IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

<>
  • 特許-ひずみセンサ 図1
  • 特許-ひずみセンサ 図2
  • 特許-ひずみセンサ 図3
  • 特許-ひずみセンサ 図4
  • 特許-ひずみセンサ 図5
  • 特許-ひずみセンサ 図6
  • 特許-ひずみセンサ 図7
  • 特許-ひずみセンサ 図8
  • 特許-ひずみセンサ 図9
  • 特許-ひずみセンサ 図10
  • 特許-ひずみセンサ 図11
  • 特許-ひずみセンサ 図12
  • 特許-ひずみセンサ 図13
  • 特許-ひずみセンサ 図14
  • 特許-ひずみセンサ 図15
  • 特許-ひずみセンサ 図16
  • 特許-ひずみセンサ 図17
  • 特許-ひずみセンサ 図18
  • 特許-ひずみセンサ 図19
  • 特許-ひずみセンサ 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ひずみセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20231219BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G01B7/16 R
A61B5/11 230
A61B5/11 300
A61B5/11 310
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022126466
(22)【出願日】2022-08-08
(62)【分割の表示】P 2020572076の分割
【原出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2022172114
(43)【公開日】2022-11-15
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2019022435
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】小幡 孝義
(72)【発明者】
【氏名】志牟田 亨
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/111058(WO,A1)
【文献】特開2020-103429(JP,A)
【文献】特開2007-255953(JP,A)
【文献】特開2017-020872(JP,A)
【文献】特開2016-145725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/16
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物のひずみに対応して所定方向に伸縮し、該伸縮方向のひずみを検出して検出信号を出力する検出部を含むセンシング部を備えた伸縮性を備えるセンサシートと
前記検出信号を無線で外部へ出力する無線通信部と
を有してなり、
第1主面を有する固定部材をさらに備え、
前記センサシートは、少なくとも一部が前記固定部材の第1主面に重なった状態で固定されており、
前記固定部材の引張荷重は、前記センサシートのセンシング部の引張荷重よりも大きい、ひずみセンサ。
【請求項2】
被測定物のひずみに対応して所定方向に伸縮し、該伸縮方向のひずみを検出して検出信号を出力する検出部を含むセンシング部を備えた伸縮性を備えるセンサシートと、
前記検出信号に基づいて甲状軟骨の動きを検出し、嚥下の動作を判定する嚥下判定部と
を有してなり、
第1主面を有する固定部材をさらに備え、
前記センサシートは、少なくとも一部が前記固定部材の第1主面に重なった状態で固定されており、
前記固定部材の引張荷重は、前記センサシートのセンシング部の引張荷重よりも大きく、
前記嚥下判定部は、前記検出信号に基づいて喉頭隆起の上方移動および前方移動を判定することで嚥下を判定する、ひずみセンサ。
【請求項3】
前記嚥下判定部が嚥下と判定したとき、その検出した嚥下時の信号のデータを抽出し、メモリに保存する、または、無線出力する、請求項2に記載のひずみセンサ。
【請求項4】
請求項に記載のひずみセンサと、嚥下時の信号のデータを受信して嚥下機能解析を行う嚥下解析装置と、を備える嚥下解析システム。
【請求項5】
嚥下に伴って発生する甲状軟骨の動きの範囲を覆うように、前頚部の皮膚に貼り付けられているひずみセンサを用い、
前記ひずみセンサを用いて嚥下に伴って発生する前記甲状軟骨の動きを検出して嚥下検出の判定を行うこと、を含み、
前記ひずみセンサは、請求項1または2に記載のひずみセンサであり、
前記甲状軟骨の動きの検出は、前記ひずみセンサから出力される前記検出信号に基づいて実施される、嚥下解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ひずみセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ひずみセンサは、身体やロボットの動作検出や制御等に用いられている。例えば、特許文献1には、伸縮性基材を生体に貼り付けて使用する、伸縮性配線基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-145725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のようなひずみセンサは、センサと動きを測定する対象との間に柔軟性のある物質が介在すると、該介在物において動きが緩衝され、センサの追従性が阻害される場合があり得る。この場合、上記対象の動きを正確に検出できない。例えば、人体の関節又は軟骨の動きを測定する場合、該関節又は軟骨の表面にある皮膚を介してセンサで動きを検出することになる。この場合、この皮膚の柔軟性、シワなどの形状の個人差により、センサの追従性が異なり、異なる検出結果となり得る。
【0005】
本開示は、上記のようにひずみセンサと測定対象との間に柔軟性のある物質が介在した場合であっても、検出結果のばらつきが少ないひずみセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、下記の態様を含む。
[1] 被測定物のひずみに対応して所定方向に伸縮し、該伸縮方向のひずみを検出する検出部を含むセンシング部を備えたセンサシートと
対向する第1主面と第2主面とを有する固定部材と
を有してなり、
前記センサシートは、少なくとも一部が前記固定部材の第1主面に重なった状態で固定されており、
前記固定部材の引張荷重は、前記センサシートのセンシング部の引張荷重よりも大きい、
ひずみセンサ。
[2] 前記センシング部の引張荷重は、前記被測定物の引張荷重よりも小さい、上記[1]に記載のひずみセンサ。
[3] 前記ひずみセンサのセンシング部が存在する領域の引張荷重は、前記検出部の伸縮方向に沿って、ひずみ5%で0.10N/mm以下であり、ひずみ10%で0.15N/mm以下であり、ひずみ20%で0.25N/mm以下であり、
前記固定部材の圧縮荷重は、前記検出部の伸縮方向に沿って、ひずみ5%で0.005N/mm以上であり、ひずみ10%で0.01N/mm以上であり、ひずみ20%で0.03N/mm以上である、上記[1]又は[2]に記載のひずみセンサ。
[4] 被測定物のひずみに対応して所定方向に伸縮し、該伸縮方向のひずみを検出する検出部を含むセンシング部と、前記センシング部の両端に位置して前記センシング部を支持する非センシング部とを備えたセンサシートを有し、
前記センシング部は、前記非センシング部よりも変形しやすい
ひずみセンサ。
[5] 前記センシング部のヤング率をY1、厚みをT1とし、前記非センシング部のヤング率をY2、厚みをT2とした場合、Y1とT1の積F1は、Y2とT2の積F2よりも小さい、上記[4]に記載のひずみセンサ。
[6] 対向する第1主面と第2主面とを有する固定部材をさらに備え、
前記センサシートは、少なくとも一部が前記固定部材の第1主面に重なった状態で固定されており、
平面視において、前記センシング部と前記固定部材とが重なる部分は、前記非センシング部と前記固定部材重なる部分よりも変形しやすい、
上記[4]又は[5]に記載のひずみセンサ。
[7] 前記固定部材は、スポンジ材である、上記[1]~[3]及び[6]のいずれかに記載のひずみセンサ。
[8] 前記固定部材の厚さは、1mm以上5mm以下である、上記[7]に記載のひずみセンサ。
[9] 平面視において、前記固定部材の外形と、前記センサシートの外形とが重なっている、上記[1]~[3]及び[8]のいずれかに記載のひずみセンサ。
[10] 前記固定部材は、平面視において、少なくとも前記センサシート全体と重なるように存在する、上記[1]~[3]及び[9]のいずれかに記載のひずみセンサ。
[11] 前記固定部材は、平面視において、前記センサシートのセンシング部を囲むように存在する、上記[1]~[3]及び[10]のいずれかに記載のひずみセンサ。
[12] 前記検出部は複数存在する、上記[1]~[3]及び[11]のいずれかに記載のひずみセンサ。
[13] 前記複数の検出部は、互いに平行に配置されている、上記[12]に記載のひずみセンサ。
[14] 前記センシング部は、前記検出部を複数備え、少なくとも1つの検出部と他の検出部とは、異なる方向に伸縮する、上記[1]~[12]のいずれか1項に記載のひずみセンサ。
[15] 前記複数の検出部の少なくとも一部は、互いに平行に配置され、他の検出部は、該平行に配置されたすべての検出部を長さ方向に延長した領域に交わるように配置されている、上記[14]に記載のひずみセンサ。
[16] 前記複数の検出部は、各検出部の伸縮方向が放射状になるように配置されている、上記[12]に記載のひずみセンサ。
[17] 前記検出部は、該検出部の伸縮に対応して抵抗値が変化する検出導体である、上記[1]~[16]のいずれかに記載のひずみセンサ。
[18] 前記センシング部は、前記検出部の伸縮方向に沿って引張応力が加わった状態にある、上記[1]~[17]のいずれかに記載のひずみセンサ。
[19] 前記センシング部は、前記検出部の伸縮方向に交差する方向に設けられた複数のスリットを含む、上記[1]~[18]のいずれかに記載のひずみセンサ。
[20] 前記固定部材の伸縮時の弾性率のヒステリシスは、前記センシング部の伸縮時の弾性率のヒステリシスより小さい、上記[1]~[3]及び[6]~[19]のいずれか1項に記載のひずみセンサ。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ひずみセンサと測定対象との間に柔軟性のある物質が介在した場合であっても、測定結果のばらつきが少ないひずみセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施形態1のひずみセンサの構成を示す平面図である。
図2】本発明に係る実施形態1のひずみセンサにおけるセンサユニットの構成を示す平面図である。
図3】本発明に係る実施形態1のひずみセンサにおける固定部材を示す平面図である。
図4】本発明に係る実施形態2のひずみセンサの構成を示す平面図である。
図5】本発明に係る実施形態2のひずみセンサにおける固定部材を示す平面図である。
図6】本発明に係る実施形態3のひずみセンサの構成を示す平面図である。
図7】本発明に係る実施形態4のひずみセンサの構成を示す平面図である。
図8】本発明に係る実施形態5のひずみセンサの構成を示す平面図である。
図9】本発明に係る実施形態6のひずみセンサの構成を示す平面図である。
図10】本発明に係る実施形態7のひずみセンサの構成を示す平面図である。
図11】本発明に係る実施形態8のひずみセンサの構成を示す平面図である。
図12】本発明に係る実施形態9のひずみセンサの構成を示す平面図である。
図13】本発明に係る実施形態10のひずみセンサの構成を示す、ひずみセンサの裏側から見た平面図である。
図14】本発明に係る実施形態11のひずみセンサの構成を示す平面図である。
図15】本発明に係るひずみセンサを嚥下センサとして用いた場合の使用状態を示す図である。
図16】センサシートによる被験者Aの喉の動きの測定結果を示すグラフである。
図17】センサシートによる被験者Bの喉の動きの測定結果を示すグラフである。
図18】本発明に係るひずみセンサをシワが無い状態で貼りつけた場合の喉の動きの測定結果を示すグラフである。
図19】本発明に係るひずみセンサを意図的にシワを作った状態で貼りつけた場合の喉の動きの測定結果を示すグラフである。
図20】本発明に係るひずみセンサを貼り付けて水を飲みこんだ際の喉の動きを測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のひずみセンサは、被測定物に取り付けられ、測定対象の動きに起因する被測定物の測定領域の動きを検出するセンサである。
【0010】
ここに、上記「被測定物」とは、本開示のひずみセンサが直接取り付けられる対象物をいう。「測定対象」とは、ひずみセンサによる動きの検出の対象をいう。例えば、人体の関節又は軟骨の動きを測定する場合、本開示のひずみセンサは、人体の関節又は軟骨が存在する箇所の体表面に取り付けられ、測定対象は、関節又は軟骨であり、被測定物は人体となる。なお、被測定物と測定対象は同一であり得る。「測定領域」とは、被測定物の測定対象領域をいい、本開示のひずみセンサのセンシング部は、かかる測定領域に接する。
【0011】
本開示のひずみセンサは、被測定物のひずみに対応して所定方向に伸縮し、該伸縮方向のひずみを検出する検出部を含むセンシング部を備えたセンサシートと、対向する第1主面と第2主面とを有する固定部材とを有する。本開示のひずみセンサにおいて、上記センサシートは、少なくとも一部が上記固定部材の第1主面に重なった状態で固定されており、上記固定部材の引張荷重は、上記センサシートのセンシング部の引張荷重よりも大きい。
【0012】
本開示のひずみセンサの固定部材は、センサシートよりも引張荷重が大きい。すなわち、固定部材は、センサシートよりも伸びにくい。上記したように、従来のひずみセンサと測定対象との間に柔軟性のある物質が介在すると、センサの追従性が阻害され、測定対象の動きを正確に検出できない場合があり得る。一方、本開示のひずみセンサは、センサシートよりも伸縮性が低い固定部材を介して被測定物のひずみを測定することにより、柔軟性のある介在物による測定対象の動きの緩衝の程度を均一化し、ばらつきを低減したひずみ測定が可能となる。
【0013】
また、センサシートは、厚さが数十μmと非常に薄い伸縮性材料であり、機械的強度が低い。さらに追従性を高めるために、センサシートにはスリット加工などで柔軟性を高める場合があり、この場合、さらに機械的強度が低下する。機械的強度が低いと、取り扱い時、特に貼り直し時に、容易に破断するという問題がある。本開示のひずみセンサは、機械的強度が低いセンサシートを機械的強度が高い固定部材に貼り付けているので、ひずみセンサの取り扱い時のセンサシートへの負荷を抑制することができる。さらに、固定部材の最大伸びをセンサシートの最大伸びよりも小さくすることで、過剰な負荷が加わった場合であっても、センサシートの破断ひずみまでは至らないようにすることができる。
【0014】
以下、本開示のひずみセンサについて、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、各実施形態のひずみセンサ及び各構成要素の形状及び配置等は、図示する例に限定されない。
【0015】
(実施形態1)
図1~3に示すように、実施形態1のひずみセンサ100aは、センサユニット4aと固定部材6aとを備えたひずみセンサである。
【0016】
センサユニット4aは、センサシート41aと、端子部42aと、接続部43aとを含む。センサシート41aは、所定方向のひずみを検出するセンシング部45aと、その両端に位置する非センシング部46a,47aとを含む。センサシート41aは、接続部43aを介して、端子部42aに連結されている。
【0017】
固定部材6aは、対向する第1主面と第2主面とを有する。当該固定部材6aの引張荷重は、センサシート41aのセンシング部45aの引張荷重よりも大きい。
【0018】
上記センサユニット4aは、センサシート41a及び端子部42aを固定部材6aに貼り付けることにより、固定部材6aの第1主面に固定されている。センサシート41aは、その全体が固定部材6aの第1主面に重なった状態で固定されている。すなわち、平面視において、固定部材6aは、センサシート41a全体と重なるように存在する。ここに、平面視とは、ひずみセンサを、固定部材の主面に直交して見ることをいう。
【0019】
本実施形態1のひずみセンサ100aは、センサシート41aのセンシング部45aが被測定物の測定領域に位置するように、固定部材6aの第2主面を被測定物に貼り付けて使用する。
【0020】
以下、センサユニット4a、固定部材6a及びひずみセンサ100aの具体的な構成について説明する。
【0021】
(センサユニット)
上記したようにセンサユニット4aは、センサシート41aと、端子部42aと、接続部43aとを含む。
【0022】
上記センサシート41aは、対向する第1主面と第2主面とを有する基材51aと、基材51aの第1主面に設けられた導体52aとを含む。
【0023】
上記基材51aの構成材料は、弾性率の小さい伸縮性材料であることが好ましく、例えば、ポリウレタン、アクリル、シリコーン樹脂等の弾性率の小さい伸縮性材料を含むことが好ましい。
【0024】
上記基材51aの厚さは、特に限定されないが、好ましくは10μm以上200μm以下、より好ましくは20μm以上100μm以下、さらに好ましくは30μm以上50μm以下であり得る。
【0025】
上記導体52aは、接続部43a及び端子部42aにまで延在する。すなわち、導体52aは、端子部42aに設けられた端子導体52a4、接続部43aに設けられた配線導体52a3、非センシング部46aに設けられた固定導体52a2及びセンシング部45aに設けられた検出導体52a1を含む。詳細には、導体52aは、端子部42aから接続部43a及びセンサシートの非センシング部46aを介してセンサシートのセンシング部45aまで延びており、センシング部45aにおいて、右端から左に向かって延び、センシング部45aの中央付近で折り返され、右端に戻る。ここに図面右側をセンシング部45aの右側とする。右端に戻った導体52aは、センサシートの非センシング部46a及び接続部43aを介して、端子部42aまで延びている。折り返された導体52aは、互いに平行に配置される。検出導体52a1は、センシング部45aの左右方向の伸縮に対応して当該方向に伸縮する。検出導体52a1の長さが変化することによりその抵抗値が変化する。この検出導体52a1の抵抗値変化を検出することにより、センシング部45aの伸縮量、すなわち、被測定物のひずみを検出することができる。すなわち、検出導体52a1は、検出部を構成する。
【0026】
上記導体52aにおける検出導体52a1の構成材料は、伸縮に対する抵抗値の変化が大きい材料であることが好ましく、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属粉と、シリコーンなどのエラストマー系樹脂を含む混合物により構成することが好ましい。金属粉と樹脂の混合物により検出導体52a1を構成すると、センシング部45aの伸縮により、金属粉間の接触箇所の増減に加え金属粉間の距離が大きくなることから、変位に対する抵抗値の増加率又は減少率を大きくすることができる。また、検出導体52a1を金属粉と樹脂の混合物により構成することにより、樹脂の伸縮性により変形による断線を防止できる。
【0027】
上記導体52aにおける検出導体52a1以外の部分、具体的には、固定導体52a2、配線導体52a3及び端子導体52a4の構成材料は、検出導体52a1と同一の構成材料であってもよいし、検出導体52a1と異なる構成材料であってもよい。検出導体52a1以外の導体52aを、検出導体52a1と同一の材料により構成すると、検出導体52a1と検出導体52a1以外の導体52aとを一括して1つの工程で形成することができるので、安価に製造できる。また、検出導体52a1以外の導体52aを、検出導体52a1と異なる構成材料により構成する場合には、検出導体52a1の変位に対する抵抗値の増減を大きくし、伸縮による断線を防止する構成としつつ、検出導体52a1以外の導体52aを抵抗の低い材料により構成することができるため、より精度の高いひずみの検出が可能になる。
【0028】
実施形態1のひずみセンサ100aにおいて、導体52aは、5つ配置される。すなわち、ひずみセンサ100aは、複数の検出部を有する。それぞれの検出部、センシング部45aにおいて縦方向に等間隔で平行に配置される。なお、縦方向とは図1及び図2において上下方向を意味する。検出部を複数設けることにより、より広い範囲のひずみを検出することができ、あるいは同じ広さの範囲の検出を行う場合には、精度をより高めることができる。
【0029】
上記センシング部45aは、被測定物の形状変化を測定する領域であり、測定領域の範囲を考慮してセンシング部45aの外形寸法が設定され、被測定物の柔軟性を考慮してセンシング部45aの追従性が設定される。
【0030】
上記センシング部45aは、検出部の伸縮方向に交差する方向に設けられた複数のスリット53aを含む。センシング部45aにスリット53aを設けることにより周囲よりも変形しやすい形状及び構造とし、センシング部45aの追従性を高くすることができる。
【0031】
実施形態1のひずみセンサ100aでは、センシング部45aは、図1に示すように、検出導体52a1により構成される検出部と、検出部におけるひずみに対する変形を拘束しないようにかつ被測定物の変形を拘束しないように構成された低弾性率部とを含む。ここで、本明細書において、低弾性率部における低弾性率、低弾性率化という場合の「低弾性率」とは、非センシング部46a,47aよりも弾性率が低いことを意味する。
【0032】
上記非センシング部46a,47aは、被測定物の測定領域が伸縮したときに当該伸縮に応じてセンシング部45aが伸縮するようにセンシング部45aを支持する。実施形態1のひずみセンサ100aにおいて、非センシング部46a,47aは、検出導体52a1(すなわち、検出部)の伸縮方向においてセンシング部45aの両側に設けられる。非センシング部46a,47aは、被測定物における測定領域が伸縮したときに、測定領域以外の領域における伸縮の影響を受けることなく、測定領域における伸縮に対応したひずみが検出できるように拘束部54a,55aを含む。図2に示すように、拘束部54a,55aは、非センシング部46a,47aにそれぞれ設けられる。拘束部54a,55aはセンシング部45aに近接して設けられていることが好ましい。これにより、被測定物における測定領域におけるひずみの測定を、測定領域以外の部分の影響を小さくして、精度よく測定することが可能になる。
【0033】
上記端子部42aは、基材57aと端子導体52a4とを含む。端子導体52a4は、基材57aの一方主面上に設けられる。
【0034】
上記基材57aの構成材料は、特に限定されず、基材51aの構成材料と同じ材料、例えば、ポリウレタン、アクリル、シリコーン樹脂等であり得る。
【0035】
上記接続部43aは、基材58aと配線導体52a3とを含む。配線導体52a3は、基材58aの一方主面上に設けられる。当該接続部43aは、上記センサシート41aと端子部42aとを連結し、センサシート41aにおける検出導体52a1と端子部42aにおける端子導体52a4とを電気的に接続するために設けられる。
【0036】
(固定部材)
上記固定部材6aは、対向する第1主面と第2主面とを有するシート状の部材である。
【0037】
上記固定部材6aの引張荷重は、上記センサシート41aの引張荷重よりも大きい。すなわち、固定部材6aは、センサシート41aよりも伸びにくい。このような構成とすることにより、柔軟性のある介在物による動きの緩衝の程度を均一化し、ひずみ測定の結果のばらつきを抑制することができる。例えば、測定対象が関節又は軟骨である場合、それらの表面にある皮膚を介してセンサで動きを検出することになり、この皮膚の柔軟性、シワなどの形状の個人差により、間接又は軟骨の動きが同じであってもセンサの追従性が異なり、異なる測定結果となり得る。このように個人差がある場合であっても、本開示のひずみセンサは、測定結果のばらつきを抑制することができる。
【0038】
上記固定部材6aの構成材料は、ゴム、スポンジなどが挙げられる。
【0039】
上記ゴムとしては、ウレタンゴム、シリコンゴムが挙げられる。
【0040】
上記スポンジとしては、ニトリルゴムスポンジ(NBRゴムスポンジ)、クロロプレンゴムスポンジ(CRゴムスポンジ)、エチレンゴムスポンジ(EPDMゴムスポンジ)等が挙げられ、好ましくはクロロプレンゴムスポンジである。
【0041】
上記スポンジは、独立気泡又は連続気泡のいずれであってもよい。
【0042】
上記固定部材6aは、好ましくは30以下のアスカーC硬度、より好ましくは25以下のアスカーC硬度を有する。固定部材のアスカーC硬度を小さくすることにより、スポンジが柔らかくなり、被測定物の変形を拘束することを抑制することができる。また、上記固定部材は、好ましくは10以上のアスカーC硬度、より好ましくは20以上のアスカーC硬度を有する。固定部材のアスカーC硬度を大きくすることにより、柔軟性のある介在物による被測定物の動きの緩衝の程度を均一化し、ひずみ測定の結果のばらつきを抑制することができる。
【0043】
上記アスカーC硬度は、JIS K 7312に準じて測定することができる。
【0044】
上記固定部材6aは、ひずみ5%で、好ましくは0.10N/mm以下、より好ましくは0.08N/mm以下、さらに好ましくは0.06N/mm以下の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、被測定物の動きに対するひずみセンサの追従性が向上し、より高い精度での検出が可能になる。
【0045】
上記固定部材6aは、ひずみ5%で、好ましくは0.01N/mm以上、より好ましくは0.02N/mm以上、さらに好ましくは0.03N/mm以上の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、柔軟性のある介在物による被測定物の動きの緩衝の程度を均一化し、ひずみ測定の結果のばらつきをより抑制することができる。
【0046】
上記固定部材6aは、ひずみ10%で、好ましくは0.15N/mm以下、より好ましくは0.12N/mm以下、さらに好ましくは0.08N/mm以下の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、被測定物の動きに対するひずみセンサの追従性が向上し、より高い精度での検出が可能になる。
【0047】
上記固定部材6aは、ひずみ10%で、好ましくは0.01N/mm以上、より好ましくは0.03N/mm以上、さらに好ましくは0.05N/mm以上の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、柔軟性のある介在物による被測定物の動きの緩衝の程度を均一化し、ひずみ測定の結果のばらつきをより抑制することができる。
【0048】
上記固定部材6aは、ひずみ20%で、好ましくは0.25N/mm以下、より好ましくは0.20N/mm以下、さらに好ましくは0.15N/mm以下の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、被測定物の動きに対するひずみセンサの追従性が向上し、より高い精度での検出が可能になる。
【0049】
上記固定部材6aは、ひずみ20%で、好ましくは0.01N/mm以上、より好ましくは0.05N/mm以上、さらに好ましくは0.10N/mm以上の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、柔軟性のある介在物による被測定物の動きの緩衝の程度を均一化し、ひずみ測定の結果のばらつきをより抑制することができる。
【0050】
上記引張荷重は、日本計測システム製自動横型サーボスタンドJSH-H1000により測定することができる。
【0051】
好ましい態様において、固定部材6aの引張荷重は、センサシート41aの引張荷重よりも大きく、かつ、被測定物の引張荷重、典型的には被測定物の表面の引張荷重よりも小さい。
【0052】
上記固定部材6aは、ひずみ5%で、好ましくは0.005N/mm以上、より好ましくは0.01N/mm以上、さらに好ましくは0.015N/mm以上の圧縮荷重を有する。固定部材の圧縮荷重を上記の範囲にすることにより、センサシートを、引張応力を加えた状態で固定部材に固定した際に、センサシートの応力により固定部材が潰れるのを抑制することができる。
【0053】
上記固定部材6aは、ひずみ5%で、好ましくは0.10N/mm以下、より好ましくは0.08N/mm以下、さらに好ましくは0.06N/mm以下の圧縮荷重を有する。固定部材の圧縮荷重を上記の範囲にすることにより、被測定物の動きに対するひずみセンサの追従性が向上し、より高い精度での検出が可能になる。
【0054】
前記固定部材6aは、ひずみ10%で、好ましくは0.01N/mm以上、より好ましくは0.02N/mm以上、さらに好ましくは0.03N/mm以上の圧縮荷重を有する。固定部材の圧縮荷重を上記の範囲にすることにより、センサシートを、引張応力を加えた状態で固定部材に固定した際に、センサシートの応力により固定部材が潰れるのを抑制することができる。
【0055】
上記固定部材6aは、ひずみ10%で、好ましくは0.15N/mm以下、より好ましくは0.12N/mm以下、さらに好ましくは0.08N/mm以下の圧縮荷重を有する。固定部材の圧縮荷重を上記の範囲にすることにより、被測定物の動きに対するひずみセンサの追従性が向上し、より高い精度での検出が可能になる。
【0056】
前記固定部材6aは、ひずみ20%で、好ましくは0.03N/mm以上、より好ましくは0.04N/mm以上、さらに好ましくは0.05N/mm以上の圧縮荷重を有する。固定部材の圧縮荷重を上記の範囲にすることにより、センサシートを、引張応力を加えた状態で固定部材に固定した際に、センサシートの応力により固定部材が潰れるのを抑制することができる。
【0057】
上記固定部材6aは、ひずみ20%で、好ましくは0.25N/mm以下、より好ましくは0.20N/mm以下、さらに好ましくは0.15N/mm以下の圧縮荷重を有する。固定部材の圧縮荷重を上記の範囲にすることにより、被測定物の動きに対するひずみセンサの追従性が向上し、より高い精度での検出が可能になる。
【0058】
上記圧縮荷重は、例えば、厚さ10mmの試料を、直径10mmの円筒状のツールで、円筒の底面を試料に押し当てて所定の大きさのひずみとなる距離(例えば、ひずみ20%の場合は2mm)厚み方向に押し込んだ時の圧縮荷重を測定することにより、測定することができる。
【0059】
上記固定部材6aの厚さは、好ましくは0.1mm以上5.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上3.0mm以下である。特に、固定部材がスポンジである場合、固定部材の厚さは、1.0mm以上3.0mm以下が好ましい。固定部材の厚さをより小さくすることにより、ひずみをより正確に検出することができる。一方、固定部材の厚さをより大きくすることにより、ひずみセンサの機械的強度をより高めることができる。
【0060】
上記固定部材6aは、好ましくは130%以上、より好ましくは160%以上の破断ひずみを有する。固定部材の破断ひずみを上記の範囲にすることにより、破断のリスクが低減し、被測定物の比較的大きな動きにも対応することが可能になる。
【0061】
上記固定部材は、好ましくは250%以下、より好ましくは200%以下の破断ひずみを有する。
【0062】
本実施形態において、上記固定部材6aの大きさは、平面視において、上記センサシート41aよりも大きい。固定部材の大きさを、センサシートの大きさよりも大きくすることにより、センサシート全体を固定部材の上に貼り付けることができ、より安定したひずみ検出が可能になると共に、機械的強度も高くなる。
【0063】
(ひずみセンサ)
本実施形態1のひずみセンサ100aは、センサユニット4aと固定部材6aとを含み、センサユニット4aのセンサシート41a及び端子部42aは、固定部材6aに重なった状態で固定されている。端子部42aには、フラットケーブル48aが接続されている。
【0064】
上記ひずみセンサ100aは、センシング部45aが存在する領域において、検出部の伸縮方向に沿って、ひずみ5%で、好ましくは0.10N/mm以下、より好ましくは0.08N/mm以下、さらに好ましくは0.065N/mm以下の引張荷重を有する。センサシートが固定された固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、被測定物の動きに対するひずみセンサの追従性が向上し、より高い精度での検出が可能になる。ここに、上記「センサシート41aが固定された固定部材6a」とは、固定部材のうちセンサシートが固定された部分を意味する。また、検出方向とは、検出導体が伸びる方向(図1では左右方向)を意味する。
【0065】
上記ひずみセンサ100aは、センシング部45aが存在する領域において、検出部の伸縮方向に沿って、ひずみ5%で、好ましくは0.01N/mm以上、より好ましくは0.03N/mm以上、さらに好ましくは0.05N/mm以上の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、柔軟性のある介在物による被測定物の動きの緩衝の程度を均一化し、ひずみ測定の結果のばらつきをより抑制することができる。
【0066】
上記ひずみセンサ100aは、センシング部45aが存在する領域において、検出部の伸縮方向に沿って、ひずみ10%で、好ましくは0.15N/mm以下、より好ましくは0.13N/mm以下、さらに好ましくは0.11N/mm以下の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、被測定物の動きに対するひずみセンサの追従性が向上し、より高い精度での検出が可能になる。
【0067】
上記ひずみセンサ100aは、センシング部45aが存在する領域において、検出部の伸縮方向に沿って、ひずみ10%で、好ましくは0.01N/mm以上、より好ましくは0.04N/mm以上、さらに好ましくは0.07N/mm以上の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、柔軟性のある介在物による被測定物の動きの緩衝の程度を均一化し、ひずみ測定の結果のばらつきをより抑制することができる。
【0068】
上記ひずみセンサ100aは、センシング部45aが存在する領域において、検出部の伸縮方向に沿って、ひずみ20%で、好ましくは0.25N/mm以下、より好ましくは0.22N/mm以下、さらに好ましくは0.19N/mm以下の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、被測定物の動きに対するひずみセンサの追従性が向上し、より高い精度での検出が可能になる。
【0069】
上記ひずみセンサ100aは、センシング部45aが存在する領域において、検出部の伸縮方向に沿って、ひずみ20%で、好ましくは0.01N/mm以上、より好ましくは0.05N/mm以上、さらに好ましくは0.10N/mm以上の引張荷重を有する。固定部材の引張荷重を上記の範囲にすることにより、柔軟性のある介在物による被測定物の動きの緩衝の程度を均一化し、ひずみ測定の結果のばらつきをより抑制することができる。
【0070】
好ましい態様において、ひずみセンサ100aのセンシング部45aにおける引張荷重は、被測定物の引張荷重、典型的には被測定物の表面の引張荷重よりも小さい。
【0071】
好ましい態様において、センサシート41aは、センシング部45aに引張応力が加わった状態で、固定部材6aに貼り付けられ、固定される。好ましい態様において、かかる引張応力は、検出部の伸縮方向に沿って印加される。センサシートを、センシング部に引張応力が加わった状態で、固定部材に固定することにより、引っ張り変形させた状態を基準状態とすることができる。これにより、ひずみセンサのゼロドリフトの抑制、収縮方向の動きの測定が可能になる。
【0072】
上記引張応力は、好ましくは0.003N/mm以上0.08N/mm以下、より好ましくは0.005N/mm以上0.06N/mm以下、さらに好ましくは0.010N/mm以上0.05N/mm以下であり得る。引張応力を上記の範囲とすることにより、より効果的にゼロドリフトを抑制することができる。
【0073】
以上のように構成された実施形態1のひずみセンサ100aは、固定部材を有することにより、測定対象とひずみセンサの間に皮膚のような柔らかい介在物があった場合であっても、この介在物による測定対象の動きの緩衝の程度を均一化し、ばらつきを低減したひずみ測定が可能となる。また、ひずみセンサ100aは、機械的強度が高く、取り扱いが容易である。また、ひずみセンサ100aは、センサシート41aを、センシング部45aに引張応力が加わった状態で固定部材6aに固定することにより、ゼロドリフトを抑制することができる。
【0074】
(実施形態2)
実施形態2のひずみセンサ100bは、図4~5に示すように、固定部材6aが固定部材6bに置き換わったこと以外は、実施形態1のひずみセンサ100aと同様の構成を有する。
【0075】
上記固定部材6bは、ウインドウ61bを有する。
【0076】
上記ひずみセンサ100bにおいて、センサシート41aのセンシング部45aが、上記固定部材6bの窓8に重なるように配置される。すなわち、固定部材6bは、平面視において、センサシート41aのセンシング部45aを囲むように存在する。
【0077】
上記ひずみセンサ100bにおいて、ひずみセンサ100bの外形形状は固定部材6bで固定していることから、一定の機械的強度を有し、さらにセンシング部200aにおけるシワの発生は抑制される。一方で、ひずみセンサ100bは、センシング部200aが直接被測定物に接することができるので、より高い感度で動きを検出することができる。
【0078】
(実施形態3)
実施形態3のひずみセンサ100cは、図6に示すように、センサシート41cおよび固定部材6cを含み、上記センサシート41cが、上記固定部材6cの第1主面に貼り付けられている。かかる実施形態3のひずみセンサ100cは、検出部は1つである。
【0079】
実施形態3のひずみセンサ100cに含まれるセンサシート41cは、非センシング部20と該非センシング部20により支持された伸縮可能なセンシング部10とを備えたひずみセンサである。図6に示すように、センサシート41cにおいて、非センシング部20は、第1非センシング部21aと第2非センシング部22aとを含み、センシング部10は、第1非センシング部21aと第2非センシング部22aの間に配置されている。
【0080】
また、上記センサシート41cは、対向する第1主面と第2主面とを有する基材101と、基材101の第1主面に設けられた導体部とを含む。
【0081】
導体部1は、第1非センシング部21aの第1主面上においてセンシング部10から離れた位置に設けられた2つの接続端子導体1tと、各接続端子導体1tからそれぞれ同じ方向(以下、第1方向という。)に延びる2つの配線導体1wと、配線導体1wの先端部からそれぞれ第1方向に延びる配線導体1wより細い2つの導体からなる検出導体1dとを含む。ここで、実施形態1のひずみセンサ100において、2つの接続端子導体1t、2つの配線導体1w、2つの検出導体1dは、第1方向の中心線に対して線対称に配置されている。また、2つの接続端子導体1tと2つの配線導体1wは、第1非センシング部21aの第1主面に設けられ、検出導体1dはセンシング部10の第1主面に設けられ、検出導体1dの先端部分を接続する接続導体は第2非センシング部22aの第1主面に設けられる。以上のようにして、2つの接続端子導体1t間に2つの検出導体1dが直列に接続された検出回路が構成される。この検出回路において、検出導体1dは、センシング部10の基材の伸縮に対応して第1方向(伸縮方向)の長さが変化し、または断面積が変化することにより検出導体1dの抵抗値が変化する。この検出導体1dの抵抗値変化を、例えば、2つの接続端子導体1t間の電流値の変化により検出することにより、センシング部10の基材101の伸縮量、すなわち、ひずみを検出することができる。すなわち、検出導体1dは、検出部11を構成する。
【0082】
センシング部10は、被測定物の形状変化を測定する領域であり、測定領域の範囲を考慮してセンシング部10の外形寸法が設定され、被測定物の柔軟性を考慮してセンシング部10の追従性が設定される。追従性に関しては、例えば、センシング部10の基材101に切れ込み(スリット)や穴、基材の厚さを薄くするなどにより周囲よりも変形しやすい形状及び構造とし、センシング部10の追従性を高くしている。
【0083】
センサシート41cでは、センシング部10は、図6に示すように、検出導体1dからなる検出部11と、検出部11におけるひずみに対する変形を拘束しないようにかつ被測定物の変形を拘束しないように構成された低弾性率部12とを含む。具体的には、センサシート41cにおいて、検出部11は、被測定物の伸縮に応じて被測定物の伸縮を拘束することなく、被測定物のひずみに追従して弾性変形するように狭い幅で構成される。センサシート41cでは、検出部11は、第1方向の長さが第1方向に直交する方向の幅(すなわち、検出導体1dの幅)に比べて長くなるように構成される。具体的には、検出部11は、第1方向に平行に2つの検出導体1dが好ましくは近接して並置されることにより構成される。このように検出部11を構成することにより、検出導体1dの伸縮方向における伸縮率を大きくできる。低弾性率部は、被測定物の測定領域より弾性率が低く変形しやすいことが好ましく、低弾性率部の弾性率は、被測定物の測定領域の弾性率の2分の1以下であることが好ましく、3分の1以下であることがより好ましい。
【0084】
そして、低弾性率部12が検出部11の両側にそれぞれ設けられる。低弾性率部12はそれぞれ、検出導体1dの伸縮方向に交差する方向、好ましくは直交する方向に設けられた複数のスリット3を含む。これにより、低弾性率部12は、被測定物の伸縮に応じて被測定物の伸縮及び検出部11の伸縮を拘束することなく伸縮する。以上のように構成されたセンシング部10は、センシング部10全体が、例えば、人体の皮膚の膨れ等の被測定物の形状変化を拘束することなく被測定物の形状変化に対応して変形させることができ、被測定物の形状変化に伴う伸縮を検出部11により検出して被測定物の測定領域におけるひずみを検出することができる。
【0085】
また、低弾性率部12に形成するスリット3のスリット長(スリットの伸縮方向の長さ、ここでは、第1方向に直交する方向の長さ)は、第1方向に直交する方向に形成された2つのスリット3のスリット長を合計した長さ(合計スリット長)が、センシング部10の幅の40%以上、好ましくは、60%以上になるように設定することが好ましい。合計スリット長が40%以上になるようにスリットを形成すると、スリットを形成していない場合に比較して、約2/3の引張荷重で同じひずみ量が得られ、合計スリット長が60%以上になるようにスリットを形成すると、スリットを形成していない場合に比較して約半分の引張荷重で同じひずみ量が得られる。
【0086】
上記非センシング部20は、例えば、被測定物の表面に基材101の第2主面を貼り付けることによりひずみセンサ全体を固定するものであり、被測定物の測定領域が伸縮したときに当該伸縮に応じてセンシング部10が伸縮するようにセンシング部10を支持する。センサシート41cにおいて、非センシング部20は、第1非センシング部21aと第2の非センシング部22aとを含む。第1非センシング部21aと第2の非センシング部22aとは、検出導体1dの伸縮方向においてセンシング部10の両側に設けられる。非センシング部20は、被測定物における測定領域が伸縮したときに、測定領域以外の領域における伸縮の影響を受けることなく、測定領域における伸縮に対応したひずみが検出できるように拘束部を含むことが好ましい。
【0087】
上記拘束部は、図6に示すように、例えば、第1非センシング部21aに設けられた第1拘束部31aと第2の非センシング部22aに設けられた第2拘束部32aを含む。また、第1拘束部31aと第2拘束部32aはセンシング部10に近接して設けられていることが好ましい。これにより、被測定物における測定領域におけるひずみの測定を、測定領域以外の部分の影響を小さくして、精度よく測定することが可能になる。
【0088】
上記固定部材6cは、対向する第1主面と第2主面とを有するシート状の部材である。上記固定部材6cは、平面視した場合の形状が、上記センサシート41cの形状に沿った形状である以外は、上記実施形態1のひずみセンサ100aの固定部材6aと同様の構成を有する。
【0089】
本実施形態3のひずみセンサ100cは、センサシート41cおよび固定部材6aを含み、センサシート41cが固定部材6aに重なって固定されている。ひずみセンサ100cは、特に第1方向のひずみを検出することができる。
【0090】
上記ひずみセンサ100cに関して、上記以外の構成および特徴は、実施形態1のひずみセンサ100aと同様であり得る。
【0091】
本実施形態3のひずみセンサ100cは、構造がシンプルであり、容易に製造することができ、また取り扱いも容易である。
【0092】
(実施形態4)
実施形態4のひずみセンサ100dは、図7に示すように、センサシート41dおよび固定部材6dを含み、上記センサシート41dが、上記固定部材6dの第1主面に貼り付けられている。かかる実施形態4のひずみセンサ100dは、検出部を複数有する。
【0093】
上記センサシート41dは、図7に示すように、3つのセンシング部:第1センシング部10-1、第2センシング部10-2、及び第3センシング部10-3を備える。ここで、第1センシング部10-1及び第2センシング部10-2は、主として平面的な伸縮によるひずみを検出するように設けられており、第3センシング部10-3は、主として立体的な伸縮によるひずみを検出するように設けられている。
【0094】
上記センサシート41dは、非センシング部として、第1非センシング部21bと、第2非センシング部22bと、第3非センシング部23bと、第4非センシング部24bと、を含む。ここで、第1非センシング部21bは、ベース非センシング部21b0と、ベース非センシング部21b0から第1方向に延在された第1分岐非センシング部21b1と、ベース非センシング部21b0から第1方向に直交する第2方向に延在された第2分岐非センシング部21b2とを含む。また、第4非センシング部24bは、円環状に設けられる。
【0095】
そして、第1分岐非センシング部21b1と第2非センシング部22bの間に第1センシング部10-1が設けられ、第2分岐非センシング部21b2と第3非センシング部23bの間に第2センシング部10-2が設けられ、円環状の第4非センシング部24bの内側に第3センシング部10-3が設けられる。ここで、第4非センシング部24bの内側に設けられた第3センシング部10-3は、詳細後述するように構成されて、主として、第1方向及び第2方向に直交する方向、すなわち高さ方向のひずみを検出する。
【0096】
また、上記センサシート41dは、対向する第1主面と第2主面とを有する基材201と、基材201の第1主面に設けられた導体部とを含んで構成される。
【0097】
上記基材201は、ベース非センシング部21b0に対応するベース部と、ベース部から第1方向に延在された第1分岐部と、ベース部から第1方向に直交する第2方向に延在された第2分岐部と、第1分岐部と第2分岐部に挟まれた略円形の円形部とを有する。実施形態2において、円形部は、その中心がベース部の中心軸上に位置するように設けられる。第1分岐部には、第1分岐非センシング部21b1と第1センシング部10-1と第2非センシング部22bとが設けられる。第2分岐部には、第2分岐非センシング部21b2と第2センシング部10-2と第3非センシング部23bとが設けられる。円形部には、第4非センシング部24bと第3センシング部10-3とが設けられる。
【0098】
導体部は、ベース非センシング部21b0(基材201のベース部)の第1主面上に、6つの第1~第6接続端子導体1t1~1t6を有している。第1~第6接続端子導体1t1~1t6は、ベース非センシング部21b0の第1主面上における第1分岐非センシング部21b1及び第2分岐非センシング部21b2とは反対側の位置に設けられる。
【0099】
導体部はまた、第1~第6接続端子導体1t1~1t6からそれぞれ延びる第1~第6配線導体1w1~1w6を有している。第1~第2配線導体1w1~1w2は、隣接して互いに平行に設けられ、ベース非センシング部21b0から第1分岐非センシング部21b1に延在して設けられる。第3~第4配線導体1w3~1w4は、隣接して互いに平行に設けられ、ベース非センシング部21b0から第2分岐非センシング部21b2に延在して設けられる。第5~第6配線導体1w5~1w6は、隣接して互いに平行に設けられ、ベース非センシング部21b0から第4非センシング部24bに延在して設けられる。
【0100】
導体部はさらに、第1~第6配線導体1w1~1w6の先端部分からそれぞれ延びる第1~第5検出導体1d1~1d5を有している。第1~第5検出導体1d1~1d5はそれぞれ第1~第6配線導体1w1~1w6より細い幅に形成されている。第1~第2検出導体1d1~1d2は、第1センシング部10-1に設けられ、その先端部分が第2非センシング部22bにおいて接続されている。第3~第4検出導体1d3~1d4は、第2センシング部10-2に設けられ、その先端部分が第3非センシング部23bにおいて接続されている。
【0101】
第5検出導体1d5は、一端が第5配線導体1w5に接続され、他端が第6配線導体11w6に接続されており、以下詳述するように、第3センシング部10-3に設けられている。
尚、導体部1の構成材料は、実施形態1のひずみセンサと同様である。
【0102】
以上のようにして、第1~第2接続端子導体1t1~1t2間に第1及び第2検出導体1d1,1d2が直列に接続された第1検出回路が構成される。この第1検出回路において、第1及び第2検出導体1d1,1d2は、第1センシング部10-1の基材の伸縮に対応して第1方向の長さが変化することにより第1及び第2検出導体1d1,1d2の抵抗値が変化する。この第1及び第2検出導体1d1,1d2の抵抗値変化を、例えば、第1~第2接続端子導体1t1~1t2間の電流値の変化により検出することにより、第1センシング部10-1の基材の伸縮量、すなわち、ひずみを検出することができる。すなわち、第1及び第2検出導体1d1,1d2は、一の検出部を構成する。
【0103】
また、第2~第3接続端子導体1t3~1t4間に第3及び第4検出導体1d3,1d4が直列に接続された第2検出回路が構成される。この第2検出回路において、第3及び第4検出導体1d3,1d4は、第2センシング部10-2の基材の伸縮に対応して第2方向の長さが変化することにより第3及び第4検出導体1d3,1d4の抵抗値が変化する。この第3及び第4検出導体1d3,1d4の抵抗値変化を、例えば、第3~第4接続端子導体1t3~1t4間の電流値の変化により検出することにより、第2センシング部10-2の基材の伸縮量、すなわち、ひずみを検出することができる。すなわち、第3及び第4検出導体1d3,1d4は、一の検出部を構成する。
【0104】
センサシート41dにおいて、第1センシング部10-1及び第2センシング部10-2の構成は、実施形態3のひずみセンサにおけるセンシング部10と同様である。
そこで、以下、実施形態1と異なる第3センシング部10-3の構成を中心に説明する。
【0105】
上記第3センシング部10-3は、円環状の第4非センシング部24bの内側に設けられ、上述したように、主として、第1方向及び第2方向に直交する方向のひずみを検出する。
【0106】
上記第3センシング部10-3は、円環状の第4非センシング部24bの内側に位置する被測定物の形状変化を測定する領域であり、扇形の複数(6個)の低弾性率部12-1~12-6と、隣接する低弾性率部の間に位置し、第3センシング部10-3の中心から放射状に延びた複数(6個)の検出部11-1~11-6と、を含む。検出部11-1~11-6は、第3センシング部10-3の放射方向における長さが放射方向に直交する方向の幅に比べて長くなるように形成され、これにより、検出部11-1~11-6は、被測定物の伸縮に応じて被測定物の伸縮を拘束することなく弾性変形させることができる。ここに、検出部11-1~11-6の伸縮方向は、各検出部を構成する検出導体の長さ方向、すなわち、それぞれ、点P0と点P1~点P6を結ぶ方向である。そして、第5検出導体1d5は、一端が第5配線導体1w5に接続され、検出部11-1に引き出され、検出部11-2~11-6においてそれぞれ蛇行配線された後、検出部11-1を介して他端が第6配線導体1w6に接続される。
【0107】
複数の低弾性率部12-1~12-6はそれぞれ、例えば、10個の複数のスリット3-1~3-10を含む。複数のスリット3-1~3-10は、各低弾性率部において、扇形の中心角を二等分する中心線上にスリット3-1~3-10の中心が位置するようにかつその伸縮方向が前記中心線に直交するように形成されている。また、低弾性率部12-1~12-6においてそれぞれ、複数のスリット3-1~3-10は、扇形の中心から外側に離れるにしたがってスリット長(中心線に直交する方向の長さ)が長くなるように形成される。これにより、低弾性率部12-1~12-6は、被測定物の伸縮に応じて被測定物の伸縮及び検出部11-1~11-6の伸縮を抑制することなく伸縮する。また、好ましくは、複数のスリット3-1~3-10の端部と該端部に近接する第5配線導体1w5との間隔がそれぞれ等しくなるように形成されていることが好ましい。なお、本実施形態においては、第3センシング部10-3は低弾性率部を6個含む構成となっているが、少なくとも2個以上の低弾性率部を含んでいればよく、また、スリットは直線に限られるものではなく、円弧状に形成されていてもよい。
【0108】
上記第4非センシング部24bは、第3センシング部10-3の周りに円環状に設けられ、その第4非センシング部24bにおける基材201の第2主面を被測定物の表面に貼り付けることにより第3センシング部10-3の周りを固定する。第4非センシング部24bは、被測定物の測定領域が伸縮したときに当該伸縮に応じて第3センシング部10-3が伸縮するようにセンシング部10を支持する。第4非センシング部24bは、被測定物における測定領域が伸縮したときに、測定領域以外の領域における伸縮の影響を受けることなく、測定領域における伸縮に対応したひずみが検出できるように拘束部34bを含むことが好ましい。拘束部34bは、図7に示すように、第3センシング部10-3の周りに、好ましくは第3センシング部10-3に近接して設けられることが好ましい。これにより、被測定物における測定領域におけるひずみの測定を、測定領域以外の部分の影響を小さくして、精度よく測定することが可能になる。
【0109】
上記固定部材6dは、対向する第1主面と第2主面とを有するシート状の部材である。上記固定部材6dは、平面視した場合に、上記センサシート41d全体を含むことができる形状である以外は、上記実施形態1のひずみセンサ100aの固定部材6aと同様の構成を有する。
【0110】
上記ひずみセンサ100dに関して、上記以外の構成および特徴は、実施形態1のひずみセンサ100aと同様であり得る。
【0111】
以上のように構成された実施形態4のひずみセンサ100dは、ひずみに対応して伸縮可能な第1センシング部10-1、第2センシング部10-2及び第3センシング部10-3を備えているので、例えば、人体の皮膚の膨れ等の小さな変形部位におけるひずみの検出が可能である。
【0112】
以上のように構成された実施形態2のひずみセンサ200において、第1センシング部10-1は第1方向の伸縮に対し、また、第2センシング部10-2は第2方向に伸縮に対して高い感度を有し、第3センシング部10-3は、各検出部が、それぞれP0-P1~P6方向に伸縮し、第1方向と第2方向に直交する方向、すなわち基材201の第1主面に直交する方向の伸縮に対して高い感度を有している。第1センシング部10-1と第2センシング部10-2の配置は互いに直交する位置に限定されるものではなく、被測定物の測定領域の主たる伸縮方向に応じて第1センシング部10-1、第2センシング部10-2及び第3センシング部10-3が適切に配置されるようにひずみセンサ200を取り付けて各測定部において感度よくひずみを測定することができる。この構成を備えることにより、被測定物のXYZの3方向のひずみを検出することができ、これらを総合してひずみを引き起こす変形の形状を推定することができる。
【0113】
(実施形態5)
実施形態5のひずみセンサ100eは、図8に示すように、センサシート41eおよび固定部材6eを含み、上記センサシート41eが、上記固定部材6eの第1主面に貼り付けられている。かかる実施形態5のひずみセンサ100eは、上記実施形態4のひずみセンサdから、第3センシング部10-3を除いた構成を有する。すなわち、実施形態5のひずみセンサ100eは、実施形態4のひずみセンサ100dの変形例である。
【0114】
上記ひずみセンサ100eによれば、第1方向及び第2方向の伸縮に対して感度の高いひずみセンサを実施形態4のひずみセンサに比較して安価に提供できる。
【0115】
(実施形態6)
実施形態6のひずみセンサ100fは、図9に示すように、センサシート41fおよび固定部材6fを含み、上記センサシート41fが、上記固定部材6fの第1主面に貼り付けられている。かかる実施形態6のひずみセンサ100fは、上記実施形態4のひずみセンサdから、第1センシング部10-1および第2センシング部10-2を除いた構成を有する。すなわち、実施形態6のひずみセンサ100fは、実施形態4のひずみセンサ100dの変形例である。
【0116】
上記ひずみセンサ100fによれば、第1方向及び第2方向に直交する方向に感度の高いひずみセンサを実施形態4のひずみセンサに比較して安価に提供できる。
【0117】
(実施形態7)
実施形態7のひずみセンサ100gは、図10に示すように、センサシート41gおよび固定部材6gを含み、上記センサシート41gが、上記固定部材6gの第1主面に貼り付けられている。かかる実施形態7のひずみセンサ100gは、センサシート41gのセンシング部10aの構成が異なる以外は、上記実施形態3のひずみンサcと同様の構成を有する。
【0118】
上記センサシート41gにおけるセンシング部10aは、実施形態3のひずみセンサに比較してひずみを生じる力が大きく大きな変形を伴うひずみを検出する場合に適している。具体的には、実施形態7のセンサシート41gにおいて、センシング部10aは、図10に示すように、検出導体1daから構成される検出部11aと低弾性率部12aとを含むが、低弾性率部12aが、検出部11aと第2非センシング部22aの間に配置されている。
【0119】
上記センサシート41gにおいて、低弾性率部12aは、検出導体1daの延伸方向である第1方向の中心線に対して対称に配置された第1低弾性率部12a1と第2低弾性率部12a2とを含む。第1低弾性率部12a1と第2低弾性率部12a2とはそれぞれ、それぞれ第1方向に直交する方向の長さが第1方向の幅より長い複数のスリットを含む。このように構成された低弾性率部12a(第1低弾性率部12a1及び第2低弾性率部12a2)は、検出部11aに比べて第1方向における伸縮率が大きくなっている。
【0120】
以上のように構成されたセンサシート41gのセンシング部10aは、センシング部10a全体が大きな変形を受けたときに検出部11aに比べて伸縮率の大きい低弾性率部12aが大きく変形することにより検出部11aに形成された検出導体1daの断線を防止することができる。また、検出部11aは、実施形態3のひずみセンサ100cにおけるセンサシート41cの検出部11に比較して広い幅に形成することが可能であり、より効果的に検出導体1daの断線を防止できる。このように、センサシート41gは、大きく弾性変形することが可能な低弾性率部12aを検出部11aと第2非センシング部22aの間に配置することにより、センシング部10aに大きな変形が生じたときに検出導体1daを断線させることなくひずみを検出することができる。
【0121】
さらに、センサシート41gは、第1拘束部31aと第2拘束部32aとを備えることにより、被測定物における測定領域におけるひずみの測定を、測定領域以外の部分の影響を小さくして、精度よく測定することができる。
【0122】
尚、実施形態4および6のひずみセンサにおいて、第1センシング部10-1及び/又は第2センシング部10-2を実施形態7のセンシング部10aと同様に構成してもよい。
【0123】
上記ひずみセンサ100gに関して、上記以外の構成および特徴は、実施形態1のひずみセンサ100aと同様であり得る。
【0124】
(実施形態8)
実施形態8のひずみセンサ100hは、図11に示すように、センサシート41hおよび固定部材6hを含み、上記センサシート41hが、上記固定部材6hの第1主面に貼り付けられている。
【0125】
上記センサシート41hは、図11に示すように、第1方向に非センシング部とセンシング部が交互に設けられたひずみセンサであり、4つの第1非センシング部21c、第2非センシング部22c、第3非センシング部23c及び第4非センシング部24cと、3つの第1センシング部10-1aと、第2センシング部10-2a及び第3センシング部10-3aを備えている。センサシート41hにおいて、第1センシング部10-1aは、第1非センシング部21cと第2非センシング部22cとの間に設けられ、第2センシング部10-2aは、第2非センシング部22cと第3非センシング部23cとの間に設けられ、第3センシング部10-3aは、第3非センシング部23cと第4非センシング部24cとの間に設けられている。
【0126】
上記センサシート41hにおいて、第1非センシング部21cは、第1~第6接続端子導体1t1~1t6を含む。ここで、第1と第2接続端子導体1t1,1t2は、第1方向の中心線に最も近い内側に設けられ、その外側に第3と第4接続端子導体1t3,1t4が設けられ、最も外側に第5と第6接続端子導体1t5,1t6が設けられる。第1非センシング部21cにおいて、第1~第6接続端子導体1t1~1t6からそれぞれ第1~第6配線導体1w1~1w6がそれぞれ第1方向に延伸された後、各先端が第1非センシング部21cと第1センシング部10-1aとの境界で分離された状態で近接するように中心線寄りに集められて配線される。
【0127】
そして、第1と第2接続端子導体1t1,1t2間に、第1センシング部10-1aのひずみを検出する第1と第2検出導体1d1,1d2が、第3と第4接続端子導体1t3,1t4間に、第2センシング部10-2aのひずみを検出する第3と第4検出導体1d3,1d4が、第5と第6接続端子導体1t5,1t6間に、第3センシング部10-3aのひずみを検出する第5と第6検出導体1d5,1d6が、以下のように設けられる。
【0128】
第1~第2検出導体1d1~1d2はそれぞれ、第1及び第2配線導体1w1,1w2の先端から延伸して第1センシング部10-1aに設けられ、その先端部分が第2非センシング部22cにおいて接続されている。第3検出導体1d3は、第3配線導体1w3の先端から延伸して第1センシング部10-1aに設けられた第3導体1cd3と、第3導体1cd3の先端から延伸して第2非センシング部22cに設けられた接続導体と、を介して、第2センシング部10-2aに設けられている。また、第4検出導体1d4は、第4配線導体1w4の先端から延伸して第1センシング部10-1aに設けられた第4導体1cd4と、第4導体1cd4の先端から延伸して第2非センシング部22cに設けられた接続導体と、を介して、第2センシング部10-2aに設けられている。そして、第3検出導体1d3の先端部分と第4検出導体1d4の先端部分とが第3非センシング部23cにおいて接続されている。
【0129】
第5検出導体1d5は、第5配線導体1w5の先端から延伸して第1センシング部10-1aに設けられた第5導体1cd5と、第5導体1cd5の先端から延伸して第2非センシング部22cに設けられた接続導体と、当該接続導体の先端から延伸され第2センシング部10-2aに設けられた第5導体1cd5aと、第5導体1cd5aの先端から延伸して第3非センシング部23cに設けられた接続導体と、を介して第3センシング部10-3aに設けられている。
【0130】
第6検出導体1d6は、第6配線導体1w6の先端から延伸して第1センシング部10-1aに設けられた第6導体1cd6と、第6導体1cd6の先端から延伸して第2非センシング部22cに設けられた接続導体と、当該接続導体の先端から延伸され第2センシング部10-2aに設けられた第6導体1cd6aと、第6導体1cd6aの先端から延伸して第3非センシング部23cに設けられた接続導体と、を介して第3センシング部10-3aに設けられている。
【0131】
そして、第5検出導体1d5の先端部分と第6検出導体1d6の先端部分とが第4非センシング部24cにおいて接続されている。ここで、非センシング部に形成された接続導体の抵抗値は、ひずみにより実質的に変化しない。
【0132】
以上のようにして、第1と第2接続端子導体1t1,1t2間に、第1検出導体1d1と第2検出導体1d2とが直列に接続された第1センシング部10-1aのひずみを検出するための第1検出回路が構成される。
【0133】
第3と第4接続端子導体1t3,1t4間に、第3導体1cd3と、第3検出導体1d3と、第4検出導体1d4と、第4導体1cd4とが直列に接続された第2センシング部10-2aのひずみを検出するための第2検出回路が構成される。
【0134】
第5と第6接続端子導体1t5,1t6間に、第5導体1cd5と、第5導体1cd5aと、第5検出導体1d5と、第6検出導体1d6と、第6導体1cd6aと、第6導体1cd6と、が直列に接続された第3センシング部10-3aのひずみを検出するための第3検出回路が構成される。
【0135】
ここで、第1検出回路では、第1と第2接続端子導体1t1,1t2間の抵抗値の変化は第1検出導体1d1及び第2検出導体1d2の抵抗値変化であるから、第1と第2接続端子導体1t1,1t2間の抵抗値変化により第1センシング部10-1aにおけるひずみを検出することができる。
【0136】
しかしながら、第2検出回路及び第3検出回路では、各センシング部のひずみを検出するための、第3検出導体1d3、第4検出導体1d4、第5検出導体1d5及び第6検出導体1d6の他に、他のセンシング部に形成され該センシング部のひずみにより抵抗値が変化する、第3導体1cd3、第4導体1cd4、第5導体1cd5、第5導体1cd5a、第6導体1cd6aと、第6導体1cd6を含む。
【0137】
したがって、第2検出回路及び第3検出回路では、被測定物のセンシング部以外のセンシング部に形成された導体における抵抗値変化を除いて被測定物のセンシング部における、第3検出導体1d3及び第4検出導体1d4における抵抗値変化、又は第5検出導体1d5及び第6検出導体1d6における抵抗値変化を算出する必要がある。
【0138】
第2検出回路及び第3検出回路において、被測定物のセンシング部以外のセンシング部に形成された導体における抵抗値変化を除く方法は種々考えられるが、例えば、以下のようにすればよい。
【0139】
例えば、第2検出回路については、第1センシング部10-1aに設けられた第3導体1cd3と第4導体1cd4とを、第1検出回路の第1及び第2検出導体1d1,1d2と同じ構成とする。同じ構成とは、第1及び第2検出導体1d1,1d2と同じ材料を用いて同一形状に構成することをいう。このようにすると、第3導体1cd3及び第4導体1cd4の抵抗値変化は、第1及び第2検出導体1d1,1d2の抵抗値変化と実質的に同一となる。
【0140】
したがって、第3と第4接続端子導体1t3,1t4間の第2検出回路の抵抗値変化から、第1検出回路で検出された第1及び第2検出導体1d1,1d2の抵抗値変化を除くことにより、第2検出回路における第3検出導体1d3、第4検出導体1d4の抵抗値変化を算出することができる。
【0141】
同様に、第3検出回路については、第1センシング部10-1aに設けられた第5導体1cd5と第6導体1cd6とを、第1検出回路の第1及び第2検出導体1d1,1d2と同じ構成とし、第2センシング部10-2aに設けられた第5導体1cd5aと第6導体1cd6aとを、第2検出回路における第3検出導体1d3、第4検出導体1d4と同じ構成とすればよい。このようにすることで、第5と第6接続端子導体1t5,1t6間の第3検出回路の抵抗値変化から、第1検出回路で検出された第1及び第2検出導体1d1,1d2の抵抗値変化と第2検出回路における第3検出導体1d3、第4検出導体1d4の抵抗値変化とを除くことにより、第3検出回路における第5検出導体1d5及び第6検出導体1d6の抵抗値変化を算出することができる。
【0142】
以上のように構成されたセンサシート41hを有する実施形態11のひずみセンサ100hは、比較的狭い被検出対象に対して複数の検出領域のひずみを差測定することが可能であり、例えば、人体の指に対して複数の箇所における膨れや腫れを検出することができる。
【0143】
実施形態8のひずみセンサ100hにおいて、第1非センシング部21c、第2非センシング部22c、第3非センシング部23c及び第4非センシング部24cはそれぞれ、被測定物における測定領域が伸縮したときに、測定領域以外の領域における伸縮の影響を受けることなく、測定領域における伸縮に対応したひずみが検出できるように第1拘束部31c、第2拘束部32c、第3拘束部33c、第4拘束部34cを含むことが好ましい。
【0144】
上記ひずみセンサ100hに関して、上記以外の構成および特徴は、実施形態1のひずみセンサ100aと同様であり得る。
【0145】
(実施形態9)
実施形態9のひずみセンサ100iは、図12に示すように、センサシート41iおよび固定部材6iを含み、上記センサシート41iが、上記固定部材6iの第1主面に貼り付けられている。
【0146】
上記センサシート41iは、図12に示すように、第1方向に非センシング部と測定部が交互に設けられており、4つの第1非センシング部21d、第2非センシング部22d、第3非センシング部23d及び第4非センシング部24dと、3つの第1センシング部10-1bと、第2センシング部10-2b及び第3センシング部10-3bを備えている。上記センサシート41iにおいて、第1センシング部10-1bは、第1非センシング部21dと第2非センシング部22dの間に設けられ、第2センシング部10-2bは、第2非センシング部22dと第3非センシング部23dの間に設けられ、第3センシング部10-3bは、第3非センシング部23dと第4非センシング部24dの間に設けられている。
【0147】
以上説明したように、センサシート41iにおいて、第1方向に非センシング部と測定部が交互に設けられている点については実施形態8のひずみセンサ100hにおけるセンサシート41hと同様であるが、第4非センシング部24dを除いた3つの第1非センシング部21d、第2非センシング部22d及び第3非センシング部23dの形状が実施形態4の第1~第3非センシング部21c、22c、23cの形状と異なっている。具体的には、センサシート41iにおいて、第1非センシング部21d、第2非センシング部22d及び第3非センシング部23dはそれぞれ、それぞれ第1方向に直交する方向に延びた第1配線非センシング部21dc、第2配線非センシング部22dc及び第3配線非センシング部23dcと、を有している。尚、以下の説明において、第1非センシング部21d、第2非センシング部22d及び第3非センシング部23dにおいてそれぞれ、第1配線非センシング部21dc、第2配線非センシング部22dc及び第3配線非センシング部23dcを除いた部分を第1測定非センシング部21dm、第2第1測定非センシング部22dm及び第3第1測定非センシング部23dmという。
【0148】
上記第1非センシング部21dにおいて、第1配線非センシング部21dcは、第1測定非センシング部21dmの反対側の端部に第1接続端子導体1t1と第2接続端子導体1t2を含む。第1非センシング部21cにおいて、第1及び第2配線導体1w1d,1w2dはそれぞれ第1及び第2接続端子導体1t1,1t2から第1方向に直交する方向に延伸された後、第1測定非センシング部21dmにおいて第1方向に曲げられて配線される。
【0149】
第2配線非センシング部22dcは、第2測定非センシング部22dmの反対側の端部に第3接続端子導体1t3と第4接続端子導体1t4を含む。第2非センシング部22cにおいて、第3及び第4配線導体1w3d,1w4dはそれぞれ第3及び第4接続端子導体1t3,1t4から第1方向に直交する方向に延伸された後、第2測定非センシング部22dmにおいて第1方向に曲げられて配線される。
【0150】
第3配線非センシング部23dcの第3測定非センシング部23dmの反対側の端部に第5接続端子導体1t5と第6接続端子導体1t6を含む。第3非センシング部23cにおいて、第5及び第6配線導体1w5d,1w6dはそれぞれ第5及び第6接続端子導体1t5,1t5から第1方向に直交する方向に延伸された後、第3測定非センシング部23dmにおいて第1方向に曲げられて配線される。
【0151】
第1~第2検出導体1d1~1d2はそれぞれ、第1及び第2配線導体1w1d,1w2dの先端から延伸して第1センシング部10-1bに設けられ、その先端部分が第2非センシング部22dにおいて接続される。
【0152】
第3~第4検出導体1d3~1d4はそれぞれ、第3及び第4配線導体1w3d,1w4dの先端から延伸して第2センシング部10-2bに設けられ、その先端部分が第3非センシング部23dにおいて接続される。
【0153】
第5~第6検出導体1d5~1d6はそれぞれ、第5及び第6配線導体1w5d,1w6dの先端から延伸して第3センシング部10-3bに設けられ、その先端部分が第4非センシング部24dにおいて接続される。
【0154】
以上のようにして、第1と第2接続端子導体1t1,1t2間に、第1センシング部10-1dのひずみを検出するための、第1と第2検出導体1d1,1d2が直列に接続された第1検出回路が構成される。
【0155】
また、第3と第4接続端子導体1t3,1t4間に、第2センシング部10-2dのひずみを検出するための、第3と第4検出導体1d3,1d4が直列に接続された第2検出回路が構成される。
【0156】
第5と第6接続端子導体1t5,1t6間に、第3センシング部10-3dのひずみを検出するための、第5と第6検出導体1d5,1d6が直列に接続された第3検出回路が構成される。
【0157】
以上のように構成されたセンサシート41iは、複数の検出領域のひずみを差測定することが可能である。
【0158】
センサシート41iにおいて、第1非センシング部21d、第2非センシング部22d、第3非センシング部23d及び第4非センシング部24dはそれぞれ、被測定物における測定領域が伸縮したときに、測定領域以外の領域における伸縮の影響を受けることなく、測定領域における伸縮に対応したひずみが検出できるように第1拘束部31d、第2拘束部32d、第3拘束部33d、第4拘束部34dを含むことが好ましい。
【0159】
上記ひずみセンサ100iに関して、上記以外の構成および特徴は、実施形態1のひずみセンサ100aと同様であり得る。
【0160】
(実施形態10)
実施形態10のひずみセンサ100jは、図13に示すように、センサユニット4jおよび固定部材6jを含み、平面視において、上記固定部材6jの外形と、上記センサシート41jの外形とが重なっている。図13は、ひずみセンサ100jの裏側から見た平面図、即ちひずみセンサ100jを固定部材6jの方から見た平面図である。
【0161】
上記ひずみセンサ100jに関して、固定部材6j以外の構成および特徴は、実施形態1のひずみセンサ100aと同様であり得る。
【0162】
以上のように構成されたひずみセンサ100jは、固定部材6jとセンサシート41jの外形が同じであるので、取り扱いが容易である。
【0163】
(実施形態11)
実施形態11のひずみセンサ100kは、図14に示すように、実施形態1のひずみセンサ100aのセンシング部に、検出導体52a1に加え、さらに別の検出導体52k1を有する。上記検出導体52a1と別の検出導体52k1は、異なる方向に伸縮する。
【0164】
具体的には、実施形態11のひずみセンサは、センサシート41kのセンシング部に、複数の検出部、具体的には6つの検出部を有し、該複数の検出部のうち5つの検出部は互いに平行に配置され、残りの1つの検出部は、上記平行に配置されたすべての検出部を長さ方向に延長した領域と、略垂直に交わるように配置されている。より具体的には、平行に配置された検出導体52a1の先端近傍に、該先端同士を結んだ直線全体に対して略平行に、別の検出導体52k1が配置されている。
【0165】
上記別の検出導体52k1は、被測定物のひずみを検出する検出導体52a1とは別に、被測定物の姿勢を検出する機能を有し得る。例えば、本実施態様のひずみセンサを嚥下センサとして用いる場合、検出導体による被測定者の喉の動きの検出に加え、別の検出導体(以下、「姿勢検出導体」ともいう)による顎の上げ下げの検出もでき、その動きによる影響を補正することができるため、より精度良く被対象物のひずみを検出することができる。
【0166】
即ち、本開示は、センシング部が、検出部を複数備え、少なくとも1つの検出部と他の検出部とが、異なる方向に伸縮するひずみセンサを提供する。
【0167】
好ましい態様において、上記複数の検出部の少なくとも一部は、互いに平行に配置され、他の検出部は、該平行に配置されたすべての検出部を長さ方向に延長した領域に交わるように配置されている。
【0168】
本実施形態では、図14に示すように、姿勢検出導体は1つであるが、これに限定されず複数、例えば2、3または4つ存在してもよい。
【0169】
また、本実施形態では、姿勢検出導体は、検出導体に垂直になるように配置されているが、これに限定されず、両者は異なる方向に伸縮し、異なる方向のひずみを検出できればよい。例えば、検出導体と姿勢検出導体の伸縮方向がなす角度は、10°以上、好ましくは45°以上、より好ましくは70°以上、さらに好ましくは80°以上、特に好ましくは90°であり得る。
【0170】
(実施形態12)
実施形態12のひずみセンサは、被測定物のひずみに対応して所定方向に伸縮し、該伸縮方向のひずみを検出する検出部を含むセンシング部と、上記センシング部の両端に位置して上記センシング部を支持する非センシング部とを備えたセンサシートを有し、上記センシング部は、上記非センシング部よりも変形しやすい、ひずみセンサである。
【0171】
一の態様において、上記センシング部のヤング率をY1、厚みをT1とし、上記非センシング部のヤング率をY2、厚みをT2とした場合、Y1とT1の積F1は、Y2とT2の積F2よりも小さい。ここに、ヤング率とは見かけのヤング率を意味する。
【0172】
好ましい態様において、F2に対するF1の比(F1/F2)は、0.06以下、好ましくは0.03以下であり得る。
【0173】
好ましい態様において、上記実施形態2のひずみセンサは、対向する第1主面と第2主面とを有する固定部材をさらに備えていてもよい。
【0174】
上記態様において、上記センサシートは、少なくとも一部が上記固定部材の第1主面に重なった状態で固定されており、平面視において、上記センシング部と上記固定部材とが重なる部分は、上記非センシング部と上記固定部材重なる部分よりも変形しやすい。
【0175】
本実施形態12のひずみセンサでは、センシング部を、非センシング部よりも変形しやすくすることにより、例えばセンシング部のヤング率と厚みの積を、非センシング部のヤング率と厚みの積よりも小さくすることにより、例えば、皮膚の膨れに伴うひずみ等の低弾性な物性に生じるひずみの検出や、嚥下による喉の動きの検出、特に咽頭隆起の前方移動をより精度よく検出することが可能になる。実施形態1のように、センシング部にスリットを形成することにより、センシング部を非センシング部よりも変形しやすくすることができる。また、別法として、センシング部における基材の厚さを非センシング部に比較して薄くしたり、センシング部の幅を非センシング部に比較して狭くしたりすることにより、センシング部を非センシング部よりも変形しやすくしてもよい。また、本開示のひずみセンサでは、スリットに代えて、複数の貫通孔を設けたり、溝状又はドット状に凹部を形成にしたりすることにより、センシング部を変形しやすくしてもよい。固定部材が存在する場合であっても、平面視において、上記センシング部と上記固定部材とが重なる部分を、上記非センシング部と上記固定部材重なる部分よりも変形しやすくすることにより、例えばセンシング部のヤング率と厚みの積を、非センシング部のヤング率と厚みの積よりも小さくすることにより、上記と同様に低弾性な物性に生じるひずみの検出が可能になる。
【0176】
本開示のひずみセンサにおいて、センシング部としては、検出精度が向上することから、時間応答性が良好なものを用いることが好ましい。「時間応答性」とは、入力に対する出力の時間差を示す指標であり、時間差が短ければ短いほど時間応答性が良いと言える。本開示のひずみセンサでは、ひずみ変形が入力であり検出信号が出力となるが、その出力までの過程は、被測定物のひずみ変形に追従してセンシング部が変形し、その変形に応じた検出信号の出力となるので、正確には被測定物のひずみ変形に対するセンシング部の変形と、センシング部の変形に対する検出信号のそれぞれの時間差によって時間応答性が決まる。ここで、センシング部として時間応答性のよいものを採用したとしても、固定部材が入力される変形に対して自身の形状変化に時間差が生じる場合があり、とくに収縮ひずみ変形の場合は固定部材のたるみとなって現れる。このような固定部材を用いた場合にはセンシング部の時間応答性を低下させる。本開示のひずみセンサにおいて連続する伸縮ひずみ変形を検出する際、前の収縮変形時のたるみが残存した状態で次の伸張変形が入力された場合、たるみが除去されるまでは被測定物の変形に対してセンシング部の変形と追従しない状態であるので検出信号が出力できなくなる。そのため、固定部材として伸縮時の弾性率のヒステリシスが、センシング部伸縮時の弾性率のヒステリシスより小さいものを用いることにより、センシング部の時間応答性を低下させることがなく好ましい。
【0177】
上記の実施形態1~12のひずみセンサでは、スリットを含む低弾性率部により測定部全体の弾性率を低くして、例えば、皮膚の膨れに伴うひずみ等の低弾性な物性に生じるひずみの検出を可能にした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、低弾性率部を形成することに代えて、例えば、測定部における基材の厚さを非センシング部に比較して薄くしたり、測定部の幅を非センシング部に比較して狭くしたりすることにより測定部の弾性率を低くするようにしてもよい。また、本発明のひずみセンサでは、低弾性率部において、スリットに代えて、複数の貫通孔を設けたり、溝状又はドット状に凹部を形成にしたりすることにより、測定部の弾性率を低くするようにしてもよい。本明細書において、低弾性率部とは、測定部における基材の厚さを非センシング部に比較して薄くしたり、測定部の幅を非センシング部に比較して狭くしたりすることにより測定部全体としての弾性率を低くすることも含む。
【0178】
上記の実施形態1~12のひずみセンサでは、検出部は、検出導体で構成されており、いわゆる電気センサである。しかしながら、本開示のひずみセンサの検出部には、特に限定されないが、例えば光学センサを用いることができる。
【0179】
好ましい態様において、本開示のひずみセンサは、非センシング部の第2主面に貼付部材が設けられている。
【0180】
上記貼付部材としては、粘着材から構成される粘着層が好ましい。
【0181】
上記粘着材は、特に限定されないが、例えばアクリル系またシリコーン系の柔軟性が高い粘着材が挙げられる。好ましい態様において、粘着材は、細胞毒性のない生体適合性がある粘着材、例えば3M社製の1524が挙げられる。
【0182】
なお、本明細書において、見かけのヤング率およびヒステリシスは、下記のようにして測定される。
断面形状が厚さt、幅Wの短冊状サンプルを準備する。この短冊状サンプルを引張速度1mm/sでひずみεまで伸張後、初期長さまで収縮させたときの引張荷重Fを測定する。測定の結果から、応力(Pa)、見かけのヤング率、各部材の硬さ、ヒステリシスを、下記により求めることができる。
応力(Pa):引張荷重F(kgf)×重力加速度9.8(mm/s)×厚さ(mm)×幅W(mm)
見かけのヤング率:最大ひずみε時の応力がσのとき σ/ε
各部材硬さ:見かけのヤング率×厚さt
ヒステリシス:最大ひずみε時の応力がσであって、引張時のひずみε/2の時の応力がσ1、収縮時のひずみε/2の時の応力がσ2である時、σ1とσ2の差のσに対する比率σ1-σ2/σ
【0183】
本開示のひずみセンサは、嚥下による喉の動きの検出に利用することができる。
【0184】
図15に示すように、ひずみセンサのセンシング部は、嚥下に伴って発生する甲状軟骨の動きの範囲を覆うように、被験者101の前頸部102の皮膚に貼り付けられる。甲状軟骨の上方には下顎骨104が位置しており、下方には胸骨105が位置している。甲状軟骨の左右両側には一対の頸動脈106が位置している。センシング部は、下顎骨104、胸骨105および頸動脈106に重ならない範囲に配置される。センシング部は、被験者101の嚥下に伴う甲状軟骨の変位により変形し、甲状軟骨の動きを検出する。例えば、1回の嚥下動作において、甲状軟骨は、嚥下動作前の位置から上方に約20mm上昇し、前方に移動した後、下降して元の位置に戻る。
【0185】
上記の用途においては、ひずみセンサは、センシング部に設けられた検出部から得られる信号に基づいて、喉頭隆起の上方移動と前方移動とを判定することで嚥下を判定する。センシング部は複数の検出導体からなり、検出する伸縮方向が甲状軟骨の上下移動方向と直交方向に配置される。ある検出導体近傍に甲状軟骨がある場合、甲状軟骨の形状からなる突出量によって検出導体を伸張させることになり、その結果、検出導体の抵抗値が上昇する。検出導体の直下に甲状軟骨の最大突出部が位置する場合に抵抗値が最大となる。したがって、甲状軟骨が検出導体を横切るように上下移動した場合、検出導体の抵抗値の時間変化は甲状軟骨が検出導体直下にあるタイミングを極大値としたピーク挙動を示すので、抵抗値極大値から逆算して検出導体直下を甲状軟骨が通過した時間を推定することができる。さらに、複数の検出導体が所定の間隔で平行に配置され、甲状軟骨が一度の上下動で各検出導体を連続して通過する場合、各検出導体の抵抗極大値の時間差から甲状軟骨の移動方向や移動速度を推定することができる。甲状軟骨が前後移動した場合、検出導体を移動分大きく伸張させるため抵抗値が増加する。そのため検出導体の抵抗値の大きさから甲状軟骨の前後移動量を推定することができる。
本開示のひずみセンサは、ひずみセンサの主面に対して垂直方向の変形をより精度よくとらえることができるため、喉頭隆起の上方移動だけでなく、前方移動も検出することができ、より正確な嚥下判定を行うことができる。
【0186】
嚥下センサは本体部を備えていてもよい。本体部は、ひずみセンサの下側に位置して設けることができる。本体部は、内蔵したバッテリによって駆動し、ひずみセンサの検出部が信号を得ると同時に、ひずみセンサの検出部から検出される信号に基づいて嚥下検出の判定を行い、嚥下を検出したときに、その検出した嚥下時の信号のデータを抽出して、無線で外部へ出力する。嚥下検出の判定とは、嚥下の有無を判定することである。
【0187】
上記本体部は、前処理部、信号処理部、無線通信モジュール、バッテリ等を備えている。この場合、本体部は、コネクタ(図示せず)等を用いてひずみセンサとは取外し可能に接続される。これにより、ひずみセンサのみが破損した場合や汚れた場合に、ひずみセンサのみを本体部から取外して交換することができる。本体部はひずみセンサの下側に配置されるだけでなく、本体部は、ひずみセンサの右側または左側に配置されてもよい。
【0188】
前処理部はひずみセンサの各検出導体の抵抗値を信号変換する。各検出導体に一定電圧または一定電流を供給し、そのアナログ出力電圧をAD変換でデジタル信号に変換する処理を行う。
【0189】
信号処理部は嚥下の動作を判定する。嚥下時のデータは、例えば嚥下時のデータは、例えば変位速度成分の信号強度変化が閾値を超えたデータ範囲とすることができる。また、嚥下時のデータは、例えば予め設定しておいた嚥下の基準パターンと合致した変化パターンに対応するデータ範囲(基準パターンの嚥下開始点から嚥下終了点までのデータ範囲)としてもよい。さらに、嚥下時のデータは、上記した2つのデータ範囲のいずれか一方に、その前後の所定時間のデータを追加したデータ範囲としてもよい。
【0190】
抽出された信号は、無線通信モジュールを用いて無線出力される。これに加えて、抽出された信号は本体部の内部に設けられたメモリ(記憶部)に保存される。
無線通信モジュールは、本体部に設けられ、信号処理部と接続されている。無線通信モジュールは、各種の無線通信規格に応じて信号を変調する変調回路と、変調信号を送信する送信部(いずれも図示せず)等を備えている。無線通信モジュールは、信号処理部によって抽出された嚥下時の信号を、外部機器としての嚥下解析装置30に向けて出力する。嚥下解析装置30は、受信したデータに基づいて、嚥下機能解析を行う。嚥下機能解析とは、例えば飲み込む力がどのくらいあるかなどの嚥下の能力を判定することである。
【0191】
本態様においては、本体部は、ひずみセンサの検出部が信号を得ると同時に、ひずみセンサの検出部から検出される信号に基づいて嚥下検出の判定を行い、嚥下を検出したと判定する毎に、その嚥下時の信号のデータを抽出して無線で外部へ出力する。このため、無線で送信するデータは嚥下時のデータのみとなり、大量のデータを継続的に送信する必要がない。従って、例えば通信モジュールの消費電力を抑制でき、内蔵バッテリとして小型低背低容量のものを使用することができる。
【実施例
【0192】
実施例1
・センサユニット4aの作製
まず、センサシート部の基材51a、端子部の基材57a及び接続部の基材58aを含む、熱可塑性ポリウレタンからなる基材を準備した。かかる基材において、センサシート部の基材51aは、幅:50mm、長さ:80mm、厚さ:40μmの矩形である。該基材の一方の主面(第1主面)に、図1および2に示されるように導体を形成した。ここで、本実施例のひずみセンサでは、基材51a部分の両端から30mmの部分を非センシング部とし、その間の20mmの部分をセンシング部とした。また、センシング部の右端から10mmまで検出導体52a1を形成した。導体の幅は1.5mmとし、2つの検出導体52a1間の間隔は、0.6mmとした。各検出部間の間隔は、8mmとした。導体は、銀粉末と熱硬化性樹脂を含む銀ペーストを印刷し、加熱により樹脂を硬化させて形成した。導体は、基材の接続部及び端子部にも形成した。
【0193】
スリットは、長さが3mm、幅が0.2mmになるように、各低弾性率部においてそれぞれ0.5mmピッチでCOレーザ加工により形成した。さらに、非センシング部46aの配線導体を覆うように拘束部54aを形成し、非センシング部47aにも拘束部55aを形成した。拘束部54a,55aは、それぞれUV硬化型のウレタン変性アクリル樹脂により形成した。
【0194】
上記のようにして得られたセンサユニット4aを作製した。かかるセンサユニットのセンシング部における伸縮方向に沿った引張荷重を測定した。結果を表1に示す。
【0195】
・ひずみセンサの作製
次に固定部材6aを準備した。固定部材6aは、厚さ2mmのクロロプレンゴムスポンジ(独立気泡)を用いた。かかる固定部材の引張荷重及び圧縮荷重を測定した。結果を表しに示す。
【0196】
上記で得られたセンサユニット4aのセンサシート41aおよび端子部42aを、固定部材6aに接着剤により貼り付けて、センサユニット4aを固定部材6aに固定することにより、実施例1のひずみセンサを製造した。この時、センサシート41aには、引張応力を印加しなかった。上記接着剤としては、アクリル系接着剤を用いた。かかる実施例1のひずみセンサの、センシング部における引張荷重を測定した。結果を表1に示す。
【0197】
【表1】
【0198】
試験例1
喉の皮膚の硬さが異なる二人を被験者Aおよび被験者Bとし、固定部材を有しないセンサシート41aを直接喉に貼り付けて、水を飲み込んだ際の喉の動きを測定した。なお、動画解析により、実際の皮膚表面の動きを解析した。被験者Aの結果を図16に、被験者Bの結果を図17に示す。
【0199】
上記の結果、被験者Aは動画解析結果と同様な出力変化が見られるのに対し、被験者Bは一部のセンサが出力変化しておらず、ひずみを検出できていないことが分かった。センサシートを貼り付けた状態を比較すると、皮膚が硬い被験者Aは喉とセンサシートのいずれもシワが無い状態であったが、皮膚が柔らかい被験者Bは喉にシワが発生しており、センサシートが収縮した状態となっていた。喉の表面は内部軟骨の動作によって変形するが、被験者Bは皮膚が柔らかいためにセンサシート部は常に収縮して変形せず、喉の変形が十分センサシートに伝達せず、測定不良が起こっていたと考えられる。
【0200】
そこで、固定部材を有する実施例1のひずみセンサ100aを、被験者Bの喉に、(1)シワが無い状態で貼りつけた場合、(2)意図的にシワを作った状態で貼り付けた場合で、水を飲み込んだ際の喉の動きを測定した。(1)シワが無い状態で貼りつけた場合の結果を図18に、(2)意図的にシワを作った状態で貼り付けた場合の結果を図19に示す。
【0201】
上記の結果、(1)と(2)のいずれの場合も同様の結果が得られ、本願のひずみセンサを用いることにより、喉の状態によらず、安定して動作が検出できることが確認された。
【0202】
実施例2
センサシート41aに引張応力(0.036N/mm:ひずみ20%)を加えた状態で、センサユニット4aを固定部材6aに固定した以外は、実施例1と同様にして実施例2のひずみセンサを作製した。
【0203】
試験例2
実施例1のひずみセンサおよび実施例2のひずみセンサについて、ひずみは0%-20%の間で50秒で3回程度の繰り返し回数になるように加えて、ひずみに対する抵抗値の変化を測定した。
【0204】
上記の結果、実施例2のひずみセンサを用いた場合には、ひずみが0%のときの抵抗値がひずみを繰り返し加えたのちにも変化していないことが確認された。一方、実施例1では、ひずみが0%のときの抵抗値がひずみを繰り返し加えるにつれて上昇しているのが確認された。すなわち、実施例2ではゼロドリフトが生じていないことが確認された。
【0205】
実施例3及び4、比較例1
実施例1に記載のセンサユニットと同様の構成を有するセンサユニットであって、センサシートの厚み、スリットの形状、および固定部材の材質を変更することにより、センシング部のヤング率、非センシング部のヤング率、固定部材の伸縮時の弾性率のヒステリシス及びセンサシートの伸縮時の弾性率のヒステリシスを、下記表の値となるように調整し、ひずみセンサ(実施例3及び4、ならびに比較例1)を作成した。
【0206】
【表2】
【0207】
上記表に示されるように、各ひずみセンサにおいて、ヤング率と厚みの積およびヒステリシスは下記のような関係を有する。
実施例3においては、センシング部のヤング率と厚みの積は、非センシング部のヤング率と厚みの積よりも小さく、固定部材の伸縮時の弾性率のヒステリシスは、センサシートの伸縮時の弾性率のヒステリシスよりも小さい。
実施例4においては、センシング部のヤング率と厚みの積は、非センシング部のヤング率と厚みの積よりも小さく、固定部材の伸縮時の弾性率のヒステリシスは、センサシートの伸縮時の弾性率のヒステリシスよりも小さい。
比較例1においては、センシング部のヤング率と厚みの積は、非センシング部のヤング率と厚みの積よりも大きく、固定部材の伸縮時の弾性率のヒステリシスは、センサシートの伸縮時の弾性率のヒステリシスよりも小さい。
【0208】
試験例3
ひずみセンサを被験者の喉に貼り付けて、水を飲みこんだ際の喉の動きを測定した。結果を図20に示す。なお、図20において、点線は、嚥下時に甲状軟骨が前後移動するときの皮膚の表面のひずみを映像解析にて測定した結果である。
【0209】
図20に示されるように、比較例1ひずみの変化前から出力し、ひずみ変化後も出力が基線にならないブロードな特性となり、ひずみの検出精度が低くなった。これに対して実施例3及び4は、ひずみに対する出力が大きく、ピークを検出することができ、ひずみの検出精度が高かった。
実施例3のセンシン部のヤング率と厚みの積(F1)と非センシング部のヤング率と厚みの積(F2)の比率(F1/F2)は0.02であり、実施例4のF1/F2は0.15であり、F1/F2の値がより小さい実施例3の方がより大きなピークを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0210】
本開示のひずみセンサは、例えば、人体の皮膚の局所的な膨れ等の変形を検出等、種々の領域においてひずみの検出が求められる用途に適用できる。
【符号の説明】
【0211】
100a~k…ひずみセンサ
1…導体部
1cd3…第3導体
1cd4…第4導体
1cd5…第5導体
1cd6…第6導体
1t…接続端子導体
1w…配線導体
1d,1da…検出導体
1t1~1t6…第1~第6接続端子導体
1w1~1w6,1w1d~1w6d…第1~第6配線導体
1d1~1d6…第1~第6検出導体
3,3-1~3-10…スリット
4a,4j…センサユニット
6a~6j…固定部材
10,10a,…センシング部
10-1,10-1a,10-1b…第1センシング部
10-2,10-2a,10-2b…第2センシング部
10-3,10-3a,10-3b…第3センシング部
11,11-1~11-6,11a…検出部
12,12-1~12-6,12a…低弾性率部
12a1…第1低弾性率部
12a2…第2低弾性率部
20…非センシング部
21a,21b,21c,21d…第1非センシング部
21b0…ベース非センシング部
21b1…第1分岐非センシング部
21b2…第2分岐非センシング部
21dc…第1配線非センシング部
21dm…第1測定非センシング部
22a,22b,22c,22d…第2非センシング部
22dc…第2配線非センシング部
22dm…第2第1測定非センシング部
23b,23c,23d…第3非センシング部
23dc…第3配線非センシング部
23dm…第3第1測定非センシング部
24b,24c,24d…第4非センシング部
31a,31c,31d…第1拘束部
32a,32c,32d…第2拘束部
33c,33d…第3拘束部
34b…拘束部
34c,34d…第4拘束部
41a,41c~j…センサシート
42a…端子部
43a…接続部
45a,45k…センシング部
46a,47a…非センシング部
48a,48j…フラットケーブル
51a…基材
52a…導体
52a1,52k1…検出導体
52a2…固定導体
52a3…配線導体
52a4…端子導体
53a…スリット
54a,55a…拘束部
57a…基材
58a…基材
61b…ウインドウ
101,201,301,401,501…基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20