(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ベルト、及び、心電測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/256 20210101AFI20231219BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20231219BHJP
【FI】
A61B5/256 220
A61B5/332
(21)【出願番号】P 2020062874
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 麗二
(72)【発明者】
【氏名】川端 康大
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晃人
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-187505(JP,U)
【文献】特開2008-86361(JP,A)
【文献】特開2019-136055(JP,A)
【文献】特開2018-121700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/256
A61B 5/332
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に形成されるベルト本体と、
前記ベルト本体の一方の主面に設けられて前記ベルト本体の短手方向に並び、信号線により直列に接続される複数の電極片を備える電極と、
を備えるベルト。
【請求項2】
前記複数の電極片の、前記短手方向に沿う長さは等しい、請求項1に記載のベルト。
【請求項3】
前記複数の電極片は、3つの電極片であり、
前記
3つの電極片のうち、前記短手方向で両端に配置される電極片の前記短手方向に沿う長さは、前記3つの電極片のうち前記短手方向で中央に配置される電極片の前記短手方向に沿う長さに比較して短い、
請求項1に記載のベルト。
【請求項4】
前記電極は、複数設けられる、請求項1に記載のベルト。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のベルトと、
制御基板を内蔵する装置本体と、
前記ベルト本体に設けられ、前記制御基板及び前記電極を電気的に接続する配線部と、 を備える心電測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓の動きに起因して生じる生体の表面の電位に応じた生体信号の測定に用いられるベルト及び心電測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体信号の一つとして、心臓の動きに起因して生じる生体の表面に生じる電位である心電信号を検出し、ユーザの心電図波形を生成する心電計測装置が知られている。
【0003】
このような心電計測装置としては、ユーザの上腕に巻き付けるベルト本体と、このベルト本体の内面に長手方向に等間隔で固定された複数の電極と、を有するベルトを用いる心電測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した心電測定装置では、心電信号の検出強度を高める為に、電極の生体に接触する面積が大きいことが好ましい。この為、電極の上腕に接触する面の面積を大きくすることが考えられ、例えば、電極をベルトの短手方向で一端から他端までの範囲で極力大きい形状に形成することが考えられる。
【0006】
しかしながら、生体の表面は曲面に構成される。この為、電極の生体側の面の面積を大きくすると、電極の生体に接触しない領域が大きくなる。すなわち、電極の生体に対する密着度が低下する。
【0007】
そこで本発明は、電極を生体に密着できるベルト、及び、心電測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、ベルトは、帯状に形成されるベルト本体と、前記ベルト本体の一方の主面に設けられて前記ベルト本体の短手方向に並び、信号線により直列に接続される複数の電極片を備える電極と、を備える。
【0009】
この態様によれば、ベルト本体が生体に巻き付けられることで、複数の電極片が、当該複数の電極片が対向する生体の表面にならう。すなわち、複数の電極片の姿勢が、生体の表面にならって変化する。さらに換言すると、複数の電極片の生体側の面により構成される電極の生体側の面が、生体にならう。この為、電極が生体に密着する。
【0010】
上記一態様のベルトにおいて、前記複数の電極片の、前記短手方向に沿う長さは等しい、ベルトが提供される。
【0011】
この態様によれば、同形状及び同じ大きさの電極片により電極を構成できるので、電極の製造コストを低減できる。
【0012】
上記一態様のベルトにおいて、前記複数の電極片は、3つの電極片であり、前記3つの電極片のうち、前記短手方向で両端に配置される電極片の前記短手方向に沿う長さは、前記3つの電極片のうち前記短手方向で中央に配置される電極片の前記短手方向に沿う長さに比較して短い、ベルトが提供される。
【0013】
この態様によれば、電極が備える電極片の個数が多くなることを防止しつつ、生体に密着しにくい電極の、ベルト本体の短手方向で両端側を生体に密着できる。さらに、電極片の数が多くなることを防止できることで、信号線を少なくできるので、信号線により生じるノイズを小さくできる。
【0014】
上記一態様のベルトにおいて、前記電極は、複数設けられる、ベルトを提供できる。
【0015】
この態様によれば、複数の電極を生体に密着できる。
【0016】
一態様によれば、上記一態様のベルトと、制御基板を内蔵する装置本体と、前記ベルト本体に設けられ、前記制御基板及び前記電極を電気的に接続する配線部と、を備える、心電測定装置が提供される。
【0017】
この態様によれば、ベルト本体が生体に巻き付けられることで、複数の電極片が、当該複数の電極片が対向する生体の表面にならう。すなわち、複数の電極片の姿勢が、生体の表面にならって変化する。さらに換言すると、複数の電極片の生体側の面により構成される電極の生体側の面が、生体にならう。この為、電極が生体に密着する。電極が生体に密着することから、心電測定装置は、生体の表面に生じる電圧を好適に検出することが可能となり、心電図波形をより正確に計測できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、電極を生体に密着できるベルト、及び、心電測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る心電測定装置をユーザの上腕に装着した状態を示す説明図。
【
図5】同心電測定装置を上腕に装着した状態を模式的に示す断面図。
【
図6】本発明の一実施形態に係る心電測定装置の変形例の構成を示す平面図。
【
図7】同心電測定装置を上腕に装着した状態を模式的に示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る心電測定装置の変形例の構成を示す平面図。
【
図9】同心電測定装置を上腕に装着した状態を模式的に示す断面図。
【
図10】本発明の一実施形態に係る心電測定装置の変形例の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る心電測定装置1の一例について、
図1乃至
図5を用いて説明する。
【0021】
図1は、心電測定装置1をユーザの上腕100に装着した状態を示す説明図である。
図2は、心電測定装置1の構成を示すブロック図である。
図3は、心電測定装置1の構成を示す平面図である。
図3は、心電測定装置1のベルト11を展開した状態を示している。
図4は、心電測定装置1の構成を示す斜視図である。
図5は、心電測定装置1を上腕100に装着した状態を模式的に示す断面図である。
【0022】
心電測定装置1は、生体に装着され、生体の皮膚の表面の複数箇所の電位を検出し、これら検出した電位に基づいて心電図の生成に必要な心電情報を生成する電位測定装置である。なお、心電測定装置1は、心電図波形を生成し、表示してもよく、心電図の生成に必要な情報を表示し、外部の端末に出力する構成であってもよい。
【0023】
図1乃至
図3に示すように、心電測定装置1は、ベルト11と、装置本体12と、を備える。心電測定装置1は、例えば、ベルト11及び装置本体12が一体に形成される。心電測定装置1は、例えば、ベルト11によって、生体としての上腕100に装着される、所謂ウェアラブルデバイスとして機能する。
図1は心電測定装置1が被測定者の上腕100に装着された状態の一例を示す。なお、心電測定装置1は、ベルト11及び装置本体12が別体に構成され、信号線等を介して接続される構成であってもよい。
【0024】
ベルト11は、装置本体12を保持する。ベルト11は、上腕100に巻き付けられる。
図3及び
図4に示すように、ベルト11は、ベルト本体21と、電極アレイ22と、固定手段23と、配線部24と、を備える。
【0025】
ベルト本体21は、例えば柔軟性を有する樹脂または繊維により構成される。ベルト本体21は、心電測定装置1を装着する被測定者の上腕100に装着できる長さに設定される。ベルト本体21は、一方向に長い帯状に形成される。ベルト本体21は、心電測定装置1を上腕100に装着したときに、外側の面である表面に装置本体12が固定され、生体側の面である裏面に電極アレイ22が設けられる。
【0026】
電極アレイ22は、配線部24を介して、装置本体12の後述する制御基板40に電気的に接続される。電極アレイ22は、複数の電極33と、グランド電極34と、を備える。
【0027】
複数の電極33は、ベルト本体21の他方の主面21bに設けられる。複数の電極33は、ベルト本体21の長手方向に離間して配置される。複数の電極33は、配線部24により、後述する心電情報生成部45に電気的に接続される。換言すると、複数の電極33は、制御基板40に電気的に接続される。複数の電極33は、一例として、2つの電極33である。
【0028】
電極33は、ベルト本体21に設けられてベルト本体21の短手方向に並び、ベルト本体21が上腕100に巻き付けられることで、上腕100にならって姿勢が変化可能な複数の電極片33aと、複数の電極片33aを直列に接続する信号線33bと、を備える。
【0029】
複数の電極片33aは、導電性材料から構成される。複数の電極片33aは、ベルト本体21に固定される。複数の電極片33aは、例えば、同じ形状でかつ同じ大きさに形成される。電極片33aは、例えば、矩形板状に形成される。電極片33aの、上腕側の主面は、例えば、平面に構成される。
【0030】
複数の電極片33aは、例えば、2辺がベルト本体21の短手方向に平行となる姿勢で、ベルト本体21に固定される。また、複数の電極片33aは、ベルト本体21の短手方向に沿う2辺が、直線状に並ぶ。電極片33aのベルト本体21の短手方向に沿う長さは、複数の電極片33aのベルト本体21の短手方向に沿う長さの和が、ベルト本体21の短手方向に沿う長さに極力近い値となる長さに設定される。
【0031】
ベルト本体21の短手方向に隣接配置される2つの電極片33aの間には、これら2つの電極片33aを、上腕100にならって変位可能とする隙間が設けられる。
【0032】
このように構成される複数の電極33は、例えば、ベルト本体21に対して着脱可能に構成されてもよい。
【0033】
信号線33bは、複数の電極片33aを直列に接続する。本実施形態では、信号線33bは、一方の電極片33a及び他方の電極片33aに接続される。信号線33bは、例えば、ベルト本体21内に設けられてもよい。
【0034】
グランド電極34は、ベルト本体21の他方の主面21bに設けられる。グランド電極34は、配線部24を介して、心電情報生成部45に電気的に接続される。換言すると、グランド電極34は、制御基板40に電気的に接続される。このように構成されるグランド電極34は、例えば、ベルト本体21に着脱可能に構成されてもよい。
【0035】
配線部24は、複数の電極33、及び、心電情報生成部45を電気的に接続する。また、配線部24は、グランド電極34、及び、心電情報生成部45を電気的に接続する。
【0036】
固定手段23は、複数の電極33を上腕100に接触させてベルト本体21をユーザの上腕100に巻き付けた状態で、ベルト本体21を上腕100に固定可能に構成される。固定手段23は、例えば、ベルト固定リング36と、面ファスナ37と、を備える。
【0037】
ベルト固定リング36は、ベルト本体21の長手方向での一端に設けられる。ベルト固定リング36は、ベルト本体21を挿入可能な環状に形成される。
【0038】
面ファスナ37は、ループ37aと、フック37bと、を備える。ループ37aは、ベルト本体21の一方の主面21aに設けられる。ループ37aは、主面21aの、例えばベルト固定リング36で折り返されたベルト本体21の他端部と対向する領域に設けられる。
【0039】
ここで、主面21aのベルト本体21の他端部と対向する領域は、想定されるユーザの上腕100の周長が最小長さから最大長さのいずれの周長であっても、ベルト本体21の他端部と対向する大きさに設定される。フック37bは、ベルト本体21の主面21aの他端部に設けられる。
【0040】
配線部24は、例えば、ベルト本体21内に埋め込まれるリード線により構成される。また、配線部24は、ベルト本体21の主面21bに設けられるフレキシブル基板により構成されてもよい。
【0041】
装置本体12は、
図1乃至
図3に示すように、ケース41と、操作部42と、表示部43と、電力供給部44と、心電情報生成部45と、心電図生成部46と、メモリ47と、制御部48と、を備えている。
心電情報生成部45、心電図生成部46、及び、制御部48は、例えば、制御基板40に設けられている。制御基板40は、ケース41内に収容される。また、操作部42及び表示部43は、例えば
ケース41に設けられている。また、装置本体12は、外部の端末との情報の送受信を行う通信部を含む。なお、通信部は、外部の端末と無線及び/又は有線により情報の送受信を行う。この通信部は、例えば、制御基板40に設けられている。
【0042】
ケース41は、操作部42の一部、表示部43の一部、心電情報生成部45、心電図生成部46、メモリ47、制御部48を収容する。また、ケース41は操作部42の一部及び表示部43の一部を外面から露出させる。ケース41は、ベルト11に固定される。
【0043】
操作部42は、使用者からの指令を入力する。例えば、操作部42は、複数の釦42a及び釦42aの操作を検出するセンサを含む。なお、操作部42は、ケース41や表示部43等に設けられた、感圧式や静電容量式等のタッチパネル、音による指令を受け付けるマイクロフォン等を含んでいてもよい。操作部42は、使用者が操作することで、指令を電気信号に変換し、該電気信号を制御部48へ出力する。
【0044】
表示部43は、電気的に制御部48に接続される。表示部43は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)である。表示部43は、制御部48からの制御信号に従って、日時や心電情報、心電図波形等を表示する。なお、心電測定装置1が血圧値を表示する生体情報測定装置に用いられる場合には、表示部43は、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数等の測定結果を含む各種情報を表示してもよい。
【0045】
電力供給部44は、電源である。電力供給部44は、例えば、リチウムイオンバッテリ等の二次電池である。電力供給部44は、制御部48に電気的に接続される。具体例として、電力供給部44は、制御部48に電力を供給する。電力供給部44は、制御部48、並びに、制御部48を介して操作部42、表示部43、心電情報生成部45、心電図生成部46、メモリ47に、駆動用の電力を供給する。
【0046】
心電情報生成部45は、電極アレイ22の複数の電極33、本実施形態では2個の電極33に、例えば配線部24を介して電気的に接続される。心電情報生成部45は、2個の電極33で検出された電圧から電位差を算出して心電情報を生成する。
【0047】
心電図生成部46は、心電情報生成部45に電気的に接続される。心電図生成部46は、心電情報生成部45が生成した心電情報に基づいて、心電図の情報を生成する。この心電図の情報には、心電図波形が含まれていてもよい。
【0048】
このような心電情報生成部45及び心電図生成部46は、例えば、心電情報生成部45及び心電図生成部46の機能をそれぞれ実行できる処理回路である。心電情報生成部45及び心電図生成部46は、制御部48に電気的に接続される。なお、制御部48が心電情報生成部45及び心電図生成部46の処理回路を含み、メモリ47に記憶されたプログラムを実行することで、心電情報生成部45及び心電図生成部46の機能を実行してもよい。
【0049】
また、例えば、心電情報生成部45又は心電図生成部46は、ローパスフィルタ、増幅器及びアナログ/デジタル変換器を有していてもよい。例えば、電位差の信号を、ローパスフィルタで不要なノイズ成分を除去し、さらに増幅器で増幅した後アナログ/デジタル変換器でデジタル信号に変換する。
【0050】
メモリ47は、例えば、記憶媒体としてSSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含む。メモリ47は、各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。また、メモリ47は、検出した心電信号、生成した心電情報及び心電図情報等を記憶する。また、例えば、メモリ47には、これら情報が時系列に従い記憶される。
【0051】
制御部48は、単数又は複数のプロセッサを含む。制御部48は、一以上の処理回路により形成される。制御部48は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部48は、メモリ47に格納されたプログラムに基づいて心電測定装置1の全体の動作及び所定の動作(機能)を実行させる。制御部48は、読み込んだプログラムに従い、所定の演算、解析、処理等を実行する。制御部48は、操作部42、表示部43、心電情報生成部45及び心電図生成部46の動作の制御、信号の送受信、及び電力の供給を行う。
【0052】
このように構成された心電測定装置1の上腕100への装着の一例を説明する。例えば被測定者は、ベルト本体21の主面21bを被測定者の上腕100に向けてベルト本体21を上腕100に巻き付け、ベルト本体21の他端部を、ベルト固定リング36を通してベルト固定リング36で折り返す。被測定者は、次に、ベルト本体21の他端部を引っ張ることでベルト本体21を上腕100に対して締め付ける。被測定者は、次に、ベルト本体21の他端部に設けられるフック37bを、ベルト本体21に設けられるループ37aに固定する。
【0053】
これにより、心電測定装置1が被測定者の上腕に装着される。そして、被測定者は、操作部42を操作することで、制御部48が各構成を制御し、2個の電極33を介して心電信号を検出する。そして、心電情報生成部45が心電信号から心電情報を生成し、心電図生成部46が心電情報から心電図情報を生成する。制御部48が心電情報及び心電図情報をメモリ47に記憶するとともに、表示部43に日時や心電図等の情報を表示する。また、制御部48は、通信部を制御して日時、心電情報及び心電図情報等の各種情報を外部の端末に送信しても良い。
【0054】
このように構成される心電測定装置1では、ベルト本体21が上腕100に巻き付けられることで、複数の電極33のそれぞれの複数の電極片33aは、上腕100の複数の電極片33aが配される部分にならって姿勢が変化する。換言すると、複数の電極片33aの上腕100側の面により構成される電極33の上腕100側の面が、上腕100にならって変化する。この為、電極33が上腕100に密着する。電極33が上腕100に密着することから、心電測定装置1は、上腕100の表面に生じる電圧を好適に検出することが可能となる。結果、心電測定装置1は、心電図波形をより正確に計測できる。
【0055】
さらに、複数の電極片33aは、同形状でかつ同じ大きさに形成される。この為、電極33の製造コストを低減できる。
【0056】
さらに、複数の電極33は、それぞれ、複数の電極片33aを備える。この為、複数の電極33を上腕100に密着することが可能となる。
【0057】
なお、上述の例では、電極33は、複数の電極片33aを備える構成として、2つの電極片33aを備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、電極33は、
図6及び
図7に示す変形例のように、3つ以上の電極片33aを備える構成であってもよい。
図6は、一例として、電極33が5つの電極片33aを備える心電測定装置1の構成を示す平面図である。
図7は、心電測定装置1がユーザの上腕100に装着された状態を模式的に示す断面図である。
【0058】
また、上述の例では、電極33の複数の電極片33aは、同じ大きさに形成される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、複数の電極片33aは、少なくとも1つが他に比較して異なる形状及び異なる大きさに形成されてもよい。
【0059】
複数の電極片33aの少なくとも1つが他に比較して異なる大きさに形成される構成の一例を、
図8及
び図9を用いて説明する。
図8及び
図9に示すように電極33が3つの電極片33aを備える構成の場合、ベルト本体21の短手方向で両端に配置される2つ
の電極片33aのベルト本体21の短手方向に沿う長さは、3つの電極片33aのうちベルト本体21の短手方向で中央に配置される電極片33aのベルト本体21の短手方向に沿う長さに比較して短い。
【0060】
このように、3つの電極片33aのうちベルト本体21の短手方向で両端に配置される2つの電極片33aのベルト本体21の短手方向に沿う長さが、ベルト本体21の短手方向で中央に配置される電極片33aのベルト本体21の短手方向に沿う長さに比較して短いことで、電極片33aの数が多くなることを防止しつつ、電極33を上腕100に密着できる。
【0061】
この効果について、説明する。電極33が1つの部材から構成される場合、電極33のベルト本体21の短手方向で両端側は、上腕100から離れる。しかしながら、電極33の短手方向で両端側が、それぞれ電極片33aで構成されることで、電極33は上腕100に密着できる。
【0062】
さらに、電極片33aの数が多くなることを防止できることで信号線33bの数が多くなることを防止できるので、電極33が検出するノイズを小さくできる。
【0063】
また、上述の例では、複数の電極33のそれぞれが、複数の電極片33aを備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。複数の電極33の1つ以上のそれぞれが、複数の電極片33aを備える構成であってもよい。
【0064】
例えば、複数の電極33として、3つの電極33を備える構成の場合、これら3つの電極33のうち、1つの電極33は、1つの部材から構成されてもよい。
【0065】
また、上述の例では、電極33の複数の電極片33aは、ベルト本体21の短手方向に一列に並ぶ構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、
図10に示すように、複数の電極片33aは、ベルト本体21の短手方向に複数列に並ぶ構成であってもよい。
図10は、一例として、電極33が4つの電極片33aを備え、これら4つの電極片33aがベルト本体21の短手方向に2つずつ2列に配置される構成を備える心電測定装置1を示している。そして、これら4つの電極片33aは、信号線33bにより直列に接続される。
【0066】
また、上述の例では、2つの電極33が設けられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、電極33は、3つ以上が設けられてもよい。
【0067】
さらに、上述した例では、心電測定装置1は、ベルト11が上腕に装着される例を用いて説明したが、胸部や生体の他の部位に装着される構成であってもよい。
【0068】
また、上述した例では、ベルト11は、心電測定装置1に用いられる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、ベルト11は、心電測定及び血圧測定に用いられる生体情報測定装置に用いられる構成であってもよい。具体例として、生体情報測定装置は、上述の心電測定装置1の構成に加え、脈波センサ及び脈波センサで検出された脈波情報から、血圧値を生成する血圧測定の機能を生じさせる処理回路等を有する構成としてもよい。このような生体情報測定装置は、1心拍毎の脈波伝搬時間(PTT)を算出し、血圧推定して血圧値を測定処理する血圧測定の機能を発揮する。なお、このような生体情報測定装置は、例えば、心電信号により検出されたR波ピークRPと、脈波センサで検出された脈波信号からその特徴量の一つである1心拍毎の脈波立ち上がりPSとの間の時間差をもとに、1心拍毎の脈波伝搬時間(PTT)を算出する。
【0069】
以上、この発明に係る各実施形態について詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点においてこの発明の例示に過ぎず、この発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、この発明の実施にあたって、各実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0070】
また、この発明は、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…心電測定装置
11…ベルト
12…装置本体
21…ベルト本体
21a…主面
21b…主面
22…電極アレイ
23…固定手段
24…配線部
33…電極
33a…電極片
33b…信号線
34…グランド電極
36…ベルト固定リング
37…面ファスナ
37a…ループ
37b…フック
41…ケース
42…操作部
42a…釦
43…表示部
44…電力供給部
45…心電情報生成部
46…心電図生成部
47…メモリ
48…制御部
100…上腕