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特許7404985給電制御装置、検査方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】給電制御装置、検査方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/20 20060101AFI20231219BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231219BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20231219BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20231219BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20231219BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02H7/20 D
B60R16/02 650S
G01R31/00
H02H3/087
H02H7/00 K
H02J1/00 309Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020071837
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2021168582
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】澤野 峻一
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175809(JP,A)
【文献】特開2007-033108(JP,A)
【文献】特開2004-140907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/20
G01R 31/00
H02H 7/00
H02H 3/087
B60R 16/02
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチをオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、
前記スイッチを介して流れる電流が上昇した場合に上昇する電流が流れる抵抗回路と
前記抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路と、
前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加する印加回路と、
処理を実行する処理部と
を備え、
前記処理部は、
前記印加回路に前記抵抗回路への電圧の印加を指示し、
前記印加回路に電圧の印加を指示した後に前記報知回路が報知を行っているか否かを判定する
給電制御装置。
【請求項2】
前記報知回路は、前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加することによって前記報知を行い、
前記処理部は、
前記印加回路に電圧の印加を指示した後、前記印加回路に電圧の印加の停止を指示し、
前記印加回路に電圧の印加の停止を指示した後、前記抵抗回路の両端間の電圧に基づいて、前記報知回路が前記報知を行っているか否かを判定する
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記抵抗回路の両端間の電圧が前記所定電圧以上の電圧となった場合に前記スイッチをオフに切替える切替え部を備え、
前記処理部は、前記スイッチのオフへの切替えを指示するオフ信号が入力された場合に前記印加回路に前記抵抗回路への電圧の印加を指示する
請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記報知回路が前記報知を行っていると判定した場合、前記報知回路に電圧の印加の停止を指示し、
前記報知回路に電圧の印加の停止を指示した後、前記抵抗回路の両端間の電圧が前記所定電圧未満であるか否かを判定する
請求項2又は請求項3に記載の給電制御装置。
【請求項5】
スイッチを介して流れる電流が上昇した場合に上昇する電流が流れる抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路を検査する検査方法であって、
前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加することを指示するステップと、
前記抵抗回路への電圧の印加を指示した後、前記報知回路が報知を行っているか否かを判定するステップと
をコンピュータが実行する検査方法。
【請求項6】
スイッチを介して流れる電流が上昇した場合に上昇する電流が流れる抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路をコンピュータに検査させるためのコンピュータプログラムであって、
前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加することを指示するステップと、
前記抵抗回路への電圧の印加を指示した後、前記報知回路が報知を行っているか否かを判定するステップと
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電制御装置、検査方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、バッテリから負荷への給電を制御する給電制御装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載の給電制御装置では、バッテリから負荷に流れる電流の電流経路にスイッチが配置されている。スイッチをオン又はオフに切替えることによって、バッテリから負荷への給電を制御する。
【0003】
特許文献1に記載の給電制御装置では、スイッチを介して流れる電流が上昇した場合に上昇する電流が抵抗回路を流れる。抵抗回路には抵抗が含まれている。抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合、電流経路を流れる電流が大きいとして、スイッチをオフに切替える。これにより、電流経路を介して過電流が流れることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-103963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような従来の給電制御装置では、抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合、スイッチがオフに切替わるとともに、報知回路が報知を行う。報知回路が適切に報知を行わない場合、スイッチが適切にオフに切替わらない可能性が高い。スイッチがオフに適切に切替わらない場合、電流経路を介して過電流が通流を未然に防止することができない。
【0006】
近年、コンピュータによって運転が行われる自動運転車両の開発が行われている。自動運転車両では、人によって運転が行われないため、過電流の通流が確実に防止される構成が要求されている。
【0007】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路を検査することができる給電制御装置、検査方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る給電制御装置は、スイッチをオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、前記スイッチを介して流れる電流が上昇した場合に上昇する電流が流れる抵抗回路と前記抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路と、前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加する印加回路と、処理を実行する処理部とを備え、前記処理部は、前記印加回路に前記抵抗回路への電圧の印加を指示し、前記印加回路に電圧の印加を指示した後に前記報知回路が報知を行っているか否かを判定する。
【0009】
本開示の一態様に係る検査方法は、スイッチを介して流れる電流が上昇した場合に上昇する電流が流れる抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路を検査する検査方法であって、前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加することを指示するステップと、前記抵抗回路への電圧の印加を指示した後、前記報知回路が報知を行っているか否かを判定するステップとをコンピュータが実行する。
【0010】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、スイッチを介して流れる電流が上昇した場合に上昇する電流が流れる抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路をコンピュータに検査させるためのコンピュータプログラムであって、前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加することを指示するステップと、前記抵抗回路への電圧の印加を指示した後、前記報知回路が報知を行っているか否かを判定するステップとをコンピュータに実行させる。
【0011】
なお、本開示を、このような特徴的な処理部を備える給電制御装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする検査方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。また、本開示を、給電制御装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、給電制御装置を含む電源システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0012】
上記の態様によれば、抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】駆動回路の要部構成を示すブロック図である。
図3】ラッチ回路の回路図である。
図4】マイコンの要部構成を示すブロック図である。
図5】A/D変換が行われる両端電圧の範囲の説明図である。
図6】オン処理の手順を示すフローチャートである。
図7】オフ処理の手順を示すフローチャートである。
図8】給電制御装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図9】実施形態2における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0015】
(1)本開示の一態様に係る給電制御装置は、スイッチをオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、前記スイッチを介して流れる電流が上昇した場合に上昇する電流が流れる抵抗回路と前記抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路と、前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加する印加回路と、処理を実行する処理部とを備え、前記処理部は、前記印加回路に前記抵抗回路への電圧の印加を指示し、前記印加回路に電圧の印加を指示した後に前記報知回路が報知を行っているか否かを判定する。
【0016】
(2)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記報知回路は、前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加することによって前記報知を行い、前記処理部は、前記印加回路に電圧の印加を指示した後、前記印加回路に電圧の印加の停止を指示し、前記印加回路に電圧の印加の停止を指示した後、前記抵抗回路の両端間の電圧に基づいて、前記報知回路が前記報知を行っているか否かを判定する。
【0017】
(3)本開示の一態様に係る給電制御装置は、前記抵抗回路の両端間の電圧が前記所定電圧以上の電圧となった場合に前記スイッチをオフに切替える切替え部を備え、前記処理部は、前記スイッチのオフへの切替えを指示するオフ信号が入力された場合に前記印加回路に前記抵抗回路への電圧の印加を指示する。
【0018】
(4)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記報知回路が前記報知を行っていると判定した場合、前記報知回路に電圧の印加の停止を指示し、前記報知回路に電圧の印加の停止を指示した後、前記抵抗回路の両端間の電圧が前記所定電圧未満であるか否かを判定する。
【0019】
(5)本開示の一態様に係る検査方法は、スイッチを介して流れる電流が上昇した場合に上昇する電流が流れる抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路を検査する検査方法であって、前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加することを指示するステップと、前記抵抗回路への電圧の印加を指示した後、前記報知回路が報知を行っているか否かを判定するステップとをコンピュータが実行する。
【0020】
(6)本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、スイッチを介して流れる電流が上昇した場合に上昇する電流が流れる抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合に報知を行う報知回路をコンピュータに検査させるためのコンピュータプログラムであって、前記所定電圧以上の電圧を前記抵抗回路に印加することを指示するステップと、前記抵抗回路への電圧の印加を指示した後、前記報知回路が報知を行っているか否かを判定するステップとをコンピュータに実行させる。
【0021】
上記の一態様に係る給電制御装置、検査方法及びコンピュータプログラムにあっては、所定電圧以上の電圧を抵抗回路に印加し、報知回路が報知を行っているか否かを判定する。これにより、報知回路が検査される。
【0022】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、印加回路が電圧の印加を停止した後において、抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上であるか否かに基づいて、報知回路は報知を行っている否かを判定する。抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上である場合、報知が行われていると判定する。抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧未満である場合、報知回路は報知を行っていないと判定する。
【0023】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、スイッチを介して流れる電流が上昇した場合、抵抗回路の両端間の電圧が上昇する。抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧以上の電圧となった場合、スイッチをオフに切替える。このため、スイッチを介して過電流が流れることが防止される。また、オフ信号が入力されたタイミング、即ち、スイッチのオフへの切替えが要求されたタイミングで報知回路を検査する。装置において故障が発生していない場合においては、印加回路が所定電圧以上の電圧を抵抗回路に印加した時点でスイッチがオフに切替わる。
【0024】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、報知回路に抵抗回路への電圧の印加を停止させた後、抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧未満であるか否かを判定する。これにより、抵抗回路の両端間の電圧が所定電圧未満の電圧に戻ったことが確認される。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
(実施形態1)
<電源システムの構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、車両に好適に搭載されており、給電制御装置10、直流電源11及び負荷12を備える。直流電源11は、例えばバッテリである。負荷12は、車両に搭載されている電気機器である。
【0027】
給電制御装置10は、スイッチとして機能するNチャネル型のFET(Field Effect Transistor)20及びシャント抵抗21を有する。直流電源11の正極は、FET20のドレインに接続されている。FET20のソースはシャント抵抗21の一端に接続されている。シャント抵抗21の他端は負荷12の一端に接続されている。直流電源11の負極と、負荷12の他端とは接地されている。
【0028】
FET20がオンである場合、FET20のドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さく、FET20のドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。FET20がオフである場合、FET20のドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きく、FET20のドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。
【0029】
給電制御装置10はFET20をオン又はオフに切替える。FET20がオンに切替わった場合、電流は、直流電源11の正極からFET20、シャント抵抗21、負荷12及び直流電源11の負極の順に流れ、負荷12に電力が供給される。負荷12に電力が供給されている間、負荷12は作動する。FET20がオフに切替わった場合、負荷12への電力供給が停止し、負荷12は動作を停止する。
以上のように、給電制御装置10は、FET20をオン又はオフに切替えることによって、直流電源11から負荷12への給電を制御する。
【0030】
FET20のオンへの切替えを指示するオン信号と、FET20のオフへの切替えを指示するオフ信号とが給電制御装置10に入力される。給電制御装置10は、オン信号が入力された場合、FET20をオンに切替える。給電制御装置10は、オフ信号が入力された場合、FET20をオフに切替える。
【0031】
<給電制御装置10の構成>
給電制御装置10は、FET20及びシャント抵抗21に加えて、レギュレータ22、駆動回路23、電流出力回路24、抵抗回路25、印加回路26及びマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)27を有する。抵抗回路25は検出抵抗30を有する。
【0032】
FET20のドレイン及びゲートそれぞれは、レギュレータ22及び駆動回路23に接続されている。シャント抵抗21の一端及び他端は電流出力回路24に各別に接続されている。電流出力回路24は、更に、抵抗回路25の検出抵抗30の一端に接続されている。検出抵抗30の他端は接地されている。検出抵抗30の一端及び他端それぞれは抵抗回路25の一端及び他端に相当する。電流出力回路24及び検出抵抗30間の接続ノードは、駆動回路23、印加回路26及びマイコン27に接続されている。レギュレータ22、駆動回路23及び印加回路26それぞれは、更に、マイコン27に接続されている。マイコン27も接地されている。
【0033】
基準電位が接地電位であるFET20のゲートの電圧が一定のオン電圧以上である場合、FET20はオンである。基準電位が接地電位であるFET20のゲートの電圧が一定のオフ電圧未満である場合、FET20はオフである。オン電圧はオフ電圧を超えている。オフ電圧は正の電圧である。駆動回路23は、基準電位が接地電位であるFET20のゲートの電圧をオン電圧以上の電圧に上昇させることによって、FET20をオンに切替える。駆動回路23は、基準電位が接地電位であるFET20のゲートの電圧をオフ電圧未満の電圧に低下させることによって、FET20をオフに切替える。
【0034】
前述したように、FET20がオンである場合、電流は、FET20及びシャント抵抗21の順に流れる。電流出力回路24は、シャント抵抗21を介して流れる電流に比例する電流を抵抗回路25の検出抵抗30に出力する。電流出力回路24が出力した電流は、抵抗回路25の検出抵抗30を流れる。以下では、FET20を介して流れる電流をスイッチ電流と記載する。シャント抵抗21を介して流れる電流は、スイッチ電流に実質的に一致する。このため、電流出力回路24から出力される電流は、(スイッチ電流)/(所定数)に実質的に一致し、スイッチ電流が上昇した場合に上昇する。所定数は、正の実数であり、例えば4000である。
【0035】
電流出力回路24から出力された電流は、抵抗回路25の検出抵抗30を介して流れる。検出抵抗30、即ち、抵抗回路25の両端間の電圧は、(電流出力回路24から出力された電流)・(検出抵抗30の抵抗値)で表される。以下では、抵抗回路25の両端間の電圧を両端電圧と記載する。前述したように、電流出力回路24から出力される電流は、(スイッチ電流)/(所定数)に実質的に一致する。従って、抵抗回路25の両端電圧は、(スイッチ電流)・(検出抵抗30の抵抗値)/(所定数)に実質的に一致し、スイッチ電流が大きい程、高い。
【0036】
電流出力回路24及び検出抵抗30間の接続ノードの電圧が駆動回路23及びマイコン27に出力される。ここで、接続ノードの電圧の基準電位は接地電位である。このため、電流出力回路24及び検出抵抗30間の接続ノードの電圧は、抵抗回路25の両端電圧である。
【0037】
レギュレータ22は、基準電位が接地電位である直流電源11の出力電圧を降圧することによって一定電圧Vcを生成し、生成した一定電圧Vcをマイコン27に印加する。これにより、電流が、直流電源11の正極からレギュレータ22、マイコン27及び直流電源11の負極の順に流れ、マイコン27に電力が供給されている。一定電圧Vcは、5.0V又は3.3V等である。
【0038】
マイコン27は駆動回路23に電圧を出力する。マイコン27の出力電圧の基準電位は接地電位である。マイコン27は、駆動回路23に出力する出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。ハイレベル電圧はローレベル電圧よりも高い。ハイレベル電圧は、例えば一定電圧Vcに一致する。ローレベル電圧は、例えばゼロVである。駆動回路23は、マイコン27の出力電圧と、抵抗回路25の両端電圧とに基づいてFET20をオン又はオフに切替える。
【0039】
抵抗回路25の両端電圧が一定の基準電圧未満である状態で、マイコン27が出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた場合、駆動回路23はFET20をオンに切替える。抵抗回路25の両端電圧が基準電圧未満である状態でマイコン27が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、駆動回路23はFET20をオフに切替える。
【0040】
マイコン27の出力電圧がハイレベル電圧である状態で、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧以上の電圧となった場合、駆動回路23は、FET20をオフに切替え、電圧を抵抗回路25に印加する。以下、駆動回路23が抵抗回路25に印加する電圧を報知電圧と記載する。報知電圧は基準電圧以上の電圧である。報知電圧の基準電位は接地電位である。
【0041】
駆動回路23は、報知電圧を抵抗回路25に印加することによって、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧以上の電圧となったことをマイコン27に報知する。マイコン27が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、駆動回路23は、FET20をオフに維持した状態で抵抗回路25への報知電圧の印加を停止する。
マイコン27の出力電圧がローレベル電圧である場合、抵抗回路25の両端電圧に無関係に駆動回路23はFET20をオフに維持する。
【0042】
印加回路26は、マイコン27の指示に従って、抵抗回路25への電圧の印加と、抵抗回路25への電圧の印加の停止とを行う。印加回路26が抵抗回路25に印加する電圧を印加電圧と記載する。印加電圧は基準電圧以上の電圧である。印加電圧の基準電位は接地電位である。
【0043】
オン信号及びオフ信号はマイコン27に入力される。マイコン27は、オン信号が入力された場合、駆動回路23に出力している出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。これにより、駆動回路23はFET20をオンに切替える。前述したように、FET20がオンである場合、電流が、FET20、シャント抵抗21及び負荷12の順に流れ、負荷12に電力が供給される。電流出力回路24は、シャント抵抗21を介して流れる電流に比例する電流を抵抗回路25の検出抵抗30に出力する。
【0044】
マイコン27は、オフ信号が入力された場合、印加回路26に電圧の印加を指示する。これにより、印加回路26は、基準電圧以上の電圧を抵抗回路の両端間の電圧に印加する。結果、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧以上の電圧となるので、駆動回路23はFET20をオフに切替える。前述したように、駆動回路23は、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧以上の電圧となった場合、報知電圧を抵抗回路25に印加することによって、報知を行う。
【0045】
マイコン27は、印加回路26に電圧の印加を指示した後、印加回路26に電圧の印加の停止を指示する。これにより、印加回路26は、基準電圧以上の電圧の印加を停止する。給電制御装置10において故障が発生していない場合、印加回路26が電圧の印加を停止した後においては、基準電圧以上の電圧を駆動回路23が印加し続けている。マイコン27は、印加回路26に電圧の印加の停止を指示した後、抵抗回路25の両端電圧に基づいて、駆動回路23が報知を行っているか否かを判定する。これにより、マイコン27は駆動回路23の報知機能を検査する。
【0046】
マイコン27は、駆動回路23が報知を行っているか否かを判定した後、出力電圧をローレベル電圧に切替える。これにより、駆動回路23は、抵抗回路25への報知電圧の印加を停止する。マイコン27は、出力電圧をローレベル電圧に切替えた後、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧未満であるか否かを判定する。これにより、マイコン27は、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧未満の電圧に戻ったことを確認することができる。
【0047】
<印加回路26の構成>
印加回路26は、トランジスタ40、ダイオード41及び回路抵抗42,43を有する。トランジスタ40は、PNP型のバイポーラトランジスタであり、スイッチとして機能する。トランジスタ40がオンである場合、トランジスタ40のエミッタ及びコレクタ間の抵抗値は十分に小さく、トランジスタ40のエミッタ及びコレクタを介して電流が流れることが可能である。トランジスタ40がオフである場合、トランジスタ40のエミッタ及びコレクタ間の抵抗値は十分に大きく、トランジスタ40のエミッタ及びコレクタを介して電流が流れることはない。
【0048】
ダイオード41のカソードは、電流出力回路24及び検出抵抗30間の接続ノードに接続されている。ダイオード41のアノードは、トランジスタ40のコレクタに接続されている。トランジスタ40のエミッタ及びベース間に回路抵抗42が接続されている。トランジスタ40のベースには、回路抵抗43の一端が接続されている。回路抵抗43の他端はマイコン27に接続されている。トランジスタ40のエミッタには、マイコン27と同様に、一定電圧Vcが印加されている。
なお、トランジスタ40のエミッタに一定電圧Vcを印加する構成は、レギュレータ22が一定電圧Vcを印加することによって実現されてもよい。
【0049】
トランジスタ40において、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が一定の電圧閾値未満である場合、トランジスタ40はオンである。電圧閾値は負の電圧である。トランジスタ40において、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が電圧閾値以上である場合、トランジスタ40はオフである。
【0050】
マイコン27は、印加回路26の回路抵抗43の他端の電圧を調整する。以下では、回路抵抗43の他端の電圧を抵抗電圧と記載する。抵抗電圧の基準電位は接地電位である。トランジスタ40はマイコン27によってオン又はオフに切替えられる。マイコン27は、抵抗電圧を、十分に低い電圧、例えば、ゼロVに低下させる。これにより、電流が、トランジスタ40のエミッタから回路抵抗42,43の順に流れ、回路抵抗42において電圧降下が発生する。このとき、回路抵抗42を介して流れる電流は大きいので、トランジスタ40において、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が電圧閾値未満の電圧となる。結果、トランジスタ40はオンに切替わる。
【0051】
マイコン27は、抵抗電圧を、十分に高い電圧、例えば、一定電圧Vcに上昇させる。これにより、回路抵抗42を介して流れる電流は、ゼロAか又はゼロAに近い値に低下する。このとき、トランジスタ40において、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧は、ゼロVか又はゼロVに近い値に上昇し、電圧閾値以上の電圧となる。このため、トランジスタ40はオフに切替わる。
以上のように、マイコン27はトランジスタ40をオン又はオフに切替える。
【0052】
トランジスタ40がオフからオンに切替わった場合、電流がトランジスタ40、ダイオード41及び抵抗回路25の順に流れ、印加回路26は抵抗回路25に電圧を印加する。ダイオード41において、電流がアノード及びカソードの順に流れた場合に、ダイオード41で生じる電圧降下の幅を順方向電圧と記載する。印加回路26が抵抗回路25に印加する印加電圧は、(一定電圧Vc)-(順方向電圧)で表される。前述したように、印加電圧は基準電圧以上である。
トランジスタ40がオンからオフに切替わった場合、トランジスタ40及びダイオード41を介した電流の通流が停止し、印加回路26は抵抗回路25への電圧の印加を停止する。
【0053】
以上のように、マイコン27は、抵抗電圧を十分に低い電圧に低下させることによって、印加回路26に抵抗回路25への電圧の印加を指示する。これにより、トランジスタ40はオンに切替わり、印加回路26は、基準電圧以上の電圧を、抵抗回路25に印加する。マイコン27は、抵抗電圧を十分に高い電圧に上昇させることによって、印加回路26に抵抗回路25への電圧の印加の停止を指示する。これにより、トランジスタ40はオフに切替わり、印加回路26は、抵抗回路25への電圧の印加を停止する。
【0054】
<駆動回路23の構成>
図2は、駆動回路23の要部構成を示すブロック図である。駆動回路23は、駆動部50、コンパレータ51及びラッチ回路52を有する。コンパレータ51は、プラス端、マイナス端及び出力端を有する。FET20のゲートは駆動部50に接続されている。駆動部50は、更に、マイコン27に接続されている。駆動部50及びマイコン27間の接続ノードはラッチ回路52に接続されている。コンパレータ51の出力端は、駆動部50及びラッチ回路52に接続されている。コンパレータ51のマイナス端と、ラッチ回路52とは、電流出力回路24及び抵抗回路25間の接続ノードに接続されている。コンパレータ51のプラス端には、前述した基準電圧Vrが印加されている。基準電圧Vrは、例えば、図示しないレギュレータが直流電源11の出力電圧を降圧することによって生成される。
【0055】
駆動部50は、基準電位が接地電位であるFET20のゲートの電圧を、前述したように調整することによって、FET20をオン又はオフに切替える。コンパレータ51は、出力端から駆動部50及びラッチ回路52に電圧を出力する。コンパレータ51の出力電圧の基準電位は接地電位である。コンパレータ51は、出力電圧を、ハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。
【0056】
コンパレータ51は、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧Vr未満である場合、ハイレベル電圧を駆動部50及びラッチ回路52に出力している。コンパレータ51は、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧Vr以上の電圧となった場合、出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。コンパレータ51は、抵抗回路25の両端が基準電圧Vr未満の電圧になった場合、出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。基準電圧Vrは所定電圧に相当する。
【0057】
マイコン27の出力電圧は、駆動部50及びラッチ回路52に出力されている。ラッチ回路52は、マイコン27の出力電圧がハイレベル電圧である状態で、コンパレータ51の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、報知電圧を抵抗回路25に印加する。これにより、報知が行われる。前述したように、報知電圧は基準電圧Vr以上の電圧である。ラッチ回路52は報知回路として機能する。報知電圧をラッチ回路52が抵抗回路25に印加している間、コンパレータ51の出力電圧はローレベル電圧に固定される。マイコン27の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、ラッチ回路52は、抵抗回路25への報知電圧の印加を停止する。ラッチ回路52は、マイコン27の出力電圧がハイレベル電圧である状態でコンパレータ51の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わるまで、抵抗回路25への報知電圧の印加を停止し続ける。
【0058】
駆動部50は、コンパレータ51がハイレベル電圧を出力している状態、即ち、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧Vr未満である状態で、マイコン27が出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた場合、FET20をオンに切替える。駆動部50は、コンパレータ51がハイレベル電圧を出力している状態で、マイコン27が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、FET20をオフに切替える。
【0059】
マイコン27の出力電圧がハイレベル電圧である状態で、コンパレータ51の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、駆動部50は、FET20をオフに切替える。駆動部50は切替え部として機能する。前述したように、スイッチ電流が上昇した場合、抵抗回路25の両端電圧が上昇する。抵抗回路25の両端電圧が基準電圧Vr以上の電圧となった場合、コンパレータ51の出力電圧はハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わり、駆動部50はFET20をオフに切替える。このため、FET20を介して過電流が流れることが防止される。
【0060】
マイコン27の出力電圧がハイレベル電圧である状態で、コンパレータ51の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、ラッチ回路52は、前述したように、報知電圧を抵抗回路25に印加することによって、コンパレータ51の出力電圧をローレベル電圧に固定する。マイコン27の出力電圧がローレベル電圧に切替わった場合、ラッチ回路52は、報知電圧の印加を停止し、固定を解除する。
マイコン27の出力電圧がローレベル電圧である場合、コンパレータ51の出力電圧、即ち、抵抗回路25の両端電圧に無関係に駆動部50はFET20をオフに維持する。
【0061】
図3はラッチ回路52の回路図である。ラッチ回路52は、反転器60、OR回路61、第2の回路抵抗62,63、第2のトランジスタ64及び第2のダイオード65を有する。反転器60は入力端及び出力端を有する。OR回路61は、第1入力端、第2入力端及び出力端を有する。
【0062】
第2のトランジスタ64は、PNP型のバイポーラトランジスタであり、スイッチとして機能する。第2のトランジスタ64がオンである場合、第2のトランジスタ64のエミッタ及びコレクタ間の抵抗値は十分に小さく、第2のトランジスタ64のエミッタ及びコレクタを介して電流が流れることが可能である。第2のトランジスタ64がオフである場合、第2のトランジスタ64のエミッタ及びコレクタ間の抵抗値は十分に大きく、第2のトランジスタ64のエミッタ及びコレクタを介して電流が流れることはない。
【0063】
反転器60の入力端は、マイコン27及び駆動部50間の接続ノードに接続されている。反転器60の出力端は、OR回路61の第1入力端に接続されている。OR回路61の第2入力端はコンパレータ51の出力端に接続されている。OR回路61の出力端は第2の回路抵抗62の一端に接続されている。第2の回路抵抗62の他端は、第2のトランジスタ64のベースに接続されている。第2のトランジスタ64のエミッタ及びベース間に第2の回路抵抗63が接続されている。第2のトランジスタ64のコレクタは第2のダイオード65のアノードに接続されている。第2のダイオード65のカソードは、電流出力回路24及び抵抗回路25の検出抵抗30間の接続ノードに接続されている。
【0064】
第2のトランジスタ64のエミッタには、マイコン27及びトランジスタ40と同様に、一定電圧Vcが印加されている。
なお、第2のトランジスタ64のエミッタに一定電圧Vcを印加する構成は、レギュレータ22が一定電圧Vcを印加することによって実現されてもよい。
【0065】
反転器60は電圧をOR回路61に出力する。反転器60の出力電圧の基準電位は接地電位である。反転器60の出力電圧はハイレベル電圧又はローレベル電圧である。反転器60には、マイコン27の出力電圧が入力される。反転器60は、マイコン27の出力電圧がハイレベル電圧である場合、ローレベル電圧をOR回路61に出力する。反転器60は、マイコン27の出力電圧がローレベル電圧である場合、ハイレベル電圧をOR回路61に出力する。
【0066】
第2のトランジスタ64において、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が一定の第2の電圧閾値未満である場合、第2のトランジスタ64はオンである。第2の電圧閾値は負の電圧である。第2のトランジスタ64において、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が第2の電圧閾値以上である場合、第2のトランジスタ64はオフである。
【0067】
OR回路61は出力端の電圧を調整する。これにより、第2のトランジスタ64はオン又はオフに切替えられる。OR回路61は、出力端の電圧を、十分に低い電圧、例えば、ゼロVに低下させる。これにより、電流が、第2のトランジスタ64のエミッタから第2の回路抵抗63,62の順に流れ、第2の回路抵抗63において電圧降下が発生する。このとき、第2の回路抵抗63を介して流れる電流は大きいので、第2のトランジスタ64において、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が第2の電圧閾値未満の電圧となる。結果、第2のトランジスタ64はオンに切替わる。
【0068】
OR回路61は、出力端の電圧を、十分に高い電圧、例えば、一定電圧Vcに上昇させる。これにより、第2の回路抵抗62を介して流れる電流は、ゼロAか又はゼロAに近い値に低下する。このとき、第2のトランジスタ64において、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が第2の電圧閾値以上の電圧となるので、第2のトランジスタ64はオフに切替わる。
以上のように、OR回路61は第2のトランジスタ64をオン又はオフに切替える。
【0069】
OR回路61は、コンパレータ51及び反転器60の出力電圧が入力される。OR回路61は、反転器60の出力電圧がローレベル電圧である状態、即ち、マイコン27の出力電圧がハイレベル電圧である状態で、コンパレータ51の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、第2のトランジスタ64をオフからオンに切替える。第2のトランジスタ64がオフからオンに切替わった場合、電流が第2のトランジスタ64、第2のダイオード65及び抵抗回路25の順に流れ、ラッチ回路52は抵抗回路25に報知電圧を印加する。
【0070】
第2のダイオード65において、電流がアノード及びカソードの順に流れた場合に、第2のダイオード65で生じる電圧降下の幅を第2の順方向電圧と記載する。ラッチ回路52が抵抗回路25に印加する報知電圧は、(一定電圧Vc)-(第2の順方向電圧)で表される。前述したように、報知電圧は基準電圧以上の電圧である。ラッチ回路52が抵抗回路25に報知電圧を印加している間、抵抗回路25の両端電圧は基準電圧Vr以上であるため、コンパレータ51はローレベル電圧を出力し続ける。
【0071】
この状態で、反転器60が出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた場合、即ち、マイコン27が出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、OR回路61は第2のトランジスタ64をオンからオフに切替える。第2のトランジスタ64がオンからオフに切替わった場合、第2のトランジスタ64及び第2のダイオード65を介した電流の通流が停止し、ラッチ回路52は抵抗回路25への電圧の印加を停止する。その後、OR回路61は、マイコン27の出力電圧がハイレベル電圧である状態で、コンパレータ51の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わるまで、第2のトランジスタ64のオフを維持する。
【0072】
<マイコン27の構成>
図4はマイコン27の要部構成を示すブロック図である。マイコン27は、出力部70、調整部71、A/D変換部72、入力部73、報知部74、記憶部75及び制御部76を有する。これらは、内部バス77に接続されている。出力部70は、更に、駆動回路23の駆動部50と、駆動回路23が有するラッチ回路52の反転器60とに接続されている。調整部71は、更に、印加回路26の回路抵抗43の他端に接続されている。A/D変換部72は、更に、電流出力回路24及び抵抗回路25間の接続ノードに接続されている。
【0073】
出力部70は、駆動部50及び反転器60に電圧を出力している。出力部70の出力電圧は、前述したマイコン27の出力電圧である。出力部70は、制御部76の指示に従って、出力電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。
調整部71は、抵抗電圧、即ち、回路抵抗43の他端の電圧を調整することによって、印加回路26のトランジスタ40をオン又はオフに切替える。調整部71は、トランジスタ40の切替えを制御部76の指示に従って行う。
【0074】
A/D変換部72には、抵抗回路25の両端電圧のアナログ値が入力される。A/D変換部72は、抵抗回路25の両端電圧について、A/D変換、即ち、アナログ値からデジタル値への変換を行う。制御部76は、抵抗回路25の両端電圧のデジタル値をA/D変換部72から取得する。
【0075】
図5は、A/D変換が行われる両端電圧の範囲の説明図である。A/D変換が行われる両端電圧の範囲の下限値はゼロVである。A/D変換が行われる両端電圧の範囲の上限値は、レギュレータ22がマイコン27に印加する一定電圧Vcである。コンパレータ51のプラス端に印加されている基準電圧Vrは、ゼロVを超えており、かつ、一定電圧Vc未満である。
【0076】
図5では、Vaは印加回路26が抵抗回路25に印加する印加電圧を示す。Viは、駆動回路23のラッチ回路52が抵抗回路25に印加する報知電圧を示す。図5では、ダイオード41の順方向電圧と、第2のダイオード65の第2の順方向電圧とが一致する例が示されている。印加電圧Va及び報知電圧Viそれぞれは、基準電圧Vr以上であり、かつ、一定電圧Vc以下である。
【0077】
図4に示すように、入力部73には、オン信号及びオフ信号が入力される。入力部73は、信号が入力された場合、入力された信号を制御部76に通知する。
報知部74は、制御部76の指示に従って報知を行う。制御部76は、ラッチ回路52が抵抗回路25への報知電圧の印加の停止を指示したにも関わらず、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧Vr以上の電圧に固定されている場合に、報知部74に報知を行わせる。報知は、ランプの点灯、又は、図示しない通信線を介した信号の送信等によって実現される。
【0078】
記憶部75は不揮発性メモリである。記憶部75には、コンピュータプログラムPが記憶されている。制御部76は、処理を実行する処理素子、例えば、CPU(Central Processing Unit)を有し、処理部として機能する。制御部76は、コンピュータプログラムPを実行することによって、FET20をオンに切替えるオン処理と、FET20をオフに切替えるオフ処理とを実行する。
【0079】
なお、コンピュータプログラムPは、制御部76の処理素子が読み取り可能に記憶媒体Aに記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体Aから読み出されたコンピュータプログラムPが記憶部75に書き込まれる。記憶媒体Aは、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない装置からコンピュータプログラムPをダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムPを記憶部75に書き込んでもよい。
【0080】
制御部76が有する処理素子の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。この場合、複数の処理素子がコンピュータプログラムPに従って、オン処理及びオフ処理等を協同で実行してもよい。
【0081】
記憶部75には、コンピュータプログラムPに加えて、故障フラグの値が記憶されている。故障フラグの値は、報知がラッチ回路52によって行われるか否かを示す。故障フラグの値がゼロであることは、報知が行われることを示す。故障フラグの値が1であることは、報知が行われないことを示す。故障フラグの値は制御部76によって変更される。
【0082】
<オン処理>
図6はオン処理の手順を示すフローチャートである。制御部76は、マイコン27が起動した場合、又は、オフ処理の実行が終了した場合にオン処理を実行する。オン処理は、出力部70の出力電圧がローレベル電圧である状態で実行される。出力部70の出力電圧がローレベル電圧である場合、駆動回路23の駆動部50はFET20をオフに維持している。FET20がオフである場合、FET20を介して電流が流れない。従って、抵抗回路25の両端電圧は基準電圧未満であり、駆動回路23のコンパレータ51の出力電圧はハイレベル電圧である。
【0083】
出力部70の出力電圧がローレベル電圧である場合、ラッチ回路52は報知電圧の印加を停止している。オン処理が実行される時点においては、調整部71は、印加回路26の回路抵抗43の他端の電圧である抵抗電圧を低い電圧に維持することによって、印加回路26に印加電圧の印加を停止させている。
【0084】
オン処理では、制御部76は、入力部73にオン信号が入力されたか否かを判定する(ステップS1)。制御部76は、オン信号が入力されたと判定した場合(S1:YES)、故障フラグの値がゼロであるか否かを判定する(ステップS2)。故障フラグの値は1又はゼロであるため、故障フラグの値がゼロではないことは、故障フラグの値が1であることを意味する。
【0085】
制御部76は、オン信号が入力されていないと判定した場合(S1:NO)、又は、故障フラグの値がゼロではない場合(S2:NO)、ステップS1を再び実行する。制御部76は、故障フラグの値がゼロである状態でオン信号が入力部73に入力されるまで待機する。制御部76は、故障フラグの値がゼロであると判定した場合(S2:YES)、出力部70に指示して、出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えさせる(ステップS3)。
【0086】
給電制御装置10において故障が発生していない場合、ステップS3が実行された時点において、コンパレータ51はハイレベル電圧を出力している。給電制御装置10において故障が発生していない場合において、ステップS3が実行されたとき、駆動部50はFET20をオンに切替える。制御部76は、ステップS3を実行した後、オン処理を終了する。
【0087】
以上のように、故障フラグの値がゼロである状態でオン信号が入力された場合、駆動回路23の駆動部50はFET20をオンに切替え、FET20を介して負荷12に電力が供給される。故障フラグの値が1である場合、駆動部50はFET20をオンに切替えることはない。
【0088】
<オフ処理>
図7はオフ処理の手順を示すフローチャートである。制御部76は、オン処理の実行が終了した場合にオフ処理を実行する。オフ処理は、出力部70の出力電圧がハイレベル電圧であり、かつ、故障フラグの値がゼロである状態で実行される。オフ処理が実行される時点においては、調整部71は、印加回路26の回路抵抗43の他端の電圧である抵抗電圧を低い電圧に維持することによって、印加回路26に印加電圧の印加を停止させている。
【0089】
オン処理の実行が終了した後において、スイッチ電流が電流閾値未満の電流に維持されている場合、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧未満であるため、コンパレータ51の出力電圧はハイレベル電圧である。コンパレータ51の出力電圧がハイレベル電圧である場合、ラッチ回路52は報知電圧の印加を停止している。
【0090】
オン処理の実行が終了した後において、スイッチ電流が電流閾値以上の電流となった場合、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧以上の電圧となって、コンパレータ51は出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。これにより、駆動部50はFET20をオフに切替える。コンパレータ51の出力電圧がローレベル電圧である場合、ラッチ回路52は、出力部70の出力電圧がハイレベル電圧に維持されている限り、報知電圧を抵抗回路25に印加し続けている。これにより、抵抗回路25の両端電圧は基準電圧以上の電圧に維持されている。
【0091】
オフ処理では、制御部76は、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧以上であるか否かを判定する(ステップS11)。これにより、ラッチ回路52によって報知が行われているか否かを判定する。両端電圧が基準電圧以上であることは、報知が行われていることを意味する。両端電圧はA/D変換部72から取得される。制御部76は、両端電圧が基準電圧未満であると判定した場合(S11:NO)、入力部73にオフ信号が入力されたか否かを判定する(ステップS12)。制御部76は、オフ信号が入力されていないと判定した場合(S12:NO)、ステップS11を再び実行し、両端電圧が基準電圧以上の電圧となるか、又は、オフ信号が入力されるまで待機する。
【0092】
制御部76は、オフ信号が入力されたと判定した場合(S12:YES)、印加回路26に抵抗回路25への印加電圧の印加を指示する(ステップS13)。制御部76は、調整部71に回路抵抗43の他端の電圧である抵抗電圧を上昇させることによって、印加回路26に印加電圧の印加を指示する。前述したように、抵抗電圧が上昇した場合、トランジスタ40がオンに切替わり、印加回路26は印加電圧を抵抗回路25に印加する。
【0093】
給電制御装置10において故障が発生していない場合において、印加電圧が印加されたとき、抵抗回路25の両端電圧は基準電圧以上の電圧となる。これにより、駆動回路23の駆動部50はFET20をオフに切替え、ラッチ回路52は報知電圧を抵抗回路25に印加する。報知電圧の印加によって報知が行われている。
【0094】
制御部76は、ステップS13を実行した後、印加回路26に印加電圧の印加の停止を指示する(ステップS14)。制御部76は、調整部71に抵抗電圧を低下させることによって、印加回路26に印加電圧の印加の停止を指示する。前述したように、抵抗電圧が低下した場合、トランジスタ40がオフに切替わり、印加回路26は印加電圧の印加を停止する。給電制御装置10において故障が発生していない場合においては、印加回路26が印加電圧の印加を停止した後であっても、ラッチ回路52は報知電圧の印加を継続しているため、抵抗回路25の両端電圧は基準電圧以上の電圧に維持されている。
【0095】
制御部76は、ステップS14を実行した後、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧以上であるか否かを判定する(ステップS15)。これにより、ラッチ回路52が報知を行っているか否かを判定する。両端電圧が基準電圧以上であることは報知が行われていることを意味する。両端電圧が基準電圧未満であることは報知が行われていないことを意味する。制御部76は、ステップS15を実行することによって、ラッチ回路52を検査する。駆動回路23が1つの集積回路である場合においては、ラッチ回路52が報知を行わないとき、駆動回路23が故障している可能性がある。ラッチ回路52を検査することによって、駆動回路23の故障の可能性を事前に検知することができる。制御部76は、両端電圧が基準電圧未満であると判定した場合(S15:NO)、故障フラグの値を1に変更する(ステップS16)。
【0096】
制御部76は、両端電圧が基準電圧以上であると判定した場合(S11:YES)、入力部73にオフ信号が入力されたか否かを判定する(ステップS17)。制御部76は、オフ信号が入力されていないと判定した場合(S17:NO)、ステップS17を再び実行し、オフ信号が入力されるまで待機する。
【0097】
制御部76は、両端電圧が基準電圧以上であると判定した場合(S15:YES)、ステップS16を実行した後、又は、オフ信号が入力されたと判定した場合(S17:YES)、出力部70に指示して、出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えさせる(ステップS18)。ラッチ回路52が報知電圧を印加している状態で出力部70の出力電圧がローレベル電圧に切替わった場合、ラッチ回路52は、報知電圧の印加を停止する。従って、出力部70にローレベル電圧への出力電圧の切替えを指示することは、ラッチ回路52に報知電圧の印加の停止を指示することに相当する。
給電制御装置10において故障が発生していない場合においては、報知電圧の印加が停止したとき、抵抗回路25の両端電圧は、基準電圧未満の電圧、例えば、ゼロVに低下する。ステップS18が実行された時点では、FET20がオフである。このため、制御部76がステップS18を実行することによって、FET20の状態が変わることはない。
【0098】
制御部76は、ステップS18を実行した後、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧未満であるか否かを判定する(ステップS19)。これにより、両端電圧が基準電圧未満の電圧に低下した否かが判定される。制御部76は、両端電圧が基準電圧以上であると判定した場合(S19:NO)、報知部74に指示して報知を行わせる(ステップS20)。制御部76は、両端電圧が基準電圧未満であると判定した場合(S19:YES)、又は、ステップS20を実行した後、オフ処理を終了する。
【0099】
<給電制御装置10の動作>
図8は、給電制御装置10の動作を説明するためのタイミングチャートである。図8には、出力部70の出力電圧、FET20の状態、印加回路26の印加状態、ラッチ回路52の印加状態、抵抗回路25の両端電圧及びスイッチ電流の推移を示す。H及びLそれぞれは、ハイレベル電圧及びローレベル電圧を示す。Va、Vi、Vr及びIthそれぞれは、印加電圧、報知電圧、基準電圧及び電流閾値を示す。図8では、給電制御装置10に故障が発生しておらず、かつ、印加電圧Va及び報知電圧Viが一致している場合の動作が示されている。
【0100】
図8に示すように、出力部70の出力電圧がローレベル電圧である場合、駆動部50はFET20をオフに維持しており、スイッチ電流はゼロAである。スイッチ電流がゼロAであるため、抵抗回路25の両端電圧は、ゼロVであり、基準電圧Vr未満である。出力部70の出力電圧がローレベル電圧である場合、印加回路26及びラッチ回路52それぞれは、印加電圧及び報知電圧の印加を停止している。
【0101】
マイコン27の入力部73にオン信号が入力された場合、制御部76は、出力部70に指示して、出力電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。このとき、スイッチ電流はゼロAであり、抵抗回路25の両端電圧は基準電圧未満である。このため、駆動回路23の駆動部50はFET20をオンに切替える。FET20がオンに切替わった場合、FET20を介してスイッチ電流が流れる。これにより、スイッチ電流は、ゼロAを超えており、かつ、電流閾値Ith未満である電流に上昇する。また、抵抗回路25の両端電圧は、ゼロVを超えており、かつ、基準電圧Vr未満である電圧に上昇する。
【0102】
入力部73にオフ信号が入力された場合、制御部76は、印加回路26に指示して、印加電圧Vaを抵抗回路25に印加させる。これにより、抵抗回路25の両端電圧は、基準電圧Vr以上である印加電圧Vaに上昇する。結果、駆動部50はFET20をオフに切替え、ラッチ回路52は、報知電圧Viを抵抗回路25に印加する。FET20がオフに切替わった場合、スイッチ電流はゼロAに低下する。
印加電圧Va及び報知電圧Viが相互に異なる場合においては、印加回路26及びラッチ回路52が印加している間、両端電圧は、印加電圧Va及び報知電圧Viの中で高い方の電圧に一致する。
【0103】
制御部76は、印加回路26が印加電圧Vaを印加した後、印加回路26に指示して、印加電圧Vaの印加を停止させる。印加電圧Vaの印加が停止した場合であっても、ラッチ回路52が報知電圧Viの印加しているため、抵抗回路25の両端電圧は基準電圧Vr以上の電圧に維持される。制御部76は、印加回路26に指示して、印加電圧Vaの印加を停止させた後、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧Vr以上であるか否かを判定する。これにより、制御部76は、ラッチ回路52が報知を行っているか否かを判定する。制御部76は、両端電圧が基準電圧Vr未満であると判定した場合、報知が行われていないとして、故障フラグの値をゼロから1に変更する。
【0104】
制御部76は、報知を行っているか否かを判定した後、出力部70に指示して、出力電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。これにより、ラッチ回路52は報知電圧Viの印加を停止する。このとき、スイッチ電流はゼロAであるので、抵抗回路25の両端電圧はゼロVに低下する。ゼロVは基準電圧Vr未満の電圧である。制御部76は、出力部70が出力電圧をローレベル電圧に切替えた後、両端電圧が基準電圧Vr未満の電圧に低下したか否かを判定する。これにより、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧Vr未満の電圧に戻ったことが確認される。制御部76は、両端電圧が基準電圧Vr以上である場合、報知部74に報知を行わせる。
【0105】
以上のように、給電制御装置10では、オフ信号が入力されたタイミング、即ち、FET20のオフへの切替えが要求されたタイミングでラッチ回路52を検査する。給電制御装置10において故障が発生していない場合においては、印加回路26が印加電圧を抵抗回路25に印加した時点でFET20がオフに切替わる。
【0106】
<実施形態1の変形例>
FET20はスイッチとして機能すればよい。このため、FET20の代わりに、Pチャネル型のFET、バイポーラトランジスタ又はリレー接点等を用いてもよい。抵抗回路25は、検出抵抗30を有する回路であればよい。このため、抵抗回路25は、検出抵抗30に回路素子、例えば、キャパシタが並列に接続される回路であってもよい。印加回路26のトランジスタ40のエミッタに印加される電圧は、基準電圧Vrよりも高い電圧であればよい。このため、トランジスタ40のエミッタに印加される電圧は、レギュレータ22が生成する一定電圧Vcと異なっていてもよい。印加回路26が有するトランジスタ40はスイッチとして機能すればよい。このため、トランジスタ40の代わりに、Pチャネル型のFET又はリレー接点等を用いてもよい。
【0107】
印加回路26は、マイコン27、即ち、制御部76の指示に従って、印加電圧を抵抗回路25に印加する回路であればよい。このため、印加回路26は、処理素子、例えばCPUを有する回路であってもよい。この場合、印加回路26の処理素子は、制御部76の指示に従って、抵抗回路25への印加電圧の印加を指示する。
【0108】
ラッチ回路52の第2のトランジスタ64のエミッタに印加される電圧は、基準電圧Vrよりも高い電圧であればよい。このため、第2のトランジスタ64のエミッタに印加される電圧は、レギュレータ22が生成する一定電圧Vcと異なっていてもよい。ラッチ回路52が有する第2のトランジスタ64はスイッチとして機能すればよい。このため、第2のトランジスタ64の代わりに、Pチャネル型のFET又はリレー接点等を用いてもよい。
【0109】
ラッチ回路52は、マイコン27が有する出力部70の出力電圧と、コンパレータ51の出力電圧とに基づいて、報知電圧の印加と、報知電圧の印加の停止とを行う回路であればよい。このため、印加回路26は、処理素子、例えばCPUを有する回路であってもよい。この場合、印加回路26の処理素子は、出力部70及びコンパレータ51の出力電圧に基づいて、報知電圧を印加するか否かと、報知電圧の印加を停止するか否か等を判定する。
【0110】
ラッチ回路52を検査するタイミングは、マイコン27の入力部73にオフ信号が入力されたタイミングに限定されない。マイコン27の制御部76は、ラッチ回路52を周期的に検査してもよい。ラッチ回路52が報知電圧の印加を停止するタイミングは、出力部70の出力電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わったタイミングに限定されず、例えば、報知電圧が印加されてから一定時間が経過したタイミングであってもよい。
【0111】
ラッチ回路52が行う報知は、報知電圧の印加によって実現される報知に限定されず、例えば、抵抗回路25の両端電圧が基準電圧以上の電圧となったことを示す信号の出力によって実現される報知であってもよい。
【0112】
(実施形態2)
実施形態1においては、直流電源11の正極から負極に流れる電流の電流経路において、給電制御装置10は負荷12の上流側に配置されている。しかしながら、給電制御装置10が配置される場所は、負荷12の上流側に限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には、実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0113】
<電源システム1の構成>
図9は、実施形態2における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態2における電源システム1を実施形態1における電源システム1と比較した場合、給電制御装置10が配置される場所が異なる。実施形態2における電源システム1では、直流電源11の正極から負極に流れる電流経路において、給電制御装置10は負荷12の下流側に配置されている。
【0114】
直流電源11の正極は負荷12の一端に接続されている。給電制御装置10がFET20を有する場合、FET20のドレインは負荷12の他端に接続されている。FET20のソースは、実施形態1と同様に、シャント抵抗21の一端に接続されている。シャント抵抗21の他端は接地されている。直流電源11の負極は実施形態1と同様に接地されている。
実施形態2における給電制御装置10は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0115】
開示された実施形態1,2はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0116】
1 電源システム
10 給電制御装置
11 直流電源
12 負荷
20 FET(スイッチ)
21 シャント抵抗
22 レギュレータ
23 駆動回路
24 電流出力回路
25 抵抗回路
26 印加回路
27 マイコン
30 検出抵抗
40 トランジスタ
41 ダイオード
42,43 回路抵抗
50 駆動部(切替え部)
51 コンパレータ
52 ラッチ回路(報知回路)
60 反転器
61 OR回路
62,63 第2の回路抵抗
64 第2のトランジスタ
65 第2のダイオード
70 出力部
71 調整部
72 A/D変換部
73 入力部
74 報知部
75 記憶部
76 制御部(処理部)
77 内部バス
A 記憶媒体
P コンピュータプログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9