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特許7404999給電制御装置、溶断方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】給電制御装置、溶断方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/20 20060101AFI20231219BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20231219BHJP
   H02H 3/08 20060101ALI20231219BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02H7/20 D
H02H3/087
H02H3/08 P
B60R16/02 645C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020085297
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021180573
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】内野 剛雄
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131021(JP,A)
【文献】特開2015-196453(JP,A)
【文献】特開2017-8885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/20
H02H 3/087
H02H 3/08
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1負荷及び第2負荷それぞれに接続されている第1FET及び第2FETを各別にオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、
所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される溶断素子と、
前記溶断素子の下流側の一端の接続先を切替える切替え部と、
処理を実行する処理部と
を備え、
前記処理部は、
前記溶断素子の接続先が前記第1FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示し、
前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定し、
前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合に、前記切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を前記第1FET及び第2FETに切替えさせ、
前記第2FETのオンへの切替えを指示する
給電制御装置。
【請求項2】
第2の所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される第2の溶断素子を備え、
前記切替え部は、前記溶断素子及び第2の溶断素子の下流側の一端の接続先を各別に切替え、
前記処理部は、前記溶断素子及び第2の溶断素子それぞれの接続先が前記第1FET及び第2FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示する
請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FET及び第2FETに切替えさせた後、前記溶断素子が溶断されたか否かを判定し、
前記溶断素子が溶断されたと判定した場合、前記切替え部に指示して、前記第2の溶断素子の接続先を前記第2FETに切替えさせる
請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記第1FETを介して流れる電流の第1電流経路にて、前記第1FETの下流側に前記第1負荷が配置されており、
前記第2FETを介して流れる電流の第2電流経路にて、前記第2FETの下流側に前記第2負荷が配置されており、
前記処理部は、前記切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FET及び第2FETに切替えさせた後、前記第1FET又は前記第2FETの下流側の一端の電圧に基づいて、前記溶断素子が溶断されたか否かを判定する
請求項3に記載の給電制御装置。
【請求項5】
前記第1FETを介して流れる電流の電流経路にて、前記第1FETの下流側に前記第1負荷が配置されており、
前記処理部は、前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETの下流側の一端の電圧に基づいて、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項6】
前記第2FETの数は2以上であり、
前記処理部は、
前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合に、前記切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FETと、複数の第2FETの中でオフであるオフFETとに切替えさせ、
前記溶断素子に接続されているオフFETのオンへの切替えを指示する
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項7】
所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される溶断素子の下流側の一端の接続先が、第1負荷に接続されている第1FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示するステップと、
前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、
前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合、前記溶断素子の下流側の一端の接続先を切替える切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FETと、第2負荷に接続されている第2FETとに切替えさせるステップと、
前記第2FETのオンへの切替えを指示するステップと
をコンピュータが実行する溶断方法。
【請求項8】
所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される溶断素子の下流側の一端の接続先が、第1負荷に接続されている第1FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示するステップと、
前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、
前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合に、前記溶断素子の下流側の一端の接続先を切替える切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FETと、第2負荷に接続されている第2FETとに切替えさせるステップと、
前記第2FETのオンへの切替えを指示するステップと
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電制御装置、溶断方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、電源から負荷への給電を制御する給電制御装置(特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載の給電制御装置では、電源から負荷に流れる電流経路に、スイッチとして機能するFET(Field Effect Transistor)が配置されている。FETをオン又はオフに切替えることによって、負荷への給電を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-95140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の給電制御装置の1つとして、FETを介して電源から負荷に流れる電流の電流経路において、FETの上流側に溶断素子、例えば、ヒューズが配置されている給電制御装置がある。従来の給電制御装置では、溶断素子及びFETを介して流れる電流が所定電流以上の電流となった場合、溶断素子が溶断され、電流の通流が停止する。これにより、FETを介して過電流が流れることが防止される。
【0005】
従来の給電制御装置において、FETのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、FETを介して電流が流れるオン故障が発生したと仮定する。オン故障が発生しているFETを介して流れる電流は、FETがオンである場合においてFETを介して流れる電流以下である。従って、FETにおいてオン故障が発生した場合、溶断素子が溶断されることはない。結果、FETのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、FETを介して電流が流れ続けるという問題がある。
【0006】
オン故障が発生したFETの抵抗値が大きい場合、FETの発熱量が大きく、FETの温度が異常な温度に上昇する可能性がある。オン故障が発生したFETの抵抗値が十分に小さい場合、FETを介して流れる電流が大きく、負荷が作動し続ける可能性がある。
【0007】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、FETにおいてオン故障が発生した場合に溶断素子が溶断される給電制御装置、溶断方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る給電制御装置は、第1負荷及び第2負荷それぞれに接続されている第1FET及び第2FETを各別にオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される溶断素子と、前記溶断素子の下流側の一端の接続先を切替える切替え部と、処理を実行する処理部とを備え、前記処理部は、前記溶断素子の接続先が前記第1FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示し、前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定し、前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合に、前記切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を前記第1FET及び第2FETに切替えさせ、前記第2FETのオンへの切替えを指示する。
【0009】
本開示の一態様に係る溶断方法では、所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される溶断素子の下流側の一端の接続先が、第1負荷に接続されている第1FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示するステップと、前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合、前記溶断素子の下流側の一端の接続先を切替える切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FETと、第2負荷に接続されている第2FETとに切替えさせるステップと、前記第2FETのオンへの切替えを指示するステップとをコンピュータが実行する。
【0010】
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される溶断素子の下流側の一端の接続先が、第1負荷に接続されている第1FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示するステップと、前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合に、前記溶断素子の下流側の一端の接続先を切替える切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FETと、第2負荷に接続されている第2FETとに切替えさせるステップと、前記第2FETのオンへの切替えを指示するステップとをコンピュータに実行させる。
【0011】
なお、本開示を、このような特徴的な処理部を備える給電制御装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする溶断方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。また、本開示を、給電制御装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、給電制御装置を含む電源システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0012】
上記の態様によれば、FETにおいてオン故障が発生した場合に溶断素子が溶断される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】接続回路の回路図である。
図3】マイコンの要部構成を示すブロック図である。
図4】負荷の給電制御処理の手順を示すフローチャートである。
図5】溶断素子の溶断処理の手順を示すフローチャートである。
図6】実施形態2における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
図7】マイコンの要部構成を示すブロック図である。
図8】溶断素子の溶断処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0015】
(1)本開示の一態様に係る給電制御装置は、第1負荷及び第2負荷それぞれに接続されている第1FET及び第2FETを各別にオン又はオフに切替えることによって給電を制御する給電制御装置であって、所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される溶断素子と、前記溶断素子の下流側の一端の接続先を切替える切替え部と、処理を実行する処理部とを備え、前記処理部は、前記溶断素子の接続先が前記第1FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示し、前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定し、前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合に、前記切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を前記第1FET及び第2FETに切替えさせ、前記第2FETのオンへの切替えを指示する。
【0016】
(2)本開示の一態様に係る給電制御装置は、第2の所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される第2の溶断素子を備え、前記切替え部は、前記溶断素子及び第2の溶断素子の下流側の一端の接続先を各別に切替え、前記処理部は、前記溶断素子及び第2の溶断素子それぞれの接続先が前記第1FET及び第2FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示する。
【0017】
(3)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FET及び第2FETに切替えさせた後、前記溶断素子が溶断されたか否かを判定し、前記溶断素子が溶断されたと判定した場合、前記切替え部に指示して、前記第2の溶断素子の接続先を前記第2FETに切替えさせる。
【0018】
(4)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記第1FETを介して流れる電流の第1電流経路にて、前記第1FETの下流側に前記第1負荷が配置されており、前記第2FETを介して流れる電流の第2電流経路にて、前記第2FETの下流側に前記第2負荷が配置されており、前記処理部は、前記切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FET及び第2FETに切替えさせた後、前記第1FET又は前記第2FETの下流側の一端の電圧に基づいて、前記溶断素子が溶断されたか否かを判定する。
【0019】
(5)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記第1FETを介して流れる電流の電流経路にて、前記第1FETの下流側に前記第1負荷が配置されており、前記処理部は、前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETの下流側の一端の電圧に基づいて、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定する。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記第2FETの数は2以上であり、前記処理部は、前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合に、前記切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FETと、複数の第2FETの中でオフであるオフFETとに切替えさせ、前記溶断素子に接続されているオフFETのオンへの切替えを指示する。
【0021】
(7)本開示の一態様に係る溶断方法では、所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される溶断素子の下流側の一端の接続先が、第1負荷に接続されている第1FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示するステップと、前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合、前記溶断素子の下流側の一端の接続先を切替える切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FETと、第2負荷に接続されている第2FETとに切替えさせるステップと、前記第2FETのオンへの切替えを指示するステップとをコンピュータが実行する。
【0022】
(8)本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、所定電流以上の電流が流れた場合に溶断される溶断素子の下流側の一端の接続先が、第1負荷に接続されている第1FETである状態で、前記第1FETのオフへの切替えを指示するステップと、前記第1FETのオフへの切替えを指示した後、前記第1FETを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、前記第1FETを介して電流が流れていると判定した場合に、前記溶断素子の下流側の一端の接続先を切替える切替え部に指示して、前記溶断素子の接続先を、前記第1FETと、第2負荷に接続されている第2FETとに切替えさせるステップと、前記第2FETのオンへの切替えを指示するステップとをコンピュータに実行させる。
【0023】
上記の一態様に係る給電制御装置、溶断方法及びコンピュータプログラムにあっては、溶断素子の接続先が第1FETである場合、電流は溶断素子及び第1FETの順に流れる。第1FETのオフへの切替えが指示されているにも関わらず、第1FETを介して電流が流れている場合、溶断素子に第1FET及び第2FETが接続され、第2FETをオンに切替える。結果、溶断素子を介して流れる電流が所定電流以上の電流に上昇し、溶断素子が溶断される。
【0024】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、通常、溶断素子、第1FET及び第1負荷の順に電流が流れるとともに、第2の溶断素子、第2FET及び第2負荷の順に電流が流れる。第1FETにおいてオン故障が発生した場合、第2FETが溶断素子に接続される。
【0025】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、溶断素子に第1FET及び第2FETが接続された場合において、溶断素子が溶断された後、第2の溶断素子の接続先を第2FETに戻す。これにより、再び、第2の溶断素子及び第2FETを介して、第2負荷に電力を供給することができる。
【0026】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、例えば、第1負荷及び第2負荷の下流側の一端は接地されている。この場合において、溶断素子が溶断されているとき、第1FET及び第1負荷を介して電流が流れることはないので、第1FETの下流側の一端は実質的にゼロVである。同様の場合において、溶断素子が溶断されていないとき、第1FET及び第1負荷を介して電流が流れ、第1負荷において電圧降下が生じる。このため、第1FETの下流側の一端の電圧はゼロVを超えている。
【0027】
同様に、第1負荷及び第2負荷の下流側の一端は接地されている場合において、溶断素子が溶断されているとき、第2FET及び第2負荷を介して電流が流れることはないので、第2FETの下流側の一端は実質的にゼロVである。同様の場合において、溶断素子が溶断されていないとき、第2FET及び第2負荷を介して電流が流れ、第2負荷において電圧降下が生じる。このため、第2FETの下流側の一端の電圧はゼロVを超えている。
従って、第1FET又は第2FETの下流側の一端の電圧に基づいて、溶断素子が溶断されているかを判定することができる。
【0028】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、例えば、第1負荷及び第2負荷の下流側の一端は接地されている。この場合において、第1FETを介して電流が流れていないとき、第1負荷を介して電流が流れていないので、第1FETの下流側の一端の電圧は実質的にゼロVである。同様の場合において、第1FETを介して電流が流れているとき、第1負荷を介して電流が流れ、第1負荷において電圧降下が生じる。このため、第1FETの下流側の一端の電圧はゼロVを超えている。従って、第1FETの下流側の一端の電圧に基づいて、第1FETを介して電流が流れているか否かを判定することができる。
【0029】
上記の一態様に係る給電制御装置にあっては、溶断素子を溶断する場合、複数の第2FETの中でオフであるオフFETを溶断素子に接続し、オフFETをオンに切替える。このため、全ての第2FETがオンでない限り、作動中の第2負荷への給電が途切れることはない。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る給電制御装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0031】
(実施形態1)
<電源システムの構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、車両に搭載されており、給電制御装置10、直流電源11及び2つの負荷E1,E2を備える。直流電源11は、例えばバッテリである。給電制御装置10は、直流電源11の正極と、負荷E1,E2の一端とに接続されている。直流電源11の負極と、負荷E1,E2の他端とは接地されている。
【0032】
以下では、2以下である任意の自然数をkで表す。自然数kは、1,2中のいずれであってもよい。
負荷Ekは電気機器である。負荷Ekに電力が供給された場合、負荷Ekは作動する。負荷Ekへの給電が停止した場合、負荷Ekは動作を停止する。負荷Ekは、車両の運転に支障を与えないヘッドライト、室内灯又はオーディオ機器等の電気機器であることが好ましい。
【0033】
給電制御装置10には、負荷E1,E2の中で作動させる負荷を示す作動信号と、負荷E1,E2の中で動作を停止させる負荷を示す停止信号とが入力される。給電制御装置10は、負荷Ekを示す作動信号が入力された場合、直流電源11及び負荷Ekを電気的に接続する。これにより、直流電源11は負荷Ekに電力を供給し、負荷Ekは作動する。給電制御装置10は、負荷Ekを示す停止信号が入力された場合、直流電源11及び負荷Ek間の電気的な接続を遮断する。これにより、負荷Ekへの給電が停止し、負荷Ekは動作を停止する。
以上のように、給電制御装置10は、負荷E1,E2への給電を制御する。
【0034】
<給電制御装置10の構成>
給電制御装置10は、接続回路2、2つのNチャネル型のFET31,32、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)4、2つの電圧検出部B1,B2、2つの駆動回路D1,D2及び2つの溶断素子F1,F2を有する。これらは、共通の基板上に設置されていてもよい。
【0035】
FET3kは、半導体スイッチとして機能する。前述したように、kは2以下の任意の自然数である。FET3kについて、状態がオンである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さく、電流がドレイン及びソースを介して流れることが可能である。FET3kについて、状態がオフである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値が十分に大きく、ドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。
【0036】
溶断素子Fkの一端は、直流電源11の正極に接続されている。溶断素子Fkの他端は接続回路2に接続されている。接続回路2はFET3kのドレインに接続されている。FET3kのソースは、負荷Ekの一端に接続されている。FET3kのゲートは駆動回路Dkに接続されている。FET3kのソースは、更に、電圧検出部Bkに接続されている。接続回路2、2つの電圧検出部B1,B2及び2つの駆動回路D1,D2それぞれはマイコン4に接続されている。
【0037】
接続回路2は、溶断素子Fkを、2つのFET31,32中の少なくとも1つに接続する。通常、接続回路2は、溶断素子F1,F2それぞれをFET31,32に接続している。溶断素子Fkの接続先はマイコン4によって切替えられる。溶断素子Fkの接続先を切替えることは、FET3kの接続先を切替えることに相当する。
【0038】
直流電源11の正極から溶断素子Fkを介して電流が流れる。基準電流以上の電流が溶断素子Fkを介して流れた場合、溶断素子Fkは溶断される。溶断素子F1,F2に対応する2つの基準電流は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。溶断素子Fkは、ヒューズ又はヒュージブルリンク等である。
【0039】
FET3kにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧が一定のオン電圧以上である場合、FET3kはオンである。FET3kにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧が一定のオフ電圧未満である場合、FET3kはオフである。オン電圧はオフ電圧を超えている。オフ電圧は正の電圧である。
【0040】
マイコン4は、駆動回路Dkにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。マイコン4が、駆動回路Dkに出力している電圧を、ローレベル電圧からハイレベル電圧に切替えた場合、駆動回路Dkは、基準電位が接地電位であるFET3kのゲートの電圧を上昇させる。これにより、FET3kにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧はオン電圧以上の電圧となり、FET3kはオンに切替わる。
【0041】
FET3kがオンに切替わった場合、直流電源11及び負荷Ekが電気的に接続され、直流電源11からFET3kを介して負荷Ekに電力が供給される。このとき、電流はFET3k及び負荷Ekの順に流れる。従って、FET3kを介して流れる電流の電流経路において、FET3kの下流側に負荷Ekが配置されている。FET3kにおいては、電流はドレイン及びソースの順に流れるので、FET3kのドレイン及びソースそれぞれは、上流側及び下流側の一端である。
【0042】
マイコン4が、駆動回路Dkに出力している電圧を、ハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、駆動回路Dkは、基準電位が接地電位であるFET3kのゲートの電圧を低下させる。これにより、FET3kにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧はオフ電圧未満の電圧となり、FET3kはオフに切替わる。FET3kがオフに切替わった場合、直流電源11及び負荷Ek間の電気的な接続が遮断され、FET3kを介した電流の通流が停止し、FET3kを介した負荷Ekへの給電が停止する。
【0043】
以上のように、駆動回路D1,D2それぞれは、マイコン4から入力される電圧に応じてFET31,32をオン又はオフに切替える。これにより、負荷E1,E2それぞれへの給電が制御される。
【0044】
以下では、基準電位が接地電位であるFET3kのソースの電圧をソース電圧と記載する。電圧検出部Bkは、FET3kのソース電圧を検出し、検出したソース電圧を示すアナログの電圧情報をマイコン4に出力する。アナログの電圧情報は、例えば、ソース電圧を示す電圧のアナログ値である。ソース電圧を示す電圧は、例えば、図示しない2つの抵抗がソース電圧を分圧することによって得られる電圧である。
【0045】
マイコン4には、作動信号及び停止信号が入力される。マイコン4は、負荷Ekを示す作動信号が入力された場合、駆動回路Dkに出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。これにより、駆動回路DkはFET3kをオンに切替え、負荷Ekに電力が供給される。マイコン4は、負荷Ekを示す停止信号が入力された場合、駆動回路Dkに出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。これにより、駆動回路DkはFET3kをオフに切替え、負荷Ekへの給電が停止する。
【0046】
前述したように、通常、溶断素子F1,F2それぞれは、FET31,32に接続されている。従って、通常、FET3kがオンである場合、電流は、直流電源11の正極から、溶断素子Fk、FET3k、負荷Ek及び直流電源11の負極の順に流れる。
【0047】
マイコン4は、溶断素子Fkの接続先がFET3kである状態で、駆動回路Dkに出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、電圧検出部Bkから入力された電圧情報が示すソース電圧に基づいて、FET3kにおいてオン故障が発生しているか否かを判定する。オン故障は、駆動回路Dkに出力している電圧がローレベル電圧であるにも関わらず、FET3kを介して電流が流れる故障である。
【0048】
マイコン4は、FET3kにおいてオン故障が発生していると判定した場合、溶断素子Fkの接続先を、FET3kから、FET31,32に切替える。その後、マイコン4は、駆動回路Dkとは異なる駆動回路に指示して、FET3kとは異なるFETをオンに切替えさせる。これにより、溶断素子Fkに流れる電流が基準電流以上の電流となり、溶断素子Fkが溶断される。
【0049】
マイコン4は、電圧検出部B1又は電圧検出部B2から入力された電圧情報が示すソース電圧に基づいて、溶断素子Fkが溶断されたか否かを判定する。マイコン4は、溶断素子Fkが溶断されたと判定した場合、駆動回路に指示して、FET3kとは異なるFETの状態を元の状態に戻す。更に、マイコン4は、FET3kとは異なるFETの接続先を元の溶断素子に戻す。
【0050】
<接続回路2の構成>
図2は接続回路2の回路図である。接続回路2は、リレー21,22、抵抗R1,R2及びトランジスタT1,T2を有する。リレー21は、COM端子21a、NC端子21b、NO端子21c、棒状の導体21d及びコイル21eを有する。リレー22は、COM端子22a、NC端子22b、NO端子22c、棒状の導体22d及びコイル22eを有する。リレー2kに関して、COM端子2kaに、導体2kdの端部が接続されている。導体2kdは、COM端子2kaを基点として、回転することが可能である。前述したように、kは2以下の任意の自然数である。
【0051】
トランジスタTkはNPN型のバイポーラトランジスタである。トランジスタTkはスイッチとして機能する。トランジスタTkについて、状態がオンである場合、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値は十分に小さく、コレクタ及びエミッタを介して電流が流れることが可能である。トランジスタTkについて、状態がオフである場合、コレクタ及びエミッタ間の抵抗値が十分に大きく、コレクタ及びエミッタを介して電流が流れることはない。
【0052】
溶断素子F1の下流側の一端は、リレー21のNC端子21bと、リレー22のNO端子22cとに接続されている。溶断素子F2の下流側の一端は、リレー21のNO端子21cと、リレー22のNC端子22bとに接続されている。リレー2kのCOM端子2aは、FET3kに接続されている。リレー2kに関して、NC端子2kbは、更に、コイル2keの一端に接続されている。コイル2keの他端は、抵抗Rkの一端に接続されている。抵抗Rkの他端はトランジスタTkのコレクタに接続されている。トランジスタTkのエミッタは接地されている。トランジスタTkのベースはマイコン4に接続されている。
【0053】
トランジスタTkについて、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が一定電圧以上である場合、トランジスタTkはオンである。トランジスタTkについて、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が一定電圧未満である場合、トランジスタTkはオフである。一定電圧は正の電圧である。
【0054】
以下では、基準電位が接地電位であるトランジスタTkのベースの電圧をベース電圧と記載する。マイコン4は、トランジスタTkのベース電圧を調整することによって、トランジスタTkをオン又はオフに切替える。マイコン4は、トランジスタTkをオンに切替える場合、トランジスタTkのベース電圧を上昇させる。これにより、トランジスタTkにおいて、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が一定電圧以上の電圧となり、トランジスタTkはオンに切替わる。
【0055】
マイコン4は、トランジスタTkをオフに切替える場合、トランジスタTkのベース電圧を低下させる。これにより、トランジスタTkにおいて、基準電位がエミッタの電位であるベースの電圧が一定電圧未満の電圧となり、トランジスタTkはオフに切替わる。
【0056】
トランジスタTkがオンである場合、電流は、直流電源11の正極から、溶断素子Fk、コイル2ke、抵抗Rk、トランジスタTk及び直流電源11の負極の順に流れる。コイル2keに電流が流れた場合、コイル2keは磁石として作用する。
【0057】
リレー2kの導体2kdは磁性体である。導体2kdには、図示しない弾性体、例えば、バネによって、NC端子2b側への力が加えられている。このため、コイル2keを介して電流が流れていない場合、コイル2keは磁石として機能していないため、導体2kdは、NC端子2kbに接触しており、COM端子2kaはNC端子2kbに接続されている。このとき、FET3kの接続先は、溶断素子Fkである。
【0058】
コイル2keを介して電流が流れた場合、コイル2keは、導体2kdをNO端子2kc側に引付け、導体2kdはNO端子2cに接触し、COM端子2kaは、NO端子2cに接続する。コイル2keを介して電流が流れている間、COM端子2kaは、NO端子2kcに接続されている。このとき、FET3kの接続先は、溶断素子Fkとは異なる溶断素子である。
【0059】
マイコン4は、2つのトランジスタT1,T2を各別にオン又はオフに切替えることによって、溶断素子Fkの接続先を切替える。通常、トランジスタT1,T2はオフである。このとき、溶断素子F1,F2それぞれは、FET31,32に接続されている。トランジスタT1,T2それぞれがオフ及びオンである場合、溶断素子F1の接続先はFET31,32であり、溶断素子F2の下流側の一端は開放されている。トランジスタT1,T2それぞれがオン及びオフである場合、溶断素子F2の接続先はFET31,32であり、溶断素子F1の下流側の一端は開放されている。
【0060】
マイコン4は、トランジスタT1,T2がオフである状態でFET3kにおいてオン故障が発生しているか否かを判定する。マイコン4は、FET31において、オン故障が発生していると判定した場合、トランジスタT2をオンに切替えることによって、溶断素子F1の接続先を、FET31から、FET31及びFET32に切替える。これにより、溶断素子F1を介して流れる電流が基準電流以上の電流となり、溶断素子F1が溶断される。マイコン4は、FET32において、オン故障が発生していると判定した場合、トランジスタT1をオンに切替えることによって、溶断素子F2の接続先を、FET32から、FET31及びFET32に切替える。これにより、溶断素子F2を介して流れる電流が基準電流以上の電流となり、溶断素子F2が溶断される。
【0061】
<マイコン4の構成>
図3はマイコン4の要部構成を示すブロック図である。マイコン4は、切替え部40、入力部41、記憶部42、制御部43、2つの出力部G1,G2及び2つのA/D変換部M1,M2を有する。これらは内部バス44に接続されている。切替え部40は、更に、接続回路2のトランジスタT1,T2のベースに各別に接続されている。出力部Gkは、更に、駆動回路Dkに接続されている。前述したように、kは2以下の任意の自然数である。A/D変換部Mkは、更に、電圧検出部Bkに接続されている。
【0062】
切替え部40は、トランジスタTkのベース電圧を調整することによって、前述したように、トランジスタTkをオン又はオフに切替える。切替え部40は、2つのトランジスタT1,T2を各別にオン又はオフに切替えることによって、溶断素子Fkの下流側の一端の接続先を切替える。
【0063】
制御部43は、溶断素子Fkの接続先をFET31,32に切替えることを切替え部40に指示する。また、制御部43は、溶断素子Fkの接続先をFET3kに切替えることを切替え部40に指示する。切替え部40は、制御部43の指示に従って、2つのトランジスタT1,T2を各別にオン又はオフに切替える。
なお、トランジスタT1,T2それぞれはスイッチとして機能すればよい。このため、トランジスタT1,T2それぞれは、NPN型のバイポーラトランジスタに限定されず、例えば、Nチャネル型のFETであってもよい。
【0064】
出力部Gkは、駆動回路Dkにローレベル電圧又はハイレベル電圧を出力している。制御部43は、出力部Gkに、FET3kのオン又はオフへの切替えを指示する。出力部Gkは、FET3kのオンへの切替えが指示された場合、駆動回路Dkに出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。これにより、FET3kはオンに切替わる。出力部Gkは、FET3kのオフへの切替えが指示された場合、駆動回路Dkに出力している電圧をローレベル電圧に切替える。これにより、FET3kはオフに切替わる。
【0065】
A/D変換部Mkには、電圧検出部Bkからアナログの電圧情報が入力される。A/D変換部Mkは、アナログの電圧情報が入力された場合、入力されたアナログの電圧情報をデジタルの電圧情報に変換する。制御部43は、A/D変換部Mkが変換したデジタルの電圧情報を、A/D変換部Mkから取得する。制御部43が取得した電圧情報が示すFET3kのソース電圧は、取得時点におけるソース電圧と実質的に一致する。
入力部41には、作動信号及び停止信号が入力される。入力部41に作動信号又は停止信号が入力された場合、入力部41は、入力された信号を制御部43に通知する。
【0066】
記憶部42は不揮発性メモリである。記憶部42には、コンピュータプログラムPが記憶されている。制御部43は、処理を実行する処理素子、例えばCPU(Central Processing Unit)を有し、処理部として機能する。制御部43の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、負荷E1,E2それぞれの給電を制御する2つの給電制御処理等を並行して実行する。負荷Ekの給電制御処理では、溶断素子Fkの溶断処理が実行される。溶断素子Fkの溶断処理では、制御部43は、FET3kにおいてオン故障が発生しているか否かを判定する。FET3kにおいてオン故障が発生している制御部43が判定した場合、溶断素子Fkが溶断される。
【0067】
なお、コンピュータプログラムPは、制御部43の処理素子が読み取り可能に記憶媒体Aに記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体Aから読み出されたコンピュータプログラムPが記憶部42に書き込まれる。記憶媒体Aは、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない装置からコンピュータプログラムPをダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムPを記憶部42に書き込んでもよい。
【0068】
制御部43が有する処理素子の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。この場合、複数の処理素子がコンピュータプログラムPに従って、2つの給電制御処理等を協同で実行してもよい。
【0069】
<負荷Eiの給電制御処理>
図4は負荷Eiの給電制御処理の手順を示すフローチャートである。ここで、iは、2以下の任意の自然数である。従って、自然数iは、1,2中のいずれであってもよい。自然数iとは異なる2以下の自然数をjで表す。自然数iが1である場合、自然数jは2である。自然数iが2である場合、自然数jは1である。
【0070】
制御部43は、溶断素子F1,F2それぞれがFET31,32に接続されている状態で負荷Eiの給電制御処理を実行する。負荷Eiの給電制御処理では、まず、制御部43は、負荷Eiを示す作動信号が入力部41に入力されたか否かを判定する(ステップS1)。
【0071】
制御部43は、負荷Eiを示す作動信号が入力されていないと判定した場合(S1:NO)、負荷Eiを示す停止信号が入力部41に入力されたか否かを判定する(ステップS2)。制御部43は、負荷Eiを示す停止信号が入力されていないと判定した場合(S2:NO)、ステップS1を再び実行し、負荷Eiを示す作動信号又は停止信号が入力部41に入力されるまで待機する。
【0072】
制御部43は、負荷Eiを示す作動信号が入力されたと判定した場合(S1:YES)、FET3iのオンへの切替えを出力部Giに指示する(ステップS3)。これにより、出力部Giは、駆動回路Diに出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替え、駆動回路DiはFET3iをオンに切替える。
【0073】
制御部43は、負荷Eiを示す停止信号が入力されたと判定した場合(S2:YES)、FET3iのオフへの切替えを出力部Giに指示する(ステップS4)。給電制御装置10が正常である状態でステップS4が実行された場合、出力部Giは、駆動回路Diに出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替え、駆動回路DiはFET3iをオフに切替える。制御部43は、ステップS4を実行した後、溶断素子Fiの溶断処理を実行する(ステップS5)。
【0074】
制御部43は、ステップS3,S5の一方を実行した後、負荷Eiの給電制御処理を終了する。制御部43は、負荷Eiの給電制御処理を終了した後、再び、負荷Eiの給電制御処理を実行し、負荷Eiを示す作動信号又は停止信号が入力されるまで待機する。
【0075】
<溶断素子Fiの溶断処理>
図5は溶断素子Fiの溶断処理の手順を示すフローチャートである。制御部43は、溶断素子Fi,FjそれぞれがFET3i,3jに接続されており、かつ、FET3iのオフへの切替えが指示されている状態で溶断素子Fiの溶断処理を実行する。前述したように、自然数iが1である場合、自然数jは2である。自然数iが2である場合、自然数jは1である。
【0076】
FET3iは第1FETとして機能する。FET3jは第2FETとして機能する。負荷Eiは第1負荷として機能する。負荷Ejは第2負荷として機能する。溶断素子Fjは第2の溶断素子として機能する。溶断素子Fiの基準電流は所定電流に相当する。溶断素子Fjの基準電流は第2の所定電流に相当する。
【0077】
溶断素子Fiの溶断処理では、制御部43は、まず、A/D変換部Miから電圧情報を取得する(ステップS11)。ステップS11で取得される電圧情報は、FET3iのソース電圧を示す。次に、制御部43は、ステップS11で取得した電圧情報が示すFET3iのソース電圧に基づいて、FET3iを介して電流が流れているか否かを判定する(ステップS12)。
【0078】
FET3iを介して電流が流れていない場合、負荷Eiを介して電流が流れていないので、FET3iのソース電圧はゼロVである。ここで、ゼロVは、厳密なゼロVのみを意味しない。ゼロVが実質的に実現されていればよい。FET3iを介して電流が流れている場合、負荷Eiを介して電流が流れ、負荷Eiでは電圧降下が生じる。このため、FET3iのソース電圧はゼロVを超えている。従って、制御部43は、FET3iのソース電圧に基づいて、FET3iを介して電流が流れているか否かを判定することができる。
【0079】
ステップS12では、制御部43は、ステップS11で取得した電圧情報が示すソース電圧が実質的にゼロVである場合、FET3iを介して電流が流れていないと判定する。制御部43は、ステップS11で取得した電圧情報が示すソース電圧がゼロVを超えている場合、FET3iを介して電流が流れていると判定する。ステップS11が実行された時点では、FET3iのオフへの切替えが指示されている。このため、ステップS11が実行された時点で、FET3iを介して電流が流れていることは、FET3iにおいてオン故障が発生していることを意味する。
【0080】
制御部43は、FET3iを介して電流が流れていると判定した場合(S12:YES)、切替え部40に指示して、溶断素子Fiの接続先をFET3i,3jに切替えさせる(ステップS13)。ステップS13では、切替え部40は、接続回路2のトランジスタTjをオンに切替える(図2参照)。これにより、溶断素子Fiの接続先がFET3i,3jに切替わる。前述したように、自然数iが1である場合、自然数jは2である。自然数iが2である場合、自然数jは1である。
【0081】
ステップS13はFET3jの状態に無関係に実行される。FET3jがオンである状態でステップS13が実行された場合、電流は、溶断素子Fi及びFET3iの順に流れるとともに、溶断素子Fi及びFET3jの順に流れる。これにより、溶断素子Fiを介して流れる電流が基準電流以上の電流となる。溶断素子Fiの基準電流は、FET3iがオンである場合においてFET3iを介して流れる電流を超えており、かつ、FET3i,3jがオンである場合において、FET3i,3jを介して流れる電流の合計値以下である。
【0082】
制御部43は、ステップS13を実行した後、FET3jがオフであるか否かを判定する(ステップS14)。FET3jがオフではないことは、FET3jがオンであることを意味する。制御部43は、FET3jがオフであると判定した場合(S14:YES)、出力部Gjに、FET3jのオンへの切替えを指示する(ステップS15)。
【0083】
これにより、出力部Gjは、駆動回路Djに出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替え、駆動回路DjはFET3jをオンに切替える。結果、電流は、溶断素子Fi及びFET3iの順に流れるとともに、溶断素子Fi及びFET3jの順に流れ、溶断素子Fiを介して流れる電流が基準電流以上の電流となる。FET3jがオンに切替わることによって負荷Eが作動する。これにより、車両の乗員に、オン故障の発生が報知される。
【0084】
制御部43は、FET3jがオフではないと判定した場合(S14:NO)、又は、ステップS15を実行した後、A/D変換部Miから電圧情報を取得する(ステップS16)。制御部43は、ステップS16で取得した電圧情報が示すFET3iのソース電圧に基づいて、溶断素子Fiが溶断されたか否かを判定する(ステップS17)。
【0085】
溶断素子Fiが溶断されている場合、FET3i及び負荷Eiを介して電流が流れることはないので、FET3iのソース電圧はゼロVである。ここで、ゼロVは、厳密なゼロVのみを意味せず、ゼロVが実質的に実現されていればよい。溶断素子Fiが溶断されていない場合、FET3i及び負荷Eiを介して電流が流れ、負荷Eiにおいて電圧降下が生じる。このため、FET3iのソース電圧はゼロVを超えている。
【0086】
従って、制御部43は、FET3iのソース電圧に基づいて溶断素子Fiが溶断されているか否かを判定することができる。具体的に、ステップS17では、制御部43は、ステップS16で取得した電圧情報が示すFET3iのソース電圧が実質的にゼロVである場合、溶断素子Fiは溶断されたと判定する。制御部43は、ステップS16で取得した電圧情報が示すFET3iのソース電圧がゼロVを超えている場合、溶断素子Fiは溶断されていないと判定する。
【0087】
なお、ステップS17では、溶断素子Fiの接続先はFET3i,3jである。このため、溶断素子Fiが溶断されている場合、FET3j及び負荷Ejを介して電流が流れることはないので、FET3jのソース電圧は実質的にゼロVである。溶断素子Fiが溶断されていない場合、FET3j及び負荷Ejを介して電流が流れ、負荷Ejにおいて電圧降下が生じる。このため、FET3jのソース電圧はゼロVを超えている。従って、制御部43は、FET3jのソース電圧に基づいて溶断素子Fiが溶断されているか否かを判定することができる。
【0088】
以上のことから、制御部43は、ステップS16でA/D変換部Mjから電圧情報を取得してもよい。この場合、ステップS17では、制御部43は、ステップS16で取得した電圧情報が示すFET3jのソース電圧に基づいて溶断素子Fiが溶断されているか否かを判定する。この判定方法は、FET3iのソース電圧に基づいて行われる判定方法と同様である。
【0089】
制御部43は、溶断素子Fiが溶断されていないと判定した場合(S17:NO)、再び、ステップS16を実行し、溶断素子Fiが溶断されるまで待機する。制御部43は、溶断素子Fiが溶断されていると判定した場合(S17:YES)、ステップS13が実行された時点において、FET3jがオンであったか否かを判定する(ステップS18)。FET3jがオンではないことは、FET3jがオフであることを意味する。
【0090】
制御部43は、FET3jがオンではなかったと判定した場合(S18:NO)、出力部Gjに、FET3jのオフへの切替えを指示する(ステップS19)。これにより、出力部Gjは、駆動回路Djに出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替え、駆動回路DjはFET3jをオフに切替える。制御部43は、FET3jはオンであったと判定した場合(S18:YES)、又は、ステップS19を実行した後、切替え部40に指示して、溶断素子Fjの接続先をFET3jに切替えさせる(ステップS20)。切替え部40は、接続回路2のトランジスタTjをオフに切替えることによって、溶断素子Fjの接続先をFET3jに切替える。
【0091】
制御部43は、FET3iを介して電流が流れていないと判定した場合(S12:NO)、又は、ステップS20を実行した後、溶断素子Fiの溶断処理を終了し、負荷Eiの給電制御処理を終了する。
【0092】
<給電制御装置10の効果>
制御部43が出力部GiにFET3iのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、FET3iを介して電流が流れている場合、切替え部40は、溶断素子FiにFET3i,3jを接続し、FET3jをオンに切替える。結果、溶断素子Fiを介して流れる電流が基準電流以上の電流に上昇し、溶断素子Fiは溶断される。溶断素子Fiが溶断された後、切替え部40は、溶断素子Fjの接続先をFET3jに戻す。これにより、再び、溶断素子Fj及びFET3jを介して、負荷Ejに電力を供給することができる。
【0093】
(実施形態2)
実施形態1では、給電制御装置10が有するFETの数は2である。しかしながら、給電制御装置10が有するFETの数は、3以上であってもよい。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成は実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には、実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0094】
<電源システム1の構成>
図6は、実施形態2における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、2個の負荷E1,E2の代わりに、n個の負荷E1,E2,・・・,Enを備える。ここで、nは3以上の整数である。実施形態2において、自然数kは、n以下である任意の自然数を表す。自然数kは、1,2,・・・,n中のいずれであってもよい。
【0095】
給電制御装置10は、負荷Ekの一端に接続されている。負荷Ekの他端は接地されている。実施形態1と同様に、負荷Ekは電気機器である。負荷Ekに電力が供給された場合、負荷Ekは作動する。負荷Ekへの給電が停止した場合、負荷Ekは動作を停止する。
【0096】
実施形態2において、作動信号は、負荷E1,E2,・・・,Enの中で作動させる負荷を示す。停止信号は、負荷E1,E2,・・・,Enの中で動作を停止させる負荷を示す。給電制御装置10は、負荷Ekを示す作動信号が入力された場合、直流電源11及び負荷Ekを電気的に接続する。これにより、直流電源11は負荷Ekに電力を供給し、負荷Ekは作動する。給電制御装置10は、負荷Ekを示す停止信号が入力された場合、直流電源11及び負荷Ek間の電気的な接続を遮断する。これにより、負荷Ekへの給電が停止し、負荷Ekは動作を停止する。
以上のように、給電制御装置10は、負荷E1,E2,・・・,Enへの給電を制御する
【0097】
<給電制御装置10の構成>
実施形態2における給電制御装置10を、実施形態1における給電制御装置10と比較した場合、給電制御装置10が有するFET、電圧検出部及び駆動回路それぞれの数が異なる。実施形態2においては、給電制御装置10は、2つのNチャネル型のFET31,32の代わりに、n個のNチャネル型のFET31,32,・・・,3nを有する。給電制御装置10は、2つの電圧検出部B1,B2の代わりに、n個の電圧検出部B1,B2,・・・,Bnを有する。給電制御装置10は、2つの駆動回路D1,D2の代わりに、n個の駆動回路D1,D2,・・・,Dnを有する。給電制御装置10は、2つの溶断素子F1,F2の代わりに、n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fnを有する。
【0098】
FET3k、電圧検出部Bk、駆動回路Dk及び溶断素子Fkそれぞれは、実施形態1と同様に接続されている。
接続回路2は、溶断素子Fkを、n個のFET31,32,・・・,3n中の少なくとも1つに接続する。通常、接続回路2は、溶断素子F1,F2,・・・,FnそれぞれをFET31,32,・・・,3nに接続している。溶断素子Fkの接続先はマイコン4によって切替えられる。溶断素子Fkの接続先を切替えることは、FET3kの接続先を切替えることに相当する。
【0099】
マイコン4は駆動回路Dkにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。FET3k、溶断素子Fk、駆動回路Dk及び電圧検出部Bkは、実施形態1と同様に作用する。駆動回路Dkは、マイコン4から入力されている電圧に応じて、FET3kをオン又はオフに切替える。
【0100】
マイコン4は、実施形態1と同様に、溶断素子Fkの接続先がFET3kである状態で、駆動回路Dkに出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替えた場合、FET3kにおいてオン故障が発生しているか否かを判定する。
【0101】
マイコン4は、FET3kにおいてオン故障が発生していると判定した場合、溶断素子Fkの接続先を、FET3kから、FET3kと、FET3kとは異なる(n-1)個のFETの中でオフであるオフFETとに切替える。マイコン4は、溶断素子Fkの接続先を、FET3k及びオフFETに切替えた後、駆動回路に指示してオフFETをオンに切替えさせる。これにより、溶断素子Fkに流れる電流が基準電流以上の電流となり、溶断素子Fkが溶断される。
【0102】
マイコン4は、電圧検出部Bkから入力された電圧情報が示すソース電圧に基づいて、溶断素子Fkが溶断されたか否かを判定する。マイコン4は、溶断素子Fkが溶断されたと判定した場合、駆動回路に指示してオフFETをオフに切替えさせる。更に、マイコン4はオフFETの接続先を元の溶断素子に戻す。
【0103】
<マイコン4の構成>
図7はマイコン4の要部構成を示すブロック図である。実施形態2におけるマイコン4を実施形態1におけるマイコン4と比較した場合、出力部及びA/D変換部それぞれの数が異なる。実施形態2においては、マイコン4は、2つの出力部G1,G2の代わりに、n個の出力部G1,G2,・・・,Gnを有する。マイコン4は、2つのA/D変換部M1,M2の代わりに、n個のA/D変換部M1,M2,・・・,Mnを有する。
【0104】
切替え部40は接続回路2に接続されている。出力部Gk及びA/D変換部Mkそれぞれは、実施形態1と同様に接続されている。
接続回路2は図示しない複数のスイッチを有する。切替え部40は、接続回路2が有する複数のスイッチを各別にオン又はオフに切替えることによって、溶断素子Fkの下流側の一端の接続先を切替える。
【0105】
制御部43は、溶断素子Fkの接続先を、FET3k及びオフFETに切替えることを切替え部40に指示する。また、制御部43は、溶断素子Fkの接続先をFET3kに切替えることを切替え部40に指示する。切替え部40は、制御部43の指示に従って、接続回路2が有する複数のスイッチを各別にオン又はオフに切替える。
出力部Gk及びA/D変換部Mkそれぞれは、実施形態1と同様に作用する。
【0106】
制御部43の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、負荷E1,E2,・・・,Enそれぞれの給電を制御するn個の給電制御処理等を並行して実行する。負荷Ekの給電制御処理では、溶断素子Fkの溶断処理が実行される。
【0107】
<負荷Eiの給電制御処理>
実施形態2においては、自然数iは、n以下の任意の自然数を表す。自然数iは、1,2,・・・,n中のいずれであってもよい。前述したように、nは3以上の整数である。制御部43は、溶断素子F1,F2,・・・,Fnそれぞれが、FET31,32,・・・,3nに接続されている状態で負荷Eiの給電制御処理を実施形態1と同様に実行する。
【0108】
<溶断素子Fiの溶断処理>
図8は溶断素子Fiの溶断処理の手順を示すフローチャートである。制御部43は、溶断素子F1,F2,・・・,FnそれぞれがFET31,32,・・・,3nに接続されており、かつ、FET3iのオフへの切替えが指示されている状態で溶断素子Fiの溶断処理を実行する。
【0109】
実施形態2において、FET3iは、実施形態1と同様に第1FETとして機能する。n個のFET31,32,・・・,3nの中で、FET3iと異なる(n-1)個のFETそれぞれは第2FETとして機能する。前述したようにnは3以上の整数であるので、第2FETの数は2以上である。負荷Eiは、実施形態1と同様に第1負荷として機能する。n個の負荷E1,E2,・・・,Enの中で、負荷Eiと異なる(n-1)個の負荷それぞれは第2負荷として機能する。n個の溶断素子F1,F2,・・・,Fnの中で、溶断素子Fiとは異なる(n-1)個の溶断素子それぞれは第2の溶断素子として機能する。溶断素子Fiの基準電流は、実施形態1と同様に所定電流に相当する。溶断素子Fとは異なる(n-1)個の溶断素子それぞれの基準電流は第2の所定電流に相当する。
【0110】
溶断素子Fiの溶断処理では、制御部43は、まず、A/D変換部Miから電圧情報を取得し(ステップS31)、取得した電圧情報が示すFET3iのソース電圧に基づいて、実施形態1における溶断処理のステップS12と同様に、FET3iを介して電流が流れているか否かを判定する(ステップS32)。ステップS31の実行が終了した時点において、FET3iを介して電流が流れていることは、FET3iにおいてオン故障が発生していることを意味する。
【0111】
制御部43は、FET3iを介して電流が流れていると判定した場合(S32:YES)、FET3iとは異なる(n-1)個のFETの中でオフであるオフFETを選択する(ステップS33)。ステップS33では、制御部43は、FET3iとは異なる(n-1)個のFETの中でオフである全てのオフFETを選択しなくてもよい。ステップS33では、制御部43は、少なくとも1つのオフFETを選択すればよい。以下では、制御部43が選択するオフFETの数が1である例を説明する。
【0112】
次に、制御部43は、切替え部40に指示して、溶断素子Fiの接続先を、FET3iと、ステップS33で選択したオフFETとに切替えさせる(ステップS34)。制御部43は、ステップS34を実行させた後、ステップS33で選択したオフFETのオンへの切替えを出力部に指示する(ステップS35)。これにより、出力部は、駆動回路に出力している電圧をハイレベル電圧に切替え、駆動回路はオフFETをオンに切替える。これにより、溶断素子Fiを介して流れる電流が基準電流以上の電流となる。溶断素子Fiの基準電流は、FET3iがオンである場合においてFET3iを介して流れる電流を超えており、かつ、FET3iとオフFETがオンである場合において、FET3i及びオフFETを介して流れる電流の合計値以下である。
【0113】
ここで述べた出力部及び駆動回路は、ステップS33で選択したオフFETに対応する出力部及び駆動回路である。例えば、ステップS33で選択したオフFETがFET3uである場合、制御部43は、ステップS35において、FET3uのオンへの切替えを出力部Guに指示する。駆動回路DuはFET3uをオンに切替える。ここで、uは、自然数iとは異なるn以下の自然数である。FET3uがオンに切替わった場合、負荷Euが作動する。結果、車両の乗員にオン故障の発生が報知される。
【0114】
制御部43は、ステップS35を実行した後、A/D変換部Miから電圧情報を取得する(ステップS36)。制御部43は、ステップS36で取得した電圧情報が示すFET3iのソース電圧に基づいて、実施形態1における溶断処理のステップS17と同様に、溶断素子Fiが溶断されたか否かを判定する(ステップS37)。
【0115】
なお、ステップS37では、溶断素子Fiの接続先はFET3i及びオフFETである。このため、制御部43は、オフFETのソース電圧に基づいて溶断素子Fiが溶断されているか否かを判定することができる。以上のことから、制御部43は、ステップS36で、オフFETに対応するA/D変換部から電圧情報を取得してもよい。この場合、ステップS37では、制御部43は、ステップS36で取得した電圧情報が示すオフFETのソース電圧に基づいて溶断素子Fiが溶断されているか否かを判定する。
【0116】
制御部43は、溶断素子Fiが溶断されていないと判定した場合(S37:NO)、再び、ステップS36を実行し、溶断素子Fiが溶断されるまで待機する。制御部43は、溶断素子Fiが溶断されていると判定した場合(S37:YES)、ステップS33で選択したオフFETのオフへの切替えを出力部に指示する(ステップS38)。これにより、出力部は、駆動回路に出力している電圧をローレベル電圧に切替え、駆動回路はオフFETをオフに切替える。ここで述べた出力部及び駆動回路は、ステップS33で選択したオフFETに対応する出力部及び駆動回路である。
【0117】
制御部43は、ステップS38を実行した後、切替え部40に指示して、ステップS33で選択したオフFETの接続先を元の溶断素子に戻させる(ステップS39)。ステップS33で選択したオフFETがFET3uである場合、ステップS39では、制御部43は、切替え部40に指示して、溶断素子Fuの接続先をFET3uに切替えさせる。前述したように、uは、自然数iとは異なるn以下の自然数である。
【0118】
制御部43は、FET3iを介して電流が流れていないと判定した場合(S32:NO)、又は、ステップS39を実行した後、溶断素子Fiの溶断処理を終了し、負荷Eiの給電制御処理を終了する。
【0119】
なお、ステップS33において、FET3iとは異なる(n-1)個のFETがオンである場合、FET3iとは異なる(n-1)個のFET中の1つを選択する。この場合、ステップS34において、制御部43は、切替え部40に指示して、溶断素子Fiの接続先を、FET3iと、ステップS33で選択したFETとに切替えさせる。制御部43はステップS35,S38の実行を省略する。
【0120】
<給電制御装置10の効果>
溶断素子Fiを溶断する場合、FET3iとは異なる(n-1)個のFETの中でオフであるオフFETを溶断素子Fiに接続し、オフFETをオンに切替える。従って、FET3iを介して電流が流れていると判定した時点においてFET3iとは異なる全てのFETがオンでない限り、作動中の負荷への給電が途切れることはない。
実施形態2における給電制御装置10は、実施形態1における給電制御装置10が奏する効果を同様に奏する。
【0121】
<変形例>
実施形態1,2において、オン故障が発生しているFETについて、オンへの切替えが指示されている場合の電流がオフへの切替えが指示されている場合の電流よりも大きい可能性がある。このため、実施形態1,2における溶断処理において、制御部43は、FET3iのオフへの切替えを出力部Giに指示しているにも関わらず、FET3iを介して電流が流れていると判定した場合、FET3iのオンへの切替えを出力部Giに指示してもよい。これにより、溶断素子Fiを確実に溶断することができる。
【0122】
実施形態1,2において、FET3iを介して電流が流れているか否かの判定方法は、FET3iのソース電圧に基づいて行う方法に限定されない。制御部43は、FET3iのドレイン及びソースを介して流れる電流に基づいて、FET3iを介して電流が流れているか否かを判定してもよい。制御部43は、FET3iのドレイン及びソースを介して流れる電流が実質的にゼロAである場合、FET3iを介して電流が流れていないと判定する。制御部43は、FET3iのドレイン及びソースを介して流れる電流がゼロAを超えている場合、FET3iを介して電流が流れていると判定する。
【0123】
実施形態1,2において、溶断素子Fiが溶断されたか否かの判定方法は、溶断素子Fiに接続されているFETのソース電圧に基づいて行う方法に限定されない。制御部43は、溶断素子Fiに接続されているFETのドレイン及びソースを介して流れる電流に基づいて、溶断素子Fiが溶断されたか否かを判定してもよい。制御部43は、FETのドレイン及びソースを介して流れる電流が実質的にゼロAである場合、溶断素子Fiが溶断されたと判定する。制御部43は、FETのドレイン及びソースを介して流れる電流がゼロAを超えている場合、溶断素子Fiが溶断されていないと判定する。
【0124】
実施形態1,2において、制御部43が溶断処理を実行するタイミングは、給電制御処理において、FET3iがオフに切替わったタイミングに限定されない。例えば、車両のイグニッションスイッチがオンに切替わった直後、又は、イグニッションスイッチがオフに切替わる直前に溶断処理が実行されてもよい。実施形態1,2において、FET3kは半導体スイッチとして機能すればよい。このため、FET3kの代わりに、Pチャネル型のFET又はバイポーラトランジスタが用いられてもよい。
【0125】
開示された実施形態1,2はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
1 電源システム
2 接続回路
4 マイコン
10 給電制御装置
11 直流電源
21,22 リレー
21a,22a COM端子
21b,22b NC端子
21c,22c NO端子
21d,22d 導体
21e,22e コイル
31,32,・・・,3n FET(第1FET、第2FET)
40 切替え部
41 入力部
42 記憶部
43 制御部(処理部)
44 内部バス
A 記憶媒体
B1,B2,・・・,Bn 電圧検出部
D1,D2,・・・,Dn 駆動回路
E1,E2,・・・,En 負荷
F1,F2,・・・,Fn 溶断素子(第2の溶断素子)
G1,G2,・・・,Gn 出力部
M1,M2,・・・,Mn A/D変換部
P コンピュータプログラム
R1,R2,・・・,Rn 抵抗
T1,T2 トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8