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特許7404966電子機器、機能設定支援システム、機能設定支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電子機器、機能設定支援システム、機能設定支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/023 20060101AFI20231219BHJP
   G06F 15/02 20060101ALI20231219BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20231219BHJP
   H03M 11/08 20060101ALI20231219BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20231219BHJP
【FI】
G06F3/023 480
G06F15/02 315Z
G06F15/02 310Z
G06F3/02 520
H03M11/08
G06F3/0482
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020053694
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021152841
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】村木 暁子
(72)【発明者】
【氏名】神谷 佐武郎
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-194664(JP,A)
【文献】特開平04-175921(JP,A)
【文献】特開2014-171156(JP,A)
【文献】特開2020-031348(JP,A)
【文献】特開2013-073440(JP,A)
【文献】特開2017-174189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01-3/04895
G06F 15/02
H03M 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能のそれぞれに対して有効とすべきか無効とすべきかが指定された所定のデータを外部機器から取得した場合に、第1の機能に対しては前記データに従って当該機能を有効または無効に設定するとともに、第2の機能に対しては前記データには従わずに当該機能の有効を維持する制御部を備え、
複数の操作キーうちの何れかの操作キーに割り当てられている機能であって当該機能が割り当てられている前記操作キーに当該機能を示す情報が表記されている機能が前記第2の機能として設定されているとともに、機能毎に当該機能を指定するための操作情報が示された機能リストであって所定の操作キーが操作された場合に所定の表示部に表示される機能リストに含まれることになる機能が前記第1の機能として設定されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記操作情報は、前記複数の操作キーのうちの何れかの操作キーを示す情報として示される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
第1電子機器と、
前記第1電子機器と通信可能な第2電子機器と、
を備え、
前記第1電子機器は、
複数の機能のそれぞれに対して前記第1電子機器で有効とすべきか無効とすべきかが指定された所定のデータを前記第2電子機器から取得した場合に、第1の機能に対しては前記データに従って当該機能を有効または無効に設定するとともに、第2の機能に対しては前記データには従わずに当該機能の有効を維持する制御部を備え、
複数の操作キーうちの何れかの操作キーに割り当てられている機能であって当該機能が割り当てられている前記操作キーに当該機能を示す情報が表記されている機能が前記第2の機能として設定されているとともに、機能毎に当該機能を指定するための操作情報が示された機能リストであって所定の操作キーが操作された場合に所定の表示部に表示される機能リストに含まれることになる機能が前記第1の機能として設定されている、
ことを特徴とする機能設定支援システム。
【請求項4】
電子機器が実行する機能設定支援方法であって、
複数の機能のそれぞれに対して有効とすべきか無効とすべきかが指定された所定のデータを外部機器から取得した場合に、第1の機能に対しては前記データに従って当該機能を有効または無効に設定するとともに、第2の機能に対しては前記データには従わずに当該機能の有効を維持する制御処理を含み、
複数の操作キーうちの何れかの操作キーに割り当てられている機能であって当該機能が割り当てられている前記操作キーに当該機能を示す情報が表記されている機能が前記第2の機能として設定されているとともに、機能毎に当該機能を指定するための操作情報が示された機能リストであって所定の操作キーが操作された場合に所定の表示部に表示される機能リストに含まれることになる機能が前記第1の機能として設定されている、
ことを特徴とする機能設定支援方法。
【請求項5】
電子機器のコンピュータを、
複数の機能のそれぞれに対して有効とすべきか無効とすべきかが指定された所定のデータを外部機器から取得した場合に、第1の機能に対しては前記データに従って当該機能を有効または無効に設定するとともに、第2の機能に対しては前記データには従わずに当該機能の有効を維持する制御手段として機能させ、
複数の操作キーうちの何れかの操作キーに割り当てられている機能であって当該機能が割り当てられている前記操作キーに当該機能を示す情報が表記されている機能が前記第2の機能として設定されているとともに、機能毎に当該機能を指定するための操作情報が示された機能リストであって所定の操作キーが操作された場合に所定の表示部に表示される機能リストに含まれることになる機能が前記第1の機能として設定されている、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、機能設定支援システム、機能設定支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
単純な四則計算や百分率等のみならず、各種の関数やプログラムを用いた演算が可能な関数機能付き電子卓上計算機(以下「関数電卓」と称する)等の数値計算用電子機器が一般に商品化されている。
【0003】
この種の関数電卓で、一部の機能を、特定の機能キーの操作との組み合わせによりディスプレイ部に表示されるメニューに対応して入力することで実現しているものがある。(例えば、非特許文献1)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】関数電卓「fx-JP500」取扱説明書,p.22,<インターネット>(令和2年3月16日閲覧)URL「https://support.casio.jp/manualfile.php?cid=004005023」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、関数電卓などの機能実行装置が備えるハードキーのキートップや筐体には、各キーに対応する機能を表す印刷が、出荷時において各キーに適切に対応付けて施されている。また、前記非特許文献1に記載された技術では、ハードキーのキートップや筐体の印刷に対応しない関数である逆双曲線関数「sinh-1,cosh-1,tanh-1」を指定するためのメニューを、「OPTN(オプション)」キーと数値「1」キーとを操作することによりディスプレイ部に表示させてから、表示されたメニュー内の項目を選択することで、逆双曲線関数の機能を使用することができる。
【0006】
一方、装置の利便性を向上するため、出荷時には搭載されていない機能を、出荷後に新しく追加したり、出荷時には無効化されている機能を出荷後に有効化したりすることも考えられる。この場合、出荷時に非搭載の機能を出荷後に使えるようになったとしても、その機能に対応するキー印刷やメニュー項目が存在しない場合がある。逆に、出荷時に搭載されている機能を出荷後に無効化すると、無効化した機能に対応するキー印刷やメニュー項目は存在したままとなる。このように、装置の出荷後に実行できる機能が変更すると、装置に施された印刷内容や表示されるメニュー項目と、変更された機能とが、適切に対応しなくなる虞がある。
【0007】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところはキーとキーに割り当てられる機能とを適切に対応させることが可能な電子機器、機能設定支援システム、機能設定支援方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器は、複数の機能のそれぞれに対して有効とすべきか無効とすべきかが指定された所定のデータを外部機器から取得した場合に、第1の機能に対しては前記データに従って当該機能を有効または無効に設定するとともに、第2の機能に対しては前記データには従わずに当該機能の有効を維持する制御部を備え、複数の操作キーうちの何れかの操作キーに割り当てられている機能であって当該機能が割り当てられている前記操作キーに当該機能を示す情報が表記されている機能が前記第2の機能として設定されているとともに、機能毎に当該機能を指定するための操作情報が示された機能リストであって所定の操作キーが操作された場合に所定の表示部に表示される機能リストに含まれることになる機能が前記第1の機能として設定されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係る機能設定支援システムは、第1電子機器と、前記第1電子機器と通信可能な第2電子機器と、を備え、前記第1電子機器は、複数の機能のそれぞれに対して前記第1電子機器で有効とすべきか無効とすべきかが指定された所定のデータを前記第2電子機器から取得した場合に、第1の機能に対しては前記データに従って当該機能を有効または無効に設定するとともに、第2の機能に対しては前記データには従わずに当該機能の有効を維持する制御部を備え、複数の操作キーうちの何れかの操作キーに割り当てられている機能であって当該機能が割り当てられている前記操作キーに当該機能を示す情報が表記されている機能が前記第2の機能として設定されているとともに、機能毎に当該機能を指定するための操作情報が示された機能リストであって所定の操作キーが操作された場合に所定の表示部に表示される機能リストに含まれることになる機能が前記第1の機能として設定されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係る機能設定支援方法は、電子機器が実行する機能設定支援方法であって、複数の機能のそれぞれに対して有効とすべきか無効とすべきかが指定された所定のデータを外部機器から取得した場合に、第1の機能に対しては前記データに従って当該機能を有効または無効に設定するとともに、第2の機能に対しては前記データには従わずに当該機能の有効を維持する制御処理を含み、複数の操作キーうちの何れかの操作キーに割り当てられている機能であって当該機能が割り当てられている前記操作キーに当該機能を示す情報が表記されている機能が前記第2の機能として設定されているとともに、機能毎に当該機能を指定するための操作情報が示された機能リストであって所定の操作キーが操作された場合に所定の表示部に表示される機能リストに含まれることになる機能が前記第1の機能として設定されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係るプログラムは、電子機器のコンピュータを、複数の機能のそれぞれに対して有効とすべきか無効とすべきかが指定された所定のデータを外部機器から取得した場合に、第1の機能に対しては前記データに従って当該機能を有効または無効に設定するとともに、第2の機能に対しては前記データには従わずに当該機能の有効を維持する制御手段として機能させ、複数の操作キーうちの何れかの操作キーに割り当てられている機能であって当該機能が割り当てられている前記操作キーに当該機能を示す情報が表記されている機能が前記第2の機能として設定されているとともに、機能毎に当該機能を指定するための操作情報が示された機能リストであって所定の操作キーが操作された場合に所定の表示部に表示される機能リストに含まれることになる機能が前記第1の機能として設定されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によればキーとキーに割り当てられる機能とを適切に対応させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る関数電卓とそのマスタ機となる外部機器のスマートフォンの外観構成を例示する図。
図2】同実施形態に係る関数電卓の詳細な外観構成を例示する正面図。
図3】同実施形態に係る関数電卓の電子回路の機能構成を示すブロック図。
図4】同実施形態に係る外部機器との通信に応じて個別の機能を有効/無効設定する処理内容を示すフローチャート。
図5】同実施形態に係るテーブル情報の内容を例示する図。
図6】同実施形態に係る表示部での実行可能な機能のメニュー表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を関数電卓に適用した場合の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[構成]
図1は、本実施形態に係る関数電卓10と、そのマスタ機として、関数電卓10の基本機能設定を行なう外部機器であるスマートフォンSPを示す図である。図1において、関数電卓10とスマートフォンSPは、例えば無線PAN(Personal Area Network)規格の1つであるBLE(登録商標)(Bluetooth(登録商標) Low Energy)規格に基づいて、スマートフォンSPがマスタ機、関数電卓10がスレイブ機として、事前にペアリング設定がなされており、無線通信が可能であるものとする。
【0012】
関数電卓10は、スマートフォンSPにインストールされた関数電卓10の該当機種用の基本機能設定を行なうアプリケーションソフトにより、関数電卓10で実行可能な基本的な演算機能、具体的には関数の機能に限らず、統計や数表、方程式等の機能モードが適宜制限されるように設定される。
【0013】
図2は、関数電卓10の関数電卓の詳細な外観構成を例示する平面図である。図2において、本体正面にキー入力部11、表示部16、及びソーラパネル17が設けられる。
【0014】
キー入力部11は、四則演算を含む基本計算用に、数値や数式を入力し、あるいは計算の実行を指示するための数値・演算記号キー群12、各種の関数の入力のための関数機能キー群13、各種動作モードのメニュー画面の表示やキートップに表記された以外の関数機能の実行を指示するための機能選択キー群14、表示部16に表示されるカーソルの移動操作、計算式の呼び出しやデータ項目の選択操作などを行なうカーソルキー15を備える。
【0015】
数値・演算記号キー群12としては、[0]~[9](数値)キー、[+][-][×][÷](四則記号)キー、[Ans]キー、[=](実行)キー、[AC](クリア)キーなどを配列している。
【0016】
関数機能キー群13としては、積分キー、[x]キー、分数キー、[√](平方根)キー、[x](2乗)キー、[x](n乗:(n:任意数値))キー、[log](対数関数)キー、[ln](eが底の自然対数)キーなどをはじめとした各種関数の機能キーを多種配列している。
【0017】
機能選択キー群14としては、[SHIFT](シフト)キー、[ALPHA](アルファベット)キー、[MENU/SET UP](メニュー)キー、[ON](電源オン)キー、[OPTN](オプション)キー、[CALC](計算実行)キーなどを配列している。
【0018】
前記表示部16は、例えば反射型の液晶表示パネルで構成され、ドットマトリックス表示により数値や関数式、図示するような表計算等を表示可能としている。
【0019】
ソーラパネル17は、この関数電卓10の動作電力の一部又は全部を発生する、太陽電池パネルである。図示はしないが関数電卓10はソーラパネル17とは別に交換可能な乾電池を内蔵するものとし、関数電卓10の周囲の外部光の光量が少ないためにソーラパネル17単体で表示や計算に必要な動作電力を賄えない場合、内蔵乾電池によって給電を行うことが可能となる。
【0020】
なお、関数電卓10の側面または裏面には、図示はしないが、メモリカードを装脱するためのカードスロットが形成されているものとする。
【0021】
図2は、関数電卓10の電子回路の機能構成を示すブロック図である。
【0022】
この関数電卓10の電子回路は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ21を主体とし、バスBを介して、メモリ22、記録媒体インタフェイス(I/F)24、表示部16、キー入力部11、及び通信部25を接続して構成している。
【0023】
メモリ22は、プロセッサ21が実行する動作プログラムや固定データ等が記憶されているROMと、当該ROMから読み出した各種データ等を展開して保持するRAMとを備える。メモリ22は、電卓制御プログラム22a、表示制御プログラム22b、及び機能制御プログラム22cを記憶すると共に、入力プログラムエリア22d、及びワークエリア22eを確保している。機能制御プログラム22c及び入力プログラムエリア22dは、後述する外部機器との通信により電気的に記憶内容が書き換え可能なROMである、例えばフラッシュメモリで構成される。
【0024】
電卓制御プログラム22aは、関数演算を含む各種演算処理を実行する動作プログラムである。表示制御プログラム22bは、表示部16における表示内容を制御する動作プログラムである。
【0025】
機能制御プログラム22cは、演算全般に関して複数の機能モード毎に有効/無効を設定し、設定した内容に応じて演算の実行を制限する制御プログラムを有している。
【0026】
入力プログラムエリア22dは、外部機器から入力された情報に基づいた、後述する各種テーブル情報等を記憶する、フラッシュメモリ内のエリアである。
【0027】
ワークエリア22eは、プロセッサ21によるプログラム処理実行時のプログラムや各種データを一時的に保持するRAM内のエリアである。
【0028】
記録媒体インタフェイス24は、カードスロットCSを介してこの関数電卓10に装着された、メモリカード等の記録媒体23から追加のプログラム等のデータを読み出すために記録媒体23と接続するインタフェイスである。読み出されたテーブル情報等のデータは、プロセッサ21の制御の下で、バスBを介してメモリ22の入力プログラムエリア22dに格納される。
【0029】
通信部25は、前述した如く、スマートフォンSP等の外部機器と、例えばBLE(登録商標)規格に従って無線接続することで、外部機器と接続可能となり、この関数電卓10の機能設定時のデータの送受等を行なう。
【0030】
[動作]
次に本実施形態の動作について説明する。
図4は、関数電卓10において、スマートフォンSPとの通信と、個別の機能を有効/無効に設定する処理内容を示すフローチャートである。以降のステップにおいて、特別明記されているもの以外は当該処理をプロセッサ21が実行する。
【0031】
処理当初にプロセッサ21は、通信部25を介して外部機器であるスマートフォンSPから、当該関数電卓10の機種用の機能設定を行なうアプリケーションソフト上で作成された、関数電卓10で本来は実行可能な機能毎に有効/無効が設定された情報一式を、スマートフォンSPから通信部25を介して受信する(ステップS101)。
【0032】
プロセッサ21は、受信した情報の内容に基づいて入力プログラムエリア22d内のコマンドテーブルの記憶内容を更新する(ステップS102)。
【0033】
図5は、メモリ22の入力プログラムエリア22dに記憶される、3種類のテーブル情報、すなわちキーテーブル(図5(A))、オプションテーブル(図5(B)、及びコマンドテーブル(図5(C)))の内容を例示する。
【0034】
図5(A)に示すキーテーブルは、機能選択キー群14の[SHIFT](シフト)キーの同時操作なしで有効となるノーマル状態での関数機能の情報と、同[SHIFT](シフト)キーの同時操作により有効となるシフト状態での関数機能の情報とを、キーIDと対応付けて記憶するテーブルである。このキーテーブルの記憶内容は、入力プログラムエリア22dにおいて固定的に記憶される。
【0035】
キーテーブルに記憶された機能に関しては、当該機能を示す表記がなされたキーがキー入力部11の関数機能キー群13又は数値・演算記号キー群12中に存在するものとする。
【0036】
図5(B)に示すオプションテーブルは、機能選択キー群14の[OPTN](オプション)キーの操作に応じて有効となる機能の情報を記憶するテーブルである。このオプションテーブルの記憶内容は、後述するコマンドテーブルの記憶内容に基づいて更新設定されるもので、例えば数値・演算記号キー群12の数値キーである[1]キー~[6]キーと対応付けて、有効な関数機能の情報を記憶する。
【0037】
オプションテーブルに記憶された機能は、当該機能に関する表記がなされたキーがキー入力部11の関数機能キー群13及び機能選択キー群14の何れにも存在せず、機能選択キー群14の[OPTN](オプション)キーの操作に応じて、当該機能名が数値キーと対応付けられて表示部16で表示されることにより、対応する数値キーを操作することで、当該機能が実行可能となるものとする。
【0038】
図5(C)は、外部機器から受信した情報に基づいて関数電卓10で有効/無効となる機能をコマンド(以下「機能コマンド」)として個別に記憶するテーブルである。この図5(C)では、関数電卓10で本来実行可能な機能コマンドの一部のみを抽出して、有効/無効を示す情報と共に示している。
【0039】
なお、図5(A)に示したキーテーブルと、図5(C)に示したコマンドテーブルを一括して、図5(D)に示すような変形例として、キーテーブルにあるものを「1」としたコマンドテーブル(改)を入力プログラムエリア22dで記憶するものとしてもよい。
【0040】
プロセッサ21は、外部機器から受信した情報に基づいて更新したコマンドテーブル中から1つの機能コマンドを選択した上で(ステップS103)、当該機能コマンドが図5(A)で示したキーテーブル中に存在するか否かを判断する(ステップS104)。
【0041】
コマンドテーブル中から選択した機能コマンドが、キーテーブル中に存在すると判断した場合(ステップS103のYES)、すでにその機能コマンドは有効なものとして固定的に設定されているものとして、オプションテーブルへの設定に関しては何も行わないNOP(No-OPeratio)処理とする。
【0042】
またステップS104において、コマンドテーブル中から選択した機能コマンドがキーテーブル中には存在しないと判断した場合(ステップS103のNO)、プロセッサ21は次にコマンドテーブル中で当該機能コマンドが有効(「1」)と設定されているか否かを判断する(ステップS105)。
【0043】
コマンドテーブル中で当該機能コマンドが有効(「1」)と設定されていると判断した場合(ステップS105のYES)、プロセッサ21は当該機能コマンドの機能をオプションテーブルで表示とする更新処理を実行する(ステップS108)。
【0044】
またステップS105において、コマンドテーブル中で当該機能コマンドが有効(「1」)と設定されていないと判断した場合(ステップS105のNO)、次にプロセッサ21は、コマンドテーブル中で当該機能コマンドが無効(「0」)と設定されているか否かを判断する(ステップS106)。
【0045】
コマンドテーブル中で当該機能コマンドが無効(「0」)と設定されていると判断した場合(ステップS106のYES)、プロセッサ21は当該機能コマンドの機能をオプションテーブルで非表示とする更新処理を実行する(ステップS109)。
【0046】
またステップS106において、コマンドテーブル中で当該機能コマンドが無効(「0」)とも設定されていないと判断した場合(ステップS106のNO)、プロセッサ21はコマンドテーブルで当該機能コマンドに何らかのエラーが生じたものと判断して、ステップS108、S109で説明した処理は実行せず、オプションテーブルへの設定に関しては何も行わないNOP(No-OPeratio)処理とする。
【0047】
こうして、ステップS104又はS106でNOP処理を終えた後、及びステップS108、S109でオプションテーブルで当該機能コマンドを表示あるいは非表示とする更新処理を実行した時点で、当該機能コマンドに関する、必要に応じたオプションテーブルへの更新処理を終えたものとして、プロセッサ21はさらにコマンドテーブルのすべての機能コマンドへの処理を完了したか否かを判断する(ステップS107)。
【0048】
未だ選択されていない他の機能コマンドがあると判断した場合(ステップS107のYES)、プロセッサ21はその機能コマンドに関しても同様の処理を行なうべく、ステップS103からの処理に戻って同様の処理を実行する。
【0049】
こうしてステップS103~S109の処理を必要により繰り返し実行し、コマンドテーブルのすべての機能コマンドに対するオプションテーブルへの更新処理を終えたと判断した時点で(ステップS107のYES)、あらためてプロセッサ21はオプションテーブルの内容を表示/非表示の情報に基づいて更新設定し(ステップS110)、以上で外部機器からの機能選択の情報に基づいた図4の処理を終了する。
【0050】
このようにオプションテーブルの更新設定を実行した後の関数電卓10では、キー入力部11で表記のある機能の関数等(第1機能)を実行する場合には、当該表記のあるキーを表記通りに操作することで、当該機能の演算が実行できる。
【0051】
一方で、キー入力部11での表記がない機能の関数等(第2機能)を実行する場合には、機能選択キー群14の[OPTN](オプション)キーを操作することで、表示部16に表示される内容から、必要な機能名に対応する数値キーを操作することで、当該機能の関数等を実行可能となる。
【0052】
図6は、図5(B)で示したオプションテーブルの記憶内容に基づいて、機能選択キー群14の[OPTN](オプション)キーを操作した時点で表示部16に表示される内容を例示する図である。
【0053】
図6(A)では、数値・演算記号キー群12の数値キー[1]キー~[6]キーに対応付けて、双曲線関数[sinh][cosh][tanh]と逆双曲線関数[sinh-1][cosh-1][tanh-1]の各機能が選択可能であることが表示された状態を例示している。
【0054】
加えて、表示部16の上部において、左右各方向への矢印に代えた三角記号を表示することにより、カーソルキー15の左右移動キーを操作することで、その他にもキー入力部11での表記がない機能の関数等が存在して選択可能であることを示している。
【0055】
図6(B)は、図5(B)で示したオプションテーブルに機能が記憶設定されていない場合の、機能選択キー群14の[OPTN](オプション)キーを操作した時点で表示部16に表示される内容を例示する図である。
【0056】
図6(B)では、数値・演算記号キー群12の数値キー[1]キー~[6]キーに対応付けられた機能がないことを、空欄とすることで表示している。
【0057】
[実施形態の効果]
以上詳述した如く本実施形態によれば、キー印刷が施された装置において、キーとキーに割り当てられる機能とを適切に対応させることが可能となる。
【0058】
また本実施形態では、入力プログラムエリア22dで記憶するテーブル情報により、キー入力部11の盤面上でキーに対応した表記がある機能と表記がない機能に関し、当該機能の実行を有効とするものと無効とするものを管理するものとしたので、プロセッサ21での管理制御を簡易化できる。
【0059】
さらに本実施形態では、キー入力部11の盤面上で表記がない機能に関して、機能選択キー群14の[OPTN](オプション)キーを操作した時点で表示部16で表示される内容から、実際に有効であると設定されている機能を認識して実行させることができるため、関数電卓10のユーザがその時点で有効と設定されている機能の内容を理解し易い。
【0060】
また本実施形態では、キー入力部11の盤面上で表記がない機能に関して、有効であると設定されている機能名のみを表示部16で表示させるものとして説明したが、これに限らず、あえて無効と設定された機能名も合せて表示部16で表示させた上で、その時点では当該機能が無効と設定されている状態であることを、例えば機能名を白抜き文字やグレー文字等で、有効となる機能名と比して明らかに識別可能に表示するものとしても良く、無効となっている状態を確実に認識できる。
【0061】
さらに本実施形態では、キー入力部11の盤面上で表記がない機能に関して、表示部16で機能名を表示させるものとしたが、例えば、双曲線関数[sinh]を[hsin]と表記する、あるいは逆双曲線関数[cosh^-1]を[arccosh]と表記するなど、国や地域によっては、同一の機能であっても表記の仕方が異なる場合があるため、機能設定に際しては表示部16で表記する機能名に関しても選択的に設定可能としても良い。
【0062】
また本実施形態では説明しなかったが、キー入力部11の盤面上で機能の表記があるキーに関しても、機能設定により任意に有効/無効を設定できるものとしてもよい。この場合、機能の表記があるキーが操作された場合には、その有効/無効の設定に基づいて当該機能の起動を許容あるいは禁止することで、例えば表記がある三角関数[sin][cos][tan]がまだ学習段階にはない学年などにもこの関数電卓10の使用を導入でき、段階的な学習環境に対応可能となる。
【0063】
この場合、さらに当該キーが無効と設定されている旨を表示部16で表示することにより、ユーザは設定環境を容易に理解できる。
【0064】
また、当該キーが無効と設定されている場合でも、例えば当該キーを長押し操作、あるいはダブルタップ操作など一般的ではない別の操作とすることで、あえて当該機能を一時的に有効であるものとして起動させるものとしても良く、より柔軟性に富んだ設定環境を提供できる。
【0065】
さらには、キー入力部11の盤面上で機能の表記があるキーに関しては、機能設定により無効を設定することを一切禁止するものとしてもよい。こうすることで、キー入力部11の盤面に表記されている機能は確実に有効であるものとして起動させることができるため、関数電卓10の機種を選定する上での判断が容易となる。
【0066】
なお本実施形態では、関数電卓10が外部機器、例えばスマートフォンSPと無線PAN規格の1つであるBLE(登録商標)規格で通信可能であるものとして、スマートフォンSPから個別の機能設定を行なう場合について説明したが、他にも例えば無線LANのIEEE802.11a/11b/11g/11n規格等に則って機能設定を行なうことが可能であるものとすれば、一度に多数の関数電卓10の機能設定を行なうことが可能となり、関数電卓10の機能設定を行なう管理者側の煩雑な作業を効率化できる。
【0067】
なお本実施形態は、関数電卓に適用し、関数電卓で実行可能な演算機能の機能モードを適宜制限できるように設定する場合について説明したが、複数階層の機能モードを有するようなその他の電子機器、例えばユーザの職務権限によってアクセス可能な在庫管理状況の情報階層が異なるハンディターミナル装置など、各種の機能実行装置にも同様に適用することが可能となる。
【0068】
その他、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0069】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
第1機能及び複数の第2機能を実行するプロセッサと、前記第1機能に一対一対応する表記及び当該第1機能が対応付けられた第1キーと、前記第2機能に一対一対応する表記の対応付けがなく、かつ当該複数の第2機能が対応付けられた第2キーと、を備える機能実行装置であって、
前記プロセッサは、
前記第1機能及び複数の第2機能の何れかの機能を有効又は無効に設定し、
有効又は無効に設定された前記何れかの機能が、前記第1キー及び第2キーの何れのキーに対応付けられているかを判断し、
有効又は無効に設定された前記何れかの機能を、判断された前記何れかのキーの操作に応じて起動するか否かを設定する、
機能実行装置。
[請求項2]
前記第1機能及び複数の第2機能と、前記第1キー及び第2キーとの対応関係を示すテーブル情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記テーブル情報に基づいて、前記判断を行なう、
請求項1に記載の機能実行装置。
[請求項3]
前記複数の第2機能の何れかの機能を有効又は無効に設定し、
前記第2キーの操作に応じて、前記複数の第2機能の何れかを選択するための選択画面をディスプレイに表示し、
有効又は無効に設定された前記何れかの機能が前記第2キーに対応付けられていると判断した場合、前記第2キーの操作に応じて前記ディスプレイに表示される前記選択画面を介する、有効又は無効に設定された前記何れかの機能の起動を許容又は禁止する、
請求項1又は2に記載の機能実行装置。
[請求項4]
無効に設定された前記何れかの機能が前記第2キーに対応付けられていると判断した場合、前記第2キーの操作に応じて前記ディスプレイに表示される前記選択画面において、前期何れかの機能に対応付けられた表記に対する操作を無効にするか、又は、前記表記を表示から非表示に変更することで、前記何れかの機能の起動を禁止する、
請求項3に記載の機能実行装置。
[請求項5]
有効に設定された前記何れかの機能が前記第2キーに対応付けられていると判断した場合、前記第2キーの操作に応じて前記ディスプレイに表示される前記選択画面において、前期何れかの機能に対応付けられた表記に対する操作を有効にするか、又は、前記表記を非表示から表示に変更することで、前記何れかの機能の起動を許容する、
請求項3または4に記載の機能実行装置。
[請求項6]
無効に設定された前記何れかの機能が前記第2キーに対応付けられていると判別した場合、無効に設定された前記何れかの機能を、前記第2キーの操作に応じてディスプレイに表示される選択画面であって前記複数の第2機能の何れかを選択するための選択画面を介して起動することを禁止する、
請求項1又は2に記載の機能実行装置。
[請求項7]
有効に設定された前記何れかの機能が前記第2キーに対応付けられていると判別した場合、有効に設定された前記何れかの機能を、前記第2キーの操作に応じてディスプレイに表示される選択画面であって前記複数の第2機能の何れかを選択するための選択画面を介して起動することを許容する、
請求項1又は2に記載の機能実行装置。
[請求項8]
前記選択画面における前記第2機能の表示名を変更する、
請求項3乃至7何れかに記載の機能実行装置。
[請求項9]
前記第1キーに対応付けられた前記第1機能を有効に設定した場合、有効に設定された前記第1機能を、前記第1キーの操作に応じて起動することを許容する、
請求項1乃至3何れかに記載の機能実行装置。
[請求項10]
前記第1キーに対応付けられた前記第1機能を無効に設定した場合、無効に設定された前記第1機能を前記第1キーの操作に応じて起動することを禁止する、
請求項1乃至3何れかに記載の機能実行装置。
[請求項11]
前記第1キーに対応付けられた前記第1機能を無効に設定した場合、前記第1キーの操作に応じて、前記第1キーが無効にされている旨を示す情報をディスプレイにより表示する、
請求項1乃至3、及び、10の何れかに記載の機能実行装置。
[請求項12]
前記第1キーに対応付けられた前記第1機能を無効に設定した場合、前記第1キーを用いた別の操作に応じて、前記第1機能を起動することを一時的に許容する、
請求項1乃至3、10、及び、11の何れかに記載の機能実行装置。
[請求項13]
前記第1機能を無効に設定すること禁止する、
請求項1乃至3何れかに記載の機能実行装置。
[請求項14]
前記機能実行装置は通信手段を備え、
前記通信手段を介して、当該機能実行装置の外部より、前記第1機能及び複数の第2機能のいずれかの機能を有効又は無効に設定する、
請求項1乃至3何れかに記載の機能実行装置。
[請求項15]
第1機能及び複数の第2機能を実行するプロセッサと、前記第1機能に一対一対応する表記及び当該第1機能が対応付けられた第1キーと、前記第2機能に一対一対応する表記の対応付けがなく、かつ当該複数の第2機能が対応付けられた第2キーと、を備える機能実行装置での機能実行方法であって、
前記第1機能及び複数の第2機能の何れかの機能を有効又は無効に設定し、
有効又は無効に設定された前記何れかの機能が、前記第1キー及び第2キーの何れのキーに対応付けられているかを判断し、
有効又は無効に設定された前記何れかの機能を、判断された前記何れかのキーの操作に応じて起動するか否かを設定する、
機能実行方法。
[請求項16]
第1機能及び複数の第2機能を実行するプロセッサと、前記第1機能に一対一対応する表記及び当該第1機能が対応付けられた第1キーと、前記第2機能に一対一対応する表記の対応付けがなく、かつ当該複数の第2機能が対応付けられた第2キーと、を備える機能実行装置で前記プロセッサが実行するプログラムであって、前記プロセッサが、
前記第1機能及び複数の第2機能の何れかの機能を有効又は無効に設定し、
有効又は無効に設定された前記何れかの機能が、前記第1キー及び第2キーの何れのキーに対応付けられているかを判断し、
有効又は無効に設定された前記何れかの機能を、判断された前記何れかのキーの操作に応じて起動するか否かを設定する、
プログラム。
【符号の説明】
【0070】
10…関数電卓
11…キー入力部
12…数値・演算記号キー群
13…関数機能キー群
14…機能選択キー群
15…カーソルキー
16…表示部
17…ソーラパネル
21…プロセッサ
22…メモリ
22a…電卓制御プログラム
22b…表示制御プログラム
22c…機能制御プログラム
22d…入力プログラムエリア
22e…ワークエリア
23…記録媒体
24…記録媒体インタフェイス(I/F)
25…通信部
B…バス
CS…カードスロット
SP…スマートフォン
図1
図2
図3
図4
図5
図6