(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】チューブ式衝突検知センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 23/08 20060101AFI20231219BHJP
B60R 21/0136 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G01L23/08
B60R21/0136 320
(21)【出願番号】P 2020052925
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智一
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-122648(JP,A)
【文献】特開平08-311947(JP,A)
【文献】実開昭59-155386(JP,U)
【文献】特開平04-224388(JP,A)
【文献】特開2017-165265(JP,A)
【文献】特開2017-144806(JP,A)
【文献】特開2017-024685(JP,A)
【文献】特開2016-155490(JP,A)
【文献】特開2016-120867(JP,A)
【文献】特開2016-107677(JP,A)
【文献】特開2016-088456(JP,A)
【文献】特開2016-027966(JP,A)
【文献】特開2016-002940(JP,A)
【文献】特開2016-002939(JP,A)
【文献】特開2015-219174(JP,A)
【文献】特開2015-217876(JP,A)
【文献】特開2015-101222(JP,A)
【文献】特開2015-093579(JP,A)
【文献】特開2015-074389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/0136
B60R 21/00 - 21/13
B60R 21/34 - 21/38
G01L 7/00 - 23/32
G01L 27/00 - 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ部(10)
に圧力センサ部(20)が
挿入されたチューブ式衝突検知センサであって、
中空部(11)を有する前記チューブ部(10)と、
前記チューブ部に挿入され、前記チューブ部の中空部と連通する圧力導入孔(90)が形成された筒状部(81)を有するポート部(80)と、前記圧力導入孔内の圧力に応じた検知信号を出力する圧力検知素子(40)と、を有する前記圧力センサ部と、を備え、
前記ポート部
には、
前記ポート部が前記チューブ部
に挿入された際には
、前記筒状部と一体化された状態が維持され、
かつ前記ポート部が前記チューブ部から引き抜かれた際には、前記チューブ部との間に発生する摩擦力によって前記筒状部から剥離する引抜防止部材(84)
が配置され、
前記筒状部には、外壁面に溝部(82)が形成されており、
前記引抜防止部材は、前記筒状部のうちの前記チューブ部に挿入されている側の先端部側から前記溝部内に渡って配置され、前記筒状部の先端部側の部分と接合されている接合部(84a)と、前記筒状部に形成された溝部の底面のうちの前記先端部側の部分と接合されている接合部(84b)とを有することで前記筒状部と一体化され、さらに、前記ポート部が前記チューブ部に挿入された際に前記溝部の底面のうちの前記先端部側と反対側の部分と当接する当接部(84c)を有しているチューブ式衝突検知センサ。
【請求項2】
前記筒状部は、前記溝部よりも前記先端部側に、前記筒状部よりも外径を拡大したフランジ状のバルジ部(83)を有しており、
前記引抜防止部材は、前記バルジ部から前記溝部内に渡って配置されている請求項
1に記載のチューブ式衝突検知センサ。
【請求項3】
前記引抜防止部材は、前記チューブ部と接合された接合部(84d)を有している請求項1
または2に記載のチューブ式衝突検知センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ部内の圧力変化を検知するチューブ式衝突検知センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両が障害物に衝突したことを検知する車両用衝突検知装置の1つとして、チューブ式衝突検知センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、チューブ式衝突検知センサは、チューブ部と、チューブ部内に挿入されるポート部を有する圧力センサ部とを備える構成とされている。そして、チューブ式衝突検知センサは、ポート部を通じて圧力センサ部における圧力検知素子とチューブ部内とが連通させられており、チューブ部内に急峻な圧力変化が生じると、それが圧力検知素子に伝わるようになっている。このようなチューブ式衝突検知センサは、例えば、車両のフロントバンパーのバンパーカバーの内側において、車幅方向、つまり車両の左右方向に沿って配置される。
【0003】
また、このチューブ式衝突検知センサでは、自然にポート部がチューブ部から引き抜かれた状態となることを抑制できるように、チューブ部とポート部とが重なる部分が金属バンド等で固定されている。さらに、このチューブ式衝突検知センサでは、ポート部がチューブ部から引き抜かれたことが履歴として残るように、ポート部に、ポート部がチューブ部から引き抜かれた際に破壊する破壊部が備えられている。このため、このチューブ式衝突検知センサでは、破壊部の状態を確認することにより、品質管理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなチューブ式衝突検知センサでは、チューブ部とポート部とが重なる部分が金属バンド等で固定されるため、金属バンドを配置するためのスペースが必要となり、圧力センサ部が大型化し易い。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、品質管理を行いつつ、圧力センサ部の小型化を図ることのできるチューブ式衝突検知センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1では、チューブ部(10)に圧力センサ部(20)が挿入されたチューブ式衝突検知センサであって、中空部(11)を有するチューブ部(10)と、チューブ部に挿入され、チューブ部の中空部と連通する圧力導入孔(90)が形成された筒状部(81)を有するポート部(80)と、圧力導入孔内の圧力に応じた検知信号を出力する圧力検知素子(40)と、を有する圧力センサ部と、を備え、ポート部には、ポート部がチューブ部に挿入された際には、筒状部と一体化された状態が維持され、かつポート部がチューブ部から引き抜かれた際には、チューブ部との間に発生する摩擦力によって筒状部から剥離する引抜防止部材(84)が配置され、筒状部には、外壁面に溝部(82)が形成されており、引抜防止部材は、筒状部のうちのチューブ部に挿入されている側の先端部側から溝部内に渡って配置され、筒状部の先端部側の部分と接合されている接合部(84a)と、筒状部に形成された溝部の底面のうちの先端部側の部分と接合されている接合部(84b)とを有することで筒状部と一体化され、さらに、ポート部がチューブ部に挿入された際に溝部の底面のうちの先端部側と反対側の部分と当接する当接部(84c)を有している。
【0008】
これによれば、ポート部がチューブ部から引き抜かれた際には、引抜防止部材がチューブ部との間に発生する摩擦力によって筒状部から剥離する。このため、引抜履歴を容易に確認することができ、品質管理を行い易くなる。
【0009】
また、ポート部がチューブ部から引き抜かれる場合には、チューブ部と引抜防止部材との間に摩擦力が発生するため、自然にポート部がチューブ部から引き抜かれた状態となることを抑制できる。このため、ポート部とチューブ部とを固定するための金属バンド等を配置しなくても、自然にポート部がチューブ部から引き抜かれた状態となることを抑制できる。したがって、ポート部の長さを短くでき、無駄なスペースを削減することで圧力センサ部の小型化を図ることができる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態におけるチューブ式衝突検知センサの断面図である。
【
図4】チューブ式衝突検知センサの組付け状態を示した模式図である。
【
図5】圧力センサ部におけるポート部の断面図であり、チューブ部に挿入する前の状態を示す図である。
【
図6】圧力センサ部におけるポート部の断面図であり、チューブ部に挿入した後の状態を示す図である。
【
図7】ポート部をチューブ部から引き抜く際の状態を説明するための図である。
【
図8】第2実施形態におけるチューブ式衝突検知センサのポート部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、チューブ式衝突検知センサを車両前方に搭載して使用する例について説明する。
【0014】
図1に示されるように、チューブ式衝突検知センサ1は、チューブ部10および圧力センサ部20を備え、後述する圧力センサ部20のポート部80がチューブ部10に挿入されてチューブ部10と圧力センサ部20とが一体化された構成とされている。なお、
図1中の圧力センサ部20は、
図2に示す圧力センサ部20のI-I断面に相当する。
【0015】
そして、
図3および
図4に示されるように、本実施形態のチューブ式衝突検知センサ1は、例えば、車両におけるフロントバンパーカバー2の内側に配置される。より詳しくは、フロントバンパーカバー2の内側には、車両前方から後方に向かって順にエネルギーアブソーバ3とリインフォースメント4が備えられている。そして、チューブ式衝突検知センサは、エネルギーアブソーバ3とリインフォースメント4との間にチューブ部10が配置され、リインフォースメント4に組み付けられた固定用のステー5に圧力センサ部20が固定される。
【0016】
チューブ部10は、
図1に示されるように、中空部11を有し、例えば断面円環状とされたシリコーンゴム等によって構成されおり、中空部11に大気が導入されている。なお、チューブ部10の長さについては任意であり、適用される場所に応じた長さに設定される。例えば、本実施形態のように、チューブ式衝突検知センサ1が車両前方に搭載される場合、チューブ部10は、車幅に対応する長さに設定される。また、
図1および
図4では、チューブ部10の一方の端部側に備えられる圧力センサ部20しか示していないが、実際には、チューブ部10の両端に圧力センサ部20が備えられている。
【0017】
圧力センサ部20は、チューブ部10の中空部11における空気圧を検知するものである。具体的には、車両に障害物が衝突していない場合、チューブ部10内には、大気圧が導入される。このため、圧力センサ部20は、大気圧を検知する。また、車両に障害物が衝突し、衝突によってチューブ部10が凹まされた場合、チューブ部10内では、その凹みによって圧力が急峻に変化する。このため、圧力センサ部20は、変化した圧力を検知する。
【0018】
以下、本実施形態における圧力センサ部20の基本的な構成について、
図1および
図2を参照しつつ具体的に説明する。圧力センサ部20は、
図1および
図2に示されるように、第1ケース30、ターミナル33、圧力検知素子40、回路基板50、第2ケース60、フィルタ120等を有した構成とされている。
【0019】
第1ケース30は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(すなわち、PBT)等の樹脂を型成形することにより製造されたものであり、いわゆるコネクタケースを構成するものである。そして、第1ケース30には、外壁面のうちの所定箇所に凹部31が形成されていると共に、凹部31と異なる部分に開口部32が形成されている。
【0020】
また、第1ケース30には、外部回路と接続される複数本のターミナル33が備えられている。なお、
図1中では、1本のターミナル33のみが図示されている。そして、各ターミナル33は、インサート成形によって第1ケース30と一体的に成形されることにより、第1ケース30内に保持されている。
【0021】
具体的には、複数本のターミナル33は、一端部が凹部31内にて露出すると共に他端部が開口部32内にて露出するように第1ケース30内に備えられている。なお、ターミナル33のうちの凹部31内にて露出する一端部は、凹部31の底面に対して法線方向に突出するように配置されている。ターミナル33のうちの開口部32内に露出している他端部は、特に図示しないが、例えば、ECU等の外部回路と接続される。つまり、第1ケース30のうちの開口部32が形成される部分は、コネクタ部として機能する。ECUは、Electronic Control Unitの略であり、例えば、エアバッグECU等が挙げられる。そして、外部回路は、後述するように圧力検知素子40でチューブ部10内の圧力が検知されるため、検知信号に基づいて車両に障害物が衝突したか否かを判定する。
【0022】
凹部31には、圧力を検知する圧力検知素子40、および圧力検知素子40に対する駆動信号の生成や、圧力検知素子40で検知された検知信号に対して増幅処理等を行う信号処理回路が形成された回路基板50が配置されている。
【0023】
具体的には、凹部31の底面には、当該底面に対して法線方向に突出した複数の支持棒34が形成されている。なお、各支持棒34は、突出方向の先端部が先細り形状とされている。また、回路基板50には、各支持棒34がそれぞれ挿入可能な複数の第1孔部51、および複数のターミナル33の一端部がそれぞれ挿入可能な複数の第2孔部52が形成されている。
【0024】
そして、回路基板50は、各第1孔部51に各支持棒34の先端部が挿入されることによって機械的に支持されている。また、回路基板50は、各第2孔部52に各ターミナル33の一端部が挿入されている。そして、回路基板50とターミナル33とは、はんだ等の導電性部材が配置されることにより、電気的、機械的に接続されている。
【0025】
圧力検知素子40は、例えば、ダイヤフラムを有する半導体素子を含む構成とされており、回路基板50上に配置されている。本実施形態の圧力検知素子40は、例えば、回路基板50側に電極を有する構成とされ、当該電極がはんだ等の導電性部材を介して回路基板50上に配置されることにより、回路基板50と電気的、機械的に接続されている。これにより、圧力検知素子40にて検知された検知信号は、回路基板50で所定の処理が行われた後、ターミナル33を介して外部回路に送信される。
【0026】
第2ケース60は、ポリプロピレン(すなわち、PP)等の樹脂を型成形することにより製造されたものであり、本体部70と、本体部70から一方向に延設されたポート部80とを有する構成とされている。第2ケース60には、本体部70およびポート部80を貫通する圧力導入孔90が形成されている。
【0027】
そして、第2ケース60は、第1ケース30に形成された凹部31を覆うように第1ケース30と一体化されている。具体的には、第2ケース60は、本体部70を挟んでポート部80が第1ケース30と反対側に位置すると共に、圧力導入孔90における本体部70側の開口端が圧力検知素子40と対向するように、第1ケース30と一体化されている。本実施形態では、特に図示しないが、第1ケース30および第2ケース60には、一対の嵌合部が形成されている。そして、第1ケース30および第2ケース60は、これらの嵌合部が嵌合されて固定されるスナップフィット接合によって一体化されている。
【0028】
また、本体部70には、圧力導入孔90における本体部70側の開口端部を囲みつつ、第1ケース30と一体化された際に第1ケース30と第2ケース60との間の隙間を封止するための封止部材100が配置されている。なお、封止部材100のうちの圧力導入孔90における本体部70側の開口端部を囲む部分は、第1ケース30と第2ケース60とが一体化された際、圧力検知素子40の外縁部と接触するように配置されている。これにより、圧力導入孔90内の空気が圧力検知素子40の周辺から漏れ出ることが抑制される。本実施形態では、封止部材100は、熱可塑性エラストマー(すなわち、TPE)等の弾性体で構成され、二色成形されることによって本体部70と一体化されている。
【0029】
また、本体部70には、圧力導入孔90と外部空間とを連通させる呼吸孔110が形成されている。そして、呼吸孔110における圧力導入孔90側と反対側には、フィルタ120が配置されている。
【0030】
フィルタ120は、呼吸孔110の内部と外部との空気の流通を可能にしつつ、水分等が呼吸孔内に侵入するのを防止する材料で構成される。そして、フィルタ120によって緩やかな空気の流通が許容されるため、圧力導入孔90内は、通常時は大気圧となっている。しかしながら、チューブ部10の変形に伴って中空部11の内圧が急峻に変化すると、それによる空気の流動がフィルタ120によって妨げられるため、圧力導入孔90内では、急峻に圧力が高くなる。このため、圧力検知素子40は、チューブ部10の変形に伴って中空部11の内圧が急峻に変化した場合には、変化した圧力に応じた検知信号を出力する。
【0031】
以上が本実施形態におけるチューブ式検知センサの基本的な構成である。次に、本実施形態のポート部80の構成について、具体的に説明する。まず、ポート部80がチューブ部10に挿入されていない状態の構成について、
図5を参照しつつ説明する。
【0032】
ポート部80は、圧力導入孔90が形成された筒状部81を有している。筒状部81は、一定太さの円筒状とされている。そして、筒状部81には、ポート部80における延設方向の先端部側(以下では、単に先端部側ともいう)に溝部82が形成されている。本実施形態では、溝部82は、筒状部81の周方向に沿って環状に形成されている。なお、ポート部80における延設方向の先端部側とは、言い換えると、ポート部80における本体部70と反対側の端部のことである。
【0033】
また、ポート部80は、溝部82よりも先端部側にバルジ部83を有している。バルジ部83は、筒状部81の外径よりも外径を拡大した部分を有するフランジ状とされている。そして、本実施形態のバルジ部83は、チューブ部10内への挿入が容易になるように、先端部から溝部82側に向かって外径が長くなるテーパ状とされている。
【0034】
さらに、ポート部80には、バルジ部83から溝部82のうちのバルジ部83側の部分に渡り、筒状部81と一体化された引抜防止部材84が配置されている。但し、引抜防止部材84は、溝部82を埋め込むようには配置されておらず、溝部82は、バルジ部83側と反対側の部分に空間が構成された状態となっている。
【0035】
引抜防止部材84は、チューブ部10との間に摩擦力を発生させる材料で構成され、本実施形態では、熱可塑性エストラマー等の弾性体で構成されている。そして、引抜防止部材84は、二色成形によって筒状部81と一体化されている。つまり、引抜防止部材84は、筒状部81と接合された状態となっている。なお、
図5では、理解を容易にするため、引抜防止部材84と筒状部81との接合部を凹凸形状で示している。また、以下では、
図5に示されるように、引抜防止部材84のうちのバルジ部83と接合される部分を接合部84aとし、引抜防止部材84のうちの溝部82の底面と接合される部分を接合部84bとして説明する。つまり、引抜防止部材84は、接合部84aおよび接合部84bを有する状態となっている。
【0036】
そして、
図6に示されるように、ポート部80がチューブ部10に挿入された場合、引抜防止部材84は、バルジ部83上の部分がチューブ部10によって押圧され、溝部82内に押し込まれた状態となる。つまり、チューブ式衝突検知センサ1では、引抜防止部材84は、溝部82に配置される部分において、溝部82の底面と接合される接合部84bと、溝部82の底面のうちの先端部側と反対側の部分と当接する当接部84cを有する状態となっている。
【0037】
なお、本実施形態では、バルジ部83が先端部から溝部82側に向かって外径が長くなるテーパ状とされているため、ポート部80のチューブ部10への挿入性の向上を図ることができる。さらに、バルジ部83が筒状部81の外径よりも外径を拡大した部分を有しているため、チューブ部10は、筒状部81のうちのバルジ部83より本体部70側の部分と接触し難くなる。このため、チューブ部10の挿入性の向上をさらに図ることができる。
【0038】
また、ポート部80をチューブ部10に挿入する場合には、引抜防止部材84には、主にバルジ部83と接合された接合部84aに引張応力が印加される。但し、ポート部80をチューブ部10に挿入する場合には、引抜防止部材84が溝部82に押し込まれるため、接合部84aに多大な引張応力が印加され難くなっている。このため、ポート部80をチューブ部10に挿入する際に接合部84aが剥離することが抑制される。これにより、ポート部80をチューブ部10に挿入した後においても、引抜防止部材84と筒状部81とが一体化された状態が維持される。
【0039】
以上が本実施形態におけるチューブ式衝突検知センサ1の構成である。
【0040】
このようなチューブ式衝突検知センサ1では、ポート部80がチューブ部10から引き抜かれる場合、引抜防止部材84がチューブ部10との摩擦力によってチューブ部10に引っ張られる。そして、
図7に示されるように、引抜防止部材84が筒状部81から剥離した状態が履歴として残る。具体的には、ポート部80がチューブ部10から引き抜かれる場合、引抜防止部材84は、主に溝部82の底面と接合された接合部84bに引張応力が印加され、当該接合部84bから剥離し易い。
【0041】
このため、その後に、チューブ部10内にポート部80を挿入したとしても、引抜防止部材84の接合部84bが筒状部81から剥離された状態で、チューブ部10と圧力センサ部20とが一体化される。したがって、引抜防止部材84の接合部84bを確認することにより、引抜履歴を容易に確認することができる。
【0042】
また、ポート部80をチューブ部10から故意に引き抜かない場合には、チューブ部10と引抜防止部材84との間に摩擦力が発生するため、ポート部80がチューブ部10から引き抜かれ難くなっている。つまり、ポート部80とチューブ部10とを固定するための金属バンド等を配置しなくても、自然にポート部80がチューブ部10から引き抜かれた状態となることを抑制できる。したがって、ポート部80の長さを短くでき、無駄なスペースを削減することで圧力センサ部20の小型化を図ることができる。
【0043】
さらに、引抜防止部材84は、溝部82内に入り込んだ状態となっている。このため、ポート部80をチューブ部10から引き抜く場合には、引抜防止部材84を溝部82内から引き上げる力も必要となる。したがって、本実施形態では、さらに、自然にポート部80がチューブ部10から引き抜かれた状態となることを抑制できる。
【0044】
以上説明した本実施形態によれば、ポート部80は、筒状部81に引抜防止部材84が一体化されて構成されている。そして、ポート部80がチューブ部10から引き抜かれる場合、引抜防止部材84がチューブ部10との摩擦力によってチューブ部10に引っ張られることにより、引抜防止部材84が筒状部81から剥離した状態が履歴として残る。したがって、引抜履歴を容易に確認することができ、品質管理を行い易くなる。
【0045】
また、ポート部80をチューブ部10から故意に引き抜かない場合には、チューブ部10と引抜防止部材84との間に摩擦力が発生するため、ポート部80がチューブ部10から引き抜かれ難くなっている。つまり、ポート部80とチューブ部10とを固定するための金属バンド等を配置しなくても、自然にポート部80がチューブ部10から引き抜かれた状態となることを抑制できる。したがって、ポート部80の長さを短くでき、無駄なスペースを削減することで圧力センサ部20の小型化を図ることができる。
【0046】
さらに、引抜防止部材84は、溝部82内に入り込んだ状態となっている。このため、ポート部80をチューブ部10から引き抜こうした場合、引抜防止部材84を溝部82内から引き上げる力も必要となる。したがって、本実施形態では、さらに、自然にポート部80がチューブ部10から引き抜かれた状態となることを抑制できる。
【0047】
また、本実施形態では、バルジ部83が先端部から溝部82側に向かって外径が長くなるテーパ状とされているため、ポート部80のチューブ部10への挿入性の向上を図ることができる。また、バルジ部83が筒状部81の外径よりも外径を拡大した部分を有しているため、チューブ部10は、筒状部81のうちのバルジ部83より本体部70側の部分と接触し難くなる。このため、チューブ部10の挿入性の向上を図ることができる。
【0048】
さらに、引抜防止部材84は、ポート部80がチューブ部10に挿入される前は、溝部82の底面と接合される接合部84bを有しているが、溝部82を埋め込むようには配置されていない。そして、ポート部80がチューブ部10に挿入されることにより、バルジ部83上の部分が溝部82内に押し込まれる。このため、ポート部80をチューブ部10に挿入する場合、引抜防止部材84には、主にバルジ部83と接合された接合部84aに引張応力が印加される。一方、ポート部80をチューブ部10から引き抜く場合、引抜防止部材84には、主に溝部82の底面と接合された接合部84bに引張応力が印加される。つまり、ポート部80をチューブ部10に挿入する際に引張応力が印加される部分と、ポート部80をチューブ部10から引き抜く際に引張応力が印加される部分とは、異なる部分となる。したがって、ポート部80をチューブ部10に挿入する際に引抜防止部材84の接合部84bに多大な引張応力が印加されることを抑制できる。このため、ポート部80をチューブ部10に挿入した際に接合部84bが剥離した状態となることを抑制できる。
【0049】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例について説明する。上記第1実施形態のように引抜防止部材84および封止部材100を同じ熱可塑性エストラマーで構成する場合には、これら引抜防止部材84および封止部材100を第2ケース60と同時に二色成形するようにしてもよい。この場合、引抜防止部材84および封止部材100は、成形される金型に応じ、繋がるように形成されていてもよいし、離れるように形成されていてもよい。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、引抜防止部材84をチューブ部10と接合したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0051】
本実施形態では、
図8に示されるように、引抜防止部材84は、チューブ部10とも接合されている。つまり、引抜防止部材84は、チューブ部10と接合される接合部84dを有している。このような接合部84dは、例えば、本実施形態ではチューブ部10がシリコーンゴムで構成されており、シリコーンゴムが光透過性を有するため、ポート部80をチューブ部10に挿入した後、レーザビームを照射して接合するレーザ溶着が行われることによって構成される。
【0052】
これによれば、引抜防止部材84がチューブ部10とも接合されるため、ポート部80がチューブ部10から引き抜かれた場合には、引抜防止部材84の接合部84dの剥離も引抜履歴として残る。このため、さらに品質管理を行い易くなる。
【0053】
また、引抜防止部材84がチューブ部10とも接合されるため、自然にポート部80がチューブ部10から引き抜かれた状態となることをさらに抑制できる。
【0054】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0055】
例えば、上記各実施形態において、ポート部80をチューブ部10に挿入する際には、引抜防止部材84に潤滑材を塗布することにより、ポート部80のチューブ部10への挿入性の向上を図ることができるようにしてもよい。この場合、潤滑材は、加熱することで気化するものであってもよいし、常温で気化するものであってもよい。例えば、加熱することで気化する潤滑材としては、アルコール等が用いられ、常温で気化する潤滑材としては、フッ素系のオイル等が用いられる。なお、これらの潤滑材は、ポート部80をチューブ部10に挿入した後に気化されて呼吸孔110から排出されるため、ポート部80がチューブ部10から引き抜かれ易くなることはない。また、加熱することで気化する潤滑材を上記第2実施形態に適用する場合には、レーザビームを照射して引抜防止部材84をチューブ部10と接合する際に潤滑材を同時に気化させることができる。
【0056】
また、上記第2実施形態では、引抜防止部材84がチューブ部10とも接合されており、ポート部80がチューブ部10から引き抜かれた際には、引抜防止部材84とチューブ部10との接合部84dが剥離する。このため、引抜防止部材84をチューブ部10とも接合する場合には、引抜防止部材84は、筒状部81と別体として備えられていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 チューブ部
20 圧力センサ部
40 圧力検知素子
80 ポート部
84 引抜防止部材