(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】温熱感制御システム
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20231219BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20231219BHJP
F24F 11/62 20180101ALI20231219BHJP
【FI】
B60H1/00 103S
B60H1/00 101Q
F24F11/52
F24F11/62
(21)【出願番号】P 2020123021
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪井 広樹
(72)【発明者】
【氏名】坂根 裕之
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 孝行
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/187713(WO,A1)
【文献】特開2009-002593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
F24F 11/52
F24F 11/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの体の目標とする温熱感である目標温熱感をユーザが設定するための設定画面(31、61)を表示装置(30)に表示させ、ユーザの体の温熱感を調整するための1つ以上の温熱デバイス(10)を前記目標温熱感に基づいて作動させる温熱感制御システムであって、
ユーザの体の実際の温熱感である実温熱感を推定する温熱感推定部(S230)と、
前記1つ以上の温熱デバイスによってユーザの温熱感を調整するときの熱負荷情報と、前記1つ以上の温熱デバイスのそれぞれの能力との少なくとも一方に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスによって達成できる温熱感の範囲を、前記目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲に決定する温熱感範囲決定部(S140、S231)と、
前記目標温熱感、および、前記温熱感推定部に推定された前記実温熱感を前記設定画面に表示させるとともに、前記温熱感範囲決定部に決定された前記温熱感の範囲の中で、ユーザによる前記目標温熱感の設定が可能であるように、前記目標温熱感の設定範囲を前記設定画面に表示させる表示制御部(S150)と、
前記設定画面に表示される前記目標温熱感および前記温熱感推定部に推定された前記実温熱感に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスの作動を制御する作動制御部(S170)と、
を備え、
前記温熱感推定部は、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの前記実温熱感を推定し、
前記温熱感範囲決定部は、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感に対して、前記温熱感の範囲を決定し、
前記表示制御部は、前記複数の部位のそれぞれの前記実温熱感、および、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感を前記設定画面に表示させるとともに、前記温熱感範囲決定部に決定された前記複数の部位のそれぞれの前記温熱感の範囲の中で、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感の設定が可能であるように、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感の設定範囲を表示させ、
前記作動制御部は、前記設定画面に表示される前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感、および、前記温熱感推定部に推定された前記複数の部位のそれぞれの前記実温熱感に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスの作動を制御し、
前記温熱感範囲決定部は、前記複数の部位のうち1つの部位の前記目標温熱感がユーザによって変更された場合、前記1つの部位の変更後の前記目標温熱感に応じて、前記複数の部位のうち前記1つの部位と共通の温熱デバイスによって温熱感が調整される他の部位の前記目標温熱感の設定範囲を決定する、温熱感制御システム。
【請求項2】
ユーザの体の目標とする温熱感である目標温熱感をユーザが設定するための設定画面(31、61)を表示装置(30)に表示させ、ユーザの体の温熱感を調整するための1つ以上の温熱デバイス(10)を前記目標温熱感に基づいて作動させる温熱感制御システムであって、
ユーザの体の実際の温熱感である実温熱感を推定する温熱感推定部(S230)と、
前記1つ以上の温熱デバイスによってユーザの温熱感を調整するときの熱負荷情報と、前記1つ以上の温熱デバイスのそれぞれの能力との少なくとも一方に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスによって達成できる温熱感の範囲を、前記目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲に決定する温熱感範囲決定部(S140、S231)と、
前記目標温熱感、および、前記温熱感推定部に推定された前記実温熱感を前記設定画面に表示させるとともに、前記温熱感範囲決定部に決定された前記温熱感の範囲の中で、ユーザによる前記目標温熱感の設定が可能であるように、前記目標温熱感の設定範囲を前記設定画面に表示させる表示制御部(S150)と、
前記設定画面に表示される前記目標温熱感および前記温熱感推定部に推定された前記実温熱感に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスの作動を制御する作動制御部(S170)と、を備え、
前記温熱感推定部は、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの前記実温熱感を推定し、
前記温熱感範囲決定部は、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感に対して、前記温熱感の範囲を決定し、
前記表示制御部は、前記複数の部位のそれぞれの前記実温熱感、および、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感を前記設定画面に表示させるとともに、前記温熱感範囲決定部に決定された前記複数の部位のそれぞれの前記温熱感の範囲の中で、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感の設定が可能であるように、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感の設定範囲を表示させ、
前記作動制御部は、前記設定画面に表示される前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感、および、前記温熱感推定部に推定された前記複数の部位のそれぞれの前記実温熱感に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスの作動を制御し、
前記温熱感範囲決定部は、前記複数の部位のうち1つの部位の前記目標温熱感がユーザによって変更された場合、前記1つの部位の変更後の前記目標温熱感に応じて作動する、前記1つ以上の温熱デバイスのうち前記1つの部位の温熱感を調整する温熱デバイスの作動情報を用いて、前記他の部位の前記目標温熱感の設定範囲を決定する、温熱感制御システム。
【請求項3】
ユーザの体の目標とする温熱感である目標温熱感をユーザが設定するための設定画面(31、61)を表示装置(30)に表示させ、ユーザの体の温熱感を調整するための1つ以上の温熱デバイス(10)を前記目標温熱感に基づいて作動させる温熱感制御システムであって、
ユーザの体の実際の温熱感である実温熱感を推定する温熱感推定部(S230)と、
前記1つ以上の温熱デバイスによってユーザの温熱感を調整するときの熱負荷情報と、前記1つ以上の温熱デバイスのそれぞれの能力との少なくとも一方に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスによって達成できる温熱感の範囲を、前記目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲に決定する温熱感範囲決定部(S140、S231)と、
前記目標温熱感、および、前記温熱感推定部に推定された前記実温熱感を前記設定画面に表示させるとともに、前記温熱感範囲決定部に決定された前記温熱感の範囲の中で、ユーザによる前記目標温熱感の設定が可能であるように、前記目標温熱感の設定範囲を前記設定画面に表示させる表示制御部(S150)と、
前記設定画面に表示される前記目標温熱感および前記温熱感推定部に推定された前記実温熱感に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスの作動を制御する作動制御部(S170)と、を備え、
前記温熱感推定部は、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの前記実温熱感を推定し、
前記温熱感範囲決定部は、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感に対して、前記温熱感の範囲を決定し、
前記表示制御部は、前記複数の部位のそれぞれの前記実温熱感、および、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感を前記設定画面に表示させるとともに、前記温熱感範囲決定部に決定された前記複数の部位のそれぞれの前記温熱感の範囲の中で、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感の設定が可能であるように、前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感の設定範囲を表示させ、
前記作動制御部は、前記設定画面に表示される前記複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感、および、前記温熱感推定部に推定された前記複数の部位のそれぞれの前記実温熱感に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスの作動を制御し、
前記温熱感範囲決定部は、前記複数の部位のうち1つの部位の前記目標温熱感がユーザによって変更された場合であって、前記1つの部位の変更後の前記目標温熱感の達成が、前記複数の部位のうち前記1つの部位と共通の温熱デバイスによって温熱感が調整される他の部位での前記目標温熱感の温熱感の設定範囲を変更することで可能な場合、前記1つの部位の変更後の前記目標温熱感が達成されるように、前記他の部位での前記目標温熱感の設定可能な前記温熱感の範囲を決定する、温熱感制御システム。
【請求項4】
前記設定画面のうち前記目標温熱感の設定範囲が表示される表示領域(33)の大きさが予め定められており、
前記表示制御部は、前記表示領域の全体にわたって、前記温熱感範囲決定部に決定された前記温熱感の範囲を表示させる、請求項1ないし
3のいずれか1つに記載の温熱感制御システム。
【請求項5】
ユーザの体の目標とする温熱感である目標温熱感をユーザが設定するための設定画面(61)を表示装置(30)に表示させ、ユーザの体の温熱感を調整するための1つ以上の温熱デバイス(10)を前記目標温熱感に基づいて作動させる温熱感制御システムであって、
前記1つ以上の温熱デバイスのそれぞれの能力に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスによって温熱感の調整が可能な体の複数の部位を、前記目標温熱感の設定可能な体の部位に決定する設定部位決定部(S102)と、
ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実際の温熱感である実温熱感を推定する温熱感推定部(S230)と、
前記温熱感推定部に推定された複数の部位のそれぞれの前記実温熱感を前記設定画面に表示させるとともに、前記設定部位決定部に決定された体の部位に対して、前記目標温熱感の設定が可能であり、かつ、ユーザの体の部位のうち前記設定部位決定部に決定された体の部位を除く部位に対して、単独での前記目標温熱感の設定が不可能であるように、前記目標温熱感の設定範囲を表示させる表示制御部(S150)と、
前記設定画面に表示される体の複数の部位のそれぞれの前記目標温熱感および前記温熱感推定部に推定された体の複数の部位のそれぞれの前記実温熱感に基づいて、前記1つ以上の温熱デバイスの作動を制御する作動制御部(S170)と、を備える温熱感制御システム。
【請求項6】
前記設定部位決定部は、前記1つ以上の温熱デバイスによって温熱感の調整が可能な体の部位であって、前記温熱感推定部が推定可能な体の部位と共通する部位を、前記目標温熱感の設定可能な体の部位に決定し、
前記温熱感制御システムは、前記1つ以上の温熱デバイスによって温熱感の調整が可能な部位であって、前記温熱感推定部が推定可能な体の部位と共通する部位を、前記温熱感推定部が推定する体の部位に決定する推定部位決定部(S101)を備え、
前記温熱感推定部は、前記実温熱感を推定する前記複数の部位として、前記推定部位決定部が決定した部位の前記実温熱感を推定する、請求項
5に記載の温熱感制御システム。
【請求項7】
前記推定部位決定部は、前記共通する部位に加えて、前記温熱感推定部が推定可能な体の部位であって、前記1つ以上の温熱デバイスによって温熱感の調整が可能な体の部位と共通しない部位を、前記温熱感推定部が推定する体の部位に決定する、請求項
6に記載の温熱感制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温熱感制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの体全体の温熱感を推定し、推定した温熱感に基づいて、空調を制御する空調装置が記載されている。この空調装置では、推定された温熱感が画面に表示され、この表示された温熱感をユーザが補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、目標温熱感をユーザが設定するための設定画面が表示装置に表示される際に、推定したユーザの実温熱感が設定画面に表示されるシステムを検討した。目標温熱感は、ユーザの体の目標とする温熱感である。実温熱感は、ユーザの体の実際の温熱感である。このシステムでは、推定した実温熱感が目標温熱感に近づくように、ユーザの温熱感を調整するための温熱デバイスの作動が制御される。このシステムによれば、ユーザは、実温熱感を設定画面で確認しながら、目標温熱感を設定することができる。
【0005】
しかしながら、設定画面に表示される目標温熱感の設定範囲に、実際には温熱デバイスによって達成できない温熱感が含まれる場合が考えられる。この場合、ユーザが目標温熱感の設定範囲のうち達成できない温熱感を選択した場合、設定した温熱感がいつまでたっても実現されない。このため、違和感をユーザが抱くという課題が生じることが、本発明者によって見出された。
【0006】
また、設定画面に表示される目標温熱感の設定範囲に、実際には温熱デバイスによって温熱感を調整できない体の部位が含まれる場合が考えられる。この場合、温熱感を調整できない体の部位に対してユーザが目標温熱感を設定しても、設定した温熱感がいつまでたっても実現されない。このため、違和感をユーザが抱くという課題が生じることが、本発明者によって見出された。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、設定した温熱感がいつまでたっても実現しないという違和感をユーザが抱くことを抑制できる温熱感制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明によれば、温熱感制御システムにおいて、
ユーザの体の目標とする温熱感である目標温熱感をユーザが設定するための設定画面(31、61)を表示装置(30)に表示させ、ユーザの体の温熱感を調整するための1つ以上の温熱デバイス(10)を目標温熱感に基づいて作動させる温熱感制御システムは、
ユーザの体の実際の温熱感である実温熱感を推定する温熱感推定部(S230)と、
1つ以上の温熱デバイスによってユーザの温熱感を調整するときの熱負荷情報と、1つ以上の温熱デバイスのそれぞれの能力との少なくとも一方に基づいて、1つ以上の温熱デバイスによって達成できる温熱感の範囲を、目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲に決定する温熱感範囲決定部(S140、S231)と、
目標温熱感、および、温熱感推定部に推定された実温熱感を設定画面に表示させるとともに、温熱感範囲決定部に決定された温熱感の範囲の中で、ユーザによる目標温熱感の設定が可能であるように、目標温熱感の設定範囲を設定画面に表示させる表示制御部(S150)と、
設定画面に表示される目標温熱感および温熱感推定部に推定された実温熱感に基づいて、1つ以上の温熱デバイスの作動を制御する作動制御部(S170)と、を備える。
温熱感推定部は、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実温熱感を推定し、
温熱感範囲決定部は、複数の部位のそれぞれの目標温熱感に対して、温熱感の範囲を決定し、
表示制御部は、複数の部位のそれぞれの実温熱感、および、複数の部位のそれぞれの目標温熱感を設定画面に表示させるとともに、温熱感範囲決定部に決定された複数の部位のそれぞれの温熱感の範囲の中で、複数の部位のそれぞれの目標温熱感の設定が可能であるように、複数の部位のそれぞれの目標温熱感の設定範囲を表示させ、
作動制御部は、設定画面に表示される複数の部位のそれぞれの目標温熱感、および、温熱感推定部に推定された複数の部位のそれぞれの実温熱感に基づいて、1つ以上の温熱デバイスの作動を制御する。
温熱感範囲決定部は、複数の部位のうち1つの部位の目標温熱感がユーザによって変更された場合、1つの部位の変更後の目標温熱感に応じて、複数の部位のうち1つの部位と共通の温熱デバイスによって温熱感が調整される他の部位の目標温熱感の設定範囲を決定する。
【0009】
これによれば、目標温熱感の設定範囲は、1つ以上の温熱デバイスによって達成可能な温熱感の範囲の中でユーザが温熱感の設定が可能であるように表示される。これにより、任意の温熱感にユーザが目標温熱感を設定した際に、設定した温熱感がいつまでたっても実現しないという違和感をユーザが抱くことを抑制することができる。
【0010】
また、請求項7に記載の発明によれば、
ユーザの体の目標とする温熱感である目標温熱感をユーザが設定するための設定画面(61)を表示装置(30)に表示させ、ユーザの体の温熱感を調整するための1つ以上の温熱デバイス(10)を目標温熱感に基づいて作動させる温熱感制御システムは、
1つ以上の温熱デバイスのそれぞれの能力に基づいて、1つ以上の温熱デバイスによって温熱感の調整が可能な体の複数の部位を、目標温熱感の設定可能な体の部位に決定する設定部位決定部(S102)と、
ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実際の温熱感である実温熱感を推定する温熱感推定部(S230)と、
温熱感推定部に推定された複数の部位のそれぞれの実温熱感を設定画面に表示させるとともに、設定部位決定部に決定された体の部位に対して、目標温熱感の設定が可能であり、かつ、ユーザの体の部位のうち設定部位決定部に決定された体の部位を除く部位に対して、単独での目標温熱感の設定が不可能であるように、目標温熱感の設定範囲を表示させる表示制御部(S150)と、
設定画面に表示される体の複数の部位のそれぞれの目標温熱感および温熱感推定部に推定された体の複数の部位のそれぞれの実温熱感に基づいて、1つ以上の温熱デバイスの作動を制御する作動制御部(S170)と、を備える。
【0011】
これによれば、ユーザの体の部位のうち1つ以上の温熱デバイスによって温熱感が調整可能な複数の部位に対して、ユーザが目標温熱感の設定が可能であるように、目標温熱感の設定範囲が表示される。ユーザの体の部位のうち1つ以上の温熱デバイスによって温熱感が調整不可能な部位に対して、単独での目標温熱感の設定が不可能であるように、目標温熱感の設定範囲が表示される。これにより、任意の体の部位に対してユーザが目標温熱感を設定した際に、設定した温熱感がいつまでたっても実現しないという違和感をユーザが抱くことを抑制することができる。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態における温熱感制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】夏季に複数の温熱デバイスによってユーザの温熱感が調整される様子を示す模式図である。
【
図3】冬季に複数の温熱デバイスによってユーザの温熱感が調整される様子を示す模式図である。
【
図4】第1実施形態における表示装置に表示される設定画面を示す図である。
【
図5】第1実施形態におけるシステム制御部およびセンサ制御部が実行する制御処理のフローチャートである。
【
図6】第1実施形態において、車両に、空調装置が装備され、足元ヒータが装備されていない場合の設定画面の一部を示す図である。
【
図7】第1実施形態において、車両に、空調装置と足元ヒータとが装備されている場合の設定画面の一部を示す図である。
【
図8】第1実施形態において、車両に、空調装置とシートヒータとが装備され、シート空調装置が装備されていない場合の設定画面の一部を示す図である。
【
図9】第1実施形態において、車両に、空調装置とシート空調装置とシートヒータとが装備されている場合の設定画面の一部を示す図である。
【
図10】第2実施形態において、夏条件時の設定画面を示す図である。
【
図11】第2実施形態において、極夏条件時の設定画面を示す図である。
【
図12】第2実施形態において、冬条件時の設定画面を示す図である。
【
図13】第2実施形態において、極冬条件時の設定画面を示す図である。
【
図14】第3実施形態において、頭部の目標温熱感バーが移動される前の設定画面を示す図である。
【
図15】第3実施形態において、頭部の目標温熱感バーが移動された後の設定画面を示す図である。
【
図16】第5実施形態において、胸部の目標温熱感バーが移動される前の設定画面を示す図である。
【
図17】第5実施形態において、胸部の目標温熱感バーが移動された後の設定画面を示す図である。
【
図18】第6実施形態における設定画面の一部を示す図である。
【
図19】第7実施形態における設定画面を示す図である。
【
図22】
図19と同じ設定画面であって、ユーザによる操作子の操作を説明するための図である。
【
図23】
図22に示す設定画面に対して、ユーザが操作子を操作した後の設定画面を示す図である。
【
図24】第7実施形態におけるシステム制御部およびセンサ制御部が実行する制御処理のフローチャートである。
【
図25】IRセンサによる実温熱感の推定が可能な部位の一例を示す図である。
【
図26】複数の温熱デバイスによるユーザの温熱感の調整が可能な部位の一例を示す図である。
【
図27】第7実施形態における設定画面を示す図である。
【
図28】第8実施形態におけるシステム制御部およびセンサ制御部が実行する制御処理のフローチャートである。
【
図29】第9実施形態における設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0015】
(第1実施形態)
図1に示す温熱感制御システム1は、車両に搭載される。温熱感制御システム1は、目標温熱感をユーザが設定するための設定画面を表示装置に表示させ、目標温熱感に基づいて複数の温熱デバイス10を作動させる。温熱感は、人が感じる暑さ、寒さの感覚である。温熱感制御システム1は、複数の温熱デバイス10と、システム制御部20と、表示装置30と、IRセンサ40と、複数のセンサ50とを備える。
【0016】
複数の温熱デバイス10は、車両に装備される。複数の温熱デバイス10は、シートに着座したユーザに対して温熱または冷熱を与えることで、ユーザの温熱感を調整する。複数の温熱デバイス10のそれぞれは、ユーザの体の複数の部位のうち1つの部位のみの温熱感、または、複数の部位の温熱感を調整することができる。複数の温熱デバイス10の例としては、空調装置11、シート空調装置12、首元冷風装置13、首元ヒータ14、シートヒータ15、および、足元ヒータ16が挙げられる。
【0017】
空調装置11は、車室内のうち前席よりも車両前方側に設けられる。空調装置11は、車室内に設けられた複数の吹出口から空調装置11が生成した空調風を吹き出す。複数の吹出口には、インストルメントパネルの上部に設けられたフェイス吹出口、インストルメントパネルの下部に設けられたフット吹出口、天井に設けられた天井吹出口などが含まれる。
【0018】
シート空調装置12は、ユーザが着座するシートのシートバック、クッションに設けられる。シート空調装置12は、シート空調装置12が備える送風機の作動によって、シートに吸い込まれる吸込風を形成する。
【0019】
首元冷風装置13および首元ヒータ14は、シートのうちシートバックの上部に設けられる。首元冷風装置13および首元ヒータ14が設置される高さ方向での位置は、シートに着座したユーザの肩の位置である。シートヒータ15は、ユーザが着座するシートのシートバック、クッション、アームレスト、および、オットマンに設けられる。足元ヒータ16は、インストルメントパネルの下部に設けられる。
【0020】
図2に示すように、夏季では、空調装置11は、天井吹出口が吹き出す冷風C1と、フェイス吹出口から吹き出す冷風C2との少なくとも一方によって、ユーザの頭部、首部、胸部に冷熱を供給する。シート空調装置12は、空調装置11によって冷却された車室内の空気を吸い込む吸込風C3、C4によって、ユーザの背中部、大腿部に、冷熱を供給する。首元冷風装置13は、ユーザの首元に冷風C5によって、ユーザの首部に冷熱を供給する。
【0021】
図3に示すように、冬季では、空調装置11は、フェイス吹出口から吹き出す温風H1によって、ユーザの頭部、首部、胸部に、温熱を供給する。空調装置11は、フット吹出口から吹き出す温風H2によって、ユーザの足部に温熱を供給する。首元ヒータ14は、ユーザの首元に向けて放出する輻射熱H3によって、ユーザの首部に温熱を供給する。シートヒータ15は、ユーザへ熱伝導される熱H4、H5、H6によって、ユーザの大腿部、背中部、下腿部に温熱を供給する。足元ヒータ16は、ユーザの足元(すなわち、下腿部)に向けて放出する輻射熱H7によって、ユーザの下腿部に温熱を供給する。
【0022】
このように複数の温熱デバイス10が作動することによって、ユーザの体の複数の部位の温熱感を調整することが可能となっている。
【0023】
システム制御部20は、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの目標温熱感を設定するための設定画面であって、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実温熱感を示す設定画面を、表示装置30に表示させる。システム制御部20は、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの温熱感が設定画面に表示される目標温熱感に近づくように、複数の温熱デバイス10のそれぞれの作動を制御する。システム制御部20は、複数の部位のそれぞれの実温熱感と、複数の部位のそれぞれの目標温熱感と、複数の部位のそれぞれに対する熱負荷とに基づいて、複数の温熱デバイス10のそれぞれの作動を制御する。
【0024】
システム制御部20は、車室内のうちインストルメントパネルの内側に配置されている。システム制御部20は、プロセッサおよびメモリを含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。なお、システム制御部20のメモリは、非遷移的かつ実体的な記憶媒体で構成されている。システム制御部20は、空調装置11の制御装置によって構成されている。
【0025】
表示装置30は、画像を表示する表示パネルを有する。表示装置30は、表示パネルに重ねて入力部が配置された表示入力装置としてのタッチパネルである。表示装置30は、上記した設定画面を表示する。設定画面は、表示装置30に表示される画像である。表示装置30は、システム制御部20から表示情報が入力される。また、表示装置30は、システム制御部20へ入力情報を出力する。表示装置30は、車両のインストルメントパネルに設置される。表示装置30は、インストルメントパネルから取り外しての使用が可能である。
【0026】
IRセンサ40は、ユーザの温熱感を推定するために用いられる。IRセンサ40は、ユーザの体の複数の部位のそれぞれから放射された赤外線を検出することで、体の複数の部位のそれぞれの表面温度を検出することができる。IRセンサ40としては、検出方式がサーモパイル方式であるものが用いられるが、他の検出方式のものが用いられてもよい。
【0027】
IRセンサ40は、検出部41と、センサ制御部42とを有する。検出部41は、ユーザの体の複数の部位のそれぞれから放出された赤外線を検出する。センサ制御部42は、検出部41の検出結果を用いて、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実温熱感を推定する。センサ制御部42は、プロセッサおよびメモリを含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。なお、センサ制御部42のメモリは、非遷移的かつ実体的な記憶媒体で構成されている。
【0028】
複数のセンサ50は、熱負荷を検出するために用いられる。複数のセンサ50には、内気温センサ51、外気温センサ52、日射量センサ53、湿度センサ54等が含まれる。内気温センサ51は、車室内の空気の温度、すなわち、内気温を検出する。外気温センサ52は、車室外の空気の温度、すなわち、外気温を検出する。日射量センサ53は、車室内の日射量を検出する。湿度センサ54は、車室内の空気の湿度を検出する。複数のセンサ50のそれぞれの検出結果は、システム制御部20に入力される。
【0029】
次に、表示装置30の表示パネルに表示される設定画面について説明する。表示パネルは、表示装置30のうち画像が表示される部分である。設定画面は、表示パネルに表示される画像である。
【0030】
図4に示すように、設定画面31は、複数の部位名称32と、複数の温熱感ゲージ33と、複数の実温熱感バー34と、複数の目標温熱感バー35とを含む。一つの部位名称32に対して、一つの温熱感ゲージ33と、一つの実温熱感バー34と、一つの目標温熱感バー35とが配置されている。
【0031】
複数の部位名称32は、体の複数の部位のそれぞれの名称である。複数の部位名称32は、体の頭部を示す頭32a、体の首部を示す首32b、体の胸部を示す胸32c、体の背中部を示す背中32d、体の大腿部を示す大腿32e、体の下腿部を示す下腿32f、および、体の足部を示す足32gを含む。
【0032】
複数の温熱感ゲージ33のそれぞれは、体の複数の部位のそれぞれにおける目標温熱感の設定範囲を表示する領域である。複数の温熱感ゲージ33のそれぞれは、上下方向に並んでいる。複数の温熱感ゲージ33は、頭部の温熱感ゲージ33a、首部の温熱感ゲージ33b、胸部の温熱感ゲージ33c、背中部の温熱感ゲージ33d、大腿部の温熱感ゲージ33e、下腿部の温熱感ゲージ33f、および、足部の温熱感ゲージ33gを含む。これらの温熱感ゲージ33は、上から下に向かう方向で、この記載順に配置されている。
【0033】
複数の温熱感ゲージ33のそれぞれは、左右方向に延びている。各温熱感ゲージ33では、左右方向に9マスが並んでいる。
図4では、9マスのうち左端のマスに「寒」の字が付されており、9マスのうち右端のマスに「暑」の字が付されている。9マスは、左から順に、「寒い」、「やや寒い」、「涼しい」、「やや涼しい」、「快適」、「やや暖かい」、「暖かい」、「やや暑い」、「暑い」の温熱感を示している。中央に位置する「快適」の目盛は、暑いと寒いとのどちらでもない温熱感を示す。
図4では、示されていないが、それぞれの温熱感は、異なる色で表される。
【0034】
複数の実温熱感バー34のそれぞれは、複数の温熱感ゲージ33のそれぞれに重ねて表示される。各部位の温熱感ゲージ33での実温熱感バー34の位置が、各部位の現在の実温熱感を表す。
【0035】
複数の目標温熱感バー35のそれぞれは、複数の温熱感ゲージ33のそれぞれに重ねて表示される。各部位の温熱感ゲージ33での目標温熱感バー35の位置が、各部位の目標温熱感を表す。複数の目標温熱感バー35のそれぞれは、ユーザに操作される操作子である。複数の目標温熱感バー35のそれぞれは、表示パネルの表面をユーザが触れることによって、ユーザに操作される。
【0036】
次に、システム制御部20およびセンサ制御部42が行う制御処理について説明する。システム制御部20およびセンサ制御部42は、
図5のフローチャートに従って、実温熱感と目標温熱感とを設定画面31に表示させるとともに、目標温熱感に応じて複数の温熱デバイス10を作動させる制御を行う。このとき、本実施形態では、システム制御部20およびセンサ制御部42は、複数の温熱デバイス10のそれぞれの能力に応じて、複数の目標温熱感バー35のそれぞれの設定可能範囲を変更する。
図5中に示したステップは、各種機能を実現する機能部に対応するものである。このことは、他の図においても同様である。
【0037】
具体的には、ステップS100で、システム制御部20は、システム制御部20のメモリに記憶されている装備情報を読み込むことで、装備情報を取得する。装備情報は、車両に装備されている複数の温熱デバイス10についての情報である。装備情報には、複数の温熱デバイス10のそれぞれの能力の情報が含まれる。能力の情報とは、温熱デバイス10がユーザの体の複数の部位のそれぞれに提供できる温熱感の程度についての情報である。
【0038】
続いて、ステップS110で、システム制御部20は、熱負荷に関する熱負荷情報を取得する。熱負荷とは、ユーザの温熱感を目標温熱感にするために必要とする熱量である。熱負荷情報には、外気温、日射量、内気温の情報が含まれる。システム制御部20は、熱負荷情報として、外気温センサ、日射量センサ、内気温センサのそれぞれの検出結果を取得する。なお、システム制御部20は、他のセンサによる外気温、日射量、内気温の検出結果を取得してもよい。
【0039】
さらに、熱負荷情報には、複数の温熱デバイス10の作動情報が含まれる。複数の温熱デバイス10の作動情報としては、例えば、空調装置11の吹出風の風量、温度、風向の情報が挙げられる。なお、熱負荷情報には、実温熱感の推定用のIRセンサ40の検出結果は含まれない。
【0040】
続いて、ステップS120で、システム制御部20は、ステップS110で取得した熱負荷情報をセンサ制御部42に送信する。
【0041】
一方、センサ制御部42は、ステップS210で、IRセンサ40の検出部41の検出結果を取得する。
【0042】
続いて、ステップS220で、センサ制御部42は、システム制御部20から熱負荷情報を受信する。
【0043】
続いて、ステップS230で、センサ制御部42は、部位別の実温熱感の推定を行う。すなわち、センサ制御部42は、熱負荷情報と検出部41の検出結果とに基づいて、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実温熱感を推定する。推定する複数の部位は、予め定められている頭部、首部、胸部、腹部、背中部、大腿部、下腿部、足部である。
【0044】
続いて、ステップS240で、センサ制御部42は、ステップS230で推定された部位別の実温熱感をシステム制御部20へ送信する。
【0045】
システム制御部20は、ステップS130で、複数の部位のそれぞれの実温熱感を受信する。
【0046】
続いて、ステップS140で、システム制御部20は、装備情報に基づいて、目標温熱感の設定可能範囲を決定する。具体的には、システム制御部20は、複数の温熱デバイス10のそれぞれの能力に基づいて、複数の温熱デバイス10によって達成できる温熱感の範囲を、目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲に決定する。
【0047】
続いて、ステップS150で、システム制御部20は、目標温熱感、および、部位別の実温熱感が設定画面31に表示され、かつ、決定された温熱感の範囲内で目標温熱感の設定が可能であることが表示されるように、設定画面31の画面生成情報を送信する。このステップS150が、設定画面31を表示させる表示制御部に相当する。これにより、複数の温熱感ゲージ33のそれぞれのうち複数の温熱デバイス10によって達成できない温熱感は、目標温熱感の設定ができないことがユーザに識別されるように、表示される。例えば、温熱感ゲージ33のうち達成できない温熱感は、グレーアウトされる。
【0048】
続いて、ステップS160で、システム制御部20は、表示装置30から出力された部位別の目標温熱感を受信する。すなわち、システム制御部20は、表示装置30の設定画面31に表示される複数の目標温熱感バー35のそれぞれの位置情報を取得する。
【0049】
続いて、ステップS170で、システム制御部20は、ステップS230で推定された複数の部位のそれぞれの実温熱感と、複数の目標温熱感バー35のそれぞれの位置とに基づいて、複数の温熱デバイス10の作動を制御する。システム制御部20は、推定される複数の部位のそれぞれの実温熱感が、対応する目標温熱感バー35が示す目標温熱感に近づくように、複数の温熱デバイス10の作動を制御する。
【0050】
(足元ヒータ16が装備されていない場合)
図6は、複数の温熱デバイス10に、空調装置11が含まれ、足元ヒータ16が含まれない場合の設定画面31の一部を示している。この場合、空調装置11のフット吹出口から吹き出される温風のみによっては、大腿部、下腿部、足部のそれぞれの温熱感として、各温熱感ゲージ33e、33f、33gのうち
図6中の一点鎖線で囲まれている領域内のマスの温熱感を作ることができない。
図6中の一点鎖線で囲まれている領域内のマスは、「快適」よりも「暑い」側の4つのマスであり、「やや暖かい」、「暖かい」、「やや暑い」、「暑い」である。
【0051】
この場合、空調装置11のフット吹出口から吹き出され温風および冷風によって、大腿部、下腿部、足部のそれぞれの温熱感として、各温熱感ゲージ33e、33f、33gのうち
図6中の一点鎖線で囲まれている領域以外のマスの温熱感を作ることができる。
図6中の一点鎖線で囲まれている領域以外のマスは、「快適」、「やや涼しい」、「涼しい」、「やや寒い」、「寒い」である。
【0052】
このため、ステップS140で、装備情報として、車両に装備されている空調装置11の能力の情報に基づいて、大腿部、下腿部、足部のそれぞれの目標温熱感の設定可能範囲が判断される。そして、大腿部、下腿部、足部のそれぞれの目標温熱感の設定可能範囲は、各温熱感ゲージ33e、33f、33gのうち「快適」から「寒い」までの範囲であることが決定される。
【0053】
この結果、設定画面31では、大腿部、下腿部、足部のそれぞれの目標温熱感の温熱感ゲージ33e、33f、33gは、温熱感ゲージ33のうち「快適」から「寒い」までの範囲で目標温熱感が設定可能であるように表示される。温熱感ゲージのうち中央の位置よりも「暑い」側の範囲は、グレーアウトされる。グレーアウトとは、項目が操作の対象から外れていることを示すため、グレー色で表示されている状態のことである。
【0054】
(足元ヒータ16が装備されている場合)
図7は、複数の温熱デバイス10に、空調装置11と足元ヒータ16とが含まれる場合の設定画面31の一部を示している。この場合、足元ヒータ16からの輻射熱によって、大腿部、下腿部、足部のそれぞれの温熱感として、各温熱感ゲージ33e、33f、33gのうち
図7中の一点鎖線で囲まれている領域内のマスの温熱感を作ることができる。
図7中の一点鎖線で囲まれている領域のマスは、
図6中の一点鎖線で囲まれている領域内のマスと同じである。
【0055】
また、空調装置11のフット吹出口から吹き出され温風および冷風によって、大腿部、下腿部、足部のそれぞれの温熱感として、各温熱感ゲージ33e、33f、33gのうち
図7中の一点鎖線で囲まれている領域以外のマスの温熱感を作ることができる。
図7中の一点鎖線で囲まれている領域以外のマスは、
図6中の一点鎖線で囲まれている領域以外のマスと同じである。
【0056】
このため、ステップS140で、装備情報として、車両に装備されている空調装置11と足元ヒータ16とのそれぞれの能力の情報に基づいて、大腿部、下腿部、足部のそれぞれの目標温熱感の設定可能範囲が判断される。そして、大腿部、下腿部、足部のそれぞれの目標温熱感の設定可能範囲は、温熱感ゲージ33の全範囲であることが決定される。
【0057】
この結果、設定画面31では、大腿部、下腿部、足部のそれぞれの目標温熱感の温熱感ゲージ33e、33f、33gは、温熱感ゲージ33の全範囲で目標温熱感の設定が可能であるように表示される。
【0058】
(シート空調装置12が装備されていない場合)
図8は、複数の温熱デバイス10に、空調装置11とシートヒータ15とが含まれ、シート空調装置12が含まれない場合の設定画面31を示している。この場合、背中部の温熱感として、温熱感ゲージ33dのうち
図8中の一点鎖線で囲まれている領域のマスの温熱感を作ることができない。
図8中の一点鎖線で囲まれている領域のマスは、「快適」よりも「寒い」側の4つのマスであり、「やや涼しい」、「涼しい」、「やや寒い」、「寒い」である。
【0059】
この場合、空調装置11のフェイル吹出口から吹き出される冷風または温風と、シートヒータ15の発熱とによって、背中の温熱感として、温熱感ゲージ33dのうち
図8中の一点鎖線で囲まれている領域以外のマスの温熱感を作ることができる。
図8中の一点鎖線で囲まれている領域以外のマスは、「快適」から「暑い」までの範囲のマスである。
【0060】
このため、ステップS140で、装備情報として、車両に装備されている空調装置11とシートヒータ15とのそれぞれの能力の情報に基づいて、背中部の目標温熱感の設定可能範囲が判断される。そして、背中部の目標温熱感の設定可能範囲は、温熱感ゲージ33のうち「快適」から「暑い」までの範囲であることが決定される。
【0061】
この結果、設定画面31では、背中部の温熱感ゲージ33dは、「快適」から「暑い」までの範囲で設定可能であるように表示される。温熱感ゲージのうち「快適」よりも「寒い」側の一点鎖線で囲まれる範囲は、グレーアウトされる。
【0062】
(シート空調装置12が装備されている場合)
図9は、複数の温熱デバイス10に、空調装置11とシート空調装置12とシートヒータ15とが含まれる場合の設定画面31を示している。この場合、空調装置11のフェイス吹出口から吹き出される冷風と、シート空調装置12によるシートバックの吸込風とによって、背中の温熱感として、温熱感ゲージ33dのうち
図9中の一点鎖線で囲まれている領域内のマスの温熱感を作ることができる。
図9中の一点鎖線で囲まれている領域内のマスは、
図8中の一点鎖線で囲まれている領域のマスと同じである。
【0063】
また、空調装置11のフェイス吹出口から吹き出される温風と、シートヒータ15の発熱とによって、背中の温熱感として、温熱感ゲージ33dのうち
図9中の一点鎖線で囲まれている領域以外のマスの温熱感を作ることができる。
図9中の一点鎖線で囲まれている領域以外のマスは、
図8中の一点鎖線で囲まれている領域以外のマスと同じである。
【0064】
このため、ステップS140で、装備情報として、車両に装備されている空調装置11とシート空調装置12とシートヒータ15とのそれぞれの能力の情報に基づいて、背中部の目標温熱感の設定可能範囲が判断される。そして、背中部の目標温熱感の設定可能範囲は、温熱感ゲージ33dの全範囲であることが決定される。この結果、設定画面31では、背中部の温熱感ゲージ33dは、温熱感ゲージ33dの全範囲で目標温熱感の設定が可能であるように、表示される。
【0065】
以上の説明の通り、本実施形態によれば、センサ制御部42は、ステップS230で、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実温熱感を推定する。システム制御部20は、ステップS140で、複数の温熱デバイス10のそれぞれの能力に基づいて、複数の温熱デバイス10によって達成できる温熱感の範囲を、目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲に決定する。システム制御部20は、ステップS150で、設定画面31の画面生成情報を送信する。これにより、システム制御部20は、目標温熱感、および、ステップS230で推定された部位別の実温熱感を設定画面31に表示させるとともに、ステップS140で決定された温熱感の範囲の中で、ユーザによる目標温熱感の設定が可能であるように、目標温熱感の設定範囲を設定画面31に表示させる。すなわち、システム制御部20は、各部位の温熱感ゲージ33のうち達成可能な温熱感の範囲をユーザが目標温熱感を設定できる範囲として、表示装置30の設定画面31に表示させる。システム制御部20は、各部位の温熱感ゲージ33のうち達成不可能な温熱感の範囲をユーザが目標温熱感を設定できない範囲として、表示装置30の設定画面31に表示させる。システム制御部20は、ステップS170で、ステップS230で推定された体の複数の部位のそれぞれの実温熱感と、表示装置30の設定画面31に表示される体の複数の部位の目標温熱感とに基づいて、複数の温熱デバイス10の作動を制御する。
【0066】
これによれば、各部位の温熱感ゲージ33のうち達成可能な温熱感の範囲のみが、ユーザが目標温熱感を設定できる範囲として表示される。すなわち、目標温熱感の設定範囲は、複数の温熱デバイス10によって達成可能な温熱感の範囲の中でユーザが温熱感の設定が可能であるように表示される。これにより、目標温熱感の設定範囲のうち任意の温熱感を目標温熱感にユーザが設定した際に、設定した温熱感がいつまでたっても実現しないという違和感をユーザが抱くことを抑制できる。
【0067】
なお、ステップS230が、温熱感制御システム1が備える温熱感推定部に相当する。ステップS140が、温熱感制御システム1が備える温熱感範囲決定部に相当する。ステップS150が、温熱感制御システム1が備える表示制御部に相当する。ステップS170が、温熱感制御システム1が備える作動制御部に相当する。
【0068】
(第2実施形態)
外気温が所定温度よりも高い夏条件では、冷房に対する熱負荷が大きい。このため、装備されている複数の温熱デバイス10では、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの温熱感として、温熱感ゲージ33のうち「寒い」側の温熱感を達成できない場合がある。また、外気温が低い冬条件では、暖房に対する熱負荷が大きい。このため、装備されている複数の温熱デバイス10では、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの温熱感として、温熱感ゲージ33のうち「暑い」側の温熱感を達成できない場合がある。
【0069】
そこで、本実施形態では、
図5のステップS140で、システム制御部20は、熱負荷情報に基づいて、目標温熱感の設定可能範囲を決定する。熱負荷情報として、外気温センサ52、日射量センサ53の検出結果が用いられる。すなわち、熱負荷情報として、外気温、日射量による熱負荷の情報が用いられる。システム制御部20は、外気温、日射量による熱負荷を算出する。熱負荷の単位は、W/m
2である。システム制御部20は、算出した熱負荷に基づいて、複数の温熱デバイス10によって達成できる温熱感の範囲を、目標温熱感の設定可能範囲に決定する。
【0070】
なお、
図5の制御処理のうちステップS140以外のステップは、第1実施形態と同じである。また、以では、複数の温熱デバイス10として、空調装置11、シート空調装置12、首元冷風装置13、首元ヒータ14、シートヒータ15、および、足元ヒータ16が装備されている場合について説明する。
【0071】
例えば、外気温、日射量による熱負荷が第1所定量より大きく、第2所定量よりも小さい場合、体の複数の部位のそれぞれの目標温熱感の設定可能範囲は、温熱感ゲージ33のうち「涼しい」から「暑い」までの範囲に決定される。この結果、
図10に示すように、設定画面31では、複数の温熱感ゲージ33のそれぞれのうち
図10中の一点鎖線で囲まれる領域内の「寒い」、「やや寒い」のマスは、グレーアウトされる。複数の温熱感ゲージ33のうち
図10中の一点鎖線で囲まれる領域を除く、「涼しい」から「暑い」までの範囲のマスは、設定可能であるように表示される。
【0072】
また、他の例として、外気温、日射量による熱負荷が第2所定量より大きい極夏条件の場合、体の複数の部位のそれぞれの目標温熱感の設定可能範囲は、温熱感ゲージ33のうち「快適」から「暑い」までの範囲に決定される。この結果、
図11に示すように、設定画面31では、複数の温熱感ゲージ33のそれぞれのうち
図11中の一点鎖線で囲まれる領域内の「寒い」、「やや寒い」、「涼しい」、「やや涼しい」のマスは、グレーアウトされる。複数の温熱感ゲージ33のうち
図11中の一点鎖線で囲まれる領域を除く、「快適」から「暑い」までの範囲のマスは、設定可能であるように表示される。
【0073】
なお、ここでは、システム制御部20は、熱負荷情報として、外気温と日射量との両方を用いる。しかしながら、システム制御部20は、熱負荷情報として、外気温と日射量とのうち外気温のみを用いてもよい。
【0074】
また、他の例として、外気温が第1所定温度よりも低く、第1所定温度よりも低温の第2所定温度よりも高い冬条件の場合、体の複数の部位のそれぞれの目標温熱感の設定可能範囲は、温熱感ゲージ33のうち「寒い」から「涼しい」までの範囲であることが決定される。この結果、
図12に示すように、設定画面31では、複数の温熱感ゲージ33のそれぞれのうち
図12中の一点鎖線で囲まれる領域内の「暑い」、「やや暑い」の範囲は、グレーアウトされる。体の複数の部位のそれぞれの温熱感ゲージ33のうち
図12中の一点鎖線で囲まれる領域を除く、「寒い」から「涼しい」までの範囲は、設定可能であるように表示される。
【0075】
また、他の例として、外気温が第2所定温度よりも低い極冬条件の場合、体の複数の部位のそれぞれの目標温熱感の設定可能範囲は、温熱感ゲージ33のうち「寒い」から「快適」までの範囲であることが決定される。この結果、
図13に示すように、設定画面31では、体の複数の部位のそれぞれの温熱感ゲージ33のうち
図13中の一点鎖線で囲まれる領域内の「暑い」、「やや暑い」、「涼しい」、「やや涼しい」の範囲は、グレーアウトされる。体の複数の部位のそれぞれの温熱感ゲージ33のうち
図13中の一点鎖線で囲まれる領域を除く、「寒い」から「快適」までの範囲は、設定可能であるように表示される。
【0076】
以上の説明の通り、本実施形態によれば、システム制御部20は、ステップS140で、熱負荷情報に基づいて、複数の温熱デバイス10によって達成できる温熱感の範囲を、目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲に決定する。このため、各部位の温熱感ゲージ33のうち達成可能な温熱感の範囲のみが、ユーザが目標温熱感を設定できる範囲として表示される。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同じ効果が得られる。
【0077】
なお、本実施形態では、システム制御部20は、熱負荷情報に基づいて、目標温熱感の設定可能範囲を決定する。しかしながら、システム制御部20は、複数の温熱デバイス10のそれぞれの能力と、熱負荷情報とに基づいて、目標温熱感の設定可能範囲を決定してもよい。
【0078】
(第3実施形態)
本実施形態では、複数の温熱デバイス10には、空調装置11が含まれ、首元冷風装置13および首元ヒータ14が含まれない。このため、ユーザの体のうち互いに近接する頭部、首部、胸部は、空調装置11のフェイス吹出口から吹き出される空調風のみによって、温熱感が調整される。すなわち、頭部、首部、胸部は、共通の温熱デバイスによって温熱感が調整される。このため、頭部、首部、胸部は、独立して、温熱感を調整することができない。
【0079】
本実施形態においても、システム制御部20およびセンサ制御部42は、
図5に示す制御処理を行う。
図14は、第2実施形態で説明した
図12の設定画面31と同じ冬条件での設定画面31を示している。第2実施形態と同様に、システム制御部20は、熱負荷情報に基づいて、目標温熱感の設定可能範囲を決定する。この結果、複数の温熱感ゲージ33のそれぞれのうち
図14中の一点鎖線で囲まれる領域内の「暑い」、「やや暑い」の範囲は、グレーアウトされる。
【0080】
冬条件において、
図14中の矢印のように、頭部の温熱感ゲージ33a上の目標温熱感バー35が、温熱感ゲージ33aの「快適」の位置から「寒い」の位置へ、ユーザによって移動される場合がある。この場合、
図5のステップS170が実行されることで、頭部の目標温熱感バー35の位置に応じて、空調装置11が作動する。具体的には、空調装置11のフェイス吹出口から冷風が、シートに着座するユーザの頭部に向かって吹き出される。この冷風によって、頭部に近接する首部、胸部において、達成可能な温熱感が「寒い」から「快適」までの範囲に限られ、「やや暖かい」、「暖かい」の温熱感を作ることができない。
【0081】
そこで、本実施形態では、システム制御部20は、頭部の目標温熱感バー35が移動された場合、
図5のステップS140で、首部、胸部に対する熱負荷情報に基づいて、首部、胸部のそれぞれの目標温熱感の設定可能範囲を決定する。このとき、首部、胸部に対する熱負荷情報として、外気温の他に、頭部の目標温熱感バー35の位置が「寒い」の位置に移動された後の目標温熱感バー35の位置に応じた空調装置11の作動情報が用いられる。この作動情報には、空調装置11の吹出モード、吹出風の風量、吹出風の温度、吹出風の向きの情報が含まれる。システム制御部20は、これらの情報から首部に与える影響を推定する。システム制御部20は、推定した影響に基づいて、首部、胸部の目標温熱感の設定可能範囲を、温熱感ゲージ33のうち「快適」から「寒い」までの範囲に決定する。その他のステップは、第1実施形態と同じである。
【0082】
これにより、首部、胸部の温熱感ゲージ33b、33cのうちグレーアウトされている範囲が変更される。頭部の目標温熱感バー35が移動される前では、
図14に示すように、首部、胸部の温熱感ゲージ33b、33cのうち「暑い」、「やや暑い」のマスがグレーアウトされる。頭部の目標温熱感バー35が移動された後では、
図15に示すように、首部、胸部の温熱感ゲージ33b、33cのうち「暑い」、「やや暑い」に加えて、「涼しい」、「やや涼しい」のマスがグレーアウトされる。
【0083】
さらに、首部、胸部の目標温熱感バー35が、首部、胸部の温熱感ゲージ33b、33cのうち頭部の目標温熱感バー35の移動後にグレーアウトされる範囲に位置する場合がある。この場合、システム制御部20は、ステップS150で、首部、胸部の目標温熱感バー35が首部、胸部の温熱感ゲージ33b、33cのうちグレーアウトされる範囲の外に位置するように、設定画面31を表示させる。
【0084】
以上の説明のように、本実施形態によれば、頭部の目標温熱感バー35が移動された場合、ステップS140で、システム制御部20は、頭部の変更後の目標温熱感に応じて、首部、胸部の目標温熱感の設定範囲を決定する。このとき、システム制御部20は、頭部の変更後の目標温熱感に応じて作動する空調装置11の作動情報を用いて決定する。これにより、頭部の目標温熱感バー35が移動された場合において、首部、胸部の温熱感ゲージ33b、33cのうち達成可能な温熱感の範囲のみが、ユーザが目標温熱感を設定できる範囲として表示される。よって、頭部の目標温熱感バー35の位置をユーザが変更した場合、その変更後の首部、胸部の目標温熱感の設定可能範囲をユーザに理解させることができる。
【0085】
なお、本実施形態では、頭部、首部、胸部は、独立して、温熱感を調整することができない。このため、上記の説明の通り、頭部の目標温熱感が変更された場合に、首部、胸部の目標温熱感の設定範囲が制限される。しかしながら、頭部、首部、胸部のそれぞれの温熱感を、独立して調整することができる場合、頭部の目標温熱感が変更されても、本実施形態のように、首部、胸部の目標温熱感の設定範囲は制限されない。
【0086】
また、本実施形態では、頭部が、ユーザによって目標温熱感が変更される1つの部位に相当する。首部、胸部が、ユーザの体のうち予め定められた複数の部位のうちその1つの部位と共通の温熱デバイスによって温熱感が調整される他の部位に相当する。本実施形態では、頭部の目標温熱感が変更された場合について説明した。首部または胸部の目標温熱感が変更された場合においても、本実施形態と同様に、頭部の目標温熱感の設定範囲が制限される。この場合、首部または胸部が1つの部位に相当する。頭部が他の部位に相当する。また、大腿部、下腿部、足部が共通の温熱デバイスによって温熱感が調整される場合においても、本実施形態を適用することができる。
【0087】
(第4実施形態)
第3実施形態では、頭部の目標温熱感バー35が
図14、
図15のように移動された場合、システム制御部20は、ステップS140で、頭部の変更後の目標温熱感に応じて、首部、胸部の目標温熱感の設定可能範囲を決定する。このとき、システム制御部20は、頭部の変更後の目標温熱感に応じて作動する空調装置11の作動情報を用いて決定する。
【0088】
これに対して、本実施形態では、頭部の目標温熱感バー35が
図14、
図15のように移動された場合、システム制御部20は、ステップS140で、頭部の変更後の目標温熱感に応じて、首部、胸部の目標温熱感の設定可能範囲を決定する。このとき、システム制御部20は、頭部、首部、胸部の目標温熱感バー35の位置情報と、頭部、首部、胸部に対して作ることができる温熱感の範囲の情報とを用いて決定する。頭部、首部、胸部に対して作ることができる温熱感の範囲は、装備されている複数の温熱デバイス10のそれぞれの能力に応じて定まる。温熱感の範囲の情報は、システム制御部20のメモリに記憶されている。システム制御部20は、頭部の目標温熱感バー35の位置に対応させて定められている首部、胸部のそれぞれの温熱感の範囲となるように、首部、胸部の目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲を決定する。
【0089】
例えば、頭部の目標温熱感バー35が温熱感ゲージ33aの「寒い」に位置するとき、首部、胸部に対して作ることができる温熱感の範囲は、温熱感ゲージ33b、33cの「快適」から「寒い」までの範囲である。この場合において、頭部の目標温熱感バー35が温熱感ゲージ33aの「寒い」の位置に移動された場合、システム制御部20は、その温熱感の範囲に基づいて、首部、胸部の目標温熱感の設定可能範囲を、温熱感ゲージ33のうち「快適」から「寒い」までの範囲に決定する。その他のステップは、第1実施形態と同じである。これにより、首部、胸部の温熱感ゲージ33b、33cのうちグレーアウトされている範囲が、
図14から
図15に示されるように変更される。本実施形態においても、第3実施形態と同じ効果が得られる。
【0090】
なお、本実施形態では、頭部の目標温熱感バー35が移動された場合、システム制御部20が、頭部の変更後の目標温熱感に応じて、首部、胸部の目標温熱感の設定範囲を変更する。しかしながら、表示装置30に設けられた図示しない制御部が、本実施形態のように、頭部の変更後の目標温熱感に応じて、首部、胸部の目標温熱感の設定範囲を変更してもよい。この場合、システム制御部20に加えて、表示装置30に設けられた図示しない制御部も、目標温熱感の設定可能範囲を決定することと、目標温熱感の設定範囲を表示させることとを行う。
【0091】
(第5実施形態)
本実施形態においても、第3実施形態と同様に、複数の温熱デバイス10には、空調装置11が含まれ、首元冷風装置13および首元ヒータ14が含まれない。このため、頭部、首部、胸部は、空調装置11のフェイス吹出口から吹き出される空調風のみによって、温熱感が調整される。すなわち、頭部、首部、胸部は、共通の温熱デバイスによって温熱感が調整される。
【0092】
図16は、第3実施形態で説明した
図15の設定画面31と同じ冬条件での設定画面31を示している。第3実施形態での説明の通り、頭部、首部、胸部のそれぞれにおいて、熱負荷情報、具体的には、冬の外気温と、頭部に向かって冷風が吹き出されている情報とに基づいて設定可能範囲が決定される。この結果、頭部、首部、胸部の温熱感ゲージ33a、33b、33cでは、中央の「快適」よりも「暑い」側の4つのマス(すなわち、「やや暖かい」、「暖かい」、「やや暑い」、「暑い」)が、グレーアウトされている。
【0093】
図17は、
図16に示す設定画面31において、胸部の目標温熱感バー35の位置が、胸部の温熱感ゲージ33cの「快適」の位置から
図16でグレーアウトされていた「暖かい」の位置に移動されたときの設定画面31を示している。基本的には、温熱感ゲージ33のうちグレーアウトされている範囲に目標温熱感バー35をユーザが移動させた場合、温熱感ゲージ33のうち目標温熱感バー35が位置する部分はグレーアウトされたままである。しかし、頭部の目標温熱感の範囲を「やや寒い」よりも「暑い」側に制限することで、胸部の「暖かい」の温熱感の達成が可能な場合がある。
【0094】
そこで、システム制御部20は、
図5のステップS140で、胸部の目標温熱感バー35の変更後の位置での温熱感の達成が、頭部、首部のそれぞれでの目標温熱感の設定可能範囲を変更することで、可能か否かを判断する。
【0095】
具体的には、システム制御部20は、複数の温熱デバイス10のそれぞれの能力に応じて、熱負荷の様々な大きさに対して、胸部での目標温熱感の達成可能範囲の情報を予め有している。さらに、システム制御部20は、胸部での設定可能範囲のうち任意の位置に目標温熱感バー35が位置するときに、その位置での温熱感の達成を可能とするための頭部、首部のそれぞれでの目標温熱感の設定可能範囲の情報を予め有している。システム制御部20は、それらの情報と、現在の熱負荷情報と、変更後の目標温熱感バー35の位置情報と、頭部、首部のそれぞれの現在の目標温熱感の設定可能範囲とに基づいて、判断する。
【0096】
そして、システム制御部20は、達成が可能と判断した場合、胸部の変更後の目標温熱感バー35の位置での温熱感が達成されるように、頭部、首部、胸部のそれぞれでの目標温熱感の設定可能範囲を決定する。
【0097】
続いて、システム制御部20は、
図5のステップS150で、設定画面31の画面生成情報を送信する。このとき、頭部、首部のそれぞれの目標温熱感バー35の位置が、頭部、首部のそれぞれでの目標温熱感の設定可能範囲の外に位置する場合、設定可能範囲内に位置させる。
【0098】
これにより、
図17に示すように、頭部、首部、胸部のそれぞれの温熱感ゲージ33a、33b、33cのうち「寒い」、「やや寒い」は、グレーアウトされる。頭部の目標温熱感バー35は、強制的に温熱感ゲージ33aの「涼しい」の位置に移動する。頭部、首部、胸部の温熱感ゲージ33a、33b、33cのうち「やや暖かい」、「暖かい」は、設定可能な表示に変更される。よって、胸部の目標温熱感バー35の位置をユーザが変更した場合、その変更後の頭部、首部の目標温熱感の設定可能範囲をユーザに理解させることができる。
【0099】
本実施形態では、胸部が、ユーザによって目標温熱感が変更される1つの部位に相当する。頭部、首部が、ユーザの体のうち予め定められた複数の部位のうちその1つの部位と共通の温熱デバイスによって温熱感が調整される他の部位に相当する。本実施形態では、胸部の目標温熱感が変更された場合について説明した。頭部の目標温熱感が変更された場合においても、本実施形態と同様に、胸部の目標温熱感の設定範囲が制限される。
【0100】
(第6実施形態)
第1実施形態では、温熱感ゲージ33のうち目標温熱感の設定不可範囲は、グレーアウトされる。これに対して、本実施形態では、
図18に示すように、目標温熱感の設定不可範囲は、設定画面31に表示されない。
【0101】
図18には、複数の温熱感ゲージ33の1つである、背中部の温熱感ゲージ33dが示されている。温熱感ゲージ33は、設定画面31のうち目標温熱感の設定範囲が表示される表示領域である。温熱感ゲージ33の全体の横方向の長さは、予め定められている。温熱感ゲージ33の全体の横方向の長さは、ステップS140で決定される設定可能範囲に関わらず、一定である。
【0102】
ステップS140で、「寒い」、「やや寒い」、「涼しい」、「やや涼しい」が、設定可能範囲に決定された場合を想定する。この場合、システム制御部20は、
図5のステップS150で、背中部の温熱感ゲージ33dの全体にわたって、設定可能範囲に決定された4つの温熱感のマスが表示されるように、1つのマス331の長さを変更して、画面生成情報を送信する。
【0103】
これにより、設定画面31の背中部の温熱感ゲージ33dには、設定可能範囲である4つのマスが表示される。背中部の温熱感ゲージ33dには、設定不可範囲は表示されない。
【0104】
このように、本実施形態では、設定画面31のうち複数の温熱感ゲージ33のそれぞれの大きさは予め定められている。システム制御部20は、
図5のステップS150で、温熱感ゲージ33の全体にわたって、ステップS140で決定された設定可能範囲を表示させる。これによれば、目標温熱感の設定不可範囲を表示せずに、目標温熱感の設定可能範囲をユーザに理解させることができる。
【0105】
(第7実施形態)
図19に示すように、本実施形態では、表示装置30に表示される設定画面61が、第1実施形態の設定画面31と異なる。本実施形態の設定画面61には、乗員アイコン62と、複数の操作子63とが表示される。複数の操作子63のそれぞれの一部は、乗員アイコン62に重なっている。
【0106】
図20は、
図19中の乗員アイコン62を示している。乗員アイコン62は、設定画面61のうち推定した実温熱感が表示される領域である。乗員アイコン62は、着座姿勢の乗員の側面図である。乗員アイコン62の複数の部位のそれぞれに対して、別々に実温熱感が示される。複数の部位は、着座姿勢の乗員の体を上下方向で分けられた部位である。複数の部位のそれぞれの実温熱感は、例えば、実温熱感の種類に応じた色で示さされる。
図19では、上から下に向かって順に並ぶ頭部、上半身、下半身、および、足部の4つの部位の実温熱感が示される。
【0107】
図21は、
図19中の複数の操作子63を示している。複数の操作子63は、設定画面61のうち目標温熱感が表示される領域である。複数の操作子63は、複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位に対応して示されている。
図19、
図21では、複数の操作子63として、頭部の操作子63a、上半身の操作子63b、下半身の操作子63c、足部の操作子63dが表示されている。頭部の操作子63aは、頭部の目標温熱感を設定するための操作子である。上半身の操作子63bは、上半身の目標温熱感を設定するための操作子である。下半身の操作子63cは、上半身の目標温熱感を設定するための操作子である。足部の操作子63dは、足部の目標温熱感を設定するための操作子である。
【0108】
各操作子63は、左右方向に延びた形状である。各操作子63は、乗員アイコン62のうち各操作子63に対応する部位と上下方向で同じ位置に配置されている。各操作子63の上下方向での幅は、乗員アイコン62のうち各操作子63に対応する部位の上下方向での幅と同じである。例えば、頭部の操作子63aは、乗員アイコン62の頭部に対して、上下方向での幅が同じであり、上下方向で同じ位置に配置されている。
【0109】
各操作子63は、左右方向に並ぶ複数の領域に区画されている。複数の領域のそれぞれは、互いに異なる色が付されている。複数の領域のそれぞれの温熱感が色で視認される。
図19、21では、色の替わりに、各領域に、「-2」「-1」、「0」、「1」、「2」が付されている。「0」は、快適な温熱感を意味する。「+1」は、「0」よりも暑い側の温熱感を意味する。「+2」は、「+1」よりも暑い側の温熱感を意味する。「-1」は、「0」よりも寒い側の温熱感を意味する。「-2」は、「-1」よりも寒い側の温熱感を意味する。
【0110】
各操作子63は、
図21中の実線矢印および破線矢印で示すように、ユーザの操作によって左右方向にスライドが可能である。各操作子63のうち希望する目標温熱感の領域が、乗員アイコン62に重なるように、各操作子63が左右方向にスライドされる。これにより、目標温熱感が設定される。
【0111】
例えば、頭部の目標温熱感を現在の温熱感よりも涼しい温熱感へ変更する場合、
図22に示される頭部の操作子63aのうち太い実線で示される「-1」の領域を、ユーザが指で触れる。その状態で、
図23に示すように、頭部の操作子63aの「-1」の領域が、乗員アイコン62の頭部に位置するように、頭部の操作子63aをユーザがスライドさせる。これにより、頭部の目標温熱感が「-1」に設定される。頭部の温熱感が「-1」の温熱感に近づくように、複数の温熱デバイス10の作動が制御される。この結果、ユーザの頭部が涼しくなる。
【0112】
また、例えば、下半身の目標温熱感を現在の温熱感よりも暖かい側へ変更する場合、
図22に示される下半身の操作子63cのうち太い実線で示される「+1」の領域を、ユーザが指で触れる。その状態で、
図23に示すように、下半身の操作子63cの「+1」の領域が、乗員アイコン62の大腿部に位置するように、下半身の操作子63cをユーザがスライドさせる。これにより、下半身の目標温熱感が「+1」に設定される。下半身の温熱感が「+1」の温熱感に近づくように、複数の温熱デバイス10の作動が制御される。この結果、ユーザの下半身が暖かくなる。
【0113】
温熱感制御システム1は、第1実施形態と同様に、複数の温熱デバイス10と、システム制御部20と、表示装置30と、IRセンサ40と、複数のセンサ50とを備える。システム制御部20およびセンサ制御部42は、
図24のフローチャートに従って、実温熱感と目標温熱感とを設定画面61に表示させるとともに、目標温熱感に応じて複数の温熱デバイス10を作動させる制御を行う。このとき、本実施形態では、システム制御部20およびセンサ制御部42は、複数の温熱デバイス10のそれぞれの能力に応じて、目標温熱感の設定対象となる体の部位を自動で変更して、体の複数の部位のそれぞれの目標温熱感を設定画面61に表示させる。
図24のフローチャートでは、
図5のフローチャートと同じステップに同一の符号が付されている。
【0114】
具体的には、ステップS100で、システム制御部20は、装備情報を取得する。続いて、ステップS101で、システム制御部20は、推定部位を決定する。推定部位の決定では、システム制御部20は、ステップS100で取得した装備情報と、IRセンサ40の検出部41の検出結果を用いてのステップS230での実温熱感の推定が可能な部位の情報とに基づいて、実温熱感を推定するユーザの体の部位を決定する。
【0115】
第1実施形態での説明と同様に、装備情報には、複数の温熱デバイス10のそれぞれが作用する体の部位の情報が含まれる。装備情報には、複数の温熱デバイス10のそれぞれの能力の情報が含まれる。また、実温熱感の推定が可能な部位の情報は、システム制御部20のメモリに予め記憶されている。実温熱感の推定が可能な部位の情報としては、例えば、検出部41が検出可能な体の部位の情報が挙げられる。
【0116】
システム制御部20は、体の複数の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位と、ステップS230での実温熱感の推定が可能な部位とを比較する。そして、システム制御部20は、複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位であって、実温熱感の推定が可能な部位と共通する部位を、実温熱感の推定部位に決定する。さらに、システム制御部20は、体の複数の部位のうちステップS230での実温熱感の推定が可能な部位であって、複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位と共通しない部位も、実温熱感の推定部位に決定する。
【0117】
続いて、ステップS102で、システム制御部20は、操作子63の表示部位を決定する。操作子63の表示部位は、設定画面61に表示される操作子63に対応する体の部位である。すなわち、操作子63の表示部位は、目標温熱感の設定可能な体の部位である。表示部位の決定では、システム制御部20は、ステップS100で取得した装備情報と、IRセンサ40の検出部41の検出結果を用いてのステップS230での実温熱感の推定が可能な部位の情報とに基づいて決定する。具体的には、システム制御部20は、体の複数の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位であって、ステップS230での実温熱感の推定が可能な部位と共通する部位を、表示部位に決定する。
【0118】
続いて、ステップS110で、システム制御部20は、熱負荷情報を取得する。続いて、ステップS121で、システム制御部20は、熱負荷情報と、ステップS101で決定した推定部位とを、センサ制御部42へ送信する。
【0119】
一方、センサ制御部42は、ステップS210で、IRセンサ40の検出部41の検出結果を取得する。
【0120】
続いて、ステップS221で、センサ制御部42は、システム制御部20から熱負荷情報と、ステップS101で決定した推定部位とを受信する。
【0121】
続いて、ステップS230で、センサ制御部42は、部位別の実温熱感の推定を行う。すなわち、センサ制御部42は、熱負荷情報と検出部41の検出結果とに基づいて、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実温熱感を推定する。このとき、実温熱感が推定される複数の部位は、ステップS101で決定された推定部位である。
【0122】
続いて、ステップS240で、センサ制御部42は、ステップS230で推定された部位別の実温熱感をシステム制御部20へ送信する。
【0123】
システム制御部20は、ステップS130で、複数の部位のそれぞれの実温熱感を受信する。
【0124】
続いて、ステップS140で、システム制御部20は、装備情報に基づいて、目標温熱感の設定可能範囲を決定する。このとき、ステップS102で決定された表示部位において、複数の操作子63のそれぞれの設定可能範囲が決定される。
【0125】
続いて、ステップS150で、システム制御部20は、決定された複数の表示部位のそれぞれに対応して複数の操作子63のそれぞれが表示されるように、設定画面61の画面生成情報を送信する。
【0126】
続いて、ステップS160で、システム制御部20は、表示装置30から出力された部位別の目標温熱感を受信する。続いて、ステップS170で、システム制御部20は、複数の操作子63が指し示す温熱感に応じて、複数の温熱デバイス10の作動を制御する。
【0127】
図25は、赤外線の検出可能な体の部位が頭部、肩部、腹部、大腿部、下腿部、足部の6部位であるIRセンサ40が車両に装備されている場合を示している。この場合、実温熱感の推定が可能な部位は、頭部、肩部、腹部、大腿部、下腿部、足部の6部位である。ここでいう実温熱感の推定が可能な部位とは、部位別に推定が可能な部位であって、体を上下方向で分割した部位の数が最多となるときの部位である。設定画面61の乗員アイコン62に対して、6部位のそれぞれの実温熱感を表示することができる。
【0128】
また、
図26は、複数の温熱デバイス10として、空調装置11と、シート空調装置12とが装備されている場合を示している。この場合、夏季では、空調装置11のフェイス吹出口から吹き出される冷風C2と、シート空調装置12によってシートバック、クッションに吸い込まれる吸込風C3、C4とによって、ユーザに冷熱が供給される。このため、
図26に示す場合では、複数の温熱デバイス10によって、温熱感の調整が可能な体の部位は、頭部、上半身、大腿部の3部位である。ここでいう温熱感の調整が可能な体の部位とは、独立して温熱感の調整が可能な部位であって、体を上下方向で分割した部位の数が最多となるときの部位である。
【0129】
図25、
図26に示す場合、体の複数の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位であって、ステップS230での実温熱感の推定が可能な部位と共通する部位は、頭部、上半身、大腿部の3部位である。このため、
図25、
図26に示す場合、ステップS101において、推定部位は、頭部、上半身、大腿部の3部位に決定される。
図25に示す場合、センサ制御部42は、検出部41の検出結果を用いて、肩部と腹部とのそれぞれに対して別々に実温熱感を推定することができる。しかしながら、
図26に示す場合、複数の温熱デバイス10は、肩部と腹部とのそれぞれの温熱感を別々に調整することができない。そこで、ユーザの体の肩部と腹部とに対しては、肩部と腹部とをマージさせた上半身という1つの部位が、推定部位に決定される。
【0130】
同様に、ステップS102において、表示部位は、頭部、上半身、大腿部の3部位に決定される。ステップS230において、頭部、上半身、大腿部の3部位のそれぞれの実温熱感が推定される。ステップS150において、頭部、上半身、大腿部の3部位のそれぞれの操作子63が表示されるとともに、頭部、上半身、大腿部の3部位のそれぞれの実温熱感が表示されるように、画面生成情報が送信される。
【0131】
この結果、
図27に示す設定画面61に、乗員アイコン62の頭部、上半身、大腿部のそれぞれの実温熱感が、実温熱感の種類に対応する色で、表示される。さらに、
図27に示すように、設定画面61のうち上下方向で乗員アイコン62の頭部、上半身、大腿部のそれぞれに対応する位置に、頭部の操作子63aと、上半身の操作子63bと、大腿部の操作子63eとが、表示される。設定画面61のうち上下方向で乗員アイコン62の下腿部および足部と同じ位置は、グレーアウトされる。すなわち、下腿部および足部に対応する操作子は、表示されない。
【0132】
このように、複数の操作子63のそれぞれの上下方向での位置は、対応する複数の実温熱感のそれぞれの上下方向での表示位置に、そろえられる。このため、ユーザは、乗員アイコン62の頭部、上半身、大腿部のそれぞれの実温熱感を確認しながら、頭部、上半身、大腿部のそれぞれの目標温熱感を設定することができる。
【0133】
ここで、本実施形態と異なり、
図25、
図26に示す場合において、設定画面61に、乗員アイコン62の6部位のそれぞれに実温熱感が表示される。さらに、乗員アイコン62の6部位のそれぞれに対応して複数の操作子63のそれぞれが表示される。この場合、下腿部、足部のそれぞれに対して目標温熱感の設定が可能であると、ユーザが誤解する。このため、下腿部、足部のそれぞれの操作子63をユーザが操作して、下腿部、足部のそれぞれに対して目標温熱感をユーザが設定した際、設定した目標温熱感がいつまでたっても実現しないという違和感をユーザが抱く。
【0134】
これに対して、本実施形態によれば、設定画面61のうち上下方向で乗員アイコン62の下腿部および足部と同じ位置には、操作子が表示されない。すなわち、ユーザの体の部位のうちステップS102で表示部位に決定された、頭部、上半身、大腿部に対して、目標温熱感の設定が可能であり、かつ、ユーザの体の部位のうちステップS102で表示部位に決定された部位を除いた、下腿部および足部に対して、単独での目標温熱感の設定が不可能であるように、複数の操作子63が表示される。このため、下腿部、足部のそれぞれに対して設定した目標温熱感がいつまでたっても実現しないという違和感をユーザが抱くことを抑制することができる。
【0135】
なお、
図26に示す場合において、温熱デバイス10として、下腿部に対して独立して温熱感の調整が可能な温熱デバイスが車両に追加された場合、本実施形態によれば、設定画面61のうち乗員アイコン62の下腿部に対応する位置に、操作子63が表示される。
【0136】
また、ステップS101において、上記した実温熱感の推定が可能な6部位のうち、上記した温熱感の調整が可能な3部位と共通しない部位である、下腿部および足部も、推定部位に決定される。ステップS230において、下腿部および足部の実温熱感が推定される。ステップS150において、下腿部および足部の実温熱感が表示されるように、画面生成情報が送信される。この結果、
図27に示す設定画面61において、乗員アイコン62の下腿部および足部の実温熱感が表示される。ここでは、下腿部と足部との互いに隣り合う部位の実温熱感は、1つの部位の実温熱感として推定され、表示される。しかしながら、下腿部と足部との互いに隣り合う部位の実温熱感は、別々の部位の実温熱感として推定され、表示されてもよい。
【0137】
また、本実施形態では、システム制御部20およびセンサ制御部42は、実温熱感と目標温熱感とを設定画面61に表示させる際に、ステップS101の推定部位の決定、および、ステップS102の表示部位の決定を毎回行う。しかしながら、温熱デバイスの追加または削除がされた場合に、システム制御部20およびセンサ制御部42は、ステップS101、S102を行えばよい。
【0138】
以上の説明の通り、本実施形態によれば、システム制御部20は、ステップS102で、複数の温熱デバイス10のそれぞれの能力に基づいて、複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な体の複数の部位を、目標温熱感の設定可能な体の部位に決定する。センサ制御部42は、ステップS230で、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実温熱感を推定する。システム制御部20は、ステップS150で、設定画面61の画面生成情報を送信する。これにより、システム制御部20は、ステップS230で推定された複数の部位のそれぞれの実温熱感を表示装置30の設定画面61に表示させる。このとき、システム制御部20は、ステップS102で決定された体の部位に対して、目標温熱感の設定が可能であり、かつ、ユーザの体の部位のうちステップS102で決定された体の部位を除く部位に対して、単独での目標温熱感の設定が不可能であるように、目標温熱感の設定範囲を表示させる。システム制御部20は、ステップS170で、ステップS230で推定された体の複数の部位のそれぞれの実温熱感と、表示装置30の設定画面61に表示される体の複数の部位のそれぞれの目標温熱感とに応じて、複数の温熱デバイス10の作動を制御する。
【0139】
これによれば、ユーザの体の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感が調整可能な部位に対して、目標温熱感の設定が可能であるように、目標温熱感の設定範囲が表示される。ユーザの体の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感が調整不可能な部位に対して、単独での目標温熱感の設定が不可能であるように、目標温熱感の設定範囲が表示される。これにより、任意の体の部位に対してユーザが目標温熱感を設定した際に、設定した目標温熱感がいつまでたっても実現しないという違和感をユーザが抱くことを抑制することができる。
【0140】
また、本実施形態によれば、ステップS101で、システム制御部20は、体の複数の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な体の部位であって、実温熱感の推定が可能な部位と共通する部位を、実温熱感の推定部位に決定する。ステップS102で、システム制御部20は、複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位であって、実温熱感の推定が可能な部位と共通する部位を、目標温熱感の設定可能な体の部位に決定する。ステップS230で、センサ制御部42は、ユーザの体の複数の部位のうちステップS101で決定された推定部位のそれぞれの実温熱感を推定する。
【0141】
これによれば、複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位の数と、ステップS230での実温熱感の推定が可能な部位の数とが異なる場合であっても、実温熱感と目標温熱感とを体の同じ部位に対して表示することができる。また、温熱感の調整が可能な1つの部位の範囲と、それに対応する実温熱感の推定が可能な1つの部位の範囲とが異なる場合であっても、実温熱感と目標温熱感とを体の同じ部位に対して表示することができる。これにより、ユーザは、体の任意の部位に対して、実温熱感を確認しながら、目標温熱感を設定することができる。
【0142】
また、本実施形態によれば、ステップS101で、システム制御部20は、体の複数の部位のうちステップS230での実温熱感の推定が可能な部位であって、複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位と共通しない部位も、実温熱感の推定部位に決定する。ステップS150で、システム制御部20は、この共通しない部位の実温熱感を、設定画面61に表示させる。このように、実温熱感の推定が可能であれば、共通しない部位の実温熱感を設定画面61に表示させてもよい。
【0143】
なお、ステップS102が、温熱感制御システム1が備える設定部位決定部に相当する。ステップS101が、温熱感制御システム1が備える推定部位決定部に相当する。
【0144】
(第8実施形態)
図28に示すように、本実施形態では、第7実施形態でシステム制御部20が実行する処理の一部を、センサ制御部42が実行する。
図28のフローチャートでは、
図5のフローチャートおよび
図24のフローチャートと同じステップに同一の符号が付されている。
【0145】
システム制御部20は、ステップS100で、装備情報を取得する。続いて、システム制御部20は、ステップS103で、装備情報をセンサ制御部42へ送信する。続いて、システム制御部20は、ステップS110、S120を順に行う。
【0146】
センサ制御部42は、ステップS200で、装備情報を受信する。続いて、センサ制御部42は、ステップS201で、推定部位を決定する。ステップS201は、
図24のステップS101と同じ内容である。続いて、センサ制御部42は、ステップS202で、表示部位を決定する。ステップS202は、ステップS102と同じ内容である。続いて、センサ制御部42は、ステップS210、S220、S230を順に行う。ステップS230において、実温熱感が推定される複数の部位は、ステップS201で決定された推定部位である。
【0147】
その後、センサ制御部42は、ステップS231で、装備情報に基づいて、目標温熱感の設定可能範囲を決定する。このとき、ステップS202で決定された表示部位において、複数の操作子63の設定可能範囲が決定される。ステップS231は、第1実施形態で説明したステップS140と同じ内容である。ステップS231は、第2実施形態で説明したステップS140と同じ内容であってもよい。ステップS231は、温熱感制御システムが備える温熱感範囲決定部に相当する。
【0148】
続いて、センサ制御部42は、ステップS241で、ステップS230で推定された部位別の実温熱感、ステップS202で決定された表示部位、および、ステップS231で決定された設定可能範囲を、システム制御部20へ送信する。
【0149】
システム制御部20は、ステップS131で、ステップS230で推定された部位別の実温熱感、ステップS202で決定された表示部位、および、ステップS231で決定された設定可能範囲を受信する。その後、システム制御部20は、第7実施形態と同様に、ステップS150、S160、S170を行う。
【0150】
温熱感制御システム1の他の構成は、第7実施形態と同じである。本実施形態においても、第7実施形態と同じ効果が得られる。
【0151】
(第9実施形態)
第7実施形態では、設定画面61のうち乗員アイコン62の下腿部および足部と上下方向で同じ位置は、グレーアウトされる。これに対して、本実施形態では、
図29に示すように、設定画面61のうち乗員アイコン62の下半身と上下方向で同じ位置には、1つの操作子63fが表示される。
【0152】
図26に示す場合において、下腿部および足部は、体の複数の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が不可能な部位である。大腿部は、体の複数の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位である。このように、温熱感の調整が不可能な部位と、温熱感の調整が可能な部位とを統合して1つの部位とする。統合した1つの部位に対して1つの操作子が表示されてもよい。すなわち、目標温熱感の設定可能な部位が拡大されてもよい。
【0153】
本実施形態においても、ユーザの体の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感が調整不可能な部位に対しては、目標温熱感の単独での設定ができない。すなわち、システム制御部20は、ユーザの体の部位のうちステップS102で決定された体の複数の部位に対して、目標温熱感の設定が可能であり、かつ、ユーザの体の部位のうちステップS102で決定された体の複数の部位を除く部位に対して、単独での目標温熱感の設定が不可能であるように、目標温熱感の設定範囲を表示させる。このため、第7実施形態と同じ効果が得られる。
【0154】
(他の実施形態)
(1)第1実施形態等では、
図5のステップS230の実温熱感の推定を、IRセンサ40のセンサ制御部42が行う。しかしながら、この実温熱感の推定を、システム制御部20が行ってもよい。この場合、IRセンサ40は、検出結果をシステム制御部20に送信する。システム制御部20は、送信された検出結果に基づいて、実温熱感の推定を行う。
【0155】
(2)第1実施形態等では、複数の温熱感ゲージ33が設定画面31に表示される。しかしながら、体全体に対応する1つの温熱感ゲージ33のみが設定画面31に表示されてもよい。すなわち、体全体に対して1つの実温熱感、目標温熱感が設定画面31に表示されてもよい。
【0156】
(3)第7実施形態では、ステップS102で、システム制御部20は、体の複数の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位であって、体の複数の部位のうちステップS230での実温熱感の推定が可能な部位と共通する部位を、目標温熱感の設定可能な体の部位に決定する。しかしながら、システム制御部20は、体の複数の部位のうちステップS230での実温熱感の推定が可能な部位に関わらず、体の複数の部位のうち複数の温熱デバイス10によって温熱感の調整が可能な部位を、目標温熱感の設定可能な体の部位に決定してもよい。この場合においても、任意の体の部位に対してユーザが目標温熱感を設定した際に、設定した目標温熱感がいつまでたっても実現しないという違和感をユーザが抱くことを抑制することができる。
【0157】
(4)上記した各実施形態では、温熱感制御システム1が備える温熱デバイスは、複数である。しかしながら、温熱感制御システム1が備える温熱デバイスは、1つのみであってもよい。
【0158】
(5)上記した各実施形態では、温熱感制御システム1は、車両に搭載されるものである。しかしながら、温熱感制御システム1は、車両以外の場所に設定されてもよい。
【0159】
(6)上記した各実施形態では、ユーザの温熱感を推定するために、IRセンサ40が用いられる。しかしながら、ユーザの温熱感を推定するために、ユーザの温熱感に関する情報を検出する他のセンサを用いてもよい。
【0160】
(7)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0161】
(8)また、上記した実施形態では、外気温を外気温センサ52から取得するが、車両の外部のサーバまたはクラウドから外気温を取得することも可能である。あるいは、車両の外部のサーバまたはクラウドから外気温に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報から外気温を推定することも可能である。なお、このことは、熱負荷情報として、外気温以外の外部環境情報を取得する場合も同様である。
【0162】
(9)本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0163】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、温熱感制御システムは、ユーザの体の実際の温熱感である実温熱感を推定する温熱感推定部と、目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲を決定する温熱感範囲決定部と、目標温熱感、および、温熱感推定部に推定された実温熱感を設定画面に表示させる表示制御部と、設定画面に表示される目標温熱感および温熱感推定部に推定された実温熱感に基づいて、1つ以上の温熱デバイスの作動を制御する作動制御部と、を備える。温熱感範囲決定部は、1つ以上の温熱デバイスによってユーザの温熱感を調整するときの熱負荷情報と、1つ以上の温熱デバイスのそれぞれの能力との少なくとも一方に基づいて、1つ以上の温熱デバイスによって達成できる温熱感の範囲を、目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲に決定する。表示制御部は、温熱感範囲決定部に決定された温熱感の範囲の中で、ユーザによる目標温熱感の設定が可能であるように、目標温熱感の設定範囲を設定画面に表示させる。
【0164】
また、第2の観点によれば、温熱感推定部は、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実温熱感を推定する。温熱感範囲決定部は、複数の部位のそれぞれの目標温熱感に対して、温熱感の範囲を決定する。表示制御部は、複数の部位のそれぞれの実温熱感、および、複数の部位のそれぞれの目標温熱感を設定画面に表示させるとともに、温熱感範囲決定部に決定された複数の部位のそれぞれの温熱感の範囲の中で、複数の部位のそれぞれの目標温熱感の設定が可能であるように、複数の部位のそれぞれの目標温熱感の設定範囲を表示させる。作動制御部は、設定画面に表示される複数の部位のそれぞれの目標温熱感、および、温熱感推定部に推定された複数の部位のそれぞれの実温熱感に基づいて、1つ以上の温熱デバイスの作動を制御する。
【0165】
第2の観点のように、体の複数の部位のそれぞれに対して、実温熱感と目標温熱感とを表示させることが好ましい。
【0166】
また、第3の観点によれば、温熱感範囲決定部は、複数の部位のうち1つの部位の目標温熱感がユーザによって変更された場合、1つの部位の変更後の目標温熱感に応じて、複数の部位のうち1つの部位と共通の温熱デバイスによって温熱感が調整される他の部位の目標温熱感の設定範囲を決定する。これによれば、1つの部位の目標温熱感をユーザが変更した場合、その変更後の他の部位の目標温熱感の設定可能範囲をユーザに理解させることができる。
【0167】
また、第4の観点によれば、温熱感範囲決定部は、複数の部位のうち1つの部位の目標温熱感がユーザによって変更された場合、1つの部位の変更後の目標温熱感に応じて作動する、1つ以上の温熱デバイスのうち1つの部位の温熱感を調整する温熱デバイスの作動情報を用いて、他の部位の目標温熱感の設定範囲を決定する。これによれば、1つの部位の目標温熱感をユーザが変更した場合、その変更後の他の部位の目標温熱感の設定可能範囲をユーザに理解させことができる。
【0168】
また、第5の観点によれば、温熱感範囲決定部は、複数の部位のうち1つの部位の目標温熱感がユーザによって変更された場合であって、1つの部位の変更後の目標温熱感の達成が、複数の部位のうち1つの部位と共通の温熱デバイスによって温熱感が調整される他の部位での目標温熱感の温熱感の設定範囲を変更することで可能な場合、1つの部位の変更後の目標温熱感が達成されるように、他の部位での目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲を決定する。これによれば、1つの部位の目標温熱感をユーザが変更した場合、その変更後の他の部位の目標温熱感の設定可能範囲をユーザに理解させることができる。
【0169】
また、第6の観点によれば、設定画面のうち目標温熱感の設定範囲が表示される表示領域の大きさが予め定められている。表示制御部は、表示領域の全体にわたって、温熱感範囲決定部に決定された温熱感の範囲を表示させる。これによれば、目標温熱感の設定不可範囲を表示せずに、目標温熱感の設定可能な温熱感の範囲をユーザに理解させることができる。
【0170】
また、第7の観点によれば、温熱感制御システムは、目標温熱感の設定可能な体の部位を決定する設定部位決定部と、ユーザの体の複数の部位のそれぞれの実際の温熱感である実温熱感を推定する温熱感推定部と、温熱感推定部に推定された複数の部位のそれぞれの実温熱感を設定画面に表示させる表示制御部と、設定画面に表示される体の複数の部位のそれぞれの目標温熱感および温熱感推定部に推定された体の複数の部位のそれぞれの実温熱感に基づいて、1つ以上の温熱デバイスの作動を制御する作動制御部と、を備える。設定部位決定部は、1つ以上の温熱デバイスのそれぞれの能力に基づいて、1つ以上の温熱デバイスによって温熱感の調整が可能な体の複数の部位を、目標温熱感の設定可能な体の部位に決定する。表示制御部は、設定部位決定部に決定された体の部位に対して、目標温熱感の設定が可能であり、かつ、ユーザの体の部位のうち設定部位決定部に決定された体の部位を除く部位に対して、単独での目標温熱感の設定が不可能であるように、目標温熱感の設定範囲を表示させる。
【0171】
また、第8の観点によれば、設定部位決定部は、1つ以上の温熱デバイスによって温熱感の調整が可能な体の部位であって、温熱感推定部が推定可能な体の部位と共通する部位を、目標温熱感の設定可能な体の部位に決定する。温熱感制御システムは、1つ以上の温熱デバイスによって温熱感の調整が可能な部位であって、温熱感推定部が推定可能な体の部位と共通する部位を、温熱感推定部が推定する体の部位に決定する推定部位決定部を備える。温熱感推定部は、実温熱感を推定する複数の部位として、推定部位決定部が決定した部位の実温熱感を推定する。
【0172】
これによれば、1つ以上の温熱デバイスによって温熱感の調整が可能な体の部位の数と、温熱感推定部が実温熱感の推定が可能な体の部位の数とが異なる場合であっても、実温熱感と目標温熱感とを体の同じ部位に対して表示することができる。これにより、ユーザは、体の任意の部位に対して、実温熱感を確認しながら、目標温熱感を設定することができる。
【0173】
また、第9の観点によれば、推定部位決定部は、共通する部位に加えて、温熱感推定部が推定可能な体の部位であって、1つ以上の温熱デバイスによって温熱感の調整が可能な体の部位と共通しない部位を、温熱感推定部が推定する体の部位に決定する。このように、実温熱感の推定が可能であれば、共通しない部位の実温熱感を設定画面に表示させてもよい。
【符号の説明】
【0174】
1 温熱感制御システム
10 温熱デバイス
30 表示装置
31 設定画面
61 設定画面