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特許7405128良好な焼き色がつき得る食品及び焼き色の改善方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】良好な焼き色がつき得る食品及び焼き色の改善方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/10 20160101AFI20231219BHJP
   A23L 35/00 20160101ALI20231219BHJP
【FI】
A23L5/10 Z
A23L35/00
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021203655
(22)【出願日】2021-12-15
(65)【公開番号】P2023088738
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2023-06-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(72)【発明者】
【氏名】平山(服部) 亜佑美
(72)【発明者】
【氏名】平江 彰伍
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 由衣
(72)【発明者】
【氏名】清水 義之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 春佳
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-024345(JP,A)
【文献】特開2007-319160(JP,A)
【文献】特開平11-103790(JP,A)
【文献】特開2010-004797(JP,A)
【文献】特開2020-103067(JP,A)
【文献】特開2001-169759(JP,A)
【文献】特開2000-270796(JP,A)
【文献】特開平11-046709(JP,A)
【文献】特開2020-174610(JP,A)
【文献】登録実用新案第3150087(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含む食品であって、
前記外皮が、(A)焼き色をつけられる予定の部分(以下、「部分A」という)を含
前記部分Aが、グルコースを含有し、
前記部分Aに、還元糖を含有する(B)常温で液状の組成物(以下、「組成物B」という)が付着している、食品。
【請求項2】
前記部分Aがアミノ酸又はその塩を更に含有し、かつ/又は、前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を更に含有する、請求項1記載の食品。
【請求項3】
前記部分Aが、穀物粉及びデンプンからなる群より選択される少なくとも一つを更に含有する、請求項1又は2記載の食品。
【請求項4】
前記食品が、餃子、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子又はラビオリである、請求項1~3のいずれか一項に記載の食品。
【請求項5】
前記食品が、餃子である、請求項1~4のいずれか一項に記載の食品。
【請求項6】
前記部分Aにおけるグルコースの含有量が、前記部分Aに対して0.05~20重量%であり、
前記組成物Bにおける還元糖の含有量が、前記組成物Bに対して0.03~20重量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の食品。
【請求項7】
前記部分Aに付着している前記組成物Bの量が、前記組成物Bが付着した部分の面積に対して0.01~1g/cmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の食品。
【請求項8】
前記食品及び前記組成物Bが凍結している、請求項1~7のいずれか一項に記載の食品。
【請求項9】
前記部分Aに焼き色をつけるための加熱処理が、乾式加熱を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の食品。
【請求項10】
中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含み、当該外皮が(A)焼き色をつけられる予定の部分(以下、「部分A」という)を含む食品に加熱処理を施すことを含む、焼き色がついた食品の製造方法であって、
前記加熱処理を施す前の食品の前記部分Aに、グルコースを含有させること、並びに
前記加熱処理を施す前の食品の前記部分Aに、還元糖を含有する(B)常温で液状の組成物(以下、「組成物B」という)を付着させることを含む、製造方法。
【請求項11】
前記加熱処理を施す前の食品の前記部分Aにアミノ酸又はその塩を含有させることを更に含み、かつ/又は、前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を更に含有する、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
前記部分Aが、穀物粉及びデンプンからなる群より選択される少なくとも一つを含有する、請求項10又は11記載の製造方法。
【請求項13】
前記食品が、餃子、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子又はラビオリである、請求項10~12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記食品が、餃子である、請求項10~13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記部分Aにおけるグルコースの含有量が、前記部分Aに対して0.05~20重量%となるように前記部分Aにグルコースを含有させ、
前記組成物Bにおける還元糖の含有量が、前記組成物Bに対して0.03~20重量%である、請求項10~14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記部分Aに付着させる前記組成物Bの量が、前記組成物Bが付着した部分の面積に対して0.01~1g/cmである、請求項10~15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記加熱処理を施した後の食品を凍結することを含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記加熱処理が、乾式加熱を含む、請求項10~17のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含み、当該外皮が(A)焼き色をつけられる予定の部分(以下、「部分A」という)を含む食品の前記部分Aに、グルコースを含有させること、並びに
前記部分Aに、還元糖を含有する(B)常温で液状の組成物(以下、「組成物B」という)を付着させること
を含む、前記食品の焼き色の改善方法。
【請求項20】
前記部分Aにアミノ酸又はその塩を含有させることを更に含み、かつ/又は、前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を更に含有する、請求項19記載の改善方法。
【請求項21】
中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含み、当該外皮が(A)焼き色をつけられる予定の部分(以下、「部分A」という)を含む食品、及び、前記部分Aに付着させるための(B)常温で液状の組成物(以下、「組成物B」という)が少なくとも組み合わせられている、焼き色がついた食品用の食品セットであって、
前記部分Aが、グルコースを含有し、かつ、
前記組成物Bが、還元糖を含有する、食品セット。
【請求項22】
前記部分Aがアミノ酸又はその塩を更に含有し、かつ/又は、前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を更に含有する、請求項21記載の食品セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短時間の加熱処理でも良好な焼き色がつき得る食品に関する。また、本発明は、良好な焼き色がついた食品の製造方法及び焼き色の改善方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
食品の外観は商品価値を決定づける重要な要素の一つであり、例えば、消費者に人気の高い惣菜の一つである焼き餃子は、その底面等に良好な焼き色がついたものが外観的に好ましい。焼き色の食品への付与は、例えば、食品を長時間加熱すること等によって行い得るが、長時間加熱されると風味が損なわれる等の理由で、長時間の加熱処理に適さない食品は少なくない。また、長時間の加熱処理が可能な食品であっても、加熱時間が長くなるほど生産効率が低下するため、短時間の加熱処理で良好な焼き色をつけることが求められる。
【0003】
食品に良好な焼き色をつけるという課題に対して、従来、アミノ酸、還元糖、タンパク質及び水を含む組成物を、電子レンジ調理用食品の表面に付着させること(特許文献1)、乳化油脂及び還元糖もしくはアミノ酸、あるいは乳化油脂、還元糖及びアミノ酸を、電子レンジ調理用食品の表面に付着させること(特許文献2)、餃子等の皮の原料に糖及び/又はα化デンプンを添加してフライ処理すること(特許文献3)等が提案されている。しかし、これらの特許文献では、焼き色の均一さについて検討されてなく、均一に良好な焼き色をつけるという点等で不十分であった。
【0004】
一方、餃子の皮にトレハロースを添加すること(特許文献4、5)、餃子のコーティング材にキシロースを添加すること(特許文献6)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-103790号公報
【文献】特開平8-131092号公報
【文献】特開2001-169759号公報
【文献】国際公開第2020/036226号
【文献】特開2004-141026号公報
【文献】特開2007-319160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、短時間の加熱処理でも良好な焼き色がつき得る食品、良好な焼き色がついた食品及びその製造方法、並びに焼き色の改善方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、食品の焼き色をつけられる予定の部分に、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させ、かつ、この焼き色をつけられる予定の部分に、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する、常温で液状の組成物を付着させることによって、当該食品は短時間の加熱処理でも良好な焼き色がつくことを見出し、更に研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0008】
[1](A)焼き色をつけられる予定の部分(以下、「部分A」という)を含む食品であって、
前記部分Aが、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有し、
前記部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する(B)常温で液状の組成物(以下、「組成物B」という)が付着している、食品。
[2]前記部分Aが、穀物粉及びデンプンからなる群より選択される少なくとも一つを更に含有する、[1]記載の食品。
[3]前記食品が、中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含み、
当該外皮に前記部分Aが含まれる、[1]又は[2]記載の食品。
[4]中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含む食品であって、
前記外皮が、(A)焼き色をつけられる予定の部分(以下、「部分A」という)を含み、
前記部分Aが、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有し、
前記部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する(B)常温で液状の組成物(以下、「組成物B」という)が付着している、食品。
[5]前記部分Aが、穀物粉及びデンプンからなる群より選択される少なくとも一つを更に含有する、[4]記載の食品。
[6]前記食品が、餃子、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子又はラビオリである、[1]~[5]のいずれか一つに記載の食品。
[7]前記食品が、餃子である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の食品。
[8]前記部分Aが還元糖を含有する場合、当該還元糖の含有量が、前記部分Aに対して0.05~20重量%であり、
前記部分Aがアミノ酸又はその塩を含有する場合、当該アミノ酸又はその塩の含有量が、前記部分Aに対して0.1~10重量%であり、
前記組成物Bが還元糖を含有する場合、当該還元糖の含有量が、前記組成物Bに対して0.03~20重量%であり、
前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を含有する場合、当該アミノ酸又はその塩の含有量が、前記組成物Bに対して0.03~20重量%である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の食品。
[9]前記部分Aが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖が単糖を含む、[1]~[8]のいずれか一つに記載の食品。
[10]前記部分Aが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖がグルコース及びキシロースからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[1]~[8]のいずれか一つに記載の食品。
[11]前記部分Aがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩が脂肪族アミノ酸又はその塩を含む、[1]~[10]のいずれか一つに記載の食品。
[12]前記部分Aがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩がグリシン、アラニン及びグルタミン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[1]~[10]のいずれか一つに記載の食品。
[13]前記組成物Bが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖が単糖を含む、[1]~[12]のいずれか一つに記載の食品。
[14]前記組成物Bが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖がグルコース及びキシロースからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[1]~[12]のいずれか一つに記載の食品。
[15]前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩が脂肪族アミノ酸又はその塩を含む、[1]~[14]のいずれか一つに記載の食品。
[16]前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩がグリシン、アラニン及びグルタミン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[1]~[14]のいずれか一つに記載の食品。
[17]前記部分Aに付着している前記組成物Bの量が、前記組成物Bが付着した部分の面積に対して0.01~1g/cmである、[1]~[16]のいずれか一つに記載の食品。
[18]前記食品及び前記組成物Bが凍結している、[1]~[17]のいずれか一つに記載の食品。
[19]前記部分Aに焼き色をつけるための加熱処理が、乾式加熱を含む、[1]~[18]のいずれか一つに記載の食品。
[20][1]~[19]のいずれか一つに記載の食品に加熱処理を施すことを含む、焼き色がついた食品の製造方法。
[21]前記加熱処理が、乾式加熱を含む、[20]記載の製造方法。
[22](A)焼き色をつけられる予定の部分(以下、「部分A」という)を含む食品に加熱処理を施すことを含む、焼き色がついた食品の製造方法であって、
前記加熱処理を施す前の食品の前記部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させること、並びに
前記加熱処理を施す前の食品の前記部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する(B)常温で液状の組成物(以下、「組成物B」という)を付着させることを含む、製造方法。
[23]前記部分Aが、穀物粉及びデンプンからなる群より選択される少なくとも一つを含有する、[22]記載の製造方法。
[24]前記食品が、中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含み、
当該外皮に前記部分Aが含まれる、[22]又は[23]記載の製造方法。
[25]中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含み、当該外皮が、(A)焼き色をつけられる予定の部分(以下、「部分A」という)を含む食品に加熱処理を施すことを含む、焼き色がついた食品の製造方法であって、
前記加熱処理を施す前の食品の前記部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させること、並びに
前記加熱処理を施す前の食品の前記部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する(B)常温で液状の組成物(以下、「組成物B」という)を付着させることを含む、製造方法。
[26]前記部分Aが、穀物粉及びデンプンからなる群より選択される少なくとも一つを更に含有する、[25]記載の製造方法。
[27]前記食品が、餃子、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子又はラビオリである、[22]~[26]のいずれか一つに記載の製造方法。
[28]前記食品が、餃子である、[22]~[27]のいずれか一つに記載の製造方法。
[29]前記部分Aに還元糖を含有させる場合、当該還元糖の含有量が、前記部分Aに対して0.05~20重量%となるように行われ、
前記部分Aにアミノ酸又はその塩を含有させる場合、当該アミノ酸又はその塩の含有量が、前記部分Aに対して0.1~10重量%となるように行われ、
前記組成物Bが還元糖を含有する場合、当該還元糖の含有量が、前記組成物Bに対して0.03~20重量%であり、
前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を含有する場合、当該アミノ酸又はその塩の含有量が、前記組成物Bに対して0.03~20重量%である、[22]~[28]のいずれか一つに記載の製造方法。
[30]前記部分Aに少なくとも還元糖を含有させることを含み、当該還元糖が単糖を含む、[22]~[29]のいずれか一つに記載の製造方法。
[31]前記部分Aに少なくとも還元糖を含有させることを含み、当該還元糖がグルコース及びキシロースからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[22]~[29]のいずれか一つに記載の製造方法。
[32]前記部分Aに少なくともアミノ酸又はその塩を少なくとも含有させることを含み、当該アミノ酸又はその塩が脂肪族アミノ酸又はその塩を含む、[22]~[31]のいずれか一つに記載の製造方法。
[33]前記部分Aに少なくともアミノ酸又はその塩を少なくとも含有させることを含み、当該アミノ酸又はその塩がグリシン、アラニン及びグルタミン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[22]~[31]のいずれか一つに記載の製造方法。
[34]前記組成物Bが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖が単糖を含む、[22]~[33]のいずれか一つに記載の製造方法。
[35]前記組成物Bが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖がグルコース及びキシロースからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[22]~[33]のいずれか一つに記載の製造方法。
[36]前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩が脂肪族アミノ酸又はその塩を含む、[22]~[35]のいずれか一つに記載の製造方法。
[37]前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩がグリシン、アラニン及びグルタミン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[22]~[35]のいずれか一つに記載の製造方法。
[38]前記部分Aに付着させる前記組成物Bの量が、前記組成物Bが付着した部分の面積に対して0.01~1g/cmである、[22]~[37]のいずれか一つに記載の製造方法。
[39]前記加熱処理を施した後の食品を凍結することを含む、[22]~[38]のいずれか一つに記載の製造方法。
[40]前記加熱処理が、乾式加熱を含む、[22]~[39]のいずれか一つに記載の製造方法。
[41](A)焼き色をつけられる予定の部分(以下、「部分A」という)を含む食品の前記部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させること、並びに
前記部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する(B)常温で液状の組成物(以下、「組成物B」という)を付着させること
を含む、前記食品の焼き色の改善方法。
[42]前記部分Aが、穀物粉及びデンプンからなる群より選択される少なくとも一つを含有する、[41]記載の改善方法。
[43]前記食品が、中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含み、
当該外皮に前記部分Aが含まれる、[41]又は[42]記載の改善方法。
[44]前記食品が、餃子、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子又はラビオリである、[41]~[43]のいずれか一つに記載の改善方法。
[45]前記食品が、餃子である、[41]~[44]のいずれか一つに記載の改善方法。
[46]前記部分Aに還元糖を含有させる場合、当該還元糖の含有量が、前記部分Aに対して0.05~20重量%となるように行われ、
前記部分Aにアミノ酸又はその塩を含有させる場合、当該アミノ酸又はその塩の含有量が、前記部分Aに対して0.1~10重量%となるように行われ、
前記組成物Bが還元糖を含有する場合、当該還元糖の含有量が、前記組成物Bに対して0.03~20重量%であり、
前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を含有する場合、当該アミノ酸又はその塩の含有量が、前記組成物Bに対して0.03~20重量%である、[41]~[45]のいずれか一つに記載の改善方法。
[47]前記部分Aに少なくとも還元糖を含有させることを含み、当該還元糖が単糖を含む、[41]~[46]のいずれか一つに記載の改善方法。
[48]前記部分Aに少なくとも還元糖を含有させることを含み、当該還元糖がグルコース及びキシロースからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[41]~[46]のいずれか一つに記載の改善方法。
[49]前記部分Aに少なくともアミノ酸又はその塩を含有させることを含み、当該アミノ酸又はその塩が脂肪族アミノ酸又はその塩を含む、[41]~[48]のいずれか一つに記載の改善方法。
[50]前記部分Aに少なくともアミノ酸又はその塩を含有させることを含み、当該アミノ酸又はその塩がグリシン、アラニン及びグルタミン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[41]~[48]のいずれか一つに記載の改善方法。
[51]前記組成物Bが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖が単糖を含む、[41]~[50]のいずれか一つに記載の改善方法。
[52]前記組成物Bが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖がグルコース及びキシロースからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[41]~[50]のいずれか一つに記載の改善方法。
[53]前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩が脂肪族アミノ酸又はその塩を含む、[41]~[52]のいずれか一つに記載の改善方法。
[54]前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩がグリシン、アラニン及びグルタミン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[41]~[52]のいずれか一つに記載の改善方法。
[55]前記部分Aに付着させる前記組成物Bの量が、前記組成物Bが付着した部分の面積に対して0.01~1g/cmである、[41]~[54]のいずれか一つに記載の改善方法。
[56]前記食品及び前記組成物Bが凍結している、[41]~[55]のいずれか一つに記載の改善方法。
[57]前記部分Aに焼き色をつけるための加熱処理が、乾式加熱を含む、[41]~[56]のいずれか一つに記載の改善方法。
[58]前記部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させ、かつ前記部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する前記組成物Bを付着させた食品に、加熱処理を施すことを更に含む、[41]~[57]のいずれか一つに記載の改善方法。
[59]前記加熱処理が、乾式加熱を含む、[58]記載の改善方法。
[60](A)焼き色をつけられる予定の部分(以下、「部分A」という)を含む食品、及び、前記部分Aに付着させるための(B)常温で液状の組成物(以下、「組成物B」という)が少なくとも組み合わせられている、焼き色がついた食品用の食品セットであって、
前記部分Aが、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有し、かつ、
前記組成物Bが、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する、食品セット。
[61]前記部分Aが、穀物粉及びデンプンからなる群より選択される少なくとも一つを更に含有する、[60]記載の食品セット。
[62]前記食品が、中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含み、
当該外皮に前記部分Aが含まれる、[60]又は[61]記載の食品セット。
[63]前記食品が、餃子、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子又はラビオリである、[60]~[62]のいずれか一つに記載の食品セット。
[64]前記食品が、餃子である、[60]~[63]のいずれか一つに記載の食品セット。
[65]前記部分Aが還元糖を含有する場合、当該還元糖の含有量が、前記部分Aに対して0.05~20重量%であり、
前記部分Aがアミノ酸又はその塩を含有する場合、当該アミノ酸又はその塩の含有量が、前記部分Aに対して0.1~10重量%であり、
前記組成物Bが還元糖を含有する場合、当該還元糖の含有量が、前記組成物Bに対して0.03~20重量%であり、
前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を含有する場合、当該アミノ酸又はその塩の含有量が、前記組成物Bに対して0.03~20重量%である、[60]~[64]のいずれか一つに記載の食品セット。
[66]前記部分Aが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖が単糖を含む、[60]~[65]のいずれか一つに記載の食品セット。
[67]前記部分Aが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖がグルコース及びキシロースからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[60]~[65]のいずれか一つに記載の食品セット。
[68]前記部分Aがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩が脂肪族アミノ酸又はその塩を含む、[60]~[67]のいずれか一つに記載の食品セット。
[69]前記部分Aがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩がグリシン、アラニン及びグルタミン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[60]~[67]のいずれか一つに記載の
[70]前記組成物Bが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖が単糖を含む、[60]~[69]のいずれか一つに記載の食品セット。
[71]前記組成物Bが還元糖を少なくとも含有し、当該還元糖がグルコース及びキシロースからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[60]~[69]のいずれか一つに記載の食品セット。
[72]前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩が脂肪族アミノ酸又はその塩を含む、[60]~[71]のいずれか一つに記載の食品セット。
[73]前記組成物Bがアミノ酸又はその塩を少なくとも含有し、当該アミノ酸又はその塩がグリシン、アラニン及びグルタミン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[60]~[71]のいずれか一つに記載の食品セット。
[74]前記部分Aに付着させる前記組成物Bの量が、前記組成物Bが付着した部分の面積に対して0.01~1g/cmである、[60]~[73]のいずれか一つに記載の食品セット。
[75]前記食品及び前記組成物Bが凍結している、[60]~[74]のいずれか一つに記載の食品セット。
[76]前記部分Aに焼き色をつけるための加熱処理が、乾式加熱を含む、[60]~[75]のいずれか一つに記載の食品セット。
[77][60]~[76]のいずれか一つに記載の食品セットに含まれる食品の前記部分Aに、当該食品セットに含まれる前記組成物Bを付着させて加熱処理を施すことを含む、焼き色がついた食品の製造方法。
[78]前記加熱処理が、乾式加熱を含む、[77]記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、短時間の加熱処理でも良好な焼き色がつき得る食品が提供される。
本発明によれば、良好な焼き色がついた食品及びその製造方法も提供される。
本発明によれば、焼き色の改善方法も提供される。本発明の焼き色の改善方法は、食品へ付与される焼き色の濃さ、均一さの改善に好適に用いられる。
また、本発明によれば、焼き色がついた食品の製造に好適に用いられる食品セットも提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の食品は、焼き色をつけられる予定の部分を含むものである。本明細書中、本発明の食品に含まれる「焼き色をつけられる予定の部分」を、説明の便宜上「部分A」と称する場合がある。本発明の食品は加熱処理が施されることによって、少なくとも部分Aに焼き色がついたものになり得る。
【0011】
本発明において、食品に「焼き色がつく」とは、食品に加熱処理が施されることによって、当該食品の少なくとも一部の色が褐変することをいう。ここで、焼き色をつけるための加熱処理は、必ずしも「焼き(焼成)加熱」である必要はなく、焼き加熱以外の加熱処理が食品に施されることで当該食品の少なくとも一部が褐変した場合であっても「焼き色」がついたと言い得る。いかなる理論にも拘泥するものでないが、食品への焼き色の付与には、メイラード反応やカラメル化が関与していると一般的に考えられている。
【0012】
部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)は、加熱処理が施されることによって焼き色がつき得るものであれば、食品のどの部分であってもよいが、通常、食品の外表面の少なくとも一部を構成する。部分Aは、一態様として、本発明の食品に加熱処理を施す際、加熱処理を施すための機器(例、鉄板、フライパン等)に接するか又は近接して配置される部分であってよい。また、本発明に含まれる部分Aの数は、一つであってよく、又は複数(二つ以上)であってもよい。
【0013】
本発明の食品の種類は、焼き色をつくことを所望されるものであれば特に制限されないが、一態様として、本発明の食品は、中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮(一般に「麺皮」ともいう)を含むものであってよい。本発明において「中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含む食品」を「包餡食品」と称する場合がある。包餡食品の具体例としては、餃子(例、焼き餃子、羽根つき餃子等)、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子、ラビオリ等が挙げられる。したがって、本発明の食品は、一態様として、餃子、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子、ラビオリ等であってよい。
【0014】
本発明の食品が、一態様として、包餡食品(例、餃子、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子、ラビオリ等)である場合、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)は、包餡食品の外皮(麺皮)に含まれ得る。換言すると、本発明の食品が、一態様として、包餡食品である場合、その外皮の少なくとも一部分が、部分Aであってよい。包餡食品の一つである餃子を例に挙げて説明すると、本発明の食品が餃子である場合、部分Aは、餃子の外皮に含まれるものであってよく、すなわち、餃子の外皮の少なくとも一部分(例えば、底面等の焼き面となる面(フライパン、鉄板等に接するか又は近接して配置される面))が、部分Aであってよい。
【0015】
本発明の食品は、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)に(B)常温で液状の組成物が付着していることを、特徴の一つとする。本明細書中、部分Aに付着している「常温で液状の組成物」を、説明の便宜上「組成物B」と称する場合がある。本発明において、「常温で液状」の組成物とは、常温(25℃)で流動性を有する組成物を意味し、常温でスラリー状の組成物、常温でペースト状の組成物等も包含される。
【0016】
本発明の食品が、一態様として、包餡食品(例、餃子、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子、ラビオリ等)である場合、組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)は、例えば、バッター液等であってよい。本発明の食品が、一態様として、羽根つき餃子である場合、組成物Bは、例えば、羽根形成用組成物(羽根の素)等であってよい。
【0017】
本発明の食品は、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)及び当該部分Aに付着している組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)の両方が、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有していることが重要である。すなわち、本発明の食品は、部分Aが、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有し、かつ当該部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する組成物Bが付着しているものである。本発明の食品は、部分A及び組成物Bの両方が、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有していることによって、短時間の加熱処理でも良好な焼き色が部分Aにつき得る。
【0018】
本発明の食品に用いられ得る還元糖の種類は特に制限されず、単糖、オリゴ糖(例、二糖等)、多糖のいずれであってもよいが、好ましくは単糖の還元糖である。単糖の還元糖としては、例えば、五炭糖に分類されるキシロース、アラビノース、リボース、2-デオキシリボース、六炭糖に分類されるグルコース、フルクトース、ガラクトース等が挙げられ、二糖の還元糖としては、マルトース等が挙げられる。本発明の食品に用いられ得る還元糖は、色の濃い良好な焼き色が部分Aにつき得ることから、好ましくは五炭糖、六炭糖であり、中でも甘味度が低く呈味にあまり影響を与えない点でグルコース、キシロースが好ましい。グルコースは安価で入手がしやすい点や、食品に添加物表示が不要な点でも好ましい。また、キシロースはグルコースより色の濃い良好な焼き色を付与でき好ましい。還元糖は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明の食品に用いられ得る還元糖の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用い得る。本発明は、市販の還元糖を用いてもよい。
【0020】
本発明の食品に用いられ得るアミノ酸は食品上許容され得るものであれば特に制限されないが、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、システイン、シスチン、メチオニン等の脂肪族アミノ酸;フェニルアラニン、チロシン等の芳香族アミノ酸;トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、ヒドロキシプロリン等の複素環式アミノ酸等が挙げられ、中でも色の濃い良好な焼き色が部分Aにつき得ることから、好ましくは脂肪族アミノ酸であり、より好ましくはグリシン、アラニン、グルタミン酸である。安価で入手が容易な点で、グリシン、グルタミン酸が更に好ましい。これらのアミノ酸は、L-体、D-体、DL-体のいずれも使用可能であるが、好ましくはL-体、DL-体であり、さらに好ましくはL-体である。
【0021】
本発明の食品に用いられ得るアミノ酸の形態は特に制限されないが、遊離又は塩であることが好ましい。ここで「遊離形態」のアミノ酸とは、他のアミノ酸と結合してタンパク質やペプチド等を形成せず、遊離の状態で存在しているアミノ酸をいう。
【0022】
本発明の食品に用いられ得るアミノ酸の塩は食品上許容され得るものであれば特に制限されないが、例えば、無機酸(例、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等)との塩;有機酸(例、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチル硫酸等)との塩;無機塩基(例、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、アンモニア等)との塩;有機塩基(例、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)との塩等が挙げられる。またアミノ酸の塩は、水和物(含水塩)であってもよく、かかる水和物としては、例えば1~6水和物等が挙げられる。
【0023】
上記のアミノ酸又はその塩は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明の食品に用いられ得るアミノ酸又はその塩は、色の濃い良好な焼き色が部分Aにつき得ることから、好ましくは脂肪族アミノ酸又はその塩であり、より好ましくはグリシン、アラニン、グルタミン酸又はそれらの塩であり、更に好ましくはグリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウムであり、特に好ましくはグリシン、アラニンであり、最も好ましくはグリシンである。
【0025】
本発明の食品に用いられ得るアミノ酸又はその塩の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用い得る。本発明は、市販のアミノ酸又はその塩を用いてもよい。
【0026】
本発明の食品は、一態様として、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)が、還元糖(例、グルコース、キシロース等)を含有し、かつ、組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)が、還元糖(例、グルコース、キシロース等)を含有するものであってよい。この場合、部分A及び組成物Bに含有される還元糖の種類は、同一であってよく、又は異なっていてもよい。
また、本発明の食品は、他の一態様として、部分Aが、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有し、かつ、組成物Bが、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有するものであってよい。この場合、部分A及び組成物Bに含有されるアミノ酸又はその塩の種類は、同一であってよく、又は異なっていてもよい。
また、本発明の食品は、他の一態様として、部分Aが、還元糖(例、グルコース、キシロース等)を含有し、かつ、組成物Bが、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有するものであってよい。
また、本発明の食品は、他の一態様として、部分Aが、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有し、かつ、組成物Bが、還元糖(例、グルコース、キシロース等)を含有するものであってよい。
また、本発明の食品は、他の一態様として、部分Aが、還元糖(例、グルコース、キシロース等)を含有し、かつ、組成物Bが、還元糖(例、グルコース、キシロース等)、並びに、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有するものであってよい。この場合、部分A及び組成物Bに含有される還元糖の種類は、同一であってよく、又は異なっていてもよい。
また、本発明の食品は、他の一態様として、部分Aが、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有し、かつ、組成物Bが、還元糖(例、グルコース、キシロース等)、並びに、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有するものであってよい。この場合、部分A及び組成物Bに含有されるアミノ酸又はその塩の種類は、同一であってよく、又は異なっていてもよい。
また、本発明の食品は、他の一態様として、部分Aが、還元糖(例、グルコース、キシロース等)、並びに、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有し、かつ、組成物Bが、還元糖(例、グルコース、キシロース等)を含有するものであってよい。この場合、部分A及び組成物Bに含有される還元糖の種類は、同一であってよく、又は異なっていてもよい。
また、本発明の食品は、他の一態様として、部分Aが、還元糖(例、グルコース、キシロース等)、並びに、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有し、かつ、組成物Bが、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有するものであってよい。この場合、部分A及び組成物Bに含有されるアミノ酸又はその塩の種類は、同一であってよく、又は異なっていてもよい。
また、本発明の食品は、他の一態様として、部分Aが、還元糖(例、グルコース、キシロース等)、並びに、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有し、かつ、組成物Bが、還元糖(例、グルコース、キシロース等)、並びに、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有するものであってよい。この場合、部分A及び組成物Bに含有される還元糖、アミノ酸又はその塩の種類は、それぞれ同一であってよく、又は異なっていてもよい。
【0027】
本発明の食品の部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)が、還元糖(例、グルコース、キシロース等)を含有する場合、部分Aにおける還元糖の含有量は、色の濃い良好な焼き色が部分Aにつき得ることから、部分Aに対して、好ましくは0.05重量%以上であり、より好ましくは0.3重量%以上であり、更に好ましくは1重量%以上であり、特に好ましくは3重量%以上である。この場合、部分Aにおける還元糖の含有量は、部分Aに対して、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下であり、特に好ましくは12重量%以下である。
【0028】
本発明の食品の部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)が、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有する場合、部分Aにおけるアミノ酸又はその塩の含有量は、色の濃い良好な焼き色が部分Aにつき得ることから、部分Aに対して、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは0.3重量%以上であり、更に好ましくは1重量%以上であり、特に好ましくは3重量%以上である。この場合、部分Aにおけるアミノ酸又はその塩の含有量は、部分Aに対して、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは8重量%以下であり、特に好ましくは7重量%以下である。
【0029】
部分Aに付着している組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)が、還元糖(例、グルコース、キシロース等)を含有する場合、組成物Bにおける還元糖の含有量は、色の濃い良好な焼き色が部分Aにつき得ることから、組成物Bに対して、好ましくは0.03重量%以上であり、より好ましくは0.3重量%以上であり、特に好ましくは1重量%以上である。この場合、組成物Bにおける還元糖の含有量は、組成物Bに対して、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下であり、特に好ましくは12重量%以下である。
【0030】
部分Aに付着している組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)が、アミノ酸又はその塩(例、グリシン、アラニン、グルタミン酸ナトリウム等)を含有する場合、組成物Bにおけるアミノ酸又はその塩の含有量は、色の濃い良好な焼き色が部分Aにつき得ることから、組成物Bに対して、好ましくは0.03重量%以上であり、より好ましくは0.3重量%以上であり、更に好ましくは1重量%以上であり、特に好ましくは3重量%以上である。この場合、組成物Bにおけるアミノ酸又はその塩の含有量は、組成物Bに対して、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは15重量%以下であり、特に好ましくは12重量%以下である。
【0031】
本発明の食品の部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)は、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つに加えて、更にその他の食品素材を含有してよい。部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つに加えて更に含有され得る食品素材は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、穀物粉(例、小麦粉、米粉等)、デンプン(例、小麦デンプン、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン等の生デンプン及び当該生デンプンに物理的、化学的又は酵素的な加工処理を施して得られる加工デンプン等)、食塩、糖類、調味料、水、油脂、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳、動植物タンパク質、食物繊維、乳化剤、増粘剤、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、保存剤、酸化防止剤、pH調整剤、酵素剤等が挙げられる。これらの食品素材は、単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
一態様として、本発明の食品は、部分Aが、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つに加えて、穀物粉及びデンプンからなる群より選択される少なくとも一つを更に含有するものであってよい。この場合、部分Aにおける穀物粉及びデンプンからなる群より選択される少なくとも一つの含有量は、部分Aに対して、好ましくは50~90重量%であり、より好ましくは55~80重量%であり、特に好ましくは60~75重量%である。
【0033】
部分Aに付着している組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)は、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つに加えて、更にその他の食品素材を含有してよい。組成物Bに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つに加えて更に含有され得る食品素材は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、穀物粉(例、小麦粉、米粉等)、デンプン(例、小麦デンプン、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン等の生デンプン及び当該生デンプンに物理的、化学的又は酵素的な加工処理を施して得られる加工デンプン等)、食塩、糖類、調味料、水、油脂、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳、動植物タンパク質、食物繊維、乳化剤、増粘剤、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、保存剤、酸化防止剤、pH調整剤、酵素剤等が挙げられる。組成物Bは、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つに加えて、通常、水を更に含有する。組成物Bにおける水の含有量は、組成物Bに対して、好ましくは10~99重量%であり、より好ましくは15~80重量%、更に好ましくは20~70重量%である。
【0034】
本発明の食品が、一態様として、包餡食品(すなわち、中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含む食品)である場合、中具に含有される食品素材は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されない。
【0035】
本発明の食品の製造方法は、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)に、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させること、並びに、部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)を付着させることを含むこと以外は特に制限されず、本発明の食品の種類等に応じて、その他の製造工程を更に含んでよい。一態様として、本発明の食品が、包餡食品(すなわち、中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含む食品)であり、部分Aが包餡食品の外皮に含まれる場合、本発明の食品の製造方法は、例えば、中具を作製すること、中具の少なくとも一部を、部分Aを含む外皮で被覆する(包む)こと等を含んでよい。
【0036】
本発明の食品の部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)に、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させる方法は特に制限されず、本発明の食品の種類等に応じて、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行ってよい。一態様として、本発明の食品が、包餡食品(すなわち、中具及び当該中具の少なくとも一部を被覆する外皮を含む食品)であり、部分Aが包餡食品の外皮(麺皮)に含まれる場合、包餡食品の外皮は、例えば、原料を混錬し、得られた生地を圧延機(例、ロール製麺機等)で圧延成形して麺帯を得た後、当該麺帯を所望の形状に切断又は打ち抜くこと等によって作製し得る。外皮に含まれる部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させるには、外皮の作製のいずれかの時点において(例えば、外皮の原料を混錬する際等)、外皮の原料に還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを加えて、外皮の作製を行えばよい。また、外皮の原料の一つとして水が用いられる場合、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つは、その他の原料に配合する前の水に予め溶解させたのち、得られた水溶液を他の原料に配合して用いてもよい。
【0037】
本発明の食品が、一態様として、包餡食品(例、餃子、焼売、小籠包、ワンタン、春巻き、包子、ラビオリ等)である場合、中具の原料及び作製方法は本発明の目的を損なわない限り特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で作製してよい。また、中具の少なくとも一部を外皮で被覆する(包む)方法も本発明の目的を損なわない限り特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。
【0038】
組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)の調製方法は、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを用いること以外は特に制限されず、組成物Bは、例えば、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを、必要に応じて他の原料とともに、水に混合すること等によって調製できる。
【0039】
本発明の食品の部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)に組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)を付着させる方法は特に制限されず、例えば、部分Aに組成物Bを塗布すること、部分Aを組成物Bに浸漬させること等によって行い得る。また、本発明の食品に加熱処理を施すための装置、機器(例、鉄板、フライパン等)に、組成物Bを塗布した後、そこに部分Aが接するように本発明の食品を設置することによっても、部分Aに組成物Bを付着させ得る。本発明の食品の部分Aに組成物Bを付着させる時期は、部分Aに焼き色をつけるための加熱処理を食品に施す前であれば特に制限されない。
【0040】
本発明の食品の部分Aに付着させる組成物Bの量は、組成物Bが付着した部分の面積に対して、好ましくは0.01~1g/cmであり、より好ましくは0.02~0.5g/cmであり、特に好ましくは0.03~0.3g/cmである。
【0041】
本発明の食品は、部分Aに焼き色をつける等の目的で、加熱処理を施されるものである。本発明の食品の部分Aに焼き色をつけるための加熱処理は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得るが、当該加熱処理は乾式加熱(例、焼き(焼成)加熱、炒め加熱、揚げ加熱等)を含むことが好ましい。本発明の食品に施される加熱処理は、複数(2以上)の加熱方法が同時又は順次に行われるものであってよく、一態様として、本発明の食品に施される加熱処理が乾式加熱を含む場合、当該加熱処理は、乾式加熱以外の加熱方法(例、蒸し加熱、茹で加熱等の湿式加熱、マイクロ波加熱等)を更に含んでよい。本発明の食品に施される加熱処理を、乾式加熱の一つである焼成加熱及び湿式加熱の一つである蒸し加熱を例に挙げて説明すると、本発明の食品に蒸し加熱を施し、その後に焼成加熱を施してよく、又は本発明の食品に焼成加熱を施し、その後に蒸し加熱を施してもよい。あるいは、本発明の食品に蒸し加熱及び焼成加熱を同時に施してもよい(所謂、蒸し焼き)。本発明の食品に施される加熱処理は、食品全体に対して行われるものであってよく、又は、食品の一部の箇所(例、部分Aを含む箇所)に行われるものであってもよい。
【0042】
本発明の食品の部分Aに焼き色をつけるための加熱処理が乾式加熱を含む場合、乾式加熱の条件(例、加熱温度、加熱時間等)は、部分Aに焼き色がつけば特に制限されず、加熱方法等に応じて適宜設定してよい。乾式加熱(例、焼成加熱等)の加熱温度は、加熱時間等に応じて適宜調整し得るが、通常100~250℃であり、好ましくは180~240℃である。乾式加熱(例、焼成加熱等)の加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜調整し得るが、通常0.5~30分間であり、好ましくは1~10分間である。
【0043】
本発明の食品は、一態様として、冷凍食品であってよく、すなわち本発明の食品は凍結された状態で提供(例、販売、譲渡、流通等)されるものであってよい。本発明の食品が冷凍食品である場合、その部分Aに付着している組成物Bも凍結していてよい。本発明の食品が冷凍食品である場合、本発明の食品の製造方法は、本発明の食品を凍結することを含む。本発明の食品の凍結方法やその条件(例、凍結温度、時間等)は、特に制限されず、本発明の食品の種類等に応じて自体公知の方法又はそれに準ずる方法で適宜行ってよい。
【0044】
本発明の食品が冷凍食品である場合、解凍方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で解凍し得る。本発明の食品が冷凍食品である場合、解凍の際に、部分Aに焼き色をつけるための加熱処理を併せて行い得る。
【0045】
本発明の食品は、加熱処理が施されることによって、少なくとも部分Aに焼き色がつき得る。本発明の食品は、短時間(例えば、1~10分間等)の加熱処理でも良好な焼き色が部分Aにつき得る。本発明において、食品についた焼き色の評価方法は特に制限されないが、例えば、専門パネルが目視で焼き色の濃さ、均一さを判定し、評点付けすること等によって行い得る。色が濃く(例えば、赤茶色乃至こげ茶色)、均一である焼き色が、良好なものと判定され得る。
【0046】
本発明の食品に加熱処理を施して、焼き色がついた食品を得た後、この焼き色がついた食品はそのまま提供(例、販売、譲渡、流通等)され得るが、焼き色がついた食品は凍結されて、冷凍食品としてされてもよい。焼き色がついた食品が冷凍食品として提供される場合、凍結方法やその条件(例、凍結温度、時間等)は特に制限されず、食品の種類等に応じて自体公知の方法又はそれに準ずる方法で適宜行ってよい。また、焼き色がついた食品が冷凍食品として提供される場合、解凍方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で解凍し得る。
【0047】
一態様として、本発明の食品は、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)に組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)を付着させていない状態で、組成物Bと組み合わせて提供され得る。したがって本発明によれば、部分Aを含む食品及び部分Aに付着させるための組成物Bが少なくとも組み合わせられている食品セット(本明細書において、「本発明の食品セット」と称する場合がある)も提供される。
【0048】
本発明の食品セットの形態は特に制限されないが、例えば、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)を含む食品及び部分Aに付着させるための組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)が、それぞれ別個の容器又は包装袋に収容され、それらが組み合わせられた形態等が挙げられる。本発明の食品セットは、部分Aを含む食品及び組成物Bに加え、それら以外の食品材料が組み合わせられたものであってよい。
【0049】
本発明の食品セットに含まれる食品の部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)に、組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)を付着させ、得られた食品(本発明の食品)対し、部分Aに焼き色をつけるための加熱処理を施すことによって、少なくとも部分Aに焼き色がついた食品を製造し得る。したがって、本発明の食品のセットは、焼き色がついた食品用の食品セットとして好適に用いられる。
【0050】
本発明によれば、本発明の食品に加熱処理を施すことを含む、焼き色がついた食品の製造方法も提供される。本発明の食品に施される加熱処理は、上述の「本発明の食品の部分Aに焼き色をつけるための加熱処理」と同様に行うことができ、好ましい態様も同様である。当該製造方法は、本発明の食品に加熱処理を施すことを含むこと以外は特に制限されず、その他の製造工程を更に含んでよい。一態様として、当該製造方法は、本発明の食品に焼き色をつけるための加熱処理を施すことに加え、当該加熱処理を施した後の、焼き色が部分Aについた食品を凍結することを含んでよい。焼き色がついた食品の凍結方法やその条件(例、凍結温度、時間等)は、特に制限されず、食品の種類等に応じて自体公知の方法又はそれに準ずる方法で適宜行ってよい。
【0051】
本発明によれば、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)を含む食品に加熱処理を施すことを含む、焼き色がついた食品の製造方法(本明細書中、「本発明の製造方法」と称する場合がある)も提供される。本発明の製造方法は、焼き色をつけるための加熱処理を施す前の食品の部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させること、並びに、焼き色をつけるための加熱処理を施す前の食品の部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)を付着させることを含む。部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させ、かつ、部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する組成物Bを付着させた食品は、短時間の加熱処理でも良好な焼き色が部分Aにつき得る。
【0052】
本発明の製造方法において、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)を含む食品の種類は、本発明の食品と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0053】
本発明の製造方法において用いられ得る還元糖、並びにアミノ酸及びその塩は、本発明の食品に用いられ得るものと同様であり、好ましい態様も同様である。
【0054】
本発明の製造方法において用いられる組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)は、本発明の食品の部分Aに付着しているものと同様であり、好ましい態様、還元糖の含有量、アミノ酸及びその塩の含有量等も同様である。
【0055】
本発明の製造方法において、食品の部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させる方法は、上述の「本発明の食品の部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させる方法」と同様であり、好ましい態様、還元糖の含有量、アミノ酸及びその塩の含有量等も同様である。
【0056】
本発明の製造方法において、食品の部分Aに組成物Bを付着させる方法は、上述の「本発明の食品の部分Aに組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)を付着させる方法」と同様であり、好ましい態様、付着量等も同様である。
【0057】
本発明の製造方法において、部分Aを含む食品に施す加熱処理は、上述の「本発明の食品の部分Aに焼き色をつけるための加熱処理」と同様に行うことができ、好ましい態様も同様である。
【0058】
本発明の製造方法は、部分Aを含む食品に焼き色をつけるための加熱処理を施すこと、当該加熱処理を施す前の食品の部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させること、当該加熱処理を施す前の食品の部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する組成物Bを付着させることを含むこと以外は特に制限されず、その他の製造工程を更に含んでよい。一態様として、本発明の製造方法は、部分Aを含む食品に焼き色をつけるための加熱処理を施すことに加え、当該加熱処理を施した後の、焼き色が部分Aについた食品を凍結することを含んでよい。焼き色がついた食品の凍結方法やその条件(例、凍結温度、時間等)は、特に制限されず、食品の種類等に応じて自体公知の方法又はそれに準ずる方法で適宜行ってよい。
【0059】
本発明の製造方法によれば、短時間の加熱処理でも良好な焼き色が部分Aついた食品を製造できる。
【0060】
本発明によれば、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)を含む食品の焼き色の改善方法(本明細書中、「本発明の改善方法」と称する場合がある)も提供される。本発明の改善方法は、食品の部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させること、並びに、部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)を付着させることを含む。
【0061】
本発明の改善方法によって、焼き色が改善される食品の種類は、本発明の食品と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0062】
本発明の改善方法において用いられ得る還元糖、並びにアミノ酸及びその塩は、本発明の食品に用いられ得るものと同様であり、好ましい態様も同様である。
【0063】
本発明の改善方法において用いられる組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)は、本発明の食品の部分Aに付着しているものと同様であり、好ましい態様、還元糖の含有量、アミノ酸及びその塩の含有量等も同様である。
【0064】
本発明の改善方法において、食品の部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させる方法は、上述の「本発明の食品の部分Aに、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させる方法」と同様であり、好ましい態様、還元糖の含有量、アミノ酸及びその塩の含有量等も同様である。
【0065】
本発明の改善方法において、食品の部分Aに組成物Bを付着させる方法は、上述の「本発明の食品の部分Aに組成物B(すなわち、常温で液状の組成物)を付着させる方法」と同様であり、好ましい態様、付着量等も同様である。
【0066】
本発明の改善方法により改善される焼き色は、どのような加熱処理で食品につけられるものであってもよく特に制限されないが、本発明の改善方法において、食品に焼き色をつけるための加熱処理は、上述の「本発明の食品の部分Aに焼き色をつけるための加熱処理」と同様に行うことができ、好ましい態様も同様である。
【0067】
本発明の改善方法は、焼き色の濃さ及び均一さからなる群より選択される少なくとも一つを改善できる。本発明の改善方法は、一態様として、部分A(すなわち、焼き色をつけられる予定の部分)を含む食品の焼き色の濃さ及び均一さからなる群より選択される少なくとも一つの改善方法であり、好ましくは、部分Aを含む食品の焼き色の濃さ及び均一さの改善方法である。
【0068】
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
尚、以下の実施例において用いられた原料は、特にことわりのない限り、いずれも食品用として市販されているものである。
【実施例
【0069】
<試験1>
(実施例1)
底面にバッター液が付着した餃子(未加熱)を、下記(1)~(4)の手順で作製した。下記(1)~(4)のいずれも常温(25℃)で行った。
【0070】
(1)外皮の作製
下表1に示す割合にて、食塩及びグルコースを水に溶解させた後、小麦粉と混合した。当該混合物を混合機で混錬して生地を作製した。得られた生地を、ロール式製麺機で厚さ0.8mmに圧延し、麺帯を作製した。当該麺帯を長径90mm×短径80mmの楕円形に切り抜いて、餃子用の外皮(1枚当たりの重量:6g)を作製した。
【0071】
【表1】
【0072】
(2)中具の作製及び被覆
挽肉、みじん切りにした野菜及び調味料等を混錬して餃子用の中具を作製した後、当該中具13gを、上記(1)で作製した外皮6gで被覆して、半円形状の餃子(底面の面積:10~12cm)を作製した。
【0073】
(3)バッター液の作製
下表2に示す割合で、デンプン、卵白粉末及びグルコースを水に均一に分散させた後、乳化剤を溶解させた食用植物油脂と混合して、バッター液を作製した。当該バッター液は、常温(25℃)において液状のもの(流動性を有するもの)である。
【0074】
【表2】
【0075】
(4)バッター液の付着
上記(2)で作製した餃子の底面(焼き色をつけられる予定の部分)に、上記(3)で作製したバッター液を約1g付着させて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例1の餃子」とも称する)。
【0076】
(比較例1)
外皮の作製(手順(1))においてグルコースを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「比較例1の餃子」とも称する)。
【0077】
(比較例2)
バッター液の作製(手順(3))においてグルコースを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「比較例2の餃子」とも称する)。
【0078】
(実施例2)
バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてグリシンを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例2の餃子」とも称する)。
【0079】
(実施例3)
外皮の作製(手順(1))において、表1に記載の原料に加えて更にグリシンを、原料の総量に対して0.5重量%の割合で用いたこと以外は、実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例3の餃子」とも称する)。
【0080】
(実施例4)
外皮の作製(手順(1))において、表1に記載の原料に加えて更にグリシンを、原料の総量に対して0.5重量%の割合で用いたこと、及び、バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてグリシンを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例4の餃子」とも称する)。
【0081】
(実施例5)
外皮の作製(手順(1))において、グルコースに代えてグリシンを用いたこと、及び、バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてグリシンを用いたこと以外は、実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例5の餃子」とも称する)。
【0082】
(実施例6)
外皮の作製(手順(1))において、表1に記載の原料に加えて更にグリシンを、原料の総量に対して0.5重量%の割合で用いたこと、及び、バッター液の作製(手順(3))において、表2に記載の原料に加えて更にグリシンを、原料の総量に対して1.3重量%の割合で用いたこと以外は、実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例6の餃子」とも称する)。
【0083】
(焼き色の評価)
実施例1~6及び比較例1、2の各餃子を、蒸し器を用いて100℃で4分間蒸し加熱した後、ホットプレートに、バッター液が付着した底面が下になるように配置して195±5℃で2分間焼成した。ここでホットプレートの温度は表面温度計で測定・調整した。焼成後の餃子について、底面の焼き色(濃さ、均一さ)を専門パネル3名で目視により確認し、下記の尺度に沿って合議により0.1点刻みで評点付けを行った。
【0084】
[焼き色(濃さ、均一さ)の評価尺度]
5.0点:全体的に均一に濃い焼き色(赤茶色乃至こげ茶色)がつく
4.0点:全体的に焼き色(黄金色乃至茶色)がつく
3.0点:全体的に薄い焼き色(薄黄色乃至黄色)がつく、又は、局所的に濃い焼き色がつく
2.0点:局所的に薄い焼き色がつく
1.0点:焼き色がほとんどつかない
0.0点:焼き色が全くつかない
※ 3点以上を合格とする。
【0085】
結果を下表3に示す。表中、「Glc」はグルコースを、「Gly」はグリシンを、それぞれ意味する。
【0086】
【表3】
【0087】
表3に示されるように、グルコース及びグリシンからなる群より選択される少なくとも一つを外皮に含有し、かつグルコース及びグリシンからなる群より選択される少なくとも一つを含有するバッター液が底面に付着している実施例1~6の餃子は、いずれも短時間の加熱処理でも底面に良好な焼き色がついた。
一方、外皮に還元糖、並びにアミノ酸及びその塩を含有しない比較例1の餃子は、焼き色がほとんどつかなかった。また、底面に付着しているバッター液が還元糖、並びにアミノ酸及びその塩を含有しない比較例2の餃子は、底面に局所的に薄い焼き色がついたのみで、良好な焼き色はつかなかった。
【0088】
<試験2>
(実施例7)
試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例7の餃子」とも称する)。
【0089】
(実施例8)
外皮の作製(手順(1))において、グルコースに代えてキシロースを用いたこと、及び、バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてキシロースを用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例8の餃子」とも称する)。
【0090】
(比較例3)
外皮の作製(手順(1))において、グルコースに代えてスクロースを用いたこと、及び、バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてスクロースを用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「比較例3の餃子」とも称する)。
【0091】
(実施例9)
外皮の作製(手順(1))において、グルコースに代えてグリシンを用いたこと、及び、バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてグリシンを用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例9の餃子」とも称する)。
【0092】
(実施例10)
外皮の作製(手順(1))において、グルコースに代えてアラニンを用いたこと、及び、バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてアラニンを用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例10の餃子」とも称する)。
【0093】
(実施例11)
バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてグリシンを用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例11の餃子」とも称する)。
【0094】
(実施例12)
バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてアラニンを用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例12の餃子」とも称する)。
【0095】
(実施例13)
バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてグルタミン酸ナトリウムを用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例13の餃子」とも称する)。
【0096】
(焼き色の評価)
実施例7~13及び比較例3の餃子について、試験1と同様の方法で焼き色の評価を行った。
結果を下表4に示す。表中、「Glc」はグルコースを、「Xyl」はキシロースを、「Suc」はスクロースを、「Gly」はグリシンを、「Ala」はアラニンを、「MSG」はグルタミン酸ナトリウムを、それぞれ意味する。
【0097】
【表4】
【0098】
表4に示されるように、グルコース又はキシロース(いずれも還元糖)を外皮に含有し、かつグルコース又はキシロースを含有するバッター液が底面に付着している実施例7、8の餃子は、いずれも短時間の加熱処理でも底面に良好な焼き色がついた。
一方、還元糖でないスクロース(非還元糖)を外皮に含有し、かつスクロースを含有するバッター液が底面に付着している比較例3の餃子は、焼き色がほとんどつかなかった。
また、アラニン又はグリシンを外皮に含有し、かつアラニン又はグリシンを含有するバッター液が底面に付着している実施例9、10の餃子、並びに、グルコースを外皮に含有し、かつアラニン、グリシン又はグルタミン酸ナトリウムを含有するバッター液が底面に付着している実施例11~13の餃子は、いずれも短時間の加熱処理でも底面に良好な焼き色がついた。
【0099】
<試験3>
(実施例14~17)
外皮の作製(手順(1))において、グルコースの割合(原料の総量に対して2.0重量%)を、下表5に示す割合(原料の総量に対して0.5~10重量%)に変更にしたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、それぞれ「実施例14の餃子」~「実施例17の餃子」とも称する)。
【0100】
(実施例18~21)
外皮の作製(手順(1))において、グルコースの割合(原料の総量に対して2.0重量%)を、下表5に示す割合(原料の総量に対して0.5~10重量%)に変更にしたこと、及び、バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてグリシンを用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、それぞれ「実施例18の餃子」~「実施例21の餃子」とも称する)。
【0101】
(比較例4)
バッター液の作製(手順(3))においてグルコースを用いなかったこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「比較例4の餃子」とも称する)。
【0102】
(実施例22~27)
バッター液の作製(手順(3))において、グルコースの割合(原料の総量に対して1.3重量%)を、下表6に示す割合(原料の総量に対して0.05~10重量%)に変更にしたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、それぞれ「実施例22の餃子」~「実施例27の餃子」とも称する)。
【0103】
(実施例28~33)
バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてグリシンを下表6に示す割合(原料の総量に対して0.05~10重量%)で用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、それぞれ「実施例28の餃子」~「実施例33の餃子」とも称する)。
【0104】
(焼き色の評価)
実施例14~33及び比較例4の餃子について、試験1と同様の方法で焼き色の評価を行った。
結果を下表5、6に示す。
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
表5に示されるように、グルコースを外皮に0.5~10重量%含有し、かつグルコースを1.3重量%含有するバッター液が底面に付着している実施例14~17の餃子、並びに、グルコースを外皮に0.5~10重量%含有し、かつグリシンを1.3重量%含有するバッター液が底面に付着している実施例18~21の餃子は、いずれも短時間の加熱処理でも底面に良好な焼き色がついた。
また、表6に示されるように、グルコースを外皮に2.0重量%含有し、かつグルコースを0.05~10重量%含有するバッター液が底面に付着している実施例22~27の餃子、並びに、グルコースを外皮に2.0重量%含有し、かつグルコースを0.05~10重量%含有するバッター液が底面に付着している実施例22~27の餃子は、いずれも短時間の加熱処理でも底面に良好な焼き色がついた。
一方、底面に付着しているバッター液が還元糖、並びにアミノ酸及びその塩を含有しない比較例4の餃子は、底面に局所的に薄い焼き色がついたのみで、良好な焼き色はつかなかった。
【0108】
<試験4>
(実施例34)
外皮の作製(手順(1))において、グルコースに代えてキシロースを下表7に示す割合(原料の総量に対して0.1重量%)で用いたこと、及び、バッター液の作製(手順(3))において、グルコースに代えてグリシンを用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、「実施例34の餃子」とも称する)。
【0109】
(実施例35~37)
外皮の作製(手順(1))において、グルコースに代えてグリシンを下表7に示す割合(原料の総量に対して0.1~5重量%)で用いたこと以外は、試験1の実施例1と同様の手順にて、底面にバッター液が付着した餃子を得た(以下において、それぞれ「実施例35の餃子」~「実施例37の餃子」とも称する)。
【0110】
(焼き色の評価)
実施例34~37の餃子について、試験1と同様の方法で焼き色の評価を行った。
結果を下表7に示す。
【0111】
【表7】
【0112】
表7に示されるように、キシロースを外皮に0.1重量%含有し、かつグリシンを1.3重量%含有するバッター液が底面に付着している実施例34の餃子、並びに、グリシンを外皮に0.1~5重量%含有し、かつグルコースを1.3重量%含有するバッター液が底面に付着している実施例35~37の餃子は、いずれも短時間の加熱処理でも底面に良好な焼き色がついた。
【0113】
上記試験1~4の結果から、食品の焼き色をつけられる予定の部分(部分A)に、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有させ、かつ、この焼き色をつけられる予定の部分に、還元糖、並びにアミノ酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有する、常温で液状の組成物(組成物B)を付着させることによって、当該食品は短時間の加熱処理でも良好な焼き色がつくことが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明によれば、短時間の加熱処理でも良好な焼き色がつき得る食品が提供される。
本発明によれば、良好な焼き色がついた食品及びその製造方法も提供される。
本発明によれば、焼き色の改善方法も提供される。本発明の焼き色の改善方法は、食品へ付与される焼き色の濃さ、均一さの改善に好適に用いられる。
また、本発明によれば、焼き色がついた食品の製造に好適に用いられる食品セットも提供される。