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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】コンバータ装置および電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20231219BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 W
H02M3/28 V
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020141830
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037606
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】竹上 栄治
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-225227(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0025292(US,A1)
【文献】国際公開第2019/207747(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0299560(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンバータと、
電圧検出部と、
温度検出部と、
制御部と、を備え、
前記複数の前記コンバータは、直列または並列に接続され、
前記複数の前記コンバータのそれぞれは、駆動信号によって制御される少なくとも1つのスイッチ素子を有しており、
前記電圧検出部は、前記複数の前記コンバータが接続されたコンバータ回路部の出力電圧に関する情報を検出し、
前記温度検出部は、前記複数の前記コンバータのそれぞれごとに、複数の温度センサを備え、これら複数の前記温度センサのそれぞれによって、前記複数の前記コンバータのそれぞれの前記スイッチ素子を含む複数の半導体素子のそれぞれの温度に関する情報を検出し、
前記制御部は、前記複数の前記コンバータのそれぞれごとに前記複数の前記温度センサによって検出された温度のうちで最大の温度を抽出し、その抽出結果および前記電圧検出部による検出結に基づいて、前記複数の前記コンバータのそれぞれの最も高い温度の前記半導体素子の温度を近付けるように、それぞれの前記コンバータの前記スイッチ素子への前記駆動信号を制御する、
コンバータ装置。
【請求項2】
前記電圧検出部は、前記コンバータ回路部の出力コンデンサにかかる前記出力電圧に関する情報を検出する、
請求項1に記載のコンバータ装置。
【請求項3】
さらに、電流検出部を備え、
前記電流検出部は、前記複数の前記コンバータのそれぞれの前記半導体素子に流れる電流に関する情報を検出し、
前記制御部は、さらに、前記電流検出部による検出結果に基づいて、前記駆動信号を制御する、
請求項1または請求項2に記載のコンバータ装置。
【請求項4】
前記電流検出部は、前記半導体素子に接続されたカレントトランスに流れる電流に関する情報を検出する、
請求項3に記載のコンバータ装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、所定の周波数を有するトリガ情報に基づいて、前記駆動信号を制御する、
請求項3または請求項4に記載のコンバータ装置。
【請求項6】
前記制御部は、さらに、キャリア情報に基づいて、前記駆動信号を制御する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコンバータ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコンバータ装置と、
前記コンバータ装置に直流電力を供給する電源部と、
を備える電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンバータ装置および電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電源装置に関し、複数のコンバータ(相回路)が並列接続されたマルチフェーズDC/DCコンバータが記載されている(特許文献1参照。)。特許文献1に記載されたマルチフェーズDC/DCコンバータでは、複数のコンバータのそれぞれの出力端が並列接続されており、各コンバータのスイッチ素子をオン/オフ動作させる制御信号のスイッチング周波数を下げるように制御することで、各コンバータの電流バランスを制御することが行われている。特許文献1に記載されたマルチフェーズDC/DCコンバータでは、負荷に流れる負荷電流に基づいて負荷の重さを判断し、負荷の重さに基づいてスイッチング周波数を制御することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-340442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、各コンバータのスイッチ素子の発熱量が同じではない場合、発熱が高いスイッチ素子によって出力電力が制限される場合があった。
なお、特許文献1に記載されたマルチフェーズDC/DCコンバータでは、電流の検出結果に基づいて各コンバータの電流バランスを制御することが行われているが、それぞれのコンバータのスイッチ素子の温度を検出することは行われていない。
【0005】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、複数のコンバータのそれぞれのスイッチ素子の温度のバランスをとることができるコンバータ装置および電源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様は、複数のコンバータと、電圧検出部と、温度検出部と、制御部と、を備え、前記複数の前記コンバータは、直列または並列に接続され、前記複数の前記コンバータのそれぞれは、駆動信号によって制御される少なくとも1つのスイッチ素子を有しており、前記電圧検出部は、前記複数の前記コンバータが接続されたコンバータ回路部の出力電圧に関する情報を検出し、前記温度検出部は、前記複数の前記コンバータのそれぞれごとに、複数の温度センサを備え、これら複数の前記温度センサのそれぞれによって、前記複数の前記コンバータのそれぞれの前記スイッチ素子を含む複数の半導体素子のそれぞれの温度に関する情報を検出し、前記制御部は、前記複数の前記コンバータのそれぞれごとに前記複数の前記温度センサによって検出された温度のうちで最大の温度を抽出し、その抽出結果および前記電圧検出部による検出結に基づいて、前記複数の前記コンバータのそれぞれの最も高い温度の前記半導体素子の温度を近付けるように、それぞれの前記コンバータの前記スイッチ素子への前記駆動信号を制御する、コンバータ装置である。
【0007】
一態様は、前記コンバータ装置と、前記コンバータ装置に直流電力を供給する電源部と、を備える電源装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、コンバータ装置および電源装置において、複数のコンバータのそれぞれのスイッチ素子の温度のバランスをとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態(第1実施形態~第4実施形態)に係るコンバータ装置を含む電源装置の回路構成を示す図である。
図2】実施形態(第1実施形態)に係るPWM部における電圧モードの動作電圧生成部の一構成例を示す図である。
図3】実施形態(第2実施形態)に係るPWM部における電圧モードの動作電圧生成部の一構成例を示す図である。
図4】実施形態(第3実施形態)に係るPWM部における電流モードの動作電圧生成部の一構成例を示す図である。
図5】実施形態(第4実施形態)に係るPWM部における電流モードの動作電圧生成部の一構成例を示す図である。
図6】実施形態(第5実施形態)に係るコンバータ装置を含む電源装置の回路構成を示す図である。
図7】実施形態(第6実施形態)に係るコンバータ装置を含む電源装置の回路構成を示す図である。
図8】実施形態(第7実施形態)に係るコンバータ装置を含む電源装置の回路構成を示す図である。
図9】実施形態(第1実施形態~第4実施形態)に係るコンバータ装置を含む電源装置の回路構成およびそれぞれのコンバータにおけるカレントトランスによる電流検出可能位置を示す図である。
図10】実施形態(第5実施形態)に係るコンバータ装置を含む電源装置の回路構成およびそれぞれのコンバータにおけるカレントトランスによる電流検出可能位置を示す図である。
図11】実施形態(第6実施形態)に係るコンバータ装置を含む電源装置の回路構成およびそれぞれのコンバータにおけるカレントトランスによる電流検出可能位置を示す図である。
図12】実施形態(第7実施形態)に係るコンバータ装置を含む電源装置の回路構成およびそれぞれのコンバータにおけるカレントトランスによる電流検出可能位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、実施形態(第1実施形態~第4実施形態)に係るコンバータ装置11を含む電源装置1の回路構成を示す図である。
電源装置1は、コンバータ装置11と、電圧源71と、を備える。
なお、図1には、コンバータ装置11の後段に接続される回路である後段回路72を示してある。
本実施形態では、後段回路72は電源装置1に含まれない構成例を示すが、他の構成例として、後段回路72は電源装置1に含まれてもよい。
【0012】
電圧源71は、電源を供給する電源部として機能し、コンバータ装置11の前段に備えられている。
本実施形態では、電圧源71は、直流電圧により直流電力を供給する直流電圧源である。他の構成例として、電圧源71は、交流電圧源と、当該交流電圧源から出力される交流電圧を直流電圧へ変換する回路を用いて構成されてもよい。
また、他の構成例として、電圧源71の代わりに、直流電流により直流電力を供給する電流源が用いられてもよい。
【0013】
コンバータ装置11は、2つのコンバータを含むコンバータ回路部を有する。本実施形態では、説明の便宜上、これら2つのコンバータを、それぞれ、第1コンバータ、第2コンバータと呼んで説明する。
第1コンバータおよび第2コンバータは、それぞれ、絶縁されていないコンバータ(説明の便宜上、非絶縁コンバータとも呼ぶ。)である。
【0014】
第1コンバータは、スイッチ部111と、スイッチ部112と、チョークコイルとして機能するコイル131と、温度検出部を構成する温度センサ151と、電流検出部を構成する電流検出用回路152と、制御部を構成するPWM(Pulse Width Modulation)部171と、を備える。
ここで、コンバータ装置11は、第1コンバータの前段に、コンデンサ31を備える。
本実施形態では、コンデンサ31は第1コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ31は第1コンバータに含まれてもよい。
【0015】
スイッチ部111は、スイッチ素子191と、スイッチ素子192と、を備える。
スイッチ部112は、スイッチ素子193と、スイッチ素子194と、を備える。
本実施形態では、それぞれのスイッチ素子191~194は、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を用いて構成されている。
【0016】
第2コンバータは、スイッチ部211と、スイッチ部212と、チョークコイルとして機能するコイル231と、温度検出部を構成する温度センサ251と、電流検出部を構成する電流検出用回路252と、制御部を構成するPWM部271と、を備える。
ここで、コンバータ装置11は、第2コンバータの前段に、コンデンサ32を備える。
本実施形態では、コンデンサ32は第2コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ32は第2コンバータに含まれてもよい。
【0017】
スイッチ部211は、スイッチ素子291と、スイッチ素子292と、を備える。
スイッチ部212は、スイッチ素子293と、スイッチ素子294と、を備える。
本実施形態では、それぞれのスイッチ素子291~294は、電界効果トランジスタ(FET)を用いて構成されている。
【0018】
コンバータ装置11は、第1コンバータおよび第2コンバータに共通に、後段の出力コンデンサとなるコンデンサ51と、電圧検出部を有するCV(Constant Voltage)制御部52と、を備える。
【0019】
後段回路72は、例えば、負荷であってもよく、あるいは、他の回路であってもよい。当該他の回路としては、例えば、コンバータの回路であってもよく、この場合、コンバータ装置11の後段に、さらに、コンバータが配置される。
【0020】
電源装置1における各部の接続関係を説明する。
第1コンバータに関し、電圧源71に並列に、入力側のコンデンサ31が接続されている。
第2コンバータに関し、電圧源71に並列に、入力側のコンデンサ32が接続されている。
つまり、電圧源71の2つの出力端のうちの高電位側と低電位側との間に、コンデンサ31およびコンデンサ32のそれぞれが接続されている。
【0021】
第1コンバータについて説明する。
コンデンサ31の両端のうちの高電位側と、スイッチ素子191のドレイン端子およびスイッチ素子192のドレイン端子と、が接続されている。スイッチ素子191とスイッチ素子192とは並列に配置されている。
スイッチ素子191のソース端子およびスイッチ素子192のソース端子と、コイル131の一端と、が電流検出用回路152を介して接続されている。
コイル131の他端と、コンデンサ31の両端のうちの低電位側との間に、出力側のコンデンサ51が接続されている。
スイッチ素子193のドレイン端子およびスイッチ素子194のドレイン端子と、スイッチ素子191のソース端子およびスイッチ素子192のソース端子と、が接続されている。スイッチ素子193とスイッチ素子194とは並列に配置されている。
スイッチ素子193のソース端子およびスイッチ素子194のソース端子と、コンデンサ31の両端のうちの低電位側と、が接続されている。
ここで、一方のスイッチ部111を構成するスイッチ素子191、192の一端(ドレイン端子)は電圧源71の2つの出力端のうちの高電位側と接続されており、他方のスイッチ部112を構成するスイッチ素子193、194の一端(ソース端子)は電圧源71の2つの出力端のうちの低電位側と接続されている。
【0022】
本実施形態では、第1コンバータにおけるスイッチ素子191~194を含む半導体素子のうちで、最大定格温度に最も近い部品が特定されている。そして、温度センサ151は、このように最大定格温度に最も近い部品の温度を検出することが可能な位置に配置されている。図1の例では、一例として、スイッチ素子191またはスイッチ素子192が最大定格温度に最も近い部品であり、温度センサ151はスイッチ素子191~192の付近に配置されている。
電流検出用回路152は、スイッチ素子191のソース端子およびスイッチ素子192のソース端子と、コイル131との間に、接続されている。電流検出用回路152としては、本実施形態では、カレントトランスが用いられており、他の例として、ホール素子、あるいは、シャント抵抗などが用いられてもよい。
PWM部171は、任意の箇所に配置されてもよい。
【0023】
第2コンバータについて説明する。
コンデンサ32の両端のうちの高電位側と、スイッチ素子291のドレイン端子およびスイッチ素子292のドレイン端子と、が接続されている。スイッチ素子291とスイッチ素子292とは並列に配置されている。
スイッチ素子291のソース端子およびスイッチ素子292のソース端子と、コイル231の一端と、が電流検出用回路252を介して接続されている。
コイル231の他端と、コンデンサ32の両端のうちの低電位側との間に、出力側のコンデンサ51が接続されている。
スイッチ素子293のドレイン端子およびスイッチ素子294のドレイン端子と、スイッチ素子291のソース端子およびスイッチ素子292のソース端子と、が接続されている。スイッチ素子293とスイッチ素子294とは並列に配置されている。
スイッチ素子293のソース端子およびスイッチ素子294のソース端子と、コンデンサ32の両端のうちの低電位側と、が接続されている。
ここで、一方のスイッチ部211を構成するスイッチ素子291、292の一端(ドレイン端子)は電圧源71の2つの出力端のうちの高電位側と接続されており、他方のスイッチ部212を構成するスイッチ素子293、294の一端(ソース端子)は電圧源71の2つの出力端のうちの低電位側と接続されている。
【0024】
本実施形態では、第2コンバータにおけるスイッチ素子291~294を含む半導体素子のうちで、最大定格温度に最も近い部品が特定されている。そして、温度センサ251は、このように最大定格温度に最も近い部品の温度を検出することが可能な位置に配置されている。図1の例では、一例として、スイッチ素子291またはスイッチ素子292が最大定格温度に最も近い部品であり、温度センサ251はスイッチ素子291~292の付近に配置されている。
【0025】
電流検出用回路252は、スイッチ素子291のソース端子およびスイッチ素子292のソース端子と、コイル231との間に、接続されている。電流検出用回路252としては、本実施形態では、カレントトランスが用いられており、他の例として、ホール素子、あるいは、シャント抵抗などが用いられてもよい。
PWM部271は、任意の箇所に配置されてもよい。
【0026】
第1コンバータの出力側では、コイル131の両端のうちのスイッチ部111、112が接続された端部とは反対側の端部が高電位側の端部となっている。
第2コンバータの出力側では、コイル231の両端のうちのスイッチ部211、212が接続された端部とは反対側の端部が高電位側の端部となっている。
そして、第1コンバータの出力側の高電位側の端部と、第2コンバータの出力側の高電位側の端部と、が接続されている。また、第1コンバータの出力側の低電位側の端部と、第2コンバータの出力側の低電位側の端部と、が接続されている。これにより、第1コンバータと第2コンバータとが並列に接続されている。
第1コンバータおよび第2コンバータにおける出力側の共通の高電位側の端部と低電位側の端部との間に、出力側のコンデンサ51が接続されている。
【0027】
第1コンバータおよび第2コンバータに共通な出力側のコンデンサ51の後段に、後段回路72が接続されている。
出力側のコンデンサ51の後段において、出力側のコンデンサ51に、CV制御部52が接続されている。
【0028】
コンバータ装置11におけるPWMの制御について説明する。
第1コンバータのPWM部171について説明する。
CV制御部52は、出力側のコンデンサ51の両端にかかる電圧が一定になるように、PWM部171に出力する制御量(説明の便宜上、操作量とも呼ぶ。)を制御する。なお、CV制御部52の動作としては、例えば、従来と同様な動作が行われてもよい。
【0029】
温度センサ151は、検出された温度に関する情報をPWM部171に出力する。当該情報は、例えば、検出された温度の値を表す情報であってもよく、あるいは、検出された温度の値に応じた他の情報であってもよい。
電流検出用回路152は、電流検出用回路152に流れる電流を検出し、当該電流の検出結果をPWM部171に出力する。図1の例では、当該電流は、スイッチ部111(2つのスイッチ素子191、192の並列接続部分)を流れる電流であり、コイル131を流れる電流である。
【0030】
PWM部171は、CV制御部52から入力される電圧に関する情報、および、温度センサ151から入力される温度に関する情報に基づいて、温度センサ151により検出される温度を所定値に近付けるように、スイッチ素子191のゲート端子およびスイッチ素子192のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)、および、スイッチ素子193のゲート端子およびスイッチ素子194のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)を制御する。当該所定値は、例えば、一定値であってもよく、あるいは、他の値であってもよい。
また、PWM部171は、さらに、電流検出用回路152から入力される電流に関する情報(電流の検出結果)に基づいて、スイッチ素子191のゲート端子およびスイッチ素子192のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)、および、スイッチ素子193のゲート端子およびスイッチ素子194のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)を制御してもよい。
本実施形態では、スイッチ素子191とスイッチ素子192とで共通の制御電圧が用いられており、また、スイッチ素子193とスイッチ素子194とで共通の制御電圧が用いられている。
【0031】
第2コンバータのPWM部271について説明する。
CV制御部52は、出力側のコンデンサ51の両端にかかる電圧が一定になるように、PWM部271に出力する制御量(説明の便宜上、操作量とも呼ぶ。)を制御する。なお、CV制御部52の動作としては、例えば、従来と同様な動作が行われてもよい。
【0032】
温度センサ251は、検出された温度に関する情報をPWM部271に出力する。当該情報は、例えば、検出された温度の値を表す情報であってもよく、あるいは、検出された温度の値に応じた他の情報であってもよい。
電流検出用回路252は、電流検出用回路252に流れる電流を検出し、当該電流の検出結果をPWM部271に出力する。図1の例では、当該電流は、スイッチ部211(2つのスイッチ素子291、292の並列接続部分)を流れる電流であり、コイル231を流れる電流である。
【0033】
PWM部271は、CV制御部52から入力される電圧に関する情報、および、温度センサ251から入力される温度に関する情報に基づいて、温度センサ251により検出される温度を所定値に近付けるように、スイッチ素子291のゲート端子およびスイッチ素子292のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)、および、スイッチ素子293のゲート端子およびスイッチ素子294のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)を制御する。当該所定値は、例えば、一定値であってもよく、あるいは、他の値であってもよい。
また、PWM部271は、さらに、電流検出用回路252から入力される電流に関する情報(電流の検出結果)に基づいて、スイッチ素子291のゲート端子およびスイッチ素子292のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)、および、スイッチ素子293のゲート端子およびスイッチ素子294のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)を制御してもよい。
本実施形態では、スイッチ素子291とスイッチ素子292とで共通の制御電圧が用いられており、また、スイッチ素子293とスイッチ素子294とで共通の制御電圧が用いられている。
【0034】
ここで、本実施形態では、CV制御部52からPWM部171への操作量と、CV制御部52からPWM部271への操作量とは、共通となっている。
【0035】
本実施形態では、第1コンバータのPWM部171の構成と、第2コンバータのPWM部271の構成とは、同様である。
ここでは、PWM部171の構成について説明する。
【0036】
なお、電流検出用回路152、252として、例えば、磁気センサ等の非接触素子(例えば、ホール素子)が用いられてもよい。一般に、非接触素子による非接触の電流検出は低精度であるが低損失で実現されるため、非接触素子を用いる場合には高効率化を図ることができる。
また、図1の例では、2つのコンバータのそれぞれにおいて電流を検出する回路構成を示したが、他の構成例として、一方のコンバータにおいて電流を検出し、2つのコンバータについての電流を合わせた総電流をシャント抵抗などで検出し、当該総電流から一方のコンバータにおける電流を減算した結果の電流を他方のコンバータにおける電流と推定する、構成が用いられてもよい。この場合、当該シャント抵抗は、2つのコンバータにおける電流を合わせた総電流が流れる箇所に備えられる。
一例として、2つのコンバータの並列接続(インターリーブ)において、一方のコンバータにおける電流検出用回路152として非接触で電流検出を行う素子(非接触素子)を用いる構成とし、他方のコンバータにおける電流については総電流から一方のコンバータにおける検出電流を減算した結果の電流と推定する、構成が用いられてもよい。
【0037】
図2は、実施形態(第1実施形態)に係るPWM部171における電圧モードの動作電圧生成部401の一構成例を示す図である。
動作電圧生成部401は、演算器411と、比較器412と、を備える。
演算器411は、+入力端431と、-入力端432と、出力端433と、を有する。
比較器412は、+入力端451と、-入力端452と、出力端453と、正電源端454と、負電源端455と、を有する。
【0038】
CV制御部52から出力される操作量a1が、演算器411の+入力端431に入力される。
温度センサ151から出力される温度に関する情報(説明の便宜上、温度情報a2と呼ぶ。)が、演算器411の-入力端432に入力される。
演算器411は、操作量a1から温度情報a2を減算する演算を行い、この演算結果a4を出力端433から比較器412に出力する。
【0039】
所定のキャリア情報a3が、比較器412の-入力端452に入力される。ここで、キャリア情報a3としては、PWMにおけるキャリア波の情報が用いられ、例えば、三角波が用いられる。
演算器411から出力される演算結果a4が、比較器412の+入力端451に入力される。
比較器412は、キャリア情報a3と演算結果a4との大小関係に応じた比較結果a5を出力する。
本実施形態では、当該比較結果a5に応じた制御電圧が、PWMの制御電圧として、スイッチ素子191、192のゲート端子に入力される。
【0040】
なお、PWM部171は、スイッチ素子193、194のゲート端子に、スイッチ素子191、192への制御電圧に対して反転した制御電圧を出力する。これにより、スイッチ素子191、192とスイッチ素子193、194とは、互いにオン/オフの動作が反転するように、制御される。
【0041】
また、第2コンバータのPWM部271は、第1コンバータのPWM部171について説明した制御と同様に、スイッチ素子291、292のゲート端子への制御電圧、および、スイッチ素子293、294のゲート端子への制御電圧を制御する。
【0042】
ここで、本実施形態では、第1コンバータのPWM部171が温度センサ151による検出結果に基づいて制御を行い、第2コンバータのPWM部271が温度センサ251による検出結果に基づいて制御を行う場合を示した。
【0043】
他の構成例として、第1コンバータのPWM部171および第2コンバータのPWM部271のそれぞれが、温度センサ151による検出結果と温度センサ251による検出結果の両方に基づいて制御を行う構成が用いられてもよい。
この場合、例えば、第1コンバータの温度センサ151から第2コンバータのPWM部271へも、検出された温度に関する情報が出力され、同様に、第2コンバータの温度センサ251から第1コンバータのPWM部171へも、検出された温度に関する情報が出力される。そして、図2に示される動作電圧生成部401では、温度情報a2の代わりに、温度差分情報が用いられる。
当該温度差分情報は、第1コンバータの温度センサ151によって検出された温度と、第2コンバータの温度センサ251によって検出された温度との差分を表す情報であり、例えば、それぞれのPWM部171、271において生成される。
【0044】
また、本実施形態では、コンバータ装置11において、第1コンバータのPWM部171と、第2コンバータのPWM部271とを別々に備えたが、他の構成例として、これらのPWM部171、271が有する機能の一部または全部が、共通の制御部に備えられてもよい。
【0045】
他の構成例として、第1コンバータのPWM部171と第2コンバータのPWM部271を制御する制御部が備えられてもよい。当該制御部は、例えば、マイクロコンピュータ(MCU:Micro Control Unit)などを用いて構成されてもよく、図2の例においてPWM部171、271に入力される情報がマイクロコンピュータに入力され、入力された情報に基づいてPWM部171、271を制御し、本実施形態と同様な動作電圧(駆動信号)を生成させてもよい。
【0046】
PWM部171、271、または、PWM部171、271を制御する制御部は、例えば、2つのコンバータにおける温度センサ151、251によって検出される温度の情報を入力して、2つのコンバータにおける温度の差分をゼロ(0)に近付けるように制御を行ってもよい。他の構成例として、PWM部171、271、または、PWM部171、271を制御する制御部は、例えば、2つのコンバータにおける温度センサ151、251によって検出される温度の情報を入力して、それぞれのコンバータにおける温度を、2つのコンバータにおける温度の平均値などの所定値に近付けるように制御を行ってもよい。
【0047】
ここで、図2に示される動作電圧生成部401の回路構成は一例であり、例えば、同様な制御電圧(駆動信号)が得られる他の回路構成が用いられてもよい。例えば、温度情報a2(または、温度差分情報)は、キャリア情報a3のところなど、他の箇所で導入されてもよい。
また、信号のプラス(+)とマイナス(-)は、例えば、反転回路によって調整されてもよい。
【0048】
なお、図2の例では、コンバータ装置11は、例えば、電流検出用回路152および電流検出用回路252を備えていなくてもよい。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る電源装置1では、複数のコンバータにおけるPWM部171、271によって、出力電圧の検出結果および温度の検出結果に基づいて、複数のコンバータのそれぞれの最も高い温度の半導体素子の温度を近付けるように、それぞれのコンバータのスイッチ素子への駆動信号を制御する。
このような構成により、本実施形態に係る電源装置1では、非絶縁コンバータの並列接続による出力回路において、電圧モードのPWM制御による各スイッチ素子の温度がバランスするように制御することができる。これにより、コンバータ装置11において、複数のコンバータについて、温度のバランスを保持することができる。
したがって、本実施形態に係る電源装置1では、複数のコンバータのそれぞれのスイッチ素子の温度のバランスをとることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、コンバータ装置11における複数のコンバータとして、同じ回路構成のコンバータが用いられているが、他の構成例として、異なる回路構成のコンバータが用いられてもよい。
また、本実施形態では、コンバータ装置11において、2つのコンバータが並列に接続される場合を示したが、他の構成例として、3つ以上のコンバータが並列に接続される構成が用いられてもよい。
3つ以上のコンバータが用いられる場合、温度差分情報としては、例えば、少なくとも2つのコンバータにおける温度の差分の情報が用いられればよく、2つのコンバータのすべての組み合わせについて2つのコンバータにおける温度の差分の情報が用いられてもよく、あるいは、他の態様が用いられてもよい。
同様に、3つ以上のコンバータが用いられる場合、電流差分情報としては、例えば、少なくとも2つのコンバータにおける電流の差分の情報が用いられればよく、2つのコンバータのすべての組み合わせについて2つのコンバータにおける電流の差分の情報が用いられてもよく、あるいは、他の態様が用いられてもよい。
【0051】
(第2実施形態)
本実施形態に係る電源装置の概略的な構成は、第1実施形態に係る図1に示される電源装置1と同様である。このため、本実施形態では、説明の便宜上、図1に示される電源装置1を参照して、図1に示される各部の符号と同じ符号を用いて説明する。
また、本実施形態では、概略的には、第1実施形態の場合と比べて、PWM部171、271の構成が異なり、他の点については同様であるため、同様な点については説明を省略あるいは簡易化する。
【0052】
ここで、本実施形態では、CV制御部52からPWM部171への操作量と、CV制御部52からPWM部271への操作量とは、共通となっている。
【0053】
本実施形態では、第1コンバータのPWM部171の構成と、第2コンバータのPWM部271の構成とは、同様である。
ここでは、PWM部171の構成について説明する。
【0054】
図3は、実施形態(第2実施形態)に係るPWM部171における電圧モードの動作電圧生成部501の一構成例を示す図である。
動作電圧生成部501は、演算器511と、比較器512と、を備える。
演算器511は、+入力端531と、-入力端532と、-入力端533と、出力端534と、を有する。
比較器512は、+入力端551と、-入力端552と、出力端553と、正電源端554と、負電源端555と、を有する。
【0055】
CV制御部52から出力される操作量a11が、演算器511の+入力端531に入力される。
温度センサ151から出力される温度に関する情報(説明の便宜上、温度情報a12と呼ぶ。)が、演算器511の-入力端532に入力される。
電流検出用回路152からPWM部171に入力される電流に関する情報(説明の便宜上、電流情報a16と呼ぶ。)が、演算器511の-入力端533に入力される。
演算器511は、操作量a11から温度情報a12と電流情報a16を減算する演算を行い、この演算結果a14を出力端534から比較器512に出力する。
【0056】
所定のキャリア情報a13が、比較器512の-入力端552に入力される。ここで、キャリア情報a13としては、PWMにおけるキャリア波の情報が用いられ、例えば、三角波が用いられる。
演算器511から出力される演算結果a14が、比較器512の+入力端551に入力される。
比較器512は、キャリア情報a13と演算結果a14との大小関係に応じた比較結果a15を出力する。
本実施形態では、当該比較結果a15に応じた制御電圧が、PWMの制御電圧として、スイッチ素子191、192のゲート端子に入力される。
【0057】
なお、PWM部171は、スイッチ素子193、194のゲート端子に、スイッチ素子191、192への制御電圧に対して反転した制御電圧を出力する。これにより、スイッチ素子191、192とスイッチ素子193、194とは、互いにオン/オフの動作が反転するように、制御される。
【0058】
また、第2コンバータのPWM部271は、第1コンバータのPWM部171について説明した制御と同様に、スイッチ素子291、292のゲート端子への制御電圧(駆動信号)、および、スイッチ素子293、294のゲート端子への制御電圧(駆動信号)を制御する。
【0059】
ここで、図2の例と同様に、図3に示される動作電圧生成部501では、温度情報a12の代わりに、温度差分情報が用いられてもよい。
当該温度差分情報は、第1コンバータの温度センサ151によって検出された温度と、第2コンバータの温度センサ251によって検出された温度との差分を表す情報であり、例えば、それぞれのPWM部171、271において生成される。
【0060】
他の構成例として、第1コンバータのPWM部171および第2コンバータのPWM部271のそれぞれが、電流検出用回路152によって検出される電流に関する情報と電流検出用回路252によって検出される電流に関する情報の両方に基づいて制御を行う構成が用いられてもよい。
この場合、例えば、電流検出用回路152によって検出される電流に関する情報が第2コンバータのPWM部271へも入力され、同様に、電流検出用回路252によって検出される電流に関する情報が第1コンバータのPWM部171へも入力される。そして、図3に示される動作電圧生成部501では、電流情報a16の代わりに、電流差分情報が用いられる。
当該電流差分情報は、第1コンバータの電流検出用回路152によって検出される電流に関する情報と、第2コンバータの電流検出用回路252によって検出される電流に関する情報との差分を表す情報であり、例えば、それぞれのPWM部171、271において生成される。
【0061】
また、本実施形態では、コンバータ装置11において、第1コンバータのPWM部171と、第2コンバータのPWM部271とを別々に備えたが、他の構成例として、これらのPWM部171、271が有する機能の一部または全部が、共通の制御部に備えられてもよい。
他の構成例として、第1コンバータのPWM部171と第2コンバータのPWM部271を制御する制御部が備えられてもよい。当該制御部は、例えば、マイクロコンピュータなどを用いて構成されてもよく、図3の例においてPWM部171、271に入力される情報がマイクロコンピュータに入力され、入力された情報に基づいてPWM部171、271を制御する。
【0062】
ここで、図3に示される動作電圧生成部501の回路構成は一例であり、例えば、同様な制御電圧(駆動信号)が得られる他の回路構成が用いられてもよい。例えば、温度情報a12(または、温度差分情報)および電流情報a16(または、電流差分情報)の一方または両方は、キャリア情報a13のところなど、他の箇所で導入されてもよい。
また、信号のプラス(+)とマイナス(-)は、例えば、反転回路によって調整されてもよい。
【0063】
また、温度情報を用いる構成または温度差分情報を用いる構成の一方または他方と、電流情報を用いる構成または電流差分情報を用いる構成の一方または他方は、任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る電源装置1では、非絶縁コンバータの並列接続による出力回路において、電圧モードのPWM制御による各スイッチ素子の温度および電流がバランスするように制御することができる。これにより、コンバータ装置11において、複数のコンバータについて、温度のバランスを保持することができるとともに電流のバランスを保持することができる。
したがって、本実施形態に係る電源装置1では、複数のコンバータのそれぞれのスイッチ素子の温度のバランスをとることができる。
【0065】
また、本実施形態に係る電源装置1では、コンバータ装置11において、複数のコンバータにおける横流を抑制することも可能であり、特に、軽負荷時の横流の抑制効果が大きい。すなわち、コンバータ装置11において、複数のコンバータにおける電流がバランスすることで、横流が減少する。
横流に関して、例えば、電流検出用回路152、252として磁気センサ等の非接触素子(例えば、ホール素子)またはチョークコイルでスイッチング回路の電流検出が行われても、十分な精度の電流情報が得られる。通常、横流に関しては、例えば、電流の精度がそれほど高くなくても十分である場合が多い。
【0066】
ここで、3つ以上のコンバータが用いられる場合、電流差分情報としては、例えば、少なくとも2つのコンバータにおける電流の差分の情報が用いられればよく、2つのコンバータのすべての組み合わせについて2つのコンバータにおける電流の差分の情報が用いられてもよく、あるいは、他の態様が用いられてもよい。
【0067】
(第3実施形態)
本実施形態に係る電源装置の概略的な構成は、第1実施形態に係る図1に示される電源装置1と同様である。このため、本実施形態では、説明の便宜上、図1に示される電源装置1を参照して、図1に示される各部の符号と同じ符号を用いて説明する。
また、本実施形態では、概略的には、第1実施形態の場合と比べて、PWM部171、271の構成が異なり、他の点については同様であるため、同様な点については説明を省略あるいは簡易化する。
【0068】
ここで、本実施形態では、CV制御部52からPWM部171への操作量と、CV制御部52からPWM部271への操作量とは、共通となっている。
【0069】
本実施形態では、第1コンバータのPWM部171の構成と、第2コンバータのPWM部271の構成とは、同様である。
ここでは、PWM部171の構成について説明する。
【0070】
図4は、実施形態(第3実施形態)に係るPWM部171における電流モードの動作電圧生成部601の一構成例を示す図である。
動作電圧生成部601は、演算器611と、比較器612と、フリップフロップ613と、発振器614と、を備える。
演算器611は、+入力端631と、+入力端632と、出力端633と、を有する。
比較器612は、+入力端651と、-入力端652と、出力端653と、正電源端654と、負電源端655と、を有する。
フリップフロップ613は、S入力端671と、R入力端672と、Q出力端673と、を有する。フリップフロップ613は、RS型のフリップフロップである。
【0071】
電流検出用回路152からPWM部171に入力される電流に関する情報(説明の便宜上、電流情報a23と呼ぶ。)が、演算器611の+入力端631に入力される。
温度センサ151から出力される温度に関する情報(説明の便宜上、温度情報a22と呼ぶ。)が、演算器611の+入力端632に入力される。
演算器611は、電流情報a23と温度情報a22とを加算する演算を行い、この演算結果a24を出力端633から比較器612に出力する。
【0072】
CV制御部52から出力される操作量a21が、比較器612の-入力端652に入力される。
演算器611から出力される演算結果a24が、比較器612の+入力端651に入力される。
比較器612は、操作量a21と演算結果a24との大小関係に応じた比較結果a25を出力端653から出力する。
【0073】
比較器612から出力される比較結果a25が、フリップフロップ613のR入力端672に入力される。
発振器614は、所定のトリガ情報a26を出力する。トリガ情報a26としては、例えば、トリガとなる所定の周波数を有する信号が用いられてもよい。
発振器614から出力されるトリガ情報a26が、フリップフロップ613のS入力端671に入力される。
フリップフロップ613は、トリガ情報a26と比較結果a25に応じた出力結果a27をQ出力端673から出力する。
本実施形態では、当該出力結果a27に応じた制御電圧が、PWMの制御電圧として、スイッチ素子191、192のゲート端子に入力される。
【0074】
なお、PWM部171は、スイッチ素子193、194のゲート端子に、スイッチ素子191、192への制御電圧に対して反転した制御電圧を出力する。これにより、スイッチ素子191、192とスイッチ素子193、194とは、互いにオン/オフの動作が反転するように、制御される。
【0075】
また、第2コンバータのPWM部271は、第1コンバータのPWM部171について説明した制御と同様に、スイッチ素子291、292のゲート端子への制御電圧、および、スイッチ素子293、294のゲート端子への制御電圧を制御する。
【0076】
ここで、本実施形態では、第1コンバータのPWM部171が温度センサ151による検出結果に基づいて制御を行い、第2コンバータのPWM部271が温度センサ251による検出結果に基づいて制御を行う場合を示した。
【0077】
他の構成例として、第1コンバータのPWM部171および第2コンバータのPWM部271のそれぞれが、温度センサ151による検出結果と温度センサ251による検出結果の両方に基づいて制御を行う構成が用いられてもよい。
この場合、例えば、第1コンバータの温度センサ151から第2コンバータのPWM部271へも、検出された温度に関する情報が出力され、同様に、第2コンバータの温度センサ251から第1コンバータのPWM部171へも、検出された温度に関する情報が出力される。そして、図4に示される動作電圧生成部601では、温度情報a22の代わりに、温度差分情報が用いられる。
当該温度差分情報は、第1コンバータの温度センサ151によって検出された温度と、第2コンバータの温度センサ251によって検出された温度との差分を表す情報であり、例えば、それぞれのPWM部171、271において生成される。
【0078】
ここで、図4に示される動作電圧生成部601の回路構成は一例であり、例えば、同様な制御電圧(駆動信号)が得られる他の回路構成が用いられてもよい。例えば、温度情報a22(または、温度差分情報)は、操作量a21のところなど、他の箇所で導入されてもよい。
また、信号のプラス(+)とマイナス(-)は、例えば、反転回路によって調整されてもよい。
【0079】
以上のように、本実施形態に係る電源装置1では、非絶縁コンバータの並列接続による出力回路において、電流モードのPWM制御による各スイッチ素子の温度がバランスするように制御することができる。これにより、コンバータ装置11において、複数のコンバータについて、温度のバランスを保持することができる。
したがって、本実施形態に係る電源装置1では、複数のコンバータのそれぞれのスイッチ素子の温度のバランスをとることができる。
【0080】
(第4実施形態)
本実施形態に係る電源装置の概略的な構成は、第1実施形態に係る図1に示される電源装置1と同様である。このため、本実施形態では、説明の便宜上、図1に示される電源装置1を参照して、図1に示される各部の符号と同じ符号を用いて説明する。
また、本実施形態では、概略的には、第1実施形態の場合と比べて、PWM部171、271の構成が異なり、他の点については同様であるため、同様な点については説明を省略あるいは簡易化する。
【0081】
ここで、本実施形態では、CV制御部52からPWM部171への操作量と、CV制御部52からPWM部271への操作量とは、共通となっている。
【0082】
本実施形態では、第1コンバータのPWM部171の構成と、第2コンバータのPWM部271の構成とは、同様である。
ここでは、PWM部171の構成について説明する。
【0083】
図5は、実施形態(第4実施形態)に係るPWM部171における電流モードの動作電圧生成部701の一構成例を示す図である。
動作電圧生成部701は、演算器711と、演算器712と、比較器713と、フリップフロップ714と、発振器715と、を備える。
演算器711は、+入力端731と、+入力端732と、出力端733と、を有する。
演算器712は、+入力端751と、+入力端752と、出力端753と、を有する。
比較器713は、+入力端771と、-入力端772と、出力端773と、正電源端774と、負電源端775と、を有する。
フリップフロップ714は、S入力端791と、R入力端792と、Q出力端793と、を有する。フリップフロップ714は、RS型のフリップフロップである。
【0084】
電流検出用回路152からPWM部171に入力される電流に関する情報(説明の便宜上、電流情報a33と呼ぶ。)が、演算器711の+入力端731に入力される。
キャリアに関する情報(説明の便宜上、キャリア情報a34と呼ぶ。)が、演算器711の+入力端732に入力される。ここで、キャリア情報a34としては、PWMにおけるキャリア波の情報が用いられ、例えば、三角波が用いられる。
演算器711は、電流情報a33とキャリア情報a34とを加算する演算を行い、この演算結果a35を出力端733から演算器712に出力する。
【0085】
演算器711から出力される演算結果a35が、演算器712の+入力端751に入力される。
温度センサ151から出力される温度に関する情報(説明の便宜上、温度情報a32と呼ぶ。)が、演算器712の+入力端752に入力される。
演算器712は、演算結果a35と温度情報a32とを加算する演算を行い、この演算結果a36を出力端753から比較器713に出力する。
【0086】
CV制御部52から出力される操作量a31が、比較器713の-入力端772に入力される。
演算器712から出力される演算結果a36が、比較器713の+入力端771に入力される。
比較器713は、操作量a31と演算結果a36との大小関係に応じた比較結果a37を出力端773から出力する。
【0087】
比較器713から出力される比較結果a37が、フリップフロップ714のR入力端792に入力される。
発振器715は、所定のトリガ情報a38を出力する。トリガ情報a38としては、例えば、トリガとなる所定の周波数を有する信号が用いられてもよい。
発振器715から出力されるトリガ情報a38が、フリップフロップ714のS入力端791に入力される。
フリップフロップ714は、トリガ情報a38と比較結果a37に応じた出力結果a39をQ出力端793から出力する。
本実施形態では、当該出力結果a39に応じた制御電圧が、PWMの制御電圧として、スイッチ素子191、192のゲート端子に入力される。
【0088】
なお、PWM部171は、スイッチ素子193、194のゲート端子に、スイッチ素子191、192への制御電圧に対して反転した制御電圧を出力する。これにより、スイッチ素子191、192とスイッチ素子193、194とは、互いにオン/オフの動作が反転するように、制御される。
【0089】
また、第2コンバータのPWM部271は、第1コンバータのPWM部171について説明した制御と同様に、スイッチ素子291、292のゲート端子への制御電圧、および、スイッチ素子293、294のゲート端子への制御電圧を制御する。
【0090】
ここで、図4の例と同様に、図5に示される動作電圧生成部701では、温度情報a32の代わりに、温度差分情報が用いられてもよい。
当該温度差分情報は、第1コンバータの温度センサ151によって検出された温度と、第2コンバータの温度センサ251によって検出された温度との差分を表す情報であり、例えば、それぞれのPWM部171、271において生成される。
【0091】
ここで、図5に示される動作電圧生成部701の回路構成は一例であり、例えば、同様な制御電圧(駆動信号)が得られる他の回路構成が用いられてもよい。例えば、温度情報a32(または、温度差分情報)およびキャリア情報a34の一方または両方は、操作量a31のところなど、他の箇所で導入されてもよい。
また、信号のプラス(+)とマイナス(-)は、例えば、反転回路によって調整されてもよい。
【0092】
以上のように、本実施形態に係る電源装置1では、非絶縁コンバータの並列接続による出力回路において、電流モードのPWM制御による各スイッチ素子の温度がバランスするように制御することができる。これにより、コンバータ装置11において、複数のコンバータについて、温度のバランスを保持することができる。
したがって、本実施形態に係る電源装置1では、複数のコンバータのそれぞれのスイッチ素子の温度のバランスをとることができる。
【0093】
(第5実施形態)
図6は、実施形態(第5実施形態)に係るコンバータ装置1011、1012を含む電源装置1001の回路構成を示す図である。
電源装置1001は、非絶縁コンバータを用いたコンバータ装置1011と、絶縁されているコンバータ(説明の便宜上、絶縁コンバータとも呼ぶ。)を用いたコンバータ装置1012と、を備える。
図6の例では、前段のコンバータ装置1012と、後段のコンバータ装置1011とが、直列に接続されている。
【0094】
後段のコンバータ装置1011は、2つのコンバータを含むコンバータ回路部を有する。本実施形態では、説明の便宜上、これら2つのコンバータを、それぞれ、第1コンバータ、第2コンバータと呼んで説明する。
第1コンバータおよび第2コンバータは、それぞれ、非絶縁コンバータである。
【0095】
なお、図6では、前段のコンバータ装置1012の前段に接続される電圧源(電源部)については、図示を省略してある。当該電圧源としては、例えば、第1実施形態における図1の例と同様な直流電圧源などが用いられてもよい。
また、図6では、後段のコンバータ装置1011の後段に接続される回路である後段回路については、図示を省略してある。当該後段回路としては、例えば、第1実施形態における図1の例と同様な後段回路が用いられてもよい。
本実施形態では、後段回路は電源装置1001に含まれない構成例を示すが、他の構成例として、後段回路は電源装置1001に含まれてもよい。
【0096】
前段のコンバータ装置1012について説明する。
コンバータ装置1012は、1次巻線1312および2次巻線1411からなるトランスの1次側の回路部として、コンデンサ1311と、トランスの1次巻線1312と、スイッチ部1313と、PWM部1314を備える。
スイッチ部1313は、スイッチ素子1321と、スイッチ素子1322と、を備える。
本実施形態では、それぞれのスイッチ素子1321、1322は、電界効果トランジスタ(FET)を用いて構成されている。
【0097】
コンバータ装置1012は、トランスの2次側の回路部として、後段のコンバータ装置1011の第1コンバータ側の回路部および第2コンバータ側の回路部を有する。
コンバータ装置1012は、トランスの2次側の回路部における第1コンバータ側の回路部として、2次巻線1411と、ダイオード1412と、ダイオード1413と、コイル1414を備える。
コンバータ装置1012は、トランスの2次側の回路部における第2コンバータ側の回路部として、2次巻線1421と、ダイオード1422と、ダイオード1423と、コイル1424を備える。
【0098】
コンバータ装置1012における各部の接続関係を説明する。
電圧源(図示せず)の2つの出力端の高電位側と低電位側との間に、入力側のコンデンサ1311が接続されている。
コンデンサ1311の両端のうちの高電位側と、1次巻線1312の一端と、が接続されている。
1次巻線1312の他端と、スイッチ素子1321のドレイン端子およびスイッチ素子1322のドレイン端子と、が接続されている。スイッチ素子1321とスイッチ素子1322とは並列に配置されている。
コンデンサ1311の両端のうちの低電位側と、スイッチ素子1321のソース端子およびスイッチ素子1322のソース端子と、が接続されている。
PWM部1314は、スイッチ素子1321のゲート端子およびスイッチ素子1322のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)を制御する。
【0099】
トランスの2次側の回路部における第1コンバータ側の回路部では、2次巻線1411の両端のうちの高電位側と、ダイオード1412のアノードと、が接続されている。
ダイオード1412のカソードと、コイル1414の一端と、が接続されている。
2次巻線1411の両端のうちの低電位側と、ダイオード1413のアノードと、が接続されている。
ダイオード1413のカソードと、ダイオード1412のカソードと、が接続されている。
【0100】
トランスの2次側の回路部における第2コンバータ側の回路部では、2次巻線1421両端のうちの高電位側と、ダイオード1422のアノードと、が接続されている。
ダイオード1422のカソードと、コイル1424の一端と、が接続されている。
2次巻線1421の両端のうちの低電位側と、ダイオード1423のアノードと、が接続されている。
ダイオード1423のカソードと、ダイオード1422のカソードと、が接続されている。
【0101】
ここで、図6の例では、図1に示される電圧源71として、1次巻線1312および2次巻線1411からなるトランスの1次側にある電圧生成回路(スイッチング回路)、当該トランス、当該トランスの2次側にある整流回路および平滑回路が用いられている。
ここで、当該整流回路は、ダイオード1412、1413を用いて構成されている。
また、当該平滑回路は、コンバータ装置1011の第1コンバータについてコイル1414とコンデンサ1031を用いて構成されており、コンバータ装置1011の第2コンバータについてコイル1424とコンデンサ1032を用いて構成されている。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、コンデンサ1031およびコンデンサ1032がコンバータ装置1011に含まれるとして説明しているが、コンデンサ1031およびコンデンサ1032がコンバータ装置1012に含まれると捉えられてもよい。
【0102】
後段のコンバータ装置1011について説明する。
第1コンバータは、スイッチ部1111と、スイッチ部1112と、コイル1131と、温度センサ1151と、電流検出用回路1152と、PWM部1171と、を備える。
ここで、コンバータ装置1011は、第1コンバータの前段に、コンデンサ1031を備える。
本実施形態では、コンデンサ1031は第1コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ1031は第1コンバータに含まれてもよい。
【0103】
スイッチ部1111は、スイッチ素子1191と、スイッチ素子1192と、を備える。
スイッチ部1112は、スイッチ素子1193と、スイッチ素子1194と、を備える。
本実施形態では、それぞれのスイッチ素子1191~1194は、電界効果トランジスタ(FET)を用いて構成されている。
【0104】
第2コンバータは、スイッチ部1211と、スイッチ部1212と、コイル1231と、温度センサ1251と、電流検出用回路1252と、PWM部1271と、を備える。
ここで、コンバータ装置1011は、第2コンバータの前段に、コンデンサ1032を備える。
本実施形態では、コンデンサ1032は第2コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ1032は第2コンバータに含まれてもよい。
【0105】
スイッチ部1211は、スイッチ素子1291と、スイッチ素子1292と、を備える。
スイッチ部1212は、スイッチ素子1293と、スイッチ素子1294と、を備える。
本実施形態では、それぞれのスイッチ素子1291~1294は、電界効果トランジスタ(FET)を用いて構成されている。
【0106】
ここで、コンバータ装置1011は、第1コンバータの後段に、出力コンデンサとなるコンデンサ1051を備える。
本実施形態では、コンデンサ1051は第1コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ1051は第1コンバータに含まれてもよい。
また、コンバータ装置1011は、第2コンバータの後段に、出力コンデンサとなるコンデンサ1052を備える。
本実施形態では、コンデンサ1052は第2コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ1052は第2コンバータに含まれてもよい。
【0107】
コンバータ装置1011は、第1コンバータおよび第2コンバータに共通に、CV制御部1071を備える。
【0108】
ここで、コンバータ装置1011の構成は、概略的には、図1に示されるコンバータ装置11の構成と比べて、図1に示されるコンバータ装置11における第1コンバータと第2コンバータとが並列に接続されているのに対して、コンバータ装置1011における第1コンバータと第2コンバータとが直列に接続されている点で異なり、他の点で同様である。
【0109】
具体的には、第1コンバータの後段における出力端の高電位側と低電位側との間に、コンデンサ1051が接続されている。
また、第2コンバータの後段における出力端の高電位側と低電位側との間に、コンデンサ1052が接続されている。
コンデンサ1051の両端のうちの低電位側と、コンデンサ1052の両端のうちの高電位側と、が接続されている。これにより、第1コンバータと第2コンバータとが直列に接続される。
コンデンサ1051の両端のうちの高電位側と、コンデンサ1052の両端のうちの低電位側とが、コンバータ装置1011の出力側の2つの端部となっている。
【0110】
PWM部1171およびPWM部1271のそれぞれでは、例えば、図2図5に示される動作電圧生成部401、501、601、701のうちの1つが用いられてもよい。
【0111】
以上のように、本実施形態に係る電源装置1001では、後段のコンバータ装置1011の非絶縁コンバータの直列接続による出力回路において、電圧モードのPWM制御または電流モードのPWM制御により、各スイッチ素子の温度がバランスするように制御することができる。これにより、コンバータ装置1011において、複数のコンバータについて、温度のバランスを保持することができる。
【0112】
なお、本実施形態では、コンバータ装置1011における複数のコンバータとして、同じ回路構成のコンバータが用いられているが、他の構成例として、異なる回路構成のコンバータが用いられてもよい。
また、本実施形態では、コンバータ装置1011において、2つのコンバータが直列に接続される場合を示したが、他の構成例として、3つ以上のコンバータが直列に接続される構成が用いられてもよい。
【0113】
(第6実施形態)
図7は、実施形態(第6実施形態)に係るコンバータ装置2011を含む電源装置2001の回路構成を示す図である。
電源装置2001は、絶縁コンバータを用いたコンバータ装置2011を備える。
なお、図7では、コンバータ装置2011の前段に接続される電圧源(電源部)については、図示を省略してある。当該電圧源としては、例えば、第1実施形態における図1の例と同様な直流電圧源などが用いられてもよい。
また、図7では、コンバータ装置2011の後段に接続される回路である後段回路については、図示を省略してある。当該後段回路としては、例えば、第1実施形態における図1の例と同様な後段回路が用いられてもよい。
本実施形態では、後段回路は電源装置2001に含まれない構成例を示すが、他の構成例として、後段回路は電源装置2001に含まれてもよい。
【0114】
コンバータ装置2011は、2つのコンバータを含むコンバータ回路部を有する。本実施形態では、説明の便宜上、これら2つのコンバータを、それぞれ、第1コンバータ、第2コンバータと呼んで説明する。
第1コンバータおよび第2コンバータは、それぞれ、絶縁コンバータである。
【0115】
コンバータ装置2011は、第1コンバータおよび第2コンバータに共通に、後段の出力コンデンサとなるコンデンサ2051と、CV制御部2052と、を備える。
【0116】
第1コンバータは、1次巻線2311および2次巻線2312からなるトランスの1次側の回路部として、トランスの1次巻線2311と、スイッチ部2111と、温度検出部を構成する温度センサ2151と、電流検出部を構成する電流検出用回路2152と、制御部を構成するPWM部2171を備える。
スイッチ部2111は、スイッチ素子2191と、スイッチ素子2192と、を備える。
本実施形態では、それぞれのスイッチ素子2191、2192は、電界効果トランジスタ(FET)を用いて構成されている。
【0117】
第1コンバータは、トランスの2次側の回路部として、トランスの2次巻線2312と、ダイオード2313と、ダイオード2314と、コイル2131を備える。
【0118】
ここで、コンバータ装置2011は、第1コンバータの前段に、コンデンサ2031を備える。
本実施形態では、コンデンサ2031は第1コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ2031は第1コンバータに含まれてもよい。
【0119】
図7の例では、ダイオード2313、2314を用いて整流回路が構成されている。また、図7の例では、コイル2131およびコンデンサ2051を用いて平滑回路が構成されている。
【0120】
第2コンバータは、1次巻線2411および2次巻線2412からなるトランスの1次側の回路部として、トランスの1次巻線2411と、スイッチ部2211と、温度検出部を構成する温度センサ2251と、電流検出部を構成する電流検出用回路2252と、制御部を構成するPWM部2271を備える。
スイッチ部2211は、スイッチ素子2291と、スイッチ素子2292と、を備える。
本実施形態では、それぞれのスイッチ素子2291、2292は、電界効果トランジスタ(FET)を用いて構成されている。
【0121】
第2コンバータは、トランスの2次側の回路部として、トランスの2次巻線2412と、ダイオード2413と、ダイオード2414と、コイル2231を備える。
【0122】
ここで、コンバータ装置2011は、第2コンバータの前段に、コンデンサ2032を備える。
本実施形態では、コンデンサ2032は第2コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ2032は第2コンバータに含まれてもよい。
【0123】
図7の例では、ダイオード2413、2414を用いて整流回路が構成されている。また、図7の例では、コイル2231およびコンデンサ2051を用いて平滑回路が構成されている。
【0124】
第1コンバータおよび第2コンバータに共通な出力側のコンデンサ2051の後段に、後段回路が接続されている。
出力側のコンデンサ2051の後段において、出力側のコンデンサ2051に、電圧検出部を有するCV制御部2052が接続されている。
【0125】
第1コンバータにおける各部の接続関係を説明する。
電圧源(図示せず)の2つの出力端の高電位側と低電位側との間に、入力側のコンデンサ2031が接続されている。
コンデンサ2031の両端のうちの高電位側と、トランスの1次巻線2311の一端と、が接続されている。
トランスの1次巻線2311の他端と、スイッチ素子2191のドレイン端子およびスイッチ素子2192のドレイン端子と、が電流検出用回路2152を介して接続されている。スイッチ素子2191とスイッチ素子2192とは並列に配置されている。
コンデンサ2031の両端のうちの低電位側と、スイッチ素子2191のソース端子およびスイッチ素子2192のソース端子と、が接続されている。
【0126】
本実施形態では、第1コンバータにおけるスイッチ素子2191~2192およびダイオード2313、2314を含む半導体素子のうちで、最大定格温度に最も近い部品が特定されている。そして、温度センサ2151は、このように最大定格温度に最も近い部品の温度を検出することが可能な位置に配置されている。図7の例では、一例として、スイッチ素子2191またはスイッチ素子2192が最大定格温度に最も近い部品であり、温度センサ2151はスイッチ素子2191~2192の付近に配置されている。
図7の例では、ダイオード2313、2314も、半導体素子の一種である。
【0127】
電流検出用回路2152は、スイッチ素子2191のドレイン端子およびスイッチ素子2192のドレイン端子と、トランスの1次巻線2311の他端(低電位側)との間に、接続されている。電流検出用回路2152としては、本実施形態では、カレントトランスが用いられており、他の例として、ホール素子、あるいは、シャント抵抗などが用いられてもよい。
PWM部2171は、任意の箇所に配置されてもよい。
【0128】
トランスの2次巻線2312の両端のうちの高電位側と、ダイオード2313のアノードと、が接続されている。
ダイオード2313のカソードと、コイル2131の一端と、が接続されている。
トランスの2次巻線2312の両端のうちの低電位側と、ダイオード2314のアノードと、が接続されている。
ダイオード2314のカソードと、ダイオード2313のカソードと、が接続されている。
【0129】
ここで、スイッチ部2111を構成するスイッチ素子2191、2192の一端(ドレイン端子)は電圧源の2つの出力端のうちの高電位側と1次巻線2311および電流検出用回路2152を介して接続されている。
【0130】
第2コンバータにおける各部の接続関係を説明する。
電圧源(図示せず)の2つの出力端の高電位側と低電位側との間に、入力側のコンデンサ2032が接続されている。
コンデンサ2032の両端のうちの高電位側と、トランスの1次巻線2411の一端と、が接続されている。
トランスの1次巻線2411の他端と、スイッチ素子2291のドレイン端子およびスイッチ素子2292のドレイン端子と、が電流検出用回路2252を介して接続されている。スイッチ素子2291とスイッチ素子2292とは並列に配置されている。
コンデンサ2032の両端のうちの低電位側と、スイッチ素子2291のソース端子およびスイッチ素子2292のソース端子と、が接続されている。
【0131】
本実施形態では、第2コンバータにおけるスイッチ素子2291~2292およびダイオード2413、2414を含む半導体素子のうちで、最大定格温度に最も近い部品が特定されている。そして、温度センサ2251は、このように最大定格温度に最も近い部品の温度を検出することが可能な位置に配置されている。図7の例では、一例として、スイッチ素子2291またはスイッチ素子2292が最大定格温度に最も近い部品であり、温度センサ2251はスイッチ素子2291~2292の付近に配置されている。
図7の例では、ダイオード2413、2414も、半導体素子の一種である。
【0132】
電流検出用回路2252は、スイッチ素子2291のドレイン端子およびスイッチ素子2292のドレイン端子と、トランスの1次巻線2411の他端(低電位側)との間に、接続されている。電流検出用回路2252としては、本実施形態では、カレントトランスが用いられており、他の例として、ホール素子、あるいは、シャント抵抗などが用いられてもよい。
PWM部2271は、任意の箇所に配置されてもよい。
【0133】
トランスの2次巻線2412の両端のうちの高電位側と、ダイオード2413のアノードと、が接続されている。
ダイオード2413のカソードと、コイル2231の一端と、が接続されている。
トランスの2次巻線2412の両端のうちの低電位側と、ダイオード2414のアノードと、が接続されている。
ダイオード2414のカソードと、ダイオード2413のカソードと、が接続されている。
【0134】
ここで、スイッチ部2211を構成するスイッチ素子2291、2292の一端(ドレイン端子)は電圧源の2つの出力端のうちの高電位側と1次巻線2411および電流検出用回路2252を介して接続されている。
【0135】
第1コンバータの出力側では、コイル2131の両端のうちのダイオード2313、2314が接続された端部とは反対側の端部、および、2次巻線2312の両端のうちの低電位側の端部とが、それぞれ、高電位側の端部および低電位側の端部となっている。
第2コンバータの出力側では、コイル2231の両端のうちのダイオード2413、2414が接続された端部とは反対側の端部、および、2次巻線2412の両端のうちの低電位側の端部とが、それぞれ、高電位側の端部および低電位側の端部となっている。
そして、第1コンバータの出力側の高電位側の端部と、第2コンバータの出力側の高電位側の端部と、が接続されている。また、第1コンバータの出力側の低電位側の端部と、第2コンバータの出力側の低電位側の端部と、が接続されている。これにより、第1コンバータと第2コンバータとが並列に接続されている。
第1コンバータおよび第2コンバータにおける出力側の共通の高電位側の端部と低電位側の端部との間に、出力側のコンデンサ2051が接続されている。
【0136】
第1コンバータおよび第2コンバータに共通な出力側のコンデンサ2051の後段に、後段回路が接続されている。
出力側のコンデンサ2051の後段において、出力側のコンデンサ2051に、CV制御部2052が接続されている。
【0137】
コンバータ装置2011におけるPWMの制御について説明する。
第1コンバータのPWM部2171について説明する。
CV制御部2052は、出力側のコンデンサ2051の両端にかかる電圧が一定になるように、PWM部2171に出力する制御量(操作量)を制御する。なお、CV制御部2052の動作としては、例えば、従来と同様な動作が行われてもよい。
【0138】
温度センサ2151は、検出された温度に関する情報をPWM部2171に出力する。当該情報は、例えば、検出された温度の値を表す情報であってもよく、あるいは、検出された温度の値に応じた他の情報であってもよい。
電流検出用回路2152は、電流検出用回路2152に流れる電流を検出し、当該電流の検出結果をPWM部2171に出力する。図7の例では、当該電流は、スイッチ部2111(2つのスイッチ素子2191、2192の並列接続部分)を流れる電流であり、トランスの1次巻線2311を流れる電流である。
【0139】
PWM部2171は、CV制御部2052から入力される電圧に関する情報、および、温度センサ2151から入力される温度に関する情報に基づいて、温度センサ2151により検出される温度を所定値に近付けるように、スイッチ素子2191のゲート端子およびスイッチ素子2192のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)を制御する。当該所定値は、例えば、一定値であってもよく、あるいは、他の値であってもよい。
また、PWM部2171は、さらに、電流検出用回路2152から入力される電流に関する情報に基づいて、スイッチ素子2191のゲート端子およびスイッチ素子2192のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)を制御してもよい。
本実施形態では、スイッチ素子2191とスイッチ素子2192とで共通の制御電圧が用いられている。
【0140】
第2コンバータのPWM部2271について説明する。
CV制御部2052は、出力側のコンデンサ2051の両端にかかる電圧が一定になるように、PWM部2271に出力する制御量(操作量)を制御する。なお、CV制御部2052の動作としては、例えば、従来と同様な動作が行われてもよい。
【0141】
温度センサ2251は、検出された温度に関する情報をPWM部2271に出力する。当該情報は、例えば、検出された温度の値を表す情報であってもよく、あるいは、検出された温度の値に応じた他の情報であってもよい。
電流検出用回路2252は、電流検出用回路2252に流れる電流を検出し、当該電流の検出結果をPWM部2271に出力する。図7の例では、当該電流は、スイッチ部2211(2つのスイッチ素子2291、2292の並列接続部分)を流れる電流であり、トランスの1次巻線2311を流れる電流となる。
【0142】
PWM部2271は、CV制御部2052から入力される電圧に関する情報、および、温度センサ2251から入力される温度に関する情報に基づいて、温度センサ2251により検出される温度を所定値に近付けるように、スイッチ素子2291のゲート端子およびスイッチ素子2292のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)を制御する。当該所定値は、例えば、一定値であってもよく、あるいは、他の値であってもよい。
また、PWM部2271は、さらに、電流検出用回路2252から入力される電流に関する情報に基づいて、スイッチ素子2291のゲート端子およびスイッチ素子2292のゲート端子に出力する制御電圧(駆動信号)を制御してもよい。
本実施形態では、スイッチ素子2291とスイッチ素子2292とで共通の制御電圧が用いられている。
【0143】
ここで、本実施形態では、CV制御部2052からPWM部2171への操作量と、CV制御部2052からPWM部2271への操作量とは、共通となっている。
【0144】
本実施形態では、第1コンバータのPWM部2171の構成と、第2コンバータのPWM部2271の構成とは、同様である。
PWM部2171およびPWM部2271のそれぞれでは、例えば、図2図5に示される動作電圧生成部401、501、601、701のうちの1つが用いられてもよい。
【0145】
なお、電流検出用回路2152、2252として、例えば、磁気センサ等の非接触素子(例えば、ホール素子)が用いられてもよい。一般に、非接触素子による非接触の電流検出は低精度であるが低損失で実現されるため、非接触素子を用いる場合には高効率化を図ることができる。
また、図7の例では、2つのコンバータのそれぞれにおいて電流を検出する回路構成を示したが、他の構成例として、一方のコンバータにおいて電流を検出し、2つのコンバータについての電流を合わせた総電流をシャント抵抗などで検出し、当該総電流から一方のコンバータにおける電流を減算した結果の電流を他方のコンバータにおける電流と推定する、構成が用いられてもよい。この場合、当該シャント抵抗は、2つのコンバータにおける電流を合わせた総電流が流れる箇所に備えられる。
一例として、2つのコンバータの並列接続(インターリーブ)において、一方のコンバータにおける電流検出用回路2152として非接触で電流検出を行う素子(非接触素子)を用いる構成とし、他方のコンバータにおける電流については総電流から一方のコンバータにおける検出電流を減算した結果の電流と推定する、構成が用いられてもよい。
【0146】
また、本実施形態では、コンバータ装置2011において、第1コンバータのPWM部2171と、第2コンバータのPWM部2271とを別々に備えたが、他の構成例として、これらのPWM部2171、2271が有する機能の一部または全部が、共通の制御部に備えられてもよい。
他の構成例として、第1コンバータのPWM部2171と第2コンバータのPWM部2271を制御する制御部が備えられてもよい。当該制御部は、例えば、マイクロコンピュータなどを用いて構成されてもよく、図7の例においてPWM部2171、2271に入力される情報がマイクロコンピュータに入力され、入力された情報に基づいてPWM部2171、2271を制御し、本実施形態と同様な動作電圧(駆動信号)を生成させてもよい。
【0147】
PWM部2171、2271、または、PWM部2171、2271を制御する制御部は、例えば、2つのコンバータにおける温度センサ2151、2251によって検出される温度の情報を入力して、2つのコンバータにおける温度の差分をゼロ(0)に近付けるように制御を行ってもよい。他の構成例として、PWM部2171、2271、または、PWM部2171、2271を制御する制御部は、例えば、2つのコンバータにおける温度センサ2151、2251によって検出される温度の情報を入力して、それぞれのコンバータにおける温度を、2つのコンバータにおける温度の平均値などの所定値に近付けるように制御を行ってもよい。
【0148】
以上のように、本実施形態に係る電源装置2001では、複数のコンバータにおけるPWM部2171、2271によって、出力電圧の検出結果および温度の検出結果に基づいて、複数のコンバータのそれぞれの最も高い温度の半導体素子の温度を近付けるように、それぞれのコンバータのスイッチ素子への駆動信号を制御する。
このような構成により、本実施形態に係る電源装置2001では、絶縁コンバータの並列接続による出力回路において、電圧モードのPWM制御または電流モードのPWM制御による各スイッチ素子の温度がバランスするように制御することができる。これにより、コンバータ装置2011において、複数のコンバータについて、温度のバランスを保持することができる。
したがって、本実施形態に係る電源装置2001では、複数のコンバータのそれぞれのスイッチ素子の温度のバランスをとることができる。
【0149】
なお、本実施形態では、コンバータ装置2011における複数のコンバータとして、同じ回路構成のコンバータが用いられているが、他の構成例として、異なる回路構成のコンバータが用いられてもよい。
また、本実施形態では、コンバータ装置2011において、2つのコンバータが並列に接続される場合を示したが、他の構成例として、3つ以上のコンバータが並列に接続される構成が用いられてもよい。
3つ以上のコンバータが用いられる場合、温度差分情報としては、例えば、少なくとも2つのコンバータにおける温度の差分の情報が用いられればよく、2つのコンバータのすべての組み合わせについて2つのコンバータにおける温度の差分の情報が用いられてもよく、あるいは、他の態様が用いられてもよい。
同様に、3つ以上のコンバータが用いられる場合、電流差分情報としては、例えば、少なくとも2つのコンバータにおける電流の差分の情報が用いられればよく、2つのコンバータのすべての組み合わせについて2つのコンバータにおける電流の差分の情報が用いられてもよく、あるいは、他の態様が用いられてもよい。
【0150】
(第7実施形態)
図8は、実施形態(第7実施形態)に係るコンバータ装置3011を含む電源装置3001の回路構成を示す図である。
なお、図8では、コンバータ装置3011の前段に接続される電圧源(電源部)については、図示を省略してある。当該電圧源としては、例えば、第1実施形態における図1の例と同様な直流電圧源などが用いられてもよい。
また、図8では、コンバータ装置3011の後段に接続される回路である後段回路については、図示を省略してある。当該後段回路としては、例えば、第1実施形態における図1の例と同様な後段回路が用いられてもよい。
本実施形態では、後段回路は電源装置3001に含まれない構成例を示すが、他の構成例として、後段回路は電源装置3001に含まれてもよい。
【0151】
コンバータ装置3011は、2つのコンバータを含むコンバータ回路部を有する。本実施形態では、説明の便宜上、これら2つのコンバータを、それぞれ、第1コンバータ、第2コンバータと呼んで説明する。
第1コンバータおよび第2コンバータは、それぞれ、絶縁コンバータである。
【0152】
第1コンバータは、トランスの1次側の回路部として、トランスの1次巻線3311と、スイッチ部3111と、温度センサ3151と、電流検出用回路3152と、PWM部3171を備える。
スイッチ部3111は、スイッチ素子3191と、スイッチ素子3192と、を備える。
本実施形態では、それぞれのスイッチ素子3191、3192は、電界効果トランジスタ(FET)を用いて構成されている。
【0153】
第1コンバータは、トランスの2次側の回路部として、2次巻線3312と、ダイオード3313と、ダイオード3314と、コイル3131を備える。
【0154】
ここで、コンバータ装置3011は、第1コンバータの前段に、コンデンサ3031を備える。
本実施形態では、コンデンサ3031は第1コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ3031は第1コンバータに含まれてもよい。
【0155】
第2コンバータは、トランスの1次側の回路部として、トランスの1次巻線3411と、スイッチ部3211と、温度センサ3251と、電流検出用回路3252と、PWM部3271を備える。
スイッチ部3211は、スイッチ素子3291と、スイッチ素子3292と、を備える。
本実施形態では、それぞれのスイッチ素子3291、3292は、電界効果トランジスタ(FET)を用いて構成されている。
【0156】
第2コンバータは、トランスの2次側の回路部として、2次巻線3412と、ダイオード3413と、ダイオード3414と、コイル3231を備える。
【0157】
ここで、コンバータ装置3011は、第2コンバータの前段に、コンデンサ3032を備える。
本実施形態では、コンデンサ3032は第2コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ3032は第2コンバータに含まれてもよい。
【0158】
コンバータ装置3011は、第1コンバータの後段に、出力コンデンサとなるコンデンサ3051を備える。
本実施形態では、コンデンサ3051は第1コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ3051は第1コンバータに含まれてもよい。
また、コンバータ装置3011は、第2コンバータの後段に、出力コンデンサとなるコンデンサ3052を備える。
本実施形態では、コンデンサ3052は第2コンバータに含まれない構成例を示すが、他の構成例として、コンデンサ3052は第2コンバータに含まれてもよい。
【0159】
コンバータ装置3011は、第1コンバータおよび第2コンバータに共通に、CV制御部3071を備える。
【0160】
第1コンバータおよび第2コンバータの出力側のコンデンサ3051、3052の後段に、後段回路が接続されている。
出力側のコンデンサ3051、3052の後段において、出力側のコンデンサ3051、3052に、CV制御部3071が接続されている。
【0161】
ここで、コンバータ装置3011の構成は、概略的には、図7に示されるコンバータ装置2011の構成と比べて、図7に示されるコンバータ装置2011における第1コンバータと第2コンバータとが並列に接続されているのに対して、コンバータ装置3011における第1コンバータと第2コンバータとが直列に接続されている点で異なり、他の点で同様である。
【0162】
具体的には、第1コンバータの後段における高電位側と低電位側との間に、コンデンサ3051が接続されている。
また、第2コンバータの後段における高電位側と低電位側との間に、コンデンサ3052が接続されている。
コンデンサ3051の両端のうちの低電位側と、コンデンサ3052の両端のうちの高電位側と、が接続されている。これにより、第1コンバータと第2コンバータとが直列に接続される。
コンデンサ3051の両端のうちの高電位側と、コンデンサ3052の両端のうちの低電位側とが、コンバータ装置3011の出力側の2つの端部となっており、この2つの端部にCV制御部3071が接続されている。
【0163】
PWM部3171およびPWM部3271のそれぞれでは、例えば、図2図5に示される動作電圧生成部401、501、601、701のうちの1つが用いられてもよい。
【0164】
以上のように、本実施形態に係る電源装置3001では、絶縁コンバータの直列接続による出力回路において、電圧モードのPWM制御または電流モードのPWM制御により、各スイッチ素子の温度がバランスするように制御することができる。これにより、コンバータ装置3011において、複数のコンバータについて、温度のバランスを保持することができる。
したがって、本実施形態に係る電源装置3001では、複数のコンバータのそれぞれのスイッチ素子の温度のバランスをとることができる。
【0165】
なお、本実施形態では、コンバータ装置3011における複数のコンバータとして、同じ回路構成のコンバータが用いられているが、他の構成例として、異なる回路構成のコンバータが用いられてもよい。
また、本実施形態では、コンバータ装置3011において、2つのコンバータが直列に接続される場合を示したが、他の構成例として、3つ以上のコンバータが直列に接続される構成が用いられてもよい。
【0166】
[電流検出用回路および電流検出可能位置の態様]
電流検出用回路としては、例えば、カレントトランス、ホール素子、あるいは、シャント抵抗などが用いられてもよい。なお、電流検出用回路としてカレントトランスが用いられる場合には、交流が流れる領域で電流が検出される。
【0167】
以上のそれぞれの実施形態では、それぞれのコンバータにおける電流をカレントトランスで検出する位置(説明の便宜上、電流検出位置とも呼ぶ。)の一例を示したが、カレントトランスによる電流検出位置としては他の位置が用いられてもよい。
図9図12を参照して、具体的に説明する。
【0168】
図9は、実施形態(第1実施形態~第4実施形態)に係るコンバータ装置11を含む電源装置1の回路構成およびそれぞれのコンバータにおけるカレントトランスによる電流検出可能位置R1~R5、R11~R15を示す図である。
図9に示されるコンバータ装置11および電源装置1の回路構成は、図1に示されるものと同じであり、それぞれの構成部に同じ符号を付してある。
【0169】
図9の例では、コンバータ装置11における第1コンバータでは、図1に示される電流検出用回路152の位置の代わりに、電流検出可能位置R1~R5のうちの任意の位置を流れる電流を検出してもよい。
同様に、図9の例では、コンバータ装置11における第2コンバータでは、図1に示される電流検出用回路252の位置の代わりに、電流検出可能位置R11~R15のうちの任意の位置を流れる電流を検出してもよい。
【0170】
他の構成例として、コンバータ装置11では、コンバータ装置11の後段にシャント抵抗を備えて、当該シャント抵抗に流れる電流を検出してもよい。当該電流は、2つのコンバータにおける電流を合わせた総電流となる。また、当該総電流から一部のコンバータにおける電流を減算することが行われてもよく、この減算の結果は他のコンバータにおける電流(総電流)となる。
【0171】
図10は、実施形態(第5実施形態)に係るコンバータ装置1011を含む電源装置1001の回路構成およびそれぞれのコンバータにおけるカレントトランスによる電流検出可能位置R31~R35、R41~R45を示す図である。
図10に示されるコンバータ装置1011および電源装置1001の回路構成は、図6に示されるものと同じであり、それぞれの構成部に同じ符号を付してある。
【0172】
図10の例では、コンバータ装置1011における第1コンバータでは、図6に示される電流検出用回路1152の位置の代わりに、電流検出可能位置R31~R35のうちの任意の位置を流れる電流を検出してもよい。
同様に、図10の例では、コンバータ装置1011における第2コンバータでは、図6に示される電流検出用回路1252の位置の代わりに、電流検出可能位置R41~R45のうちの任意の位置を流れる電流を検出してもよい。
【0173】
他の構成例として、コンバータ装置1011では、コンバータ装置1011の後段にシャント抵抗を備えて、当該シャント抵抗に流れる電流を検出してもよい。当該電流は、2つのコンバータにおける電流を合わせた総電流となる。また、当該総電流から一部のコンバータにおける電流を減算することが行われてもよく、この減算の結果は他のコンバータにおける電流(総電流)となる。
【0174】
図11は、実施形態(第6実施形態)に係るコンバータ装置2011を含む電源装置2001の回路構成およびそれぞれのコンバータにおけるカレントトランスによる電流検出可能位置R61~R67、R71~R77を示す図である。
図11に示されるコンバータ装置2011および電源装置2001の回路構成は、図7に示されるものと同じであり、それぞれの構成部に同じ符号を付してある。
【0175】
図11の例では、コンバータ装置2011における第1コンバータでは、図7に示される電流検出用回路2152の位置の代わりに、電流検出可能位置R61~R67のうちの任意の位置を流れる電流を検出してもよい。
同様に、図11の例では、コンバータ装置2011における第2コンバータでは、図7に示される電流検出用回路2252の位置の代わりに、電流検出可能位置R71~R77のうちの任意の位置を流れる電流を検出してもよい。
【0176】
他の構成例として、コンバータ装置2011では、コンバータ装置2011の後段にシャント抵抗を備えて、当該シャント抵抗に流れる電流を検出してもよい。当該電流は、2つのコンバータにおける電流を合わせた総電流となる。また、当該総電流から一部のコンバータにおける電流を減算することが行われてもよく、この減算の結果は他のコンバータにおける電流(総電流)となる。
【0177】
図12は、実施形態(第7実施形態)に係るコンバータ装置3011を含む電源装置3001の回路構成およびそれぞれのコンバータにおけるカレントトランスによる電流検出可能位置R91~R97、R101~R107を示す図である。
図12に示されるコンバータ装置3011および電源装置3001の回路構成は、図8に示されるものと同じであり、それぞれの構成部に同じ符号を付してある。
【0178】
図12の例では、コンバータ装置3011における第1コンバータでは、図8に示される電流検出用回路3152の位置の代わりに、電流検出可能位置R91~R97のうちの任意の位置を流れる電流を検出してもよい。
同様に、図12の例では、コンバータ装置3011における第2コンバータでは、図8に示される電流検出用回路3252の位置の代わりに、電流検出可能位置R101~R107のうちの任意の位置を流れる電流を検出してもよい。
【0179】
他の構成例として、コンバータ装置3011では、コンバータ装置3011の後段にシャント抵抗を備えて、当該シャント抵抗に流れる電流を検出してもよい。当該電流は、2つのコンバータにおける電流を合わせた総電流となる。また、当該総電流から一部のコンバータにおける電流を減算することが行われてもよく、この減算の結果は他のコンバータにおける電流(総電流)となる。
【0180】
[コンバータにおける温度検出の態様]
以上の実施形態では、それぞれのコンバータにおいて、半導体素子のなかで最大定格温度に最も近い部品が特定されており、そして、このような最大定格温度に最も近い部品の温度を制御に使用している。このため、以上の実施形態では、1つのコンバータにおいて、1つの温度センサが備えられれば十分である場合を示した。
【0181】
他の例として、それぞれのコンバータにおいて、使用状況などの理由により、最大定格温度に最も近い部品が変化する可能性があり得る。この場合、例えば、それぞれのコンバータごとに、複数の温度センサを備え、複数の部品のそれぞれの温度に関する情報をそれぞれの温度センサによって検出してもよい。この場合、これら複数の部品のそれぞれについて検出された温度のうちで、最大の温度(例えば、最大定格温度に最も近い値)を抽出し、当該温度に基づいてPWMの制御を行う構成が用いられてもよい。このような制御は、例えば、マイクロコンピュータなどの任意の制御部を用いて行われてもよい。
【0182】
また、それぞれのコンバータにおいて、温度センサによって温度を検出したい対象となる半導体素子と、電流検出用回路によって電流を検出したい対象となる半導体素子とは、例えば、同じ半導体素子であってもよく、あるいは、異なる半導体素子であってもよい。
【0183】
例えば、最大定格温度に最も近い部品の温度を制御に使用する構成ではなく、他の検出手法による制御が用いられてもよい。
一例として、トランスのように1次側と2次側を有する回路素子が用いられる構成において、温度センサによって温度を検出したい対象となる半導体素子が2次側の半導体素子であり、電流検出用回路によって電流を検出したい対象となる半導体素子が1次側の半導体素子である場合もあり得る。なお、この場合には、温度検出用回路は、絶縁される。
【0184】
他の例として、温度センサによって温度を検出したい対象となる半導体素子を1次側(または、2次側)の半導体素子とし、電流検出用回路によって電流を検出したい対象となる半導体素子も1次側(または、2次側)の半導体素子とする構成では、温度および電流の両方を同じ側(1次側、または、2次側)で検出することができるため、例えば、温度と電流とで検出箇所が反対側となる構成と比べて、回路構成および制御が簡易となり、絶縁が不要となる。
【0185】
[コンバータのスイッチ素子への駆動信号の制御の態様]
制御部が、複数のコンバータのそれぞれの最も高い温度の半導体素子の温度を近付けるように、それぞれのコンバータのスイッチ素子への駆動信号を制御する態様としては、任意の態様が用いられてもよい。
ここで、説明の便宜上、複数のコンバータのそれぞれの最も高い温度の半導体素子を、対象半導体素子と呼んで説明する。
【0186】
制御部は、2個以上のコンバータについて、それぞれのコンバータの対象半導体素子の温度が互いに近付き、これらの温度が釣り合うように、それぞれのコンバータの対象半導体素子に流れる電流を制御する。
例えば、2個のコンバータが存在する場合、制御部は、これら2個のコンバータを比べたときに、対象半導体素子の温度が高い方のコンバータの対象半導体素子の温度と、対象半導体素子の温度が低い方のコンバータの対象半導体素子の温度とが互いに近付き、これらの温度が釣り合うように、それぞれのコンバータの対象半導体素子に流れる電流を制御する。
【0187】
一例として、制御部は、対象半導体素子の温度が高い方のコンバータの対象半導体素子の温度に近付けるように、対象半導体素子の温度が低い方のコンバータの対象半導体素子に流れる電流が増えるように制御を行ってもよい。
ここで、負荷電流量を負荷装置側が決めており、電源側は負荷装置側が要求してきた電流を出力するだけであり、負荷電流が一定である構成(以下で、説明のため、構成Aと呼ぶ。)では、一方の電流を増やすと他方の電流が減る。この場合、当該制御によって、結果として、対象半導体素子の温度が高い方のコンバータの対象半導体素子に流れる電流が減少する。
【0188】
他の例として、制御部は、対象半導体素子の温度が低い方のコンバータの対象半導体素子の温度に近付けるように、対象半導体素子の温度が高い方のコンバータの対象半導体素子に流れる電流が減るように制御を行ってもよい。
ここで、上記した構成Aでは、当該制御によって、結果として、対象半導体素子の温度が低い方のコンバータの対象半導体素子に流れる電流が増加する。
【0189】
また、3個以上のコンバータが存在する場合についても、制御部は、これら3個以上のコンバータの対象半導体素子の温度が互いに近付き、これらの温度が釣り合うように、それぞれのコンバータの対象半導体素子に流れる電流を制御する。
3個以上のコンバータが存在する場合の制御の態様としては、一例として、あらかじめ設定されてもよい。この場合、例えば、コンバータの個数およびそれぞれのコンバータの対象半導体素子の温度に応じて、制御部によって実行される制御の態様が設定されていてもよい。当該制御の態様は、過去の実験の結果に基づいて定められてもよく、機械学習の結果に基づいて定められてもよく、あるいは、理論的な設計によって定められてもよい。
【0190】
また、3個以上のコンバータが存在する場合の制御の態様としては、他の例として、それぞれのコンバータの対象半導体素子に流れる電流を所定量ずつ変化させて、それぞれのコンバータの対象半導体素子の温度を取得する処理を繰り返して行うことで、すべてのコンバータの対象半導体素子の温度が互いに近付くように制御する態様が用いられてもよい。
例えば、制御部は、3個以上のコンバータのそれぞれの対象半導体素子の温度に基づいて基準温度を設定し、当該基準温度よりも対象半導体素子の温度が高いコンバータの対象半導体素子に流れる電流が減るように制御を行ってもよく、あるいは、当該基準温度よりも対象半導体素子の温度が低いコンバータの対象半導体素子に流れる電流が増えるように制御を行ってもよい。当該基準温度は、これら3個以上のコンバータの対象半導体素子の温度の平均値であってもよく、温度が高い方から所定の順位の温度であってもよく、あるいは、他の値であってもよい。温度が高い方から所定の順位の温度は、コンバータの総数が奇数であるときに中央値であってもよい。
【0191】
具体例として、実際の回路では、複数のコンバータとして同じ構成のコンバータが使用され、同じ半導体素子が使用される場合が多い。この場合、複数のコンバータにおける半導体素子の最大定格温度は同じになる。
このような場合には、複数のコンバータのそれぞれの半導体素子の最大定格温度は同じになるため、検出される温度が最も高い温度が、最大定格温度に最も近い部品の温度となる。そして、制御部は、複数のコンバータについて検出されたそれぞれのコンバータにおける最も高い温度のスイッチング素子の温度を近付ける制御を行う。
【0192】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0193】
1、1001、2001、3001…電源装置、11、1011、1012、2011、3011…コンバータ装置、31、32、51、1031、1032、1051、1052、1311、2031、2032、2051、3031、3032、3051、3052…コンデンサ、52、1071、2052、3071…CV制御部、71…電圧源、72…後段回路、111~112、211~212、1111~1112、1211~1212、1313、2111、2211、3111、3211…スイッチ部、131、231、1131、1231、1414、1424、2131、2231、3131、3231…コイル、151、251、1151、1251、2151、2251、3151、3251…温度センサ、152、252、1152、1252、2152、2252、3152、3252…電流検出用回路、171、271、1171、1271、1314、2171、2271、3171、3271…PWM部、191~194、291~294、1191~1194、1291~1294、1321~1322、2191~2192、2291~2292、3191、3192、3291、3292…スイッチ素子、401、501、601、701…動作電圧生成部、411、511、611、711、712…演算器、412、512、612、713…比較器、431、451、531、551、631、632、651、731、732、751、752、771…+入力端、432、452、532、533、552、652、772…-入力端、433、453、534、553、633、653、733、753、773…出力端、454、554、654、774…正電源端、455、555、655、775…負電源端、613、714…フリップフロップ、614、715…発振器、671、791…S入力端、672、792…R入力端、673、793…Q出力端、1312、2311、2411、3311、3411…トランスの1次巻線、1411、1421、2312、2412、3312、3412…トランスの2次巻線、1412、1413、1422、1423、2313、2314、2413、2414、3313、3314、3413、3414…ダイオード、R1~R5、R11~R15、R31~R35、R41~R45、R61~R67、R71~R77、R91~R97、R101~R107…電流検出可能位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12