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特許7404951生体情報計測装置、生体情報計測装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】生体情報計測装置、生体情報計測装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/318 20210101AFI20231219BHJP
   A61B 5/332 20210101ALI20231219BHJP
【FI】
A61B5/318
A61B5/332
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020046034
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021145759
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐古 奈津希
(72)【発明者】
【氏名】小高 心哉
(72)【発明者】
【氏名】平木 美穂
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-237379(JP,A)
【文献】特開平5-293091(JP,A)
【文献】特開2009-28153(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0378965(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/318
A61B 5/332
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、第2電極と、第3電極とを備え、前記第1電極と前記第3電極の電位差に基づいて計測対象の生体情報を計測する生体情報計測装置であって、
前記各電極のうち第1電極又は第2電極に接続される第1接触検知回路と、前記第3電極に接続される第2接触検知回路と、前記第1接触検知回路から出力される第1信号及び前記第2接触検知回路から出力される第2信号に基づいて、前記各電極のいずれが前記計測対象の表面に接触しているかの接触状態、を判定する接触状態判定手段と、を備える電極接触状態検知手段と、
前記各電極の前記計測対象の表面への接触を、前記接触状態に対応付けられた所定の操作の入力として受け付ける入力受付手段と、を有する、
ことを特徴とする、生体情報計測装置。
【請求項2】
前記第1接触検知回路と接続される電極を、前記第1電極と前記第2電極とで切り換える、接触検知電極切換手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項3】
前記接触検知電極切換手段は、前記第1電極及び前記第2電極のうち、前記第1接触検知回路と接続されていない方の電極を、グラウンドと接続する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の生体情報計測装置。
【請求項4】
前記接触状態判定手段は、前記第1接触検知回路と接続される電極の別に応じて、前記接触状態の判定を、前記計測対象の生体情報を計測する際の計測時判定と、前記所定の操作の入力を受け付ける際の操作入力時判定と、で切り換えて実行し、
前記入力受付手段は、前記接触状態判定手段が前記操作入力時判定を実行している場合に、前記各電極の前記計測対象の表面への接触を、前記接触状態に対応付けられた所定の操作の入力として受け付ける、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報計測装置。
【請求項5】
前記接触状態に対応する所定の操作は、
少なくとも所定項目の選択を含む、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の生体情報計測装置。
【請求項6】
前記所定項目は、
前記計測対象の前記生体情報の計測時における、体調又は運動負荷状態、に係る項目である、
ことを特徴とする、請求項5に記載の生体情報計測装置。
【請求項7】
通知手段をさらに有しており、
前記通知手段は、前記計測対象の生体情報を計測する際には前記生体情報の計測に係る情報を通知し、前記所定の操作の入力を受け付ける際には前記所定項目の内容に係る情報を通知する、
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載の生体情報計測装置。
【請求項8】
前記生体情報は心電波形である、
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の生体情報計測装置。
【請求項9】
第1電極と、第2電極と、第3電極とを備え、前記第1電極と前記第3電極の電位差に基づいて計測対象の生体情報を計測する生体情報計測装置を制御する方法であって、
前記計測対象の前記生体情報を計測する計測ステップと、
所定の操作の入力を受け付ける入力受付ステップと、を有しており、
前記入力受付ステップでは、前記各電極の前記計測対象の表面への接触状態を判定し、前記判定の結果に応じて、前記各電極の前記計測対象の表面への接触を、前記接触状態に対応付けられている所定の操作の入力として受け付ける、
ことを特徴とする、生体情報計測装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の各ステップを生体情報計測装置に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルスケア関連の技術分野に属し、特に、生体情報計測装置、生体情報計測装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧値、心電波形などの、個人の身体・健康に関する情報(以下、生体情報ともいう)を計測機器によって計測し、当該計測結果を情報端末で記録、分析することで、健康管理を行うことが普及しつつある。
【0003】
上記のような計測機器の一例として、日常生活において胸部の痛みや動悸などの異常発生時にすぐに心電波形を計測(いわゆるイベント型心電図検査)するための携帯型の心電計測装置が提案されており、心疾患の早期発見や適切な治療への貢献が期待されている(例えば、特許文献1など)。
【0004】
ところで、計測された心電波形を確認する際には、被験者が何らかの症状を自覚したタイミングで計測された心電波形だけを確認したいというニーズがある。この点について、特許文献1では、液晶ディスプレイと操作ボタンとを備え、心電計測時に、被験者の自覚症状を入力して計測時の心電波形と共に記録することができる携帯型の心電計測装置が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載の心電計測装置であれば、被験者が何らかの症状を自覚したタイミングで計測された心電波形など、計測時の被験者の状態に応じた生体波形を効率的に確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-28153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、当該特許文献1に記載の技術では、液晶ディスプレイ等の表示装置及び操作部を設ける必要があるため、計測装置のサイズがそれに応じて大きくなってしまう。このことは、計測を行う際に、装置の保持が不安定になり、計測の精度を低下させるという問題を生じさせる。また、そもそも携帯型心電計測装置において、携帯性を低下させるという問題がある。
【0008】
上記のような問題に鑑みて、本発明は、電極を備える携帯型の生体情報計測装置において、所定の情報の入力を可能にするとともに、装置の構成から情報入力のための操作部及び表示画面を排して小型化することを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る生体情報計測装置は、
第1電極と、第2電極と、第3電極とを備え、前記第1電極と前記第3電極の電位差に基づいて計測対象の生体情報を計測する生体情報計測装置であって、
前記各電極のうち第1電極又は第2電極に接続される第1接触検知回路と、前記第3電極に接続される第2接触検知回路と、前記第1接触検知回路から出力される第1信号及び前記第2接触検知回路から出力される第2信号に基づいて、前記各電極のいずれが前記計
測対象の表面に接触しているかの接触状態、を判定する接触状態判定手段と、を備える電極接触状態検知手段と、
前記電極の前記計測対象の表面への接触を、前記接触状態に対応付けられた所定の操作の入力として受け付ける入力受付手段と、を有する。
【0010】
上記のような構成によると、生体情報を計測するための電極を用いて、該電極の身体への接触状態(いずれの電極が接触しているか)の違いに応じて、それぞれの接触状態に対応する操作を装置に入力することができる。このため、操作を入力するための操作部を別に設ける必要がなく、装置を大型化させることなく、装置に所定の情報を入力することが可能になる。
【0011】
また、前記第1接触検知回路と接続される電極を、前記第1電極と前記第2電極とで切り換える、接触検知電極切換手段をさらに有していてもよい。また、前記接触検知電極切換手段は、前記第1電極及び前記第2電極のうち、前記第1接触検知回路と接続されていない方の電極を、グラウンドと接続してもよい。
【0012】
このような構成であると、生体情報の計測のために最適化して配置された電極を用いて入力を行う場合であっても、操作の入力時にその入力の判定を行う電極接触状態検知手段の回路を、入力操作を行うのに不自由でない電極に接続するように切り換えることでき、利用者の利便性を向上させることができる。
【0013】
また、前記接触状態判定手段は、前記第1接触検知回路と接続される電極の別に応じて、前記接触状態の判定を、前記計測対象の生体情報を計測する際の計測時判定と、前記所定の操作の入力を受け付ける際の操作入力時判定と、で切り換えて実行し、
前記入力受付手段は、前記接触状態判定手段が前記操作入力時判定を実行している場合に、前記各電極の前記計測対象の表面への接触を、前記接触状態に対応付けられた所定の操作の入力として受け付けるようにしてもよい。
【0014】
このような構成により、生体情報の計測を行う場合と情報の入力を行う場合とで電極の接触判定を使い分けることができ、生体情報の計測時に誤って情報の入力が行われたり、その逆の事態が生じたりすることを防止することができる。
【0015】
また、前記接触状態に対応する所定の操作は、少なくとも所定項目の選択を含んでいてもよい。このような構成であると、予め定められている項目に関する意図した情報の入力を、電極の接触状態を意図的に変えることのみで行うことが可能になる。
【0016】
また、前記所定項目は、前記計測対象の前記生体情報の計測時における、体調又は運動負荷状態、に係る項目であってもよい。ここで、体調とは計測対象(以下、ユーザーともいう)が、生体情報計測時において自覚するものであり、例えば胸痛、めまい、倦怠感、吐き気、動悸、息切れ、失神、異常なし、などの項目を含むことができる。また、運動負荷状態とは、ユーザーが生体情報計測時において自覚する運動量であり、例えば、多い、普通、少ない、休息状態、などを含むことができる。
【0017】
このような、生体情報の計測時における体調又は運動負荷状態が、計測データと対応付けられることで、効率的な計測データの確認、計測データの分析精度向上、などに資することが可能になる。
【0018】
また、前記生体情報計測装置は、通知手段をさらに有しており、前記通知手段は、前記計測対象の生体情報を計測する際には前記生体情報の計測に係る情報を通知し、前記所定の操作の入力を受け付ける際には前記所定項目の内容に係る情報を通知するものであってもよい。通知手段を有していると、各種の情報を通知することが可能になり、ユーザーの利便性を向上させることができる。また、LED等の場所取らない部品を通知手段とすれば、装置サイズが増大する悪影響を最小限にすることもできる。なお、通知手段は、LEDに限定されるわけではなく、液晶ディスプレイやスピーカーなどであってもよい。
【0019】
また、前記生体情報は心電波形であってもよい。本発明は、このような装置にとって好適である。
【0020】
また、本発明に係る生体情報計測装置の制御方法は、
第1電極と、第2電極と、第3電極とを備え、前記第1電極と前記第3電極の電位差に基づいて計測対象の生体情報を計測する生体情報計測装置を制御する方法であって、
前記計測対象の前記生体情報を計測する計測ステップと、
所定の操作の入力を受け付ける入力受付ステップと、を有しており、
前記入力受付ステップでは、前記各電極の前記計測対象の表面への接触状態を判定し、前記判定の結果に応じて、前記各電極の前記計測対象の表面への接触を、前記接触状態に対応付けられている所定の操作の入力として受け付けることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、上記の方法を生体情報計測装置に実行させるためのプログラム、そのようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として捉えることもできる。
【0022】
なお、上記構成及び処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、電極を備える携帯型の生体情報計測装置において、所定の情報の入力を可能にするとともに、装置の構成から情報入力のための操作部及び表示画面を排して小型化することを可能にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態1に係る携帯型心電計の構成を示す六面図である。図1Aは、実施形態1に係る携帯型心電計の構成を示す正面図である。図1Bは、実施形態1に係る携帯型心電計の構成を示す背面図である。図1Cは、実施形態1に係る携帯型心電計の構成を示す左側面図である。図1Dは、実施形態1に係る携帯型心電計の構成を示す右側面図である。図1Eは、実施形態1に係る携帯型心電計の構成を示す平面図である。図1Fは、実施形態1に係る携帯型心電計の構成を示す底面図である。
図2図2Aは、実施形態1に係る携帯型心電計の電極により入力を行う際の装置の保持方法の一例を示す第1の説明図である。図2Bは、実施形態1に係る携帯型心電計の電極により入力を行う際の装置の保持方法の一例を示す第2の説明図である。
図3図3は、実施形態1に係る携帯型心電計の機能構成を説明するブロック図である。
図4図4は、実施形態1に係る携帯型心電計の電気回路構成の一部を示す回路図である。
図5図5は、実施形態1に係る携帯型心電計の接触検知電極切換部の構成を示す説明図である。
図6図6は、実施形態1に係る携帯型心電計を用いて心電計測を行う際の処理の手順を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態1に係る携帯型心電計の心電波形計測時のサブルーチンを示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態1に係る携帯型心電計において心電波形計測前の電極接触検知処理に関するサブルーチンを示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態1に係る携帯型心電計において心電波形計測後の処理に係るサブルーチンを示す第1のフローチャートである。
図10図10は、実施形態1に係る携帯型心電計において心電波形計測後の処理に係るサブルーチンを示す第2のフローチャートである。
図11図11は、実施形態2に係る携帯型心電計の構成を示す六面図である。図11Aは、実施形態2に係る携帯型心電計の構成を示す正面図である。図11Bは、実施形態2に係る携帯型心電計の構成を示す背面図である。図11Cは、実施形態2に係る携帯型心電計の構成を示す左側面図である。図11Dは、実施形態2に係る携帯型心電計の構成を示す右側面図である。図11Eは、実施形態2に係る携帯型心電計の構成を示す平面図である。図11Fは、実施形態2に係る携帯型心電計の構成を示す底面図である。
図12】実施形態2に係る携帯型心電計の機能構成を説明するブロック図である。
図13図13は、実施形態2に係る携帯型心電計における心電波形計測時のサブルーチンを示すフローチャートである。
図14図14Aは、実施形態2に係る携帯型心電計のLED表示に係る第1の説明図である。図14Bは、実施形態2に係る携帯型心電計のLED表示に係る第2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態1>
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】
(装置構成)
図1は、本実施形態における携帯型心電計1の構成を示す図である。図1Aは本体の正面を示す正面図であり、同様に図1Bは背面図、図1C左側面図、図1Dは右側面図、図1Eは平面図、図1Fは底面図、となっている。
【0027】
図1に示すように、携帯型心電計1の左側面には電源スイッチ16が設けられ、携帯型心電計1の背面には、バッテリーの収容口、電池カバー15が配置されている。
【0028】
また、携帯型心電計1の底面には心電計測時に身体の左側に接触させる左側電極12aが設けられており、反対側面である上面側には、右手人差し指の中節を接触させる第一右側電極12bと、右手人指し指の基節を接触させる第二右側電極12cが設けられている。なお、本実施形態における左側電極12aが本発明に係る第1電極に相当し、同様に、第一右側電極12bが第2電極に、第二右側電極12cが第3電極に相当する。
【0029】
心電計測時には、右手で携帯型心電計1を保持し、右手人差し指を、第一右側電極12b、第二右側電極12cに正しく接触するように携帯型心電計1の上面部に配置する。そのうえで、左側電極12aを所望の計測法に対応する位置の皮膚に接触させる。例えば、いわゆるI誘導で計測を行う場合には、左側電極12aを左手の掌に当てて接触させ、いわゆるV4誘導で計測を行う場合には、左胸部の心窩部やや左方・乳頭下方の肌に接触させる。
【0030】
また、後に詳述するように、携帯型心電計1は、電極を用いた入力操作を行うことが可能になっており、当該入力操作を行う際には、上記の電極接触態様に関わらず、入力操作を行うために電極に接触しやすい態様で、携帯型心電計1を保持すればよい。図2に、入力操作を行う際の携帯型心電計1の保持方法の一例を示す。図2に示すように、例えば、左側電極12aを右手親指及び/又は左手親指に接触させ、第一右側電極12bを、左手
人指し指で、第二右側電極12cを右手人指し指で接触することにより、入力操作を行うようにしてもよい。
【0031】
図3には携帯型心電計1の機能構成を示すブロック図が記載されている。図3に示すように、携帯型心電計1は制御部101、電極部12、アンプ部102、AD変換部103、タイマ部104、記憶部105、操作部107、電源部108、接触検知回路90、接触状態判定部110の各機能部を備える構成となっている。
【0032】
制御部101は、携帯型心電計1の制御を司る手段であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含んで構成される。制御部101は、操作部107を介してユーザーの操作を受け付けると、所定のプログラムに従って心電計測、操作入力受付など各種の処理を実行するように携帯型心電計1の各構成要素を制御する。なお、所定のプログラムは後述の記憶部105に保存され、ここから読み出される。
【0033】
また、制御部101は、機能モジュールとして、後述する接触検知回路90からの出力信号に基づいて、前記の各電極のいずれがユーザーに接触しているかの接触状態を判定する接触状態判定部110を備えている。即ち、本実施形態における接触検知回路90と接触状態判定部110が本発明の電極接触状態検知手段に相当する。
【0034】
電極部12は、左側電極12a、第一右側電極12b、第二右側電極12cからなり、心電波形を検出するセンサとして機能するとともに、後述のように操作部107も兼ねて機能する。アンプ部102は、後述するように電極部12から出力された心電波形を示す信号を増幅する機能を有している。AD変換部103は、アンプ部102で増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、制御部101へ伝送する機能を有している。
【0035】
タイマ部104はRTC(Real Time Clock)を参照して、時間を計測する機能を有している。例えば、心電計測開始前に、全ての電極がユーザーに接触している状態の時間、計測開始から計測終了までの時間、計測終了後からの経過時間、等をカウントする。
【0036】
記憶部105は、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置を含んで構成され、アプリケーションプログラム、計測心電波形、心電波形解析結果、後述する操作によって入力される、心電計測時の体調・運動負荷などの各種の情報を記憶する。また、RAMに加えて、例えばフラッシュメモリなどの長期記憶媒体を備えていても良い。
【0037】
操作部107は、電源スイッチ16、及び上述の電極部12などから成り、ユーザーからの入力操作を受け付け、制御部101に操作に応じた処理を実行させるための機能を有する。
【0038】
電源部108は、装置の稼働に必要な電力を供給するバッテリーを含んで構成される。バッテリーは、例えばリチウムイオンバッテリーなどの二次電池であっても良いし、一次電池としても良い。
【0039】
接触検知回路90は、左側電極12a、第一右側電極12b、第二右側電極12cの各電極と接続される電気回路であり、これらの電極が、ユーザーに接触しているか否かを出力する機能を有する。以下、図4に基づいて、接触検知回路90について詳細に説明する。図4は接触検知回路90を構成する電気回路について説明する回路図である。
【0040】
接触検知回路90は概略、左側電極12a又は第一右側電極12bと接続される第一検知回路91と、第二右側電極12cと接続される第二検知回路92とを備えている。接触検知回路90はさらに、制御部101の制御により第一検知回路91と接続される電極を左側電極12aと第一右側電極12bとの間で切り換える、接触検知電極切換部93を備える構成となっている。
【0041】
図5に、接触検知電極切換部93を示す。接触検知電極切換部93は、第一セレクタ(デマルチプレクサ)931、第二セレクタ932を備えており、制御部101の制御により、各セレクタ931、932を切り換えることで、左側電極12aと第一右側電極12bが接続される先の回路を切り換える。
【0042】
図4及び図5において、左側電極12aが第一検知回路91に接続されるときは、第一右側電極12bはグラウンドに接続される。逆に、第一右側電極12bが第一検知回路91に接続されるときは、左側電極12aがグラウンドに接続される。例えば、心電計測時には図5に示す各セレクタ931、932中の線で示す回路接続例のように、左側電極12aを第一検知回路91と接続して第一右側電極12bをグラウンドに接続する。一方、後述の操作入力時には、図5に示す各セレクタ931、932中の線で示す回路接続例のように、左側電極12a及び第一右側電極12bの接続先を切り換える。
【0043】
第一検知回路91は、第一比較器910と、第一バイアス電源911と、第一スイッチング素子912と、第一プルアップ抵抗913と、第一RCフィルタ914と、第一基準電圧電源915と、第一基準電圧抵抗916a、916bと、第一ヒステリシス抵抗917a、917bとを含んで構成される。
【0044】
第一バイアス電源911は、第一検知回路91と接続される電極が、グラウンドに接続される電極よりも高電位であるバイアス電位になるようバイアス電圧(例えば3V程度)を印加する。第一スイッチング素子912は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)などで構成されており、制御部101の制御により、第一バイアス電源911と第一プルアップ抵抗913とをON/OFFする。第一プルアップ抵抗913は接続されている回路の電位を高電位に保ち、第一RCフィルタ914は高周波成分を除去して第一バイアス電源911からの電圧を第一比較器910の-入力端子に入力する。以下、第一比較器910の-入力端子に入力される電位を第一バイアス電位という。
【0045】
第一比較器910の+入力端子には、第一基準電圧電源915から供給され、第一基準電圧抵抗916a、916bによって調整される所定の接触検知基準電圧(例えば1.5V程度)が入力される。以下、第一比較器910の+入力端子に入力される電位を第一検知基準電位という。
【0046】
第一比較器910は、例えばオペアンプで構成されており、第一バイアス電位が、第一検知基準電位に対して所定のヒステリシス分低下した場合に、High信号を出力する。一方、第一バイアス電位が、第一検知基準電位と同程度以上である場合にはLow信号を出力する。
【0047】
左側電極12aと第一右側電極12bとが、ともにユーザーの皮膚表面に接触されていると、人体のインピーダンスを経由して左側電極12aよりも低電位の第一右側電極12bに電流が流れ、第一プルアップ抵抗913において電圧降下が発生し、第一バイアス電位が低下する。そうすると、第一比較器910の出力はLowからHighに変化する。なお、図中の破線部で示した回路95が人体のインピーダンスを経由した電流の経路を示している。
【0048】
第二検知回路92は、第二比較器920と第二バイアス電源921と、第二スイッチング素子922と、第二プルアップ抵抗923と、第二RCフィルタ924と、第二基準電
圧電源925と、第二基準電圧抵抗926a、926bと、第二ヒステリシス抵抗927a、927bとを含んで構成される。
【0049】
第二バイアス電源921は第二右側電極12cがグラウンドに接続されている電極よりも高電位であるバイアス電位になるように、第二右側電極12cにバイアス電圧を印加する。その他、第二検知回路92の各要素の構成・機能は、対応する第一検知回路91のそれと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0050】
第一比較器910及び第二比較器920の出力信号は、CPU(制御部101)に送られ、接触状態判定部110によって、いずれの電極が身体に接触しているのかが判定される。接触状態判定部110は、例えば、各比較器の出力がHighであるならば、全ての電極が身体に接触していると判定する。
【0051】
なお、図4及び図5に示すように、左側電極12a又は第一右側電極12bのいずれかが差動増幅器94の+入力端子と接続され、第二右側電極12cは差動増幅器94の-入力端子と接続される。また、左側電極12a又は第一右側電極12bの差動増幅器94の+入力端子と接続されていない方の電極がグラウンドに接続される。例えば、心電計測時には、左側電極12aが差動増幅器94の+入力端子に接続されており、差動増幅器94は、左側電極12aと第二右側電極12cとの電位差を増幅して出力し、当該出力が、図示しないフィルタ回路を介して、アンプ部102、AD変換部103へと伝達されることで心電計測が行われる。
【0052】
次に、心電計測を行う際の携帯型心電計1の動作について、図6から図1に基づいて説明する。図6は、携帯型心電計1を用いて心電計測を行う際の処理の手順を示すフローチャートである。また、図7は、心電波形計測時のサブルーチンを示すフローチャートであり、図8は心電波形計測前の電極接触検知処理に関するサブルーチンを示すフローチャートである。
【0053】
図6に示すように、本実施形態に係る携帯型心電計1で心電計測を行う際には、心電波形計測の処理(S11)を行った後、接触検知電極切換部93による第一検知回路91へ接続する電極の切り換え処理を行う(S12)。その後、ユーザーの心電計測時の体調(自覚症状)を入力する処理を行い(S13)、続けて、ユーザーの心電計測時の運動負荷を入力する処理を行って(S14)、一連の処理を終了する。以下、ステップS11(心電波形計測の処理)、ステップS13(体調の入力処理)、ステップS14(運動負荷の入力処理)の各処理についての詳細を順に説明する。
【0054】
(心電計測処理)
図7を参照すると、ユーザーはまず、心電計測に先立ち、電源スイッチ16を操作し携帯型心電計1の電源をONにする。そして、右手で携帯型心電計1を保持し、右手人差し指を、第一右側電極12b、第二右側電極12cに接触させ、計測を行う箇所の肌に、左側電極12aを接触させる。そうすると、制御部101は電極部12、接触状態判定部110を介して、各電極の接触状態を検知する(S101)。
【0055】
ここで、図8に基づいて、ステップS101のサブルーチンの処理を説明する。まず電源スイッチ16がONにされると、制御部101は第一スイッチング素子912、第二スイッチング素子922をONにし、左側電極12a、第二右側電極12cにバイアス電圧を印加する(S201)。なお、この際、接触検知電極切換部93では、第一セレクタ931が左側電極12aを第一検知回路91に接続し、第二セレクタ932が第一右側電極12bをグラウンドに接続する状態となっている。
【0056】
ここで、左側電極12a、第一右側電極12b、第二右側電極12cが全て身体に接触されていれば、第一比較器910と第二比較器920はいずれもHighを出力し、接触状態判定部110によりその旨が判定される。当該Highの信号が所定時間(例えば3秒)継続して出力されれば、各電極が正しくユーザーに接触され、心電計測の準備が整った状態であるとすることができる。ここで、所定時間が経過したか否かはタイマ部104を参照して行えばよく、制御部101は、ステップS202において、全電極が接触状態である時間を計測するタイマカウント値(以下、接触時間カウント値という)をリセット(0に設定)する。
【0057】
具体的には、制御部101は、ステップS203において接触状態判定部110が左側電極12a、第一右側電極12b、第二右側電極12cがそれぞれ身体に接触されていると判定した場合には、ステップS204に進み、その状態で所定時間が経過したか否かを判定する。一方、ステップS203において、全ての電極が身体に正しく接触されていないと判定した場合には、ステップS202に戻って接触時間カウント値をリセットし、以後の処理を繰り返す。
【0058】
制御部101は、ステップS204において、所定時間が経過していないと判定した場合には、ステップS203に戻り、以後の処理を繰り返す。一方、ステップS204において、所定時間が経過していると判定した場合には、第一スイッチング素子912及び第二スイッチング素子922をOFFにしてプルアップ抵抗を無効にし(ステップS205)、サブルーチンを終了する。
【0059】
図7の説明に戻ると、ステップS101のサブルーチンが終了した後、制御部101は実際の心電計測処理を実行し(ステップS102)、心電計測の時間が所定の計測時間(例えば30秒)を経過したか否かを判定する処理を行う(ステップS103)。ここで、まだ所定の時間を経過していないと判断した場合には、ステップS102に戻って以降の処理を繰り返す。一方、所定の計測時間が経過したと判断した場合には、計測を終了するとともに、記憶部105(長期記憶媒体)に保存する(S104)。
【0060】
心電波形計測の処理が終了すると、ユーザーは続けて、心電計測時の体調、運動負荷を入力(及び記録)する作業を行う。このために、制御部101は心電計測処理が終了すると、接触検知電極切換部93において第一検知回路91への接続電極を切り換える処理を行う(S12)。第一検知回路91への接続電極が左側電極12aから第一右側電極12bに切り換わると、左側電極12aがグラウンド電極になり、第一比較器910は第一右側電極12bの接触の有無について信号を出力するようになる。なお、当該切り換え処理は、計測終了から一定時間の経過を待って自動的に行うようにしてもよいが、例えば、電源スイッチ16をダブルタップするなど、ユーザーの入力を受けて行うようにしてもよい。
【0061】
ステップS13以降の心電計測時の体調及び運動負荷の入力フェーズでは、ユーザーは、図2に例示したような態様で携帯型心電計1を把持し、第一右側電極12b、第二右側電極12cをタップ(即ち接触)することで、各処理に対応する項目の選択、決定を行う。具体的には、第二右側電極12cのみをタップすることで、予め定められている項目の送り操作を行い、第一右側電極12bのみをタップすることで項目の戻し操作を行う。また、第一右側電極12bと第二右側電極12cのいずれの電極もタップすることにより、選択されている項目を決定する操作を行う。さらに、第一右側電極12b、第二右側電極12cの両電極を、所定時間内に二度タップ(いわゆるダブルタップ)することにより、さらに他の入力操作を可能にしてもよい。
【0062】
(体調情報入力処理)
図9に基づき、心電計測時のユーザーの体調を入力する処理(S13)の流れについて説明する。まず、制御部101は、体調に関する項目のうち、初期値として定められている項目を設定する(S301)。体調に関する項目は、例えば、胸痛、めまい、倦怠感、吐き気、動悸、息切れ、失神、その他(異常なし等)、が定められており、初期値には例えば胸痛が設定されている。
【0063】
次に、制御部101は、接触状態判定部110により、ユーザーが第一右側電極12b、第二右側電極12cの両電極に同時に接触したか否か(即ち、第一比較器910及び第二比較器920のいずれもが、同時にHighを出力したか否か)を判定する(S302)。ここで、両電極に同時に接触した判断するとステップS303に進む。
【0064】
一方、ステップS302で、第一右側電極12b、第二右側電極12cの両電極にユーザーが同時に接触していないと判断すると、ステップS305に進み、第一右側電極12b、第二右側電極12cのいずれかの電極にユーザーが接触したかを判定する処理を行う。ここで、いずれの電極にもユーザーが接触していないと判断すると、ステップS302に戻って以降の処理を繰り返す。一方、ステップS305で、第一右側電極12b、第二右側電極12cのいずれかの電極にユーザーが接触したと判断した場合には、当該接触した電極に応じて項目の送り又は戻し(項目の切り替え)を行い(S306)、ステップS302に戻って以降の処理を繰り返す。
【0065】
ステップS303では、所定時間内に再度第一右側電極12b、第二右側電極12cの両電極にユーザーが同時に接触したか否か(即ち、ダブルタップされたか否か)を判定する処理を行う。ここで、ダブルタップされていないと判断した場合には、現在選択されている項目を一旦決定し(S307)、ステップS302に戻って、以降の処理を繰り返す。即ち、ステップS302からステップS307の処理を繰り返すことで、複数の項目を登録することが可能になる。このような処理を行う理由は、体調に関しては複数の自覚症
状がある場合が想定されるため(例えば、動悸とめまい、等)、これに応じて複数の項目を記録するためである。
【0066】
一方、制御部101は、ステップS303で、第一右側電極12b、第二右側電極12cの両電極がダブルタップされたと判断した場合には、現在設定されている全ての項目を、心電計測時のユーザーの体調として確定のうえ記憶部105に登録し(ステップS304)、ステップS13のルーチンを終了する。
【0067】
(運動負荷情報入力処理)
続けて、図10に基づき、心電計測時のユーザーの運動負荷を入力する処理(S14)の流れについて説明する。まず、制御部101は、運動負荷に関する項目のうち、初期値として定められている項目を設定する(S401)。運動負荷に関する項目は、例えば、多い、普通、少ない、休息状態、が定められており、初期値には例えば普通が設定されている。
【0068】
次に、制御部101は、接触状態判定部110により、ユーザーが第一右側電極12b、第二右側電極12cの両電極に同時に接触したか否か(即ち、第一比較器910及び第二比較器920のいずれもが、同時にHighを出力したか否か)を判定する(S402)。
【0069】
ここで、第一右側電極12b、第二右側電極12cの両電極にユーザーが同時に接触していないと判断すると、ステップS404に進み、第一右側電極12b、第二右側電極12cのいずれかの電極にユーザーが接触したかを判定する処理を行う。ここで、いずれの電極にもユーザーが接触していないと判断すると、ステップS402に戻って以降の処理を繰り返す。
【0070】
一方、ステップS404で、第一右側電極12b、第二右側電極12cのいずれかの電極に接触したと判断した場合には、当該接触した電極に応じて項目の送り又は戻し(項目の切り替え)を行い(S405)、ステップS402に戻って以降の処理を繰り返す。
【0071】
一方、制御部101は、ステップS402で、第一右側電極12b、第二右側電極12cの両電極にユーザーが同時に接触したと判断すると、現在設定されている項目を、心電計測時のユーザーの運動負荷として確定のうえ記憶部105に登録し(ステップS403)、ステップS14のルーチンを終了する。
【0072】
以上のような構成の本実施形態に係る携帯型心電計1によれば、心電計測のための電極と電源(及び電源スイッチ)を備えるだけの小型の計測装置においても、心電計測時の体調・運動負荷などの所望の情報の入力を行い、計測データとともに記憶しておくことが可能となる。なお、本実施形態においては制御部101が本発明における入力受付手段に相当する。
【0073】
<実施形態2>
(装置構成)
次に、本発明に係る他の実施形態である携帯型心電計10について、図11から図14に基づいて説明する。本実施形態に係る携帯型心電計10は、上述の携帯型心電計1と多くの構成、機能を共通にしているため、同様の構成、機能及び処理については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0074】
図11は、本実施形態における携帯型心電計10の構成を示す図である。図11Aは本体の正面を示す正面図であり、同様に図11Bは背面図、図11C左側面図、図11Dは右側面図、図11Eは平面図、図11Fは底面図、となっている。
【0075】
図11に示すように、本実施形態に係る携帯型心電計10は、実施形態1の携帯型心電計1と同様に、底面及び上面に、左側電極12a、第一右側電極12b及び第二右側電極12cの各電極が設けられている。
【0076】
また、携帯型心電計10の左側面には各種の操作部、及びインジケータが配置されている。具体的には、電源スイッチ16、電源LED16a、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信ボタン17、BLE通信LED17a、メモリー残表示LED18、電池交換LED19、等を備えている。
【0077】
また、携帯型心電計10の正面には、第一LED通知部13、第二LED通知部14、が設けられ、携帯型心電計10の背面には、バッテリーの収容口、電池カバー15が配置されている。
【0078】
また、図12には携帯型心電計10の機能構成を示すブロック図が記載されている。図12に示すように、携帯型心電計10は制御部101、電極部12、アンプ部102、AD変換部103、タイマ部104、記憶部105、表示部106、操作部107、電源部108、通信部109、接触検知回路90、接触状態判定部110、解析部111の各機能部を備える構成となっている。
【0079】
制御部101の基本的な構成は携帯型心電計1と同様であるが、本実施形態に係る携帯型心電計10では、解析部111の機能モジュールをさらに備えている。解析部111は、計測された心電波形について、波形の乱れの有無などを解析し、少なくとも計測時の心電波形が正常か否かの結果をアウトプットする。
【0080】
表示部106は、第一LED通知部13、第二LED通知部14、電源LED16a、BLE通信LED17a、メモリー残表示LED18、電池交換LED19などを含んで構成され、LEDの点灯、点滅などによって各種情報をユーザーに伝達する。なお、本実施形態においては、表示部106(及び制御部101)が本発明の通知手段に相当する。表示部の詳細については後述する。
【0081】
通信部109は、無線通信用のアンテナを含み、少なくともBLE通信により、情報処理端末などの他の機器と通信する機能を有する。また、有線による通信のための端子を備えていてもよい。
【0082】
携帯型心電計10のその他の構成、機能については実施形態1に係る携帯型心電計1のそれと同様であるため、説明を省略する。
【0083】
(携帯型心電計による処理の流れ)
続けて、心電計測を行う際の携帯型心電計10の処理の流れについて説明する。なお、本実施形態においても、心電波形計測の処理を行った後に、接触検知電極切換部93による電極の切り換えを行い、その後、体調情報、運動負荷情報の入力操作(以下、併せて情報入力処理という)を行うという流れについては同様である。以下では、心電計測を行う際の携帯型心電計10の動作について、図13に基づいて説明する。図13は、本実施形態に係る携帯型心電計10における心電波形計測時のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0084】
図13を参照すると、ユーザーはまず、計測に先立ち、電源スイッチ16を操作し携帯型心電計10の電源をONにする。そうすると、電源LED16aが点灯して電源がONであることを表示する。そして、右手で携帯型心電計10を保持し、右手人差し指を、第一右側電極12b、第二右側電極12cに接触させ、計測を行う箇所の皮膚に、左側電極12aを接触させる。そうすると、制御部101は電極部12、接触状態判定部110を介して、各電極の接触状態を検知する(S101)。なお、接触状態検知に係るサブルーチンは実施形態1と同様であるため、説明は省略する。
【0085】
ステップS101のサブルーチンが終了した後、制御部101は実際の心電計測処理を実行する(ステップS102)。制御部101は、心電計測を行っている間は、随時計測値を記憶部105に保存するとともに、本体正面の第一LED通知部13を所定のリズムで点滅させることにより、心電計測中であることを表示する(S111)。
【0086】
次に、制御部101は心電計測の時間が所定の計測時間(例えば30秒)を経過したか否かを判定する処理を行う(ステップS103)。ここで、まだ所定の時間を経過していないと判断した場合には、ステップS102に戻って以降の処理を繰り返す。一方、所定の計測時間が経過したと判断した場合には、計測を終了するとともに、第一LED通知部13の点滅を終了する処理を行う(ステップS112)。
【0087】
続けて、制御部101は解析部111により、記憶部105に保存された計測データ(心電波形)の解析を行い(S113)、解析結果は、心電波形と共に長期記憶媒体に保存される(S114)。そして、制御部101は、第二LED通知部14により、解析の結果を表示して(S115)、一連の処理を終了する。なお、解析結果の表示は、例えば、心電波形に異常がみられる場合のみLEDを点灯するのであっても良いし、解析結果に応じた点灯・点滅方法によりLEDを点灯させるようにしてもよい。
【0088】
その後、情報入力処理を行う点については同様であるが、本実施形態に係る携帯型心電
計10は、表示部106を備えているため、体調情報、運動負荷情報の入力時にも、当該表示部106を活用することができる。
【0089】
図14は、情報入力処理を行う際の、第一LED通知部13及び第二LED通知部14の状態を示す説明図である。図14Aは、体調情報入力時の第一LED通知部13及び第二LED通知部14の表示態様について示しており、図14Bは、運動負荷情報入力時の第一LED通知部13及び第二LED通知部14の表示態様について示している。
【0090】
第二LED通知部14は、現在、体調と運動負荷いずれの情報の入力を行うフェーズなのか、即ち、図6におけるステップS13なのか、ステップS14なのか、を示す表示を行う。具体的には、図14に例示するように、第二LED通知部14は、ステップS13であれば赤色に点灯し、ステップS14であれば青色に点灯する。
【0091】
第一LED通知部13は、現在入力中の情報に係る項目に対応する色で点灯することにより、いかなる項目が選択中であるのかを示す表示を行う。具体的には、図14に例示するように、ステップS13であれば、赤色で点灯すると「胸痛」が選択中であることを示し、紫色で点灯すると「めまい」が選択中であることを示す。同様に、ステップS14であれば、赤色で点灯すれば運動負荷「多い」が選択中であることを示し、黄色で点灯すれば運動負荷「普通」が選択中であることを示す。
【0092】
具体的な処理としては、制御部101は体調情報の入力時であれば、ステップS301で初期値の項目(例えば、胸痛)が設定されるとともに、当該項目に対応する色(例えば、赤色)で第一LED通知部13を点灯させる。そして、ステップS306で、項目を切り替える処理を行うとともに、当該切り替え後の項目(例えば、めまい)に対応する色(紫色)に、点灯色を切り替える。運動負荷情報の入力時も同様の処理を行えばよい。
【0093】
このような構成を有する携帯型心電計10によれば、場所を取らないLEDにより、各種の表示を行うことが可能になり、電極を用いた入力操作を行う際も、ユーザーは現在入力しようとしている項目を確認したうえで、入力を行うことができる。これにより、入力操作時の利便性を大幅に向上させることが可能になる。
【0094】
<その他>
上記の実施形態の説明は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明は、その技術的思想の範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。
【0095】
例えば、上記各実施形態において、ステップS12で接続電極を切り換える処理と併せて、接触状態判定部110の判定内容を切り換える処理を行うようにしてもよい。即ち、ステップS101では、接触状態判定部110は全ての電極が接触状態であるか否かのみを判定してその判定結果を出力する処理を行う。一方、その後のステップS13以降の心電計測時の体調及び運動負荷の入力時には、接触状態判定部110は第一右側電極12bと第二右側電極12cのそれぞれの接触状態を個別に判定して出力するようにしてもよい。このようにすると、生体情報の計測を行う場合と情報の入力を行う場合とで電極の接触判定を使い分けることができ、生体情報の計測時に誤って情報の入力が行われたり、その逆の事態が生じたりすることを防止することができる。
【0096】
また、上記の各実施形態では、ステップS13、ステップS14の処理(情報入力処理)を、心電波形の計測後に行うようにしていたが、必ずしもこのような流れに限定されるものではなく、心電波形の計測前に情報入力処理を行うようにしてもよい。また、ステップS13、ステップS14の処理の順序も逆になって構わない。
【0097】
また、上記実施形態2は通知手段としてLEDを備える構成であったが、通知手段はLEDに限定されるわけではなく、液晶ディスプレイ等による表示やスピーカーによる音声出力での通知を行うようにしてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では詳しく説明していないが、通信部109によるBLE通信機能によって、心電計とスマートフォンなどの他の情報端末機器とを連携して活用することも可能である。また、上記実施形態では本発明を携帯型の心電計に適用したが、体組成計などの他の生体計測装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0099】
10・・・携帯型心電計
12a・・・左側電極
12b・・・第一右側電極
12c・・・第二右側電極
13・・・第一LED通知部
14・・・第二LED通知部
15・・・電池カバー
16・・・電源スイッチ
16a・・・電源LED
17・・・通信ボタン
17a・・・BLE通信LED
18・・・メモリー残表示LED
19・・・電池交換LED
91・・・第一検知部
910・・・第一比較器
911・・・第一バイアス電源
912・・・第一スイッチング素子
913・・・第一プルアップ抵抗
914・・・第一RCフィルタ
915・・・第一基準電圧電源
916a、916b・・・第一基準電圧抵抗
917a、917b・・・第一ヒステリシス抵抗
92・・・第二検知部
920・・・第二比較器
921・・・第二バイアス電源
922・・・第二スイッチング素子
923・・・第二プルアップ抵抗
924・・・第二RCフィルタ
925・・・第二基準電圧電源
926a、926b・・・第二基準電圧抵抗
927a、927b・・・第二ヒステリシス抵抗
93・・・接触検知電極切換部
931・・・第一セレクタ
932・・・第二セレクタ
94・・・差動増幅器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14