(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】光源装置、照明装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20231219BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20231219BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231219BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20231219BHJP
F21V 7/30 20180101ALI20231219BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20231219BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231219BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20231219BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
F21S2/00 350
F21V7/09 500
F21V7/30
F21V3/00 320
F21Y115:30
F21Y105:10
(21)【出願番号】P 2021158401
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】赤川 朋子
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-150255(JP,A)
【文献】特表2017-516151(JP,A)
【文献】特開2009-020139(JP,A)
【文献】特開2020-139976(JP,A)
【文献】特開2013-114980(JP,A)
【文献】特開2015-179766(JP,A)
【文献】特開2017-167415(JP,A)
【文献】特開2021-061148(JP,A)
【文献】特開2016-200656(JP,A)
【文献】国際公開第2021/060190(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/137749(WO,A1)
【文献】特開2021-047363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00-15/04
G02F 1/13
1/137-1/141
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って一列に配置された複数の第1発光素子を有し、第1光束を射出する第1光源部と、
前記第1方向と交差する第2方向に沿って一列に配置された複数の第2発光素子を有し、前記第1光束の射出方向に第2光束を射出する第2光源部と、
前記第1光源部に対して前記第1方向と交差する方向に配置され、前記第1方向に沿って一列に配置された複数の第3発光素子を有し、前記第1光束の射出方向に第3光束を射出する第3光源部と、
前記第1光束
、前記第2光束
、および前記第3光束を合成した合成光を照射領域へ射出する光合成部材と、を備え、
前記合成光は、前記第1光束のうち最も大きい光強度を有する第1領域と、前記第2光束のうち最も大きい光強度を有する第2領域と、
前記第3光束のうち最も大きい光強度を有する第3領域と、が互いに重ならない合成光強度分布を有
し、
前記合成光強度分布において、前記第1領域は、前記第2光束および前記第3光束と重ならず、前記第2領域は、前記第1光束および前記第3光束と重ならず、前記第3領域は、前記第2光束および前記第3光束と重ならない、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光合成部材は、
前記第1光束および前記第3光束の一方を前記第1方向に交差する方向に反射する第1反射部材と、
前記第1反射部材で反射された前記第1光束および前記第3光束の一方を前記第3光源部における前記第3光束の射出方向に反射する第2反射部材と、
前記第2反射部材で反射された前記第1光束および前記第3光束の一方と、前記第1光束および前記第3光束の他方と、を反射する第3反射部材と、
前記第3反射部材で反射された前記第1光束および前記第3光束と、前記第2光源部からの前記第2光束と、を合成する合成素子と、を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第2光源部に対して前記第2方向と交差する方向に配置され、前記第2方向に沿って一列に配置された複数の第4発光素子を有し、前記第2光束の射出方向に第4光束を射出する第4光源部をさらに備え、
前記光合成部材は、前記第4光束と、前記第1光束と前記第2光束と前記第3光束と、を合成して前記合成光を生成し、
前記合成光の前記合成光強度分布において、前記第4光束のうち最も大きい光強度を有する第4領域は、前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域に重ならない、
ことを特徴とする請求項
2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光合成部材は、
前記第2光束および前記第4光束の一方を、前記第2光源部および前記第4光源部が並ぶ方向に反射する第4反射部材と、
前記第4反射部材で反射された前記第2光束および前記第4光束の一方を、前記第2光束および前記第4光束の他方の進行方向に反射する第5反射部材と、を含み、
前記合成素子は、前記第3反射部材で反射された前記第1光束および前記第3光束と、前記第5反射部材で反射された前記第2光束および前記第4光束の一方と、前記第2光束および前記第4光束の他方と、を合成する、
ことを特徴とする請求項
3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記光合成部材において、前記第1反射部材および前記第2反射部材は、前記第1光束および前記第3光束の間隔が、前記第1反射部材および前記第2反射部材への入射前よりも入射後の方が狭くなるように、前記第1光束または前記第3光束を反射し、
前記第4反射部材および前記第5反射部材は、前記第2光束および前記第4光束の間隔が、前記第4反射部材および前記第5反射部材への入射前よりも入射後の方が狭くなるように、前記第2光束または前記第4光束を反射する、
ことを特徴とする請求項
4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記光合成部材は、前記第1光束および前記第2光束の一方を反射し、前記第1光束および前記第2光束の他方を透過する偏光合成素子を含み、
前記偏光合成素子に対して、前記第1光束および前記第2光束の一方は第1偏光方向に偏光した光であり、前記第1光束および前記第2光束の他方は前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向に偏光した光である、
ことを特徴とする請求項
2から請求項
5のうちのいずれ一項に記載の光源装置。
【請求項7】
第1方向に沿って一列に配置された複数の第1発光素子を有し、第1光束を射出する第1光源部と、
前記第1方向と平行である第2方向に沿って一列に配置された複数の第2発光素子を有し、前記第1光束の射出方向に第2光束を射出する第2光源部と、
前記第1光源部に対して前記第1方向と交差する方向に配置され、前記第1方向に沿って一列に配置された複数の第3発光素子を有し、前記第1光束の射出方向に第3光束を射出する第3光源部と、
前記第1光束、前記第2光束、および前記第3光束を合成した合成光を照射領域へ射出する光合成部材と、を備え、
前記合成光は、前記第1光束のうち最も大きい光強度を有する第1領域と、前記第2光束のうち最も大きい光強度を有する第2領域と、前記第3光束のうち最も大きい光強度を有する第3領域と、が互いに重ならない合成光強度分布を有し、
前記光合成部材は、
前記第1光束および前記第3光束の一方を前記第1方向に交差する方向に反射する第1反射部材と、
前記第1反射部材で反射された前記第1光束および前記第3光束の一方を前記第1光束および前記第3光束の他方の進行方向に反射する第2反射部材と、
前記第2反射部材で反射された前記第1光束および前記第3光束の一方と、前記第1光束および前記第3光束の他方と、前記第2光源部からの前記第2光束と、を合成する合成素子と、
透過する光束の偏光方向を変化させる位相差素子と、を含
み、
前記合成素子は、前記第1光束および前記第3光束と前記第2光束とのうち第1偏光方向に偏光した光束を反射し、前記第1光束および前記第3光束と前記第2光束とのうち前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向に偏光した光束を透過する偏光合成素子であり、
前記位相差素子は、前記第1光源部および前記第3光源部と前記偏光合成素子との間の光路上に配置されている、
ことを特徴とす
る光源装置。
【請求項8】
第1方向に沿って一列に配置された複数の第1発光素子を有し、第1光束を射出する第1光源部と、
前記第1方向と平行である第2方向に沿って一列に配置された複数の第2発光素子を有し、前記第1光束の射出方向に第2光束を射出する第2光源部と、
前記第1光源部に対して前記第1方向と交差する方向に配置され、前記第1方向に沿って一列に配置された複数の第3発光素子を有し、前記第1光束の射出方向に第3光束を射出する第3光源部と、
前記第1光束、前記第2光束、および前記第3光束を合成した合成光を照射領域へ射出する光合成部材と、を備え、
前記合成光は、前記第1光束のうち最も大きい光強度を有する第1領域と、前記第2光束のうち最も大きい光強度を有する第2領域と、前記第3光束のうち最も大きい光強度を有する第3領域と、が互いに重ならない合成光強度分布を有し、
前記光合成部材は、
前記第1光束および前記第3光束の一方を前記第1方向に交差する方向に反射する第1反射部材と、
前記第1反射部材で反射された前記第1光束および前記第3光束の一方を前記第1光束および前記第3光束の他方の進行方向に反射する第2反射部材と、
前記第2反射部材で反射された前記第1光束および前記第3光束の一方と、前記第1光束および前記第3光束の他方と、前記第2光源部からの前記第2光束と、を合成する合成素子と、
透過する光束の偏光方向を変化させる位相差素子と、を含み、
前記合成素子は、前記第1光束および前記第3光束と前記第2光束とのうち第1偏光方向に偏光した光束を反射し、前記第1光束および前記第3光束と前記第2光束とのうち前記第1偏光方向とは異なる第2偏光方向に偏光した光束を透過する偏光合成素子であり、
前記位相差素子は、前記第2光源部と前記偏光合成素子との間の光路上に配置されている、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項9】
前記第2光源部に対して前記第2方向と交差する方向に配置され、前記第2方向に沿って一列に配置された複数の第4発光素子を有し、前記第2光束の射出方向に第4光束を射出する第4光源部をさらに備え、
前記光合成部材は、前記第4光束と、前記第1光束と前記第2光束と前記第3光束と、を合成して前記合成光を生成し、
前記合成光の前記合成光強度分布において、前記第4光束のうち最も大きい光強度を有する第4領域は、前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域に重ならない、
ことを特徴とする請求項
7または請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記光合成部材は、
前記第2光束を、前記第2光源部および前記第4光源部が並ぶ方向に反射する第3反射部材と、
前記第4光束を、前記第2光源部および前記第4光源部が並ぶ前記方向に反射する第4反射部材と、を含み、
前記合成素子は、前記第3反射部材で反射された前記第2光束と、前記第4反射部材で反射された前記第4光束と、前記第1光束および前記第3光束と、を合成して前記合成光を生成する、
ことを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記光合成部材において、前記第1反射部材および前記第2反射部材は、前記第1光束および前記第3光束の間隔が、前記第1反射部材および前記第2反射部材への入射前よりも入射後の方が狭くなるように、前記第1光束および前記第3光束を反射し、
前記第3反射部材および前記第4反射部材は、前記第2光束および前記第4光束の間隔が、前記第3反射部材および前記第4反射部材への入射前よりも入射後の方が狭くなるように、前記第2光束および前記第4光束を反射する、
ことを特徴とする請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
請求項1から請求項1
1のうちのいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置における前記照射領域に配置され、前記合成光の波長を変換する波長変換素子と、を備える
ことを特徴とする照明装置。
【請求項13】
請求項1から請求項1
1のうちのいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置における前記照射領域に配置され、前記合成光を波長変換する波長変換素子と、
前記光源装置から射出された前記合成光を前記波長変換素子に向けて反射する反射部材と、を備え、
前記反射部材は、前記波長変換素子から射出される光の光路上に配置されている、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項14】
前記反射部材の前記波長変換素子と反対側に設けられ、前記波長変換素子から射出された光が入射する光学素子をさらに備え、
前記光学素子は、前記波長変換素子から射出された光が通過する入射開口部を含み、
前記合成光は、前記合成光の主光線に垂直な断面において前記入射開口部に対応した形状を有する、
ことを特徴とする請求項1
3に記載の照明装置。
【請求項15】
前記光源装置と前記反射部材との間に設けられ、前記光源装置から射出された前記合成光が入射する拡散素子をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1
3又は請求項1
4に記載の照明装置。
【請求項16】
請求項1
2から請求項1
5のうちのいずれか一項に記載の照明装置と、
前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、照明装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の固体光源から射出された光線をアフォーカル光学系によって合成した合成光を照射領域へ射出する光源装置がある(例えば、下記特許文献1参照)。また、複数の半導体レーザーを一列に配置した一次元配列の光源ユニットを用いた光源装置がある(例えば、下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-137744号公報
【文献】特開2019-212752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記一次元配列の光源ユニットを複数組み合わせた光源装置からの光線束を合成した合成光を照射領域へ射出する場合、照射領域における光強度分布が高くなり過ぎることで照射領域に負荷を与える恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の第一態様によれば、第1方向に沿って一列に配置された複数の第1発光素子を有し、第1光束を射出する第1光源部と、第2方向に沿って一列に配置された複数の第2発光素子を有し、前記第1光束の射出方向に第2光束を射出する第2光源部と、前記第1光束および前記第2光束を合成した合成光を照射領域へ射出する光合成部材と、を備え、前記合成光は、前記第1光束のうち最も大きい光強度を有する第1領域と、前記第2光束のうち最も大きい光強度を有する第2領域と、が互いに重ならない合成光強度分布を有する、光源装置が提供される。
【0006】
本発明の第二態様によれば、上記第一態様の光源装置と、前記光源装置における前記照射領域に配置され、前記合成光を波長変換する波長変換素子と、前記光源装置から射出された前記合成光を前記波長変換素子に向けて反射する反射部材と、をさらに備え、前記反射部材は、前記波長変換素子から射出される光の光路上に配置されている、照明装置が提供される。
【0007】
本発明の第三態様によれば、上記第二態様の照明装置と、前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える、プロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態のプロジェクターの構成を示す図である。
【
図8A】比較例1の合成光における合成光強度分布を示した図である。
【
図8B】比較例2の合成光における合成光強度分布を示した図である。
【
図9】各合成光における効果を比較して示した図である。
【
図10】第二実施形態の光源装置の全体構成を示す平面図である。
【
図11】偏光合成素子で合成される合成光SLを概念的に示した図である。
【
図12】合成光の合成光強度分布を示した図である。
【
図13】合成光を波長変換素子に照射した場合における効果を示す図である。
【
図14】各光線の間隔を拡げた場合の合成光の合成光強度分布を示した図である。
【
図15A】第1変形例の光源装置から射出される合成光を概念的に示した図である。
【
図15B】第2変形例の光源装置から射出される合成光を概念的に示した図である。
【
図15C】第3変形例の光源装置から射出される合成光を概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光変調装置として液晶パネルを用いたプロジェクターの一例である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0010】
(第一実施形態)
図1は本実施形態のプロジェクターの構成を示す図である。
図1に示す本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上にカラー画像を表示する投写型画像表示装置である。プロジェクター1は、赤色光R、緑色光G、青色光Bの各色光に対応した3つの光変調装置を用いている。
【0011】
プロジェクター1は、照明装置2と、色分離光学系3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、合成光学系5と、投写光学装置6と、を備えている。
【0012】
照明装置2は、白色の照明光WLを色分離光学系3に向けて射出する。色分離光学系3は、白色の照明光WLを赤色光Rと緑色光Gと青色光Bとに分離する。色分離光学系3は、第1ダイクロイックミラー7aと、第2ダイクロイックミラー7bと、第1反射ミラー8aと、第2反射ミラー8bと、第3反射ミラー8cと、第1リレーレンズ9aと、第2リレーレンズ9bと、を備えている。
【0013】
第1ダイクロイックミラー7aは、照明装置2からの照明光WLを赤色光Rと、その他の光(緑色光Gおよび青色光B)とに分離する。第1ダイクロイックミラー7aは、分離された赤色光Rを透過するとともに、その他の光(緑色光Gおよび青色光B)を反射する。一方、第2ダイクロイックミラー7bは、その他の光を緑色光Gと青色光Bとに分離する。第2ダイクロイックミラー7bは、分離された緑色光Gを反射し、青色光Bを透過する。
【0014】
第1反射ミラー8aは、赤色光Rの光路中に配置され、第1ダイクロイックミラー7aを透過した赤色光Rを光変調装置4Rに向けて反射する。一方、第2反射ミラー8bおよび第3反射ミラー8cは、青色光Bの光路中に配置され、第2ダイクロイックミラー7bを透過した青色光Bを光変調装置4Bに向けて反射する。また、緑色光Gは、第2ダイクロイックミラー7bによって光変調装置4Gに向けて反射される。
【0015】
第1リレーレンズ9aは、青色光Bの光路中における第2ダイクロイックミラー7bおよび第2反射ミラー8bの間に配置されている。第2リレーレンズ9bは、青色光Bの光路中における第2反射ミラー8bおよび第3反射ミラー8cの間に配置されている。第1リレーレンズ9aおよび第2リレーレンズ9bは、青色光Bの光路長が赤色光Rや緑色光Gの光路長よりも長いことに起因した青色光Bの照明分布の違いを修正する。
【0016】
光変調装置4Rは、赤色光Rを画像情報に応じて変調し、赤色光Rに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光Gを画像情報に応じて変調し、緑色光Gに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光Bを画像情報に応じて変調し、青色光Bに対応した画像光を形成する。
【0017】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側および射出側には、偏光板(図示せず)がそれぞれ配置され、特定の方向の直線偏光のみを通過させる構成となっている。
【0018】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bの入射側には、それぞれフィールドレンズ10R、フィールドレンズ10G、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10R、フィールドレンズ10G、およびフィールドレンズ10Bは、それぞれの光変調装置4R、光変調装置4G、光変調装置4Bに入射する赤色光R、緑色光G、青色光Bの主光線を平行化する。
【0019】
合成光学系5は、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bから射出された画像光が入射することにより、赤色光R、緑色光G、青色光Bに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投写光学装置6に向けて射出する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0020】
投写光学装置6は、複数の投写レンズから構成されている。投写光学装置6は、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投写する。これにより、スクリーンSCR上に画像が表示される。
【0021】
本実施形態の照明装置2の一例について説明する。
図2は、照明装置2の概略構成を示す図である。
図2に示すように、照明装置2は、光源装置11と、拡散素子17と、波長変換素子15と、均一化照明光学系16と、集光光学系18と、ダイクロイックミラー(反射部材)19と、を備えている。
【0022】
以下では、XYZ直交座標系を用いて、照明装置2および光源装置11の各構成の配置などを説明する。本実施形態において、照明装置2における照明光軸AXに沿う方向をX軸方向、光源装置11の第1光軸AX1に沿う方向をY軸方向、X軸およびY軸に垂直な方向をZ軸方向と定義する。第1光軸AX1および照明光軸AXは互いに直交する。
【0023】
光源装置11、ダイクロイックミラー19は第1光軸AX1に沿って配置されている。波長変換素子15、集光光学系18、ダイクロイックミラー19および均一化照明光学系16は照明装置2の照明光軸AXに沿って配置されている。
【0024】
光源装置11から射出された合成光SLは拡散素子17を経由してダイクロイックミラー19に入射する。後述するように本実施形態の光源装置11は、合成光SLの光束幅を縮小した状態とするため、ダイクロイックミラー19のサイズを小型化できる。
【0025】
拡散素子17としては、例えば、透光性平板の表面に凹凸構造を有した表面拡散板、透光性平板の内部に屈折率分布を有した屈折率分布型拡散板、回折素子、ホログラム素子或いはメタレンズ素子等を使用できる。合成光SLは拡散素子17を透過することで、被照明領域である波長変換素子15での光強度分布の均一性が高まる。
【0026】
拡散素子17に代えて、光源装置11とダイクロイックミラー19との間に凸レンズを設け、合成光SLが被照明領域である波長変換素子15に対してデフォーカス状態(ピンボケ状態)で入射させることで、波長変換素子15での光強度分布の均一性を高めてもよい。なお、上記凸レンズと拡散素子17とを組み合わせてもよい。
【0027】
ダイクロイックミラー19は、青色波長帯の合成光SLを反射し、後述する波長変換素子15から射出される青色波長帯の蛍光Yを透過させる光学特性を有する。ダイクロイックミラー19は、誘電体多層膜から構成されている。なお、ダイクロイックミラー19に替えて、合成光SLおよび蛍光Yを反射させるミラーを用いてもよい。
【0028】
ダイクロイックミラー19で反射された合成光SLは集光光学系18に入射する。集光光学系18は凸レンズ18a,18bを含み、合成光SLを集光して波長変換素子15に入射させる。
【0029】
波長変換素子15は、基板21と、反射層22と、波長変換層23と、を備えている。基板21は、反射層22および波長変換層23を支持する支持基板である他、当該波長変換層23から伝導された熱を放熱する放熱基板である。基板21は、高い熱伝導率を有する材料である、例えば、金属やセラミックス等により構成できる。
【0030】
反射層22は、基板21と波長変換層23との間に位置し、当該波長変換層23から入射する光を、当該波長変換層23側に反射する。反射層22は、誘電体多層膜、金属ミラーおよび増反射膜等を含む積層膜で構成される。
【0031】
波長変換層23は反射層22上に設けられる。波長変換層23は、合成光SLが入射する上面23aと、上面23aとは異なる下面23bと、を有している。波長変換層23は、青色波長帯の合成光SLを青色波長帯とは異なる波長帯の蛍光Yに変換する。
【0032】
波長変換層23は、セラミック蛍光体を含んでいてもよいし、単結晶蛍光体を含んでいてもよい。蛍光Yの波長帯は、例えば500~680nmにピーク波長を有する。すなわち、蛍光Yは、緑色光成分および赤色光成分を含む黄色光である。
【0033】
波長変換層23は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体を含んでいる。賦活剤としてセリウム(Ce)を含有するYAG:Ceを例にとると、波長変換層23として、Y2O3、Al2O3、CeO3等の構成元素を含む原料粉末を混合して固相反応させた材料、共沈法やソルゲル法等の湿式法により得られるY-Al-Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法や火炎熱分解法、熱プラズマ法等の気相法により得られるYAG粒子等を用いることができる。なお、波長変換層23として多孔質焼結体を用いる場合、蛍光体内部で光が散乱し、横方向へ光が伝搬しにくいため光利用効率の観点でも望ましい。
【0034】
本実施形態において、波長変換層23の上面23aには、合成光SLの一部を散乱させる散乱構造体(図示略)が設けられている。
【0035】
上記構成を有する本実施形態の波長変換素子15によれば、波長変換層23で生成した蛍光Yと、波長変換層23の上面23aで拡散反射した合成光SLの一部からなる拡散反射光B1と、を含む白色の照明光WLを集光光学系18に向けて射出する。照明光WLは、集光光学系18により略平行化される。集光光学系18を透過した照明光WLは照明光軸AX上に配置されたダイクロイックミラー19を通過する。
【0036】
ここで、ダイクロイックミラー19は、合成光SLを反射するとともに蛍光Yを透過させる光学特性を有する。そのため、照明光WLに含まれる蛍光Yはダイクロイックミラー19を透過して均一化照明光学系16に向かう。蛍光Yはダイクロイックミラー19を透過するので、ダイクロイックミラー19による蛍光Yの光損失を低減できる。
【0037】
一方、照明光WLに含まれる拡散反射光B1は合成光SLと同一波長帯の光であるため、ダイクロイックミラー19によって反射されてしまう。これに対して本実施形態では、合成光SLの光束幅を圧縮した状態でダイクロイックミラー19に入射することでダイクロイックミラー19を小型化している。そのため、ダイクロイックミラー19に対する拡散反射光B1の入射光量が抑えられるため、ダイクロイックミラー19で反射されることによる拡散反射光B1の光損失を低減できる。
【0038】
波長変換素子15から射出された照明光WLは、均一化照明光学系(照明光学系)16に入射する。均一化照明光学系16は、インテグレーター光学系31と、偏光変換素子32と、重畳光学系33と、を含む。インテグレーター光学系31は、第1マルチレンズアレイ31aと、第2マルチレンズアレイ31bと、を備えている。偏光変換素子32は、照明光WLの偏光方向を光変調装置4R,4G,4Bの入射側偏光板の透過軸の方向に揃える。
【0039】
これにより、偏光変換素子32を透過した照明光WLを分離して得られる赤色光R、緑色光G、および青色光Bの偏光方向は、各光変調装置4R,4G,4Bの入射側偏光板の透過軸方向に一致する。よって、赤色光R、緑色光G、および青色光Bは、入射側偏光板でそれぞれ遮光されることなく、光変調装置4R,4G,4Bの画像形成領域にそれぞれ入射する。
【0040】
重畳光学系33は、第2マルチレンズアレイ31bとともに、第1マルチレンズアレイ31aの各小レンズの像を各光変調装置4R,4G,4Bの各々の画像形成領域の近傍に結像させる。
【0041】
ここで、プロジェクター1の信頼性を高めるには照明光WLの明るさを維持することが重要である。照明光WLの明るさを維持するには波長変換素子15に対する負荷を低減することで、波長変換素子15の寿命を延ばすことが有効とされる。
【0042】
一般的に蛍光体に入射する励起光の光強度が高すぎると、蛍光体の負荷が高まることで変形や破損等が生じ、蛍光体の寿命が短くなる。つまり、蛍光体の負荷を低減するには励起光の強度分布の均一性を高めることで、蛍光体に強度が高い光を入射させないようにすることが重要である。
【0043】
本実施形態の光源装置11は、照射領域に配置される波長変換素子15に向けて照射する合成光SLの光強度分布の均一性を高めることで、波長変換層23における負荷を低減している。以下、本実施形態の光源装置11の構成について詳しく説明する。
【0044】
図3は光源装置11の全体構成を+Z側から-Z側に向かって視た平面図である。
図3に示すように、本実施形態の光源装置11は、第1光源ユニット11Aと、第2光源ユニット11Bと、光合成部材14と、を備えている。
【0045】
第1光源ユニット11Aは、第1光源部51と、第3光源部53と、を有している。第1光源部51は、第1光束LS1をY軸方向に向けて射出する。第3光源部53は、第3光束LS3をY軸方向に向けて射出する。
【0046】
第2光源ユニット11Bは、第2光源部52と、第4光源部54と、を有している。第2光源部52は、第2光束LS2をY軸方向に向けて射出する。第4光源部54は、第4光束LS4をY軸方向に向けて射出する。
【0047】
光合成部材14は、第1光源ユニット11Aから射出された第1光束LS1および第2光束LS2と、第2光源ユニット11Bから射出された第2光束LS2および第4光束LS4と、を合成した合成光SLを照明領域としての波長変換層23に射出する。
本実施形態において、光合成部材14は、偏光合成素子(合成素子)140と、反射ミラー(第1反射部材)141と、反射ミラー(第2反射部材)142と、反射ミラー(第3反射部材)143と、反射ミラー(第4反射部材)144と、反射ミラー(第5反射部材)145と、を含む。
【0048】
第1光源ユニット11Aにおいて、第1光源部51および第3光源部53は同一構成を有する。以下、第1光源部51を例に挙げ、その構成について説明する。
【0049】
図4は第1光源部51の斜視図である。
図4に示すように、第1光源部51は、複数の発光素子(第1発光素子)41と、基板42と、支持部材43と、を備えている。
【0050】
基板42は、第1面42aと第2面42bとを有し、例えばアルミニウム、銅などの放熱性に優れた金属材料から構成されている。支持部材43は、基板42の第1面42aに設けられている。支持部材43は、基板42と同様、例えばアルミニウム、銅などの放熱性に優れた金属材料から構成されている。支持部材43は、複数の発光素子41が実装される実装面43aを有している。実装面43aは、実装面43aの法線方向から見て、長手方向と短手方向とを有する長方形状の形状を有している。
【0051】
複数の発光素子41は、支持部材43の実装面43a上に、実装面43aの長手方向に沿って互いに間隔をおいて配列されている。複数の発光素子41は支持部材43を介して基板42に支持されている。本実施形態において、第1光源部51は、Z軸方向(第1方向)に沿って一列に配置される複数(本実施形態にでは4個)の発光素子41を有している。
【0052】
発光素子41の各々は、矩形状の発光面41aが支持部材43の長辺側の端面43cと略同一平面上に位置するように支持部材43に実装されている。したがって、各発光素子41から射出される光線L1の射出方向は、支持部材43の短手方向と一致する。なお、光線L1の射出方向は、当該光線L1の主光線に沿う方向である。
【0053】
複数の発光素子41の配列方向は、光線L1の射出方向と交差する。本実施形態において、各発光素子41から射出される光線L1の主光線に垂直な断面の形状は、楕円である。楕円の短軸方向は、複数の発光素子41の配列方向(Z軸方向)に一致する。楕円の長軸方向は、X軸方向に一致する。なお、各発光素子41から射出される光線L1の主光線に垂直な断面の形状は、完全な楕円形状でなくともよい。
【0054】
複数の発光素子41の各々は、青色光を射出する青色半導体レーザーから構成されている。青色半導体レーザーは、一例として、380nm~495nmの青色波長帯にピーク波長を有する青色光を射出する。各発光素子41から射出された光線L1は、発光面41aの近傍に設けられたコリメーターレンズ(図示略)によって平行化される。
【0055】
したがって、第1光源部51は、Z軸方向に並んだ4本の青色の光線L1を含む光束を射出する。本実施形態において、第1光源部51から射出される4本の光線L1を含む光全体を第1光束LS1と称する。
第1光源部51から射出される第1光束LS1は、偏光合成素子140に対するS偏光の光(第1方向に偏光した光)である。
【0056】
第1光源部51と同一構成を有する第3光源部53は、Z軸方向に並んで配置された複数の発光素子(第3発光素子)341と、基板342と、を含む。ここで、発光素子341および基板342は第1光源部51の発光素子41および基板42と同一構成を有する。
【0057】
第3光源部53は、第1光源部51に対してZ軸方向と交差するY軸方向に並んで配置される。第1光源部51および第3光源部53は、各々の基板42,342がそれぞれZX平面(所定平面)と平行に配置されている。すなわち、第1光源部51および第3光源部53の各基板42,342が同一平面上に配置されている。第1光源部51および第3光源部53は不図示の支持部材に一体に支持されている。
【0058】
第3光源部53において、各発光素子341から射出される光の主光線に垂直な断面の形状は楕円である。楕円の短軸方向は、複数の発光素子341の配列方向(Z軸方向)に一致する。
【0059】
第3光源部53は、Z軸方向に並んだ4本の青色光を含む光束を射出する。本実施形態において、第3光源部53から射出される4本の青色光を含む光全体を第3光束LS3と称する。
本実施形態において、第3光源部53から射出される第3光束LS3は、第1光束LS1と同様、偏光合成素子140に対するS偏光の光(第1方向に偏光した光)である。
【0060】
反射ミラー141は、第3光源部53から射出される第3光束LS3を、第3光束LS3の射出方向であるY軸方向およびZ軸方向(第1方向)に交差するX軸方向に反射する。具体的に第3光束LS3は反射ミラー141により反射ミラー142に向けて反射される。
【0061】
反射ミラー142は、反射ミラー141で反射された第3光束LS3を、第1光源部51から射出される第1光束LS1の射出方向であるY軸方向に向けて反射する。本実施形態において、反射ミラー141は、第1光源部51よりも+X側に配置されている。なお、反射ミラー141および反射ミラー142は、例えば、金属膜や誘電体多層膜からなる膜を設けた板状部材で構成される。
【0062】
第1光源部51から射出された第1光束LS1は反射ミラー143に直接入射する。反射ミラー143は、例えば、金属膜や誘電体多層膜からなる膜を設けた板状部材で構成される。反射ミラー142で反射された第3光束LS3は反射ミラー143に入射する。すなわち、反射ミラー143には、反射ミラー142で反射された第3光束LS3と第1光源部51から射出された第1光束LS1とが入射する。
【0063】
反射ミラー143は、第1光束LS1および第3光束LS3を偏光合成素子140に向けて反射する。反射ミラー143により反射された第1光束LS1および第3光束LS3はX軸方向から偏光合成素子140に入射する。
【0064】
ここで、反射ミラー141、142に入射する前の第1光束LS1および第3光束LS3のX方向に沿う方向の間隔を第1間隔D1とし、反射ミラー141、142に入射後の第1光束LS1および第3光束LS3のX方向に沿う方向の間隔を第2間隔D2とする。
【0065】
本実施形態の光源装置11において、反射ミラー141、142は、第1光束LS1および第3光束LS3の間隔が、反射ミラー141、142への入射前の第1間隔D1よりも入射後の第2間隔D2の方が狭くなるように、配置されている。
【0066】
具体的に反射ミラー141で反射された第3光束LS3は第1光源部51から射出された第1光束LS1と交差した後、反射ミラー142で反射される。反射ミラー142は上記第1間隔D1よりも上記第2間隔D2の方が狭くなる位置に設けられる。
【0067】
第1光束LS1および第3光束LS3は、Y軸方向において互いの間隔が狭められた状態で偏光合成素子140に入射する。本実施形態の光源装置11において、偏光合成素子140はY軸方向において小型化可能である。
【0068】
偏光合成素子140は、青色光に対する偏光分離機能を有する光学素子から構成されている。偏光合成素子140は、青色光に対してS偏光成分を反射し、P偏光成分を透過させる偏光分離機能を有する。本実施形態において、第1光源部51から射出された第1光束LS1と反射ミラー142で反射された第3光束LS3とは、偏光合成素子140に対してS偏光として入射する。そのため、第1光束LS1および第3光束LS3は偏光合成素子140で反射されてY軸方向に射出される。
【0069】
続いて、第2光源ユニット11Bの構成について説明する。
図5は第2光源ユニット11Bの構成を示す図であり、第2光源ユニット11Bを+X側から-X側に向かって視た平面図である。
図5に示すように、第2光源ユニット11Bは、第2光源部52と、第4光源部54と、を有している。第2光源部52は第2光束LS2をY軸方向に向けて射出する。第4光源部54は第4光束LS4をY軸方向に向けて射出する。
【0070】
第2光源部52および第4光源部54は、第1光源部51と同一構成を有し、Z軸方向にそれぞれ並んで配置されている。
第2光源部52は、X軸方向(第2方向)に沿って一列に順に配置される複数の発光素子(第2発光素子)241と、基板242と、を含む。ここで、発光素子241および基板242は第1光源部51の発光素子41および基板42と同一構成を有する。
すなわち、第2光源部52における複数の発光素子241の配列方向であるX軸方向(第2方向)は、第1光源部51および第3光源部53における複数の発光素子241,341の配列方向であるZ軸方向(第1方向)と交差(直交)する。
【0071】
第2光源部52の各発光素子241から射出される光の主光線に垂直な断面の形状は楕円である。楕円の短軸方向は、複数の発光素子241の配列方向(X軸方向)に一致する。第2光源部52は、X軸方向に並んだ4本の青色光を含む光束をそれぞれ射出する。本実施形態において、第2光源部52から射出される4本の青色光を含む光全体を第2光束LS2と称す。
【0072】
第4光源部54は、第2光源部52に対してX軸方向(第2方向)と交差するZ軸方向に配置されている。第4光源部54は、第2光源部52と同様、X軸方向に沿って一列に順に配置される複数の発光素子441と、基板442と、を含む。ここで、発光素子441および基板442は第1光源部51の発光素子41および基板42と同一構成を有する。
すなわち、第4光源部54における複数の発光素子441の配列方向であるX軸方向(第2方向)は、第1光源部51および第2光源部52における複数の発光素子41,241の配列方向であるZ軸方向(第1方向)と交差(直交)する。
【0073】
第4光源部54の各発光素子441から射出される光の主光線に垂直な断面の形状は楕円である。楕円の短軸方向は、複数の発光素子441の配列方向(X軸方向)に一致する。第4光源部54は、X軸方向に並んだ4本の青色光を含む光束をそれぞれ射出する。本実施形態において、第4光源部54から射出される4本の青色光を含む光全体を第4光束LS4と称す。第4光源部54は、第2光源部52における第2光束LS2の射出方向に向けて第4光束LS4を射出する。
【0074】
本実施形態において、第2光源部52および第4光源部54は、各々の基板242,442がそれぞれZX平面(所定平面)と平行に配置されている。
したがって、本実施形態の光源装置11において、第1光源部51、第2光源部52、第3光源部53および第4光源部54の各基板42,242,342,442は同一平面上に配置されている。そのため、例えば、各基板42,242,342,442に対して一方向から冷却風を供給することが可能となる。よって、第1光源部51、第2光源部52、第3光源部53および第4光源部54の冷却が容易となる。
【0075】
本実施形態において、第2光源部52から射出される第2光束LS2および第4光源部54から射出される第4光束LS4は、それぞれ偏光合成素子140に対するP偏光の光(第2方向に偏光した光)である。
【0076】
反射ミラー144は、第4光源部54から射出される第4光束LS4を、第4光束LS4の射出方向であるY軸方向およびX軸方向(第2方向)に交差するZ軸方向に反射する。具体的に第4光束LS4は反射ミラー144により反射ミラー145に向けて反射される。
【0077】
反射ミラー145は、反射ミラー144で反射された第4光束LS4を、第2光源部52から射出される第2光束LS2の射出方向であるY軸方向に向けて反射する。なお、反射ミラー144および反射ミラー145は、例えば、金属膜や誘電体多層膜からなる膜を設けた板状部材で構成される。
【0078】
第2光源部52から射出された第2光束LS2は偏光合成素子140に直接入射する。反射ミラー145で反射された第4光束LS4は偏光合成素子140に入射する。すなわち、偏光合成素子140には、反射ミラー145で反射された第4光束LS4と第2光源部52から射出された第2光束LS2とが入射する。
【0079】
ここで、反射ミラー144、145に入射する前の第2光束LS2および第4光束LS4のZ方向に沿う方向の間隔を第3間隔D3と称し、反射ミラー144、145に入射後の第3光束LS3および第4光束LS4のZ方向に沿う方向の間隔を第4間隔D4と称する。
【0080】
本実施形態の光源装置11において、反射ミラー144、145は、第2光束LS2および第4光束LS4の間隔が、反射ミラー144、145への入射前よりも入射後の方が狭くなるように、第2光束LS2および第4光束LS4を反射する。具体的に反射ミラー144で反射された第4光束LS4は第2光源部52から射出された第2光束LS2と交差した後、反射ミラー145で反射される。反射ミラー145は上記第3間隔D3よりも上記第4間隔D4の方が狭くなる位置に設けられる。
【0081】
第3光束LS3および第4光束LS4は、Z軸方向において互いの間隔が狭められた状態で偏光合成素子140に入射する。そのため、本実施形態の光源装置11において、偏光合成素子140はZ軸方向において小型化可能である。
【0082】
本実施形態において、第3光源部53から射出された第3光束LS3および反射ミラー145で反射された第4光束LS4は、偏光合成素子140に対してP偏光として入射する。そのため、第3光束LS3および第4光束LS4は偏光合成素子140を透過してY軸方向に射出される。
このようにして、偏光合成素子140は、第1光束LS1、第2光束LS2、第3光束LS3および第4光束LS4を合成した合成光SLを生成する。
【0083】
図6は偏光合成素子140で合成される合成光SLを概念的に示した図である。
図6は、偏光合成素子140から射出されて拡散素子17に入射する前の合成光SLを+Y側から-Y側に向かって平面視した図である。
図7は合成光SLの合成光強度分布を示した図である。
図7には、波長変換層23の上面23aにおける合成光SLの照度分布を示した。また、合成光SLにおけるY軸方向およびZ軸方向における照度変化を示した。
【0084】
図6に示すように、第1光束LS1を構成する4本の各光線L1はZ軸方向(第1方向)に沿って配置され、第3光束LS3を構成する4本の各光線L3はZ軸方向に沿って配置される。各光線L1および各光線L3の主光線に垂直な断面の形状は楕円であり、各光線L1および各光線L3において楕円の短軸方向はZ軸方向に一致する。
【0085】
また、第2光束LS2を構成する4本の各光線L2はX軸方向(第2方向)に沿って配置され、第4光束LS4を構成する4本の各光線L4はX軸方向に沿って配置される。各光線L2および各光線L4の主光線に垂直な断面の形状は楕円であり、各光線L2および各光線L4において楕円の短軸方向はX軸方向に一致する。
【0086】
本実施形態の合成光SLにおいて、第1光束LS1および第3光束LS3は、Z軸方向において、第2光束LS2および第4光束LS4の間に位置している。
第1光束LS1および第3光束LS3において各光線L1,L3が並ぶ方向(Z軸方向)と、第2光束LS2および第4光束LS4において各光線L2,L4が並ぶ方向(X軸方向)とは、光源装置11の第1光軸AX1の周方向において90度位置を異なっている。そのため、合成光SLは、第1光軸AX1の周りに各光線L1,L2,L3,L4がそれぞれ配置されている。本実施形態の合成光SLの形状は、Z軸方向に長手を有した矩形状である。なお、合成光SLの形状は、合成光SLを構成する各光線のうち最も外縁に位置する光線の外形を結ぶ仮想線で規定される。
【0087】
図7に示すように、合成光SLは、各光束LS1,LS2,LS3,LS4の光強度分布を合成した合成光強度分布IDを有する。
合成光強度分布IDのうち第1光束LS1に対応する強度分布は、最も大きい光強度を有する高強度領域(第1領域)SA1を含む。
第1光束LS1を構成する各光線L1は、中央部に光強度が最も高くなる領域を含む。つまり、第1光束LS1における高強度領域SA1は、
図6に示すように、各光線L1の中央部に位置する光強度が最も高い領域に相当する。
【0088】
第1光束LS1と同様、合成光強度分布IDのうち第2光束LS2に対応する強度分布は、最も大きい光強度を有する高強度領域(第2領域)SA2を含む。第2光束LS2における高強度領域SA2は、
図6に示すように、第2光束LS2を構成する各光線L2の中央部に位置する光強度が最も高い領域に相当する。
【0089】
合成光強度分布IDのうち第3光束LS3に対応する強度分布は、最も大きい光強度を有する高強度領域(第3領域)SA3を含む。第3光束LS3における高強度領域SA3は、
図6に示すように、第3光束LS3を構成する各光線L3の中央部に位置する光強度が最も高い領域に相当する。
【0090】
合成光強度分布IDのうち第4光束LS4に対応する強度分布は、最も大きい光強度を有する高強度領域(第4領域)SA4を含む。第4光束LS4における高強度領域SA4は、
図6に示すように、第4光束LS4を構成する各光線L4の中央部に位置する光強度が最も高い領域に相当する。
【0091】
図6に示すように、合成光SLは、第1光束LS1の高強度領域SA1、第2光束LS2の高強度領域SA2、第3光束LS3の高強度領域SA3、および第4光束LS4の高強度領域SA4が互いに重ならない。
すなわち、本実施形態の合成光SLは、各光束LS1,LS2,LS3,LS4の各高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4が互いに重ならない合成光強度分布IDを有する。
【0092】
図3に示されるように、本実施形態の光源装置11は、反射ミラー144、145とともに、第2光源ユニット11Bを構成する第2光源部52および第4光源部54の位置を調整することで、
図7に示される、各高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4が互いに重ならない合成光強度分布IDを有した合成光SLを生成することができる。
【0093】
ここで、比較例の合成光と比較しつつ、本実施形態の合成光SLによる効果について説明する。
図8Aは、比較例1の合成光SL1における合成光強度分布を示した図である。
図8Bは、比較例2の合成光SL2における合成光強度分布を示した図である。比較例1の合成光SL1は、本実施形態の合成光SLと異なり、各高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4の一部が重なる光である。比較例2の合成光SL2は、本実施形態の合成光SLに対して長手方向と短手方向とを入れ替えた横長の光である。
なお、
図8A,8Bには、波長変換層23の上面23aにおける各合成光SL1,SL2による照度分布をそれぞれ示した。また、合成光SL1,SL2におけるY軸方向およびZ軸方向における照度変化を示した。
【0094】
図9は、本実施形態の合成光SLおよび比較例1,2の合成光をそれぞれ波長変換素子15に照射した場合の効果を示したグラフである。具体的に
図9では、各合成光SL,SL1,SL2を照射した際に波長変換層23にかかる蛍光体負荷と、各合成光SL,SL1,SL2を照射することで波長変換層23から射出される蛍光Yの光利用効率と、を示した。
【0095】
なお、
図9では、比較例1の合成光SL1における蛍光体負荷および光利用効率を基準(1.0)とし、比較例1の合成光SL1に対する合成光SL、SL2の蛍光体負荷および光利用効率の変化率を「改善率」として示した。つまり、改善率が1.0は比較例1の合成光SL1と蛍光体負荷あるいは光利用効率が同じであることを意味し、改善率が1.0よりも低い状態は比較例1の合成光SL1に比べて蛍光体負荷あるいは光利用効率が悪化していることを意味し、改善率が1.0よりも高い状態は比較例1の合成光SL1に比べて蛍光体負荷あるいは光利用効率が改善されたことを意味する。
【0096】
図8Aに示すように、比較例1の合成光SL1の形状は略正方形である。すなわち、比較例1の合成光SL1は、
図6および
図7に示した本実施形態の合成光SLに比べて、第2光束LS2および第4光束LS4間の距離が短くなるため、四隅に位置する光線同士が重なってしまう。そのため、比較例1の合成光SL1は、各高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4の一部が重なった状態とされている。よって、合成光SL1の合成光強度分布における均一性は本実施形態の合成光SLよりも低くなる。
【0097】
また、
図8Bに示すように、比較例2の合成光SL2の形状は横長の矩形状である。すなわち、比較例2の合成光SL2は、
図6に示した本実施形態の合成光SLに対して、光束LS1,LS3がX軸方向に離間して配置され、光束LS2,LS4が第1光軸AX1の近くに配置されるとともにX軸方向において光束LS1,LS3の間に配置される。なお、比較例2の合成光SL2および本実施形態の合成光SLを比較した場合、短辺の長さは互いに一致しているが、長辺の長さは合成光SLの方が長い。そのため、比較例2の合成光SL2において、各高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4の一部は僅かに重なっているものとする。
【0098】
比較例2の合成光SL2は矩形状であるため、波長変換層23上に形成される合成光SL2による照射スポットの大きさが比較例1の合成光SL1よりも大きくなる。ここで、照射スポットが大きい合成光SL2は比較例1の合成光SLよりも光密度が抑えられるため、波長変換層23に対する蛍光体負荷を低減するように思われる。
しかしながら、比較例2の合成光SL2は、上述のように、各高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4の一部が重なることで光強度分布の均一性が低いため、照射スポットを大きくしたことによる波長変換層23に対する負荷低減効果が得られない。その結果、
図9に示すように、比較例2の合成光SL2は、蛍光体負荷の改善率が比較例1と同等となることが分かった。
【0099】
これに対して本実施形態の合成光SLによれば、合成光強度分布IDにおいて各光束LS1,LS2,LS3,LS4の高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4が互いに重ならないため、合成光SLの合成光強度分布IDの均一性を高めることができる。よって、
図9に示されるように、本実施形態の合成光SLによれば、比較例1の合成光SL1および比較例2の合成光SL2に比べて、波長変換層23に対する蛍光体負荷を低減できることが分かった。
【0100】
また、本発明者は、各合成光SL,SL1,SL2の形状に応じて波長変換層23から射出された蛍光Yにおける光利用効率が変化することに着目した。
これは、波長変換層23上に形成される各合成光SL,SL1,SL2の照射スポットの形状に応じて、均一化照明光学系16を通り抜けて画像光として有効に利用できる蛍光Yの光量が変化することに起因する。
【0101】
図2に示したように、本実施形態の偏光変換素子(光学素子)32は、複数の偏光分離層61と、複数の反射層62と、複数の位相差層63と、遮光膜64と、を有している。位相差層63は、偏光変換素子32の光射出側に設けられる。偏光変換素子32は、波長変換層23から射出された照明光WLが通過する複数の入射開口部32Kを含む。各入射開口部32Kは、偏光変換素子32における光入射面側に配置された遮光膜64に形成された開口で構成される。入射開口部32Kの平面形状は、Z軸方向に長手を有する矩形状である。入射開口部32KのY軸方向およびZ軸方向におけるアスペクト比は、例えば、1:1.3である。
【0102】
本実施形態の光源装置11において、波長変換層23から射出される蛍光Yの二次光源像が入射開口部32Kの近傍、より具体的には第2マルチレンズアレイ31bの出射面と入射開口部32Kとの間、に形成される。
【0103】
ここで、上述のように波長変換層23上における合成光SLの照射スポットを大きくすることで合成光SLの光密度を抑えると、波長変換層23における蛍光体負荷を低減することができる。
【0104】
一方、波長変換層23上における合成光SLの照射スポットを大きくすることで、波長変換層23における蛍光Yの発光面積が大きくなるほど均一化照明光学系16の光利用効率が低下してしまう。これは、蛍光Yの発光面積が大きくなると、入射開口部32Kの近傍に形成される蛍光Yの二次光源像が大きくなるので、入射開口部32Kを通過する蛍光Yの光量が減って、均一化照明光学系16における蛍光Yの光利用効率が低下するためである。つまり、波長変換層23の蛍光体負荷の低減効果をより高めるため、合成光SLの照射スポットを大きくしようとすると蛍光Yの光利用効率が低下することとなる。そのため、波長変換層23の蛍光体負荷の低減と蛍光Yの光利用効率の向上との両立は難しい。
【0105】
例えば、比較例2の合成光SL2は、比較例1の合成光SL1よりも横長の形状を有し、波長変換層23上における励起光の照射スポットの大きさが比較例1の合成光SL1よりも大きい。そのため、比較例2の合成光SL2は、比較例1の合成光SL1よりも蛍光Yの発光領域が大きくなるため、入射開口部32Kの近傍に形成される蛍光Yの二次光源像が大きくなって、入射開口部32Kを通過する蛍光Yの光量が減少する。そのため、比較例2の合成光SL2は、
図9に示されるように、比較例1の合成光SL1よりも光利用効率が低下することが確認できる。
【0106】
また、比較例2の合成光SL2の形状は、本実施形態の合成光SLと異なる横長形状であることから入射開口部32Kの形状と相似関係を満たさない。そのため、比較例2の合成光SL2により波長変換層23から発光された蛍光Yの二次光源像は入射開口部32Kと相似形状とならないため、蛍光Yの一部が入射開口部32Kからはみ出し易く、蛍光Yが入射開口部32Kを効率良く通過できない。そのため、比較例2の合成光SL2は、
図9に示されるように、本実施形態の合成光SLよりも光利用効率が低下することが確認できる。
【0107】
これに対して、本実施形態の光源装置11において、光合成部材14は、波長変換層23上における励起光の照射スポットの大きさを規定する合成光SLの形状を入射開口部32Kに対応した形状とするように、合成光SLを生成するようにしている。すなわち、本実施形態の光源装置11は、合成光SLの形状と入射開口部32Kの形状とが相似関係を満たしつつ、合成光SLの形状をできるだけ大きくするようにしている。
本実施形態の場合、光合成部材14は、入射開口部32Kと同じアスペクト比(1:1.3)となるように合成光SLのアスペクト比を設定した。
【0108】
波長変換層23における蛍光Yの発光領域の形状は、合成光SLの照射スポットの形状と略相似となる。つまり、入射開口部32Kの近傍に形成される蛍光Yの二次光源像は、合成光SLの照射スポットの形状と略相似関係を有する。このように合成光SLの形状が入射開口部32Kの形状と相似関係を有する場合、蛍光Yの二次光源像は入射開口部32Kの形状と略相似関係を有すると言える。
【0109】
本実施形態において、合成光SLは入射開口部32Kの形状と相似関係を有するため、波長変換層23から射出された蛍光Yが入射開口部32Kの近傍に入射開口部32Kと略相似形状の二次光源像を形成することができる。
よって、本実施形態の照明装置2によれば、波長変換層23から発光された蛍光Yが入射開口部32Kからはみ出し難いため、蛍光Yが入射開口部32Kを効率良く通過するようになる。したがって、本実施形態の合成光SLは、
図9に示されるように、比較例1、2の合成光SL1,SL2に比べて光利用効率が大幅に向上することが確認できた。
【0110】
本実施形態では合成光SLのアスペクト比を1:1.3に設定したが、仮にアスペクト比を1:1.2に設定した場合、つまり、合成光SLを縦長の矩形状とするが入射開口部32Kの形状に十分に対応させない場合について考える。
【0111】
仮に合成光SLのアスペクト比を1:2に設定した場合、比較例1の合成光SL1に比べて波長変換層23上に形成される合成光SLの照射スポットが大きくなる。そのため、比較例1の合成光SL1よりも合成光SLの光密度が低くなることで波長変換層23に対する蛍光体負荷を低減する効果が得られる。
一方、蛍光Yの二次光源像が入射開口部32Kと相似形状を満たさないため、蛍光Yが入射開口部32Kからはみ出し易くなって、比較例1の合成光SL1よりも蛍光Yの光利用効率が低下してしまう。したがって、合成光SLの形状を入射開口部32Kの形状に十分に対応させない場合(アスペクト比を1:1.2に設定した場合)、比較例1の合成光SL1に対して蛍光体負荷の低減および光利用効率の向上のいずれにおいても十分に改善することができない。
【0112】
このように本実施形態の光源装置11によれば、波長変換層23の蛍光体負荷を低減することで、波長変換層23における変形や破損を抑制することができる。これにより、波長変換層23の寿命を延ばすことができるので、照明光WLの明るさを長期に亘って維持する信頼性の高い光源装置を提供できる。
【0113】
また、本実施形態の光源装置11によれば、合成光SLの形状を偏光変換素子32の入射開口部32Kの形状に対応させることで偏光変換素子32を通過する蛍光Yの光量を増やすことができる。これにより、波長変換層23の蛍光体負荷を低減しつつ、蛍光Yの光利用効率の向上させる付加価値の高い光源装置11を提供できる。
本実施形態の照明装置2によれば、上記光源装置11を備えるので、蛍光Yを含む照明光WLの光利用効率を高めることで明るい照明光WLを生成することができる。
【0114】
本実施形態の光源装置11では、光合成部材14において、第3光束LS3の光路を第1光束LS1に近づけるように反射することで第1光束LS1および第3光束LS3の間隔を狭めることができる。また、第4光束LS4の光路を第2光束LS2に近づけるように反射することで第2光束LS2および第4光束LS4の間隔を狭めることができる。これにより、各光束LS1,LS2,LS3,LS4を合成して生成される合成光SLの光束幅を縮小できる。そのため、照明光WLの光路上に配置されるダイクロイックミラー19を小型化できる。これにより、ダイクロイックミラー19による光損失を低減することで光利用効率の高い照明装置2を提供できる。
【0115】
本実施形態のプロジェクター1によれば、照明光WLの光利用効率を高めた照明装置2を備えるので、光効率が高く、明るい画像を表示するプロジェクターを提供できる。
【0116】
(第二実施形態)
続いて、第二実施形態の照明装置について説明する。本実施形態の照明装置と第一実施形態の照明装置2との違いは光源装置の構成である。以下では、光源装置の構成を主に説明する。なお、第一実施形態と共通の部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0117】
図10は本実施形態の光源装置111の全体構成を+X側から-X側に向かって視た平面図である。
図10に示すように、本実施形態の光源装置111は、第1光源ユニット11Aと、第2光源ユニット11Bと、光合成部材114と、を備えている。本実施形態において、第1光源ユニット11Aは、第2光源ユニット11Bに対して-Z側に配置されている。
【0118】
光合成部材114は、第1光源ユニット11Aから射出された第1光束LS1および第3光束LS3と、第2光源ユニット11Bから射出された第2光束LS2および第4光束LS4と、を合成した合成光SL3を射出する。
本実施形態において、光合成部材114は、偏光合成素子170と、反射ミラー(第1反射部材)171と、反射ミラー(第2反射部材)172と、反射ミラー(第3反射部材)173と、反射ミラー(第4反射部材)174と、位相差素子175と、を含む。
【0119】
本実施形態において、第1光源部51および第3光源部53はX軸方向(第1方向)に並んで配置された発光素子41,341を有し、第2光源部52および第4光源部54はX軸方向(第2方向)に並んで配置された発光素子241,441を有する。すなわち、本実施形態において、第2光源部52における複数の発光素子241の配列方向であるX軸方向(第2方向)と、第1光源部51および第3光源部53における複数の発光素子41,341の配列方向であるX軸方向(第1方向)とは平行である。
【0120】
第1光源部51から射出される第1光束LS1および第3光源部53から射出される第3光束LS3は、偏光合成素子170に対するS偏光の光である。
反射ミラー171は、第3光源部53から射出される第3光束LS3をZ軸方向に反射する。具体的に第3光束LS3は反射ミラー171により反射ミラー172に向けて反射される。反射ミラー172は、反射ミラー171で反射された第3光束LS3を、第1光源部51から射出される第1光束LS1の射出方向であるY軸方向に向けて反射する。反射ミラー171,172は、例えば、金属膜や誘電体多層膜からなる膜を設けた板状部材で構成される。
【0121】
第1光源部51から射出された第1光束LS1および反射ミラー171で反射された第3光束LS3は位相差素子175に入射する。位相差素子175は、第1光束LS1における偏光合成素子170に入射するまでの光路上に配置される。
位相差素子175は、1/2波長板から構成される。第1光束LS1および第3光束LS3は、位相差素子175を透過することで、偏光方向が90度回転し、偏光合成素子170に対するP偏光の第1光束LS11および第3光束LS33に変換される。
【0122】
本実施形態の光源装置111において、反射ミラー171、172は、第1光束LS1および第3光束LS3の間隔が、反射ミラー171、172への入射前の間隔よりも入射後の間隔の方が狭くなるように、配置されている。
【0123】
第1光束LS1および第3光束LS3は、Z軸方向において互いの間隔が狭められた状態で偏光合成素子170に入射する。偏光合成素子170は、青色光に対する偏光分離機能を有する光学素子から構成されている。本実施形態において、第1光束LS11および第3光束LS33は、偏光合成素子170に対してP偏光として入射する。そのため、第1光束LS11および第3光束LS33は偏光合成素子170を透過し、Y軸方向に射出される。
【0124】
続いて、第2光源ユニット11Bから射出される第2光束LS2および第4光束LS4の光路について説明する。
本実施形態において、第2光源部52から射出される第2光束LS2および第4光源部54から射出される第4光束LS4は、偏光合成素子170に対するS偏光の光である。
反射ミラー173は、第2光源部52から射出される第2光束LS2をZ軸方向に反射する。反射ミラー174は、第4光源部54から射出される第4光束LS4をZ軸方向に反射する。具体的に第2光束LS2は反射ミラー173により偏光合成素子170に向けて反射され、第4光束LS4は反射ミラー174により偏光合成素子170に向けて反射される。反射ミラー173,174は、例えば、金属膜や誘電体多層膜からなる膜を設けた板状部材で構成される。
【0125】
本実施形態において、第2光束LS2および第4光束LS4は、偏光合成素子170に対してS偏光として入射する。そのため、第2光束LS2および第4光束LS4は偏光合成素子170で反射され、Y軸方向に射出される。
【0126】
本実施形態の光源装置111において、反射ミラー173,174は、第2光束LS2および第4光束LS4の間隔が、反射ミラー173,174への入射前の間隔よりも入射後の間隔の方が狭くなるように、配置されている。
【0127】
このようにして偏光合成素子170は、第1光束LS1、第2光束LS2、第3光束LS3および第4光束LS4を合成して合成光SL3を生成する。
【0128】
図11は偏光合成素子170で合成される合成光SL3を概念的に示した図である。
図11は+Y側から-Y側に向かう方向に合成光SL3を平面視した図である。
図11に示すように、第1光束LS1を構成する4本の各光線L1はX軸方向(第1方向)に沿って配置され、第3光束LS3を構成する4本の各光線L3はX軸方向に沿って配置される。各光線L1および各光線L3の主光線に垂直な断面の形状は楕円であるが、各光線L1および各光線L3において、楕円の長軸方向はZ軸方向に一致している。
【0129】
また、第2光束LS2を構成する4本の各光線L2はX軸方向(第2方向)に沿って配置され、第4光束LS4を構成する4本の各光線L4はX軸方向に沿って配置される。各光線L2および各光線L4の主光線に垂直な断面の形状は楕円であるが、各光線L2および各光線L4において、楕円の長軸方向はZ軸方向に一致している。
【0130】
本実施形態の合成光SL3において、光束LS1,LS2,LS3,LS4の各光線L1,L2,L3,L4は、各々の長軸方向をZ軸方向に沿わせるように配置されている。第2光束LS2および第4光束LS4の各光線L2,L4はZ軸方向に沿って一列に配置され、第1光束LS1および第3光束LS3の各光線L1,L3はZ軸方向に沿って一列に配置される。
【0131】
本実施形態の合成光SL3では、第2光束LS2および第4光束LS4は、X軸方向において、第1光束LS1および第3光束LS3よりも+X側に位置している。また、第2光束LS2および第4光束LS4は、Z軸方向において、第1光束LS1および第3光束LS3の間に位置している。
【0132】
第2光束LS2の各光線L2は、Z軸方向において、第1光束LS1の各光線L1の間に入り込むように配置されている。第2光束LS2の各光線L2と第1光束LS1の各光線L1とは、互いに重なり合うことなく、千鳥状に配置されている。また、第4光束LS4の各光線L4は、Z軸方向において、第3光束LS3の各光線L3の間に入り込むように配置されている。第4光束LS4の各光線L4と第3光束LS3の各光線L3とは、互いに重なり合うことなく、千鳥状に配置されている。
【0133】
このようにして本実施形態の光源装置111では、合成光SL3の外形の大型化を抑制しつつ、合成光SL3を構成する各光束LS1,LS2,LS3,LS4同士の間隔を第一実施形態の合成光SLよりも拡げている。
【0134】
図12は、本実施形態における合成光SL3の合成光強度分布を示した図である。
図12には、波長変換層23の上面23aにおける合成光SL3の照度分布を示した。また、合成光SL3におけるY軸方向およびZ軸方向における照度変化を示した。
図12に示すように、合成光SL3は、各光束LS1,LS2,LS3,LS4の光強度分布を合成した合成光強度分布ID2を有する。合成光SL3の合成光強度分布ID2において、各光束LS1,LS2,LS3,LS4の各高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4が互いに重ならない。本実施形態の合成光SL3は入射開口部32Kに対応する形状を有している。本実施形態の合成光SL3のアスペクト比は1:1.3である。
【0135】
図13は、本実施形態の合成光SL3を波長変換素子15に照射した場合における効果を示す図である。
図13には説明の都合上、
図9に示した各合成光SL,SL1,SL2に対応する各プロットを合わせて示した。なお、
図13では、第一実施形態の合成光SLを「実施例1」、第二実施形態の合成光SL3を「実施例2」、後述する変形例の合成光SL4を「実施例3」として示した。具体的に
図13では、各合成光SL,SL1,SL2,SL3,SL4を照射した際に波長変換層23にかかる蛍光体負荷と、各合成光SL,SL1,SL2,SL3,SL4を照射することで波長変換層23から射出される蛍光Yの光利用効率と、を示した。
【0136】
本実施形態の光源装置111は、
図10に示される反射ミラー174、175とともに、第2光源ユニット11Bを構成する第2光源部52および第4光源部54の位置を調整することで、各高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4が互いに重ならない合成光SL3を生成することができる。
【0137】
本実施形態の光源装置111によれば、合成光強度分布ID2において各光束LS1,LS2,LS3,LS4の高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4が互いに重ならないため、合成光SL3の合成光強度分布ID2の均一性を高めることができる。
また、本実施形態の光源装置111では、合成光SL3の外形の大型化を抑制しつつ、合成光SL3を構成する各光線L1,L2,L3,L4の間隔を第一実施形態の合成光SLよりも拡げている。
【0138】
このように本実施形態の合成光SL3は、各光線L1,L2,L3,L4の間隔を第一実施形態の合成光SLよりも拡げることで、拡散素子17を透過した後、各光線L1,L2,L3,L4の光束径が拡がった場合でも、各高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4が波長変換層23上で重なり合うことが抑制される。本実施形態の合成光SL3は、第一実施形態の合成光SLに比べて、光強度分布の均一性がより高められる。
よって、本実施形態の合成光SL3は、
図13に示されるように、第一実施形態の合成光SLに比べて、波長変換層23に対する蛍光体負荷を大きく低減できることが確認できた。
【0139】
また、本実施形態の光源装置111では、合成光SL3の形状を偏光変換素子32の入射開口部32Kに対応させることで偏光変換素子32を通過する蛍光Yの光量を増やすことができる。本実施形態の合成光SL3は、
図13に示されるように、第一実施形態の合成光SLと同等の光利用効率を得ることができる。したがって、本実施形態の光源装置111を用いた照明装置においても波長変換層23の蛍光体負荷を低減しつつ、蛍光Yの光利用効率の向上することができる。
【0140】
なお、本実施形態の光源装置111において、合成光SL3よりも光束LS1,LS2,LS3,LS4の各光線L1,L2,L3,L4の間隔をさらに拡げるように配置してもよい。
図14は、各光線の間隔をさらに拡げた場合の合成光SL4の合成光強度分布を示した図である。
図14には、波長変換層23の上面23aにおける合成光SL4の照度分布を示した。また、合成光SL4におけるY軸方向およびZ軸方向における照度変化を示した。
図14に示すように、合成光SL4は、各光束LS1,LS2,LS3,LS4の光強度分布を合成した合成光強度分布ID3を有する。合成光SL4の合成光強度分布ID3において、各光束LS1,LS2,LS3,LS4の各高強度領域SA1,SA2,SA3,SA4が互いに重ならない。
【0141】
合成光SL4において、第1光束LS1はZ軸方向において第2光束LS2および第4光束LS4の間に配置されている。合成光SL4において、第2光束LS2、第1光束LS1、第4光束LS4および第3光束LS3は、+Z側から-Z側に向かって、順に配置されている。合成光SL4における第2光束LS2の各光線L2と第1光束LS1の各光線L1とのZ軸方向の間隔は、合成光SL3における第1光束LS1の各光線L1と第2光束LS2の各光線L2とのZ軸方向の間隔よりも拡がっている。また、合成光SL4における第4光束LS4の各光線L4と第3光束LS3の各光線L3とのZ軸方向の間隔は、合成光SL3における第4光束LS4の各光線L4と第3光束LS3の各光線L3とのZ軸方向の間隔よりも拡がっている。なお、合成光SL4のアスペクト比は、入射開口部32Kのアスペクト比(1:1.3)から僅かに外れている。
【0142】
合成光SL4によれば、各光線L1,L2,L3,L4の間隔を拡げることで、合成光SL3に比べて波長変換層23上における照度分布の均一性がより高まるので、波長変換層23に対する負荷をより低減することができる。つまり、合成光SL4によれば、
図13の実施例4に相当するプロットで示されるように、合成光SL3よりも波長変換層23に対する負荷低減の効果をより高めることが確認できる。
【0143】
一方、合成光SL4のアスペクト比は上述のように入射開口部32Kのアスペクト比(1:1.3)から外れるため、合成光SL4は合成光SL3に比べて
図13の実施例4に相当するプロットで示されるように、蛍光Yの光利用効率が低くなる。
【0144】
合成光SL4は、合成光SL3に比べて、波長変換層23に対する負荷が小さい。つまり、合成光SL4は、合成光SL3に比べて、波長変換層23により多くの光量を入射させた場合に同等の負荷を与えることになる。そのため、合成光SL4の光量を増やすことで波長変換層23からの蛍光Yの発光量を増やすことで、光利用効率の低下分を補うことも可能である。したがって、合成光SL4を用いる場合においても、合成光SL4の光量を増やすことで、合成光SL3と同等の蛍光体負荷の低減効果および蛍光Yの光利用効率の向上効果を得ることも可能である。
【0145】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
その他、光源装置を構成する各種構成要素の数、配置、形状および材料等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0146】
例えば、第一実施形態の光源装置11において、第1光源ユニット11Aおよび第2光源ユニット11Bの位置を入れ替えてもよい。この場合、第1光源ユニット11Aは偏光合成素子140に対するP偏光を射出し、第2光源ユニット11Bは偏光合成素子140に対するS偏光を射出すればよい。第1光源ユニット11Aにおいて、第1光源部51と第3光源部53との位置を入れ替えてもよい。第2光源ユニット11Bにおいて、第2光源部52と第4光源部54との位置を入れ替えてもよい。
【0147】
また、第二実施形態の光源装置111において、第1光源ユニット11Aおよび第2光源ユニット11Bの位置を入れ替えてもよい。また、第1光源ユニット11Aにおいて、第1光源部51と第3光源部53との位置を入れ替えてもよい。第2光源ユニット11Bにおいて、第2光源部52と第4光源部54との位置を入れ替えてもよい。
【0148】
また、上記実施形態では、4つの光源部51,52,53,54から射出した4本の光束LS1,LS2,LS3,LS4を合成して合成光SL,SL3を生成する場合を説明したが、本発明はこれに限られない。
【0149】
(第1変形例)
本変形例において、光源装置は、第1光源部51および第2光源部52のみで構成されている。
図15Aは、本変形例の光源装置から射出される合成光SL5を概念的に示した図である。
図15Aに示すように、第1光束LS1を構成する4本の各光線L1はZ軸方向に沿って配置され、第2光束LS2を構成する4本の各光線L2はZ軸方向に沿って配置される。すなわち、第1光束LS1および第2光束LS2の各光線L1,L2の配列方向は同じである。各光線L1,L2において楕円の短軸方向はZ軸方向に一致する。
【0150】
合成光SL5は、第1光束LS1の高強度領域SA1と第2光束LS2の高強度領域SA2とが互いに重ならない。
第1光束LS1および第2光束LS2はZ軸方向における互いの位置がずれた状態で配置される。第1光束LS1および第2光束LS2はX軸方向において互いの一部同士が重なるように配置される。本実施形態の場合、第2光束LS2の光線L2の一部は、X軸方向において、第1光束LS1の隣り合う光線L1の間に入り込むように、配置されている。
【0151】
本変形例の合成光SL5においても、高強度領域SA1,SA2が重ならないため、波長変換層23の負荷を低減することができる。また、合成光SL5の形状を入射開口部32Kの形状に近づけることで照明光WLの光利用効率を向上させることができる。よって、本変形例の合成光SL5を射出する光源装置は、波長変換層23の蛍光体負荷を低減しつつ、蛍光Yの光利用効率の向上させる付加価値の高いものとなる。
【0152】
なお、
図15Aの合成光SL5では、第1光束LS1および第2光束LS2の各光線L1,L2の配列方向が同じ場合を例に挙げたが、各光線L1,L2の配列方向が直交する第1光束LS1および第2光束LS2を合成してもよい。
【0153】
(第2変形例)
本変形例において、第1光束LS1および第2光束LS2において、各光線L1,L2の配列方向が直交している。
図15Bは、本変形例の光源装置から射出される合成光SL6を概念的に示した図である。
図15Bに示すように、第1光束LS1を構成する4本の各光線L1はZ軸方向に沿って配置され、第2光束LS2を構成する4本の各光線L2はX軸方向に沿って配置される。すなわち、第1光束LS1および第2光束LS2の各光線L1,L2の配列方向は直交する。光線L1において楕円の短軸方向はZ軸方向に一致し、光線L2において楕円の短軸方向はX軸方向に一致する。
【0154】
本変形例の合成光SL6は、第1光束LS1および第2光束LS2が十字状に交差するように配置されることで、Z軸方向に長手となる矩形形状を有する。第1光束LS1および第2光束LS2のうち互いに重なる光線L1,L2同士は、各々の中央部同士が重ならないように配置されている。すなわち、各光線L1,L2は、各々の光強度が最も高い領域が重ならないように配置されている。
【0155】
つまり、本変形例の合成光SL6は、第1光束LS1の高強度領域SA1と第2光束LS2の高強度領域SA2とが互いに重ならない。
本変形例の合成光SL6においても、高強度領域SA1,SA2が重ならないため、波長変換層23の負荷を低減することができる。また、合成光SL6の形状を入射開口部32Kの形状に近づけることで照明光WLの光利用効率を向上させることができる。よって、本変形例の合成光SL6を射出する光源装置は、波長変換層23の蛍光体負荷を低減しつつ、蛍光Yの光利用効率の向上させる付加価値の高いものとなる。
【0156】
(第3変形例)
本変形例において、光源装置は、第1光源部51、第2光源部52および第3光源部53で構成されている。
図15Cは、本変形例の光源装置から射出される合成光SL7を概念的に示した図である。
図15Cに示すように、第1光束LS1を構成する4本の各光線L1はZ軸方向に沿って配置され、第2光束LS2を構成する4本の各光線L2はZ軸方向に沿って配置される。すなわち、第1光束LS1および第2光束LS2の各光線L1,L2の配列方向は同じである。各光線L1,L2において楕円の短軸方向はZ軸方向に一致する。
第3光束LS3を構成する4本の各光線L3はX軸方向に沿って配置される。光線L3において楕円の短軸方向はX軸方向に一致する。
第1光束LS1および第2光束LS2の各光線L1,L2の配列方向と第3光束LS3の各光線L3の配列方向とは直交する。
【0157】
本変形例の合成光SL7は、第1光束LS1および第2光束LS2と第3光束LS3とが十字状に交差するように配置されることで、Z軸方向に長手となる矩形形状を有する。第1光束LS1、第2光束LS2および第3光束LS3のうち互いに重なる光線L1,L2,L3同士は、各々の中央部同士が重ならないように配置されている。すなわち、各光線L1,L2,L3は、各々の光強度が最も高い領域が重ならないように配置されている。
【0158】
つまり、本変形例の合成光SL7は、第1光束LS1の高強度領域SA1と第2光束LS2の高強度領域SA2と第3光束LS3の高強度領域SA3とが互いに重ならない。
本変形例の合成光SL7においても、高強度領域SA1,SA2,SA3が重ならないため、波長変換層23の負荷を低減することができる。また、合成光SL7の形状を入射開口部32Kの形状に近づけることで照明光WLの光利用効率を向上させることができる。よって、本変形例の合成光SL7を射出する光源装置は、波長変換層23の蛍光体負荷を低減しつつ、蛍光Yの光利用効率の向上させる付加価値の高いものとなる。
【0159】
本発明の態様の光源装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一態様の光源装置は、第1方向に沿って一列に配置された複数の第1発光素子を有し、第1光束を射出する第1光源部と、第2方向に沿って一列に配置された複数の第2発光素子を有し、第1光束の射出方向に第2光束を射出する第2光源部と、第1光束および第2光束を合成した合成光を照射領域へ射出する光合成部材と、を備え、合成光は、第1光束のうち最も大きい光強度を有する第1領域と、第2光束のうち最も大きい光強度を有する第2領域と、が互いに重ならない合成光強度分布を有する。
【0160】
上記態様の光源装置において、第1光源部に対して第1方向と交差する方向に配置され、第1方向に沿って一列に配置された複数の第3発光素子を有し、第1光の射出方向に第3光束を射出する第3光源部をさらに備え、光合成部材は、第3光束と第1光束および第2光束とを合成して合成光を生成し、合成光の合成光強度分布において、第3光束のうち最も大きい光強度を有する第3領域は、第1領域および第2領域に重ならない、構成としてもよい。
【0161】
上記態様の光源装置において、第1方向と第2方向とは交差し、光合成部材は、第1光束および第3光束の一方を第1方向に交差する方向に反射する第1反射部材と、第1反射部材で反射された第1光束および第3光束の一方を第3光源部における第3光束の射出方向に反射する第2反射部材と、第2反射部材で反射された第1光束および第3光束の一方と、第1光束および第3光束の他方と、を反射する第3反射部材と、第3反射部材で反射された第1光束および第3光束と、第2光源部からの第2光束と、を合成する合成素子と、を含む、構成としてもよい。
【0162】
上記態様の光源装置において、第2光源部に対して第2方向と交差する方向に配置され、第2方向に沿って一列に配置された複数の第4発光素子を有し、第2光の射出方向に第4光束を射出する第4光源部をさらに備え、光合成部材は、第4光束と、第1光束と第2光束と第3光束と、を合成して合成光を生成し、合成光の合成光強度分布において、第4光束のうち最も大きい光強度を有する第4領域は、第1領域、第2領域および第3領域に重ならない、構成としてもよい。
【0163】
上記態様の光源装置において、光合成部材は、第2光束および第4光束の一方を、2光源部および第4光源部が並ぶ方向に反射する第4反射部材と、第4反射部材で反射された第2光束および第4光束の一方を、第2光束および第4光束の他方の進行方向に反射する第5反射部材と、を含み、合成素子は、第3反射部材で反射された第1光束および第3光束と、第5反射部材で反射された第2光束および第4光束と、を合成する、構成としてもよい。
【0164】
上記態様の光源装置において、光合成部材において、第1反射部材および第2反射部材は、第1光束および第3光束の間隔が、第1反射部材および第2反射部材への入射前よりも入射後の方が狭くなるように、第1光束または第3光束を反射し、第4反射部材および第5反射部材は、第2光束および第4光束の間隔が、第4反射部材および第5反射部材への入射前よりも入射後の方が狭くなるように、第2光束または第4光束を反射する、構成としてもよい。
【0165】
上記態様の光源装置において、光合成部材は、第1光束および第2光束の一方を反射し、第1光束および第2光束の他方を透過する偏光合成素子を含み、偏光合成素子に対して、第1光束および第2光束の一方は第1偏光方向に偏光した光であり、第1光束および第2光束の他方は第1偏光方向とは異なる第2偏光方向に偏光した光である、構成としてもよい。
【0166】
上記態様の光源装置において、第1方向と第2方向とは平行であり、光合成部材は、第1光束および第3光束の一方を第1方向に交差する方向に反射する第1反射部材と、第1反射部材で反射された第1光束および第3光束の一方を第1光束および第3光束の他方の進行方向に反射する第2反射部材と、第2反射部材で反射された第1光束および第3光束の一方と、第1光束および第3光束の他方と、を合成する合成素子と、を含む、構成としてもよい。
【0167】
上記態様の光源装置において、第2光源部に対して第2方向と交差する方向に配置され、第2方向に沿って一列に配置された複数の第4発光素子を有し、第2光の射出方向に第4光束を射出する第4光源部をさらに備え、光合成部材は、第4光束と、第1光束と第2光束と第3光束と、を合成して合成光を生成し、合成光の合成光強度分布において、第4光束のうち最も大きい光強度を有する第4領域は、第1領域、第2領域および第3領域に重ならない、構成としてもよい。
【0168】
上記態様の光源装置において、光合成部材は、第2光束を、2光源部および第4光源部が並ぶ方向に反射する第3反射部材と、第4光束を、2光源部および第4光源部が並ぶ方向に反射する第4反射部材と、を含み、合成素子は、第3反射部材で反射された第2光束と、第4反射部材で反射された第4光束と、第1光束および第3光束と、を合成して合成光を生成する、構成としてもよい。
【0169】
上記態様の光源装置において、光合成部材において、第1反射部材および第2反射部材は、第1光束および第3光束の間隔が、第1反射部材および第2反射部材への入射前よりも入射後の方が狭くなるように、第1光束および第3光束を反射し、第3反射部材および第4反射部材は、第2光束および第4光束の間隔が、第3反射部材および第4反射部材への入射前よりも入射後の方が狭くなるように、第2光束および第4光束を反射する、構成としてもよい。
【0170】
上記態様の光源装置において、合成部材は、第1光束および第2光束の一方を反射し、第1光束および第2光束の他方を透過する偏光合成素子と、第1光束および第2光束の一方における偏光合成素子に入射するまでの光路上に配置される位相差素子と、を含む、構成としてもよい。
【0171】
本発明の態様の照明装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一態様の照明装置は、上記態様の光源装置と、前記光源装置における前記照射領域に配置され、前記合成光を波長変換する波長変換素子と、前記光源装置から射出された前記合成光を前記波長変換素子に向けて反射する反射部材と、をさらに備え、前記反射部材は、前記波長変換素子から射出される光の光路上に配置されている。
【0172】
上記態様の照明装置において、前記反射部材の前記波長変換素子と反対側に設けられ、前記波長変換素子から射出された光が入射する光学素子をさらに備え、前記光学素子は、前記波長変換素子から射出された光が通過する入射開口部を含み、前記合成光は、前記入射開口部に対応した形状を有する、構成としてもよい。
【0173】
上記態様の照明装置において、前記光源装置と前記反射部材との間に設けられ、前記光源装置から射出された前記合成光が入射する拡散素子をさらに備える、構成としてもよい。
【0174】
本発明の態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一態様のプロジェクターは、上記態様の照明装置と、前記照明装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【符号の説明】
【0175】
1…プロジェクター、2…照明装置、4B,4G,4R…光変調装置、11,111…光源装置、14,114…光合成部材、15…波長変換素子、17…拡散素子、19…ダイクロイックミラー(反射部材)、32…偏光変換素子(光学素子)、32K…入射開口部、41…発光素子(第1発光素子)、51…光源部、51…第1光源部、52…第2光源部、53…第3光源部、54…第4光源部、140…偏光合成素子(合成素子)、141,171…反射ミラー(第1反射部材)、142,172…反射ミラー(第2反射部材)、143,173…反射ミラー(第3反射部材)、144,174…反射ミラー(第4反射部材)、145…反射ミラー(第5反射部材)、170…偏光合成素子、175…位相差素子、241…発光素子(第2発光素子)、341…発光素子(第3発光素子)、441…発光素子、ID,ID2,ID3…合成光強度分布、LS,LS2…第2光束、LS1,LS2…光束、LS1,LS11…第1光束、LS3,LS33…第3光束、LS4…第4光束、SA1…高強度領域(第1領域)、SA2…高強度領域(第2領域)、SA3…高強度領域(第3領域)、SA4…高強度領域(第4領域)、SL,SL1,SL2,SL3,SL4,SL5,SL6,SL7…合成光。