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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電気製品
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20231219BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231219BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H05K7/20 N
H02M7/48 Z
H02M3/155 Y
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020114415
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012536
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】菅 さおり
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0359211(US,A1)
【文献】特開2009-188181(JP,A)
【文献】特開2019-198200(JP,A)
【文献】特開2019-106755(JP,A)
【文献】特開2019-176620(JP,A)
【文献】特開2018-126035(JP,A)
【文献】特表2020-507294(JP,A)
【文献】国際公開第2012/056880(WO,A1)
【文献】特開2019-192810(JP,A)
【文献】特開2014-039022(JP,A)
【文献】特開2013-102105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H02M 7/48
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品(542)と、
一方向に延び、一端に前記電気部品を冷却する冷媒の供給される供給口(573)の形成された第1流路(570)と、前記一方向に延び、一端に前記一方向に直交する並び方向で前記供給口と並ぶ、前記冷媒の排出される排出口(593)の形成された第3流路(590)と、前記第1流路の他端と前記第3流路の他端とを連結する第2流路(580)と、を備える流路(560)と、
前記第1流路と前記第3流路の間に位置する壁部(550)と、を有し、
前記壁部よりも前記供給口および前記排出口から離間した側に位置する前記第2流路の全てが、前記一方向と前記並び方向それぞれに直交する直交方向で前記電気部品と並び、
前記第2流路における前記供給口から前記排出口に向かう第2流通経路に直交する長さが、前記第1流路における前記供給口から前記排出口に向かう第1流通経路に直交する長さと、前記第3流路における前記供給口から前記排出口に向かう第3流通経路に直交する長さそれぞれ以上になっており、
前記壁部は前記供給口および前記排出口側に位置する第1壁部(551)と、前記第1壁部の前記供給口および前記排出口から離間した側に連結され、前記電気部品と一部が前記直交方向で並ぶ第2壁部(552)と、を有し、
前記第2壁部における前記電気部品との前記直交方向での重なり領域の面積が、前記第1流路における前記電気部品との前記直交方向での重なり領域の面積と、前記第3流路における前記電気部品との前記直交方向での重なり領域の面積とを併せた合計面積よりも小さくなっている電気製品。
【請求項2】
前記電気部品は前記第2流路の全てとともに、前記第1流路および前記第3流路それぞれの他端側と、前記壁部の前記供給口および前記排出口から離間した側それぞれと前記直交方向で並び、
前記電気部品への前記壁部の前記直交方向に沿う投影面積が、前記電気部品への前記第2流路の前記直交方向に沿う投影面積よりも小さくなっている請求項1に記載の電気製品。
【請求項3】
前記第2壁部における前記電気部品との前記直交方向での重なり領域の面積が、前記第2壁部における前記電気部品との前記直交方向での非重なり領域の面積よりも小さくなっている請求項1または2に記載の電気製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、電気製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはDCDCコンバータ、筐体、および、流路カバーを有する電力変換装置が記載されている。DCDCコンバータは筐体に収容されている。筐体の底壁部の下面に流路カバーが固定されている。流路カバーには冷媒の流れる冷媒流路となる凹部が形成されている。冷媒流路に冷媒の導入される冷媒導入口と冷媒の排出される冷媒排出口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-198200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒流路は冷媒導入口から遠ざかる態様で延びた後、折り返して、排出口に向かって延びている。DCDCコンバータは、冷媒導入口および冷媒排出口から離間した側の冷媒流路の一部と並んでいる。そのためにDCDCコンバータの冷却が抑制される虞がある。
【0005】
そこで本開示の目的は、電気部品が冷却されやすくなった電気製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電気製品は、
電気部品(542)と、
一方向に延び、一端に電気部品を冷却する冷媒の供給される供給口(573)の形成された第1流路(570)と、一方向に延び、一端に一方向に直交する並び方向で供給口と並ぶ、冷媒の排出される排出口(593)の形成された第3流路(590)と、第1流路の他端と第3流路の他端とを連結する第2流路(580)と、を備える流路(560)と、第1流路と第3流路の間に位置する壁部(550)と、を有し、
壁部よりも供給口および排出口から離間した側に位置する第2流路の全てが、一方向と並び方向それぞれに直交する直交方向で電気部品と並び、
第2流路における供給口から排出口に向かう第2流通経路に直交する長さが、第1流路における供給口から排出口に向かう第1流通経路に直交する長さと、第3流路における供給口から排出口に向かう第3流通経路に直交する長さそれぞれ以上になっており、
壁部は供給口および排出口側に位置する第1壁部(551)と、第1壁部の供給口および排出口から離間した側に連結され、電気部品と一部が直交方向で並ぶ第2壁部(552)と、を有し、
第2壁部における電気部品との直交方向での重なり領域の面積が、第1流路における電気部品との直交方向での重なり領域の面積と、第3流路における電気部品との直交方向での重なり領域の面積とを併せた合計面積よりも小さくなっている。
【0007】
これによれば、第2流路(580)の電気部品(542)への直交方向の投影面積の減少が抑制されている。これによって電気部品(542)が冷媒によって冷却されやすくなっている。
【0008】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車載システムを説明する回路図である。
図2】電気製品を説明する上面図である。
図3図2に示すIII-III線に沿う断面図である。
図4】変形例を説明する断面図である。
図5】変形例を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0011】
また各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組合わせばかりではなく、組合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組合せることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
図1に基づいて電気製品700の設けられる車載システム100を説明する。車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム100はバッテリ200、モータ400、電気製品700、および、図示しない複数のECUを有する。電気製品700は電力変換装置300とDCDCコンバータ600を有する。
【0013】
これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは協調して電気自動車を制御している。複数のECUの制御により、バッテリ200のSOCに応じたモータ400の回生と力行が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
【0014】
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
【0015】
電力変換装置300はバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。電力変換装置300はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルの交流電力に変換する。電力変換装置300はモータ400の発電(回生)によって生成された交流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルの直流電力に変換する。
【0016】
また電力変換装置300はバッテリ200の直流電力を低圧の直流電力に変換する。この低圧の直流電力が図示しない補機バッテリに充電される。補機バッテリから車両のパワーステアリング装置、投光装置、各種電子制御ユニット等の補機へ低圧の直流電力が供給されている。
【0017】
モータ400は図示しない電気自動車の出力軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは出力軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは出力軸を介してモータ400に伝達される。
【0018】
モータ400は電力変換装置300から供給される交流電力によって力行する。これにより走行輪への推進力の付与が成される。またモータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電力変換装置300によって直流電力に変換されるとともに降圧される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
【0019】
<電力変換装置>
電力変換装置300はコンバータ310とインバータ320を備えている。コンバータ310にはバッテリ200から第1給電バスバ301と第2給電バスバ302を介して電力が供給されている。インバータ320にはコンバータ310から第2給電バスバ302と第3給電バスバ303を介して電力が供給されている。
【0020】
図1に示すようにコンバータ310は第1コンデンサ330、リアクトル340、および、第1ハイサイドスイッチ311と第1ローサイドスイッチ312から成るA相レグ313を有している。第1ハイサイドスイッチ311に第1ハイサイドダイオード311aが逆並列接続されている。第1ローサイドスイッチ312に第1ローサイドダイオード312aが逆並列接続されている。
【0021】
第1コンデンサ330は第1給電バスバ301と第2給電バスバ302に接続されている。A相レグ313は第3給電バスバ303と第2給電バスバ302に接続されている。第1ハイサイドスイッチ311と第1ローサイドスイッチ312が第3給電バスバ303と第2給電バスバ302の間で直列接続されている。リアクトル340が第1ハイサイドスイッチ311と第2ハイサイドスイッチ321の間と第1コンデンサ330との間に連結バスバ304を介して接続されている。
【0022】
第1ハイサイドスイッチ311と第1ローサイドスイッチ312は上記したECUによって開閉制御される。これによりECUはコンバータ310に入力される直流電力の電圧レベルを昇降圧している。
【0023】
インバータ320は第2コンデンサ350とU相レグ323~W相レグ325を有している。U相レグ323~W相レグ325は第2ハイサイドスイッチ321と第2ローサイドスイッチ322それぞれを有している。U相レグ323~W相レグ325の第2ハイサイドスイッチ321に第2ハイサイドダイオード321aが逆並列接続されている。U相レグ323~W相レグ325の第2ローサイドスイッチ322に第2ローサイドダイオード322aが逆並列接続されている。
【0024】
第2コンデンサ350は第3給電バスバ303と第2給電バスバ302に接続されている。U相レグ323~W相レグ325それぞれは第3給電バスバ303と第2給電バスバ302に接続されている。第2ハイサイドスイッチ321と第2ローサイドスイッチ322は第3給電バスバ303と第2給電バスバ302の間で直列接続されている。
【0025】
U相レグ323の備える第2ハイサイドスイッチ321と第2ローサイドスイッチ322との間にU相バスバ361が接続されている。U相バスバ361がモータ400のU相ステータコイルに接続されている。
【0026】
V相レグ324の備える第2ハイサイドスイッチ321と第2ローサイドスイッチ322との間にV相バスバ362が接続されている。V相バスバ362がモータ400のV相ステータコイルに接続されている。
【0027】
W相レグ325の備える第2ハイサイドスイッチ321と第2ローサイドスイッチ322の間にW相バスバ363が接続されている。W相バスバ363がモータ400のW相ステータコイルに接続されている。
【0028】
またU相レグ323~W相レグ325の備える第2ハイサイドスイッチ321と第2ローサイドスイッチ322それぞれのゲート電極にECUの制御信号が入力されている。これによりECUはコンバータ310に入力された直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルの交流電力に変換する。
【0029】
このようにしてコンバータ310およびインバータ320それぞれは電力変換を行っている。そのためにコンバータ310およびインバータ320は発熱しやすくなっている。
【0030】
なお、A相レグ313、U相レグ323、V相レグ324、および、W相レグ325それぞれは被覆樹脂によって樹脂封止されている。これによって図示しない複数のスイッチモジュールが構成されている。これらスイッチモジュールは積層され、図示しないパワーモジュールが構成されている。
【0031】
<DCDCコンバータ>
DCDCコンバータ600は第1給電バスバ301と第2給電バスバ302を介してバッテリ200と並列接続されている。さらにDCDCコンバータ600は図示しない、補機バッテリに接続されている。
【0032】
DCDCコンバータ600は図示しないトランス、スイッチ素子、チョークコイル、コンデンサなど複数の電気部品を有している。DCDCコンバータ600はこれら複数の電気部品によってバッテリ200の電圧を降圧する。
【0033】
降圧されたバッテリ200の直流電力が補機バッテリに供給される。補機バッテリに、降圧された低圧の直流電力が充電される。そしてこの補機バッテリから図示しない補機へ低圧の直流電力が供給されている。
【0034】
このようにしてDCDCコンバータ600は直流電力を降圧する機能を有している。そのためにDCDCコンバータ600は発熱しやすくなっている。DCDCコンバータ600の発熱量はコンバータ310に含まれるリアクトル340の発熱量よりも多くなっている。
【0035】
<電気製品の構成要素>
次に、電気製品700の構成を説明する。以下において直交の関係にある3方向をx方向、y方向、z方向とする。なお、並び方向はx方向に相当する。一方向はy方向に相当する。直交方向はz方向に相当する。また図面において「方向」の記載を省略している。図面においてDCDCコンバータ600をDと略記して示している。
【0036】
電気製品700はこれまでに説明した回路の構成要素の他に、ケース500、カバー530、リアクトルケース541、DCDCコンバータケース542、および、コンデンサケース543を有している。DCDCコンバータケース542は電気部品に相当する。
【0037】
リアクトル340がリアクトルケース541に収納されている。DCDCコンバータ600がDCDCコンバータケース542に収納されている。第1コンデンサ330と第2コンデンサ350がコンデンサケース543に収納されている。
【0038】
<ケース>
ケース500は底部510と側部520を有する。底部510はz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。底部510は内底面510aとその裏側の外底面510bを有している。
【0039】
側部520は底部510の内底面510aに連結されている。側部520は内底面510aから環状に起立している。側部520はx方向に離間して対向する第1側部521と第3側部523、および、y方向に離間して対向する第2側部522と第4側部524を有している。
【0040】
これら第1側部521、第2側部522、第3側部523、第4側部524はz方向のまわりの周方向に環状に連結されている。
【0041】
以上に示した形態のために、底部510と側部520によってケース500の内部に収納空間が区画されている。この収納空間にリアクトルケース541、DCDCコンバータケース542、コンデンサケース543、および、図示しないパワーモジュールが収納されている。
【0042】
また底部510には外底面510bから内底面510aに向かって凹む凹部511が形成されている。凹部511はx方向とy方向に沿う平面方向で側部520側に位置する第1側面511aと、第1側面511aと平面方向で対向する第2側面511bと、第1側面511aと第2側面511bを連結する連結面511cによって区画されている。z方向における凹部511の底部510への投影面は略U字状形状を成している。
【0043】
<カバー>
図3に示すようにカバー530はz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。カバー530は第1主面530aとその裏側の第2主面530bを有している。
【0044】
第1主面530aが連結面511cに対向する態様で、カバー530が外底面510bに設けられている。第1主面530a、第1側面511a、連結面511c、および、第2側面511bによって冷媒の流れる流路560が区画されている。
【0045】
<流路>
流路560は第1流路570、第2流路580、および、第3流路590を有している。第1流路570に冷媒の供給される供給口573が形成されている。第3流路590に冷媒の排出される排出口593が形成されている。第1流路570と第3流路590の間にこれらを連結する第2流路580が設けられている。
【0046】
冷媒は供給口573から第1流路570に供給される。冷媒は第1流路570を通った後、第2流路580に流される。冷媒は第2流路580を通った後、第3流路590に流される。そして第3流路590を通った冷媒が排出口593から排出される。
【0047】
<流路の形態>
図2に示すように第1流路570と第3流路590はx方向に離間して並んでいる。第1流路570は第1側部521側でy方向に沿って延びている。供給口573が第1流路570の第4側部524側の一端に形成されている。第3流路590は第3側部523側でy方向に沿って延びている。排出口593が第3流路590の第4側部524側の一端に形成されている。
【0048】
第1流路570における供給口573から離間した側の他端と、第3流路590における排出口593から離間した側の他端との間に、第2流路580が接続されている。第2流路580は供給口573から排出口593に向かって折り返して延びている。z方向における第2流路580の底部510への投影面は扇状形状を成している。なお、図面においては第1流路570と第2流路580と第3流路590の境界を破線で示している。
【0049】
<流路と壁部>
第1流路570は供給口573側に位置する第1供給流路571と第1供給流路571の供給口573から離間した側の端に連結される第2供給流路572を有している。
【0050】
第3流路590は排出口593側に位置する第1排出流路591と第1排出流路591の排出口593から離間した側の端に連結される第2排出流路592を有している。
【0051】
第1流路570と第3流路590の間に壁部550が設けられている。壁部550は連結面511cから遠ざかる態様でカバー530に向かって延びている。
【0052】
壁部550は第1供給流路571と第1排出流路591の間に位置する第1壁部551と、第2供給流路572と第2排出流路592の間に位置する第2壁部552を有している。
【0053】
第2流路580は第2壁部552の第1壁部551から離間した側の端よりも、第2側部522側に位置している。第2流路580は第2供給流路572の供給口573から離間した側の他端と、第2排出流路592の排出口593から離間した側の他端との間に接続されている。
【0054】
なお、図面においては第1供給流路571と第2供給流路572の境界を破線で示している。第1排出流路591と第2排出流路592の境界を一点鎖線で示している。図面においては第1壁部551と第2壁部552の境界を一点鎖線で示している。
【0055】
<壁部の投影面>
図2に示すようにz方向における第1壁部551の底部510への投影面が矩形を成している。第1壁部551における平面方向に並ぶ壁面が第2側面511bの一部を形成している。第1壁部551における平面方向に並ぶ壁面が矩形の外周に沿うようにして第1壁部551に設けられている。
【0056】
図2に示すようにz方向における第2壁部552の底部510への投影面が略楕円形状を成している。第2壁部552における平面方向に並ぶ壁面が第2側面511bの一部を形成している。第2壁部552における平面方向に並ぶ壁面が略楕円形状の外周に沿うようにして第2壁部552に設けられている。
【0057】
またz方向における第2壁部552の底部510への投影面は、x方向で最も差し渡しの長さが短くなっている。z方向における第2壁部552の底部510への投影面は、y方向で最も差し渡しの長さが長くなっている。以下、適宜、最も短い差し渡しの長さを短径と示す。最も長い差し渡しの長さを長径と示す。
【0058】
<流路幅>
流路560は供給口573から排出口593に向かう流通経路に直交する幅方向に幅を有している。流通経路は、第1流路570の供給口573から排出口593に向かう第1流通経路と、第2流路580の供給口573から排出口593に向かう第2流通経路と、第3流路590の供給口573から排出口593に向かう第3流通経路を有している。
【0059】
第1供給流路571の第1流通経路に直交する第1供給流路幅L11は、第1排出流路591の第3流通経路に直交する第1排出流路幅L31と同一になっている。
【0060】
第2供給流路572の第1流通経路に直交する第2供給流路幅L12は、第2壁部552の第1壁部551側の端から第2壁部552の短径に向かって徐々に短くなっている。
【0061】
第2供給流路572の第2供給流路幅L12は、第2壁部552の短径とx方向で並ぶ位置で最も短くなっている。第2供給流路572の第2供給流路幅L12は、第2壁部552の短径とx方向で並ぶ位置で第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも短くなっている。
【0062】
第2供給流路幅L12は第2壁部552の短径から第2壁部552の第1壁部551から離間した側の端に向かって徐々に長くなっている。第2壁部552の第1壁部551から離間した側の端に位置する第2供給流路572の第2供給流路幅L12が、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも長くなっている。
【0063】
同様に第2排出流路592の第3流通経路に直交する第2排出流路幅L32は、第2壁部552の第1壁部551側の端から第2壁部552の短径に向かって徐々に短くなっている。
【0064】
第2排出流路592の第2排出流路幅L32は、第2壁部552の短径とx方向で並ぶ位置で最も短くなっている。第2排出流路592の第2排出流路幅L32は、第2壁部552の短径とx方向で並ぶ位置で第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも短くなっている。
【0065】
第2排出流路幅L32は第2壁部552の短径から第2壁部552の第1壁部551から離間した側の端に向かって徐々に長くなっている。第2壁部552の第1壁部551から離間した側の端に位置する第2排出流路592の第2排出流路幅L32が、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも長くなっている。
【0066】
また第2流路580の第2流通経路に直交する第2流路幅L2は、第2壁部552の長径とy方向で並ぶ位置で最も長くなっている。第2流路580における第2壁部552の長径とy方向で並ぶ第2流路幅L2の長さは、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも長くなっている。
【0067】
なお、図示しないが、第2流路580における第2壁部552の長径とy方向で並ぶ第2流路幅L2の長さが、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31と同じになっていてもよい。また第2流路幅L2の長さが第2供給流路幅L12および第2排出流路幅L32以上になっていてもよい。
【0068】
<冷媒の乱れ>
冷媒は第2供給流路572から第2排出流路592に向かって流れる過程で、第2流路580の第1側面511aに衝突する。冷媒は第2流路580の第1側面511aに密着しながら第2排出流路592に流される。
【0069】
また冷媒は第2供給流路572と第2排出流路592を流れる過程で、第2側面511bに衝突する。冷媒は第2供給流路572と第2排出流路592それぞれの第2側面511bに密着しながら第1排出流路591に流される。
【0070】
<ケースの収納形態>
上記したようにケース500の収納空間にリアクトルケース541、DCDCコンバータケース542、コンデンサケース543、および、図示しないパワーモジュールが収納されている。リアクトルケース541が第4側部524側の内底面510aに設けられている。DCDCコンバータケース542が第2側部522側の内底面510aに設けられている。コンデンサケース543が第1側部521側の内底面510aに設けられている。
【0071】
<流路との対向状態>
DCDCコンバータケース542が第2供給流路572の一部、第2流路580の全て、第2排出流路592の一部、および、第2壁部552の一部それぞれにz方向で並んでいる。
【0072】
DCDCコンバータケース542にz方向で投影される、第1供給流路571側の第2供給流路幅L12が、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも短くなっている。
【0073】
DCDCコンバータケース542にz方向で投影される、第2壁部552の第1壁部551から離間した側の端に位置する第2供給流路幅L12が、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも長くなっている。
【0074】
DCDCコンバータケース542にz方向で投影される、第1排出流路591側の第2排出流路幅L32が、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも短くなっている。
【0075】
DCDCコンバータケース542にz方向で投影される、第2壁部552の第1壁部551から離間した側の端に位置する第2排出流路幅L32が、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも長くなっている。
【0076】
DCDCコンバータケース542にz方向で投影され、第2壁部552の長径とy方向で並ぶ第2流路580の第2流路幅L2が、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも長くなっている。
【0077】
DCDCコンバータケース542にz方向で投影される第2流路580の面積が、DCDCコンバータケース542にz方向で投影される第2壁部552の面積よりも大きくなっている。
【0078】
なお、第2壁部552におけるDCDCコンバータケース542とのz方向での重なり領域の面積は、第2壁部552におけるDCDCコンバータケース542とのz方向での非重なり領域の面積よりも小さくなっている。
【0079】
第2壁部552におけるDCDCコンバータケース542とのz方向での重なり領域の面積は、DCDCコンバータケース542にz方向で投影される第2壁部552の投影面積に相当している。
【0080】
DCDCコンバータケース542にz方向で投影される第2壁部552の投影面積は、DCDCコンバータケース542にz方向で投影される、第2供給流路572の投影面積と第2排出流路592の投影面積との合計面積よりも小さくなっている。
【0081】
DCDCコンバータケース542にz方向で投影される第2供給流路572の投影面積は、第2供給流路572におけるDCDCコンバータケース542とのz方向での重なり領域の面積に相当している。
【0082】
DCDCコンバータケース542にz方向で投影される第2排出流路592の投影面積は、第2排出流路592におけるDCDCコンバータケース542とのz方向での重なり領域の面積に相当している。
【0083】
リアクトルケース541は第4側部524側で第1供給流路571の一部、第2供給流路572の一部、第1排出流路591の一部、第2排出流路592の一部、第1壁部551の一部、および、第2壁部552の一部それぞれとz方向で並んでいる。
【0084】
<作用効果>
これまでに説明したようにDCDCコンバータケース542は第2流路580の全てとz方向で並んでいる。DCDCコンバータケース542にz方向で投影され、第2壁部552の長径とy方向で並ぶ第2流路580の第2流路幅L2は、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31よりも長くなっている。そのために第2流路580に流れる冷媒の量が多くなりやすくなっている。これによってDCDCコンバータ600が冷却されやすくなっている。
【0085】
これまでに説明したようにDCDCコンバータケース542にz方向で投影される第2流路580の面積が、DCDCコンバータケース542にz方向で投影される第2壁部552の面積よりも大きくなっている。第2流路580に流れる冷媒の量が多くなりやすくなっている。DCDCコンバータ600が冷却されやすくなっている。
【0086】
これまでに説明したように、第2壁部552におけるDCDCコンバータケース542とのz方向での重なり領域の面積は、第2壁部552におけるDCDCコンバータケース542とのz方向での非重なり領域の面積よりも小さくなっている。そのために第2流路580に流れる冷媒の量が多くなりやすくなっている。第2流路580に流れる冷媒とDCDCコンバータ600とが熱交換されやすくなっている。
【0087】
これまでに説明したようにDCDCコンバータケース542にz方向で投影される第2壁部552の投影面積は、上記した合計面積よりも小さくなっている。そのためにDCDCコンバータ600を冷却する冷媒の量が多くなりやすくなっている。これによって冷媒とDCDCコンバータ600とが熱交換されやすくなっている。
【0088】
これまでに説明したようにDCDCコンバータケース542にz方向で投影される、第1供給流路571側の第2供給流路幅L12が、第1供給流路幅L11および第1排出流路幅L31より短くなっている。そのために第2供給流路572に流れる冷媒の流速が速くなりやすくなっている。DCDCコンバータ600と冷媒との冷却効率が向上しやすくなっている。
【0089】
これまでに説明したように冷媒が第2流路580の第1側面511aに密着しながら第2排出流路592に流される。そのためにDCDCコンバータ600が第2流路580で積極的に冷却されやすくなっている。
【0090】
これまでに説明したように冷媒は第2供給流路572と第2排出流路592それぞれの第2側面511bに密着しながら第1排出流路591に流される。そのためにDCDCコンバータ600が第2供給流路572と第2排出流路592それぞれで積極的に冷却されやすくなっている。
【0091】
(第1変形例)
本実施形態では壁部550が連結面511cに一体的に連結される形態を示した。しかしながら壁部550は連結面511cに一体的に連結されていなくてもよい。図4に示すように壁部550がカバー530の第1主面530aに連結されていてもよい。壁部550が連結面511cに向かって延びていてもよい。壁部550の先端と連結面511cとの間に空隙があってもよい。その場合、この空隙に冷媒が流される。空隙に流された冷媒によってDCDCコンバータ600が冷却されやすくなっている。
【0092】
(第2変形例)
本実施形態ではz方向における第2壁部552の底部510への投影面が略楕円形状を成す形態を示した。しかしながら図5に示すようにz方向における第2壁部552の底部510への投影面が矩形形状を成していてもよい。
【0093】
(その他の変形例)
本実施形態では電力変換装置300が電気自動車用の車載システム100に含まれる例を示した。しかしながら電力変換装置300の適用としては特に上記例に限定されない。例えばモータ400と内燃機関を備えるハイブリッドシステムに電力変換装置300が含まれる構成を採用することもできる。
【0094】
本実施形態では電力変換装置300に1つのモータ400の接続される例を示した。しかしながら電力変換装置300に複数のモータ400の接続される構成を採用することもできる。この場合、電力変換装置300はインバータ320を構成するための3相のスイッチモジュールを複数有する。
【符号の説明】
【0095】
542…DCDCコンバータケース、550…壁部、551…第1壁部、552…第2壁部、560…流路、570…第1流路、573…供給口、580…第2流路、590…第3流路、593…排出口
図1
図2
図3
図4
図5