(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20231219BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20231219BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20231219BHJP
F24H 9/16 20220101ALI20231219BHJP
F24H 15/174 20220101ALI20231219BHJP
F24H 15/223 20220101ALI20231219BHJP
F24H 15/262 20220101ALI20231219BHJP
F24H 15/31 20220101ALI20231219BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20231219BHJP
F24H 15/45 20220101ALI20231219BHJP
F24H 15/457 20220101ALI20231219BHJP
【FI】
F24H15/196 301D
F24H1/18 G
F24H4/02 F
F24H9/16 F
F24H15/174
F24H15/196 301M
F24H15/196 301X
F24H15/196 301Y
F24H15/196 301Z
F24H15/223
F24H15/262
F24H15/31
F24H15/395
F24H15/45 101
F24H15/457
(21)【出願番号】P 2020210108
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】風間 史郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 晃平
(72)【発明者】
【氏名】黒森 雄斗
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-031196(JP,A)
【文献】特開2008-045839(JP,A)
【文献】特開2011-149621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/196
F24H 1/18
F24H 4/02
F24H 9/16
F24H 15/174
F24H 15/223
F24H 15/262
F24H 15/31
F24H 15/395
F24H 15/45
F24H 15/457
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽への湯はりを行う給湯機と、
通信ネットワークを介して災害予報情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が前記災害予報情報を取得した場合に、前記給湯機に前記浴槽への湯はりを、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得していない場合に実施される湯はりの温度よりも高い温度で実施させる制御部と、
を備え、
前記給湯機は、貯湯タンクから供給される高温の水と水源から供給される低温の水とを混合する
風呂用混合弁と、前記給湯機の風呂用熱交換器と前記浴槽とを接続する風呂往き配管と、を備え、
前記
風呂用混合弁は、前記風呂往き配管を流れる水の温度が、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得した場合の前記浴槽への湯はりの温度に等しくなるように前記高温の水と前記低温の水との混合比を制御する
給湯システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得した場合に、前記給湯機に、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得していない場合に実施される湯はりの湯量よりも多い湯量で前記浴槽への湯はりを実施させる請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記浴槽の排水口を開閉する自動排水栓と、
前記浴槽に溜まった湯水の有無を検知する残湯検知手段と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得した場合に、前記残湯検知手段が前記浴槽に溜まった湯水を検知した場合には前記自動排水栓を開き、前記浴槽に溜まった湯水を排出した後に前記自動排水栓を閉じて、前記給湯機に前記浴槽への湯はりを実施させる請求項1または請求項2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記制御部には、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得した場合における前記自動排水栓による排水動作の実施の有無が予め設定されている請求項3に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記制御部と通信可能に接続され、ユーザが前記給湯システムの設定および運転状態を変更可能な操作端末をさらに備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記操作端末は、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得した場合における前記給湯機による前記浴槽への湯はりの実施を、音声と表示との少なくとも一方により前記ユーザに報知する請求項5に記載の給湯システム。
【請求項7】
前記操作端末は、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得した場合における前記給湯機による前記浴槽への湯はりの実施の前記音声による報知を禁止する手段を有する請求項6に記載の給湯システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得した場合に、前記給湯機による前記浴槽への湯はりの実施の許可を求める通知を前記操作端末に送信し、当該実施の許可を求める通知に対して前記操作端末から許可の通知を受信した場合に、前記給湯機に前記浴槽への湯はりを実施させる請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項9】
前記操作端末には、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得した場合に、前記災害予報情報と前記給湯機による前記浴槽への湯はりの実施に関する設定情報とを記憶する記憶部が設けられている請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の給湯システム。
【請求項10】
前記給湯機には、前記情報取得部が前記災害予報情報を取得した場合に、前記災害予報情報と前記給湯機による前記浴槽への湯はりの実施に関する設定情報とを記憶する記憶部が設けられている請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯対象に温水を供給する機能を備えた給湯システムにおいて、災害時に浴槽へ貯水するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、自動排水栓を備える浴槽と、浴槽への湯張り機能を有する風呂給湯装置と、風呂給湯装置を遠隔操作すると共にテレビ放送を視聴可能とするテレビ機能付きリモコンとを備え、テレビ機能付きリモコンは、放送局からの緊急警報放送を受信したときに風呂給湯装置を作動させて浴槽へ水張りさせる災害時自動水張りシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-45839号公報(段落0012、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の災害時自動水張りシステムにおいて、災害予告等の情報である緊急警報放送を受信して浴槽に湯はりした場合であっても、ユーザが直ちに浴槽の湯を使用するわけではないため、ユーザが湯を使用しようとした際には既に湯の温度が低下しており、ユーザの使い勝手が悪くなる可能性があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、災害予報情報を取得して浴槽に湯はりする場合に、浴槽に貯えた湯をより長期間高温で使用することが可能な給湯システムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る給湯システムは、浴槽への湯はりを行う給湯機と、通信ネットワークを介して災害予報情報を取得する情報取得部と、情報取得部が災害予報情報を取得した場合に、給湯機に浴槽への湯はりを、情報取得部が災害予報情報を取得していない場合に実施される湯はりの温度よりも高い温度で実施させる制御部と、を備え、給湯機は、貯湯タンクから供給される高温の水と水源から供給される低温の水とを混合する風呂用混合弁を備え、風呂用混合弁は、風呂往き配管を流れる水の温度が、情報取得部が災害予報情報を取得した場合の浴槽への湯はりの温度に等しくなるように高温の水と低温の水との混合比を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、災害予報情報を取得して浴槽に湯はりする場合に、浴槽に貯えた湯をより長期間高温で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1を示す給湯システムの全体構成図である。
【
図2】実施の形態1を示す給湯システムの給湯機の構成の一例を示す図である。
【
図3】実施の形態1を示す給湯システムの台所リモコンの正面図である。
【
図4】実施の形態1を示す給湯システムの災害時湯はりの制御手順のフローチャートである。
【
図5】実施の形態2を示す給湯システムの災害時湯はりの制御手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、実施の形態について説明する。各図において同一または相当する部分には同一の符号を付している。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態における給湯システム1の全体構成図である。
図1に示すように、給湯システム1は、給湯機10と、制御部71と、情報取得部72と、を備えている。本実施の形態では、給湯機10に設けられた制御装置70が、制御部71と、情報取得部72と、を有している。
【0011】
図2は、給湯機10の構成の一例を示す図である。給湯機10は、浴槽60への湯はりを行う。本実施の形態では、給湯機10は、貯湯式の給湯機である。
図2に示すように、給湯機10は、ヒートポンプユニット11と、タンクユニット20と、を有する。ヒートポンプユニット11とタンクユニット20とは、配管および図示しない電気配線によって互いに接続されている。ヒートポンプユニット11は、水を加熱する装置である。タンクユニット20は、内部に水を貯留する貯湯タンク21を有する装置である。本実施の形態におけるヒートポンプユニット11は、貯湯タンク21から導かれた低温の水を加熱するための加熱手段の一例である。
【0012】
ヒートポンプユニット11は、圧縮機12と、水冷媒熱交換器13と、膨張弁14と、空気熱交換器15と、を有する。圧縮機12、水冷媒熱交換器13、膨張弁14および空気熱交換器15は、冷媒配管16によってこの順に環状に接続されており、ヒートポンプサイクルを構成する。ヒートポンプユニット11は、このヒートポンプサイクルを利用して水を加熱する。
【0013】
水冷媒熱交換器13は、一次側を流れる冷媒と二次側を流れる水との間での熱交換を行う。水冷媒熱交換器13の一次側には、圧縮機12によって圧縮された高温の冷媒が冷媒配管16を介して導かれる。水冷媒熱交換器13の二次側には、貯湯タンク21から低温の水が導かれる。水冷媒熱交換器13の二次側に導かれた低温の水は、一次側を流れる高温の冷媒によって加熱される。ヒートポンプユニット11は、このようにしてタンクユニット20の貯湯タンク21から導かれた低温の水を加熱する。
【0014】
タンクユニット20は、貯湯タンク21と、減圧弁22と、風呂用熱交換器26と、風呂循環ポンプ27と、三方弁33と、四方弁34と、ポンプ35と、電磁弁36と、給湯用混合弁37と、風呂用混合弁38と、を有する。
【0015】
貯湯タンク21は、内部に湯水を貯留するための装置である。貯湯タンク21の下部には、水導入口21aおよび水導出口21bが設けられている。貯湯タンク21の中央部から下部までの間には、温水導入口21cが設けられている。貯湯タンク21の上部には、温水導入出口21dが設けられている。
【0016】
貯湯タンク21の水導入口21aには、第1給水配管23aの一端が接続されている。第1給水配管23aの他端は、減圧弁22に接続されている。減圧弁22は、配管を流れる水の圧力を調整するための装置である。また、減圧弁22には、第2給水配管23bの一端が接続されている。第2給水配管23bの他端は、給湯機10の外部の水源に接続されている。水源は、例えば水道である。よって、第2給水配管23bには、水源から低温の水が供給される。水源から第2給水配管23bへ供給された低温の水は、減圧弁22によって所定の圧力に調整される。減圧弁22によって調圧された低温の水は、第1給水配管23aを流れ、水導入口21aから貯湯タンク21内に流入する。このように、貯湯タンク21内の下部には、水源から第2給水配管23b、減圧弁22および第1給水配管23aを介して低温の水が供給される。
【0017】
貯湯タンク21内の上部には、ヒートポンプユニット11によって加熱された高温の水が、温水導入出口21dから流入する。すなわち、貯湯タンク21内には、温水導入出口21dから高温の水が流入するとともに、水導入口21aから低温の水が流入する。このようにして、貯湯タンク21内には上部と下部とで温度差が生じるように水が貯留される。例えば、貯湯タンク21内の上部には80℃の水が貯留され、貯湯タンク21内の下部には10℃の水が貯留される。
【0018】
貯湯タンク21の表面には、複数の温度センサが互いに異なる高さに取り付けられている。本実施の形態では、貯湯タンク21の表面には、第1貯湯温度センサ24および第2貯湯温度センサ25が取り付けられている。第1貯湯温度センサ24は、貯湯タンク21の上部の表面に取り付けられている。第2貯湯温度センサ25は、貯湯タンク21の下部の表面に取り付けられている。これらの複数の温度センサを用いて貯湯タンク21内の湯水の温度分布を検出することによって、貯湯タンク21内の残湯量を把握することができる。なお、温度センサの数は上記に限らず、3つ以上の温度センサが貯湯タンク21の表面に取り付けられていてもよい。
【0019】
風呂用熱交換器26は、風呂用熱交換器26の一次側を流れる高温の水によって、風呂用熱交換器26の二次側を流れる加熱対象水を加熱するための熱交換器である。本実施の形態では、風呂用熱交換器26の一次側には、貯湯タンク21またはヒートポンプユニット11から高温の水が供給される。風呂用熱交換器26の二次側には、加熱対象水として、浴槽60内の水が供給される。風呂用熱交換器26の二次側の流入口には、風呂戻り配管28の一端が接続されている。風呂戻り配管28の他端は、浴槽アダプタ61を介して浴槽60に接続されている。浴槽アダプタ61は、浴槽60の壁面に取り付けられている。風呂用熱交換器26の二次側の流出口には、風呂往き配管29の一端が接続されている。風呂往き配管29の他端は、浴槽アダプタ61を介して浴槽60に接続されている。
【0020】
風呂循環ポンプ27は、風呂戻り配管28に設けられている。風呂循環ポンプ27は、浴槽60内の水を、風呂戻り配管28、風呂用熱交換器26の二次側および風呂往き配管29へ循環させるためのポンプである。風呂循環ポンプ27が駆動することによって、浴槽60、浴槽アダプタ61、風呂戻り配管28、風呂用熱交換器26の二次側および風呂往き配管29に水が循環する。このようにして、浴槽60内の水が風呂用熱交換器26の二次側に供給される。
【0021】
風呂戻り配管28には、風呂循環ポンプ27と浴槽60との間に風呂戻り温度センサ30が設置されている。風呂戻り温度センサ30は、浴槽60から風呂戻り配管28へ流出した水の温度を検出する。風呂往き配管29には、風呂往き温度センサ31が設置されている。風呂往き温度センサ31は、風呂用熱交換器26を通って熱交換された後の水の温度を検出する。また、風呂往き配管29には、水流センサ53が設けられている。水流センサ53は、風呂往き配管29内の水の流れの有無を検知する。水流センサ53は、後述する残湯検知手段の一例である。
【0022】
三方弁33は、流路切替手段として機能し、流入口であるaポートおよびbポートと、流出口であるcポートと、を有する。三方弁33のaポートには、水導出口配管39の一端が接続されている。水導出口配管39の他端は、貯湯タンク21の水導出口21bに接続されている。水導出口配管39は、貯湯タンク21内の下部に貯められた低温の水を水導出口21bから三方弁33へ導く配管である。三方弁33のbポートには、水導出配管40の一端が接続されている。水導出配管40の他端は、風呂用熱交換器26の一次側の流出口に接続されている。水導出配管40は、風呂用熱交換器26の一次側から流出した水を三方弁33へ導く配管である。三方弁33のcポートには、ヒートポンプ往き配管41の一端が接続されている。ヒートポンプ往き配管41の他端は、ヒートポンプユニット11の水冷媒熱交換器13の二次側の流入口に接続されている。ヒートポンプ往き配管41は、タンクユニット20からヒートポンプユニット11へ水を導く配管である。
【0023】
このような構成により、三方弁33は、2つの流路形態の間で流路を切り替える。第1の流路形態は、貯湯タンク21の水導出口21bと水冷媒熱交換器13とが、水導出口配管39およびヒートポンプ往き配管41を介して連通する流路形態である。第2の流路形態は、風呂用熱交換器26と水冷媒熱交換器13とが、水導出配管40およびヒートポンプ往き配管41を介して連通する流路形態である。
【0024】
ポンプ35は、給湯機10が有する各種の配管に水を流すための装置である。本実施の形態では、ポンプ35は、ヒートポンプ往き配管41に設けられている。また、ヒートポンプ往き配管41においてポンプ35の下流側には、冷却循環温度センサ54が設けられている。冷却循環温度センサ54は、ヒートポンプ往き配管41を流れる水の温度を検知する。
【0025】
四方弁34は、流路切替手段として機能し、流入口であるaポートおよびbポートと、流出口であるcポートおよびdポートと、を有する。四方弁34のaポートには、ヒートポンプ戻り配管42の一端が接続されている。ヒートポンプ戻り配管42の他端は、水冷媒熱交換器13の二次側の流出口に接続されている。ヒートポンプ戻り配管42は、ヒートポンプユニット11からタンクユニット20へ水を導く配管である。ヒートポンプユニット11とタンクユニット20とは、ヒートポンプ往き配管41およびヒートポンプ戻り配管42によって互いに接続されている。四方弁34のbポートには、第1バイパス配管43の一端が接続されている。第1バイパス配管43の他端は、水冷媒熱交換器13とポンプ35との間で、ヒートポンプ往き配管41に接続されている。四方弁34のcポートには、第2バイパス配管44の一端が接続されている。第2バイパス配管44の他端は、貯湯タンク21の温水導入口21cに接続されている。四方弁34のdポートには、送湯配管45の一端が接続されている。送湯配管45の他端は、貯湯タンク21の温水導入出口21dに接続されている。送湯配管45は、ヒートポンプユニット11によって加熱された高温の水を、貯湯タンク21および風呂用熱交換器26の一次側へ送るための配管である。
【0026】
このような構成により、四方弁34は、4つの流路形態の間で流路を切り替える。第1の流路形態は、水冷媒熱交換器13と送湯配管45とが、ヒートポンプ戻り配管42を介して連通する流路形態である。第2の流路形態は、水冷媒熱交換器13と第2バイパス配管44とが、ヒートポンプ戻り配管42を介して連通する流路形態である。第3の流路形態は、第1バイパス配管43と第2バイパス配管44とが連通する流路形態である。第4の流路形態は、第1バイパス配管43と送湯配管45とが連通する流路形態である。
【0027】
送湯配管45の途中には、水導入配管46の一端が接続されている。送湯配管45と水導入配管46との接続部分は、第1接続部45aである。水導入配管46の他端は、風呂用熱交換器26の一次側の流入口に接続されている。水導入配管46は、風呂用熱交換器26の一次側に高温の水を流入させるための配管である。また、送湯配管45の第1接続部45aと温水導入出口21dに接続された送湯配管45の他端との間には、第1給湯配管47の一端が接続されている。送湯配管45と第1給湯配管47との接続部分は、第2接続部45bである。第1給湯配管47は、ヒートポンプユニット11によって加熱された高温の水または貯湯タンク21内に貯留された高温の水を給湯機10の外部へ供給するための配管である。
【0028】
給湯用混合弁37は、第1の流入口と、第2の流入口と、流出口と、を有する。風呂用混合弁38は、第1の流入口と、第2の流入口と、流出口と、を有する。第1給湯配管47の他端は、2つに分岐している。2つに分岐した第1給湯配管47の他端の一方は給湯用混合弁37の第1の流入口に接続され、他方は風呂用混合弁38の第1の流入口に接続されている。
【0029】
減圧弁22には、第3給水配管23cの一端が接続されている。よって、減圧弁22には、第1給水配管23aの他端、第2給水配管23bの一端および第3給水配管23cの一端が接続されている。第3給水配管23cの他端は、2つに分岐している。2つに分岐した第3給水配管23cの他端の一方は給湯用混合弁37の第2の流入口に接続され、他方は風呂用混合弁38の第2の流入口に接続されている。第3給水配管23cは、水源から給湯用混合弁37および風呂用混合弁38へ低温の水を供給するための配管である。本実施の形態において、減圧弁22、第1給水配管23a、第2給水配管23bおよび第3給水配管23cは、水源から給湯機10へ低温の水を供給するための給水管路を構成している。
【0030】
給湯用混合弁37の流出口には、第2給湯配管48の一端が接続されている。第2給湯配管48の他端は、給湯栓49を介して給湯機10の外部の蛇口50に接続されている。蛇口50は、ユーザによって使用される出湯端末の一例である。蛇口50は、例えばシャワーやカラン等に設けられる。給湯用混合弁37は、第1給湯配管47を介して貯湯タンク21から供給される高温の湯と第2給水配管23bおよび第3給水配管23cを介して水源から供給される低温の水とを適温に混合し、第2給湯配管48を介して適温の湯を蛇口50に供給する。
【0031】
風呂用混合弁38の流出口には、第3給湯配管51の一端が接続されている。第3給湯配管51の他端は、例えば風呂用熱交換器26と風呂往き温度センサ31との間の、風呂往き配管29に接続されている。
【0032】
電磁弁36は、当該電磁弁36が設けられた配管内の流路を開放または閉塞する装置である。本実施の形態において、電磁弁36は、タンクユニット20から浴槽60への水の供給を制御するため、第3給湯配管51に設けられている。電磁弁36は、第3給湯配管51内の流路を開放し、また閉塞する。
【0033】
第3給湯配管51には、電磁弁36と風呂用混合弁38との間で、流量センサ52が設けられている。流量センサ52は、第3給湯配管51内を流れる水の流量を検出する装置である。
【0034】
風呂用混合弁38は、第1給湯配管47を介して貯湯タンク21から供給される高温の湯と第2給水配管23bおよび第3給水配管23cを介して水源から供給される低温の水とを適温に混合し、第3給湯配管51および風呂往き配管29を介して適温の湯を浴槽60に供給する。浴槽60内の湯が適量となったところで電磁弁36により湯の供給を停止することで、浴槽60の湯はりを行うことができる。
【0035】
浴槽60内の底部には、不図示の排水管に接続される排水口が設けられている。浴槽60の排水口には、この排水口を開閉する自動排水栓62が設けられている。自動排水栓62が閉じているときには、浴槽60内に湯水を溜めることができる。自動排水栓62を開くことで、浴槽60内の湯水を排水口から外部へ排出することができる。自動排水栓62は、例えば電動モータ等の駆動手段により駆動されることで開閉する。
【0036】
また、給湯システム1には、浴槽60に溜まった湯水の有無を検知する残湯検知手段が設けられている。本実施の形態では、残湯検知手段として、上述した水流センサ53が設けられている。浴槽60内に湯水がある場合は、風呂循環ポンプ27を動作させることにより、風呂戻り配管28および風呂往き配管29を湯水が循環するので、水流センサ53により風呂往き配管29内の水の流れが検知される。これにより、浴槽60内に湯水があることが検知される。一方で、浴槽60内に湯水がない場合は、風呂循環ポンプ27を動作させても、風呂戻り配管28および風呂往き配管29を湯水が循環しないので、水流センサ53は風呂往き配管29内の水の流れを検知しない。これにより、浴槽60内に湯水がないことが検知される。
【0037】
制御装置70は、給湯機10の各機器および各センサと電気的に接続されており、給湯機10の各機器を制御する。すなわち、制御装置70は、圧縮機12、膨張弁14、風呂循環ポンプ27、三方弁33、四方弁34、ポンプ35、電磁弁36、給湯用混合弁37および風呂用混合弁38と電気的に接続されている。また、制御装置70は、第1貯湯温度センサ24、第2貯湯温度センサ25、風呂戻り温度センサ30、風呂往き温度センサ31、流量センサ52、水流センサ53および冷却循環温度センサ54と電気的に接続されている。さらに、制御装置70は、自動排水栓62と電気的に接続されており、自動排水栓62の動作を制御する。制御装置70は、例えば、電動モータからの信号に基づいて、自動排水栓62が閉じているか開いているかを検知する。
【0038】
制御装置70は、例えば、演算処理装置と記憶回路とを有するマイクロコンピュータ等により構成される。本実施の形態では、制御装置70は、タンクユニット20に設けられている。また、制御装置70は、制御部71と、情報取得部72と、記憶部73と、を有している。記憶部73には、給湯システム1を制御するための各種の設定値およびプログラム等が予め記憶されている。制御部71は、記憶部73に記憶された設定およびプログラム等に基づいて、給湯システム1を構成する各種の機器を制御する。情報取得部72は、後述する災害予報情報を取得する。
【0039】
制御装置70には、運転動作指令および設定値の変更に関するユーザの操作を受け付けるリモコンが接続されている。本実施の形態では、一例として、住宅の台所に配置される台所リモコン81と、浴室に配置される浴室リモコン82との2つのリモコンが設けられている。台所リモコン81および浴室リモコン82は、ユーザが給湯システム1の設定および運転状態を変更可能な操作端末の一例である。台所リモコン81および浴室リモコン82の各々は、制御装置70と双方向に通信可能に接続されている。
【0040】
台所リモコン81と浴室リモコン82とは同様の構成を有しており、その構成の一例を
図3に示す。
図3は、台所リモコン81の正面図である。台所リモコン81は、表示部81aと、音声出力部81bと、操作部81c、とを有している。表示部81aは、給湯システム1に関する情報等を表示する。例えば、表示部81aは、給湯機10の動作状態や各種設定(給湯温度、湯はりの温度、湯はりの湯量等)を表示する。表示部81aは、例えば液晶表示パネルまたは有機EL表示パネルによって形成されている。給湯システム1に関する情報を表示部81aに表示することにより、ユーザに対してその情報を報知することができる。音声出力部81bは、例えばスピーカによって構成されており、給湯システム1に関する情報等を音声で出力する。これにより、ユーザに対してその情報を報知することができる。操作部81cは、ユーザの操作を受け付けるボタン等を有している。
【0041】
また、制御装置70には、インタフェースユニット83が接続されている。インタフェースユニット83は、有線または無線によって通信制御装置84と接続されている。
図1の例では、インタフェースユニット83と通信制御装置84とは無線によって互い接続されている。これにより、制御装置70は、インタフェースユニット83を介して、通信制御装置84と双方向に通信可能に接続されている。通信制御装置84は、インターネットINに接続されている。通信制御装置84は、例えば、LAN等の宅内ネットワークとインターネットINとを接続するブロードバンドルータにより構成されている。宅内ネットワークおよびインターネットINは、通信ネットワークの一例である。
【0042】
通信制御装置84には、無線によりタブレット端末85が接続されていてもよい。また、通信制御装置84には、インターネットINを介してスマートフォン等の携帯端末86が接続されていてもよい。タブレット端末85および携帯端末86は、操作端末の一例である。タブレット端末85は、宅内ネットワークにより通信制御装置84に接続され、通信制御装置84を介して制御装置70と双方向に通信可能に接続される。携帯端末86は、インターネットINを介して通信制御装置84に接続され、通信制御装置84を介して制御装置70と双方向に通信可能に接続される。タブレット端末85および携帯端末86は、専用のアプリケーションを用いることで、台所リモコン81および浴室リモコン82と同様に操作端末として機能させることができる。
【0043】
給湯機10は、インターネットIN上の外部サーバ87に個体識別登録されている。ユーザは、識別情報(氏名、住所、郵便番号、機器の型名、製造番号、MACアドレス、ID等)を、タブレット端末85や携帯端末86に備えられている専用のアプリケーションに手入力することにより、インターネットINを介して当該識別情報を外部サーバ87に送信する。これにより、給湯機10の個体識別登録が完了する。これ以降、外部サーバ87、タブレット端末85および携帯端末86の各々と給湯システム1との間で個別の操作指令や情報提供等の通信サービスが開始される。
【0044】
次に、給湯システム1の動作について説明する。制御部71は、各センサからの出力および台所リモコン81等による設定等に基づいて各機器を駆動することにより、給湯機10を制御し、沸き上げ運転や給湯運転、湯はり運転等を実施する。沸き上げ運転とは、ヒートポンプユニット11で加熱した高温の湯を貯湯タンク21内に蓄積する運転である。沸き上げ運転では、ヒートポンプユニット11と、ポンプ35と、が運転される。貯湯タンク21の下部から水導出口21bを通って導出された水は、水導出口配管39およびヒートポンプ往き配管41を通ってヒートポンプユニット11に送られて沸き上げられる。ヒートポンプユニット11で沸き上げられた高温の湯は、ヒートポンプ戻り配管42および送湯配管45を通って温水導入出口21dから貯湯タンク21の上部に戻される。
【0045】
給湯運転とは、貯湯タンク21内に貯留された湯を使用して、ユーザにより設定された目標給湯温度の湯を蛇口50等の出湯端末へ供給する運転である。目標給湯温度は、台所リモコン81、浴室リモコン82、タブレット端末85または携帯端末86により設定される。目標給湯温度の設定内容は、ユーザが操作した台所リモコン81等から操作指令として制御装置70に送信され、記憶部73に記憶される。給湯運転では、貯湯タンク21内の上部に貯留された高温の水が、温水導入出口21dから取り出され、第1給湯配管47を介して給湯用混合弁37へ供給される。また、水源から低温の水が、第2給水配管23bから減圧弁22を通り、第3給水配管23cを介して給湯用混合弁37へ供給される。給湯用混合弁37では、給湯用混合弁37に供給された高温の水と低温の水とが混合され、目標給湯温度に調整される。給湯用混合弁37で混合された水は、第2給湯配管48および給湯栓49を介して蛇口50へ供給される。このとき、制御部71は、例えば温度センサ等により実際の給湯温度を検知しつつ、給湯用混合弁37を駆動することにより、給湯温度をフィードバック制御する。
【0046】
湯はり運転とは、貯湯タンク21内に貯留された湯を使用して、浴槽60への湯はりを行う運転である。湯はり運転では、電磁弁36が開かれ、風呂往き温度センサ31で検知される温度が、ユーザが台所リモコン81等で設定した湯はりの温度である目標湯はり温度に等しくなるように、第1給湯配管47から供給される高温の湯と、第3給水配管23cから供給される低温の水との混合比が風呂用混合弁38により制御される。風呂用混合弁38により温度調節された湯は、第3給湯配管51、風呂往き配管29および風呂戻り配管28を通って、浴槽60に供給される。そして、制御部71は、流量センサ52により検知される情報に基づいて、浴槽60内に溜まった湯量が、ユーザが台所リモコン81等で設定した湯はりの湯量である目標湯はり量に達したか否かを判定し、目標湯はり量に達したと判定した場合には、電磁弁36を閉じて湯はり運転を終了する。
【0047】
給湯システム1は、停電や断水等に備えて予め湯はりを行う機能を有している。具体的には、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合に、制御部71は給湯機10に浴槽60への湯はりを実施させる。ここで、災害予報情報とは、停電または断水が発生する可能性のある災害等の予報の情報であり、台風や大雨、洪水等の災害の警報の情報や、停電や断水の予告の情報を含む。この断水等に備えた湯はり(以下、「災害時湯はり」と適宜称する。)に関する制御について、
図4を参照して説明する。
図4は、給湯システム1の災害時湯はりの制御手順のフローチャートである。
【0048】
給湯システム1において、電源が投入されると制御が開始される。まず、情報取得部72は、災害予報情報を取得したか否かを判定する(ステップST1)。登録されたユーザの住所を含む地域に災害予報情報が出されると、外部サーバ87からインターネットINを介して制御装置70に災害予報情報が送信される。これにより、情報取得部72が災害予報情報を取得する。情報取得部72が災害予報情報を取得した場合(ステップST1、YES)には、ステップST2に進む。情報取得部72が災害予報情報を取得しない場合(ステップST1、NO)には、このステップST1を繰り返す。
【0049】
ステップST2からステップST5では、浴槽60の残り湯の排水の実施について判定する。まず、ステップST2では、制御部71は、残湯検知手段が浴槽60に溜まった湯水を検知したか否かを判定する。本実施の形態では、上述のとおり、残湯検知手段として水流センサ53を用いている。残湯検知手段が浴槽60に溜まった湯水を検知した場合(ステップST2、YES)には、ステップST3に進む。残湯検知手段が浴槽60に溜まった湯水を検知しない場合(ステップST2、NO)には、ステップST5に進む。
【0050】
ステップST3では、制御部71は、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合における自動排水栓62による排水動作が許可されているか否かを判定する。ユーザは、台所リモコン81等によりこの排水動作を許可するか禁止するかを予め設定することができる。自動排水栓62による排水動作が許可されている場合(ステップST3、YES)には、ステップST4に進む。自動排水栓62による排水動作が許可されていない、すなわち禁止されている場合(ステップST3、NO)には、ステップST5に進む。
【0051】
ステップST4では、制御部71は、自動排水栓62を開状態とする。予め設定された排水時間を経過した後、ステップST5に進む。ステップST5では、制御部71は、自動排水栓62を閉状態とする。
【0052】
続いて、ステップST6において、制御部71は、災害時湯はりにおいて実施する湯はりの温度および湯量を設定する。災害時湯はりの温度および湯量の設定は、予め記憶部73に記憶されている。また、災害時湯はりの温度および湯量は、ユーザが台所リモコン81等の操作端末により予め設定できるようにしてもよい。災害時湯はりの温度および湯量は、通常の湯はり、すなわち情報取得部72が災害予報情報を取得していない場合に実施される湯はりの温度および湯量と異なって設定されている。具体的には、災害時湯はりの温度は、通常の湯はりの温度よりも高い温度に設定されている。例えば、通常の湯はりでは41℃に設定されているところ、災害時湯はりでは45℃に設定される。また、災害時湯はりの湯量は、通常の湯はりの湯量よりも多い湯量に設定される。例えば、災害時湯はりの湯量は、浴槽60の最大容積に設定される。
【0053】
続いて、ステップST7からステップST9において、災害時湯はりの実施についてユーザへの報知を行う。まず、ステップST7では、制御部71は、操作端末である台所リモコン81、浴室リモコン82、タブレット端末85および携帯端末86に災害時湯はりの実施を音声により報知することが許可されているか否かを判定する。ユーザは、台所リモコン81等により、災害時湯はりの実施の音声による報知を許可するか禁止するかを予め設定することができる。災害時湯はりの実施の音声による報知が許可されている場合(ステップST7、YES)には、ステップST8に進む。災害時湯はりの実施の音声による報知が許可されていない、すなわち禁止されている場合(ステップST7、NO)には、ステップST9に進む。
【0054】
ステップST8では、制御部71は、操作端末である台所リモコン81、浴室リモコン82、タブレット端末85および携帯端末86の各々に、災害時湯はりを実施する旨を各表示部に表示させるとともに各音声出力部から音声で出力させ、ユーザに報知する。ステップST9では、制御部71は、操作端末である台所リモコン81、浴室リモコン82、タブレット端末85および携帯端末86の各々に、災害時湯はりを実施する旨を各表示部に表示させて、ユーザに報知する。ステップST8またはステップST9を実施した後、ステップST10に進む。
【0055】
ステップST10では、制御部71は、災害予報情報と災害時湯はりの実施に関する各種の設定情報とを記憶部73に記憶させる。そして、ステップST11に進み、制御部71は、給湯機10に浴槽60への湯はりを開始させる。
【0056】
続いて、ステップST12において、制御部71は、災害時湯はりが完了したか否かを判定する。例えば、制御部71は、流量センサ52により検知された流量に基づいて、浴槽60に災害時湯はりの湯量を供給したか否かを判定し、湯はりが完了したか否かを判定する。災害時湯はりが完了したと判定された場合(ステップST12、YES)には、ステップST13に進む。災害時湯はりが完了したと判定されない場合(ステップST12、NO)には、ステップST12を繰り返す。ステップST13では、制御部71は、給湯機10に浴槽60への湯はりを停止させる。
【0057】
以上に説明したように、本実施の形態に係る給湯システム1は、浴槽60への湯はりを行う給湯機10と、通信ネットワークを介して災害予報情報を取得する情報取得部72を有し、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合に、給湯機10に浴槽60への湯はりを、情報取得部72が災害予報情報を取得していない場合に実施される湯はりの温度よりも高い温度で実施させる制御部71と、を備えるものである。
【0058】
このような構成により、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合に実施される湯はりの温度は、情報取得部72が災害予報情報を取得していない場合、すなわち通常実施される湯はりの温度よりも高い。このため、浴槽60に貯えた湯が冷めるまでの時間が通常の湯はりに比べて長くなるので、浴槽60に貯えた湯をより長期間高温で使用することができる。
【0059】
また、制御部71は、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合に、給湯機10に、情報取得部が災害予報情報を取得していない場合に実施される湯はりの湯量よりも多い湯量で浴槽60への湯はりを実施させる。このような構成により、通常の湯はりの湯量よりも多くの湯量を浴槽60に貯えることができ、断水等したときにより多くの量の湯水を利用できる。
【0060】
給湯システム1は、浴槽60の排水口を開閉する自動排水栓62と、浴槽60に溜まった湯水の有無を検知する残湯検知手段と、をさらに備え、制御部71は、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合に、残湯検知手段が浴槽60に溜まった湯水を検知した場合には自動排水栓62を開き、浴槽60に溜まった湯水を排出した後に自動排水栓62を閉じて、給湯機10に浴槽60への湯はりを実施させる。このような構成により、浴槽60の残り湯を排水し忘れていたとしても、残湯検知手段が浴槽60に溜まった湯水を検知した場合には自動排水栓62を開き、浴槽60に溜まった湯水を排出した後に自動排水栓62を閉じてから、浴槽60への湯はりを実施するので、新しく汚れていない湯水を浴槽60に貯えることができる。断水等したときには、この汚れていない湯水を飲料水や調理用水として利用することができ、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0061】
制御部71には、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合における自動排水栓62による排水動作の実施の有無が予め設定されている。このような構成により、自動排水栓62による排水動作の実施するように設定した場合には、上述のように新しく汚れていない湯水を浴槽60に貯えることができる。また、例えば浴槽60に貯えた湯水を飲料水や調理用水として利用しない場合等で、自動排水栓62による排水動作の実施しないように設定した場合には、自動排水栓62による排水時間がなくなるため、浴槽60への湯はりが完了するまでの時間を短くすることができる。
【0062】
給湯システム1は、制御部71と通信可能に接続され、ユーザが給湯システム1の設定および運転状態を変更可能な操作端末をさらに備える。本実施の形態では、操作端末として、台所リモコン81、浴室リモコン82、タブレット端末85および携帯端末86が設けられている。このような構成により、ユーザの好み等に応じて湯はりの温度や湯量等の設定を変更できるので、利便性を向上させることができる。
【0063】
操作端末は、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合における給湯機10による浴槽60への湯はりの実施を、音声と表示との少なくとも一方によりユーザに報知する。このような構成により、ユーザは、災害予報情報を取得したことにより湯はりが実施されていることを知ることができる。また、これにより、給湯システム1が誤動作しているとユーザが勘違いすることを防止できる。さらに、音声によりユーザに報知することで、ユーザが操作端末の表示部の画面を見なくても、湯はりが実施されることをユーザが認識できる。加えて、制御部71に接続されている全ての操作端末で報知を行うことにより、より確実にユーザに湯はりの実施を知らせることができる。
【0064】
操作端末は、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合における給湯機10による浴槽60への湯はりの実施の音声による報知を禁止する手段を有する。このような構成により、災害予報情報を取得したことにより湯はりが実施されていることを突然音声により報知されるユーザの煩わしさをなくすことができる。ただし、この場合でも表示による報知は実施されるため、ユーザは湯はりが実施されていること知ることができる。
【0065】
給湯機10には、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合に、災害予報情報と給湯機10による浴槽60への湯はりの実施に関する設定情報とを記憶する記憶部73が設けられている。本実施の形態では、記憶部73が設けられた制御装置70は給湯機10に設けられている。このような構成により、災害予報情報を取得したことにより湯はりが実施されている最中に停電が発生した場合でも、復帰時に外部との通信をせずに、速やかに装置の再設定を行うことができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、制御装置70に設けられた記憶部73に災害予報情報と給湯機10による浴槽60への湯はりの実施に関する設定情報とが記憶されていたが、これに限らない。例えば、
図3に示すように、操作端末である台所リモコン81に記憶部81dが設けられ、この記憶部81dに災害予報情報と給湯機10による浴槽60への湯はりの実施に関する設定情報とが記憶されてもよい。このような構成により、例えば災害により給湯機10が被害を受けて制御装置70が故障した場合でも、復旧後に操作端末の記憶部に記憶されている情報を用いて給湯システム1の再設定を行うことができる。
【0067】
また、制御装置70は、制御部71と、情報取得部72と、記憶部73とを有していたが、これに限らない。例えば、操作端末である台所リモコン81が、制御部71と、情報取得部72と、記憶部73との機能を有していてもよいし、制御装置70と台所リモコン81とが共同で、制御部71と、情報取得部72と、記憶部73との機能を有していてもよい。
【0068】
制御装置70は、インタフェースユニット83を介して通信制御装置84と接続されていたが、これに限らない。例えば、操作端末である台所リモコン81に通信アダプタを設けて、台所リモコン81と通信制御装置84とを双方向に通信可能に接続することにより、制御装置70が、台所リモコン81を介して通信制御装置84と接続されるようにしてもよい。
【0069】
宅内で使用されるタブレット端末85は、通信制御装置84およびインタフェースユニット83を介して制御装置70に接続されていたが、これに限らない。例えば、インタフェースユニット83が宅内ネットワークを介して直接宅内のタブレット端末85と通信可能に接続されるように構成されていてもよい。
【0070】
残湯検知手段として水流センサ53を用いているが、これに限らない。例えば、残湯検知手段として、浴槽60に溜まった湯水の水位を検知する水位センサを用いてもよい。
【0071】
給湯システム1は、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合に湯はりを実施するが、ユーザが操作端末を操作することで選択的に水張りを実施できるようにしてもよい。これにより、不要な湯の利用を節約することができる。
【0072】
実施の形態2.
次に、実施の形態2について、
図5を参照して説明する。
図5は、本実施の形態における給湯システム101の災害時湯はりの制御手順のフローチャートである。なお、本実施の形態のうち、実施の形態1と同様の部分の説明は省略する。
【0073】
給湯システム101は、
図1に示す実施の形態1における給湯システム1と同様の構成を有しているが、給湯システム1とは制御手順が異なっている。
図5に示すように、給湯システム101の制御手順は、
図4に示す給湯システム1の制御手順に対して、ステップST1とステップST2との間に制御ステップを追加したものである。
【0074】
ステップST1の後、制御部71は、災害時湯はりの実施の許可を求める通知を操作端末である台所リモコン81、浴室リモコン82、タブレット端末85および携帯端末86に送信する(ステップST21)。続いて、ステップST22において、制御部71は、ユーザにより災害時湯はりの実施が許可されたか否かを判定する。具体的には、制御部71は、災害時湯はりの実施の許可を求める通知に対して、台所リモコン81等の操作端末から許可の通知を受信したか否かを判定する。許可の通知を受信した場合(ステップST22、YES)には、ステップST2に進み、以降は実施の形態1における制御手順と同様である。許可の通知を受信しなかった、すなわち不許可の通知を受信した場合(ステップST22、NO)には、災害時湯はりを実施せずに、本フローを終了する。
【0075】
なお、ステップST21では、制御部71は、制御部71に接続されている全ての操作端末に向けて災害時湯はりの実施の許可を求める通知を送信する。また、ステップST22では、制御部71が、制御部71に接続されている操作端末のうち1つから許可の通知を受信した場合に、ステップST2に進む。
【0076】
本実施の形態における給湯システム101では、制御部71は、情報取得部72が災害予報情報を取得した場合に、給湯機10による浴槽60への湯はりの実施の許可を求める通知を操作端末に送信し、当該実施の許可を求める通知に対して操作端末から許可の通知を受信した場合に、給湯機10に浴槽60への湯はりを実施させる。このような構成により、災害時湯はりを実施する前にユーザは災害時湯はりの実施の可否を確認できるので、ユーザの状況に応じて災害時湯はりを実施させることができ、使い勝手を向上させることができる。
【0077】
なお、各実施の形態を、適宜、組み合わせたり、変形や省略したりすることも、実施の形態で示された技術的思想の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1、101 給湯システム、10 給湯機、11 ヒートポンプユニット、12 圧縮機、13 水冷媒熱交換器、14 膨張弁、15 空気熱交換器、16 冷媒配管、20 タンクユニット、21 貯湯タンク、21a 水導入口、21b 水導出口、21c 温水導入口、21d 温水導入出口、22 減圧弁、23a 第1給水配管、23b 第2給水配管、23c 第3給水配管、24 第1貯湯温度センサ、25 第2貯湯温度センサ、26 風呂用熱交換器、27 風呂循環ポンプ、28 風呂戻り配管、29 風呂往き配管、30 風呂戻り温度センサ、31 風呂往き温度センサ、33 三方弁、34 四方弁、35 ポンプ、36 電磁弁、37 給湯用混合弁、38 風呂用混合弁、39 水導出口配管、40 水導出配管、41 ヒートポンプ往き配管、42 ヒートポンプ戻り配管、43 第1バイパス配管、44 第2バイパス配管、45 送湯配管、45a 第1接続部、45b 第2接続部、46 水導入配管、47 第1給湯配管、48 第2給湯配管、49 給湯栓、50 蛇口、51 第3給湯配管、52 流量センサ、53 水流センサ、54 冷却循環温度センサ、60 浴槽、61 浴槽アダプタ、62 自動排水栓、70 制御装置、71 制御部、72 情報取得部、73 記憶部、81 台所リモコン、81a 表示部、81b 音声出力部、81c 操作部、81d 記憶部、82 浴室リモコン、83 インタフェースユニット、84 通信制御装置、85 タブレット端末、86 携帯端末、87 外部サーバ、IN インターネット。