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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】表示装置の駆動方法および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20231219BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20231219BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1343
G02F1/133 580
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020073346
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021170079
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】富川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 信宇
(72)【発明者】
【氏名】矢田部 聡
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-181982(JP,A)
【文献】特開2019-191390(JP,A)
【文献】特開2007-140008(JP,A)
【文献】特開2021-015212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13,1/137-1/141
G02F 1/1343-1/1345,1/135
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339-1/1341,1/1347
G02F 1/136-1/1368
G02F 1/1335,1/13363
G03B 21/00-21/10
G03B 21/12-21/13
G03B 21/134-21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルの使用開始直後における最大透過率時の透過光強度に対して10%の透過光
強度となる駆動電圧を印加した際の透過率と比較して10%変化した後、液晶層を60℃
以上、かつ、ネマチック等方相転移温度Tni-20℃以下の温度に制御して液晶パネル
を駆動することを特徴とする表示装置の駆動方法。
【請求項2】
液晶層を有する液晶パネルと、
前記液晶パネルの透過率を測定する透過率測定装置と、
冷却装置と、
を備え、
前記透過率測定装置での透過率測定結果が、前記液晶パネルの使用開始直後における最
大透過率時の透過光強度に対して10%の透過光強度となる駆動電圧を印加した際の透過
率と比較して10%変化した後、前記冷却装置を制御して前記液晶層の温度を60℃以上
、かつ、ネマチック等方相転移温度Tni-20℃以下の温度に上昇させることを特徴と
する表示装置。
【請求項3】
液晶層を有し、赤色光、緑色光及び青色光がそれぞれ入射する複数の液晶パネルと、
青色光が入射する液晶パネルの透過率を測定する透過率測定装置と、
冷却装置と、
を備え、
前記複数の液晶パネルにおけるシール材の内側の前記液晶層の容積をV1とし、表示領
域の前記液晶層の容積V2としたとき、青色光が入射する液晶パネルの液晶容積比V1/
V2が、他の液晶パネルの液晶容積比V1/V2よりも大きく、
前記透過率測定装置での透過率測定結果が、当該青色光が入射する液晶パネルの使用開
始直後における最大透過率時の透過光強度に対して10%の透過光強度となる駆動電圧を
印加した際の透過率と比較して10%変化した後、前記冷却装置を制御して前記複数の液
晶パネルの前記液晶層の温度を上昇させることを特徴とする表示装置
【請求項4】
請求項に記載の表示装置において、
前記液晶パネルは、前記液晶層内のイオン性不純物を表示領域の外側に滞留させるトラ
ップ電極を備え、
少なくとも、前記液晶層の温度を上昇させた後、前記トラップ電極に電位を印加するこ
とを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の駆動方法および表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、素子基板と、シール材を介して素子基板と貼り合わされた対向基板とを有しており、シール材の内側に液晶層が配置されている。かかる液晶パネルにおいて、液晶層に光を照射した際の光化学反応等によって不純物が発生することがある。かかる不純物は、表示領域と表示領域の外側との間の濃度差に起因する拡散や、液晶パネルを駆動した際に発生する液晶材料のフローによって表示領域の外側に流出することがある。また、表示領域の外側に設けたトラップ電極によって発生させた電界や、画素電極によって発生させた電界によって、イオン性不純物を表示領域の外側に掃き出す技術が提案されている。また、イオン性不純物は配向膜に吸着しやすいため、液晶層をネマチック等方相転移温度Tni以上の温度まで上昇させてイオン性不純物の配向膜への吸着力を弱めた状態でイオン性不純物を表示領域の外側に掃き出す技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-28257公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶層を加熱した場合、液晶材料の劣化を早めることになるという問題や、ネマチック等方相転移温度Tni以上の温度まで上昇させることは表示期間中に行えないという問題等があるにもかかわらず、イオン性不純物を表示領域の外側に効果的に移動させるための加熱をいずれのタイミングで実施すればよいという点については考慮されていない。また、従来は、イオン性不純物が表示領域で増大したことを監視できていないため、液晶層を無駄に加熱しているという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、表示装置の駆動方法において、液晶パ
ネルの使用開始直後における最大透過率時の透過光強度に対して10%の透過光強度とな
る駆動電圧を印加した際の透過率と比較して10%変化した後、液晶層を60℃以上、か
つ、ネマチック等方相転移温度Tni-20℃以下の温度に制御して液晶パネルを駆動す
ることを特徴とする。
【0006】
本発明の別態様は、表示装置において、液晶層を有する液晶パネルと、前記液晶パネル
の透過率を測定する透過率測定装置と、冷却装置と、を備え、前記透過率測定装置での透
過率測定結果が、前記液晶パネルの使用開始直後における最大透過率時の透過光強度に対
して10%の透過光強度となる駆動電圧を印加した際の透過率と比較して10%変化した
後、前記冷却装置を制御して前記液晶層の温度を60℃以上、かつ、ネマチック等方相転
移温度Tni-20℃以下の温度に上昇させることを特徴とする。
【0007】
本発明を適用した電気装置は、直視型表示装置や投射型表示装置等の各種電子機器に用いることができる。電子機器が投射型表示装置である場合、投射型表示装置は、前記液晶装置に供給される光を出射する光源部と、前記液晶装置によって変調された光を投射する投射光学系と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明を適用した表示装置の一例としての投射型表示装置の説明図。
図2図1に示す投射型表示装置の主要部分を側方からみたときの説明図。
図3図1に示す光学ユニット等の構成を示す説明図。
図4図3に示す液晶装置の構成例を示す平面図。
図5図4に示す液晶装置のH-H′断面図。
図6図4に示す液晶装置の電気的構成を示す説明図。
図7図4に示す液晶装置の画素等の具体的構成例を模式的に示す断面図。
図8図4に示す液晶パネルの透過率の時間的変化を示す説明図。
図9】本発明の実施形態2に係る投射型表示装置の説明図。
図10図9に示す3つの液晶装置の断面構造の説明図。
図11】第2実施形態の効果を示す説明図。
図12】本発明の実施形態3に係る投射型表示装置の説明図。
図13】本発明の実施形態4に係る投射型表示装置の説明図。
図14】本発明の実施形態5に係る投射型表示装置の説明図。
図15】本発明の実施形態6に係る投射型表示装置の説明図。
図16】本発明の実施形態7に係る投射型表示装置の説明図。
図17】本発明の実施形態8に係る投射型表示装置の説明図。
図18】本発明の実施形態8の変形例1に係る投射型表示装置の説明図。
図19】本発明の実施形態8の変形例2に係る投射型表示装置の説明図。
図20】本発明の実施形態9に係る投射型表示装置の説明図。
図21】本発明の第10実施形態に係る液晶装置の平面構成を示す説明図。
図22図21に示す液晶装置のA2-A2′断面を模式的に示す説明図。
図23】第10実施形態の効果を示す説明図である。
図24】本発明の第11実施形態に係る液晶装置の平面構成を示す説明図。
図25図24に示す液晶装置のA3-A3′断面を模式的に示す説明図。
図26図24に示すトラップ電極に印加される信号の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下に参照する図面では、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
[第1実施形態]
1.投射型表示装置の構成
図1は、本発明を適用した表示装置の一例としての投射型表示装置の説明図であり、図1には、投射型表示装置の主要部分の平面的な構成を示してある、図2は、図1に示す投射型表示装置の主要部分を側方からみたときの説明図である。
【0010】
図1および図2に示す投射型表示装置2000において、外装ケース2002の内部には、その後端側に電源ユニット2007が配置され、電源ユニット2007に装置前側で隣り合う位置に光源ユニット1100および光学ユニット1000が配置されている。また、外装ケース2002の内部には、光学ユニット1000の前側の中央に投射レンズユニット2006の基端側が位置している。光学ユニット1000の一方の側には、入出力インターフェース回路が搭載されたインターフェース基板2011が装置前後方向に向けて配置され、インターフェース基板2011に平行に、ビデオ信号処理回路が搭載されたビデオ基板2012が配置されている。光源ユニット1100および光学ユニット1000の上側には装置全体を制御する制御部2010が搭載された制御基板2013が配置され、装置前端側の左右の角の各々にはスピーカー2014R、2014Lが配置されている。
【0011】
光学ユニット1000の上方および下方には装置内部冷却用の吸気ファン2015A、2015Bを備えた冷却装置2100が配置されている。光源ユニット1100の裏面側である装置側面には排気ファン2016が配置されている。インターフェース基板2011およびビデオ基板2012の端に面する位置には、吸気ファン2015Aからの冷却用空気流を電源ユニット2007内に吸引するための補助冷却ファン2017が配置されている。これらのファンのうち、吸気ファン2015Bは、主に後述する液晶パネルの冷却用ファンとして機能している。冷却装置2100としては、空式の他、水冷式やペルチェ素子を用いた方式が採用されることがある。
【0012】
2.光学ユニット構成
図3は、図1に示す光学ユニット1000等の構成を示す説明図である。図3に示すように、投射型表示装置2000は、システム光軸Lに沿って配置された光源ユニット1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104、1105と、3つの反射ミラー1106、1107、1108と、5つのリレーレンズ1201、1202、1203、1204、1205とを備えている。また、投射型表示装置2000は、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210、1220、1230と、光合成素子としてのダイクロイックプリズム1206と、投射レンズユニット2006とを備えている。光源ユニット1100は、例えば、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0013】
ダイクロイックミラー1104は、光源ユニット1100から出射された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201、1202、1203と2つの反射ミラー1107、1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0014】
液晶ライトバルブ1210、1220、1230は、ダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210、1220、1230に入射した色光は、画像情報(画像信号)に基づいて変調され、ダイクロイックプリズム1206に向けて出射される。ダイクロイックプリズム1206は、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズユニット2006によってスクリーン2200上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0015】
液晶ライトバルブ1220は、以下に説明する液晶装置100を有しており、液晶装置100は、液晶パネル100pと、液晶パネル100pの色光の入射側と出射側とにクロスニコルに配置された一対の偏光素子140とを備えている。他の液晶ライトバルブ1210、1230も、液晶ライトバルブ1220と同様である。以下の説明では、3つの液晶ライトバルブ1210、1220、1230に用いた液晶装置100を説明する際、対応する色光に関係ない場合には、いずれの液晶装置も「液晶装置100」とする。これに対して、対応する色光によって液晶装置100を区別する必要がある場合、赤色光Rに対応する液晶装置100を「赤色用液晶装置100(R)」とし、緑色光Gに対応する液晶装置100を「緑色用液晶装置100(G)」とし、青色光Bに対応する液晶装置100を「青色用液晶装置100(B)」とする。また、赤色用液晶装置100(R)および緑色用液晶装置100(G)の一方の液晶パネル100pを「第1液晶パネル」とし、他方の液晶パネル100pを「第3液晶パネル」とし、第1液晶パネルよりも短波長の光が入射する青色用液晶装置100(B)の液晶パネル100pを「第2液晶パネル」とする。本実施形態では、緑色用液晶装置100(G)の液晶パネル100pを「第1液晶パネル」とし、赤色用液晶装置100(R)の液晶パネル100pを「第3液晶パネル」とした場合を例示する。
【0016】
3.液晶装置100の全体構成
図4は、図3に示す液晶装置100の構成例を示す平面図である。図5は、図4に示す液晶装置100のH-H′断面図である。以下の説明において、第1基板10に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは第1基板10の基板本体10wが位置する側とは反対側(第2基板20および液晶層50が位置する側)を意味し、下層側とは第1基板10の基板本体10wが位置する側を意味する。第2基板20に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは第2基板20の基板本体20wが位置する側とは反対側(第1基板10および液晶層50が位置する側)を意味し、下層側とは第2基板20の基板本体20wが位置する側を意味する。また、液晶装置の面内方向において互いに直交する方向を第1方向Xおよび第2方向Yとして説明する。
【0017】
図4および図5に示すように、液晶装置100は液晶パネル100pを有している。液晶装置100では、第1基板10と第2基板20とからなる一対の基板が所定の隙間を介してシール材19によって貼り合わされており、シール材19は、第2基板20の外縁に沿って枠状に設けられている。シール材19は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材107が配合されている。液晶装置100において、第1基板10と第2基板20との間のうち、シール材19によって囲まれた領域内には液晶層50が設けられている。シール材19には、液晶注入口190として利用される途切れ部分が形成されており、液晶注入口190は、液晶材料の注入後、封止材108によって塞がれている。なお、液晶材料を滴下法で封入する場合は、液晶注入口190は形成されない。
【0018】
液晶装置100において、第1基板10および第2基板20はいずれも四角形であり、シール材19の内側には、複数の画素が配置された画素領域10rが四角形の領域として設けられている。シール材19は、画素領域10rの周りを囲むように四角形の枠状に設けられており、画素領域10rとシール材19との間は、四角枠状の周辺領域10cになっている。
【0019】
画素領域10rは、第1方向Xに長辺が延在する長方形の領域として設けられている。また、第1基板10および第2基板20も、画素領域10rと同様、第1方向Xに長辺10e1、10e3、20e1、20e3が延在し、第2方向Yに短辺10e2、10e4、20e2、20e4が延在する長方形である。かかる形状に対応して、シール材19でも、第1方向Xに長辺191、193が延在し、第2方向Yに短辺192、194が延在している。
【0020】
第1基板10において、第2基板20から張り出している側では、第1基板10の一辺である長辺10e1に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する短辺10e2、10e4に沿って走査線駆動回路104が形成されている。端子102は、シール材19より外周側に設けられている。端子102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続され、第1基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。データ線駆動回路101および走査線駆動回路104は、一部がシール材19と平面視で重なっている。
【0021】
第1基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10wを有しており、基板本体10wから第1配向膜16までが第1基板10に相当する。基板本体10wの第2基板20と対向する一方面10sの側には、画素領域10rの画素毎に複数のスイッチング素子、および複数のスイッチング素子の各々に電気的に接続する画素電極9aがマトリクス状に形成されている。画素電極9aの上層側には第1配向膜16が形成されている。
【0022】
第2基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20wを有しており、基板本体20wから第2配向膜26までが第2基板20に相当する。基板本体20wの第1基板10と対向する一方面20sの側には共通電極21が形成されている。共通電極21は、第2基板20の全面に形成されている。第2基板20の一方面20sの側には、共通電極21の下層側に遮光部材29が形成され、共通電極21の液晶層50側の表面には第2配向膜26が積層されている。遮光部材29と共通電極21との間には透光性の絶縁膜22が形成されている。遮光部材29は、画素領域10rの外周縁に沿って延在する額縁部分29aとして形成されており、額縁部分29aの内縁によって、液晶パネル100pにおいて照明光が入射する領域が規定されている。なお、第2基板20には、遮光部材29と同一層の遮光層が、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域と重なるブラックマトリクス部として設けられる場合がある。また、第2基板20では、複数の画素電極9aの各々と平面視で重なる領域にレンズが形成されることもある。
【0023】
液晶装置100において、シール材19より外側には、第2基板20の一方面20sの側の4つの角部分に、共通電極21の一部からなる基板間導通用電極部24tが形成されており、第1基板10の一方面10sの側には、第2基板20の基板間導通用電極部24tと対向する位置に基板間導通用電極部6tが形成されている。基板間導通用電極部6tは、共通電位Vcomが印加された定電位配線6sに導通しており、定電位配線6sは、複数の端子102のうち、定電位用の端子102に導通している。基板間導通用電極部6tと基板間導通用電極部24tとの間には、導電粒子を含んだ基板間導通材109が配置されており、第2基板20の共通電極21は、基板間導通用電極部6t、基板間導通材109および基板間導通用電極部24tを介して、第1基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、第1基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。
【0024】
本実施形態の液晶装置100は透過型液晶装置である。従って、画素電極9aおよび共通電極21は、ITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成されている。透過型の液晶装置100では、例えば、第2基板20の側から入射した光が第1基板10から出射される間に変調されて画像を表示する。なお、共通電極21を透光性導電膜により形成し、画素電極9aを反射性電極とすれば、液晶装置100は反射型液晶装置として構成される。反射型の液晶装置100では、第2基板20の側から入射した光が第1基板10の画素電極9aで反射して再び、第2基板20の側から出射される間に変調されて画像を表示する。
【0025】
液晶装置100では、第1基板10の第2基板20とは反対側の面には第1防塵ガラス15が重ねて配置され、第2基板20の第1基板10とは反対側の面には第2防塵ガラス25が重ねて配置されている。このため、液晶装置100に塵などの異物が付着した場合でも、第1基板10の第2基板20とは反対側の面や、第2基板20の第1基板10とは反対側の面等、液晶層50と近い位置に塵などの異物が付着しにくい。従って、液晶装置100に付着した塵などの異物に照明光が合焦して画像に映し出されることを抑制することができる。
【0026】
本実施形態では、液晶パネル100pにおいて照明光が入射する領域を第2基板20に設けた遮光部材29によって規定したが、第2防塵ガラス25に遮光部材を設け、第2防塵ガラス25に設けた遮光部材によって、液晶パネル100pにおいて照明光が入射する領域を規定してもよい。
【0027】
4.液晶装置100の電気的構成
図6は、図4に示す液晶装置100の電気的構成を示す説明図である。図6に示すように、液晶装置100の表示領域10pにおいて、マトリクス状に形成された複数の画素100aの各々には、画素電極9a、およびこの画素電極9aに対応するトランジスター30が形成されており、画像信号S1、S2・・・Snを供給するデータ線6aがトランジスター30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2・・・Snは、この順に線順次に供給し構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号H1、H2・・・Hmをこの順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、トランジスター30のドレインに電気的に接続されており、トランジスター30を一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2・・・Snを各画素100aに所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極9aを介して画素100aに書き込まれた画像信号S1、S2、・・・Snは、図4を参照して説明した第2基板20の共通電極21との間で一定期間保持される。液晶層50は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。それ故、液晶装置100からは画像信号S1、S2、・・・Snに応じたコントラストを持つ光が出射される。
【0028】
ここで、各画素100aに保持された画像信号S1、S2、・・・Snがリークするのを防ぐために、容量線5aを利用して、画素電極9aと共通電極21との間に形成される液晶容量と並列に保持容量55を付加することがある。この場合、画素電極9aの電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも長い時間、保持容量55により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高いアクティブマトリクス型の液晶装置100が実現できる。
【0029】
5.画素100aの具体的構成
図7は、図4に示す液晶装置100の画素等の具体的構成例を模式的に示す断面図である。図7に示すように、第1基板10の一方面10s側には、導電性ポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる下層側の走査線3aが形成されている。本実施形態において、走査線3aは、タングステンシリサイド(WSi)等の遮光膜からなる。走査線3aの上層側には、透光性の絶縁膜11が形成されており、かかる絶縁膜11の表面側に、半導体層30aを備えたトランジスター30が形成されている。本実施形態において、絶縁膜11はシリコン酸化膜等からなる。
【0030】
トランジスター30は、半導体層30aと、半導体層30aと交差するゲート電極30gとを備えており、半導体層30aとゲート電極30gとの間に透光性のゲート絶縁膜30bを有している。半導体層30aは、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)等によって構成されている。ゲート絶縁膜30bは、半導体層30aを熱酸化したシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜と減圧CVD法等により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁膜との2層構造からなる。ゲート電極30gは、ゲート絶縁膜30bおよび絶縁膜11を貫通するコンタクトホール(図示せず)を介して走査線3aに電気的に接続されている。
【0031】
ゲート電極30gの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜12、13、14が順に形成されており、層間絶縁膜12、13、14の間等を利用して、保持容量(図示せず)が構成されている。層間絶縁膜12と層間絶縁膜13との間には、データ線6aおよびドレイン電極6bが形成されており、層間絶縁膜13と層間絶縁膜14との間に中継電極7aが形成されている。データ線6aは、層間絶縁膜12およびゲート絶縁膜30bを貫通するコンタクトホール12aを介して半導体層30aのソース領域に電気的に接続している。ドレイン電極6bは、層間絶縁膜12およびゲート絶縁膜30bを貫通するコンタクトホール12bを介して半導体層30aのドレイン領域に電気的に接続している。中継電極7aは、層間絶縁膜13を貫通するコンタクトホール13aを介してドレイン電極6bに電気的に接続している。層間絶縁膜14は、表面が平坦面になっており、層間絶縁膜14の表面には画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁膜14を貫通するコンタクトホール14aを介して中継電極7aに導通している。従って、画素電極9aは、中継電極7aおよびドレイン電極6bを介してトランジスター30のドレイン領域に電気的に接続している。
【0032】
第1配向膜16および第2配向膜26は、シリコン酸化膜(SiO(x≦2))、チタン酸化膜(TiO)、マグネシウム酸化膜(MgO)、アルミニウム酸化膜(Al等)の斜方蒸着膜からなる無機配向膜である。このため、第1配向膜16および第2配向膜26では、柱状構造物160、260が第1基板10および第2基板20の一方面10s、20sに対する法線方向から斜めに傾いている。第1配向膜16および第2配向膜26の配向規制力は、アンチパラレルである。従って、第1配向膜16および第2配向膜26は、実線L1で示すように、液晶層50に用いた負の誘電率異方性を備えたネマチック液晶分子(液晶分子51)の長軸を第1基板10および第2基板20に対して斜めに傾斜配向させ、液晶分子51にプレチルトを付している。それ故、液晶装置100を駆動した際、液晶層50において、液晶分子51は、図7に実線L1および点線L2で示すように、液晶分子51の姿勢が切り換わる。
【0033】
本実施形態において、第1配向膜16または第2配向膜26は、例えば、図2に矢印Pで示すように、画素領域10rの外縁を規定する4つの辺に対して、45度または135度の角度を成す方向に液晶分子51を配向させている。従って、液晶分子51は、画素領域10rの4つのうち、対角をなす2つの角が成す対角方向に配向している。このようにして、液晶装置100は、ノーマリブラックのVAモードの液晶装置として構成されている。本実施形態において、第1配向膜16および第2配向膜26は、シリコン酸化膜からなる。
【0034】
6.表示領域100aの構成
液晶装置100において、液晶パネル100pのうち、照明光が入射する領域が、照明光を変調して出射する表示領域10pであり、遮光部材29(額縁部分29a)の内縁によって規定された領域である。本実施形態では、画素領域10rの全体が表示領域10pになっている。
【0035】
ここで、画素領域10rに配列された画素電極9aのうち、画素領域10rの外縁に沿って配列された画素電極9aは、ダミー画素電極9bとして用いられる。本実施形態において、ダミー画素電極9bには、表示する画像に関わらず、黒表示を行う程度の交流電位が印加される。従って、ダミー画素電極9bが配列されたダミー画素領域10bの全域が、黒表示を行う電子見切り部となり、遮光部材29とともに、見切りを構成する。これに対して、ダミー画素領域10bで囲まれた領域10aでは、画像信号に対応した任意の画像が生成される。
【0036】
なお、遮光部材29がダミー画素電極9bと重なるように設けられる場合があり、この場合、ダミー画素領域10bに囲まれた領域10aが、照明光が入射する表示領域10pとなる。また、ダミー画素領域10bが設けられない場合もあり、この場合、画素領域10rの全体が表示領域10pとなり、画像信号に対応した任意の画像が生成される。
【0037】
7.液晶層50中の不純物
図8は、図4に示す液晶パネル100pの透過率の時間的変化を示す説明図である。図4および図5に示す液晶装置100において、表示領域10pの液晶層50に照明光が照射されると、液晶の分解反応等が発生して液晶層に不純物が発生する。かかる不純物が表示領域10p内で偏在すると、不純物が偏在した領域では変調特性が低下する。例えば、イオン性不純物が偏在した場合、液晶層50の絶縁抵抗が低下して駆動電位を低下させるので、表示ムラや通電による焼き付き現象が発生する。特に、第1配向膜16および第2配向膜26がシリコン酸化膜からなる場合、Si原子の未結合手(ダングリングボンド)や、Si原子同士が結合したダイマー構造(Si-Si結合)が存在し、かかるSi原子の未結合手は、雰囲気中の水分や液晶層50中の水分との反応によって、反応性が高いシラノール基(-Si-OH)により終端されやすく、液晶層50の液晶材料と反応しやすい。
【0038】
ここで、表示領域10pで発生した不純物は、表示領域10pの外側との濃度差や温度差によって表示領域10pから表示領域10pの外側に拡散する。また、液晶層50を駆動した際、図7に矢印F1、F2で示すように、液晶分子51の振動によって液晶分子51のフローが生ずると、不純物は、液晶分子51のフローに沿って、表示領域10pから表示領域10pの外側に掃き出される。
【0039】
但し、不純物は、第1配向膜16および第2配向膜26に吸着しようとする性質を有しており、かかる吸着は、表示領域10pから表示領域10pの外側に不純物が掃き出されることを阻害する。ここで、不純物の吸着力は、液晶層50の温度によって変動する。具体的には、液晶層50の温度が高い方が、不純物の吸着力が弱まる。そこで、本実施形態では、液晶層50の温度を高めることによって、不純物の吸着力を弱め、濃度差や温度差による拡散や、液晶分子51のフローによって、表示領域10pから表示領域10pの外側に不純物が掃き出される現象を促進する。また、液晶パネル100pの透過率を監視し、液晶パネル100pの透過率が10%変化した後、液晶層50の温度を上昇させる。
【0040】
より具体的には、図3に示すように、投射型表示装置2000には、リレーレンズ1203からの漏れ光を検出する第1光センサ2510と、投射レンズユニット2006からの漏れ光を検出する第2光センサ2520と、第1光センサ2510での検出値と第2光センサ2520での検出値との比を算出する算出部2530とを備えた透過率測定装置2500が設けられている。第1光センサ2510の検出値は、液晶装置100への入射光に比例し、第2光センサ2520の検出値は、液晶装置100からの出射光に比例する。従って、透過率測定装置2500は、液晶パネル100pにおいて所定諧調の画像を表示したときの第1光センサ2510での検出値と第2光センサ2520での検出値との比の変化を液晶パネル100pの透過率の変化として監視する。ここで、透過率は、液晶パネル100pの使用開始直後において最大透過率時の透過光強度に対して10%の透過光強度となる駆動電圧(V10)を印加した際の透過率(T10)とした。なお、透過率の測定は、例えばオンシーケンス中等の非表示時に、液晶パネル100pの使用開始直後において最大透過率時の透過光強度に対して10%の透過光強度となる駆動電圧(V10)でベタ表示をすることにより行った。
【0041】
また、図2に示す制御部2010は、透過率測定装置2500での透過率測定結果が初期値と比較して10%変化した際には、冷却装置2100を制御し、液晶層50の温度を上昇させる。より具体的には、冷却装置2100は、制御部2010による制御の下、透過率測定装置2500での透過率測定結果が初期値と比較して10%変化した以降、液晶パネル100pに対する冷却を弱め、液晶層50の温度を上昇させる。例えば、冷却装置2100は、液晶層50の温度を60℃以上、かつ、ネマチック等方相転移温度Tni-20℃以下の温度に制御する。
【0042】
本実施形態では、赤色光(R)、緑色光(G)および青色光(B)のうち、最も波長が短い青色光(B)が入射する青色用液晶装置100(B)では、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて、光化学反応による不純物が発生しやすいことから、青色用液晶装置100(B)の液晶パネル100pでの透過率を監視する。但し、冷却装置2100は、青色用液晶装置100(B)、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)で共通であるため、青色用液晶装置100(B)、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)のいずれに対しても、液晶層50の温度を60℃以上、かつ、ネマチック等方相転移温度Tni-20℃以下の温度に制御する。
【0043】
なお、液晶層50の温度を監視するにあたっては、青色用液晶装置100(B)の液晶パネル100pの温度を検出する温度センサを設けた構成を採用できる他、予め、冷却装置2100の冷却能力と液晶パネル100pの温度との関係を検討しておき、温度センサを用いずに、液晶パネル100pの温度を制御してもよい。
【0044】
ここで、液晶パネル100pでの透過率は、図8に実線R1で示すように、時間が経過しても透過率が略変化しない期間の後、不純物の偏在によって透過率が急激に低下する場合と、図8に実線R2で示すように、時間が経過しても透過率が略変化しない期間の後、不純物の偏在によって、透過率が一時的に上昇し、その後、透過率が急激に低下する場合とがある。本実施形態では、いずれの場合でも、透過率測定装置2500での透過率測定結果が初期値と比較して10%変化した後、液晶層50の温度を上昇させる高温動作を行う。高温動作をさせることにより、図8に一点鎖線R10、R20で示すように、液晶パネル100pの透過率の急激な低下を遅延させることができる。
【0045】
従って、液晶装置100を稼働させていくうちに、表示領域10pの不純物の濃度が上昇し、透過率が初期値と比較して10%変化した後は、液晶層50の温度を上昇させて不純物の吸着力を弱めるので、濃度差や温度差による拡散や、液晶分子51のフローによる不純物の液晶分子51のフローによって、表示領域10pから表示領域10pの外側に不純物を効率よく掃き出すことができる。
【0046】
また、本実施形態では、透過率測定結果が初期値と比較して10%変化した後、液晶層50の温度を上昇させる高温動作を行うため、液晶層50を無駄に加熱することがない。それ故、液晶層50の熱による劣化を抑制することができる。また、液晶層50の温度を60℃以上まで上昇させるため、不純物の吸着力を十分に弱めることができるので、濃度差や温度差による拡散や、液晶分子51のフローによって、表示領域10pから表示領域10pの外側に不純物を効率よく掃き出すことができる。さらに、液晶層50の温度を上昇させる際でも、ネマチック等方相転移温度Tni-20℃を上限とするので、画像の表示に影響がないとともに、液晶層50の熱による劣化を抑制することができる。
【0047】
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2実施形態に係る投射型表示装置2000の説明図である。図9には、投射型表示装置2000に用いた3つの液晶装置100の平面構造を示してある。図10は、図9に示す3つの液晶装置100の断面構造の説明図である。図11は、第2実施形態の効果を示す説明図である。図9および図10において、上段(a)には青色用液晶装置100(B)を示し、下段(b)には、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)を示してある。なお、本実施形態および後述する実施形態の基本的な構成は、第1実施形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。赤色光(R)、緑色光(G)および青色光(B)のうち、最も波長が短い青色光(B)が入射する青色用液晶装置100(B)では、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて、光化学反応による不純物が発生しやすいことから、3つの液晶装置100の構成を相違させてある。
【0048】
具体的には、液晶装置100におけるシール材19の内側の液晶層50の容積をV1とし、表示領域10pの液晶の容積V2としたとき、3つの液晶装置100における液晶容積比V1/V2を適正な値にしてある。より具体的には、図9および図10に示すように、本実施形態では、緑色用液晶装置100(G)の液晶パネル100pである「第1液晶パネル」よりも青色用液晶装置100(B)の液晶パネル100pである「第2液晶パネル」の液晶容積比V1/V2が、緑色用液晶装置100(G)の液晶パネル100pの液晶容積比V1/V2よりも大きい。なお、赤色用液晶装置100(R)の液晶パネル100pである「第3液晶パネル」は、液晶容積比V1/V2は、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2と同一になっている。
【0049】
かかる構成を実現するにあたって、本実施形態では、青色用液晶装置100(B)は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)と同一の平面構造を有しており、外形サイズ、表示領域10pのサイズ、および表示領域10pとシール材19との間隔等が等しい。また、青色用液晶装置100(B)は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)と表示領域10pにおける液晶層50の厚さが等しい。
【0050】
但し、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pとシール材19との間における液晶層50の厚みtaは、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pとシール材19との間における液晶層50の厚みtbよりも厚い。より具体的には、青色用液晶装置100(B)において、第2基板20の基板本体20wには、表示領域10pとシール材19との間に凹部20uが形成されている一方、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)において、表示領域10pとシール材19との間に凹部が形成されていない。本実施形態において、凹部20uは、表示領域10pを囲むように延在している。
【0051】
このため、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pとシール材19との間における液晶層50の厚みtaは、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pとシール材19との間における液晶層50の厚みtbよりも厚い。従って、青色用液晶装置100(B)、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)では、表示領域10pの液晶の容積V2が等しいが、青色用液晶装置100(B)のシール材19の内側の液晶の容積V1は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)のシール材19の内側の液晶の容積V1より大きい。それ故、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2は、緑色用液晶装置100(G))の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きい。
【0052】
このため、青色用液晶装置100(B)では、液晶層50での不純物の希釈度合が大きい。それ故、図11に示すように、第1実施形態で説明した液晶層50の温度を上昇させる構成、および本実施形態で説明した液晶容積比V1/V2を増大させた構成のいずれをも採用しない態様から、液晶層50の温度を上昇させる構成を採用すると、実線R3で示す特性から実線R4に示す特性まで液晶パネル100pの透過率の急激な低下を遅延させることができる。さらに、第1実施形態で説明した液晶層50の温度を上昇させる構成、および本実施形態で説明した液晶容積比V1/V2を増大させた構成の双方を採用すると、実線L4に示す特性から実線R40に示す特性まで液晶パネル100pの透過率の急激な低下をさらに遅延させることができる。従って、青色用液晶装置100(B)において、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて不純物が多く発生した場合でも、表示領域10pでの不純物による表示への影響を赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)と同等にまで抑制することができる。それ故、投射型表示装置2000では、長期間にわたって品位の高い画像を表示することができる。
【0053】
[第2実施形態の変形例]
第2実施形態において、凹部20uは、表示領域10pを囲むように延在している構造を採用したが、シール材19の長辺191、193のみに沿って延在している態様や、シール材19の短辺192、194のみに沿って延在している態様であってもよい。また、凹部20uが表示領域10pを囲むように延在している場合には、長辺191、193と短辺192、194との間で途切れている態様であってもよい。かかる態様によれば、共通電極21を表示領域10pから基板間導通材109による導通位置まで連続して延在させることが容易である。
【0054】
また、第2実施形態において、凹部20uは、青色用液晶装置100(B)のみに形成されていたが、青色用液晶装置100(B)、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)に凹部20uを形成してもよい。この場合、青色用液晶装置100(B)に対しては、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて容積の大きな凹部20uを形成することになる。
【0055】
[第3実施形態]
図12は、本発明の実施形態3に係る投射型表示装置2000の説明図である。図12には、投射型表示装置2000に用いた3つの液晶装置100の平面構造を示してある。図12において、上段(a)には青色用液晶装置100(B)を示し、下段(b)には、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)を示してある。本実施形態でも、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2が、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きい。より具体的には、図12に示すように、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pとシール材19との間隔daは、緑色用液晶装置100(G)の表示領域10pとシール材19との間隔db、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pとシール材19との間隔dbより広い。従って、3つの液晶装置100では、表示領域10pの液晶の容積V2が等しいが、青色用液晶装置100(B)のシール材19の内側の液晶の容積V1は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)のシール材19の内側の液晶の容積V1より大きい。
【0056】
このような構成を実現するにあたって、本実施形態では、青色用液晶装置100(B)の外形寸法は、緑色用液晶装置100(G)の外形寸法、および赤色用液晶装置100(R)の外形寸法より大きい。但し、青色用液晶装置100(B)は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)と、表示領域10pのサイズや表示領域10pにおける液晶層50の厚さが等しい。
【0057】
このように本実施形態の投射型表示装置2000の各液晶装置100においても、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)において、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて不純物が多く発生した場合でも、表示領域10pでの不純物による表示への影響を赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)と同等にまで抑制することができる等、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0058】
[第4実施形態]
図13は、本発明の第4実施形態に係る投射型表示装置2000の説明図である。図13には、投射型表示装置2000に用いた3つの液晶装置100の平面構造を示してある。図13において、上段(a)には青色用液晶装置100(B)を示し、下段(b)には、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)を示してある。本実施形態でも、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2が、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きい。より具体的には、図13に示すように、青色用液晶装置100(B)の短辺192、194の延在方向における表示領域10pとシール材19との間隔daは、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pとシール材19との間隔dbより広い。但し、3つの液晶装置100では、第1方向X(長辺191、193の延在方向)における表示領域10pとシール材19との間隔は等しい。
【0059】
より具体的には、3つの液晶装置100では、表示領域10pのサイズや、長辺191、193の延在方向における外形寸法が等しいが、青色用液晶装置100(B)の第2方向Yの外形寸法は、緑色用液晶装置100(G)の短辺192、194の延在方向の第2方向Yの外形寸法より大きい。従って、青色用液晶装置100(B)、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)では、表示領域10pの液晶の容積V2が等しいが、青色用液晶装置100(B)のシール材19の内側の液晶の容積V1は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)のシール材19の内側の液晶の容積V1より大きい。
【0060】
このように本実施形態の投射型表示装置2000の各液晶装置100においても、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)において、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて不純物が多く発生した場合でも、表示領域10pでの不純物による表示への影響を赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)と同等にまで抑制することができる等、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0061】
また、青色用液晶装置100(B)の第2方向Yの外形寸法は、緑色用液晶装置100(G)の短辺192、194の延在方向の第2方向Yの外形寸法より大きいが、第1方向Xにおける外形寸法は、3つの液晶装置100で等しい。このため、図3に示すダイクロイックプリズム1206の周りでは、液晶装置100の第1方向Xでは空間的な余裕がなくても、液晶装置100の第2方向Yでは空間的な余裕があるため、青色用液晶装置100(B)の第2方向Yの外形寸法を大きくした場合でも、ダイクロイックプリズム1206の周りに3つの液晶装置100を適正に配置することができる。
【0062】
[実施形態5]
図14は、本発明の第5実施形態に係る投射型表示装置2000の説明図である。図14には、投射型表示装置2000に用いた3つの液晶装置100の平面構造を示してある。図14において、上段(a)には青色用液晶装置100(B)を示し、下段(b)には、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)を示してある。本実施形態でも、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2が、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きい。より具体的には、図14に示すように、青色用液晶装置100(B)のシール材19の幅waは、緑色用液晶装置100(G)のシール材19の幅wb、および赤色用液晶装置100(R)のシール材19の幅wbより狭い。但し、3つの液晶装置100では、表示領域10pのサイズ、および外形寸法は等しい。このため、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pとシール材19との間隔daは、緑色用液晶装置100(G)の表示領域10pとシール材19との間隔db、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pとシール材19との間隔dbより広い。従って、青色用液晶装置100(B)、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)では、表示領域10pの液晶の容積V2が等しいが、青色用液晶装置100(B)のシール材19の内側の液晶の容積V1は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)のシール材19の内側の液晶の容積V1より大きい。
【0063】
このように本実施形態の投射型表示装置2000の各液晶装置100においても、第2実施形態2と同様、青色用液晶装置100(B)において、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて不純物が多く発生した場合でも、表示領域10pでの不純物による表示への影響を赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)と同等にまで抑制することができる等、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0064】
[実施形態6]
図15は、本発明の第6実施形態に係る投射型表示装置2000の説明図である。図15には、投射型表示装置2000に用いた3つの液晶装置100の平面構造を示してある。図15において、上段(a)には青色用液晶装置100(B)を示し、下段(b)には、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)を示してある。本実施形態でも、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2が、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きい。より具体的には、図15に示すように、青色用液晶装置100(B)では、シール材19が第2基板20の縁に接するように延在しているが、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)では、シール材19の長辺193、および短辺192、194がシール材19の縁から離間している。但し、3つの液晶装置100では、表示領域10pのサイズ、および外形寸法は等しい。このため、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pとシール材19との間隔daが、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pとシール材19との間隔dbより広い。従って、青色用液晶装置100(B)、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)では、表示領域10pの液晶の容積V2が等しいが、青色用液晶装置100(B)のシール材19の内側の液晶の容積V1は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)のシール材19の内側の液晶の容積V1より大きい。
【0065】
このように本実施形態の投射型表示装置2000の各液晶装置100においても、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)において、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて不純物が多く発生した場合でも、表示領域10pでの不純物による表示への影響を赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)と同等にまで抑制することができる等、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0066】
[実施形態7]
図16は、本発明の第7実施形態に係る投射型表示装置2000の説明図である。図16には、投射型表示装置2000に用いた3つの液晶装置100の平面構造を示してある。図16において、上段(a)には青色用液晶装置100(B)を示し、下段(b)には、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)を示してある。本実施形態でも、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2が、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きい。より具体的には、図16に示すように、3つの液晶装置100では、外形寸法が等しいが、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pは、緑色用液晶装置100(G)の表示領域10p、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pより面積が小さい。このため、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pとシール材19との間隔daが、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pとシール材19との間隔dbより広い。従って、3つの液晶装置100のシール材19の内側の液晶の容積V1は等しいが、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pの液晶の容積V2は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pの液晶の容積V2より小さい。
【0067】
このように本実施形態の投射型表示装置2000の各液晶装置100においても、青色用液晶装置100(B)において、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて不純物が多く発生した場合でも、表示領域10pでの不純物による表示への影響を赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)と同等にまで抑制することができる等、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0068】
[実施形態8]
図17は、本発明の第8実施形態に係る投射型表示装置2000の説明図である。図16には、投射型表示装置2000に用いた3つの液晶装置100の断面構造を示してある。図17において、上段(a)には青色用液晶装置100(B)を示し、下段(b)には、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)を示してある。本実施形態でも、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2が、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きい。より具体的には、図17に示すように、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pには、第1基板10と第2基板20との間隔を制御する柱状スペーサー18が形成されている。かかる柱状スペーサー18は、例えば、第1基板10において、配線等の遮光部分と重なる位置で第2基板20に向けて突出した絶縁物からなり、第2基板20と当接することにより、第1基板10と第2基板20との間隔を制御する。
【0069】
これに対して、緑色用液晶装置100(G)の表示領域10p、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pには、柱状スペーサー18が形成されていない。従って、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pの液晶の容積V2は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pの液晶の容積V2より小さい。なお、柱状スペーサー18によって、青色用液晶装置100(B)のシール材19の内側の液晶の容積V2は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)のシール材19の内側の液晶の容積V2より小さくなる。この場合でも、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2は、緑色用液晶装置100(G))の液晶容積比V1/V2、および第3液晶装置(赤色用液晶装置100(R))の液晶容積比V1/V2より大きい。
【0070】
このように本実施形態の投射型表示装置2000の各液晶装置100においても、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)において、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて不純物が多く発生した場合でも、表示領域10pでの不純物による表示への影響を赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)と同等にまで抑制することができる等、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0071】
[実施形態8の変形例1]
図18は、本発明の第8実施形態の変形例1に係る投射型表示装置2000の説明図である。図18には、投射型表示装置2000に用いた3つの液晶装置100の断面構造を示してある。図18において、上段(a)には青色用液晶装置100(B)を示し、下段(b)には、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)を示してある。本実施形態では、実施形態8と同様、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pには、第1基板10と第2基板20との間隔を制御する柱状スペーサー18が形成されている。本実施形態では、緑色用液晶装置100(G)の表示領域10p、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pにも柱状スペーサー18が形成されているが、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pでは、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pより柱状スペーサー18の配置密度が低い。従って、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2は、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きい。従って、実施形態8同様、青色用液晶装置100(B)において、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて不純物が多く発生した場合でも、表示領域10pでの不純物による表示への影響を赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)と同等にまで抑制することができる等、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0072】
[第8実施形態の変形例2]
図19は、本発明の実施形態8の変形例2に係る投射型表示装置2000の説明図である。図19には、3つの液晶装置100の断面構造を示してある。図19において、上段(a)には青色用液晶装置100(B)を示し、下段(b)には、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)を示してある。本実施形態でも、第8実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pには、第1基板10と第2基板20との間隔を制御する柱状スペーサー18が形成されている。本実施形態では、緑色用液晶装置100(G)の表示領域10p、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pにも、単位面積当たり、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pと同数の柱状スペーサー18が形成されている。但し、青色用液晶装置100(B)に形成された柱状スペーサー18は、青色用液晶装置100(B)に形成された柱状スペーサー18より太い。従って、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2は、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きい。従って、第8実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)において、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて不純物が多く発生した場合でも、表示領域10pでの不純物による表示への影響を赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)と同等にまで抑制することができる等、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0073】
[第9実施形態]
図20は、本発明の第9実施形態に係る投射型表示装置2000の説明図である。図20には、投射型表示装置2000に用いた3つの液晶装置100の断面構造を示してある。図20において、上段(a)には青色用液晶装置100(B)を示し、下段(b)には、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)を示してある。本上記した各実施形態の特徴部分を組み合わせて、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2が、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きくしてもよい。
【0074】
例えば、本実施形態では、図20に示すように、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pとシール材19との間における液晶層50の厚みtaは、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pとシール材19との間における液晶層50の厚みtbよりも厚い。より具体的には、青色用液晶装置100(B)において、第2基板20には、表示領域10pとシール材19との間に凹部20uが形成されている一方、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)において、表示領域10pとシール材19との間に凹部が形成されていない。
【0075】
また、青色用液晶装置100(B)の表示領域10pとシール材19との間隔daは、緑色用液晶装置100(G)の表示領域10pとシール材19との間隔db、および赤色用液晶装置100(R)の表示領域10pとシール材19との間隔dbより広い。従って、青色用液晶装置100(B)、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)では、表示領域10pの液晶の容積V2が等しいが、青色用液晶装置100(B)のシール材19の内側の液晶の容積V1は、緑色用液晶装置100(G)、および赤色用液晶装置100(R)のシール材19の内側の液晶の容積V1より大きい。それ故、青色用液晶装置100(B)の液晶容積比V1/V2は、緑色用液晶装置100(G)の液晶容積比V1/V2、および赤色用液晶装置100(R)の液晶容積比V1/V2より大きい。従って、第2実施形態と同様、青色用液晶装置100(B)において、赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)に比べて不純物が多く発生した場合でも、表示領域10pでの不純物による表示への影響を赤色用液晶装置100(R)、および緑色用液晶装置100(G)と同等にまで抑制することができる等、第2実施形態と同様な効果を奏する。
【0076】
[第10実施形態]
図21は、本発明の第10実施形態に係る液晶装置100の平面構成を示す説明図である。図21には、第1基板10と第2基板20とが重なっている領域を示してある。図22は、図21に示す液晶装置100のA2-A2′断面を模式的に示す説明図ある。図23は、第10実施形態の効果を示す説明図である。
【0077】
図21および図22に示すように、本実施形態では、全ての液晶装置100の液晶パネル100pにおいて、第1基板10の表示領域10pの外側には、表示領域10pのイオン性不純物を表示領域10pの外側に引き寄せるトラップ電極130が設けられている。本実施形態において、トラップ電極130は、定電位が印加される電極135からなり、例えば、電極135と共通電極21との間には+1.5Vの電圧が印加される。従って、表示領域10pの負のイオン性不純物は、電極135とダミー画素電極9bとの間に発生した横電界によって、トラップ電極130に引き寄せられる。本実施形態では、図2および図3に示す制御部2010による制御の下、透過率測定装置2500での透過率測定結果が初期値と比較して10%変化したとき、液晶層50の温度を上昇させ、その後、トラップ電極130に上記の電位を印加する。また、透過率測定装置2500での透過率測定結果が初期値と比較して10%変化する前からトラップ電極130に通電してもよい。
【0078】
ここで、電極135は、少なくとも、表示領域10pの対角方向における2つの隅部Ea、Ebの外側に設けられる。本実施形態において、電極135は、表示領域10pの周りを囲む枠状に形成されている。なお、電極135には、共通電極21との間に負の電圧が印加されることもある。
【0079】
このような態様によれば、液晶層50を駆動した際の液晶分子51のフロー等に加えて、電極135とダミー画素電極9bとの間に発生した横電界によって、イオン性不純物は、表示領域10pの外側に到達し、滞留する。従って、図23に示すように、第1実施形態で説明した液晶層50の温度を上昇させる構成、および本実施形態で説明した電界を利用した構成のいずれをも採用しない態様から、液晶層50の温度を上昇させる構成を採用すると、実線R5で示す特性から実線R6に示す特性まで液晶パネル100pの透過率の急激な低下を遅延させることができる。さらに、第1実施形態で説明した液晶層50の温度を上昇させる構成、および本実施形態で説明した電界を利用した構成の双方を採用すると、実線L6に示す特性から一点鎖線L60に示す特性まで液晶パネル100pの透過率の低下を遅延させることができる。従って、表示領域10pでの不純物による表示への影響を抑制することができる。それ故、投射型表示装置2000では、長期間にわたって品位の高い画像を表示することができる。
【0080】
[第11実施形態]
図24は、本発明の第11実施形態に係る液晶装置100の平面構成を示す説明図である。図24には、第1基板10と第2基板20とが重なっている領域を示してある。図25は、図24に示す液晶装置100のA3-A3′断面を模式的に示す説明図である。図26は、図24に示すトラップ電極130に印加される信号の一例を示す説明図である。なお、本実施形態の基本的な構成は第1実施形態および第10実施形態と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの詳細な説明を省略する。
【0081】
図24および図25に示すように、本実施形態でも、第10実施形態と同様、全ての液晶装置100の液晶パネル100pにおいて、第1基板10の表示領域10pの外側には、表示領域10pのイオン性不純物を表示領域10pの外側に引き寄せるトラップ電極130が設けられている。本実施形態では、液晶装置100の第1基板10には、トラップ電極130として、平面視で表示領域10pとシール材19とに挟まれた領域に第1信号Vaが供給される第1電極131と、平面視で第1電極131とシール材19とに挟まれた領域で第1信号Vaと異なる位相の第2信号Vbが供給される第2電極132とが設けられている。また、第1基板10には、平面視で第2電極132とシール材19とに挟まれた領域で第1信号Vaおよび第2信号Vbと異なる位相の第3信号Vcが供給される第3電極133が設けられている。本実施形態では、図2および図3に示す制御部2010による制御の下、透過率測定装置2500での透過率測定結果が初期値と比較して10%変化したとき、液晶層50の温度を上昇させ、その後、トラップ電極130に上記の電位を印加する。また、透過率測定装置2500での透過率測定結果が初期値と比較して10%変化する前からトラップ電極130に通電してもよい。
【0082】
ここで、第1電極131、第2電極132、および第3電極133は、少なくとも、表示領域10pの対角方向における2つの隅部Ea、Ebの外側に設けられる。本実施形態において、第1電極131、第2電極132、および第3電極133は、表示領域10pの周りを囲む枠状に形成されている。
【0083】
本実施形態においては、例えば、図25に示すように、第1電極131に供給される第1信号Vaが正極性(+)から負極性(-)に遷移する前に、第2電極132に供給される第2信号Vbが負極性(-)から正極性(+)に遷移する。また、第2信号Vbが正極性(+)から負極性(-)に遷移する前に、第3電極133に印加される第3信号Vcが負極性(-)から正極性(+)に遷移する。また、第1電極131に印加される第1信号Vaが負極性(-)から正極性(+)に遷移する前に、第2電極132に印加される第2信号Vbが正極性(+)から負極性(-)に遷移する。また、第2信号Vbが負極性(-)から正極性(+)に遷移する前に、第3電極133に印加される第3信号Vcが正極性(+)から負極性(-)に遷移する。
【0084】
ここで、第2電極132に与えられた第2信号Vbは、第1電極131に与えられ第1信号Vaに対して、時間軸tにおいてΔt時間だけ遅れている。同様に、第3電極133に与えられた第3信号Vcは、第2電極132に与えられた第2信号Vbに対して、時間軸tにおいてΔt時間だけ遅れている。例えば、Δt時間を1/3周期とすれば、第1電極131、第2電極132、第3電極133の各々に与えられた交流信号は、互いに1/3周期だけ位相がずれることとなる。言い換えれば、第1電極131、第2電極132、第3電極133の各々の電位が互いに位相がずれた状態となる最大の位相のずれ量Δtは、交流信号の1周期を電極の数nで除した値となる。
【0085】
なお、図25に示した矩形波の交流信号は、基準電位を0Vとして、高電位(5V)と低電位(-5V)とに遷移するものであるが、基準電位、高電位、低電位の設定は、これに限定されるものではない。
【0086】
かかる構成によれば、図25に示す時間t0から時間t1において、第1電極131に供給される第1信号Vaが5Vの正極性(+)のとき、第1電極131に隣り合う第2電極132に供給の第2信号Vbは、-5Vの負極性となる。従って、第1電極131と第2電極132との間には、第1電極131から第2電極132に向う電界が生ずる。また、時間t1から時間t2において、第2電極132に供給される第2信号Vbが5Vの正極性(+)のとき、第2電極132に隣り合う第3電極133に供給される第3電位が-5Vの負極性(-)となる。従って、第2電極132と第3電極133との間には、第2電極132から第3電極133に向う電界が生ずる。
【0087】
また、時間t2から時間t3において、第3電極133に供給される第3信号Vcが5Vの正極性(+)のとき、第3電極133に隣り合う第2電極132に供給される第2信号Vbが5Vの正極性(+)から-5の負極性(-)に遷移する。従って、時間t0から時間t3の交流信号における1周期に相当する時間内において、第1電極131、第2電極132、および第3電極133の電極間における電界の分布が、第1電極131から第3電極133へ時間的にスクロールされる。
【0088】
ここで、イオン性不純物は、正極性(+)を有するものと、負極性(-)を有するものとが存在する可能性があるが、第1電極131の第1電位の極性に対応して正極性(+)または負極性(-)のイオン性不純物が第1電極131に引き寄せられることになる。第1電極131に引き寄せられたイオン性不純物をそのまま滞留させておくと、次第にイオン性不純物が蓄積されて、電子見切りや領域10aでの表示に影響を及ぼすおそれがあるので、第1電極131に引き寄せられたイオン性不純物を逐次、第2電極132や第3電極133に移動させる。すなわち、第1電極131に引き寄せられた正極性(+)または負極性(-)のイオン性不純物を、第2電極132を経由して第3電極133へ移動させることができる。それ故、イオン性不純物は、上記の電界方向の第1電極131から第3電極133への移動に伴って表示領域10pから、表示領域10pの外側に掃き寄せられる。かかる動作は画像を表示している期間、あるいは画像の表示を休止している期間のいずれに実施してもよい。
【0089】
なお、電界のスクロールに伴って確実にイオン性不純物を第3電極133に掃き寄せるためには、イオン性不純物の移動速度を考慮して交流信号の周波数を決める。なお、トラップ電極130に印加する交流信号は、図25に示した矩形波の交流信号に限定されない。例えば、図13の矩形波の交流信号は、電位が正極性(+)である時間と負極性(-)である時間が同じであるが、例えば、電位が正極性(+)である時間よりも電位が負極性(-)である時間の方が長い設定の交流信号としてもよい。また、矩形波の交流信号は、5Vと-5Vの2値の電位間で振幅させてもよいが、異なる3値以上の電位を遷移するように波形を設定してもよい。さらに、トラップ電極の各々に印加される交流信号は、1周期の時間内において互いに位相が異なる正弦波であってもよい。
【0090】
このような態様によれば、液晶層50を駆動した際の液晶分子51のフロー等に加えて、第1電極131、第2電極132、および第3電極133の間に発生する電界によって、イオン性不純物は、表示領域10pの外側に到達し、滞留する。従って、表示領域10pでの不純物による表示への影響を抑制することができる。それ故、投射型表示装置2000では、長期間にわたって品位の高い画像を表示することができる。
【0091】
なお、本実施形態は、トラップ電極130が3つの電極を有していたが、トラップ電極130が2つの電極、あるいは4つ以上の電極を有していてもよい。また、トラップ電極130において、2つの電極の間に交流信号を印加する態様であってもよい。
【0092】
[他の投射型表示装置]
上記実施形態2-10では、液晶容積比V1/V2が以下の関係になっている。
100(B)>100(G)≧100(R)
【0093】
但し、液晶容積比V1/V2が以下の関係の何れかとなっている態様を採用してもよい。
100(B)≧100(G)>100(R)
100(B)>100(G)≧100(R)
【0094】
また、投射型表示装置2000については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0095】
本発明を適用した表示装置は、上記実施形態の投射型表示装置2000に限定されない。例えば、投射型のヘッドアップディスプレイや直視型のヘッドマウントディスプレイ、パーソナルコンピューター、スマートフォン、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ等の電子機器に用いてもよい。
【符号の説明】
【0096】
3a…走査線、6a…データ線、9a…画素電極、9b、151…ダミー画素電極、10…第1基板、10a…領域、10b…ダミー画素領域、10c…周辺領域、10p…表示領域、10r…画素領域、10w、20w…基板本体、18…柱状スペーサー、19…シール材、20…第2基板、20u、27…凹部、21…共通電極、25…第2防塵ガラス、26…第2配向膜、29…遮光部材、29a…額縁部分、30…トランジスター、30a…半導体層、30b…ゲート絶縁膜、30g…ゲート電極、50…液晶層、51…液晶分子、100…液晶装置、100p…液晶パネル、107…ギャップ材、1109…基板間導通材、1210、1220、1230…液晶ライトバルブ、130…トラップ電極、131…第1電極、132…第2電極、133…第3電極、135…電極、160、260…柱状構造物、1000…光学ユニット、1100…光源ユニット、1101…ランプユニット、1206…ダイクロイックプリズム、2000…投射型表示装置、2006…投射レンズユニット、2010…制御部、2013…制御基板、2015A、2015B…吸気ファン、2016…排気ファン、2100…冷却装置、2500…透過率測定装置、2510…第1光センサ、2520…第2光センサ、2530…算出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26