(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】作物引抜機
(51)【国際特許分類】
A01D 27/04 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A01D27/04
(21)【出願番号】P 2021204391
(22)【出願日】2021-12-16
(62)【分割の表示】P 2020174073の分割
【原出願日】2017-05-31
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-214199(JP,A)
【文献】特開2007-089540(JP,A)
【文献】米国特許第02833357(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体(2)の進行に伴って進行方向後側且つ上方に搬送して、作物を引き抜く引抜装置(21)を構成する挟持搬送ベルト(44)と、
前記挟持搬送ベルト(44)に下方にあって、水平方向に沿って配置される肩揃えベルト(57)と、
作物の茎葉を切断する切断刃(61)を備える作物引抜機において、
前記切断刃(61)は前記挟持搬送ベルト(44)の前後方向の略中央の下方にあって、かつ、前記肩揃えベルト(57)の上方に設け、
作物の茎葉部を引き起こして前記引抜装置(21)に案内する前記引き起こし装置(26)を前記機体(2)の前側に設け、該引き起こし装置(26)を支持する前記引き起こし支持部材(22)を前記引抜装置(21)の搬送方向上手側に設け、
前記引抜装置(21)を覆う保護カバー(111)を着脱自在に設け、
前記保護カバー(111)を、前記引き起こし支持部材(22)の前端部を基準に前後に分割可能に構成したことを特徴とする作物引抜機。
【請求項2】
前記切断刃(61)は板状の固定刃に形成され、前方から後方に行くに連れて傾斜して配置されて、その後端は、前記挟持搬送ベルト(44)の搬送領域(44a)を跨ぐように配置されたことを特徴とする請求項1記載の作物引抜機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大根等の根菜作物を圃場から引き抜く作物引抜機に関する。
【背景技術】
【0002】
大根等の根菜作物を圃場から引き抜く作物引抜機において、圃場にしっかり根を張っている作物を土中から引き抜く作物引抜機として、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の作物引抜機は、作物の茎葉部を引き起こし装置で引き起こし、引き起こされた茎葉部を引抜装置で挟持して圃場から引き抜き、引抜装置よりも下方に配置された切断装置で茎葉部を切断することで作物の収穫部分を圃場に戻し、作業者が作物を軽い力で収穫可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、切断刃による切断をし易くする作物引抜機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は次の解決手段により解決される。
【0006】
請求項1に記載の発明は、
機体(2)の進行に伴って進行方向後側且つ上方に搬送して、作物を引き抜く引抜装置(21)を構成する挟持搬送ベルト(44)と、
前記挟持搬送ベルト(44)に下方にあって、水平方向に沿って配置される肩揃えベルト(57)と、
作物の茎葉を切断する切断刃(61)を備える作物引抜機において、
前記切断刃(61)は前記挟持搬送ベルト(44)の前後方向の略中央の下方にあって、かつ、前記肩揃えベルト(57)の上方に設け、
作物の茎葉部を引き起こして前記引抜装置(21)に案内する前記引き起こし装置(26)を前記機体(2)の前側に設け、該引き起こし装置(26)を支持する前記引き起こし支持部材(22)を前記引抜装置(21)の搬送方向上手側に設け、
前記引抜装置(21)を覆う保護カバー(111)を着脱自在に設け、
前記保護カバー(111)を、前記引き起こし支持部材(22)の前端部を基準に前後に分割可能に構成したことを特徴とする作物引抜機である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
前記切断刃(61)は板状の固定刃に形成され、前方から後方に行くに連れて傾斜して配置されて、その後端は、前記挟持搬送ベルト(44)の搬送領域(44a)を跨ぐように配置されたことを特徴とする請求項1記載の作物引抜機である。
【0008】
【発明の効果】
【0009】
本発明により、切断刃による茎葉の切断がし易くなる。
【0010】
また、引き起こし支持部材(22)が支持される位置に対応して保護カバー(111)が分割されない場合に比べて、保護カバー(111)を取り外す際に、引き起こし支持部材(22)を取り外す必要がなくなり、保護カバー(111)の着脱作業が容易になる。よって、引抜装置(21)の内部で茎葉部が詰まったりした場合に、保護カバー(111)を取外して茎葉部を除去する作業の作業効率を向上でき、作業者の労力も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図3は実施例の作物引抜機の右側面図である。
【
図4】
図4は実施例の作物引抜機の左側面図である。
【
図6】
図6は実施例の作物引抜機の搬送部の要部説明図である。
【
図7】
図7は実施例の作物引抜機の型揃え部分の要部説明図であり、
図7Aは平面図、
図7Bは側面図である。
【
図8】
図8は実施例の他の形態の説明図であり、
図8Aは茎葉ガイドを振動させる構成の説明図、
図8Bは切断刃を振動させる構成の説明図である。
【
図9】
図9は実施例の作物引抜機におけるスタンドの説明図であり、
図9Aは取り外された状態の説明図、
図9Bは作物の転倒抑制状態の説明図、
図9Cは収納状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施の形態を、以下に説明する。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
本発明の実施例の作物引抜機1は、前後方向に延びる左右一対のメインフレーム2を有する。メインフレーム2は水平部2aと、水平部2aの後端から斜め上方に延びる傾斜部2bとを有する。傾斜部2bの後端には、駆動装置の一例としての走行トランスミッション3が支持されている。走行トランスミッション3の後方には、駆動装置の一例であって、内燃機関の一例としてのエンジン4が配置されている。走行トランスミッション3にはエンジン4からの駆動が伝達される。
【0019】
走行トランスミッション3には左右の後輪伝動ケース6L,6Rが支持されている。走行トランスミッション3の左側の後輪伝動ケース6Lの内部空間には、インナーケース6aが左側の後輪伝動ケース6Lに沿って左右方向に摺動可能に設けられている。
【0020】
インナーケース6aの内部空間には、走行トランスミッション3から駆動力を伝動する伸縮走行伝動軸6bが左右方向に伸縮可能に設けられている。伸縮走行伝動軸6bは、インナーケース6aの左右方向の移動に連動して伸縮するように装着される。
【0021】
なお、左側の後輪伝動ケース6Lは四角、六角等の角柱形状とし、内部空間も同形状とする。インナーケース6aは、外形は後輪伝動ケース6Lと同じく角柱形状とするが、内部空間は伸縮走行伝動軸6bよりも大径の円形とする。
【0022】
そして、左側の後輪伝動ケース6Lは走行トランスミッション3に回転可能に設けられ、左側の後輪伝動ケース6Lを回転させるとインナーケース6aは供回りするが、伸縮走行伝動軸6bは回転しない構成とする。
【0023】
一方、走行トランスミッション3の右側には、右側の後輪伝動ケース6Rが回転可能に設けられており、円形の内部空間に走行伝動軸6cが設けられている。この右側の後輪伝動ケース6Rの外形は、円形でも角柱形状でもよい。
【0024】
伸縮走行伝動軸6bと走行伝動軸6cの外側端部には、各々チェンケース7(7L,7R)が設けられている。該左右のチェンケース7の下部側には、後輪8(8L,8R)が各々支持されている。したがって、後輪8には、エンジン4からの回転が走行トランスミッション3、左右の後輪伝動ケース6L,6R、及びチェンケース7を通じて伝動される。
【0025】
上記構成により、左側の後輪伝動ケース6Lに沿ってインナーケース6aを左右方向に移動させると、左側のチェンケース7L及び左側の後輪8Lをメインフレーム2に接近させる、あるいは離間させることができる。これにより、畝幅に合わせて左右の後輪8L,8Rの左右間隔を変更し、左右方向で機体の高さが異なることを防止できるので、作業時の機体の姿勢を畝面に対して略水平に保つことができ、作物の引き抜きが能率よく行える。
【0026】
なお、左右の後輪8L,8Rの間隔を調整した後は、インナーケース6aの移動をロックすべく、左側の後輪伝動ケース6Lの機体外側端部(左端部)に設ける摺動ロックピン6dを差し込み、インナーケース6aの摺動を規制する。インナーケース6aを摺動させるときは、この摺動ロックピン6dを引き抜く。
【0027】
走行トランスミッション3の上部には後カバー11が支持されている。後カバー11の内側には、後方に延びるU字型のハンドル12が配置されている。また、エンジン4の後方や上方には、操作レバー15や図示しない各種操作ボタンや表示ランプ等が配置されている。
【0028】
右側のメインフレーム2の前端部には、右方に延びる前輪支持部16が支持されている。前輪支持部16には、上下方向に延びる前輪支持パイプ17が、後述するアクチュエータ84のハウジング84aを介して支持されている。なお、実施例の前輪支持パイプ17は六角柱状に形成されているが、四角パイプや丸棒状等任意の形状とすることが可能である。前輪支持パイプ17の下端には、前輪18が回転可能に支持されている。
【0029】
メインフレーム2の前端部には、引抜装置21が支持されている。引抜装置21の上面には、引き起こし支持部材の一例としての引き起こし支持アーム22が左右一対支持されている。引き起こし支持アーム22は、逆U字状に形成されている。引き起こし支持アーム22の前端部には、回転軸23を介して引き起こしアーム24が支持されている。引き起こしアーム24の前端部には、引き起こし装置26が支持されている。
【0030】
引き起こし装置26は、後方に配置された左右一対の横引き起こし部27と、前方に配置された前引き起こし部28とを有する。各横引き起こし部27は、引き起こしアーム24の前端に連結されている。各横引き起こし部27は、内部に上下一対のプーリ(図示せず)が内蔵されている。プーリの回転軸は前後方向に配置されている。プーリには、ベルト27aが張架されている。ベルト27aには外側に突出する引き起こしパドル27bが複数形成されている。実施例では、プーリの回転に伴って、横引き起こし部27どうしの間の隙間において、パドル27bが下方から上方に移動するように回転方向が設定されている。
【0031】
前引き起こし部28は、横引き起こし部27と同様に上下一対のプーリが内蔵されており、プーリにベルト28aが張架されている。また、ベルト28aには、前引き起こしパドル28bが複数形成されている。前引き起こし部28では、プーリの回転軸は左右方向に配置されている。そして、プーリの回転に伴って、前引き起こしパドル28bは、前引き起こし部28の後側で下方から上方に移動するように回転方向が設定されている。
【0032】
なお、実施例1では、エンジン4からの駆動が、走行トランスミッション3の前方のギアボックス31に入力され、ギアボックス31からの駆動が引き起こしチェンケース32やユニバーサルジョイント33等を通じて、左側の横引き起こし部27Lに入力されて、上側のプーリが駆動される。左側の横引き起こし部27Lに入力された駆動は、左連結パイプ29aの内部を貫通するシャフト(図示せず)を通じて、左側の前引き起こし部28Lのプーリに伝動される。左側の前引き起こし部28Lに入力された駆動は、前連結パイプ29bの内部を貫通するシャフト(図示せず)を通じて、右側の前引き起こし部28Rのプーリに伝動される。右側の前引き起こし部28Rに入力された駆動は、右連結パイプ29cの内部を貫通するシャフト(図示せず)を通じて、右側の横引き起こし部27Rのプーリに伝動される。
【0033】
図6は実施例の作物引抜機の搬送部の要部説明図である。
【0034】
引抜装置21は、後方に行くに連れて上方に傾斜して配置されている。
図1、
図6において、引抜装置21は、左右一対の搬送部41を有する。各搬送部41は、複数のプーリ42を有する。最後部のプーリ42には、ギアボックス31からユニバーサルジョイント43を介して回転が伝動される。各プーリ42の間には、挟持搬送ベルト44が張架されている。挟持搬送ベルト44は、左右一対配置されており、幅方向内側の搬送領域44aで挟持搬送ベルト44どうしが互いに押し付けられるように、プーリ42で支持されている。実施例の挟持搬送ベルト44は、搬送領域44aにおいて前方から後方に移動するように回転方向が設定されている。なお、搬送領域44aは、引き起こし装置26の幅方向の中央の位置に対応する位置に設定されている。
【0035】
したがって、大根やカブ等の茎葉を有する作物に対して、茎葉部が引き起こし装置26で引き起こされて、搬送領域44aに進入すると、挟持搬送ベルト44で挟持され、挟持搬送ベルト44の回転に伴って、茎葉部が挟持された作物が後方且つ上方に移動可能に構成されている。なお、挟持搬送ベルト44の回転速度は、作物引抜機1の走行速度に対応する回転速度に設定されている。したがって、作物が挟持搬送ベルト44で搬送される際に、作物引抜機1の前方への走行速度と、挟持搬送ベルト44での後方への移動速度が対応するため、作物は、前後方向の位置が変動せず、その場で上昇し、圃場から引き抜かれる。
【0036】
図7は実施例の作物引抜機の型揃え部分の要部説明図であり、
図7Aは平面図、
図7Bは側面図である。
【0037】
図7Bにおいて、前記引抜装置21の下面には、茎葉案内部材の一例としての茎葉ガイド46が固定支持されている。
図7Aにおいて、茎葉ガイド46は、搬送領域44aに対して、幅方向の右側に配置されている。また、実施例の茎葉ガイド46は、板状に形成されており、前方から後方に行くに連れて幅方向の内側(左側)に傾斜して配置されている。なお、茎葉ガイド46の内端(後端、左端)は、搬送領域44aを跨がない位置に設定されている。
【0038】
図7Aにおいて、前記引抜装置21の下方には型揃え装置51が配置されている。型揃え装置51は、左右一対の型揃え部52を有する。各型揃え部52は、複数のプーリ53を有する。最後部のプーリ53には、ギアボックス31から伝達軸54やチェーン56を介して回転が伝動される。各プーリ53の間には、型揃えベルト57が張架されている。
【0039】
型揃えベルト57は、挟持搬送ベルト44と同様に、左右一対配置されている。なお、型揃えベルト57は、挟持搬送ベルト44と異なり、水平方向に沿って配置されており、茎葉部を上昇させない。また、幅方向内側の搬送領域44aで、型揃えベルト57どうしは、隙間をあけて配置されている。したがって、型揃えベルト57どうしの隙間を茎葉部が通過する際に、茎葉部は上下方向に移動可能となっている。挟持搬送ベルト44で持ち上げられる大根等の作物の収穫部分(茎葉部を除く)の上面、いわゆる、大根等の肩の部分が型揃えベルト57の下面に接触し、大根等がそれ以上上方に移動しないように規制される。
【0040】
型揃え装置51の上面には、切断部の一例としての切断刃61が固定支持されている。
【0041】
切断刃61は、搬送領域44aに対して、幅方向の左側に配置されている。切断刃61は板状に形成され、且つ、前面に茎葉部を切断可能な刃部61aが形成されている。実施例の切断刃61は、前方から後方に行くに連れて幅方向の内側(右側)に傾斜して配置されている。なお、切断刃61の内端(後端、右端)は、搬送領域44aよりも右側に配置されている。したがって、切断刃61は搬送領域44aを跨ぐように配置されている。
【0042】
(引き起こし部の高さ調整機構)
左右の引き起こし支持アーム22の上部には、引き起こし支持アーム22どうしを連結する連結部71が支持されている。連結部71の左端部には、引き起こし調節装置72が支持されている。引き起こし調節装置72は、後部に配置されたハンドル部73を有する。ハンドル部73は、引抜装置21の傾斜方向に沿って延びる回転軸73aを中心として回転可能に支持されている。ハンドル部73の前端には、引き起こし高さ調整用のアクチュエータ74が支持されている。アクチュエータ74は、ハンドル部73の回転に伴って、回転軸73aの軸方向に沿った長さが伸縮可能に構成されている。
【0043】
アクチュエータ74の前端には、調整アーム75が回転軸75aを中心として回転可能に支持されている。調整アーム75の下端は、引き起こしアーム24に連結されている。したがって、ハンドル部73を、作業者が手動で回転させることで、アクチュエータ74が伸縮して、引き起こしアーム24が昇降し、引き起こし装置26が昇降する。したがって、ハンドル部73を回転させることで、引き起こし装置26の高さを調整することが可能である。
【0044】
(前輪の高さ調整機構)
ハンドル12の右側の前部上面には、ブラケット81が支持されている。ブラケット81には、前方に延びる伝達シャフト82の後端が回転可能に支持されている。伝達シャフト82の後端には、前輪の高さ調整用のハンドル部83が連結されている。伝達シャフト82の前端は、前輪の高さ調整用のアクチュエータ84の上端に支持されている。アクチュエータ84は前輪支持パイプ17の延長上に延びるハウジング84aを有する。実施例のハウジング84aは、前輪支持パイプ17と同様に、六角筒状に形成されており、前輪支持パイプ17の上端部は、ハウジング84aの下部に収容されている。したがって、ハウジング84aに対して前輪支持パイプ17は、軸方向に移動可能、且つ、周方向に回転不能に支持されている。
【0045】
ハウジング84aの内部には、前輪支持パイプ17の延長上に沿って延びる調整シャフト84bが回転可能に支持されている。ハウジング84aの上端部の内部には、伝達シャフト82に支持された第1の傘歯車84cと、第1の傘歯車84cに噛み合い且つ調整シャフト84bの上端に支持された第2の傘歯車84dとが収容されている。調整シャフト84bの下端部には、雄ねじ部(後述)が形成されており、前輪支持パイプ17の上端部の雌ねじ部(後述)にネジ嵌合している。したがって、ハンドル部83が作業者による手動で回転されると、伝達シャフト82が回転し、傘歯車84c,84dを介して調整シャフト84bが回転する。調整シャフト84bが回転すると、ねじ部により、前輪支持パイプ17が軸方向(上下方向)に移動する。よって、ハンドル部83の操作により、アクチュエータ84の長さが伸縮し、前輪18の高さを調整することが可能である。
【0046】
(後輪の高さ調整機構)
メインフレーム2の後端には、走行トランスミッション3の後方且つエンジン4の下方に、後輪調整用の支持部材91が支持されている。後輪調整用の支持部材91は、水平部91aと、水平部91aの両端から幅方向外側に行くに連れて上方に傾斜する傾斜部91bとを有する。各傾斜部91bの上端には、後輪調整用のハンドル部92の回転軸92aが回転可能に支持されている。回転軸92aの前端には、後輪調整用のアクチュエータ93が支持されている。後輪調整用のアクチュエータ93は、引き起こし高さ調整用のアクチュエータ74と同様に構成されている。
【0047】
後輪調整用のアクチュエータ93の前端には、回転軸94aを介して、後輪調整アーム94の上端部が連結されている。後輪調整アーム94は、左右の後輪伝動ケース6L,6Rに固着されている。
【0048】
したがって、後輪調整用のハンドル部92を作業者が手動で回転させると、アクチュエータ93が伸縮し、後輪調整アーム94を前後方向に移動させる。これにより、左右の後輪伝動ケース6L,6Rのうち、対応する側が前後に回動し、伸縮走行伝動軸6bまたは走行伝動軸6cの端部に装着されるチェンケース7を上下方向に回動させる。
【0049】
よって、後輪調整用の支持部材91や走行トランスミッション3、メインフレーム2等に対して後輪8が相対的に上下動することとなり、後輪の高さが調整される。なお、実施例ではハンドル部92や後輪調整用のアクチュエータ93、後輪調整アーム94が、左右両側に設置されており、左右の後輪8の高さを個別に調整可能となっている。
【0050】
前記符号91~94を付した各部材により、車高調節装置の一例としての後輪の高さ調整機構91~94が構成されている。
【0051】
(実施例の作用)
前記構成を備えた実施例の作物引抜機1では、大根やカブ等の作物の収穫を行う場合に、畝に沿って作物引抜機1を移動させると、引き起こし装置26で茎葉部が引き起こされる。引き起こされた茎葉部は、引抜装置21の挟持搬送ベルト44で挟まれて、作物引抜機1の進行に伴って、上方に引き抜かれる。なお、実施例の作物引抜機1では、大根等が完全に引き抜かれず、圃場にしっかりと根を張った状態から途中まで引き抜かれる。そして、茎葉部が切断刃61で切断されると、作物の収穫部分が落下して、圃場で植えられていた孔に収容される。したがって、作物引抜機1の通過後は、作物が圃場に抜きかけで立っている状態となり、作業者が軽い力で回収可能である。
【0052】
実施例の作物引抜機1では、切断刃61よりも前方に、茎葉ガイド46が配置されている。したがって、挟持搬送ベルト44で後方に移動する茎葉部は、切断刃61で切断される前に茎葉ガイド46に接触してガイドされる。挟持搬送ベルト44で挟持された茎葉部は、作物の肩が型揃えベルト57の下面に接触するまでは、挟持搬送ベルト44の傾斜に沿って上昇するが、作物の肩が型揃えベルト57に接触すると、挟持搬送ベルト44に挟持された茎葉部が下方に引っ張られる形となる。したがって、茎葉部の一部(例えば、短い茎葉部)が挟持搬送ベルト44から脱落して、挟持搬送ベルト44と型揃えベルト57の間の空間で、重力により茎葉部が前後左右方向に広がってしまう場合がある。
【0053】
茎葉部が広がると、茎葉部が切断刃61に引っかかりやすくなり、茎葉部が円滑に切断されにくくなる。切断刃61での切断が円滑に行われないと、収穫部分が落下する時期が遅くなり、圃場の孔からずれて落下して、作物が倒れ、回収作業が面倒になったり、作物の下部が孔に残り上部が作物引抜機1と共に移動すると作物が折れたり損傷したり等の恐れもある。
【0054】
これに対して、実施例の作物引抜機1では、切断刃61の上流側で茎葉ガイド46が茎葉部を搬送領域44aの中心に向けてガイドする。よって、茎葉ガイド46を有しない構成に比べて、広がった茎葉部が再び密集された状態で、切断刃61により円滑に切断されやすい。よって、作物が圃場に落下するタイミングが安定しやすく、圃場に戻された作物が倒れたり、折れたり等の問題の発生が低減される。
【0055】
また、実施例の茎葉ガイド46は、挟持搬送ベルト44と切断刃61との間に配置されており、作物の茎葉部にのみ接触して、茎葉部をまとめる(密集した状態とする)ことができる。
【0056】
さらに、実施例では、茎葉ガイド46が右側に配置され、切断刃61が左側に配置されている。よって、左側に広がった茎葉部は切断刃61でまとめつつ切断するとともに、右側に広がった茎葉部は茎葉ガイド46で切断刃61にガイドして切断することができる。よって、両側に茎葉ガイド46を設ける場合に比べて、部品点数を削減でき、製造コストを削減できる。
【0057】
なお、茎葉ガイド46を搬送領域44aを挟んで両側に配置することで、左側の茎葉部を茎葉ガイドでガイドする構成とすることも可能である。
【0058】
また、実施例では、茎葉ガイド46が後方に行くに連れて、搬送領域44aの中央に向けて傾斜している。したがって、ガイドされる茎葉部にとってみれば、切断刃61に向けて窄まった状態となっている。したがって、窄まっていない場合に比べて、切断刃61で茎葉部が密集しやすく、切断刃61による切断が円滑に行われやすい。
【0059】
なお、実施例では、茎葉ガイド46は引抜装置21に固定支持された構成を例示したが、これに限定されない。例えば、茎葉ガイド46を搬送領域44aに対して、接近離間させたり、前後方向に対する傾斜角を調整可能とすることも可能である。このようにすることで、作物の種類や生育状況に応じて茎葉部を適切にガイドすることが可能である。
【0060】
また、実施例では、右側に配置された茎葉ガイド46は、左端が搬送領域44aを跨がないように配置されている。すなわち、搬送領域44aに対して、傾斜してはいるが、できるだけ平行に近く配置されている。仮に、傾斜角が大きくなると、搬送に伴って、作物の茎葉部が茎葉ガイド46から受ける力が大きくなり、茎葉部が折れたり切れたりする場合がある。茎葉部が折れたりすると、切断刃61で切断しにくくなる問題がある。よって、茎葉ガイド46ができるだけ平行に近く配置された実施例では、傾斜角が大きい場合に比べて、切断刃61で茎葉部を切断しやすくなっている。
【0061】
なお、作物の茎葉部が受ける力を低減するためには、例えば、茎葉ガイド46を幅方向に弾性を有する板バネ状の金属体や硬めのゴムのように、茎葉部をガイド可能且つ緩衝性能を有する構成とすることも可能である。
【0062】
図8は実施例の他の形態の説明図であり、
図8Aは茎葉ガイドを振動させる構成の説明図、
図8Bは切断刃を振動させる構成の説明図である。
【0063】
図8Aにおいて、実施例の別の形態では、挟持搬送ベルト44の下方に、挟持搬送ベルト44に接触する回転ローラ101が配置されている。回転ローラ101の同軸には、振動部材の一例としての偏心カム102が支持されている。偏心カム102は、茎葉ガイド46に周期的に接触、離間する様に設置されている。したがって、茎葉ガイド46には、挟持搬送ベルト44の回転に伴って振動(微振動)が発生する。茎葉ガイド46が微振動すると、茎葉ガイド46に接触する作物の茎葉部が、ぜん動運動のような形で、下流側に送られる効果も期待できる。また、茎葉ガイド46に茎葉部が絡みついても、振動で除去することもできる。よって、茎葉部が絡みつくことで切断が遅れて、茎葉部が切断された作物が圃場に戻るタイミングが乱れることが防止される。
【0064】
なお、茎葉ガイド46への振動は、挟持搬送ベルト44から得る構成を例示したが、これに限定されない。例えば、微振動発生用のモータを別個に設けたり、型揃えベルト57から駆動を得る等、任意の形態とすることが可能である。また、茎葉ガイド46に接触する部材も、偏心カム102に限定されず、クランク軸等、振動を付与可能な任意の構成(振動部材)とする事が可能である。
【0065】
また、
図8Bにおいて、茎葉ガイド46を振動させる構成だけでなく、回転ローラ106や偏心カム107を使用して、切断刃61を振動させる構成を追加することも可能である。なお、切断刃61を微振動させることで、微振動させない場合に比べて、切断性を向上させることができる。
【0066】
なお、切断刃61の振動方向は、切断刃61が延びる方向である左右方向に沿って往復移動させる設定とすることが望ましい。
図8Bにおいて、傘歯車108,109を介して、回転ローラ106の回転軸と偏心カム107の回転軸を90°変化させ、切断刃61の左端に偏心カム107を接触させて左右方向に振動させることも可能である。
【0067】
なお、切断刃61への振動は、挟持搬送ベルト44から得る構成を例示したが、これに限定されず、型揃えベルト57から得る構成とすることも可能である。
【0068】
また、実施例の作物引抜機1の引抜装置21では、挟持搬送ベルト44の上面は保護カバー111で覆われている。保護カバー111は、前カバー111aと後カバー111bとを有する。実施例では、前カバー111aと後カバー111bとの境界は、引き起こし支持アーム22の前端部を基準に設定されている。したがって、前カバー111aや後カバー111bを着脱する場合に、引き起こし支持アーム22を引抜装置21のフレームから取外したりすること無く、各カバー111a,111bのみを着脱することが可能である。よって、作業性が向上する。
【0069】
なお、前カバー111aを取り外す場合には、引き起こし調節装置72で引き起こし装置26を上方に上げてから前方に引き抜くようにして外すことができる。
【0070】
よって、各カバー111a,111bを外すことで、挟持搬送ベルト44の前部(型揃えをしながら切断刃61で切断が行われる辺りの範囲)と、後部(切断後の茎葉部を挟持して搬送する範囲)と、で、挟持搬送ベルト44の挟持力を個別に調節することも可能である。
【0071】
他にも、保護カバー111がつながっている場合には、部品の交換や、詰まった茎葉部等の除去や清掃を行う場合も、長い保護カバー111を取り外す必要があり、作業能率が低下し、作業者に負担がかかる。これに対して、カバー111a,111bが分割されている実施例の構成では、前後に長いカバーを着脱する必要がなく、作業能率が向上し、作業者の労力を軽減できる。
【0072】
実施例において、左右の引き起こし支持アーム22の上部を連結する連結部71を、逆U字状、いわゆるアーチ状に形成することが可能である。この場合、連結部71は、挟持搬送ベルト44で搬送される茎葉部が接触せず、茎葉部の搬送の妨げにならない。また、連結部71で連結しない場合に比べて、引き起こし支持アーム22どうしを連結することで、全体の補強をすることができる。
【0073】
なお、連結部71は、左右の引き起こし支持アーム22に対して、例えば、上方からボルトで締結する方法で固定する方式とすることで、連結部71を取り外す必要がある場合に、容易に取り外すことが可能である。
【0074】
図9は実施例の作物引抜機におけるスタンドの説明図であり、
図9Aは取り外された状態の説明図、
図9Bは作物の転倒抑制状態の説明図、
図9Cは収納状態の説明図である。
【0075】
図9において、実施例の作物引抜機1では、後輪伝動ケース6の前面にスタンド支持部材121が支持されている。実施例のスタンド支持部材121は、前方が開放された半円筒状に形成されている。スタンド支持部材121には、後部に支持孔121aが形成されている。
【0076】
スタンド支持部材121には、スタンド122が着脱可能に支持される。スタンド122は、棒状の長アーム部123と、長アーム部123の一端から垂直方向に延びる短アーム部124とを有する。したがって、実施例のスタンド122は、略L字状に形成されている。長アーム部123の先端部には、第1の装着孔123aが形成されている。長アーム部123の基端部には、第2の装着孔123bが形成されている。短アーム部124の先端部には、第3の装着孔124aが形成されている。第1の装着孔123aおよび第2の装着孔123bと、第3の装着孔124aとは、各アーム部123,124を貫通する方向が90°交差している。
【0077】
図9Aに示すように、第1の装着孔123aと支持孔121aを締結部材126で貫通して、スタンド122をスタンド支持部材121に支持した状態では、短アーム部124が圃場面に接地可能である。したがって、作物引抜機1を停止した状態で支持する脚部としてスタンド122が機能する。よって、例えば、圃場の畝の幅等に応じて、後輪8どうしの間隔を調整する場合、スタンド122で作物引抜機1を起立状態で保持し、後輪伝動ケース6や後輪8の幅方向の位置を調整することも可能である。
【0078】
また、
図9Bに示すように、第3の装着孔124aで支持孔121aに締結した場合、作物引き抜き作業中に、茎葉部切断後に落下する大根等の作物が倒れそうになっても、長アーム部123がガイドとなって、大根等の転倒を抑制することも可能である。
【0079】
なお、実施例では、第3の装着孔124aでスタンド122が装着された状態では、長アーム部123が前後方向に対してほぼ平行な状態となるように設定されているが、これに限定されない。第3の装着孔124aの貫通方向を変化させることで、長アーム部123を幅方向右側または左側に傾斜させることも可能である。
【0080】
図9Cにおいて、第2の装着孔123bで支持孔121aに締結した場合、作物引抜機1を倉庫等に片付ける場合に、スタンド122を収納した状態とすることも可能である。
【0081】
実施例のスタンド支持部材121は、前方が開放された半円筒状に形成されており、スタンド122を前方に引き出して着脱することが可能である。前方が閉じられた半円筒状の場合、すなわち、スタンド支持部材121が前後逆向きに後輪伝動ケース6に装着された場合に比べて、スタンド122の着脱作業が容易になっている。
【0082】
なお、実施例のスタンド122には、第1の装着孔123a~第3の装着孔124aの3つの孔を形成する場合を例示したが、これに限定されず、目的や用途に応じて、孔の数を増減することも可能である。
【0083】
【0084】
図10において、実施例の作物引抜機1のアクチュエータ74,84,93では、各軸73a,84b,92aの先端部に雄ねじ部131が設けられている。被調整側75,17,94の先端部には雌ねじ部132が形成されており、雄ねじ部131がねじ嵌合されている。したがって、各軸73a,84b,92aが回転すると、雄ねじ部131と雌ねじ部132とのネジ嵌合で被調整側75,17,94が軸方向に変動し、調整される。よって、アクチュエータ74,84,93全体としては、軸方向の長さが変化している。
【0085】
図10Aにおいて、実施例のアクチュエータ74,84,93では、各軸73a,84b,92aに止め輪133が支持されており、被調整側75,17,94には、抜け止め部134が支持されている。したがって、各ハンドル部73,83,92を回しすぎても、止め輪133が抜け止め部134に引っかかる。よって、雄ねじ部131が雌ねじ部132から脱落することが抑制される。
【0086】
図10Aにおいて、各軸73a,84b,92aの途中に衝撃吸収部136を設けることも可能である。衝撃吸収部136を設けることで、作業時の車輪8,18等の負荷が、走行トランスミッション3やエンジン4等にかかることを低減できる。
【0087】
図10Bにおいて、衝撃吸収部136は、一例として、各軸73a,84b,92aの途中に、負荷吸収部材の一例としての皿状のバネ137を向かい合わせたものを1組として、複数組設置した構成とすることが可能である。この構成とすることで、各軸73a,84b,92aの軸方向への衝撃は、皿状のバネ137の中央部137aが軸方向に弾性変形することで吸収できるとともに、各軸73a,84b,92aの回転を伝達することができる。
【0088】
図10Cにおいて、衝撃吸収部136は、他の例として、各軸73a,84b,92aの一方138にキー138aを設け、他方139にキー溝139aを形成すると共に、各軸73a,84b,92aの一方138と他方139との間に、負荷吸収部材の一例としてのバネ140を装着する構成とすることも可能である。この構成とすることで、各軸73a,84b,92aの軸方向への衝撃を吸収できるとともに、回転を伝達することができる。
【0089】
なお、実施例では、後輪調整用のアクチュエータ93が左右個別に設置されており、左右の後輪8をそれぞれ独立して調整することが可能になっている。したがって、圃場や路面の状態(畝の間隔や高さ等)に応じて設定できる。よって、作物引抜機1が水平に対して傾斜して、作物の引き抜き時に斜めに引き抜いて、作物が折れたり等の問題が発生することを抑制できる。
【0090】
また、各アクチュエータ74,84,93において、皿状のバネ137の個数や弾性係数の大きさ、バネ140の弾性係数の大きさは、設計や仕様等に応じて、任意に変更可能である。よって、作物引抜機1の出荷前や保守点検時等に、交換等することで、衝撃の吸収能力を調整可能である。
【0091】
さらに、実施例の作物引抜機1において、メインフレーム2の外側に、走行トランスミッション3や引抜装置21、型揃え装置51の側方を覆うカバーを着脱可能に設けることも可能である。このようなカバーを設けることで、作業者が誤って引抜装置21や型揃え装置51等に手を入れて、事故等が発生することを抑制できる。なお、このカバーを着脱することで、引抜装置21や型揃え装置51の保守点検や清掃、内部に詰まった茎葉部の除去等が可能である。
【0092】
また、カバー全体を着脱可能にする構成に限定されず、カバーの走行トランスミッション3に対応する位置に蓋や扉を設けて、カバー全体を着脱しなくても走行トランスミッション3のメンテナンスができるように構成することも可能である。
【0093】
図11は実施例の作物引抜機において積載台を設けた場合の説明図であり、
図11Aは概略図、
図11Bは積載台の移動機構の説明図である。
【0094】
図11において、引抜装置21の左側の保護カバー111の上面には、積載台151が支持されている。実施例の作物引抜機1は、積載台151に収穫された作物を載せた状態で走行可能に構成されている。したがって、作業者が引き抜き作業を行いながら作物の回収作業も行うことができ、作物の収穫作業に要する時間と労力の軽減が図られる。
【0095】
また、ボルト等が飛び出ている場所のある引抜装置21の上面にそのまま作物を載せる場合に比べて、引抜装置21の上面の積載台151に載せることで、収穫された作物を傷つけることが低減される。
【0096】
また、実施例の積載台151は、挟持搬送ベルト44の搬送領域44aを塞がないように、搬送領域44aに対して左側に配置されている。したがって、引抜装置21での作業を積載台151が妨げることが防止されている。
【0097】
さらに、積載台151の前端(下端)は、引き起こし支持アーム22の上端に対応して配置されている。したがって、積載台151に積載された作物が、積載台151の傾斜(引抜装置21の傾斜)に沿って前方に移動しようとしても、引き起こし支持アーム22がストッパとなり、作物の移動が抑えられる。よって、別個にストッパを設ける場合に比べて、部品点数の削減も図られる。
【0098】
また、実施例の積載台151には、左端から上方に延びる側板152が支持されている。したがって、側板152を設けない場合に比べて、作物が左方から落下することが防止される。なお、側板152は、右側に設けることも可能であり、両側に設ける構成とすることも可能である。
【0099】
さらに、実施例の積載台151は、網目状(メッシュ状)に形成されており、積載台151の上に泥やゴミ等が乗っても、網目から落下させることができる。
【0100】
図11Bにおいて、実施例の積載台151は、固定部151aと可動部151bとを有し、可動部151bは固定部151aに対して左右方向に移動可能に支持されている。なお、側板152は可動部151bに支持されている。したがって、可動部151bを左方に引き出すことで、作物が積載可能な面積を広げることができる。
【0101】
また、使用後は可動部151bを右方に収納することで、作物引抜機1の機体幅を小さくすることができる。
【0102】
さらに、側板152は、積載台151に対して、ヒンジ等で、起立状態と倒伏状態との間で移動可能な構成とすることも可能である。このように構成した場合、作物を積載台151に積み込む際には、起立状態として落下を防止し、作物を積載台151から下ろす際には、倒伏状態として、積み下ろしを容易にすることができる。
【0103】
他にも、側板152全体を開閉する構成に限定されず、側板152に開口を設け、開口を開閉可能な蓋や扉を設ける構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0104】
1…作物引抜機、
2…機体、
4…駆動装置、
6…走行伝動ケース
8,18…車輪
21…引抜装置
22…引き起こし支持部材
26…引き起こし装置
44a…搬送領域
46…茎葉案内部材
61…切断部
72…引き起こし調節装置
91~94…車高調節装置
102…振動部材
111…保護カバー
137,140…負荷吸収部材
151…積載台