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  • 特許-車両の制御装置、及び車両の制御方法 図1
  • 特許-車両の制御装置、及び車両の制御方法 図2
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  • 特許-車両の制御装置、及び車両の制御方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】車両の制御装置、及び車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20231219BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20231219BHJP
【FI】
G08G1/09 V
B60R25/24
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020206202
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2022093098
(43)【公開日】2022-06-23
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 和希
(72)【発明者】
【氏名】田中 信
(72)【発明者】
【氏名】中村 慧
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-097850(JP,A)
【文献】特開2018-169689(JP,A)
【文献】国際公開第2015/166721(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行制御を行う車両に備える制御装置であって、
前記自律走行制御が継続できないことを検知して車両の停止制御を行う第1処理と、
前記車両内に人がいるかどうか、及び前記車両内に荷物があるかどうかを判定する第2処理と、
前記第1処理により前記車両が停止した後、前記車両内に人が一人でもいる場合に前記車両のドアロックの開錠を行い、前記車両内に人が一人もおらず、かつ荷物がある場合に前記ドアロックの施錠を行う第3処理と、
を実行することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記第2処理において、
前記車両の運行目的が物を運ぶ物流目的である場合、前記車両内に荷物があるとみなす
ことを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行制御を行う車両に備える制御装置、及び車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行制御を行う車両においては、自律走行制御を実行中に自律走行制御が継続できなくなった場合、車両を安全に停止させることが必要となる。このような自律走行制御が継続できなくなった場合の車両の停止に関して、従来、様々な技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、自律走行制御を行う車両において、自律走行制御を実行中に自律走行制御が継続できなくなり車両を停止させた場合であっても、その後の車両の移動が困難となることを防止する車両の制御装置が開示されている。
【0004】
この制御装置は、自律走行制御が継続できないと判断した場合に、車両を安全な退避場所まで退避走行させた後に車両を停止させる。そして、その停止の際、パーキング装置を作動させない状態で制御を終了する。これにより、車両の停止後に車両移動が困難となることを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-200986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自律走行制御を行う車両の運行目的は、人を運ぶ人流目的である場合と、荷物を運ぶ物流目的である場合と、が考えられる。特に自動運転のレベルが上がると、車内のオペレータを必要としなくなることが想定されており(レベル4以上の自動運転)、車両の運行目的が物流目的である場合は、車両内に人がいないことが想定される。
【0007】
自律走行制御が継続できなくなった場合に車両を停止させた後、車両のドアロックが施錠されたままだと、車両内の人の脱出経路が阻害されてしまう。しかし一方で、車両のドアロックを開錠することにすれば、車両が物流目的であって車両内に人がいない場合、荷物が盗難に遭う虞がある。例えば、悪意をもって車両の制御装置が攻撃された場合に、車両が停止した後、容易に車載物品に到達できることとなってしまう。
【0008】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたもので、自律走行制御を行う車両において、自律走行制御が継続できずに車両を停止させた後、車両内の人又は荷物を適切に保護することが可能な車両の制御装置、及び車両の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る制御装置は、自律走行制御を行う車両に備えられる。この制御装置は、以下の処理を実行する。自律走行制御が継続できないことを検知して車両の停止制御を行う第1処理。車両内に人がいるかどうかを判定する第2処理。第1処理により車両が停止した後、車両内に人が一人でもいる場合に車両のドアロックの開錠を行う第3処理。
【0010】
この制御装置は、第3処理において、車両内に人が一人もいない場合、ドアロックの開錠を行っても良い。
【0011】
あるいは、第2処理において、さらに車両内に荷物があるかどうかを判定し、第3処理において、車両内に人が一人もおらず、かつ荷物がある場合、ドアロックの施錠を行っても良い。またこのとき、車両の運行目的が物流目的である場合、第2処理において、車両内に荷物があるとみなしても良い。
【0012】
本発明の一態様に係る制御方法は、自律走行制御を行う車両の制御に関する。この制御方法は、以下のステップで構成される。自律走行制御が継続できないことを検知して車両を停止させる第1ステップ。車両内に人がいるかどうかを判定する第2ステップ。第2ステップで車両内に人が一人でもいると判定する場合に車両のドアロックの開錠を行う第3ステップ。
【0013】
この制御方法は、第3ステップにおいて、第2ステップ車両内に人が一人もいないと判定する場合、ドアロックの施錠を行っても良い。
【0014】
あるいは、第2ステップにおいて、さらに車両内に荷物があるかどうかを判定し、第3ステップにおいて、第2ステップで車両内に人が一人もおらず、かつ荷物があると判定する場合、ドアロックの施錠を行っても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る車両の制御装置、及び車両の制御方法によれば、自律走行制御が継続できないことを検知して車両を停止させた後、車両内の人の状況に応じて車両のドアロックの開錠又は施錠を行うかどうかが判断される。これにより、車両停車後の車両内の人又は荷物を適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態に係る制御装置を備える車両の車両システムの構成を示すブロック図である。
図2】停止制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図3】本実施の形態の変形例1に係る停止制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
図4】本実施の形態の変形例2に係る停止制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.構成
本実施の形態に係る制御装置は、自律走行制御を行う車両に備えられる。この車両は、運行目的が人を運ぶ人流目的であっても、物を運ぶ物流目的であっても良い。人流目的である場合、例えば、複数人の乗客を乗せて自律走行で移動する車両等である。物流目的である場合、例えば、複数の荷物を載せて特定の地点まで自律走行して荷物を運ぶ車両等である。またこの車両には、人が乗り込むため、又は荷物を入れるためのドアが一又は複数設けられており、それぞれのドアはドアロックの機能を有する。ドアロックが開錠することでドアが開き、ドアロックが施錠するとドアが開かなくなる。
【0018】
なお本実施の形態に係る制御装置を備える車両は、人流目的としても物流目的としても利用される車両を含んでも良い。例えば、ある特定の時間帯では人流目的として利用され、別のある特定の時間帯では物流目的として利用される車両等である。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る制御装置100を備える車両の車両システム10の構成を示すブロック図である。車両システム10は、制御装置100と、センサ系200と、HMI装置210と、通信装置220と、アクチュエータ系300と、を含んでいる。制御装置100は、センサ系200、HMI装置210、通信装置220、及びアクチュエータ系300と電気的に又は無線で接続しており、互いに情報を伝達することができるように構成されている。
【0020】
センサ系200は、車両の運転環境に係る情報(運転環境情報)を検出し出力するセンサの系である。センサ系200は、走行状態検出センサ201と、周囲環境検出センサ202と、車内環境検出センサ203と、を含んでいる。
【0021】
走行状態検出センサ201は、車両の走行状態(車速、加速度、ヨーレート等)を検出し出力する。走行状態検出センサ201は、例えば、車輪速センサ、Gセンサ、ジャイロセンサ等である。
【0022】
周囲環境検出センサ202は、車両周囲の環境(車線、障害物、先行車等)の情報を検出し出力する。周囲環境検出センサ202は、例えば、ミリ波レーダー、カメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)等である。
【0023】
車内環境検出センサ203は、車両内の環境(車両内の人、荷物等)の情報を検出し出力する。車内環境検出センサ203は、例えば、車両内を撮像するカメラや、車両内の物標を検出するレーダー等である。車内環境検出センサ203が出力する情報には、少なくとも、後述する制御装置100が実行する処理において、車両内に人がいるかどうかを判定することが可能な情報が含まれる。例えば、制御装置100が画像解析により画像から車両内に人がいるかどうかを判定することが可能である場合は、車内環境検出センサ203は、車両内の環境を示す画像データを出力する。あるいは、車内環境検出センサ203が、車両内に人がいるかどうかについての情報を直接出力しても良い。
【0024】
なおセンサ系200は、その他の運転環境情報を検出するセンサを含んでいても良い。
【0025】
HMI装置210は、人が操作することで制御装置100に対して種々の情報(操作情報)を与え、また制御装置100から与えられる制御信号に基づいて制御装置100が実行する処理に係る情報(以下、「処理情報」とも称する。)を人に伝達する。HMI装置210は、例えば、スイッチ、インジケータ、スピーカー、タッチパネル、カーナビゲーション装置等、あるいはこれらの組み合わせ又は集合である。操作情報は、例えば、制御機能のオンオフ設定、制御機能の作動感度設定、ドアロックの開錠又は施錠、自律走行制御における目的地の設定等を与えるものである。処理情報は、例えば、制御機能の作動状態、制御機能に係る設定状態等を示すものである。
【0026】
HMI装置210は、車両に備えられていても良いし、車両外部の装置であっても良い。例えば、車両外部に位置するオペレータが有する端末であって、車両外部から制御装置100と互いに情報を伝達する装置であっても良い。この場合HMI装置210は、後述する通信装置220を介して制御装置100と互いに情報の伝達を行う。
【0027】
通信装置220は、車両外部の装置と通信を行うことで種々の情報(通信情報)の送受信を行う。通信装置220は、例えば、車車間通信や路車間通信を行うための装置、GPS(Global Positioning System)機能を提供する装置、通信ネットワークに接続しネットワーク上に構成するサーバーと通信情報の送受信を行う装置等である。通信装置220を介して制御装置100が取得する通信情報は、例えば、地図情報、道路交通情報、GPS機能による地図上の車両位置情報等である。通信装置220に係る通信はどのような形態によって行われても良い。例えば、電波の送受信により行われても良いし、ネットワークを介した情報の送受信であっても良い。
【0028】
制御装置100は、センサ系200、HMI装置210、及び通信装置220から取得する情報(運転環境情報、操作情報、及び通信情報)に基づいて、車両の制御に係る種々の処理を実行し、制御信号を生成する。そして、後述するアクチュエータ系300に対して制御信号を出力する。また制御装置100は、処理情報を与える制御信号をHMI装置210に出力する。
【0029】
制御装置100は、典型的には、メモリとプロセッサとを備える車両のECU(Electronic Control Unit)である。メモリは、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、プロセッサで実行可能なプログラムやプログラムに係る種々のデータを記憶するROM(Read Only Memory)と、を含んでいる。制御装置100が取得する情報は、メモリに記憶される。プロセッサは、メモリからプログラムを読み出し、メモリから読み出す種々のデータに基づいて、プログラムに従う処理を実行する。
【0030】
制御装置100は、少なくとも自律走行制御部110と、停止制御部120と、を含んでいる。自律走行制御部110は、車両の自律走行制御に係る処理を実行し、自律走行制御に係る制御信号を生成する。典型的には、目的地までの走行計画(目的地までの地図上の経路、到着時間等)を設定し、走行計画及び運転環境情報等に基づいて生成する走行経路に沿って車両が走行するように加速、制動、操舵に係る制御信号を生成する。
【0031】
停止制御部120は、自律走行制御部110が自律走行制御を継続できないことを検知(故障検知)した場合に、車両の停止制御に係る処理を実行し、停止制御に係る制御信号を生成する。特に、停止制御部120が生成する制御信号には、車両のドアロックの制御を行うものが含まれる。故障検知の方法、及び停止制御部120が実行する処理の詳細については後述する。
【0032】
自律走行制御部110と、停止制御部120と、はそれぞれがプログラムにおける処理の部分として実現されていても良いし、それぞれが別個のプロセッサにより実現されていても良い。あるいは、自律走行制御部110と、停止制御部120と、がそれぞれ別個のECUにより構成されていても良い。この場合、制御装置100は、複数のECUにより構成される。このとき、それぞれのECUは、処理の実行に際して必要な情報を取得することができる程度に、互いに情報を伝達することができるように構成される。
【0033】
なお制御装置100が実行する処理は、自律走行制御部110及び停止制御部120が実行する処理に限られず、制御装置100はその他の制御に係る処理を実行しても良い。例えば、HMI装置210から取得する操作情報に基づいて、車両のドアロックの開錠又は施錠を行う処理を実行しても良い。
【0034】
アクチュエータ系300は、制御装置100から与えられる制御信号に従って動作するアクチュエータの系である。アクチュエータ系300は、エンジン部301と、ブレーキ部302と、ステアリング部303と、ドアロック部304と、を含んでいる。ただし、その他のアクチュエータを含んでいても良い。
【0035】
エンジン部301は、車両に備えるエンジン(例えば、電気モータ、内燃機関、あるいはそれらのハイブリッドを含む。)を駆動するアクチュエータを示す。エンジン部301に対する制御信号が与えられることにより、加速に係る制御が実現される。ブレーキ部302は、車両に備えるブレーキを駆動するアクチュエータを示す。ブレーキ部302に対する制御信号が与えられることにより、制動に係る制御が実現される。ステアリング部303は、車両のステアリングを駆動するアクチュエータを示す。ステアリング部303に対する制御信号が与えられることにより、操舵に係る制御が実現される。ドアロック部304は、車両のドアロックを開錠又は施錠するアクチュエータを示す。ドアロック部304に対する制御信号が与えられることにより、車両のドアロックに係る制御が実現される。
【0036】
2.機能
2-1.故障検知
停止制御部120は、自律走行制御部110が自律走行制御を継続できないことを検知(故障検知)する。故障検知は、どのような形態により行われても良い。以下、故障検知の形態の例を説明する。
【0037】
故障検知の形態の1つの例は、自律走行制御部110から定常的に与えられる信号の途絶により故障検知を行う方法である。自律走行制御部110と、停止制御部120は、典型的には、所定の周期毎に互いに信号の伝達を行っている。従って、自律走行制御部110から停止制御部120に伝達される信号が一定時間途絶した場合、自律走行制御部110が正常に動作していないと判断することができる。
【0038】
故障検知の形態の別の例は、自律走行制御部110が自己診断機能を有する場合である。自律走行制御部110は、自己診断により自律走行制御を継続できないとする場合に、停止制御部120に対して故障を通知する。そして停止制御部120は、通知を取得することにより故障検知を行う。自律走行制御部110の自己診断は、例えば、ウォッチドッグタイマー、取得する運転環境情報の異常検知等である。
【0039】
故障検知の形態の別の例は、停止制御部120が、自律走行制御部110に対して正常に動作しているか否かを判断するための信号を送信し、その信号に対する自律走行制御部110の応答により故障検知を行う方法である。例えば、送信信号に対するACKを受信できるか否かにより行う、あるいは、送信信号に対する応答信号の誤り検出(チェックサム、CRC等)により行う方法である。
【0040】
故障検知の形態の別の例は、自律走行制御部110の制御状態により故障検知を行う方法である。この場合、停止制御部120は、自律走行制御部110の制御状態の情報を取得する。制御状態の情報は、例えば、自律走行制御に係る走行計画、走行経路、制御信号等である。停止制御部120は、自律走行制御部110の制御状態が異常であるとする場合に、故障検知を行う。例えば、自律走行制御に係る走行経路が、停止制御部120において算出する安全に走行が可能な範囲を逸脱する場合等である。
【0041】
2-2.停止制御部
停止制御部120は、故障検知した場合に、車両の停止制御に係る処理を実行し、停止制御に係る制御信号を生成する。図2は、停止制御部120が実行する処理を示すフローチャートである。図2に示す処理は、停止制御部120が故障検知した場合に実行される。
【0042】
ステップS100(第1処理)において、停止制御部120は、車両を停止させる停止制御を実行し、車両を停止させるための制御信号を生成する。ここで、車両の停止制御の方法は、特に限定されない。例えば、車両を路肩に寄せて停止させても良いし、単にブレーキをかけて車両を停止させても良い。車両の停止の後、処理はステップS110に進む。
【0043】
ステップS110(第2処理)において、停止制御部120は、取得する運転環境情報に基づいて、車両内に人がいるかどうかを判定する。例えば、運転環境情報として、車両内の環境を示す画像データを取得する場合、停止制御部120は、画像解析により車両内に人がいるかどうかを判定する。あるいは、運転環境情報として、車両内に人がいるかどうかについての情報を取得し、その情報に準じて判定しても良い。ステップS110の後、処理はステップS120に進む。
【0044】
ステップS120(第3処理)において、停止制御部120は、車両内の人の状況に応じて、ドアロックに係る制御信号を生成する。車両内に人が一人でもいる場合(ステップS121;Yes)、ドアロックを開錠する(ステップS122)。車両内に人が一人もいない場合(ステップS122;No)、ドアロックを施錠する(ステップS123)。ここで、ステップS122又はステップS123において、開錠又は施錠するドアロックは、車両に設けられる一又は複数のドア全てのドアロックである。
【0045】
ステップS120の後、処理は終了する。なお、処理の終了後において、車両のオペレータは、HMI装置210を介して車両のドアロックの開錠又は施錠を行うことができても良い。これにより、オペレータが、処理の実行後に、ドアロックの開錠又は施錠の判断を行うことが可能となる。
【0046】
3.効果
以上説明したように、本実施の形態に係る制御装置100は、自律走行制御を継続できないことを検知して車両を停止させた後、車両内に人が一人でもいる場合は車両のドアロックの開錠を行うことで脱出経路を確保し、人が一人もいない場合は車両のドアロックの施錠を行う。これにより、車両停車後の車内の人又は荷物を適切に保護することができる。
【0047】
4.変形例
本実施の形態に係る制御装置100は、以下のように変形した態様を採用しても良い。なお以下では、前述した内容において説明した事項については適宜省略する。
【0048】
4-1.変形例1
停止制御部120は、車両内に人が一人もいない場合は、車両の停止後、車両のオペレータにドアロックの開錠又は施錠の判断を委ねても良い。図3は、本実施の形態の変形例1に係る停止制御部120が実行する処理を示すフローチャートである。変形例1に係る停止制御部120は、車両内に人が一人もいない場合(ステップS121;No)、ドアロックの施錠は行わず車両のオペレータへの通知を行う(ステップS124)。通知は、例えば、車両が自律走行制御継続できずに停止したこと、及び車両のドアロックを開錠するか施錠するかの判断を委ねることを伝えるものである。
【0049】
車両のオペレータは、HMI装置210を介して通知を受け取り、車両のドアロックを開錠するか施錠するかの判断を行う。そして、HMI装置210を介して車両のドアロックの開錠又は施錠を行う。
【0050】
このように変形した態様を採用することで、車両内に人が一人でもいる場合は、すぐにでも脱出経路の確保を行う一方で、車両内に人が一人もいない場合は、状況に応じて車両のオペレータによる判断でドアロックの開錠又は施錠を行うことができる。
【0051】
4-2.変形例2
停止制御部120は、車両停車後、車両内に人が一人もおらず、かつ荷物がある場合に、ドアロックの施錠を行っても良い。図4は、本実施の形態の変形例2に係る停止制御部120が実行する処理を示すフローチャートである。変形例2に係る停止制御部120は、ステップS111(第2処理)において、取得する運転環境情報に基づいて、車両内に人がいるかどうか、及び車両内に荷物があるかどうかを判定する。この判定は、停止制御部120が、運転環境情報の解析を行うことにより行われても良いし、運転環境情報として車両内に人がいるかどうか、及び車両内に荷物があるかどうかについての情報が直接与えられていても良い。
【0052】
そして、停止制御部120は、車両内に人が一人もいない場合(ステップS121;No)、車両内に荷物があるかどうかの判定に応じて車両のドアロックの開錠又は施錠を行う(ステップS125)。車両内に荷物がある場合(ステップS125;Yes)、車両のドアロックを施錠する(ステップS123)。車両内に荷物がない場合(ステップS125;No)、オペレータに通知する(ステップS124)。
【0053】
このように変形した態様を採用することで、車両内に人が一人もおらず、かつ車両内に荷物がある場合にはドアロックが施錠され、荷物を適切に保護することができる。一方で、車両内に人が一人もおらず、かつ車両内に荷物がない場合には、ただちに保護する対象が存在せず、オペレータによる判断でドアロックの開錠又は施錠を行うことができる。
【0054】
ここで、ステップS111において、車両内に荷物があるかどうかの判定は、車両の運行目的に基づいて行われても良い。つまり、車両の運行目的が物流目的である場合は、荷物があるとみなしても良い。これにより、運行目的に応じた適切に判断することが可能となる。
【0055】
また、車両の運行目的が人流目的であるか物流目的であるかの判断を、車両のオペレータによる設定に基づいて行っても良い。この場合、車両のオペレータは、HMI装置210を介して車両の運行目的が人流目的であるか物流目的であるかの設定を行う。
【符号の説明】
【0056】
10 車両システム
100 制御装置
110 自律走行制御部
120 停止制御部
200 センサ系
210 HMI装置
220 通信装置
300 アクチュエータ系
図1
図2
図3
図4