(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電子部品及び電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 311E
H01G4/30 513
H01G4/30 517
(21)【出願番号】P 2020106938
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 伸也
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-091805(JP,A)
【文献】特開2015-035631(JP,A)
【文献】特開2009-158662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
前記素体に配置されている外部電極と、
電気絶縁性を有する樹脂からなる樹脂塊と、を備え、
前記外部電極は、導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層上に配置されているめっき層と、を有し、
前記樹脂塊は、前記導電性樹脂層の表面の一部上
に位置すると共に当該一部を覆っており、
前記導電性樹脂層の表面は、前記樹脂塊と接している領域と、前記めっき層と接している領域とを有し、
前記樹脂塊の表面は、前記めっき層から露出している、電子部品。
【請求項2】
前記素体は、実装面を構成する主面と、前記主面と隣り合う端面と、を有しており、
前記樹脂塊は、前記端面上に位置している、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記端面の面積に対する前記樹脂塊の前記表面の露出面積の比は、0.000001~0.1である、請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記樹脂塊の厚みは、1μm以上100μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記樹脂塊に含まれる樹脂は、前記導電性樹脂層に含まれる樹脂と同じである、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項6】
電子部品の製造方法であって、
前記電子部品は、
素体と、
前記素体に配置されている外部電極と、を備え、
前記外部電極は、導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層上に配置されているめっき層と、を有し、
前記導電性樹脂層の表面の一部上には、電気絶縁性を有する樹脂からなる樹脂塊が位置しており、
前記樹脂塊の表面は、前記めっき層から露出しており、
前記製造方法は、
導電性樹脂ペーストからなるペースト膜を前記素体に形成し、前記ペースト膜の前記導電性樹脂ペーストを硬化させることによって、前記導電性樹脂層を形成する工程と、
前記導電性樹脂層に前記めっき層を形成する工程と、を含み、
前記導電性樹脂ペーストが硬化する前に、
前記ペースト膜の表面に有機溶剤を付与し、前記導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂によって、前記ペースト膜の表面上に前記樹脂塊となる樹脂溜まりを形成する、電子部品の製造方法。
【請求項7】
電子部品の製造方法であって、
前記電子部品は、
素体と、
前記素体に配置されている外部電極と、を備え、
前記外部電極は、導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層上に配置されているめっき層と、を有し、
前記導電性樹脂層の表面の一部上には、電気絶縁性を有する樹脂からなる樹脂塊が位置しており、
前記樹脂塊の表面は、前記めっき層から露出しており、
前記製造方法は、
導電性樹脂ペーストからなるペースト膜を前記素体に形成し、前記ペースト膜の前記導電性樹脂ペーストを硬化させることによって、前記導電性樹脂層を形成する工程と、
前記導電性樹脂層に前記めっき層を形成する工程と、を含み、
前記導電性樹脂ペーストが硬化する前に、前記導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂によって、前記ペースト膜の表面上に前記樹脂塊となる樹脂溜まりを形成し
、
前記導電性樹脂ペーストに含まれる前記樹脂が、熱硬化性樹脂であり、
前記導電性樹脂ペーストを熱硬化させる際に、前記導電性樹脂ペーストに含まれる前記樹脂を前記ペースト膜の表面に滲み出させることによって、前記樹脂溜まりを形成する、電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記ペースト膜が形成された前記素体を載置する基材を用意し、
前記ペースト膜の一部と前記基材との間に微小隙間が生じるように、前記ペースト膜が形成された前記素体を前記基材に載置し、
軟化した前記樹脂を毛細管現象により前記微小隙間に広がらせることによって、前記樹脂溜まりを形成する、請求項
7に記載の電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記微小隙間は、100μm以下である、請求項
8に記載の電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記素体は、実装面を構成する主面と、前記主面と隣り合う端面と、を有しており、
前記樹脂塊は、前記端面上に位置している、請求項6~9のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記端面の面積に対する前記樹脂塊の前記表面の露出面積の比は、0.000001~0.1である、請求項10に記載の電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記樹脂塊の厚みは、1μm以上100μm以下である、請求項6~11のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記樹脂塊に含まれる樹脂は、前記導電性樹脂層に含まれる樹脂と同じである、請求項6~12のいずれか一項に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一つの態様は、電子部品に関する。本発明の別の一つの態様は、電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
素体と、素体に配置されている外部電極と、を備えている電子部品が知られている(たとえば、特許文献1参照)。外部電極は、導電性樹脂層と、導電性樹脂層上に配置されているめっき層と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導電性樹脂層は、一般に、樹脂と、導電性を有する金属粒子とを含んでいる。樹脂は、水分を吸収する傾向にある。電子部品が電子機器にはんだ実装される場合、樹脂に吸収された水分がガス化して、体積膨張することがある。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。この場合、導電性樹脂層に応力が作用して、焼結金属層から剥離するおそれがある。
【0005】
本発明の一つの態様は、導電性樹脂層が焼結金属層から剥離するのを抑制する電子部品を提供することを目的とする。本発明の別の一つの態様は、導電性樹脂層が焼結金属層から剥離するのを抑制する電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様に係る電子部品は、素体と、素体に配置されている外部電極と、を備えている。外部電極は、導電性樹脂層と、導電性樹脂層上に配置されているめっき層と、を有している。導電性樹脂層の表面の一部上には、電気絶縁性を有する樹脂からなる樹脂塊が位置している。樹脂塊の表面は、めっき層から露出している。
【0007】
上記一つの態様では、樹脂塊が、めっき層から露出しているので、電子部品が電子機器にはんだ実装される際に、樹脂に吸収された水分がガス化する場合でも、水分から発生するガスは、導電性樹脂層から樹脂塊を通して外部電極外に移動する。すなわち、水分から発生するガスは、樹脂塊(樹脂塊の表面)から排出される。したがって、導電性樹脂層に応力が作用しがたい。この結果、上記一つの態様は、導電性樹脂層の剥離を抑制する。
【0008】
上記一つの態様では、素体が、実装面を構成する主面と、主面と隣り合う端面と、を有していてもよい。この場合、樹脂塊が、端面上に位置していてもよい。
電子部品が電子機器にはんだ実装される場合、主面は、電子機器と対向するものの、端面は、電子機器とは対向しない。したがって、樹脂塊が端面上に位置している構成は、水分から発生するガスが樹脂塊(樹脂塊の表面)から排出されるのを阻害しがたい。この結果、本構成では、水分から発生するガスが導電性樹脂層から確実に排出される。
【0009】
上記一つの態様では、端面の面積に対する樹脂塊の表面の露出面積の比は、0.000001~0.1であってもよい。
上記比が、0.000001以上である構成では、水分から発生するガスが導電性樹脂層から確実に排出される。上記比が、0.1以下である構成は、樹脂塊の表面から導電性樹脂層に浸入する水分の増加を抑制する。
【0010】
上記一つの態様では、樹脂塊の厚みは、1μm以上100μm以下であってもよい。
樹脂塊の厚みが、1μm以上である構成では、水分から発生するガスが導電性樹脂層から確実に排出される。樹脂塊の厚みが、100μm以下である構成では、樹脂塊がはんだ実装の妨げになりがたく、かつ、導電性樹脂層が応力緩和効果を確実に発揮する。
【0011】
上記一つの態様では、樹脂塊に含まれる樹脂は、導電性樹脂層に含まれる樹脂と同じであってもよい。
この場合、導電性樹脂層の剥離を抑制する電子部品が、簡易かつ低コストで得られる。
【0012】
別の一つの態様に係る電子部品の製造方法は、上記一つの態様の電子部品の製造方法である。上記別の一つの態様は、導電性樹脂ペーストからなるペースト膜を素体に形成し、ペースト膜の導電性樹脂ペーストを硬化させることによって、導電性樹脂層を形成する工程と、導電性樹脂層にめっき層を形成する工程と、を含んでいる。上記別の一つの態様では、導電性樹脂ペーストが硬化する前に、導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂によって、ペースト膜の表面上に樹脂塊となる樹脂溜まりを形成する。
【0013】
上記別の一つの態様では、導電性樹脂ペーストからなるペースト膜の表面上に形成される樹脂溜まりから樹脂塊が得られる。導電性樹脂層にめっき層が形成される場合、樹脂塊の表面には、めっき層が形成されがたい。したがって、樹脂塊の表面が、めっき層から露出する。この結果、上記別の一つの態様によって得られる電子部品は、上述したように、導電性樹脂層の剥離を抑制する。
上記別の一つの態様では、樹脂溜まりが、導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂によって形成されるので、樹脂溜まりを形成するための樹脂を新たに用意する必要はない。したがって、導電性樹脂層の剥離を抑制する電子部品が、簡易かつ低コストで得られる。
【0014】
上記別の一つの態様では、導電性樹脂ペーストを硬化させる前に、ペースト膜の表面に有機溶剤を付与することによって、樹脂溜まりを形成してもよい。
この場合、樹脂溜まりが、確実かつ簡易に形成される。
【0015】
上記別の一つの態様では、導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよい。この場合、導電性樹脂ペーストを熱硬化させる際に、導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂をペースト膜の表面に滲み出させることによって、樹脂溜まりを形成してもよい。
この場合、樹脂溜まりが、確実かつ簡易に形成される。
【0016】
上記別の一つの態様では、ペースト膜が形成された素体を載置する基材を用意してもよい。この場合、ペースト膜の一部と基材との間に微小隙間が生じるように、ペースト膜が形成された素体を基材に載置してもよい。軟化した樹脂を毛細管現象により微小隙間に広がらせることによって、樹脂溜まりを形成してもよい。
この場合、樹脂溜まりが、より一層確実かつ簡易に形成される。
【0017】
上記別の一つの態様では、微小隙間は、100μm以下であってもよい。
この場合、軟化した樹脂が毛細管現象により確実に微小隙間に広がる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一つの態様は、導電性樹脂層が焼結金属層から剥離するのを抑制する電子部品を提供する。本発明の別の一つの態様は、導電性樹脂層が焼結金属層から剥離するのを抑制する電子部品の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る積層コンデンサの端面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
【
図5】
図5は、外部電極の断面構成を示す図である。
【
図6】
図6は、外部電極の断面構成を示す模式図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る積層コンデンサの実装構造を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る積層コンデンサの製造過程を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る積層コンデンサの製造過程を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る積層コンデンサの製造過程を示す模式図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る積層コンデンサの製造過程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
図1~
図6を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。
図2は、本実施形態に係る積層コンデンサの端面図である。
図3及び
図4は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図5は、外部電極の断面構成を示す図である。
図6は、外部電極の断面構成を示す模式図である。本実施形態では、電子部品は、たとえば、積層コンデンサC1である。
図5及び
図6では、断面を表すハッチングが省略されている。
【0022】
積層コンデンサC1は、
図1に示されるように、直方体形状を呈している素体3と、複数の外部電極5と、を備えている。本実施形態では、積層コンデンサC1は、一対の外部電極5を備えている。一対の外部電極5は、素体3の外表面に配置されている。一対の外部電極5は、互いに離間している。直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。
【0023】
素体3は、互いに対向している一対の主面3aと、互いに対向している一対の側面3cと、互いに対向している一対の端面3eと、を有している。一対の主面3a、一対の側面3c、及一対の端面3eは、長方形状を呈している。一対の主面3aが対向している方向が、第一方向D1である。一対の側面3cが対向している方向が、第二方向D2である。一対の端面3eが対向している方向が、第三方向D3である。積層コンデンサC1は、電子機器にはんだ実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。積層コンデンサC1では、一方の主面3aが、電子機器と対向する。一方の主面3aは、実装面を構成するように配置される。一方の主面3aは、実装面である。
【0024】
第一方向D1は、各主面3aに直交する方向であり、第二方向D2と直交している。第三方向D3は、各主面3aと各側面3cとに平行な方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。第二方向D2は、各側面3cに直交する方向であり、第三方向D3は、各端面3eに直交する方向である。本実施形態では、素体3の第三方向D3での長さは、素体3の第一方向D1での長さより大きく、かつ、素体3の第二方向D2での長さより大きい。第三方向D3が、素体3の長手方向である。素体3の第一方向D1での長さと素体3の第二方向D2での長さとは、互いに同等であってもよい。素体3の第一方向D1での長さと素体3の第二方向D2での長さとは、互いに異なっていてもよい。
【0025】
素体3の第一方向D1での長さは、素体3の高さである。素体3の第二方向D2での長さは、素体3の幅である。素体3の第三方向D3での長さは、素体3の長さである。本実施形態では、素体3の高さは、0.5~2.5mmであり、素体3の幅は、0.5~5.0mmであり、素体3の長さは、1.0~5.7mmである。たとえば、素体3の高さは、2.5mmであり、素体3の幅は、2.5mmであり、素体3の長さは、3.2mmである。
【0026】
一対の側面3cは、一対の主面3aを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面3cは、第三方向D3にも延在している。一対の端面3eは、一対の主面3aを連結するように第一方向D1に延在している。一対の端面3eは、第二方向D2にも延在している。
【0027】
素体3は、四つの稜線部3gと、四つの稜線部3iと、四つの稜線部3jと、を有している。稜線部3gは、端面3eと主面3aとの間に位置している。稜線部3iは、端面3eと側面3cとの間に位置している。稜線部3jは、主面3aと側面3cとの間に位置している。本実施形態では、各稜線部3g,3i,3jは、湾曲するように丸められている。素体3には、いわゆるR面取り加工が施されている。端面3eと主面3aとは、稜線部3gを介して、間接的に隣り合っている。端面3eと側面3cとは、稜線部3iを介して、間接的に隣り合っている。主面3aと側面3cとは、稜線部3jを介して、間接的に隣り合っている。
【0028】
素体3は、第一方向D1に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体3は、積層されている複数の誘電体層を有している。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第一方向D1と一致する。各誘電体層は、たとえば、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成されている。誘電体材料は、たとえば、BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体セラミックを含む。実際の素体3では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2と一致していてもよい。
【0029】
積層コンデンサC1は、
図3及び
図4に示されるように、複数の内部電極7と複数の内部電極9とを備えている。各内部電極7,9は、素体3内に配置されている内部導体である。各内部電極7,9は、積層型電子部品の内部電極として通常用いられる導電性材料からなる。導電性材料は、たとえば、卑金属を含む。導電性材料は、たとえば、Ni又はCuを含む。内部電極7,9は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、内部電極7,9は、Niからなる。
【0030】
内部電極7と内部電極9とは、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、素体3内において、第一方向D1に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、互いに極性が異なる。複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2である場合、内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置される。内部電極7,9の一端は、対応する端面3eに露出している。内部電極7,9は、対応する端面3eに露出している一端を有している。
【0031】
複数の内部電極7と複数の内部電極9とは、第一方向D1で交互に並んでいる。各内部電極7,9は、主面3aと略平行な面内に位置している。内部電極7と内部電極9とは、第一方向D1で互いに対向している。内部電極7と内部電極9とが対向している方向(第一方向D1)は、主面3aと平行な方向(第二方向D2及び第三方向D3)と直交している。複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2である場合、複数の内部電極7と複数の内部電極9とは、第二方向D2で交互に並ぶ。この場合、各内部電極7,9は、主面3aと略直交している面内に位置する。内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2で互いに対向する。
【0032】
外部電極5は、
図1に示されるように、素体3の第三方向D3での両端部にそれぞれ配置されている。各外部電極5は、素体3における、対応する端面3e側に配置されている。外部電極5は、少なくとも、端面3eと、側面でもある主面3aとに配置されている。本実施形態では、各外部電極5は、一対の主面3a、一対の側面3c、及び一つの端面3eに配置されている。外部電極5は、
図2~
図4に示されるように、複数の電極部5a,5c,5eを有している。電極部5aは、主面3a上及び稜線部3g上に配置されている。各電極部5cは、側面3c上及び稜線部3i上に配置されている。電極部5eは、端面3e上に配置されている。外部電極5は、稜線部3j上に配置されている電極部も有している。
【0033】
外部電極5は、一対の主面3a、一つの端面3e、及び一対の側面3cの五つの面、並びに、稜線部3g,3i,3jに形成されている。互いに隣り合う電極部5a,5c,5eは、接続されており、電気的に接続されている。電極部5eは、対応する内部電極7,9の一端をすべて覆っている。電極部5eは、対応する内部電極7,9と直接的に接続されている。外部電極5は、対応する内部電極7,9と電気的に接続されている。外部電極5は、
図4及び
図5に示されるように、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。第四電極層E4は、外部電極5の最外層を構成している。各電極部5a,5c,5eは、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。
【0034】
電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3g上に配置されており、主面3a上には配置されていない。電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3gの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、主面3aに形成されていない。電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3gの全体と接している。主面3aは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。電極部5aの第一電極層E1は、主面3a上に配置されていてもよい。この場合、電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部と稜線部3gの全体とを覆うように形成される。すなわち、電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部とも接する。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。
【0035】
電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び主面3a上に配置されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、主面3aの一部と接している。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aは、稜線部3g上では四層構造を有しており、主面3a上では三層構造を有している。電極部5aの第二電極層E2は、稜線部3gの全体と主面3aの一部とを覆うように形成されている。上述したように、主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3gの全体と主面3aの一部とを間接的に覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、主面3aの一部を直接覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、稜線部3gに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5aの第一電極層E1が、主面3a上に配置されている場合、電極部5aは、主面3a及び稜線部3g上で四層構造を有する。
【0036】
電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3i上に配置されており、側面3c上には配置されていない。電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3iの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、側面3cに形成されていない。電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3iの全体と接している。側面3cは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。電極部5cの第一電極層E1は、側面3c上に配置されていてもよい。この場合、電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部と稜線部3iの全体とを覆うように形成される。すなわち、電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部とも接する。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部領域である。
【0037】
電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び側面3c上に配置されている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、側面3cの一部と接している。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5cは、稜線部3i上では四層構造を有しており、側面3c上では三層構造を有している。電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iの全体と側面3cの一部とを覆うように形成されている。上述したように、側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3iの全体と側面3cの一部とを間接的に覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、側面3cの一部を直接覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5cの第一電極層E1が、側面3c上に配置されている場合、電極部5cは、側面3c上及び稜線部3i上で四層構造を有する。
【0038】
電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iの一部と側面3cの一部とを覆うように形成されていてもよい。稜線部3iの一部は、たとえば、稜線部3iにおける主面3a寄りの一部領域である。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける主面3a及び端面3e寄りの角領域である。この場合、電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と稜線部3iとの間に位置するように、稜線部3iの一部を間接的に覆う。電極部5cの第二電極層E2は、側面3cの一部を直接覆う。電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1における稜線部3iに形成されている部分の一部を直接覆う。すなわち、電極部5cは、第一電極層E1が第二電極層E2から露出している領域と、第一電極層E1が第二電極層E2で覆われている領域と、を有する。電極部5cの第二電極層E2が、稜線部3iの一部と側面3cの一部とを覆うように形成されている場合、上述したように、内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されていてもよい。
【0039】
電極部5eの第一電極層E1は、端面3e上に配置されている。端面3eの全体が、第一電極層E1に覆われている。電極部5eの第一電極層E1は、端面3eの全体と接している。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1上に配置されている。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。電極部5eの第二電極層E2は、端面3eの全体を覆うように形成されている。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と端面3eとの間に位置するように、端面3eの全体を間接的に覆っている。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5eでは、第一電極層E1は、対応する内部電極7,9の一端と接続されるように端面3eに形成されている。
【0040】
電極部5eの第二電極層E2は、端面3eの一部を覆うように形成されていてもよい。端面3eの一部は、たとえば、端面3eにおける主面3a寄りの一部領域である。この場合、電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と端面3eとの間に位置するように、端面3eの一部を間接的に覆う。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1における端面3eに形成されている部分の一部を直接覆う。すなわち、電極部5eは、第一電極層E1が第二電極層E2から露出している領域と、第一電極層E1が第二電極層E2で覆われている領域と、を有する。電極部5cの第二電極層E2が、端面3eの一部を覆うように形成されている場合、上述したように、内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されていてもよい。
【0041】
第一電極層E1は、素体3の表面に付与された導電性ペーストを焼き付けることにより形成されている。第一電極層E1は、一つの端面3e及び稜線部3g,3i,3jを覆うように形成されている。第一電極層E1は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結することにより形成されている。第一電極層E1は、焼結金属層である。第一電極層E1は、素体3に形成された焼結金属層である。本実施形態では、第一電極層E1は、Cuからなる焼結金属層である。第一電極層E1は、Niからなる焼結金属層であってもよい。第一電極層E1は、卑金属を含んでいる。導電性ペーストは、たとえば、Cu又はNiからなる粉末、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を含んでいる。各電極部5a,5c,5eが有している第一電極層E1は、一体的に形成されている。
【0042】
第二電極層E2は、第一電極層E1上に付与された導電性樹脂ペーストを硬化させることにより形成されている。第二電極層E2は、第一電極層E1上と素体3上とに形成されている。第二電極層E2は、第一電極層E1上と素体3上とに連続して形成されている。第一電極層E1は、第二電極層E2を形成するための下地金属層である。第二電極層E2は、第一電極層E1を覆う導電性樹脂層である。導電性樹脂ペーストは、たとえば、電気絶縁性を有する樹脂、導電性フィラー、及び有機溶媒を含んでいる。樹脂は、たとえば、熱硬化性樹脂である。導電性フィラーは、たとえば、金属粉末である。金属粉末は、たとえば、Ag粉末又はCu粉末である。熱硬化性樹脂は、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂である。第二電極層E2は、稜線部3jの一部と接している。各電極部5a,5c,5eが有している第二電極層E2は、一体的に形成されている。
【0043】
第二電極層E2は、
図6に示されるように、複数の導電性フィラーFLと、電気絶縁性を有する樹脂Rとを含んでいる。導電性フィラーFLは、たとえば、上述した金属粉末である。複数の導電性フィラーFLは、第二電極層E2内に、複数の導電経路を形成している。複数の導電性フィラーFLのうち一部の導電性フィラーFLは、第一電極層E1と接している。複数の導電性フィラーFLのうち別の一部の導電性フィラーFLは、第二電極層E2の表面に露出している。第二電極層E2の表面に露出している導電性フィラーFLは、第三電極層E3と接している。複数の導電性フィラーFLは、第一電極層E1と第三電極層E3とを電気的に接続している。
【0044】
第三電極層E3は、第二電極層E2上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第三電極層E3は、第二電極層E2上にNiめっきにより形成されている。第三電極層E3は、Niめっき層である。第三電極層E3は、Snめっき層、Cuめっき層、又はAuめっき層であってもよい。第三電極層E3は、Ni、Sn、Cu、又はAuを含んでいる。Niめっき層は、第二電極層E2に含まれる金属よりも耐はんだ喰われ性に優れている。第三電極層E3は、第二電極層E2を覆っている。
【0045】
第四電極層E4は、第三電極層E3上にめっき法により形成されている。第四電極層E4は、はんだめっき層である。本実施形態では、第四電極層E4は、第三電極層E3上にSnめっきにより形成されている。第四電極層E4は、Snめっき層である。第四電極層E4は、Sn-Ag合金めっき層、Sn-Bi合金めっき層、又はSn-Cu合金めっき層であってもよい。第四電極層E4は、Sn、Sn-Ag合金、Sn-Bi合金、又はSn-Cu合金を含んでいる。
【0046】
第三電極層E3と第四電極層E4とは、第二電極層E2に形成されるめっき層PLを構成している。本実施形態では、めっき層PLは、二層構造を有している。めっき層PLは、第二電極層E2を覆っている。第三電極層E3は、最外層を構成する第四電極層E4と、第二電極層E2との間に位置している中間めっき層である。各電極部5a,5c,5eが有している第三電極層E3は、一体的に形成されている。各電極部5a,5c,5eが有している第四電極層E4は、一体的に形成されている。
【0047】
積層コンデンサC1は、
図1に示されるように、複数の樹脂塊21を備えている。本実施形態では、積層コンデンサC1は、二つの樹脂塊21を備えている。樹脂塊21は、外部電極5に配置されている。本実施形態では、樹脂塊21は、
図2にも示されるように、電極部5eに配置されている。各電極部5eに、一つの樹脂塊21が配置されている。樹脂塊21は、端面3e上に位置している。本実施形態では、端面3eの中央部上に位置している。
【0048】
樹脂塊21は、
図6に示されるように、第二電極層E2の表面の一部上に位置している。樹脂塊21は、第二電極層E2の表面の上記一部を覆っている。第二電極層E2の表面は、樹脂塊21と接している領域と、めっき層PL(第三電極層E3)と接している領域とを有している。樹脂塊21の表面は、めっき層PLから露出している。めっき層PLには、樹脂塊21が露出している位置に、開口PLaが形成されている。樹脂塊21と接している導電性フィラーFLは、めっき層PL(第三電極層E3)と直接接していない。
【0049】
樹脂塊21は、電気絶縁性を有する樹脂からなる。樹脂塊21に含まれる樹脂は、たとえば、熱硬化性樹脂である。この熱硬化性樹脂は、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂である。本実施形態では、樹脂塊21に含まれる樹脂は、第二電極層E2に含まれる樹脂Rと同じである。樹脂塊21に含まれる樹脂は、第二電極層E2に含まれる樹脂Rと連続していてもよい。すなわち、樹脂塊21に含まれる樹脂は、第二電極層E2に含まれる樹脂Rと一体化していてもよい。
【0050】
端面3eの面積に対する樹脂塊21の表面の露出面積の比Raは、0.000001~0.1である。すなわち、比Raは、「樹脂塊21の表面の露出面積(μm2)/端面3eの面積(μm2)」により規定される。
端面3eの面積は、たとえば、250000~12500000μm2である。端面3eの面積は、たとえば、チップサイズが「5750」である場合、略12500000μm2であり、チップサイズが「1005」である場合、略250000μm2である。
樹脂塊21の表面の露出面積は、たとえば、1μm2以上250000μm2以下である。樹脂塊21の表面の露出面積は、たとえば、略150μm2である。樹脂塊21の表面の露出面積は、樹脂塊21の、開口PLaから露出する領域を、端面3eに直交する方向(第三方向D3)から見たときの面積である。この場合、樹脂塊21の表面の露出面積は、たとえば、開口PLaの面積で規定される。樹脂塊21の表面の露出面積は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
樹脂塊21の表面を含む外部電極5(電極部5e)の表面の写真を取得する。取得した写真をソフトウェアにより画像処理を行い、開口PLaの境界を判別し、取得した写真上での開口PLaの面積を求める。
【0051】
樹脂塊21の厚みは、1μm以上100μm以下である。本実施形態では、樹脂塊21の厚みは、略5μmである。樹脂塊21の厚みは、たとえば、樹脂塊21の最大厚みで規定される。樹脂塊21の厚みは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
樹脂塊21が存在している位置での、外部電極5(電極部5e)の断面写真を取得する。断面写真は、電極部5eを端面3eに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。断面写真は、たとえば、互いに対向している一対の面(たとえば、一対の側面3c)に平行であり、かつ、当該一対の面から等距離に位置している平面で切断したときの電極部5eの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、樹脂塊21の境界を判別し、端面3eに直交する方向での樹脂塊21の最大厚みを求める。
【0052】
次に、
図7を参照して、積層コンデンサC1の実装構造を説明する。
図7は、本実施形態に係る積層コンデンサの実装構造を示す図である。
【0053】
図7に示されるように、電子部品装置は、積層コンデンサC1と、電子機器EDと、を備えている。電子機器EDは、たとえば、回路基板又は電子部品である。積層コンデンサC1は、電子機器EDにはんだ実装されている。電子機器EDは、主面EDaと、二つのパッド電極PE1,PE2とを有している。各パッド電極PE1,PE2は、主面EDaに配置されている。二つのパッド電極PE1,PE2は、互いに離間している。積層コンデンサC1は、実装面である主面3aと主面EDaとが対向するように、電子機器EDに配置されている。
【0054】
積層コンデンサC1がはんだ実装される場合、溶融したはんだが外部電極5(第四電極層E4)を濡れ上がる。濡れ上がったはんだが固化することにより、はんだフィレットSFが外部電極5に形成される。互いに対応する外部電極5とパッド電極PE1,PE2とは、はんだフィレットSFを介して連結されている。樹脂塊21は、はんだ濡れ性が低い。したがって、樹脂塊21には、はんだフィレットSFは形成されない。樹脂塊21の表面は、はんだフィレットSFに覆われておらず、はんだフィレットSFからも露出している。
【0055】
次に、
図8~
図11を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサC1の製造過程を説明する。
図8~
図11は、本実施形態に係る積層コンデンサの製造過程を示す模式図である。本実施形態の製造過程は、樹脂塊21の形成過程を含んでいる。
【0056】
まず、誘電体層を形成するためのセラミックペーストと、内部電極7,9を形成するための内部電極ペースト(導電性ペースト)と、を準備する。
セラミックペーストは、たとえば、上述した誘電体材料の原料粉末と、有機ビヒクルとを含んでいる。有機ビヒクルは、バインダと溶剤とを含んでいる。溶剤は、たとえば、有機溶剤である。セラミックペーストは、分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、又は絶縁体を含んでいてもよい。セラミックペーストは、この技術分野では既知であり、これ以上の詳細な説明を省略する。
内部電極ペーストは、たとえば、上述した導電性材料の粉末と、有機ビヒクルとを含んでいる。内部電極ペーストは、導電性材料の粉末は、たとえば、金属粉末である。粉末は、たとえば、球状又は鱗片状を呈している。有機ビヒクルは、バインダと溶剤とを含んでいる。溶剤は、たとえば、有機溶剤である。内部電極ペーストは、無機化合物を含んでいてもよい。内部電極ペーストは、可塑剤を含んでいてもよい。内部電極ペーストは、この技術分野では既知であり、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0057】
次に、上述したセラミックペーストを用い、セラミックグリーンシートを形成する。本過程では、たとえば、キャリアシート上に、セラミックペーストをシート状に付与した後、シート状のセラミックペーストを乾燥させる。これにより、セラミックグリーンシートが得られる。キャリアシートは、たとえば、PET(Polyethylene terephthalate)からなる。セラミックペーストは、たとえば、ドクターブレード法により付与される。
【0058】
次に、内部電極ペーストを用い、セラミックグリーンシート上に、複数の内部電極パターンを形成する。本過程では、たとえば、セラミックグリーンシート上に、内部電極ペーストを、パターン化して付与した後に、内部電極ペーストを乾燥させる。これにより、複数の内部電極パターンが得られる。内部電極ペーストは、たとえば、スクリーン印刷法により付与される。
【0059】
次に、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートから、グリーン積層体を形成する。本過程では、たとえば、セラミックグリーンシートを、所定の大きさに揃えた後、所定の枚数のセラミックグリーンシートを積層する。その後、たとえば、積層されたセラミックグリーンシートを、積層方向から加圧する。これにより、グリーン積層体が得られる。
【0060】
次に、グリーン積層体から、複数のグリーンチップを得る。本過程では、たとえば、切断機で、グリーン積層体をチップ状に切断する。これにより、所定の大きさを有する複数のグリーンチップが得られる。
【0061】
次に、グリーンチップから、バインダを除去した後、このグリーンチップを焼成する。この焼成により、素体3が得られる。その後、素体3に、R面取り加工を施す。R面取り加工は、たとえば、バレル研磨である。バインダの除去は、たとえば、グリーンチップを、還元雰囲気下で加熱することにより行う。還元雰囲気は、たとえば、空気、又は、N2及びH2の混合ガスで構成される。焼成は、たとえば、バインダが除去されたグリーンチップを、たとえば、還元雰囲気下で加熱することにより行う。バインダの除去及び焼成は、この技術分野では既知であり、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0062】
次に、素体3に、第一電極層E1を形成する。本過程では、上述したように、導電性ペーストを、素体3の表面における所定の領域に付与し、付与した導電性ペーストを加熱処理により素体3に焼き付ける。これにより、第一電極層E1が得られる。導電性ペーストは、たとえば、ディップ法、印刷法、又は転写法により付与される。導電性ペーストの加熱処理は、この技術分野では既知であり、これ以上の詳細な説明を省略する。本実施形態では、導電性ペーストは、端面3eと稜線部3g,3i,3jとに付与される。第一電極層E1は、たとえば、物理蒸着法(PVD法)又は化学蒸着法(CVD法)により形成されていてもよい。
以上の過程により、素体3と第一電極層E1とを備えているチップが準備される。
【0063】
次に、素体3と第一電極層E1とを備えているチップに、第二電極層E2を形成する。本過程は、以下の複数の過程を含んでいる。本過程では、チップに導電性樹脂ペーストを付与し、付与した導電性樹脂ペーストを処理する過程を含んでいる。導電性樹脂ペーストは、上述したように、たとえば、電気絶縁性を有する樹脂、導電性フィラー、及び有機溶媒を含んでいる。
まず、
図8に示されるように、素体3と第一電極層E1とを備えているチップにペースト膜CPを形成する。本過程では、導電性樹脂ペーストを、チップの表面における所定の領域に付与し、付与した導電性樹脂ペーストを乾燥させる。これにより、導電性樹脂ペーストからなるペースト膜CPが得られる。導電性樹脂ペーストは、導電性樹脂ペーストが第一電極層E1の全体を覆うと共に、一対の主面3a及び一対の側面3cの各一部を覆うように、チップに付与される。導電性樹脂ペーストの乾燥により、導電性樹脂ペーストから有機溶剤が除去される。乾燥処理では、たとえば、導電性樹脂ペーストは、100~200℃の温度下で、3~60分加熱される。導電性樹脂ペーストは、自然乾燥されてもよい。
【0064】
次に、
図8に示されるように、有機溶剤OSを、ペースト膜CPの表面での所定の領域に付与する。本実施形態では、有機溶剤OSは、端面3eの中央部上に位置するように、ペースト膜CPに付与される。
次に、付与した有機溶剤OSを乾燥させる。有機溶剤OSは、たとえば、自然乾燥されてもよい。有機溶剤OSが乾燥する間、ペースト膜CP(導電性樹脂ペースト)に含まれる樹脂が、有機溶剤OSに溶け出す。したがって、有機溶剤OSの乾燥後に、有機溶剤OSが付与された位置に、樹脂塊21となる樹脂溜まりが形成される。すなわち、樹脂溜まりは、ペースト膜CPの表面上に形成される。樹脂溜まりは、ペースト膜CP(導電性樹脂ペースト)に含まれている樹脂によって形成される。樹脂溜まりは、ペースト膜CP(導電性樹脂ペースト)を硬化させる前に、形成される。
【0065】
次に、樹脂溜まりが形成されているペースト膜CPを処理し、ペースト膜CPに含まれている導電性樹脂ペーストを硬化させる。すなわち、ペースト膜CPに含まれている導電性樹脂ペーストを硬化処理する。導電性樹脂ペーストが、たとえば、熱硬化性樹脂を含んでいる場合、ペースト膜CPを加熱する。ペースト膜CPの加熱処理では、たとえば、ペースト膜CPは、100~250℃の温度下で、30~120分加熱される。導電性樹脂ペーストが、たとえば、光硬化性樹脂を含んでいる場合、ペースト膜CPに所定の波長の光を照射する。導電性樹脂ペーストの種類によっては、ペースト膜CPを固化してもよい。
以上の過程により、素体3と第一電極層E1とを備えているチップに、第二電極層E2が形成される。ペースト膜CPが硬化する際に、樹脂溜まりも硬化する。これにより、樹脂塊21が、第二電極層E2の表面の一部上に形成される。
【0066】
次に、第一電極層E1及び第二電極層E2が形成されたチップに、めっき層PL(第三電極層E3と第四電極層E4)を形成する。本過程では、第三電極層E3及び第四電極層E4は、上述したように、めっき法により形成される。第三電極層E3は、第二電極層E2に形成される。第四電極層E4は、第三電極層E3に形成される。樹脂塊21は、電気絶縁性を有する樹脂からなるため、めっき層PLは、樹脂塊21には形成されない。すなわち、樹脂塊21は、めっき層PLから露出する。第三電極層E3と第四電極層E4を形成するためのめっき法は、たとえば、電気めっき法である。第三電極層E3と第四電極層E4を形成するためのめっき法は、この技術分野では既知であり、これ以上の詳細な説明を省略する。
上述した過程を経ることにより、積層コンデンサC1が得られる。
【0067】
樹脂溜まりは、
図9~
図11に示されるようにして、ペースト膜CPに形成されてもよい。
図9~
図11に示されているペースト膜CP(導電性樹脂ペースト)に含まれる樹脂は、熱硬化性樹脂である。
まず、
図9に示されるように、基材31を用意する。基材31は、たとえば、平坦面31aを有する板状の部材である。基材31は、たとえば、フッ素樹脂からなる。基材31は、たとえば、金属からなっていてもよい。この場合、平坦面31aには、フッ素樹脂からなる被覆膜が形成されていてもよい。フッ素樹脂は、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTEF)を含む。
【0068】
次に、ペースト膜CPが形成されているチップを基材31に搭載する。チップは、
図10の(a)に示されるように、ペースト膜CPが平坦面31aと接するように、基材31に搭載される。ペースト膜CPの表面は、平坦面31aと接している領域と、平坦面31aから離間している領域とを有している。以下、平坦面31aと接している領域は、「接触領域」と称され、平坦面31aから離間している領域は、「離間領域」と称される。
離間領域は、接触領域を囲むように位置している。離間領域と平坦面31aとの間には、微小隙間GPが形成されている。すなわち、ペースト膜CPが形成されているチップは、ペースト膜CPの表面の一部と基材31(平坦面31a)との間に微小隙間GPが生じるように、基材31に載置される。微小隙間GPは、たとえば、0μmより大きく100μm以下である。
【0069】
次に、微小隙間GPが存在している状態で、ペースト膜CPを加熱処理し、ペースト膜CPに含まれている導電性樹脂ペーストを硬化させる。加熱処理が開始されると、導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂は、温度の上昇に伴い、軟化する。軟化した樹脂は、ペースト膜CPの表面に滲み出し、
図10の(b)に示されるように、樹脂溜まりRRを形成する。本実施形態では、樹脂溜まりRRは、軟化した樹脂が毛細管現象により微小隙間GPに広がることによって形成される。
加熱処理が更に進むと、ペースト膜CP(導電性樹脂ペースト)に含まれる樹脂が硬化する。ペースト膜CPが硬化する際に、樹脂溜まりRRも硬化する。これにより、樹脂塊21が、第二電極層E2の表面の一部上に形成される。
【0070】
図11に示されるように、基材31の代わりに、メッシュ状の基材33を用意してもよい。この場合、基材33の複数の位置で、ペースト膜CPが基材33と接する。基材33は、たとえば、金属からなっていてもよい。この場合、金属は、ステンレス鋼を含む。基材33の表面に、上述したフッ素樹脂からなる被覆膜が形成されていてもよい。ペースト膜CPの表面は、基材33と接している領域と、基材33から離間している領域とを有している。以下、基材33と接している領域は、「接触領域」と称され、基材33から離間している領域は、「離間領域」と称される。
図11に示された例でも、離間領域は、接触領域を囲むように位置している。離間領域と基材33の表面との間には、微小隙間GPが形成されている。すなわち、ペースト膜CPが形成されているチップは、ペースト膜CPの表面の一部と基材33(基材33の表面)との間に微小隙間GPが生じるように、基材31に載置される。
【0071】
ペースト膜CPの加熱処理が開始されると、上述したように、導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂は軟化し、軟化した樹脂は、ペースト膜CPの表面に滲み出し、
図11の(b)に示されるように、樹脂溜まりRRを形成する。加熱処理が更に進むと、ペースト膜CPが硬化すると共に、樹脂溜まりRRも硬化する。これにより、樹脂塊21が、第二電極層E2の表面の一部上に形成される。
図11に示された例では、各外部電極5に、複数の樹脂塊21が配置される。
【0072】
以上のように、積層コンデンサC1では、樹脂塊21が、めっき層PLから露出しているので、積層コンデンサC1が電子機器にはんだ実装される際に、第二電極層E2に含まれる樹脂に吸収された水分がガス化する場合でも、水分から発生するガスは、第二電極層E2から樹脂塊21を通して外部電極5外に移動する。すなわち、水分から発生するガスは、樹脂塊21(樹脂塊21の表面)から排出される。したがって、第二電極層E2に応力が作用しがたい。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離を抑制する。
【0073】
素体3が、実装面を構成する主面3aと、主面3aと隣り合う端面3eと、を有している。樹脂塊21は、端面3e上に位置している。
積層コンデンサC1が電子機器にはんだ実装される場合、主面3aは、電子機器と対向するものの、端面3eは、電子機器とは対向しない。したがって、樹脂塊21が端面3e上に位置している構成は、水分から発生するガスが樹脂塊21(樹脂塊21の表面)から排出されるのを阻害しがたい。この結果、積層コンデンサC1では、水分から発生するガスが第二電極層E2から確実に排出される。
【0074】
比Raは、0.000001~0.1である。
比Raが、0.000001以上である構成では、水分から発生するガスが第二電極層E2から確実に排出される。比Raが、0.1以下である構成は、樹脂塊21の表面から第二電極層E2に浸入する水分の増加を抑制する。
【0075】
樹脂塊21の厚みは、1μm以上100μm以下である。
樹脂塊21の厚みが、1μm以上である場合、水分から発生するガスが第二電極層E2から確実に排出される。樹脂塊21の厚みが、100μm以下である場合、樹脂塊21がはんだ実装の妨げになりがたく、かつ、第二電極層E2が応力緩和効果を確実に発揮する。
【0076】
樹脂塊21の表面の露出面積は、1μm2以上250000μm2以下である。
樹脂塊21の表面の露出面積が、1μm2以上である場合、水分から発生するガスが第二電極層E2からより一層確実に排出される。樹脂塊21の表面の露出面積が、250000μm2以下である場合、樹脂塊21の表面から第二電極層E2に浸入する水分の増加をより一層抑制する。
樹脂塊21の表面の露出面積が、250000μm2以下である場合、積層コンデンサC1が電子機器にはんだ実装される場合、はんだフィレットSFが確実に形成される。この結果、積層コンデンサC1の実装強度が確保される。
【0077】
樹脂塊21に含まれる樹脂は、第二電極層E2に含まれる樹脂Rと同じである。したがって、第二電極層E2の剥離を抑制する積層コンデンサC1が、簡易かつ低コストで得られる。
【0078】
本実施形態に例示された製造方法では、ペースト膜CP(導電性樹脂ペースト)が硬化する前に、導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂によって、ペースト膜CPの表面上に樹脂溜まりRRが形成される。ペースト膜CPの表面上に形成される樹脂溜まりRRから樹脂塊21が得られる。第二電極層E2にめっき層PLが形成される場合、樹脂塊21の表面には、めっき層PLが形成されがたい。したがって、樹脂塊21の表面が、めっき層PLから露出する。この結果、本実施形態に例示された製造方法によって得られる積層コンデンサC1は、上述したように、第二電極層E2の剥離を抑制する。
樹脂溜まりRRは、ペースト膜CP(導電性樹脂ペースト)に含まれる樹脂によって形成されるので、樹脂溜まりRRを形成するための樹脂を新たに用意する必要はない。したがって、第二電極層E2の剥離を抑制する積層コンデンサC1が、簡易かつ低コストで得られる。
【0079】
本実施形態に例示された製造方法では、ペースト膜CP(導電性樹脂ペースト)を硬化させる前に、ペースト膜CPの表面に有機溶剤を付与することによって、樹脂溜まりを形成している。
この場合、樹脂溜まりが、確実かつ簡易に形成される。
【0080】
本実施形態に例示された製造方法では、ペースト膜CP(導電性樹脂ペースト)に含まれる樹脂は、熱硬化性樹脂である。ペースト膜CP(導電性樹脂ペースト)を熱硬化させる際に、導電性樹脂ペーストに含まれる樹脂をペースト膜CPの表面に滲み出させることによって、樹脂溜まりRRが形成される。
この場合、樹脂溜まりRRが、確実かつ簡易に形成される。
【0081】
本実施形態に例示された製造方法では、ペースト膜CPの一部と基材31,33との間に微小隙間GPが生じるように、ペースト膜CPが形成された素体3が基材31,33に載置される。樹脂溜まりRRは、軟化した樹脂を毛細管現象により微小隙間GPに広がらせることによって形成される。
この場合、樹脂溜まりRRが、より一層確実かつ簡易に形成される。
【0082】
微小隙間GPは、100μm以下である。
この場合、軟化した樹脂が毛細管現象により確実に微小隙間GPに広がる。
【0083】
次に、
図12を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの構成を説明する。
図12は、外部電極の断面構成を示す図である。本変形例に係る積層コンデンサは、概ね、上述した積層コンデンサC1と類似又は同じであるが、本変形例は、第一電極層E1の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
図12では、断面を表すハッチングが省略されている。
【0084】
本変形例に係る積層コンデンサは、積層コンデンサC1と同じく、素体3と、複数の外部電極5と、を備えている。各外部電極5は、複数の電極部5a,5c,5eを有している。各外部電極5は、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。図示は省略するが、本変形例に係る積層コンデンサは、複数の内部電極7及び複数の内部電極9も備えている。
【0085】
図12に示されるように、電極部5aの第一電極層E1は、主面3a上に配置されている。電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部と稜線部3gの全体とを覆うように形成される。すなわち、第一電極層E1は、主面3aと端面3eとにわたって設けられている。電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部と接する。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部である。
【0086】
図示は省略するが、電極部5cの第一電極層E1は、側面3c上に配置されている。電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部と稜線部3iの全体とを覆うように形成される。すなわち、第一電極層E1は、側面3cと端面3eとにわたって設けられている。電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部と接する。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部である。
【0087】
本明細書では、ある要素が他の要素上に配置されていると記述されている場合、ある要素は、他の要素上に直接配置されていてもよく、他の要素上に間接的に配置されていてもよい。ある要素が他の要素上に間接的に配置されている場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素上に直接配置されている場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
本明細書では、ある要素が他の要素上に位置していると記述されている場合、ある要素は、他の要素上に直接位置していてもよく、他の要素上に間接的に位置していてもよい。ある要素が他の要素上に間接的に位置している場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素上に直接位置している場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
本明細書では、ある要素が他の要素を覆うと記述されている場合、ある要素は、他の要素を直接覆っていてもよく、他の要素を間接的に覆っていてもよい。ある要素が他の要素を間接的に覆っている場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素を直接覆っている場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0089】
樹脂塊21は、主面3a上に位置していてもよい。樹脂塊21は、側面3c上に位置していてもよい。
樹脂塊21は、端面3e上に位置している場合、上述したように、水分から発生するガスが第二電極層E2から確実に排出される。
【0090】
比Raは、0.000001より小さくてもよい。比Raは、0.1より大きくてもよい。
比Raが、0.000001以上である場合、上述したように、水分から発生するガスが第二電極層E2から確実に排出される。比Raが、0.1以下である場合、上述したように、樹脂塊21の表面から第二電極層E2に浸入する水分の増加を抑制する。
【0091】
樹脂塊21の厚みは、1μmより小さくてもよい。樹脂塊21の厚みは、100μmより大きくてもよい。
樹脂塊21の厚みが、1μm以上である場合、上述したように、水分から発生するガスが第二電極層E2から確実に排出される。樹脂塊21の厚みが、100μm以下である場合、上述したように、樹脂塊21がはんだ実装の妨げになりがたく、かつ、第二電極層E2が応力緩和効果を確実に発揮する。
【0092】
微小隙間GPは、100μmより大きくてもよい。
微小隙間GPが、100μm以下である場合、上述したように、軟化した樹脂が毛細管現象により確実に微小隙間GPに広がる。
【0093】
本実施形態及び変形例では、電子部品として積層コンデンサを例に説明したが、適用可能な電子部品は、積層コンデンサに限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品である。
【符号の説明】
【0094】
3…素体、3a…主面、3e…端面、5…外部電極、21…樹脂塊、31,33…基材、CP…ペースト膜、E2…第二電極層、GP…微小隙間、OS…有機溶剤、PL…めっき層、R…第二電極層に含まれる樹脂、RR…樹脂溜まり。