(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/173 20060101AFI20231219BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20231219BHJP
H02K 3/34 20060101ALI20231219BHJP
H02K 5/04 20060101ALI20231219BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02K5/173 A
H02K11/30
H02K3/34 Z
H02K5/04
H02K5/22
(21)【出願番号】P 2020553370
(86)(22)【出願日】2019-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2019041231
(87)【国際公開番号】W WO2020080548
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2018197313
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018197314
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】則兼 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】三分一 浩司
(72)【発明者】
【氏名】右田 貴之
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-219933(JP,A)
【文献】特開2016-073118(JP,A)
【文献】国際公開第2018/062006(WO,A1)
【文献】特開2016-019420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/173
H02K 11/30
H02K 3/34
H02K 5/04
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って配置されるシャフトを有するロータと、
前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、
前記ロータおよび前記ステータを収容し、軸方向一方側に開口する開口部を有するハウジングと、
前記ステータの軸方向一方側に配置され、前記開口部を塞ぐ樹脂製のバスバーホルダと、
前記バスバーホルダの軸方向一方側に配置されるベアリングホルダと、
前記ベアリングホルダに保持されるベアリングと、
前記ベアリングホルダの軸方向一方側に位置し、前記ベアリングホルダを覆う蓋部と、を備え、
前記ハウジングは、
軸方向に延びる筒状のハウジング本体と、
前記ハウジング本体の軸方向一方側の端部から軸方向他方側へと凹む第1ハウジング凹部と、
前記第1ハウジング凹部の底面から軸方向一方側に伸びるハウジング突起部と、
前記開口部の内部に形成され、前記ハウジング突起部よりも軸方向一方側に位置する段差部と、
前記開口部から軸方向一方側に延びるハウジング延伸部と、を有し、
前記ベアリングホルダは、径方向外側の端部から径方向外側へと伸びる少なくとも1つの軸受突起部を有し、
前記軸受突起部の少なくとも一部は、前記第1ハウジング凹部内に配置され、かつ、前記ハウジング突起部と前記第1ハウジング凹部を構成する内側面とのカシメによって固定され、
前記蓋部は、前記段差部と軸方向に接触し、
前記ハウジング延伸部は、前記蓋部に対してカシメられ、
前記蓋部と前記ハウジング突起部との間には、軸方向に間隙が構成され、
前記ハウジング突起部と、前記第1ハウジング凹部を構成する内側面との間には周方向に間隙が構成される、モータ。
【請求項2】
前記ハウジング突起部は、
周方向一方側に伸び、前記第1ハウジング凹部を構成する内側面のうち周方向一方側の側面と対向する第1ハウジング突起部と、
周方向他方側に伸び、前記第1ハウジング凹部を構成する内側面のうち周方向他方側の側面と対向する第2ハウジング突起部と、を有し、
前記軸受突起部は、
前記ベアリングホルダの径方向外側の端部から径方向外側に向かって伸びる第1軸受突起部と、
前記ベアリングホルダの径方向外側の端部から径方向外側に向かって伸び、前記第1軸受突起部の周方向他方側に位置する第2軸受突起部と、を有し、
前記第1軸受突起部は、前記第1ハウジング突起部と前記内側面のうちの周方向一方側の側面との間に配置され、
前記第2軸受突起部は、前記第2ハウジング突起部と前記内側面のうちの周方向他方側の側面との間に配置される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第1ハウジング突起部の軸方向他方側の部位は、前記第2ハウジング突起部の他方側の部位と繋がっており、
前記第1ハウジング突起部が前記底面と繋がる部位には、周方向他方側へ凹む第1切れ込みが形成され、
前記第2ハウジング突起部が前記底面と繋がる部位には、周方向一方側へ凹む第2切れ込みが形成され、
前記第1軸受突起部の少なくとも一部は、前記第1切れ込みの内部に位置する、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記底面が周方向一方側の前記内側面と接続される部位には、軸方向他方側に向かって凹む第1底面凹部が形成され、
前記底面が周方向他方側の前記内側面と接続される部位には、軸方向他方側に向かって凹む第2底面凹部が形成され、
前記第1底面凹部と前記第1切れ込みとの間には、軸方向一方側に向かって突出する第1底面凸部が形成され、
前記第2底面凹部と前記第1切れ込みとの間には、軸方向一方側に向かって突出する第2底面凸部が形成され、
前記第1軸受突起部は、前記第1底面凸部と軸方向に接触し、
前記第2軸受突起部は、前記第2底面凸部と軸方向に接触する、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記ベアリングホルダは、
軸方向に伸びる筒状であり、内部に前記ベアリングを保持する軸受保持部と
前記軸受保持部の外側面から径方向外側に拡がる軸受フランジ部と、を有し、
前記軸受保持部の少なくとも一部は、前記バスバーホルダの中央孔の内部に位置する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記蓋部と、前記ベアリングホルダの軸方向間には、前記モータと電気的に接続される回路基板が配置される
、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記ステータの少なくとも一部および前記バスバーホルダの少なくとも一部は、ステータ樹脂部によって覆われている
、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記ステータ、前記バスバーホルダおよび前記ステータ樹脂部は、モールドステータを構成し、
前記モールドステータは、軸方向一方側に突出し、前記回路基板を支持する基板支持部を有し、
前記基板支持部は、前記ベアリングホルダを軸方向に貫通する、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記基板支持部は、前記バスバーホルダの軸方向一方側の面に設けられている、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記基板支持部は、ステータ樹脂部の軸方向一方側の面に形成されている、請求項8に記載のモータ。
【請求項11】
前記軸受フランジ部は、軸方向に貫通する軸受貫通孔を有し、
前記基板支持部は、前記軸受貫通孔を貫通する
、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項12】
前記バスバーホルダは、コイルから引き出された引出線と電気的に接続されるコイル接続部を有するバスバを保持し、
前記ステータ樹脂部は、前記コイル接続部を覆う樹脂突出部を有し、
前記樹脂突出部の一部は、前記軸受フランジ部よりも軸方向一方側に位置する、請求項
8から請求項11のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項13】
前記ベアリングホルダは、前記軸受フランジ部の径方向外側から径方向内側に向かって凹む軸受凹部を有し、
前記軸受凹部内には、前記樹脂突出部の一部が配置される、請求項12に記載のモータ。
【請求項14】
前記基板支持部は、前記樹脂突出部よりも径方向内側に位置する、
請求項12あるいは請求項13に記載のモータ。
【請求項15】
前記バスバーホルダは、
前記開口部の軸方向一方側に配置される本体部と、
前
記本体部から径方向外側に突出するコネクタ部と、
前記コネクタ部によって保持され、該コネクタ部の径方向内端部から露出し、前記回路基板に接続される基板接続部を有するセンサコネクタと、を有し、
前記モールドステータは、前記基板接続部と、前記ベアリングホルダとの径方向間に配置される樹脂壁部を有する、請求項8から請求項
14のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項16】
前記基板支持部は、前記樹脂壁部から軸方向一方側に突出する、請求項
15に記載のモータ。
【請求項17】
前記ベアリングホルダは、前記軸受フランジ部の径方向外側から径方向内側に向かって凹むコネクタ凹部を有し、
前記コネクタ凹部内には、前記樹脂壁部が位置する、請求項
15あるいは請求項
16に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータに関する。本出願は、2018年10月19日に提出された日本特許出願第2018-197313号および2018年10月19日に提出された日本特許出願第2018-197314号に基づいている。本出願は、当該出願に対して優先権の利益を主張するものである。その内容全体は、参照されることによって本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
従来、モータは、筒状のハウジングと、軸受を保持するベアリングホルダと、ハウジングの開口を覆う蓋部と、を有する(例えば、特許文献1)。ベアリングホルダは、板状であり、ハウジングの内部に収容される。ベアリングホルダは、ハウジングに対して、例えば、カシメにより固定される。蓋部は板状であり、ハウジングに対して、例えば、カシメにより固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ハウジングが、ベアリングホルダおよび蓋部の2部材を固定しようとすると、ハウジングと一の部材との間のカシメが、ハウジングと他の部材との間のカシメの固定に影響を及ぼす虞がある。
そこで、ハウジングなどの1つの部材が、他の2つ以上の部材をカシメにより固定する場合にも、カシメの固定に影響が出ない構造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態におけるモータは、中心軸に沿って配置されるシャフトを有するロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータと、前記ロータおよび前記ステータを収容し、軸方向一方側に開口する開口部を有するハウジングと、前記ステータの軸方向一方側に配置され、前記第1開口部を塞ぐ樹脂製のバスバーホルダと、前記バスバーホルダの軸方向一方側に配置されるベアリングホルダと、前記ベアリングホルダに保持されるベアリングと、前記ベアリングホルダの軸方向一方側に位置し、前記ベアリングホルダを覆う蓋部と、を備え、前記ハウジングは、軸方向に延びる筒状のハウジング本体と、前記ハウジング本体の軸方向一方側の端部から軸方向他方側へと凹む第1ハウジング凹部と、前記第1ハウジング凹部の底面から軸方向一方側に伸びるハウジング突起部と、前記開口部の内部に形成され、前記ハウジング突起部よりも軸方向一方側に位置する段差部と、前記開口部から軸方向一方側に延びるハウジング延伸部と、を有し、前記ベアリングホルダは、径方向外側の端部から径方向外側へと伸びる少なくとも1つの軸受突起部を有し、前記軸受突起部の少なくとも一部は、前記第1ハウジング凹部内に配置され、かつ、前記ハウジング突起部と前記第1ハウジング凹部を構成する内側面とのカシメによって固定され、前記蓋部は、前記段差部と軸方向に接触し、前記ハウジング延伸部は、前記蓋部に対してカシメられ、前記蓋部と前記ハウジング突起部との間には、軸方向に間隙が構成され、前記ハウジング突起部と、前記第1ハウジング凹部を構成する内側面との間には周方向に間隙が構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態では、ハウジングなどの1つの部材が、他の2つ以上の部材をカシメにより固定する場合にも、カシメの固定に影響が出ないモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態におけるモータの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態におけるステータの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態におけるインシュレータの部分拡大図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態におけるバスバーホルダの斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態におけるバスバーホルダとインシュレータの組み合わさった状態の図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態におけるハウジングの部分拡大図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態におけるベアリングホルダの斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態におけるベアリングホルダとハウジングとが固定された状態の図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態におけるステータとバスバーホルダの斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態におけるモールドステータの斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態におけるベアリングホルダがハウジングに組み合わされた状態の斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態における回路基板がモータに組み合わされた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0009】
各図には、Z軸を示す。各図に適宜示す中心軸J1は、Z軸方向と平行に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向、すなわちZ軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
本明細書において、軸方向におけるZ軸方向の正の側を「上側」と呼び、軸方向におけるZ軸方向の負の側を「下側」と呼ぶ場合がある。なお、上下方向、上側および下側とは、単に説明のために用いられる方向であって、モータ使用時の実際の位置関係やモータの姿勢を限定するものではない。
【0011】
本実施形態において、モータ1は、ロータ2と、ステータ3と、ハウジング4と、バスバーホルダ7と、を有する。ロータ2は、中心軸J1に沿って配置されるシャフト22を有する。ステータ3は、ロータ2の径方向外側に配置される。ハウジング4は、中心軸J1の方向に沿って伸びる筒状の部材である。ハウジング4は、ロータ2およびステータ3を収容し、軸方向一方側に開口する開口部を有する。ハウジング4の内部には、ロータ2、ステータ3、およびバスバーホルダ7が収容される。バスバーホルダ7は、ステータ3の軸方向一方側に位置し、バスバ74を保持する。バスバーホルダ7は、樹脂製であって、ステータ3の軸方向一方側に配置され、開口部を塞ぐ。
【0012】
ロータ2は、ロータコア21と、複数のマグネット10と、シャフト22と、を有する。本実施形態において、ロータコア21は、複数の電磁鋼板が積層された部材である。複数のマグネット10は、ロータコア21の外周面に、周方向に並ぶ。マグネット10は、ロータコア21の外周面に、例えば、接着、樹脂を用いた射出成形、ロータコア21を覆うロータカバーなどにより、固定される。シャフト22は、略柱状の部材である。シャフト22は、中心軸J1方向に沿って伸びる。ロータコア21は、軸方向に貫通するシャフト孔23を有する。シャフト22は、シャフト孔23に、例えば、圧入などにより固定される。なお、シャフト22は、樹脂などの部材を介して、シャフト孔23に挿入されて固定されてもよい。すなわち、シャフト22は、ロータコア21に直接または間接的に固定される。
【0013】
ステータ3は、略環状である。ロータ2は、ステータ3の径方向内側に位置する。ロータ2は、ステータ3に対して、中心軸J1を基準として相対的に回転可能である。ステータ3は、ステータコア31と、コイル6と、インシュレータ5と、を有する。
【0014】
ステータコア31は、電磁鋼板が軸方向に積層された部材である。ステータコア31は、略環状のコアバック32と、コアバック32の内側面から径方向内側に伸びる複数のティース33と、を有する。すなわち、ステータ3は、コアバック32と、ティース33と、インシュレータ5と、コイル6と、を有する。複数のティース33は、周方向に間隔をあけて配置される。なお、コアバック32は、複数の分割されたピースが環状に配置されて形成されてもよく、一部が繋がっている複数のピースから構成されてもよい。
【0015】
インシュレータ5は、絶縁性を有する部材である。本実施形態では、インシュレータ5の材料は、絶縁性を有する樹脂である。インシュレータ5は、ティース33のおのおのに取り付けられる。インシュレータ5は、筒部51と、内側壁部53と、外側壁部52と、を有する。筒部51は、筒状である。ティース33は、筒部51の内部を通る。すなわち、筒部51は、ティース33の外周面を覆う。筒部51の径方向内側には、第1内側壁部531と第2内側壁部532とが配置される。筒部51の径方向外側には、軸方向に伸びる第1外側壁部521と第2外側壁部522とが配置される。第1内側壁部531は、筒部51の上面において、軸方向上側に伸びる。第2内側壁部532は、筒部51の下面において、軸方向下側に伸びる。第1外側壁部521は、筒部51の上面において、軸方向上側に伸びる。すなわち、第1外側壁部521は、軸方向一方側において、筒部51の径方向外側から軸方向一方側へと伸びる。第2外側壁部522は、筒部51の下面において、軸方向下側に伸びる。
【0016】
筒部51の周りには、コイル6が配置される。すなわち、コイル6は、ティース33にインシュレータ5を介して配置される。コイル6は、例えば、筒部51の周りに導線を巻きまわすことにより構成される。本実施形態において、モータ1は、U相、V相、およびW相を有する三相モータである。コイル6は、U相のコイル郡を構成するU相導線と、V相のコイル郡を構成するV相導線と、W相のコイル郡を構成するW相導線と、を有する。各導線の端部は、軸方向上側に引き出される。
【0017】
筒部51とコイル6の上端面との間の寸法は、好ましくは、第1および第2内側壁部531、532の軸方向の寸法よりも短い。筒部51とコイル6の上端面との間の寸法は、好ましくは、第1および第2外側壁部521、522の軸方向の寸法よりも短い。これにより、モータ1に外部から衝撃等が加わった場合でも、コイル6が筒部51から離れることが防止される。
【0018】
複数のインシュレータ5のうち一つインシュレータ5の第1外側壁部521は、第1外側壁部521の上端部から軸方向上側に伸びるピン54を有する。すなわち、ピン54は、第1外側壁部521の軸方向一方端部から軸方向一方側に向かって延びる。本実施形態において、第1外側壁部521は、軸方向一方端において径方向外側に突出する外側突出部5211を有する。ピン54は、第1外側壁部521および外側突出部5211から軸方向一方側に向かって伸びる。これによって、より大きな径のピンを設けることができる。
また、ピン54は、軸方向に伸びる複数のリブ541を有する。リブ541は、ピン54の外周面に沿って、間隔をあけて配置される。言い換えると、ピン54の外側面には、軸方向に伸びる少なくとも1つのリブ541が形成される。
【0019】
バスバーホルダ7は、ステータ3の軸方向上側に配置される。バスバーホルダ7は、本体部71と、コネクタ部72と、を有する。
【0020】
本実施形態では、本体部71は、軸方向に伸びる筒状の部材である。本体部71は、軸方向に貫通する中央孔711を有する。本体部71の材料は、絶縁性の樹脂である。本体部71は、開口部の軸方向一方側に配置される。本体部71は、径方向外側に伸びる少なくとも1つのフランジ部73を有する。本実施形態において、本体部71は、周方向に間隔をあけて配置される複数のフランジ部73を有する。本実施形態において、フランジ部73は2つである。各フランジ部73は、周方向に伸びる。
【0021】
本実施形態において、本体部71の外側面は、コアバック32の外側面よりも径方向内側に位置する。すなわち、本体部71の外側面は、ステータ3の外側面よりも径方向内側に位置する。これによって、モータ1の径方向寸法が大きくなることを抑制できる。本体部71は、コイル6の軸方向上側に位置する。軸方向から見たとき、径方向において、本体部71の外側面とステータ3の外側面との間には、間隙が構成される。これによって、コイル6から引き出された引出線を、本体部71の外側面とステータ3の外側面の間の間隙を通過させることができる。軸方向から見たときに、径方向において、コアバック32と本体部71との間には、コイル6またはスロット間隙が位置する。フランジ部73は、コアバック32の軸方向上側に位置する。隣り合うフランジ部73同士の間には、間隙が構成される。各フランジ部73は、軸方向に貫通するフランジ孔731を有する。本実施形態において、隣り合うフランジ部73のフランジ孔731同士と中心軸J1とがなす角度θは、120度である。
【0022】
コネクタ部72は、筒状の部位である。コネクタ部72は、本体部71から径方向外側に伸びる。すなわち、コネクタ部72は、本体部71から径方向外側に突出する。コネクタ部72の材料は、絶縁性を有する。本実施形態において、コネクタ部72の材料は、絶縁性を有する樹脂である。コネクタ部72には、例えば、外部電源の接続端子が取り付けられる。軸方向から見たときに、周方向において、コネクタ部72とフランジ部73との間には、間隙が構成される。
【0023】
バスバーホルダ7は、複数のバスバ74を有する。バスバ74は、導電性の部材である。本実施形態において、バスバ74の材料は、導電性を有する金属である。バスバ74の少なくとも一部は、本体部71およびコネクタ部72の内部に位置する。すなわち、バスバ―ホルダ7は、バスバ74を保持する。言い換えると、バスバ74の少なくとも一部は、樹脂により覆われる。各バスバ74は、複数の端子接続部と、複数のコイル接続部741と、を有する。端子接続部は、コネクタ部72の内部に位置する。径方向から見たときに、コネクタ部72の内部では、端子接続部が露出する。
本実施形態において、バスバーホルダ7は、コネクタ部72によって保持されるセンサコネクタ75をさらに有する。センサコネクタ75は、コネクタ部72の径方向内端部から露出し、後述する回路基板11に接続される基板接続部751を有する。センサコネクタ75は、バスバ74と同様に、コネクタ部72の内部に位置し、径方向から見たときに、コネクタ部72の内部において露出するコネクタ端子接続部を有する。
【0024】
本実施形態において、軸方向から見たときに、コイル接続部741は、略U字状である。軸方向から見たときに、コイル接続部741の先端は、周方向一方側を向く。
【0025】
軸方向から見たときに、コイル接続部741のうち、少なくとも1つは、周方向に隣り合うフランジ部73の間の空隙内に位置する。コイル接続部741のうち少なくとも1つは、コネクタ部72とフランジ部73との間の周方向の空隙内に位置する。
【0026】
上述のように、周方向に隣り合うフランジ部73の間の間隙およびコネクタ部72とフランジ部73との周方向の間隙からは、コイル6から引き出された引出線が通される。すなわち、軸方向から見たときに、複数のフランジ部73の周方向における間隙内には、バスバ74の一部が位置する。引出線は、バスバーホルダ7から露出したコイル接続部741に電気的に接続される。すなわち、コイル接続部741は、コイル6から引き出された引出線と電気的に接続される。コイル接続部741は、引出線と、例えば、溶接や半田付けなどにより、接続される。これによって、モータ1の径方向寸法が大きくなることを抑制しながら、引出線をバスバ74に接続することができる。
【0027】
径方向から見たときに、フランジ部73は、インシュレータ5の軸方向上側に位置する。より詳細には、フランジ部73は、インシュレータ5の第1外側壁部521の軸方向上側の少なくとも一部を覆う。すなわち、少なくとも1つのフランジ部73は、径方向外側に向かって広がり、第1外側壁部521の軸方向一方側に位置する。周方向および径方向において、フランジ孔731の位置は、第1外側壁部521のピン54の位置と、略同じである。フランジ孔731には、ピン54が、挿入される。これにより、バスバーホルダ7が周方向に回転することを抑制することができる。
【0028】
より好ましくは、ピン54は、フランジ孔731に圧入される。ピン54がフランジ孔731内に通される際、ピン54の外周面に配置されるリブ541が、弾性変形または塑性変形することにより、リブ541およびフランジ孔731の外周面の少なくとも一方が他方を押圧する。これにより、ピン54はフランジ孔731内に保持される。
【0029】
本実施形態では、コイル6、インシュレータ5、およびコイル接続部741は、樹脂により覆われる。言い換えると、ステータ3の少なくとも一部およびバスバーホルダ7の少なくとも一部は、樹脂により覆われる。すなわち、ステータ3の少なくとも一部およびバスバーホルダ7の少なくとも一部は、ステータ樹脂部34によって覆われている。より詳細には、ステータ3の軸方向一方端部およびバスバーホルダ7の本体部71が、ステータ樹脂部34によって覆われている。このとき、コイル接続部741は、ステータ樹脂部34によって覆われる。すなわち、ステータ樹脂部34は、コイル接続部741を覆う樹脂突出部341を有する。これにより、ステータ3およびバスバーホルダ7が、ハウジング4および後述するベアリングホルダ8と接触して、短絡が起こることを防止することができる。また、樹脂にてステータ3およびバスバーホルダ7が覆われていることから、水や塵等がステータ3およびバスバ74と接触することが防止できる。
本実施形態において、ステータ3、バスバーホルダ8および、ステータ樹脂部34は、モールドステータ12を構成する。モールドステータ12は、ステータ3にバスバーホルダ8を組み付け後、ステータ樹脂部34が形成された部材である。モールドステータ12は、基板接続部751と、ベアリングホルダ8との径方向間に配置される樹脂壁部342を有する。樹脂壁部342を設けることによって、センサコネクタ75が、ベアリングホルダ8と接触して、短絡が起こることを防止することができる。本実施形態において、樹脂壁部342はステータ樹脂部34に設けられている。そのため、樹脂壁部342を、ステータ樹脂部34の成型時に形成することができるため、別途、短絡防止用の部品を要さない。しかしながら、樹脂壁部342は、バスバーホルダ7に設けられていても良い。その場合には、バスバーホルダ7を成型する際に、樹脂壁部342を形成することができる。また、樹脂壁部が、後述する基板支持部343を有しても良い。基板接続部751の近傍に基板支持部343を設けることによって、モータ1駆動時の振動等によって、基板接続部751と回路基板11との接続箇所にかかる負荷を低減することができる。
【0030】
ベアリングホルダ8は、軸受保持部81と、軸受フランジ部82と、を有する。軸受保持部81は、軸方向に伸びる筒状の部位である。軸受保持部81の内部には、ベアリング84が保持される。すなわち、ベアリング84は、ベアリングホルダ8に保持される。本実施形態において、ベアリング84は、ボールベアリングである。しかしながら、ベアリングは、ボールベアリング以外の種類のベアリングであってもよい。ベアリングは、シャフト22を回転可能に支持する。軸受保持部81の少なくとも一部は、バスバーホルダ7の貫通孔(中央孔711)の内部に位置する。軸受保持部81とバスバーホルダ7の少なくとも一部が径方向に重なることによって、モータ1の軸方向寸法が大きくなることを抑制できる。
本実施形態において、ベアリングホルダ8は、コネクタ凹部87をさらに有する。コネクタ凹部87は、軸受フランジ部82の径方向外側から径方向内側に向かって凹む。樹脂壁部342は、コネクタ凹部87内に位置し、軸受フランジ部82と樹脂壁部342とが、径方向に重なる。これによって、コネクタ部72の径方向寸法が大きくなることを抑制できる。すなわち、モータ1の径方向寸法が大きくなることを抑制できる。
【0031】
軸受フランジ部82は軸方向から見たときに環状の部位である。軸受フランジ部82は軸受保持部81の外側面から径方向外側に拡がる。軸受フランジ部82は、ハウジング4の内側面と径方向に対向する、または接触する。軸受フランジ部82の径方向外側の端部には、径方向内側に向かって凹む軸受凹部85が形成される。すなわち、ベアリングホルダ8は、軸受フランジ部82の径方向外側から径方向内側に向かって凹む軸受凹部85を有する。
【0032】
軸受凹部85内には、樹脂にて覆われたコイル接続部741および樹脂にて覆われたコイル接続部741に接続された引出線の一部が配置される。すなわち、樹脂凹部85内には、樹脂突出部341の一部が配置され、樹脂凹部85と樹脂突出部341とが、径方向に重なる。樹脂にて覆われたコイル接続部741および樹脂にて覆われたコイル接続部741に接続された引出線の一部は、軸受フランジ部82よりも軸方向上側に位置する。言い換えると、樹脂突出部341の一部は、軸受フランジ部82よりも、軸方向一方側に位置する。これによって、モータ1の軸方向寸法が大きくなることを抑制できる。また、コイル接続部741および、コイル接続部741に接続される引出線の端部は、樹脂突出部341によって覆われているため、ハウジング4および、ベアリングホルダ8と接触して、短絡が起こることを防止することができる。
【0033】
ベアリングホルダ8は、径方向外側の端部から径方向外側へと伸びる少なくとも1つの軸受突起部831,832を有する。本実施形態において、軸受突起部831,832は、第1軸受突起部831と、第1軸受突起部831の周方向他方側に位置する第2軸受突起部832と、を有する。軸受凹部85の開口の周方向両側の部位には、径方向外側に向かって伸びる一対の軸受突起部831,832が形成される。一対の軸受突起部のうち、周方向一方側に位置する第1軸受突起部831は、一対の軸受突起部のうち周方向他方側に位置する第2軸受突起部832と、周方向に離れて位置する。すなわち、軸受凹部85は、一対の第1軸受突起部831と第2軸受突起部832の周方向間に位置する。
【0034】
上述のように、ハウジング4は、軸方向に伸びる筒状のハウジング本体41を有する。本実施形態において、ハウジング本体41は、略円筒状である。ハウジング4は、第1ハウジング凹部43と、ハウジング突起部46,47と、をさらに有する。ハウジング本体41には、第2ハウジング凹部43と、第1ハウジング凹部42と、ハウジング延伸部48と、段差部45と、が設けられる。第2ハウジング凹部43は、ハウジング本体41の外側面に位置し、ハウジング本体41の軸方向上側の開口部の端部から軸方向下側に向かって凹む。第2ハウジング凹部43は、径方向に貫通する貫通孔でもある。ハウジング本体41内にバスバーホルダ7が収容される際、コネクタ部72は第2ハウジング凹部43内を通る。
【0035】
第1ハウジング凹部42は、ハウジング4の軸方向上側の開口部の端部から軸方向下側に向かって凹む凹部である。すなわち、第1ハウジング凹部42は、ハウジング本体41の軸方向一方側の端部から軸方向他方側へと凹む。第1ハウジング凹部42は、ハウジング4の外壁を径方向に貫通する貫通孔でもある。
【0036】
第1ハウジング凹部42を構成する内側面は、軸方向下側に位置する底面と、周方向両側に位置する側面と、を有する。底面は、側面と、連続して形成される。
【0037】
底面には、軸方向上側に向かって伸びる一対のハウジング突起部46,47が形成される。すなわち、ハウジング突起部46,47は、第1ハウジング凹部42の底面から軸方向一方側に伸びる。一対のハウジング突起部46,47は、周方向において、互いに離れる向きにそれぞれ伸びる。すなわち、一対のハウジング突起部46,47のうち、第1ハウジング突起部46は、周方向一方側に延び、第2ハウジング突起部47は、周方向他方側に伸びる。つまり、第1ハウジング突起部46は、第1ハウジング凹部42を構成する内側面のうち周方向一方側の側面と対向する。第2ハウジング突起部47は、第1ハウジング凹部42を構成する内側面のうち周方向他方側の側面と対向する。第1ハウジング突起部46は、第2ハウジング突起部47と、対向する。第1ハウジング突起部46と、第2ハウジング突起部47との間には、周方向に間隙が構成される。
【0038】
第1ハウジング突起部46の軸方向下側の部位は、第2ハウジング突起部47の軸方向下側の部位と、繋がる。言い換えると、径方向から見たときに、底面から伸びる一対のハウジング突起部46,47は、二股に分かれる形状(V字状)である。
【0039】
第1ハウジング突起部46が底面と接続される部位には、周方向他方側に凹む第1切れ込み461が形成される。同様に、第2ハウジング突起部47が底面と接続される部位には、周方向一方側に凹む第2切れ込み462が形成される。第1切れ込み461および、第2切れ込み462を形成することによって、第1ハウジング突起部46および、第2ハウジング突起部47を周方向に広げやすくなる。すなわち、カシメ時の加工が容易である。
【0040】
底面が周方向一方側の側面と接続される部位には、軸方向下側に向かって凹む第1底面凹部421が形成される。同様に、底面が周方向他方側の側面と接続される部位には、軸方向下側に向かって凹む第2底面凹部422が形成される。
【0041】
底面において、周方向における第1底面凹部421と第1切れ込み461との間には、軸方向上側に向かって突出する第1底面凸部423が形成される。同様に、底面において、第2底面凹部422と第2切れ込み462との間には、軸方向上側に向かって突出する第2底面凸部424が形成される。
【0042】
第1ハウジング突起部46と周方向一方側の側面との間には、第1軸受突起部831が配置される。第1軸受突起部831は、第1ハウジング突起部46と周方向一方側の側面とによって挟まれる。つまり、第1軸受突起部831は、第1ハウジング突起部46と、第1ハウジング凹部42を構成する内側面のうちの周方向一方側の側面と、の間に配置される。第1軸受突起部831は、第1底面凸部423と軸方向に接触する。第2ハウジング突起部47および周方向他方側の側面との間には、第2軸受突起部832が配置される。つまり、第2軸受突起部832は、第2ハウジング突起部46と、第1ハウジング凹部42を構成する内側面のうちの周方向他方側の側面と、の間に配置される。第2軸受突起部832は、第2ハウジング突起部47および周方向他方側の側面によって挟まれる。第2軸受突起部832は、第2底面凸部424と軸方向に接触する。各軸受突起部は、底面と軸方向に接触する。これにより、ベアリングホルダ8がハウジング4に対して、周方向に位置決めされるとともに、軸方向に位置決めされる。
【0043】
モータ1の組立時において、ジグが、第1ハウジング突起部46と第2ハウジング突起部47とを周方向両側に広げる。すなわち、第1ハウジング突起部46と第2ハウジング突起部47との周方向の間隙に、ジグが軸方向上側から下側へと押し付けられて、第1ハウジング突起部46と第2ハウジング突起部47との間の間隙の寸法が周方向に広げられる。そのため、第1ハウジング突起部46と周方向一方側に位置する側面が第1軸受突起部831を周方向に挟み込み、第2ハウジング突起部47と周方向他方側に位置する側面が第2軸受突起部832を周方向に挟み込むことになる。すなわち、軸受突起部831,832の少なくとも一部は、第1ハウジング凹部42内に配置され、かつ、ハウジング突起部46,47と第1ハウジング凹部42を構成する内側面とのカシメによって固定される。言い換えると、一対のハウジング突起部と側面とによって、各軸受突起部がカシメによって固定される。これにより、ベアリングホルダ8が周方向に回転することが抑制される。
【0044】
なお、第1軸受突起部831は、第1底面凹部421と第1底面凸部423との間、第1切れ込み461の内部、または、第1切れ込み461と周方向一方側の側面との間のいずれに配置されてよい。同様に、第2軸受突起部832は、第2底面凹部422と第2底面凸部424との間、第2切れ込み462の内部、または、第2切れ込み462と周方向他方側の側面との間のいずれに配置されてよい。すなわち、第1ハウジング凹部42内において、第1軸受突起部831は、第1ハウジング突起部46と周方向一方側に位置する側面との間に位置すればよい。第1ハウジング凹部42内において、第2軸受突起部832は、第2ハウジング突起部47と周方向他方側に位置する側面との間に位置すればよい。
【0045】
上述のように、ハウジング4は、段差部45と、ハウジング延伸部48と、を有する。ハウジング本体41の軸方向上側の開口部において、開口部側(軸方向上側)の部位の内径は、軸方向下側の部位の内径より、小さい。すなわち、ハウジング4の軸方向上側の開口部において内径が異なる部位同士の境界には、段差部45が形成されている。段差部45より軸方向上側の部位における内径は、段差部45より軸方向下側に位置する部位の内径よりも小さい。段差部45は、第1および第2ハウジング突起部47よりも、軸方向上側に位置する。すなわち、段差部45は、開口部の内部に形成され、ハウジング突起部46,47よりも軸方向一方側に位置する。
【0046】
ハウジング延伸部48は、ハウジング4の軸方向上側の開口部の端部から軸方向上側に向かって伸びる。すなわち、ハウジング延伸部48は、開口部から軸方向一方側に伸びる。ハウジング4の開口部において、ハウジング延伸部48の周方向の幅は、ハウジング延伸部48よりも軸方向下側に位置する部位の周方向の幅よりも、狭い。ハウジング延伸部48は、第2ハウジング凹部43と、周方向に隣り合う。
【0047】
ハウジング本体41の軸方向上側の開口部には、蓋部9が取り付けられる。言い換えると、蓋部9は、ベアリングホルダ8の軸方向上側に位置し、ベアリングホルダ8を覆う。本実施形態において、蓋部9は、略板状の部材である。蓋部9の材料は、例えば、鉄などの金属である。なお、蓋部9の材料は、金属材料以外の材料であってもよい。
【0048】
蓋部9の径方向外側の端部の少なくとも一部は、ハウジング4の内側面と径方向に対向または接触する。蓋部9の径方向外側の端部の少なくとも一部は、段差部45と、軸方向に接触する。すなわち、蓋部9は、段差部45と軸方向に接触する。これにより、蓋部9のハウジング4に対する軸方向の位置が決まる。上述のように段差部45は、第1ハウジング突起部46および第2ハウジング突起部47よりも、軸方向上側に位置する。そのため、蓋部9は、第1ハウジング突起部46および第2ハウジング突起部47よりも、軸方向上側に位置する。言い換えると、軸方向において、蓋部9と第1ハウジング突起部46および第2ハウジング突起部47との間には、間隙がある。つまり、蓋部9とハウジング突起部46,47との間には、軸方向に間隙が構成される。
【0049】
蓋部9の上面には、ハウジング延伸部48が接触する。より詳細には、モータ1の組立時において、ハウジング延伸部48は、径方向外側から径方向内側に向かって折り曲げられ、蓋部9の上面と接触する。言い換えると、ハウジング延伸部48は、蓋部9に対して、カシメられる。上述のように、蓋部9は、段差部45と軸方向に接触する。また、軸方向において、蓋部9と、第1ハウジング突起部46および第2ハウジング突起部47との間には、間隙がある。そのため、ハウジング延伸部48が蓋部9に向かって折り曲げられて蓋部9に接触する場合であっても、蓋部9と、第1ハウジング突起部46および第2ハウジング突起部47とが接触することがない。
【0050】
また、上述のように、第1ハウジング突起部46および第2ハウジング突起部47と第1ハウジング凹部42の側面との間には、周方向両側にそれぞれ間隙がある。言い換えると、ハウジング突起部46,47と、第1ハウジング凹部42を構成する内側面との間には周方向に間隙が構成される。そのため、ハウジング延伸部48が蓋部9に向かって折り曲げられて、ハウジング4の外壁のうちハウジング延伸部48を有する部位が周方向に変形したとしても、第1ハウジング突起部46および第2ハウジング突起部47が第1ハウジング凹部42を構成する内側面と接触することが抑制される。
【0051】
これにより、ハウジング延伸部48と蓋部9とがカシメによって固定される場合であっても、ベアリングホルダ8とハウジング4とのカシメによって固定される部位に、影響を及ぼすことが抑制される。その結果、ハウジング4がベアリングホルダ8および蓋部9の両方に異なるカシメ位置によって固定される場合であっても、それぞれのカシメによる固定強度を低下させることを抑制できる。本実施形態において、ハウジング4にカシメ固定される蓋部9およびベアリングホルダ8の間には、軸方向の隙間が生じる。蓋部9とベアリングホルダ8の軸方向間には、モータ1と電気的に接続される回路基板11が配置される。これによって、モータ1の軸方向の寸法が大きくなることを抑制することができる。すなわち、モータ1の軸方向寸法を抑制しながら、回路基板11の支持および、2つ以上の部材のカシメ固定が可能である。
【0052】
なお、本実施形態では、ハウジング延伸部48と蓋部9とのカシメ固定は、周方向に4箇所行われる。しかしながら、ハウジング延伸部48と蓋部9とのカシメ固定の箇所は、4箇所よりも多くてもよく、少なくともよい。モールドステータ12は、軸方向一方側に突出し、回路基板11を支持する基板支持部343を有する。基板支持部343は、ベアリングホルダ8を軸方向に貫通する。詳細には、軸受フランジ部82は、軸方向に貫通する軸受貫通孔86を有し、基板支持部343は、軸受貫通孔86を貫通する。基板支持部343は、段差部を有する。回路基板11に設けられた孔に対して、段差部よりも軸方向一方側の部位が挿入される。そのため、段差部によって、回路基板11が軸方向に位置決めされる。これによって、回路基板11を支持する部材を別途設けることなく、回路基板11を、蓋部9およびベアリングホルダ8の軸方向間において支持することができる。本実施形態において、基板支持部343は、
図4に示すようにバスバーホルダ8の軸方向一方側の面に設けられている。これによって、バスバーホルダ8の成型時に基板支持部343を形成することができる。しかしながら、基板支持部343は、
図10に示すように、ステータ樹脂部34の軸方向一方側の面に形成されていても良い。この場合には、ステータ樹脂部34を成型する際に、基板支持部343を形成することができる。また、本実施形態において、基板支持部343は、樹脂突出部341よりも径方向内側に位置する。これによって、回路基板11の径方向寸法が大きくなることを抑制できる。
【0053】
本発明のモータは、例えば、電動ブレーキ、電動パワーステアリング、各種家電などの用途に用いることができる。
【0054】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0055】
1 モータ、2 ロータ、21 ロータコア、22 シャフト、23 シャフト孔、3 ステータ、31 ステータコア、32 コアバック、33 ティース、34 ステータ樹脂部、341 樹脂突出部、342 樹脂壁部、343 基板支持部、4 ハウジング、41 ハウジング本体、42 第1ハウジング凹部、43 第2ハウジング凹部、44 ハウジング凹部、45 段差部、46 第1ハウジング突起部、47 第2ハウジング突起部、421 第1底面凹部、422 第2底面凹部、423 第1底面凸部、424 第2底面凸部、461 第1切れ込み、462 第2切れ込み、48 ハウジング延伸部、5 インシュレータ、51 筒部、52 外側壁部、521 第1外側壁部、5211
外側突出部、522 第2外側壁部、53 内側壁部、531 第1内側壁部、532
第2内側壁部、54 ピン、541 リブ、6 コイル、7 バスバーホルダ、71 本体部、711 中央孔、72 コネクタ部、73 フランジ部、731 フランジ孔、74 バスバ、741 コイル接続部、75 センサコネクタ、751 基板接続部、8
ベアリングホルダ、81 軸受保持部、82 軸受フランジ部、83 軸受突起部、831 第1軸受突起部、832 第2軸受突起部、84 ベアリング、85 軸受凹部、86 軸受貫通孔、87 コネクタ凹部、9 蓋部、10 マグネット、11 回路基板、12 モールドステータ、J1 中心軸