(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ステアリングハンドル
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20231219BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B62D1/06
H01H36/00 J
(21)【出願番号】P 2021097348
(22)【出願日】2021-06-10
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】冨田 彰
(72)【発明者】
【氏名】水野 喜夫
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-157937(JP,A)
【文献】特開2021-028221(JP,A)
【文献】特開2019-010945(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02269887(GB,A)
【文献】国際公開第2014/142083(WO,A1)
【文献】特開2017-188458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00-1/28
G01B 7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者により把持され、かつステアリングシャフトを中心として回転操作されるリム部を備え、
前記リム部が、
前記ステアリングシャフトに連結され、かつ前記リム部の骨格部分を構成するリム部芯材と、
前記リム部芯材を覆った状態で、同リム部芯材に装着された樹脂製の第1被覆層と、
ポリウレタンにより形成されて、前記リム部の最外層部を構成する第2被覆層と、
前記運転者の手による前記リム部の把持に伴い生ずる静電容量の変化に基づき、前記リム部の把持状態を検出する静電容量センサの一部を構成するものであり、導電性材料により形成されるとともに、前記第1被覆層及び前記第2被覆層の間に配置され、前記手との間に静電容量を生ずる検出電極層と
を備え、前記リム部は、さらに、前記リム部芯材と前記第1被覆層との間に空隙部を有するステアリングハンドル。
【請求項2】
前記第1被覆層は、前記リム部芯材に対し、それぞれ装着される複数の第1被覆部材を備え、
各第1被覆部材が前記リム部芯材に装着された状態では、同第1被覆部材と前記リム部芯材との間に空隙構成部が形成され、前記リム部芯材に装着された全ての前記第1被覆部材の前記空隙構成部により前記空隙部が形成されている請求項1に記載のステアリングハンドル。
【請求項3】
各第1被覆部材のショアA硬度は40~70である請求項2に記載のステアリングハンドル。
【請求項4】
前記ステアリングシャフトの軸線を含む面における前記リム部の断面であって、前記リム部芯材を中心とする周方向を、前記断面の周方向とし、前記リム部芯材を中心とする径方向を、前記断面の径方向とした場合、
各第1被覆部材のうち、互いに前記断面の前記周方向に異なる複数箇所には、前記断面の前記径方向における内方へ突出する突部が形成されており、
各突部が、前記リム部芯材の外周部に形成された被係止部に係止されることにより、各第1被覆部材が前記リム部芯材に装着されている請求項2又は3に記載のステアリングハンドル。
【請求項5】
一部の前記被係止部は、前記リム部芯材の外面から前記断面の前記径方向における内方へ凹む凹部により構成されており、
前記突部が前記凹部に嵌合されることにより、前記突部の前記被係止部に対する係止がなされている請求項4に記載のステアリングハンドル。
【請求項6】
一部の前記被係止部は、前記リム部芯材の外周部において、前記断面の前記径方向へ延びる段差面を有する段差部により構成されており、
前記突部が前記段差面に掛け止められることにより、前記突部の前記被係止部に対する係止がなされている請求項4又は5に記載のステアリングハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者により把持され、かつステアリングシャフトを中心として回転操作されるリム部を備え、運転者によるリム部の把持状態を検出する機能を有するステアリングハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられたステアリングハンドルは、運転者により把持され、かつステアリングシャフトを中心として回転操作されるリム部を備えている。このステアリングハンドルの一形態として、運転者がリム部を把持しているかどうかを検出する機能を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記ステアリングハンドルのリム部は、リム部芯材、静電容量センサ及び表皮材を備えている。リム部芯材は、ステアリングシャフトに連結され、かつリム部の骨格部分を構成している。静電容量センサは、リム部芯材を覆った状態で同リム部芯材の周りに配置されている。表皮材は、静電容量センサの周りに巻付けられ、リム部の最外層部を構成している。
【0004】
静電容量センサは、絶縁層、検出電極層及びシールド電極層を備えている。検出電極層は絶縁層の外周面に沿って配置され、シールド電極層は絶縁層の内周面に沿って配置されている。検出電極層は、運転者の手との間に静電容量を生ずる。静電容量センサは、上記静電容量の変化に基づき、リム部の把持状態を検出する。
【0005】
シールド電極層は接地されており、検出電極層に対するノイズを遮蔽する機能を有している。
絶縁層及び表皮材は熱可塑性ポリマーからなり、検出電極層及びシールド電極層は導電性布からなる。このため、リム部において、リム部芯材よりも外周部分が柔らかくなり、リム部を握ったときの触感が柔らかくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来のステアリングハンドルは、触感が良好であるものの、リム部が、リム部芯材、シールド電極層、絶縁層、検出電極層及び表皮材といった多くの部品によって構成されていて、部品点数が多い。また、表皮材が静電容量センサの周りに巻付けられている。この巻付けは、外観品質確保の観点から、表皮材に皺が入らないようになされる。そのため、巻付け作業が煩雑である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するステアリングハンドルは、車両の運転者により把持され、かつステアリングシャフトを中心として回転操作されるリム部を備え、前記リム部が、前記ステアリングシャフトに連結され、かつ前記リム部の骨格部分を構成するリム部芯材と、前記リム部芯材を覆った状態で、同リム部芯材に装着された樹脂製の第1被覆層と、ポリウレタンにより形成されて、前記リム部の最外層部を構成する第2被覆層と、前記運転者の手による前記リム部の把持に伴い生ずる静電容量の変化に基づき、前記リム部の把持状態を検出する静電容量センサの一部を構成するものであり、導電性材料により形成されるとともに、前記第1被覆層及び前記第2被覆層の間に配置され、前記手との間に静電容量を生ずる検出電極層とを備え、前記リム部は、さらに、前記リム部芯材と前記第1被覆層との間に空隙部を有する。
【0009】
上記の構成によれば、検出電極層は、運転者の手との間に静電容量を生ずる。静電容量センサは、上記静電容量の変化に基づき、手によるリム部の把持状態を検出する。
ところで、リム部芯材は、ステアリングシャフトに連結されている。ステアリングシャフトは、車体を介して接地されている。そのため、リム部芯材における静電容量は、車両の走行状態、車室の温度変化等、リム部芯材の周囲の状況の変化に応じて変化する。この静電容量が、検出電極層と手との間で生ずる静電容量に影響すると、静電容量センサによる把持状態の検出の精度が低下する。
【0010】
この点、上記の構成によれば、リム部芯材と第1被覆層との間の空隙部は、絶縁部として機能する。空隙部は、リム部芯材に蓄えられた電荷を遮蔽することで、その電荷が、検出電極層と手との間に生ずる静電容量に影響するのを抑制する。すなわち、空隙部は、従来のステアリングハンドル(特許文献1)におけるシールド電極層と同様の機能を発揮する。従って、静電容量センサによる把持状態の検出が、周囲の状況に拘わらず安定して的確に行なわれる。そのため、シールド電極層を省略して、リム部の部品点数を削減することが可能となる。
【0011】
また、リム部の最外層部を構成し、かつポリウレタンによって形成された第2被覆層は、軟質である。そのため、運転者がリム部を把持した場合、手を通じて運転者に第2被覆層の柔らかさを感じさせることで、良好な触感が得られる。
【0012】
また、仮に、表皮材を巻付けることによってリム部の最外層部が形成される場合には、外観品質確保のために、皺が入らないように表皮材を巻付けなければならず、巻付け作業が煩雑である。この点、上記の構成によれば、第2被覆層はウレタン成形により形成される。そのため、所望の形状となるように第2被覆層を形成すること、すなわち、外観品質を確保することが容易である。
【0013】
上記ステアリングハンドルにおいて、前記第1被覆層は、前記リム部芯材に対し、それぞれ装着される複数の第1被覆部材を備え、各第1被覆部材が前記リム部芯材に装着された状態では、同第1被覆部材と前記リム部芯材との間に空隙構成部が形成され、前記リム部芯材に装着された全ての前記第1被覆部材の前記空隙構成部により前記空隙部が形成されていることが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、第1被覆部材がリム部芯材に装着されると、同第1被覆部材とリム部芯材との間に空隙構成部が形成される。そして、全ての第1被覆部材がリム部芯材に装着されると、それらの第1被覆部材によってリム部芯材が取り囲まれた状態となる。また、第1被覆部材毎の空隙構成部によって、リム部芯材の周りに空隙部が形成される。
【0015】
上記ステアリングハンドルにおいて、各第1被覆部材のショアA硬度は40~70であることが好ましい。
ここで、仮に、各第1被覆部材が硬質材料によって形成されると、静電容量センサによる把持状態の検出感度をよくするために、第2被覆層の厚みを薄くした場合に、次の懸念がある。それは、運転者がリム部を握って第2被覆層が弾性変形して底付きした場合に、第1被覆部材の硬さが検出電極層及び第2被覆層を介して手に伝わり、触感が硬くなることである。
【0016】
この点、上記のショアA硬度を有する各第1被覆部材は軟質である。そのため、運転者がリム部を握って第2被覆層が弾性変形して底付きしても、各第1被覆部材が弾性変形することとなり、触感が柔らかくなる。
【0017】
上記ステアリングハンドルにおいて、前記ステアリングシャフトの軸線を含む面における前記リム部の断面であって、前記リム部芯材を中心とする周方向を、前記断面の周方向とし、前記リム部芯材を中心とする径方向を、前記断面の径方向とした場合、各第1被覆部材のうち、互いに前記断面の前記周方向に異なる複数箇所には、前記断面の前記径方向における内方へ突出する突部が形成されており、各突部が、前記リム部芯材の外周部に形成された被係止部に係止されることにより、各第1被覆部材が前記リム部芯材に装着されていることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、リム部の製造に際し、第1被覆部材毎の複数の突部が、リム部芯材の外周部の対応する箇所に形成された被係止部に係止される。すると、上記断面の上記周方向における各第1被覆部材のリム部芯材に対する位置決めと、上記断面の上記径方向における各第1被覆部材のリム部芯材に対する位置決めとがなされる。各第1被覆部材は、リム部芯材との間に空隙構成部を形成しながらリム部芯材に装着される。
【0019】
上記ステアリングハンドルにおいて、一部の前記被係止部は、前記リム部芯材の外面から前記断面の前記径方向における内方へ凹む凹部により構成されており、前記突部が前記凹部に嵌合されることにより、前記突部の前記被係止部に対する係止がなされていることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、リム部の製造に際し、第1被覆部材毎に形成された突部が、リム部芯材に形成され、かつ凹部からなる被係止部に嵌合されると、突部の被係止部に対する係止がなされる。
【0021】
すると、他の突部が、対応する被係止部に係止されることを条件に、上記断面の上記周方向における各第1被覆部材のリム部芯材に対する位置決めと、上記断面の上記径方向における各第1被覆部材のリム部芯材に対する位置決めとがなされる。リム部芯材との間に空隙構成部が形成されながら各第1被覆部材がリム部芯材に装着される。
【0022】
上記ステアリングハンドルにおいて、一部の前記被係止部は、前記リム部芯材の外周部において、前記断面の前記径方向へ延びる段差面を有する段差部により構成されており、前記突部が前記段差面に掛け止められることにより、前記突部の前記被係止部に対する係止がなされていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、リム部の製造に際し、第1被覆部材毎の突部が、リム部芯材に形成された段差部の段差面に掛け止められる。この掛け止めにより、突部の被係止部に対する係止がなされる。
【0024】
すると、他の突部が、対応する被係止部に対し係止されることを条件に、上記断面の上記周方向における各第1被覆部材のリム部芯材に対する位置決めと、上記断面の上記径方向における各第1被覆部材のリム部芯材に対する位置決めとがなされる。リム部芯材との間に空隙構成部が形成されながら各第1被覆部材がリム部芯材に装着される。
【発明の効果】
【0025】
上記ステアリングハンドルによれば、リム部の柔らかな触感及び外観品質を確保しつつ、部品点数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態のステアリングハンドルを、車両におけるステアリングハンドルの周辺箇所とともに示す概略側面図。
【
図2】一実施形態のステアリングハンドルを、運転者の手とともに示す正面図。
【
図3】一実施形態のステアリングハンドルにおけるリム部の断面図。
【
図4】一実施形態におけるリム部の製造に際し、後第1被覆部材が検出電極層とともにリム部芯材に装着された状態を示す断面図。
【
図5】一実施形態におけるリム部の製造に際し、前第1被覆部材及び後第1被覆部材が検出電極層とともに、リム部芯材に装着される前の状態を示す分解断面図。
【
図6】一実施形態におけるリム部の製造に際し、リム部芯材に対し、後第1被覆部材が検出電極層とともに装着される途中の状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、ステアリングハンドルの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両10内の運転席11の前方には、同車両10を操舵する際に、運転者D1によって操作される操舵装置12が設けられている。操舵装置12は、ステアリングコラム13と、ステアリングコラム13よりも後方に回転操作可能に配置されたステアリングハンドル14とを備えている。ステアリングコラム13内には、ステアリングハンドル14の回転をステアリングギヤボックス(図示略)に伝達するステアリングシャフト15が配置されている。ステアリングシャフト15は、後側ほど高くなるように傾斜した状態で配置されている。ステアリングシャフト15は、車両10の車体を介して接地されている。
【0028】
本実施形態では、ステアリングハンドル14の各部について説明する際には、ステアリングシャフト15の軸線L1を基準とする。この軸線L1に沿う方向をステアリングハンドル14の「前後方向」といい、軸線L1に直交する面に沿う方向のうち、ステアリングハンドル14の起立する方向を「上下方向」というものとする。従って、ステアリングハンドル14の前後方向及び上下方向は、車両10の前後方向(水平方向)及び上下方向(鉛直方向)に対し若干傾いていることとなる。
【0029】
図2に示すように、ステアリングハンドル14は、リム部(ハンドル部、リング部と呼ばれることもある)20、パッド部51及びスポーク部52を備えている。リム部20は、運転者D1によって把持されて、ステアリングシャフト15を中心として回転操作される部分であり、上記軸線L1を中心とした略円環状をなしている。パッド部51は、リム部20によって囲まれた空間に配置されている。スポーク部52は、リム部20及びパッド部51の間に設けられている。
【0030】
ステアリングハンドル14の骨格部分は芯材(芯金と呼ばれることもある)によって構成されている。芯材は、鉄、アルミニウム、マグネシウム又はそれらの合金等によって形成されている。芯材は、上記ステアリングシャフト15の後端部に対し、一体回転可能に取付けられている。
【0031】
図3~
図5に示すように、芯材のうち、リム部20内に位置するものは、リム部芯材21と呼ばれる。リム部芯材21は、リム部20の骨格部分をなすものであって、上記前後方向から見て略円環状をなしている。リム部芯材21は、スポーク部52における芯材、及びパッド部51における芯材を介してステアリングシャフト15に連結されている。
【0032】
ここで、ステアリングシャフト15の軸線L1(
図1、
図2参照)を含む面におけるリム部20の断面であって、リム部芯材21を中心とする周方向を、「断面の周方向」とする。また、上記断面であって、リム部芯材21を中心とする径方向を、「断面の径方向」とする。リム部芯材21の外面は、上記断面の上記周方向に複数の外周面22を有している。各外周面22は、上記断面の上記径方向における外方へ膨らむように湾曲している。
【0033】
上記リム部芯材21の外面であって、互いに上記断面の上記周方向に異なる複数箇所には、被係止部が形成されている。本実施形態では、複数の被係止部は、上記断面の上記周方向に略等角度(略90°)毎に形成されている。
【0034】
複数の被係止部は、2つの凹部23,26と、2つの段差部24,27とによって構成されている。2つの凹部23,26は、リム部芯材21の中心軸線CLを前後両側から挟む箇所に位置している。2つの段差部24,27は、中心軸線CLを、軸線L1を中心とするリム部20の径方向の両側から挟む箇所に位置している。凹部23,26と段差部24,27とは、上記断面の上記周方向に交互に形成されている。
【0035】
各凹部23,26は、リム部芯材21の外面であって、隣り合う外周面22間となる箇所から、上記断面の上記径方向における内方(以下単に「径方向内方」という)へ凹んでいる。段差部24は段差面25を有し、段差部27は段差面28を有している。段差面25,28は、上記断面の上記径方向へ延びており、上記断面の上記周方向に隣り合う外周面22の境界部分に位置している。
【0036】
リム部20は、上記リム部芯材21に加え、第1被覆層30、検出電極層44,45及び第2被覆層43を備えている。
第1被覆層30は、リム部芯材21を覆った状態で、同リム部芯材21に装着されている。第1被覆層30は、リム部芯材21に対し、それぞれ装着される複数の第1被覆部材を備えている。複数の第1被覆部材は、本実施形態では、前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36からなる。前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36は、いずれも軟質の樹脂材料、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)等のエラストマーによって形成されている。前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36のショアA硬度は、40~70である。
【0037】
前第1被覆部材31は、上記軸線L1に沿う方向(
図3~
図5の上下方向)の前方からリム部芯材21を覆うように、同リム部芯材21に装着されている。前第1被覆部材31の多くの部分は、前第1被覆本体部32によって構成されている。前第1被覆本体部32は、上記外周面22を含むリム部芯材21の外面に沿って、上記断面の上記径方向における外方(以下単に「径方向外方」という)へ膨らむように湾曲している。前第1被覆本体部32において、互いに上記断面の上記周方向に異なる複数箇所、本実施形態では2箇所には、突部33,34が形成されている。各突部33,34は、前第1被覆本体部32の内周部から、上記断面の上記径方向内方へ突出している。
【0038】
一方の突部33は、上記断面の上記周方向における前第1被覆本体部32の一方(
図3~
図5の左方)の端部に形成されている。前第1被覆本体部32からの突部33の突出長さは、上記断面の上記径方向における段差面25の寸法よりも長く設定されている。
【0039】
他方の突部34は、上記断面の上記周方向における前第1被覆本体部32の中間部に形成されている。前第1被覆本体部32からの突部34の突出長さは、凹部23の深さよりも長く設定されている。
【0040】
そして、突部33の先端部を含む同突部33の一部が、段差面25に掛け止められることにより、突部33の段差部24(被係止部)に対する係止がなされている。また、突部34の先端部を含む同突部34の一部が凹部23に嵌合されることにより、突部34の凹部23(被係止部)に対する係止がなされている。これらの係止により、前第1被覆部材31がリム部芯材21に装着されている。このように装着された状態では、突部33の前第1被覆本体部32との境界部分が、段差面25よりも上記断面の上記径方向外方に位置している。また、突部34の前第1被覆本体部32との境界部分が、凹部23から露出している。そして、前第1被覆本体部32とリム部芯材21との間に空隙構成部35が形成されている。
【0041】
これに対し、後第1被覆部材36は、上記軸線L1に沿う方向の後方からリム部芯材21を覆うように、同リム部芯材21に装着されている。後第1被覆部材36の多くの部分は、後第1被覆本体部37によって構成されている。後第1被覆本体部37は、外周面22を含むリム部芯材21の外面に沿って、上記断面の上記径方向外方へ膨らむように湾曲している。後第1被覆本体部37において、互いに上記断面の上記周方向に異なる複数箇所、本実施形態では2箇所には、突部38,39が形成されている。各突部38,39は、後第1被覆本体部37の内周部から、上記断面の上記径方向内方へ突出している。
【0042】
一方の突部38は、上記断面の上記周方向における後第1被覆本体部37の一方(
図3~
図5の右方)の端部に形成されている。後第1被覆本体部37からの突部38の突出長さは、上記断面の上記径方向における段差面28の寸法よりも長く設定されている。
【0043】
他方の突部39は、上記断面の上記周方向における後第1被覆本体部37の中間部に形成されている。後第1被覆本体部37からの突部39の突出長さは、凹部26の深さよりも長く設定されている。
【0044】
そして、突部38の先端部を含む同突部38の一部が、段差面28に掛け止められることにより、突部38の段差部27(被係止部)に対する係止がなされている。また、突部39の先端部を含む同突部39の一部が凹部26に嵌合されることにより、突部39の凹部26(被係止部)に対する係止がなされている。これらの係止により、後第1被覆部材36がリム部芯材21に装着されている。この状態では、突部38の後第1被覆本体部37との境界部分が、上記断面の上記径方向における段差面28よりも外方に位置している。突部39の後第1被覆本体部37との境界部分が、凹部26から露出している。そして、後第1被覆部材36とリム部芯材21との間に空隙構成部41が形成されている。
【0045】
上記断面の上記周方向における前第1被覆部材31の両方の端部と、後第1被覆部材36の同周方向における両方の端部とは、弾性変形した状態で、互いに上記周方向に接近する側へ圧接している。
【0046】
そして、上記両空隙構成部35,41により、リム部芯材21の周りであって第1被覆層30との間に、空隙部42が形成されている。
図3に示すように、第2被覆層43は、ポリウレタンによって軟質に形成されており、リム部20の最外層部を構成している。第2被覆層43は、その厚みが、上記断面の上記周方向に均一となるように形成されている。第2被覆層43の厚みは、本実施形態では、3~4mmに設定されているが、これとは異なる値に設定されてもよい。
【0047】
検出電極層44,45は、第1被覆層30及び第2被覆層43の間に配置されており、静電容量センサの一部を構成している。各検出電極層44,45は、導電性材料によって形成されている。本実施形態では、各検出電極層44,45がアルミ箔によって形成されているが、銅箔によって形成されてもよい。また、導電性を有する金属材料が布帛に含浸されたものによって検出電極層44,45が形成されてもよい。
【0048】
一方の検出電極層44は前第1被覆本体部32の外周面32aに貼付けられ、他方の検出電極層45は後第1被覆本体部37の外周面37aに貼付けられている。両検出電極層44,45において、上記断面の上記周方向に隣り合う端部同士は、互いに接触している。
【0049】
静電容量センサは、さらに、図示しない検出回路部を備えている。検出回路部は、例えば、パッド部51内に配置されている。検出回路部は、検出電極層44,45に対し、電気的に接続されている。検出回路部は、検出電極層44,45と運転者D1の手H1との間に生ずる静電容量の変化に基づき、上記手H1のリム部20に対する把持状態を検出する。
【0050】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
上記リム部20は、次のようにして製造される。
【0051】
まず、前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36のそれぞれが射出成形法等の樹脂成形法によって成形される。
また、上記樹脂成形とは別に、アルミ箔等の導電性を有する箔がプレス機で所定の形状に打ち抜かれることにより、検出電極層44,45が形成される。
【0052】
図5に示すように、前第1被覆本体部32の外周面32aに検出電極層44が貼付けられる。後第1被覆本体部37の外周面37aに検出電極層45が貼付けられる。このように検出電極層44,45が貼付けられた前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36が、リム部芯材21に装着される。
【0053】
リム部芯材21に対する装着は、前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36のいずれも同様にして行なわれる。そのため、ここでは、検出電極層45が貼付けられた後第1被覆部材36をリム部芯材21に装着する場合について説明する。
【0054】
後第1被覆部材36の突部38,39が、リム部芯材21の外周部の対応する被係止部に係止される。
例えば、
図6に示すように、突部38が、段差部27の段差面28に掛け止められる。この掛け止めにより、突部38の段差部27(被係止部)に対する係止がなされる。
【0055】
次に、突部38を支点として、突部39が凹部26に近づく側へ、後第1被覆部材36が回転させられる。この回転は、リム部芯材21に接触した後第1被覆部材36が弾性変形されながら行なわれる。弾性変形を伴う上記回転により、突部39が凹部26に嵌合されると、突部39の凹部26(被係止部)に対する係止がなされる。
【0056】
すると、
図4において実線で示すように、上記断面の上記周方向における後第1被覆部材36のリム部芯材21に対する位置決めと、上記断面の上記径方向における後第1被覆部材36のリム部芯材21に対する位置決めとがなされる。リム部芯材21との間に空隙構成部41が形成されながら、後第1被覆部材36がリム部芯材21に装着される。後第1被覆部材36の突部38,39が、リム部芯材21の段差部27及び凹部26に対し係止されることにより、同後第1被覆部材36がリム部芯材21に対し、上記断面の上記周方向及び上記径方向へ動くことを規制される。
【0057】
なお、突部39の凹部26に対する係止が、突部38の段差部27に対する係止よりも早いタイミング、又は同時に行なわれることによって、後第1被覆部材36のリム部芯材21に対する装着がなされてもよい。
【0058】
図4において二点鎖線で示すように、前第1被覆部材31についても、上記後第1被覆部材36と同様にしてリム部芯材21に装着される。この装着の際、上記断面の上記周方向における前第1被覆部材31の両方の端部と、後第1被覆部材36の同周方向における両方の端部とが干渉し合う。前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36において上記断面の上記周方向に隣り合う端部同士が弾性変形させられながら、前第1被覆部材31がリム部芯材21に装着される。すると、前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36において上記断面の上記周方向に隣り合う端部は、互いに同周方向に接近する側へ圧接し合う。
【0059】
そのため、前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36の境界部分には、隙間が生じない。又は上記境界部分に隙間が生じたとしても、その隙間は無視できるほど狭い。
そして、前第1被覆部材31が上記のようにリム部芯材21に装着されると、その前第1被覆部材31と上記後第1被覆部材36とによってリム部芯材21が取り囲まれた状態となる。また、前第1被覆部材31及びリム部芯材21の間の空隙構成部35と、後第1被覆部材36及びリム部芯材21の間の空隙構成部41とによって、リム部芯材21の周りに空隙部42が形成される。
【0060】
なお、上記とは逆に、前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36が、この順でリム部芯材21に装着されてもよい。
次に、上記のように、前第1被覆部材31と後第1被覆部材36とによって覆われた状態のリム部芯材21は、図示しない金型に配置される。金型にウレタン材料が注入されてウレタン成形が行なわれることで、ポリウレタンからなる軟質の第2被覆層43が、検出電極層44,45を被覆した状態で、厚みが上記断面の上記周方向に均一となるように形成される。このとき、上述したように、リム部芯材21は、前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36によって覆われている。しかも、前第1被覆部材31と後第1被覆部材36との境界部分には隙間が生じていない、又は無視できるほど狭い隙間が生じているのみである。そのため、ウレタン材料が、上記境界部分を通って上記空隙部42に入り込むことが起こりにくい。従って、リム部芯材21と第1被覆層30との間に、所望の大きさ及び形状を有する空隙部42を形成することができる。
【0061】
上記のようにして、目的とする形状及び大きさを有するリム部20が得られる。このリム部20は、金型から取り出される。そして、上記リム部20を有するステアリングハンドル14は、ステアリングシャフト15の後端部に取付けられる(
図1、
図2参照)。
【0062】
上記ステアリングハンドル14において、検出電極層44,45は、運転者D1の手H1との間に静電容量を生ずる。リム部20が運転者D1によって把持されると、検出電極層44,45と手H1との間の静電容量が、同リム部20が把持されないときの静電容量とは異なる値になる。そのため、静電容量センサの検出回路部は、上記静電容量の変化に基づき、手H1によるリム部20の把持状態を検出することが可能である。
【0063】
ところで、リム部芯材21は、ステアリングシャフト15に連結されている。ステアリングシャフト15は、車体を介して接地されている。そのため、リム部芯材21における静電容量は、車両10の走行状態、車室の温度変化等、リム部芯材21の周囲の状況の変化に応じて変化する。この静電容量が、検出電極層44,45と手H1との間で生ずる静電容量に影響すると、静電容量センサによる把持状態の検出の精度が低下する。
【0064】
図3に示すように、本実施形態では、リム部芯材21と第1被覆層30との間の空隙部42が、絶縁部として機能する。そのため、空隙部42は、リム部芯材21に蓄えられた電荷を遮蔽することで、その電荷が、検出電極層44,45と手H1との間に生ずる静電容量に影響するのを抑制する。すなわち、空隙部42は、従来のステアリングハンドル(特許文献1)におけるシールド電極層と同様の機能を発揮する。静電容量センサによる把持状態の検出が、周囲の状況に拘わらず安定して的確に行なわれる。従って、シールド電極層を省略して、リム部20の部品点数を削減することができる。
【0065】
また、リム部20の最外層部を構成し、かつポリウレタンによって形成された第2被覆層43は、軟質である。そのため、運転者D1がリム部20を把持した場合、手H1を通じて運転者D1に第2被覆層43の柔らかさを感じさせることで、良好な触感(握り心地)を得ることができる。
【0066】
また、仮に、表皮材を巻付けることによってリム部の最外層部が形成される場合には、外観品質確保のために、皺が入らないように表皮材を巻付ける作業を行なわなければならず、その作業が煩雑である。この点、本実施形態では、第2被覆層43は、ウレタン成形により形成される。そのため、所望の形状となるように第2被覆層43を形成すること、すなわち、外観品質を確保することが容易である。
【0067】
また、仮に、前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36が硬質の樹脂材料によって形成されていると、次の問題が起り得る。この問題は、静電容量センサの検出感度をよくするために、第2被覆層43の厚みを薄くした場合に起り得る。問題とは、運転者D1がリム部20を握って第2被覆層43が弾性変形して底付きした場合に、前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36の硬さが、検出電極層44,45及び第2被覆層43を介して手H1に伝わり、触感が硬くなることである。
【0068】
この点、上記のショアA硬度を有する前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36は軟質である。そのため、運転者D1がリム部20を握って第2被覆層43が弾性変形して底付きしても、前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36が弾性変形することとなる。前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36の柔らかさが、検出電極層44,45及び第2被覆層43を介して手H1に伝わり、触感が柔らかくなる。前第1被覆部材31及び後第1被覆部材36が硬質の樹脂材料によって形成された場合よりも触感が良好になる。
【0069】
本実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
(1)本実施形態では、ウレタン材料が、空隙部42に入り込んでいない。そのため、ウレタン材料が空隙部42に入り込んでいる場合に比べ、リム部20ひいてはステアリングハンドル14の軽量化を図ることができる。
【0070】
(2)本実施形態では、ウレタン成形を行なうことで第2被覆層43を形成している。そのため、第2被覆層43を、上記断面の上記周方向に厚みが均一となるように形成することが容易である。
【0071】
(3)上記(2)に関連するが、検出電極層44,45から、第2被覆層43のうち、手H1が触れている箇所(外面)までの距離を、上記断面の上記周方向に均一にすることができる。検出電極層44,45と手H1との間に生ずる静電容量が上記断面の上記周方向にばらつくのを抑制できる。
【0072】
(4)本実施形態では、前第1被覆本体部32からの突部33の突出長さが、上記断面の上記径方向における段差面25の寸法よりも長く設定されている。また、前第1被覆本体部32からの突部34の突出長さが、凹部23の深さよりも長く設定されている。
【0073】
そのため、前第1被覆部材31がリム部芯材21に装着された状態では、前第1被覆本体部32をリム部芯材21から、上記断面の上記径方向外方へ離間させることができる。前第1被覆部材31とリム部芯材21との間、特に外周面22との間に、所望の大きさ及び形状を有する空隙構成部35を形成することができる。
【0074】
後第1被覆部材36についても、突部38,39の突出長さ等の設定により、上記前第1被覆部材31と同様にして、リム部芯材21との間に空隙構成部41を形成することができる。
【0075】
(5)本実施形態では、リム部芯材21と第1被覆層30との間に空隙部42を形成している。そのため、空隙部42を形成しない場合に比べて、第1被覆層30の外形形状を大きくし、その分、第2被覆層43の厚みを小さくすることができる。
【0076】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0077】
<リム部20の形状について>
・リム部20は、軸線L1を中心とする円環状とは異なる環状に形成されてもよい。この場合、リム部20は、例えば、一部が円弧状に形成され、他の一部が直線状に形成されてもよい。
【0078】
・リム部20は、非環状に形成されてもよい。
<第1被覆層30について>
・運転者D1に近い側に位置する後第1被覆部材36と、運転者D1から遠い側に位置する前第1被覆部材31とは、上記実施形態のように、互いに硬度が同一となるように形成されてもよいし、互いに硬度が異なるように形成されてもよい。
【0079】
例えば、前第1被覆部材31が上記実施形態と同様の軟質の樹脂材料によって形成され、後第1被覆部材36が前第1被覆部材31よりも硬質の樹脂材料によって形成されてもよい。硬質の樹脂材料としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)等を用いることができる。
【0080】
このようにすると、後第1被覆部材36の硬度を、前第1被覆部材31の硬度よりも高くすることができ、リム部20を握ったときの触感を向上させることができる。
すなわち、リム部20において、運転者D1に近い領域は、運転者D1がリム部20を把持した際に、掌が接触する領域である。この領域の手H1との接触面積は大きい。この領域に対しては、リム部20の把持に伴い大きな押圧力が加えられる。リム部20の上記領域には、硬質の後第1被覆部材36が配置されている。従って、運転者D1はリム部20を把持した際に、第2被覆層43及び検出電極層45を介して、掌で後第1被覆部材36の硬さを感じることができる。
【0081】
これに対し、リム部20において、運転者D1から遠い領域は、運転者D1がリム部20を把持した際に、指先が接触する領域である。この領域の手H1との接触面積は小さい。リム部20の把持に伴い、上記領域に加えられる押圧力は小さい。リム部20の上記領域には、軟質の前第1被覆部材31が配置されている。従って、運転者D1はリム部20を把持した際に、第2被覆層43及び検出電極層44を介して、指先で前第1被覆部材31の柔らかさを感じることができる。
【0082】
その結果、リム部20が手H1になじみやすく、触感が良好になる。
・第1被覆層30が、3以上の第1被覆部材によって構成されてもよい。
・第1被覆層30が、2つの第1被覆部材によって構成される場合、各第1被覆部材がリム部芯材21を覆う領域が上記実施形態とは異なる領域に変更されてもよい。例えば、一方の第1被覆部材が、軸線L1を中心とする径方向における内周部分を覆い、他方の第1被覆部材が、同径方向における外周部分を覆ってもよい。
【0083】
<被係止部について>
・凹部23,26からなる被係止部が、段差面を有する段差部によって構成されてもよい。この場合、全ての被係止部が、段差面を有する段差部によって構成されることになる。
【0084】
また、上記とは逆に、段差面25,28を有する段差部24,27からなる被係止部が、凹部によって構成されてもよい。この場合、全ての被係止部が、凹部によって構成されることになる。
【0085】
<突部33,34,38,39について>
・前第1被覆部材31における突部33,34の数が3以上に変更されてもよい。同様に、後第1被覆部材36における突部38,39の数が3以上に変更されてもよい。これらの場合、リム部芯材21における被係止部(凹部23,26、段差部24,27)も、変更後の突部33,34,38,39の数と同数設けられる。
【0086】
<検出電極層44,45について>
・検出電極層44,45は、軸線L1を中心とするリム部20の周方向における全周にわたって配置されてもよいし、一部にのみ配置されてもよい。一部の場合、検出電極層44,45は、運転者D1が把持する頻度の高い領域に配置される。
【0087】
・検出電極層44,45は、上記実施形態のように、上記断面の上記周方向における全周にわたって配置されてもよいし、同方向における一部にのみ配置されてもよい。
<その他>
・車両10が冬期、寒冷地等において駐車されると、車内の温度が低くなり、これに伴いリム部20の温度が低くなる。このような状態で運転者D1が車両10に乗って運転を開始する際、冷えたリム部20を握ることになり、操舵がしづらい。また、運転者D1に不快感を与える。
【0088】
そこで、上記リム部20内にシート状のヒータが配置されてもよい。この場合、ヒータは、前第1被覆本体部32と検出電極層44との間に配置されてもよいし、後第1被覆本体部37と検出電極層45との間に配置されてもよい。また、ヒータは、前第1被覆本体部32と検出電極層44との間にも、後第1被覆本体部37と検出電極層45との間にも配置されてもよい。
【0089】
このようにすると、ヒータを通電により発熱させることで、リム部20の温度を高くすることができる。運転者D1は、暖められたリム部20を握ることになり、リム部20が冷えている場合よりも、操舵がしやすくなる。また、リム部20が冷えていることが原因で、運転者D1に不快感を与えるのを抑制できる。
【符号の説明】
【0090】
10…車両
14…ステアリングハンドル
15…ステアリングシャフト
20…リム部
21…リム部芯材
23,26…凹部(被係止部)
24,27…段差部(被係止部)
25,28…段差面
30…第1被覆層
31…前第1被覆部材(第1被覆部材)
33,34,38,39…突部
35,41…空隙構成部
36…後第1被覆部材(第1被覆部材)
42…空隙部
43…第2被覆層
44,45…検出電極層
D1…運転者
H1…手
L1…軸線