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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20231219BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41J29/13
H05K5/03 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020076569
(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公開番号】P2021171980
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 久幸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真太郎
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034601(JP,A)
【文献】特開2009-290515(JP,A)
【文献】特開2017-149096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
B41J 2/01 - 2/215
H05K 5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に記録を行う記録機構部を備える筐体と、
前記筐体の第1側面に沿う回動軸によって、前記筐体の上面を開放する開状態と前記筐体の上面を閉塞する閉状態とに回動する記録機構部カバーと、を備え、
前記記録機構部カバーは、前記閉状態において前記筐体の内側に入り込み、
前記閉状態において前記筐体の第1側面と交差する前記記録機構部カバーの第2側面及び第3側面には、前記筐体の第1側面と交差する前記筐体の第2側面又は第3側面を支持するリブが設けられること、
を特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録機構部カバーは、原稿を載置する原稿台を備えた本体部と前記原稿台を開閉する原稿台カバーとを有するスキャナー部であって、前記原稿を読み取る前記スキャナー部を備え、
前記リブは、前記本体部の第2側面及び第3側面に設けられ、
前記本体部の厚さ方向における前記リブの高さは、前記本体部の高さと重なること、
を特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記筐体の第1側面と交差する前記筐体の第2側面及び第3側面に切欠き部を備え、
前記本体部は、前記切欠き部から露出する突出部であって、前記本体部の第2側面及び第3側面から突出する前記突出部を備え、
前記本体部の第2側面及び第3側面から突出する前記リブの突出寸法は、前記突出部の突出寸法より小さいこと、
を特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記本体部は、前記突出部の下側において凹状に窪む凹部を備えること、
を特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記リブは、前記回動軸と前記突出部との間に設けられること、
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記突出部は、さらに、前記リブの間に設けられること、
を特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
被記録媒体に記録を行う記録機構部を備える筐体と、
前記筐体の第1側面に沿う回動軸によって、前記筐体の上面を開放する開状態と前記筐体の上面を閉塞する閉状態とに回動する記録機構部カバーと、を備え、
前記記録機構部カバーは、前記閉状態において前記筐体の内側に入り込み、
前記閉状態において前記筐体の第1側面と交差する前記記録機構部カバーの第2側面及び第3側面、及び前記筐体の第1側面と交差する前記筐体の第2側面及び第3側面の少なくとも一方には、前記筐体または前記記録機構部カバーの第2側面又は第3側面を支持するリブが設けられ、
前記筐体は、前記筐体の第1側面と交差する前記筐体の第2側面及び第3側面に切欠き部を備え、
前記記録機構部カバーは、前記切欠き部から露出する突出部であって、前記記録機構部カバーの第2側面及び第3側面から突出する前記突出部と、前記突出部の下側において凹状に窪む凹部とを備えること、
を特徴とする記録装置。
【請求項8】
前記記録機構部カバーは、原稿を載置する原稿台を備えた本体部と前記原稿台を開閉する原稿台カバーとを有するスキャナー部であって、前記原稿を読み取る前記スキャナー部を備え、
前記リブは、前記本体部の第2側面及び第3側面、並びに、前記筐体の第2側面及び第3側面の少なくとも一方に設けられ、
前記閉状態において、前記本体部の厚さ方向における前記リブの高さは、前記本体部の高さと重なること、
を特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記閉状態において、前記リブは、前記筐体の第2側面及び第3側面に覆われること、
を特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記筐体の第2側面及び第3側面は、それぞれ一体形成で構成され、
前記閉状態において、前記筐体の第2側面及び第3側面は、それぞれ複数の前記リブにより支持されること、
を特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記記録機構部カバーが前記開状態から前記閉状態に変位する際に、前記回動軸に近い前記リブから順に、前記筐体の第2側面及び第3側面を支持すること、
を特徴とする請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記筐体の第2側面を支持する前記リブと、前記筐体の第3側面を支持する前記リブとは、前記筐体の第1側面と直交する仮想線に関して対称に配置されていること、
を特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項13】
前記記録機構部カバーの第2側面及び第3側面は、前記記録機構部カバーの第2側面及び第3側面と交差する、第1側面及び第4側面の少なくとも一方と接続されること、
を特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項14】
前記筐体の第2側面及び第3側面は、前記筐体の第2側面及び第3側面と交差する、前記筐体の第1側面及び第4側面の少なくとも一方に向かって湾曲する曲面を有し、前記筐体の第1側面及び第4側面と接続されること、
を特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項15】
前記リブは、前記筐体の第1側面からの側面視にて、前記筐体の第2側面及び第3側面と平行な平坦面と、前記平坦面の上端部または下端部と連続する傾斜面であって、前記平坦面から離間するほど前記リブにより支持される面との距離が漸増する傾斜面とを有すること、
を特徴とする請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項16】
前記記録機構部カバーは、前記記録機構部カバーに対して回動可能に接続される操作部と、前記筐体と係合可能な係合部とを有し、
前記筐体は、前記閉状態において、前記係合部に係合される被係合部を有し、
前記係合部及び前記被係合部のいずれか一方は凸形状であり、他方は凹形状であり、
前記係合部及び前記被係合部のいずれか一方を他方に付勢する付勢部材を備えること、
を特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項17】
前記凸形状は、前記閉状態において前記記録装置の設置面に平行な方向に突出する頂点と、
前記頂点に向かって傾斜する上側傾斜面と、前記頂点に向かって傾斜する下側傾斜面と、を有し、
前記平行な方向と前記上側傾斜面とで成す上面内角は、前記平行な方向と前記下側傾斜面とで成す下面内角より鋭角であること、
を特徴とする請求項16に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像などを読み取るスキャナーを備えた記録装置が知られている。特許文献1には、被記録媒体に記録を行う記録機構部と、原稿を読み取る読み取り機構部とを備え、読み取り機構部の本体部が記録機構部の筐体上部の内側に入り込む構成の記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-149096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の記録装置は、読み取り機構部が記録機構部の筐体に対して回動可能に開閉し、記録機構部の筐体上部の内面に入り込む構成のため、筐体側面の上部を支持する部材を設けることが困難であり、筐体側面が内側に変形する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記録装置は、被記録媒体に記録を行う記録機構部を備える筐体と、前記筐体の第1側面に沿う回動軸によって、前記筐体の上面を開放する開状態と前記筐体の上面を閉塞する閉状態とに回動する記録機構部カバーと、を備え、前記記録機構部カバーは、前記閉状態において前記筐体の内側に入り込み、前記閉状態において前記筐体の第1側面と交差する前記記録機構部カバーの第2側面及び第3側面には、前記筐体の第1側面と交差する前記筐体の第2側面又は第3側面を支持するリブが設けられる。
【0006】
記録装置は、被記録媒体に記録を行う記録機構部を備える筐体と、前記筐体の第1側面に沿う回動軸によって、前記筐体の上面を開放する開状態と前記筐体の上面を閉塞する閉状態とに回動する記録機構部カバーと、を備え、前記記録機構部カバーは、前記閉状態において前記筐体の内側に入り込み、前記閉状態において前記筐体の第1側面と交差する前記記録機構部カバーの第2側面及び第3側面、及び前記筐体の第1側面と交差する前記筐体の第2側面及び第3側面の少なくとも一方には、前記筐体または前記記録機構部カバーの第2側面又は第3側面を支持するリブが設けられ、前記筐体は、前記筐体の第1側面と交差する前記筐体の第2側面及び第3側面に切欠き部を備え、前記記録機構部カバーは、前記切欠き部から露出する突出部であって、前記記録機構部カバーの第2側面及び第3側面から突出する前記突出部と、前記突出部の下側において凹状に窪む凹部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る記録装置の構成を示す斜視図。
図2】記録機構部カバーが開状態の記録装置を示す斜視図。
図3】原稿台カバーが開状態の記録装置を示す斜視図。
図4】本体部の構成を示す斜視図。
図5】給送トレイ及び排出トレイを引き出した状態の記録装置を示す斜視図。
図6】記録装置の内部構成を示す断面図。
図7】記録機構部カバーの構成を示す側面図。
図8図1におけるA-A線で切断したリブの断面図。
図9】閉状態における本体部の要部を模式的に示す拡大平面図。
図10】係合部の構成を示す斜視図。
図11】被係合部の構成を示す斜視図。
図12】係合部が被係合部と係合した状態を示す断面図。
図13】記録機構部カバーの構成を示す断面図。
図14】実施形態2に係わる記録装置の記録機構部カバーの構成を示す側面図。
図15】実施形態3に係わる記録装置の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態1
実施形態1に係る記録装置10の概略構成について説明する。記録装置10は、例えば、原稿などを読み取るスキャナーを備えたインクジェット式のプリンターである。図面に付記する座標においては、記録装置10が水平な設置面に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。Y軸は、記録装置10の前後方向と平行な軸であり、Y軸を示す矢印の先端側を「前」とする。X軸は、記録装置10の左右方向と平行な軸であり、X軸を示す矢印の先端側を「左」とする。Z軸は記録装置10の上下方向と平行な軸であり、Z軸を示す矢印の先端側を「上」とする。また、各軸を示した矢印の先端側を「プラス側」、基端側を「マイナス側」とする。
【0009】
1-1.記録装置の構成
図1及び図2に示すように、記録装置10は、直方体状をなす筐体20を有する。筐体20は、第1側面20a、第1側面20aと交差する第2側面20b及び第3側面20c、第1側面と対向する第4側面20dを備える。本実施形態の第1側面20aは筐体20の背面であり、第2側面20bは筐体20の左側面であり、第3側面20cは筐体20の右側面であり、第4側面20dは筐体20の前面である。筐体20の第2側面20b及び第3側面20cは、筐体20の第1側面20a及び第4側面20dの少なくとも一方に向かって湾曲する曲面22を有する。本実施形態の第2側面20bは、第1側面20aと第4側面20dとに向かって湾曲する曲面22を有し、第1側面20a及び第4側面20dと接続されている。第3側面20cは、第1側面20aに向かって湾曲する曲面22を有し、第1側面20a及び第4側面20dと接続されている。このように、曲面22を有する第2側面20b及び第3側面20cは、それぞれ一体形成で構成される。
【0010】
筐体20の上面は、開閉可能に記録機構部カバー30で覆われる。筐体20の第1側面20aに沿うZ方向のプラス側である上端部には、筐体20と記録機構部カバー30とを接続する回動軸31が設けられる。本実施形態の回動軸31は、図4に示すように、後述する記録機構部カバー30を構成する本体部40の第1側面40aに沿って設けられている。記録機構部カバー30は、回動軸31によって、筐体20の上面を開放する開状態と、筐体20の上面を閉塞する閉状態とに回動する。記録機構部カバー30の一部は、閉状態において筐体20の内部に入り込むように構成されている。それにより、閉状態において、記録機構部カバー30の一部は、筐体20の第1から第4側面20a~20dの内側面21に囲われる。
【0011】
図3及び図4に示すように、本実施形態の記録機構部カバー30には、文字や画像などが記録された原稿を読み取るスキャナー部35が構成されている。スキャナー部35は、原稿を載置する原稿台41を備えた本体部40と、原稿台41を開閉可能に覆う原稿台カバー36とを有する。すなわち、記録機構部カバー30が閉状態において、本体部40の一部が筐体20の第1から第4側面20a~20dの内側面21に囲われる。本体部40は、上部ケース42と下部ケース43とを有する。本体部40は、筐体20の第1側面20aと平行な第1側面40a、第1側面40aと交差する第2側面40b及び第3側面40c、第1側面40aと対向する第4側面40dを備える。本実施形態の第1側面40aは記録機構部カバー30の背面であり、第2側面40bは記録機構部カバー30の左側面であり、第3側面40cは記録機構部カバー30の右側面であり、第4側面40dは記録機構部カバー30の前面である。
【0012】
記録機構部カバー30を構成する本体部40の第2側面40b及び第3側面40cは、記録機構部カバー30の第2側面40b及び第3側面40cと交差する第1側面40a及び第4側面40dの少なくとも一方と接続される。本実施形態の第2側面40bは、第4側面40dと接続され、第3側面40cは、第4側面40dと接続されている。記録機構部カバー30は、第2側面40bが第1側面40aと接続された構成や、第2側面40bが第1側面40a及び第4側面40dと接続された構成や、第3側面40cが第1側面40aと接続された構成や、第3側面40cが第1側面40a及び第4側面40dと接続された構成であってもよい。
【0013】
原稿台41は、例えば、透明なガラス板で形成され、その周囲を上部ケース42に囲われる。上部ケース42と下部ケース43との間には、原稿台41に載置された原稿の文字や画像などを電気信号に変換する撮像モジュールが設けられる。撮像モジュールは、媒体の幅方向に長い密着光学方式のライン型のイメージセンサー、光源及びレンズなどを有する。
【0014】
本体部40の第1側面40aには、本体部40と原稿台カバー36とを接続する回動軸37が設けられる。原稿台カバー36は、回動軸37によって、原稿台41の上面を開放する開状態と、原稿台41の上面を閉塞する閉状態とに回動する。本実施形態の原稿台カバー36は、閉状態において、記録装置10の上面を構成する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の記録装置10は、X方向からの側面視にて、原稿台カバー36と第2側面20cとにより、1本のつなぎ目が視認されるように構成されている。すなわち、後述する突出部44および凹部45を除き、X方向における原稿台41の側面のうち、Z方向におけるマイナス側の部分を、筐体20の第2側面40b及び第3側面40cに覆われ、Z方向におけるプラス側の部分を、原稿台カバー36に覆われる。そのため、筐体20に対して記録機構部カバー30を開状態にした際も、原稿台41に対して原稿台カバー36を開状態にした際も、記録機構部カバー30および原稿台カバー36が、このつなぎ目を広げるようにして、筐体20または原稿台41から離間する。なお、原稿台41が筐体20の第2側面40bおよび原稿台カバー36と同一面を構成するようにして、筐体20と記録機構部カバー30との間のつなぎ目と、原稿台41と原稿台カバー36との間のつなぎ目とを別々のものとしてもよい。
【0016】
図1から図3に示すように、記録機構部カバー30は、原稿台41に対して回動可能に接続される操作部24を備える。操作部24は、表示機能と入力機能とを備える液晶パネルであり、本体部40の第4側面40dにおける右側に回動可能に設けられる。すなわち、操作部24は、筐体20に対して本体部40と共に回動可能であり、本体部40に対して回動可能に構成されている。操作部24は、記録機構部カバー30が閉状態において、筐体20の第4側面20dと同一面を形成可能であり、記録機構部カバー30を閉状態に保ったまま、操作部24の下端部を上方にチルトさせることができる。これにより、記録装置10の美観が向上すると共に操作部24の視認性及び操作性が向上する。
【0017】
筐体20の内部には、記録ヘッド71に供給される液体を収容する液体収容容器16が備えられる。筐体20の第4側面20dにおける操作部24の下側には、液体収容容器16に収容される液体の量を視認する視認窓25が設けられている。
【0018】
図6に示すように、記録装置10は、筐体20の内部に、被記録媒体に記録を行う記録機構部70を備える。なお、以下の説明では、被記録媒体を単に媒体と記す。記録機構部70は、媒体を搬送経路に沿って搬送させる各種ローラーや、媒体に液体を吐出する記録ヘッド71などを有する。
【0019】
図1に示すように、記録装置10は、筐体20の第4側面20dの下側にフロントカバー11を備える。また、記録装置10は、筐体20の第1側面20aに沿う上面にリアカバー12を備える。
【0020】
図5及び図6に示すように、記録装置10は、フロントカバー11及びリアカバー12を開いて給送トレイ13及び排出トレイ14を引き出すことで、給送トレイ13にセットした媒体に対して記録を行うことが可能な構成になっている。フロントカバー11は媒体を載置するカセット15と繋がっており、フロントカバー11を開いてカセット15を引き出すことで、カセット15に媒体をセットすることが可能な構成になっている。すなわち、記録装置10は、給送トレイ13にセットした媒体に対して記録を行うことが可能な構成になっているとともに、カセット15にセットした媒体に対して記録を行うことが可能な構成になっている。
【0021】
記録装置10は、給送トレイ13にセットした媒体に対して記録を行う際、給送ローラー81を回転方向C1に1回転させて媒体を搬送ローラー83に送り出し、その後、搬送ローラー83を回転方向C2に回転させることで媒体を記録ヘッド71と対向する対向位置P1に搬送し、搬送ローラー83を回転方向C2に回転させるとともにローラー84及び排出ローラー85を回転させて記録後の媒体を排出トレイ14に排出する。給送ローラー81による媒体の搬送経路は搬送経路R1を構成し、搬送ローラー83などによる媒体の搬送経路は搬送経路R4を構成する。なお、搬送経路R1における給送ローラー81と対向する位置には分離ローラー82が設けられており、給送トレイ13に複数の媒体がセットされた場合に媒体が重送されることを抑制している。
【0022】
ここで、搬送経路R1における給送ローラー81と搬送ローラー83との間には、回転方向C1に回転可能な補助ローラー86と、該補助ローラー86に対して対向する位置の設けられた従動ローラー87と、からなるローラー対88が設けられている。記録装置10は、搬送経路R1において、ローラー対88の挟持位置に媒体がある際、補助ローラー86を回転方向C1に回転させることで媒体の搬送を補助する。このため、記録装置10は、搬送経路R1における媒体の搬送不良を抑制できる。
【0023】
記録装置10は、カセット15にセットした媒体に対して記録を行う際、ピックユニット回動軸91を回動させてピックユニット90のピックアップローラー92を回転方向C2に回転させて、媒体を給送経路としての搬送経路R2を搬送させることで、搬送ローラー83に送り出す。そして、記録装置10は、搬送ローラー83を回転方向C2に回転させることで媒体を記録ヘッド71と対向する対向位置P1に搬送し、搬送ローラー83を回転方向C2に回転させるとともにローラー84及び排出ローラー85を回転させて記録後の媒体を排出トレイ14に排出する。
【0024】
記録装置10は、媒体の一方側の面に記録した後、媒体を排出トレイ14に排出する前に該媒体を反転経路である搬送経路R3に搬送させることで反転させ、該媒体の他方側の面に記録することが可能である。なお、搬送経路R3は搬送経路R2と一部が重複しており、この重複した搬送経路には反転ローラー93と該反転ローラー93と対向する位置に設けられた複数の従動ローラー94が形成されている。
【0025】
記録ヘッド71は、X方向に沿って移動可能なキャリッジ72に設けられている。記録装置10は、X方向に沿ってキャリッジ72を往復移動させながら、搬送される媒体に記録ヘッド71から液体を吐出して画像を形成することが可能である。このような構成のキャリッジ72を備えていることにより、記録装置10は、所定の搬送量で媒体を搬送させることと、媒体を停止した状態でキャリッジ72をX方向に沿って移動させながら液体を吐出させることと、を繰り返し、媒体に所望の画像を形成する。
【0026】
なお、本実施形態では、記録機構部カバー30にスキャナー部35が備えられた記録装置10を例示したが、スキャナー部を備えない構成の記録装置であってもよい。また、スキャナー部に代えて、ステープル等のフィニッシャーを備える構成の記録装置であってもよい。
また、本実施形態では、記録装置10として、媒体の所定量の搬送とキャリッジ72の往復移動とを交互に繰り返して記録を行う所謂シリアルプリンターを例示したが、これに限定するものではない。記録装置は、X方向に沿ってライン状にノズルが形成されたラインヘッドを使用して、連続的に媒体を搬送しながら連続的に記録を行う所謂ラインプリンターであってもよい。
【0027】
1-2.リブ及び突出部の構成
図2に示すように、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cは、切欠き部23を備える。切欠き部23は、X方向からの側面視にて、Y方向に長い長方形をなし、第2側面20b及び第3側面20cの前方側の上端から下に向かって切り欠かれている。
図4に示すように、本体部40の第2側面40b及び第3側面40cは、突出部44を備える。突出部44は、X方向からの側面視にて、Y方向に長い長方形をなし、第2側面40bからX方向のプラス側に突出し、第3側面40cからX方向のマイナス側に突出している。突出部44は、記録機構部カバー30が閉状態において、筐体20の切欠き部23から露出する。換言すると、突出部44は、X方向からの側面視にて、切欠き部23と重なる位置に設けられている。
【0028】
本体部40の第2側面40b及び第3側面40cは、凹状に窪む凹部45を備える。凹部45は、突出部44のZ方向におけるマイナス側である下側に設けられる。本実施形態では、長方形に突出する突出部44の内側に、長方形に窪む凹部45が設けられている。換言すると、凹部45は、X方向からの側面視にて、突出部44と重なり、凹部45の上側に突出部44の一部が突出している。なお、本実施形態では、凹部45と突出部44とが重なる構成を例示したが、突出部44と凹部45とが上下方向に独立に設けられた構成であってもよい。切欠き部23、突出部44及び凹部45は、筐体20の第1側面20aと平行である仮想線CLであって、本体部40の第1側面40aと直交する仮想線CLに関して対称に配置されている。なお、突出部44、凹部45および切欠き部23をY方向の中央に配置し、Y方向における切欠き部23や突出部44の両側にリブ50を設け、Y方向におけるリブ50の間に切欠き部23や突出部44を設けてもよい。
【0029】
図2図7に示すように、記録機構部カバー30を構成する本体部40の第2側面40b及び第3側面40cには、記録機構部カバー30が閉状態において筐体20の第2側面20b又は第3側面20cを支持するリブ50が設けられる。詳しくは、記録機構部カバー30が閉状態において、本体部40の下側の一部が、筐体20の内側に入り込み、内側面21に囲まれる構成のため、第2側面20b及び第3側面20cの上部を支持する部材が筐体20内に設けられていない。このため、第2側面20b、第3側面20cの剛性は、第1側面20a及び第4側面20dの剛性よりも低く、記録機構部カバー30を開状態にした際に、第2、第3側面20b,20cの上部が筐体20の内側に変形することがある。そこで、本実施形態の記録装置10は、記録機構部カバー30を閉状態にした際に、内側に変形した第2、第3側面20b,20cに当接して支持することで、変形を矯正するリブ50を本体部40の第2側面40b及び第3側面40cに備えている。
【0030】
図8に示すように、本体部40は、上面が開放する箱形状の下部ケース43に対して、下面が開放する箱形状の上部ケース42が覆うように構成されている。本体部40をこのように構成することにより、高い強度を得ることができる。上部ケース42は、本体部40の上面と、本体部40の第1~第4側面40a,40b,40c,40dを形成している。すなわち、リブ50は、本体部40の第2側面40b及び第3側面40cにおける上部ケース42に設けられている。筐体20の第2側面20bを支持するリブ50と、筐体20の第3側面20cを支持するリブ50とは、筐体20の第1側面20aと直交する仮想線CLに関して対称に配置されている。したがって、以下では、本体部40の第2側面40bに設けられるリブ50について説明し、第3側面40cに設けられるリブ50の説明は省略する。
【0031】
図7及び図8に示すように、リブ50は、Y方向からの側断面視において、本体部40の第2側面40bから突出し、X方向からの側面視において、上下方向に長い長方形状をなす。リブ50は、本体部40の第2側面40bからの突出寸法RDが一定な平坦面51と、平坦面51の下端部からZ方向に沿うマイナス側に向かう傾斜面52とを有する。傾斜面52は、平坦面51の下端部と連続し、平坦面51から離間することになるZ方向に沿うマイナス側に向かうにしたがって、第2側面40bからの突出寸法RDが漸減する。換言すると、筐体20の第1側面20aの側面視にて、記録機構部カバー30が閉状態において、平坦面51は、筐体20の第2側面20bと平行な面である。傾斜面52は、Z方向に沿うマイナス側に向かうにしたがって、リブ50により支持される第2側面20b、すなわち筐体20の第2側面20bとの距離が漸増する面である。
【0032】
X方向からの側面視において、リブ50の本体部40の厚さ方向、すなわち原稿台41に直交するZ方向における高さRHは、本体部40の高さMHと重なる。また、X方向からの側面視にて、記録機構部カバー30が閉状態におけるリブ50は、筐体20の第2側面20bに覆われる。
【0033】
図9に示すように、本体部40の第2側面40bから突出するリブ50の突出寸法RDは、本体部40の第2側面40bから突出する突出部44の突出寸法ODより小さい。リブ50の突出寸法RDは、筐体20の第2側面20bの厚さに相当する寸法だけ突出寸法ODより小さいことが好ましい。これにより、記録機構部カバー30が閉状態において、第2側面20bと突出部44とで同一面を構成することができる。
【0034】
図2及び図7に示すように、リブ50は、回動軸31と突出部44との間に設けられる。本実施形態の記録装置10は、回動軸31から突出部44に向かって、第1リブ50a、第2リブ50b、第3リブ50cの3つのリブ50を備えている。すなわち、記録機構部カバー30が閉状態において、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cは、それぞれ複数のリブ50により支持される。第1~第3リブ50a,50b,50cは、回動軸31の軸芯を通り仮想線RLに平行な軸線ALよりもZ方向におけるマイナス側に位置している。
【0035】
仮想線RLは、閉状態における第1~第3リブ50a,50b,50cの下端を繋いだ線である。仮想線RLは、記録装置10の載置面に平行な直線や、記録機構部カバー30が閉状態において第2側面20bと記録機構部カバー30との境界(つなぎ目)に平行な直線、すなわちY軸に平行な直線でもある。このように構成させることにより、記録機構部カバー30が開状態から閉状態に変位する際に、回動軸31に近い第1リブ50aから第2リブ50b、第3リブ50cの順に、筐体20の第2側面20bを支持させることができる。この際、リブ50と第2側面20bとが摺動することにより、第2側面20bに擦り傷が付く恐れがある。本実施形態のリブ50は、記録機構部カバー30側に設けられており、擦り傷は第2側面20bの内側面21に付くので、リブ50と第2側面20bとの摺動による擦り傷が視認され難い。
【0036】
図2及び図10から図12に示すように、記録機構部カバー30の本体部40は、筐体20と係合可能な係合部60を備える。また、筐体20は、記録機構部カバー30が閉状態において、係合部60に係合される被係合部61を備えている。係合部60は、本体部40を構成する下部ケース43のZ方向に沿うマイナス側の下面に設けられる。被係合部61は、筐体20の第4側面20dの上端部からY方向に沿うマイナス側に伸びる上面に設けられる。
【0037】
係合部60は、直方体の係合部ケース66から記録装置10の設置面に平行な方向、すなわちX-Y平面に沿って突出する頂点63と、頂点63に向かって下方に傾斜する上側傾斜面64と、頂点63に向かって上方に傾斜する下側傾斜面65とを有する。係合部60は、上側傾斜面64と頂点63と下側傾斜面65とで凸形状をなす。本実施形態の係合部ケース66は、Y方向に長い直方体をなし、係合部60は、係合部ケース66の前面からY方向に沿うプラス側に向かって突出している。
【0038】
頂点63を通り水平方向に伸びる仮想線HLと上側傾斜面64とでなす上面内角θ1は、仮想線HLと下側傾斜面65とでなす下面内角θ2よりも鋭角に構成されている。水平方向に伸びる仮想線HLとは、記録装置10の設置面に平行な直線である。係合部ケース66の内部には、係合部60をY方向に沿うプラス側に付勢する付勢部材62が設けられている。付勢部材62としては、コイルばねなどの弾性部材が用いられる。
【0039】
筐体20の上面には、記録機構部カバー30が閉状態において、直方体状の係合部ケース66が埋設可能なピット67が設けられている。被係合部61は、ピット67の内側面からY方向に沿うプラス側に窪む凹形状をなす。
記録機構部カバー30が開状態から閉状態に回動されると、被係合部61の上端部61aと係合部60の下側傾斜面65とが摺動することにより、係合部60がY方向に沿うマイナス側に後退した後、凹形状の被係合部61内に突出することで、係合部60と被係合部61とが係合状態になる。
記録機構部カバー30が閉状態から開状態に回動されると、被係合部61の上端部61aと係合部60の上側傾斜面64とが摺動することにより、係合部60がY方向に沿うマイナス側に後退することで、係合部60と被係合部61とが非係合状態になる。
【0040】
なお、本実施形態では、上面が開放する直方体状の下部ケース43に対して、下面が開放する直方体状の上部ケース42が覆うように構成される本体部40を例示したが、図13に示すように、下面が開放する直方体状の上部ケース142に対して、上面が開放する直方体状の下部ケース143が覆うように構成された本体部140であってもよい。この場合、リブ50は、本体部140の第2側面140b及び第3側面140cにおける下部ケース143に設けられる。突出部44及び凹部45は、下部ケース143に設けられる。さらには、突出部44及び凹部45は、上部ケース142と下部ケース143との両方に亘って設けられていてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、回動軸31と突出部44との間に3つのリブ50を備えた構成を例示したが、リブ50の数は、1つでも、4つ以上であってもよい。
【0042】
また、本実施形態では、凸形状をなす係合部60と、凹形状をなす被係合部61との組み合わせを例示したが、凹形状をなす係合部と、凸形状をなす被係合部との組み合わせであってもよい。また、本実施形態では、Y方向に沿うプラス側に突出する係合部60を例示したが、係合部の突出方向は、X-Y平面に沿っていれば、その方向は特に限定されない。この場合、被係合部は係合部と係合可能な向きに構成される。
【0043】
以上述べたように、本実施形態に係る記録装置10によれば、以下の効果を得ることができる。
【0044】
記録装置10は、筐体20の内側に入り込む記録機構部カバー30を備える。記録機構部カバー30を構成する本体部40は、その第2側面40b及び第3側面40cに、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cを支持するリブ50を備えている。筐体20の第2側面20b及び第3側面20cが筐体20の内側に変形した場合であっても、記録機構部カバー30を閉状態にすることにより、リブ50が筐体20の第2側面20b及び第3側面20cを外側に向かって支持するので、筐体20の変形を矯正することができる。また、記録機構部カバー30が閉状態において、筐体20の第2側面20bと記録機構部カバー30の第2側面40bとで同一面を構成しやすく、筐体20の第3側面20cと記録機構部カバー30の第3側面40cとで同一面を構成しやすい。それにより、装置の美観が向上する。
【0045】
リブ50は、Z方向において本体部40と重なる位置に設けられているため、リブ50が本体部40の下方に設けられZ方向に重ならない構成と比べ、記録装置10の高さ方向のサイズを小型化することができる。
【0046】
切欠き部23から突出し、本体部40の第2側面40b及び第3側面40cから突出する突出部44の突出寸法ODは、リブ50の突出寸法RDより大きい。この構成により、ユーザーは、突出部44に手指を掛けやすくなり、記録機構部カバー30を容易に回動させることができる。また、記録機構部カバー30が閉状態において、第2側面20bと突出部44とで同一面を構成しやすい。
【0047】
本体部40は、突出部44の下に凹状に窪む凹部45を備えているので、ユーザーは、突出部44に手指を掛けやすくなり、記録機構部カバー30を容易に回動させることができる。
【0048】
突出部44は、リブ50よりも回動軸31から遠い位置に設けられているので、ユーザーは、記録機構部カバー30を閉状態から開状態に容易に回動させることができる。
【0049】
記録機構部カバー30が閉状態において、リブ50は、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cに覆われる。これにより、リブ50は、ユーザーに視認されないので、装置の美観が向上する。
【0050】
筐体20の第2側面20b及び第3側面20cは、それぞれ一体形成で構成されている。つなぎ目の無い1面で形成された第2側面20b及び第3側面20cが、複数のリブ50で支持されることにより、装置の美観が向上する。
【0051】
記録機構部カバー30が開状態から閉状態に変位する際に、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cは、回動軸31から近いリブ50から順に支持される。これにより、例えば複数のリブ50が同時に、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cと接触し始める構成と比べて、記録機構部カバー30を閉状態にする際の回動負荷が分散され、記録機構部カバー30を容易に閉じることができる。
【0052】
筐体20の第2側面20bを支持するリブ50と、筐体20の第3側面20cを支持するリブ50とは、対称に配置されているので、記録機構部カバー30を閉じる際の回動軸31のねじれが抑制される。
【0053】
記録機構部カバー30を構成する本体部40の第2側面40b及び第3側面40cは、第1側面40a及び第4側面40dの少なくとも一方と接続されているので、記録機構部カバー30の剛性が向上する。
【0054】
筐体20の第2側面20b及び第3側面20cは、曲面22を有し、曲面22を介して第1側面20a及び第4側面20dと接続されている。第2側面20b及び第3側面20cが曲面22を有することにより、第2側面20b及び第3側面20cの剛性が向上する。さらに、曲面22を介して第1側面20a及び第4側面20dと接続させることにより、筐体20の剛性が向上する。
【0055】
リブ50は、平坦面51を有しているため、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cを好適に支持することができる。また、リブ50は、平坦面51の下端部から下側に向かう傾斜面52を有している。記録機構部カバー30は、リブ50の傾斜面52と、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cとが摺動しながら閉状態になるので、記録機構部カバー30を好適に閉状態にすることができる。
【0056】
記録機構部カバー30は、閉状態において、筐体20に設けられた被係合部61と係合する係合部60を有しているので、記録機構部カバー30に対して操作部24をチルトさせる際に、記録機構部カバー30が筐体20に対して回転してしまうことを抑制することができる。
【0057】
凸形状の係合部60は、頂点63と上側傾斜面64と下側傾斜面65とを有している。下側傾斜面65は、記録機構部カバー30を閉状態にする際に、被係合部61と摺動する面である。上側傾斜面64は、記録機構部カバー30を開状態にする際に、被係合部61と摺動する面である。水平方向に伸びる仮想線HLと上側傾斜面64とがなす上面内角θ1は、仮想線HLと下側傾斜面65とがなす下面内角θ2より鋭角であるので、記録機構部カバー30を閉状態にする際の方が負荷を減らすことができる。逆に、記録機構部カバー30を開状態にする際の負荷を大きくすることができるので、記録機構部カバー30に対して操作部24をチルトさせる際に、記録機構部カバー30が筐体20に対して回転してしまうことを抑制することができる。
【0058】
2.実施形態2
実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0059】
記録装置100は、記録機構部カバー30を備える。記録機構部カバー30を構成する本体部40の第2側面40b及び第3側面40cには、リブ50が設けられる。図14に示すように、リブ50は、回動軸31と突出部44との間に設けられる。突出部44は、さらに、リブ50の間に設けられる。本実施形態の記録装置100は、回動軸31から突出部44に向かって、第1リブ50a、第2リブ50b、第3リブ50cの3つのリブ50を備え、さらに、突出部44のY方向に沿うプラス側に第4リブ50dを備える。
【0060】
記録装置100は、突出部44の両側に第3リブ50cと第4リブ50dを備えているので、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cが好適に支持される。
【0061】
3.実施形態3
実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0062】
図15に示すように、記録装置200は、被記録媒体に記録を行う記録機構部70を備える筐体20と、筐体20の上面を開状態と閉状態とに回動する記録機構部カバー30とを備える。また、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cは、切欠き部23を備え、記録機構部カバー30は、切欠き部23から露出する突出部44と凹部45とを備える。記録機構部カバー30は、閉状態において筐体20の第1から第4側面20a~20dの内側面21に入り込むように構成されている。記録機構部カバー30は、実施形態1と同様に、原稿台41、原稿台カバー36、スキャナー部35を備える構成であってもよい。
【0063】
記録機構部カバー30を構成する本体部40の第2側面40b及び第3側面40c、及び筐体20の第2側面20b及び第3側面20cの少なくとも一方には、閉状態において筐体20の第2側面20b又は第3側面20cを支持するリブ50が設けられる。
【0064】
本実施形態の記録装置200は、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cにリブ50を備える構成を例示する。リブ50は、第2側面20b及び第3側面20cの内側面21の上端部において、Y方向の後端から切欠き部23に向かって第1リブ50a、第2リブ50b、第3リブ50cの3つのリブを備えている。X方向からの側面視にて、記録機構部カバー30が閉状態における、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cに設けられたリブ50の高さRHは、本体部40の高さMHと重なる。リブ50は、平坦面51と、平坦面51の上端部からZ方向に沿うプラス側に向かう傾斜面52とを有する。傾斜面52は、平坦面51の上端部と連続し、平坦面51から離間することになるZ方向に沿うプラス側に向かうにしたがって、リブ50により支持される第2側面40b、すなわち記録機構部カバー30の第2側面40bとの距離が漸増する面である。
【0065】
なお、本実施形態では、リブ50が筐体20の第2側面20b及び第3側面20cに設けられた構成を例示したが、リブ50が、筐体20の第2側面20bと本体部40の第2側面40bとの両方、及び筐体20の第3側面20cと本体部40の第3側面40cとの両方に設けられた構成であってもよい。また、突出部44、凹部45および切欠き部23をY方向の中央に配置し、Y方向における切欠き部23や突出部44の両側にリブ50を設け、Y方向におけるリブ50の間に切欠き部23や突出部44を設けてもよい。
【0066】
記録装置200は、筐体20の内側面21に入り込む記録機構部カバー30を構成する本体部40の第2側面40b及び第3側面40c、及び筐体20の第2側面20b及び第3側面20cの少なくとも一方に、筐体20の第2側面20b及び第3側面20cを支持するリブ50を備えている。筐体20の第2側面20b及び第3側面20cが筐体20の内側に変形した場合であっても、記録機構部カバー30を閉状態にすることにより、リブ50が筐体20の第2側面20b及び第3側面20cを外側に向かって支持するので、筐体20の変形を矯正することができる。
また、本体部40は、突出部44の下に凹状に窪む凹部45を備えているので、ユーザーは、突出部44に手指を掛けやすくなり、記録機構部カバー30を容易に回動させることができる。
【0067】
リブ50は、本体部40と重なる位置に設けられているため、リブ50が本体部40の下方に設けられた構成と比べ、記録装置200の高さ方向のサイズを小型化することができる。
【符号の説明】
【0068】
10,100,200…記録装置、20…筐体、20a…第1側面、20b…第2側面、20c…第3側面、20d…第4側面、21…内側面、22…曲面、23…切欠き部、24…操作部、30…記録機構部カバー、31,37…回動軸、35…スキャナー部、36…原稿台カバー、40,140…本体部、40a…第1側面、40b,140b…第2側面、40c…第3側面、40d…第4側面、41…原稿台、42,142…上部ケース、43,143…下部ケース、44…突出部、45…凹部、50…リブ、50a…第1リブ、50b…第2リブ、50c…第3リブ、50d…第4リブ、51…平坦面、52…傾斜面、60…係合部、61…被係合部、62…付勢部材、63…頂点、64…上側傾斜面、65…下側傾斜面、70…記録機構部、CL…仮想線、θ1…上面内角、θ2…下面内角。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15