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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】コネクタ、及びコネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20231219BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20231219BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20231219BHJP
   H01R 13/516 20060101ALI20231219BHJP
   H01R 4/50 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01R13/46 B
H01R43/00 B
H01R13/42 H
H01R13/516
H01R4/50 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020043009
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021144871
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 竣哉
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145208(JP,A)
【文献】特開2004-152583(JP,A)
【文献】特開2012-209223(JP,A)
【文献】特開2014-32861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/46
H01R 43/00
H01R 13/42
H01R 13/516
H01R 4/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線を有する電線の端部に位置する前記芯線に接続される端子と、
前記端子が収容される収容部を有するハウジングと、を備え、
前記端子は、挟持部を有する端子本体と、前記端子本体に対して後方から押圧してスライドさせることで前記挟持部によって前記芯線が挟まれた状態にするスライド部と、を備え、
前記ハウジングは、開口部を備え、
前記開口部は、前記端子本体の前端部の一部を前方に露出させており、
前記端子本体は、接続筒部を有し、
前記接続筒部は、前記接続筒部に挿入される相手方端子に接触する接触片が設けられた第1壁部を備え、
前記ハウジングは、少なくとも前記第1壁部の前端部の一部を覆っている前止め部を有する、コネクタ。
【請求項2】
前記接続筒部は、前記第1壁部に対向する第2壁部と、前記第1壁部の両側縁部と前記第2壁部の両側縁部を接続する第3壁部及び第4壁部と、を備え、
前記開口部は、前記第3壁部の前端部の一部と、前記第4壁部の前端部の一部と、前記第2壁部の前端部と、を露出させている、請求項に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記収容部を構成する内面のうち前記第2壁部と対面する内面は第2面部とされ、
前記第2面部には、前記第2壁部に当接する凸部が設けられている、請求項に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記収容部を構成する内面のうち前記第2壁部と対面する内面は第2面部とされ、
前記第2面部は、前記開口部に対して段差面を介してつながっている、請求項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記接続筒部は、前記第1壁部に対向する第2壁部と、前記第1壁部の両側縁部と前記第2壁部の両側縁部を接続する第3壁部及び第4壁部と、を備え、
前記前止め部は、前記第4壁部の前端部を覆っており、
前記開口部は、前記第3壁部の前端部の一部と、前記第2壁部の前端部の一部と、を露出させている、請求項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第3壁部には、ランスが設けられており、
前記ハウジングには、前記ランスと係止する係止壁が前記開口部を介して前方に臨むように設けられている、請求項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングは、カバーによって覆われ、
前記カバーは、前記開口部を前方から覆っており、相手方端子の前記端子本体への挿入を案内する誘い込み部を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記スライド部は、前記挟持部が設けられた領域に外嵌された状態で、第1位置と、前記第1位置よりも前方の第2位置と、の間を前後方向に移動可能とされ、
前記スライド部は、前記第2位置で前記挟持部を前記芯線に向けて押圧する加圧部を有し、
前記スライド部には、後方から押圧されることにより前記スライド部を前記第1位置から前記第2位置へと移動させる押圧受け部が設けられている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
芯線を有する電線の端部に位置する前記芯線に接続される端子と、
前記端子を収容する収容部を有するハウジングと、を備え、
前記端子は、挟持部を有する端子本体と、前記端子本体に対して後方から押圧してスライドさせることで前記挟持部によって前記芯線が挟まれた状態にするスライド部と、を備え、
前記ハウジングは、開口部を備え、
前記開口部は、前記端子本体の前端部の一部を前方に露出させている、コネクタの製造方法であって、
前記端子を前記ハウジングの前記収容部に収容する工程と、
前記芯線を露出させた前記電線を前記端子本体の内部に挿通させる工程と、
前記開口部において前方に露出した前記端子本体の前端部の一部に前押さえ治具を前方から当接させる工程と、
前記スライド部を後方から押圧することによって、前記電線の前記芯線を前記端子本体の前記挟持部で挟み付ける工程と、を含む、コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ、及びコネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線の端末から露出する芯線に端子が接続された端子付き電線が知られている。このような端子として、例えば、特開2005-50736号公報(特許文献1)に開示されるように、電線の端末の芯線に外側から圧着する圧着部を備えるものがある。
【0003】
上記の端子を電線に圧着するには、例えば、以下のようにする。まず、金属板材をプレス加工することにより所定の形状の端子を成形する。続いて、上下方向に相対移動可能な一対の金型のうち下側に位置する下型の載置部に、端子を載置する。次に、電線端末の芯線を、端子の圧着部に重ねて載置する。その後、一対の金型の一方又は双方を互いに接近する方向に移動させ、上型の圧着部と、下型の載置部との間で圧着部を挟み付けることにより、圧着部を電線の芯線に圧着する。以上により、電線の端末に端子が圧着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-50736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の圧着部に代えて、スライド構造によって芯線を挟んで接続するとした場合、端子本体と、端子本体に対して相対的にスライドさせながら装着されるスライド部との2部品で端子を構成することがあり得る。このような端子をハウジングの内部に収容して端子本体がスライド方向に動かないように保持した状態で、スライド部を押圧してスライドさせると、スライド部に加えられた力によって、ハウジングや端子本体が変形するおそれがある。
【0006】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ハウジングや端子本体の変形を抑制し、スライド構造によって芯線を挟んで接続する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、芯線を有する電線の端部に位置する前記芯線に接続される端子と、前記端子が収容される収容部を有するハウジングと、を備え、前記端子は、挟持部を有する端子本体と、前記端子本体に対して後方から押圧してスライドさせることで前記挟持部によって前記芯線が挟まれた状態にするスライド部と、を備え、前記ハウジングは、開口部を備え、前記開口部は、前記端子本体の前端部の一部を前方に露出させている、コネクタである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ハウジングや端子本体の変形を抑制し、スライド構造によって芯線を挟んで接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1にかかるコネクタの断面図である。
図2図2は、実施形態1にかかるコネクタの前方斜視図である。
図3図3は、実施形態1にかかるコネクタの後方斜視図である。
図4図4は、実施形態1にかかる端子の側面図である。
図5図5は、実施形態1にかかる端子の斜視図である。
図6図6は、実施形態1において端子を収容したハウジングに前押さえ治具を当接した状態の断面図である。
図7図7は、実施形態1において端子を収容したハウジングと前押さえ治具が挿入される領域を示す正面図である。
図8図8は、実施形態1において端子とリアホルダをハウジングに取り付け、仮係止位置に保持した状態を示す断面図である。
図9図9は、実施形態1においてスライド部を端子本体に対して仮係止位置から本係止位置に移動させる工程を示す断面図である。
図10図10は、実施形態1においてリアホルダをハウジングに対して本係止位置に移動させた状態を示す断面図である。
図11図11は、実施形態1にかかるハウジングの斜視図である。
図12図12は、実施形態1において端子とリアホルダをハウジングに取り付け、本係止位置に保持した状態を示す斜視図である。
図13図13は、実施形態1においてカバーがハウジングの開口部を覆っている状態を示す断面図である。
図14図14は、実施形態2において端子を収容したハウジングと前押さえ治具が挿入される領域を示す正面図である。
図15図15は、実施形態3において端子を収容したハウジングに前押さえ治具を当接した状態の断面図である。
図16図16は、実施形態3において端子を収容したハウジングと前押さえ治具が挿入される領域を示す正面図である。
図17図17は、実施形態4において端子を収容したハウジングに前押さえ治具を当接した状態の断面図である。
図18図18は、実施形態4において端子を収容したハウジングと前押さえ治具が挿入される領域を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示のコネクタは、芯線を有する電線の端部に位置する前記芯線に接続される端子と、前記端子が収容される収容部を有するハウジングと、を備え、前記端子は、挟持部を有する端子本体と、前記端子本体に対して後方から押圧してスライドさせることで前記挟持部によって前記芯線が挟まれた状態にするスライド部と、を備え、前記ハウジングは、開口部を備え、前記開口部は、前記端子本体の前端部の一部を前方に露出させている、コネクタである。
【0012】
上記の構成によれば、開口部に前方から前押さえ治具を挿入して端子本体に当接させることにより、スライド部を後方から押圧してスライドさせる際、ハウジングや端子の変形を抑制し、スライド構造によって芯線を挟んで接続することができる。
【0013】
(2)前記端子本体は、接続筒部を有し、前記接続筒部は、前記接続筒部に挿入される相手方端子に接触する接触片が設けられた第1壁部を備え、前記ハウジングは、少なくとも前記第1壁部の前端部の一部を覆っている前止め部を有することが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、前押さえ治具を開口部に挿入する際や相手方端子を接続筒部に挿入する際、接触片を保護することができる。
【0015】
(3)前記接続筒部は、前記第1壁部に対向する第2壁部と、前記第1壁部の両側縁部と前記第2壁部の両側縁部を接続する第3壁部及び第4壁部と、を備え、前記開口部は、前記第3壁部の前端部の一部と、前記第4壁部の前端部の一部と、前記第2壁部の前端部と、を露出させていることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、第3壁部の前端部の一部と、第4壁部の前端部の一部と、第2壁部の前端部と、に前押さえ治具を当接することができる。
【0017】
(4)前記収容部を構成する内面のうち前記第2壁部と対面する内面は第2面部とされ、前記第2面部には、前記第2壁部に当接する凸部が設けられていることが好ましい。
【0018】
(5)前記収容部を構成する内面のうち前記第2壁部と対面する内面は第2面部とされ、前記第2面部は、前記開口部に対して段差面を介してつながっていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、第2壁部の前端部は、前押さえ治具が挿入される領域の外縁から中心に近づくため、前押さえ治具による当接が容易になる。
【0020】
(6)前記接続筒部は、前記第1壁部に対向する第2壁部と、前記第1壁部の両側縁部と前記第2壁部の両側縁部を接続する第3壁部及び第4壁部と、を備え、前記前止め部は、前記第4壁部の前端部を覆っており、前記開口部は、前記第3壁部の前端部の一部と、前記第2壁部の前端部の一部と、を露出させていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、第3壁部の前端部の一部と、前記第2壁部の前端部の一部と、に前押さえ治具を当接することができる。
【0022】
(7)前記第3壁部には、ランスが設けられており、前記ハウジングには、前記ランスと係止する係止壁が前記開口部を介して前方に臨むように設けられていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、第3壁部の前端部は、前押さえ治具が挿入される領域の外縁から中心に近づくため、前押さえ治具による当接が容易になる。
【0024】
(8)前記ハウジングは、カバーによって覆われ、前記カバーは、前記開口部を前方から覆っており、相手方端子の前記端子本体への挿入を案内する誘い込み部を有することが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、相手方端子の端子本体への挿入が容易になる。
【0026】
(9)前記スライド部は、前記挟持部が設けられた領域に外嵌された状態で、第1位置と、前記第1位置よりも前方の第2位置と、の間を前後方向に移動可能とされ、前記スライド部は、前記第2位置で前記挟持部を前記芯線に向けて押圧する加圧部を有し、前記スライド部には、後方から押圧されることにより前記スライド部を前記第1位置から前記第2位置へと移動させる押圧受け部が設けられていることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、スライド部を第2位置に固定することにより、芯線を挟持部で挟み付けた状態を保持することができる。
【0028】
(10)本開示のコネクタの製造方法は、芯線を有する電線の端部に位置する前記芯線に接続される端子と、前記端子を収容する収容部を有するハウジングと、を備え、前記端子は、挟持部を有する端子本体と、前記端子本体に対して後方から押圧してスライドさせることで前記挟持部によって前記芯線が挟まれた状態にするスライド部と、を備え、前記ハウジングは、開口部を備え、前記開口部は、前記端子本体の前端部の一部を前方に露出させている、コネクタの製造方法であって、前記端子を前記ハウジングの前記収容部に収容する工程と、前記芯線を露出させた前記電線を前記端子本体の内部に挿通させる工程と、前記開口部において前方に露出した前記端子本体の前端部の一部に前押さえ治具を前方から当接させる工程と、前記スライド部を後方から押圧することによって、前記電線の前記芯線を前記端子本体の前記挟持部で挟み付ける工程と、を含む、コネクタの製造方法である。
【0029】
上記のコネクタの製造方法によれば、ハウジングや端子本体の変形を抑制し、スライド構造によって芯線を挟んで接続することができる。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態を説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0031】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を図1から図13を参照しつつ説明する。以降の説明では、図1から図13におけるX方向を左方、Y方向を前方、Z方向を上方として説明する。なお、複数の同一部材については、一部の部材のみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0032】
[コネクタ]
本実施形態にかかるコネクタ10は、電線11の端末に接続された端子12を収容する。図1から図3に示すように、コネクタ10は、端子12を収容する複数の収容部29を有するハウジング30と、ハウジング30の後端部に組み付けられるリアホルダ31と、ハウジング30及びリアホルダ31を覆うカバー48と、を備える。
【0033】
[電線]
図1に示すように、電線11は、前後方向に延びて配されている。電線11は、芯線13の外周面を絶縁性の合成樹脂からなる絶縁被覆14で包囲してなる。芯線13は、導電性の金属からなり、複数の金属線を撚り合わせた撚線、または1本の金属線からなる。絶縁被覆14の端末部分は皮剥ぎされて、芯線13が露出している。
【0034】
[端子]
端子12は、金属製であり、図4及び図5に示すように、端子本体15と、端子本体15に対して相対的にスライド移動可能なスライド部16と、を備える。
【0035】
[端子本体]
図4に示すように、端子本体15の前側部分は、前後方向に延びる角筒状の接続筒部17となっている。接続筒部17は、板状をなす相手方端子(図示せず)を前方から挿入できるようになっている。
【0036】
図6に示すように、接続筒部17の内部には、接続筒部17の後部から前方に延びる接触片19が配されている。接続筒部17内に挿入された相手方端子は、接触片19と接触するようになっている。接続筒部17の壁部であって、接触片19が設けられている壁部は、第1壁部17Aとされている。第1壁部17Aに対向する壁部は、第2壁部17Bとされている。図7に示すように、第1壁部17Aの両縁部と第2壁部17Bの両縁部を接続する一対の壁部は、第3壁部17C及び第4壁部17Dとされている。図5に示すように、第3壁部17Cの前方には、上方に山形状に突出してランス21が形成されている。
【0037】
図5に示すように、接続筒部17の後方には角筒状をなす基部20が設けられている。図8に示すように、基部20の後端部には、芯線13を挟み付ける挟持部18が設けられている。挟持部18のうち、基部20の上壁の後端部から後方に延出されているものは、上側挟持部18Aとされ、基部20の下壁の後端部から後方に延出されているものは、下側挟持部18Bとされている。上側挟持部18Aと下側挟持部18Bは前後方向に細長い形状をなし、それらの前後方向の長さは同程度となっている。上側挟持部18A及び下側挟持部18Bは、基部20の後端部を支点として、上下方向に弾性変形可能に形成されている。
【0038】
図8に示すように、上側挟持部18Aの下面には、後端部よりも前方の位置に、下方に突出する上側保持突部23Aが設けられている。下側挟持部18Bの上面の後端部には、上方に突出する下側保持突部23Bが設けられている。上側保持突部23Aと、下側保持突部23Bとは、前後方向にずれた位置に設けられている。
【0039】
図10に示すように、上側挟持部18Aの下面、及び下側挟持部18Bの上面は、芯線13を挟み付け、電線11と端子本体15とを電気的に接続できるようになっている。
【0040】
図4に示すように、端子本体15の側壁には、外方に突出する係止突起28が形成されている。
【0041】
[スライド部]
スライド部16の内部の形状の断面は、端子本体15のうち、上側挟持部18Aと下側挟持部18Bが設けられた領域の外部の形状の断面と同じか、やや大きく形成されている。これにより、スライド部16は、端子本体15のうち、上側挟持部18Aと下側挟持部18Bが設けられた領域に外嵌可能になっている。
【0042】
図8に示すように、スライド部16には、加圧部25が設けられている。加圧部25のうち、スライド部16の上壁の下面には、下方に突出する上側加圧部25Aが配置されており、スライド部16の下壁の上面には、上方に突出する下側加圧部25Bが配置されている。
【0043】
図4及び図5に示すように、スライド部16の側壁には、前後方向の前端部寄りの位置に、仮係止受け部26が開口されている。また、スライド部16の側壁には、仮係止受け部26よりも後方の位置に、本係止受け部27が開口されている。仮係止受け部26と本係止受け部27は、端子本体15の側壁に設けられた係止突起28と弾性的に係止可能になっている。
【0044】
端子本体15の係止突起28とスライド部16の仮係止受け部26とが係止した状態は、端子本体15に対してスライド部16が仮係止位置(第1位置の一例)に保持された状態となっている。この状態においては、図8に示すように、スライド部16の上側加圧部25A及び下側加圧部25Bは、端子本体15の上側挟持部18A及び下側挟持部18Bの後端縁より後方に配されている。また、この状態においては、上側挟持部18Aと下側挟持部18Bとの間隔は、芯線13の直径よりも大きく設定されている。
【0045】
端子本体15の係止突起28とスライド部16の本係止受け部27とが係止した状態は、端子本体15に対してスライド部16が本係止位置(第2位置の一例)に係止された状態となっている。この状態においては、図10に示すように、スライド部16の上側加圧部25Aは、端子本体15の上側挟持部18Aの上面に対して上方から当接している。また、スライド部16の下側加圧部25Bは、端子本体15の下側挟持部18Bの下面に対して下方から当接している。
【0046】
スライド部16が端子本体15に対して本係止位置で保持された状態では、上側加圧部25Aが上方から上側挟持部18Aを押圧することによって上側挟持部18Aが下方に弾性変形するようになっている。また、下側加圧部25Bが下方から下側挟持部18Bを押圧することによって下側挟持部18Bが上方に弾性変形するようになっている。これにより、上側挟持部18Aと下側挟持部18Bとの間の空間に、芯線13が前後方向に延びた状態で配され、かつ、スライド部16が端子本体15に対して本係止位置で保持した状態では、芯線13は、弾性変形した上側挟持部18Aと下側挟持部18Bによって上下方向から挟持されるようになっている。
【0047】
スライド部16が端子本体15に対して本係止位置で保持された状態では、上側挟持部18Aの上側保持突部23Aが芯線13を上方から押圧し、下側挟持部18Bの下側保持突部23Bが芯線13を下方から押圧する。このように芯線13は、上側保持突部23Aによって上方から押圧されるとともに、上側保持突部23Aと前後方向にずれた位置に配された下側保持突部23Bによって下方から押圧されることにより、上下方向について屈曲した状態に保持される。
【0048】
スライド部16の前端部には、図4及び図5に示すように、上壁から上方に突出する押圧受け部46が設けられている。図9に示すように、押圧受け部46に後方から押圧用治具45が当接して、押圧用治具45によってスライド部16が前方に押されることにより、スライド部16が前方に移動可能になっている。
【0049】
図4及び図5に示すように、スライド部16の後端部寄りの位置には、左右両側壁に、スライド部16の内方に突出する一対の芯線誘い込み部47が設けられている。芯線誘い込み部47は、後方から前方に向かうにしたがって幅狭に形成されている。芯線誘い込み部47の内面に芯線13が摺接することにより、芯線13はスライド部16の内部へと案内される。
【0050】
[ハウジング]
図11に示すように、ハウジング30は上下方向に短い扁平であって左右方向に延びた直方体状をなしている。ハウジング30は絶縁性の合成樹脂を射出成形することにより形成される。ハウジング30には、端子12を収容する前後方向に延びた複数の収容部29が、左右方向に間隔を空けて整列されるとともに、上下に2段に重ねられている。上段に形成された各収容部29と、下段に形成された各収容部29とは、左右にずれた位置に配されている。なお、収容部29の個数は任意であり、また上下に重ねられる場合の段数も任意である。
【0051】
収容部29の前端は前方に開口しており、相手方端子が挿入可能になっている。収容部29の後端は後方に開口しており、端子12を後方から収容可能になっている。
【0052】
図8に示すように、端子12が収容部29に収容された状態で、端子12のランス21の位置に対応するように、ハウジング30には係止壁33が設けられている。係止壁33によって、ランス21が係止され、端子12が後方に抜けることを防ぐ。
【0053】
ハウジング30の前端部には、図6に示すように、端子12の第1壁部17Aを前方から覆うように前止め部40が形成されている。前止め部40は、端子12を収容部29の内部に挿入する際に、端子12がハウジング30の前方に抜けないように当接する。
【0054】
図6及び図7に示すように、ハウジング30の前端部において、前止め部40以外の部分には、開口部32が設けられている。開口部32は、図7の斜線部分で示される前押さえ治具51を受け入れるようになっている。開口部32の内部の形状は、前押さえ治具51の外部の形状と同じか、やや大きく形成されている。開口部32は、第3壁部17Cの前端部の一部と、第4壁部17Dの前端部の一部と、第2壁部17Bの前端部を前方に露出させている。これにより、図6に示すように、接続筒部17の前端部に、前方から前押さえ治具51を当接させることができるようになっている。
【0055】
図9に示すように、前方から前押さえ治具51を開口部32に挿入し、接続筒部17に当接させることによって、スライド部16の押圧受け部46を押圧用治具45により後方から押圧して仮係止位置から本係止位置に移動させるとき、端子12やハウジング30の変形を抑制することができる。
【0056】
図8に示すように、ハウジング30は、上段に形成された収容部29と、下段に形成された収容部29との間を仕切る隔壁34を有する。隔壁34は、収容部29の後端部から後方に延出されている。図11に示すように、隔壁34の上面及び下面には、それぞれ、前後方向に延びると共に上下に突出した仕切り壁35が設けられている。この仕切り壁35によって、各収容部29に収容された端子12が左右方向に隣り合う端子12と電気的に絶縁されるようになっている。
【0057】
図11に示すように、ハウジング30の左右両側壁の後端部寄りの位置には、外方に突出する仮係止ロック部36が設けられており、この仮係止ロック部36よりも前方の位置には、本係止ロック部37が外方に突出して設けられている。
【0058】
[リアホルダ]
リアホルダ31は、図12に示すように、前方に開口する箱状をなしている。リアホルダ31は、絶縁性の合成樹脂を射出成形することにより形成される。リアホルダ31は、ハウジング30の後半部分に外嵌されるようになっている。リアホルダ31の左右両側壁の前端部寄りの位置には、ハウジング30の仮係止ロック部36、及び本係止ロック部37に弾性的に係止可能なロック受け部38が設けられている。ロック受け部38は、概ね門形状をなしている。
【0059】
ハウジング30の仮係止ロック部36と、リアホルダ31のロック受け部38とが係止することにより、リアホルダ31はハウジング30に対して仮係止位置に保持される。また、ハウジング30の本係止ロック部37と、リアホルダ31のロック受け部38とが係止することにより、リアホルダ31はハウジング30に対して本係止位置に保持される。
【0060】
図3に示すように、リアホルダ31には、電線11が挿通される複数の挿通孔39が、左右方向に整列すると共に、上下に2段に並んで設けられている。挿通孔39は、ハウジング30の収容部29に対応する位置に設けられている。挿通孔39の内径寸法は、電線11の絶縁被覆14の外径寸法と同じか、やや大きく設定されている。
【0061】
図8に示すように、リアホルダ31には、ハウジング30が嵌入されるフード部41が、前方に開口している。フード部41の後端部には、上下方向の中央付近に、フード部41内に前方に突出すると共に、上下に間隔を空けて並ぶ一対の突出壁42A、42Bが設けられている。この一対の突出壁42A、42Bの上下方向の間隔は、ハウジング30の隔壁34の上下方向の厚さ寸法と同じか、やや大きく設定されている。
【0062】
図8に示すように、リアホルダ31がハウジング30に対して仮係止位置に保持された状態では、リアホルダ31の一対の突出壁42A、42Bは、ハウジング30の隔壁34の後端縁よりも後方に位置している。図10に示すように、リアホルダ31がハウジング30に対して本係止位置に保持された状態では、リアホルダ31の一対の突出壁42A、42Bの間に、ハウジング30の隔壁34が嵌り込むようになっている。これにより、リアホルダ31がハウジング30に対して上下方向に位置ずれすることが抑制されるようになっている。
【0063】
[カバー]
カバー48は、図3に示すように、後方に開口する箱状をなしている。カバー48は、絶縁性の合成樹脂を射出成形することにより形成される。カバー48は、図1に示すように、ハウジング30と、ハウジング30に対して本係止位置に保持されたリアホルダ31とを後方から収容できるようになっている。カバー48の内壁には、前方に向かうにつれてカバー48の内部に向かって突出する複数のリブ(図示せず)が設けられている。これにより、ハウジング30とリアホルダ31を正規の位置に収容した状態を保持することができる。
【0064】
図2に示すように、カバー48には、前方から相手方端子を挿入する挿入孔49が、左右方向に整列すると共に、上下に2段に並んで設けられている。挿入孔49は、ハウジング30の収容部29に対応する位置に設けられている。図13に示すように、カバー48はハウジング30に設けられた開口部32を前方から覆ってふさいでいる。また、挿入孔49の内壁には、誘い込み部53が設けられている。誘い込み部53は、前方から後方に向かうにしたがって幅狭に形成されており、相手方端子は、端子本体15の正規の位置に挿入されやすくなる。
【0065】
[コネクタ10の組み立て工程の例]
続いて、本実施形態に係るコネクタ10の組み立て工程の例について説明する。コネクタ10の組み立て工程は以下の記述に限定されない。
【0066】
公知の手法により、端子本体15と、スライド部16とを形成する。端子本体15に対して、後方からスライド部16を組み付ける。端子本体15の係止突起28に後方からスライド部16の前端縁が当接し、スライド部16の側壁が拡開変形する。さらにスライド部16を前方に押し込むと、スライド部16の側壁が復帰変形し、端子本体15の係止突起28に、スライド部16の仮係止受け部26が係止する。これにより、端子本体15に対してスライド部16が仮係止位置に保持される。これにより端子12が得られる(図5参照)。
【0067】
合成樹脂を射出成形することにより、ハウジング30、リアホルダ31、及びカバー48を形成する。
【0068】
図8に示すように、ハウジング30の収容部29内に、後方から端子12を挿入し、ハウジング30の後端部に、後方からリアホルダ31を組み付ける。すると、リアホルダ31のロック受け部38が弾性変形しながら、ハウジング30の仮係止ロック部36に乗り上げる。さらにリアホルダ31を前方に押し込むと、ロック受け部38が復帰変形し、ハウジング30の仮係止ロック部36に、ロック受け部38が弾性的に係止する。これにより、リアホルダ31が、ハウジング30に対して仮係止位置に保持される。
【0069】
電線11の端部において絶縁被覆14を皮剥ぎすることにより、所定の長さ寸法の芯線13を露出させる。リアホルダ31の後端部に設けられた挿通孔39内に、芯線13の前端部を後方から挿入する。
【0070】
電線11をさらに前方に押し込むと、芯線13の前端部はリアホルダ31の挿通孔39から前方に突出し、スライド部16の後端部からスライド部16の内部へと導入される。芯線13はスライド部16の芯線誘い込み部47と当接することにより、スライド部16へと案内される。さらに電線11を前方に押し込むと、図9に示すように、芯線13の前端部は端子本体15の内部へと進入して上側挟持部18Aと下側挟持部18Bとの間の空間内を通過した状態となる。この状態で、リアホルダ31の挿通孔39内には電線11の絶縁被覆14が位置している(図9参照)。
【0071】
次に、図9に示すように、開口部32に前押さえ治具51を前方から挿入し、接続筒部17の前端部に前押さえ治具51を当接させる。この状態で、後方から押圧用治具45を押圧受け部46に押し当てると、スライド部16が端子本体15に対して相対的に前方に移動する。このとき、端子本体15の係止突起28と、スライド部16の仮係止受け部26との係止が外れ、スライド部16の側壁が係止突起28に乗り上げて拡開変形する。
【0072】
さらに押圧用治具45で押圧受け部46を前方に押圧すると、スライド部16の側壁が復帰変形して端子本体15の係止突起28と、スライド部16の本係止受け部27とが弾性的に係止する。これによりスライド部16が端子本体15に対して本係止位置に保持される。
【0073】
スライド部16が端子本体15に対して本係止位置に移動するとき、スライド部16の上側加圧部25Aが、端子本体15の上側挟持部18Aに上方から当接して下方へと押圧する。また、スライド部16の下側加圧部25Bが、端子本体15の下側挟持部18Bに下方から当接して上方へと押圧する。これにより、芯線13が、上側挟持部18Aと下側挟持部18Bに上下から挟持され、電線11と端子12とが電気的に接続される(図10参照)。
【0074】
芯線13が上側挟持部18Aと下側挟持部18Bに上下から挟持された状態においては、芯線13は、上側挟持部18Aの上側保持突部23Aと、下側挟持部18Bの下側保持突部23Bとに挟まれることにより、前後方向に延びた状態で、かつ、上下方向に屈曲した状態で保持される。これにより、端子12は芯線13を強固に保持することができる(図10参照)。
【0075】
次に、リアホルダ31を前方に押圧すると、リアホルダ31のロック受け部38がハウジング30の本係止ロック部37に乗り上げて弾性変形する。さらにリアホルダ31を前方に押圧すると、本係止ロック部37と、ロック受け部38とが係止する。また、リアホルダ31の一対の突出壁42A、42Bの間に、ハウジング30の隔壁34が嵌り込む。これにより、リアホルダ31がハウジング30に対して本係止位置に保持される(図10参照)。
【0076】
最後に、上記のハウジング30及びリアホルダ31をカバー48内に収容することで、コネクタ10の組み立てが完了する(図1参照)。
【0077】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
【0078】
本実施形態にかかるコネクタ10は、芯線13を有する電線11の端部に位置する芯線13に接続される端子12と、端子12が収容される収容部29を有するハウジング30と、を備え、端子12は、挟持部18を有する端子本体15と、端子本体15に対して後方から押圧してスライドさせることで挟持部18によって芯線13が挟まれた状態にするスライド部16と、を備え、ハウジング30は、開口部32を備え、開口部32は、端子本体15の前端部の一部を前方に露出させている。
【0079】
上記の構成によれば、開口部32に前方から前押さえ治具51を挿入して端子本体15に当接させることにより、スライド部16を後方から押圧してスライドさせる際、ハウジング30や端子12の変形を抑制し、スライド構造によって芯線13を挟んで接続することができる。
【0080】
本実施形態では、端子本体15は、接続筒部17を有し、接続筒部17は、接続筒部17に挿入される相手方端子に接触する接触片19が設けられた第1壁部17Aを備え、ハウジング30は、第1壁部17Aの前端部を覆っている前止め部40を有する。
【0081】
上記の構成によれば、前押さえ治具51を開口部32に挿入する際や相手方端子を接続筒部17に挿入する際、接触片19を保護することができる。
【0082】
本実施形態では、接続筒部17は、第1壁部17Aに対向する第2壁部17Bと、第1壁部17Aの両側縁部と第2壁部17Bの両側縁部を接続する第3壁部17C及び第4壁部17Dと、を備え、開口部32は、第3壁部17Cの前端部の一部と、第4壁部17Dの前端部の一部と、第2壁部17Bの前端部と、を露出させている。
【0083】
上記の構成によれば、第3壁部17Cの前端部の一部と、第4壁部17Dの前端部の一部と、第2壁部17Bの前端部と、に前押さえ治具51を当接することができる。
【0084】
本実施形態では、ハウジング30は、カバー48によって覆われ、カバー48は、開口部32を前方から覆っており、相手方端子の端子本体15への挿入を案内する誘い込み部53を有する。
【0085】
上記の構成によれば、相手方端子の端子本体15への挿入が容易になる。
【0086】
本実施形態では、スライド部16は、挟持部18が設けられた領域に外嵌された状態で、仮係止位置と、仮係止位置よりも前方の本係止位置と、の間を前後方向に移動可能とされ、スライド部16は、本係止位置で挟持部18を芯線13に向けて押圧する加圧部25を有し、スライド部16には、後方から押圧されることによりスライド部16を仮係止位置から本係止位置へと移動させる押圧受け部46が設けられている。
【0087】
上記の構成によれば、スライド部16を本係止位置に固定することにより、芯線13を挟持部18で挟み付けた状態を保持することができる。
【0088】
本実施形態にかかるコネクタ10の製造方法は、芯線13を有する電線11の端部に位置する芯線13に接続される端子12と、端子12を収容する収容部29を有するハウジング30と、を備え、端子12は、挟持部18を有する端子本体15と、端子本体15に対して後方から押圧してスライドさせることで挟持部18によって芯線13が挟まれた状態にするスライド部16と、を備え、ハウジング30は、開口部32を備え、開口部32は、端子本体15の前端部の一部を前方に露出させている、コネクタ10の製造方法であって、端子12をハウジング30の収容部29に収容する工程と、芯線13を露出させた電線11を端子本体15の内部に挿通させる工程と、開口部32において前方に露出した端子本体15の前端部の一部に前押さえ治具51を前方から当接させる工程と、スライド部16を後方から押圧することによって、電線11の芯線13を端子本体15の挟持部18で挟み付ける工程と、を含む。
【0089】
上記のコネクタ10の製造方法によれば、ハウジング30や端子本体15の変形を抑制し、スライド構造によって芯線13を挟んで接続することができる。
【0090】
<実施形態2>
図14を参照しつつ実施形態2を説明する。以降の説明では、図14におけるX方向を左方、Y方向を前方、Z方向を上方として、説明する。なお、実施形態1と同じ構成については、説明を省略し、実施形態1と同一の符号を用いるものとする。
【0091】
本実施形態にかかるコネクタ110は、電線11と、端子12と、ハウジング130と、リアホルダ31と、カバー48と、を備える。ハウジング130は、開口部132を備える。開口部132は、図14の斜線部分で示される前押さえ治具151を受け入れるようになっている。開口部132は、第3壁部17Cの前端部の一部と、第4壁部17Dの前端部の一部と、第2壁部17Bの前端部と、を露出させている。
【0092】
図14に示すように、収容部29を構成する内面のうち第2壁部17Bと対面する内面は第2面部29Bとされ、第2面部29Bには、前後方向に延びて突出する2つの凸部52が上下方向に間隔を空けて形成されており、第2壁部17Bに当接するようになっている。
【0093】
上記の構成によれば、第2壁部17Bの前端部は、前押さえ治具151が挿入される領域の外縁から中心に近づくため、前押さえ治具151による当接が容易になる。
【0094】
<実施形態3>
図15及び図16を参照しつつ実施形態3を説明する。以降の説明では、図15及び図16におけるX方向を左方、Y方向を前方、Z方向を上方として、説明する。なお、実施形態1と同じ構成については、説明を省略し、実施形態1と同一の符号を用いるものとする。
【0095】
本実施形態にかかるコネクタ210は、電線11と、端子12と、ハウジング230と、リアホルダ31と、カバー48と、を備える。図15に示すように、ハウジング230は、前止め部240と、開口部232と、を備える。開口部232は、図16の斜線部分で示される前押さえ治具251を受け入れるようになっている。図16に示すように、開口部232は、第3壁部17Cの前端部の一部と、第4壁部17Dの前端部の一部と、第2壁部17Bの前端部と、を露出させている。
【0096】
図15及び図16に示すように、ハウジング230の収容部29を構成する内面のうち第2壁部17Bと対面する内面は第2面部29Bとされ、第2面部29Bは、開口部232に対して段差面54を介してつながっている。
【0097】
上記の構成によれば、第2壁部17Bの前端部は、前押さえ治具251が挿入される領域の外縁から中心に近づくため、前押さえ治具251による当接が容易になる。
【0098】
<実施形態4>
図17及び図18を参照しつつ実施形態4を説明する。以降の説明では、図17及び図18におけるX方向を左方、Y方向を前方、Z方向を上方として、説明する。なお、実施形態1と同じ構成については、説明を省略し、実施形態1と同一の符号を用いるものとする。
【0099】
本実施形態にかかるコネクタ310は、電線11と、端子12と、ハウジング330と、リアホルダ31と、カバー48と、を備える。図18に示すように、ハウジング330は、前止め部340と、開口部332と、を備える。開口部332は、図18の斜線部分で示される前押さえ治具351を受け入れるようになっている。
【0100】
図18に示すように、ハウジング330の前止め部340は、第1壁部17Aの前端部と第4壁部17Dの前端部を覆っており、開口部332は、第3壁部17Cの前端部の一部と、第2壁部17Bの前端部の一部と、を露出させている。
【0101】
上記の構成によれば、第3壁部17Cの前端部の一部と、第2壁部17Bの前端部の一部と、に前押さえ治具351を当接することができる。
【0102】
図17及び図18に示すように、第3壁部17Cには、ランス21が設けられており、ハウジング330には、ランス21と係止する係止壁333が開口部332を介して前方に臨むように設けられている。
【0103】
上記の構成によれば、第3壁部17Cの前端部は、前押さえ治具351が挿入される領域の外縁から中心に近づくため、前押さえ治具351による当接が容易になる。
<他の実施形態>
(1)実施形態1から実施形態4では、リアホルダ31が設けられている構成としたが、これに限られることはなく、リアホルダを設けなくてもよい。
【0104】
(2)実施形態1から実施形態4では、カバー48が設けられている構成としたが、これに限られることはなく、カバーを設けなくてもよい。
【0105】
(3)実施形態1から実施形態4では、上側挟持部18A及び下側挟持部18Bの2つの挟持部18が設けられている構成としたが、これに限られることはなく、1つ、または3つ以上の挟持部を用いてもよい。
【0106】
(4)実施形態1から実施形態4では、係止突起28、仮係止受け部26、及び本係止受け部27が設けられている構成としたが、これに限られることはなく、係止突起、仮係止受け部、及び本係止受け部を設けなくてもよい。
【0107】
(5)実施形態2では、2つの凸部52が設けられている構成としたが、これに限られることはなく、1つ、または3つ以上の凸部を用いてもよい。
【符号の説明】
【0108】
10: コネクタ
11: 電線
12: 端子
13: 芯線
14: 絶縁被覆
15: 端子本体
16: スライド部
17: 接続筒部
17A: 第1壁部
17B: 第2壁部
17C: 第3壁部
17D: 第4壁部
18: 挟持部
18A: 上側挟持部
18B: 下側挟持部
19: 接触片
20: 基部
21: ランス
23A: 上側保持突部
23B: 下側保持突部
25:加圧部
25A: 上側加圧部
25B: 下側加圧部
26: 仮係止受け部
27: 本係止受け部
28: 係止突起
29: 収容部
29B: 第2面部
30,130,230,330: ハウジング
31: リアホルダ
32,132,232,332: 開口部
33,333: 係止壁
34: 隔壁
35: 仕切り壁
36: 仮係止ロック部
37: 本係止ロック部
38: ロック受け部
39: 挿通孔
40: 前止め部
41: フード部
42A,42B: 突出壁
45: 押圧用治具
46: 押圧受け部
47: 芯線誘い込み部
48: カバー
49: 挿入孔
51,151,251,351: 前押さえ治具
52: 凸部
53: 誘い込み部
54: 段差面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18