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特許7405199放射線撮影用通信システム及び放射線撮影システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】放射線撮影用通信システム及び放射線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
A61B6/00 321
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022132154
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2018009975の分割
【原出願日】2018-01-24
(65)【公開番号】P2022162000
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑田 正弘
(72)【発明者】
【氏名】小宮 聡
(72)【発明者】
【氏名】糠信 武志
(72)【発明者】
【氏名】久保田 哲生
(72)【発明者】
【氏名】原 健太郎
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-012693(JP,A)
【文献】特開2016-190008(JP,A)
【文献】特開2016-189968(JP,A)
【文献】特開2017-006427(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0329860(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を受けることで放射線画像の画像データを生成することが可能である複数の放射線撮影装置と、
無線通信における子機として動作可能な情報処理装置と、を備え、
前記複数の放射線撮影装置は、無線通信における親機として動作可能な少なくとも一つの放射線撮影装置を含み、
前記情報処理装置は、
前記放射線撮影装置の通信識別情報とアドレス情報とを組み合わせた組合せ情報を記憶可能な記憶部と、
前記組合せ情報に対応し、ユーザーが操作可能な操作部と、
前記操作部になされた操作に基づいて、対応する前記組合せ情報に含まれる前記通信識別情報に基づいて前記放射線撮影装置との通信を確立し、前記アドレス情報に基づいて前記放射線撮影装置との間で情報の送信と受信の少なくとも一方を行う通信手段と、を備え、
少なくとも一つの前記放射線撮影装置は、無線通信における親機として動作するモードと無線における子機として動作するモードを切り替え可能であり、
前記放射線撮影装置に無線における親機として動作するモードあるいは無線における子機として動作するモードが設定されたか否かを通知する通知手段をさらに備え、
無線における子機として動作する放射線撮影装置は、無線通信における親機として動作する他の放射線撮影装置を介して、前記情報処理装置と通信を行い、
前記放射線撮影装置は、電源がオフされた後に再度オンされた場合、無線通信における親機として動作するモードあるいは無線における子機として動作するモードは、電源がオフされる前と同じ動作モードに設定されることを特徴とする放射線撮影用通信システム。
【請求項2】
前記記憶部は、所定の撮影条件に関連付けられた前記放射線撮影装置の前記通信識別情報と前記アドレス情報とを組み合わせた組合せ情報を記憶可能であり、
前記操作部は、前記撮影条件に対応し、ユーザーが操作可能であり、
前記通信手段は、前記操作部になされた操作に基づいて選択された撮影条件に関連付けられた前記組合せ情報に含まれる前記通信識別情報に基づいて前記放射線撮影装置との通信を確立し、選択された撮影条件に関連付けられた前記組合せ情報に含まれる前記アドレス情報に基づいて前記放射線撮影装置との間で情報の送信と受信の少なくとも一方を行う請求項1に記載の放射線撮影用通信システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記放射線撮影装置から当該情報処理装置の電波状態を受信し、当該電波状態を表示する請求項1または請求項2に記載の放射線撮影用通信システム。
【請求項4】
前記放射線撮影装置は、ユーザーが操作可能な切替ボタンを備え、
前記切替ボタンの操作に応じて、無線通信における親機として動作するモードと無線における子機として動作するモードとを切り替える請求項1または請求項2に記載の放射線撮影用通信システム。
【請求項5】
前記撮影条件は、撮影部位、撮影場所、撮影室、撮影の方向及び撮影装置の種類のうちの何れかを含むことを特徴とする請求項2に記載の放射線撮影用通信システム。
【請求項6】
前記通信識別情報は、前記無線通信の通信部の識別子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線撮影用通信システム。
【請求項7】
前記通信識別情報は、無線ネットワークの識別子とアクセスキーの組合せであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線撮影用通信システム。
【請求項8】
前記アドレス情報は、MACアドレス、IPアドレス及びホスト名のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線撮影用通信システム。
【請求項9】
放射線を発生させることが可能な放射線照射装置と、
請求項1または請求項2に記載の放射線撮影用通信システムと、を備えることを特徴とする放射線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影用通信システム及び放射線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線を発生させる放射線照射装置と、放射線を受けることで放射線画像の画像データを生成する放射線撮影装置と、放射線撮影装置との間で情報の送受信を行う情報処理装置と、を備える放射線撮影システムの中には、一の情報処理装置に対して放射線撮影装置を複数備え、情報処理装置と放射線撮影装置との間の通信を無線で行うものがある。
そのような放射線撮影システムにおいては、近年、例えば特許文献1に記載されたように、複数の撮像装置のうちのいずれかを無線親機に設定するとともに、残りの撮像装置を無線子機に設定し、無線子機で生成された画像データを、無線親機を介して情報処理装置へ送信する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-6427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術には、例えば、(1)無線親機の通信負荷が大きくなり、通信が遅くなる、あるいは通信できなくなる等の通信障害を生じる可能性が高くなってしまう、(2)無線親機の通信負荷が大きくなるため、無線親機が無線子機よりも多くの電力を消費するようになり、無線親機のバッテリーが無線子機のバッテリーよりも早く切れ、無線親機が通信できる期間が短くなってしまう、といったように通信の安定性の面で問題がある。
無線子機は無線親機を経由して通信を行うため、特許文献1に記載された技術では、無線親機のバッテリーが切れ無線親機が通信できない状態になってしまうと、無線子機にバッテリーが残っている状態であるにもかかわらず無線通信が行えなくなる、といった事態が起こり得る。すなわち、無線子機として使用する撮影装置はバッテリーに電力が残っており使用できる状態であるにもかかわらず、無線親機のバッテリーが無くなったために情報処理装置との間で無線通信を行うことができなくなり、結果、全ての撮影装置が使用できないという最悪の事態になる危険性があった。
このことは、撮像装置の機動性を高められることにより利便性が高くなる救急医療等の現場では、致命的な問題となる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、放射線を受けることで放射線画像の画像データを生成することが可能な放射線撮影装置と情報処理装置との間の無線通信を、放射線撮影装置が複数存在したとしても確実に確立できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の問題を解決するために、本発明は、
放射線を受けることで放射線画像の画像データを生成することが可能である複数の放射線撮影装置と、
無線通信における子機として動作可能な情報処理装置と、を備え、
前記複数の放射線撮影装置は、無線通信における親機として動作可能な少なくとも一つの放射線撮影装置を含み、
前記情報処理装置は、
前記放射線撮影装置の通信識別情報とアドレス情報とを組み合わせた組合せ情報を記憶可能な記憶部と、
前記組合せ情報に対応し、ユーザーが操作可能な操作部と、
前記操作部になされた操作に基づいて、対応する前記組合せ情報に含まれる前記通信識別情報に基づいて前記放射線撮影装置との通信を確立し、前記アドレス情報に基づいて前記放射線撮影装置との間で情報の送信と受信の少なくとも一方を行う通信手段と、を備え、
少なくとも一つの前記放射線撮影装置は、無線通信における親機として動作するモードと無線における子機として動作するモードを切り替え可能であり、
前記放射線撮影装置に無線における親機として動作するモードあるいは無線における子機として動作するモードが設定されたか否かを通知する通知手段をさらに備え、
無線における子機として動作する放射線撮影装置は、無線通信における親機として動作する他の放射線撮影装置を介して、前記情報処理装置と通信を行い、
前記放射線撮影装置は、電源がオフされた後に再度オンされた場合、無線通信における親機として動作するモードあるいは無線における子機として動作するモードは、電源がオフされる前と同じ動作モードに設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、放射線を受けることで放射線画像の画像データを生成することが可能な放射線撮影装置と情報処理装置との間の無線通信を、放射線撮影装置が複数存在したとしても確実に確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る放射線撮影システムの構成を表すブロックである。
図2図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影装置の具体的構成を表すブロック図である。
図3図1の放射線撮影システムが備える情報処理装置の具体的構成を表すブロック図である。
図4図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影用通信システムの使用方法を表す模式図である。
図5図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影用通信システムの使用方法を表す模式図である。
図6図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影用通信システムの使用方法を表す模式図である。
図7図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影用通信システムの使用方法を表す模式図である。
図8図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影用通信システムの使用方法を表す模式図である。
図9】撮影条件と組合せ情報との対応関係を表す表である。
図10】撮影条件と組合せ情報との対応関係を表す図である。
図11図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影用通信システムの使用方法を表す模式図である。
図12図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影用通信システムの使用方法を表す模式図である。
図13図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影用通信システムの使用方法を表す模式図である。
図14】撮影条件と通信識別情報との対応関係を表す表である。
図15図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影用通信システムの使用方法を表す模式図である。
図16】撮影条件と通信機器識別情報との対応関係を表す図である。
図17図1の放射線撮影システムが備える放射線撮影用通信システムの使用方法を表す模式図である。
図18】同実施形態の実施例に係る放射線撮影システムの構成を表すブロック図である。
図19図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すブロック図である。
図20図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すブロック図である。
図21図18の放射線撮影システムのコンソールが保持するクレードル識別情報を表す表である。
図22図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すブロック図である。
図23図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すブロック図である。
図24図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すブロック図である。
図25図21のクレードル識別情報の書き換えを説明するための概念図である。
図26図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すブロック図である。
図27図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すラダーチャートである。
図28図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すラダーチャートである。
図29図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すラダーチャートである。
図30図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すラダーチャートである。
図31図18の放射線撮影システムの動作の一部を表すラダーチャートである。
図32図18の放射線撮影システムの動作の一部を説明するための概念図である。
図33図18の放射線撮影システムが備えるコンソールの表示部を表す模式図である。
図34図18の放射線撮影システムが備えるコンソールの表示部を表す模式図である。
図35図18の放射線撮影システムを表す模式図である。
図36図18の放射線撮影システムを表す模式図である。
図37図18の放射線撮影システムが備える放射線撮影装置を表す斜視図である。
図38図18の放射線撮影システムが備える放射線撮影装置の動作を表すタイミングチャートである。
図39】従来の放射線撮影システムの構成を表すブロック図である。
図40】同実施形態の実施例に係る放射線撮影システムの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
〔放射線撮影システム〕
初めに、本実施形態の撮影システム(以下撮影システム100)の概略について説明する。図1は、撮影システム100の概略構成を表すブロック図である。
【0010】
本実施形態の撮影システム100は、図1に示したように、放射線照射装置(以下照射装置1)と、放射線撮影用通信システム(以下通信システムS)と、コンソール2と、を備えて構成されている。
【0011】
照射装置1は、放射線を発生させることが可能なものであり、ジェネレーター11、X線管12(管球、放射線源)等を備えている。
ジェネレーター11は、曝射スイッチ13(図40参照)が操作されたことに基づいて、予め設定された放射線照射条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)等)に応じた電圧をX線管12に印加することが可能に構成されている。
X線管12は、図示しない回転陽極やフィラメント等を有している。そして、ジェネレーター11から電圧が印加されると、フィラメントが印加された電圧に応じた電子ビームを回転陽極に向けて照射し、回転陽極が電子ビームの強度に応じた線量の放射線X(放射線等)を生成するようになっている。
【0012】
また、通信システムSは、放射線撮影装置(以下撮影装置3)と、情報処理装置4と、を備えて構成されている。
【0013】
撮影装置3は、放射線を受けることで放射線画像の画像データを生成することが可能に構成され、必要に応じて情報処理装置4と無線で通信することが可能となっている。
そして、撮影装置3は、情報処理装置4から各種情報を受信したり、外部から受ける放射線に応じた放射線画像の画像データをそれぞれ生成し、それをコンソール2や情報処理装置4へ送信したりすることが可能となっている。
なお、撮影装置3の詳細については後述する。
【0014】
情報処理装置4は、携帯端末や専用の装置によって構成され、撮影装置3等と無線で通信することが可能となっている。
また、情報処理装置4は、各種情報を撮影装置3へ送信したり、撮影装置3から放射線画像の画像データを受信したりすることが可能となっている。
この情報処理装置4の詳細についても後述する。
【0015】
このように構成された本実施形態の撮影システム100は、照射装置1から撮影装置3の手前に配置した被検者へ放射線を照射することにより、被検者の放射線撮影を行うことが可能となっている。
そして、撮影装置3が生成した画像データを、コンソール2や情報処理装置4へ送信することが可能となっている。
【0016】
また、このように構成された本実施形態の撮影システム100は、例えば施設(病院)の検査室等に設置して用いることも可能であるし、照射装置1を車輪付きの移動型検査装置(以下、回診車と称す)として構成することにより移動可能なシステムとして用いることも可能である。
【0017】
〔放射線撮影装置〕
次に、上記撮影システム100が備える撮影装置3の詳細について説明する。図2は、撮影装置3の具体的構成を表すブロック図である。
撮影装置3は、図2に示したように、制御部31や、放射線検出部32、読み出し部33、通信部34、記憶部35等を備えて構成されており、各部31~35はバス36によって接続されている。また、図示しない内蔵バッテリー又は外部電源から各部31~35へ電力が供給されるようになっている。
【0018】
制御部31は、CPU、RAM等で撮影装置3の各部の動作を統括的に制御するように構成されている。具体的には、電源スイッチが入れられたことや、照射装置1やコンソール2、情報処理装置4から所定の制御信号を受信したこと、照射装置1から放射線を受けたこと等を契機として、記憶部35に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該処理プログラムに従って各種処理を実行する。
【0019】
放射線検出部32は、放射線の線量に応じた量の電荷を直接的又は間接的に生成する放射線検出素子、及び各放射線検出素子と配線との間に設けられ放射線検出素子と配線との間の通電が可能なオン状態又は通電が不能なオフ状態に切り替え可能なスイッチ素子を有する複数の画素が二次元状に配列された基板を有するものであればよく、従来公知のものを用いることができる。
すなわち、撮影装置3は、シンチレーターを備え、シンチレーターが放射線を受けることで発した光を検知するいわゆる間接型のものであってもよいし、シンチレーター等を介さずに放射線を直接検知するいわゆる直接型のものであってもよい。
【0020】
読み出し部33は、複数の放射線検知素子にそれぞれ蓄積された電荷量を信号値として読み出すことが可能に構成されていればよく、従来公知のものを用いることができる。
【0021】
通信部34は、ネットワークインターフェース等により構成され、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。
【0022】
記憶部35は、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリー等により構成され、各種画像処理プログラムを含む各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
また、記憶部35は、設定された自身の通信識別情報およびアドレス情報を記憶することが可能となっている。
ここで、通信識別情報は、無線通信の通信部の識別子(BSSID)、又は無線ネットワークの識別子(ESSID)及びアクセスキー(パスワード)のうちの少なくとも1つとするのが好ましい。
アドレス情報は、MACアドレス、IPアドレス、ホスト名のうちの少なくとも1つとするのが好ましい。
【0023】
このように構成された撮影装置3の制御部31は、記憶部35に記憶されている処理プログラムに従って以下のような機能を有する。
例えば、制御部31は、放射線検出部32のスイッチ素子をオフ状態にして放射線検出素子に電荷を蓄積させたり、スイッチ素子をオン状態にして放射線検出素子に蓄積されていた電荷を読み出し部33へ放出させたりする機能を有している。
また、制御部31は、読み出し部33が読み出した信号値に基づいて画像データを生成する機能を有している。
【0024】
また、制御部31は、通信部34を用いて外部の装置(コンソール2や情報処理装置4等)から各種情報や信号等を受信する機能を有している。
また、制御部31は、通信部34を用いて画像データを含む各種情報や信号等を外部の装置(コンソール2や情報処理装置4等)へ送信する機能を有している。
すなわち、制御部31及び通信部34は、本発明における通信手段をなす。
【0025】
また、制御部31は、通信部34を用いて自身を無線通信における親機(以下無線親機)として動作させる機能を有する。
なお、本実施形態においては、制御部31に、無線通信における子機(以下無線子機)として動作する機能も持たせ、無線親機として動作させるか無線子機として動作させるかを切り替え可能としてもよい。
【0026】
また、記憶部35は、放射線検出部32および読み出し部33により生成された画像データを記憶することも可能である。
制御部31は、生成された画像データを撮影直後に無線あるいは有線で外部の装置(コンソール2や情報処理装置4等)へ送信するように制御することも可能である(モードA)。
あるいは生成された画像データを記憶部35に記憶しておき、外部の装置からの指示、あるいは撮影装置3のボタン操作による入力、あるいは無線あるいは有線の接続に応じて無線あるいは有線で外部の装置(コンソール2や情報処理装置4等)へ送信するように制御することも可能である(モードB)。
【0027】
また、通信システムSには、上述したように構成され、前記通信識別情報及び前記アドレス情報がそれぞれ異なる撮影装置3が複数備えられる場合がある。
【0028】
〔情報処理装置〕
次に、上記撮影システム100が備える情報処理装置4の詳細について説明する。図3は、情報処理装置4の具体的構成を表すブロック図である。
情報処理装置4は、図3に示したように、制御部41や、通信部42、記憶部43、表示部44、操作部45等を備えて構成されており、各部41~45はバス4aにより接続されている。
【0029】
制御部41は、CPU、RAM等で情報処理装置4の各部の動作を統括的に制御するように構成されている。具体的には、操作部45から操作信号が入力されたことや撮影装置3から各種信号やデータを受信したことに基づいて、記憶部43に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該処理プログラムに従って各種処理を実行したり、表示部44の表示内容を制御したりする。
【0030】
通信部42は、ネットワークインターフェース等により構成され、LAN、WAN、インターネット等の通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。なお、通信部42は、無線LAN、携帯電話回線等を用いて無線通信を行い外部装置との間でデータの送受信を行うものであってもよい。
また通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータの送受信を行うものであってもよい。
【0031】
記憶部43は、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
また、記憶部43は、撮影装置3の通信識別情報とアドレス情報を組み合わせた組合せ情報を記憶している。
なお、記憶部43には、複数の放射線撮影装置に対応する通信識別情報とアドレス情報をそれぞれ組み合わせた複数の組合せ情報が記憶される場合がる。
【0032】
表示部44は、LCD等のモニターを備えて構成されており、制御部41から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0033】
操作部45は、一又は複数の機械的なボタンにて構成しても良い。あるいは表示部44に表示され、マウスのクリックや当該表示部44に重ねられたタッチパネルへのタッチ等によって操作可能となるアイコン等で構成しても良い。
また、操作部45は、記憶部43に記憶された組合せ情報に対応し、ユーザーが操作可能となっている。
そして、操作部45は、なされた操作に応じた操作信号を制御部41に出力する。
【0034】
このように構成された情報処理装置4の制御部41は、記憶部43に記憶されている処理プログラムに従って以下のような動作をする。
例えば、制御部41は、通信部34を用いて情報処理装置4を無線子機として動作させる機能を有している。
また、制御部41は、記憶部43に記憶された組合せ情報に含まれる通信識別情報に基づいて通信部34を用いて撮影装置3との通信を確立する機能を有している。
また、制御部41は、組合せ情報に含まれるアドレス情報に基づいて通信部34を用いて撮影装置3との間で各種情報の送信と受信の少なくとも一方を行う機能を有している。
これらの機能を有する本実施形態の制御部41は、本発明における通信手段をなす。
【0035】
[通信識別情報とアドレス情報の設定方法(1)]
引き続き、情報処理装置4の機能等について説明していくが、その際に参照する図面において、撮影装置3を「FPD(Flat Panel Detector)1~3」と表記する場合がある。
また、制御部41は、操作部45になされた操作に基づいて、対応する通信識別情報とアドレス情報の組合せ情報を、通信部34を用いる通信設定に設定する機能を有している。
特に、複数の放射線撮影装置に対応する通信識別情報とアドレス情報をそれぞれ組み合わせた複数の組合せ情報を記憶部43に複数記憶している場合に、操作部45になされた操作に基づいて、複数の組合せ情報の中から何れかを設定するようになっている。
【0036】
具体的には、例えば、情報処理装置4に、起動時に記憶部43に記憶された組合せ情報を呼び出して設定するアプリケーションをインストールしておく。通信する可能性のある無線親機となる放射線撮影装置が複数ある場合には、それぞれ複数の無線親機となる放射線撮影装置に対応した組合せ情報を呼び出して設定する複数のアプリケーションをインストールしておく。
なお、上記アプリケーションは、無線親機となる撮影装置3に対応した組合せ情報の通信識別情報を用いて通信を確立し、組合せ情報のアドレス情報を用いて無線親機と情報の送受信を行う他に、例えば撮影装置3の各種設定や撮影条件の変更を行うアプリケーションとすることができる。
あるいは、上記アプリケーションは、無線親機となる撮影装置3に対応した組合せ情報の通信識別情報を用いて通信を確立し、組合せ情報のアドレス情報を用いて無線親機と情報の送受信を行う他に、例えば撮影装置3に蓄積された画像枚数や、蓄積した時刻や蓄積した画像データを取得し、情報処理装置4の表示部44に表示するアプリケーションとすることもできる。
【0037】
すなわち、情報処理装置4の表示部44に、例えば図4に示したように、アプリケーションに対応するアイコン46を、インストールされたアプリケーションの数だけ表示し、ユーザーによっていずれかが選択され実行されることでアプリケーションが立ち上がり、選択されたアプリケーションに設定された組合せ情報の通信識別情報を用いて通信を確立し、組合せ情報のアドレス情報を用いて無線親機と情報の送受信が可能となる。
例えば、図4では一番上のFPD1に対応したアイコン46がクリックされることで、図5に示したように、FPD1に対応するアプリケーション47が起動する。
FPD1に対応したアプリケーション47は、FPD1の無線親機としての通信識別情報SSID1とアドレス情報IP1を格納しており、通信識別情報SSID1を用いてFPD1との通信を確立し、アドレス情報IP1を用いてFPD1と情報の送受信を行うことが可能となる。
【0038】
また、アプリケーション47は、FPD1と情報の送受信を行い、図示は省略するがアプリケーション47上にFPD1の撮影時蓄積時間やリセットタイミングなどの撮影条件や設定を表示することができる。またその撮影条件や設定をアプリケーション上で変更することで、アプリケーションはFPD1と適切に情報の送受信を行いFPD1の撮影条件や設定を変更することができる。
また、アプリケーション47は、FPD1と情報の送受信を行い、図示は省略するがFPD1の記憶部35に蓄積された撮影枚数やFPD1の残メモリー量や残撮影可能枚数や残バッテリー量や通信確立状態や無線状態などのFPD1の状態を取得し表示することができる。
また、アプリケーション47は、FPD1と情報の送受信を行い、図示は省略するがFPD1の記憶部35に蓄積された撮影データ(画像データや撮影条件や撮影時刻などの少なくとも一部)を取得し、表示することができる。
また、アプリケーション47は、FPD1と情報の送受信を行い、図示は省略するがFPD1の記憶部35に蓄積された撮影データ(画像データや撮影条件や撮影時刻などの少なくとも一部)を取得し、情報処理装置4の記憶部43に格納することができる。また更に、FPD1の記憶部35に蓄積された撮影データを消去することができる。
【0039】
[通信識別情報とアドレス情報の設定方法(2)]
又は、情報処理装置4に、例えば図6に示したように、各無線親機となる撮影装置3に対応する複数の選択ボタン48が表示されたアプリケーション49をインストールしておく。
各選択ボタン48にはそれぞれ各無線親機となる放射線撮影装置に対応する通信識別情報とアドレス情報の組合せが対応し記憶されている。
そして、図7に示したように、選択ボタン48が操作されたら、組合せ情報の通信識別情報を用いて通信を確立し、組合せ情報のアドレス情報を用いて無線親機と情報の送受信を行い、例えば放射線撮影装置の設定や撮影条件の変更を行うアプリケーションとすることとしてもよい。
【0040】
例えば図7では、アプリケーション49の下部中央に配置されたFPD2に対応した選択ボタン48がクリックされることで、アプリケーション49は、この選択ボタン48に対応して記憶されているFPD2の無線親機としての通信識別情報SSID2を用いてFPD2との通信を確立し、アドレス情報IP2を用いてFPD2と情報の送受信を行うことが可能となる。
【0041】
前述のアプリケーション47を用いる場合、通信を行う無線親機となる撮影装置3を切り替える、すなわち使用する撮影装置3を切り替える場合に、アプリケーション47を、使用する撮影装置3に対応したアプリケーション47に切り替える必要が生じる。
このようなアプリケーションの切り替えは、場合によってはある撮影装置3に対応したアプリケーション47を一旦終了させ、新たに別の撮影装置3に対応したアプリケーション47を起動させるといった手続きが必要となり、煩雑、かつ時間を要する作業であった。このような煩雑さや長い作業時間は、例えば迅速であることが必要である救急医療の現場では問題になることがあった。
このような場では、1つのアプリケーション上で無線親機となる放射線撮影装置を切り替えることができるアプリケーション49の形態が望まれる場合がある。
なお、図4,6,7には、操作部45として、表示部44に表示されるアイコン46あるいは選択ボタン48を例示したが、表示部44の外側に設けられ物理的に操作されるものとしてもよい。
【0042】
無線親機となる撮影装置3が複数存在する場合には、これらの中から通信を確立する無線親機を選択する必要がある。しかし、複数の無線親機に接続するための通信設定の組合せを記憶しておき、そこから選択しようとすると、選択ミスにより異なる撮影装置3と接続してしまうという問題が生じ得る。
また、この状態に気が付かずに放射線撮影を行ってしまうと、意図した撮影が行われず、被検体を無駄に被曝させてしまうという問題があった。
しかし、上述した通信識別情報とアドレス情報の設定方法(1),(2)を用いれば、複数の組合せが目に見える形で表示され、ユーザーの選択に基づいて設定できるようになるため、意図しない通信設定がなされるのを防ぐことができる。
【0043】
[通信識別情報とアドレス情報の設定方法(3)]
また、情報処理装置4には、起動時に記憶部43に記憶された組合せ情報を呼び出して設定するアプリケーションを撮影条件に対応付けてインストールしておく。撮影条件が複数ある場合には、それぞれ複数の撮影条件に対応した組合せ情報を呼び出して設定する複数のアプリケーションをインストールしておく。
撮影条件は、例えば、撮影部位、撮影場所、撮影室、撮影の方向、撮影装置の種類とすることができる。
【0044】
例えば、図8に示した場合では、情報処理装置4の表示部44には、それぞれ図9の組合せの通信識別情報とアドレス情報が格納されたアプリケーションの起動アイコン46が表示されている。
そこで、例えば撮影条件2のアイコン46を操作し、撮影条件2に対応したアプリケーションを起動させると、撮影条件2に対応したアプリケーションには図8に示すようにFPD1の通信識別情報であるSSID1と、FPD1のアドレス情報であるIP1が格納されているため、これらを用いてFPD1と通信を確立し、FPD1と情報の送受信を行うことが可能となる。
結果、FPD1と情報の送受信が可能な状態で、図5に示すようなFPD1に対応したアプリケーション47が立ち上がり、FPD1の設定や撮影条件の変更、FPD1の状態の表示、FPD1で撮影した撮影画像の表示などを行うことができる。
【0045】
[通信識別情報とアドレス情報の設定方法(4)]
また、アプリケーション49は、別途1つ以上の撮影条件を記憶し、例えば図10に示すように撮影条件と対応した通信識別情報とアドレス情報の組合せを記憶させておくことができる。
またアプリケーション49は図11に示すように、情報処理装置4の表示部44のアプリケーション上に撮影条件毎の選択ボタン48を設けることができる。アプリケーション49の選択ボタン48が操作されると、アプリケーション49は記憶部43に格納された図10に示した撮影条件に関連した通信識別情報とアドレス情報の組合せを用いて通信を確立し、情報の送受信を行うことができる。
【0046】
例えば、図11に示した場合では、アプリケーション49にて撮影条件5の選択ボタン48が選択されている。すると、アプリケーション49内部では、記憶部43に格納された図10に示す各撮影条件と通信識別情報及びアドレス情報との紐付け情報に基づいて、撮影条件5に対応する通信識別情報であるSSID3を用いて通信を確立し、撮影条件5に対応するアドレス情報であるIP3を用いて情報の送受信を行うように通信部を設定する。その結果、SSID3とIP3に対応したFPD3と情報の送受信を行うことが可能となる。
このように、上述した通信識別情報とアドレス情報の設定方法(3),(4)を用いれば、ユーザーが撮影条件を選択することで、対応する撮影装置3を無線親機とする通信が可能となるため、撮影装置3と情報処理装置4との接続を容易に行うことができる。
【0047】
ここまでに示した図4~8,11や、この後に示す図12,13,15,17において、直線状の実線及び破線は、情報処理装置4と撮影装置3との通信状態を示している。実線は、情報処理装置4と撮影装置3との通信が確立し、情報の送受信が可能な状態を示している。
一方で、破線は、無線親機となる撮影装置3からの電波を情報処理装置4が受信可能な状態であり、通信を確立させる手続きを行えば情報の送受信が可能となる状態を示している。
例えば、一般的な無線通信の設定では、情報処理装置4の通信部42は、破線の状態で繋がっている無線親機となる撮影装置3のSSIDを検知することが可能である。
【0048】
[接続可能な撮影装置の表示(1)]
そこで、図12図13に示すように、情報処理装置4が検知可能なSSIDに対応したアイコン46や選択ボタン48を、情報処理装置4が検知できないSSIDに対応したアイコン46や選択ボタン48と異なる表示形態で表示することにより、ユーザーにどの線撮影装置3との通信が可能であるかを通知することが可能となる。
【0049】
[接続可能な撮影装置の表示(2)]
同様に、情報処理装置4の記憶部43に格納された例えば図14に示す通信識別情報及び撮影条件の紐付け情報から、情報処理装置4が検知可能なSSIDに対応した撮影条件を求めることができ、図15に示すように、情報処理装置4が検知可能なSSIDに対応した撮影条件を、情報処理装置4が検知できないSSIDに対応した撮影条件と異なる表示形態で表示することにより、ユーザーにどの撮影条件が使用可能であるかを通知することが可能となる。
【0050】
[接続可能な撮影装置の表示(3)]
同様に、アプリケーション49は、図16に示した撮影条件と通信識別情報との紐付け情報から、情報処理装置が検知可能なSSIDに対応した撮影条件を求めることができ、図17に示すように情報処理装置4が検知可能なSSIDに対応した撮影条件の選択ボタン48を、情報処理装置4が検知できないSSIDに対応した撮影条件の選択ボタン48と異なる表示形態で表示することにより、ユーザーにどの撮影条件が使用可能であるかを通知することが可能となる。
【0051】
[SSID非表示/接続制限]
一方で、無線親機として動作させる撮影装置3のSSIDを他の無線機器から見える状態としておくと、患者等が持つ無線機器からも撮影装置3のSSIDが見えてしまい、セキュリティー上好ましくない。特に、近年はスマートフォンやノートパソコンの普及により、一般の患者もこれらの無線通信機器を容易に利用できるため、このようなSSIDが見られる状態は問題であった。
そこで無線機器の機能として、無線親機として動作させる撮影装置3の通信部34の設定により、SSIDを見えないようにすることも可能である。このような場合にも、アプリケーションが無線親機として動作させる撮影装置3のSSIDを格納しているため、確実に接続を行いたい撮影装置3と接続を確立し、情報の送受信を行うことができる。
【0052】
ここで、複数のアプリケーションが起動する場合には、後から起動されたアプリケーションが指定する撮影装置3や、撮影条件に対応した撮影装置3に対して通信を確立し情報の送受信を行うように制御する。つまり、後から設定される通信部34への設定を優先し、後からの接続設定で上書きを行い、通信を確立する処理を行う構成とすることができる。
また複数のアプリケーションが同時に動作した状態では、アクティブになっているアプリケーションが指定する撮影装置3や、撮影条件に対応した撮影装置3に対して通信を確立し情報の送受信を行うように制御する。つまり、アプリケーションを切り替えてアクティブとする際に、アクティブとなるアプリケーションが指定する通信設定で上書きを行い、通信を確立する処理を行う構成とすることができる。
【0053】
ここで、通信識別情報としては、ESSIDとアクセスキーの組合せを用いることができる。更に前述のようにBSSIDを確認し、事前に登録されたBSSID以外とは通信を確立しないよう制限を設けても構わない。BSSIDとしては、例えば撮影装置3の通信部34に設定されたMACアドレスを用いることができる。
アドレス情報としては、例えばBSSID、IPアドレス、ホスト名を用いることができる。
ここで、これらの通信識別情報やアドレス情報の設定、および前述のアプリケーションのアイコン46や選択ボタン48と撮影条件との関連付けは、図示は省略するが情報処理装置4の設定手段や、情報処理装置4をコンソール2と接続した状態でコンソール2を介して設定することが可能な構成とすることができる。
【0054】
このように、情報処理装置4の制御部41は、アプリケーションが起動したら、あるいはアイコン46や選択ボタン48が操作されたら、対応する組合せ情報を呼び出し、呼び出された組合せ情報に基づいて通信を確立する。
通信の確立後は、格納されたアドレス情報に応じて、接続した撮影装置3との間で各種情報の送受信が行われるため、撮影装置3の撮影画像格納枚数や、撮影画像を情報処理装置の画面にて確認することが可能となる。
【0055】
以上説明してきたように、本実施形態に係る通信システムSは、放射線を受けることで放射線画像の画像データを生成することが可能であるとともに、無線通信における親機として動作可能な撮影装置3と、無線通信における子機として動作可能な情報処理装置4と、を備え、情報処理装置4は、撮影装置3の通信識別情報(例えばBSSID、ESSID及びアクセスキーの少なくとも一つ)とアドレス情報(例えばBSSID、IPアドレス、ホスト名の少なくとも一つ)とを組み合わせた組合せ情報を記憶可能な記憶部43と、組合せ情報に対応し、ユーザーが操作可能な操作部45と、操作部45になされた操作に基づいて、対応する組合せ情報に含まれる通信識別情報に基づいて撮影装置3との通信を確立し、アドレス情報に基づいて撮影装置3との間で情報の送信と受信の少なくとも一方を行う通信手段と、を備えたものとなっている。
【0056】
このため、放射線撮影装置と情報処理装置との間の無線通信を、放射線撮影装置が複数存在したとしても確実に確立することができる。
【実施例
【0057】
次に、上記実施形態に係る撮影システム100のより具体的な実施例について説明する。図18は、本実施例に係る撮影システム100を用いた病院での運用の構成を表すブロック図である。なお、図18においては、情報処理装置4の表示を省略する。
【0058】
本実施例に係る撮影システム100は、例えば図18に示したように、施設内の一室(検査室a)に設けられ、上述した構成の他、一対のインターフェースユニット(以下IFユニット5)、一対のクレードル6、アクセスポイント(以下AP7)を備えている。
一対のIFユニット5は、それぞれコンソール2に接続され、一対のクレードル6は、各IFユニット5にそれぞれ接続されている。そして、二つのクレードル6のいずれかに撮影装置3を差し込むことにより、撮影装置3がコンソール2等と接続されるようになっている。
放射線照射装置1は、一対のIFユニット5のうちの一方を介してコンソール2等と接続されている。
AP7は、コンソール2に接続されている。
【0059】
また、本実施例に係るコンソール2は、ネットワークに接続された機器を検知し、コンソール2の表示部に図18に示したような形のネットワーク結線図を表示することができるようになっている。
また、コンソール2は、表示された各機器に対して、コンポーネント名やID等を変更し、ユーザーが理解しやすいように表示を変更することが可能となっている。例えば、検査室aに設置したクレードル6は、クレードルa-1のように引数を追加して表示させることができる。以下、必要に応じてこの引数で各構成を説明する場合がある。
【0060】
また、本実施例においては、別室(検査室b)に、放射線照射装置1、コンソール2、一組のIFユニット5、一組のクレードル6、AP7が、同様に配置されており、検査室aから撮影装置3を移動させ、クレードル6に差し込むことにより、検査室bにおいても撮影システム100を構成することが可能となっている。
また、各検査室に設けられた複数の撮影システム100は、他の場所にあるPACS8やRIS9と接続されている。
以下、撮影システム100の場所(検査室)を分けて説明する必要がある場合には、例えば「コンソールa」、「クレードルa―1」のように、異なる符号で表記する場合がある。
【0061】
[実施例1-1:初期設定]
撮影装置3の工場出荷時、撮影装置3には、装置に固有の撮影装置識別情報(BSSIDやMACアドレス等、本発明の通信識別情報に含まれる)が付与されるとともに、ネットワーク(NW)設定情報(ESSIDとアクセスキーの組合せやIPアドレス、本発明における組合せ情報)の初期設定値が付与される。そのため、撮影装置3を撮影に用いる際には、付与されたネットワーク設定情報の初期設定値を、使用する施設の状況等に応じたものに変更する必要がある。
また、撮影装置3として、無線親機としても無線子機としても動作可能なものを用いる場合には、無線親機として使用するか無線子機として使用するかのモード情報の他、無線親機として使用する場合のネットワーク設定情報、無線子機として使用する場合のネットワーク設定情報をそれぞれ設定する必要がある。
【0062】
このため、本実施例に係る撮影システム100においては、例えば図19に示したように、撮影装置3をクレードル6に差し込んでコンソール2と接続したときに、撮影装置3が、自身を無線親機として使用するか、無線子機として使用するかのモード情報、及び撮影装置3のネットワーク設定情報(SSID、アクセスキー、IPアドレス等)を、コンソール2から受信して、コンソール2と撮影装置3とでそれぞれ不揮発的に保持するようにする。
なお、本実施例の撮影システム100は、クレードル6を二つ有しているため、例えば、一方のクレードルa-1に撮影装置3を差し込んだ場合には撮影装置3を無線親機として使用するように設定し、クレードルa-1に差し込んだ場合には撮影装置3を無線子機として使用するように設定することができる。このような設定は、例えばコンソール2に設置用ソフトをインストールすることにより行うことができる。
【0063】
このようにすれば、撮影装置3に対して、使用する施設の状況等に応じて、適切にネットワーク設定を行うことで、一つの撮影装置3を、(1)無線子機モードでの使用、(2)無線親機モードでの使用、(3)他の部屋の他の機器と組合せや、複数の回診車との組合せ、といった複数の状況に応じて使用することが可能となる。
すなわち、無線子機モードで使用する場合には、検査室に設置したAP7を介することで、複数の無線機器がネットワークに繋がることが可能となり、無線子機モードでの動作を設定した撮影装置3も、無線接続された他の無線機器と同様にAPを介して同時にネットワークに接続することが可能となる。
一方、無線親機モードでの使用する場合には、一つの撮影装置3を複数の診察室や、複数の回診車と組み合わせて使用することができ、撮影装置3を効率的に運用することが可能となる。
更に、設定を切り替える際に、ユーザーが意図した設定と異なる設定としてしまうことを防止することができる。
【0064】
[実施例1-2:放射線撮影装置の設定切り替え]
上記実施例に係る撮影システム100において、撮影装置3が、クレードル6に差し込まれると、クレードル識別情報(デバイスサブID)と撮影装置識別情報がネットワーク上へブロードキャストされるように構成する。
例えば、撮影装置3が、クレードル6に差し込まれ、クレードル6との接続を検出すると、撮影装置3が、クレードル6に書き込まれているクレードル識別情報(デバイスサブID)を読み取り、自身の撮影装置識別情報と共に、ネットワーク上へブロードキャストするようにしてもよい。
あるいは、クレードル6が、撮影装置3が差し込まれ接続を検出すると、クレードル6が撮影装置3に書き込まれている撮影装置識別情報を読み取り、自身のクレードル識別情報(デバイスサブID)と共に、ネットワーク上へブロードキャストするようにしてもよい。
具体的には、例えば図20に示したように、クレードルa-1に撮影装置3が差し込まれると、クレードルa-1に差し込まれた旨の情報(例えば、クレードルa-1のクレードル識別情報)と撮影装置3の撮影装置識別情報をネットワークにブロードキャストする(各コンソール2へ送信する)。
【0065】
各コンソール2は、自身が管理する(例えば、同じ検査室内に設置された)クレードル識別情報を、図21に示したような形で保持している。
そしてコンソール2は、自身が管理するクレードル識別情報を受信した場合には、撮影装置3に対して当該コンソール2と接続するための無線ネットワーク(NW)情報を送信することで、設定依頼の応答を行う。
一方、コンソール2は、自身が管理していないクレードル識別情報を受信した場合には応答を行わない。
【0066】
応答先の撮影装置3が無線親機として機能する場合に送信する無線ネットワーク情報は、例えば無線親機のESSID、及びアクセスキーとすることができる。また更に無線子機として接続可能な無線子機のBSSIDリストとすることができる。
一方、応答先の撮影装置3が無線子機として機能する場合に送信する無線ネットワーク情報は、例えば接続可能な無線親機のSSID及びアクセスキーとすることができる。
無線親機として機能する場合のネットワーク情報、および無線子機として機能する場合のネットワーク情報は上記に限定されず、例えばネットワークにより確実に接続するために必要な情報や、よりセキュリティーを確保するために確認するための情報などを適時加えて用いることができる。
また送信する無線ネットワーク情報内には、撮影装置3が無線親機になるか、無線子機になるかを決定するモード情報を含めてもよい。
撮影装置3は、コンソール2からの設定依頼の応答を受信すると、そこに含まれる無線ネットワーク情報を自身に設定する。
【0067】
例えば図20に示したクレードルa-1にFPDaが挿入された場合、クレードル識別情報としてクレードルa-1、撮影装置識別情報としてFPDaがネットワーク上にブロードキャストされる。すると、図21に示す情報を格納したコンソールaが管理するクレードルa-1にFPDaが挿入されたことを認識し、挿入されたFPDaの識別情報から、FPDaを親機として使用する場合であると判断する。
これは、図21に示す情報から、クレードル識別情報と撮影装置識別情報から検索を行うことで容易に判断することができる。
すると図22に示すように、コンソールaはクレードルa-1、あるいはクレードルa-1に挿入された放射線撮影装置FPDaに対して、無線親機として機能する無線ネットワーク情報を送信する。
無線ネットワーク情報を受信したFPDaは、送信された無線ネットワーク情報を必要に応じて判断し、自身の無線ネットワーク設定として設定を行う。
【0068】
[実施例1-3:子機として設定する場合]
上記実施例に係る撮影システム100において、例えば図23に示したように、無線子機に設定するクレードルa―2に撮影装置3が差し込まれたら、撮影装置3に無線子機として使用するように無線ネットワーク情報を設定するようにしてもよい。
このようにすれば、無線親機、無線子機として動作可能な設定を、確実に撮影装置3に行うことが可能となり、撮影装置3をユーザーが望むように無線親機、無線子機として使用することが可能となる。
【0069】
つまり、図23に示したクレードルa-2にFPDaが挿入された場合、クレードル識別情報としてクレードルa-1、撮影装置識別情報としてFPDaがネットワーク上にブロードキャストされる。すると、図21に示した情報を格納したコンソールaが管理するクレードルa-1にFPDaが挿入されたことを認識し、挿入されたFPDaの識別情報から、FPDaを子機として使用する場合であると判断する。
これは、図21に示す情報から、クレードル識別情報と撮影装置識別情報から検索を行うことで容易に判断することができる。
すると図示は省略するが、図22に示した例のように、コンソールaはクレードルa-2、あるいはクレードルa-2に挿入されたFPDaに対して、無線子機として機能する無線ネットワーク情報を送信する。
無線ネットワーク情報を受信した放射線撮影装置FPDaは、送信された無線ネットワーク情報を必要に応じて判断し、自身の無線ネットワーク設定として設定を行う。
【0070】
このようにすれば、無線親機として動作するか無線子機として動作するかの設定を、確実に撮影装置3に対して行うことが可能となり、撮影装置3をユーザーが望むように無線親機、無線子機として使用することが可能となる。
また、無線親機として使用するように設定する場合のクレードルa―1、無線子機として使用するように設定する場合のクレードルa-2と、異なるクレードルに差すことにより撮影装置3の無線親機、無線子機を切り替える構成としており、ユーザーが意図しない設定となることを確実に防ぐことができる。
【0071】
[実施例1-4:他のコンソールとの組合せで使用する場合]
また、上記実施例に係る撮影システム100において、他の部屋(検査室b)で使用する場合、他の部屋のコンソール2やクレードル6に対しても、上記実施例1-1~1-3のような設定を行っておくようにしてもよい。
具体的には、コンソールbに上記設置用ソフトと同じものをインストールすることで、一方のクレードルb-1に撮影装置3を差し込んだ場合には撮影装置3を無線親機として使用するように設定し、クレードルb-2に差し込んだ場合には撮影装置3を無線子機として使用するように設定する。
また、撮影装置3を、図24に示したように、クレードル6に差し込まれたときに、クレードル6に書き込まれているクレードル識別情報を読み取り、撮影装置3自身の撮影装置識別情報と共に、ネットワーク上へブロードキャストするようにし(1)、コンソールbを、自身が管理するクレードル識別情報を受信した場合に、撮影装置3に対して設定依頼の応答を行うようにする(2)。
【0072】
このようにすれば、撮影装置3を他の検査室や他のコンソール2の制御下に持って行っても、これまでと同じ手続きで、無線親機又は無線子機とする設定を確実に撮影装置3に行うことが可能となり、撮影装置3をユーザーが望むように無線親機、無線子機として使用することが可能となる。
また、無線親機として使用するように設定する場合のクレードルb-1、無線子機として使用するように設定する場合のクレードルb-2と、異なるクレードルに差すことにより撮影装置3の無線親機、無線子機を切り替える構成としており、ユーザーが意図しない設定となることを確実に防ぐことができる。"
また、上記撮影装置3は、他の部屋(検査室b)で使用する場合以外にも、例えば他の回診車で使用する場合に、回診車に搭載されたコンソール2との間で上記の設定や手続きを同様に行うことで、撮影装置3をユーザーが望むように無線親機、無線子機として使用することが可能となる。
【0073】
[実施例1-5:無線親機となるコンソールとの組合せを制限する場合]
上記実施例に係る撮影システム100において、無線親機となる撮影装置3が複数存在すると、無線の混線により通信が不安定になる可能性がある。こうした無線通信の混線を防ぐため、一つのコンソール2に接続することができる無線親機となる撮影装置3を一つに制限することを求められることがある。
このような課題に鑑み、上記実施例1-1において、無線親機として動作するよう設定された撮影装置3がクレードル6に差し込まれたときに、コンソール2から受信される無線ネットワーク情報のSSIDが、内部に不揮発的に保持されたSSIDと異なる場合には、無線ネットワーク情報の反映(上書き)を行わないようにしてもよい。
例えば、図18に示したような構成の検査室の場合、検査室aのコンソール1と、検査室bのコンソール2にはそれぞれ、図21に示したようなクレードル識別情報を保持している。この図21の表は、例えばコンソールaが管理するクレードルa-1に撮影装置3が差し込まれた場合、無線ネットワーク情報a-1(親機)を撮影装置3に設定するようにし、更に撮影装置3を無線親機として使用する設定とすることを表している。
【0074】
また、撮影装置3には特定の状況にて、図25の上側の表に示されたネットワーク設定情報を記憶部35に格納しておくよう設定することが可能である。
この設定では、実際に設定されたネットワーク設定情報だけでなく、図25の上側の表に示される(1)無線親機として機能する場合の無線ネットワーク情報(無線親機)、(2)無線子機として機能する場合には無線ネットワーク情報(無線子機)、というように、無線親機/無線子機として機能する場合のネットワーク設定情報を格納しておくようにする。
また、他の無線親機としての無線ネットワーク情報を設定することを許可するか、許可しないかの切り替え許可の設定を行い記憶部に保持しておくこともできる設定としても良い。
【0075】
ここで、「特定の状況にて図25の上側の表に示されたネットワーク設定情報を記憶部に格納しておくよう設定する」とは、例えば一般のユーザーが操作する状態とは異なるモード、あるいは撮影システム100の設置時や設定変更時にユーザーとは異なる者(例えばメーカーのサービスマン等)が、一般のユーザーが通常の操作で入ることができないモードにて設定する場合等が挙げられる。このようなモードは、例えば上述した設定用ソフトの機能の一部として設けてもよい。
【0076】
ここで、他の無線親機としての無線ネットワーク情報を設定することを許可しないように設定した場合、無線親機として撮影装置3に格納された無線ネットワーク情報以外の無線ネットワーク情報が、上記実施例のような手続きで撮影装置3に届いた場合には、撮影装置3の無線ネットワーク設定を変更しないように制御する。
【0077】
例えば、図21図25に示した例の場合、コンソールaに対して無線親機として使用するように設定したFPDaが、コンソールbが管理するクレードルb-1に差し込まれたら、FPDaが他の無線親機としての無線ネットワーク情報を設定することを許可しないように設定されている場合には、コンソール2と連携したネットワーク設定情報に設定しないようにする。
つまり、図25の上の表に示すように、FPDaの記憶部35にはあらかじめFPDaをコンソールaと連携して無線親機として使用する場合のネットワーク設定情報(無線NW情報a-1(親機))が格納されている。このFPDaを、コンソールbと連携して無線親機として設定を行うように設定したクレードルb-1に挿入すると、前述の手続きによりFPDaにはFPDaをコンソールbと連携して無線親機として使用する場合のネットワーク設定情報(無線NW情報b-1(親機))として設定するように送信を受ける。
【0078】
しかしながら、FPDaが他の無線親機としての無線ネットワーク情報を設定することを許可しないように設定されている場合、自身が記憶している親機として機能する場合の無線ネットワーク情報と異なる無線ネットワーク情報であるため、これを判断し設定を行わないようにする。
一方、コンソールbやコンソールbに連携した無線子機として設定した撮影装置3が、コンソールaが管理するクレードルa-1に差し込まれたら、撮影装置3が他の無線親機としての無線ネットワーク情報を設定することを許可しないように設定されている場合でも、撮影装置3に格納された無線親機として使用する場合のネットワーク設定情報と一致するので、ネットワーク設定を行い、コンソールaと連携した無線親機として使用できるように設定する。
【0079】
このようにすれば、無線親機として動作する装置を制限することにより、無線の混線により通信を不安定な状況としてしまうことを確実に防止することができる。
特に、他の装置は大きさや重さや、必要とする電源、水等のユーティリティーの問題から、設置環境を変えることが難しい場合があり、固定された環境で使用される場合が多い。
一方で、撮影装置3は移動して使用することが可能であり、例えば長尺撮影を行う場合等には複数枚の撮影装置3を一つの検査室で使用する場合もある。そのため、撮影装置3を無線親機として使用する場合に、環境によらずどの撮影装置3も無線親機となれるように設定して運用を行うと、想定していた以上に多数の無線親機が一つの検査室に集中するケースが発生する可能性がある。
このような多数の無線親機が一つの検査室に集中した場合、無線の混線により通信に障害が発生する場合があるが、本実施例のように無線親機となれる撮影装置3と情報処理装置4の組合せを限定して使用することができる設定を有することにより、このような無線の混線による通信の障害を確実に防ぐことが可能となる。
【0080】
[実施例1-6:設定の確認方法]
上記実施例に係る撮影システム100では、撮影装置3が無線親機、あるいは無線子機として操作者が意図したネットワーク設定が確実に設定されたか否かをユーザーが把握できない場合がある。
そこで、無線親機に設定するクレードルa-1に撮影装置3が差し込まれ、当該撮影装置3に無線親機、あるいは無線子機として操作者が意図したネットワーク設定が確実に完了したことを、あるいは設定できなかったことを通知する手段を持たせてもよい。
具体的には、撮影装置3の設定が完了した場合には、撮影装置3又はクレードル6がユーザーに完了通知を行うようにする。
完了通知は、例えば、光や音声、振動等によって行うことができる。
一方、撮影装置3の設定が正常に完了できなかった場合には、撮影装置3又はクレードル6がユーザーにエラー通知を行うようにする。
エラー通知は、例えば、完了通知とは異なる光や音声、振動によって行うことができる。
なお、撮影装置3の設定が正常に完了できなかった場合、エラー通知を行うのではなく、単に設定完了を通知しないだけとしてもよい。
【0081】
また、撮影装置3やクレードル6が通知するのではなく、コンソール2が通知するようにしてもよい。コンソール2が完了通知を行う場合には、例えば図26,27に示したように、撮影装置3のクレードル6への挿入が検出されたら、(1)クレードル識別情報及び撮影装置識別情報のブロードキャスト(ステップS1)、(2)コンソール2からの設定依頼の応答(ステップS2)の後、撮影装置3の設定を行い(ステップS3)、設定が完了したことに基づいて撮影装置3又はクレードル6から設定が(3)完了した旨の完了信号をコンソール2へ送信し(ステップS4)、当該完了信号を受信したことに基づいてコンソール2が設定完了処理(ステップS5)を行うようにする。
一方、コンソール2がエラー通知を行う場合には、例えば図28に示したように、クレードル識別情報及び撮影装置識別情報のブロードキャスト(ステップS1)、コンソール
2からの設定依頼の応答(ステップS2)、の後、撮影装置3の設定を行い(ステップS3)、撮影装置3が正常に設定できなかったことに基づいて撮影装置3又はクレードル6から設定が完了できなかった旨のエラー信号をコンソール2へ送信し(ステップS4A)、当該エラー信号を受信したことに基づいてコンソール2がエラー通知(ステップS5A)を行うようにする。
【0082】
例えば、無線親機に設定するクレードルa-1に、無線親機として機能することができない撮影装置3が差し込まれた場合には、音を出さないことでユーザーに無線親機として設定がされなかったことを通知したり、無線親機として設定できた場合とは異なる音で無線親機として設定できなかった旨を通知したりする。
無線親機に設定するクレードルa-1に、無線親機として機能することができない撮影装置3とは、例えば前記[無線親機となるコンソールとの組合せを制限する場合]にて制限された場合もあれば、放射線撮影装置として無線子機の通信手段しか持たず、無線親機の通信手段を持たない場合も含まれる。
【0083】
なお、無線親機として通知できなかった理由毎に音を変え、ユーザーに無線親機として設定できなかった理由も通知できる構成としてもよい。
また、例えば、無線親機として設定できた場合は「無線親機として設定しました」と音声で通知し、無線親機として設定できなかった場合は、「無線親機として機能できない撮影装置3のため、無線親機に設定できませんでした」と音声で通知してもよい。
また、コンソール2の表示部にて設定できた旨、あるいはできなかった旨を通知するようにしてもよい。
このようにすれば、無線親機として設定できたか否かをユーザーが確実に把握することができる。
【0084】
なお、コンソール2に、例えば図29に示したように、設定依頼通知から一定期間の間に完了通知が来なかった場合に、設定失敗である旨を通知する(ステップS6を行う)機能を持たせるようにしてもよい。
通知は、例えば、光や音声、振動等によって行うことができる。
このようにすれば、通信障害などにより正常に設定が完了したことが確認できない場合には、操作者に正常に設定を完了することができなかったことを確実に通知することができ、操作者が意図しない設定状態で使用されることを確実に防止すすることができる。
【0085】
上記実施例1-5において、無線親機として設定するクレードルに撮影装置3が差し込まれ、当該撮影装置3に指定した無線親機としての設定が完了したことを、あるいは設定できなかったことを通知する手段を持たせてもよい。
具体的には、撮影装置3の設定が完了した場合には、撮影装置3又はクレードル6がユーザーに完了通知を行うようにする。
完了通知は、例えば、光や音声、振動等によって行うことができる。
一方、撮影装置3の設定が正常に完了できなかった場合には、撮影装置3又はクレードル6がユーザーにエラー通知を行うようにする。
エラー通知は、例えば、完了通知とは異なる光や音声、振動によって行うことができる。
なお、撮影装置3の設定が正常に完了できなかった場合、エラー通知を行うのではなく、単に設定完了を通知しないだけとしてもよい。
【0086】
また、撮影装置3やクレードル6が通知するのではなく、コンソール2が通知するようにしてもよい。コンソール2が完了通知を行う場合には、例えば図30に示したように、クレードル識別情報及び撮影装置識別情報のブロードキャスト(ステップS1)、コンソール2からの設定依頼の応答(ステップS2)の後、コンソールから受信したネットワー
ク情報及びモード情報が撮影装置3に設定されたものと同じか否かを確認し(ステップS7)、同じであると判定した場合には設定を実施し(ステップS8)、撮影装置3の設定が完了したことに基づいて撮影装置3又はクレードル6から設定が完了した旨の完了信号をコンソール2へ送信し(ステップS4)、当該完了信号を受信したことに基づいてコンソール2が設定完了処理(ステップS5)を行うようにする。
【0087】
一方、コンソール2がエラー通知を行う場合には、例えば図31に示したように、クレードル識別情報及び撮影装置識別情報のブロードキャスト(ステップS1)、コンソール2からの設定依頼の応答(ステップS2)の後、コンソールから受信したネットワーク情報及びモード情報が撮影装置3に設定されたものと同じか否かを確認し(ステップS7)、同じではないと判定した場合には設定を実施せずS8A)、撮影装置3が正常に設定できなかったことに基づいて撮影装置3又はクレードル6から設定が完了できなかった旨のエラー信号をコンソール2へ送信し(ステップS4A)、当該エラー信号を受信したことに基づいてコンソール2がエラー処理(ステップS5A)を行うようにする。
このようにすれば、指定した無線親機として設定ができない場合に、設定ができなかったことをユーザーに通知し、ユーザーが意図しない設定状態で使用されることを確実に防止すすることができる。
【0088】
なお、上記実施例1-5に記載したパターンで指定した無線親機として設定ができなかった場合には、上記実施例におけるエラー通知とは異なる態様のエラー通知を行うようにしてもよい。具体的には、光、音、振動等を上記実施例におけるエラー通知と異ならせる。
あるいは、音声にて「この撮影装置3は、この情報処理装置4との組合せでは無線親機として使用することができません」と通知し、設定できない理由を通知する構成としてもよい。
このようにすれば、指定した無線親機として設定ができない場合には、他と異なるエラー通知とすることで、ユーザーに理由も通知することが可能となる。
【0089】
[実施例1-7:電波状態の取得]
図32(a)に示したように、一つの無線親機となる撮影装置3に、複数の情報処理装置4が接続される場合、各情報処理装置4の電波状態(強度)を各情報処理装置4にて表示する必要がある。しかし、情報処理装置4によっては、何らかのアプリケーションを起動していると、そのアプリケーションの画面に電波状態を表示できないようにしているものが存在する。このような情報処理装置4においては、アプリケーションが情報処理装置4から電波状態を取得することもできないようになっている場合がある。
一方、各情報処理装置4が接続された撮影装置3は、各情報処理装置4の電波状態を把握できるため、撮影装置3が保持している各情報処理装置4の電波状態に関する情報をアプリケーションで取得することが求められている。
【0090】
ところで、アプリケーションは、例えば図32(b)に示したように、電気信号層L1、無線層L2、通信層L3、アプリ層L4の4層で構成されていることが多い。そして、アプリケーションの操作によって、撮影装置3から電波状態を取得する際には、アプリ層L4がIPアドレスを撮影装置3へ送信する。一方、撮影装置3は無線親機になっているため、保持している複数の電波状態の情報の中から対象となる情報処理装置の電波状態を特定して送信しなければならない。しかし、アプリケーションへ電波状態を送信する際のプロトコルは、無線層L2にしかなく、しかも、MACアドレスにしか対応していないものとなっている。つまり、情報処理装置4にインストールされるアプリケーションは、撮影装置3から電波状態を取得できても、それを表示する事が出来ない場合がある。
【0091】
このような課題に鑑み、MACアドレスとIPアドレスの対応関係を表すARPテーブルを参照し、対象となる電波強度を特定し送受信できるようにしてもよい。
このようにすれば、自身の持つ電波状態を直接取得してアプリケーション上で表示することが困難な情報処理装置4を用いた場合でも、電波状態を表示する事が可能となる。
なお、通信層L3は脆弱であり、ARPテーブルが一時的に消えてしまうことがあるため、キャッシュしておくようにしてもよい。
また、電波状態に応じて、優先的に電波状態の良い情報処理装置4との接続や、優先的に電波状態の良い情報処理装置4からの操作を受け付けるようにしても良い。
【0092】
[実施例1-8:通信切断時の表示]
コンソール2と無線親機として動作する撮影装置3との接続が切れた場合に、ユーザーがそのことを知ることができずに、作業を継続してしまうという問題があった。
このような課題に鑑み、コンソール2や情報処理装置4に、所定間隔で接続状況を監視する機能をもたせるとともに、無線親機との接続を検知できなくなった場合に表示部2aに表示しているネットワーク結線図や接続状態表示を、図33に示されたコンソール2と撮影装置3とが接続されている状態を示したものから、図34に示したように撮影装置3が消された状態に変更する機能を持たせるようにしてもよい。
このようにすれば、コンソール2と無線親機との接続が途絶えているのに、ユーザーがそのことを認識できずに作業を継続してしまうのを防ぐことができる。
【0093】
なお、上記実施例1-8において、コンソール2上の表示から消すのではなく、図34に示したように破線等、接続が確立した状態の表示とは異なる形態にて表示するようにしてもよい。
また、一定期間接続が確立されない場合に、コンソール2から表示を消すようにしてもよい。
更に、ユーザーがコンソール2上で接続状態を確認し、表示を消すように指示した場合には、コンソール2から表示を消す構成としてもよい。
接続が切れた場合に、表示から消してしまうと、本来所望していた接続であることが分からなく問題となる場合があるが、このようにすれば、所望した接続であるが、切断されていることを破線、接続が確立した状態の表示とは異なる表示にて表示することで、操作者は接続を確認して接続を回復する操作を行うことが可能となり、接続が切れたダウンタイムを短縮することが可能となる。
【0094】
また、上記実施例1-8において、接続が切れた場合に、コンソール2上から表示を即座に消す、あるいは上記の表示切替を行うのではなく、一定期間接続が切れた状態が継続した場合に、コンソール2上から表示を消す、あるいは上記の表示切替を行う構成としてもよい。
無線接続では、瞬間的あるいは数秒に渡り、接続が切れる場合があるが、自動での再接続により接続が回復する場合がある。そのような場合には接続切断の影響は無いため、このような場合まで表示を消したり切り替えたりしてしまうと、ユーザーに接続が切れたと誤認させてしまう。しかし、上述したようにすれば、ユーザーが誤認してしまうのを防ぐことができる。
【0095】
[実施例1-9:情報処理装置への接続切替]
無線親機として使用する撮影装置3は、無線親機として機能するため複数の無線子機と通信を確立することができる。そのため、コンソール2や情報処理装置4など、撮影装置3を制御することが可能な制御機器が複数存在する場合に、撮影装置3がこれらの制御機器とそれぞれ同時に通信を確立してしまう場合が生じる。
このような複数の制御機器と同時に通信を確立し、制御を行うことは、複数の場所から操作が行えるために利便性を高める場合もある。しかし一方で、複数の場所に異なる操作者がいる場合などに、異なる意図で撮影装置3に意図しない操作をされる危険性があり、ユーザーが意図しない撮影が行われてしまう危険性があった。
そのため、無線親機として使用する撮影装置3と同時に通信を確立した制御機器のなかで特定の1つの制御機器にのみ制御を許可する必要がある。
【0096】
このような制御機器の選択は、撮影装置3のソフトウェア上で、通信を確立する機器の管理とは別に、制御を行う機器の管理機能を持たせ、ソフトウェア上で撮影装置3の制御を許可する制御機器を切り替える構成を用いることができる。
あるいは、制御機器の選択は、通信を確立する機器ごとに接続ポートを分け、ソフトウェア上で接続ポートを切り替える構成を用いることができる。
これらの選択変更は撮影装置3に搭載されたボタンへの操作や、コンソール2や情報処理装置4からの設定変更により移行することが可能である。
また、撮影装置3を特定の操作モードで使用する場合に、上記の方法にて自動で特定の制御機器と接続を行うように切り替えを行う構成としても良い。
また、撮影装置3と自動で接続を行うように切り替えた制御機器との間で情報の送受信ができない場合には、自動で別の制御機器へ接続を切り替えるように制御しても良い。また、その場合には、別の制御機器へ接続を切り替える前に、情報の送受信ができないことを通知し、操作者に他の機器へ接続を切り替えるか確認を行うプロセスを入れても良い。また、別の制御機器へ接続を切り替えが完了したことを通知する構成としても良い。
【0097】
また、本実施形態に係る撮影装置3に、コンソール2等と通信しなくても放射線を自動的に検知して画像データを生成し、その画像データを外部に送信できる状態となるまで自身の記憶部に保存しておく機能(撮影装置内メモリー撮影モード)を持たせるようにしてもよい。
この撮影装置内メモリー撮影モードへは、撮影装置3に搭載されたボタンへの操作や、コンソール2や情報処理装置4からの設定変更により移行することが可能である。
その際、撮影装置3は、コンソール2と接続を行う接続ポートaと、情報処理装置4と接続を行う接続ポートbを用いる。他に接続機器があれば、それらの接続機器を接続するための異なる接続ポートを設けても良い。
【0098】
撮影装置3は、この撮影装置内メモリー撮影モードへ移行した場合に、撮影装置3のソフトウェアにより事前に設定した接続ポートへ自動的に切り替える構成とすることができる。
例えば、撮影装置3を、撮影装置内メモリー撮影モードへ移行したときに自動で情報処理装置4と接続するようにする場合には、撮影装置3のソフトウェアに、撮影装置内メモリー撮影モードへ移行した場合に接続ポートを情報処理装置4と接続を行う接続ポートbに切り替えるプログラムを加えることで可能となる。
【0099】
また、撮影装置3のソフトウェアに、更に情報処理装置4の電源がOFFの場合や、情報処理装置4との間の通信状態に問題がある場合には、再び自動で接続ポートをコンソール2と接続を行う接続ポートaに切り替えるプログラムを加えてもよい。。情報処理装置4との間の通信状態に問題があるか否かを判断するためには、撮影装置3のプログラムにて応答要求コマンド(Ping等)を用いて情報処理装置4からの応答があるかを確認する方法などを用いることができる。
更に、コンソール2や情報処理装置4とHTTPなどのサーバーを用いて通信を行う場合には、で情報の送受信を行う場合には、無線親機として使用する撮影装置3にサーバーを立ち上げ、情報の送受信を行っても良い。
【0100】
このように、通信を確立した制御機器の中から、情報の送受信を行うことができる制御機器を制限することにより、意図しない機器から意図しない操作が行われることを防止することが可能となる。
また、情報の送受信を行うことができる制御機器を自動で変更することにより、撮影開始までの操作者の操作を少なくし、利便性を高めることが可能となる。
【0101】
[実施例1-10:電源オフ/オンの対応]
電源がオフになり再度オンにしたときに、例えば無線親機として動作するか無線子機として動作するかのモード設定が、電源がオフになる前の設定と異なってしまう場合がある。設定状態になる場合、ユーザーが意図しない設定状態となり、問題があった。
このような課題に鑑み、モード設定内容を不揮発メモリー等で保持しておき、電源をオフにした後再度オンにした後のモード設定を、電源をオフにする前と同じにするようにしてもよい。
すなわち、電源をオフにする前に無線親機(無線子機)となっていた場合には、電源をオンにした後も無線親機(無線子機)として動作するようにする。
このようにすれば、電源を切る前の接続状態が維持されるので、ユーザーが意図しない設定状態で撮影が行われてしまうことを確実に防止することができる。
【0102】
[実施例1-11:疎な連携状態での使用]
放射線撮影を行う際に、放射線を照射する放射線照射装置1(ジェネレーター11)と画像データを生成する撮影装置3とを連動させるためには、これらを有線又は無線で通信可能に接続し、制御信号を送受信することによってそれぞれの動作を制御する必要がある。しかし、こうしたケーブルの接続が煩雑となってしまう。
一方で、例えば救急医療の現場では、患者の様態によってはすぐに撮影を行えることが望ましく、また患者を撮影する場所も状況や容態により変わるため、容易に移動でき、到着後直ちに撮影できることが望ましい。
すなわち、パネル型の撮影装置3、撮影装置3の状態を確認するための携帯型の情報処理装置4、及び放射線を照射する移動式の放射線照射装置のみで、それらを密に連携させるための通信の確立や、撮影開始までの他の手続き等を行うことなく撮影ができることが望ましい。
【0103】
このような課題に鑑み、撮影装置3に、コンソール2等の外部の装置から制御信号を受信しなくても放射線を検知したら自動的に撮影を開始する非連携モードで撮影を行う機能を持たせるようにしてもよい。
このようにすれば、通信の確立や撮影開始までの手続き等を行うことなく撮影が可能となるため、撮影までの時間を大幅に短縮することが可能となる。
勿論、直ちに通信を確立できる状態にある場合には、放射線照射装置1やコンソール2と照射許可や照射タイミングなどを連携して撮影を行う、連携モードで撮影しても構わない。
【0104】
[実施例2-1:設定時のID重複回避]
無線親機として設定を行う撮影装置3のSSIDを、他の無線親機として設定された通信機器のSSIDと同じものに設定してしまうと、どちらに接続しているか分からなくなり、ユーザーが意図した通信先と異なる通信先に接続してしまうという問題があった。
このような課題に鑑み、ESSIDの末尾に特定の文字を追加するようにしてもよい。この場合、初期設定者は無線子機としてのESSID設定と、無線親機としてのESSIDの設定を別々に行うこととなる。
追加する特定の文字としては、例えば「_PAP」等が挙げられる。
このようにすれば、SSIDが重複することなく、意図しない機器と接続する危険性を排除することができる。
また、撮影装置3を無線親機として使用する場合のESSIDの文字列が統一された文字列となり、ネットワーク設定者による管理が容易になる。
【0105】
なお、本実施例において、初期設定者は、撮影装置3を無線親機として使用する場合のESSID、無線子機として使用する場合のESSIDをそれぞれ別々に設定しないようにしてもよい。
初期設定者は、例えば検査室aの無線子機に設定する場合に挿入するクレードルa-1に撮影装置3を差し込み、検査室aのコンソールaと連動した無線子機として使用するESSIDとして設定するESSIDの文字列としてとして撮影装置3及びコンソール2に「room1」と設定する。
すると、以降の使用時に検査室aのクレードルa-1に撮影装置3を差し込むと、検査室aのコンソール2と連動した無線子機として撮影装置3を使用するよう設定されるようになる。
【0106】
なお、その後に、撮影装置3を無線親機としても設定するかの確認手順を設けるようにしてもよい。例えば、コンソール2に「続いて撮影装置3を無線親機として使用しますか?」のような質問文を表示するとともに、「はい」及び「いいえ」を選択できるように構成してもよい。
ここで、撮影装置3を無線親機としても設定することを選択した場合、無線親機として使用する場合のネットワーク設定情報として、無線子機として使用する場合のESSIDである「room1」の末尾に無線親機として使用する場合の文字列を追加した「room1_PAP」が無線親機として使用する場合のESSIDとして設定される。
【0107】
その後、初期設定者は、検査室aで無線親機に設定する場合に差し込むクレードルa-1に撮影装置3を差し込み、検査室aのコンソール2と連動した無線親機として使用するESSIDとして設定するESSIDの文字列としてとして撮影装置3及びコンソール2に「room1_AP」と設定する。
すると、以降の使用時に検査室aのクレードルa-1に撮影装置3を差し込むと、検査室aのコンソール2と連動した無線親機として撮影装置3を使用するよう設定されるようになる。
【0108】
以上のようにすれば、設定者は無線子機として使用する場合のESSID設定で、無線親機として使用する場合のESSID設定も行うことができ、設定手順を簡便化することができる。
また、既に施設の撮影装置3を使用する環境で設定されているAP7のESSIDを用いて、撮影装置3を無線親機として使用する場合のESSIDを設定するため、更にESSIDの文字列が統一された文字列となり、ネットワーク設定者の管理が容易になる。
【0109】
また、本実施例において、クレードル6が二つ無く、撮影装置3をコンソール2と連動した無線子機としては使用せず、無線親機としてのみ使用する場合には、無線子機として使用する場合に設定したクレードルa-1に再び差し込むと、無線親機として使用する設定が撮影装置3及びコンソール2に上書きされる。
例えば、撮影装置3を、回診車に搭載されたコンソール2と連動した無線親機として使用する場合、コンソール2と連動した無線子機として使用することが無い場合がある。この場合は、コンソール2と連動したクレードル6を一つ用意すれば、上述した設定方法により、撮影装置3をコンソール2と連動した無線親機として使用することが可能となる。
【0110】
上述した上書きを行う前に、撮影装置3を挿入したクレードルに対して無線親機として使用する設定を行ってよいか確認を行う手順を更に設けるようにしてもよい。
このようにすれば、無線親機としてのみ設定する場合に、クレードルが一つでも設定することが可能となり、通常の使用時に使わないクレードルを用いることなく設定を行うことができる。
【0111】
[実施例2-2:設定時のID重複確認]
上記実施例2-1で挙げた、無線親機として設定を行う撮影装置3のSSIDを、他の無線親機として設定された通信機器のSSIDと同じものに設定してしまうと、どちらに接続しているか分からなくなり、ユーザーが意図した通信先と異なる通信先に接続してしまう、という課題に鑑み、撮影装置3にSSIDを設定する際に、設定しようとするSSIDと同じものが、現在の通信ネットワーク上で既に使われているSSIDと重複していないかどうかを確認するようにしてもよい。
また、重複があった場合には、同SSIDに設定しようとしている使用形態(無線親機あるいは無線子機として使用する等)の設定で上書き設定してよいか確認を行う手順を設けてもよい。
そして、確認の結果重複があった場合、あるいはその後の確認手順で設定者が上書きを行わないと選択した場合には、設定を行わないようにする。
一方、確認の結果重複が無かった場合、あるいはその後の確認手順で設定者が上書きを行うと選択した場合には、設定を実施するようにする。
このようにすれば、SSIDが誤って重複設定されることがなく、意図しない機器と接続してしまう可能性を排除することができる。
【0112】
なお、撮影装置3にSSIDを設定する際に、設定賞とするSSIDと同じものが、過去の特定期間に使われていたSSIDと重複していないかどうかを確認するようにしてもよい。
SSIDが過去に使われていたか否かの判断は、例えばそのSSIDの設定の有無を見てもよいし、SSIDへのアクセスの有無を見てもよい。
また、コンソール2等に、過去に設定されたSSIDや過去にアクセスがあったSSIDのリストを表示する機能を持たせるようにしてもよい。その際、表示されたリストから、ユーザーが特定したSSIDを削除する機能を持たせるようにしてもよい。
このようにすれば、過去に使われたことがあるが現在は使われていないSSIDとの重複を防ぐことができる。
【0113】
[実施例2-3:親機/子機の状態表示]
無線親機としても無線子機としても動作することが可能な撮影装置3を用いた放射線撮影では、現在の設定が無線親機として動作する設定と無線子機として動作する設定のどちらになっているのか判別できず、ユーザーが意図しない通信状態で撮影を行ってしまう可能性がある。
このような課題に鑑み、例えば図37に示したように、撮影装置3に現在の設定状態(無線親機として動作する設定と無線子機として動作する設定であるか)を表示する状態表示部37を設けるようにしてもよい。
具体的には、文字を表示したり、色を変化させたりすることで状態を報知する。
このようにすれば、ユーザーが現在の設定状態を判別できるので、ユーザーが意図しない通信状態で撮影を行ってしまうのを防ぐことができる。
【0114】
[実施例2-4:親機/子機のボタン切替]
無線親機としても、無線子機としても動作する撮影装置3を、無線親機として動作させるか無線子機として動作させるか切り替える場合、本実施例の方法ではクレードルに挿入しなければならず、切り替えに時間がかかってしまう。
このことは、特に救急医療現場では問題となってしまう。
このような課題に鑑み、例えば図37に示したように、撮影装置3の表面にユーザーが操作可能な切替ボタン38を設け、切替ボタン38の操作に応じて無線親機と無線子機の切り替える(切替ボタン38が押されたら無線子機になる)ようにしてもよい。
このようにすれば、無線親機として動作させるか無線子機として動作させるかの切り替えを素早く行うことができる。
【0115】
[実施例2-5:消費電力対策]
無線親機として動作する撮影装置3は、図38(a)に示したように電源がオンにされている間常に動作(通信等)し続けるため、無線子機として動作する撮影装置3に比べてバッテリーの消耗が早いという問題があった。
このような課題に鑑み、例えば図38(b)に示したように、無線子機からの信号が無い間は、無線親機として動作する撮影装置3の動作を断続的に行うようにし、無線親機として動作する期間に無線子機からの信号を受信した場合には、無線親機としての動作を継続して行うようにするようにしてもよい。
【0116】
なお、撮影装置3が無線親機としての動作を断続的に行う際に、ユーザーがコンソール2と撮影装置3との接続が切れたと誤認しないよう、撮影装置3が無線親機として動作しない時間が所定時間未満の場合には、ネットワーク結線図から無線親機として動作する撮影装置3の表示を消さないようにする。
このようにすれば、ある所定期間における無線親機として動作する時間が短くなり、消費される電力が少なくなるため、無線親機としての動作する撮影装置3のバッテリーを長持ちさせることができる。
【0117】
[実施例3-1:回診車での実施形態(1)]
従来の放射線照射装置1、コンソール2、電源部100a、放射線撮影装置3A等で構成される回診車100Aは、通信を行うために、例えば無線外部通信IF100bを用いて、施設内のネットワークに連結した無線親機(AP7A)を利用する必要があるが、検査室外(例えば病室や手術室等)にて撮影を行う場合、撮影場所にそうした無線親機が存在するとは限らない。
一方で、回診車を用いて撮影をするために移動する前もしくは移動中に、撮影を行う患者情報(氏名、性別、年齢、撮影部位、撮影方法)を取得する必要があり、放射線撮影装置3Aを、施設内のAP7A(無線親機)からこれらの患者情報を得るために無線子機として機能させる必要がある。
こうした理由から、従来の回診車100Aには、例えば図39に示したように、有線外部通信IF100cを用いて、筐体外にAP7B(無線親機)を別途設ける必要があった。なお、図39,40では、電源配線の図示は省略している。
【0118】
しかし、上記実施例に係る撮影システム100を用いて、図40に示したような回診車100を構成すれば、撮影装置3が無線親機として機能するため、回診車100に別途APを設けることなく、直接撮影装置3と回診車100の無線通信手段を介してコンソール2と接続することが可能となる。
また、回診車に設けるAPは、筐体外に位置することが多いため、ぶつけて故障させてしまい、その結果通信不良が発生してしまうことが多かったが、このようにすることで、通信不良の発生を防ぐ又は発生する確率を低くし、回診車を安定的に運用することが可能となる。
回診車は搭載したバッテリーにて動作させるため、電力量に限りがあり、より長い時間の運用のためにはAPによる電力消費を抑える必要があったが、このようにすることで、AP分の電力消費を削減し、回診車を長く動作させることができる。
また、APが無くなることで、回診車の製造コストを抑えることが可能となる。
また、APが無くなることで、回診車から無駄な配線を露出させる必要が無くなり、配線に関連した引っ掛かり等の不具合を確実に防止することが可能となる。
【0119】
[実施例3-2:回診車での実施形態(2)]
なお、回診車の無線IFの通信先(無線親機)の選択を、回診車が撮影を行う状態であるか、あるいは移動を行う状態であるかに応じて切り替えるようにしてもよい。
例えば、回診車のアームが所定の格納場所に格納されている場合には、回診車の無線IFの通信先(無線親機)を優先的に院内ネットワークとするよう設定する。
逆に、回診車のアームが格納場所を離れた場合、あるいは回診車の車輪の回転を止める電磁ブレーキが作動した場合には、回診車の無線IFの通信先(無線親機)を優先的に撮影装置3とするよう設定する。
また、これらの通信先の設定は、上記の条件が一定期間継続した後に切り替えることが可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0120】
100 放射線撮影システム
S 放射線撮影用通信システム
1 放射線照射装置
11 ジェネレーター
12 X線管
2 コンソール
3 放射線撮影装置
31 制御部
32 放射線検出部
33 読出し部
34 通信部
35 記憶部
36 バス
37 状態表示部
38 切替ボタン
4 情報処理装置
41 制御部
42 通信部
43 記憶部
44 表示部
45 操作部
46 バス
5 インターフェースユニット
6 クレードル
7 アクセスポイント
8 PACS
9 RIS
X 放射線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16
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図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40