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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0481 20220101AFI20231219BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231219BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231219BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20231219BHJP
   G06F 3/04817 20220101ALI20231219BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20231219BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20231219BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G06F3/0481
B41J29/00 Z
B41J29/38 205
B41J29/42 F
G06F3/04817
G06F3/0488
G06F21/62 318
H04N1/00 127B
H04N1/00 838
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020051487
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021149837
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】アンジェラ アン・エンリーケズ
【審査官】石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-041512(JP,A)
【文献】特開2017-027293(JP,A)
【文献】特開2015-095696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0306705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048-3/04895
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
G06F 21/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作を受け付ける操作部と、
予め定められた移行条件が満たされると、本電子機器の使用又は操作を制限する第1モードに移行させ、前記操作部が予め定められたロック解除操作を受け付けると、前記第1モードから、本電子機器の使用を制限しない第2モードに移行させる制御部と、を備え、
前記制御部は、更に、アプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能について、最後に使用又は操作されてからの時間が予め定められた猶予時間以内のものについては、前記第1モードに移行していても、前記第1モード時の制限を行わずに、使用を許可する電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作部が操作されないまま、予め定められた移行時間が経過すると、前記移行条件が満たされたと判定して、前記第1モードに移行させるものであり、
前記猶予時間は、前記移行時間よりも長い時間に設定されている請求項1に記載の電子機器
【請求項3】
前記制御部は、更に、アプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能の使用又は操作の猶予時間を、前記操作部に入力される指示に従って設定する請求項1又は請求項に記載の電子機器。
【請求項4】
表示部を更に備え、
前記制御部は、更に、使用又は操作を許可されたアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能を示すアイコンのみを前記表示部に表示させる請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、更に、前記第1モードに移行しているときに予め定められたロック画面を前記表示部に表示させ、使用又は操作を許可されたアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能を示すアイコンのみを、前記第1モードに移行させたときに前記表示部に表示させる操作画面の一部に表示する請求項に記載の電子機器
【請求項6】
前記制御部は、前記第1モードに移行しているときに使用が許可されているアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能が使用又は操作されても、前記第1モードから前記第2モードに移行させない請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
タッチパネル機能を有する表示部を更に備え、
前記制御部は、前記第1モードに移行しているときに、使用又は操作を許可するアプリケーション、ファイル、及び予め定められた機能を示すアイコンを前記表示部に表示する請求項1乃至請求項のいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に、機器の操作についての技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置やスマートフォン等の電子機器には、一定時間操作がないとロック状態(スリープ状態)に切り替わる機能を有するものがある。また、電子機器には、高機能化が進み、多数のアプリケーションを有するものがあり、そのため操作が複雑化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-508793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、ロック状態を解除するための操作を行わずに、特定のアプリケーションを呼び出す技術が記載されている。ロック状態を解除するための操作を行わずに特定のアプリケーションを呼び出すことができれば、操作の利便性は向上するが、秘密保持の安全性の低下が懸念される。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、電子機器の操作において利便性及び秘密保持の安全性を両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る電子機器は、操作を受け付ける操作部と、予め定められた移行条件が満たされると、本電子機器の使用又は操作を制限する第1モードに移行させ、前記操作部が予め定められたロック解除操作を受け付けると、前記第1モードから、本電子機器の使用を制限しない第2モードに移行させる制御部と、を備え、前記制御部は、更に、アプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能について、使用又は操作されてからの時間が予め定められた猶予時間以内のものについては、前記第1モードに移行していても、前記第1モード時の制限を行わずに、使用を許可するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本電子機器に保存されているアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能の少なくとも一方において、最後に使用されてからの時間が予め定められた猶予時間(例えば、2分)以内のものについては、第1モードに移行していても、使用が許可される。
【0008】
これにより、第1モードに移行される直前まで使用されていたアプリケーションやファイルについては、ロックを解除しなくても使用することが可能となるので、利便性の向上が図れる。また、使用が許可されるのは限定的であるため、安全性にも配慮される。従って、秘密保持の安全性に配慮しつつ、電子機器の操作についての利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る電子機器としての画像形成装置を含んで構成される情報処理システムの全体を示す図である。
図2】第1実施形態に係る電子機器としての画像形成装置の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図3】表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
図4】外部装置で作成される操作画面の一例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る電子機器としての画像形成装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図6】外部装置で作成される操作画面の一例を示す図である。
図7】画像形成装置と外部装置との間で行われる情報のやり取りの一例を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る電子機器の外観を示す平面図である。
図9】第2実施形態に係る電子機器の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図10】表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
図11】第2実施形態に係る電子機器における処理の一例を示すフローチャートである。
図12】表示部に表示される操作画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置及び電子機器について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電子機器を含んで構成される情報処理システムの全体を示す図である。
【0011】
第1実施形態に係る電子機器は、例えば、画像形成装置である。画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。情報処理システム11は、インターネット等のネットワーク上に存在する、画像形成装置1と、複数の端末装置2と、を含んで構成されている。端末装置2は、例えば、パソコンである。
【0012】
図2は、画像形成装置1の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、記憶部8、定着部13、給紙部14、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91を備える。
【0013】
原稿給送部6は、原稿読取部5の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。
【0014】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により原稿読取部5へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0015】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、画像メモリー等に記憶されている画像データ、ネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0016】
記憶部8は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等であり、各種の制御プログラムを記憶する。
【0017】
定着部13は、画像形成部12によりトナー像が形成された記録紙を加熱及び加圧して、トナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は図略の排出トレイに排出される。給紙部14は、給紙カセットを備える。
【0018】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。また、操作部47は、表示部473が有するタッチパネルを介して、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0019】
表示部473は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部473は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0020】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内、又はインターネット上の端末装置2(図1)等の外部装置20と種々のデータの送受信を行う通信インターフェイスである。なお、ネットワークインターフェイス部91は、特許請求の範囲における通信部の一例である。
【0021】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100を備えている。
【0022】
制御ユニット10は、記憶部8等に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100として機能する。但し、制御部100は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0023】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、記憶部8、定着部13、給紙部14、操作部47、及びネットワークインターフェイス部91と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、給紙部14、画像形成部12、及び定着部13等を制御することによって、画像を記録媒体に形成する。
【0024】
また、制御部100は、ネットワークインターフェイス部91を介して、外部装置20との間で接続を確立して、操作部47からの外部装置20に対する遠隔制御を可能にする処理を実行する。
【0025】
例えば、操作部47が、外部装置20に対する遠隔制御を要求するユーザー操作を受け付けると、制御部100は、図3に示すような、操作画面G1を表示部473に表示する。操作画面G1には、ユーザーが遠隔制御を希望する外部装置20のIPアドレスを入力する入力欄SP1と、当該外部装置20のログインに必要となるユーザーのIDコードを入力する入力欄SP2と、パスワードを入力する入力欄SP3と、「接続」と記された選択ボタンB1とが表示されている。
【0026】
操作画面G1において、「接続」と記された選択ボタンB1がユーザーによって操作され、操作部47が外部装置20への接続のユーザー指示を受け付けると、制御部100は、ネットワークインターフェイス部91を介して、操作画面G1において指定されたIPアドレスに該当する外部装置20にアクセスして、操作画面G1において入力されたIDコード及びパスワードを用いて、外部装置20から制御の許可を得て、当該外部装置20との間で接続を確立し、操作部47からの外部装置20に対する遠隔制御を可能にする。
【0027】
ユーザーにより指定されたIPアドレスに該当する外部装置20がネットワーク上に存在しない場合や、上記IPアドレスに該当する外部装置20が存在しても、IDコードやパスワードが正規のものでない場合、外部装置20により制御は許可されないので、画像形成装置1からの外部装置20に対する遠隔制御はできない。
【0028】
制御部100は、操作部47からの外部装置20に対する遠隔制御を可能にしたとき、外部装置20に保存されているファイルのうち、当該外部装置20において最後に使用されてからの時間が予め定められた第1時間T1(例えば、30分)以内のファイルにアクセスする。
【0029】
具体的には、制御部100は、現在時刻CTから第1時間T1を減算した時刻を、基準時刻RT1として算出し、外部装置20にアクセスして、外部装置20に記憶されているファイルのうち、基準時刻RT1以降に使用されたファイルにアクセスする。例えば、現在時刻CTが16時15分で第1時間T1が30分に設定されている場合、基準時刻RT1は15時45分となるので、制御部100は、15時45分以降に使用されたファイルにアクセスする。なお、画像形成装置1は、例えば、RTC(Real-Time Clock)を使って時間を管理し、制御部100はRTCが示す時間情報から現在時刻CTを認識する。
【0030】
このとき、画像形成装置1の制御部100は、外部装置20から得られるファイル情報及びフォルダー情報に基づき、外部装置20に保存されているファイルを検索して、15時45分以降に使用されたファイルを検出し、当該検出したファイルを示すファイルアイコンを表示した操作画面を作成し、当該作成した操作画面を示す画面情報を表示部473に表示させる。
【0031】
例えば、15時45分以降に使用されたファイルとして、名称が「会議資料」のファイル(最終使用時刻が16時10分)や名称が「報告書」のファイル(最終使用時刻が15時55分)が存在し、制御部100がこれらを検出した場合、制御部100は、例えば、図4に示すような、検出したファイルを示すアイコンを有する操作画面G2を作成し、操作画面G2を表示部473に表示させる。図4に示した操作画面G2には、名称が「会議資料」のファイルを示すファイルアイコンF1と、名称が「報告書」のファイルを示すファイルアイコンF2とが表示されている。
【0032】
このように、画像形成装置1の表示部473における操作画面G2には、基準時刻RT1以降に使用されたファイルを示すファイルアイコンは表示されるが、基準時刻RT1以降に使用されていないファイルを示すファイルアイコンは表示されない。
【0033】
外部装置20としてのパソコン等の端末装置2においては、一般的に、ファイル毎に最後に使用された「更新日時情報」が記憶される。そのため、画像形成装置1の制御部100は、「更新日時情報」が示す時刻が基準時刻RT1以降のファイルを検索することによって、基準時刻RT1以降に使用されたファイルを検出することができる。
【0034】
制御部100は、ネットワークインターフェイス部91を介して、外部装置20から送信されてきた画面情報を受信すると、受信した画面情報に基づいて、操作画面G2を表示部473に表示する。
【0035】
上記したように、表示部473における操作画面G2には、基準時刻RT1以降に使用されたファイルを示すファイルアイコンは表示されるが、基準時刻RT1以降に使用されていないファイルを示すファイルアイコンは表示されない。
【0036】
すなわち、制御部100は、操作部47からの外部装置20に対する遠隔制御が可能となっているときに、外部装置20に保存されているファイルのうち、最後に使用されてからの時間が第1時間T1以内のものについてはアクセスするが、最後に使用されてからの時間が第1時間T1以内でないものについてはアクセスしない。
【0037】
また、更なる実施形態として、制御部100は、外部装置20からネットワークインターフェイス部91を介して印刷データを受信したときに、当該印刷データが示す内容を表示部473にプレビュー表示し、外部装置20において、当該印刷データに対応するファイルのみにアクセスし、当該ファイルを示すファイルアイコンを表示部473に表示させるようにしてもよい。この場合も、制御部100は、当該印刷データに対応するファイルであって、上記のように第1時間T1以内のものについてのみアクセスし、当該ファイルを示すファイルアイコンを表示部473に表示させるようにしてもよい。
【0038】
次に、第1実施形態に係る電子機器としての画像形成装置1における処理の一例を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理は、制御部100が、画像形成装置1とネットワーク接続されている複数の外部装置20のいずれかとの間で接続を確立して、操作部47からの当該外部装置20に対する遠隔制御が可能になったときに行われる。
【0039】
制御部100は、現在時刻CTから第1時間T1を減算して基準時刻RT1を算出し(S1)、基準時刻RT1以降に使用されたファイルを外部装置20から検出し(S2)、外部装置20から送信されてきた画面情報に基づいて、例えば、操作画面G2(図4)を表示部473に表示する(S3)。但し、基準時刻RT1以降に使用されたファイルが存在しなかった場合、図6に示すような、ファイルアイコンが表示されていない操作画面G3が外部装置20で作成され、当該操作画面G3が表示部473に表示される。
【0040】
続いて、制御部100は、操作部47が受け付けたユーザー操作に基づいた制御(後述する図7を参照)を行う(S4)。制御部100は、操作部47が外部装置20との切断を要求するユーザー指示を受け付けたか否かを判断し(S5)、操作部47が上記切断を要求するユーザー指示を受け付けたと判断した場合(S5でYES)、外部装置20との接続を切断し(S6)、この処理を終了する。一方、制御部100が、操作部47が上記切断を要求するユーザー指示を受け付けていないと判断した場合(S5でNO)、処理はS4に戻る。
【0041】
S4で行われる制御部100の制御の一例について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。操作画面G2(図4)に表示されているファイルアイコンF1がユーザーによってタッチされ、操作部47がファイルアイコンF1を選択する指示を受け付けると(S11)、制御部100は、外部装置20に対して、ファイルアイコンF1に対応するファイルへのアクセス要求を送信する(S12)。
【0042】
外部装置20は、画像形成装置1からの上記アクセス要求を受信すると(S13)、ファイルアイコンF1に対応するファイルへのアクセスを許可する(S14)。
【0043】
画像形成装置1の制御部100は、アクセスした上記ファイルを開き、当該ファイルの内容を示す画像を含む操作画面を作成し(S16)、当該操作画面を表示部473に表示する(S17)。
【0044】
ユーザーが、表示部473に表示された操作画面を視認して、操作部47の操作により、当該操作画面に表示されているファイルに対する編集(書き込み)指示を入力し、制御部100が当該編集指示を受け付けると(S21)、制御部100は、外部装置20の当該ファイルにアクセスする(S22)。そして、制御部100は、上記編集指示の示す内容に従って、当該ファイルの内容を編集する処理を行う(S23)。制御部100は、当該編集後の内容を示す画像を表示部473に上記操作画面として表示する。
【0045】
更に、ユーザーが、操作部47の操作により、当該操作画面に表示されているファイルに対する印刷指示を入力し、制御部100が当該印刷指示を受け付けると(S31)、制御部100は、外部装置20に当該ファイルについての印刷データの送信要求を送信する(S32)。
【0046】
外部装置20は、上記ファイルについての印刷データの送信要求を受信すると(S33)、画像形成装置1に対応するプリンタドライバーにより当該ファイルの印刷データを作成し(S34)、作成した印刷データを画像形成装置1に送信する(S35)。
【0047】
画像形成装置1の制御部100は、上記印刷データを受信すると(S36)、画像形成部12等を制御して、当該印刷データが示す画像の印刷を行う(S37)。
【0048】
上記第1実施形態によれば、外部装置20(例えば、パソコン等の端末装置2)を遠隔制御することが可能になる。これにより、例えば、印刷した結果に不満があった場合、外部装置20に戻らなくても、画像形成装置1を操作して、外部装置20を遠隔制御することで、印刷した結果の不満を解消することが可能になる。従って、電子機器間の往来を減らし、作業の効率化を図ることができる。
【0049】
また、遠隔制御においてアクセスが可能となるファイルは、外部装置20において最後に使用されてからの時間が予め定められた第1時間T1以内のものに限定されるので、安全性に配慮することができる。
【0050】
印刷した結果の不満をユーザーが解消したい場合、その対象となるファイルは、最後に使用されてから長い時間が経過しているケースは少ないと考えられる。そのため、アクセス可能となるファイルを、上記のように限定しても、ユーザーの利便性はあまり損なわれないと思われる。従って、安全性にも配慮しつつ、利便性の向上が図られる。
【0051】
また、上記第1実施形態では、遠隔制御においてアクセスが可能となるファイルについて、読み出しだけでなく、編集を許可しているが、別の実施形態として、制御部100は、外部装置20において最後に使用されてからの時間が、第1時間T1よりも短い、予め定められた第2時間T2(例えば、10分)以内のファイルについては、操作部47からユーザーによる編集指示を受け付けるが、外部装置20において最後に使用されてからの時間が第2時間T2以内でないファイルについては、操作部47からユーザーによる編集指示を受け付けないようにしてもよい。これにより、安全性をより高めることができる。
【0052】
また、ここまで、画像形成装置1からパソコン等の端末装置2に対する遠隔制御の場合を例にして説明しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、パソコン間の遠隔制御においても、本発明を採用することが可能である。
【0053】
図8は、第2実施形態に係る電子機器の外観を示す平面図である。図9は、第2実施形態に係る電子機器の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。電子機器200は、例えば、スマートファンなどのモバイル機器であって、制御ユニット210と、表示部220と、タッチパネル230と、通信部240と、記憶部250と、物理キー260と、を備えている。これらの各構成は、互いに通信パスによりデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0054】
表示部220は、液晶ディスプレイ(LCD)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)などから構成される。また、表示部220は、制御ユニット210からの応答やデータ結果等を表示する。
【0055】
タッチパネル230は、いわゆる抵抗膜方式や静電容量方式等のタッチパネルである。タッチパネル230は、表示部220の前面に配置され、表示部220の表示面へのユーザーによる接触をその接触位置と共に検知する。タッチパネル230は、ユーザーによる接触を検知すると、その接触点の座標位置を示す検知信号を制御ユニット210に出力する。このように、タッチパネル230は、表示部220の表示面に対するユーザー操作が入力される操作部としての役割を果たす。
【0056】
また、電子機器200は、ユーザー操作が入力される操作部として、上記のタッチパネル230に加えて物理キー260を備えている。当該物理キー260には、例えば、電源ボタンなどがある。
【0057】
通信部240は、図略のLAN(Local Area Network)チップなどの通信モジュールを備える通信インターフェイスである。電子機器200は、ネットワークを介して他の電子機器と接続され、通信部240により接続された電子機器との間でデータの送受信を行う。
【0058】
記憶部250は、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリーであり、各種の制御プログラムやアプリケーション、ファイルを記憶する。また、制御部100は、記憶部250に、アプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能毎に、使用又は操作された日時情報を記憶させる。なお、現在時刻CTを示す時刻情報は、例えば、NITZ(Network Identity and Time Zone)という仕組みを利用することで、電子機器200はネットワークを介して取得することが可能で、後述する制御部211は現在時刻CTを認識する。なお、上記予め定められた機能とは、電子機器200で実行可能とされている機能のうち、予め定められた特定の機能(例えば、ライト点灯機能等)をいう。
【0059】
なお、上記の「使用又は操作された日時情報」は、例えば、(a)最後に使用又は操作された時点の日時情報、又は、(b)使用又は操作が開始された時点の日時情報のいずれかが用いられる。
【0060】
また、制御部100が、記憶部250に記憶させる上記日時情報は、アプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能について、その全体について使用又は操作がされた上記(a)(b)の日時情報の他、アプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能の一部について使用又は操作がされた上記(a)(b)の日時情報でもよい。
【0061】
本実施形態では、制御部100が、アプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能について、その全体について使用又は操作がされた上記(a)最後に使用又は操作された日時情報、を記憶部250に記憶させる場合を例にして説明する。
【0062】
制御ユニット210は、プロセッサー、RAM、及びROM等から構成される。プロセッサーは、例えば、CPU、ASIC、又はMPU等である。制御ユニット210は、上記記憶部250に記憶された制御プログラムが上記のプロセッサーに実行されることにより、制御部211として機能する。但し、制御ユニット210の上記の各構成は、前述の表示制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。以下、特に触れない限り、各実施形態についても同様である。
【0063】
制御部211は、電子機器200の全体的な動作制御を司る。制御部211は、表示部220、タッチパネル230、通信部240、記憶部250、及び物理キー260と接続されており、接続されている上記各構成の動作制御や、各構成との間での信号またはデータの送受信を行う。例えば、制御部211は、タッチパネル230が受け付けたユーザー指示に従って、ユーザーにより指定されたアプリケーションを実行し、ファイルを呼び出し、又は予め定められた機能を実行する。
【0064】
また、制御部211は、予め定められた移行条件が満たされると、電子機器200の使用及び操作を制限する第1モード(ロックモード)に移行させると共に、タッチパネル230が予め定められたロック解除操作を受け付けたときに、第1モードから第2モード(通常モード)に移行させる。ここで、ロックとは、制御部211がタッチパネル230及び物理キー260からのユーザーによる指示の入力を受け付けず、電子機器200を、ユーザーによる指示に従った動作を行わせない状態にすることをいう。また、第1モードとは、電子機器200をこのようにロックがされた状態にするモードをいう。
【0065】
なお、第2モード(通常モード)とは、電子機器200をその使用及び操作を制限しない状態、すなわち、制御部211がタッチパネル230及び物理キー260からのユーザーによる指示の入力を受け付けて、電子機器200を、ユーザーによる指示に従った動作を行わせる状態にするモードをいう。
【0066】
上記ロックにする条件(移行条件)は、(i)操作が行われないまま、予め定められた移行時間TT(例えば、1分)が経過すること、及び(ii)物理キー260の一つである電源ボタンが押下されること、等である。制御部211は、上記移行条件が成立したと判断すると、電子機器200を第1モードに移行させる。例えば、制御部211は、表示部220に図10に示すような操作画面G4(ロック画面)を表示させると共に、予め定められた操作以外によるタッチパネル230及び物理キー260の操作に基づくユーザーからの指示の入力を受け付けないようにして、電子機器200を、ユーザーからの指示に従った動作を行わない状態にする。操作画面G4には、現在時刻等が表示されている。
【0067】
制御部211は、電子機器200の第1モードの設定時であって、表示部220に操作画面G4が表示されているときに、上記予め定められた操作としてタッチパネル230がスライド操作を受け付けると、制御部211は、ロックを解除するためのパスワード等の入力を受け付けるためのロック解除画面を表示部220に表示する。制御部211は、正規のパスワードがタッチパネル230を介して入力されたときに、電子機器200を第1モードから第2モードに移行させる。
【0068】
また、制御部211は、電子機器200に保存されているアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能において、最後に使用又は操作された時点からの時間が予め定められた猶予時間GT(例えば、2分)以内のものについては、第1モードに移行していても、第1モード時の制限を行わずに、使用又は操作を許可する。この場合の処理は後述する。なお、猶予時間GTは、移行時間TTよりも長い時間に設定されている。
【0069】
なお、制御部100は、ユーザーによるタッチパネル230又は物理キー260の操作で入力される時間を上記予め定められた猶予時間GTとして設定するようにしてもよい。
【0070】
次に、第2実施形態に係る電子機器200における処理の一例を図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0071】
制御部211は、電子機器200を第1モードに移行させ、図10に例を示すロック画面である操作画面G4を表示部220に表示させたものとする(S41)。
【0072】
このとき、制御部211は、現在時刻CTから猶予時間GTを減算して、基準時刻RT2を算出し(S43)、最後に使用された(操作された)時刻が基準時刻RT2以降であるアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能があるか否かを判定する(S44)。
【0073】
制御部211は、最後に使用された(操作された)時刻が基準時刻RT2以降であるアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能があると判定した場合(S44でYES)、該当するアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能を示すアイコンを操作画面G4(ロック画面)上に表示させる(S46)。この後、処理は終了する。一方、制御部211が、最後に使用された(操作された)時刻が基準時刻RT2以降であるアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能がないと判定した場合は(S45でNO)、処理は終了する。
【0074】
例えば、現在時刻CTが16時15分で猶予時間GTが2分に設定されている場合、基準時刻RT2は16時13分となるので、制御部211は、記憶部250に保存されているアプリケーション又はファイルと、予め定められた機能のうち、16時13分以降に使用又は操作されたアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能を検出し、図12に示すように、当該アプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能を起動させるためのアイコンをロック画面に重ねて表示する。すなわち、制御部100は、操作画面G5の一部に、使用又は操作を許可するアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能を示すアイコンのみを表示させる。ロック画面である操作画面G5には、現在時刻と、最後に使用された(操作された)時刻が基準時刻RT2以降である電話アプリケーションを示すアイコンA1とが表示される例を示す。
【0075】
ここで、制御部211が、タッチパネル230がロック画面上に表示されているアイコンがユーザーにより操作されたことを、タッチパネル230を介して検出すると、制御部211は、当該アイコンに対応付けられたアプリケーション又は予め定められた機能を起動させる、或いは、ファイルを開く処理を行う。例えば、制御部211は、操作画面G5におけるアイコンA1のタップを検出すると、当該アイコンに電話アプリケーションを起動させる。これにより、ユーザーは、ロックを解除しなくても、アプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能を使用又は操作することができるようになる。
【0076】
なお、制御部211は、使用又は操作が許可されているアプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能が使用又は操作されても、第1モードから第2モードに移行させない。そのため、当該アプリケーション、ファイル、又は予め定められた機能の使用又は操作が終了しても、制御部211は、第1モードを維持したままとし、表示部220にはロック画面を表示させておく。
【0077】
上記第2実施形態によれば、電子機器200に保存されているアプリケーション又はファイル、或いは、電子機器200で実行可能とされている予め定められた機能において、最後に使用又は操作されてからの時間が猶予時間GT(例えば、2分)以内のものについては、第1モードに移行していても、使用又は操作が許可される。
【0078】
これにより、第1モードに移行される直前まで使用又は操作されていたアプリケーションについては、ロックを解除しなくても使用又は操作することが可能となるので、利便性の向上が図れる。また、使用又は操作が許可されるのは限定的であるため、安全性にも配慮される。従って、安全性に配慮しつつ、電子機器200の利便性の向上を図ることができる。
【0079】
また、上記第2実施形態では、電子機器200として、スマートフォンの場合を例にして説明しているが、電子機器200は、スマートフォンに限定されず、その他の電子機器、例えば、画像を記録媒体に形成する画像形成部を備える複合機等の画像形成装置であってもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、図1乃至図12を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置
12 画像形成部
20 外部装置
47 操作部
91 ネットワークインターフェイス部
100 制御部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10
図11
図12