(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 3/54 20060101AFI20231219BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20231219BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41J3/54
B41J29/13
B41J2/01 301
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2020064246
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】宮瀬 悟吏
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
(72)【発明者】
【氏名】桑山 剛
(72)【発明者】
【氏名】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】疇地 悠
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰生
(72)【発明者】
【氏名】千葉 湧人
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-022244(JP,A)
【文献】特開2005-099289(JP,A)
【文献】特開平08-160693(JP,A)
【文献】特開2014-198438(JP,A)
【文献】特開平08-337011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/01 - 3/54
B41J 29/00 - 29/70
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
上記筐体内に位置し、搬送向きに延びて下排出口に至る下搬送路と、
上記筐体内に位置し、上記下搬送路より上方の位置で上記搬送向きに延びて上排出口に至り、上記上排出口が上記搬送向きにおいて上記下排出口より上流側に位置する上搬送路と、
上記下搬送路に対応して設けられた下記録エンジンと、
上記上搬送路に対応して設けられた上記録エンジンと、
上記下排出口から上記搬送向きに延びる下排出トレイと、
上記下排出トレイより上方に位置し、上記上排出口から上記搬送向きに延びる第1装着位置でシートを支持し、上記第1装着位置に向かう第1装着向きと、上記第1装着位置から離れる第1離間向きとに移動可能である上排出トレイと、
上記上排出トレイと繋がっており、上記下搬送路の上方を閉塞する閉位置に向かう閉塞向きと、上記閉位置から離れ且つ上記下搬送路の上方を開放する開放向きとに移動可能なカバーとを備え、
上記カバーは、
上記上排出トレイが上記第1装着位置にあるとき、上記閉位置で上記下搬送路を閉塞し、
上記上排出トレイが上記第1装着位置から上記第1離間向きへ移動する過程で、上記閉位置から上記開放向きへと移動する画像記録装置。
【請求項2】
上記第1装着位置に上記上排出トレイが無いときに、特定レベルを有する上トレイ信号を出力する上トレイセンサと、
コントローラとを備え、
上記コントローラは、特定レベルの上記上トレイ信号を取得した場合、上記下記録エンジンを動作しないように制御する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記上搬送路で上記上記録エンジンより上流で互いに当接する2個の上ローラを含み、上記シートを搬送する上搬送ローラ対と、
上記2個の上ローラが互いに当接する第1当接位置と、上記第1当接位置から離れた位置であって且つ上記2個の上ローラが互いに離間する第1離間位置とに移動する上離間部材とを備え、
上記上離間部材は、
上記上排出トレイが上記第1装着位置にあるとき、上記第1当接位置に位置し、
上記過程で上記第1当接位置から上記第1離間位置へと移動する請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記下搬送路の特定位置におけるシートの有無によりレベルが異なる下シート信号を出力する下シートセンサと、
ディスプレイと、
コントローラとを備え、
上記コントローラは、
上記下シート信号に基づいて、上記下搬送路でシートが詰まっているか否かを判定し、
上記下搬送路が詰まっていると判定した場合、上記上記録エンジンの動作を停止するか否かの警告を示す画像データを上記ディスプレイに出力し、
上記ディスプレイは、上記画像データに基づいて上記警告を示す画像を表示する請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記下搬送路の特定位置におけるシートの有無によりレベルが異なる下シート信号を出力する下シートセンサと、
上記下記録エンジンを、上記下搬送路上の下記録位置と、上記搬送向きと交差する交差方向に上記下記録位置から離れた下退避位置とに搬送する下駆動機構と、
コントローラとを備え、
上記下シート信号に基づいて、上記下搬送路でシートが詰まっているか否かを判定し、
上記下搬送路が詰まっていると判定した場合、上記下記録エンジンを上記下退避位置に搬送させる駆動信号を上記下駆動機構に出力する請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記下搬送路で搬送されるシートを支持する上供給トレイと、
上記上搬送路で搬送されるシートを支持する下供給トレイとを備える請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記上供給トレイは、上記筐体内の第2装着位置に向かう第2装着向きと、上記第2装着位置から離れる第2離間向きとに移動可能であり、
上記下搬送路で上記下記録エンジンより上流で互いに当接する2個の下ローラを含み、上記シートを搬送する下搬送ローラ対と、
上記2個の下ローラが互い当接する第2当接位置と、上記第2当接位置から離れた位置であって且つ上記2個の下ローラが互いに離間する第2離間位置とに移動する下離間部材とを備え、
上記下離間部材は、
上記上供給トレイが上記第2装着位置にあるとき、上記第2当接位置に位置し、
上記上供給トレイが上記第2離間向きに移動する過程で、上記第2当接位置から上記第2離間位置へと移動する請求項6に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下記の画像記録装置が開示されている。画像記録装置では、筐体内に、複数の記録ユニットが上下方向に並んでいる。各記録ユニットの下方では、供給トレイから搬送されてくるシートが通過する。各記録ユニットは、自身の下方を通過するシートへインクを吐出する。複数の記録ヘッドの下方を通過したシートは、排出トレイに排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、画像記録装置では、各記録ユニットの下方でジャムが発生した場合、筐体の前後方向からしかジャム処理を行うことができない。そのため、記録ユニットの下方で詰まっているシートまたはシート片を取り除きにくい場合がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ジャム処理がより容易な画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像記録装置は、筐体と、上記筐体内に位置し、搬送向きに延びて下排出口に至る下搬送路と、上記筐体内に位置し、上記下搬送路より上方の位置で上記搬送向きに延びて上排出口に至り、上記上排出口が上記搬送向きにおいて上記下排出口より上流側に位置する上搬送路と、上記下搬送路に対応して設けられた下記録エンジンと、上記上搬送路に対応して設けられた上記録エンジンと、上記下排出口から上記搬送向きに延びる下排出トレイと、上記下排出トレイより上方に位置し、上記上排出口から上記搬送向きに延びる第1装着位置でシートを支持し、上記第1装着位置に向かう第1装着向きと、上記第1装着位置から離れる第1離間向きとに移動可能である上排出トレイと、上記上排出トレイと繋がっており、上記下搬送路の上方を閉塞する閉位置に向かう閉塞向きと、上記閉位置から離れ且つ上記下搬送路の上方を開放する開放向きとに移動可能なカバーとを備え、上記カバーは、上記上排出トレイが上記第1装着位置にあるとき、上記閉位置で上記下搬送路を閉塞し、上記上排出トレイが上記第1装着位置から上記第1離間向きへ移動する過程で、上記閉位置から上記開放向きへと移動する。
【0007】
上記構成によれば、上排出トレイを第1離間向きへ移動させることで、下搬送路の上方からユーザは下搬送路にアクセスできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像記録装置におけるジャム処理がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(A)は、プリンタ100を模式的に示す正面図であり、(B)は、プリンタ100を模式的に示す上面図である。
【
図2】
図1の筐体200の開口207を模式的に示す正面図である。
【
図3】
図1の一点鎖線III-IIIに沿うプリンタ100の縦断面を右方から見た時の模式図である。
【
図4】
図1の排出トレイ420Bを模式的に示す斜視図であり、(A)は、装着位置P2bから離れた排出トレイ420Bを示し、(B)は、装着位置P2bに位置する排出トレイ420Bを示す。
【
図5】
図3のプラテン470Aと、開口206とを示す模式図である。
【
図6】ニップリリース機構570の一部を示す斜視図である。
【
図7】ニップリリース機構570のスライド部材571Rを示す縦断面図であり、(A)は、後位置P6bに位置するスライド部材571Rを示し、(B)前位置P7bに位置するスライド部材571Rを示す。
【
図8】ニップリリース機構570のレバー572Rを示す縦断面図であり、(A)は、基準位置P8bに位置するレバー572Rを示し、(B)は、前回動位置P9bに位置するレバー572Rを示す。
【
図9】プリンタ100の構成を示すブロック図である。
【
図10】プリンタ100の動作を示すフローチャートである。
【
図11】排出トレイ420Bの第1変形例を示す模式図である。
【
図12】ニップリリース機構570Aの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、プリンタ100が使用可能に設置された状態(
図1,
図2の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口207が設けられている面を手前側として前後方向8が定義され、プリンタ100を前方から見て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8および左右方向9は、互いに直交している。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。
【0011】
[プリンタ100の概略構成]
図1,
図2に示すように、プリンタ100は、筐体200と、供給トレイ410A,410B、排出トレイ420A,420B、排出ローラ対460A,460Bおよびディスプレイ510を備える。
【0012】
プリンタ100は、
図3に示すように、給送機構430A,430B、搬送路440A,440B、搬送ローラ対450A,450B、プラテン470A,470B、および記録ヘッド480A,480Bをさらに備える。
【0013】
プリンタ100は、
図6~
図8に示すように、ニップリリース機構570をさらに備える。
【0014】
プリンタ100は、
図9に示すように、シートセンサ520A,520B、排出トレイセンサ540B、搬送モータ551A,551B、キャリッジモータ552A,552B、エンコーダセンサ486A,486B、およびコントローラ560と、をさらに備える。
【0015】
なお、プリンタ100は、画像記録装置の一例である。
【0016】
供給トレイ410A,410Bは、上供給トレイおよび下供給トレイの一例である。排出トレイ420A,420Bは、下排出トレイおよび上排出トレイの一例である。搬送路440A,440Bは、下搬送路および上搬送路の一例である。記録ヘッド480Aは、下記録エンジンの一例である。記録ヘッド480B、上記録エンジンの一例である。搬送ローラ対450A,450Bは、下搬送ローラ対および上搬送ローラ対の一例である。
【0017】
[筐体200]
図1,
図2において、筐体200は、略直方体の外形形状を有する外装体であり、筐体200内の各種フレーム(図示せず)により支持されている。筐体200は、左前壁201L、右前壁201R、左内側壁202L、右内側壁202R、下奥壁203A、上奥壁203Bを有する。
【0018】
図1に示すように、左前壁201Lおよび右前壁201Rの各々は、正面視で上下方向7に長い概ね矩形形状である。左前壁201Lは、右前壁201Rから左方に間隔D1をあけて位置する。間隔D1は、供給トレイ410A等の左右寸法に概ね等しい。
【0019】
左内側壁202Lは、左前壁201Lの右端から後方へと延び、右内側壁202Rは、右前壁201Rの左端から後方へと延びている。左内側壁202Lおよび右内側壁202Rの各々は、上下方向7および前後方向8の両方向に拡がっている。
【0020】
図1(A)において、下奥壁203Aおよび上奥壁203Bの各々は、正面視で左右方向9に長い概ね矩形形状であり、左内側壁202Lおよび右内側壁202Rの後端同士を繋いでいる。下奥壁203Aは、上奥壁203Bより下方および前方に離れて位置する。
【0021】
図1(B)に示すように、下奥壁203Aの上端、および上奥壁203Bの下端の間の部分は、上方に向かって開放された開口206となっている。排出トレイ420Bが取り外されているとき、開口206からは、少なくともプラテン470A(
図5参照)が露出する。
【0022】
正面視で、上奥壁203Bと下奥壁203Aとの間は、開口210になっている(
図4参照)。
図1では、開口210は、排出トレイ420Bの後方に隠れている。
【0023】
図1(A)において、下奥壁203Aおよび上奥壁203Bの下端付近の位置には、左右方向9に細長いスリットが排出口444A,444Bとしてそれぞれ形成されている。正面視で、排出口444A,444Bからは排出ローラ対460A,460Bの一部がそれぞれ覗いている。排出口444Aは、下排出口の一例であり、排出口444Bは、上排出口の一例である。
【0024】
図1において、左内側壁202L、右内側壁202R、下奥壁203A、上奥壁203Bは、排出トレイ420A,420Bの設置空間204を区画する。設置空間204は、前方および上方の両方へと開放されている。なお、排出トレイ420Aは、設置空間204の下端を区画する。なお、
図1(B)では、排出トレイ420Bの図示は省略されている。
【0025】
筐体200は、上壁205をさらに有する。上壁205は、左前壁201L、右前壁201R、左内側壁202L、右内側壁202Rおよび上奥壁203Bの各上端と繋がっている。
【0026】
図2に示すように、筐体200において、排出トレイ420Aよりも下方の部分は、前方に向かって開放された開口207になっている。開口207からは筐体200の内部(すなわち後方)に向かって、供給トレイ410A,410Bの収容空間208が拡がっている。
【0027】
また、筐体200は、
図1(B)に示すように、後壁215をさらに有する。後壁215は、筐体200の上壁205、左外壁216および右外壁217の後端同士を繋ぐ。後壁215において、後述の搬送ローラ対450の後方には、ユーザが搬送ローラ対450にアクセスするために、後方に向かって開放された開口が形成されている。
【0028】
筐体200は、カバー218をさらに備える。カバー218は、後壁215の開口を閉塞する閉位置P12と、後壁215の開口を開放する開位置P13との間で、左右方向9に沿う軸心周りに回動可能である。カバー218が開位置P13にあるとき、ユーザは、搬送ローラ対450にアクセス可能であり、搬送路440Bで詰まっているシート1Bを除去できる。
【0029】
[ディスプレイ510]
ディスプレイ510は、右前壁201Rにおいて上端付近に位置する。ディスプレイ510は、コントローラ560により送信される画像データに基づく各種画像を表示する。なお、ディスプレイ510は、筐体200において他の位置に設けられていてもよい。
【0030】
[供給トレイ410A,410B]
図3に示すように、供給トレイ410A,410Bは、開口207(
図2参照)を通じて収容空間208内に装着される。供給トレイ410Aは、供給トレイ410Bより上方に装着される。
【0031】
供給トレイ410A,410Bの各々は、上下方向7に薄い箱状の形状である。供給トレイ410A,410Bの各上端部は開放されている。
図3に示すように、供給トレイ410A,410Bは、複数のシート1A,1Bが積層された状態で底部においてそれぞれ支持可能である。なお、シート1Bのサイズや種類は、シート1Aと同じでもよいし、異なっていてもよい。シート1A,1Bは、供給トレイ410A,401Bの各底部に設けられたシートガイド(図示せず)により、シート1A,1Bの幅方向における中心が通紙中心面Cに揃うように支持される。通紙中心面Cは、
図1,
図2に示すように、排出口444A,444Bの左右方向9における概ね中心を通過し、上下方向7および前後方向8に平行な面である。通紙中心面Cは、後述の搬送路440A,440B(
図3参照)の左右方向9における概ね中心を通過する面でもある。
【0032】
[排出トレイ420A,420B]
図3に示すように、排出トレイ420Aは、設置空間204の下端において、搬送路440Aの排出口444Aのすぐ下から前方に向かって延びる。排出トレイ420Aは、前後方向8および左右方向9に拡がる支持面421Aを有している。
【0033】
排出トレイ420Bは、設置空間204において排出トレイ420Aから上方に離れた位置で、左内側壁202Lおよび右内側壁202Rに設けられているガイドレール(図示せず)に沿って案内されつつ後方(第1装着向きの一例)へ移動することで、設置空間204における装着位置P2b(
図3,
図4参照)に装着される。装着位置P2bは、例えば、前後方向8において上奥壁203Bの位置である。装着位置P2bの排出トレイ420Bは、搬送路440Bの排出口444Bのすぐ下から前方に向かって延び、前後方向8および左右方向9に拡がる支持面421Bを有している。装着位置P2bは、第1装着位置の一例である。
【0034】
排出トレイ420Bは、装着位置P2bから、ガイドレール上で案内されつつ前方(第1離間向きの一例)へ移動することで筐体200から取り外される。
【0035】
支持面421A,421Bの各々は、平面視で概ね矩形形状であり、排出口444A,444Bから排出されたシート1A,1Bを支持する。
【0036】
図4において、排出トレイ420Bは、下端面422Bをさらに有する。下端面422Bは、下方からの平面視で、開口206より若干大きいサイズの矩形形状を有する。下端面422Bは、排出トレイ420Bが装着位置P2bに向かって後方に移動することに連動して、後方(閉塞向きの一例)へと移動する(
図4(B)参照)。下端面422Bは、排出トレイ420Bが装着位置P2bに位置するとき、閉位置P3bに位置する。閉位置P3bは、下端面422Bが開口206(すなわち、搬送路440Aの直線部442Aの上方)を閉塞する位置である。下端面422Bは、カバーの一例である。下端面422Bは、排出トレイ420Bが装着位置P2bから前方へ移動すると、閉位置P3bから前方(開放向きの一例)に移動し開口206を開放する(
図4(A)参照)。
【0037】
排出トレイ420Bの後端面423Bの左右両端からは、後述のニップリリース機構570の一部である主動節部424L,424Rが後方に延出している。
【0038】
図4(A)に示されるように、主動節部424Rは、詳細には、後端面423Bの右端から延出する。主動節部424Rは、前後方向8に長く且つ左右方向9に薄い板状形状を有する。
図4(A)の右下の部分には、主動節部424Rがより詳細に示されている。
【0039】
主動節部424Rは、凹部425Rを有する。凹部425Rは、主動節部424Rの前端寄りに位置しており、主動節部424Rの上面426Rから下方へと凹み、且つ主動節部424Rの右端から左方へと凹んでいる。すなわち、凹部425Rの前端、後端および左端は、前面427R、後面428Rおよび左面429Rによりそれぞれ区画される。前面427Rおよび後面428Rは、上下方向7に細長い略矩形形状をそれぞれ有し、前後方向8において互いに対向する。左面429Rは、右方からの平面視で略矩形形状を有し、前面427Rおよび後面428Rの左端同士を繋ぐ。
【0040】
主動節部424Rは、上面426Rにおいて凹部425Rのすぐ左側に、突起4210Rを有する。突起4210Rは、上面426Rの特定位置から上方に延出している。特定位置は、前後方向8において、凹部425Rにおける前面427Rおよび後面428Rの概ね中間の位置である。突起4210Rは、上下方向7に細長い略直方体形状であり、後面4211Rを有する。後面4211Rは、排出トレイ420Bの後端面423Bから距離D2bだけ離れて位置する。
【0041】
主動節部424Rは、下端面422Bが閉位置P3bに移動する過程で、開口210を通じて筐体200内に挿入される。詳細は後段で説明するが、筐体200内で、凹部425Rには、レバー572Rの先端部が入り込み、突起4210Rには、スライド部材571Rの突起578Rが当接する。
【0042】
主動節部424Lは、通紙中心面Cを基準として主動節部424Rと対称な形状でよいため、主動節部424Lの詳細な説明を控える。
【0043】
[給送機構430A,430B]
図3に示すように、給送機構430Aは、筐体200内で、上下方向7において供給トレイ410Aとプラテン470Aとの間に位置する。給送機構430Aは、大略的に、給送ローラ431Aと、給送アーム432Aとを備え、給送アーム432Aに収容される駆動伝達機構(図示せず)により、搬送モータ551A(
図9参照)の駆動力を給送ローラ431Aに伝達する。これにより、給送ローラ431Aは、順回転し、供給トレイ410A上の最上層のシート1Aを搬送路440Aの供給口443Aに給送する。
【0044】
給送機構430Bは、筐体200内で、上下方向7において装着位置P1bの供給トレイ410Bと供給トレイ410Aとの間に位置する。給送機構430Bは、大略的に、給送ローラ431Bおよび給送アーム432Bを備え、搬送モータ551B(
図9参照)からの駆動力により回転し、供給トレイ410B上の最上層のシート1Bを搬送路440Bの供給口443Bに給送する。
【0045】
[搬送路440A,440B]
図3に示されるように、筐体200内で、供給口443A,443Bから湾曲しつつ排出口444A,444Bに至る搬送路440A,440Bがそれぞれ形成されている。
【0046】
搬送路440Aは、
図3中一点鎖線で示され、湾曲部441Aと、直線部442Aとを有する。湾曲部441Aは、供給口443Aを有する。供給口443Aは、筐体200内の供給トレイ410Aが有する後端のすぐ上に位置する。湾曲部441Aは、供給口443Aから上方へ延びつつ湾曲して前方に向かう。直線部442Aは、湾曲部441Aの下流端と連続し、湾曲部441Aの下流端から前方に概ね直線的に延びて、排出口444Aに至る。
【0047】
搬送路440Bは、
図3中二点鎖線で示され、湾曲部441Bと、直線部442Bとを有する。湾曲部441Bは、供給口443Bを有する。供給口443Bは、筐体200内の供給トレイ410Bが有する後端のすぐ上に位置する。湾曲部441Bは、供給口443Bから上方へと、筐体200内で湾曲部441Aの外側を通って延びる。湾曲部441Bは、搬送路440Aより上方の位置で前方へと屈曲する。直線部442Bは、湾曲部441Bの下流端と連続し、湾曲部441Bの下流端から前方に概ね直線的に延びて、直線部442Aよりも上方を通り、排出口444Bに至る。排出口444Bは、前後方向8において排出口444Aより後方に位置する。
【0048】
搬送路440A,440Bにおいて、シート1A,1Bは、搬送向き5A,5Bへとそれぞれ搬送される。
【0049】
[搬送ローラ対450A,450B]
図2に示すように、搬送ローラ対450Aは、湾曲部441Aの下流端(すなわち、直線部442Aの上流端)の位置で、互いに当接し合う2個一対のローラを有する。2個のローラの一方は、搬送路440Aの下側で搬送路440Aに沿って左右方向9に延びている。2個のローラの一方は、搬送モータ551A(
図9参照)で発生する駆動力により回転する。2個のローラの他方は、一方のローラに上方から当接し、一方のローラの回転により従動回転する。
【0050】
搬送ローラ対450Bは、湾曲部441Bの下流端(すなわち、直線部442Bの上流端)に位置する点を除き、搬送ローラ対450Aと同様である。搬送ローラ対450Bの詳細な説明は、後段で行う。
【0051】
搬送ローラ対450A,450Bは、回転することで、湾曲部441A,441Bで搬送されたシート1A,1Bをニップし、直線部442A,442Bへとそれぞれ送り出す。
【0052】
[排出ローラ対460A,460B]
図2に示すように、排出ローラ対460Aは、筐体200内で、直線部442Aにおいてプラテン470Aおよび排出口444Aの間の位置で、互いに当接し合う2個のローラを有する。2個のローラの一方は、搬送路440Aの下側で搬送路440Aに沿って左右方向9に延びている。2個のローラの一方は、搬送モータ551A(
図9参照)で発生する駆動力により回転する。2個のローラの他方は、拍車であり、一方のローラに上方から当接し、一方のローラの回転により従動回転する。
【0053】
排出ローラ対460Bは、筐体200内で、直線部442Bにおいてプラテン470Bおよび排出口444Bの間に位置する点を除き、排出ローラ対460Aと同様である。そのため、排出ローラ対460Bの詳説を控える。
【0054】
排出ローラ対460A,460Bは、回転することで、直線部442A,442Bで搬送されたシート1A,1Bをニップし、排出口444A,444Bへとそれぞれ送り出す。
【0055】
[プラテン470A,470B]
図3において、プラテン470Aは、搬送向き5Aにおいて搬送ローラ対450Aおよび排出ローラ対460Aの間に位置する。プラテン470Aは、
図3に示すように、開口206の下方に位置し、
図5に示すように、排出トレイ420Bが取り外されたときに、開口206から露出する。
【0056】
プラテン470Bは、搬送向き5Bにおいて搬送ローラ対450Bおよび排出ローラ対460Bの間であって、前後方向8においてプラテン470Aより後方に離れて位置する。
【0057】
プラテン470A,470Bは、直線部442A,442Bの直下で前後方向8および左右方向9に拡がる支持面で、直線部442A,442Bで搬送されるシート1A,1Bをそれぞれ支持する。
【0058】
[記録ヘッド480A,480B]
図3に示すように、記録ヘッド480A,480Bは、上下方向7において、プラテン470A,470Bから上方に僅かに離れてそれぞれ位置する。記録ヘッド480Bは、前後方向8において、記録ヘッド480Aよりも後方にずれて位置する。
【0059】
記録ヘッド480A,480Bは、プラテン470A,470Bで支持されるシート1A,1Bへとインクをそれぞれ吐出する。これにより、シート1A,1Bの各々には、画像が記録される。本実施形態では、記録ヘッド480A,480Bの各々は、シリアルヘッドである。また、記録ヘッド480A,480Bは、インクジェット方式により画像を記録するが、これに限らず、熱転写方式等により画像を記録してもよい。
【0060】
記録ヘッド480Aは、
図5に示すキャリッジ481Aの下面側に搭載されている。なお、
図5では、記録ヘッド480Aは、キャリッジ481Aで隠れている。
【0061】
図5において、キャリッジ481Aは、前後方向8に離間する位置で左右方向9に延びるガイドレール482A,483Aに支持されている。キャリッジ481Aは、ガイドレール483Aに配置された公知のベルト機構490A(下駆動機構の一例)に連結されている。なお、このベルト機構490Aは、キャリッジモータ552A(
図9参照)によって駆動される。つまり、キャリッジモータ552Aの駆動により周運動するベルト機構490Aに接続されたキャリッジ481Aは、記録ヘッド480Aとともに、プラテン470Aにおける搬送路440Aの直線部442A上のシート対向領域(下記録位置の一例)を、左右方向9(交差方向の一例)に往復移動可能である。記録ヘッド480Aは、キャリッジ481Aがシート対向領域を移動している間にインクを吐出する。詳細には、キャリッジ481Aは、退避位置484Lと、退避位置484Rとの間を左右方向9に移動可能である。退避位置484L,484Rは、シート対向領域より左方および右方の領域である。退避位置484L,484Rは、記録ヘッド480Aに対し各種メンテナンス(フラッシングやパージ等)を行うための領域でもある。
【0062】
図5において、ガイドレール483Aには、左右方向9に延びる帯状のエンコーダストリップ485Aが配置されている。エンコーダセンサ486Aは、エンコーダストリップ485Aに対面するように、キャリッジ481Aに搭載されている。キャリッジ481Aが左右方向9に移動している間、エンコーダセンサ486Aは、エンコーダストリップ485Aを読み取ってパルス信号S1aを生成し、生成したパルス信号S1aをコントローラ560(
図9参照)に出力する。
【0063】
なお、キャリッジ481A、ガイドレール482A,483A、ベルト機構、キャリッジモータ552A(
図9参照)、エンコーダストリップ485Aおよびエンコーダセンサ486Aは、下駆動機構の一例である。
【0064】
また、記録ヘッド480Bは、
図5に示すように、キャリッジ481B、ガイドレール482B,483B、ベルト機構、キャリッジモータ552B(
図9参照)、エンコーダストリップ485Bおよびエンコーダセンサ486Bにより、記録ヘッド480Aと同様にして左右方向9に移動可能である。なお、以下では、エンコーダセンサ486Bが出力するパルス信号には、参照符号「S1b」を付す。
【0065】
[ニップリリース機構570]
図6,
図7において、ニップリリース機構570は、大略的に、ローラホルダ453B、複数のコイルバネ454B、リリースシャフト456B、2個一対のスライド部材571L,571R、2個一対のレバー572L,572R、および2個一対のコイルばね573L,573Rを備える。
【0066】
[ローラホルダ453B,コイルバネ454B,リリースシャフト456B]
まず、
図6を参照して、まず、搬送ローラ対450Bについてより詳細に説明する。搬送ローラ対450Bは、2個一対のローラとして、駆動ローラ451Bと、複数のピンチローラ452Bとを含む。駆動ローラ451Bは、搬送路440Bの下側で、搬送路440Bに沿って左右方向9に延びている。駆動ローラ451Bは、2本一対のサイドフレーム211L,211Rの間に架け渡される。サイドフレーム211L,211Rは、筐体200内で、直線部442Bよりも左方および右方の位置で、前後方向8に延びている。駆動ローラ451Bは、サイドフレーム211L,211Rに設けられている軸受212L,212Rにより回転可能に支持されている。なお、サイドフレーム211L,211Rは、通紙中心面Cを基準として左右方向9において互いに対称な形状でよい。
【0067】
図6に示されるように、複数のピンチローラ452Bの各々は、ローラホルダ453Bにより回転可能に支持されている。ローラホルダ453Bのすぐ上には、複数のコイルばね454Bが位置する。各コイルばね454Bは、それぞれの長さ方向における下端でローラホルダ453Bに繋がっており、それぞれの上端でガイドレール482B(
図5参照)の下面に繋がっている。すなわち、ローラホルダ453Bは、複数のコイルばね454Bを介してガイドレール482Bに支持され、複数のコイルばね454Bにより下方へ付勢されている。これにより、ローラホルダ453B内の各ピンチローラ452Bは、駆動ローラ451Bへと付勢されている。
【0068】
各ローラホルダ453Bにおいて複数のピンチローラ452Bより上方の部分には、ローラホルダ453Bを左右方向9に貫通する複数の貫通孔455Bが形成されている。各貫通孔455Bには、左右方向9に延びるリリースシャフト456Bが挿通されている。リリースシャフト456Bは、サイドフレーム211L,211Rの間に架け渡され、リリースシャフト456Bの左端および右端は、サイドフレーム211L,211Rに支持されている。これにより、リリースシャフト456Bに上向きの外力が加わったときに、ローラホルダ453Bは、各コイルばね454Bの付勢力に抗して、各ピンチローラ452Bとともに、サイドフレーム211L,211Rに対して上下方向7に移動可能である。
【0069】
詳細には、リリースシャフト456Bは、ニップ位置P4b(
図7(A)参照)と、離間位置P5b(
図7(B)参照)との間で移動可能である。リリースシャフト456Bは上離間部材の一例である。ニップ位置P4bおよび離間位置P5bは、第1当接位置および第1離間位置の一例である。リリースシャフト456Bに上向きの外力が加わっていないとき、リリースシャフト456Bは、コイルばね454Bによる付勢力によりニップ位置P4bに位置する。ニップ位置P4bは、各ピンチローラ452B(
図6参照)が駆動ローラ451Bに当接するリリースシャフト456Bの位置である。一方、リリースシャフト456Bに後述の突起576Rにより上向きの力が加えられると、リリースシャフト456Bは、コイルばね454Bの付勢力に抗して、ニップ位置P4bよりも上方に離れた離間位置P5bに移動する。その結果、各ピンチローラ452Bと、駆動ローラ451Bとの間には隙間が生じる。
【0070】
[スライド部材571R、571L]
図6に示されるように、スライド部材571Rは、サイドフレーム211Rの下端で前後方向8に延びる底部213Rにより支持される。底部213Rは、
図7に示すように、装着位置P2bの排出トレイ420Bの主動節部424Rより上方に位置する。スライド部材571Rは、サイドフレーム211Rの左隣りで、底部213Rに沿って前後方向8にスライド可能である。スライド部材571Rは、前後方向8において、後位置P6b(
図7(A)参照)と、前位置P7b(
図7(B)参照)との間で移動する。スライド部材571Rは、排出トレイ420Bが装着位置P2bにあるとき、後位置P6bに位置し、排出トレイ420Bが筐体200から引き出される過程で前位置P7bに位置する。
【0071】
図6,
図7に示すように、スライド部材571Rは、大略的に、本体574Rと、本体574Rに一体的に設けられる延出部575R、突起576R、凸部577R、突起578Rを備えている。
【0072】
図7に示すように、延出部575Rは、本体574Rの後端部から上方へ延出している。延出部575Rの延出端からは、前方に向かって突起576Rが突出している。突起576Rは、テーパ形状を有している。詳細には、突起576Rの上面は、前方の部分、すなわち先端の部分ほど下方へと傾斜している。
【0073】
図7(A)に示すように、突起576Rの先端は、上下方向7において、ニップ位置P4bにあるリリースシャフト456Bの下端と概ね同じ位置に設けられる。また、突起576Rの先端は、スライド部材571Lが後位置P6bにあるとき、リリースシャフト456Bより後方に離間して位置する。
【0074】
図7(B)に示すように、スライド部材571Rが前位置P7bにあるとき、突起576Rの先端は、リリースシャフト456Bより前方に位置する。このとき、突起576Rの上面は、リリースシャフト456Bに下方から当接してリリースシャフト456Bに上向きの力を加え、リリースシャフト456Bを、ニップ位置P4bより上方の離間位置P5bに位置させる。
【0075】
図7に示されるように、凸部577Rは、本体574Rの右側面において前端且つ下端に近い部分から右方に突出している。
【0076】
突起578Rは、本体574Rの下端面において、凸部577Rよりも後方の位置から下方に突出している。突起578Rは、上下方向7に長く且つ前後方向8に薄い板状形状であり、装着位置P2bの突起4210Rの上端より下方の位置まで延出している。また、突起578Rは、前面579Rを有する。
【0077】
前面579Rは、
図7(A)に示すように、スライド部材571Rが後位置P6bにあり且つ排出トレイ420Bが装着位置P2bにあるとき、前後方向8において、排出トレイ420Bが有する突起4210Rの後面4211Rと概ね同じ位置にある。
【0078】
前面579Rは、
図7(B)に示すように、排出トレイ420Bが筐体200から引き出されることで、スライド部材571Rが前位置P7bへと移動することに応じて前方に移動する。
【0079】
排出トレイ420Bが筐体200内で装着位置P2bへ移動する過程で、突起4210Rは、突起578Rに当接して後向きの力を加える。これにより、スライド部材571Rは、前位置P7bから後位置P6bに移動する。
【0080】
なお、スライド部材571Lは、通紙中心面Cを基準としてスライド部材571Rと対称な形状でよいため、スライド部材571Lの詳細な説明を控える。
【0081】
[レバー572R,572L,コイルばね573R,573L]
図6に示されるように、レバー572Rは、左右方向9に薄い板状形状である。
図8に示されるように、レバー572Rは、サイドフレーム211Rの右側面に設けられるシャフト214R周りに回動可能に支持されている。レバー572Rは、シャフト214Rから下方へと延びている。レバー572Rは、排出トレイ420Bが有する主動節部424Rの凹部425Rと、左右方向9において概ね同じ位置に設けられる。シャフト214Rは、装着位置P2bの主動節部424Rよりも上方に位置する。レバー572Rの上端部には、コイルばね573Rの長さ方向における下端が接続されている。コイルばね573Rの上端はサイドフレーム211Rの上端付近に係止されている。
【0082】
コイルばね573Rが自然長を有するとき、レバー572Rの下端(すなわち、先端)は、シャフト214Rの軸心の周方向における基準位置P8b(
図8(A)参照)に位置する。レバー572Rが基準位置P8bに位置し且つ排出トレイ420Bが装着位置P2bに位置するとき、レバー572Rの先端は、シャフト214Rより後方且つ下方に位置し、凹部425Rが有する前面427Rおよび後面428Rの間に位置する。
【0083】
レバー572Rは、基準位置P8b(
図8(A)参照)を基準として、前回動位置P9b(
図8(B)参照)にシャフト214Rの軸心の周方向において回動可能である。前回動位置P9bは、基準位置P8bを基準として、周方向のうち矢印151の向きに回動した位置である。矢印151は、
図8の紙面において時計回りの向きを示す。レバー572Rは、基準位置P8bから周方向に回動すると、コイルばね573Rは伸縮する。そのため、レバー572Rは、コイルばね573Rの弾性力により、基準位置P8bに向けて付勢される。
【0084】
排出トレイ420Bが装着位置P2bから前方へ引き出される過程で、レバー572Rの先端には、凹部425Rの後面428Rにより前向きの力が加えられる。この間、レバー572Rは、周方向に基準位置P8bから前回動位置P9bに向けて回動する。レバー572Rが前回動位置P9bへと移動する過程で、レバー572Rが凸部577Rに当接することで、凸部577Rには前向きの力が加わる。その結果、スライド部材571Rは、後位置P6bから前位置P7bへと移動する。スライド部材571Rが前位置P7bへと移動し、排出トレイ420Bがさらに前方へ引き出されると、レバー572Rは、排出トレイ420Bから力を受けなくなるため、コイルばね573Eの付勢力により基準位置P8bへと戻る。
【0085】
排出トレイ420Bが装着位置P2bに装着される過程で、レバー572Rの先端は、まず、主動節部424Rの上面426Rに当接する。その結果、レバー572Rは、基準位置P8bを基準として前回動位置P9bとは逆向き(矢印152参照)に回動し、上面426R上で上面426Rに対し相対移動した後、凹部425Rに入り込む。相対移動の過程で、レバー572Rは、スライド部材571Rに対し実質的に作用せず、スライド部材571Rの突起578Rに、主動節部424Rの突起4210Rが当接する。その結果、スライド部材571Rは、前位置P7bから後位置P6bへと移動する。
【0086】
なお、レバー572Lおよびコイルばね573Lは、通紙中心面Cを基準としてレバー572Rおよびコイルばね573Rと対称な形状でよいため、レバー572Lおよびコイルばね573Lの詳細な説明を控える。
【0087】
[シートセンサ520A,520B]
図9において、シートセンサ520Aは、搬送路440Aにおいて排出口444A付近の特定位置P10a(
図3参照)に設けられる。シートセンサ520Aは、シート信号S2aをコントローラ560に出力する。シート信号S2aは、シート1Aが特定位置P10aに無いとき、後述のシート閾値以上のレベルを有し、シート1Aが特定位置P10aに有るとき、シート閾値未満のレベルを有する。
【0088】
シートセンサ520Bは、搬送路440Bにおいて排出口444B付近の特定位置P10bに設けられる。シートセンサ520Bは、シート信号S2bをコントローラ560に出力する。シート信号S2bは、シート1Bが特定位置P10bに無いとき、後述のシート閾値以上のレベルを有し、シート1Bが特定位置P10bに有るとき、シート閾値未満のレベルを有する。
【0089】
なお、シートセンサ520A,520Bは、下シートセンサおよび上シートセンサの一例である。
【0090】
[排出トレイセンサ540B]
排出トレイセンサ540B(上トレイセンサの一例)は、アクティブ型光センサ等である。排出トレイセンサ540Bは、装着位置P2bの主動節部424Rの後端付近にそれぞれ設けられる。排出トレイセンサ540Bは、トレイ信号S4bをコントローラ560に周期的に出力する。トレイ信号S4bは、排出トレイ420Bが装着位置P2bに有るとき、トレイ閾値未満のレベルを有し、排出トレイ420Bが装着位置P2bに無いとき、トレイ閾値以上のレベルを有する。
【0091】
[コントローラ560]
図9において、コントローラ560は、筐体200内に設けられた制御回路基板上に実装されたCPU、ROM、RAM、EEPROM、およびASIC等を有する。CPU、ROM、RAM、EEPROM、およびASICは、内部バスにより相互に通信可能に接続されている。ROMには、プリンタ100の動作を制御するためのプログラムなどが記憶される。CPUは、プログラムをRAMやEEPROMを使いつつ実行する。
【0092】
コントローラ560は、プリンタ100と通信可能な情報処理装置により送信されたジョブを受け付けると、画像データに基づく画像を条件情報に従って記録するために、プリンタ100の構成各部を制御する。
【0093】
詳細には、コントローラ560は、2つのジョブの一方に含まれる画像データに基づく画像を記録ヘッド480Aを用いて記録し、且つ他方に含まれる画像データに基づく画像を記録ヘッド480Bを用いて記録するようにプリンタ100の構成各部を制御する。
【0094】
他にも、コントローラ560は、複数の画像を示す画像データを1つのジョブに含む場合、一部の画像を記録ヘッド480Aを用いて記録し、且つ残りの画像を記録ヘッド480Bを用いて記録するようにプリンタ100の構成各部を制御してもよい。
【0095】
[プリンタ100の動作]
以下、
図10を参照して、プリンタ100の動作について説明する。なお、
図10は、1枚のシート1A,1Bに対する画像記録におけるプリンタ100の動作を示している。
【0096】
プリンタ100が画像記録可能な状態では、供給トレイ410A,410Bは、筐体200内に位置する。排出トレイ420Bは装着位置P2bに、排出トレイ420Bの下端面422Bは閉位置P3bに位置する。カバー218は、閉位置P12に位置する。これにより、ユーザは、搬送路440A,440Bにアクセス不能となっている。リリースシャフト456Bはニップ位置P4bに、スライド部材571Lは後位置P6bに、レバー572Rは基準位置P8bに位置する。
【0097】
図10において、コントローラ560は、S11で、情報処理装置により送信されたジョブを受け付けると、記録ヘッド480A,480Bを用いた画像記録を開始する。このとき、コントローラ560は、搬送モータ551A,551Bに駆動信号を出力して、給送機構430A,430Bにシート1A,1Bの給送を開始させ、搬送ローラ対450A,450Bおよび排出ローラ対460A,460Bを回転させる。
【0098】
S12で、コントローラ560は、シートセンサ520A,520Bからシート信号S2a,S2bを受信する。
【0099】
S13で、コントローラ560は、受信したシート信号S2a,S2bが、給送機構430A,430Bの給送開始から所定時間が経過する間(以下、「特定期間」とも称する)にレベル閾値未満になったか否かを判断する。
【0100】
コントローラ560がシート信号S2a,S2bの双方がレベル閾値未満と判断した場合(S13:YES)、搬送路440A,440Bでジャムは発生していない。そのため、コントローラ560は、記録ヘッド480A,480Bを用いた画像記録を続行する(S14)。コントローラ560は、シート信号S2a,S2bの双方がレベル閾値未満でない判断した場合(S13:NO)、ジャムが発生しているとして、記録ヘッド480A,480Bを用いた画像記録を停止する(S15)。この時、コントローラ560は、記録ヘッド480Aの動作を停止するだけでなく、搬送モータ551A,551Bへの駆動信号の出力も停止する。
【0101】
画像記録の停止後、コントローラ560は、キャリッジ481A,481Bを退避位置484L,484Rへ移動させる(S16)。詳細には、コントローラ560は、キャリッジモータ552A,552Bに駆動信号を出力し始め、キャリッジ481A,481Bの各々を退避位置484L,484Rの一方へと移動させ始める。このとき、コントローラ560は、エンコーダセンサ486A,486Bからパルス信号S1a,S1bを受信し、受信したパルス信号S1a,S1bからキャリッジ481A,481Bの位置を特定し、コントローラ560は、キャリッジ481A,481Bの各々が退避位置484L,484Rの一方に到達したと判断すると、キャリッジモータ552A,552Bへの駆動信号を出力を停止する。これにより、キャリッジ481A,481Bは、キャリッジ481A,481Bを退避位置484L,484Rで停止する。
【0102】
画像記録の停止後、コントローラ560はさらに、警告画像を示す画像データを生成し、ディスプレイ510に送信する。警告画像は、シート信号S2aがレベル閾値未満でない場合には、搬送路440Aでジャムが発生していることを示す画像である。警告画像は、シート信号S2bがレベル閾値未満でない場合には、搬送路440Bでジャムが発生していることを示す画像である。シート信号S2a,S2bの双方がレベル閾値未満でない場合には、搬送路440A,440Bでジャムが発生していることを示す画像である。ディスプレイ510は、受信した画像データに基づき警告画像を表示する(S17)。ユーザは、警告画像の確認後、装着位置P2bにある排出トレイ420Bを前方へと引き出す。
【0103】
排出トレイ420Bが引き出される過程で、排出トレイ420Bの下端面422Bは、閉位置P3bから前方へと移動し、開口206を開放する。ユーザは、搬送路440Aでジャムが発生している場合、開口206から搬送路440Aにアクセスし、搬送路440Aで詰まっているシート1Aを除去する。
【0104】
また、排出トレイ420Bが引き出される過程で、主動節部424Rに設けられる凹部425Rの後面428Rは、レバー572Rの先端に後方から当接し、その後もさらに前方に移動する。そのため、レバー572Rは、基準位置P8bから前回動位置P9bに向けて回動する。レバー572Rが前回動位置P9bへと回動する過程で、レバー572Rは、スライド部材571Rの凸部577Rに後方から当接し、その後もさらに矢印151で示す周方向に回動する。したがって、凸部577Rには、前向きの成分を含む力が加わる。これにより、スライド部材571Rは、後位置P6bから前位置P7bへと移動する。その結果、リリースシャフト456Bには、スライド部材571Rの突起576Rにより上向きの成分を含む力が加わる。その結果、リリースシャフト456Bは、ニップ位置P4bから離間位置P5bに移動し、各ピンチローラ452Bと駆動ローラ451Bとの間には隙間が生じる。ユーザは、搬送路440Bでジャムが発生している場合、カバー218を閉位置P12から開位置P13へと移動させる。その後、ユーザは、搬送路440Bで詰まっているシート1Bを除去する。
【0105】
S17の後、コントローラ560は、画像記録を再開するか否かを判断する(S18)。S18で、コントローラ560は、例えば、ユーザがシート1A,1Bの除去が完了し、図示しない操作パネルに対し所定の操作を行ったか否かにより、画像記録を再開するか否かを判断する。コントローラ560は、再開すると判断した場合に(S18:YES)、排出トレイセンサ540Bからトレイ信号S4bを受信し(S19)、受信したトレイ信号S4bがトレイ閾値未満のレベルを有するか否かを判断する(S110)。
【0106】
トレイ閾値未満と判断した場合(S110:YES)、排出トレイ420Bが装着位置Pb2に位置するため、コントローラ560は、記録ヘッド480A,480Bを用いた画像記録を再開する(S111)。
【0107】
一方、トレイ閾値未満でないと判断した場合(S110:NO)、排出トレイ420Bが装着位置Pb2に位置しないため、コントローラ560は、S19を実行する。
【0108】
S14またはS111の次に、コントローラ560は、S112で、記録ヘッド480A,480Bを用いた画像記録を終了するか否かを判断する。コントローラ560は、画像記録を終了しないと判断した場合(S112:NO)、S14を実行して画像記録を続行し、画像記録を終了すると判断した場合に(S112:YES)、
図10の処理を終了する。
【0109】
[実施形態の作用・効果]
プリンタ100によれば、排出トレイ420Bを筐体200から抜去することで、搬送路440Bの直線部442Bの上方に形成された開口206が開放される。そのため、筐体200内で、記録ヘッド480A,480Bが上下方向7に並置されている場合において、搬送路440Aでジャムが発生した場合であっても、ユーザは、搬送路440Aに容易にアクセスできる。これにより、搬送路440Aにおけるジャム処理をユーザは容易に行える。
【0110】
排出トレイセンサ540Bは、排出トレイ420Bが装着位置P2bにないとき、トレイ閾値以上のレベルを有するトレイ信号を出力する。コントローラ560は、トレイ閾値以上のレベルのトレイ信号を受信した場合には、記録ヘッド480A,480Bを用いた画像記録を実行しない(
図10のS19,S19でNO)。これにより、ユーザが搬送路440Aにアクセス可能な状態で、記録ヘッド480A等を用いた画像記録を実行しないようにできる。
【0111】
ニップリリース機構570は、排出トレイ420Bの前方への移動に連動して、リリースシャフト456Bを離間位置P5bに移動させて、各ピンチローラ452Bと駆動ローラ451Bとの間に隙間を形成する。ユーザは、搬送路440Bで詰まっているシート1Bを除去し易い。プリンタ100によれば、排出トレイ420Bを引き出すことで搬送路440A,440B双方のジャム処理がし易くなる。
【0112】
また、ニップリリース機構570は、供給トレイ410A,410Bよりも搬送ローラ対450Bの近くにある排出トレイ420Bの前方への移動に連動する。そのため、スライド部材571Rを前後方向8に移動するための力を伝達し易く、且つスライド部材571Rのサイズを小型化できる。
【0113】
また、コントローラ560は、S16で、キャリッジ481Aを退避位置484L,484Rの一方へ移動させるため(S16)、ユーザは、開口206から搬送路440Aにアクセスし易い。
【0114】
[第1変形例]
実施形態では、排出トレイ420Bは、前後方向8に移動可能であった。しかし、これに限らず、
図11(A)に示すように、排出トレイ420Bの全体が、筐体200に対し、左右方向9に延びるシャフト701周りに回動可能に構成されてもよい。シャフト701は、排出トレイ420Bが有する支持面421Bの後端に位置する。この場合、排出トレイ420Bは、閉位置P21と、開位置P22とに、シャフト701における軸心の周方向に回動する。閉位置P21は、開口206の閉塞する位置である。開位置P22は、閉位置P21を基準として、シャフト701の軸心の周方向において、開口206から上奥壁203Bに向かう向きに離れた位置である。閉位置P21は、閉位置の他の例であり、シャフト701の軸心の周方向は、閉塞向きおよび開放向きの他の例である。
【0115】
閉位置P21の支持面421Bと、開位置P22の支持面421Bとがなす角度を45度程度に設定することで、搬送路440Aで発生したジャムをユーザが処理している間であっても、コントローラ560は、記録ヘッド480Bの用いた画像記録を実行できる。
【0116】
図11(A)の例に限らず、
図11(B)に示すように、装着位置P2bの排出トレイ420Bにおいて開口206の上方に位置する部分が、筐体200に対し、左右方向9に延びるシャフト701周りに回動可能に構成されてもよい。
【0117】
なお、排出トレイ420Bが
図11に示す構成を有する場合、プリンタ100は、ニップリリース機構570とは異なり且つ公知の機構により、リリースシャフト456Bを、ニップ位置P4b(
図7(A)参照)と、離間位置P5b(
図7(B)参照)とに移動させればよい。
【0118】
[第2変形例]
図10の処理では、コントローラ560は、ジャムが発生している場合、S15で、記録ヘッド480A,480Bを用いた画像記録を停止する。しかし、プリンタ100では、搬送路440Aが供給トレイ410Aおよび排出トレイ420Aを繋ぎ、搬送路440Bが供給トレイ410Bおよび排出トレイ420Bを繋いでいる。コントローラ560は、下記のような制御も実行可能である。
【0119】
すなわち、コントローラ560は、記録ヘッド480A,480Bを用いた画像記録を実行中に、シート信号S2aがレベル閾値未満でないと判定した場合に、記録ヘッド480Bを用いた画像記録を停止するか否かの警告画像をディスプレイ510に表示させる。また、警告画像には、「記録ヘッド480Bを用いた画像記録を続行する場合には、排出トレイ420Bを取り外さないでください」等の文字列を含む。ユーザは、操作キーやタッチセンサ等の入力装置を操作して、記録ヘッド480Bを用いた画像記録を続行するか否かをプリンタ100に入力する。コントローラ560は、続行しないことを示すユーザ操作を受け付けた場合に、記録ヘッド480Bを用いた画像記録を停止し、続行することを示すユーザ操作を受け付けた場合に、記録ヘッド480Bを用いた画像記録を続行してもよい。
【0120】
同様に、コントローラ560は、シート信号S2bがレベル閾値未満でないと判定した場合に、記録ヘッド480Bを用いた画像記録だけを停止し、記録ヘッド480Aを用いた画像記録を続行することもできる。
【0121】
上記処理によれば、搬送路440Bでジャムが発生していない場合に、記録ヘッド480Bを用いた画像記録を続行できるとともに、排出トレイ420Bが装着位置P2bに無い状態でシート1Bが排出口444Bから排出されることを抑制できる。
【0122】
[第3変形例]
実施形態では、プリンタ100は、リリースシャフト456Bを、ニップ位置P4b(
図7(A)参照)と、離間位置P5b(
図7(B)参照)との間で移動させるニップリリース機構570を備えていた。しかし、プリンタ100は、
図12に示すように、搬送ローラ対450Aのニップリリース機構570Aをさらに備えていてもよい。
図12において、ニップリリース機構570Aは、
図6~
図8に示すニップリリース機構570と同様の構成を有するため、その説明を簡素化する。また、ニップリリース機構570Aは、通紙中心面Cを基準として左右方向9において互いに対称であるため、以下には、ニップリリース機構570Aの右側の構成についてのみ説明する。
【0123】
プリンタ100において、供給トレイ410Aは、開口207(
図2参照)を通じて収容空間208内で後方(第2装着向きの一例)へ移動することで、収容空間208における装着位置P1a(第2装着位置の一例)に装着される(
図12(A)参照)。また、供給トレイ410Aは、開口207を通じて収容空間208内で前方(第2離間向きの一例)へ移動することで、装着位置P1aから離れる(
図12(B)参照)。
【0124】
搬送ローラ対450Aは、2個一対のローラとして、駆動ローラ451Aと、複数のピンチローラ452Aとを含む。駆動ローラ451Aは、搬送路440Aの下側で左右方向9に延びている。各ピンチローラ452Aは、ローラホルダ453Aにより回転可能に支持されている。ローラホルダ453Aは、ローラホルダ453Aの上面に当接するコイルばね(図示せず)により下方に付勢される。これにより、各ピンチローラ452Aは、駆動ローラ451Aに当接する。
【0125】
ローラホルダ453Aにおいて各ピンチローラ452Aより上方の部分には、ローラホルダ453Aを左右方向9に貫通する複数の貫通孔455Aが形成されている。各貫通孔455Aには、左右方向9に延びるリリースシャフト456Aが挿通されている。リリースシャフト456Aの左右両端は、筐体200のフレームにより支持される。リリースシャフト456Aに上向きの外力が加わったときに、ローラホルダ453Aは、各コイルばね454Aの付勢力に抗して、各ピンチローラ452Aとともに上下方向7に移動可能である。
【0126】
リリースシャフト456Aは、下離間部材の一例であり、ニップ位置P4a(
図12(A)参照)と、離間位置P5a(
図12(B)参照)との間で移動可能である。ニップ位置P4aは、各ピンチローラ452Aが駆動ローラ451Aに当接するリリースシャフト456Aの位置である。離間位置P5aは、ニップ位置P4aより上方の位置であり、各ピンチローラ452Aが駆動ローラ451Aから離間するリリースシャフト456Aの位置である。
【0127】
なお、ローラホルダ453Aおよびリリースシャフト456Aは、ニップリリース機構570Aの構成の一部である。
【0128】
ニップリリース機構570Aは、スライド部材871Rを備える。供給トレイ410Aが装着位置P1aに移動する過程で、供給トレイ410Aの右側壁414Rに位置する凹部415Rに、レバー5712Rの先端部が入り込む。また、右側壁414Rにおいて凹部415Rの左隣に位置する突起4219Rには、スライド部材871Rの下端から下方に突出する突起5718Rが当接する。スライド部材871Rにおいて後端且つ上端付近には突起5716Rが位置する。突起5716Rは、供給トレイ410Aが装着位置P1aにあるとき、リリースシャフト456Aよりも後方にリリースシャフト456Aから離間する(
図12(A)参照)。これにより、リリースシャフト456Aは、ニップ位置P4aに位置する。
【0129】
スライド部材871Rは、供給トレイ410Aが装着位置P1aから前方に移動する過程で(
図12(B)参照)、レバー5712Rの先端には、供給トレイ410Aの凹部415Rを区画する後面418Rが当接する。その結果、レバー5712Rは、左右方向9に沿う軸心224R周りに前方且つ上方に向かって回動し、スライド部材871Rの凸部5717Rに当接し、スライド部材871Rは前方に移動する。スライド部材871Rの前方への移動に連動して、突起5716Rは、リリースシャフト456Aに下方から当接して、リリースシャフト456Aに上向きの成分を含む力を加える。これにより、リリースシャフト456Aは、ニップ位置P4aから離間位置P5aへと移動する。
【0130】
ニップリリース機構570Aによれば、供給トレイ410Aを前方に移動させることで、搬送ローラ対450Aが互い離間する。そのため、ユーザは、搬送路440Aで発生したジャムを容易に処理できる。また、供給トレイ410Aは、搬送ローラ対450Aの近くにあるため、供給トレイ410Aの移動により生じる力をリリースシャフト456Aへと短い経路で伝達できる。また、ニップリリース機構570Aを小型化できる。
【0131】
「その他の変形例」
実施形態では、排出トレイ420Bの下端面422Bが開口206のカバーであった。しかし、これに限らず、排出トレイ420Bの下方で排出トレイ420Bと構造的または機械的に繋がるカバー部材が開口206を閉塞してもよい。
【0132】
搬送路440A,440Bは、所謂S字状経路またはストレート経路であってもよい。なお、ストレート経路の場合、供給トレイ410A,410Bと排出トレイ420A,420Bとは前後方向8や左右方向9に離れて位置する。
【0133】
また、プリンタ100は、ニップリリース機構570以外の公知の機構により、リリースシャフト456Bを、ニップ位置P4b(
図7(A)参照)と、離間位置P5b(
図7(B)参照)との間で移動させてもよい。
【0134】
コントローラ560は、
図10のS13で、シートセンサ520A,520Bから送信されたシート信号S2a,S2bに基づき、搬送路440A,440Bでジャムが発生しているか否かを判断していた。シートセンサ520A,520Bは、排出口444A,444B付近に位置していた。しかし、これに限らず、シートセンサ520A,520Bは、搬送路440A,440Bにおいて、搬送ローラ対450A,450Bのすぐ上流側や供給口443A,443B付近に位置してもよい。
【0135】
また、コントローラ560は、搬送ローラ対450A,450Bの回転数に基づいて、搬送路440A,440Bでジャムが発生しているか否かを判断してもよい。
【符号の説明】
【0136】
100・・・プリンタ(画像記録装置)
200・・・筐体
204・・・設置空間
410A・・・供給トレイ(上供給トレイ)
410B・・・供給トレイ(下供給トレイ)
420A・・・排出トレイ(下排出トレイ)
420B・・・排出トレイ(上排出トレイ)
422B・・・下端面(カバー)
440A・・・搬送路(下搬送路)
440B・・・搬送路(上搬送路)
444A・・・排出口(下排出口)
444B・・・排出口(上排出口)
450A・・・搬送ローラ対(下搬送ローラ対)
450B・・・搬送ローラ対(上搬送ローラ対)
451A・・・駆動ローラ(下ローラの一方)
451B・・・駆動ローラ(上ローラの一方)
452A・・・ピンチローラ(下ローラの他方)
452B・・・ピンチローラ(上ローラの他方)
456A・・・リリースシャフト(上離間部材)
456B・・・リリースシャフト(下離間部材)
480A・・・記録ヘッド(下記録ヘッド)
480B・・・記録ヘッド(上記録ヘッド)
490A・・・ベルト機構(下駆動機構)
510・・・ディスプレイ
520A・・・シートセンサ(下シートセンサ)
520B・・・シートセンサ(上シートセンサ)
540B・・・排出トレイセンサ(上トレイセンサ)
560・・・コントローラ