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特許7405169手切り開封用低吸着性積層体と、該積層体を用いた包装材料及び包装体
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  • 特許-手切り開封用低吸着性積層体と、該積層体を用いた包装材料及び包装体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】手切り開封用低吸着性積層体と、該積層体を用いた包装材料及び包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20231219BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20231219BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20231219BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231219BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D81/24 D
B32B27/36
B32B27/00 H
B32B7/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022038816
(22)【出願日】2022-03-14
(62)【分割の表示】P 2017162089の分割
【原出願日】2017-08-25
(65)【公開番号】P2022084741
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2022-03-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】江口 誠
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-066802(JP,A)
【文献】特開2013-075725(JP,A)
【文献】特開2017-002236(JP,A)
【文献】特開2003-104456(JP,A)
【文献】特開2007-245612(JP,A)
【文献】特開2013-075439(JP,A)
【文献】特開2015-089619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 81/24
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材層と、接着剤層と、機能層と、接着剤層と、シール層とこの順に隣接して有する、手切り開封用低吸着性積層体であって、
前記基材層は、数平均分子量が2~3万のホモPETからなる樹脂フィルムであって、基材層の厚みは9~25μmであり、
前記接着剤層は、ポリウレタン系接着剤からなり、2~5g/m 2 (乾燥状態)のコーティング量を有する層であり、
前記機能層が、ガスバリヤー性、遮光性、及び補強性に優れた、厚さ5~30μmのアルミニウム箔からなる層であり、
前記シール層は、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層であり、
前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物のガラス転移温度が70~90℃であり、
前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂が、多価カルボン酸由来の部位に、テレフタル酸由来の構造を有し、多価アルコール・フェノール類由来の部位に、ネオペンチルグリコールとエチレングリコール由来の構造を有する非晶性ネオペンチルグリコール変性PETであって、非晶性ネオペンチルグリコール変性PETを構成する全多価アルコール・フェノール類由来の部位の20~40モル%が、ネオペンチルグリコール由来の構造であり、
前記積層体のシール層同士が対向するように重ね合せて、温度160℃、圧力0.1MPaで一秒間ヒートシールした試験片を、引張強度試験条件が試験速度300mm/分、荷重レンジ100Nで引張試験機により測定したシール強度が15N/15mm以上であり、
JIS K7128-2に準拠してエルメンドルフ引裂試験機を用いMD方向の引裂強さを測定した引裂強さが、0.34N以下である、
経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性積層体。
【請求項2】
請求項1に記載の手切り開封用低吸着性積層体を用いて作製された、経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性包装材料。
【請求項3】
請求項に記載の手切り開封用低吸着性包装材料を用いて作製された、経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材層と、機能層と、シール層と、該シール層を接着している接着剤層とを有し、該シール層は薬剤から発生する有効成分の吸着量が少ない性能を有する低吸着層を有することから、包装された薬剤の薬効成分の有効量を長期間高く維持することが可能であり、更には、包装された内容物を手切りによって取り出す際の包装袋の開封性に優れた、包装材料用の、特に経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性積層体、該積層体を用いた包装材料、及び該包装材料を用いた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋や蓋材等の包装材の最内層には、高いシール強度を示すポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、アイオノマー、EMMA等のコポリマー樹脂からなるシール層が設けられている。
これらの樹脂は、ヒートシールにより高い密着強度を達成することができるが、種々の有機化合物を吸着し易いことが知られている。
したがって、これらの樹脂からなるシール層を最内層、すなわち内容物と接する層として有する包装材料は、有機化合物を薬効成分として含む化成品、医薬品、食品等の包装には、有効成分や香気成分が吸着される為に有効量が低下してしまうために不適であり、あらかじめ内容物中に有効成分や香気成分を多めに含ませる等の対策が必要である。
【0003】
そこで、良好なシール強度を有しながら、有効成分を吸着しにくいシーラントフィルムの開発がなされている。代表的には、アクリロニトリル系樹脂からなる非着性シール層を最内層とする包装材が使用されている(特許文献1)。
しかしながら、アクリロニトリル系樹脂は、良好なシール強度が得られないという問題があり、また高価であるため、より好ましい非着性シール層の開発が求められている。
【0004】
これに対し、例えば、特許文献2には、最内層が、アルミニウム箔または無機物の蒸着膜で形成される非吸着性包装材が開示されている。前記包装材は、前記アルミニウム箔や蒸着膜に部分的に接着性樹脂層を形成することで製袋して使用されている。接着性樹脂層としては、ウレタン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂等が開示されている。しかしながら、このような包装材は、その製造工程が複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-132946号公報
【文献】特開平10-45176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題を解決し、製造適性、製膜性、ヒートシール性及びシール強度に優れ、特に経皮吸収テープを包装する用途において、被包装体の薬剤から発生する有効成分に対し低い吸着性を有することで長期にわたって薬剤中の有効成分量を高く維持し、且つ、易引裂き性に優れることで手切り開封による薬剤の取り出しが容易な手切り開封用低吸着性積層体、及び該積層体を用いた包装材料、包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、種々検討の結果、少なくとも、基材層と、機能層と、シール層と、該シール層を接着する接着剤層とを有する、包装材料用積層体であって、前記機能層が、ガス
バリヤー性、遮光性、及び補強性からなる群から選択される1種または2種以上の特性を有する層であり、前記シール層は、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物から形成された層を有し、前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物のガラス転移温度が70~90℃であり、経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性積層体、及び該積層体を用いた包装材料と包装体が、上記の目的を達成することを見出した。
【0008】
本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、基材層と、機能層と、シール層と、該シール層を接着する接着剤層とを有する、手切り開封用低吸着性積層体であって、
前記機能層が、ガスバリヤー性、遮光性、及び補強性からなる群から選択される1種または2種以上の特性を有する層であり、
前記シール層は、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層を有し、
前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を用いた樹脂組成物のガラス転移温度が70~90℃である、
経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性積層体。
2.前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂が、非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエステル樹脂である、上記1に記載の、手切り開封用低吸着性積層体。
3.前記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂が、非晶性ネオペンチルグリコール変性PETである、上記1または2に記載の、手切り開封用低吸着性積層体。
【0009】
4.前記基材層は、1軸延伸PET、2軸延伸PET、未延伸ナイロン、2軸延伸PP、及び、紙、なる群から選択される1種または2種以上を含有する層であって、1層または2層以上で構成されているものであり、
かつ、2層以上で構成されている場合には、各層は同一または異なる組成からなる、上記1~3の何れかに記載の、手切り開封用低吸着性積層体。
5.前記機能層が、アルミニウム箔層を有するものである、上記1~4の何れかに記載の、手切り開封用低吸着性積層体。
6.前記基材層が、紙層を有するものである、上記1~5の何れかに記載の、手切り開封用低吸着性積層体。
7.上記1~6の何れかに記載の手切り開封用低吸着性積層体を用いて作製された、経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性包装材料。
8.上記7に記載の手切り開封用低吸着性包装材料を用いて作製された、経皮吸収テープを包装するための、手切り開封用低吸着性包装体。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製造適性、製膜性、ヒートシール性及びシール強度に優れ、被包装体の薬剤から発生する有効成分や香気成分に対し低い吸着性を有することで長期にわたって薬剤中の有効成分量を高く維持し、更には、包袋から薬剤等を取り出すための易引裂き性に優れていることから、特に経皮吸収テープを包装する用途向けに、手切り開封性に優れた、手切り開封用低吸着性積層体、該積層体を用いた包装材料及び包装体を提供することができる。
【0011】
一般によく知られるポリオレフィン系樹脂のみからなる単層シーラントフィルムは、その厚さと、有機化合物吸着量及びシール強度とが比例する。したがって、包装袋のシーラントフィルムを、内容物の吸着を防ぐために薄くすると、シール強度が低下し、袋の耐衝撃性が低下する。また、耐衝撃性を高めるために、シーラントフィルムを厚くすると、内容物の吸着量が増大する。
【0012】
これに対し、本発明の積層体は、ガラス転移点が70~90℃である非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層を有するシール層を最表層とすることにより、優れた低吸着性とシール強度と手切りによる開封性を達成するものである。
本発明の積層体は、種々の有機化合物、特に脂溶性物質、例えば、l-メントール、カンフル(樟脳)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、ビタミンE酢酸エステル、リモネン等の成分を吸着しにくく、これらに類似した特性の成分を含有する薬剤や、経皮吸収薬剤を含有した製品用の包装材料として好適に使用することができる。
したがって、本発明の手切り開封用低吸着性積層体は、種々の包装材料として使用することに適しており、手切り開封性や、低吸着性が求められる医薬品の包装材料として好適であり、特に、経皮吸収テープを包装する包装材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の手切り開封用低吸着性積層体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。
図2】非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成されたシール層の低吸着性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。以降、手切り開封用低吸着性積層体、手切り開封用低吸着性包装材料、手切り開封用低吸着性包装体は、簡略化して、各々積層体、包装材料、包装体とも表記する。
【0015】
<本発明の積層体の層構成>
図1は、本発明の積層体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。図1に示されるように、本発明の積層体は、基材層1と、接着剤層2と、機能層3と、接着剤層4と、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成されたシール層5とを積層してなるものであってよい。機能層3は、例えばガスバリヤー性フィルムまたは金属箔等を有するものであってもよい。
【0016】
<基材層>
本発明において、基材層には、包装される内容物の種類や、物流において要求される機械的強度、耐薬品性、耐溶剤性、製造性等に応じて、種々の材料が適用され得るものである。
例えば、各種包装材料や包装容器に用いられる任意の樹脂フィルムを使用することができ、貼り合わせる機能層やシール層の種類等に応じて、適するものを自由に選択して使用することができる。また、紙等を積層することも可能である。
なお、基材層の両面または片面に、例えば、文字、図形、記号等の所望の絵柄印刷層を任意に形成することができる。
【0017】
基材層には、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂(低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)等)、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂等))、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ビニルアルコール系樹脂、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニル系樹脂等)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ホモポリエチレンテレフタレート(ホモPET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂等)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド
66等の各種ナイロン)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂等)、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、及びこれらの樹脂の混合物等の各種の樹脂を含むフィルムを使用することができるが、これらの樹脂に限定されない。
層間の接着強度を高める観点からは、ホモPETからなる樹脂フィルムが特に好ましく、数平均分子量が2~3万程度の汎用のホモPETを好適に用いることができる。
【0018】
なお、本発明において、ホモPETとは、テレフタル酸とエチレングリコールとを、エステル交換法、直接エステル化法等の任意の方法により重縮合してなる結晶性PETであり、慣用の添加剤や不可避的に混入する不純物等を除いては、他の共重合成分を積極的には含まないものである。
また、本発明において、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)とは、旧JIS K6748:1995やJIS K6899-1:2000にて定義されたものを指す。
また、本発明の積層体における基材層には、積層体の加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。
この場合、これら添加剤を基材層に、極微量~数10質量%まで、その目的に応じて任意に含有させればよい。
【0019】
本発明においては、一般的な添加剤としては、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸着剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料、着色剤、無機ないし有機充填剤等の1種ないし2種以上を任意に含有させることができる。更には、改質用樹脂等の添加剤を含んでもよい。
上記樹脂フィルムは無延伸であってもよく、一軸又は二軸延伸フィルムであってもよいが、二軸延伸フィルムが、寸法安定性、耐熱性、機械的強度の点から好ましい。また、2枚またはそれ以上の樹脂フィルムを貼り合わせた多層構成の樹脂フィルムであってもよい。
本発明において、上記基材層は、Tダイ製膜法(キャスト製膜法)、インフレーション製膜法等の製膜化法を用いて単層、又は多層製膜したものを用いることができる。
また、基材層の厚みは、包装用途に応じて、当業者が適宜に決定することができるが、好ましくは6~50μm、より好ましくは9~25μmである。
また、基材層を構成する樹脂フィルムの積層面は、接着性を高めるために、表面処理(例えば、コロナ放電処理やプライマー処理など)されていてもよい。
【0020】
<機能層>
本発明における機能層は、ガスバリヤー性、遮光性、補強性からなる群から選択される1種または2種以上の特性を有する層であり、上記性能を有するフィルムや蒸着膜を用いることができる。
具体的には、PET、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の樹脂及びそれらの混合物の樹脂フィルム、上述のガスバリヤー性フィルムの少なくともいずれか一方の面上にシリカや酸化アルミニウム等の蒸着膜を形成したフィルム、アルミニウム箔等の金属箔、等を使用することができ、更には2種以上を及び組み合わせて使用することもできるが、これらに限定されない。
尚、蒸着膜を、基材層やシール層上に形成することも可能である。
【0021】
積層体は、上記のフィルムや蒸着膜を含むことによって、ガスバリヤー性、遮光性、補強性等が付与される。
主に補強性(剛性)を付与する場合には、上記フィルムの中でも、樹脂フィルムを用いることが好ましい。
主にガスバリヤー性を付与する場合には、上記フィルムの中でも、シリカ蒸着フィルム、酸化アルミニウム蒸着フィルム、アルミニウム箔を使用することが好ましい。
主に遮光性を付与する場合には、アルミニウム箔が遮光性に特に優れ、光照射による積層体と充填物の劣化を抑えることができるため、好適に用いることができる。
本発明において、機能層の厚さは、5~30μm程度とすることが好ましい。
【0022】
<シール層を接着する接着剤層>
本発明の包装材料は、シール層を接着する接着剤層を有する。
本発明において、シール層を接着する接着剤層を構成する接着剤としては、ドライラミネート用接着剤を使用することができる。
ドライラミネート用接着剤は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、さらに接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
【0023】
ドライラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2-エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジェンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等が挙げられ、これらの1種、または2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
ドライラミネート用接着剤としては、シール層の非晶性のグリコール変性ポリエステル樹脂との接着性を高める点から、ポリウレタン系接着剤が好ましい。
【0024】
本発明において、シール層を接着する接着剤層は、接着剤を、例えばロールコート、グラビアロールコート、キスコート等で施すことにより形成され、そのコーティング量としては、2~5g/m2(乾燥状態)位が望ましい。接着剤のコーティング量を上記範囲と
することで、良好な接着性が得られる。
尚、上記接着剤は、シール層以外の層を接着する接着剤層にも用いることができる。
【0025】
<シール層>
本発明において、シール層は、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層を有するものである。
シール層の構成は、単層であっても、2層以上からなる多層構成であってもよい。多層構成の場合は、層毎に組成や厚みが異なっていても、同一であってもよく、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含まない層があってもよい。
例えば、ヒートシール性に優れた組成を有する層を最表面にすることで、または厚くすることで、包装材料のヒートシール性やシール強度を高めることができ、非吸着性に優れた組成を有する層を最表面にすることで、または厚くすることで、積層体の非吸着性を高めることができる。
【0026】
本発明において、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂のガラス転移点は70~90℃、より好適には75~85℃である。ガラス転移点がこの範囲であることにより、100~200℃、より好ましくは120~160℃という比較的低い温度でのヒートシールによって、優れたヒートシール性及びシール強度が発揮される。
ガラス転移点がこの範囲よりも高いと、ヒートシールに高温を必要としたり、または十分なシール強度が得られ難い傾向が生じる。
ガラス転移点がこの範囲よりも低いと、ヒートシール時に、ヒートシール部の周囲にてシール層同士の仮着が生じ易い傾向になる。
【0027】
なお、本発明において、非晶性とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて-100℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温した際に、明確な融解ピークを持たないことを意味する。
また、本発明において、ガラス転移点は、JIS K7121に準拠して測定される。
本発明において、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、数平均分子量が20000~40000であり、固有粘度(IV値)が0.7~1.3dl/gであることが、良好な製膜性、積層体の低吸着性、ヒートシール性、手切れ性を得るためには好ましい。
本発明における非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸及び多価アルコール・フェノール類由来のポリエステル構造を有する樹脂であり、該多価アルコール・フェノール類由来の構造部の一部または全部がグリコール類由来の構造のものである。
【0028】
非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸及び多価アルコール・フェノール類を原料として、多価カルボン酸及び多価アルコール・フェノール類の一部または全部にグリコール類を用いて、重合や共重合によって得られる樹脂である。
上記の多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸(不飽和脂肪酸の二量体又はその水素添加物を主体とするもの)、ジフェニルカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウム等が挙げられる。
上記の多価アルコール・フェノール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0029】
また、グリコール類とは、上記多価アルコール・フェノール類の中で、特に、水酸基を2個有する脂肪族化合物を指す。
ここで、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を構成する全多価アルコール・フェノール類由来の部位の20~40モル%が、グリコール類由来の構造であることが好ましい。
【0030】
更に、全多価カルボン酸由来の部位の50モル%以上がテレフタル酸由来の構造であり、また、全多価アルコール・フェノール類由来の部位の50モル%以上がエチレングリコール由来の構造であることが好ましい。
これらが50モル%よりも小さいと、耐衝撃性及び非吸着性が損なわれやすい傾向にある。
また、多価カルボン酸及び多価アルコール・フェノール類由来の部位の合計量100モル%に対して、テレフタル酸及びエチレングリコール由来の部位の合計量が、50~95モル%であることが好ましい。
95モル%よりも大きいと、非晶性が失われ、シール強度が損なわれやすい傾向にある。
【0031】
本発明における非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂としては、非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエステル樹脂が好ましく、非晶性ネオペンチルグリコール変性PET(ポリエチレンテレフタレート)が特に好ましい。
非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエステル樹脂とは、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂の中でも、全多価アルコール・フェノール類由来の部位に、ネオペンチルグリコール由来の構造を有するものである。
非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエステル樹脂においては、全多価アルコール・フェノール類由来の部位の20~40モル%が、ネオペンチルグリコール類由来の構造であることが特に好ましい。
【0032】
非晶性ネオペンチルグリコール変性PETとは、非晶性ネオペンチルグリコール変性ポリエステル樹脂の中でも、多価カルボン酸由来の部位に、テレフタル酸由来の構造を有し、多価アルコール・フェノール類由来の部位に、ネオペンチルグリコールとエチレングリコール由来の構造を有するものである。
非晶性ネオペンチルグリコール変性PETにおいては、非晶性ネオペンチルグリコール変性PETを構成する全多価アルコール・フェノール類由来の部位の20~40モル%が、ネオペンチルグリコール由来の構造であることが好ましい。
【0033】
上記非晶性ネオペンチルグリコール変性PETの具体例としては、テレフタル酸とエチレングリコールとネオペンチルグリコール由来の構造部位を有するもの、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコールとネオペンチルグリコール由来の構造部位を有するもの、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4-シクロヘキサンジメタノールとネオペンチルグリコール由来の構造部位を有するもの、テレフタル酸とイソフタル酸とプロピレングリコールとネオペンチルグリコール由来の構造部位を有するもの等が挙げられ、テレフタル酸とエチレングリコールとネオペンチルグリコール由来の構造部位を有するものが代表例として挙げられ、好ましく用いられる。
【0034】
上記の要件を満たす、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂は商業的にも入手可能であり、本発明において好適に用いられるものとしては、バイロン(R)SI-173(東洋紡(株)製、非晶性ネオペンチルグリコール変性PET。全多価アルコール・フェノール類由来の部位の30モル%がネオペンチルグリコール。Tg78℃、軟化点185℃、数平均分子量25000、溶融粘度7000dPa・s/250℃)等が挙げられる。
【0035】
また、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層は、フィルムの滑り性を改善するために、シール強度、低吸着性及び接着強度を損なわない範囲で、アンチブロッキング剤を含むことができる。具体的には、1~10質量%、より好ましくは3~5質量%の範囲で含有してもよい。
【0036】
本発明において好適に用いられるアンチブロッキング剤としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸等のケイ酸塩、その他、カオリン、タルク、珪藻土等の無機化合物系のアンチブロッキング剤、及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0037】
また、非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層は、さらに必要ならば、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤
、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂等の添加剤の1種または2種以上を含んでもよい。
非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物から形成された層の層厚は、良好な製膜性とヒートシール性と低吸着性を得るためには、10μm~60μmが好ましく、より好ましくは15μm~60μmであり、特に好ましくは20~50μmであり、25~50μmが最も好ましい。
10μm未満では製膜が困難で安定性が悪く、シール強度が弱くなりやすい傾向にあり、60μmより厚いとシーラントフィルムとして硬く、コストも高くなるため好ましくない。
【0038】
<シール層の形成及び積層>
本発明において、シール層を形成及び積層する方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法や積層方法を適用できる。
例えば、Tダイ製膜法(キャスト製膜法)、インフレーション製膜法などによって予め製膜したシール層用フィルムを、ドライラミネーション等により、接着剤層を介して積層して積層体を作製しても良い。
または、押出法や共押出法によって、基材層または機能層上に、接着剤層を介して、シール層を積層して積層体を作製してもよい。
更にまたは、ベース樹脂層、接着剤層及びシール層等からなるシーラントフィルムを予め作製しておき、機能層や基材層と接着して積層体を作製することも可能である。
その場合、ベース樹脂層の層厚は、10~30μm、より好ましくは10~20μmである。10μmより薄いと基材としての強度不足であり、また30μmより厚いとシーラントフィルムとして硬く、コストも高くなるため好ましくない。
【0039】
また、ベース樹脂層を構成する樹脂フィルムの積層面は、接着性を高めるために、表面処理(例えば、コロナ放電処理やプライマー処理など)されていてもよい。
ベース樹脂層は、任意の樹脂フィルムからなり、各種包装材や包装容器に用いられる任意の樹脂フィルムを使用することができ、貼り合わせる基材層、機能層、シール層の種類等に応じて、適するものを自由に選択して使用することができる。
ベース樹脂層を構成する樹脂フィルムの具体例としては、オレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等)、ハロゲン含有樹脂(塩化ビニル系樹脂等)、ビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ホモポリエチレンテレフタレート(ホモPET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等)、ポリフェニレンエーテル系樹脂等からなる樹脂フィルムが例示できる。
【0040】
層間の接着強度を高める観点から、ホモPETからなる樹脂フィルムが特に好ましい。なお、本発明において、ホモPETは、テレフタル酸とエチレングリコールとを、エステル交換法、直接エステル化法等の任意の方法により重縮合してなる結晶性PETであり、慣用の添加剤や不可避的に混入する不純物等を除いては、他の共重合成分を積極的には含まないものである。
【0041】
慣用の添加剤としては、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤(脂肪酸アミド等)、難燃化剤、無機ないし有機充填剤、架橋剤、染料、顔料等の着色剤、更には、改質用樹脂等の添加剤の1種ないし2種以上を含んでもよい。
ホモPETは、数平均分子量が2万~3万程度の汎用のものを好適に用いることができる。
上記樹脂フィルムは無延伸であってもよく、一軸又は二軸延伸フィルムであってもよい。また、2枚またはそれ以上の樹脂フィルムを貼り合わせた多層構成の樹脂フィルムであってもよい。
【0042】
<積層体>
本発明の積層体は、少なくとも、上記の、基材層と、機能層と、シール層と、該シール層を接着する接着剤層とを有する、手切り開封用低吸着性積層体である。
本発明の積層体としては、例えば、基材層、機能層と、該シール層を接着する接着剤層、シール層の順で積層され、シール層が積層体の少なくとも一方の最表層に位置しているものが挙げられる。
各層は、単層または多層積層であり、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて、各種包装袋及び包装容器に用いられる原材料を特に限定されず、適するものを自由に選択して使用することができる。
更に、各層の間に接着剤層を有することもできる。
好ましく使用される積層体の具体例としては、二軸延伸PETフィルム上に、接着剤層を介してアルミニウム箔を貼り、該アルミニウム箔側の面上に、接着剤層を介して、シール層を積層された積層体が挙げられる。
【0043】
<包装材料>
本発明の包装材料は、上記の積層体を包装材料として用いて得られるものである。
【0044】
<包装体>
本発明の包装体は、上記の包装材料から作製されるものである。
例えば、上記の包装材料を、シール層が対向するように折り曲げるか、または包装材料2枚を重ね合せて、その周辺端部を例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態へとヒートシールすることにより、種々の形態の包装袋を作製することができる。
【0045】
本発明においては、ヒートシールの方法としては、例えばバーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知方法を適用することができる。
また、上記の積層体を蓋材として使用することもでき、その際は、樹脂製容器の開口部に、シール層の面が接するように積層体を重ね合せ、上記方法でヒートシールすることによって包装容器を製造することができる。
上記包装袋や包装容器は、特に、有機化合物を有効成分として含む化成品、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の包装のために、例えば、手切り開封して使用する経皮吸収テープ剤を包装する為の外袋として、または化粧水等の詰め替え用内容物に使用されるスタンディングパウチとして、好適に使用することができる。
【実施例
【0046】
実施例及び比較例で用いた原材料の詳細は下記の通りである。
ドライラミネート用接着剤:ロックペイント(株)社製RU77Tとアドロック社製H-7との、重量比10/1混合物。
二軸延伸PETフィルム:東洋紡(株)社製、E-5100。厚さ12μm、片面コロナ処理済み。
アルミニウム箔:日本製箔(株)社製、A1N30H-O。厚さ7μm。
非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂:東洋紡(株)社製、SI-173。非晶性ネオペンチルグリコール変性PET。Tg78℃、MD方向の引張破断伸度3%。多価アルコ
ール・フェノール類由来構造の30モル%がネオペンチルグリコール、70モル%がエチレングリコール。軟化点185℃、数平均分子量25000、溶融粘度7000dPa・s/250℃。
無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム:東洋紡(株)社製、P1128。厚さ30μm。MD方向の引張破断伸度334%。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム:三井化学東セロ(株)社製、TUX-MCS。厚さ30μm。MD方向の引張破断伸度288%。
ポリアクリロニトリル(PAN)フィルム:タマポリ(株)社製 ハイトロンBX。厚さ
30μm。MD方向の引張破断伸度100%。
【0047】
実施例及び比較例で実施した製造条件は下記のとおりである。
Tダイ法
押出し温度:240~250℃
ドライラミネート法
乾燥条件:70~80℃
ラミネート温度:50~70℃
ラミネート圧力:0.4~0.6MPa
【0048】
<実施例1>
非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂をTダイ製膜法により押出し、シール層用の、厚さ30μmの非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂フィルムを得た。
基材層用の二軸延伸PETフィルムにドライラミネート用接着剤を塗布、乾燥して接着剤層を形成し(乾燥後重量3.5g/m2)、当該接着剤層の面に、機能層として、アル
ミニウム箔をドライラミネート(DL)法により積層した。
次いで、上記で得られた積層材のアルミニウム箔側の面に、ドライラミネート用接着剤を塗布、乾燥して接着剤層を形成し(乾燥後重量3.5g/m2)、当該接着剤層の面に
、シール層である上記非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂フィルムをドライラミネート法により積層して、下記層構成の積層体を得た。そして、得られた積層体を用いて、各種評価を実施した。評価結果を表1に示す。
(層構成)
二軸延伸PETフィルム(12μm)/接着剤(3.5g/m2)/アルミニウム箔(7
μm)/接着剤(3.5g/m2)/非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂フィルム(
30μm)
【0049】
<比較例1~3>
非晶性グリコール変性ポリエステル樹脂フィルムの代わりに、表1の構成に従って、市販フィルムをシール層に用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を得て、同様に評価を行った。
(層構成)
比較例1:二軸延伸PETフィルム(12μm)/接着剤(3.5g/m2)/アルミニ
ウム箔(7μm)/接着剤(3.5g/m2)/CPPフィルム(30μm)
比較例2:二軸延伸PETフィルム(12μm)/接着剤(3.5g/m2)/アルミニ
ウム箔(7μm)/接着剤(3.5g/m2)/LLDPEフィルム(30μm)
比較例3:二軸延伸PETフィルム(12μm)/接着剤(3.5g/m2)/アルミニ
ウム箔(7μm)/接着剤(3.5g/m2)/PANフィルム(30μm)
【0050】
<評価項目>
実施した評価項目の詳細は下記のとおりである。
[吸着性]
a)l-メントール
実施例及び比較例の積層体を10cm×10cm四方に切り取り、その重量(初期重量[g])を測定した。容積10リットルのステンレス容器内にl-メントール固体(純正化学(株)社製)10g を入れ、蓋をして容器内をl-メントール蒸気で満たし、その
中に切り取った積層体を吊り下げて、40℃で7日間保管した。保管後、積層体を取り出して重量(吸着後重量[g])を測定し、初期重量との差からl-メントールの吸着量を算出した。
吸着量[mg/m2]=(吸着後重量[g]-初期重量[g])×1000/0.12
【0051】
b)酢酸dl-α―トコフェロール
実施例及び比較例の積層体を5cm×5cm四方に切り取り、その重量(初期重量[g])を測定した。シール層の面に酢酸dl-α-トコフェロール溶液(関東化学(株)社製、純度:>98.0%)を塗布し、ガラスシャーレに塗布面を下にして密着させ、蓋をして40℃で7日間保管した。保管後、積層体を取り出して塗布面の酢酸dl-α-トコフェロール溶液をエタノール(純正化学(株)社製、純度:99.5%)で拭き取り除去した後、重量(吸着後重量[g])を測定し、初期重量との差から酢酸dl-α-トコフェロールの吸着量を算出した。
吸着量[mg/m2]=(吸着後重量[g]-初期重量[g])×1000/0.0
2
【0052】
[全光線透過率の測定]
全光線透過率測定装置((株)村上色彩技術研究所社製、ヘーズメーターHM-150)を用いて、JIS K7361-1に従って、全光線透過率を測定した。
【0053】
[シール強度]
実施例及び比較例の積層体を10cm×10cmに切り取り、シール層同士が対向するように半分に折って重ね合せ、端部のみはヒートシールされずに二股に分かれている状態になるようにヒートシールした。次いで、これを幅15mmの短冊状に切り出して試験片を作製し、引張試験機((株)エー・アンド・デイ社製、STA―1150)を用いて、二股に分かれている各端部を引張試験機に装着してシール強度を測定した。15N/15mm以上を合格とした。
ヒートシール条件
シーリング機器:テスター産業(株)社製、TP-701-B
温度:160℃
圧力:0.1MPa
時間:1秒
引張強度試験条件
試験速度:300mm/分
荷重レンジ:100N
【0054】
[引裂き強さ]
実施例及び比較例の積層体を、JIS K7128-2に準拠して、それぞれ63mm×75mmの大きさの試験片に切り出し、エルメンドルフ引裂試験機(テスター産業(株)社製、IM-701)を用いて、MD方向の引裂強さを測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
<結果まとめ>
実施例の積層体は、優れた低吸着性及び好適なシール強度、遮光性、更には、好適な引裂き強さを示した。これに対し、比較例1及び2の積層体は、好適なシール強度と遮光性は示すものの、多量のl-メントール及び酢酸dl-α-トコフェロールが吸着し、不十分な引裂き強さを示した。比較例3の積層体は、良好な低吸着性は示すものの、不十分なシール強度と引裂き強さを示した。
【符号の説明】
【0057】
1:基材層
2:接着剤層
3:機能層
4:接着剤層
5:シール層
図1
図2