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特許7405122電子機器、電子機器の発音方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の発音方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/18 20060101AFI20231219BHJP
   G10H 1/053 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G10H1/18 101
G10H1/053 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021127513
(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公開番号】P2023022574
(43)【公開日】2023-02-15
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博毅
(72)【発明者】
【氏名】川島 肇
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-250655(JP,A)
【文献】特開2012-185440(JP,A)
【文献】特開2022-006706(JP,A)
【文献】特開平05-165477(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0227573(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる演奏操作に応じて音高データを指定する複数の演奏操作子と、
楽音を発生する音源に発音を指示するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記演奏操作が指示条件を満たす場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たす音高データに対応する第2音色での発音を前記音源に指示し、
前記指示条件を満たさない場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たさない音高データに対応する、前記第2音色とは異なる第1音色での発音を前記音源に指示し、
前記指示条件を満たす場合は、設定された時間内に複数の前記演奏操作子が操作される場合を含
前記音源は、前記第1音色での発音にプリセット又は前記ユーザの指定に基づいて所定の音響効果を付加することにより前記第2音色での発音を行う第1のモードと、前記第1音色での発音に対応する音源パートとは異なる音源パートを用いて前記第2音色での発音を行う第2のモードとを備え、
前記ユーザは、前記第1のモード又は前記第2のモードの何れかを選択可能である、
電子機器。
【請求項2】
前記プロセッサは、
設定された時間内に複数の前記演奏操作子が操作された場合であって前記設定された時間経過後に前記演奏操作子への新たな操作が検出された場合に、前記新たな操作に応じて指定された楽音データに対応する前記第1音色での発音を前記音源に指示し、前記第2音色での発音は前記音源に指示しない、
請求項に記載の電子機器。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記演奏操作子への消音操作に応じて発音されている全ての前記第2音色の楽音に対する消音を指示するまで、前記消音を指示していない楽音の前記第2音色での発音を維持する
請求項又は請求項に記載の電子機器。
【請求項4】
前記プロセッサは、
発音されている全ての前記第2音色の楽音に対する消音を指示した後に、設定された時間内に操作が検出された前記複数の演奏操作子の数が設定された数に達している場合に、前記指示条件を満たすと判断する、
請求項乃至請求項の何れかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記設定された時間内か否かを、最初の演奏操作子を操作したタイミングからの経過時間に基づいて判定する
請求項1乃至請求項の何れかに記載の電子機器。
【請求項6】
電子機器に、
ユーザによる演奏操作が指示条件を満たす場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たす音高データに対応する第2音色での発音を音源に指示し、
前記指示条件を満たさない場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たさない音高データに対応する、前記第2音色とは異なる第1音色での発音を前記音源に指示し、
前記指示条件を満たす場合は、設定された時間内に音高データを指定する複数の演奏操作子が操作される場合を含み、
前記音源は、前記第1音色での発音にプリセット又は前記ユーザの指定に基づいて所定の音響効果を付加することにより前記第2音色での発音を行う第1のモードと、前記第1音色での発音に対応する音源パートとは異なる音源パートを用いて前記第2音色での発音を行う第2のモードとを備え、
前記ユーザは、前記第1のモード又は前記第2のモードの何れかを選択可能である、
電子機器の発音方法。
【請求項7】
電子機器に、
ユーザによる演奏操作が指示条件を満たす場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たす音高データに対応する第2音色での発音を音源に指示し、
前記指示条件を満たさない場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たさない音高データに対応する、前記第2音色とは異なる第1音色での発音を前記音源に指示し、
前記指示条件を満たす場合は、設定された時間内に音高データを指定する複数の演奏操作子が操作される場合を含み、
前記音源は、前記第1音色での発音にプリセット又は前記ユーザの指定に基づいて所定の音響効果を付加することにより前記第2音色での発音を行う第1のモードと、前記第1音色での発音に対応する音源パートとは異なる音源パートを用いて前記第2音色での発音を行う第2のモードとを備え、
前記ユーザは、前記第1のモード又は前記第2のモードの何れかを選択可能である、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子機器の発音方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子キーボードにおいては、左右鍵盤を所定のポイントで2つの音域に分割して、それぞれ別の音色を割り当てて演奏するスプリット機能というものが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2836258号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このスプリット機能の問題点はそれぞれの音域の鍵盤数が少なくなってしまうために、音域の制限を受けてしまうことである。
【0005】
そこで、本発明は、鍵域の制限を必要とせずに、表現力の高い演奏を簡単に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
態様の一例の電子機器は、ユーザによる演奏操作に応じて音高データを指定するための複数の演奏操作子と、楽音を発生する音源に発音を指示するプロセッサと、を備え、プロセッサは、演奏操作が指示条件を満たす場合に、演奏操作に応じて指定された指示条件を満たす音高データに対応する第2音色での発音を音源に指示し、指示条件を満たさない場合に、演奏操作に応じて指定された指示条件を満たさない音高データに対応する、前記第2音色とは異なる第1音色での発音を音源に指示し、指示条件を満たす場合は、設定された時間内に複数の演奏操作子が操作される場合を含前記音源は、前記第1音色での発音にプリセット又は前記ユーザの指定に基づいて所定の音響効果を付加することにより前記第2音色での発音を行う第1のモードと、前記第1音色での発音に対応する音源パートとは異なる音源パートを用いて前記第2音色での発音を行う第2のモードとを備え、前記ユーザは、前記第1のモード又は前記第2のモードの何れかを選択可能である
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鍵域の制限を必要とせずに、単一の音色のみで発音したり、複数の音色を重ね合わせて発音したりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子鍵盤楽器の一実施形態の外観例を示す図である。
図2】電子鍵盤楽器の本体内の制御システムの一実施形態のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】音源LSIの全体構成を示すブロック図である。
図4】音源パートの構成図である。
図5】本実施形態において1つの音色に対して設定される音色パラメータデータの例の一覧を示す図である。
図6】実施形態の動作例を示す説明図である。
図7】音色モディファイモードにおける鍵盤イベント処理の例を示すフローチャートである。
図8】音色スイッチモードにおける鍵盤イベント処理の例を示すフローチャートである。
図9】経過時間監視処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、電子鍵盤楽器100の一実施形態の外観例を示す図である。電子鍵盤楽器100は、複数(例えば61)の演奏操作子である鍵からなる鍵盤101と、VOLUMEノブ110と、LOWER KEY MODEエリア111のボタン群と、UPPER KEY MODEエリア112のボタン群と、EDITボタン113と、CURSORボタン群114と、DATAボタン群115と、各種設定情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)120を備える。その他、特には図示しないが、電子鍵盤楽器100は、ピッチベンドや各種変調を行うためのベンダー/モジュレーション・ホイールなどを備える。また、電子鍵盤楽器100は、特には図示しないが、演奏により生成された楽音を放音するスピーカを裏面部、側面部、又は背面部等に備える。なお、鍵盤101を構成する複数の鍵は、ユーザによる演奏操作に応じて音高データを指定する複数の演奏操作子の一例である。
【0010】
VOLUMEノブ110は、楽器音の音量調整を行うためのボリュームノブである。
【0011】
LOWER KEY MODEエリア111は、ユーザが鍵盤101をスプリット(分割)して演奏する際の、下鍵域の動作モードを選択するボタンエリアであり、下記のボタンを備える。
[NORMAL]ボタン:ユーザが通常演奏モード(後述する)を選択する。
[MODIFY]ボタン:ユーザが音色モディファイモード(後述する)を選択する。
上記2つのうち選択されたボタンのLED(発光ダイオード)のみが点灯し、他方のモードが解除され、スプリットモードが有効になる。
スプリットモードを解除するには、LEDが点灯しているボタンをもう一度押す。
【0012】
UPPER KEY MODEエリア112は、ユーザが鍵盤101をスプリットして演奏する場合には上鍵域の動作モードを選択し、ユーザが鍵盤101をスプリットしないで演奏する場合には全鍵域の動作モードを選択するボタンエリアであり、下記のボタンを備える。
[NORMAL]ボタン:ユーザが通常演奏モード(後述する)を選択。
[MODIFY]ボタン:ユーザが音色モディファイモード(後述する)を選択。
[SWITCH]ボタン:ユーザが音色スイッチモード(後述する)を選択。
本モードが選択されるとスプリット機能は解除される。
上記3つのうち選択されたボタンのLEDのみが点灯する。
【0013】
[EDIT]ボタン113:音色パラメータの編集を行う状態にする。
[CURSOR]ボタン群114:ユーザがLCD120の画面中で選択項目を移動させるのに使用する
[DATA]ボタン群115:ユーザは、[+]ボタンで項目値を増やし、[-]ボタンで項目値を減らす。
【0014】
LOWER KEY MODEエリア111で指定されるLOWER KEY MODEとUPPER KEY MODEエリア112で指定されるUPPER KEY MODEについては、後述する。
【0015】
図2は、図1の電子鍵盤楽器100の本体内の制御システム200の一実施形態のハードウェア構成例を示す図である。図2において、制御システム200は、プロセッサであるCPU(中央演算処理装置)201、ROM(リードオンリーメモリ)202、及びRAM(ランダムアクセスメモリ)203と、音源である音源LSI(大規模集積回路)204と、ネットワークインタフェース205と、図1の鍵盤101が接続されるキースキャナ206と、図1の110~115のボタン又はボタン群が接続されるI/Oインターフェース207と、図1のLCD120が接続されるLCDコントローラ208が、それぞれシステムバス209に接続されている。音源LSI204から出力される楽音出力データ214は、D/Aコンバータ212によりアナログ楽音出力信号に変換される。アナログ楽音出力信号は、アンプ213で増幅された後に、特には図示しないスピーカ又は出力端子から出力される。
【0016】
CPU201は、RAM203をワークメモリとして使用しながらROM202に記憶された制御プログラムを実行することにより、図1の電子鍵盤楽器100の制御動作を実行する。
【0017】
キースキャナ206は、図1の鍵盤101の押鍵/離鍵状態を定常的に走査し、鍵盤イベントの割込みを発生させて、鍵盤101上の鍵の押鍵状態の変化をCPU201に伝える。この割込みが発生すると、CPU201は、図7又は図8のフローチャートを用いて後述する鍵盤イベント処理を実行する。この鍵盤イベント処理においてCPU201は、押鍵の鍵盤イベントが発生した場合に、新たな押鍵の音高データに対応する第1音色又は第2音色の楽音の発音を、音源LSI204に指示する。
【0018】
I/Oインターフェース207は、図1のボタン又はボタン群110~115の操作状態を検出し、CPU201に伝える。
【0019】
CPU201には、タイマ210が接続される。タイマ210は、一定時間(例えば1ミリ秒)毎に割込みを発生させる。この割込みが発生すると、CPU201は、図9のフローチャートを用いて後述する経過時間監視処理を実行する。この経過時間監視処理においてCPU201は、図1の鍵盤101上でユーザにより所定の演奏操作が実行されたか否かを判定する。例えば、経過時間監視処理においてCPU201は、ユーザによる鍵盤101上の複数の鍵を用いた和音の演奏操作を判定する。より具体的には、経過時間監視処理においてCPU201は、図1の鍵盤101上のいずれかの鍵が押鍵されることによりキースキャナ206から発生する前述した鍵盤イベント間の経過時間を計測し、予め設定された同時に押鍵されたとみなされる経過時間内において押鍵数が予め設定された和音演奏の成立音数に達したか否かを判定する。そして、CPU201は、その判定をした場合に、上記経過時間内に押鍵された鍵の和音を構成する音高データ群に対応する第2音色での楽音の発音を、音源LSI204に指示する。この動作と共に、CPU201は、和音発音中を設定する。和音発音中のCPU201の動作については、後述する。
【0020】
LCDコントローラ208は、図1のLCD120の表示状態を制御する集積回路である。
【0021】
ネットワークインタフェース205は、例えばLocal Area Network(LAN)等の通信ネットワークに接続され、CPU201が使用する制御プログラム(後述する図7又は図8鍵盤イベント処理及び図9の経過時間監視処理のフローチャートを参照)又はデータを外部の装置から受信し、それらをRAM203等にロードして使用することができる。
【0022】
図3は、図2の音源LSI204の全体構成を示すブロック図である。音源LSI204は、第1音源パートブロック301と第2音源パートブロック302を備える。
【0023】
第1音源パートブロック301から出力される楽音波形データは、スイッチ303、乗算器群312、及びミキサ部313を介して楽音出力データ214の一部としてそのまま出力することができる。
或いは、上記楽音波形データは、スイッチ303の切換えにより直列に接続されるインサーション・エフェクトであるエフェクト部305にて、コンプレッサ、ディストーション、オーバードライブ、又はフランジャの何れかの音響効果を付加することができる。
第1音源パートブロック301は、例えばMIDIチャネル1に割り当てられる(図中では「MIDI CH=1」と記載)。
【0024】
第2音源パートブロック302から出力される楽音波形データは、スイッチ304、乗算器群312、及びミキサ部313を介して楽音出力データ214の一部としてそのまま出力することができる。
或いは、上記楽音波形データは、スイッチ304の切換えにより直列に接続されるインサーション・エフェクトであるエフェクト部306にて、エフェクト部305と同様の音響効果を付加することができる。但し、エフェクト部305とエフェクト部306を制御する音色パラメータは、夫々で付加される音響効果が異なる音響効果となるものに設定することができる。
第2音源パートブロック302は、例えばMIDIチャネル2に割り当てられる(図中では「MIDI CH=2」と記載)。
【0025】
第1音源パートブロック301由来の楽音波形データ(エフェクト部305を通ったものも含む)及び第2音源パートブロック302由来の楽音波形データ(エフェクト部306を通ったものも含む)は、夫々、乗算器群307及び308によって、任意の音量で、システムエフェクトであるコーラス部309、ディレイ部310、又はリバーブ部311に個別にミックスされ、それぞれにおいて3種類の個別のエフェクトをかけられた後に、乗算器群312及びミキサ部313を介して、楽音出力データ214の一部として出力することができる。
【0026】
図4は、図3の第1音源パートブロック301及び第2音源パートブロック302共通の音源パートブロック400の構成図である。第1音源パートブロック301と第2音源パートブロック302は、図4に示される#1~#64の64組の音源パートブロック400を共有しており、第1音源パートブロック301及び第2音源パートブロック302は夫々、可能な数だけ#1~#64の64組の音源パートブロック400の何れか1組以上に割り当てることができる。なお、音源LSI204のハードウェア内では、#1~#64の64組の音源パートブロック400の機能が、ソフトウェアによる時分割処理により仮想的なブロックとして生成されている。
【0027】
波形ジェネレータ401は、図2の波形ROM211から、楽音波形を、CPU201から発音指定された音高に対応する読出し速度で読み出して、楽音波形データを発生する。
【0028】
フィルタ403は、フィルタエンベロープジェネレータ404が生成するエンベロープデータが示す時間変化に対応して変化するフィルタパラメータに従って、楽音波形データをフィルタリングして、その音色を加工する。
【0029】
アンプ405は、アンプエンベロープジェネレータ406が生成するエンベロープデータが示す時間変化に対応して変化する振幅に従って、楽音波形データを振幅変調する。
【0030】
以上の波形ジェネレータ401、フィルタ403、及びアンプ405を通って、楽音波形データが音源パートブロック400から出力される。
【0031】
音源パートブロック400は、CPU201からの消音指示に従って、波形ROM211からの消音指示に対応する楽音波形データの読出しを中止し、消音指示に対応する楽音の発音を終了する。
【0032】
図1及び図2に示される実施形態の動作例について説明する。まず、本実施形態では、図1の鍵盤101に関わる機能として以下の機能を搭載している。
【0033】
(1)スプリット機能
図1の鍵盤101の鍵域を下側の鍵域であるLower鍵域と、上側の鍵域であるUpper鍵域という2つの鍵域に分けて、夫々別々の音源パートブロックを割り当てて演奏することができる機能。
図1のLOWER KEY MODEエリア111で何れかの設定がなされると、自動的にスプリットモードが設定される。
図1のLOWER KEY MODEエリア111での全ての設定が解除された場合(全てのLEDが消灯した場合)、又は図1のUPPER KEY MODEエリア112で[SWITCH]ボタンが押された場合(そのLED点灯した場合)には、スプリットモードは解除される。
スプリットモードにおいて、Upper鍵域は図3の第1音源パートブロック301に、Lower鍵域は図3の第2音源パートブロック302に、夫々割り当てられる。
【0034】
(2)通常発音機能
上述のスプリット機能が割り当てられていない場合、即ち、LOWER KEY MODEエリア111で何も設定されておらず、かつUPPER KEY MODEエリア112で[NORMAL]ボタンが押されている場合には、図1の鍵盤101の全鍵域での押鍵に基づく発音指示が、図2の音源LSI204内の図3の第1音源パートブロック301に割り当てられる。
そして、ユーザによる全鍵域の任意の鍵での任意の押鍵操作に対して、第1音源パートブロック301が生成する楽音波形データに対してユーザにより予め設定された音色パラメータ設定に基づいて生成される第1音色の通常音が発音される。
【0035】
ここで、上述の、ユーザが予め設定する音色パラメータの設定は、図3における、スイッチ303の切換え設定、エフェクト部305のコンプレッサ、ディストーション、オーバードライブ、又はフランジャの何れかの音響効果の設定、乗算器群307の各乗算係数の設定、システムエフェクトであるコーラス部309、ディレイ部310、又はリバーブ部311の設定、乗算器群312の各乗算係数の設定を含む。
【0036】
また、上述の音色パラメータの設定は、第1音源パートブロック301に割り当てられる図4の音源パートブロック400内のピッチエンベロープジェネレータ402、フィルタエンベロープジェネレータ404、及びアンプエンベロープジェネレータ406の設定を含む。
【0037】
上述のスプリット機能が割り当てられている場合、即ち、LOWER KEY MODEエリア111で[NORMAL]ボタンが設定されており、かつUPPER KEY MODEエリア112でも[NORMAL]ボタンが押されている場合には、図1の鍵盤101のUpper鍵域での押鍵に基づく発音指示が第1音源パートブロック301に割り当てられ、鍵盤101のLower鍵域での押鍵に基づく発音指示が第2音源パートブロック302に割り当てられる。
【0038】
そして、ユーザによるUpper鍵域の任意の鍵での任意の押鍵操作に対して、第1音源パートブロック301が生成する楽音波形データに対してユーザにより予め設定された音色パラメータ設定(前述した(2)通常発音機能でスプリット機能が割り当てられていない場合における第1音源パートブロック301に対するパラメータ設定の場合と同様)に基づいて生成される第1音色の通常音が発音される。
【0039】
また、ユーザによるLower鍵域の任意の鍵での任意の押鍵操作に対して、第2音源パートブロック302が生成する楽音波形データに対してユーザにより予め設定された音色パラメータ設定に基づいて生成される第1音色の通常音が発音される。
【0040】
ここで、上述の、第2音源パートブロック302が生成する楽音波形データに対してユーザが予め設定する音色パラメータの設定は、図3における、スイッチ304の切換え設定、エフェクト部306のコンプレッサ、ディストーション、オーバードライブ、又はフランジャの何れかの音響効果の設定、乗算器群308の各乗算係数の設定、システムエフェクトであるコーラス部309、ディレイ部310、又はリバーブ部311の設定、乗算器群312の各乗算係数の設定を含む。また、上記設定可能な音色パラメータは、図4のピッチエンベロープジェネレータ402、フィルタエンベロープジェネレータ404、及びアンプエンベロープジェネレータ406の設定を含む。
【0041】
また、上述の音色パラメータの設定は、第2音源パートブロック302に割り当てられる図4の音源パートブロック400内のピッチエンベロープジェネレータ402、フィルタエンベロープジェネレータ404、及びアンプエンベロープジェネレータ406の設定を含む。
【0042】
(3)音色モディファイ機能
音色モディファイモードを設定するための機能である。上述のスプリット機能が割り当てられていない場合、即ち、LOWER KEY MODEエリア111で何も設定されておらず、かつUPPER KEY MODEエリア112で[MODIFY]ボタンが押されている場合には、図1の鍵盤101の全鍵域での押鍵に基づく発音指示が、第1音源パートブロック301に割り当てられる。
【0043】
(3)音色モディファイ機能では、後述する図6で説明するように、全鍵域の任意の鍵で同時押鍵が認識された場合に、同時押鍵が認識された和音の構成音については、第1音源パートブロック301が生成する楽音波形データに対して設定可能な音色パラメータ(前述した(2)通常発音機能でスプリット機能が割り当てられていない場合における第1音源パートブロック301に対するパラメータ設定の場合と同様)のうちユーザが選択した所定の音色パラメータの設定を、通常音用の音色パラメータ設定とは異なる和音用の音色パラメータ設定にモディファイ(変更)する。これにより、第1音源パートブロック301から出力される楽音波形データに関して、通常音用の音色パラメータ設定に基づいて生成される第1音色が、和音用の音色パラメータ設定に基づいて生成される第2音色にモディファイされる。この結果、通常音は第1音源パートブロック301から出力される第1音色の楽音波形データとして発音され、同時押鍵が認識された和音の構成音は第1音源パートブロック301から出力される第2音色の楽音波形データとして発音される。
【0044】
(3)音色モディファイ機能において、上述のスプリット機能が割り当てられている場合、即ち、LOWER KEY MODEエリア111又はUPPER KEY MODEエリア112の少なくとも一方で[MODIFY]が押されている場合には、図1の鍵盤101のUpper鍵域での押鍵に基づく発音指示が第1音源パートブロック301に割り当てられ、鍵盤101のLower鍵域での押鍵に基づく発音指示が第1音源パートブロック301に割り当てられる。
【0045】
(3)音色モディファイ機能において、例えばLOWER KEY MODEエリア111で[MODIFY]ボタンが押されている場合には、後述する図6で説明するように、Lower鍵域の任意の鍵で同時押鍵が認識された場合に、同時押鍵が認識された和音の構成音については、第2音源パートブロック302が生成する楽音波形データに対して設定可能な音色パラメータ(前述した(2)通常発音機能でスプリット機能が割り当てられている場合における第2音源パートブロック302に対するパラメータ設定の場合と同様)のうちユーザが選択した所定の音色パラメータの設定を、通常音用の音色パラメータ設定とは異なる和音用の音色パラメータ設定にモディファイ(変更)する。これにより、第2音源パートブロック302から出力される楽音波形データに関して、通常音用の音色パラメータ設定に基づいて生成される第1音色が、和音用の音色パラメータ設定に基づいて生成される第2音色にモディファイされる。この結果、通常音は第2音源パートブロック302から出力される第1音色の楽音波形データとして発音され、同時押鍵が認識された和音の構成音は第2音源パートブロック302から出力される第2音色の楽音波形データとして発音される。
【0046】
一方、(3)音色モディファイ機能において、例えばUPPER KEY MODEエリア112で[MODIFY]ボタンが押されている場合には、後述する図6で説明するように、Upper鍵域の任意の鍵で同時押鍵が認識された場合に、同時押鍵が認識された和音の構成音については、第1音源パートブロック301が生成する楽音波形データに対して設定可能な音色パラメータ(前述の(2)通常発音機能でスプリット機能が割り当てられていない場合における第1音源パートブロック301に対するパラメータ設定の場合と同様)のうちユーザが選択した所定の音色パラメータの設定を、通常音用の音色パラメータ設定とは異なる和音用の音色パラメータ設定にモディファイ(変更)する。これにより、第1音源パートブロック301から出力される楽音波形データに関して、通常音用の音色パラメータ設定に基づいて生成される第1音色が、和音用の音色パラメータ設定に基づいて生成される第2音色にモディファイされる。この結果、通常音は第1音源パートブロック301から出力される第1音色の楽音波形データとして発音され、同時押鍵が認識された和音の構成音は第1音源パートブロック301から出力される第2音色の楽音波形データとして発音される。
【0047】
以上のようにして、本実施形態では、スプリット機能が設定されていない場合の全鍵域、或いは、スプリット機能が設定されている場合のLower鍵域又はUpper鍵域の、どの鍵域でも、通常音を押鍵した場合には夫々の鍵域に設定されている第1音色で楽音の発音を行うことができ、同時押鍵を行った場合には夫々の鍵域に設定されている第1音色とは異なる第2音色で楽音の発音を行うことができる。
【0048】
(4)音色スイッチ機能
音色スイッチモードを設定するための機能である。図1のUPPER KEY MODEエリア112で[SWITCH]ボタンが押されている場合には、図1の鍵盤101の全鍵域での押鍵が通常音の押鍵による発音指示か同時押鍵による和音の押鍵に基づく発音指示かに応じて、その発音指示が第1音源パートブロック301又は第2音源パートブロック302に何れかに割り当てられる。
【0049】
(4)音色スイッチ機能では、後述する図6で説明するように、全鍵域の任意の鍵で同時押鍵が認識された場合に、同時押鍵が認識された和音の構成音については、第2音源パートブロック302が生成する楽音波形データに対してユーザにより予め設定された音色パラメータ設定(前述した(2)通常発音機能でスプリット機能が割り当てられている場合における第2音源パートブロック302に対するパラメータ設定の場合と同様)に基づいて生成される第2音色の楽音が発音される。
【0050】
一方、(4)音色スイッチ機能において、同時押鍵が認識されない押鍵については、第1音源パートブロック301が生成する楽音波形データに対してユーザにより予め設定された音色パラメータ設定(前述した(2)通常発音機能でスプリット機能が割り当てられていない場合における第1音源パートブロック301に対するパラメータ設定の場合と同様)に基づいて生成される第1音色の楽音が発音される。
【0051】
なお、(4)音色スイッチ機能の使用時は、第1音源パートブロック301と第2音源パートブロック302の2つが専有されるため、スプリット機能は無効とされる。
【0052】
図5は、本実施形態において1つの音色に対して設定される音色パラメータデータの例の一覧を示す図である。音色を決定する要素は、音色パラメータで設定されたものである。
本実施形態では、前述した(3)音色モディファイ機能が有効の間に同時押鍵和音として検出された楽音に対しては、図5の各行の音色パラメータのうち「モディファイパラメータ有無」項目の値が「有り」に設定されている音色パラメータについて、「値域」項目に設定されている通常音用の値が、「モディファイパラメータ値域」項目に設定されている和音用の値にモディファイされる。
【0053】
このモディファイ動作には、値を加算するモディファイと、別の値に置き換えるモディファイがある。
【0054】
別の値に置き換えるモディファイは、図5に示される「Wave Generator」(図4の波形ジェネレータ401)の「Wave Set」パラメータ(波形番号)と、Effect LineのOn/Offパラメータ(図3のスイッチ303又は304のオン又はオフ)がある。これらの音色パラメータのモディファイ動作では、「値域」項目の値が「モディファイパラメータ値域」項目の値に置き換えられる。
【0055】
図5に示されるその他の音色パラメータのモディファイ動作では、「値域」項目の値に「モディファイパラメータ値域」項目の値が加算される。
【0056】
また、「モディファイパラメータ値域」によってモディファイすることができない音色パラメータは、「モディファイパラメータ有無」項目に「無し」が設定されている、「Effect Type」と「Effect Parameter」がその例である。これらは、1つの音源パートブロックに対して1種類のエフェクトしか使用できないため、種類の共存ができないためである。
【0057】
和音に対応する第2音色での発音を開始させるための和音演奏の判定条件は、ほぼ同時(T秒以内)にN音以上の押鍵によるコード演奏が発生することである。その条件の成立が判定されると、その判定がなされた押鍵に対応する鍵が全て離鍵されるまで和音発音中の状態となり、その判定がなされた時点の和音を成立させた鍵に対してのみ、第2音色を有する楽音の発音指示が音源LSI204に対して発行され、第2音色を有する楽音出力データ214が音源LSI204から発音される。
【0058】
発音形態の例として、同時押鍵が判定された和音構成音のみを使った自動アルペジオ演奏によって発音を行うことができる(例えば後述する図6の押鍵イベントt4、t5、t6における和音発音中設定タイミングから各右端の白丸までの破線区間)。
【0059】
上記和音発音中の状態において、上記判定がなされた鍵のうちのいくつかが離鍵されてN音未満になっても、和音発音中の状態は維持される。上記判定がなされた鍵の全てが離鍵されると、和音発音中の状態が解除される。
【0060】
また、一旦和音発音中の状態になると、その状態が維持されている間は、ユーザが他にどのような押鍵操作を行っても、新規の押鍵に対応する音高の楽音は通常音として第1音色で発音され、和音に対応する第2音色では発音されない。
【0061】
和音演奏の成立音数Nや、同時に押鍵されたとみなされる経過時間Tは、音色ごとに設定されてよい。
【0062】
図6は、本実施形態の動作例を示す説明図である。縦軸は演奏された音高(ノートナンバ)を鍵盤101で表し、横軸は時間経過(単位はミリ秒)を表す。各左端に位置する黒丸又は白抜きされた黒丸の位置は押鍵が発生した鍵のノートナンバと時刻を表し、各右端に位置する白丸の位置は離鍵が発生した鍵のノートナンバと時刻を表す。図6中、押鍵イベントの順番に番号t1~t14が例として付与されている。黒丸又は白抜きされた黒丸及び白抜きされた黒実線に続く黒実線は押鍵中であることを示し、通常音用の第1音色の楽音が発音されている期間を表している。また、グレー破線に変わった部分は和音用の第2音色の楽音が発音されている期間を表す。図6の例では、同時に押鍵が行われたとみなす経過時間Tは例えば25msec(ミリ秒)、和音演奏の成立音数Nは例えば3音以上と設定されている。
【0063】
まず、和音発音中が解除されている状態で押鍵イベントt1が発生すると、例えば音高C2が記憶されその発音が一旦保留されると共に(t1の白抜き実線期間)、経過時間の計測が開始される。続いて、押鍵イベントt1の発生から25ミリ秒以内に押鍵イベントt2が発生し、音高E2が記憶されその発音が一旦保留される(t2の白抜き実線期間)。更に続いて、押鍵イベントt3が発生するが、この押鍵イベントt3の発生は、押鍵イベントt1の発生から25ミリ秒以上経過してしまっている。押鍵イベントt1の発生から同時の押鍵とみなされる経過時間T=25ミリ秒が経過した時点における押鍵数は、2であり和音演奏の成立音数N=3未満である。この場合、押鍵イベントt1、t2、t3に対しては、和音用の第2音色による楽音は発生せず、t1、t2、t3の部分の各黒実線で示される区間で通常音用の第1音色での楽音の発音のみが行われる(=指示条件を満たさない)。
【0064】
その後、押鍵イベントt4が発生し、音高C4が記憶されその発音が一旦保留される(t4の白抜き実線期間)と共に、再び経過時間の計測が開始される。続いて、押鍵イベントt5とt6が、押鍵イベントt4の発生から同時に押鍵したとみなされる経過時間T=25ミリ秒以内に発生し、音高E4及びG4が夫々記憶され各発音が一旦保留される(t5、t6の白抜き実線期間)。この結果、押鍵イベントt4の発生からT=25ミリ秒が経過した時点における楽音数は、3となって和音演奏の成立音数N=3以上を満たす(=指示条件を満たす)。この場合は、押鍵イベントt4、t5、t6に対しては、グレー破線で示されるように、音高C4、E4、G4の3和音による第2音色での楽音の発音が行われる(図6の601)。また、和音発音中が設定される。
【0065】
和音発音中が維持されている間に、押鍵イベントt7が発生するが、押鍵イベントt4、t5、t6に対応する3つのノートは離鍵されておらず、和音発音中の状態が維持されている。この場合には、押鍵イベントt7に対しては、第2音色での楽音は発生せず、t7の黒実線で示される通常音用の第1音色での楽音の発音のみが行われる(=指示条件を満たさない)。
【0066】
更に、押鍵イベントt8、t9、t10が、同時に押鍵されたとみなされる経過時間T=25ミリ秒以内に発生するが、押鍵イベントt4、t5、t6に対応する3つのノートは離鍵されておらず和音発音中の状態が維持されている。この場合も、押鍵イベントt8、t9、t10に対しては、和音発音用の第2音色での楽音は発音されず、t8、t9、t10の各黒実線で示される通常音用の第1音色での楽音の発音のみが行われる(=指示条件を満たさない)。
【0067】
その後、押鍵イベントt4が離鍵して(t4の白丸のタイミング)、押鍵イベントt4に対応する和音用の第2音色の楽音の発音(t4のグレー破線期間)が消音するが、押鍵イベントt5とt6に対応する和音用の第2音色の楽音の発音(t5、t6の各グレー破線期間)は継続されている。押鍵イベントt5が離鍵すると(t5の白丸のタイミング)、押鍵イベントt5に対応する第2音色の楽音の発音(t5のグレー破線期間)が消音するが、押鍵イベントt6に対応する第2音色の楽音の発音(t6のグレー破線期間)は継続されている。そして、押鍵イベントt6も離鍵すると(t6の白丸のタイミング)、押鍵イベントt6に対応する第2音色の楽音の発音(t6のグレー破線期間)が消音し、和音演奏されていた押鍵イベントt4、t5、t6に対応する全ての鍵の離鍵が完了したため、和音発音中の状態が解除される。
【0068】
和音発音中の状態が解除された後に、押鍵イベントt11が発生し、音高C2が記憶されその発音が一旦保留される(t11の白抜き実線期間)と共に、再び経過時間の計測が開始される。続いて、押鍵イベントt12、t13、t14が、押鍵イベントt11の発生から25ミリ秒以内に発生し、各音高E2、G2、C3が記憶され夫々の発音が一旦保留される(t12、t13、t14の各白抜き実線期間)。この結果、押鍵イベントt11の発生からT=25ミリ秒が経過した時点における楽音数は4となって、和音演奏の成立音数N=3以上を満たす(=指示条件を満たす)。従って、押鍵イベントt11、t12、t13、t14に対しては、各グレー破線線で示されるように、音高C2、E2、G2、C3の4和音による和音用の第2音色での楽音の発音が行われる(図6の602)。そして再び、和音発音中の状態が設定される。
【0069】
図7は、前述した(3)音色モディファイ機能による音色モディファイモードがユーザにより指定されている場合において、図2のCPU201が実行する鍵盤イベント処理の例を示すフローチャートである。この鍵盤イベント処理は、前述したように、図2のキースキャナ206が図1の鍵盤101の押鍵/離鍵状態の変化を検出したときに発生する割込みに基づいて実行される。この鍵盤イベント処理は例えば、CPU201がROM202に記憶されている鍵盤イベント処理プログラムをRAM203にロードして実行する処理である。なお、このプログラムは、電子鍵盤楽器100が電源オンされたときに、ROM202からRAM203にロードされて常駐してよい。
【0070】
図7のフローチャートで例示される鍵盤イベント処理において、CPU201はまず、キースキャナ206からの割込み通知が、押鍵イベント又は離鍵イベントのどちらを示しているかを判定する(ステップS701)。
【0071】
ステップS701で割込み通知が押鍵イベントを示していると判定された場合、CPU201は、この時点ではまだ楽音の発音指示を出さず、発音を保留する。
この状態は、前述した図6の動作説明図では、押鍵イベントt1及びt2の発音が左端の白抜きされた黒丸で開始されてから保留されている状態(白抜き実線)に対応している。
【0072】
次に、CPU201は、現在の状態が和音発音中であるか否かを判定する(ステップS702)。この処理は、例えば図2のRAM203に記憶される所定の変数(以下この変数を「和音発音中状態変数」と呼ぶ)の論理値がオンであるかオフであるかによって、和音発音中の状態であるかを判定する処理である。
【0073】
ステップS702において、現在の状態が和音発音中であると判定された場合には、CPU201は、和音発音中に移行するための処理は実行せずに、図2の音源LSI204内の第1音色による通常音の発音処理を指示する(ステップS707)。その後、CPU201は、図7のフローチャートで示される今回の鍵盤イベント処理のフローチャートを終了し、特には図示しないメインのプログラム処理にリターンする。
この状態は、前述した図6の動作説明図における押鍵イベントt7~t10が発生した場合の鍵盤イベント処理に対応し、ステップS707での第1音色による発音指示により、音源LSI204において第1音色による楽音の発音のみが実行される。
【0074】
ステップS702において、現在の状態が和音発音中でないと判定された場合には、CPU201は、和音発音中に移行するための経過時間が0であるか否かを判定する(ステップS703)。経過時間は、例えば図2のRAM203上の所定の変数(以下この変数を「経過時間変数」と呼ぶ)の値として保持される。
【0075】
経過時間が0であると判定された場合(ステップS703の判定がYESの場合)には、CPU201は、タイマ210による割込み処理をスタートさせて経過時間の計測を開始する(ステップS704)。この状態は、前述した図6の動作説明図における押鍵イベントt1、t4、又はt11が発生した場合の処理に対応し、ステップS704の処理により、図6のt1、t4、又はt11の各押鍵イベントの発生タイミングで、和音発音中の状態に移行するための経過時間の計測が開始される。
【0076】
経過時間が0ではないと判定された場合(ステップS704の判定がNOの場合)には、既に和音発音中の状態に移行するための経過時間の計測が開始されているため、ステップS704の経過時間の計測の開始処理はスキップされる。この状態は、前述した図6の動作説明図における押鍵イベントt2、t5とt6、又はt12とt13とt14が発生した場合の処理に対応する。
【0077】
ステップS704の和音発音中の状態に移行するための経過時間の計測開始処理の後又は上記経過時間の計測が開始した後であってステップS703の判定がNOとなった場合に、CPU201は、今回の押鍵イベントにおいて発音が指示された音高データを、和音の発音候補として、例えばRAM203に記憶する(ステップS705)。
【0078】
その後、CPU201は、同時に押鍵されたとみなされる現在の音数をカウントするための例えばRAM203上の変数(以下この変数を「現在の音数変数」と呼ぶ)の値に今回の発音増加分1を加算し、新たな現在の音数変数の値とする(ステップS706)。この現在の音数変数の値は、後述する図9のフローチャートで示される経過時間監視処理において、同時に押鍵されたとみなされる経過時間Tの経過時に和音発音中の状態に移行するための和音演奏の成立音数Nと比較するためにカウントされる。
【0079】
その後、CPU201は、図7のフローチャートで示される今回の鍵盤イベント処理を終了し、特には図示しないメインのプログラム処理にリターンする。
【0080】
上述の鍵盤イベント処理毎のステップS703からS706の一連の処理の繰返しにより、例えば図6の動作例において、和音発音中が解除されている状態から和音発音中の状態への移行準備として、それぞれ押鍵イベントt1、t4、又はt11の発生タイミングから同時に押鍵されたとみなされる経過時間T内で発生する新たな押鍵イベントt1とt2、t4からt6、又はt11からt14の発生に対応する音高データの記憶と現在の音数変数値のカウントアップが行われる。
【0081】
前述したステップS701で割込み通知が離鍵イベントを示していると判定された場合、CPU201は、離鍵イベントを示す割込み通知に含まれる音高データ(ノートナンバ)に対応する音源LSI204にて発音中であった楽音の消音指示を、音源LSI204に対して発行する(ステップS708)。この処理により、前述した図6の動作例では、各押鍵イベントt1からt14の発生に基づいて音源LSI204において発音中であった楽音が、それぞれ右端の白丸のタイミングで消音される(各黒実線期間又はグレー破線期間が終了する)。
【0082】
次に、CPU201は、離鍵された鍵が、和音発音中の状態の対象となった鍵であるか否かを判定する(ステップS709)。具体的には、CPU201は、離鍵された鍵の音高データが、RAM203に記憶されている和音の発音候補の音高データ群(ステップS705参照)に含まれるか否かを判定する。
【0083】
ステップS709の判定がNOならば、CPU201は、図7のフローチャートで示される現在の鍵盤イベント処理を終了し、特には図示しないメインのプログラム処理にリターンする。
【0084】
ステップS709の判定がYESならば、CPU201は、RAM203に記憶されている和音の発音候補の音高データ群(ステップS705参照)から、離鍵された鍵の音高データの記憶を削除する(ステップS710)。
【0085】
その後、CPU201は、和音発音中の状態の対象となった鍵が全て離鍵されたか否かを判定する(ステップS711)。具体的には、CPU201は、RAM203に記憶されていた和音の発音候補の音高データ群が全て削除されたか否かを判定する。
【0086】
ステップS711の判定がNOならば、CPU201は、図7のフローチャートで示される現在の鍵盤イベント処理を終了し、特には図示しないメインのプログラム処理にリターンする。
【0087】
ステップS711の判定がYESならば、CPU201は、RAM203に記憶されている和音発音中状態変数の値をオフを示す値にすることにより、和音発音中の状態を解除する(ステップS712)。この状態は、前述した図6の動作例では、押鍵イベントt6の第2音色による楽音の発音が消音されたタイミング(t6のグレー破線が終了する右端の白丸のタイミング)の状態に対応する。このように、CPU201は、発音されている全ての和音構成音の楽音に対する消音を音源LSI204に指示した場合に、和音発音中の状態を解除する。
【0088】
その後、CPU201は、図7のフローチャートで示される現在の鍵盤イベント処理を終了し、特には図示しないメインのプログラム処理にリターンする。
【0089】
図8は、前述した(4)音色スイッチ機能による音色スイッチモードがユーザにより指定されている場合において、図2のCPU201が実行する鍵盤イベント処理の例を示すフローチャートである。この鍵盤イベント処理は、図7の鍵盤イベント処理と同様に、図2のキースキャナ206が図1の鍵盤101の押鍵/離鍵状態の変化を検出したときに発生する割込みに基づいて実行される。この鍵盤イベント処理は例えば、CPU201がROM202に記憶されている鍵盤イベント処理プログラムをRAM203にロードして実行する処理である。なお、このプログラムは、電子鍵盤楽器100が電源オンされたときに、ROM202からRAM203にロードされて常駐してよい。
【0090】
図8のフローチャートで例示される鍵盤イベント処理において、図7の音色モディファイモードの場合と同じステップ番号を付した処理は、図7の場合と同じ処理を示している。
【0091】
図8のフローチャートの処理が図7のフローチャートの処理と異なる第一点目として、図8において、CPU201は、ステップS702で現在の状態が和音発音中の状態であると判定した場合に、必ず、通常音に割り当てられている音源LSI204内の第1音源パートブロック301(図3参照)に対して発音処理を実行する(ステップS801)(前述した(4)音色スイッチ機能の説明を参照)。
【0092】
図8のフローチャートの処理が図7のフローチャートの処理と異なる第二点目として、図7のステップS708での消音処理の代わりに、図8において、ステップS709で離鍵された鍵が和音発音中の状態の対象となった鍵であると判定された場合には、CPU201は、和音の構成音が割り当てられる音源LSI204内の第2音源パートブロック302(図3参照)に対して発音中であった和音構成音の楽音の消音指示を、音源LSI204に対して発行する(ステップS802)。
【0093】
図8のフローチャートの処理が図7のフローチャートの処理と異なる第三点目として、図7のステップS708での消音処理の代わりに、図8において、ステップS709で離鍵された鍵が和音発音中の状態の対象となった鍵ではないと判定された場合には、CPU201は、通常音が割り当てられる音源LSI204内の第1音源パートブロック301(図3参照)に対して発音中であった楽音の消音指示を、音源LSI204に対して発行する(ステップS803)。
【0094】
図9は、図2のCPU201が実行する経過時間監視処理の例を示すフローチャートである。この経過時間監視処理は、図2のタイマ210において例えば1ミリ秒毎に発生するタイマ割込みに基づいて実行される。この経過時間監視処理は例えば、CPU201がROM202に記憶されている経過時間監視処理プログラムをRAM203にロードして実行する処理である。なお、このプログラムは、電子鍵盤楽器100が電源オンされたときに、ROM202からRAM203にロードされて常駐してよい。
【0095】
図9のフローチャートで例示される経過時間監視処理において、CPU201はまず、RAM203に記憶されている経過時間変数の値をインクリメント(+1)する(ステップS901)。この経過時間変数の値は、前述した図7又は図8のステップS704又は後述するステップS911において、値0にクリアされる。この結果、経過時間変数の値は、そのクリア時点からのミリ秒単位の経過時間を示していることになる。前述したように、図6の動作説明図では、押鍵イベントt1、t3、t4、又はt11の各押鍵イベントの発生タイミング(各黒丸のタイミング)で経過時間が0にクリアされ、その後和音発音中の状態に移行するための経過時間の計測が開始される。
【0096】
次に、CPU201は、上記経過時間変数の値が同時に押鍵されたとみなされる経過時間T以上となったか否かを判定する(ステップS902)。
【0097】
ステップS902の判定がNOの場合、即ち上記経過時間変数の値が同時に押鍵されたとみなされる経過時間T未満である場合には、CPU201は、図7又は図8のフローチャートで説明した押鍵イベントの発生を更に受け入れるべく、図9のフローチャートで示される今回の経過時間監視処理を終了し、特には図示しないメインのプログラム処理にリターンする。
【0098】
ステップS902の判定がYES、即ち経過時間変数の値が同時に押鍵されたとみなされる経過時間T以上になった場合には、CPU201は、RAM203に記憶されている現在の音数変数の値(図7又は図8のステップS706参照)が和音演奏の成立音数N音(例えば3音)以上であるか否かを判定する(ステップS903)。
【0099】
ステップS903の判定がYESならば、CPU201は、現在設定されているモードが前述した(3)音色モディファイ機能による音色モディファイモードであるか前述した(4)音色スイッチ機能により音色スイッチモードであるかを判定する(ステップS904)。
【0100】
現在のモードが(3)音色モディファイ機能による音色モディファイモード(図9中「Modify」と記載)である場合には、CPU201は、RAM203に記憶されている現在の音数変数の値が示す音数分の音高データ(図7又は図8のステップS705参照)に対応する第2音色による楽音の発音指示を、音源LSI204内の第1音源パートブロック301(Upper鍵域の場合)又は第2音源パートブロック302(Lower鍵域の場合)に対して発行する(ステップS905)((3)音色モディファイ機能の説明を参照)。
【0101】
現在のモードが(4)音色スイッチ機能による音色スイッチモード(図9中「Switch」と記載)である場合には、CPU201は、RAM203に記憶されている現在の音数変数の値が示す音数分の音高データに対応する第2音色による楽音の発音指示を、音源LSI204内の第2音源パートブロック302に対して発行する(ステップS906)((4)音色スイッチ機能の説明を参照)。
【0102】
ステップS905又はS906の処理の後、CPU201は、RAM203に記憶されている和音発音中状態変数の値をオンを示す値にして、和音発音中の状態を設定する(ステップS907)。
【0103】
上記ステップS905及びS906により、前述した図6の動作例では、押鍵イベントt6の発生の直後に、押鍵イベントt4、t5、及びt6に対応する3音分の音高データでの和音用の第2音色による楽音の楽音出力データ214が、図6のt4、t5、及びt6の部分の各グレー破線の期間で、音源LSI204から出力される。同様に、押鍵イベントt14の発生の直後に、押鍵イベントt11、t12、t13、及びt14に対応する4音分の音高データでの和音用の第2音色による楽音の楽音出力データ214が、図6のt11、t12、t13、及びt14の部分の各グレー破線の期間で、音源LSI204から出力される。
【0104】
前述したステップS903で、RAM203に記憶されている現在の音数変数の値が和音演奏の成立音数N音以上ではないと判定された場合には、CPU201は、現在設定されているモードが前述した(3)音色モディファイ機能による音色モディファイモードであるか前述した(4)音色スイッチ機能により音色スイッチモードであるかを判定する(ステップS908)。
【0105】
現在のモードが(3)音色モディファイ機能による音色モディファイモードである場合には、CPU201は、RAM203に記憶されている現在の音数変数の値が示す音数分の音高データに対応する通常音を示す第1音色による楽音の発音指示を、音源LSI204内の第1音源パートブロック301(Upper鍵域の場合)又は第2音源パートブロック302(Lower鍵域の場合)に対して発行する(ステップS909)。
【0106】
現在のモードが(4)音色スイッチ機能による音色スイッチモードである場合には、CPU201は、RAM203に記憶されている現在の音数変数の値が示す音数分の音高データに対応する第1音色による楽音の発音指示を、通常音が割り当てられる音源LSI204内の第1音源パートブロック301に対して発行する(ステップS910)。
【0107】
上記ステップS909及びS910により、前述した図6の動作例では、押鍵イベントt2の発生の後に、T秒が経過した時点で、現在の音数変数の値が示す音数がN以上とはなっていないため、押鍵イベントt1及びt2に対応する2音分の音高データでの通常音用の第1音色による楽音の楽音出力データ214が、図6のt1及びt2の部分の白抜き実線に続く黒実線の期間で、音源LSI204から出力される。
【0108】
ステップS905又はS906で和音の発音指示がなされステップS907で和音発音中の状態が設定された後、又は現在の音数変数の値がN未満であると判定された後にステップS909又はS910で通常音用の第1音色による楽音指示がなされた後に、CPU201は、RAM203に記憶されている経過時間変数の値を0にクリアする(ステップS911)。
【0109】
更に、CPU201は、RAM203に記憶されている現在の音数変数の値を0にクリアする(ステップS912)。
【0110】
その後、CPU201は、図9のフローチャートで示される経過時間監視処理を終了し、特には図示しないメインのプログラム処理にリターンする。
【0111】
前述した図6の動作説明図において、押鍵イベントt1、t2に続いて押鍵イベントt3が発生した場合においては、上記経過時間監視処理において、押鍵イベントt1の発生タイミングからの経過時間が同時とみなされる経過時間T以上と判定された時点(ステップS902の判定がYESとなった時点)で、現在の音数変数の値=2(押鍵イベントt1、t2に対応)が和音演奏の成立音数N=3に達していない(ステップS903の判定がNO)と判定される。この結果、第2音色での楽音の発音指示処理(ステップS905)及び和音発音中の状態の処理(ステップS906)は実行されることなく、ステップS911で経過時間変数の値が0とされ、ステップS912で現在の音数変数の値が0にクリアされる。この結果、前述した図7又は図8のフローチャートの処理において、ステップS702の判定が和音発音中が解除された状態、ステップS703の判定がYESとなってステップS704が実行されることにより、押鍵イベントt6の発生時点から再度、和音発音中が解除された状態から和音発音中の状態に移行するための経過時間の計測処理がスタートする。即ち、同時に押鍵したとみなされる経過時間Tの経過時に和音演奏の成立音数Nが満たされていなければ、その直後に発生する押鍵イベント(=t6)を起点として、再度和音発音中が解除された状態から和音発音中の状態への移行要件が判定される。
【0112】
以上説明したように、本実施形態は、通常音と判定される押鍵時に第1音色で、和音発音中と判定される同時押鍵時に第2音色で、夫々発音される音色パラメータの設定又は第1音源パートブロック301又は第2音源パートブロック302の選択をしておき、演奏された鍵盤の押鍵数、複数押鍵の時間間隔に応じて、和音演奏であるかどうかを判断し、和音演奏であると判断された押鍵に対応するノート群のみ和音発音中の状態にして通常音の第1音色とは異なる第2音色の楽音の発音を行うようにしたものである。
【0113】
上記実施形態により、ユーザが特別な操作を行うことなく、自然な演奏をするだけで、自動的に必要な楽音にのみ和音用の音響効果や音色変更等を付加することができるようになるため、演奏或いは楽音に妥協することなく、演奏に集中することができるようになる。
【0114】
以上説明した実施形態のほかに、下記のような実施形態も実施することが可能である。
1.特定の鍵域でのみ、第2音色による和音演奏機能を有効化する。例えば、C3以下の鍵域で有効にする。
2.特定のベロシティー域でのみ、第2音色による和音演奏機能を有効化する。例えば、ベロシティー値=64以下の強さの音のみで有効にする。
3.ソロ演奏(非和音演奏)が認識されたら、一定時間は第2音色による和音演奏機能は動作させない。例えば、和音発音中の状態への移行条件を満たさないソロ演奏を行っている間は、一瞬コードを弾いても和音発音中の状態へ移行せず、ソロの一部とみなすように、3秒間様子を見るなど。
4.レガート奏法が認識されたら、第2音色による和音演奏機能を動作させる。
【0115】
上述の実施形態では、電子鍵盤楽器100に第2音色による和音演奏機能を実装した例について説明したが、そのほかに例えば、ギターシンセサイザ又はギターコントローラなどの電子弦楽器に対しても、本機能を実装することができる。また、上記の機能は、必ずしも楽器専用の機器に実装されなくてもよく、例えば、タッチディスプレイ上に鍵盤を表示可能な電子機器等に実装されてもよい。さらに、上記の機能は、外部の音源と接続して外部の音源を制御可能な電子機器に実装されてもよい。これらの電子機器のプロセッサが上述した処理を実行してもよい。
【0116】
上述した実施形態では、ユーザが特別な操作を行うことなく自然な演奏をするだけで、演奏操作単位で楽音の発音時に音色を変更する例を示したが、変更する対象は音色に限らない。例えば、楽音の発音時に、発音の大きさやアクセント等、発音に関する形態を変更してもよい。
【0117】
上述した実施形態では、和音の演奏操作を対象に音色を変更する例を示したが、音色を変更する対象となる演奏操作は、和音の演奏操作に限らない。例えば、複数の演奏操作子のうちの2つ以上の演奏操作子が操作される演奏操作を対象に音色を変更してもよい。
【0118】
以上、開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができる。
【0119】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0120】
以上の実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
ユーザによる演奏操作に応じて音高データを指定する複数の演奏操作子と、
楽音を発生する音源に発音を指示するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記演奏操作が指示条件を満たす場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たす音高データに対応する第2の形態での発音を前記音源に指示し、
前記指示条件を満たさない場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たさない音高データに対応する第1の形態での発音を前記音源に指示し、
前記指示条件を満たす場合は、設定された時間内に複数の前記演奏操作子が操作される場合を含む、電子機器。
(付記2)
前記第1の形態は、第1音色であり、
前記第2の形態は、前記第1音色とは異なる第2音色である
付記1に記載の電子機器。
(付記3)
前記プロセッサは、
設定された時間内に複数の前記演奏操作子が操作された場合であって前記設定された時間経過後に前記演奏操作子への新たな操作が検出された場合に、前記新たな操作に応じて指定された楽音データに対応する前記第1音色での発音を前記音源に指示し、前記第2音色での発音は前記音源に指示しない、
付記2に記載の電子機器。
(付記4)
前記プロセッサは、
前記演奏操作子への消音操作に応じて発音されている全ての前記第2音色の楽音に対する消音を指示するまで、前記消音を指示していない楽音の前記第2音色での発音を維持する
付記2又は付記3に記載の電子機器。
(付記5)
前記プロセッサは、
発音されている全ての前記第2音色の楽音に対する消音を指示した後に、設定された時間内に操作が検出された前記複数の演奏操作子の数が設定された数に達している場合に、前記指示条件を満たすと判断する、
付記2乃至付記4のいずれかに記載の電子機器。
(付記6)
前記音源は、前記第1音色での発音にプリセット又は前記ユーザの指定に基づいて所定の音響効果を付加することにより前記第2音色での発音を行う第1のモードと、前記第1音色での発音に対応する音源パートとは異なる音源パートを用いて前記第2音色での発音を行う第2のモードとを備え、
前記ユーザは、前記第1のモード又は前記第2のモードの何れかを選択可能である、
付記2乃至付記5の何れかに記載の電子機器。
(付記7)
前記プロセッサは、
前記設定された時間内か否かを、最初の演奏操作子を操作したタイミングからの経過時間に基づいて判定する
付記1乃至付記6の何れかに記載の電子機器。
(付記8)
電子機器に、
ユーザによる演奏操作が指示条件を満たす場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たす音高データに対応する第2の形態での発音を音源に指示し、
前記指示条件を満たさない場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たさない音高データに対応する第1の形態での発音を前記音源に指示し、
前記指示条件を満たす場合は、設定された時間内に音高データを指定する複数の演奏操作子が操作される場合を含む
電子機器の発音方法。
(付記9)
電子機器に、
ユーザによる演奏操作が指示条件を満たす場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たす音高データに対応する第2の形態での発音を音源に指示し、
前記指示条件を満たさない場合に、前記演奏操作に応じて指定された前記指示条件を満たさない音高データに対応する第1の形態での発音を前記音源に指示し、
前記指示条件を満たす場合は、設定された時間内に音高データを指定する複数の演奏操作子が操作される場合を含む
処理を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0121】
100 電子鍵盤楽器
101 鍵盤
110 VOLUMEノブ
111 LOWER KEY MODEエリア
112 UPPER KEY MODEエリア
113 [EDIT]ボタン
114 [CURSOR]ボタン群
115 [DATA]ボタン群
120 LCD
200 制御システム
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 音源LSI
205 ネットワークインタフェース
206 キースキャナ
207 I/Oインターフェース
208 LCDコントローラ
209 システムバス
210 タイマ
211 波形ROM
212 D/Aコンバータ
213 アンプ
214 楽音出力データ
301 第1音源パートブロック
302 第2音源パートブロック
303、304 スイッチ
305、306 エフェクト部
307、308、312 乗算器群
309 コーラス部
310 ディレイ部
311 リバーブ部
313 ミキサ部
400 音源パートブロック
401 波形ジェネレータ
402 ピッチエンベロープジェネレータ
403 フィルタ
404 フィルタエンベロープジェネレータ
405 アンプ
406 アンプエンベロープジェネレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9