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特許7405194自動駐車管理装置、自動駐車管理方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】自動駐車管理装置、自動駐車管理方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20231219BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022117120
(22)【出願日】2022-07-22
(62)【分割の表示】P 2019005051の分割
【原出願日】2019-01-16
(65)【公開番号】P2022153515
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】松永 一誠
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-096411(JP,A)
【文献】特開2015-074321(JP,A)
【文献】特開2018-156641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開始位置に停車された車両を自動的に駐車スペースに駐車させる自動駐車制御が可能な駐車場に適用される自動駐車管理装置であって、
前記自動駐車制御を開始させようとする場合に、前記車両が前記開始位置を規定する所定範囲内に停車しているか否かを判定する判定手段と、
前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、前記車両に前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する指示手段と
を備え、
前記指示手段は、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、(i)前記車両が前記所定範囲の周辺に設定される許可エリア内に停車していれば、前記車両を自動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力し、(ii)前記車両が前記許可エリア外に停車していれば、前記車両を手動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する
ことを特徴とする自動駐車管理装置。
【請求項2】
開始位置に停車された車両を自動的に駐車スペースに駐車させる自動駐車制御が可能な駐車場に適用される自動駐車管理方法であって、
コンピュータによって、
前記自動駐車制御を開始させようとする場合に、前記車両が前記開始位置を規定する所定範囲内に停車しているか否かを判定する判定工程と、
前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、前記車両に前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する指示工程と
を含み、
前記指示工程では、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、(i)前記車両が前記所定範囲の周辺に設定される許可エリア内に停車していれば、前記車両を自動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力し、(ii)前記車両が前記許可エリア外に停車していれば、前記車両を手動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する
ことを特徴とする自動駐車管理方法。
【請求項3】
開始位置に停車された車両を自動的に駐車スペースに駐車させる自動駐車制御が可能な駐車場に適用される自動駐車管理方法であって、
前記自動駐車制御を開始させようとする場合に、前記車両が前記開始位置を規定する所定範囲内に停車しているか否かを判定する判定工程と、
前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、前記車両に前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する指示工程と
を含み、
前記指示工程では、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、(i)前記車両が前記所定範囲の周辺に設定される許可エリア内に停車していれば、前記車両を自動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力し、(ii)前記車両が前記許可エリア外に停車していれば、前記車両を手動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する
自動駐車管理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動駐車が可能な駐車場に適用される自動駐車管理装置、自動駐車管理方法、及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、車両の自動走行による駐車(以下、適宜「自動駐車」)を管理するものが知られている。例えば特許文献1では、指定された目標駐車位置までの経路を生成して、車両に自動駐車を実行させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-227021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動駐車を精度よく実行するためには、車両の現在位置(言い換えれば、自動駐車を開始する際の位置)を正確に検出しておくことが求められる。この対策として、車両側の位置センサを高精度にしようとすると大きいコストが掛かってしまうため、駐車場の一部の領域(例えば、自動駐車の開始位置付近)のみを、センサリッチなエリアにするという方針が採用されることが多い。
【0005】
しかしながら、自動駐車しようとする全ての車両がセンサリッチなエリアに停車するとは限らない。例えば、センサリッチなエリアを自動駐車の開始位置として設定しても、そのエリアからはみ出るように停車する車両が出てくることが想定される。このような場合、車両の位置を正確に検出できないが故に、自動駐車を精度よく実行できない(言い換えれば、自動駐車を正常に開始することができない)おそれがあるという技術的問題点が生ずる。
【0006】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、車両位置を正確に検出して、高精度な自動駐車制御を実行することが可能な自動駐車管理装置、自動駐車管理方法、及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自動駐車管理装置の一態様では、開始位置に停車された車両を自動的に駐車スペースに駐車させる自動駐車制御が可能な駐車場に適用される自動駐車管理装置であって、前記自動駐車制御を開始させようとする場合に、前記車両が前記開始位置を規定する所定範囲内に停車しているか否かを判定する判定手段と、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、前記車両に前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する指示手段とを備え、前記指示手段は、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、(i)前記車両が前記所定範囲の周辺に設定される許可エリア内に停車していれば、前記車両を自動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力し、(ii)前記車両が前記許可エリア外に停車していれば、前記車両を手動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する。
【0008】
本発明に係る自動駐車管理方法の一態様では、開始位置に停車された車両を自動的に駐車スペースに駐車させる自動駐車制御が可能な駐車場に適用される自動駐車管理方法であって、前記自動駐車制御を開始させようとする場合に、前記車両が前記開始位置を規定する所定範囲内に停車しているか否かを判定する判定工程と、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、前記車両に前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する指示工程とを含み、前記指示工程では、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、(i)前記車両が前記所定範囲の周辺に設定される許可エリア内に停車していれば、前記車両を自動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力し、(ii)前記車両が前記許可エリア外に停車していれば、前記車両を手動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する。
【0009】
本発明に係るコンピュータプログラムの一態様では、開始位置に停車された車両を自動的に駐車スペースに駐車させる自動駐車制御が可能な駐車場に適用される自動駐車管理方法であって、前記自動駐車制御を開始させようとする場合に、前記車両が前記開始位置を規定する所定範囲内に停車しているか否かを判定する判定工程と、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、前記車両に前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する指示工程とを含み、前記指示工程では、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、(i)前記車両が前記所定範囲の周辺に設定される許可エリア内に停車していれば、前記車両を自動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力し、(ii)前記車両が前記許可エリア外に停車していれば、前記車両を手動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する自動駐車管理方法をコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る自動駐車管理装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る自動駐車管理装置が配置される駐車場の一例を示す平面図である。
図3】実施形態に係る自動駐車管理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図4】開始エリアと許可エリアの一例を示す平面図である。
図5】初期位置と移動履歴を記憶する動作の流れを示すフローチャートである。
図6】自動走行による移動経路を生成する動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して自動駐車管理装置、自動駐車管理方法、及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。
【0012】
<装置構成>
まず、本実施形態に係る自動駐車管理装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る自動駐車管理装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1において、本実施形態に係る自動駐車管理装置20は、自動駐車制御が可能な駐車場(所謂、自動バレー駐車場)に適用される装置であり、例えば駐車場管理サーバの一部として構成されている。自動駐車管理装置20は、例えばカメラを含んで構成される外界認識装置10から取得した認識情報を用いて、車両30の自動駐車制御を行う。自動駐車管理装置20は、その機能を実現するための論理的な処理ブロック又は物理的な処理回路として、認識情報取得部210と、停車位置判定部220と、車両位置推定部230と、移動指示出力部240と、自動駐車禁止部250と、自動駐車実行部260とを備えている。
【0014】
認識情報取得部210は、外界認識装置10から、認識情報(例えば、車両の位置や姿勢、識別情報等)を取得することが可能に構成されている。認識情報取得部210で取得された認識情報は、停車位置判定部220及び車両位置推定部230の各々に出力される構成となっている。
【0015】
停車位置判定部220は、認識情報取得部210が取得した認識情報に基づいて、車両30の停車位置を判定可能に構成されている。具体的には、車両30が、開始エリア内に停車しているのか、許可エリアに停車しているのか、それとも他のエリアの停車しているのかを判定可能に構成されている。なお、開始エリア及び許可エリアについては後に詳しく説明する。停車位置判定部220の判定結果は、移動指示出力部240及び自動駐車禁止部250の各々に出力される構成となっている。停車位置判定部220は、後述する付記における「判定手段」の一具体例である。
【0016】
車両位置推定部230は、車両30から取得した初期位置及び移動履歴に基づいて、現在の車両30の位置(特に、許可エリア内の位置)を推定可能に構成されている。なお、車両位置推定部230による具体的な位置推定方法については後に詳しく説明する。車両位置推定部230の推定結果は、移動指示出力部240に出力される構成となっている。
【0017】
移動指示出力部240は、開始エリア外に停車している車両30に対して、開始エリア内に移動するよう指示を出力可能に構成されている。移動指示出力部230による具体的な移動指示方法については後に詳しく説明する。移動指示出力部240は、後述する付記における「指示手段」の一具体例である。
【0018】
自動駐車禁止部250は、開始エリア内に停車している車両30に対する自動駐車制御の開始を許可する一方で、開始エリア外に停車している車両30に対する自動駐車制御の開始を禁止することが可能に構成されている。具体的には、自動駐車禁止部250は、自動駐車実行部260の動作を制御することで、自動駐車制御の許可及び禁止を行うことが可能に構成されている。自動駐車禁止部260は、後述する付記における「禁止手段」の一具体例である。
【0019】
自動駐車実行部260は、車両30の走行を制御することで、車両30の自動駐車制御を行うことが可能に構成されている。より具体的には、自動駐車実行部260は、車両30に対してアクセルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及びステアリングアクチュエータ等を制御するように指示を出力することで、車両30の自動駐車制御を行う。なお、自動駐車制御については、既存の技術を適宜採用することができるため、ここでのより詳細な説明は省略する。
【0020】
<技術的問題点>
次に、本実施形態に係る自動駐車管理装置20が配置される駐車場の構成と、そこで発生し得る技術的問題点について、図2を参照して説明する。図2は、実施形態に係る自動駐車管理装置20が配置される駐車場の一例を示す平面図である。
【0021】
図2に示すように、本実施形態に係る自動駐車管理装置20が配置される駐車場には、入口付近の様子を撮像可能なカメラ110、及び開始エリア付近の様子を撮像可能なカメラ120が設置されている。カメラ110及び120は、外界認識装置10の一部を構成している。なお、ここでの図示は省略しているが、駐車場内には、自動駐車制御をカメラ110及び120以外の他のカメラが設置されていてもよい。
【0022】
駐車場に入場してきた車両30は、まず開始エリアで停車する。開始エリアは、自動駐車制御を開始する開始位置を規定するエリアであり、後述する付記における「所定範囲」の一具体例である。開始エリア付近には、カメラ120が設置されているため、開始エリア内の車両30の位置や姿勢(向き)については、高精度で検出することが可能である。ここで、自動駐車制御による目標駐車位置(即ち、車両30を駐車させる位置)は、自動駐車制御の開始時点における車両20の位置に対する相対的な位置を示す情報として出力される。このため、検出精度の高い開始エリア内から自動駐車制御を開始させることで、制御の精度を高めることができる。より具体的には、車両30が駐車する駐車スペースまでの走行経路のズレや、駐車スペースにおける駐車位置のズレ等を小さくすることができる。
【0023】
しかしながら、すべての車両30が、開始エリア内に停車するとは限らない。開始位置までは搭乗者の運転操作によって車両が走行するため、運転操作次第では、図に示すように開始エリアから大きくずれて停車することもある。このような場合、車両30がカメラ120の画角から外れる(或いは、カメラ120の歪みの影響を大きく受ける位置となる)ことで、車両30の位置や姿勢を正確に検出することが難しくなる。よって、精度よく自動駐車制御を行えなくなるおそれがあり、仮にそのまま自動駐車制御を開始させてしまうと、大きなズレが発生することに起因して、車両30が他車両や障害物等と衝突してしまう危険性もある。
【0024】
上述した技術的問題点を解決するために、本実施形態に係る自動駐車管理装置20は、以下で説明する動作を実行する。
【0025】
<動作説明>
次に、本実施形態に係る自動駐車管理装置20の動作の流れについて、図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る自動駐車管理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0026】
図3に示すように、本実施形態に係る自動駐車管理装置20の動作時には、まず停車位置判定部220が、自動駐車制御を開始しようとしている車両30の位置を取得する(ステップS101)。より具体的には、停車位置判定部230は、駐車場に新たな車両30が入場してきた場合に、認識情報取得部210で取得された認識情報(ここでは主に、カメラ120で撮像された画像から認識できる情報)に基づいて、車両30の位置を取得する。
【0027】
続いて、停車位置判定部220は、車両30の位置が開始エリア内であるか否かを判定する(ステップS102)。言い換えれば、停車位置判定部220は、車両30が、その位置や姿勢を高精度で検出可能なエリアに停車しているか否かを判定する。なお、車両30の位置が開始エリア内でない場合には、カメラ120で撮像された画像から車両30の位置や姿勢を正確に検出することは難しいことは、既に上述したとおりである。しかしながら、車両30の位置や姿勢が正確に検出されていなくとも、カメラ120で撮像された画像から車両30と開始エリアとの位置関係を認識することさえできれば、車両30の位置が開始エリア内であるか否かを判定することは可能である。
【0028】
車両30が開始エリア内に停車していると判定された場合(ステップS102:YES)、自動駐車禁止部240が自動駐車制御の開始を許可する(ステップS103)。よって、この場合には、自動駐車実行部260による自動駐車制御が開始されることになる。
【0029】
一方で、車両30が開始エリア内に停車していないと判定された場合(ステップS102:NO)、停車位置判定部220が、許可エリア設定値を取得する(ステップS104)。なお、許可エリア設定値は、許可エリアの大きさを決定するための値である。
【0030】
ここで、許可エリアについて、図4を参照して具体的に説明する。図4は、開始エリアと許可エリアの一例を示す平面図である。
【0031】
図4に示すように、許可エリアは、開始エリアの周辺に設定されるエリアであり、車両が開始エリア内まで自動走行で安全に走行可能なエリアとして設定される。許可エリアの大きさは、すでに説明したように、許可エリア設定値によって決まる(例えば、許可エリアの幅(即ち、開始エリア端部からの幅)は許可エリア設定値に応じたものとなる)。許可エリア設定値は、例えば駐車場の構造等に基づいて予め設定された固定値であってよく、この場合、許可エリアの大きさは固定となる。一方で、許可エリア設定値は、駐車場に存在する他車両の位置等によって変化する変動値であってもよく、この場合、許可エリアの大きさは状況によって変動する。例えば、開始エリアの近くに他車両が存在している場合には、衝突の可能性が高いと判断できるため、許可エリア設定値が比較的小さい値として設定されればよい(即ち、許可エリアは比較的小さいエリアとして設定されてよい)。他方で、開始エリアの近くに障害物が存在していない場合は、衝突の可能性が低いと判断できるため、許可エリア設定値が比較的大きい値として設定されればよい(即ち、許可エリアは比較的大きいエリアとして設定されてよい)。
【0032】
図3に戻り、許可エリア設定値を取得した停車位置判定部220は、車両30が許可エリア内に停車しているか否かを判定する(ステップS105)。なお、車両30の位置が開始エリア内であるか否かを判定する場合と同様の理由から、車両30の位置や姿勢が正確に検出されていなくとも、カメラ120で撮像された画像から車両30と許可エリアとの位置関係を認識することさえできれば、車両30が開始エリア内に停車しているか否かを判定することは可能である。但し、この場合には、許可エリアの全体(或いは、場合によっては一部)がカメラ120の画角に含まれていることが好ましい。そして、車両30が許可エリア内に停車していると判定された場合(ステップS105:YES)、自動駐車禁止部250が自動駐車制御の開始を禁止する(ステップS106)。その後、移動指示出力部240が、自動走行で開始エリア内に移動するように、車両30に対して移動指示を出力する(ステップS107)。
【0033】
一方、車両30が許可エリア内に停車していない(言い換えれば、許可エリア外に駐車している)と判定された場合(ステップS105:NO)、自動駐車禁止部250が自動駐車制御の開始を禁止する(ステップS108)。その後、移動指示出力部240が、手動走行で開始エリア内に移動するように、車両30に対して移動指示を出力する(ステップS107)。
【0034】
<自動走行による移動指示>
自動走行による移動指示(図3のステップS107参照)を行う際には、車両30を精度よく開始エリア内に移動させるために、車両30の位置を正確に把握しておくことが求められる。しかしながら、許可エリア内は、開始エリア内のように、外界認識装置10で認識される位置情報の精度が高くない。よって、本実施形態に係る車両位置推定部230は、車両30の初期位置及び移動履歴を用いて現在の車両30の位置を推定する。
【0035】
まず、車両30の初期位置及び移動履歴を記憶する動作について、図5を参照して説明する。図5は、初期位置と移動履歴を記憶する動作の流れを示すフローチャートである。なお、以下で説明する図5に示すフローチャートの処理は、車両30が駐車場に入場する際(即ち、自動駐車制御の開始を意図して開始エリア又はその近傍に停車する前)に実行されるものである。
【0036】
図5に示すように、車両位置推定部230は、まず駐車場の入口に車両30が存在しているか否かを判定する(ステップS201)。なお、駐車場の入口付近の車両30の有無については、カメラ110(図2参照)の撮像画像等から判定することができる。駐車場の入口に車両30が存在していないと判定された場合(ステップS201:NO)、以降の処理は省略され、一連の動作は終了する。この場合、所定期間後にステップS201の処理が開始されてもよい。
【0037】
駐車場の入口に車両30が存在していると判定された場合(ステップS201:YES)、車両位置推定部230は、車両30の識別情報を取得する(ステップS202)。車両30の識別情報は、例えばナンバープレートの情報であり、カメラ110の撮像画像等から取得することができる。
【0038】
続いて、車両位置推定部230は、取得した識別情報と、駐車場の予約情報とを比較し(ステップS203)、入口に存在している車両30が自動駐車制御を開始予定の車両であるか否かを判定する(ステップS204)。なお、自動駐車制御を実行可能な駐車場を利用する場合には、事前に予約をしておくことが前提となっており、その際には識別情報を入力することが求められる。よって、ステップS202で取得した識別情報と、予約時に入力された識別情報とを比較することで、車両30が自動駐車制御を開始予定であるか否かを判定することができる。
【0039】
車両30が自動駐車制御を開始予定でないと判定された場合(ステップS204:NO)、以降の処理は省略され、一連の動作は終了する。一方、車両30が自動駐車制御を開始予定であると判定された場合(ステップS204:YES)、車両位置推定部230は、現在の車両30の位置(即ち、入口付近の位置)を初期位置として記憶するように車両30に指示を出力する(ステップS205)。そして、車両位置推定部230は更に、車両30のその後の移動履歴(例えば、車速情報や舵角情報等)を記憶するように車両30に指示を出力する(ステップS206)。
【0040】
なお、上述した車両30の初期位置は、必ずしも駐車場の入口における車両30の位置でなくてもよい。即ち、駐車場に入場する車両30が通過することなる箇所であれば、その位置を初期位置として記憶するようにしてもよい。
【0041】
次に、車両30の初期位置及び移動履歴から自動走行による移動経路を生成する動作について、図6を参照して説明する。図6は、自動走行による移動経路を生成する動作の流れを示すフローチャートである。なお、以下で説明する図6に示すフローチャートの処理は、自動走行による移動指示を行うことが決定した場合に実行されるものである。
【0042】
図6に示すように、自動走行による移動指示を行うことが決定されると、まず車両位置推定部230は、車両30に記憶されている移動履歴を取得する(ステップS301)。続いて、車両位置推定部230は、取得した移動履歴に関する情報から、車両30の移動量を推定する(ステップS302)。なお、移動履歴から移動量を計算する具体的な方法については、既存の技術を適宜採用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0043】
続いて、車両位置推定部230は、車両30に記憶されている初期位置を取得する(ステップS303)。そして、初期位置及び移動量から、現在の車両30の位置を推定する(ステップS304)。具体的には、初期位置に移動量を加算することで、現在の車両30の位置を推定する。
【0044】
その後、車両位置推定部230は、推定した車両30の位置を、移動指示出力部240に出力する(ステップS305)。以上の動作により、移動指示出力部240は、現在の車両30の位置から開始エリア内に移動するまでの経路を正確に演算することが可能となる。
【0045】
<技術的効果>
次に、本実施形態に係る自動駐車管理装置20によって得られる技術的効果について説明する。
【0046】
図1から図5で説明したように、本実施形態に係る自動駐車管理装置20によれば、車両30が自動駐車制御の開始エリア内に停車していない場合に、開始エリア内まで移動するよう車両30に対して移動指示が出力される。よって、車両30が開始エリア内に移動されることになり、結果として自動駐車制御を正常に開始することが可能となる。即ち、車両30の位置を正確に検出して、高精度な自動駐車制御を実行することが可能となる。なお、車両30が開始エリア内に移動するまでは、自動駐車制御の開始が禁止されるため、不適切な状態で自動駐車制御が開始されてしまうことを防止できる。
【0047】
また、本実施形態では特に、車両30が許可エリアに停車している場合には自動走行による移動指示が出力されるため、搭乗者の負担を増加させずに自動駐車制御を開始することが可能である。一方、車両30が許可エリア外に停車している場合には、手動走行による移動指示が出力されるため、車両30の位置を正確に認識できていないことに起因する衝突等を好適に回避することが可能である。
【0048】
<付記>
以上説明した実施形態から導き出される発明の各種態様を以下に説明する。
【0049】
(付記1)
付記1に記載の自動駐車管理装置は、開始位置に停車された車両を自動的に駐車スペースに駐車させる自動駐車制御が可能な駐車場に適用される自動駐車管理装置であって、前記自動駐車制御を開始させようとする場合に、前記車両が前記開始位置を規定する所定範囲内に停車しているか否かを判定する判定手段と、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、前記車両に前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する指示手段とを備える。
【0050】
付記1に記載の自動駐車管理装置によれば、車両が開始位置を規定する所定範囲内(典型的には、車両の位置を高い精度で認識可能な範囲内)に停車していない場合には、車両に対して所定範囲内に移動するよう指示が出力される。具体的には、自動走行で車両を所定範囲内に移動させるための走行制御指示や、手動走行で車両を所定範囲内に移動させるための情報表示等が行われる。この結果、車両が所定範囲内に停車していない場合であっても、開始位置から自動駐車制御を開始させることが可能となる。
【0051】
(付記2)
付記2に記載の自動駐車管理装置は、(i)前記車両が前記所定範囲内に停車していると判定された場合には、前記車両の前記自動駐車制御の開始を許可し、(ii)前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合には、前記車両の前記自動駐車制御の開始を禁止する禁止手段を更に備える。
【0052】
付記2に記載の自動駐車管理装置によれば、車両が所定範囲内に停車していない場合に、自動駐車制御の開始が禁止されるため、不適切な状態(例えば、車両の位置や姿勢を正確に把握できない状態)で自動駐車制御が開始されてしまうことを防止することができる。
【0053】
(付記3)
付記3に記載の自動駐車管理装置では、前記指示手段は、前記車両が前記所定範囲内に停車していないと判定された場合に、(i)前記車両が前記所定範囲の周辺に設定される許可エリア内に停車していれば、前記車両を自動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力し、(ii)前記車両が前記許可エリア外に停車していれば、前記車両を手動走行で前記所定範囲内に移動するよう指示を出力する。
【0054】
付記3に記載の自動駐車管理装置によれば、車両を自動走行で安全に所定の範囲まで移動できる「許可エリア」が所定範囲の周辺に設定される。そして、車両が許可エリア内に停車していれば、車両を自動走行で所定範囲内に移動するよう指示が出力される一方で、車両が許可エリア外に停車していれば、車両を手動走行で所定範囲内に移動するよう指示が出力される。このように指示を出力すれば、より好適に車両を所定範囲内に移動させることが可能である。
【0055】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う自動駐車管理装置、自動駐車管理方法、及びコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
10 外界認識装置
20 自動駐車管理装置
30 車両
110,120 カメラ
210 認識情報取得部
220 停車位置判定部
230 車両位置推定部
240 移動指示出力部
250 自動駐車禁止部
260 自動駐車実行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6