(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/865 20180101AFI20231219BHJP
B60N 2/829 20180101ALI20231219BHJP
A47C 7/38 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60N2/865
B60N2/829
A47C7/38
(21)【出願番号】P 2020074201
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】服部 将士
(72)【発明者】
【氏名】久米 将
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-028246(JP,U)
【文献】特開2006-158572(JP,A)
【文献】登録実用新案第3215350(JP,U)
【文献】特開平11-278130(JP,A)
【文献】特開2002-315795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
B60N 3/00
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックと、
前記シートバックに対し、シート前後方向又は上下方向に移動可能なヘッドレストと、
前記ヘッドレストに取り付けられると共に、膨張及び収縮によって前記ヘッドレストの少なくとも一部を変形させるように構成された空気袋と、
前記空気袋に空気を出し入れするように構成されたバルブと、
前記空気袋と前記バルブとに接続されたチューブと、
前記シートバックの内部において前記チューブの少なくともシート前方への移動を規制する規制部と、
を備え
、
前記規制部は、前記シートバックの内部において前記チューブが架けられた支持部を有し、
前記支持部は、
前記チューブが周囲を少なくとも一周するように架け渡された柱状又は筒状の主部と、
前記主部から径方向に突出すると共に、前記主部に架けられた前記チューブの移動を規制する羽と、
を有する、乗物用シート。
【請求項2】
請求項
1に記載の乗物用シートであって、
前記規制部は、前記チューブを下方に付勢する弾性体を有する、乗物用シート。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の乗物用シートであって、
前記規制部は、前記チューブのシート前方への移動を規制する前壁を有する、乗物用シート。
【請求項4】
請求項
3に記載の乗物用シートであって、
前記規制部は、前記チューブのシート後方への移動を規制するカバーを有する、乗物用シート。
【請求項5】
請求項
3又は請求項
4に記載の乗物用シートであって、
前記規制部は、前記チューブのシート幅方向への移動を規制する2つの側壁を有する、乗物用シート。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の乗物用シートであって、
前記チューブは、
前記ヘッドレストの移動に合わせて前記シートバックの内部で移動するように構成された移動部と、
前記規制部に固定された固定部と、
を有し、
前記固定部は、前記チューブの長手方向において、前記移動部よりも前記バルブの近くに位置する、乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
空気の出し入れによって膨張及び収縮する空気袋が設けられた乗物用シートが公知である(特許文献1参照)。空気袋には、バルブによって空気が供給及び送出される。空気袋とバルブとは、チューブによって接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気袋がヘッドレストに設けられた乗物用シートでは、ヘッドレストの移動によって空気袋とシートバックに配置されたバルブとの相対位置が変化する。そのため、シートバック内でチューブが上下方向に移動可能なように、チューブに余長(つまり撓み)を持たせる必要がある。
【0005】
しかし、チューブに余長を持たせると、ヘッドレストの移動に伴うチューブの移動時に、チューブがシートバック内の他の部材に引っかかるおそれがある。その結果、チューブが屈曲して空気の流れに支障が出るおそれがある。
【0006】
本開示の一局面は、ヘッドレストと共に移動する空気袋に接続されたチューブの屈曲を抑制できる乗物用シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、シートバック(3)と、シートバック(3)に対し、シート前後方向又は上下方向に移動可能なヘッドレスト(4)と、ヘッドレスト(4)に取り付けられると共に、膨張及び収縮によってヘッドレスト(4)の少なくとも一部を変形させるように構成された空気袋(11)と、空気袋(11)に空気を出し入れするように構成されたバルブ(12)と、空気袋(11)とバルブ(12)とに接続されたチューブ(13)と、シートバック(3)の内部においてチューブ(13)の少なくともシート前方への移動を規制する規制部(21)と、を備える乗物用シート(1)である。
【0008】
このような構成によれば、ヘッドレスト(4)の移動時に、空気袋(11)に接続されたチューブ(13)のシート前方への移動が規制部(21)によって規制される。そのため、シートバック(3)の内部におけるチューブ(13)の屈曲が抑制される。
【0009】
本開示の一態様では、規制部(21)は、シートバック(3)の内部においてチューブ(13)が架けられた支持部(24)を有してもよい。このような構成によれば、支持部(24)によってシートバック(3)の内部におけるチューブ(13)の垂れ下がり量が低減できるので、チューブ(13)の余長を大きくできる。そのため、ヘッドレスト(4)の移動範囲を大きくすることができる。
【0010】
本開示の一態様では、規制部(21)は、チューブ(13)を下方に付勢する弾性体(25)を有してもよい。このような構成によれば、弾性体(25)によってチューブ(13)のばたつきが抑制できるので、チューブ(13)の余長を大きくできる。そのため、ヘッドレスト(4)の移動範囲を大きくすることができる。
【0011】
本開示の一態様では、規制部(21)は、チューブ(13)のシート前方への移動を規制する前壁(22A)を有してもよい。このような構成によれば、チューブ(13)のシート前方への移動を的確に抑制できる。
【0012】
本開示の一態様では、規制部(21)は、チューブ(13)のシート後方への移動を規制するカバー(23)を有してもよい。このような構成によれば、規制部(21)によってチューブ(13)のシート前後方向への移動が規制される。そのため、シートバック(3)の内部におけるチューブ(13)の屈曲がより的確に抑制される。
【0013】
本開示の一態様では、規制部(21)は、チューブ(13)のシート幅方向への移動を規制する2つの側壁(22B,22C)を有してもよい。このような構成によれば、規制部(21)によってチューブ(13)のシート前方及びシート幅方向への移動が規制される。そのため、シートバック(3)の内部におけるチューブ(13)の屈曲がより的確に抑制される。
【0014】
本開示の一態様では、チューブ(13)は、ヘッドレスト(4)の移動に合わせてシートバック(3)の内部で移動するように構成された移動部(13A)と、規制部(21)に固定された固定部(13B)と、を有してもよい。固定部(13B)は、チューブ(13)の長手方向において、移動部(13A)よりもバルブ(12)の近くに位置してもよい。このような構成によれば、チューブ(13)のうち規制部(21)による規制を受けない部分(つまり、固定部(13B)よりもバルブ(12)に近い部分)の移動が抑制される。そのため、チューブ(13)の余長を確保しつつ、シートバック(3)の内部におけるチューブ(13)の屈曲をより的確に抑制できる。
【0015】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態における乗物用シートの模式的な正面図である。
【
図2】
図2Aは、
図1の乗物用シートにおけるヘッドレストの模式的な断面図であり、
図2Bは、
図2Aとは異なる位置に移動したヘッドレストの模式的な断面図である。
【
図3】
図3Aは、
図2のヘッドレストにおける可動機構の一部を示す模式的な斜視図であり、
図3Bは、
図3Aとは異なる視点における可動機構の一部を示す模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の乗物用シートにおける規制部及びチューブの模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4においてカバーを外した規制部及びチューブの模式的な斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5の規制部と、
図5とは異なる位置に移動したチューブとの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す乗物用シート1は、シートクッション2と、シートバック3と、ヘッドレスト4と、バックフレーム6と、空気袋11と、バルブ12と、チューブ13と、規制部21とを備える。
【0018】
シートクッション2は、着席者の臀部を支持する。シートバック3は、着席者の背部を支持する。ヘッドレスト4は、着席者の頭部を支持する。バックフレーム6は、シートバック3を支持する。
【0019】
本実施形態の乗物用シート1は、乗用車の座席シートとして使用される。なお、以下の説明及び各図面における方向は、乗物用シート1を乗物(つまり乗用車)に組み付けた状態における方向を意味する。また、本実施形態では、シート幅方向は、乗物の左右方向に一致し、シート前方は、乗物の前方に一致する。
【0020】
<ヘッドレスト>
ヘッドレスト4は、シートバック3に対し、シート前後方向及び上下方向に移動可能である。
【0021】
具体的には、ヘッドレスト4は、
図2Aに実線で示す下降位置と、
図2Aに破線で示す上昇位置との間で上下方向に移動する。また、ヘッドレスト4は、
図2Aに実線で示す後方位置と、
図2Bに示す前方位置との間でシート前後方向に移動可能である。ヘッドレスト4は、シート前後方向の移動と、上下方向との移動を同時に行うことができる。
【0022】
ヘッドレスト4は、ヘッドレスト本体41と、ネックレスト42と、可動機構43とを有する。
【0023】
ヘッドレスト本体41は、着席者の頭部に当接する部位である。
ネックレスト42は、着席者の首に当接する部位である。ネックレスト42は、ヘッドレスト本体41に下方から連結されており、ヘッドレスト本体41と共に、シート前後方向及び上下方向に移動する。
【0024】
ネックレスト42は、後述する空気袋11の膨張及び収縮によって
図2Bに実線で示す収納位置と、
図2Bに点線で示す展開位置との間で変位する。具体的には、ネックレスト42は、空気袋11の膨張によってシート前方に変位し、空気袋11の収縮によってシート後方に変位する。
【0025】
ネックレスト42は、空気袋11に直接当接することで変位するように構成されてもよいし、空気袋11の膨張及び収縮によって変動するカム等の運動変換機構を介して変位するように構成されてもよい。
【0026】
可動機構43は、ヘッドレスト本体41及びネックレスト42を移動させる。可動機構43は、駆動部43Aと、第1シャフト43Bと、連結部43Cと、空気袋ブラケット43Dと、2つの第2シャフト43E(
図1参照)とを有する。
【0027】
駆動部43Aは、内部にアクチュエータ(図示省略)を収納している。
図3A及び
図3Bに示すように、駆動部43Aは、2つの軸受け431と、第1ニップル432と、第2ニップル433とを有する。
【0028】
軸受け431には、上下方向に延伸する第2シャフト43Eが挿通される。駆動部43Aは、アクチュエータの駆動力によって第2シャフト43Eに対して上下方向に移動することで、ヘッドレスト本体41及びネックレスト42を上下方向に移動させる。
【0029】
第1ニップル432及び第2ニップル433には、後述するチューブ13が挿入されている。チューブ13は、第1ニップル432及び第2ニップル433を通過して空気袋11に接続されている。
【0030】
チューブ13が第1ニップル432及び第2ニップル433によって保持されることで、チューブ13の空気袋11との接続端部13Cは、可動機構43と共に、シート前後方向及び上下方向に移動する。
【0031】
図2A及び
図2Bに示す第1シャフト43Bは、シート前後方向に延伸し、連結部43Cを貫通している。連結部43Cは、駆動部43Aのアクチュエータの駆動力によって第1シャフト43Bに沿ってシート前後方向に移動する。連結部43Cは、ヘッドレスト本体41の後部に固定されている。
【0032】
図3A及び
図3Bに示すように、空気袋ブラケット43Dは、前面が開放された箱状の部材である。空気袋11は、空気袋ブラケット43Dの内部に固定されている。空気袋ブラケット43Dは、連結部43Cから下方に突出している。
【0033】
<バックフレーム>
図1に示すバックフレーム6は、後部パネル6Aと、支持フレーム6Bとを有する。後部パネル6Aは、ヘッドレスト4、バルブ12、チューブ13及び規制部21をシート後方から覆っている。支持フレーム6Bは、ヘッドレスト4、バルブ12及び規制部21をシートバック3の内部で支持している。
【0034】
<空気袋>
空気袋11は、膨張及び収縮によってヘッドレスト4の少なくとも一部を変形させるように構成されている。具体的には、上述したように、空気袋11は、膨張によってネックレスト42をシート前方に変位させ、収縮によってネックレスト42をシート後方に変位させる。
【0035】
図3Aに示すように、空気袋11は、シート前方に膨張可能なように空気袋ブラケット43Dに固定されている。
図3Bに示すように、空気袋11の空気出入口11Aは、空気袋ブラケット43Dの後方に突出し、チューブ13と接続されている。
【0036】
空気袋11は、ヘッドレスト4と共にシート前後方向及び上下方向に移動する。そのため、ヘッドレスト4の移動によって、空気袋11と後述するバルブ12との距離(つまり空気流路の長さ)が変化する。
【0037】
<バルブ>
図1に示すバルブ12は、空気袋11に空気を出し入れするように構成されている。バルブ12は、図示しないポンプに接続されている。バルブ12は、ヘッドレスト4よりも下方の位置において、バックフレーム6に取り付けられている。
【0038】
<チューブ>
チューブ13は、空気袋11とバルブ12とに接続されている。チューブ13は、シートバック3内に配策されている。
【0039】
チューブ13は、バルブ12から空気袋11に空気を供給すると共に、空気袋11内の空気をバルブ12に送出する。チューブ13は、可撓性を有し、空気袋11の移動に伴って余長が変化する。
【0040】
図4及び
図5に示すように、チューブ13は、後述する規制部21に配策されている。チューブ13は、ヘッドレスト4の移動に合わせてシートバック3の内部で移動するように構成された移動部13Aと、規制部21に固定された固定部13Bとを有する。
【0041】
移動部13Aは、自由に撓むことができ、チューブ13の余長を吸収する部位である。 移動部13Aは、チューブ13のうち固定部13Bよりも空気袋11に近い部位から第1ニップル432までの部位を含む。
【0042】
移動部13Aは、ヘッドレスト4がシート前方又は上方に移動する際にチューブ13の撓みが小さくなるように移動し、ヘッドレスト4がシート後方又は下方に移動する際にチューブ13の撓みが大きくなるように移動する。
【0043】
固定部13Bは、チューブ13の長手方向(つまり空気の流動方向)において、移動部13Aよりもバルブ12の近くに位置している。チューブ13のうち固定部13Bからバルブ12までの部位は、ヘッドレスト4が移動しても移動しない(つまり撓まない)。
【0044】
<規制部>
規制部21は、シートバック3の内部においてチューブ13の少なくともシート前方への移動を規制する。規制部21は、ボックス22と、カバー23と、支持部24と、弾性体25とを有する。
【0045】
(ボックス)
ボックス22は、前壁22Aと、第1側壁22Bと、第2側壁22Cと、ガイド部22Dと、固定ブラケット22Eとを有する。
【0046】
前壁22Aは、シート前後方向においてチューブ13とバックフレーム6の支持フレーム6Bとの間に配置されている。前壁22Aは、シートバック3の内部においてチューブ13の移動部13Aのシート前方への移動を規制する。
【0047】
第1側壁22Bは、前壁22Aの右端からシート後方に延伸している。第1側壁22Bは、シートバック3の内部においてチューブ13の移動部13Aのシート幅方向外側(つまり右側)への移動を規制する。
【0048】
第2側壁22Cは、前壁22Aの左端からシート後方に延伸している。第2側壁22Cは、シートバック3の内部においてチューブ13の移動部13Aのシート幅方向外側(つまり左側)への移動を規制する。第2側壁22Cは、第1側壁22Bと共に、チューブ13の移動部13Aをシート幅方向に挟んでいる。
【0049】
ガイド部22Dは、前壁22Aの上端からシート前方に延伸している。ガイド部22Dは、チューブ13を空気袋11に向けてガイドしている。チューブ13は、ヘッドレスト4の移動時にガイド部22Dと摺動する。
【0050】
固定ブラケット22Eは、第1側壁22Bからシート幅方向外側(つまり右側)に突出している。固定ブラケット22Eは、チューブ13の固定部13Bをバックフレーム6に対して固定している。
【0051】
(カバー)
カバー23は、ボックス22の前壁22Aと、第1側壁22Bと、第2側壁22Cとをシート後方から覆うように配置されている。カバー23は、シートバック3の内部においてチューブ13の移動部13Aのシート後方への移動を規制する。
【0052】
カバー23は、シート前後方向においてチューブ13とバックフレーム6の後部パネル6Aとの間に配置されている。カバー23は、前壁22Aと共に、チューブ13の移動部13Aをシート前後方向に挟んでいる。
【0053】
(支持部)
支持部24は、シートバック3の内部においてチューブ13が上方から架けられた部位である。支持部24は、前壁22Aからシート後方に突出している。支持部24は、カバー23よりも上方に配置されている。支持部24は、主部24Aと、第1羽24Bと、第2羽24Cとを有する。
【0054】
主部24Aは、シート前後方向に延伸する円柱又は円筒状の部材である。チューブ13は、主部24Aの周面の一部を上方から覆うように主部24Aに架けられている。チューブ13は、主部24Aの周囲を少なくとも一周するように架け渡されている。
【0055】
具体的には、チューブ13は、主部24Aの下方の位置で交差することで輪を形成している。チューブ13は、ヘッドレスト4が移動した際に、主部24Aの周面上を滑って移動する。チューブ13が引っ張られると、チューブ13が形成する輪の径は小さくなり、チューブ13が撓むと、チューブ13が形成する輪の径は大きくなる。
【0056】
第1羽24B及び第2羽24Cは、それぞれ、主部24Aから主部24Aの径方向に突出している。第1羽24B及び第2羽24Cは、ボックス22の前壁22Aよりもシート後方に位置する。主部24Aに架けられたチューブ13は、第1羽24B及び第2羽24Cによって、シート後方への移動が規制される。
【0057】
(弾性体)
弾性体25は、チューブ13の移動部13Aを下方に付勢している。本実施形態では、弾性体25は、上下方向に伸縮するコイルバネである。
【0058】
弾性体25の上端25Aはリング状になっており、チューブ13が挿通されている。弾性体25の下端25Bは、ボックス22に取り付けられている。
図5に示す状態から、ヘッドレスト4の移動によって
図6に示すようにチューブ13が引き上げられる(つまり撓みが小さくなる)と、弾性体25は引張し、チューブ13への付勢力が大きくなる。その結果、チューブ13のシート幅方向の移動量が抑えられる。
【0059】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)ヘッドレスト4の移動時に、空気袋11に接続されたチューブ13のシート前方への移動が規制部21によって規制される。そのため、シートバック3の内部におけるチューブ13の屈曲が抑制される。
【0060】
(1b)規制部21の支持部24によってシートバック3の内部におけるチューブ13の垂れ下がり量が低減できるので、チューブ13の余長を大きくできる。そのため、ヘッドレスト4の移動範囲を大きくすることができる。
【0061】
(1c)規制部21の弾性体25によってチューブ13のばたつきが抑制できるので、チューブ13の余長を大きくできる。そのため、ヘッドレスト4の移動範囲を大きくすることができる。
【0062】
(1d)規制部21のボックス22及びカバー23によってチューブ13のシート前後方向及びシート幅方向への移動が規制される。そのため、シートバック3の内部におけるチューブ13の屈曲がより的確に抑制される。
【0063】
(1e)チューブ13のうち規制部21による規制を受けない部分(つまり、固定部13Bよりもバルブ12に近い部分)の移動が抑制される。そのため、チューブ13の余長を確保しつつ、シートバック3の内部におけるチューブ13の屈曲をより的確に抑制できる。
【0064】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0065】
(2a)上記実施形態の乗物用シート1において、規制部21は、必ずしもチューブ13のシート後方及びシート幅方向への移動を規制する部位を有しなくてもよい。例えば、規制部21は、カバー23を有しなくてもよい。また、規制部21は、必ずしも支持部24及び弾性体25を有しなくてもよい。
【0066】
(2b)上記実施形態の乗物用シート1において、チューブ13は、必ずしも規制部21に固定されなくてもよい。つまり、規制部21は、必ずしも固定ブラケット22Eを有しなくてもよい。
【0067】
(2c)上記実施形態の乗物用シート1において、ヘッドレスト4は、シートバック3に対し、シート前後方向のみに移動可能であってもよいし、上下方向のみに移動可能であってもよい。
【0068】
(2d)上記実施形態の乗物用シート1は、乗用車以外の自動車に用いられるシートや、自動車以外の例えば鉄道車両、船舶、航空機等の乗物に用いられるシートにも適用することができる。
【0069】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0070】
1…乗物用シート、2…シートクッション、3…シートバック、4…ヘッドレスト、
6…バックフレーム、6A…後部パネル、6B…支持フレーム、11…空気袋、
11A…空気出入口、12…バルブ、13…チューブ、13A…移動部、
13B…固定部、13C…接続端部、21…規制部、22…ボックス、22A…前壁、
22B…第1側壁、22C…第2側壁、22D…ガイド部、22E…固定ブラケット、
23…カバー、24…支持部、24A…主部、24B…第1羽、24C…第2羽、
25…弾性体、25A…上端、25B…下端、41…ヘッドレスト本体、
42…ネックレスト、43…可動機構、43A…駆動部、43B…第1シャフト、
43C…連結部、43D…空気袋ブラケット、43E…第2シャフト、
431…軸受け、432…第1ニップル、433…第2ニップル。