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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20231219BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20231219BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20231219BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231219BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20231219BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M4/13
H01M10/0562
H01M10/052
H01M50/548 101
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021565687
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2020047494
(87)【国際公開番号】W WO2021125337
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019229663
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 廣一
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 潔
(72)【発明者】
【氏名】岩根 伸之
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-080812(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235398(WO,A1)
【文献】特開2014-235990(JP,A)
【文献】特表2015-517189(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179580(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/052、10/0562、10/0585
H01M4/13
H01M50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電池であって、
正極層、負極層、および該正極層と該負極層との間に固体電解質層が介在するように積層された固体電池積層体を有して成り、
前記固体電池積層体の対向する側面にそれぞれ設けられた正極端子および負極端子の外部端子を備え、
前記正極層および前記負極層の電極層は、該電極層に対する活物質を含む活物質部分と、該活物質部分に対して相対的に小さい活物質密度を有する集電体部分とを有して成り、前記固体電解質層の間に介在するように該活物質部分の端面に設けられた該集電体部分で集電を行う端面集電構造を有する、固体電池。
【請求項2】
前記集電体部分の一方の端面が前記活物質部分と接し、該集電体部分の他方の端面が前記外部端子と接するように、該活物質部分と該外部端子との間に該集電体部分が介在している、請求項1に記載の固体電池。
【請求項3】
前記電極層において前記活物質部分は、その内部および主面に導電性層を有していない、請求項1または2に記載の固体電池。
【請求項4】
前記正極層および前記負極層の少なくとも一方の電極層は該電極層に対する活物質を含まない前記集電体部分を有して成る、請求項1~3のいずれかに記載の固体電池。
【請求項5】
前記正極層および前記負極層の双方の電極層は該電極層に対する活物質を含まない前記集電体部分をそれぞれ有して成る、請求項1~3のいずれかに記載の固体電池。
【請求項6】
前記固体電池積層体の断面視において、前記正極層および前記負極層の一方の電極層の前記集電体部分が、前記積層方向において固体電解質層を介して隣り合う他方の電極層の活物質部分に対して直接的に対向していない非対向となっている、請求項1~5のいずれかに記載の固体電池。
【請求項7】
前記固体電池積層体の断面視において、前記活物質部分と前記集電体部分とが面一に構成されている、請求項1~6のいずれかに記載の固体電池。
【請求項8】
前記固体電池積層体の平面視において、前記活物質部分の寸法よりも大きい寸法を有するように前記集電体部分が、前記活物質部分と前記外部端子との間に介在している、請求項1~7のいずれかに記載の固体電池。
【請求項9】
前記固体電池積層体の平面視において、前記電極層の前記集電体部分が、前記活物質部分と同極の外部端子との間以外の領域にも延在している、請求項1~8のいずれかに記載の固体電池。
【請求項10】
前記固体電池積層体の平面視において、前記集電体部分が、前記活物質部分の外縁を囲むように延在している、請求項9に記載の固体電池。
【請求項11】
前記固体電池積層体の平面視において、前記集電体部分が、前記固体電池積層体の前記外部端子が設けられていない側面にまで延在している、請求項1~10のいずれかに記載の固体電池。
【請求項12】
前記固体電池積層体の断面視において、前記活物質部分と前記集電体部分との接触面が斜面を成している、請求項1~11のいずれかに記載の固体電池。
【請求項13】
前記固体電池積層体の断面視において、前記活物質部分の主面にまで及ぶように前記集電体部分が延在している、請求項1~12のいずれかに記載の固体電池。
【請求項14】
前記電極層がリチウムイオンを吸蔵放出可能な層となっている、請求項1~13のいずれかに記載の固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電池に関する。より具体的には、本発明は、積層型固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、繰り返しの充放電が可能な二次電池が様々な用途に用いられている。例えば、二次電池は、スマートフォンおよびノートパソコンなどの電子機器の電源として用いられたりする。
【0003】
二次電池においては、充放電に寄与するイオン移動のための媒体として液体の電解質が一般に使用されている。つまり、いわゆる電解液が二次電池に用いられている。しかしながら、そのような二次電池においては、電解液の漏出防止点で安全性が一般に求められる。また、電解液に用いられる有機溶媒などは可燃性物質ゆえ、その点でも安全性が求められる。
【0004】
そこで電解液に代えて、固体電解質を用いた固体電池について研究が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-192370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの間の固体電解質層から成る固体電池積層体を有して成る(特許文献1参照)。図10に例示するように、固体電池積層体500’において、正極層10A、固体電解質層20、負極層10Bがこの順に積層されている。固体電池積層体500’には、その対向する2つの側面(すなわち、正極側端面500’Aおよび負極側端面500’B)に接するように正極端子30Aと負極端子30Bとが設けられている。
【0007】
正極層10Aにおいて、正極活物質部分11Aと正極集電体部分12Aとが積層方向にて隣接している。換言すれば、正極層10Aは、その活物質部分の内部または主面に正極集電体部分12A(すなわち、導電性層)を有している。同様に、負極層10Bにおいて、負極活物質部分11Bと負極集電体部分12Bとが積層方向にて隣接している。換言すれば、負極層10Bは、その活物質部分の内部または主面に負極集電体部分12B(すなわち、導電性層)を有している。
【0008】
図10の断面視に示されるように、正極層10Aは、正極端子30Aに直接的に接触するとともに、負極端子30Bから離間している。同様に、負極層10Bは、負極端子30Bに直接的に接触するとともに、正極端子30Aから離間している。正極層10Aと負極端子30Bとの間、および負極層10Bと正極端子30Aとの間には、少なくとも電気絶縁材を含む正極分離部40Aおよび負極分離部40Bがそれぞれ介在している。
【0009】
本願発明者は、上述のような従前提案されている固体電池では克服すべき課題が依然あることに気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。具体的には以下の課題があることを本願発明者は見出した。
【0010】
図10に例示する固体電池500は、電極層(例えば、正極層10A)において、当該電極層の活物質部分(例えば、正極活物質部分11A)の主面(例えば、主面11A’)で集電が行われる主面集電構造を有している。
【0011】
かかる主面集電構造では、正極活物質部分11Aと正極集電体部分12Aとが積層方向で隣接している。そのような構成とすると、固体電池における活物質部分の体積比率が小さくなり得る。それによって、エネルギー密度が低下する虞がある。
【0012】
また、負極集電体部分12Bが負極活物質を含み、正極層10Aと負極端子30Bとの間に電極活物質を含まない正極分離部40Aが設けられている構成の場合、充電時に負極活物質部分11Bと負極端子30Bとの間の負極領域へとイオンが拡散し、放電時に取り出しづらくなる場合がある。
【0013】
同様に、正極集電体部分12Aが正極活物質を含み、負極層10Bと正極端子30Aとの間に電極活物質を含まない負極分離部40Bが設けられている構成の場合、正極活物質部分11Aと正極端子30Aとの間の正極領域からの過剰なイオン供給により、還元物が析出しやすくなる場合がある。
【0014】
上述のように、積層方向において電極活物質の存在部と非存在部とが対向する領域が存在し、それが大きい場合、エネルギー密度の低下および/または充放電反応の不均一をもたらす虞がある。
【0015】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の主たる目的は、エネルギー密度および充放電反応の均一性の点でより好適な固体電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された固体電池の発明に至った。
【0017】
本発明では、正極層、負極層、および正極層と負極層との間に固体電解質層が介在するように積層された固体電池積層体を有して成り、固体電池積層体の対向する側面にそれぞれ設けられた正極端子および負極端子の外部端子を備え、正極層および負極層の電極層は、当該電極層に対する活物質を含む活物質部分と当該活物質部分に対して相対的に小さい活物質密度を有する集電体部分とを有して成り、活物質部分の端面に設けられた集電体部分で集電を行う端面集電構造を有している、固体電池が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る固体電池は、エネルギー密度および充放電反応の均一性の点でより好適な固体電池となっている。
【0019】
より具体的には、本発明の固体電池では、電極層が、活物質部分の端面に設けられた集電体部分で集電を行う端面集電構造を有している。よって、固体電池における活物質部分の体積比率をより大きくすることができる。したがって、電池のエネルギー密度をより高めることができる。
【0020】
また、本発明の固体電池では、電極層において、集電体部分が活物質部分に対して相対的に小さい活物質密度を有することから、電極活物質の存在部と非存在部とが対向する領域におけるイオンの拡散および過剰なイオン供給を抑制することができる。したがって、充放電における電極層内の反応均一性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る固体電池を示した模式的平面透視図である。
図2図2は、図1におけるa-a’線に沿った固体電池の断面の一実施形態を示した模式図である。
図3図3は、図1におけるa-a’線に沿った固体電池の断面の別の実施形態を示した模式図である。
図4図4A図4Cは、本発明の固体電池における電極層の実施形態を示した模式的平面図である。
図5図5A図5Cは、本発明の固体電池における電極層の別の実施形態を示した模式的平面図である。
図6図6A図6Cは、本発明の固体電池における電極層のさらに別の実施形態を示した模式的平面図である。
図7図7A図7Iは、本発明の固体電池における電極層の実施形態を示した模式的断面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る保護層を備える固体電池を示した模式的断面図である。
図9図9A図9Cは、本発明の一実施形態に係る固体電池の製造方法を説明するための模式的断面図である。
図10図10は、従来の固体電池を示した模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の「固体電池」を詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観および/または寸法比などは実物と異なり得る。なお、説明の便宜上、特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材もしくは部位または同じ意味内容を示すものとする。
【0023】
本発明でいう「固体電池」とは、広義にはその構成要素が固体から構成されている電池を指し、狭義にはその構成要素(特に好ましくは全ての構成要素)が固体から構成されている全固体電池を指す。ある好適な態様では、本発明における固体電池は、電池構成単位を成す各層が互いに積層するように構成された積層型固体電池であり、好ましくはそのような各層が焼結体から成っている。
【0024】
「固体電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な、いわゆる「二次電池」のみならず、放電のみが可能な「一次電池」をも包含する。本発明のある好適な態様では「固体電池」は二次電池である。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、「蓄電デバイス」などの電気化学デバイスも包含し得る。
【0025】
本明細書でいう「平面視」とは、固体電池を構成する各層の積層方向に基づく厚み方向に沿って対象物を上側または下側から捉えた場合の見取図に基づいている。端的にいえば、図1などに示される固体電池の平面の形態に基づいている。
【0026】
本明細書でいう「断面視」とは、固体電池を構成する各層の積層方向に基づく厚み方向に対して略垂直な方向から捉えた場合の形態(換言すれば、積層方向に平行な面で切り取った場合の形態)に基づいている。端的にいえば、図2などに示される固体電池の断面の形態に基づいている。
【0027】
なお、本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」に相当し、その逆向きが「上方向」に相当すると捉えることができる。
【0028】
本明細書でいう「活物質密度」とは、電極層における活物質部分または集電体部分の空間または面上において活物質が分布する量(例えば、質量)を、当該電極層の体積または面積で除算した値のことを実質的に意味している。換言すれば、本明細書でいう「活物質密度」とは、活物質部分または集電体部分における「活物質の含有量」を実質的に意味している。
【0029】
本明細書でいう「相対的に小さい活物質密度を有する集電体部分」は、集電体部分が電極層に対する活物質を含まない態様も包含する。
【0030】
[本発明に係る固体電池の構成]
固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの間に固体電解質層が介在するように積層された電池構成単位を積層方向に沿って少なくとも1つ備える固体電池積層体を有して成る。
【0031】
固体電池は、それを構成する各層が焼成によって形成されてよいところ、正極層、負極層および固体電解質層などが焼結層を成していてもよい。好ましくは、正極層、負極層および固体電解質は、それぞれが互いに一体焼成されている。
【0032】
正極層は、正極活物質を含む正極活物質部分と、当該正極活物質部分に対して相対的に小さい正極活物質密度を有する正極集電体部分とを少なくとも有して成る。ある好適な態様では、正極層は、正極活物質部分と正極集電体部分とを少なくとも含む焼成体から構成されている。
【0033】
同様に、負極層は、負極活物質を含む負極活物質部分と、当該負極活物質部分に対して相対的に小さい負極活物質密度を有する負極集電体部分とを少なくとも有して成る。ある好適な態様では、負極層は、負極活物質部分と負極集電体部分とを少なくとも含む焼成体から構成されている。
【0034】
正極活物質および負極活物質は、固体電池において電子の授受に関与する物質である。固体電解質を介した正極層と負極層との間におけるイオンの移動(又は伝導)と、外部端子を介した正極層と負極層との間における電子の授受が行われることで充放電がなされる。
【0035】
正極層および負極層の各電極層はリチウムイオンまたはナトリウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、本発明に係る電池は、固体電解質を介してリチウムイオンまたはナトリウムイオンが正極層と負極層との間で移動して電池の充放電が行われる全固体型二次電池であることが好ましい。
【0036】
(正極活物質部分)
正極活物質部分に含まれる正極活物質としては、例えば、リチウム含有化合物である。リチウム含有化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物および/またはリチウム遷移金属リン酸化合物である。リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムと1種類または2種類以上の遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物の総称である。リチウム遷移金属リン酸化合物は、リチウムと1種類または2種類以上の遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物の総称である。遷移金属元素の種類は、特に限定されないが、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および/または鉄(Fe)などである。
【0037】
リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、LiM1OおよびLiM2Oのそれぞれで表される化合物などである。リチウム遷移金属リン酸化合物は、例えば、LiM3POで表される化合物などである。ただし、M1、M2およびM3のそれぞれは、1種類または2種類以上の遷移金属元素である。x、yおよびzのそれぞれの値は、任意である。
【0038】
具体的には、リチウム遷移金属複合酸化物は、例えば、LiCoO、LiNiO、LiVO、LiCrO、LiMn、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、およびLiNi0.5Mn1.5などである。また、リチウム遷移金属リン酸化合物は、例えば、LiFePO、LiCoPOおよびLiMnPOなどである。リチウム遷移金属複合酸化物(特にLiCoO)は微量(数%程度)の添加元素を含んでもよい。添加元素として、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、ホウ素(B)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ニオブ(Nb)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ビスマス(Bi)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)およびケイ素(Si)からなる群から選択される1種以上の元素が挙げられる。
【0039】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ナトリウム含有層状酸化物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0040】
正極活物質部分における正極活物質の含有量は通常、正極活物質部分の全量に対して、50重量%以上であり、例えば60重量%以上である。正極活物質部分は2種以上の正極活物質を含んでもよく、その場合、それらの合計含有量が上記範囲内であればよい。当該活物質の含有量が50質量%以上であることで、電池のエネルギー密度を特に高めることができる。
【0041】
(負極活物質部分)
負極活物質部分に含まれる負極活物質としては、例えば、炭素材料、金属系材料、リチウム合金および/またはリチウム含有化合物などである。
【0042】
具体的には、炭素材料は、例えば、黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)および/または高配向性グラファイト(HOPG)などである。
【0043】
金属系材料は、リチウムと合金を形成可能である金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料の総称である。この金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよい。ここで説明する単体の純度は、必ずしも100%に限られないため、その単体は、微量の不純物を含んでいてもよい。
【0044】
金属元素および半金族元素は、例えば、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)および/または白金(Pt)などである。
【0045】
具体的には、金属系材料は、例えば、Si、Sn、SiB、TiSi、SiC、Si、SiO(0<v≦2)、LiSiO、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSnOおよび/またはMgSnなどである。
【0046】
リチウム含有化合物は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物などである。リチウム遷移金属複合酸化物に関する定義は、上記した通りである。具体的には、リチウム遷移金属複酸化物は、例えば、Li(PO、LiFe(PO、LiTi12、LiTi(PO、および/またはLiCuPOなどである。
【0047】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0048】
負極活物質部分における負極活物質の含有量は通常、負極活物質部分の全量に対して、50重量%以上であり、例えば60重量%以上である。負極活物質部分は2種以上の負極活物質を含んでもよく、その場合、それらの合計含有量が上記範囲内であればよい。当該活物質の含有量が50質量%以上であることで、電池のエネルギー密度を特に高めることができる。
【0049】
正極活物質部分および/または負極活物質部分は、導電材を含んでいてもよい。正極活物質部分および/または負極活物質部分に含まれる導電材としては、例えば、炭素材料および金属材料などである。具体的には、炭素材料は、例えば、黒鉛およびカーボンナノチューブなどである。金属材料は、例えば、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)および/またはパラジウム(Pd)などであり、それらの2種類以上の合金でもよい。
【0050】
正極活物質部分および/または負極活物質部分は、結着剤を含んでいてもよい。結着剤としては、例えば、合成ゴムおよび高分子材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。具体的には、合成ゴムは、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよび/またはエチレンプロピレンジエンなどである。高分子材料は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミドおよびアクリル樹脂から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0051】
正極活物質部分および/または負極活物質部分は、焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤としては、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ビスマスおよび酸化リンから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0052】
正極活物質部分および負極活物質部分の各厚みは特に限定されず、例えば、それぞれ独立して、2μm以上100μm以下であってよく、特に5μm以上50μm以下であってもよい。
【0053】
(正極集電体部分/負極集電体部分)
正極集電体部分および負極集電体部分は、少なくとも導電性を有する導電材を含んで成り、導電率が大きい導電材を用いるのが好ましい。また、正極集電体部分および負極集電体部分は、各電極層における活物質部分に対して相対的に小さい活物質密度をそれぞれ有する。
【0054】
正極集電体部分は、例えば、炭素材料、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケルリチウム遷移金属複合酸化物およびリチウム遷移金属リン酸化合物から成る群から選択される少なくとも1種を用いてよい。
【0055】
負極集電体部分は、例えば、炭素材料、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅およびニッケルから成る群から選択される少なくとも1種を用いてよい。
【0056】
正極集電体部分および負極集電体部分はそれぞれ、外部と電気的に接続するための電気的接続部を有していてよく、端子と電気的に接続可能に構成されていてもよい。正極集電体部分および負極集電体部分はそれぞれ箔の形態を有していてもよいが、一体焼結による導電性向上および製造コスト低減の観点から、一体焼結の形態を有することが好ましい。
【0057】
正極集電体部分および負極集電体部分が焼成体の形態を有する場合、例えば、導電材、活物質、固体電解質、結着剤および/または焼結助剤を含む焼成体より構成されてもよい。正極集電体部分および負極集電体部分に含まれる導電材は、例えば、正極活物質部分および/または負極活物質部分に含まれ得る導電材と同様の材料から選択されてもよい。正極集電体部分および負極集電体部分に含まれる固体電解質、結着剤および/または焼結助剤は、例えば、正極活物質部分および/または負極活物質部分に含まれ得る固体電解質、結着剤および/または焼結助剤と同様の材料から選択されてもよい。
【0058】
正極集電体部分または負極集電体部分における活物質の含有量は通常、集電体部分の全量に対して、90重量%以下であり、例えば80重量%以下または50重量%以下である。集電体部分は2種以上の活物質を含んでもよく、その場合、それらの合計含有量が上記範囲内であればよい。当該活物質の含有量が90質量%以下であることで、充放電における電極層内の反応均一性を特に高めることができる。
【0059】
正極集電体部分および負極集電体部分の各厚みは特に限定されず、例えば、それぞれ独立して、1μm以上100μm以下であってよく、特に1μm以上50μm以下であってもよい。
【0060】
(固体電解質層)
固体電解質層を構成する固体電解質は、リチウムイオンまたはナトリウムイオンが伝導可能な材質である。特に固体電池で電池構成単位を成す固体電解質は、正極層と負極層との間においてリチウムイオンまたはナトリウムイオンが伝導可能な層を成している。なお、固体電解質は、正極層と負極層との間に少なくとも設けられていればよい。つまり、固体電解質は、正極層と負極層との間からはみ出すように当該正極層および/または負極層の周囲においても存在していてもよい。具体的な固体電解質としては、例えば、結晶性固体電解質、ガラス系固体電解質およびガラスセラミックス系固体電解質などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0061】
結晶性固体電解質は、例えば、酸化物系結晶材および硫化物系結晶材などがある。酸化物系結晶材は、例えば、ナシコン構造を有するLi(PO(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種であり、一例としてLi1.3Al0.3Ti1.7(PO)、ペロブスカイト構造を有するLa0.51Li0.34TiO2.94、およびガーネット構造を有するLiLaZr12などである。また、硫化物系結晶材は、Li3.25Ge0.250.75およびLi10GeP12などである。結晶性固体電解質は、高分子材(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)など)を含んでいてもよい。
【0062】
ガラス系固体電解質は、例えば、酸化物系ガラス材および硫化物系ガラス材などがある。酸化物系ガラス材は、例えば、50LiSiO・50LiBOなどがある。また、硫化物系ガラス材は、例えば、30LiS・26B・44LiI、63LiS・36SiS・1LiPO、57LiS・38SiS・5LiSiO、70LiS・30Pおよび50LiS・50GeSなどがある。
【0063】
ガラスセラミックス系固体電解質は、例えば、酸化物系ガラスセラミックス材および硫化物系ガラスセラミックス材などがある。酸化物系ガラスセラミックス材は、例えば、Li1.07Al0.69Ti1.46(POおよびLi1.5Al0.5Ge1.5(PO)などがある。また、硫化物系ガラスセラミックス材は、例えば、Li11およびLi3.250.95などがある。
【0064】
大気安定性に優れ、一体焼結を容易に成し得る観点をより重視すると、固体電解質は、酸化物系結晶材、酸化物系ガラス材および酸化物系ガラスセラミックス材から成る群から選択される少なくとも一種を含んで成っていてもよい。
【0065】
また、ナトリウムイオンが伝導可能な固体電解質としては、例えば、ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物としては、Na(PO(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。
【0066】
固体電解質層は、結着剤および/または焼結助剤を含んでいてもよい。固体電解質層に含まれる結着剤および/または焼結助剤は、例えば、正極活物質部分および/または負極活物質部分に含まれ得る結着剤および/または焼結助剤と同様の材料から選択されてもよい。
【0067】
固体電解質層の厚みは特に限定されず、例えば、1μm以上15μm以下であってよく、特に1μm以上5μm以下であってもよい。
【0068】
(電極分離部)
電極分離部(「余白部」または「余白層」とも称される)は、正極活物質部分の周囲に設けられることにより、かかる正極活物質部分を外部端子から離間させる。および/または、電極分離部は、負極活物質部分の周囲に設けられることにより、かかる負極活物質部分を外部端子から離間させる。
【0069】
例えば、正極活物質部分と負極端子との間に電極分離部を設けることによって、正極層を負極端子から離間させる。また、正極活物質部分と正極端子との間に電極分離部を設けることにより、正極活物質部分を正極端子から離間させる。
【0070】
同様に、例えば、負極活物質部分と正極端子との間に電極分離部を設けることによって、負極層を正極端子から離間させる。また、負極活物質部分と負極端子との間に電極分離部を設けることによって、負極活物質部分を負極端子から離間させる。
【0071】
電極分離部は、少なくとも電気を通さない材質(絶縁材)から構成されてよい。また、電極分離部は、空間部であってもよい。電気を通さない材質から構成される電極分離部の場合、電気およびイオン(例えば、リチウムイオン)を通さない材質から電極分離部が構成されることが好ましい。例えば、電極分離部は、特に限定されるものではないが、ガラス材、セラミック材および/または樹脂材などから構成されてよい。
【0072】
電極分離部を構成するガラス材は、特に限定されるものではないが、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、ホウ酸塩系ガラス、ホウケイ酸塩系ガラス、ホウケイ酸バリウム系ガラス、ホウ酸亜塩系ガラス、ホウ酸バリウム系ガラス、ホウケイ酸ビスマス塩系ガラス、ホウ酸ビスマス亜鉛系ガラス、ビスマスケイ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、アルミノリン酸塩系ガラス、および、リン酸亜塩系ガラスからなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0073】
電極分離部を構成するセラミック材は、特に限定されるものではないが、酸化アルミニウム(Al)、窒化ホウ素(BN)、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)およびチタン酸バリウム(BaTiO)からなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0074】
(保護層)
保護層は、必要に応じて固体電池の最外側に形成されてよく、電気的、物理的および/または化学的に保護するために設けられてよい。保護層を構成する材料としては絶縁性、耐久性および/または耐湿性に優れ、環境的に安全であることが好ましい。例えば、ガラス、セラミックス、熱硬化性樹脂および/または光硬化性樹脂などを用いることが好ましい。
【0075】
保護層は、結着剤および/または焼結助剤を含んでいてもよい。保護層に含まれる結着剤および/または焼結助剤は、例えば、正極活物質部分および/または負極活物質部分に含まれ得る結着剤および/または焼結助剤と同様の材料から選択されてもよい。
【0076】
(端子)
固体電池には、一般に端子(特に外部端子)が設けられている。特に、固体電池の側面に正負極の端子が対を成すように設けられている。より具体的には、正極層と接続された正極側の端子と、負極層と接続された負極側の端子とが対を成すように設けられている。そのような端子は、導電率が大きい材料を用いることが好ましい。特に制限するわけではないが、端子は、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから成る群から選択される少なくとも一種を含んで成っていてよい。
【0077】
端子は、結着剤および/または焼結助剤を含んでいてもよい。端子に含まれる結着剤および/または焼結助剤は、例えば、正極活物質部分および/または負極活物質部分に含まれ得る結着剤および/または焼結助剤と同様の材料から選択されてもよい。
【0078】
[本発明に係る固体電池の特徴]
本発明は、正極層、負極層、およびそれらの間に固体電解質層が介在するように積層された固体電池積層体を有して成る固体電池に関するところ、電極層(すなわち、正極層および負極層)の構成の点で特徴を有する。
【0079】
具体的には、本発明の固体電池における電極層は、当該電極層に対する活物質を含む活物質部分と、当該活物質部分に対して相対的に小さい活物質密度を有する集電体部分とを有して成る。また、電極層は、活物質部分の端面に設けられた集電体部分で集電を行う端面集電構造を有している。つまり、ある好適な態様に係る固体電池積層体の正極層では、正極活物質を含む正極活物質部分と、当該正極活物質部分に対して相対的に小さい正極活物質密度を有する集電体部分とを有して成るところ、その集電体部が正極活物質部分の端面に設けられている。一方、ある好適な態様に係る固体電池積層体の負極層では、負極活物質を含む負極活物質部分と、当該負極活物質部分に対して相対的に小さい負極活物質密度を有する集電体部分とを有して成るところ、その集電体部が負極活物質部分の端面に設けられている。
【0080】
以下、負極層に着目した態様を記載する場合があるが、正極層においても同様の態様を取り得る。逆に、正極層に着目した態様を記載する場合もあるが、負極層においても同様の態様を取り得る。
【0081】
本明細書でいう「端面」とは、電極積層方向に平行な面を指す。ここでいう「平行」とは、完全な平行だけでなく“略平行”を含むものであって、互いに僅かにずれた態様(例えば「端面」における面方向・延在方向と電極積層方向との成す角度が0°以上10°以下程度となる態様)であってもよいことを意味している。また、「活物質部分の端面」とは、例えば、固体電池の平面視において、活物質部分の外縁を構成する面を指す。図1に示す例示態様でいえば、固体電池500の平面視において、負極活物質部分11Bの端面は、当該負極活物質部分11Bの外縁を構成する面11B’’~11B’’を指す。
【0082】
本明細書でいう「主面」とは、電極積層方向に法線を有する面を指す。図2に示す例示態様でいえば、負極活物質部分11Bの主面は、当該負極活物質部分11Bにおいて積層方向に法線を有する面11B’および11B’を指す。
【0083】
本明細書でいう「端面集電構造」とは、電極層における活物質部分の端面から電子が出入りする構造を指す。より具体的には、電極層における活物質部分の端面に設けられた集電体部分を介して、活物質部分と外部端子との間で電子の授受が行われる構造を指す。
【0084】
好ましくは、端面集電構造を有する電極層では、活物質部分と集電体部分とが電極積層方向に対する直交方向に互いに並設され、当該集電体部分が、活物質部分および外部端子にそれぞれ接触している。電極層は、当該電極層における集電体部分を介して外部端子と電気的に接続されている。活物質部分は、外部端子と接していなくてよく、好ましくは直接的に外部端子(特に同極となる外部端子)と接していない。端面集電構造では、集電体部分の一方の端面が活物質部分と接し、集電体部分の他方の端面が外部端子と接するように、その活物質部分と外部端子との間に集電体部分が介在している。図2に示すような断面視でいえば、活物質部分の内部および上下面(すなわち、電極積層方向に法線を有する主面)に集電体部分が設けられているのではなく、活物質部分の外部においてその周縁に当該活物質部分と外部端子とを互いに接続するように集電体部分が設けられている。
【0085】
本明細書でいう「集電体部分」とは、広義には、活物質部分の端面から電子が出入りするのに資する部材を指している。狭義には、「集電体部分」は、内部抵抗の低減の観点から活物質部分とは別個に設けられた導電性部材であって、活物質部分よりも低い電気抵抗を有する導電性部材である。
【0086】
図2に示す例示態様でいえば、固体電池積層体500’の断面視において、正極層10A、固体電解質層20、負極層10Bがこの順に設けられている。固体電池積層体500’には、その対向する2つの側面(すなわち、正極側端面500’Aおよび負極側端面500’B)に接するように正極端子30Aと負極端子30Bとが設けられている。
【0087】
正極層10Aは正極端子30Aと直接的に接している一方、正極分離部40Aによって負極端子30Bと離間している。同様に、負極層10Bは負極端子30Bと直接的に接している一方、負極分離部40Bによって正極端子30Aと離間している。
【0088】
ここで、正極層10Aは、正極活物質部分11Aの端面11A’’に設けられた正極正極集電体部分12Aで集電を行う構造を有している。同様に、負極層10Bは、負極活物質部分11Bの端面11B’’に設けられた負極集電体部分12Bで集電を行う構造を有している。
【0089】
より具体的には、正極層10Aにおいて正極活物質部分11Aと正極集電体部分12Aとが固体電池積層体500’の積層方向に対する直交方向に互いに並設され、当該正極集電体部分12Aが、正極活物質部分11Aと正極端子30Aとにそれぞれ接している。換言すれば、正極の集電体部分の一方の端面が正極活物質部分と接し、その正極の集電体部分の他方の端面が正極端子と接するように、正極活物質部分と正極端子との間に正極の集電体部分が介在している。
【0090】
同様に、負極層10Bにおいて負極活物質部分11Bと負極集電体部分12Bとが固体電池積層体500’の積層方向に対する直交方向に互いに並設され、当該負極集電体部分12Bが、負極活物質部分11Bと負極端子30Bとにそれぞれ接している。換言すれば、負極の集電体部分の一方の端面が負極活物質部分と接し、その負極の集電体部分の他方の端面が負極端子と接するように、負極活物質部分と負極端子との間に負極の集電体部分が介在している。
【0091】
正極層10Aおよび負極層10Bの電極層は、当該電極層における集電体部分12Aおよび12Bを介して外部端子30Aおよび30Bにそれぞれ電気的に接続される。図2の断面視に示されるように、正極側の外部端子30Aと負極側の外部端子30Bとは互いに対向するように固体電池積層体500’の側面に設けられていることが好ましい。
【0092】
集電体部分は、当該部分の対向する2つの端面において活物質部分と同極の外部端子とにそれぞれ接している。集電体部分は、当該部分の対向する2つの端面の少なくとも一部において、活物質部分と同極の外部端子とにそれぞれ接していればよい。
【0093】
本発明の固体電池において、正極層および負極層の一方が上述のような端面集電構造を有してよいところ、正極層および負極層の双方が上述のような端面集電構造を有していてもよい。つまり、正極層および負極層の各々では、当該電極層の活物質部分の主面で集電が行われるのではなく、あくまでも当該電極層の活物質部分の端面で集電が行われてよい。このように活物質部分が成す層の主面でなく端面で集電が為されるので、本発明の特徴的な構造は、「活物質部分が成す層の端面から集電を行う構造」または「活物質部分が成す層の主面および内部でなく端面のみから集電を行う構造」などと称すこともできる。
【0094】
より具体的には、正極層は、活物質部分の主面(即ち、固体電池積層体において電極積層方向に法線を有する正極活物質部分の面)から集電が行われるのではなく、活物質部分の端面(即ち、固体電池積層体において電極積層方向に平行な正極活物質部分の外側の終端面)から集電が行われる。同様に、負極層は、活物質部分の主面(即ち、固体電池積層体において電極積層方向に法線を有する負極活物質部分の面)から集電が行われるのではなく、活物質部分の端面(即ち、固体電池積層体において電極積層方向に平行な負極活物質部分の外側の終端面)から集電が行われる。
【0095】
本発明の固体電池において、活物質部分は、集電体層に相当する層をその内部に含んでおらず、また、互いに積層を成すように接する集電体層も有していない場合、つまり、固体電池積層体では、活物質部分の内部に集電体部が設けられておらず、また、活物質部分の主面(特にその大部分の面)に接するような集電体部も設けられていない場合であっても、集電可能となる。
【0096】
これにつき、正極層および負極層の各々の活物質部分は、好ましくは、その内部および主面に集電体または集電層を備えていない“集電レス”の活物質部分であってもよい。つまり、活物質部分は、それと互いに積層するように直接的に接するような集電体・集電層が設けられてなくてよく、活物質部分の内部で積層方向と直交する方向に延在するような集電体・集電層も設けられてなくてよい。換言すれば、正極層および負極層の各電極層の活物質部分は、その内部および主面に導電性層を有していなくてよい。例えば、活物質部分は、金属体または金属焼結体から主に成るようなサブ層をその内部および主面に有していなくてよく、それゆえ、そのような導電性層が固体電池積層体に備えられていなくてよい。このような説明から分かるように、ここでいう「導電性層」とは、活物質部分の領域とは区別されるような領域を構成する導電性層であって、好ましくは活物質部分よりも低い電気抵抗を呈する導電性層である。図2に示すような断面視でいえば、活物質部分(11A,11B)が、実質的に単一の領域を成すように活物質を含んで構成されていてよいといえる。
【0097】
このような端面集電構造を有する電極層とすることで、主面集電構造を有する電極層に比して、固体電池における電極層に対する活物質を含む活物質部分の体積比率をより大きくすることができる。よって、固体電池としてエネルギー密度をより高めることができる。
【0098】
電極層において、電極層長さ寸法(L2)に対する集電体部分長さ寸法(L1)の比(L1/L2)は、0.01以上0.5以下となっている(図2参照)。かかる比を0.01以上とすることで、電子移動の均一性をより高めることができる。また、かかる比を0.5以下とすることで、電池のエネルギー密度をより高めることができる。電子移動の均一性およびエネルギー密度の観点から、かかる比は、0.01以上0.4以下であることが好ましく、例えば0.01以上0.3以下または0.01以上0.2以下などである。
【0099】
また、端面集電構造を備えた電極層とすることで、当該電極層の積層工程(例えば、印刷工程)を簡素化することができる。よって、固体電池の製造コストを低減することができる。
【0100】
端面集電構造ゆえ、本発明の固体電池は活物質部分の主面に対して集電体部分を備えていなくてもよい。つまり、本発明の固体電池は、好ましくは、実質的に活物質部分の端面にのみ集電体部分を有している。より具体的には、正極層は、その活物質部分の主面ではなく端面(即ち、正極活物質層の外縁を構成する面)に対して集電体部分の大部分または全てが接するように集電体部分を有していてよい。同様に、負極層は、その活物質部分の主面ではなく端面(即ち、負極活物質層の外縁を構成する面)に対して集電体部分の大部分または全てが接するように集電体部分を有していてよい。
【0101】
本発明の固体電池において、電極積層方向において固体電解質層を介して隣り合う正極層および負極層の電極層のうち、少なくとも一対の電極層がそれぞれ端面集電構造を有していればよい。エネルギー密度および充放電反応の均一性の観点から、積層方向において固体電解質層を介して隣り合う電極層の対のうち、1/4以上の対が端面集電構造を有していることが好ましく、例えば全ての対が端面集電構造を有している。
【0102】
電極層において、活物質部分(例えば、負極活物質部分11B)と当該電極層と同極の外部端子(例えば、負極端子30B)との間に電極分離部(例えば、負極分離部40B)を介在させてよい(図2参照)。活物質部分と同極の外部端子との間に電極分離部を介在させることで、電池構成部材間の密着性をより高めることができ、固体電池の構造安定性をより高めることができる。負極層において、負極分離部40Bと負極集電体部分12Bとが互いに積層するように設けられていてよい。図2の断面視に示すように、2つの負極分離部40Bによって負極集電体部分12Bが挟まれるようにそれらが設けられていてもよい。このように、端面集電構造を有する電極層では、活物質部分と外部端子(特に同極の外部端子)との間の領域において集電体部分と電極分離部とが互いに積層するように設けられていてよい。
【0103】
電極層において、活物質部分(例えば、負極活物質部分11B)と当該電極層と同極の外部端子(例えば、負極端子30B)との間が全て集電体部分(例えば、負極集電体部分12B)で構成されていてもよい(図3参照)。
【0104】
換言すれば、固体電池積層体の断面視において、活物質部分と集電体部分とが面一に構成されていてもよい。つまり、端面集電構造を有する電極層では、その活物質部分の上側および/または下側の主面と集電体部分の上側および/または下側の主面とが互いに面一となっていてよい。ここでいう「面一」とは、固体電池積層体の断面視において、活物質部分と集電体部分との面の間に段差が完全にない状態だけに限らず、段差が略ない状態のことも含んでおり、活物質部分および集電体部分の寸法公差程度の段差(例えば、5μm以下の段差)を許容するものである。
【0105】
そのような構成することで、集電体部分と、活物質部分および外部端子との互いの接触面積をそれぞれより大きくすることができる。つまり、端面集電構造を有する電極層において、集電体部分と活物質部分との互いの接触面積をより大きくできると共に、集電体部分と外部端子との互いの接触面積をより大きくすることができる。よって、電子移動の均一化および低抵抗化を図り易くなり、集電効率をより高めることができる。また、集電体部分を跨いで別の層を形成する必要がなくなるので、製造プロセスを特に簡素化することができる。
【0106】
一実施形態では、固体電池積層体500’の平面視において、負極集電体部分12Bの端面(例えば、端面12B’’)が、隣接する負極活物質部分11Bの端面(例えば、端面11B’’)の略全面と接している(図4A参照)。つまり、端面集電構造を備えた電極層において、集電体部分の端面のうちで特に活物質部分側に位置する端面は、その全てが当該活物質部分と接していてよい。そのような構成とすることで、集電体部分と活物質部分における各ポイントとの離隔距離をより小さくすることができる。よって、電子移動をより均一化し易くなり、集電効率をより高めることができる。
【0107】
本発明に係る固体電池では、電極層における集電体部分は、活物質部分に対して相対的に小さい活物質密度を有していてよい。つまり、端面集電構造を有する電極層では、その集電体部分が、積層方向に直交する方向で当該集電体部分と隣接する活物質部分よりも少ない活物質密度を有していてよい。これによって、積層方向において電極活物質の存在部と非存在部とが対向する領域におけるイオンの拡散および過剰なイオン供給を抑制し易くなる。したがって、充放電における電極層内の反応均一性をより高めることができる。
【0108】
図2に示す例示態様でいえば、正極層10Aにおける正極集電体部分12Aが、活物質部分11Aに対して相対的に小さい正極活物質密度を有する。同様に、負極層10Bにおける負極集電体部分12Bが、負極活物質部分11Bに対して相対的に小さい負極活物質密度を有する。
【0109】
ある好適な態様では、正極層および負極層の少なくとも一方の電極層は当該電極層に対する活物質を含まない集電体部分を有して成る。つまり、端面集電構造を備えた電極層では、その集電体部分が、積層方向に直交する方向で当該集電体部分と隣接する活物質部分と同じ又は同様の活物質を含んでいなくてもよい。このような構成にすることで、充放電における電極層内の反応均一性をより高め易くなる。
【0110】
なお、正極層および負極層の双方の電極層は当該電極層に対する活物質を含まない集電体部分をそれぞれ有していてよい。つまり、端面集電構造を備えた正極層において、その集電体部分が、積層方向に直交する方向で当該集電体部分と隣接する正極活物質部分と同じ又は同様の正極活物質を好ましくは含んでおらず、かつ、端面集電構造を有する負極層において、その集電体部分が、積層方向に直交する方向で当該集電体部分と隣接する負極活物質部分と同じ又は同様の負極活物質を好ましくは含んでいなくてよい。このような構成にすることで、充放電における電極層内の反応均一性を更により高め易くなる。
【0111】
集電体部分が電極層に対する活物質を含まない態様において、集電体部分は、不可避不純物としての電極層に対する活物質は含んでいてよい。この不可避不純物は、集電体部分の原料に含まれ得、または製造工程において混入し得る微量成分であり、集電体部分の集電特性および充放電反応に影響を及ぼさない程度に含まれ得る成分である。不可避不純物は、例えば集電体部分の全量に対して、5重量%以下の範囲でかかる集電体部分に含まれていてよい。
【0112】
一実施形態では、固体電池積層体の断面視において、正極層および負極層の一方の電極層の集電体部分が、積層方向において固体電解質を介して隣り合う他方の電極層(すなわち、当該正極層および当該負極層の他方の電極層)の活物質部分に対して直接的に対向していない非対向となっている。つまり、積層方向において一方の電極層の集電体部分と他方の電極層の活物質部分とが互いにオーバーラップしないか、あるいはオーバーラップするにしてもその程度ができるだけ小さい構成となっている。
【0113】
例えば、当該形態に関して「直接的に対向していない非対向となっている」とは、固体電池積層体500’の断面視において、正極層10Aの正極集電体部分12Aと、積層方向において固体電解質を介して隣り合う負極層10Bの負極活物質部分11Bとがオーバーラップする長さ寸法L3が200μm以下であり、かつ負極層10Bの負極集電体部分12Bと、積層方向において固体電解質を介して隣り合う正極層10Aの正極活物質部分11Aとがオーバーラップしていないことを指す(図2参照)。
【0114】
このような構成とすることで、積層方向において電極活物質の存在部と非存在部とが対向する領域をより一層小さくできる。したがって、充放電における電極層内の反応均一性をより高め易くなる。
【0115】
一実施形態では、固体電池積層体の平面視において、集電体部分が、活物質部分の寸法よりも大きい寸法を有するように活物質部分と外部端子(当該活物質部分と同極の外部端子)との間に介在している。つまり、端面集電構造を有する電極層において、集電体部分と外部端子との互いの接触面積の方が、当該集電体部分と活物質部分との互いの接触面積よりも大きくなっていてよい。例えば、電極層の寸法が同極の外部端子の方向に向かって大きくなるように、集電体部分が、活物質部分と当該同極の外部端子との間に介在していてよい。
【0116】
図示する例示態様でいえば、固体電池積層体500’の平面視において、負極集電体部分12Bが負極活物質部分11Bよりも大きい寸法を有するように負極活物質部分11Bと負極端子30Bとの間に介在している(図4Bおよび図4C参照)。特に図4Bの平面視では、負極集電体部分12Bは、一定の寸法で負極活物質部分11Bから負極端子30Bへと延在している。また、図4Cの平面視では、負極集電体部分12Bは、漸次寸法を増すように負極活物質部分11Bから負極端子30Bへと延在している。換言すれば、負極集電体部分12Bの寸法は、負極端子30Bの方向に向かってステップ状に大きくなっていてよく(図4B参照)、あるいは、直線状および/または曲線状に大きくなっていてもよい(図4C参照)。
【0117】
上述のような構成とすることで、負極集電体部分12Bと負極端子30Bとの接触面積を大きくすることができる。よって、抵抗を下げることができ、集電効率をより高め易くなる。
【0118】
一実施形態では、固体電池積層体の平面視において、電極層の集電体部分が、活物質部分と同極の外部端子との間以外の領域にも延在している。つまり、固体電池積層体の平面視において、活物質部分の外縁を成す複数の辺のうち外部電極と最隣接する辺(全体的にみて最隣接する辺)だけでなく、それとは異なる他の辺にも集電体部分が設けられている。例えば、固体電池積層体の平面視において、活物質部分の前記最隣接の辺と、その辺に連続する他の辺との双方に跨るように集電体部分が連続的に設けられていてよい。このような実施形態では、電子移動をより均一化し易くなり、集電効率をより高めることができる。
【0119】
図示する例示態様でいえば、固体電池積層体500’の平面視において、負極層10Bの負極集電体部分12Bが、負極活物質部分11Bと負極端子30Bとの間以外にも延在している(図5A図5C参照)。図示する平面視から分かるように、活物質部分と外部端子との間に挟まれた領域からはみ出すように集電体部分が延在していてよいといえる。
【0120】
負極集電体部分12Bは、負極活物質部分11Bと負極端子30Bとの間以外の一部に延在していてよく(図5A参照)、負極活物質部分11Bの外縁のうちの2辺(すなわち、端面11B’’および11B’’)を囲むように延在していてもよく(図5B参照)、負極活物質部分11Bの外縁(すなわち、端面11B’’~11B’’)を囲むように延在(例えば当該外縁を全て囲むように延在)していてもよい(図5C参照)。
【0121】
上述のような構成とすることで、集電体部分と、活物質部分における任意のポイントとの離隔距離をより小さくすることができる。それによって、電子移動をより均一化でき、集電効率をより高めることができる。上述した離隔距離をより一層小さくする観点をより重視するならば、固体電池積層体の平面視において、集電体部分は、活物質部分の外縁を囲むように延在していることが好ましい。つまり、端面集電構造を有する電極層では、集電体部分によって活物質部分が少なくとも部分的に又は全て取り囲まれていてよい。
【0122】
一実施形態では、固体電池積層体の平面視において、集電体部分が、固体電池積層体の外部端子が設けられていない側面にまで延在している。つまり、固体電池積層体の複数の側面のうち、外部端子の設置側面に至るように集電体部分が設けられているだけでなく、それとは異なる側面にも集電体部分が設けられている。例えば、外部端子の設置側面と、その側面に連続する他の固体電池積層体の側面との双方に至るように集電体部分が連続的に設けられている。このように広範に集電体部分が設けられることで、固体電池の抵抗を下げ易くなり、集電効率をより高めることができる。
【0123】
図示する例示態様でいえば、固体電池積層体500’の平面視において、負極層10Bの負極集電体部分12Bが、固体電池積層体500’の外部端子が設けられていない側面(すなわち、非電極側端面500’Cおよび/または500’D)まで延在している(図6A図6C参照)。かかる例示態様から分かるように、「側面にまで延在している」とは、固体電池の側面または端面を成す固体電池積層体の外縁部にまで達するように集電体部分が延在していることを実質的に意味している。
【0124】
負極集電体部分12Bは、負極活物質部分11Bと負極端子30Bとの間を埋めるように端面500’Cおよび500’Dまで広範に延在していてよく(図6A参照)、負極活物質部分11Bの外縁のうちの2辺を囲むように端面500’Dまで延在していてもよく(図6B参照)、負極活物質部分11Bの外縁を囲むように(例えば当該外縁を全て囲むように)端面500’Cおよび500’Dまで延在していてもよい(図6C参照)。
【0125】
このように外部端子が設けられていない側面(すなわち、非電極側端面500’Cおよび/または500’D)にまで負極集電体部分12Bを延在することで、当該側面に対しても外部端子をさらに設けた電極取出部とすることができる。それによって、集電部分と外部端子との接触面積を大きくできる。したがって、抵抗を下げ易くなり、集電効率をより高めることができる。
【0126】
一実施形態では、固体電池積層体の断面視において、活物質部分と集電体部分との接触面が斜面を成している。ここで「斜面を成す」とは、固体電池積層体の断面視において、“活物質部分と集電体部分との接触面”と外部端子の内側端面との間の離隔距離が積層方向に沿って漸次変化するような形状を指す。つまり、固体電池積層体の断面視において、活物質部分と集電体部分との接触面が固体電池積層体の側面と平行関係を有しておらず、当該側面と非平行関係を有している。固体電池積層体の断面視において、活物質部分と集電体部分との接触面の面方向が積層方向と角度を成す部分を少なくとも備えているともいえる。このような実施形態では、活物質部分と集電体部分との接触面積をより大きくできる。
【0127】
図示する例示態様でいえば、固体電池積層体の断面視において、負極活物質部分11Bと負極集電体部分12Bとの接触面13が斜面を成しており(図7A図7I参照)、負極活物質部分11Bと負極集電体部分12Bとの間においてより大きな接触面積がもたらされている。よって、電子移動をより均一化し易くなり、集電効率をより高めることができる。
【0128】
具体的な断面視形状としては、負極活物質部分11Bが、負極集電体部分12Bに向かって厚さ寸法が漸次的に小さくなるように直線状に接触面13を成していてよく(図7A参照)、曲線状に接触面13を成していてもよく(図7B参照)、厚さ寸法がステップ状に変わるように接触面13を成していてもよく(図7C参照)、あるいは、半円状に接触面13を成していてもよい(図7Dおよび図7E参照)。
【0129】
同一の斜面を成す部分において、直線状と曲線状とが互いに組み合わされてもよい。つまり、接触面13は、曲線状に斜面を成していることが好ましい。これにより、負極活物質部分11Bと負極集電体部分12Bとの接触面積を特に大きくし易くなる。
【0130】
上記接触面の断面視形状は、2つの斜面を有するようにサブ分割されていてもよい。例えば、負極活物質部分11Bが積層方向の両側に斜面を有するようにサブ分割されていてよく(図7D図7G参照)、積層方向において同一方向に2つの斜面を有するようにサブ分割されていてもよい(図7H参照)。
【0131】
一実施形態では、固体電池積層体の断面視において、活物質部分の主面にまで及ぶように集電体部分が延在している。つまり、端面集電構造を有する電極層において、活物質部分の側面と接するように集電体部分が設けられているだけでなく、部分的に活物質部分の主面にまで至るように集電体部分が連続的に設けられている。特に、固体電池積層体の断面視において、活物質部分の側面と主面との双方を跨ぐように集電体部分がより広範に設けられていてよい。このような実施形態でも、活物質部分と集電体部分との接触面積をより大きくできる。
【0132】
図示する態様でいえば、負極層10Bにおいて、負極活物質部分11Bの主面(例えば、主面11B’)に一部及ぶように負極集電体部分12Bが延在している(図7I参照)。そのような構成とすることで、負極活物質部分11Bと負極集電体部分12Bとの接触面積を特に大きくし易くなる。図7Iに示されるように、固体電池積層体の断面視において、活物質部分と集電体部分との接触面が斜面を成しつつも活物質部分の主面の一部(特にその周縁部分)に及ぶように集電体部分が延在していてよい。活物質部分の主面に及ぶ集電体部分が延在する積層方向に対する水平方向の長さ寸法(L4)は200μm以下であることが好ましい。
【0133】
一実施形態では、固体電池は保護層を更に備えるものであってもよい。図8に示す例示態様でいえば、固体電池積層体500’を覆うように保護層50が設けられていてよい。また、固体電池積層体500’、正極端子30Aおよび負極端子30Bの外側にも、それらと一体化するように保護層(図示せず)が設けられていてもよい。
【0134】
本明細書の固体電池における構造は、イオンミリング装置(日立ハイテク社製 型番IM4000PLUS)によって断面視方向断面または平面視方向断面を切り出し、走査電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製 型番SU-8040)を用いて取得した画像から観察するものであってよい。また、本明細書における各種寸法は、上述した方法により取得した画像から測定した寸法から算出した値を指すものであってもよい。
【0135】
また、本明細書における活物質部分および集電体部分の活物質密度は、以下の手順に沿って得られる値をそれぞれ指すものであってよい。
(1)イオンミリング装置によって、一つの電極層における活物質部分および集電体部分の断面視方向断面(例えば、図2に示す断面)を切り出す。
(2)上記(1)で得られた断面について、電極層における活物質部分の幅方向中心部を測定中心とし、当該部分が全て視野に収まる倍率にてSEM画像を取得する。同様に、上記と同一の電極層における集電体部分の幅方向中心部を測定中心とし、当該部分が全て視野に収まる倍率にてSEM画像を取得する。
(3)上記(1)で得られた断面について、電極層における活物質部分の幅方向に対して3等分に分割した領域のそれぞれの中心部を測定中心とし、1000倍の倍率にて計3点のSEM画像を取得する。取得したSEM画像を、例えば二値化処理することによって3点のSEM画像から得られた活物質部分の活物質比率の平均値を計測する。同様に、上記と同一の電極層における集電体部分の幅方向に対して3等分に分割した領域のそれぞれの中心部を測定中心とし、1000倍の倍率にて計3点のSEM画像を取得する。取得したSEM画像を、例えば二値化処理することによって3点のSEM画像から得られた集電体部分の活物質比率の平均値を計測する。
(4)上記(2)で取得した各画像から、活物質部分の断面積を計測し、活物質部分の活物質比率の平均値を乗算することで活物質部分の活物質が分布する量を算出する。同様に、上記(2)で取得した各画像から、集電体部分の断面積を計測し、集電体部分の活物質比率の平均値を乗算することで集電体部分の活物質が分布する量を算出する。
(5)上記(2)で取得した各画像から、活物質部分および集電体部分の断面積をそれぞれ計測し、電極層の断面積(すなわち、活物質部分および集電体部分の断面積の和)を算出する。得られた活物質が分布する量を電極層の面積で除算することで、活物質部分および集電体部分の活物質密度をそれぞれ算出する。
【0136】
[固体電池の製造方法]
本発明の固体電池は、上述したように、スクリーン印刷法などの印刷法、グリーンシートを用いるグリーンシート法、またはそれらの複合法により製造することができる。以下、本発明の理解のために印刷法およびグリーンシート法を採用する場合について詳述するが、本発明は当該方法に限定されない。
【0137】
(固体電池積層前駆体の形成工程)
本工程では、正極活物質部分用ペースト、負極活物質部分用ペースト、固体電解質層用ペースト、集電体部分用ペースト、電極分離部用ペーストおよび保護層用ペーストなどの数種類のペーストをインクとして用いる。つまり、ペーストを印刷法で塗布することを通じて支持基体上に所定構造のペーストを形成する。
【0138】
印刷に際しては、所定の厚みおよびパターン形状で印刷層を順次、積層することによって、所定の固体電池の構造に対応する固体電池積層前駆体を基体上に形成することができる。パターン形成方法の種類は、所定のパターンを形成可能な方法であれば、特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷法およびグラビア印刷法などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
【0139】
ペーストは、正極活物質、負極活物質、導電材、固体電解質、絶縁材、結着剤および焼結助剤から成る群から適宜選択される各層の所定の構成材料と、有機材料を溶媒に溶解した有機ビヒクルとを湿式混合することによって作製することができる。正極活物質部分用ペーストは、例えば、正極活物質、導電材、固体電解質、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含み得る。負極活物質部分用ペーストは、例えば、負極活物質、導電材、固体電解質、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含み得る。固体電解質層用ペーストは、例えば、固体電解質、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含み得る。正極集電体部分用ペーストおよび負極集電体部分用ペーストは、導電材、活物質、固体電解質、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含み得る。電極分離部用ペーストは、例えば、固体電解質、絶縁材、結着剤、焼結助剤、有機材料および溶媒を含み得る。保護層用ペーストは、例えば、絶縁材、結着剤、有機材料および溶媒を含み得る。
【0140】
ペーストに含まれる有機材料は特に限定されないが、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂およびポリビニルアルコール樹脂などから成る群から選択される少なくとも1種の高分子材料を用いることができる。溶媒の種類は、特に限定されないが、例えば、酢酸ブチル、N-メチル-ピロリドン、トルエン、テルピネオールおよびN-メチル-ピロリドンなどの有機溶媒のうちのいずれか1種類または2種類以上である。
【0141】
湿式混合ではメディアを用いることができ、具体的には、ボールミル法またはビスコミル法などを用いることができる。一方、メディアを用いない湿式混合方法を用いてもよく、サンドミル法、高圧ホモジナイザー法またはニーダー分散法などを用いることができる。
【0142】
支持基体は、各ペースト層を支持可能な支持体であれば、特に限定されないが、例えば、一面に離型処理が施された離型フィルムなどである。具体的には、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子材料から成る基体を用いることができる。各ペースト層を基体上に保持したまま焼成工程に供する場合には、基体は焼成温度に対して耐熱性を呈するものを使用してよい。
【0143】
塗布したペーストを、加熱したホットプレート上で乾燥させることで、基体(例えばPETフィルム)上に所定の形状、厚みを有する正極層グリーンシート、負極層グリーンシート、固体電解質層グリーンシート、電極分離グリーンシートおよび/または保護層グリーンシートなどをそれぞれ形成する。
【0144】
次に、各グリーンシートを基体から剥離する。剥離後、積層方向に沿って、一方の電池構成単位の各構成要素のグリーンシートを順に積層することで固体電池積層前駆体を形成する。積層後、電極グリーンシートの側部領域にスクリーン印刷により固体電解質層、電極分離部および/または保護層などを供してもよい。
【0145】
(焼成工程)
焼成工程では、固体電池積層前駆体を焼成に付す。あくまでも例示にすぎないが、焼成は、酸素ガスを含む窒素ガス雰囲気中または大気中で加熱することによって実施する。焼成は、積層方向(場合によっては積層方向および当該積層方向に対する垂直方向)で固体電池積層前駆体を加圧しながら行ってよい。
【0146】
そのような焼成を経ることによって、固体電池積層体が形成され、最終的には所望の固体電池が得られることになる。
【0147】
(本発明における特徴部分の作製について)
本発明に係る固体電池の電極層において、活物質部分の端面に集電体部分が設けられた構造を有するものであれば、いずれの方法で形成されてもよい。例えば、電極層において活物質部分と集電体部分とを積層方向に対する直交方向に互いに並設して接触するように層形成してもよい。
【0148】
例えば、複数の原料ペーストの印刷層を所定の厚みおよびパターン形状で順次、積層し、活物質部分の前駆体(以下では単に「活物質部分」とも称する)と集電体部分の前駆体(以下では単に「集電体部分」とも称する)とが積層方向に対する直交方向に互いに並設して接触するように、電極層グリーンシートを作製してもよい。具体的には、積層させる各印刷層における原料ペーストの活物質量および/または塗布回数を調整することによって、所定の電極層グリーンシートを作製してもよい。
【0149】
また、本発明に係る固体電池の電極層において、活物質部分と集電体部分との接触面が斜面を成す形状は、例えば、当該活物質部分の厚さ寸法が集電体部分に向かって小さくなるように斜面を形成し、当該斜面を埋めるように集電体部分を形成してもよい。
【0150】
一例として、スクリーン印刷法において、活物質部分の中心部分に適用するスクリーン版のメッシュ径に対して、かかる活物質部分の集電体部分と接する端部に向けてメッシュ径が小さくなるようなスクリーン版を用いて活物質部分を形成してよい。
【0151】
印刷法において、活物質部分の集電体部分と接する端部に向けて膜厚が薄くなるように活物質部分用ペーストの粘度を調整してもよい(例えば、塗布端がたれるようにペーストを低粘度に調整してもよい)。
【0152】
以下、図9A図9Cに示す例示態様に基づいて、固体電池の製造方法を具体的に説明する。
【0153】
固体電池を製造するためには、例えば、以下で説明するように、正極グリーンシート100Aの形成工程、負極グリーンシート100Bの形成工程、固体電池積層体500’の形成工程、ならびに正極端子30Aおよび負極端子30Bのそれぞれの形成工程が行われる。
【0154】
[正極グリーンシートの形成工程]
最初に、固体電解質と、溶媒と、必要に応じて結着剤などとを混合することにより、固体電解質層用ペーストを調製する。続いて、図9Aに示すように、基体60の一面に固体電解質層用ペーストを塗布することにより、固体電解質グリーンシート20を形成する(以下では、単に「固体電解質層」とも称する)。
【0155】
絶縁材と、溶媒と、必要に応じて結着剤などとを混合することにより、電極分離部用ペーストを調製する。パターン形成方法を用いて、固体電解質層20の表面の両端部に電極分離部用ペーストを塗布することにより、2つの正極分離部40Aおよび40Aを形成する。この際、正極分離部40Aを、40Aに対して薄く形成する。
【0156】
正極活物質と、溶媒と、必要に応じて結着剤などとを混合することにより、正極活物質部分用ペーストを調製する。パターン形成方法を用いて、固体電解質層20の表面に正極活物質部分用ペーストを塗布することで、正極活物質部分11Aを形成する。
【0157】
導電材と、溶媒と、結着剤などとを混合することにより、正極集電体部分用ペーストを調製する。パターン形成方法を用いて、正極分離部40Aの表面に集電体部分用ペーストを塗布することで、正極集電体部分12Aを形成する。この際、正極集電体部分12Aの表面部分を薄く塗布することで端部が凹み部となるように正極集電体部分12Aを形成する。
【0158】
最後に、正極集電体部分12Aの表面の凹み部に、電極分離部用ペーストを塗布し、正極分離部40Aを形成する。これにより、正極活物質部分11Aおよび正極集電体部分12Aから構成される正極層10A、固体電解質層20および正極分離部40Aを含む正極グリーンシート100Aが得られる。
【0159】
[負極グリーンシートの形成工程]
最初に、上記した手順により、図9Bに示すように、基体60の一面に固体電解質層20を形成する。
【0160】
上記した電極分離部用ペーストの調製手順と同様の手順により、電極分離部用ペーストを調製する。パターン形成方法を用いて、固体電解質層20の表面の両端部に電極分離部用ペーストを塗布することにより、2つの負極分離部40Bおよび40Bを形成する。この際、負極分離部40Aを、40Aに対して薄く形成する。
【0161】
負極活物質と、溶媒と、必要に応じて結着剤などとを混合することにより、負極活物質部分用ペーストを調製する。パターン形成方法を用いて、固体電解質層20の表面に負極活物質部分用ペーストを塗布することで、負極活物質部分11Bを形成する。
【0162】
導電材と、溶媒と、結着剤などとを混合することにより、負極集電体部分用ペーストを調製する。パターン形成方法を用いて、負極分離部40Bの表面に負極集電体部分用ペーストを塗布することで、負極集電体部分12Bを形成する。この際、負極集電体部分12Bの表面部分を薄く塗布することで端部が凹み部となるように負極集電体部分12Bを形成する。
【0163】
最後に、負極集電体部分12Bの表面の凹み部に、電極分離部用ペーストを塗布し、負極分離部40Bを形成する。これにより、負極活物質部分11Bおよび負極集電体部分12Bから構成される負極層10B、固体電解質層20および負極分離部40Bを含む負極グリーンシート100Bが得られる。
【0164】
[固体電池積層体の形成工程]
最初に、絶縁材と、溶媒と、必要に応じて結着剤などとを混合することにより、保護層用ペーストを調製する。図9Cに示すように、基体60の一面に保護層用ペーストを塗布することにより、保護層50を形成する。
【0165】
保護層50の表面に、基体60から剥離された正極グリーンシート100Aと、負極グリーンシート100Bとを交互に積層させる。ここでは、例えば、2つの正極グリーンシート100Aと3つの負極グリーンシート100Bとを交互に積層させる。より具体的には、グリーンシート100B、100A、100B、100Aおよび100Bの順に積層させる。
【0166】
固体電解質層20の形成手順と同様の手順により、負極層10Bおよび負極分離部40Bの表面に固体電解質層20を形成したのち、保護層50の形成手順と同様の手順により、固体電解質層20の表面に保護層50を形成する。次いで、最下層の基材60を剥離させることで、固体電池積層前駆体500Zが形成される。
【0167】
最後に、固体電池積層前駆体500Zを加熱する。この場合には、固体電池積層前駆体500Zを構成する一連の層が焼結されるように加熱温度を設定する。加熱時間などの他の条件は、任意に設定可能である。
【0168】
この加熱処理により、固体電池積層前駆体500Zを構成する一連の層が焼結されるため、その一連の層が熱圧着される。よって、固体電池積層体500’が形成される。
【0169】
[正極端子および負極端子のそれぞれの形成工程]
例えば、導電性接着剤を用いて固体電池積層体に正極端子を接着させるとともに、例えば、導電性接着剤を用いて固体電池積層体に負極端子を接着させる。これにより、正極端子および負極端子のそれぞれが固体電池積層体に取り付けられるため、固体電池が完成する。
【0170】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明の固体電池は、電池使用または蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の固体電池は、エレクトロニクス実装分野で用いることができる。また、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパー、ウェアラブルデバイスなどや、RFIDタグ、カード型電子マネー、スマートウォッチなどの小型電子機などを含む電気・電子機器分野あるいはモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などにも本発明の固体電池を利用することができる。
【符号の説明】
【0172】
10 電極層
10A 正極層
11A 正極活物質部分
11A’ 正極活物質部分の主面
11A’’ 正極活物質部分の端面
12A 正極集電体部分
12A’’ 正極集電体部分の端面
10B 負極層
11B 負極活物質部分
11B’ 負極活物質部分の主面
11B’’ 負極活物質部分の端面
12B 負極集電体部分
12B’’ 負極集電体部分の端面
13 活物質部分および集電体部分の接触面
20 固体電解質層
30 端子
30A 正極端子
30B 負極端子
40 電極分離部
40A 正極分離部
40B 負極分離部
50 保護層
60 基体
100 グリーンシート
100A 正極グリーンシート
100B 負極グリーンシート
500Z 固体電池積層前駆体
500’ 固体電池積層体
500’A 正極側端面
500’B 負極側端面
500’C、D 非電極側端面
500 固体電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10