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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/46 20110101AFI20231219BHJP
   H01R 13/71 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01R24/46
H01R13/71
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021074793
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022169032
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】常門 陸宏
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-125410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0224546(US,A1)
【文献】特開平09-180827(JP,A)
【文献】特開平06-236785(JP,A)
【文献】特開2015-207376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/56-13/72
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、
前記第1端子の水平右に位置する第2端子と、
前記第1端子及び前記第2端子を保持し、かつ、絶縁性を有する本体と、
を備えており、
前記第1端子は、
第1端子接触部と、
前記第1端子接触部から水平左方向成分と鉛直上方向成分とを含む左上方向に向かって延びている第1端子ガイド部と、
前記本体に保持されている第1端子保持部と、
前記第1端子保持部に連結され、かつ、前記第1端子接触部又は前記第1端子ガイド部に連結される第1端子弾性変形部と、
を含んでおり、
鉛直上下方向に延びる第1切り欠きが前記第1端子接触部に設けられることにより、前記第1端子接触部は、水平前後方向に並ぶ第1接触面及び第3接触面を有しており、
前記第2端子は、
前記第1端子接触部の水平右に位置し、かつ、前記第1端子接触部に接触している第2端子接触部と、
前記本体に保持されている第2端子保持部と、
を含んでおり、
鉛直上下方向に延びる第2切り欠きが前記第2端子接触部に設けられることにより、前記第2端子接触部は、水平前後方向に並ぶ第2接触面及び第4接触面を有しており、
前記第1接触面と前記第2接触面とは互いに接触しており、
前記第3接触面と前記第4接触面とは互いに接触しており、
中心導体が前記第1端子ガイド部を鉛直下方向に押すことにより、前記第1端子ガイド部が水平左方向に変位して前記第1端子接触部と前記第2端子接触部とが離れるように、前記第1端子弾性変形部が弾性変形する、
コネクタ。
【請求項2】
前記第2端子は、
前記第2端子接触部から水平右方向成分と鉛直上方向成分とを含む右上方向に向かって延びている第2端子ガイド部を、
更に含んでおり、
前記中心導体が前記第1端子ガイド部及び前記第2端子ガイド部を鉛直下方向に押すことにより、前記第1端子ガイド部が水平左方向に変位して前記第1端子接触部と前記第2端子接触部とが離れるように、前記第1端子弾性変形部が弾性変形する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2端子は、
前記第2端子保持部に連結され、かつ、前記第2端子接触部又は前記第2端子ガイド部に連結される第2端子弾性変形部を、
更に含んでおり、
前記中心導体が前記第1端子ガイド部及び前記第2端子ガイド部を鉛直下方向に押すことにより、前記第1端子ガイド部が水平左方向に変位しかつ前記第2端子ガイド部が水平右方向に変位して前記第1端子接触部と前記第2端子接触部とが離れるように、前記第1端子弾性変形部及び前記第2端子弾性変形部が弾性変形する、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記中心導体が前記第1端子ガイド部及び前記第2端子ガイド部を鉛直下方向に押したときに、前記第2端子接触部及び前記第2端子ガイド部は前記本体に対して変位しない、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1端子弾性変形部は、前記第1端子ガイド部に連結されている、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1端子弾性変形部は、前記第1端子接触部に連結されている、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項7】
鉛直上下方向に見て、前記第1接触面には水平左方向に窪む第1凹部が設けられており、
鉛直上下方向に見て、前記第2接触面には水平右方向に窪む第2凹部が設けられており、
前記第1凹部及び前記第2凹部は、水平左右方向に並んでいる、
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項8】
前記コネクタは、
グランド電位に接続されるグランド端子を、
更に備えており、
前記本体は、前記グランド端子を保持している、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項9】
前記中心導体において前記第1端子に接触する部分は、導体であり、
前記中心導体において前記第2端子に接触する部分は、絶縁体である、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第1端子は、
回路基板の実装電極に固定される第1端子実装部を、
更に備えている、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに電気的に接続されている第1端子及び第2端子を備えるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタに関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の同軸コネクタが知られている。この同軸コネクタは、上枠、下枠、可動端子及び固定端子を備えている。上枠及び下枠は、絶縁性を有している。上枠及び下枠は、可動端子及び固定端子を保持している。可動端子及び固定端子は、左から右へとこの順に並んでいる。可動端子の右端部は、固定端子の左端部の下面に接触している。このとき、可動端子の右端部は、固定端子の左端部を上方向に押している。
【0003】
このような同軸コネクタでは、プラグが可動端子を下方向に押すと、可動端子の右端部と固定端子の左端部とが離れる。これにより、可動端子内を伝送される高周波信号がプラグを介して図示しない計測器により計測されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3096377号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の同軸コネクタでは、可動端子の右端部と固定端子の左端部とが離れにくい場合がある。より詳細には、この同軸コネクタは、回路基板に実装される。この際、回路基板の実装電極と可動端子とが半田により接続される。回路基板の実装電極と固定端子とが半田により接続される。そして、同軸コネクタの実装の際に、半田フラックスが可動端子及び固定端子を伝って、可動端子の右端部及び固定端子の左端部の下の空間に到達する場合がある。このような半田フラックスは、可動端子の右端部及び固定端子の左端部の下の空間において固化する。この場合、可動端子の右端部が下方向に変位することが半田フラックスにより妨げられる可能性がある。その結果、特許文献1に記載の同軸コネクタでは、可動端子の右端部と固定端子の左端部とが離れにくい場合がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、第1端子と第2端子とが離れにくくなることを抑制できるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るコネクタは、
第1端子と、
第2端子と、
前記第1端子及び前記第2端子を保持し、かつ、絶縁性を有する本体と、
を備えており、
前記第1端子は、
第1端子接触部と、
前記第1端子接触部から左上方向に向かって延びている第1端子ガイド部と、
前記本体に保持されている第1端子保持部と、
前記第1端子保持部に連結され、かつ、前記第1端子接触部又は前記第1端子ガイド部に連結される第1端子弾性変形部と、
を含んでおり、
前記第2端子は、
前記第1端子接触部の右に位置し、かつ、前記第1端子接触部に接触している第2端子接触部と、
前記本体に保持されている第2端子保持部と、
を含んでおり、
中心導体が前記第1端子ガイド部を下方向に押すことにより、前記第1端子ガイド部が左方向に変位して前記第1端子接触部と前記第2端子接触部とが離れるように、前記第1端子弾性変形部が弾性変形する。
【0008】
本明細書において、第1部材が第2部材の上に配置されるとは、以下の状態を指す。第1部材の少なくとも一部は、第2部材の真上に位置している。従って、上下方向に見て、第1部材は、第2部材と重なっている。この定義は、上下方向以外の方向にも適用される。
【0009】
本明細書において、第1部材が第2部材より上に配置されるとは、第1部材の少なくとも一部が第2部材の真上に位置している場合、及び、第1部材が第2部材の真上に位置せずに第1部材が第2部材の斜め上に位置している場合を含む。この場合、上下方向に見て、第1部材は、第2部材と重なっていなくてもよい。斜め上とは、例えば、左上、右上である。この定義は、上下方向以外の方向にも適用される。
【0010】
本明細書において、特に断りのない場合には、第1部材の各部について以下のように定義する。第1部材の前部とは、第1部材の前半分を意味する。第1部材の後部とは、第1部材の後半分を意味する。第1部材の左部とは、第1部材の左半分を意味する。第1部材の右部とは、第1部材の右半分を意味する。第1部材の上部とは、第1部材の上半分を意味する。第1部材の下部とは、第1部材の下半分を意味する。第1部材の前端とは、第1部材の前方向の端を意味する。第1部材の後端とは、第1部材の後方向の端を意味する。第1部材の左端とは、第1部材の左方向の端を意味する。第1部材の右端とは、第1部材の右方向の端を意味する。第1部材の上端とは、第1部材の上方向の端を意味する。第1部材の下端とは、第1部材の下方向の端を意味する。第1部材の前端部とは、第1部材の前端及びその近傍を意味する。第1部材の後端部とは、第1部材の後端及びその近傍を意味する。第1部材の左端部とは、第1部材の左端及びその近傍を意味する。第1部材の右端部とは、第1部材の右端及びその近傍を意味する。第1部材の上端部とは、第1部材の上端及びその近傍を意味する。第1部材の下端部とは、第1部材の下端及びその近傍を意味する。
【0011】
本明細書における任意の2つの部材を第1部材及び第2部材と定義した場合、任意の2つの部材の関係は以下のような意味になる。本明細書において、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に対して移動不可能に第2部材に取り付けられている(すなわち、固定されている)場合、及び、第1部材が第2部材に対して移動可能に第2部材に取り付けられている場合を含む。また、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に直接に取り付けられている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第2部材に取り付けられている場合の両方を含む。
【0012】
本明細書において、第1部材が第2部材に保持されているとは、第1部材が第2部材に対して移動不可能に第2部材に取り付けられている(すなわち、固定されている)場合を含み、第1部材が第2部材に対して移動可能に第2部材に取り付けられている場合を含まない。また、第1部材が第2部材に保持されているとは、第1部材が第2部材に直接に取り付けられている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第2部材に取り付けられている場合の両方を含む。
【0013】
本明細書において、「第1部材と第2部材とが電気的に接続される」とは、第1部材と第2部材との間で電気が導通していることを意味する。従って、第1部材と第2部材とが接触していてもよいし、第1部材と第2部材とが接触していなくてもよい。第1部材と第2部材とが接触していない場合には、第1部材と第2部材との間に導電性を有する第3部材が配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコネクタによれば、第1端子と第2端子とが離れにくくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、コネクタ10の斜視図である。
図2図2は、コネクタ10の上面図である。
図3図3は、図2のA-Aにおける断面図である。
図4図4は、図2のB-Bにおける断面図である。
図5図5は、コネクタ10に検査用プローブ100が接続される様子を示した断面図である。
図6図6は、コネクタ10に検査用プローブ100が接続される様子を示した断面図である。
図7図7は、コネクタ10aの上面図である。
図8図8は、図7のA-Aにおける断面図である。
図9図9は、図7のB-Bにおける断面図である。
図10図10は、第1端子18及び第2端子20の斜視図である。
図11図11は、変形例に係る第1端子18及び第2端子20の斜視図である。
図12図12は、コネクタ10bの断面図である。
図13図13は、第1端子18及び第2端子20の斜視図である。
図14図14は、変形例に係る第1端子18及び第2端子20の斜視図である。
図15図15は、コネクタ10cの断面図である。
図16図16は、コネクタ10dの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
[コネクタの構造]
以下に、本発明の実施形態に係るコネクタ10の構造について図面を参照しながら説明する。図1は、コネクタ10の斜視図である。図2は、コネクタ10の上面図である。図3は、図2のA-Aにおける断面図である。図4は、図2のB-Bにおける断面図である。
【0017】
本明細書において、方向を以下のように定義する。コネクタ10の穴Hの中心軸線が延びる方向を上下方向と定義する。第1端子18及び第2端子20が並ぶ方向を左右方向と定義する。グランド端子14,16が並ぶ方向を前後方向と定義する。上下方向、左右方向及び前後方向は、互いに直交している。上下方向、左右方向及び前後方向は、一例であり、コネクタ10の実使用時における上下方向、左右方向及び前後方向と一致していなくてもよい。また、各図面において、上方向と下方向とが入れ替わっていてもよいし、左方向と右方向とが入れ替わっていてもよいし、前方向と後方向とが入れ替わっていてもよい。
【0018】
コネクタ10は、図1及び図2に示すように、本体12、グランド端子14,16、第1端子18及び第2端子20を備えている。本体12は、板状部12a及び円筒部12bを含んでいる。板状部12aは、上下方向に見て矩形状を有する平板である。円筒部12bは、上下方向に延びる中心軸線を有する円筒形状を有している。円筒部12bは、板状部12aの上主面の上に設けられている。また、本体12には、上下方向に延びる中心軸線を有する穴Hが設けられている。穴Hは、上下方向に見て、円形状を有している。穴Hは、円筒部12bを上下に貫通し、かつ、板状部12aまで到達している。ただし、穴Hは、板状部12aの底面まで到達していない。本体12は、絶縁性を有している。本体12の材料は、例えば、樹脂である。本体12は、後述するグランド端子14,16、第1端子18及び第2端子20を保持している。
【0019】
第1端子18は、1枚の金属板に折り曲げ加工が施されることにより形成された金属部材である。第1端子18は、図3に示すように、第1端子接触部18a、第1端子ガイド部18b、第1端子弾性変形部18c、第1端子保持部18d及び第1端子実装部18eを含んでいる。
【0020】
第1端子接触部18aは、上下方向に見て、穴Hの中央近傍に位置している。第1端子接触部18aは、上下方向に延びている。ただし、第1端子接触部18aは、穴Hの底面Bに接触していない。第1端子接触部18aは、第1接触面S1を有している。第1接触面S1は、右方向を向いている。
【0021】
第1端子ガイド部18bは、第1端子接触部18aから左上方向に向かって延びている。第1端子ガイド部18bは、前後方向に見て、円弧形状を有している。
【0022】
第1端子保持部18dは、本体12に保持されている。より詳細には、第1端子18の一部である第1端子保持部18dが本体12に埋め込まれることにより、第1端子18は本体12に保持されている。第1端子保持部18dは、板状部12aの左部の底面近傍において左右方向に延びている。
【0023】
第1端子弾性変形部18cは、第1端子保持部18dに連結され、かつ、第1端子ガイド部18bに連結されている。第1端子弾性変形部18cは、第1端子ガイド部18bの上端から左下方向に向かって延びている。第1端子弾性変形部18cは、本体12に保持されていない。本実施形態では、第1端子弾性変形部18cは、本体12に接触していない。これにより、第1端子弾性変形部18cは、弾性変形できる。
【0024】
第1端子実装部18eは、第1端子保持部18dの左端から左方向に向かって延びている。第1端子実装部18eは、本体12からコネクタ10の外部に露出している。第1端子実装部18eは、コネクタ10が回路基板に実装される際に、回路基板の実装電極に固定される。第1端子実装部18eと実装電極とは、半田により固定される。
【0025】
第2端子20は、第1端子18と左右対称な構造を有している。従って、第2端子20は、第1端子18の右に位置している。第2端子20は、1枚の金属板に折り曲げ加工が施されることにより形成された金属部材である。第2端子20は、第2端子接触部20a、第2端子ガイド部20b、第2端子弾性変形部20c、第2端子保持部20d及び第2端子実装部20eを含んでいる。
【0026】
第2端子接触部20aは、上下方向に見て、穴Hの中央近傍に位置している。第2端子接触部20aは、第1端子接触部18aの右に位置している。第2端子接触部20aは、上下方向に延びている。ただし、第2端子接触部20aは、穴Hの底面Bに接触していない。第2端子接触部20aは、第2接触面S2を有している。第2接触面S2は、左方向を向いている。第1接触面S1と第2接触面S2とは互いに接触している。
【0027】
第2端子ガイド部20bは、第2端子接触部20aから右上方向に向かって延びている。第2端子ガイド部20bは、前後方向に見て、円弧形状を有している。
【0028】
第2端子保持部20dは、本体12に保持されている。より詳細には、第2端子20の一部である第2端子保持部20dが本体12に埋め込まれることにより、第2端子20は本体12に保持されている。第2端子保持部20dは、板状部12aの右部の底面近傍において左右方向に延びている。
【0029】
第2端子弾性変形部20cは、第2端子保持部20dに連結され、かつ、第2端子ガイド部20bに連結されている。第2端子弾性変形部20cは、第2端子ガイド部20bの上端から右下方向に向かって延びている。第2端子弾性変形部20cは、本体12に保持されていない。本実施形態では、第2端子弾性変形部20cは、本体12に接触していない。これにより、第2端子弾性変形部20cは、弾性変形できる。
【0030】
第2端子実装部20eは、第2端子保持部20dの右端から右方向に向かって延びている。第2端子実装部20eは、本体12からコネクタ10の外部に露出している。第2端子実装部20eは、コネクタ10が回路基板に実装される際に、回路基板の実装電極に半田により固定される。
【0031】
以上のような第1端子18及び第2端子20は、下方向に見て、穴Hを介して視認することができる。また、高周波信号が、第1端子18から第2端子20へと伝送される。
【0032】
グランド端子14は、グランド電位に接続される。グランド端子14は、1枚の金属板に折り曲げ加工が施されることにより形成された金属部材である。グランド端子14は、図4に示すように、グランド端子接触部14a、グランド端子保持部14b、グランド端子連結部14c及びグランド端子実装部14dを含んでいる。
【0033】
グランド端子接触部14aは、上下方向に見て、円筒部12bの前に位置している。グランド端子接触部14aは、板状部12aの上主面に位置している。これにより、グランド端子接触部14aは、本体12からコネクタ10の外部に露出している。
【0034】
グランド端子保持部14bは、本体12に保持されている。より詳細には、グランド端子14の一部であるグランド端子保持部14bが本体12に埋め込まれることにより、グランド端子14は本体12に保持されている。グランド端子保持部14bは、グランド端子接触部14aの後端から下方向に向かって延びている。これにより、グランド端子保持部14bは、本体12の内部に位置している。
【0035】
グランド端子連結部14cは、グランド端子接触部14aに連結されていると共に、後述するグランド端子実装部14dに連結されている。グランド端子連結部14cは、板状部12aの前側面に設けられている。グランド端子連結部14cは、グランド端子接触部14aの前端から下方向に向かって延びている。
【0036】
グランド端子実装部14dは、グランド端子連結部14cの下端から前方向に向かって延びている。グランド端子実装部14dは、本体12からコネクタ10の外部に露出している。グランド端子実装部14dは、コネクタ10が回路基板に実装される際に、回路基板の実装電極に半田により固定される。
【0037】
グランド端子16は、グランド端子14と前後対称な構造を有している。従って、グランド端子16の詳細な説明を省略する。
【0038】
次に、コネクタ10の動作について図面を参照しながら説明する。図5及び図6は、コネクタ10に検査用プローブ100が接続される様子を示した断面図である。
【0039】
検査用プローブ100は、図5及び図6に示すように、中心導体110及び外部導体120を備えている。中心導体110は、上下方向に延びる棒形状を有している。中心導体110は、中心導体左部110L及び中心導体右部110Rを含んでいる。中心導体左部110Lは、中心導体110の左半分の部分である。中心導体左部110Lは、導体である。中心導体右部110Rは、右半分の部分である。中心導体右部110Rは、絶縁体である。
【0040】
外部導体120は、上下方向に延びる中心軸線を有する円筒形状を有している。外部導体120は、中心導体110の周囲を囲んでいる。
【0041】
以上のような検査用プローブ100は、コネクタ10の上からコネクタ10に取り付けられる。具体的には、円筒部12bは、図5及び図6に示すように、外部導体120の下端部に挿入される。これにより、外部導体120の下端は、グランド端子接触部14a,16aに接触する。その結果、外部導体120には、グランド電位が接続される。
【0042】
また、中心導体110は、図6に示すように、第1端子接触部18a及び第2端子接触部20aの上から第1端子接触部18aと第2端子接触部20aとの間に挿入される。このとき、中心導体110が第1端子ガイド部18b及び第2端子ガイド部20bを下方向に押すことにより、第1端子ガイド部18bが左方向に変位しかつ第2端子ガイド部20bが右方向に変位して第1端子接触部18aと第2端子接触部20aとが離れるように、第1端子弾性変形部18c及び第2端子弾性変形部20cが弾性変形する。そして、中心導体左部110Lは、第1端子接触部18aに接触する。すなわち、中心導体左部110Lは、中心導体110において第1端子18に接触する部分である。中心導体右部110Rは、第2端子接触部20aに接触する。すなわち、中心導体右部110Rは、中心導体110において第2端子20に接触する部分である。
【0043】
ここで、中心導体左部110Lは、導体である。中心導体右部110Rは、絶縁体である。従って、中心導体110と第1端子18とは電気的に接続される。一方、中心導体110と第2端子20とは電気的に接続されない。その結果、高周波信号は、第1端子18から中心導体110へと伝送される。一方、高周波信号は、第1端子18から第2端子20へと伝送されない。
【0044】
(効果)
コネクタ10によれば、第1端子18と第2端子20とが離れにくくなることを抑制できる。より詳細には、第1端子ガイド部18bは、第1端子接触部18aから左上方向に延びている。これにより、中心導体110が第1端子ガイド部18bを下方向に押すことにより、第1端子ガイド部18bが左方向に変位して第1端子接触部18aと第2端子接触部20aとが離れるように、第1端子弾性変形部18cが弾性変形する。このように、コネクタ10では、第1端子接触部18a及び第1端子ガイド部18bが左方向に変位することにより、第1端子接触部18aと第2端子接触部20aとが離れる。従って、穴Hの底面Bの上に半田フラックスが付着しても、第1端子接触部18a及び第1端子ガイド部18bの変位が半田フラックスにより妨げられない。以上より、コネクタ10によれば、第1端子18と第2端子20とが離れにくくなることを抑制できる。
【0045】
コネクタ10によれば、中心導体110と第1端子18とがより確実に電気的に接続されるようになる。より詳細には、第1端子18の表面に汚れが付着する場合がある。このような汚れは、中心導体110と第1端子18との電気的な接続を妨げる場合がある。そこで、コネクタ10では、第1端子ガイド部18bは、第1端子接触部18aから左上方向に向かって延びている。これにより、中心導体110の下端は、第1端子ガイド部18bの表面を右下方向に滑る。そして、中心導体110の下端部は、第1端子接触部18aの第1接触面S1及び第2端子接触部20aの第2接触面S2を滑りながら、第1端子接触部18aと第2端子接触部20aとの間に挿入される。これにより、第1端子18の表面の汚れは、第1端子18と中心導体110との摩擦により除去されるようになる。よって、コネクタ10によれば、中心導体110と第1端子18とがより確実に電気的に接続されるようになる。
【0046】
コネクタ10によれば、コネクタ10に検査用プローブ100を容易に取り付けることができる。より詳細には、第1端子ガイド部18bは、第1端子接触部18aから左上方向に向かって延びている。第2端子ガイド部20bは、第2端子接触部20aから右上方向に向かって延びている。これにより、中心導体110が第1端子ガイド部18b及び第2端子ガイド部20bを下方向に押すことにより、第1端子ガイド部18bが左方向に変位しかつ第2端子ガイド部20bが右方向に変位して第1端子接触部18aと第2端子接触部20aとが離れるように、第1端子弾性変形部18c及び第2端子弾性変形部20cが弾性変形する。このように、第1端子18及び第2端子20の両方が弾性変形するので、中心導体110が第1端子接触部18aと第2端子接触部20aとの間に容易に挿入される。その結果、コネクタ10によれば、コネクタ10に検査用プローブ100を容易に取り付けることができる。
【0047】
コネクタ10によれば、中心導体110が第1端子18及び第2端子20に対して位置決めされるようになる。より詳細には、第1端子ガイド部18bは、第1端子接触部18aから左上方向に向かって延びている。これにより、中心導体110が穴Hの中心軸線に対して左にずれていた場合に、中心導体110の下端が第1端子ガイド部18bに接触する。そして、中心導体110は、第1端子ガイド部18bの表面を右下方向に滑る。その結果、コネクタ10によれば、中心導体110が第1端子18及び第2端子20に対して位置決めされるようになる。
【0048】
コネクタ10によれば、中心導体110が第1端子18及び第2端子20に対して位置決めされるようになる。より詳細には、第2端子ガイド部20bは、第2端子接触部20aから右上方向に向かって延びている。これにより、中心導体110が穴Hの中心軸線に対して右にずれていた場合に、中心導体110の下端が第2端子ガイド部20bに接触する。そして、中心導体110は、第2端子ガイド部20bの表面を左下方向に滑る。その結果、コネクタ10によれば、中心導体110が第1端子18及び第2端子20に対して位置決めされるようになる。
【0049】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係るコネクタ10aについて図面を参照しながら説明する。図7は、コネクタ10aの上面図である。図8は、図7のA-Aにおける断面図である。図9は、図7のB-Bにおける断面図である。図10は、第1端子18及び第2端子20の斜視図である。
【0050】
コネクタ10aは、図7ないし図10に示すように、第1端子18に第1凹部G1が設けられている点、及び、第2端子20に第2凹部G2が設けられている点においてコネクタ10と相違する。より詳細には、上下方向に見て、第1端子18の第1接触面S1には左方向に窪む第1凹部G1が設けられている。第1凹部G1は、第1接触面S1の前後方向の中央において上下方向に延びている。上下方向に見て、第2端子20の第2接触面S2には右方向に窪む第2凹部G2が設けられている。第2凹部G2は、第2接触面S2の前後方向の中央において上下方向に延びている。第1凹部G1及び第2凹部G2は、左右方向に並んでいる。これにより、図7に示すように、上下方向に見て、第1接触面S1と第2接触面S2との間には、円形の空間Sp1が形成されている。コネクタ10aのその他の構造は、コネクタ10と同じであるので説明を省略する。コネクタ10aは、コネクタ10と同じ作用効果を奏することができる。
【0051】
また、コネクタ10aによれば、中心導体110が第1端子18及び第2端子20に対して位置決めされるようになる。より詳細には、上下方向に見て、第1端子18の第1接触面S1には左方向に窪む第1凹部G1が設けられている。上下方向に見て、第2端子20の第2接触面S2には右方向に窪む第2凹部G2が設けられている。第1凹部G1及び第2凹部G2は、左右方向に並んでいる。これにより、上下方向に見て、第1接触面S1と第2接触面S2との間には、空間Sp1が形成されている。そのため、中心導体110の下端は、空間Sp1により位置決めされるようになる。よって、コネクタ10aによれば、中心導体110が第1端子18及び第2端子20に対して位置決めされるようになる。
【0052】
なお、第1端子18及び第2端子20は、図10に示す形状に限らない。図11は、変形例に係る第1端子18及び第2端子20の斜視図である。
【0053】
図11に示すように、第1端子18は、上下方向に延びる第1切り欠きSL1が第1端子接触部18aに設けられることにより、第1端子接触部18aは、前後方向に並ぶ第1接触面S1及び第3接触面S3を有している。上下方向に延びる第2切り欠きSL2が第2端子接触部20aに設けられることにより、第2端子接触部20aは、前後方向に並ぶ第2接触面S2及び第4接触面S4を有している。そして、第1接触面S1と第接触面Sとは互いに接触している。第接触面Sと第4接触面S4とは互いに接触している。以上のような第1端子18及び第2端子20を備えているコネクタ10aにおいても、中心導体110が第1端子18及び第2端子20に対して位置決めされるようになる。
【0054】
また、第1端子接触部18aが2か所において中心導体110に接触する。これにより、第1端子接触部18aがより確実に中心導体110に電気的に接続されるようになる。
【0055】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係るコネクタ10bについて図面を参照しながら説明する。図12は、コネクタ10bの断面図である。図13は、第1端子18及び第2端子20の斜視図である。
【0056】
コネクタ10bは、第1端子18及び第2端子20の構造においてコネクタ10aと相違する。より詳細には、第1端子弾性変形部18cは、第1端子保持部18dに連結され、かつ、第1端子接触部18aに連結されている。第1端子弾性変形部18cは、第1端子接触部18aから左方向に向かって延びている。第2端子弾性変形部20cは、第2端子保持部20dに連結され、かつ、第2端子接触部20aに連結されている。第2端子弾性変形部20cは、第2端子接触部20aから右方向に向かって延びている。
【0057】
また、上下方向に見て、第1端子18の第1接触面S1には左方向に窪む第1凹部G1が設けられている。第1凹部G1は、第1接触面S1の前後方向の中央において上下方向に延びている。上下方向に見て、第2端子20の第2接触面S2には右方向に窪む第2凹部G2が設けられている。第2凹部G2は、第2接触面S2の前後方向の中央において上下方向に延びている。第1凹部G1及び第2凹部G2は、左右方向に並んでいる。これにより、上下方向に見て、第1接触面S1と第2接触面S2との間には、円形の空間が形成されている。コネクタ10bのその他の構造は、コネクタ10aと同じであるので説明を省略する。コネクタ10bは、コネクタ10aと同じ作用効果を奏することができる。
【0058】
なお、第1端子18及び第2端子20は、図13の形状に限らない。図14は、変形例に係る第1端子18及び第2端子20の斜視図である。
【0059】
図14に示すように、第1端子18は、上下方向に延びる第1切り欠きSL1が第1端子接触部18aに設けられることにより、第1端子接触部18aは、前後方向に並ぶ第1接触面S1及び第3接触面S3を有している。上下方向に延びる第2切り欠きSL2が第2端子接触部20aに設けられることにより、第2端子接触部20aは、前後方向に並ぶ第2接触面S2及び第4接触面S4を有している。そして、第1接触面S1と第接触面Sとは互いに接触している。第接触面Sと第4接触面S4とは互いに接触している。以上のような第1端子18及び第2端子20を備えているコネクタ10bにおいても、中心導体110が第1端子18及び第2端子20に対して位置決めされるようになる。
【0060】
(第3変形例)
以下に、第3変形例に係るコネクタ10cについて図面を参照しながら説明する。図15は、コネクタ10cの断面図である。
【0061】
コネクタ10cは、第2端子20が第2端子弾性変形部20cを含んでいない点においてコネクタ10と相違する。より詳細には、コネクタ10cの第2端子20の形状は、コネクタ10の第2端子20の形状と同じである。ただし、コネクタ10cでは、第1端子18の内の第1端子接触部18a及び第1端子ガイド部18b以外の部分は、本体12に保持されている。これにより、中心導体110(図示せず)が第1端子ガイド部18b及び第2端子ガイド部20bを下方向に押すことにより、第1端子ガイド部18bが左方向に変位して第1端子接触部18aと第2端子接触部20aとが離れるように、第1端子弾性変形部18cが弾性変形する。そして、中心導体110(図示せず)が第1端子ガイド部18b及び第2端子ガイド部20bを下方向に押したときに、第2端子接触部20a及び第2端子ガイド部20bは本体12に対して変位しない。コネクタ10cのその他の構造は、コネクタ10と同じであるので説明を省略する。コネクタ10cは、コネクタ10と同じ作用効果を奏することができる。また、第2端子20が弾性変形しないので、第2端子20の劣化が抑制される。また、第2端子20が弾性変形しないので、第2端子20の第2端子接触部20aが変位しない。その結果、第2端子接触部20aが第2端子20に及ぼす力が変化しにくくなる。
【0062】
(第4変形例)
以下に、第4変形例に係るコネクタ10dについて図面を参照しながら説明する。図16は、コネクタ10dの断面図である。
【0063】
コネクタ10dは、第2端子20の構造においてコネクタ10cと相違する。より詳細には、コネクタ10dの第1端子18の形状は、コネクタ10bの第1端子18の形状と同じである。コネクタ10dのその他の構造は、コネクタ10cと同じであるので説明を省略する。コネクタ10dは、コネクタ10cと同じ作用効果を奏することができる。
【0064】
(その他の実施形態)
本発明に係るコネクタは、コネクタ10,10a~10dに限らずその要旨の範囲内において変更可能である。また、コネクタ10,10a~10dの構造を任意に組み合わせてもよい。
【0065】
なお、コネクタ10,10a~10dにおいて第2端子ガイド部20bは、必須の構成要件ではない。この場合、中心導体110が第1端子ガイド部18bを下方向に押すことにより、第1端子ガイド部18bが左方向に変位して第1端子接触部18aと第2端子接触部20aとが離れるように、第1端子弾性変形部18cが弾性変形する。
【0066】
コネクタ10,10a~10dにおいて、グランド端子14,16は、必須の構成要件ではない。
【0067】
なお、コネクタ10dの第2端子20の形状は、コネクタ10bの第2端子20の形状と同じであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10,10a~10d:コネクタ
12:本体
12a:板状部
12b:円筒部
14,16:グランド端子
14a,16a:グランド端子接触部
14b:グランド端子保持部
14c:グランド端子連結部
14d:グランド端子実装部
18:第1端子
18a:第1端子接触部
18b:第1端子ガイド部
18c:第1端子弾性変形部
18d:第1端子保持部
18e:第1端子実装部
20:第2端子
20a:第2端子接触部
20b:第2端子ガイド部
20c:第2端子弾性変形部
20d:第2端子保持部
20e:第2端子実装部
100:検査用プローブ
110:中心導体
110L:中心導体左部
110R:中心導体右部
120:外部導体
B:底面
G1:第1凹部
G2:第2凹部
H:穴
S1:第1接触面
S2:第2接触面
S3:第3接触面
S4:第4接触面
SL1:第1切り欠き
SL2:第2切り欠き
Sp1:空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16