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特許7405106熱間圧延におけるレベリング制御方法、レベリング制御装置及び熱間圧延設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】熱間圧延におけるレベリング制御方法、レベリング制御装置及び熱間圧延設備
(51)【国際特許分類】
   B21B 37/58 20060101AFI20231219BHJP
   B21B 37/68 20060101ALI20231219BHJP
   B21B 37/72 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B21B37/58 B
B21B37/68 Z
B21B37/72
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021037323
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137703
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山口 英仁
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 知義
(72)【発明者】
【氏名】後藤 寛人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 貴広
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-273510(JP,A)
【文献】特開平11-010215(JP,A)
【文献】特開平04-009206(JP,A)
【文献】特開2002-126813(JP,A)
【文献】特開2004-074207(JP,A)
【文献】特開2009-028772(JP,A)
【文献】特開2001-269708(JP,A)
【文献】特開平05-031514(JP,A)
【文献】特開2019-204351(JP,A)
【文献】特開2006-320933(JP,A)
【文献】特開2017-018989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗圧延機による粗圧延後の圧延材の先端部の横曲がり量を検出する横曲り量検出ステップと、
検出された粗圧延後の前記圧延材の先端部の横曲がり量に基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機における前段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部のレベリング修正量を算出するレベリング修正量算出ステップと、
前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御するレベリング制御ステップとを含むことを特徴とする熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項2】
過去の前記圧延材の大きさに関する情報、過去の前記圧延材の温度に関する情報、過去の前記仕上圧延機のワークロールに関する情報、及び過去の前記圧延材の先端部の実績レベリング修正量を入力データとし、この入力データに対する前記仕上圧延機における後段仕上圧延スタンドでの過去の前記圧延材の先端部の実績蛇行量を出力データとした複数の学習用データを、機械学習させて蛇行量予測モデルを生成する蛇行量予測モデル生成ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項3】
前記蛇行量予測モデルに、現圧延パスにおける前記圧延材の大きさに関する情報、現圧延パスにおける前記圧延材の温度に関する情報、現圧延パスにおける前記仕上圧延機のワークロールに関する情報、及び前記レベリング修正量算出ステップで算出された前記圧延材の先端部のレベリング修正量を入力して、前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の蛇行量を予測する蛇行量予測ステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項4】
前記レベリング制御ステップでは、前記蛇行量予測ステップで予測された前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量が所定の閾値よりも小さい場合、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時に、前記レベリング修正量算出ステップで算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御することを特徴とする請求項3に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項5】
前記蛇行量予測ステップで予測された前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量が所定の閾値以上である場合に、当該後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量が所定の閾値よりも小さくなるように、前記レベリング修正量算出ステップで算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量を補正するレベリング修正量補正ステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項6】
前記レベリング制御ステップでは、前記レベリング修正量補正ステップにおいて、前記レベリング修正量算出ステップで算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量を補正したときには、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、補正された前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御することを特徴とする請求項5に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項7】
前記横曲り量検出ステップでは、前記粗圧延機による粗圧延後の圧延材の先端部の横曲がり量及び尾端部の横曲がり量のそれぞれを検出し、
前記レベリング修正量算出ステップでは、検出された粗圧延後の前記圧延材の先端部の横曲がり量及び尾端部の横曲がり量のそれぞれに基づいて、レベリング制御を実施する仕上圧延機における前段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部のレベリング修正量及び尾端部のレベリング修正量のそれぞれを算出し、
前記レベリング制御ステップでは、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施し、前記圧延材の尾端部が通過した時のみに、前記圧延材の尾端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドを制御することを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項8】
過去の前記圧延材の大きさに関する情報、過去の前記圧延材の温度に関する情報、過去の前記仕上圧延機のワークロールに関する情報、及び過去の前記圧延材の先端部の実績レベリング修正量及び尾端部の実績レベリング修正量のそれぞれを入力データとし、この入力データに対する前記仕上圧延機における後段仕上圧延スタンドでの過去の前記圧延材の先端部の実績蛇行量及び尾端部の実績蛇行量のそれぞれを出力データとした複数の学習用データを、機械学習させて蛇行量予測モデルを生成する蛇行量予測モデル生成ステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項9】
前記蛇行量予測モデルに、現圧延パスにおける前記圧延材の大きさに関する情報、現圧延パスにおける前記圧延材の温度に関する情報、現圧延パスにおける前記仕上圧延機のワークロールに関する情報、及び前記レベリング修正量算出ステップで算出された前記圧延材の先端部のレベリング修正量及び尾端部のレベリング修正量のそれぞれを入力して、前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の蛇行量及び尾端部の蛇行量を予測する蛇行量予測ステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項10】
前記レベリング制御ステップでは、前記蛇行量予測ステップで予測された前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量及び尾端部の予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値よりも小さい場合、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、前記レベリング修正量算出ステップで算出された前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施し、前記圧延材の尾端部が通過した時のみに、前記レベリング修正量算出ステップで算出された前記圧延材の尾端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御することを特徴とする請求項9に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項11】
前記蛇行量予測ステップで予測された前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量及び尾端部の予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値以上である場合に、当該後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量及び尾端部の予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値よりも小さくなるように、前記レベリング修正量算出ステップで算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量及び尾端部のレベリング修正量のそれぞれを補正するレベリング修正量補正ステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項12】
前記レベリング制御ステップでは、前記レベリング修正量補正ステップにおいて、前記レベリング修正量算出ステップで算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量及び尾端部のレベリング修正量のそれぞれを補正したときには、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時に、補正された前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施し、前記圧延材の尾端部が通過した時に、補正された前記圧延材の尾端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御することを特徴とする請求項11に記載の熱間圧延におけるレベリング制御方法。
【請求項13】
粗圧延機による粗圧延後の圧延材の先端部の横曲がり量を検出する形状検出器と、
該形状検出器で検出された粗圧延後の前記圧延材の先端部の横曲がり量に基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機における前段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部のレベリング修正量を算出するレベリング修正量算出部と、
前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御するレベリング制御部とを備えていることを特徴とする熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項14】
過去の前記圧延材の大きさに関する情報、過去の前記圧延材の温度に関する情報、過去の前記仕上圧延機のワークロールに関する情報、及び過去の前記圧延材の先端部の実績レベリング修正量を入力データとし、この入力データに対する前記仕上圧延機における後段仕上圧延スタンドでの過去の前記圧延材の先端部の実績蛇行量を出力データとした複数の学習用データを、機械学習させて蛇行量予測モデルを生成する蛇行量予測モデル生成部を備えていることを特徴とする請求項13に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項15】
前記蛇行量予測モデルに、現圧延パスにおける前記圧延材の大きさに関する情報、現圧延パスにおける前記圧延材の温度に関する情報、現圧延パスにおける前記仕上圧延機のワークロールに関する情報、及び前記レベリング修正量算出部で算出された前記圧延材の先端部のレベリング修正量を入力して、前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の蛇行量を予測する蛇行量予測部を備えていることを特徴とする請求項14に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項16】
前記レベリング制御部は、前記蛇行量予測部で予測された前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量が所定の閾値よりも小さい場合、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、前記レベリング修正量算出部で算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御することを特徴とする請求項15に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項17】
前記蛇行量予測部で予測された前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量が所定の閾値以上である場合に、当該後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量が所定の閾値よりも小さくなるように、前記レベリング修正量算出部で算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量を補正するレベリング修正量補正部を備えていることを特徴とする請求項16に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項18】
前記レベリング制御部は、前記レベリング修正量補正部において、前記レベリング修正量算出部で算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量を補正したときには、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、補正された前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御することを特徴とする請求項17に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項19】
前記形状検出器は、前記粗圧延機による粗圧延後の圧延材の先端部の横曲がり量及び尾端部の横曲がり量のそれぞれを検出し、
前記レベリング修正量算出部は、検出された粗圧延後の前記圧延材の先端部の横曲がり量及び尾端部の横曲がり量のそれぞれに基づいて、レベリング制御を実施する仕上圧延機における前段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部のレベリング修正量及び尾端部のレベリング修正量のそれぞれを算出し、
前記レベリング制御部は、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施し、前記圧延材の尾端部が通過した時のみに、前記圧延材の尾端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドを制御することを特徴とする請求項13に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項20】
過去の前記圧延材の大きさに関する情報、過去の前記圧延材の温度に関する情報、過去の前記仕上圧延機のワークロールに関する情報、及び過去の前記圧延材の先端部及の実績レベリング修正量び尾端部のレベリング修正量それぞれを入力データとし、この入力データに対する前記仕上圧延機における後段仕上圧延スタンドでの過去の前記圧延材の先端部の実績蛇行量及び尾端部の実績蛇行量のそれぞれを出力データとした複数の学習用データを、機械学習させて蛇行量予測モデルを生成する蛇行量予測モデル生成部を備えていることを特徴とする請求項19に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項21】
前記蛇行量予測モデルに、現圧延パスにおける前記圧延材の大きさに関する情報、現圧延パスにおける前記圧延材の温度に関する情報、現圧延パスにおける前記仕上圧延機のワークロールに関する情報、及び前記レベリング修正量算出部で算出された前記圧延材の先端部のレベリング修正量及び尾端部のレベリング修正量のそれぞれを入力して、前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の蛇行量及び尾端部の蛇行量のそれぞれを予測する蛇行量予測部を備えていることを特徴とする請求項20に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項22】
前記レベリング制御部は、前記蛇行量予測部で予測された前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量及び尾端部の予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値よりも小さい場合、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、前記レベリング修正量算出部で算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施し、前記圧延材の尾端部が通過した時のみに、前記レベリング修正量算出部で算出した前記圧延材の尾端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御することを特徴とする請求項21に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項23】
前記蛇行量予測部で予測された前記後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量及び尾端部の予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値以上である場合に、当該後段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部の予測蛇行量及び尾端部の予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値よりも小さくなるように、前記レベリング修正量算出部で算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量及び尾端部のレベリング修正量のそれぞれを補正するレベリング修正量補正部を含むことを特徴とする請求項22に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項24】
前記レベリング制御部は、前記レベリング修正量補正部において、前記レベリング修正量算出部で算出した前記圧延材の先端部のレベリング修正量及び尾端部のレベリング修正量のそれぞれを補正したときには、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、補正された前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施し、前記圧延材の尾端部が通過した時のみに、補正された前記圧延材の尾端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御することを特徴とする請求項23に記載の熱間圧延におけるレベリング制御装置。
【請求項25】
請求項13乃至24のうちいずれか一項に記載のレベリング制御装置を備えていることを特徴とする熱間圧延設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延設備での熱延鋼帯の製造において、圧延材の横曲がりを圧延中に矯正するための、熱間圧延におけるレベリング制御方法、レベリング制御装置及び熱間圧延設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱間圧延設備では、加熱炉においてスラブ(圧延材)を所定温度に加熱し、加熱されたスラブ(圧延材)を粗圧延機で所定の板厚に粗圧延してシートバー(圧延材)とし、その後、複数基のスタンドからなる仕上圧延機でシートバー(圧延材)を所定の板厚に仕上圧延する。仕上圧延されたシートバー(圧延材)は、所定の板厚の熱延鋼帯となり、仕上圧延機の下流側に設置されたランナウトテーブル(冷却設備)で冷却される。その後、熱延鋼帯は、巻取機によりコイル状に巻き取られて製造される。
【0003】
ここで、粗圧延機及び仕上圧延機はそれぞれ複数基のスタンドからなり、設備保全の不完全さや、ミル剛性の左右差(被圧延材の板幅方向の差)などにより、それぞれ圧延中に圧下バランスが左右対称とならずに片圧下が発生する可能性がある。しかし、複数基のスタンド全てを左右対称な状態に保全管理することは難しい。また、圧延材に左右非対称要因が存在することも多い。例えば、圧延材の板幅方向の板厚差(以下、ウェッジと呼ぶ)や板幅方向の温度偏差が左右非対称要因に挙げられる。このため、圧延後の圧延材はウェッジや横曲がり(キャンバーともいう)を生ずることが多い。
【0004】
粗圧延後の圧延材にこのようなウェッジや横曲がりがあると、仕上圧延において圧延材が蛇行して通板トラブルにつながるので、それらウェッジや横曲がりを矯正する必要がある。
このような粗圧延における圧延材の横曲がりを防止するとともに、ウェッジを除去するものとして、従来、例えば、特許文献1に示すものが知られている。
特許文献1に示す熱間粗圧延における圧延材の曲がり及びウェッジ制御方法は、複数の圧延パスからなる粗圧延工程にて、最終パスを除く任意の途中圧延パスを行う直前に圧延材の横曲がり量とウェッジ量を検出する。そして、当該制御方法では、その検出結果より最終パスの圧延終了後の圧延材の横曲がり量及びウェッジ量を予測し、当該途中圧延パス以降の第1修正パスにおいて予測横曲がり量が発生する側のロールギャップが大きくなるように上下ロール平行度を調節した圧延を行い、第1修正パス以降の第2修正パスにおいて第1修正パスとは逆側のロールギャップが大きくなるように上下ロール平行度を調節した圧延を行う。
これにより、粗圧延における圧延材の横曲がりを防止するとともに、ウェッジを除去することができる。
【0005】
また、圧延材の横曲がりを圧延中に矯正するものとして、従来、例えば、特許文献2に示すものも知られている。
特許文献2に示す熱間圧延におけるレベリング圧延方法は、仕上圧延機列の入側に設けた形状検出器により、粗圧延材の横曲り発生長さL及び横曲がり量lを検出し、予め設定した圧延ロールのレベリング修正量と横曲がり矯正量の関連式を用いて、I/Lに基づいて、入側の仕上圧延スタンドから順次予め設定した許容最大レベリング修正量となるように各仕上圧延スタンド(前段の各仕上圧延スタンド)にレベリング修正量をふり当て設定するレベリング制御を行うものである。
これにより、粗圧延材の横曲がりが確実に且つ正確に矯正されて、寸法精度の優れたホットコイルを製造することが可能となる。
なお、レベリングとは、圧延機(スタンド)の作業(OP)側のロールギャップと駆動(DR)側のロールギャップとの開度差のことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平4-13406号公報
【文献】特開平5-31514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これら従来の特許文献1に示す熱間粗圧延における圧延材の曲がり及びウェッジ制御方法、及び特許文献2に示す熱間圧延におけるレベリング圧延方法にあっては、以下の問題点があった。
即ち、特許文献1に示す熱間粗圧延における圧延材の曲がり及びウェッジ制御方法の場合、粗圧延工程にて、最終パスを除く任意の途中圧延パスを行う直前に圧延材の横曲がり量とウェッジ量を検出し、その検出結果より最終パスの圧延終了後の圧延材の横曲がり量及びウェッジ量を予測し、その予測した値が小さくなるようにロールギャップの制御を行う。しかし、この場合において、粗圧延後の圧延材の横曲がり量を十分に抑制することができず、仕上圧延において圧延材が蛇行して通板トラブルにつながってしまうことがある。
【0008】
また、特許文献2に示す熱間圧延におけるレベリング圧延方法の場合、仕上圧延機列の入側(粗圧延機の出側)に設けた形状検出器により、粗圧延材の横曲がり量を検出し、その検出した横曲がり量に基づいて各前段仕上圧延スタンドのレベリング修正量を設定しているため、特許文献1に示すような不都合は生じにくい。
【0009】
しかしながら、特許文献2に示すレベリング圧延方法の場合、レベリング修正量の設定を行う各圧延スタンドにおいての制御終了時刻については何ら示唆されていない。つまり、レベリング修正を実施する各圧延スタンドにおいて、圧延材の先端部が通過してから圧延材の尾端部が通過するまでレベリング修正を行うと考えられる。レベリング修正を行う各圧延スタンドにおいて、例えば、横曲がりが頻繁に発生しその横曲がり量が大きい圧延材の先端部の横曲がり量に基づくレベリング修正は圧延材の先端部が当該各圧延スタンドを通過するとき行えば足りるが、圧延材の先端部が通過してから圧延材の尾端部が通過するまでレベリング修正を行うと、圧延材の先端部から尾端部まで横曲り量が一定であるとは限らないにもかかわらず、その圧延材の先端部の横曲がり量に基づくレベリング修正を圧延材の全長にわたって行うことになり、圧延材の先端部を含む圧延材全長の横曲がり量の適切な矯正を行うことができない。
【0010】
従って、本発明はこの従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、圧延材の先端部に横曲がりが発生している場合において、圧延材の先端部を含む圧延材全長の横曲がり量の適切な矯正を行うことができる、熱間圧延におけるレベリング制御方法、レベリング制御装置及び熱間圧延設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る熱間圧延におけるレベリング制御方法は、粗圧延機による粗圧延後の圧延材の先端部の横曲がり量を検出する横曲り量検出ステップと、検出された粗圧延後の前記圧延材の先端部の横曲がり量に基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機における前段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部のレベリング修正量を算出するレベリング修正量算出ステップと、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御するレベリング制御ステップとを含むことを要旨とする。
【0012】
ここで、レベリング修正を実施する「前段仕上圧延スタンド」とは、仕上圧延機がn(n≧3)基の仕上圧延スタンドを有する場合において、圧延材の搬送方向において先頭から順番に数えてn/2番目よりも前の仕上圧延スタンドのうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドをいう。
【0013】
また、本発明の別の態様に係る熱間圧延におけるレベリング制御装置は、粗圧延機による粗圧延後の圧延材の先端部の横曲がり量を検出する形状検出器と、該形状検出器で検出された粗圧延後の前記圧延材の先端部の横曲がり量に基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機における前段仕上圧延スタンドでの前記圧延材の先端部のレベリング修正量を算出するレベリング修正量算出部と、前記前段仕上圧延スタンドにおいて、前記圧延材の先端部が通過した時のみに、前記圧延材の先端部のレベリング修正量のレベリング修正を実施するように、前記前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御するレベリング制御部とを備えていることを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係る熱間圧延設備は、前述のレベリング制御装置を備えていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る熱間圧延におけるレベリング制御方法、レベリング制御装置及び熱間圧延設備によれば、圧延材の先端部に横曲がりが発生している場合において、圧延材の先端部を含む圧延材全長の横曲がり量の適切な矯正を行うことができる、熱間圧延におけるレベリング制御方法、レベリング制御装置及び熱間圧延設備を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るレベリング制御装置を備えた熱間圧延設備の概略構成図である。
図2】粗圧延後の圧延材の先端部及び尾端部のそれぞれに横曲がりが発生している状態の一例を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るレベリング制御装置の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図4図1に示すレベリング制御装置の蛇行量予測モデル生成部による蛇行量予測モデルの生成の様子を示す図である。
図5】ニューラルネットワークモデルである蛇行量予測モデルの処理フローを示す図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るレベリング制御装置による、レベリング修正を実施する前段仕上圧延スタンドでのレベリング制御を説明するための図である。
図7】粗圧延後の圧延材の先端部における横曲がり量と当該圧延材の尾端部における横曲がり量との関係を示すグラフである。
図8】本発明の第2実施形態に係るレベリング制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本発明の第2実施形態に係るレベリング制御装置の蛇行量予測モデル生成部による蛇行量予測モデルの生成の様子を示す図である。
図10】ニューラルネットワークモデルである蛇行量予測モデルの処理フローを示す図である。
図11】本発明の第2実施形態に係るレベリング制御装置による、レベリング修正を実施する前段仕上圧延スタンドでのレベリング制御を説明するための図である。
図12】圧延材の蛇行量を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0017】
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態に係るレベリング制御装置を備えた熱間圧延設備の概略構成が示されている。
図1に示す熱間圧延設備1は、スラブ(圧延材)Sを所定の温度に加熱する加熱炉2と、加熱炉2で加熱されたスラブ(圧延材)Sを所定の板厚に粗圧延しシートバー(圧延材)Sとする粗圧延機3と、シートバー(圧延材)Sを所定の板厚に仕上圧延する仕上圧延機4とを備えている。粗圧延機3は、n基(本実施形態ではn=3基)の粗圧延スタンドR1~R3を備えている。また、仕上圧延機4は、n基(本実施形態ではn=7基)の仕上圧延スタンドF1~F7を備えている。
【0018】
また、熱間圧延設備1は、仕上圧延された熱延鋼帯(圧延材)Sを冷却するランナウトテーブル5と、冷却された熱延鋼帯Sをコイル状に巻き取る巻取機6を備えている。
ここで、粗圧延機3は、前述したように、n基(本実施形態ではn=3基)の粗圧延スタンドR1~R3からなり、設備保全の不完全さや、ミル剛性の左右差(被圧延材の板幅方向の差)などにより、それぞれ圧延中に圧下バランスが左右対称とならずに片圧下が発生する可能性がある。また、圧延材Sに左右非対称要因が存在することも多い。これにより、図2に示すように、粗圧延後の圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbのそれぞれには横曲がりが発生することが多い。圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leは、圧延材Sの幅方向中心線CLの先端部Saでの横方向(幅方向)変位量で定義される。また、圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teは、圧延材Sの幅方向中心線CLの尾端部Sbでの横方向(幅方向)変位量で定義される。
【0019】
粗圧延後の圧延材Sの先端部Saや尾端部Sbにこのような横曲がりがあると、仕上圧延機4による仕上圧延において、圧延材Sが蛇行して通板トラブルになるおそれがある。このため、本実施形態においては、熱間圧延設備1に備えられたレベリング制御装置10によって、仕上圧延機4の前段仕上圧延スタンドF1,F2にてレベリング修正を実施し、圧延材Sの横曲がりを矯正するようにしている。
レベリング修正を実施する「前段仕上圧延スタンド」は、仕上圧延機4がn(n≧3)基の仕上圧延スタンドを有する場合において、圧延材Sの搬送方向において先頭から順番に数えてn/2番目よりも前(nが偶数の時は、n/2番目以前)の仕上圧延スタンドのうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドを意味し、本実施形態の場合のように7つの仕上圧延スタンドF1~F7を有する場合には、F1,F2に限らず、F1~F3のうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドであればよい。
【0020】
事前の解析から複数の仕上圧延スタンドにてレベリング修正を実施すると、単スタンド(例えば、F1)で実施する場合と比較し、合計レベリング修正量が少なく、ウェッジの変動が少ないため通板上好ましいことが分かった。このため、本実施形態では、仕上圧延スタンドF1,F2にてレベリング修正を実施した。
ここで、レベリング修正を実施する各前段仕上圧延スタンドF1,F2において、横曲がりが頻繁に発生しその横曲がり量が大きい圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づくレベリング修正は圧延材Sの先端部Saが当該各前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するとき行えば足りるが、圧延材Sの先端部Saが通過してから圧延材Sの尾端部Sbが通過するまでレベリング修正を行うと、圧延材Sの先端部Saから尾端部Sbまで横曲り量が一定であるとは限らないにもかかわらず、その圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づくレベリング修正を圧延材Sの全長にわたって行うことになり、圧延材Sの先端部Saを含む圧延材S全長の横曲がり量の適切な矯正を行うことができない。
【0021】
そこで、本実施形態にあっては、レベリング制御装置10によるレベリング制御に際し、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量(後述するΔLv_le、あるいはΔLv_le’)のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御するようにしている。
【0022】
ここで、レベリングは、仕上圧延機4における圧延スタンドの作業(OP)側のロールギャップと駆動(DR)側のロールギャップとの開度差のことであり、レベリングをLvとした場合、圧延スタンドの作業(OP)側の上下ワークロールのロールギャップをLv_0pとし、圧延スタンドの駆動(DR)側の上下ワークロールのロールギャップをLv_drとすると、Lv=Lv_0p-Lv_drで定義される。レベリング修正を実施する前段仕上圧延スタンドF1,F2では、圧延前に予め設定されたレベリングに対し、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量(後述するΔLv_le、あるいはΔLv_le’)のレベリング修正を行う。
【0023】
第1実施形態に係るレベリング制御装置10は、形状検出器13、レベリング修正量算出部14、蛇行量予測モデル生成部15、蛇行量予測部16、判定部17、レベリング制御部18、及びレベリング修正量補正部19を備えている。
形状検出器13は、粗圧延機3による粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leを検出する。
【0024】
具体的に述べると、形状検出器13は、粗圧延機3と仕上圧延機4との間に設置された撮像装置11と、画像処理装置12とを備えている。撮像装置11は、エリアセンサカメラで構成され、エリアセンサカメラによって走行する圧延材Sの表面を撮像する。そして、エリアセンサカメラで撮像された撮像画像の情報が画像処理装置12に送られ、画像処理装置12が当該撮像画像に基づく圧延材走行方向と直交方向の輝度分布から圧延材Sの幅方向両端部の位置を検出し、その検出された圧延材Sの幅方向両端部の位置に基づいて圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leを算出する。
【0025】
また、レベリング修正量算出部14、蛇行量予測モデル生成部15、蛇行量予測部16、判定部17、レベリング制御部18、及びレベリング修正量補正部19のそれぞれは、演算処理機能を有するコンピュータシステムであり、ハードウェアに予め記憶された各種専用のコンピュータプログラムを実行することにより、レベリング修正量算出部14、蛇行量予測モデル生成部15、蛇行量予測部16、判定部17、レベリング制御部18、及びレベリング修正量補正部19の各機能(後に述べるステップS2~ステップS8)をソフトウェア上で実現できるようになっている。
【0026】
レベリング修正量算出部14は、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機4における前段仕上圧延スタンドF1,F2での圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出する。
ここで、レベリング修正量ΔLv_leは、予め設定された鋼種α、レベリング修正を行う圧延スタンド出側の板厚h及び板幅wにおける圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leとレベリング修正量ΔLv_leとの関係から、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて、算出される。
【0027】
つまり、ΔLv_le=f(α,h,w,C_le)で表せる。レベリング修正量ΔLv_leは、幅流れ率や圧延荷重とミル剛性から算出されるロールギャップを考慮して設定される。
また、蛇行量予測モデル生成部15は、図4に示すように、過去の圧延材Sの大きさに関する情報、過去の圧延材Sの温度に関する情報、過去の仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及び過去の圧延材Sの先端部Saの実績レベリング修正量を入力データとし、この入力データに対する仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での過去の圧延材Sの先端部Saの実績蛇行量を出力データとした複数の学習用データを、機械学習させて蛇行量予測モデル150を生成する。
【0028】
ここで、「圧延材Sの大きさに関する情報」としては、製品の寸法(厚さ、幅、長さ)、及び加熱炉2から抽出されたスラブの寸法(厚さ、幅、長さ)が例示される。また、「圧延材Sの温度に関する情報」としては、加熱炉抽出時のスラブの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)、及び粗圧延終了後のシートバーの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)が例示される。さらに、「仕上圧延機4のワークロールに関する情報」としては、F1~F7のそれぞれにおけるワークロール替え後の圧延本数、F1~F7のそれぞれにおけるワークロールの種別、F1~F7のそれぞれにおけるワークロール交換後からの圧延トン数、及びF1~F7のそれぞれにおけるミル剛性差が例示される。
【0029】
また、圧延材Sの先端部Saの蛇行量が予測される「後段仕上圧延スタンド」は、仕上圧延機4がn(n≧3)基の仕上圧延スタンドを有する場合において、圧延材Sの搬送方向において先頭から順番に数えてn/2番目よりも後の仕上圧延スタンドのうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドを意味し、本実施形態の場合のように7つの仕上圧延スタンドF1~F7を有する場合には、F7に限らず、F5~F7のうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドであればよい。
【0030】
ここで、圧延材Sの蛇行量は、図12に示すように、各仕上圧延スタンドF1~F7の幅方向(圧延材Sの幅方向と同じ方向)の中心CL1から圧延材Sの幅方向の中心CL2までの距離δをいう。そして、圧延材Sの先端部Saの蛇行量は、各仕上圧延スタンドF1~F7の幅方向(圧延材Sの幅方向と同じ方向)の中心CL1から圧延材Sの先端部Saの幅方向の中心CL2までの距離である。
なお、蛇行量予測モデル生成部15に読み込まれる複数の学習用データ(過去の圧延材Sの大きさに関する情報、過去の圧延材Sの温度に関する情報、過去の仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及び過去の圧延材Sの先端部Saの実績レベリング修正量と仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での過去の圧延材Sの先端部Saの実績蛇行量)は、上位計算機20から蛇行量予測モデル生成部15に入力される。
【0031】
本実施形態では、機械学習の手法としてニューラルネットワークを採用するため、蛇行量予測モデル150としてニューラルネットワークモデルを生成する。すなわち、蛇行量予測モデル生成部15は、学習用データにおける入力実績データ(過去の圧延材Sの大きさに関する情報、圧延材Sの温度に関する情報、仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及び過去の圧延材Sの先端部Saの実績レベリング修正量)と出力実績データ(仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での過去の圧延材Sの先端部Saの実績蛇行量)とを結び付ける蛇行量予測モデル150としてニューラルネットワークモデルを作成する。ニューラルネットワークモデルは、例えば、関数式で表現される。
【0032】
また、蛇行量予測部16は、蛇行量予測モデル生成部15で生成された蛇行量予測モデル150に、現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報、現圧延パスにおける圧延材Sの温度に関する情報、現圧延パスにおける仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及びレベリング修正量算出部14で算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを入力して、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量を予測する処理を行う。
【0033】
ここで、蛇行量予測モデル150に入力される現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報は、上位計算機20から蛇行量予測部16に読み込まれる。また、蛇行量予測モデル150に入力される現圧延パスにおける圧延材Sの温度に関する情報のうち、加熱炉抽出時のスラブの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)は上位計算機20から蛇行量予測部16に読み込まれ、粗圧延終了後のシートバーの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)については、粗圧延機3の出側に設置された温度計7から蛇行量予測部16に入力される。また、現圧延パスにおける仕上圧延機4のワークロールに関する情報は、上位計算機20から蛇行量予測部16に読み込まれる。
【0034】
図5には、ニューラルネットワークモデルである蛇行量予測モデル150の処理フローが示されている。
ニューラルネットワークモデルである蛇行量予測モデル150は、仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量を予測する機械学習モデルであり、入力側から順に入力層151、中間層152、及び出力層153を含んでいる。
【0035】
入力層151には、現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報、現圧延パスにおける圧延材Sの温度に関する情報、現圧延パスにおける仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及びレベリング修正量算出部14で算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leの情報が格納される。
中間層152は、複数の隠れ層で構成され、各々の隠れ層には複数のニューロンが配置されている。中間層152内に構成される隠れ層の数は特に限定されないが、経験的に隠れ層が多すぎると予測精度が低下することから、5層以下であることが好ましい。
【0036】
出力層153は、中間層152により伝達されたニューロンの情報が結合され、最終的な仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量として出力される。
また、判定部17は、蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さいか否かを判定する。所定の閾値βは、例えば、仕上圧延機4の入側に設置された1対のサイドガイド(図示せず)の圧延材幅方向間隔と圧延材Sの幅との差間隔の平均値である30mm程度に設定される。
【0037】
また、レベリング制御部18は、判定部17の結果が蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さい場合、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、図6に示すように、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する。
【0038】
つまり、レベリング制御部18は、判定部17の結果が蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さい場合、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。ここで、予めセットアップ計算で設定されるレベリングLv1は、事前に評価したウェッジのばらつきの中央値で最も蛇行効果が高くなるような値に設定したものである。
【0039】
圧延材Sのトラッキング情報は、レベリング制御部18に送られており、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saの位置を常に把握している。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t1だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t2経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。レベリング制御部18は、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するまでこの制御を続ける。
【0040】
一方、判定部17の結果が蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値β以上である場合に、レベリング修正量補正部19は、当該後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さくなるように、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを補正する。
そして、レベリング制御部18は、レベリング修正量補正部19において、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを補正したときには、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、図6に示すように、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、補正された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する。
【0041】
つまり、レベリング制御部18は、レベリング修正量補正部19において、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを補正した場合、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1に補正した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’を合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。
【0042】
レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t1だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1に補正した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’を合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t2経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。レベリング制御部18は、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するまでこの制御を続ける。
【0043】
次に、第1実施形態に係るレベリング制御装置10による処理の流れを図3に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、加熱炉2から抽出された圧延材Sが粗圧延機3で粗圧延される。そして、ステップS1において、レベリング制御装置10の形状検出器13は、粗圧延機3による粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leを検出する(横曲り量検出ステップ)。
次いで、ステップS2において、レベリング制御装置10のレベリング修正量算出部14は、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機4における前段仕上圧延スタンドF1,F2での圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出する(レベリング修正量算出ステップ)。
【0044】
ここで、レベリング修正量ΔLv_leは、予め設定された鋼種α、レベリング修正を行う圧延スタンド出側の板厚h及び板幅wにおける圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leとレベリング修正量ΔLv_leとの関係から、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて、算出される。
つまり、ΔLv_le=f(α,h,w,C_le)で表せる。レベリング修正量ΔLv_leは、幅流れ率や圧延荷重とミル剛性から算出されるロールギャップを考慮して設定される。
【0045】
次いで、ステップS3において、レベリング制御装置10の蛇行量予測モデル生成部15は、過去の圧延材Sの大きさに関する情報、過去の圧延材Sの温度に関する情報、過去の仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及び過去の圧延材Sの先端部Saの実績レベリング修正量を入力データとし、この入力データに対する仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での過去の圧延材Sの先端部Saの実績蛇行量を出力データとした複数の学習用データを、機械学習させて蛇行量予測モデル150を生成する(蛇行量予測モデル生成ステップ)。
【0046】
次いで、ステップS4において、レベリング制御装置10の蛇行量予測部16は、蛇行量予測モデル生成部15で生成された蛇行量予測モデル150に、現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報、現圧延パスにおける圧延材Sの温度に関する情報、現圧延パスにおける仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及びレベリング修正量算出部14で算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを入力して、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量を予測する処理を行う(蛇行量予測ステップ)。
【0047】
次いで、ステップS5において、レベリング制御装置10の判定部17は、蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さいか否かを判定する(蛇行量判定ステップ)。所定の閾値βは、例えば、仕上圧延機4の入側に設置された1対のサイドガイド(図示せず)の圧延材幅方向間隔と圧延材Sの幅との差間隔の平均値である30mm程度に設定される。なお、閾値βはサイドガイドの圧延材幅方向間隔と圧延材Sの幅との差間隔が熱間圧延設備の寸法と圧延材の幅により異なるため、前記の熱間圧延設備の寸法と圧延材の幅に応じて、5~200mmの範囲で適宜設定される。
【0048】
そして、ステップS5での判定結果がYESのとき、すなわち、判定部17の結果が蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さいとき、ステップS6に移行する。
ステップS6では、レベリング制御装置10のレベリング制御部18は、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、図6に示すように、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する(レベリング制御ステップ)。
【0049】
つまり、レベリング制御部18は、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。ここで、予めセットアップ計算で設定されるレベリングLv1は、事前に評価したウェッジのばらつきの中央値で最も蛇行効果が高くなるような値に設定したものである。
【0050】
圧延材Sのトラッキング情報は、レベリング制御部18に送られており、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saの位置を常に把握している。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t1だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t2経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。レベリング制御部18は、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するまでこの制御を続ける。
【0051】
一方、ステップS5での判定結果がNOのとき、すなわち、判定部17の結果が蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値β以上のとき、ステップS7に移行する。
ステップS7では、レベリング制御装置10のレベリング修正量補正部19は、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さくなるように、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを補正する(レベリング修正量補正ステップ)。
【0052】
ステップS7が終了したらステップS8に移行する。
ステップS8では、レベリング制御装置10のレベリング制御部18は、ステップS7において、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを補正したときに、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、図6に示すように、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、補正された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する(レベリング制御ステップ)。
【0053】
つまり、レベリング制御部18は、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1に補正した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’を合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。
【0054】
レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t1だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1に補正した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’を合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t2経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。レベリング制御部18は、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するまでこの制御を続ける。
【0055】
これにより、レベリング制御装置10による処理は終了する。
なお、圧延材Sは、前段仕上圧延スタンドF2を通過したのちは圧延スタンドF3~F7によって仕上圧延され、その後ランナウトテーブル5で冷却されてから巻取機6によってコイル状に巻き取られる。
このように、本発明の第1実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法によれば、粗圧延機3による粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leを検出する形状検出器13(横曲り量検出ステップ:ステップS1)と、検出された粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機4における前段仕上圧延スタンドF1,F2での圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出するレベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS2)とを備えている。また、本発明の第1実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法は、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le又はΔLv_le’のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御するレベリング制御部18(レベリング制御ステップ:ステップS6、ステップS8)を備えている。
【0056】
これにより、レベリング修正を実施する前段仕上圧延スタンドF1,F2において、横曲がりが頻繁に発生しその横曲がり量が大きい圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づくレベリング修正を圧延材Sの先端部Saが当該前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときのみに行うことになり、圧延材Sが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過した後に圧延材Sの先端部Saを含む圧延材S全長の横曲がり量の適切な矯正を行うことができ、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saを含む圧延材S全長の蛇行量を低減させることができる。
【0057】
また、本発明の第1実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法によれば、機械学習によって生成された蛇行量予測モデル150に、現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報、圧延材Sの温度に関する情報、仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及びレベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS2)で算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを入力して、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量を予測する蛇行量予測部16(蛇行量予測ステップ:ステップS4)を備える。
これにより、圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を前段仕上圧延スタンドF1,F2で実施したときの後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量を予測することができる。
【0058】
また、本発明の第1実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法によれば、蛇行量予測部16(蛇行量予測ステップ:ステップS4)で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値β以上である場合に、当該後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さくなるように、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS2)で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを補正するレベリング修正量補正部19(レベリング修正量補正ステップ:ステップS7)を備えている。
【0059】
これにより、予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値β以上である場合に、当該後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さくなるように、算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを補正することができる。
また、本発明の1実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法によれば、レベリング制御部18(レベリング制御ステップ:ステップS6)では、蛇行量予測部16(蛇行量予測ステップ:ステップS4)で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さい場合、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時に、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS2)で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する。
【0060】
また、レベリング制御部18(レベリング制御ステップ:ステップS6)では、前記レベリング修正量補正ステップにおいて、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS2)で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを補正したときには、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、補正された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する。
これにより、圧延材Sが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過した後に圧延材Sの先端部Saを含む圧延材S全長の横曲がり量のより適切な矯正を行うことができ、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saを含む圧延材S全長の蛇行量を所定の閾値β未満に確実に抑制することができる。
【0061】
なお、第1実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法において、蛇行量予測モデル生成部15(蛇行量予測モデル生成ステップ:ステップS3)、蛇行量予測部16(蛇行量予測ステップ:ステップS4)、判定部17(蛇行量判定ステップ:ステップS5)、及びレベリング修正量補正部19(レベリング修正量補正ステップ:ステップS7)を省略し、蛇行量の予測、判定及レベリング修正量の補正を行うことなく、レベリング制御部18(レベリング制御ステップ:ステップS6)では、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS2)で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施するようにしてもよい。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るレベリング制御装置について図1及び図7乃至図11を参照して説明する。
本発明の第2実施形態に係るレベリング制御装置は、図1に示す第1実施形態に係るレベリング制御装置10と基本構成は同様であるため、図1における各構成部材の符号を用いて第2実施形態に係るレベリング制御装置の各構成部材について説明する。
先ず、図7には、粗圧延後の圧延材Sの先端部Saにおける横曲がり量C_leと当該圧延材Sの尾端部Sbにおける横曲がり量C_teとの関係が示されている。図7からわかるように、粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leと当該圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teとは、必ずしも一致しない。この場合において、圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づくレベリング修正を圧延材Sの全長にわたって行うと、圧延材Sの尾端部Sbにおいては通板に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0063】
このため、本発明の第2実施形態に係るレベリング制御装置10にあっては、レベリング制御装置10によるレベリング制御に際し、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量(後述するΔLv_le、あるいはΔLv_le’)のレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量(後述するΔLv_te、あるいはΔLv_te’)のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御するようにしている。
【0064】
第2実施形態に係るレベリング制御装置10にあっても、第1実施形態に係るレベリング制御装置10と同様に、事前の解析から複数の仕上圧延スタンドにてレベリング修正を実施すると、単スタンド(例えば、F1)で実施する場合と比較し、合計レベリング修正量が少なく、ウェッジの変動が少ないため通板上好ましいことから、仕上圧延スタンドF1,F2にてレベリング修正を実施した。
第2実施形態に係るレベリング制御装置10は、図1に示すように、第1実施形態に係るレベリング制御装置10と同様に、形状検出器13、レベリング修正量算出部14、蛇行量予測モデル生成部15、蛇行量予測部16、判定部17、レベリング制御部18、及びレベリング修正量補正部19を備えている。
【0065】
形状検出器13は、粗圧延機3による粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_le、及び、第1実施形態に係るレベリング制御装置10の形状検出器13と異なり、当該圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teをも検出する。
具体的に述べると、形状検出器13は、粗圧延機3と仕上圧延機4との間に設置された撮像装置11と、画像処理装置12とを備えている。撮像装置11は、エリアセンサカメラで構成され、エリアセンサカメラによって走行する圧延材Sの表面を撮像する。そして、エリアセンサカメラで撮像された撮像画像の情報が画像処理装置12に送られ、画像処理装置12が当該撮像画像に基づく圧延材走行方向と直交方向の輝度分布から圧延材Sの幅方向両端部の位置を検出し、その検出された圧延材Sの幅方向両端部の位置に基づいて圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_le及び尾端部Sbの横曲がり量C_teのそれぞれを算出する。
【0066】
また、レベリング修正量算出部14、蛇行量予測モデル生成部15、蛇行量予測部16、判定部17、レベリング制御部18、及びレベリング修正量補正部19のそれぞれは、演算処理機能を有するコンピュータシステムであり、ハードウェアに予め記憶された各種専用のコンピュータプログラムを実行することにより、レベリング修正量算出部14、蛇行量予測モデル生成部15、蛇行量予測部16、判定部17、レベリング制御部18、及びレベリング修正量補正部19の各機能(後に述べるステップS12~ステップS18)をソフトウェア上で実現できるようになっている。
【0067】
レベリング修正量算出部14は、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機4における前段仕上圧延スタンドF1,F2での圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出する。また、レベリング修正量算出部14は、第1実施形態に係るレベリング制御装置10のレベリング修正量算出部14と異なり、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teに基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機4における前段仕上圧延スタンドF1,F2での圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teを算出する。
【0068】
ここで、レベリング修正量ΔLv_leは、予め設定された鋼種α、レベリング修正を行う圧延スタンド出側の板厚h及び板幅wにおける圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leとレベリング修正量ΔLv_leとの関係から、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて、算出される。また、レベリング修正量ΔLv_teは、予め設定された鋼種α、レベリング修正を行う圧延スタンド出側の板厚h及び板幅wにおける圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teとレベリング修正量ΔLv_teとの関係から、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teに基づいて、算出される。
つまり、ΔLv_le=f(α,h,w,C_le)、ΔLv_te=f(α,h,w,C_te)で表せる。レベリング修正量ΔLv_le、ΔLv_teは、幅流れ率や圧延荷重とミル剛性から算出されるロールギャップを考慮して設定される。
【0069】
また、蛇行量予測モデル生成部15は、図9に示すように、過去の圧延材Sの大きさに関する情報、過去の圧延材Sの温度に関する情報、過去の仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及び過去の圧延材Sの先端部Saの実績レベリング修正量及び尾端部Sbの実績レベリング修正量のそれぞれを入力データとし、この入力データに対する仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での過去の圧延材Sの先端部Saの実績蛇行量及び尾端部Sbの実績蛇行量のそれぞれを出力データとした複数の学習用データを、機械学習させて蛇行量予測モデル150を生成する。
【0070】
ここで、「圧延材Sの大きさに関する情報」としては、製品の寸法(厚さ、幅、長さ)、及び加熱炉2から抽出されたスラブの寸法(厚さ、幅、長さ)が例示される。また、「圧延材Sの温度に関する情報」としては、加熱炉抽出時のスラブの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)、及び粗圧延終了後のシートバーの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)が例示される。さらに、「仕上圧延機4のワークロールに関する情報」としては、F1~F7のそれぞれにおけるワークロール替え後の圧延本数、F1~F7のそれぞれにおけるワークロールの種別、F1~F7のそれぞれにおけるワークロール交換後からの圧延トン数、及びF1~F7のそれぞれにおけるミル剛性差が例示される。
【0071】
また、圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbのそれぞれの蛇行量が予測される「後段仕上圧延スタンド」は、仕上圧延機4がn(n≧3)基の仕上圧延スタンドを有する場合において、圧延材Sの搬送方向において先頭から順番に数えてn/2番目よりも後の仕上圧延スタンドのうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドを意味し、本実施形態の場合のように7つの仕上圧延スタンドF1~F7を有する場合には、F7に限らず、F5~F7のうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドであればよい。
【0072】
なお、蛇行量予測モデル生成部15に読み込まれる複数の学習用データ(過去の圧延材Sの大きさに関する情報、過去の圧延材Sの温度に関する情報、過去の仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及び過去の圧延材Sの先端部Saの実績レベリング修正量及び尾端部Sbのレベリング修正量のそれぞれと仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での過去の圧延材Sの先端部Saの実績蛇行量及び尾端部Sbの実績蛇行量のそれぞれ)は、上位計算機20から蛇行量予測モデル生成部15に入力される。
【0073】
本実施形態では、機械学習の手法としてニューラルネットワークを採用するため、第1実施形態と同様に、蛇行量予測モデル150としてニューラルネットワークモデルを生成する。すなわち、蛇行量予測モデル生成部15は、学習用データにおける入力実績データ(過去の圧延材Sの大きさに関する情報、圧延材Sの温度に関する情報、仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及び過去の圧延材Sの先端部Saの実績レベリング修正量及び尾端部Sbの実績レベリング修正量のそれぞれ)と出力実績データ(仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での過去の圧延材Sの先端部Saの実績蛇行量及び尾端部Sbの実績蛇行量のそれぞれ)とを結び付ける蛇行量予測モデル150としてニューラルネットワークモデルを作成する。
【0074】
また、蛇行量予測部16は、蛇行量予測モデル生成部15で生成された蛇行量予測モデル150に、現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報、現圧延パスにおける圧延材Sの温度に関する情報、現圧延パスにおける仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及びレベリング修正量算出部14で算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを入力して、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量及び尾端部Sbの蛇行量のそれぞれを予測する処理を行う。
【0075】
ここで、蛇行量予測モデル150に入力される現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報は、上位計算機20から蛇行量予測部16に読み込まれる。また、蛇行量予測モデル150に入力される現圧延パスにおける圧延材Sの温度に関する情報のうち、加熱炉抽出時のスラブの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)は上位計算機20から蛇行量予測部16に読み込まれ、粗圧延終了後のシートバーの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)については、粗圧延機3の出側に設置された温度計7から蛇行量予測部16に入力される。また、現圧延パスにおける仕上圧延機4のワークロールに関する情報は、上位計算機20から蛇行量予測部16に読み込まれる。
【0076】
図10には、ニューラルネットワークモデルである蛇行量予測モデル150の処理フローが示されている。
ニューラルネットワークモデルである蛇行量予測モデル150は、仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量及び尾端部Sbの蛇行量のそれぞれを予測する機械学習モデルであり、入力側から順に入力層151、中間層152、及び出力層153を含んでいる。
【0077】
入力層151には、現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報、現圧延パスにおける圧延材Sの温度に関する情報、現圧延パスにおける仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及びレベリング修正量算出部14で算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teの情報が格納される。
中間層152は、複数の隠れ層で構成され、各々の隠れ層には複数のニューロンが配置されている。中間層152内に構成される隠れ層の数は特に限定されないが、経験的に隠れ層が多すぎると予測精度が低下することから、5層以下であることが好ましい。
【0078】
出力層153は、中間層152により伝達されたニューロンの情報が結合され、最終的な仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれとして出力される。
また、判定部17は、蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値βよりも小さいか否かを判定する。所定の閾値βは、第1実施形態における所定の閾値βと同様の値であり、例えば、仕上圧延機4の入側に設置された1対のサイドガイド(図示せず)の圧延材幅方向間隔と圧延材Sの幅との差間隔の平均値である30mm程度に設定される。
【0079】
また、レベリング制御部18は、判定部17の結果が蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値βよりも小さい場合、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、図11に示すように、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する。
【0080】
つまり、レベリング制御部18は、判定部17の結果が蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値βよりも小さい場合、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。また、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teを合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。ここで、予めセットアップ計算で設定されるレベリングLv1は、第1実施形態と同様に、事前に評価したウェッジのばらつきの中央値で最も蛇行効果が高くなるような値に設定したものである。
【0081】
圧延材Sのトラッキング情報は、レベリング制御部18に送られており、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbの位置を常に把握している。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t1だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t2経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。また、レベリング制御部18は、第1実施形態のレベリング制御部18と異なり、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t3だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teを合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t4経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。
【0082】
一方、判定部17の結果が蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値β以上である場合に、レベリング修正量補正部19は、当該後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値βよりも小さくなるように、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを補正する。
【0083】
そして、レベリング制御部18は、レベリング修正量補正部19において、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを補正したときには、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、図11に示すように、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、補正された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’のレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、補正された圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_te’のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する。
【0084】
つまり、レベリング制御部18は、レベリング修正量補正部19において、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを補正した場合、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1に補正した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’を合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1に補正した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_te’を合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。
【0085】
レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t1だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1に補正した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’を合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t2経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。また、レベリング制御部18は、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t3だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1に補正した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_te’を合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t4経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。
【0086】
次に、第2実施形態に係るレベリング制御装置10による処理の流れを図8に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、加熱炉2から抽出された圧延材Sが粗圧延機3で粗圧延される。そして、ステップS11において、レベリング制御装置10の形状検出器13は、粗圧延機3による粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_le及び尾端部Sbの横曲がり量C_eのそれぞれを検出する(横曲り量検出ステップ)。
【0087】
次いで、ステップS12において、レベリング制御装置10のレベリング修正量算出部14は、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機4における前段仕上圧延スタンドF1,F2での圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出する。また、レベリング修正量算出部14は、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teに基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機4における前段仕上圧延スタンドF1,F2での圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teを算出する(レベリング修正量算出ステップ)。
【0088】
ここで、レベリング修正量ΔLv_leは、予め設定された鋼種α、レベリング修正を行う圧延スタンド出側の板厚h及び板幅wにおける圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leとレベリング修正量ΔLv_leとの関係から、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて、算出される。また、レベリング修正量ΔLv_teは、予め設定された鋼種α、レベリング修正を行う圧延スタンド出側の板厚h及び板幅wにおける圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teとレベリング修正量ΔLv_teとの関係から、形状検出器13で検出された粗圧延後の圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teに基づいて、算出される。
つまり、ΔLv_le=f(α,h,w,C_le)、ΔLv_te=f(α,h,w,C_te)で表せる。
【0089】
次いで、ステップS13において、レベリング制御装置10の蛇行量予測モデル生成部15は、過去の圧延材Sの大きさに関する情報、過去の圧延材Sの温度に関する情報、過去の仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及び過去の圧延材Sの先端部Saの実績レベリング修正量及び尾端部Sbの実績レベリング修正量のそれぞれを入力データとし、この入力データに対する仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での過去の圧延材Sの先端部Saの実績蛇行量及び尾端部Sbの実績蛇行量のそれぞれを出力データとした複数の学習用データを、機械学習させて蛇行量予測モデル150を生成する(蛇行量予測モデル生成ステップ)。
【0090】
次いで、ステップS14において、レベリング制御装置10の蛇行量予測部16は、蛇行量予測モデル生成部15で生成された蛇行量予測モデル150に、現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報、現圧延パスにおける圧延材Sの温度に関する情報、現圧延パスにおける仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及びレベリング修正量算出部14で算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを入力して、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量及び尾端部Sbの蛇行量のそれぞれを予測する処理を行う(蛇行量予測ステップ)。
【0091】
次いで、ステップS15において、レベリング制御装置10の判定部17は、蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値βよりも小さいか否かを判定する(蛇行量判定ステップ)。所定の閾値βは、第1実施形態における所定の閾値βと同様の値であり、例えば、仕上圧延機4の入側に設置された1対のサイドガイド(図示せず)の圧延材幅方向間隔と圧延材Sの幅との差間隔の平均値である30mm程度に設定される。なお、閾値βはサイドガイドの圧延材幅方向間隔と圧延材Sの幅との差間隔が熱間圧延設備の寸法と圧延材の幅により異なるため、前記の熱間圧延設備の寸法と圧延材の幅に応じて、5~200mmの範囲で適宜設定される。
【0092】
そして、ステップS15での判定結果がYESのとき、すなわち、判定部17の結果が蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値βよりも小さいとき、ステップS16に移行する。
ステップS16では、レベリング制御装置10のレベリング制御部18は、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、図11に示すように、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドのレベリングを制御する(レベリング制御ステップ)。
【0093】
つまり、レベリング制御部18は、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。また、レベリング制御部18は、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teを合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。
【0094】
圧延材Sのトラッキング情報は、前述したように、レベリング制御部18に送られており、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbの位置を常に把握している。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t1だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t2経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。また、レベリング制御部18は、第1実施形態のレベリング制御部18と異なり、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t3だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1にレベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teを合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t4経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。
【0095】
一方、ステップS5での判定結果がNOのとき、すなわち、判定部17の結果が蛇行量予測部16で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbのそれぞれの予測蛇行量が所定の閾値β以上のとき、ステップS17に移行する。
ステップS17では、レベリング制御装置10のレベリング修正量補正部19は、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbのそれぞれの予測蛇行量が所定の閾値βよりも小さくなるように、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを補正する(レベリング修正量補正ステップ)。
【0096】
そして、ステップS17が終了したらステップS18に移行する。
ステップS18では、レベリング制御部18は、ステップS17において、レベリング修正量算出部14で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを補正したときに、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、図11に示すように、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、補正された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’のレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、補正された圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_te’のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する(レベリング制御ステップ)。
【0097】
つまり、レベリング制御部18は、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1に補正した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’を合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。また、レベリング制御部18は、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、予めセットアップ計算で設定されたレベリングLv1に補正した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_te’を合算した修正レベリングLvで前段仕上圧延スタンドドF1,F2のレベリング制御を行う。
【0098】
レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t1だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1に補正した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’を合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの先端部Saが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t2経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。また、レベリング制御部18は、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときよりも時間t3だけ速めにレベリングLv1からレベリング修正を開始し、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過する時点では必ずレベリングLv1に補正した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_te’を合算した修正レベリングLvとなるようにする。そして、レベリング制御部18は、圧延材Sの尾端部Sbが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過してから時間t4経過後に修正レベリングLvを所定の圧下スピードでセットアップ計算におけるレベリングLv1まで戻すよう制御する。
【0099】
これにより、レベリング制御装置10による処理は終了する。
なお、圧延材Sは、前段仕上圧延スタンドF2を通過したのちは圧延スタンドF3~F7によって仕上圧延され、その後ランナウトテーブル5で冷却されてから巻取機6によってコイル状に巻き取られる。
このように、本発明の第2実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法によれば、形状検出器13(横曲り量検出ステップ:ステップS11)では、粗圧延機3による粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_le及び尾端部Sbの横曲がり量C_teのそれぞれを検出し、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS12)では、検出された粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_le及び尾端部Sbの横曲がり量C_teのそれぞれに基づいて、レベリング修正を実施する仕上圧延機4における前段仕上圧延スタンドF1,F2での圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_leのそれぞれを算出する。また、本発明の第2実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法において、レベリング制御部18(レベリング制御ステップ:ステップS16、ステップS18)では、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le又はΔLv_le’のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_te又はΔLv_te’のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する。
【0100】
これにより、レベリング修正を実施する前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づくレベリング修正を圧延材Sの先端部Saが当該前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときのみに行い、圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teに基づくレベリング修正を圧延材Sの先端部Saが当該前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過するときのみに行うことになり、圧延材Sが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過した後に圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbを含む圧延材S全長の横曲がり量の適切な矯正を行うことができ、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbを含む圧延材S全長の蛇行量を低減させることができる。
【0101】
また、本発明の第2実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法によれば、機械学習によって生成された蛇行量予測モデル150に、現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報、圧延材Sの温度に関する情報、仕上圧延機4のワークロールに関する情報、及びレベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS12)で算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを入力して、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量及び尾端部Sbの蛇行量のそれぞれを予測する蛇行量予測部16(蛇行量予測ステップ:ステップS14)を備える。
【0102】
これにより、圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正及び圧延材Sの尾端部Sbの横曲がり量C_teに基づいて算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを前段仕上圧延スタンドF1,F2で実施したときの後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量を予測することができる。
【0103】
また、本発明の第2実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法によれば、蛇行量予測部16(蛇行量予測ステップ:ステップS14)で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値β以上である場合に、当該後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値βよりも小さくなるように、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS12)で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを補正するレベリング修正量補正部19(レベリング修正量補正ステップ:ステップS17)を備えている。
【0104】
これにより、予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値β以上である場合に、当該後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値βよりも小さくなるように、算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teを補正することができる。
【0105】
また、本発明の2実施形態に係るレベリング制御装置10及びレベリング制御方法によれば、レベリング制御部18(レベリング制御ステップ:ステップS16)では、蛇行量予測部16(蛇行量予測ステップ:ステップS14)で予測された後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの予測蛇行量及び尾端部Sbの予測蛇行量のそれぞれが所定の閾値βよりも小さい場合、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時に、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS12)で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時に、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS12)で算出した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する。
【0106】
また、レベリング制御部18(レベリング制御ステップ:ステップS18)では、レベリング修正量補正部19(レベリング修正量補正ステップ:ステップS17)において、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS12)で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを補正したときには、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、補正された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’のレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、補正された圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_te’のレベリング修正を実施するように、前段仕上圧延スタンドF1,F2のレベリングを制御する。
【0107】
これにより、圧延材Sが前段仕上圧延スタンドF1,F2を通過した後に圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbを含む圧延材S全長の横曲がり量のより適切な矯正を行うことができ、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbを含む圧延材S全長の蛇行量を所定の閾値β未満に確実に抑制することができる。
【0108】
なお、第2実施形態に係るベリング制御装置10及びレベリング制御方法において、蛇行量予測モデル生成部15(蛇行量予測モデル生成ステップ:ステップS13)、蛇行量予測部16(蛇行量予測ステップ:ステップS14)、判定部17(蛇行量判定ステップ:ステップS15)、及びレベリング修正量補正部19(レベリング修正量補正ステップ:ステップS17)を省略し、蛇行量の予測、判定及レベリング修正量の補正を行うことなく、レベリング制御部18(レベリング制御ステップ:ステップS16)では、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみに、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS12)で算出した圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみに、レベリング修正量算出部14(レベリング修正量算出ステップ:ステップS12)で算出した圧延材Sの尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのレベリング修正を実施するようにしてもよい。
【0109】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、機械学習の手法はニューラルネットワークであり、蛇行量予測モデル150は、ニューラルネットワークにより構築された予測モデルとしてあるが、機械学習法であればよく、例えば決定木などであってもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態において、レベリング修正を実施する「前段仕上圧延スタンド」は、仕上圧延機4がn(n≧3)基の圧延スタンドを有する場合において、圧延材Sの搬送方向において先頭から順番に数えてn/2番目よりも前(nが偶数の時は、n/2番目以前)の圧延スタンドのうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドを意味し、本実施形態の場合のように7つの仕上圧延スタンドF1~F7を有する場合には、F1,F2に限らず、F1~F3のうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドであればよい。
【0110】
また、第1実施形態において、圧延材Sの先端部Saの蛇行量が予測される「後段仕上圧延スタンド」は、仕上圧延機4がn(n≧3)基の仕上圧延スタンドを有する場合において、圧延材Sの搬送方向において先頭から順番に数えてn/2番目よりも後の仕上圧延スタンドのうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドを意味し、本実施形態の場合のように7つの仕上圧延スタンドF1~F7を有する場合には、F7に限らず、F5~F7のうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドであればよい。
【0111】
また、第2実施形態において、圧延材Sの先端部Sa及び尾端部Sbの蛇行量が予測される「後段仕上圧延スタンド」は、仕上圧延機4がn(n≧3)基の仕上圧延スタンドを有する場合において、圧延材Sの搬送方向において先頭から順番に数えてn/2番目よりも後の仕上圧延スタンドのうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドを意味し、本実施形態の場合のように7つの仕上圧延スタンドF1~F7を有する場合には、F7に限らず、F5~F7のうち少なくとも1つの仕上圧延スタンドであればよい。
【実施例
【0112】
(第1実施例)
第1実施例においては、本発明の第1実施形態に係るレベリング制御方法の効果を検証すべく、比較例、本発明例1、本発明例2のそれぞれの場合における後段仕上圧延スタンドF7での蛇行量を測定した。
比較例では、仕上板厚4mm以下、板幅1600mm以下の粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leを検出し、その検出した先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出し、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過してから尾端部Sbが通過するまで、算出した先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施した。
【0113】
また、本発明例1では、仕上板厚4mm以下、板幅1600mm以下の粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leを検出し、その検出した先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出し、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみ、算出した先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施した。
また、本発明例2では、仕上板厚4mm以下、板幅1600mm以下の粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leを検出し、その検出した先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出した。そして、蛇行量予測モデル生成ステップ(ステップS3)、蛇行量予測ステップ(ステップS4)、蛇行量判定ステップ(ステップS5)、レベリング修正量補正ステップ(ステップS7)を実行し、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみ、補正した先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’のレベリング修正を実施した。
【0114】
なお、本発明例2において、蛇行量予測モデル生成ステップ(ステップS3)では、蛇行量予測モデル150を、公知のディープラーニングフレームワークのチェイナー(chainer)を用いて機械学習を行い生成した。学習用データには2万回の操業実績データを用いた。機械学習時にはバッチ化正規化手法を用い、学習率の設定にはAdam手法を用いた。学習用データの入力実績データは、過去の圧延材Sの大きさに関する情報「製品の寸法(厚さ、幅、長さ)、及び加熱炉2から抽出されたスラブの寸法(厚さ、幅、長さ)」、圧延材Sの温度に関する情報「加熱炉抽出時のスラブの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)、及び粗圧延終了後のシートバーの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)」、仕上圧延機4のワークロールに関する情報「F1~F7のそれぞれにおけるワークロール替え後の圧延本数、F1~F7のそれぞれにおけるワークロールの種別、F1~F7のそれぞれにおけるワークロール交換後からの圧延トン数、及びF1~F7のそれぞれにおけるミル剛性差」、及び過去の圧延材Sの先端部Saの実績レベリング修正量とした。また、学習用データの出力実績データは、仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での過去の圧延材Sの先端部Saの実績蛇行量とした。
【0115】
また、本発明例2において、蛇行量予測ステップ(ステップS4)では、蛇行量予測モデル150に、現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報「製品の寸法(厚さ、幅、長さ)、及び加熱炉2から抽出されたスラブの寸法(厚さ、幅、長さ)」、現圧延パスにおける圧延材の温度に関する情報「加熱炉抽出時のスラブの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)、及び粗圧延終了後のシートバーの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)」、現圧延パスにおける仕上圧延機4のワークロールに関する情報「F1~F7のそれぞれにおけるワークロール替え後の圧延本数、F1~F7のそれぞれにおけるワークロールの種別、F1~F7のそれぞれにおけるワークロール交換後からの圧延トン数、及びF1~F7のそれぞれにおけるミル剛性差」、及びレベリング修正量算出ステップ(ステップS2)で算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを入力して、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量を予測した。
【0116】
また、本発明例2において、蛇行量判定ステップ(ステップS5)で適用される所定の閾値βは、仕上圧延機4の入側に設置された1対のサイドガイド(図示せず)の圧延材幅方向間隔と圧延材Sの幅との差間隔の平均値である30mmに設定した。
比較例、本発明例1、本発明例2のそれぞれの場合における後段仕上圧延スタンドF7での蛇行量を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
表1に示すように、本発明例1及び本発明例2の場合には、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量の平均値(μ)及び標準偏差(3σ)とも比較例の場合に比べて改善しており、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの蛇行量低減効果が確認された。
また、本発明例2の場合には、本発明例1の場合に比べて、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量の平均値(μ)及び標準偏差(3σ)とも改善しており、蛇行量予測モデル生成ステップ(ステップS3)、蛇行量予測ステップ(ステップS4)、蛇行量判定ステップ(ステップS5)、レベリング修正量補正ステップ(ステップS7)を実行し、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみ、補正した先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’のレベリング修正を実施することで、圧延材Sの蛇行量がより低減することが確認された。
【0119】
(第2実施例)
第2実施例においては、本発明の第2実施形態に係るレベリング制御方法の効果を検証すべく、比較例、本発明例3、本発明例4のそれぞれの場合における後段仕上圧延スタンドF7での蛇行量を測定した。
比較例では、仕上板厚4mm以下、板幅1600mm以下の粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_leを検出し、その検出した先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出し、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過してから尾端部Sbが通過するまで、算出した先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施した。
【0120】
また、本発明例3では、仕上板厚4mm以下、板幅1600mm以下の粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_le及び尾端部Sbの横曲がり量C_teのそれぞれを検出し、その検出した先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出するとともに検出した尾端部Sbの横曲がり量C_teに基づいて尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teを算出し、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみ、算出した先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leのレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみ、算出した尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのレベリング修正を実施した。
【0121】
また、本発明例4では、仕上板厚4mm以下、板幅1600mm以下の粗圧延後の圧延材Sの先端部Saの横曲がり量C_le及び尾端部Sbの横曲がり量C_teをそれぞれ検出し、その検出した先端部Saの横曲がり量C_leに基づいて先端部Saのレベリング修正量ΔLv_leを算出し、検出した尾端部Sbの横曲がり量C_teに基づいて尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teを算出した。そして、蛇行量予測モデル生成ステップ(ステップS13)、蛇行量予測ステップ(ステップS14)、蛇行量判定ステップ(ステップS15)、レベリング修正量補正ステップ(ステップS17)を実行し、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみ、補正した先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’のレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみ、補正した尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_te’のレベリング修正を実施した。
【0122】
なお、本発明例4において、蛇行量予測モデル生成ステップ(ステップS13)では、蛇行量予測モデル150を、公知のディープラーニングフレームワークのチェイナー(chainer)を用いて機械学習を行い生成した。学習用データには2万回の操業実績データを用いた。機械学習時にはバッチ化正規化手法を用い、学習率の設定にはAdam手法を用いた。学習用データの入力実績データは、過去の圧延材Sの大きさに関する情報「製品の寸法(厚さ、幅、長さ)、及び加熱炉2から抽出されたスラブの寸法(厚さ、幅、長さ)」、圧延材Sの温度に関する情報「加熱炉抽出時のスラブの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)、及び粗圧延終了後のシートバーの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)」、仕上圧延機4のワークロールに関する情報「F1~F7のそれぞれにおけるワークロール替え後の圧延本数、F1~F7のそれぞれにおけるワークロールの種別、F1~F7のそれぞれにおけるワークロール交換後からの圧延トン数、及びF1~F7のそれぞれにおけるミル剛性差」、及び過去の圧延材Sの先端部Saの実績レベリング修正量及び尾端部Sbの実績レベリング修正量とした。また、学習用データの出力実績データは、仕上圧延機4における後段仕上圧延スタンドF7での過去の圧延材Sの先端部Saの実績蛇行量及び尾端部Sbの実績蛇行量とした。
【0123】
また、本発明例4において、蛇行量予測ステップ(ステップS14)では、蛇行量予測モデル150に、現圧延パスにおける圧延材Sの大きさに関する情報「製品の寸法(厚さ、幅、長さ)、及び加熱炉2から抽出されたスラブの寸法(厚さ、幅、長さ)」、現圧延パスにおける圧延材の温度に関する情報「加熱炉抽出時のスラブの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)、及び粗圧延終了後のシートバーの温度(板幅方向の平均値、板幅方向中央部の温度、板幅方向端部の温度)」、現圧延パスにおける仕上圧延機4のワークロールに関する情報「F1~F7のそれぞれにおけるワークロール替え後の圧延本数、F1~F7のそれぞれにおけるワークロールの種別、F1~F7のそれぞれにおけるワークロール交換後からの圧延トン数、及びF1~F7のそれぞれにおけるミル剛性差」、及びレベリング修正量算出ステップ(ステップS12)で算出された圧延材Sの先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le及び尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_teのそれぞれを入力して、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量及び尾端部Sbの蛇行量を予測した。
【0124】
また、本発明例4において、蛇行量判定ステップ(ステップS15)で適用される所定の閾値βは、仕上圧延機4の入側に設置された1対のサイドガイド(図示せず)の圧延材幅方向間隔と圧延材Sの幅との差間隔の平均値である30mmに設定した。
比較例、本発明例3、本発明例4のそれぞれの場合における後段仕上圧延スタンドF7での蛇行量を表2に示す。
【0125】
【表2】
【0126】
表2に示すように、本発明例3及び本発明例4の場合には、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量及び尾端部Sbの蛇行量のそれぞれの平均値(μ)及び標準偏差(3σ)とも比較例の場合に比べて改善しており、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの蛇行量低減効果が確認された。
また、本発明例4の場合には、本発明例3の場合に比べて、後段仕上圧延スタンドF7での圧延材Sの先端部Saの蛇行量及び尾端部Sbの蛇行量のそれぞれの平均値(μ)及び標準偏差(3σ)とも改善しており、蛇行量予測モデル生成ステップ(ステップS13)、蛇行量予測ステップ(ステップS14)、蛇行量判定ステップ(ステップS15)、レベリング修正量補正ステップ(ステップS17)を実行し、前段仕上圧延スタンドF1,F2において、圧延材Sの先端部Saが通過した時のみ、補正した先端部Saのレベリング修正量ΔLv_le’のレベリング修正を実施し、圧延材Sの尾端部Sbが通過した時のみ、補正した尾端部Sbのレベリング修正量ΔLv_te’のレベリング修正を実施することで、圧延材Sの蛇行量がより低減することが確認された。
【符号の説明】
【0127】
1 熱間圧延設備
2 加熱炉
3 粗圧延機
4 仕上圧延機
5 ランナウトテーブル
6 巻取機
7 温度計
10 レベリング制御装置
11 撮像装置
12 画像処理装置
13 形状検出器
14 レベリング修正量算出部
15 蛇行量予測モデル生成部
16 蛇行量予測部
17 判定部
18 レベリング制御部
19 レベリング修正量補正部
20 上位計算機
R1~R3 粗圧延スタンド
F1 仕上圧延スタンド(前段仕上圧延スタンド)
F2 仕上圧延スタンド(前段仕上圧延スタンド)
F3 仕上圧延スタンド
F4 仕上圧延スタンド
F5 仕上圧延スタンド
F6 仕上圧延スタンド
F7 仕上圧延スタンド(後段仕上圧延スタンド)
S 圧延材
Sa 先端部
Sb 尾端部
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