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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/388 20180101AFI20231219BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20231219BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20231219BHJP
   G02B 30/52 20200101ALI20231219BHJP
【FI】
H04N13/388
H04N5/74 C
G03B21/00 D
G02B30/52
H04N5/74 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020558341
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 JP2019044768
(87)【国際公開番号】W WO2020110760
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2018221236
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】古江 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】奥村 光男
(72)【発明者】
【氏名】大木 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】中村 知晴
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/163945(WO,A1)
【文献】特開2007-218945(JP,A)
【文献】特開2008-145809(JP,A)
【文献】特開2012-123252(JP,A)
【文献】特開2008-170544(JP,A)
【文献】特開2017-090620(JP,A)
【文献】特開2020-42112(JP,A)
【文献】特開2012-181240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/388
H04N 5/74
G03B 21/00
G02B 30/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸に沿って画像光を出射する出射部と、
前記所定の軸の周囲の全周にわたって配置され、前記所定の軸を略中心軸とする円筒形状で構成されるスクリーンと、
前記所定の軸を基準として前記出射部に対向して配置され、前記出射部により出射された前記画像光の前記スクリーンに対する入射角度を制御する光学部と、
を具備し、
前記スクリーンに入射した前記画像光により表示される映像は、前記所定の軸の周囲の全周にわたって同時に表示されるものであり、
前記映像は、前記スクリーンの所定の方向から視た際に複数のコンテンツが重畳的に視認され、且つ、
ユーザー毎に異なる前後関係で前記映像を提供可能である、画像表示装置。
【請求項2】
前記映像は、その一部の輝度が調節されたものである、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記映像は、前記スクリーンの周方向に沿って連続する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記映像は、前記所定の軸を略中心軸として回転する、請求項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
ユーザーを撮影する複数の撮像部、を更に具備し、
前記複数の撮像部により撮影された映像に基づき、トラッキングを行う、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記トラッキングは、ユーザーが見る角度、及び/又は、ユーザーが見る高さに合わせて行われる、請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記映像は、前記スクリーン上部に前記スクリーンの周方向に沿って連続する帯状の情報表示エリアを有する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記情報表示エリアは、前記スクリーンの上端から下方に向かってスライドインする、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記映像は、前記情報表示エリアと前記情報表示エリア以外の領域との間に明度の差を有する、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記情報表示エリアは、前記所定の軸を略中心軸として回転し、情報の内容によって前記回転の速度が変化する、請求項7に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な形状のスクリーン等に画像を投射する技術が開発されている。例えば、円筒形のスクリーンの側面に画像を投射することで、360度の全方位に渡って表示された全周画像を楽しむことが可能となる。
【0003】
特許文献1には、回転体形状を備える全周スクリーンに映像を表示するための画像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/163945号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような全周スクリーンを有する画像表示装置は、広告やアミューズメントといった広範な分野での応用が期待されており、全周スクリーンに対して映像を表示するに際し、新たな手法が求められているという実情がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術では、全周スクリーンに対して映像を表示する際の新たな手法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本技術では、まず、所定の軸に沿って画像光を出射する出射部と、前記所定の軸の周囲の全周にわたって配置され、前記所定の軸を略中心軸とする円筒形状で構成されるスクリーンと、前記所定の軸を基準として前記出射部に対向して配置され、前記出射部により出射された前記画像光の前記スクリーンに対する入射角度を制御する光学部と、を具備し、前記スクリーンに入射した前記画像光により表示される映像は、前記所定の軸の周囲の全周にわたって同時に表示されたものである、画像表示装置を提供する。
本技術では、前記映像は、前記スクリーンの所定の方向から視た際に複数のコンテンツが重畳的に視認されるものであってもよい。
また、本技術では、前記映像は、その一部の輝度が調節されたものであってもよい。
更に、前記映像は、前記スクリーンの周方向に沿って連続するものであってもよい。この場合、前記映像は、前記所定の軸を略中心軸として回転することができる。
加えて、ユーザーを撮影する複数の撮像部、を更に具備し、前記複数の撮像部により撮影された画像に基づき、トラッキングを行ってもよい。
また、前記映像は、前記スクリーン上部に前記スクリーンの周方向に沿って連続する帯状の情報表示エリアを有していてもよい。この場合、前記情報表示エリアは、前記スクリーンの上端から下方に向かってスライドインするものとすることができる。また、この場合、前記映像は、前記情報表示エリアと前記情報表示エリア以外の領域との間に明度の差を有するものとすることができる。更に、この場合、前記情報表示エリアは、前記所定の軸を略中心軸として回転し、情報の内容によって前記回転の速度が変化するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像表示装置100の構成例を示す概略図である。
図2】表示例1について説明する説明図である。
図3】表示例1について説明する説明図である。
図4】表示例1について説明する説明図である。
図5】表示例1について説明する説明図である。
図6】表示例2について説明する説明図である。
図7】表示例2について説明する説明図である。
図8】表示例3について説明する説明図である。
図9】表示例3について説明する説明図である。
図10】表示例3について説明する説明図である。
図11】表示例3について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。
以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。

1.画像表示装置100の構成
2.画像表示装置100による表示例1
3.画像表示装置100による表示例2
4.画像表示装置100による表示例3
【0010】
1.画像表示装置100の構成
図1は、画像表示装置100の構成例を示す概略図である。本技術に係る画像表示装置100は、台座10と、出射部20と、スクリーン3と、反射ミラー40と、複数の撮像部50と、を備える。
【0011】
本実施形態では、画像表示装置100が配置される面(XZ平面)の方向を水平方向、それに垂直な方向(Y方向)を上下方向として説明を行う。もちろん画像表示装置100が配置される向きにかかわらず、本技術は適用可能である。
【0012】
台座10は、円筒形状であり画像表示装置100の下方の部分に設けられる。台座10は、図示しない任意の保持機構により、出射部20、スクリーン30、反射ミラー40、及び複数の撮像部50を保持する。また、台座10には、図示しないバッテリー等の電源供給源やスピーカー、その他画像表示装置100の動作に必要な素子等が適宜設けられる。台座10の形状等は特に限定されず、例えば、直方体等の任意の形状とすることができる。
【0013】
出射部20は、円筒形状の台座10の略中心の位置に、上方に向けて設置される。出射部20は、上下方向(Y方向)に延在する光軸1に沿って、画像を構成する画像光21を放射状に出射する。したがって、光軸1を含む任意の面においては、出射部20からは所定の画角で画像光21が出射される。なお、本実施形態では、光軸1は、所定の軸に相当する。
【0014】
出射部20としては、例えば、RGBの各色に対応したレーザ光をスキャンして各画素を表示するレーザ走査方式のカラープロジェクタ等が用いられる。出射部20の具体的な構成は特に限定されず、例えば小型のモバイルプロジェクタ(ピコプロジェクタ)や単色のレーザ光を用いたプロジェクタ等が、画像表示装置100のサイズや用途等に応じて適宜用いられてよい。この他、画像光を投射可能な任意のプロジェクタが用いられてよい。
【0015】
例えば、出射部20として、レーザダイオード(LD:Laser Diode)、LED(Light Emitting Diode)等を用いた発光素子と、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、DMD(Digital Mirror Device)、反射型液晶、透過型液晶等を用いた光変調素子を有する投射装置(プロジェクタ)等が適宜用いられてよい。すなわち、LD+MEMS、LD+DMD、LD+反射型液晶、LD+透過型液晶、LED+MEMS、LED+DMD、LED+反射型液晶、LED+透過型液晶といった構成を有する投射装置等が用いられてよい。もちろん、他の構成を有する投射装置が用いられる場合にも、本技術は適用可能である。
【0016】
スクリーン30は、出射部20の光軸1の周囲の全周にわたって配置され、該光軸1を略中心軸とする円筒形状で構成される。スクリーン30を構成する円筒体は透明であることが好ましく、該円筒体の内側又は外側には、後述する反射ミラー40の反射面41によりスクリーン30の全周に向けて放射状に反射された画像光21を水平方向に偏光するフィルムが貼合されている。
【0017】
本実施形態では、スクリーン30(円筒形状)の中心軸と出射部20の光軸1とが略一致する。図1に示す例では、台座10と同様の直径を有するスクリーン30が示されているが、本技術ではこれに限定されず、スクリーン30の直径や高さ等は適宜設定されてよい。
【0018】
本実施形態において、反射ミラー40は、出射部20により出射された画像光21を反射する反射面41を有する。反射ミラー40は、この反射面41が出射部20に向くように、光軸1を基準として出射部20に対向して配置される。
【0019】
本実施形態では、反射面41は、光軸1を基準とした回転対称な形状を有する。具体的には、反射面41は、放物線の一部を切り出した曲線を光軸1を基準として回転した回転面2を含む。回転面2は、放物線の凹状である側(放物線の焦点側)が光を反射する側(反射面41)となるように、また放物線の軸と光軸1とが異なるように構成される。
【0020】
本実施形態では、反射面41は光軸1上に頂点を有する形状である。すなわち、反射面41は、回転面2と光軸1とが交わる点が出射部20から見て凸状となっている。また、反射ミラー40の断面形状において、光軸1を挟んで左側及び右側の曲線は、出射部20から見て凹状となる放物線の形状となっている。
【0021】
反射ミラー40の具体的な構成等は限定されない。例えば、反射ミラー40を構成する材料として、アクリル等の樹脂、ガラス、金属等の任意の材料が用いられてよい。例えば、これらの材料に対して、表面粗さRa<0.1μm程度となるような鏡面加工を材料表面に施すことにより反射ミラー40が構成される。この他、例えば、加工精度や生産性等に応じて任意の材料が反射ミラー40に用いられてよい。
【0022】
また、例えば、反射ミラー40の反射面41には、アルミや銀等の薄膜を用いた高反射率コーティング等が施されてもよい。これにより、反射面41に入射した画像光21を高い効率で反射することが可能となる。また、反射面41の表面には、SiO膜や重合膜等の薄膜を用いた反射面41を保護する保護コーティング等が適宜施されてよい。この他、高反射コーティング及び保護コーティング等の材質等は限定されない。
【0023】
出射部20から上方に向けて放射状に出射された画像光21は、反射ミラー40の反射面41により、スクリーン30の全周に向けて放射状に反射される。上記したように、反射面41は、放物線形状の回転面2を有する。したがって、この回転面2により反射された画像光21は、スクリーン30に対する入射角度が略一定となる。これにより、出射部20により出射された画像光21のスクリーン30に対する入射角度を制御することができる。入射角度が制御された画像光21は、スクリーン30に照射され、出射部20の光軸1の周囲の全周にわたって配置された該スクリーン30に対して高品質な画像表示を実現することが可能となる。
【0024】
本実施形態において、反射ミラー40は、出射部20により出射された画像光21のスクリーン30に対する入射角度を制御する光学部として機能する。具体的には、反射ミラー40により、画像光21のスクリーン30に対する入射角度が略一定に制御される。
【0025】
撮像部50は、台座10に複数備えられ、ユーザーを撮影する。撮像部50は、少なくとも1つのカメラを含み、所望の画面解像度及びフレームレートにてユーザーの映像を撮影する。前記カメラは、3Dカメラであってもよい。複数の撮像部50は、台座10の異なる位置(例えば、略180度異なる位置、略90度異なる位置等)にそれぞれ設けられる。これにより、片方の撮像部50がユーザーを撮影できない場合においても、もう一方の撮像部50によりユーザーを撮影することができる。
【0026】
本実施形態において、画像表示装置100は、撮像部50で撮影した画像に基づき、ユーザーの存在、ユーザーの位置、ユーザーが見る高さや角度等を検知する。具体的には、撮像部50により画像表示装置100の周辺の映像を撮影し、撮影した映像を情報処理することで検知することができる。この処理は、例えば、台座10に備えられた処理部(不図示)によって行ってもよいし、台座10に備えられた通信部(不図示)により外部のサーバにデータを送信することによって行ってもよい。
【0027】
画像表示装置100が、ユーザーの存在、ユーザーの位置、ユーザーが見る高さや角度等を検知したら、本技術では、これに基づき、ユーザーをトラッキングすることができる。これについては、後述する表示例2で詳細に説明する。
【0028】
2.画像表示装置100による表示例1
以下、本技術に係る画像表示装置100を用いた映像の表示例について、詳細に説明する。なお、本技術において、「映像」は、静止画であっても動画であってもよい。
【0029】
本技術では、スクリーン30に入射した画像光21により表示される映像が、前記所定の軸の周囲の全周にわたって(360度の全方向に)同時に表示されたものである。これにより、画像光21により表示される映像が2Dであっても、表示の仕方によってユーザーに対してこれが奥行き感のある3Dの映像であるかのように見せることができる。
【0030】
このように見せるためには、前記映像を、前記スクリーンの所定の方向から視た際に複数のコンテンツが重畳的に視認されるように表示することが挙げられる。例えば、図2のa及びbに示すように、スクリーン30上でコンテンツAとコンテンツBの2つのコンテンツに出し分けて映像表示することで、ユーザーは手前側のコンテンツAと奥側のコンテンツBを視認することができる。これにより、両コンテンツ間に遠近感を生じさせることができ、奥行き感のある映像をユーザーに提供できる。なお、奥側のコンテンツBは、図2のbに示すように、ユーザーから見るとその左右が逆転して見える。
【0031】
この場合、更に遠近感を生じさせるため、映像の一部の輝度を調節したものを表示することができる。具体的には、図2の例では、コンテンツAの背景を輝度の低い暗式調とし、他方、コンテンツBの背景を輝度の高い配色となるように投影表示を制御することで、コンテンツBを積極的に表示させる。また、コンテンツAを積極的に表示させる場合には、コンテンツBの背景を輝度の低い暗式調とし、他方、コンテンツAの背景を輝度の高い配色となるように投影表示を制御すればよい。
【0032】
本技術では、図3のaの示すように、複数のユーザーに対して、映像を仮想的に立体表示することもできる。例えば、関連するコンテンツC乃至コンテンツEを表示すると、各ユーザーは同時にこれらのコンテンツを視認することができる。この場合、図3のbに示すように、ユーザーXからは、コンテンツCが手前に見え、コンテンツD及びコンテンツEが奥側に見える。一方で、図3のcに示すように、ユーザーYからは、コンテンツD及びコンテンツEが手前に見え、コンテンツCが奥側に見える。
【0033】
このように、各ユーザーからはコンテンツC乃至コンテンツEの前後関係が入れ替わって見えるため、ユーザー毎に新しいコンテンツ体験を提供することができる。具体的には、ライブ映像などを表示し、ユーザーの見る位置によって演者の位置を変えて表示させることができる。
【0034】
本技術において、前記映像は、前記スクリーンの周方向に沿って連続することが好ましい。これは、具体的には、例えば、図4及び図5に示すように、円筒状のスクリーンに投影した際に、端や切れ目がない映像である。このような映像とすることで、円筒状のスクリーンのどの方向から見ても(360度のどの位置から見ても)、違和感がない映像となる。
【0035】
このような映像は、図4のa及びbに示すように、予め所定の間隔を開けて被写体を撮影することにより、円筒状のスクリーンに投影した際に、所定の位置から見て手前側と奥側で視認されるように作成することができる。
【0036】
また、図5に示すように、別々の箇所で撮影した個々の画像を合成することで作成することができる。具体的には、まず、ブルーバックやグリーンバックなどで個々に元画像を撮影する。その後、被写体を切り抜き処理する。そして、左端と右端が接しても違和感のない背景画像上に切抜いた各画像を合成する。この際に、各画像間の距離Lを所望の距離に調整して配置することで、各被写体の表示位置を変更することができる。最後に、合成した画像を円筒状のスクリーンに投影することで、2つの被写体が手前側と奥側に重なって見えるようにする。
【0037】
本技術において、前記合成は、リアルタイムで行われてもよく、この場合、後述する表示例2に示すように、前述した複数の撮像部50により撮影された画像に基づき、トラッキングを行ってユーザーの位置、ユーザーが見る高さや角度等を認識しつつ、これらの情報に応じた表示位置に表示させるように画像を合成することができる。なお、前記合成は、各種ソフトウェア等を用いて行うことができる。
【0038】
また、本技術では、前記映像を、前記所定の軸を略中心軸として回転させてもよい。これにより、ユーザーに対して新たなコンテンツを提供できる。この場合、前記映像の内容に応じて、回転の速度を調整することができる。
【0039】
3.画像表示装置100による表示例2
以下、本技術に係る画像表示装置100を用いた映像の別の表示例について、詳細に説明する。
【0040】
本表示例2では、前述した複数の撮像部50により撮影された画像に基づき、トラッキングを行う。具体的には、図6のaから図6のbへの変化に示すように、ユーザーが見る位置に合わせて、異なる映像に動的に変化させたり、被写体のZ軸を動的に移動させたりすることが挙げられる。他にも、図6のaから図6のcへの変化に示すように、ユーザーが見る角度に合わせて、常に被写体がユーザーに正対するように被写体のX軸を動的に移動させることが挙げられる。
【0041】
また、図7のaから図7のbへの変化に示すように、ユーザーが見る高さ(角度)に合わせて、被写体のY軸を動的に移動させることが挙げられる。
【0042】
4.画像表示装置100による表示例3
以下、本技術に係る画像表示装置100を用いた映像の別の表示例について、詳細に説明する。
【0043】
本表示例3において、前記映像は、スクリーン30上部にスクリーン30の周方向に沿って連続する帯状の情報表示エリア301を有する。この情報表示エリア301には、図8のa~cに示すように、天気、気温などを指標するアイコンの他、ニュースタイトルや受信メールタイトルなどの所定の属性情報が表示される。
【0044】
また、情報表示エリア301は、多段式に表示されていてもよく、この場合、各段の文字の大きさ、文章の長さ等も適宜自由に設定できる。
【0045】
なお、本技術では、図9乃至図11に示すように、情報表示エリア301の下部の領域には、他のコンテンツを表示させることもできる。
【0046】
前記情報表示エリアは、図9乃至図11に示すように、前記スクリーンの上端から下方に向かってスライドインすることが好ましい。
【0047】
この場合、円筒状のスクリーンに表示されたコンテンツAに対し、スクリーン上部から情報表示エリアをスライドインさせた際に、図9のa~dに示すように、コンテンツAは更に下部にスライドさせてもよい。また、図10のa~dに示すように、情報表示エリアをコンテンツAの表示エリア(=前記情報表示エリア以外の領域)にオーバーレイさせて表示させてもよい。更に、図11のa~dに示すように、コンテンツAがスクイーズして情報表示エリアの出現によって狭くなった後の縦幅に収まるように表示させてもよい。
【0048】
前記映像は、情報表示エリア301と情報表示エリア301以外の領域との間に明度の差を有することが好ましい。具体的には、例えば、情報表示エリア301を黒又は明度の低い暗色調とし、情報表示エリア301以外の領域を明度の高い色とする。これにより、両者の間にコントラストを設け、いずれかを目立たせて表示したり、各々で異なる印象を与えたりといった視覚的効果が生じる。
【0049】
本技術では、情報表示エリア301は、前記所定の軸を略中心軸として回転し、情報の内容によって前記回転の速度が変化するものであってもよい。例えば、情報表示エリア301に表示させる情報の内容が、メール等のテキスト情報である場合等には、回転速度が遅めになるように制御し、週間天気予報等の記号などで表される情報である場合等には、テキスト情報である場合よりも回転速度が速めになるように制御する。
【0050】
また、情報表示エリア301以外の領域にコンテンツを表示させる場合、このコンテンツを前記所定の軸を略中心軸として回転させ、かつ、情報表示エリアとは別の回転速度に制御してもよい。
【0051】
なお、本技術では、以下の構成を取ることもできる。
(1)
所定の軸に沿って画像光を出射する出射部と、
前記所定の軸の周囲の全周にわたって配置され、前記所定の軸を略中心軸とする円筒形状で構成されるスクリーンと、
前記所定の軸を基準として前記出射部に対向して配置され、前記出射部により出射された前記画像光の前記スクリーンに対する入射角度を制御する光学部と、
を具備し、
前記スクリーンに入射した前記画像光により表示される映像は、前記所定の軸の周囲の全周にわたって同時に表示されたものである、画像表示装置。
(2)
前記映像は、前記スクリーンの所定の方向から視た際に複数のコンテンツが重畳的に視認されるものである、(1)に記載の画像表示装置。
(3)
前記映像は、その一部の輝度が調節されたものである、(1)又は(2)に記載の画像表示装置。
(4)
前記映像は、前記スクリーンの周方向に沿って連続する、(1)から(3)のいずれかに記載の画像表示装置。
(5)
前記映像は、前記所定の軸を略中心軸として回転する、(4)に記載の画像表示装置。
(6)
ユーザーを撮影する複数の撮像部、を更に具備し、
前記複数の撮像部により撮影された映像に基づき、トラッキングを行う、(1)から(5)のいずれかに記載の画像表示装置。
(7)
前記映像は、前記スクリーン上部に前記スクリーンの周方向に沿って連続する帯状の情報表示エリアを有する、(1)から(6)のいずれかに記載の画像表示装置。
(8)
前記情報表示エリアは、前記スクリーンの上端から下方に向かってスライドインする、(7)に記載の画像表示装置。
(9)
前記映像は、前記情報表示エリアと前記情報表示エリア以外の領域との間に明度の差を有する、(7)又は(8)に記載の画像表示装置。
(10)
前記情報表示エリアは、前記所定の軸を略中心軸として回転し、情報の内容によって前記回転の速度が変化する、(7)から(9)のいずれかに記載の画像表示装置。
【符号の説明】
【0052】
100:画像表示装置
1:光軸
2:回転面
10:台座
20:出射部
21:画像光
30:スクリーン
40:反射ミラー
41:反射面
50:撮像部
301:情報表示エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11