(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】鋳物砂供給装置、鋳物砂検査システム、及び鋳物砂採取方法
(51)【国際特許分類】
B22C 5/16 20060101AFI20231219BHJP
B22C 9/00 20060101ALI20231219BHJP
B22D 46/00 20060101ALI20231219BHJP
B65G 17/16 20060101ALI20231219BHJP
B65G 17/30 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B22C5/16
B22C9/00 E
B22D46/00
B65G17/16 B
B65G17/30 Z
(21)【出願番号】P 2020136472
(22)【出願日】2020-08-12
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2019150470
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】小倉 裕一
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 康明
(72)【発明者】
【氏名】原田 久
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-115848(JP,A)
【文献】特開2009-166097(JP,A)
【文献】実開昭62-162649(JP,U)
【文献】米国特許第01948805(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 5/16,9/00
B22D 46/00
B65G 17/12,17/16,17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳物砂を採取するバケットと、
前記バケットを回動可能に支持するとともに前記バケットを駆動させるバケット駆動部と、
前記バケット駆動部を前記鋳物砂に対して近接及び離間させ、前記鋳物砂を採取する採取位置と前記鋳物砂を供給する供給位置との間で前記バケット駆動部を直線的に移動させる移動部と、
を備える鋳物砂供給装置。
【請求項2】
前記バケットはコンベヤ上に配置された鋳物砂を採取する、請求項1に記載の鋳物砂供給装置。
【請求項3】
前記バケット駆動部及び前記移動部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記コンベヤの稼働情報を取得し、前記稼働情報に基づいて前記コンベヤの搬送の中断時に前記バケット駆動部及び前記移動部を動作させる、
請求項2に記載の鋳物砂供給装置。
【請求項4】
前記バケット駆動部は、ロッドを駆動させるシリンダであり、
前記バケットは、前記ロッドの先端に支持される、請求項1~3の何れか一項に記載の鋳物砂供給装置。
【請求項5】
前記バケットの内部に向けて気体を出力するブロアを備える、請求項1~4の何れか一項に記載の鋳物砂供給装置。
【請求項6】
前記移動部は、前記バケット駆動部を前記供給位置に移動させ、
前記バケット駆動部は、前記供給位置において前記バケットを駆動させて外部装置の砂投入口に前記鋳物砂を供給する、請求項1~5の何れか一項に記載の鋳物砂供給装置。
【請求項7】
砂投入口と前記砂投入口の下方に位置する砂排出口とを含むシュートと、
前記シュートの前記砂排出口に接続され、前記シュートから落下した鋳物砂の性状を検査する検査部と、
を有する検査装置と、
鋳物砂を採取するバケットと、
前記バケットを回動可能に支持するとともに前記バケットを駆動させるバケット駆動部と、
前記バケット駆動部を前記鋳物砂に対して近接及び離間させ、前記鋳物砂を採取する採取位置と前記鋳物砂を前記シュートの前記砂排出口に供給する供給位置との間で前記バケット駆動部を直線的に移動させる移動部と、
を有する鋳物砂供給装置と、
を備える鋳物砂検査システム。
【請求項8】
前記シュートは、その内部に開閉ゲートを有し、
前記開閉ゲートは、落下する前記鋳物砂を受け取る受取面を含み、前記受取面の面内に沿って延びる回動軸を中心に回動可能に支持され、
前記開閉ゲートは、水平姿勢のときに前記鋳物砂の一部を受け止め、残りの前記鋳物砂を前記シュートの前記砂排出口へ通過させる、請求項7に記載の鋳物砂検査システム。
【請求項9】
前記検査装置は、前記検査部に前記鋳物砂が供給される前に前記鋳物砂をほぐす砂ほぐし機構を有する、請求項7又は8に記載の鋳物砂検査システム。
【請求項10】
鋳物砂を採取するバケットと、前記バケットを回動可能に支持するとともに前記バケットを駆動させるバケット駆動部と、前記バケット駆動部を前記鋳物砂に対して近接及び離間させ、前記鋳物砂を採取する採取位置と前記鋳物砂を供給する供給位置との間で前記バケット駆動部を直線的に移動させる移動部とを備える鋳物砂供給装置を用いて、コンベヤで搬送される
前記鋳物砂を採取する鋳物砂採取方法であって、
前
記バケットを前記鋳物砂から離間した位置で待機させるステップと、
前記コンベヤの稼働情報を取得するステップと、
前記コンベヤの稼働情報に基づいて、前記コンベヤによる前記鋳物砂の搬送が中断されたか否かを判定するステップと、
前記コンベヤによる前記鋳物砂の搬送が中断されたと判定された場合には、前記バケットを待機させた前記位置から前記鋳物砂を採取可能な位置へと前記バケット
駆動部を直線的に移動させ、前記鋳物砂を採取するステップと、
を有する鋳物砂採取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鋳物砂供給装置、鋳物砂検査システム、及び鋳物砂採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、鋳物砂を採取する装置を開示する。この装置は、回動支点を中心に正逆両方向に回動するアームと、アームの先端部に設けられたバケットとを備える。バケットはベルトコンベヤによって流れる回収砂の砂層の中に位置する。アームは、バケットが回収砂をすくった状態で正転する。アームの正転により、バケットは収納箱の上方に搬送されるとともにバケットの開口部が下向きになる。これにより、バケット内の回収砂が収納箱に投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の装置は、ベルトコンベヤによって流れる回収砂をバケットで受けることにより、受動的に回収砂をバケット内に収容する。このため、ベルトコンベヤの稼働状態によっては十分な量の回収砂を採取できないおそれがある。
【0005】
本開示は、任意のタイミングで鋳物砂を採取できる鋳物砂供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態は、鋳物砂供給装置である。この装置は、バケット、バケット駆動部、及び移動部を備える。バケットは、鋳物砂を採取する。バケット駆動部は、バケットを回動可能に支持するとともにバケットを駆動させる。移動部は、バケット駆動部を鋳物砂に対して近接及び離間させ、鋳物砂を採取する採取位置と鋳物砂を供給する供給位置との間でバケット駆動部を直線的に移動させる。
【0007】
本開示の一形態に係る鋳物砂供給装置においては、バケットは、バケットを回動可能に支持するバケット駆動部によって駆動される。そして、バケットは、移動部によってバケット駆動部とともに鋳物砂に対して近接及び離間し、採取位置と供給位置との間を直線的に移動する。このように、この鋳物砂供給装置は、バケットを採取位置と供給位置との間において直線的に移動させる移動部を備えるだけでなくバケット自体を駆動させるバケット駆動部を備えるため、鋳物砂を能動的に採取できる。このため、この鋳物砂供給装置は、鋳物砂の搬送状態に関わらず、任意のタイミングで鋳物砂を採取できる。
【0008】
一実施形態においては、バケットはコンベヤ上に配置された鋳物砂を採取してもよい。この場合、鋳物砂供給装置は、稼働中のコンベヤによって移動する鋳物砂をバケットで受けることができるだけでなく、搬送を中断したコンベヤ上にある鋳物砂も採取できる。
【0009】
一実施形態においては、バケット駆動部及び移動部の動作を制御する制御部を備えてもよい。制御部は、コンベヤの稼働情報を取得し、稼働情報に基づいてコンベヤの搬送の中断時にバケット駆動部及び移動部を動作させてもよい。この場合、鋳物砂供給装置は、コンベヤの搬送の中断時であっても鋳物砂を採取できる。
【0010】
一実施形態においては、バケット駆動部はロッドを駆動させるシリンダであってもよい。バケットは、ロッドの先端に支持されてもよい。この場合、鋳物砂供給装置は、シリンダを駆動させることによりバケットを回動できる。
【0011】
一実施形態においては、鋳物砂供給装置は、バケットの内部に向けて気体を出力するブロアを備えてもよい。この場合、鋳物砂供給装置は、バケット内に付着した砂を気体により除去できる。
【0012】
一実施形態においては、移動部は、バケット駆動部を供給位置に移動させ、バケット駆動部は、供給位置においてバケットを駆動させて外部装置の砂投入口に鋳物砂を供給してもよい。この場合、鋳物砂供給装置は、採取した砂を外部装置へ供給できる。
【0013】
本発明の他の態様は、鋳物砂検査システムである。鋳物砂検査システムは、検査装置及び鋳物砂供給装置を備える。検査装置は、シュート及び検査部を備える。シュートは、砂投入口と砂投入口の下方に位置する砂排出口とを含む。検査部は、シュートの砂排出口に接続され、シュートから落下した鋳物砂の性状を検査する。鋳物砂供給装置は、バケット、バケット駆動部、及び移動部を備える。バケットは、鋳物砂を採取する。バケット駆動部は、バケットを回動可能に支持するとともにバケットを駆動させる。移動部は、バケット駆動部を鋳物砂に対して近接及び離間させ、鋳物砂を採取する採取位置と鋳物砂をシュートの砂排出口に供給する供給位置との間でバケット駆動部を直線的に移動させる。
【0014】
本開示の他の形態に係る鋳物砂検査システムにおいては、鋳物砂は、鋳物砂供給装置によりシュートの砂投入口に投入され、砂排出口から排出される。排出された鋳物砂は、検査部に供給され、鋳物砂の性状が検査される。バケットは、バケットを回動可能に支持するバケット駆動部によって駆動される。そして、バケットは、移動部によってバケット駆動部とともに鋳物砂に対して近接及び離間し、採取位置とシュートの砂投入口との間を直線的に移動する。このように、この鋳物砂検査システムは、バケットを採取位置とシュートの砂投入口との間において移動させる移動部を備えるだけでなくバケット自体を駆動させるバケット駆動部を備えるため、鋳物砂を能動的に採取できる。このため、この鋳物砂検査システムは、鋳物砂の搬送状態に関わらず、任意のタイミングで鋳物砂を採取できる。
【0015】
一実施形態においては、シュートは、その内部に開閉ゲートを有してもよい。開閉ゲートは、落下する鋳物砂を受け取る受取面を含み、受取面の面内に沿って延びる回動軸を中心に回動可能に支持されてもよい。開閉ゲートは、水平姿勢のときに鋳物砂の一部を受け止め、残りの鋳物砂をシュートの砂排出口へ通過させてもよい。この場合、鋳物砂検査システムは、鋳物砂がバケットで一度に搬送された場合であっても、2回に分けて検査できる。
【0016】
一実施形態においては、検査装置は、検査部に鋳物砂が供給される前に鋳物砂をほぐす砂ほぐし機構を有してもよい。この場合、鋳物砂検査システムは、ダマ(砂塊)の少ない鋳物砂を検査装置に供給できる。
【0017】
本開示の他の態様は、鋳物砂採取方法である。この方法は、コンベヤで搬送される鋳物砂を採取する方法である。方法は、鋳物砂を採取するバケットを鋳物砂から離間した位置で待機させるステップと、コンベヤの稼働情報を取得するステップと、コンベヤの稼働情報に基づいて、コンベヤによる鋳物砂の搬送が中断されたか否かを判定するステップと、コンベヤによる鋳物砂の搬送が中断されたと判定された場合には、バケットを待機させた位置から鋳物砂を採取可能な位置へとバケットを直線的に移動させ、鋳物砂を採取するステップと、を有する。本開示の他の態様によれば、コンベヤの搬送の中断時であっても鋳物砂を採取できる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、任意のタイミングで鋳物砂を採取できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る鋳物砂供給装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る鋳物砂採取方法の一例を示すフローチャートである。
【
図3】実施形態に係る鋳物砂供給装置の使用例を説明する図である。
【
図4】実施形態に係る鋳物砂供給装置の使用例を説明する図である。
【
図5】実施形態に係る鋳物砂供給装置の使用例を説明する図である。
【
図6】検査装置の開閉ゲートの一例を説明する図である。
【
図7】検査装置の砂ほぐし機構の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0021】
(鋳物砂供給装置の構成)
図1は、実施形態に係る鋳物砂供給装置の構成の一例を示す図である。
図1に示される鋳物砂供給装置1は、鋳物砂S(本実施形態では生型砂)を採取し、採取された鋳物砂Sを所定の供給先へ供給する装置である。所定の供給先は任意に設定できる。供給先の詳細は後述する。
【0022】
図1に示されるように、鋳物砂供給装置1は、バケット2、バケット駆動部3、及び移動部4を備える。バケット2は、鋳物砂Sを採取する容器である。バケット2は、開口を有し、開口を介してその内部に鋳物砂を収容する。バケット2は、バケット駆動部3によって支持される。
【0023】
バケット駆動部3は、バケット2を回動可能に支持するとともにバケット2を駆動させる。バケット駆動部3は、一例として、ロッドを駆動させるシリンダであり、バケット2は、ロッドの先端に支持される。より具体的な一例として、バケット駆動部3は、前後方向に進退する棒状のロッド3aと、ロッド3aを駆動させる駆動源を有するシリンダ本体部3bとを備える。シリンダ本体部3bは、ロッド3a側に延び、シリンダ本体部3bに固定された固定部材3cを有する。固定部材3cには、回動軸3dが設けられ、回動軸3dにバケット2が回動可能に取り付けられる。ロッド3aの先端には、バケット2が取り付けられる。ロッド3aが進退すると、バケット2は回動軸3dを支点に回動する。シリンダの駆動機構は特に限定されず、空圧、油圧、電動の何れであってもよい。バケット駆動部3は、回動シリンダ(ロータリーアクチュエータ)であってもよい。あるいは、バケット駆動部3は、モータ、チェーンやベルト、プーリなどを備えた駆動機構であってもよい。
【0024】
バケット駆動部3は、移動部4に支持される。移動部4は、バケット駆動部3を鋳物砂Sに対して近接及び離間させる。移動部4は、バケット駆動部3に接続されたチェーン4a、チェーン4aに接続されたスプロケット4b、及びスプロケットに回転力を付与するモータ4cを有する。モータ4cの回転により、スプロケット4bを介してチェーン4aが回転し、バケット駆動部3が鋳物砂Sに対して近接及び離間する。
【0025】
移動部4は、鋳物砂Sを採取する採取位置P1と鋳物砂Sを供給する供給位置P2との間でバケット駆動部3を直線的に移動させる。直線的に移動とは、直線の軌道上を移動することであり、ここでは採取位置P1と供給位置P2とを結ぶ直線に沿って移動することである。採取位置P1は、バケット2が鋳物砂Sを採取可能な位置であり、予め設定される。供給位置P2は、バケット2が鋳物砂Sを供給可能な位置であり、予め設定される。採取位置P1と供給位置P2との間には、待機位置P3が設定されてもよい。待機位置P3は、バケット2を待機させる位置である。バケット駆動部3が移動することにより、バケット2は、鋳物砂Sを採取可能な位置と鋳物砂Sを供給可能な位置との間を移動する。なお、移動部4は、図示しない支持部材によって支持される。移動部4は、図示しないガイド部材を備えることにより、バケット駆動部3を移動方向に案内してもよい。移動部4は、上記の駆動機構に限定されず、空圧シリンダ、油圧シリンダ、電動シリンダを用いた駆動機構であってもよい。
【0026】
鋳物砂供給装置1は、バケット2の内部に向けて気体を出力するブロア5を備え得る。ブロア5は、一例として、バケット2が鋳物砂Sを採取可能な位置の近傍に設けられる。ブロア5は、バケット2の内部に向けて空気などの気体を出力し、バケット2の内壁に付着した鋳物砂Sを除去する。
【0027】
上述した鋳物砂供給装置1を構成する各要素は、制御部6によって制御され得る。制御部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置、及び通信装置などを有する汎用コンピュータ、又は、PLC(Programmable Logic Controller)、リレー及び電源などで構成される。制御部6は、バケット駆動部3及び移動部4に接続され、バケット駆動部3及び移動部4の動作を制御する。例えば、制御部6は、移動部4を駆動させてバケット駆動部3を採取位置P1へ移動させるとともに、バケット駆動部3を駆動させてバケット2を回動させる。バケット駆動部3は、バケット2の開口が鋳物砂Sに近づく方向にバケット2を回動させる。これにより、バケット2は、鋳物砂Sを採取する。制御部6は、移動部4を駆動させてバケット駆動部3を供給位置P2へ移動させ、バケット駆動部3を駆動させて鋳物砂Sを収容したバケット2を回動させる。バケット駆動部3は、バケット2の開口が下方に向くようにバケット2を回動させる。これにより、バケット2は、鋳物砂Sを供給先へ供給する。制御部6は、ブロア5に接続され、ブロア5を所定のタイミングで動作させてもよい。制御部6は、バケット駆動部3に採取位置P1で鋳物砂Sを採取させ、バケット駆動部3を供給位置P2へ移動させて鋳物砂Sを投入させ、バケット駆動部3が待機位置P3に戻ったタイミングでブロア5を動作させる。制御部6は、バケット2による鋳物砂Sの採取の直前にブロア5を動作させてもよい。これにより、バケット2の内部は、採取前には清掃される。
【0028】
鋳物砂供給装置1は、例えば、搬送路上に存在する鋳物砂Sを採取する。鋳物砂Sは、一例としてコンベヤ20上に配置される。コンベヤ20は、一例としてベルトコンベヤである。コンベヤ20は、鋳物砂Sの搬送路となるベルト20aを有する。ベルト20aの上面側方には側壁20bが設けられ、鋳物砂Sの落下を防止する。ベルト20aは、プーリ20cにかけられており、プーリ20cを回転させることにより、ベルト20aは回転し、鋳物砂Sを搬送する。プーリ20cを駆動させる駆動源は、搬送制御部21によって制御される。制御部6は、搬送制御部21から稼働情報を受け取り、鋳物砂Sの搬送状態を判定してもよい。
【0029】
鋳物砂供給装置1は、一例として外部装置30に鋳物砂Sを供給する。外部装置30は、鋳物砂Sを利用する装置であれば特に限定されない。外部装置30は、例えば、鋳物砂Sを検査する検査装置、鋳物砂Sを用いた造型機、混練機などである。検査装置の検査の種類、造型機の製造物の種類、混練機が対象とする砂などは特に限定されず、任意の検査装置、造型機又は混練機を外部装置30として採用できる。
【0030】
鋳物砂供給装置1は、例えば、外部装置30の処理部30aの上部に設けられたシュート30bに鋳物砂Sを供給する。シュート30bは、筒状部材であり、砂投入口30cと、砂投入口30cの下方に位置する砂排出口30dとを含む。処理部30aは、シュート30bの砂排出口30dに接続され、シュート30bから落下した鋳物砂Sを利用する。例えば、外部装置30が検査装置である場合には、処理部30aは、鋳物砂Sを検査する検査部である。外部装置30が造型機である場合には、処理部30aは、鋳型を含む造型機本体である。外部装置30が混練機である場合には、処理部30aは、混練容器を含む混練機本体である。鋳物砂供給装置1による鋳物砂Sの搬送中において、バケット2から落下した鋳物砂Sを受け取るために、シュート30bは、砂投入口30cとコンベヤ20の側壁20bとを接続する接続部30eを有してもよい。シュート30bは、砂投入口30cから砂排出口30dへ向けて気体を出力するブロア30fを有してもよい。
【0031】
(鋳物砂供給装置の動作)
鋳物砂供給装置1は、任意のタイミングでバケット駆動部3及び移動部4を動作できる。このため、鋳物砂供給装置1は、鋳物砂Sを任意のタイミングで採取できる。一方、検査装置の検査内容や造型機の製造工程によっては、コンベヤ20による搬送を中断したタイミングで採取することが必要な場合がある。この場合、制御部6は、コンベヤ20の稼働情報を取得し、稼働情報に基づいてコンベヤ20の搬送の中断時にバケット駆動部3及び移動部4を動作させる。以下では、搬送中断時における鋳物砂Sの採取動作を説明する。
【0032】
図2は、実施形態に係る鋳物砂採取方法の一例を示すフローチャートである。
図2に示されるフローチャートは、例えば上位の制御システムによる動作指示を制御部6が受け付けたときに開始される。
図2に示されるように、最初に、バケット駆動部3は待機位置で待機する(ステップS10)。バケット駆動部3は、処理開始時から待機位置に位置し、バケット2は、鋳物砂Sから離間した位置で待機する。続いて、制御部6は、搬送制御部21からコンベヤ20の稼働情報を取得する(ステップS12)。コンベヤ20の稼働情報は、一例としてコンベヤ20が動作中であることを示す情報である。
【0033】
続いて、制御部6は、ステップS12で取得された稼働情報に基づいて、コンベヤ20による鋳物砂Sの搬送が中断されたか否かを判定する(ステップS14)。稼働情報には、一例としてコンベヤ20が動作中であることを示す情報が含まれている。制御部6は、コンベヤ20が動作したタイミングとコンベヤ20の動作が終了したタイミングを判定し、コンベヤ20が搬送を中断したか否かを判定する。
【0034】
コンベヤ20による鋳物砂Sの搬送が中断されていないと判定された場合、制御部6は、バケット駆動部3を待機位置で待機させる(ステップS16)。これにより、バケット駆動部3は、鋳物砂Sの搬送が中断されたと制御部6が判断するまで待機位置で待機する。コンベヤ20による鋳物砂Sの搬送が中断されたと判定された場合、制御部6は、移動部4を動作させ、バケット駆動部3を待機位置から採取位置へと直線的に移動させる(ステップS18)。制御部6は、バケット駆動部3が採取位置に到達した場合、バケット駆動部3を動作させる。これにより、バケット2は、鋳物砂Sを採取する(ステップS20)。続いて、制御部6は、移動部4を動作させ、バケット駆動部3を採取位置から目標となる供給位置へと直線的に移動させる(ステップS22)。制御部6は、バケット駆動部3が供給位置に到達した場合、バケット駆動部3を動作させる。これにより、制御部6は、バケット2から鋳物砂Sを落下させて外部装置30に供給できる。
【0035】
ステップS22が終了した場合、
図2に示されるフローチャートは終了する。
図2に示されるフローチャートが実行されることで、鋳物砂供給装置1は、搬送中断時において鋳物砂Sを採取できる。
【0036】
(鋳物砂供給装置の他の使用形態)
鋳物砂供給装置1は、コンベヤ20上に存在する鋳物砂Sを採取するためだけでなく、種々の形態で使用できる。
図3は、実施形態に係る鋳物砂供給装置の使用例を説明する図である。
図3に示されるように、鋳物砂供給装置1は、コンベヤ20の端部付近に配置され、コンベヤ20から落下する鋳物砂Sをバケット2ですくい取るように動作してもよい。鋳物砂供給装置1は、バケット駆動部3及び移動部4を備え、バケット2の角度を砂の落下方向に対して毎回同じ角度に調整できるので、移動部だけを備える場合と比べて、毎回一定の砂量を確保できる。
図4は、実施形態に係る鋳物砂供給装置の使用例を説明する図である。
図4に示される鋳物砂供給装置1は、
図3に示される鋳物砂供給装置1と比較して、移動部4が水平方向に延在し、移動部4がバケット駆動部3を水平方向に移動させる点が相違し、その他は同一である。
図3,4に示されるように、移動部4は、バケット駆動部3の移動方向を任意の方向に設定することができる。
【0037】
図5は、実施形態に係る鋳物砂供給装置の使用例を説明する図である。本例では、鋳物砂Sとして中子砂を用いている。
図5に示されるように、コンベヤ20は鋳物砂Sを外部装置40へ供給する。外部装置40は、一例として中子造型機である。外部装置40は、造型機本体40aの上部に設けられたホッパ40bの第1投入口40cから鋳物砂Sを受け取り、造型機本体40aにおいて鋳物砂Sを用いて中子を造型する。造型時に余った鋳物砂S(排出される中子砂)は、造型機の下方の排出口40dから排出される。鋳物砂供給装置1は、排出口40dから落下した鋳物砂Sをバケット2で受け取る。鋳物砂供給装置1は、所定量の鋳物砂Sがバケット2に貯留されると、移動部4を駆動させてホッパ40bの第2投入口40eへバケット2を直線的に移動させる。そして、鋳物砂供給装置1は、バケット駆動部3を動作させて第2投入口40eへ鋳物砂Sを投入する。鋳物砂供給装置1は、バケット駆動部3及び移動部4を備え、バケット2の角度をバケット2の開口面が水平になるように調整できるので、移動部だけを備える場合と比べて、バケット2からの砂こぼれを抑制できる。
【0038】
(システム)
鋳物砂供給装置1は、上述した外部装置30,40と組み合わせたシステムとして提供され得る。以下では、外部装置30を備えるシステムについて説明する。より具体的には、外部装置30が検査装置である鋳物砂検査システム100について説明する。鋳物砂検査システム100は、一例として、鋳型造型機に用いられる鋳物砂Sを検査する。この場合、コンベヤ20は、鋳型造型機の上方に配設され、鋳型造型機に鋳物砂Sを供給するベルトコンベヤであってもよい。鋳型造型機は、一例として、上枠・下枠交互造型の枠付造型機である。1枠造型する度にベルトコンベヤが作動され、1枠分の鋳物砂Sが鋳型造型機に供給される。鋳物砂供給装置1は、一例として、下枠用の鋳物砂Sのベルトコンベヤでの搬送中又は搬送中断時に、毎回、ベルトコンベヤから鋳物砂Sを採取して検査装置へ供給する。
【0039】
外部装置30の一例である検査装置は、
図1に示されるように、シュート30bと、処理部30a(検査部の一例)とを備える。処理部30aは、シュート30bから落下した鋳物砂Sの性状を検査する。具体的な一例として、処理部30aは、鋳物砂Sの水分、CB値(コンパクタビリティ値)、圧縮強度、通気度、砂温を計測する。
【0040】
検査装置は、バケット2から一度に受け取った鋳物砂Sを複数回に分けて測定するための機構を有する。
図6は、検査装置の開閉ゲートの一例を説明する図である。
図6の(A)に示されるように、検査装置のシュート30bは、その内部に開閉ゲート50を有する。開閉ゲート50は、第1板部材51を有する。第1板部材51の上面は、落下する鋳物砂を受け取る受取面51aである。第1板部材51の端部には、第2板部材52が立設される。第1板部材51と第2板部材52との接続箇所には、受取面51aの面内に沿って延びる回動軸Rが設けられ、開閉ゲート50は回動軸Rを中心に回動可能に支持される。回動軸Rは、一例として回転シリンダのロッド部分である。回動軸Rは、シュート30bの空間内のほぼ中央に位置する。
【0041】
開閉ゲート50は、水平姿勢かつ上向きのときに、投入された鋳物砂Sのうちの一部の鋳物砂S1を受け止め、残りの鋳物砂S2をシュート30bの砂排出口30dへ通過させる。つまり、受取面51aの面積は、シュート30bの内部空間の断面よりも小さく設定される。
図6においては、受取面51aの面積は、シュート30bの内部空間の断面の約半分に設定される。これにより、投入された鋳物砂Sを約2等分に分割できる。第2板部材52は、受取面51aにより受け取られた鋳物砂S1の落下を防止するために設けられる。
【0042】
鋳物砂S2の検査が終了した後に、開閉ゲート50は、回動軸Rを中心に180°回転する。開閉ゲート50は、回動軸Rを中心に180°回転すると、
図6の(B)に示されるように、受取面51aが下向きとなり、受取面51aに配置されていた鋳物砂S1が落下し、検査装置へ供給される。
【0043】
受取面51aは、砂投入口30cからみて、砂排出口30dと重ならないように配置されてもよい。この場合、最初に落下した鋳物砂S2と次に落下する鋳物砂S1との落下の軌道が同一となるため、鋳物砂Sの性状の評価に与える影響を極力小さくできる。また、開閉ゲート50の直下の空間には鋳物砂は入り込まないため、シュート30bの内壁面への砂の堆積を考慮する必要がなくなる。そのため、図中のようなテーパ形状にする必要は無く、シュート30bのサイズをよりコンパクトにできる。
【0044】
さらに、検査装置には、処理部30aに鋳物砂Sが供給される前に鋳物砂Sをほぐす砂ほぐし機構が設けられてもよい。例えば、
図6に示されるように、シュート30bの砂排出口30dに砂ほぐし機構53が設けられる。
【0045】
図7は、検査装置の砂ほぐし機構の一例を説明する図である。
図7に示されるように、砂ほぐし機構53は、両端面が開放された中空の円筒ケース53aを有し、円筒ケース53aの内部には、円筒ケース53aの内面に固定された回転羽根60aが配置される。円筒ケース53aは、ベルトを介して駆動源70に接続され、回転力が付与される。円筒ケース53aが回転することで回転羽根60aが回転し、回転羽根60aが落下した鋳物砂Sに当たることで、ダマ(砂塊)となった鋳物砂Sをほぐすことができる。
【0046】
(実施形態のまとめ)
鋳物砂供給装置1においては、バケット2は、バケット2を回動可能に支持するバケット駆動部3によって駆動される。そして、バケット2は、移動部4によってバケット駆動部3とともに鋳物砂Sに対して近接及び離間し、採取位置P1と供給位置P2との間を直線的に移動する。このように、この鋳物砂供給装置1は、バケット2を採取位置P1と供給位置P2との間において直線的に移動させる移動部4を備えるだけでなくバケット2自体を駆動させるバケット駆動部3を備えるため、鋳物砂Sを能動的に採取できる。このため、鋳物砂供給装置1は、鋳物砂Sの搬送状態に関わらず、任意のタイミングで鋳物砂Sを採取できる。さらに、鋳物砂供給装置1は、バケット駆動部3によって駆動するバケット2から鋳物砂を自由落下させて供給させることができる。これにより、鋳物砂が固まることを抑制でき、結果として鋳物砂の性状が変化しにくくなる。
【0047】
鋳物砂供給装置1は、稼働中のコンベヤ20によって移動する鋳物砂Sをバケット2で受けることができるだけでなく、搬送を中断したコンベヤ20上にある鋳物砂Sも採取できる。鋳物砂供給装置1は、コンベヤ20の搬送の中断時であっても鋳物砂Sを採取できる。
【0048】
鋳物砂供給装置1は、流れる鋳物砂Sの砂層内にバケットを入れて採取する場合と比較して、砂が突き固められるなどの問題が発生しにくく、後工程に与える影響を小さくできる。鋳物砂供給装置1は、コンベヤ20の搬送の中断時に鋳物砂Sを採取できるので、バケット2の摩耗を抑制できる。
【0049】
鋳物砂検査システム100は、鋳物砂供給装置1を備えるため、鋳物砂Sの搬送状態に関わらず、任意のタイミングで鋳物砂Sを採取できる。鋳物砂検査システム100は、開閉ゲート50を備えることにより、鋳物砂Sがバケット2で一度に搬送された場合であっても、2回に分けて検査できる。
【0050】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…鋳物砂供給装置、2…バケット、3…バケット駆動部、4…移動部、5…ブロア、6…制御部、20…コンベヤ、30,40…外部装置、30b…シュート、30c…砂投入口、30d…砂排出口、50…開閉ゲート、51a…受取面、53…砂ほぐし機構、100…鋳物砂検査システム。