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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20231219BHJP
   G03B 17/08 20210101ALN20231219BHJP
   G03B 17/02 20210101ALN20231219BHJP
【FI】
G02B7/02 D
G02B7/02 Z
G03B17/08
G03B17/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021501657
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2019051521
(87)【国際公開番号】W WO2020174876
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2019032584
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】高田 悠一郎
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-173240(JP,A)
【文献】特開2001-004895(JP,A)
【文献】特開2000-199841(JP,A)
【文献】特開2014-142374(JP,A)
【文献】特開2015-022002(JP,A)
【文献】特開2010-156734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G03B 17/08
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向が光軸方向にされ内部空間が配置空間として形成されると共に被写体側の端部が固定用端部として設けられた外筒と、
前記配置空間に配置されレンズを保持する環状のレンズ保持部と、
前記固定用端部に固定される固定部と弾性変形可能にされ前記レンズ保持部の外周面に押し当てられる押当部を有し環状に形成された弾性体とを備え
前記固定部に前記固定用端部の先端面を覆う第1の部分と前記固定用端部の外周面に固定される第2の部分とが設けられた
レンズ鏡筒。
【請求項2】
前記固定部に少なくとも前記固定用端部の先端面に固定される第1の部分が設けられた
請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記弾性体における前記押当部と前記固定部の間の部分が前記配置空間に位置される連結部として設けられ、
前記外筒の内周面と前記連結部との間に充填材が設けられた
請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記外筒の内周面と前記連結部の外周面とが前記充填材に接着された
請求項3に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記弾性体における前記押当部と前記固定部の間の部分が前記配置空間に位置される連結部として設けられ、
前記弾性体には前記連結部から内周側に突出する環状の突部が設けられた
請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記押当部には、前記レンズ保持部の外周面に押し当てられる接触部と、前記接触部の被写体と反対側の一端に連続され前記接触部に対して前記外筒の内周面に近付く方向へ屈曲された屈曲部とが設けられた
請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記レンズ保持部が環状のレンズ枠と前記レンズを前記レンズ枠に押し付け被写体側の端部が前記レンズ枠より被写体側に位置された押さえ環とを有し、
前記押当部が前記押さえ環の外周面に押し当てられた
請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
光学像を取り込むレンズ鏡筒と取り込まれた光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備え、
前記レンズ鏡筒は、
軸方向が光軸方向にされ内部空間が配置空間として形成されると共に被写体側の端部が固定用端部として設けられた外筒と、
前記配置空間に配置されレンズを保持する環状のレンズ保持部と、
前記固定用端部に固定される固定部と弾性変形可能にされ前記レンズ保持部の外周面に押し当てられる押当部を有し環状に形成された弾性体とを備え
前記固定部に前記固定用端部の先端面を覆う第1の部分と前記固定用端部の外周面に固定される第2の部分とが設けられた
撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、外筒の内部にレンズを保持するレンズ保持部が配置されたレンズ鏡筒及び撮像装置についての技術分野に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【文献】特開2006-201250号公報
【背景技術】
【0003】
ビデオカメラやスチルカメラ等の各種の撮像装置にはレンズ等の撮影光学系を介して光学像を取り込むレンズ鏡筒が設けられ、レンズ鏡筒が光軸方向に並ぶ複数のレンズ群を有する構成にされているものがある。また、撮像装置にはレンズ鏡筒が設けられておらず、撮像装置に着脱可能にされた交換レンズ等がレンズ鏡筒として用いられる場合もある。
【0004】
このようなレンズ鏡筒においては、内部への塵や水の侵入を防止するために、円環状のシーリング材を化粧環によって光軸方向に圧縮して取り付けることにより、レンズを保持する一群鏡筒(レンズ保持部)とフィルター枠(外筒)との隙間を充填するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レンズ鏡筒においては、光学性能を確保するために、例えば、外筒に対するレンズの位置を光軸に直交する適正な位置に調整するシフト調整が行われる場合があり、シフト調整はレンズが保持されたレンズ保持部を外筒に対して光軸に直交する方向へ変位させることにより行われる。
【0006】
従って、シフト調整を行った結果、外筒の中心軸に対してレンズの光軸が径方向においてずれてしまい、外筒とレンズ保持部の間の隙間が周方向において部分的に異なり、レンズ鏡筒を被写体側から視認したときの外観品位が損なわれるおそれがある。
【0007】
また、レンズ鏡筒においては、製造上の部品公差によっても隙間の大きさが周方向において部分的に異なる場合もあり、このような状態も外観品位の低下の一因になるおそれがある。
【0008】
一方、外筒とレンズ保持部の間の隙間は外部からのレンズ鏡筒への塵埃や水分の侵入経路になり得るため、レンズ鏡筒においては防塵及び防水対策を施すことも必要にされている。
【0009】
そこで、本技術レンズ鏡筒及び撮像装置は、上記した問題点を克服し、外観品位の向上及び防塵防滴性能の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1に、本技術に係るレンズ鏡筒は、軸方向が光軸方向にされ内部空間が配置空間として形成されると共に被写体側の端部が固定用端部として設けられた外筒と、前記配置空間に配置されレンズを保持する環状のレンズ保持部と、前記固定用端部に固定される固定部と弾性変形可能にされ前記レンズ保持部の外周面に押し当てられる押当部を有し環状に形成された弾性体とを備え、前記固定部に前記固定用端部の先端面を覆う第1の部分と前記固定用端部の外周面に固定される第2の部分とが設けられたものである。
【0011】
これにより、外筒とレンズ保持部の間の隙間が弾性体によって封止され、レンズ鏡筒が被写体側から視認されときの周方向における隙間の大きさの相違が認識され難くなる。また、固定用端部の外周面に第2の部分が固定されるため、弾性体の外筒に対する固定範囲を大きくすることが可能になる。
【0012】
第2に、上記したレンズ鏡筒においては、前記固定部に少なくとも前記固定用端部の先端面に固定される第1の部分が設けられることが望ましい。
【0013】
これにより、外筒の先端面が第1の部分によって覆われる状態にされる。
【0016】
第4に、上記したレンズ鏡筒においては、前記弾性体における前記押当部と前記固定部の間の部分が前記配置空間に位置される連結部として設けられ、前記外筒の内周面と前記連結部との間に充填材が設けられることが望ましい。
【0017】
これにより、連結部と固定用端部の間の空間が充填材によって埋められる。
【0018】
第5に、上記したレンズ鏡筒においては、前記外筒の内周面と前記連結部の外周面とが前記充填材に接着されることが望ましい。
【0019】
これにより、充填材を介して外筒と押当部が接着される。
【0020】
第6に、上記したレンズ鏡筒においては、前記弾性体における前記押当部と前記固定部の間の部分が前記配置空間に位置される連結部として設けられ、前記弾性体には前記連結部から内周側に突出する環状の突部が設けられることが望ましい。
【0021】
これにより、突部によってレンズ保持部を被写体側から覆うことが可能になる。
【0022】
第7に、上記したレンズ鏡筒においては、前記押当部には、前記レンズ保持部の外周面に押し当てられる接触部と、前記接触部の被写体と反対側の一端に連続され前記接触部に対して前記外筒の内周面に近付く方向へ屈曲された屈曲部とが設けられるのが望ましい。
【0023】
これにより、結合環がベース筒に光軸方向において組み付けられるときに、屈曲部がレンズ保持部の先端に案内される被案内部として機能する。
【0024】
第8に、上記したレンズ鏡筒においては、前記レンズ保持部が環状のレンズ枠と前記レンズを前記レンズ枠に押し付け被写体側の端部が前記レンズ枠より被写体側に位置された押さえ環とを有し、前記押当部が前記押さえ環の外周面に押し当てられることが望ましい。
【0025】
これにより、配置空間において押当部を外筒の中心軸側に近付けて位置させることが可能になる。
【0026】
第9に、本技術に係る撮像装置は、光学像を取り込むレンズ鏡筒と取り込まれた光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備え、前記レンズ鏡筒は、軸方向が光軸方向にされ内部空間が配置空間として形成されると共に被写体側の端部が固定用端部として設けられた外筒と、前記配置空間に配置されレンズを保持する環状のレンズ保持部と、前記固定用端部に固定される固定部と弾性変形可能にされ前記レンズ保持部の外周面に押し当てられる押当部を有し環状に形成された弾性体とを備え、前記固定部に前記固定用端部の先端面を覆う第1の部分と前記固定用端部の外周面に固定される第2の部分とが設けられたものである。
【0027】
これにより、外筒とレンズ保持部の間の隙間が弾性体によって封止され、レンズ鏡筒が被写体側から視認されときの周方向における隙間の大きさの相違が認識され難くなる。また、固定用端部の外周面に第2の部分が固定されるため、弾性体の外筒に対する固定範囲を大きくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図2乃至図14と共に本技術レンズ鏡筒及び撮像装置の実施の形態を示すものであり、本図は、レンズ鏡筒と装置本体を分離して示す撮像装置の斜視図である。
図2】レンズ鏡筒の一部を示す拡大断面図である。
図3】固定用端部と弾性体の間の隙間が小さくされた状態を示す拡大断面図である。
図4】固定用端部と弾性体の間の隙間が大きくされた状態を示す拡大断面図である。
図5】押当部がレンズ枠に押し当てられた状態を示す拡大断面図である。
図6】結合環等がベース筒に組み付けられる前の状態を示す拡大断面図である。
図7】弾性体に関する第1の構成例を示す拡大断面図である。
図8】弾性体に関する第2の構成例を示す拡大断面図である。
図9】弾性体に関する第3の構成例を示す拡大断面図である。
図10】撮像装置のブロック図である。
図11】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図12図11に示すカメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図13】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図14】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本技術を実施するための形態を添付図面を参照して説明する。
【0030】
以下に示す実施の形態は、本技術撮像装置をスチルカメラに適用し、本技術レンズ鏡筒をこのスチルカメラの装置本体に対して着脱可能な交換レンズに適用したものである。
【0031】
尚、本技術の適用範囲はスチルカメラ、スチルカメラの装置本体に対して着脱可能な交換レンズに限られることはない。本技術は、例えば、撮像装置としてビデオカメラや他の機器に組み込まれる各種の撮像装置、これらの撮像装置に設けられるレンズ群等により構成されるレンズユニット等のレンズ鏡筒に広く適用することができる。
【0032】
以下の説明にあっては、スチルカメラの撮影時において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側が前方となり、撮影者側が後方となる。
【0033】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0034】
また、以下に示すレンズ群は、単数又は複数のレンズにより構成されたものの他、これらの単数又は複数のレンズと絞りやアイリス等の他の光学素子を含んでもよい。
【0035】
<撮像装置の構成>
撮像装置100は装置本体200とレンズ鏡筒1によって構成されている(図1参照)。レンズ鏡筒1は、例えば、装置本体200に着脱可能な交換レンズである。尚、本技術は、装置本体の内部にレンズ鏡筒1の内部構造と同様の構造を有するレンズユニットが組み込まれたタイプやこのレンズユニットが装置本体に対して突出又は収納される沈胴タイプにも適用することが可能である。
【0036】
装置本体200は外筐201の内外に所要の各部が配置されて成る。
【0037】
外筐201には、例えば、上面や後面に各種の操作部202、202、・・・が配置されている。操作部202、202、・・・としては、例えば、電源釦、シャッター釦、ズーム摘子、モード切替摘子等が設けられている。
【0038】
外筐201の後面には図示しないディスプレイ(表示部)が配置されている。
【0039】
外筐201の前面には円形状の開口201aが形成され、開口201aの周囲の部分がレンズ鏡筒1を装着するためのマウント部203として設けられている。
【0040】
外筐201の内部にはCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子204が配置され、撮像素子204は開口201aの後方に位置されている。
【0041】
<レンズ鏡筒の構成>
レンズ鏡筒1は軸方向が前後方向にされた略円筒状の外筒2と外筒2の内外に取り付けられ又は支持された所要の各部とから成る(図1及び図2参照)。
【0042】
外筒2は略円筒状に形成されたベース筒3とベース筒3の前端部に結合された結合環4とを有している。外筒2の内部空間は配置空間2aとして形成されている。
【0043】
レンズ鏡筒1には光軸方向に離隔して位置された複数のレンズ群が配置空間2aに配置され、レンズ群は光軸方向へ移動可能な可動群と光軸方向へ移動不能な固定群とによって構成されている。レンズ群のうち一つのレンズ群は、ぶれ補正を行うために光軸方向に直交する方向へ移動可能なシフトレンズ群として設けられていてもよい。
【0044】
ベース筒3には外周側に操作リング5、5が回転可能に支持されている。操作リング5を回転操作することにより、例えば、マニュアルズーミングやマニュアルフォーカシングを行うことが可能である。ベース筒3の後端部にはマウント用突部6、6、6が周方向に離隔して設けられている。レンズ鏡筒1はマウント用突部6、6、6がマウント部203に係合されることにより、装置本体2に装着される。
【0045】
ベース筒3の外周面における前端寄りの部分はねじ止め部3aとして形成されている。
【0046】
結合環4は前端部が固定用端部7として設けられ後端部が結合用端部8として設けられている。固定用端部7は結合用端部8より内周側、即ち、結合環4の中心軸側に位置されている。結合環4は結合用端部8がベース筒3に外周側から結合される。結合用端部8の内周面における後端部は螺溝部8aとして形成されている。
【0047】
固定用端部7には弾性体9が固定されている。弾性体9は、例えば、ゴム材料によって環状に形成されている。尚、弾性体9はゴム材料以外の弾性を有する材料によって形成されていてもよい。
【0048】
弾性体9は固定部10と連結部11と押当部12が一体に形成されて成り、固定部10と連結部11と押当部12が順に連続されて形成されている。
【0049】
固定部10は前側に位置された第1の部分13と第1の部分13の外周部から略後方に突出された第2の部分14とによって構成され、第2の部分14の前後方向における幅が第1の部分13の径方向における幅より大きくされている。固定部10は前後方向における幅が結合環4における固定用端部7の前後方向における幅と略同じにされている。
【0050】
連結部11は固定部10の第1の部分13と押当部12とを連結する部分であり、第1の部分13の内周部から略後方に突出されている。従って、連結部11は固定部10における第2の部分14の内周側に位置されている。
【0051】
押当部12は連結部11の後端に連続して設けられ、連結部11に連続された接触部15と接触部15の後端に連続され接触部15に対して固定部10側に屈曲された屈曲部16とから成る。押当部12と連結部11は固定部10の内周側に位置され、固定部10の後端の内周側に押当部12が位置されている。押当部12及び連結部11と固定部10との間には挿入空間9aが形成されている。
【0052】
弾性体9は、例えば、固定部10における第2の部分14の内周面14aが結合環4における固定用端部7の外周面7aに接した状態で接着等によって固定用端部7に固定される。弾性体9が固定用端部7に固定された状態においては、挿入空間9aに固定用端部7が挿入され、固定部10の第1の部分13と第2の部分14によってそれぞれ前側と外周側から固定用端部7が覆われ、連結部11と押当部12によって内周側から固定用端部7が覆われる。固定用端部7と連結部11及び押当部12との間には挿入空間9aにおいて隙間が形成され、連結部11と押当部12はこの隙間分だけ固定部10に近付く方向へ弾性変形可能にされる。
【0053】
上記のように、レンズ鏡筒1にあっては、固定部10に第1の部分13と第2の部分14が設けられている。従って、固定用端部7の先端面7bが第1の部分13によって覆われると共に固定用端部7の外周面7aに第2の部分14が固定されるため、弾性体9の外筒2に対する固定範囲を大きくすることが可能になり、落下や衝撃等が生じたときに外筒2を十分に保護することができると共に外筒2からの弾性体9の脱落を防止することができる。
【0054】
尚、弾性体9は第2の部分14に加えて第1の部分13が固定用端部7に固定されてもよい。この場合には第1の部分13が固定用端部7の先端面7bに接着等によって固定される。
【0055】
このように第1の部分13と第2の部分14の何れもが固定用端部7に固定されることにより、固定部10の固定用端部7に対する固定面積が大きくなり、弾性体9の固定用端部7に対する固定強度を高くすることができる。
【0056】
外筒2の配置空間2aにはレンズ保持部17が配置されている。レンズ保持部17はレンズ枠18と押さえ環19を有し、レンズ枠18に押さえ環19が、例えば、螺合されることにより結合されている。
【0057】
レンズ枠18は略前後方向を向くベース部20とベース部20の外周部から前方に突出された周面部21とを有している。ベース部20には外周部を除く部分に光透過孔20aが形成されている。周面部21の内周面には螺合部21aが形成されている。
【0058】
押さえ環19は略円筒状に形成され、外周面における後端寄りの部分にねじ込み部19aが形成されている。押さえ環19の外周面における前端部は被押さえ面19bとして形成されている。
【0059】
レンズ保持部17にはレンズ22が保持されている。レンズ22は配置空間2aに配置された最も前側のレンズ群に相当する。
【0060】
レンズ22はレンズ保持部17にレンズ枠18と押さえ環19に挟持されることにより保持されている。レンズ22のレンズ保持部17による保持は、レンズ22がベース部20の外周部における前面に押し当てられた状態で押さえ環19が回転されてねじ込み部19aがレンズ枠18の螺合部21aに螺合されることにより、押さえ環19がレンズ22に近付く方向へ移動され押さえ環19の後面がレンズ22の外周部における前面に押し当てられることにより行われる。従って、レンズ22は外周部が押さえ環19の後面とベース部20の前面とによって挟持され、レンズ保持部17に保持される。また、レンズ22は外周面が周面部21の内周面に押さえられてレンズ保持部17に保持される。尚、ベース部20とレンズ22の間に環状のスペーサーを挟み込むことで、レンズ22の光軸方向における位置を調整することが可能にされている。
【0061】
レンズ保持部17における押さえ環19の被押さえ面19bには弾性体9の押当部12における接触部15が外側から押し当てられている。弾性体9は連結部11と押当部12が固定部10に対して弾性変形可能であり、接触部15は固定部10側に弾性変形された状態で内周面15aが被押さえ面19bに押し当てられる。従って、接触部15は全周において内周面15aが被押さえ面19bに密着された状態で押し当てられる。
【0062】
接触部15の内周面15aが押さえ環19の被押さえ面19bに押し当てられた状態においては、連結部11が後方へ行くに従って外筒2の中心軸に近付く方向へ傾斜されている。
【0063】
<弾性体のレンズ保持部に対する作用>
上記のように、レンズ保持部17は外筒2の配置空間2aに配置されるが、レンズ鏡筒1においては、光学性能を確保するために、外筒2に対するレンズ22の位置を光軸に直交する適正な位置に調整するシフト調整が行われる。シフト調整はレンズ22が保持されたレンズ保持部17を外筒2に対して光軸に直交する方向へ変位させることにより行われる。
【0064】
シフト調整を行った結果、外筒2の中心軸に対してレンズ22の光軸が径方向においてずれる可能性があるが、外筒2の中心軸に対してレンズ22の光軸が径方向においてずれた場合には、外筒2とレンズ保持部17の間の隙間Pが周方向において部分的に異なる(図3及び図4参照)。尚、図3及び図4は、理解を容易にするために、外筒2とレンズ保持部17の間の隙間Pが周方向において部分的に異なる状態を上側の隙間Pと下側の隙間Pで大きく異なるように誇張して示している。
【0065】
また、レンズ鏡筒1においては、製造上の部品公差によっても外筒2とレンズ保持部17の間の隙間Pの大きさが周方向において部分的に異なる場合もある。
【0066】
しかしながら、レンズ鏡筒1においては、上記したように、レンズ保持部17における押さえ環19の被押さえ面19bに弾性体9の接触部15の内周面15aが外側から全周において被押さえ面19bに密着された状態で押し当てられている。従って、隙間Pが弾性体9によって封止され、レンズ鏡筒1が被写体側から視認されたときには連結部11の周方向における各部の傾斜角度が異なるだけであるため、隙間Pが周方向において部分的に異なる状態であることが外観として認識され難く、レンズ鏡筒1が被写体側から視認されたときの周方向における隙間Pの大きさの相違が認識され難い。
【0067】
また、弾性体9によって隙間Pが封止されているため、隙間Pが外部からのレンズ鏡筒1への塵埃や水分の侵入経路にならず、外筒2とレンズ保持部17の間から塵埃や水分が侵入しない。
【0068】
<まとめ>
以上に記載した通り、レンズ鏡筒1にあっては、外筒2における被写体側の端部である固定用端部7に固定される固定部10と配置空間2aに位置され弾性変形可能な押当部12とを有し環状に形成された弾性体9を備え、押当部12がレンズ保持部17の外周面に押し当てられている。
【0069】
従って、外筒2とレンズ保持部17の間の隙間Pが弾性体9によって封止され、レンズ鏡筒1が被写体側から視認されときの周方向における隙間Pの大きさの相違が認識され難く、外観品位の向上を図ることができる。
【0070】
また、弾性体9によって隙間Pが封止されているため、外筒2とレンズ保持部17の間から塵埃や水分が侵入せず、防塵防滴性能の向上を図ることができる。
【0071】
さらに、隙間Pを封止するためのシーリング材に加えて隙間Pを被写体側から覆い隠すための化粧環を必要としないため、部品点数の削減を図った上で外観品位の向上及び防塵防滴性能の向上を図ることができる。
【0072】
さらにまた、外筒2に対するレンズ22の位置を調整するシフト調整が行われた状態においても外観品位の低下を来すことがないため、外観品位の向上を図った上でシフト調整による光学性能の向上を図ることができる。
【0073】
加えて、一般に、押さえ環19は外周面がレンズ枠18の外周面より内側に位置されることが多く、外周面がレンズ枠18の外周面より内側に位置される押さえ環19に押当部12が押し当てられるため、配置空間2aにおいて押当部12を外筒2の中心軸側に近付けて位置させることが可能になり、レンズ鏡筒1の小型化を図ることができる。
【0074】
尚、上記には、押さえ環19に押当部12が押し当てられる例を示したが、レンズ鏡筒1においては、押さえ環19の全体がレンズ枠18の内側に位置される構成も存在し、このような構成の場合にはレンズ枠18の外周面に押当部12が押し当てられてもよい(図5参照)。また、押さえ環19の一部がレンズ枠18の前側に位置される構成(図2参照)においても、連結部11の前後方向における長さを長くしてレンズ枠18の外周面に押当部12が押し当てられる構成にすることも可能である。
【0075】
また、弾性体9の弾性力を高くするためには、押当部12の前後方向における位置がより後方側に位置されることが望ましく、このような構成にするためには、外筒2の前端から押さえ環19の前端までの距離L(図2参照)が長くされることが望ましい。
【0076】
<レンズ鏡筒における弾性体の組付>
レンズ鏡筒1においては、外筒2と弾性体9とレンズ保持部17の相互の良好な組付作業を行うために、例えば、ベース筒3の内部にレンズ22が保持されたレンズ保持部17を配置した状態において、弾性体9が固定された結合環4がベース筒3に前方から組み付けられる(図6参照)。
【0077】
結合環4がベース筒3に前側から組み付けられるときには、例えば、結合環4が回転されて螺溝部8aがベース筒3のねじ止め部3aに螺合されることにより結合環4がベース筒3に結合される。
【0078】
このとき、同時に、弾性体9の押当部12が押さえ環19の前端に接するが、押当部12には接触部15に対して固定部10側に屈曲された屈曲部16が設けられているため、屈曲部16が押さえ環19の前端に案内され接触部15が押さえ環19の外周面に乗り上げる。従って、接触部15が押さえ環19の被押さえ面19bに外側から押し当てられる。
【0079】
このように弾性体9には接触部15に対して固定部10側に屈曲された屈曲部16が設けられているため、屈曲部16がレンズ保持部17の先端に案内される被案内部として機能し、外筒2と弾性体9とレンズ保持部17の組付を適正かつ迅速に行うことができる。
【0080】
<他の構成例>
以下に、弾性体9に関する他の構成例について説明する(図7乃至図9参照)。
【0081】
第1の構成例は、弾性体9に代えて第2の部分14が設けられていない弾性体9Aが用いられた例である(図7参照)。従って、弾性体9Aは固定部10Aが第1の部分13のみによって構成され、第1の部分13が固定用端部7の先端面7bに固定されている。
【0082】
このように弾性体9Aは固定部10Aが第1の部分13のみによって構成され第1の部分13が固定用端部7の先端面7bに固定されているため、外筒2の先端面が第1の部分13によって覆われる状態にされ、落下や衝撃等が生じたときに外筒2を保護することができる。
【0083】
また、固定部10Aが第1の部分13のみによって構成されているため、弾性体9Aの製造コストが低減されると共に弾性体9Aが簡素な構成であり、製造コストの低減及び構成の簡素化を図った上で外観品位の向上及び防塵防滴性能の向上を図ることができる。
【0084】
第2の構成例は、弾性体9の連結部11と結合環4における固定用端部7の内周面7cとの間に充填材30が配置された例である(図8参照)。
【0085】
充填材30としては、クッション性を有する材料、例えば、ゴム材料やウレタン材料等が用いられる。
【0086】
このように連結部11と固定用端部7の内周面7cとの間に充填材30が配置されることにより、連結部11と固定用端部7の間に形成された挿入空間9aが充填材30によって埋められるため、弾性体9の外筒2に対する弾性力が充填材30によって補強される。従って、連結部11の過度の変形を防止することができると共に押当部12によるレンズ保持部17に対する良好な押し当て状態を確保することができる。
【0087】
また、上記した第2の構成例においては、連結部11の内周面11aと固定用端部7の内周面7cとが充填材30に、例えば、両面テープ等によって接着されてもよい。
【0088】
連結部11の内周面11aと固定用端部7の内周面7cとが充填材30に接着されることにより、充填材30を介して外筒2と押当部12が接着されるため、弾性体9が外筒2の内周面から離隔する方向へ変位し難くなり、押当部12を配置空間2aに安定した状態で保持することができる。
【0089】
第3の構成例は、弾性体9に連結部11から内周側に突出する環状の突部40が設けられた例である(図9参照)。
【0090】
レンズ保持部17の押さえ環19はレンズ枠18とともにレンズ22を保持する機能を有し、押さえ環19はレンズ枠18に対して回転されることによりねじ込み部19aが螺合部21aに螺合されてレンズ22の前面に押し当てられる。従って、レンズ22がレンズ枠18と押さえ環19によって保持された状態において、万が一、使用者が外筒2の内部に手を挿入して押さえ環19を操作すると、レンズ22のレンズ枠18と押さえ環19による保持状態が解除されるおそれがある。
【0091】
そこで、上記したように、弾性体9に連結部11から内周側に突出する環状の突部40が設けられることにより、突部40によって押さえ環19を被写体側から覆うことが可能になるため、押さえ環19に手が触れ難くなり、押さえ環19のレンズ枠18に対する適正な位置を保持してレンズ22のレンズ保持部2による保持状態の解除を防止することができる。
【0092】
<その他>
上記には、レンズ保持部17がレンズ枠18と押さえ環19を有する構成にされたが、レンズ保持部17はレンズ枠18と押さえ環19が一体に形成されていてもよい。
【0093】
但し、レンズ保持部17がレンズ枠18と押さえ環19を有する構成にさることにより、レンズ枠18に対して押さえ環19を回転させレンズ枠19から取り外すことによりレンズ22を交換することが可能であり、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0094】
<撮像装置の一実施形態>
以下に、本技術撮像装置の一実施形態の構成例について説明する(図10参照)。
【0095】
撮像装置100は、撮像機能を担うレンズ鏡筒1と、撮影された画像信号のアナログ-デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部81と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部82とを有している。また、撮像装置100は、撮影された画像等を表示する表示部(ディスプレイ)83と、メモリー90への画像信号の書込及び読出を行うR/W(リーダ/ライタ)84と、撮像装置100の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)85と、ユーザーによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等の操作部202と、レンズ鏡筒1に配置されたレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部86とを備えている。
【0096】
撮像装置100には、レンズ鏡筒1によって取り込まれた光学像を電気的信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子204が設けられている。
【0097】
カメラ信号処理部81は、撮像素子204からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
【0098】
画像処理部82は、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理等を行う。
【0099】
表示部83はユーザーの操作部202に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデータを表示する機能を有している。尚、撮像装置100においては、表示部83が設けられていなくてもよく、撮影された画像データが他の表示装置に送出されて画像が表示されるように構成されていてもよい。
【0100】
R/W84は、画像処理部82によって符号化された画像データのメモリー90への書込及びメモリー90に記録された画像データの読出を行う。
【0101】
CPU85は、撮像装置100に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能し、操作部202からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
【0102】
操作部202はユーザーによる操作に応じた指示入力信号をCPU85に対して出力する。
【0103】
レンズ駆動制御部86は、CPU85からの制御信号に基づいてレンズを移動させる駆動源を制御する。
【0104】
メモリー90は、例えば、R/W84に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリーである。
【0105】
以下に、撮像装置100における動作を説明する。
【0106】
撮影の待機状態では、CPU85による制御の下で、撮影された画像信号がカメラ信号処理部81を介して表示部83に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、操作部202からの指示入力信号が入力されると、CPU85がレンズ駆動制御部86に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部86の制御に基づいてレンズが移動される。
【0107】
操作部202からの指示入力信号により撮影動作が行われると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部81から画像処理部82に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換される。変換されたデータはR/W84に出力され、メモリー90に書き込まれる。
【0108】
メモリー90に記録された画像データを再生する場合には、操作部202に対する操作に応じて、R/W84によってメモリー90から所定の画像データが読み出され、画像処理部82によって伸張復号化処理が行われた後に、再生画像信号が表示部83に出力されて再生画像が表示される。
【0109】
<応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0110】
図11は、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システム5000の概略的な構成の一例を示す図である。図11では、術者(医師)5067が、内視鏡手術システム5000を用いて、患者ベッド5069上の患者5071に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム5000は、内視鏡5001と、その他の術具5017と、内視鏡5001を支持する支持アーム装置5027と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート5037と、から構成される。
【0111】
内視鏡手術では、腹壁を切って開腹する代わりに、トロッカ5025a~5025dと呼ばれる筒状の開孔器具が腹壁に複数穿刺される。そして、トロッカ5025a~5025dから、内視鏡5001の鏡筒5003や、その他の術具5017が患者5071の体腔内に挿入される。図示する例では、その他の術具5017として、気腹チューブ5019、エネルギー処置具5021及び鉗子5023が、患者5071の体腔内に挿入されている。また、エネルギー処置具5021は、高周波電流や超音波振動により、組織の切開及び剥離、又は血管の封止等を行う処置具である。ただし、図示する術具5017はあくまで一例であり、術具5017としては、例えば攝子、レトラクタ等、一般的に内視鏡下手術において用いられる各種の術具が用いられてよい。
【0112】
内視鏡5001によって撮影された患者5071の体腔内の術部の画像が、表示装置5041に表示される。術者5067は、表示装置5041に表示された術部の画像をリアルタイムで見ながら、エネルギー処置具5021や鉗子5023を用いて、例えば患部を切除する等の処置を行う。なお、図示は省略しているが、気腹チューブ5019、エネルギー処置具5021及び鉗子5023は、手術中に、術者5067又は助手等によって支持される。
【0113】
(支持アーム装置)
支持アーム装置5027は、ベース部5029から延伸するアーム部5031を備える。図示する例では、アーム部5031は、関節部5033a、5033b、5033c、及びリンク5035a、5035bから構成されており、アーム制御装置5045からの制御により駆動される。アーム部5031によって内視鏡5001が支持され、その位置及び姿勢が制御される。これにより、内視鏡5001の安定的な位置の固定が実現され得る。
【0114】
(内視鏡)
内視鏡5001は、先端から所定の長さの領域が患者5071の体腔内に挿入される鏡筒5003と、鏡筒5003の基端に接続されるカメラヘッド5005と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒5003を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡5001を図示しているが、内視鏡5001は、軟性の鏡筒5003を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0115】
鏡筒5003の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡5001には光源装置5043が接続されており、当該光源装置5043によって生成された光が、鏡筒5003の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者5071の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡5001は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0116】
カメラヘッド5005の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU:Camera Control Unit)5039に送信される。なお、カメラヘッド5005には、その光学系を適宜駆動させることにより、倍率及び焦点距離を調整する機能が搭載される。
【0117】
なお、例えば立体視(3D表示)等に対応するために、カメラヘッド5005には撮像素子が複数設けられてもよい。この場合、鏡筒5003の内部には、当該複数の撮像素子のそれぞれに観察光を導光するために、リレー光学系が複数系統設けられる。
【0118】
(カートに搭載される各種の装置)
CCU5039は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡5001及び表示装置5041の動作を統括的に制御する。具体的には、CCU5039は、カメラヘッド5005から受け取った画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。CCU5039は、当該画像処理を施した画像信号を表示装置5041に提供する。また、CCU5039は、カメラヘッド5005に対して制御信号を送信し、その駆動を制御する。当該制御信号には、倍率や焦点距離等、撮像条件に関する情報が含まれ得る。
【0119】
表示装置5041は、CCU5039からの制御により、当該CCU5039によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。内視鏡5001が例えば4K(水平画素数3840×垂直画素数2160)又は8K(水平画素数7680×垂直画素数4320)等の高解像度の撮影に対応したものである場合、及び/又は3D表示に対応したものである場合には、表示装置5041としては、それぞれに対応して、高解像度の表示が可能なもの、及び/又は3D表示可能なものが用いられ得る。4K又は8K等の高解像度の撮影に対応したものである場合、表示装置5041として55インチ以上のサイズのものを用いることで一層の没入感が得られる。また、用途に応じて、解像度、サイズが異なる複数の表示装置5041が設けられてもよい。
【0120】
光源装置5043は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部を撮影する際の照射光を内視鏡5001に供給する。
【0121】
アーム制御装置5045は、例えばCPU等のプロセッサによって構成され、所定のプログラムに従って動作することにより、所定の制御方式に従って支持アーム装置5027のアーム部5031の駆動を制御する。
【0122】
入力装置5047は、内視鏡手術システム5000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置5047を介して、内視鏡手術システム5000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、入力装置5047を介して、患者の身体情報や、手術の術式についての情報等、手術に関する各種の情報を入力する。また、例えば、ユーザは、入力装置5047を介して、アーム部5031を駆動させる旨の指示や、内視鏡5001による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示、エネルギー処置具5021を駆動させる旨の指示等を入力する。
【0123】
入力装置5047の種類は限定されず、入力装置5047は各種の公知の入力装置であってよい。入力装置5047としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、スイッチ、フットスイッチ5057及び/又はレバー等が適用され得る。入力装置5047としてタッチパネルが用いられる場合には、当該タッチパネルは表示装置5041の表示面上に設けられてもよい。
【0124】
あるいは、入力装置5047は、例えばメガネ型のウェアラブルデバイスやHMD(Head Mounted Display)等の、ユーザによって装着されるデバイスであり、これらのデバイスによって検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われる。また、入力装置5047は、ユーザの動きを検出可能なカメラを含み、当該カメラによって撮像された映像から検出されるユーザのジェスチャや視線に応じて各種の入力が行われる。更に、入力装置5047は、ユーザの声を収音可能なマイクロフォンを含み、当該マイクロフォンを介して音声によって各種の入力が行われる。このように、入力装置5047が非接触で各種の情報を入力可能に構成されることにより、特に清潔域に属するユーザ(例えば術者5067)が、不潔域に属する機器を非接触で操作することが可能となる。また、ユーザは、所持している術具から手を離すことなく機器を操作することが可能となるため、ユーザの利便性が向上する。
【0125】
処置具制御装置5049は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具5021の駆動を制御する。気腹装置5051は、内視鏡5001による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者5071の体腔を膨らめるために、気腹チューブ5019を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ5053は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ5055は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0126】
以下、内視鏡手術システム5000において特に特徴的な構成について、更に詳細に説明する。
【0127】
(支持アーム装置)
支持アーム装置5027は、基台であるベース部5029と、ベース部5029から延伸するアーム部5031と、を備える。図示する例では、アーム部5031は、複数の関節部5033a、5033b、5033cと、関節部5033bによって連結される複数のリンク5035a、5035bと、から構成されているが、図11では、簡単のため、アーム部5031の構成を簡略化して図示している。実際には、アーム部5031が所望の自由度を有するように、関節部5033a~5033c及びリンク5035a、5035bの形状、数及び配置、並びに関節部5033a~5033cの回転軸の方向等が適宜設定され得る。例えば、アーム部5031は、好適に、6自由度以上の自由度を有するように構成され得る。これにより、アーム部5031の可動範囲内において内視鏡5001を自由に移動させることが可能になるため、所望の方向から内視鏡5001の鏡筒5003を患者5071の体腔内に挿入することが可能になる。
【0128】
関節部5033a~5033cにはアクチュエータが設けられており、関節部5033a~5033cは当該アクチュエータの駆動により所定の回転軸まわりに回転可能に構成されている。当該アクチュエータの駆動がアーム制御装置5045によって制御されることにより、各関節部5033a~5033cの回転角度が制御され、アーム部5031の駆動が制御される。これにより、内視鏡5001の位置及び姿勢の制御が実現され得る。この際、アーム制御装置5045は、力制御又は位置制御等、各種の公知の制御方式によってアーム部5031の駆動を制御することができる。
【0129】
例えば、術者5067が、入力装置5047(フットスイッチ5057を含む)を介して適宜操作入力を行うことにより、当該操作入力に応じてアーム制御装置5045によってアーム部5031の駆動が適宜制御され、内視鏡5001の位置及び姿勢が制御されてよい。当該制御により、アーム部5031の先端の内視鏡5001を任意の位置から任意の位置まで移動させた後、その移動後の位置で固定的に支持することができる。なお、アーム部5031は、いわゆるマスタースレイブ方式で操作されてもよい。この場合、アーム部5031は、手術室から離れた場所に設置される入力装置5047を介してユーザによって遠隔操作され得る。
【0130】
また、力制御が適用される場合には、アーム制御装置5045は、ユーザからの外力を受け、その外力にならってスムーズにアーム部5031が移動するように、各関節部5033a~5033cのアクチュエータを駆動させる、いわゆるパワーアシスト制御を行ってもよい。これにより、ユーザが直接アーム部5031に触れながらアーム部5031を移動させる際に、比較的軽い力で当該アーム部5031を移動させることができる。従って、より直感的に、より簡易な操作で内視鏡5001を移動させることが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0131】
ここで、一般的に、内視鏡下手術では、スコピストと呼ばれる医師によって内視鏡5001が支持されていた。これに対して、支持アーム装置5027を用いることにより、人手によらずに内視鏡5001の位置をより確実に固定することが可能になるため、術部の画像を安定的に得ることができ、手術を円滑に行うことが可能になる。
【0132】
なお、アーム制御装置5045は必ずしもカート5037に設けられなくてもよい。また、アーム制御装置5045は必ずしも1つの装置でなくてもよい。例えば、アーム制御装置5045は、支持アーム装置5027のアーム部5031の各関節部5033a~5033cにそれぞれ設けられてもよく、複数のアーム制御装置5045が互いに協働することにより、アーム部5031の駆動制御が実現されてもよい。
【0133】
(光源装置)
光源装置5043は、内視鏡5001に術部を撮影する際の照射光を供給する。光源装置5043は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成される。このとき、RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置5043において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド5005の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0134】
また、光源装置5043は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド5005の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0135】
また、光源装置5043は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察するもの(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得るもの等が行われ得る。光源装置5043は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0136】
(カメラヘッド及びCCU)
図12を参照して、内視鏡5001のカメラヘッド5005及びCCU5039の機能についてより詳細に説明する。図12は、図11に示すカメラヘッド5005及びCCU5039の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0137】
図12を参照すると、カメラヘッド5005は、その機能として、レンズユニット5007と、撮像部5009と、駆動部5011と、通信部5013と、カメラヘッド制御部5015と、を有する。また、CCU5039は、その機能として、通信部5059と、画像処理部5061と、制御部5063と、を有する。カメラヘッド5005とCCU5039とは、伝送ケーブル5065によって双方向に通信可能に接続されている。
【0138】
まず、カメラヘッド5005の機能構成について説明する。レンズユニット5007は、鏡筒5003との接続部に設けられる光学系である。鏡筒5003の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド5005まで導光され、当該レンズユニット5007に入射する。レンズユニット5007は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。レンズユニット5007は、撮像部5009の撮像素子の受光面上に観察光を集光するように、その光学特性が調整されている。また、ズームレンズ及びフォーカスレンズは、撮像画像の倍率及び焦点の調整のため、その光軸上の位置が移動可能に構成される。
【0139】
撮像部5009は撮像素子によって構成され、レンズユニット5007の後段に配置される。レンズユニット5007を通過した観察光は、当該撮像素子の受光面に集光され、光電変換によって、観察像に対応した画像信号が生成される。撮像部5009によって生成された画像信号は、通信部5013に提供される。
【0140】
撮像部5009を構成する撮像素子としては、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)タイプのイメージセンサであり、Bayer配列を有するカラー撮影可能なものが用いられる。なお、当該撮像素子としては、例えば4K以上の高解像度の画像の撮影に対応可能なものが用いられてもよい。術部の画像が高解像度で得られることにより、術者5067は、当該術部の様子をより詳細に把握することができ、手術をより円滑に進行することが可能となる。
【0141】
また、撮像部5009を構成する撮像素子は、3D表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成される。3D表示が行われることにより、術者5067は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部5009が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット5007も複数系統設けられる。
【0142】
また、撮像部5009は、必ずしもカメラヘッド5005に設けられなくてもよい。例えば、撮像部5009は、鏡筒5003の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0143】
駆動部5011は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部5015からの制御により、レンズユニット5007のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部5009による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0144】
通信部5013は、CCU5039との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部5013は、撮像部5009から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル5065を介してCCU5039に送信する。この際、術部の撮像画像を低レイテンシで表示するために、当該画像信号は光通信によって送信されることが好ましい。手術の際には、術者5067が撮像画像によって患部の状態を観察しながら手術を行うため、より安全で確実な手術のためには、術部の動画像が可能な限りリアルタイムに表示されることが求められるからである。光通信が行われる場合には、通信部5013には、電気信号を光信号に変換する光電変換モジュールが設けられる。画像信号は当該光電変換モジュールによって光信号に変換された後、伝送ケーブル5065を介してCCU5039に送信される。
【0145】
また、通信部5013は、CCU5039から、カメラヘッド5005の駆動を制御するための制御信号を受信する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。通信部5013は、受信した制御信号をカメラヘッド制御部5015に提供する。なお、CCU5039からの制御信号も、光通信によって伝送されてもよい。この場合、通信部5013には、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが設けられ、制御信号は当該光電変換モジュールによって電気信号に変換された後、カメラヘッド制御部5015に提供される。
【0146】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、取得された画像信号に基づいてCCU5039の制御部5063によって自動的に設定される。つまり、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡5001に搭載される。
【0147】
カメラヘッド制御部5015は、通信部5013を介して受信したCCU5039からの制御信号に基づいて、カメラヘッド5005の駆動を制御する。例えば、カメラヘッド制御部5015は、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報及び/又は撮像時の露光を指定する旨の情報に基づいて、撮像部5009の撮像素子の駆動を制御する。また、例えば、カメラヘッド制御部5015は、撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報に基づいて、駆動部5011を介してレンズユニット5007のズームレンズ及びフォーカスレンズを適宜移動させる。カメラヘッド制御部5015は、更に、鏡筒5003やカメラヘッド5005を識別するための情報を記憶する機能を備えてもよい。
【0148】
なお、レンズユニット5007や撮像部5009等の構成を、気密性及び防水性が高い密閉構造内に配置することで、カメラヘッド5005について、オートクレーブ滅菌処理に対する耐性を持たせることができる。
【0149】
次に、CCU5039の機能構成について説明する。通信部5059は、カメラヘッド5005との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部5059は、カメラヘッド5005から、伝送ケーブル5065を介して送信される画像信号を受信する。この際、上記のように、当該画像信号は好適に光通信によって送信され得る。この場合、光通信に対応して、通信部5059には、光信号を電気信号に変換する光電変換モジュールが設けられる。通信部5059は、電気信号に変換した画像信号を画像処理部5061に提供する。
【0150】
また、通信部5059は、カメラヘッド5005に対して、カメラヘッド5005の駆動を制御するための制御信号を送信する。当該制御信号も光通信によって送信されてよい。
【0151】
画像処理部5061は、カメラヘッド5005から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。当該画像処理としては、例えば現像処理、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の公知の信号処理が含まれる。また、画像処理部5061は、AE、AF及びAWBを行うための、画像信号に対する検波処理を行う。
【0152】
画像処理部5061は、CPUやGPU等のプロセッサによって構成され、当該プロセッサが所定のプログラムに従って動作することにより、上述した画像処理や検波処理が行われ得る。なお、画像処理部5061が複数のGPUによって構成される場合には、画像処理部5061は、画像信号に係る情報を適宜分割し、これら複数のGPUによって並列的に画像処理を行う。
【0153】
制御部5063は、内視鏡5001による術部の撮像、及びその撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部5063は、カメラヘッド5005の駆動を制御するための制御信号を生成する。この際、撮像条件がユーザによって入力されている場合には、制御部5063は、当該ユーザによる入力に基づいて制御信号を生成する。あるいは、内視鏡5001にAE機能、AF機能及びAWB機能が搭載されている場合には、制御部5063は、画像処理部5061による検波処理の結果に応じて、最適な露出値、焦点距離及びホワイトバランスを適宜算出し、制御信号を生成する。
【0154】
また、制御部5063は、画像処理部5061によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部の画像を表示装置5041に表示させる。この際、制御部5063は、各種の画像認識技術を用いて術部画像内における各種の物体を認識する。例えば、制御部5063は、術部画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具5021使用時のミスト等を認識することができる。制御部5063は、表示装置5041に術部の画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させる。手術支援情報が重畳表示され、術者5067に提示されることにより、より安全かつ確実に手術を進めることが可能になる。
【0155】
カメラヘッド5005及びCCU5039を接続する伝送ケーブル5065は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0156】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル5065を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド5005とCCU5039との間の通信は無線で行われてもよい。両者の間の通信が無線で行われる場合には、伝送ケーブル5065を手術室内に敷設する必要がなくなるため、手術室内における医療スタッフの移動が当該伝送ケーブル5065によって妨げられる事態が解消され得る。
【0157】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システム5000の一例について説明した。なお、ここでは、一例として内視鏡手術システム5000について説明したが、本開示に係る技術が適用され得るシステムはかかる例に限定されない。例えば、本開示に係る技術は、検査用軟性内視鏡システムや顕微鏡手術システムに適用されてもよい。
【0158】
本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、レンズ鏡筒等のレンズ鏡筒及び撮像装置に好適に適用され得る。具体的には、より鮮明な術部画像を得ることができるため、手術をより安全にかつより確実に行うことが可能になる。
【0159】
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0160】
図13は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図13に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0161】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図13では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0162】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0163】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0164】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0165】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0166】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0167】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0168】
ここで、図14は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0169】
なお、図14には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0170】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0171】
図13に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0172】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0173】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0174】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0175】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0176】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0177】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0178】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0179】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0180】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0181】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0182】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0183】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0184】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図13の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0185】
なお、図13に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0186】
<本技術>
本技術は、以下のような構成にすることもできる。
【0187】
(1)
軸方向が光軸方向にされ内部空間が配置空間として形成されると共に被写体側の端部が固定用端部として設けられた外筒と、
前記配置空間に配置されレンズを保持する環状のレンズ保持部と、
前記固定用端部に固定される固定部と弾性変形可能にされ前記レンズ保持部の外周面に押し当てられる押当部を有し環状に形成された弾性体とを備えた
レンズ鏡筒。
【0188】
(2)
前記固定部に少なくとも前記固定用端部の先端面に固定される第1の部分が設けられた
前記(1)に記載のレンズ鏡筒。
【0189】
(3)
前記固定部に前記固定用端部の先端面を覆う第1の部分と前記固定用端部の外周面に固定される第2の部分とが設けられた
前記(1)に記載のレンズ鏡筒。
【0190】
(4)
前記弾性体における前記押当部と前記固定部の間の部分が前記配置空間に位置される連結部として設けられ、
前記外筒の内周面と前記連結部との間に充填材が設けられた
前記(1)から前記(3)の何れかに記載のレンズ鏡筒。
【0191】
(5)
前記外筒の内周面と前記連結部の外周面とが前記充填材に接着された
前記(4)に記載のレンズ鏡筒。
【0192】
(6)
前記弾性体における前記押当部と前記固定部の間の部分が前記配置空間に位置される連結部として設けられ、
前記弾性体には前記連結部から内周側に突出する環状の突部が設けられた
前記(1)から前記(5)の何れかに記載のレンズ鏡筒。
【0193】
(7)
前記押当部には、前記レンズ保持部の外周面に押し当てられる接触部と、前記接触部の被写体と反対側の一端に連続され前記接触部に対して前記外筒の内周面に近付く方向へ屈曲された屈曲部とが設けられた
前記(1)から前記(6)の何れかに記載のレンズ鏡筒。
【0194】
(8)
前記レンズ保持部が環状のレンズ枠と前記レンズを前記レンズ枠に押し付け被写体側の端部が前記レンズ枠より被写体側に位置された押さえ環とを有し、
前記押当部が前記押さえ環の外周面に押し当てられた
前記(1)から前記(7)の何れかに記載のレンズ鏡筒。
【0195】
(9)
光学像を取り込むレンズ鏡筒と取り込まれた光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備え、
前記レンズ鏡筒は、
軸方向が光軸方向にされ内部空間が配置空間として形成されると共に被写体側の端部が固定用端部として設けられた外筒と、
前記配置空間に配置されレンズを保持する環状のレンズ保持部と、
前記固定用端部に固定される固定部と弾性変形可能にされ前記レンズ保持部の外周面に押し当てられる押当部を有し環状に形成された弾性体とを備えた
撮像装置。
【符号の説明】
【0196】
100…撮像装置、204…撮像素子、1…レンズ鏡筒、2…外筒、7…固定用端部、9…弾性体、10…固定部、11…連結部、12…押当部、13…第1の部分、14…第2の部分、15…接触部、16…屈曲部、17…レンズ保持部、18…レンズ枠、19…押さえ環、22…レンズ、30…充填材、40…突部、P…隙間
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