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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】画像送信装置及び認証システム
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/16 20220101AFI20231219BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231219BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20231219BHJP
【FI】
G06V40/16 A
G06T7/00 510F
G06T7/00 660A
G06T7/70 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020045440
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021149168
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】津田 隆太
【審査官】笠田 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159924(JP,A)
【文献】特開2009-003866(JP,A)
【文献】特開2002-288670(JP,A)
【文献】特開2019-156155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/16
G06T 7/00
G06T 7/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像送信装置であって、
車両に対応する複数の登録運転者のそれぞれと、空調装置の目標温度とを関連付けて記憶する記憶部と、
運転者の顔を撮像した撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像において前記運転者の顔の複数の特徴点を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記複数の特徴点の位置に基づいて、前記運転者の顔の向きを特定し、特定した当該顔の向きが基準方向となす角度を特定するとともに、前記撮像画像において前記運転者の口の開度を特定する特定部と、
前記特定部が特定した角度を示す角度情報と関連付けて、前記撮像画像を認証装置へ送信し、運転者の顔の特徴と一致すると前記認証装置が判定した登録運転者を示す認証結果を前記認証装置から受信する通信制御部と、
前記認証装置が前記運転者の顔の特徴と一致すると判定した前記登録運転者に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記目標温度を特定し、特定した当該目標温度に基づいて、車室内の温度を調節する空調制御部と、
を備え
前記通信制御部は、特定した前記口の開度が前記車両に要求されるセキュリティレベルに基づいて定められた第2基準値以下であることを条件として、前記撮像画像を前記認証装置へ送信し、特定した前記口の開度が当該第2基準値より大きい場合には、前記撮像画像を当該認証装置へ送信しない、
画像送信装置。
【請求項2】
前記空調制御部は、前記運転者の顔の特徴がどの登録運転者とも一致しないと前記認証装置が判定したことを示す前記認証結果を前記通信制御部が受信した場合に、初期値として前記記憶部に予め記憶されている前記目標温度に基づいて、車室内の温度を調節する、
請求項1に記載の画像送信装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記撮像画像において前記運転者の目の開度を特定し、
前記通信制御部は、特定した前記目の開度が第1基準値以上であることを条件として、前記撮像画像を前記認証装置へ送信する、
請求項1又は2に記載の画像送信装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記検出部が検出した前記特徴点の数が所定数以上であることを条件として、前記撮像画像を認証装置へ送信する、
請求項1からのいずれか一項に記載の画像送信装置。
【請求項5】
画像送信装置と、当該画像送信装置と通信回線を介して接続する認証装置とを備える認証システムにおいて、
前記画像送信装置は、
車両に対応する複数の登録運転者のそれぞれと、空調装置の目標温度とを関連付けて記憶する第1記憶部と、
運転者の顔を撮像した撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像において前記運転者の顔の複数の特徴点を検出する検出部と、
前記検出部が検出した複数の特徴点の位置に基づいて、前記運転者の顔の向きを特定し、特定した当該顔の向きが基準方向となす角度を特定するとともに、前記撮像画像において前記運転者の口の開度を特定する特定部と、
特定した角度を示す角度情報と関連付けて、前記撮像画像を前記認証装置へ送信する通信制御部と、
車室内の温度を調節する空調制御部と、
を備え、
前記通信制御部は、特定した前記口の開度が前記車両に要求されるセキュリティレベルに基づいて定められた第2基準値以下であることを条件として、前記撮像画像を前記認証装置へ送信し、特定した前記口の開度が当該第2基準値より大きい場合には、前記撮像画像を当該認証装置へ送信せず、
前記認証装置は、
前記撮像画像と、当該撮像画像に関連付けられた前記角度情報とを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記撮像画像から、前記運転者の顔の特徴を抽出する抽出部と、
予め登録された登録運転者の顔の角度を示す登録角度情報と、前記登録運転者の顔の特徴を示す登録特徴情報とを関連付けた特徴テーブルを記憶する第2記憶部と、
前記抽出部が前記撮像画像から抽出した前記特徴と、前記受信部が当該撮像画像に関連付けて受信した前記角度情報が示す角度に最も近い角度を示す前記登録角度情報に前記特徴テーブルにおいて関連付けられた前記登録特徴情報が示す特徴とが類似する程度を示す類似度を決定する決定部と、
前記決定部が決定した類似度に基づいて、前記運転者が前記登録運転者と一致するか否かを判定する判定部と、
前記運転者の顔の特徴と一致すると前記判定部が判定した前記登録運転者を示す認証結果を前記画像送信装置へ通知する通知部と、を備え、
前記通信制御部は、前記認証結果を受信し、
前記空調制御部は、前記判定部が前記運転者の顔の特徴と一致すると判定した前記登録運転者に関連付けて前記第1記憶部に記憶されている前記目標温度を特定し、特定した当該目標温度に基づいて、前記車室内の温度を調節する、
認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の撮像画像を認証装置へ送信する画像送信装置、及び、運転者を顔認証する認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する運転者を特定するため等の理由により運転者を顔認証することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/150485号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転者の顔画像を撮像する際に運転者が正面以外の方向を向いている場合、顔認証の精度が低くなるという問題があった。
【0005】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、運転者の顔認証の精度を向上させることができる画像送信装置及び認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の画像送信装置は、運転者の顔を撮像した撮像画像を取得する取得部と、前記撮像画像において前記運転者の顔の複数の特徴点を検出する検出部と、前記検出部が検出した複数の特徴点の位置に基づいて、前記運転者の顔の向きを特定し、特定した当該顔の向きが基準方向となす角度を特定する特定部と、前記特定部が特定した角度を示す角度情報と関連付けて、前記撮像画像を認証装置へ送信する送信部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様の画像送信装置は、運転者の顔を撮像した撮像画像を取得する取得部と、前記撮像画像において前記運転者の顔の複数の特徴点を検出する検出部と、前記検出部が検出した前記複数の特徴点の位置に基づいて、前記運転者の顔の向きを特定し、特定した当該顔の向きが基準方向となす角度を特定する特定部と、前記特定部が特定した角度が所定値以下であることを条件として、前記撮像画像を認証装置へ送信する送信部と、を備える。
【0008】
前記特定部は、前記撮像画像において前記運転者の目の開度を特定し、前記送信部は、特定した前記目の開度が第1基準値以上であることを条件として、前記撮像画像を前記認証装置へ送信してもよい。前記特定部は、前記撮像画像において前記運転者の口の開度を特定し、前記送信部は、特定した前記口の開度が第2基準値以下であることを条件として、前記撮像画像を前記認証装置へ送信してもよい。前記送信部は、前記検出部が検出した前記特徴点の数が所定数以上であることを条件として、前記撮像画像を認証装置へ送信してもよい。
【0009】
本発明の第3の態様の認証システムは、画像送信装置と、当該画像送信装置と通信回線を介して接続する認証装置とを備える認証システムにおいて、前記画像送信装置は、運転者の顔を撮像した撮像画像を取得する取得部と、前記撮像画像において前記運転者の顔の複数の特徴点を検出する検出部と、前記検出部が検出した複数の特徴点の位置に基づいて、前記運転者の顔の向きを特定し、特定した当該顔の向きが基準方向となす角度を特定する特定部と、特定した角度を示す角度情報と関連付けて、前記撮像画像を前記認証装置へ送信する送信部と、を備え、前記認証装置は、前記撮像画像と、当該撮像画像に関連付けられた前記角度情報とを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記撮像画像から、前記運転者の顔の特徴を抽出する抽出部と、予め登録された登録運転者の顔の角度を示す登録角度情報と、前記登録運転者の顔の特徴を示す登録特徴情報とを関連付けた特徴テーブルを記憶する記憶部と、前記抽出部が前記撮像画像から抽出した前記特徴と、前記受信部が当該撮像画像に関連付けて受信した前記角度情報が示す角度に最も近い角度を示す前記登録角度情報に前記特徴テーブルにおいて関連付けられた前記登録特徴情報が示す特徴とが類似する程度を示す類似度を決定する決定部と、前記決定部が決定した類似度に基づいて、前記運転者が前記登録運転者と一致するか否かを判定する判定部と、を備える。
【0010】
前記送信部は、複数の前記角度情報のそれぞれと、同じ前記運転者の複数の前記撮像画像とを関連付けて前記認証装置へ送信し、前記判定部は、複数の前記角度情報に対応する複数の前記類似度に基づいて、前記運転者が前記登録運転者と一致するか否かを判定してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運転者の顔認証の精度を向上させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】車両の運転者の顔を認証するための認証システムの概要を示す図である。
図2】車両の構成を示す図である。
図3】検出部が検出した特徴点の例を示す図である。
図4】特定部による顔の向きの特定方法を説明するための図である。
図5】認証装置の構成を示す図である。
図6】画像送信装置による撮像画像の送信の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
[認証システムの概要]
図1(a)及び(b)は、車両100の運転者の顔を認証するための認証システムSの概要を示す図である。図1(a)は、認証システムSの構成を示す。図1(b)は、車両100の車室内の様子を示す。図1(a)に示すように、認証システムSは、車両100に搭載された画像送信装置1と、認証装置200とを備える。画像送信装置1は、例えば、コンピュータにより車両100の各部を電子的に制御するECU(Electronic Control Unit)により実現される。認証装置200は、無線通信回線を介して画像送信装置1と接続されたサーバである。
【0014】
図1(b)に示すように、車両100の車室内には、運転者の顔を撮像するための撮像部2が設けられている。図1(b)の例では、撮像部2は、斜め方向から運転者の顔を撮像する。撮像部2は、運転者の顔を含む上半身を撮像してもよい。また、撮像部2は、バックミラーに設けられていてもよい。
【0015】
画像送信装置1は、撮像部2が撮像した撮像画像を取得する。画像送信装置1は、運転者の顔の向きを特定し、特定した顔の向きが基準方向となす角度を特定する。画像送信装置1は、特定した角度を示す角度情報と関連付けて、撮像画像を認証装置200へ送信する。
【0016】
認証装置200は、撮像画像と、この撮像画像に関連付けられた角度情報とを受信する。認証装置200は、撮像画像から運転者の顔の特徴を示す特徴情報を抽出する。認証装置200は、予め登録された登録運転者の特徴を示す複数の登録特徴情報のうち、受信した角度情報に対応する登録特徴情報を特定する。認証装置200は、撮像画像から抽出した特徴情報と、特定した登録特徴情報とが類似する程度を示す類似度を決定し、決定した類似度に基づいて、運転者の顔の特徴が登録運転者と一致するか否かを判定する。
【0017】
このようにして、認証システムSは、撮像画像から運転者の顔の特徴と、受信した角度情報に対応する登録特徴情報が示す登録運転者の顔の特徴が一致するか否かを特定するので、同じ顔の向きで撮像された撮像画像から抽出された顔の特徴同士を比較することができる。このため、認証装置200による運転者の顔の認証の精度を向上させることができる。
【0018】
[車両の構成]
図2は、車両100の構成を示す図である。車両100は、画像送信装置1、撮像部2、通信部3及び空調装置4を備える。画像送信装置1は、記憶部11及び制御部12を備える。
【0019】
通信部3は、無線通信回線を介して認証装置200と通信するための通信モジュールである。空調装置4は、車室内の温度を調整する。記憶部11は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を有する。記憶部11は、制御部12を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。制御部12は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部121、検出部122、特定部123、通信制御部124、空調制御部125及び警告部126として機能する。
【0020】
取得部121は、運転者の顔を撮像した撮像画像を撮像部2から取得する。例えば、取得部121は、車両100の走行中に所定時間ごとに撮像画像を取得する。また、取得部121は、運転者が撮像を指示する操作を操作受付部(不図示)が受け付けたときに撮像画像を取得してもよい。
【0021】
検出部122は、取得部121が取得した撮像画像において運転者の顔の複数の特徴点を検出する。図3は、検出部122が検出した特徴点の例を示す図である。検出部122が検出した複数の特徴点を丸印でそれぞれ示す。例えば、検出部122は、目の中央点、鼻の左右端、口の左右端等の複数の特徴点の色の濃淡パターンを記憶部11から読み出し、読み出した濃淡パターンにマッチングする位置を特徴点として検出する。検出部122は、検出した特徴点を特定部123に通知する。
【0022】
特定部123は、検出部122が検出した複数の特徴点の位置に基づいて、運転者の顔の向きを特定する。図4は、特定部123による顔の向きの特定方法を説明するための図である。特定部123は、複数の基準特徴点を含む顔の三次元モデル31を記憶部11から読み出す。三次元モデル31の複数の基準特徴点を三角印で示す。特定部123は、読み出した三次元モデル31を回転行列により回転させ、さらに平行移動させる。特定部123は、図4の破線の矢印で示すように、回転及び平行移動後の三次元モデルの複数の基準特徴点を撮像画像32の平面にそれぞれ投影する。
【0023】
特定部123は、撮像画像32の平面に投影された複数の基準特徴点の位置と、検出部122が検出した対応する特徴点の位置とがそれぞれ略一致するときの回転行列を求める。特定部123は、求めた回転行列に基づいて、運転者の顔の向きを特定する。また、特定部123は、より簡単な手法により運転者の顔の向きを特定してもよい。
【0024】
特定部123は、特定した運転者の顔の向きが基準方向となす角度を特定する。基準方向は、例えば、撮像部2の光軸方向である。特定部123は、特定した顔の向きが基準方向となすヨー角、ピッチ角及びロール角を求める。ヨー角は、左右方向の角度を示す。ピッチ角は、上下方向の角度を示す。ロール角は、撮像部2の光軸の周りに顔が回転する角度を示す。特定部123は、特定した角度を通信制御部124に通知する。
【0025】
また、特定部123は、取得部121が取得した撮像画像において運転者の目の開度を特定してもよい。特定部123は、取得部121が取得した撮像画像において運転者の口の開度を特定してもよい。
【0026】
[撮像画像の送信]
通信制御部124は、通信部3を介して、認証装置200と通信する。通信制御部124は、車両100を識別するための車両識別情報と、特定部123が特定した角度を示す角度情報と関連付けて、取得部121が取得した撮像画像を認証装置200へ送信する。このとき、通信制御部124は、複数の角度情報のそれぞれと、異なるタイミングで撮像された同じ運転者の複数の撮像画像とを関連付けて認証装置200へ送信する。
【0027】
通信制御部124は、撮像画像において特定部123が特定した目の開度が第1基準値以上であることを条件として、この撮像画像を認証装置200へ送信してもよい。第1基準値は、車両100に要求されるセキュリティレベル等に応じて定められる値である。通信制御部124は、目の開度が第1基準値未満である場合には、撮像画像を認証装置200へ送信しなくてもよい。このようにして、通信制御部124は、目の特徴を比較的抽出しやすい撮像画像のみを認証装置200へ送信するので、運転者の顔の特徴が登録運転者と一致するか否かを認証装置200が判定する精度を向上させることができる。
【0028】
通信制御部124は、特定部123が特定した口の開度が第2基準値以下であることを条件として、撮像画像を認証装置200へ送信してもよい。第2基準値は、車両100に要求されるセキュリティレベル等に応じて定められる値である。通信制御部124は、口の開度が第2基準値より大きい場合には、撮像画像を認証装置200へ送信しなくてもよい。このようにして、通信制御部124は、運転者の顔において口が開いていることに起因して、運転者の顔の特徴が登録運転者と一致するか否かを認証装置200が判定する精度が低下することを抑制することができる。
【0029】
運転者の顔がマスクやサングラス等の着用物で覆われている場合には、認証装置200において顔の特徴点が検出できないことに起因して、顔認証の精度が低下することがある。そこで、通信制御部124は、検出部122が検出した運転者の顔の特徴点の数が所定数以上であることを条件として、撮像画像を認証装置200へ送信してもよい。所定数は、車両100に要求されるセキュリティレベル等に応じて定められる値である。通信制御部124は、検出部122が検出した運転者の顔の特徴点の数が所定数未満である場合には、撮像画像を認証装置200へ送信しなくてもよい。
【0030】
通信制御部124は、撮像画像の送信後、運転者の顔の特徴が登録運転者と一致するか否かの判定結果を示す情報を認証装置200から受信する。通信制御部124は、判定結果を示す情報を空調制御部125へ出力する。
【0031】
空調制御部125は、空調装置4により車室内の温度を調節する。空調制御部125は、通信制御部124が受信した判定結果を示す情報に基づいて、車室内の温度を調節する。記憶部11には、複数の登録運転者のそれぞれと、空調装置4の目標温度とを関連付けた目標温度テーブルが記憶されている。空調制御部125は、目標温度テーブルを記憶部11から読み出す。空調制御部125は、読み出した目標温度テーブルを参照して、認証装置200が運転者の顔の特徴と一致すると判定した登録運転者に関連付けられた目標温度を特定する。空調制御部125は、特定した目標温度に基づいて、車室内の温度を調節する。空調制御部125は、運転者の顔の特徴がどの登録運転者とも一致しないと認証装置200が判定した場合に、初期値として記憶部22に予め記憶されている目標温度に基づいて、車室内の温度を調節する。
【0032】
警告部126は、特定部123が特定した目の開度が第1基準値未満であること、特定部123が特定した口の開度が第2基準値以下であること、あるいは、検出部122が検出した運転者の顔の特徴点の数が所定数未満であること等により、複数の撮像タイミングにおいて取得部121が取得した撮像画像を通信制御部124が認証装置200へ送信しない場合に、運転者に顔の撮像のやりなおしを指示するメッセージをディスプレイ(不図示)に表示する。例えば、警告部126は、検出部122が検出した運転者の顔の特徴点の数が所定数未満であることにより、複数の撮像タイミングにおいて取得部121が取得した撮像画像を通信制御部124が認証装置200へ送信しない場合に、顔が着用物で覆われていることを運転者に注意喚起し、着用物を取ることを運転者に指示するメッセージをディスプレイ(不図示)に表示する。警告部126がメッセージをディスプレイに表示した後、取得部121は、運転者の顔の撮像画像の取得をやりなおしてもよい。
【0033】
[認証装置の構成]
図5は、認証装置200の構成を示す図である。認証装置200は、通信部21、記憶部22及び制御部23を備える。
【0034】
通信部21は、画像送信装置1と通信するための通信インターフェースである。記憶部22は、例えば、ROM及びRAM等の記憶媒体を有する。記憶部22は、制御部23を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、受信制御部231、抽出部232、決定部233、判定部234及び通知部235として機能する。
【0035】
受信制御部231は、車両識別情報と、撮像画像と、この撮像画像に関連付けられた角度情報とを画像送信装置1から受信する。抽出部232は、受信制御部231が受信した撮像画像から、運転者の顔の特徴を抽出する。抽出部232は、抽出した顔の特徴を決定部233へ出力する。
【0036】
[類似度の決定]
決定部233は、運転者の顔の特徴と、予め登録された登録運転者の顔の特徴とが類似する程度を示す類似度を決定する。記憶部22には、車両識別情報と、登録運転者を識別するための運転者識別情報と、登録運転者の顔の特徴を示す登録特徴情報と、登録角度情報とを関連付けた特徴テーブルが記憶されている。登録角度情報は、登録特徴情報が示す特徴を抽出する際に用いた登録運転者の顔の撮像画像において顔の向きが基準方向となす角度を示す。
【0037】
まず、決定部233は、記憶部22から特徴テーブルを読み出す。まず、決定部233は、特徴テーブルを参照して、受信制御部231が受信した車両識別情報に関連付けられた運転者識別情報を特定する。次に、決定部233は、特定した運転者識別情報と、受信制御部231が受信した角度情報が示す角度に最も近い角度を示す登録角度情報とに特徴テーブルにおいて関連付けられた登録特徴情報を特定する。
【0038】
決定部233は、受信制御部231がこの角度情報に関連付けて受信した撮像画像から抽出した顔の特徴と、特定した登録特徴情報が示す顔の特徴との類似度を決定する。同様にして、決定部233は、受信制御部231が受信した車両識別情報に関連付けられた他の運転者識別情報に対応する登録特徴情報が示す顔の特徴と、撮像画像から抽出した顔の特徴との類似度をそれぞれ決定する。
【0039】
判定部234は、決定部233が決定した類似度に基づいて、運転者の顔の特徴が登録運転者の顔の特徴と一致するか否かを判定する。より詳しくは、判定部234は、複数の角度情報に対応する複数の類似度に基づいて、運転者の顔の特徴が登録運転者の顔の特徴と一致するか否かを判定する。例えば、判定部234は、複数の角度情報に対応する類似度の平均値が閾値以上である場合に、運転者の顔の特徴が登録運転者の顔の特徴と一致すると判定する。閾値は、例えば、判定に用いる複数の角度情報の数に基づいて定められる。一方、判定部234は、複数の角度情報に対応する類似度の平均値が閾値未満である場合に、運転者の顔の特徴が登録運転者の顔の特徴と一致しないと判定する。
【0040】
判定部234は、複数の角度情報に対応する類似度の平均値に基づいて、運転者の顔の特徴が登録運転者の顔の特徴と一致するか否かを判定するので、判定の精度をより向上させることができる。判定部234は、受信制御部231が受信した車両識別情報に対応する一以上の登録運転者について、運転者の顔の特徴が登録運転者の顔の特徴と一致するか否かをそれぞれ判定する。
【0041】
通知部235は、通信部21を介して、画像送信装置1と通信する。通知部235は、受信制御部231が受信した車両識別情報に対応する一以上の登録運転者について、運転者の顔の特徴が登録運転者と一致するか否かの判定結果を示す情報を画像送信装置1へ送信する。通知部235は、運転者の顔の特徴が一致すると判定部234が判定した登録運転者の運転者識別情報を画像送信装置1へ送信してもよい。
【0042】
[撮像画像の送信の処理手順]
図6は、画像送信装置1による撮像画像の送信の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、例えば、車両100の走行中に開始する。まず、取得部121は、運転者の顔を撮像した撮像画像を取得する(S101)。検出部122は、取得部121が取得した撮像画像において運転者の顔の複数の特徴点を検出する(S102)。
【0043】
特定部123は、検出部122が検出した複数の特徴点の位置に基づいて、運転者の顔の向きを特定する(S103)。特定部123は、特定した運転者の顔の向きが基準方向となす角度を特定する(S104)。通信制御部124は、特定部123が特定した角度を示す角度情報と関連付けて、取得部121が取得した撮像画像を認証装置200へ送信し(S105)、処理を終了する。
【0044】
[本実施形態の画像送信装置による効果]
画像送信装置1の通信制御部124は、角度情報と関連付けて、撮像画像を認証装置200へ送信する。認証装置200の判定部234は、運転者の顔の特徴と、受信した角度情報に対応する登録特徴情報が示す顔の特徴とが一致するか否かを判定するので、同じ顔の向きで撮像された撮像画像から抽出された顔の特徴同士を比較することができる。このため、通信制御部124は、判定部234による判定の精度を向上させることができる。
【0045】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、画像送信装置1の通信制御部124は、特定部123が特定した角度を示す角度情報と関連付けて、撮像画像を認証装置200へ送信する場合の例について説明した。第2の実施形態では、通信制御部124は、特定部123が特定した角度が所定値以下であることを条件として、撮像画像を認証装置200へ送信する場合の例について説明する。
【0046】
通信制御部124は、撮像画像において特定部123が特定した角度が所定値以下であることを条件として、この撮像画像を認証装置200へ送信する。所定値は、車両100に要求されるセキュリティレベル等に応じて定められる値である。通信制御部124は、特定部123が特定した角度が所定値を超える撮像画像を認証装置200へ送信しない。
【0047】
認証装置200の受信制御部231は、撮像画像を画像送信装置1から受信する。決定部233は、複数の登録運転者の登録特徴情報が示す顔の特徴と、抽出部232が抽出した顔の特徴との類似度をそれぞれ決定する。判定部234は、決定部233が決定した類似度に基づいて、運転者の顔の特徴が複数の登録運転者の顔の特徴と一致するか否かをそれぞれ判定する。
【0048】
このようにして、画像送信装置1の通信制御部124は、運転者を正面に近い方向から撮像した撮像画像のみを認証装置200へ送信するので、判定部234による判定の精度を向上させることができる。
【0049】
本明細書では、空調制御部125は、運転者の顔の特徴が登録運転者と一致するか否かの判定結果を示す情報に基づいて、空調装置4により車室内の温度を調節する場合の例について説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されない。制御部12は、運転者の顔の特徴が登録運転者と一致するか否かの判定結果を示す情報に基づいて、車両100を起動してもよい。また、制御部12は、運転者の顔の特徴が登録運転者と一致するか否かの判定結果を示す情報に基づいて、車両100の運転者を特定し、運転者による車両100の運行の履歴を示す運行履歴情報を作成してもよい。制御部12は、車両100の運行を管理する管理者が所有する外部装置に対し、作成した運行履歴情報を送信してもよい。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0051】
1 画像送信装置
2 撮像部
3 通信部
4 空調装置
11 記憶部
12 制御部
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
100 車両
121 取得部
122 検出部
123 特定部
124 通信制御部
125 空調制御部
126 警告部
200 認証装置
231 受信制御部
232 抽出部
233 決定部
234 判定部
235 通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6