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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】金属端子付き電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/228 20060101AFI20231219BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20231219BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20231219BHJP
【FI】
H01G4/228 W
H01G4/30 201H
H01G4/30 311
H01G13/00 307
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020110523
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007505
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 広祐
(72)【発明者】
【氏名】山本 正継
(72)【発明者】
【氏名】小林 陽介
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-038947(JP,A)
【文献】特開2008-091588(JP,A)
【文献】特開2011-165984(JP,A)
【文献】特開平08-203773(JP,A)
【文献】特開2008-192994(JP,A)
【文献】特開2015-062214(JP,A)
【文献】実開昭59-77219(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/228
H01G 4/30
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属端子付き電子部品を製造する金属端子付き電子部品の製造方法であって、
端子電極を有する電子部品を準備する工程と、
金属端子を準備する工程と、
前記端子電極及び前記金属端子の少なくとも一方に接合部材を塗布する工程と、
前記電子部品を第1の加熱手段で予備加熱する工程と、
前記予備加熱する工程の後に、前記金属端子に第2の加熱手段を接触させて本加熱することで、前記電子部品の前記端子電極と前記金属端子とを接合する工程と、を備え
少なくとも前記接合する工程において、保持部で前記電子部品を保持し、
前記保持部は前記第1の加熱手段として構成され、
前記予備加熱する工程において、前記保持部で前記電子部品を保持した状態で前記予備加熱を行う、金属端子付き電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記接合する工程において、前記第2の加熱手段とは前記電子部品を挟んで反対側にて、支持部で前記電子部品を支持する、請求項1に記載の金属端子付き電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記支持部は、第3の加熱手段として構成され、
前記接合する工程において、前記第2の加熱手段の反対側の前記金属端子に前記第3の加熱手段を接触させて本加熱することで、前記第2の加熱手段の反対側にて、前記端子電極と前記金属端子とを接合する、請求項に記載の金属端子付き電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記第1の加熱手段による前記予備加熱の温度は、前記第2の加熱手段による前記本加熱の温度より低い、請求項1~の何れか一項に記載の金属端子付き電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記第1の加熱手段による前記予備加熱の温度は、はんだの融点よりも低く、
前記第2の加熱手段による前記本加熱の温度は、はんだの融点よりも高い、請求項1~の何れか一項に記載の金属端子付き電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記第1の加熱手段は、前記電子部品の素地と接触する、請求項1~の何れか一項に記載の金属端子付き電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属端子付き電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属端子付き電子部品の製造方法として、特許文献1に記載されたものが知られている。この製造方法では、電子部品の端子電極に対して、接合部材を介して金属端子を押圧することによって、電子部品の端子電極と金属端子とを接合している。このとき、熱源として発熱する押圧部を金属端子に接触させた状態で、当該押圧部によって金属端子を端子電極に押圧している。このとき、押圧部が発生する熱によって接合部材が溶融する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-50309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、押圧部は、発熱しながら金属端子を電子部品の端子電極に押圧するため、電子部品の端子電極付近と、他の部分との間で、温度勾配が形成されてしまう。これにより、電子部品にサーマルショックが発生する可能性があった。従って、金属端子を電子部品に接合するときのサーマルショックを低減することが求められていた。
【0005】
本発明は、金属端子を電子部品に接合するときのサーマルショックを低減することができる金属端子付き電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る金属端子付き電子部品の製造方法は、金属端子付き電子部品を製造する金属端子付き電子部品の製造方法であって、端子電極を有する電子部品を準備する工程と、 金属端子を準備する工程と、端子電極及び金属端子の少なくとも一方に接合部材を塗布する工程と、電子部品を第1の加熱手段で予備加熱する工程と、予備加熱する工程の後に、金属端子に第2の加熱手段を接触させて本加熱することで、電子部品の端子電極と金属端子とを接合する工程と、を備える。
【0007】
本発明に係る金属端子付き電子部品の製造方法は、電子部品を第1の加熱手段で予備加熱する工程を備えている。そして、電子部品の端子電極と金属端子とを接合する工程は、予備加熱する工程の後に、金属端子に第2の加熱手段を接触させて本加熱することで実行される。本加熱することで、金属端子を介して接合部材が加熱され、金属端子が端子電極に接合される。このとき、端子電極から電子部品に熱が伝達される。ここで、電子部品は、本加熱が行われる前段階で、予備加熱された状態にある。従って、電子部品の端子電極付近と他の部分との間の温度勾配を抑制することができる。以上より、金属端子を電子部品に接合するときのサーマルショックを低減することができる。
【0008】
金属端子付き電子部品の製造方法では、少なくとも接合する工程において、保持部で電子部品を保持してよい。これにより、保持部で電子部品の姿勢を安定させた状態にて、金属端子を端子電極に接合することができる。
【0009】
金属端子付き電子部品の製造方法では、保持部は第1の加熱手段として構成され、予備加熱する工程において、保持部で電子部品を保持した状態で予備加熱を行ってよい。このように、電子部品を保持する保持部自体が加熱を行うことで、例えば雰囲気温度を調整して予備加熱を行うような場合に比して、所望の加熱温度にて予備加熱を行い、サーマルショックを低減することの確実性を向上できる。
【0010】
金属端子付き電子部品の製造方法では、接合する工程において、第2の加熱手段とは電子部品を挟んで反対側にて、支持部で電子部品を支持してよい。これにより、支持部が、第2の加熱手段による押圧力を電子部品の反対側で支持することができる。従って、電子部品の位置ずれを抑制した状態で、金属端子を端子電極に接合することができる。
【0011】
支持部は、第3の加熱手段として構成され、接合する工程において、第2の加熱手段の反対側の金属端子に第3の加熱手段を接触させて本加熱することで、第2の加熱手段の反対側にて、端子電極と金属端子とを接合してよい。これにより、電子部品の両側の端子電極に対して金属端子を同時に接合することができる。これにより、電子部品の両側において第2の加熱手段及び第3の加熱手段で同時に本加熱を行うことで、より温度勾配を低減し、サーマルショックを低減できる。
【0012】
第1の加熱手段による予備加熱の温度は、第2の加熱手段による本加熱の温度より低くてよい。この場合、電子部品が、予備加熱、本加熱の順で段階的に加熱されるため、よりサーマルショックを低減することができる。
【0013】
第1の加熱手段による予備加熱の温度は、はんだの融点よりも低く、第2の加熱手段による本加熱の温度は、はんだの融点よりも高くてよい。これにより、本加熱ではんだを溶融させることができる一方、予備加熱で意図せずはんだが溶融することを防止できる。
【0014】
第1の加熱手段は、電子部品の素地と接触してよい。第1の加熱手段が、サーマルショックによる影響が出やすい素地を直接予備加熱することで、より確実に予備加熱を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、金属端子を電子部品に接合するときのサーマルショックを低減することができる金属端子付き電子部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る金属端子付き電子部品の斜視図である。
図2図1の金属端子付き電子部品の正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る金属端子付き電子部品の製造方法の工程図である。
図4】本発明の実施形態に係る金属端子付き電子部品の製造方法における各工程における様子を示す図である。
図5】変形例に係る金属端子付き電子部品の製造方法における本加熱の工程における様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る金属端子付き電子部品の製造方法によって製造される金属端子付き電子部品の構造について説明する。図1は、金属端子付き電子部品の斜視図である。図2は、図1の金属端子付き電子部品の正面図である。
【0018】
図1に示すように、金属端子付き電子部品1は、電子部品2と、一対の金属端子3A,3Bと、を備える。なお、図1に示す形態において、金属端子付き電子部品1は、並べられた二つの電子部品2を備えているが、電子部品2の数は特に限定されず、単数であっても複数であってもよく、複数の場合は特に数に制限はない。なお、以降の説明においては、図面において、XYZ座標を用いて説明を行う場合がある。X軸は、電子部品2が並べられる方向に平行であり、Z軸は、電子部品2の実装面からの高さ方向に一致し、Y軸は、X軸方向及びZ軸方向に垂直な方向に延びる。なお、X軸方向及びY軸方向の一方側が正側に設定され、Z軸方向の上側が正側に設定される。
【0019】
電子部品2は、素体6と、一対の端子電極7A,7Bと、を備える。なお、二つの電子部品2は、互いに同一の形状及びサイズを有している。素体6は、略直方体形状を有する。素体6は、X軸方向の正側及び負側においてYZ平面と平行に広がる側面6a,6bと、Z軸方向の正側及び負側においてXY平面と平行に広がる側面6c,6dと、Y軸方向の正側及び負側においてXZ平面と平行に広がる端面(不図示)と、を備える。X軸方向の負側の電子部品2の側面6aと、X軸方向の正側の電子部品2の側面6bとは、X軸方向に互いに対向するように配置される。端子電極7Aは、素体6のY軸方向の正側の端面を覆うように設けられる。端子電極7Bは、素体6のY軸方向の負側の端面を覆うように設けられる。また、端子電極7A,7Bは、側面6a,6b,6c,6dまで回り込んでいる。
【0020】
本実施形態では、電子部品2は、コンデンサとして構成されている。従って、素体6の内部では、誘電体層を挟んで複数の内部電極層が積層されており、端子電極7Aに接続される内部電極層と端子電極7Bに接続される内部電極層が交互に積層される。電子部品2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。電子部品2は、たとえば、縦(Y軸方向の寸法)1.0~10.0mm×横(Z軸方向の寸法)0.5~8.0mm×厚み(X軸方向の寸法)0.3~5.0mm程度である。
【0021】
電子部品2の誘電体層の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。内部電極層に含有される導電体材料は特に限定されないが、誘電体層の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。端子電極7A,7Bの材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極7A,7Bの表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていても良い。
【0022】
金属端子3A,3Bは、電子部品2の端子電極7A,7Bにそれぞれ接続されると共に、電子部品2を実装面よりも高い位置で保持する部材である。金属端子3A,3Bは、XZ平面と平行に広がる本体部11と、本体部11のZ軸方向の負側の端部からY軸方向における電子部品2側へ屈曲する実装部12と、を備える。
【0023】
金属端子3Aの本体部11は、電子部品2のY軸方向の正側の端面において、端子電極7Aと接合される。金属端子3Bの本体部11は、電子部品2のY軸方向の負側の端面において、端子電極7Bと接合される。金属端子3A,3Bの本体部11は、X軸方向において、X軸方向の負側の電子部品2の側面6bから、X軸方向の正側の電子部品2の側面6aまで広がる。本体部11は、Z軸方向において、電子部品2の側面6cから、側面6dよりもZ軸方向の負側まで延びる。
【0024】
金属端子3A,3Bの本体部11は、Z軸方向の両側から電子部品2を挟んで支持する支持片13,14を有する。支持片13は、二つの電子部品2をZ軸方向の正側から支持する。支持片13は、端子電極7A,7Bの側面6cに回り込んだ部分を支持する。支持片13は、本体部11のZ軸方向の正側の端部の二箇所から、Y軸方向の電子部品2側へ突出する。支持片14は、二つの電子部品2をZ軸方向の負側から支持する。支持片14は、端子電極7A,7Bの側面6dに回り込んだ部分を支持する。支持片14は、電子部品2のZ軸方向の負側の端部に対応する位置の二箇所から、Y軸方向の電子部品2側へ突出する。
【0025】
実装部12は、基板に実装される部分である。実装部12は、本体部11のZ軸方向の負側の一部を屈曲させることによって構成される。実装部12のX軸方向の大きさは、本体部11のX軸方向の大きさと同一に設定される。実装部12のY軸方向の大きさは、端子電極7A,7BのY軸方向への回り込み量と略同程度に設定される。
【0026】
金属端子3A,3Bの材質は、導電性を有する金属材料であれば特に限定されず、たとえば鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金を用いることができる。特に、金属端子3A,3Bの材質をりん青銅とすることが、金属端子3A,3Bの比抵抗を抑制し、コンデンサのESRを低減する観点から好ましい。
【0027】
図2に示すように、金属端子3Aは、接合部材16A(図1も参照)を介して端子電極7Aと接合される。接合部材16Aは、金属端子3Aの本体部11と端子電極7AのY軸方向の正側の端面7aとの間に介在する。金属端子3Bは、接合部材16Bを介して端子電極7Bと接合される。接合部材16Bは、金属端子3Aの本体部11と端子電極7AのY軸方向の正側の端面7aとの間に介在する。接合部材16A,16Bは、はんだによって構成される。
【0028】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態に係る金属端子付き電子部品1の製造方法について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る金属端子付き電子部品1の製造方法の工程図である。図4は、本発明の実施形態に係る金属端子付き電子部品1の製造方法における各工程における様子を示す図である。なお、図4においてグレースケールで塗られた部材は、発熱を行っていることを示している。例えば、図4(b)では、保持部21及び押圧部31が発熱を行っており、支持部41は発熱を行っていない。
【0029】
図3に示すように、まず、端子電極7A,7Bを有する電子部品2を準備する工程S1が実行される。この工程S1では、上述の電子部品2が準備される。次に、金属端子3A,3Bを準備する工程S2が実行される。この工程S2では、上述の金属端子3A,3Bが準備される。
【0030】
次に、端子電極7A及び金属端子3Aの少なくとも一方に接合部材16Aを塗布する工程S3が実行される。図4(a)に示す例では、端子電極7Aの端面7aに接合部材16Aが塗布されている。なお、接合部材16Aは、一つあたりの電子部品2の端面7aの上下二箇所に塗布されているが、塗布箇所の個数は特に限定されない。また、接合部材16Aは、金属端子3Aに塗布されてもよいし、端子電極7A及び金属端子3Aの両方に塗布されてもよい。なお、図4(a)では端子電極7Aに塗布された接合部材16Aを強調して示し、且つ、金属端子3Aを端子電極7Aから取り外した状態を示している。この点、後述の工程S4,S5を実行する前に、金属端子3Aを端子電極7Aに仮止めしておく。ただし、工程S5のときに、金属端子3Aを端子電極7Aに取り付けるようにしてもよい。
【0031】
次に、電子部品2を第1の加熱部20(第1の加熱手段)で予備加熱する工程S4が実行される。図4(a)に示すように、電子部品2は、保持部21の上に載せられることによって保持される。この保持部21は、熱源としての第1の加熱部20として構成されている。例えば、保持部21は、抵抗発熱部分として構成され、通電されることによって保持部21自体が発熱を行ってよい。あるいは、保持部21の内部にヒータなどが設けられていてもよい。高電流を流して加熱を行う場合、温度管理を精度良く行うことができる。
【0032】
従って、予備加熱する工程S4において、保持部21が電子部品2を保持した状態で発熱を開始することで、予備加熱を行うことができる。保持部21は、上面21aを素体6の側面6dに接触させた状態で電子部品2を保持している。側面6dは電子部品2の素地(素体6のうち、端子電極7A,7Bで覆われていない部分)が露出した箇所である。従って、第1の加熱部20は、電子部品2の素地と接触して、当該素地を直接加熱することができる。本実施形態では、保持部21は、端子電極7A,7B、及び(完成後の)金属端子3A,3Bとは接触しない位置にて、素体6を保持している。
【0033】
なお、保持部21は、電子部品2を保持した状態で回転させることができる。すなわち、後述の押圧部31を用いて端子電極7Bに金属端子3Bを取り付けたら、電子部品2を回転させて、端子電極7Aを押圧部31側へ向ける。
【0034】
予備加熱する工程S4の後に、金属端子3Aに第2の加熱部30(第2の加熱手段)を接触させて本加熱することで、電子部品2の端子電極7Aと金属端子3Aとを接合する工程S5を実行する。図4(a)及び図4(b)に示すように、金属端子3Aは、押圧部31によって端子電極7Aに押圧されながら当該端子電極7Aに接合される。この押圧部31は、熱源としての第2の加熱部30として構成されている。例えば、押圧部31は、抵抗発熱部分として構成され、通電されることによって押圧部31自体が発熱を行ってよい。あるいは、押圧部31の内部にヒータなどが設けられていてもよい。高電流を流して加熱を行う場合、温度管理を精度良く行うことができる。
【0035】
図4(a)に示すように、金属端子3Aは、電子部品2の端子電極7Aと、押圧部31との間に配置される。押圧部31は、押圧面31aにて金属端子3Aの本体部11と接触する。また、押圧部31は、金属端子3Aと接触した状態で発熱を開始することで、本加熱をすることができる。これにより、金属端子3Aが加熱され、当該金属端子3Aと接触した接合部材16Aも加熱される。図4(b)に示すように、押圧部31は、金属端子3Aと端子電極7Aとの間で接合部材16Aを溶融させながら、金属端子3Aを端子電極7Aに対して押圧する。
【0036】
ここで、接合する工程S5において、第2の加熱部30である押圧部31とは電子部品2を挟んで反対側にて、支持部41で電子部品2を支持する。支持部41は、端子電極7Bに取り付けられた金属端子3Bと接触した状態で、電子部品2を支持する。支持部41は、本体部11のうち、端子電極7Bに対応する箇所を支持する。なお、端子電極7Bに金属端子3Bが取り付けられていない場合、支持部41は、端子電極7Bと接触した状態で、電子部品2を支持する。従って、押圧部31が電子部品2を押圧しても、支持部41で電子部品2を支持することで、当該電子部品2が移動することを防止できる。
【0037】
これにより、溶融した接合部材16Aが、金属端子3Aと端子電極7Aとの間に介在した状態で、金属端子3Aが端子電極7Aに取り付けられる。第1の加熱部20及び第2の加熱部30による加熱を停止することで、接合部材16Aが固まる。これにより、金属端子3Aが端子電極7Aに固定される。なお本加熱を停止した後も、押圧部31による加圧が継続して行われることが好ましい。加圧のための圧力は、特に限定されないが、好ましくは0.01~5MPaであってよい。金属端子3Aを端子電極7Aに接合した後は、金属端子3B及び端子電極7B側にて本加熱を行う。このとき、保持部21が電子部品2を回転させることで、押圧部31側に金属端子3B及び端子電極7Bを配置してよい。あるいは、押圧部31及び支持部41が移動することで、金属端子3B及び端子電極7B側に押圧部31が配置されてもよい。
【0038】
なお、予備加熱を行う工程S4では、第1の加熱部20は、少なくとも本加熱を行う工程S5の第2の加熱部30よりも早いタイミングで加熱をスタートする。本加熱を行う工程S5では、第2の加熱部30は、第1の加熱部20が所定時間の予備加熱を行うことで、電子部品2が所望の温度になった後で、加熱をスタートする。第1の加熱部20は製造方法を実行しているときには、常時発熱していてもよく、この場合は、保持部21に電子部品2を載せたときから予備加熱がスタートする。ただし、第1の加熱部20をON/OFFするような制御を行ってもよい。例えば、第1の加熱部20は、保持部21に電子部品2を載せてから、ONとなってもよい。また、第1の加熱部20は、第2の加熱部30の加熱がスタートしてからOFFとなってもよい。ただし、第1の加熱部20が加熱をOFFとするするタイミングは特に限定されず、第2の加熱部30の加熱がスタートするより早いタイミング、または同じタイミングで、第1の加熱部20の加熱をOFFとしてもよい。
【0039】
第1の加熱部20による予備加熱の温度は、第2の加熱部30による本加熱の温度より低い。また、第1の加熱部20による予備加熱の温度は、はんだの融点よりも低い。第2の加熱部30による本加熱の温度は、はんだの融点よりも高い。なお、第1の加熱部20の加熱温度は、電子部品2との接触部分における温度によって定義される。当該加熱温度は、例えば、接触部分付近に設けられた温度センサなどによって検出されてよい。例えば、第1の加熱部20の加熱温度は、80~220℃程度に設定されてよい。第2の加熱部30の加熱温度は、金属端子3Aとの接触部分における温度によって定義される。当該加熱温度は、接触部分付近に設けられた温度センサなどによって検出されてよい。例えば、第2の加熱部30の加熱温度は、220~350℃程度に設定されてよい。
【0040】
次に、本実施形態に係る金属端子付き電子部品1の製造方法の作用・効果について説明する。
【0041】
本実施形態に係る金属端子付き電子部品1の製造方法は、電子部品2を第1の加熱部20で予備加熱する工程S4を備えている。そして、電子部品2の端子電極7A,7Bと金属端子3A,3Bとを接合する工程S5は、予備加熱する工程S4の後に、金属端子3A,3Bに第2の加熱部30を接触させて本加熱することで実行される。本加熱することで、金属端子3A,3Bを介して接合部材16A,16Bが加熱され、金属端子3A、3Bが端子電極7A,7Bに接合される。このとき、端子電極7A、7Bから電子部品2に熱が伝達される。ここで、電子部品2は、本加熱が行われる前段階で、予備加熱された状態にある。従って、電子部品2の端子電極7A,7B付近と他の部分との間の温度勾配を抑制することができる。以上より、金属端子3A,3Bを電子部品2に接合するときのサーマルショックを低減することができる。例えば、保持部21の第1の加熱部20による予備加熱を行わなかった場合、本加熱時において、端子電極7A,7B付近と他の部分との間の温度勾配が大きくなることで、サーマルショックによるサーマルクラックが電子部品2に生じる可能性がある。これに対し、本実施形態に係る金属端子付き電子部品1では、第1の加熱部20による予備加熱を行うことで、サーマルショックを低減して、サーマルクラックを抑制することができる。
【0042】
金属端子付き電子部品1の製造方法では、少なくとも接合する工程S5において、保持部21で電子部品2を保持する。これにより、保持部21で電子部品2の姿勢を安定させた状態にて、金属端子3A,3Bを端子電極7A,7Bに接合することができる。
【0043】
金属端子付き電子部品1の製造方法では、保持部21は第1の加熱部20として構成され、予備加熱する工程S4において、保持部21で電子部品2を保持した状態で予備加熱を行う。このように、電子部品2を保持する保持部21自体が加熱を行うことで、例えば雰囲気温度を調整して予備加熱を行うような場合に比して、所望の加熱温度にて予備加熱を行い、サーマルショックを低減することの確実性を向上できる。
【0044】
金属端子付き電子部品1の製造方法では、接合する工程S5において、第2の加熱部30とは電子部品2を挟んで反対側にて、支持部41で電子部品2を支持する。これにより、支持部41が、第2の加熱部30による押圧力を電子部品2の反対側で支持することができる。従って、電子部品2の位置ずれを抑制した状態で、金属端子3A,3Bを端子電極7A,7Bに接合することができる。
【0045】
第1の加熱部20による予備加熱の温度は、第2の加熱部30による本加熱の温度より低い。この場合、電子部品2が、予備加熱、本加熱の順で段階的に加熱されるため、よりサーマルショックを低減することができる。
【0046】
第1の加熱部20による予備加熱の温度は、はんだの融点よりも低く、第2の加熱部30による本加熱の温度は、はんだの融点よりも高い。これにより、本加熱ではんだを溶融させることができる一方、予備加熱で意図せずはんだが溶融することを防止できる。
【0047】
第1の加熱部20は、電子部品2の素地と接触する。第1の加熱部20が、サーマルショックによる影響が出やすい素体6の素地を直接予備加熱することで、より確実に予備加熱を行うことができる。
【0048】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0049】
例えば、図5に示すように、支持部41は、第3の加熱部40(第3の加熱手段)として構成され、接合する工程S5において、第2の加熱部30の反対側の金属端子3Bに第3の加熱部40を接触させて本加熱することで、第2の加熱部30の反対側にて、端子電極7Bと金属端子3Bとを接合してよい。これにより、電子部品2の両側の端子電極7A,7Bに対して金属端子3A,3Bを同時に接合することができる。これにより、電子部品2の両側において第2の加熱部30及び第3の加熱部40で同時に本加熱を行うことで、より温度勾配を低減し、サーマルショックを低減できる。
【0050】
上述の実施形態では、保持部21によって第1の加熱部20が構成されていた。ただし、第1の加熱部20は、保持部21とは別の部材として設けられてもよい。また、第1の加熱部20が接触する箇所は、素地に加えて、あるいは素地に代えて、端子電極7A,7Bであってもよい。また、第1の加熱部20は、金属端子3A,3Bと接触して予備加熱を行ってもよい。例えば、支持部41が第1の加熱部として構成され、支持部41が予備加熱を行ってよい。なお、支持部41は、加熱温度を調整することで、予備加熱の工程S4では予備加熱の温度に設定し、図5に示す本加熱の工程S5では本加熱の温度に設定してよい。
【0051】
また、第1の加熱手段は、電子部品2と直接接触することで加熱するものに限らず、非接触で電子部品2を加熱してもよい。例えば、第1の加熱手段は、熱風などを電子部品2へ供給することで予備加熱を行ってもよい。また、第1の加熱手段は炉などによって構成されて、電子部品2の雰囲気の温度を高くすることで電子部品2を予備加熱してよい。また、本加熱を行う場所と同じ場所で予備加熱を行ってもよいし、本加熱を行う場所とは別の場所で予備加熱を行ってもよい。例えば、炉で予備加熱をした後で炉から電子部品を取り出して、本加熱を行ってよい。
【0052】
なお、電子部品2は、コンデンサには限定されず、端子電極に対して金属端子が取り付けられる物であれば、あらゆる電子部品に本発明を適用可能である。また、金属端子の構成も上述の実施形態のものには限定されない。例えば、金属端子は、支持片13,14を有していなくともよい。
【符号の説明】
【0053】
1…金属端子付き電子部品、2…電子部品、3A,3B…金属端子、16A,16B…接合部材、20…第1の加熱部(第1の加熱手段)、21…保持部、30…第2の加熱部(第2の加熱手段)、40…第3の加熱部(第3の加熱手段)、41…支持部。
図1
図2
図3
図4
図5