衝部材)を含むように、戸閉装置100を構成する。これにより、シャフト33aの先端部33cとピン保持部材32とが衝突する際に発生する騒音を、緩衝部材41により低減することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部材41(第1緩衝部材)が、シャフト33aの先端部33cに固定される固定部41a(第1部分)と、固定部41aにより保持され、ピン保持部材32と固定部41aとの間に設けられる当接部41b(第2部分)と、を含むように、戸閉装置100を構成する。これにより、戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、シャフト33aの先端部33cとピン保持部材32とが衝突する時に発生する騒音を、当接部41bにより低減することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、固定部41a(第1部分)が、当接部41b(第2部分)を保持する保持面41cと、保持面41cを取り囲むように配置され、保持面41c側からピン保持部材32側に延びるように設けられる円環状の側面部41eと、を有するように、戸閉装置100を構成する。これにより、側面部41eが保持面41c側からピン保持部材32側に延びるように設けられることによって、当接部41bが破損した場合や固定部41aから脱落した場合でも、側面部41eによりピン保持部材32を容易に押圧することができる。また、側面部41eが円環状に設けられていることによって、側面部41eのうちピン保持部材32と衝突する面の面積を比較的大きくすることができるので、戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、側面部41eがピン保持部材32と衝突する時に発生する騒音を小さくすることができる。また、当接部41bが保持面41cにより保持されていることにより、当接部41bを安定的に保持することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部40が、ピン保持部材32の凹部32e(第1凹部)に配置され、緩衝部材41(第1緩衝部材)の当接部41b(第2部分)と当接する緩衝部材42(第2緩衝部材)を含むように、戸閉装置100を構成する。これにより、緩衝部材42により、戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、シャフト33aの先端部33cとピン保持部材32とが衝突する時に発生する騒音をより一層低減することができる。また、当接部41bが脱落した場合でも、緩衝部材42により、シャフト33aの先端部33cとピン保持部材32とが衝突する際に発生する騒音を低減することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、当接部41b(第2部分)の緩衝部材42(第2緩衝部材)と当接する部分が、略平坦面状に形成されているように、戸閉装置100を構成する。これにより、当接部41bと緩衝部材42とを面接触させることができるので、当接部41bと緩衝部材42とが点接触する場合に比べて、戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態を解除する際に発生する騒音を低減することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部40が、ストッパ部33eとソレノイド本体部33bとの間に設けられる緩衝部材43(第3緩衝部材)を含むように、戸閉装置100を構成する。これにより、ストッパ部33eとソレノイド本体部33bとが衝突することによる衝撃を緩衝部材43により緩和することができるので、戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、ストッパ部33eとソレノイド本体部33bとの衝突により発生する騒音を低減することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部40が、支持面32gとナット31e(係合部材)との間に挟まれるように設けられるシート状の緩衝部材44(第4緩衝部材)を含むように、戸閉装置100を構成する。これにより、戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、支持面32gとナット31eとが衝突することによる衝撃を緩衝部材44により緩和することができるので、支持面32gとナット31eとの衝突により発生する騒音を低減することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部40が、貫通孔32hの隙間部C2に充填され、緩衝部材44(第4緩衝部材)とによりナット31e(係合部材)を挟むように設けられるゲル状の緩衝部材45(第5緩衝部材)を含むように、戸閉装置100を構成する。これにより、ナット31eが緩衝部材44と緩衝部材45とにより挟まれることにより、戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態を解除する際に、貫通孔32hの内部においてナット31eと貫通孔32hの内壁面32jとが衝突することによる衝撃を緩和することができる。その結果、ナット31eと貫通孔32hの内壁面32jとの衝突により発生する騒音を低減することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、緩衝部40が、鉄道車両に設けられる戸体(A、B)の施錠状態が解除される際にロック装置30(規制部)に含まれる部品同士が衝突することによる衝撃を緩和するように、戸閉装置100を構成する。これにより、鉄道車両において戸体(A、B)の移動が規制されている施錠状態を解除する際に発生する騒音を小さくすることができる。
【0087】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0088】
たとえば、上記実施形態では、緩衝部40は、弾性部材を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。緩衝部が、金属よりも硬度が低ければ、弾性部材を含んでいなくてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、ソレノイド33によりシャフト33aを直線移動させる例を示したが、本発明はこれに限られない。シャフト33aを直線移動させる機構であればソレノイド以外(たとえば油圧シリンダ)であってもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、緩衝部40が、緩衝部材41(第1緩衝部材)と、緩衝部材42(第2緩衝部材)と、緩衝部材43(第3緩衝部材)と、緩衝部材44(第4緩衝部材)と、緩衝部材45(第5緩衝部材)とを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。緩衝部40が、緩衝部材41(第1緩衝部材)と、緩衝部材42(第2緩衝部材)と、緩衝部材43(第3緩衝部材)と、緩衝部材44(第4緩衝部材)と、緩衝部材45(第5緩衝部材)とのうちの少なくとも1つを含んでいればよい。
【0091】
また、上記実施形態では、当接部41b(第2部分)が、固定部41a(第1部分)により保持されている例を示したが、本発明はこれに限られない。当接部41bが、シャフト33aに直接固定されていてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、固定部41a(第1部分)の側面部41eが円環状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。側面部41eが円環状以外の形状を有していてもよい。たとえば、側面部41eが、複数の直線状に形成された部分により構成されていてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、緩衝部材42(第2緩衝部材)が、ピン保持部材32の凹部32eに設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。緩衝部材42(第2緩衝部材)が、ピン保持部材32のZ2方向側の面32d(図6参照)に取り付けられていてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、当接部41b(第2部分)の緩衝部材42(第2緩衝部材)に当接する部分(端面41f)が、平坦面状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。当接部41b(第2部分)の端面41fが、平坦面以外の形状(たとえば球面形状)を有していてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、ロック装置30(規制部)が、鉄道車両に設けられる戸体(A、B)の移動を規制する例を示したが、本発明はこれに限られない。ロック装置30(規制部)が、鉄道車両以外(たとえば、エレベータおよびバス)に設けられる戸体の移動を規制するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 駆動源
27 係合体(戸体固定部)
30 ロック装置(規制部)
31 ロックピン(ピン部材)
31d 端部
31e ナット(係合部材)
32 ピン保持部材
32d 面
32e 凹部(第1凹部)
32g 支持面
32h 貫通孔
32j 内壁面
33 ソレノイド(シャフト駆動部)
33a シャフト
33b ソレノイド本体部
33c 先端部
33e ストッパ部
40 緩衝部
41 緩衝部材(第1緩衝部材)
41a 固定部(第1部分)
41b 当接部(第2部分)
41c 保持面
41e 側面部
42 緩衝部材(第2緩衝部材)
43 緩衝部材(第3緩衝部材)
44 緩衝部材(第4緩衝部材)
45 緩衝部材(第5緩衝部材)
100 戸閉装置
A、B 戸体
C2 隙間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9