(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】スイッチング素子
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20231219BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231219BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H01L29/78 652G
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652K
H01L29/78 658A
H01L29/78 658F
H01L29/78 652T
(21)【出願番号】P 2022209958
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2019132862の分割
【原出願日】2019-07-18
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 康弘
(72)【発明者】
【氏名】森本 猛
(72)【発明者】
【氏名】西村 信也
(72)【発明者】
【氏名】浦上 泰
(72)【発明者】
【氏名】片岡 恵太
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079833(JP,A)
【文献】特開2014-207326(JP,A)
【文献】特開2016-096288(JP,A)
【文献】特開2020-064910(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0123192(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0141409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の上面に設けられたトレンチと、
前記トレンチ内に配置されたゲート絶縁膜と、
前記トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されたゲート電極、
を備え、
前記半導体基板が、
前記ゲート絶縁膜に接しているn型のソース領域と、
前記ソース領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しているp型のボディ領域と、
前記ボディ領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しているn型のドリフト領域と、
前記トレンチの底面において前記ゲート絶縁膜に接しているp型の底部領域と、
前記トレンチの側面において前記ゲート絶縁膜に接しており、前記ボディ領域と前記底部領域を接続しているp型の接続領域、
を有しており、
前記トレンチの前記側面が、前記ボディ領域よりも下側において、段差部を有しており、
前記段差部の下側では、前記段差部の上側よりも、前記トレンチの幅が狭く、
前記トレンチの前記側面が、前記段差部の上側に位置する第1側面と、前記段差部の下側に位置する第2側面を有しており、
前記第1側面で前記ゲート絶縁膜に接している前記接続領域が、第1接続領域と、前記第1接続領域の下側に配置されているとともに前記第1接続領域よりも狭い幅を有する第2接続領域を有しており、
前記第2側面で前記ゲート絶縁膜に接している前記接続領域が、前記第2接続領域に対して下側から接する第3接続領域と、前記第3接続領域の下側に配置されているとともに前記第3接続領域よりも狭い幅を有する第4接続領域を有しており、
前記第1接続領域及び前記第3接続領域には、ボロンが含まれており、
前記第2接続領域及び前記第4接続領域には、アルミニウムが含まれている、
スイッチング素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、スイッチング素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のスイッチング素子は、半導体基板を備えている。半導体基板は、n型のソース領域と、p型のボディ領域と、n型のドリフト領域と、n型のドレイン領域を有している。ソース領域は、半導体基板の上面に露出しており、ゲート絶縁膜に接している。ボディ領域は、ソース領域の隣でゲート絶縁膜に接している。ドリフト領域は、ボディ領域の隣でゲート絶縁膜に接している。ドレイン領域は、ドリフト領域に対して下側から接しており、半導体基板の下面に露出している。ドレイン領域は、ドリフト領域よりもn型不純物濃度が高い。
【0003】
このスイッチング素子がオフするときには、ボディ領域からドリフト領域内に空乏層が広がる。これにより、スイッチング素子の耐圧が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のスイッチング素子は、ユニポーラ型であり、スイッチングスピードが速い。このため、スイッチング素子がオン状態からオフ状態に移行する際に、電流が急峻に低下することに起因してリンギングが生じる。本明細書では、第1の発明として、スイッチング素子のオフ時におけるリンギングを抑制することができる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、第1の発明として第1のスイッチング素子を開示する。前記スイッチング素子は、半導体基板と、前記半導体基板の上面に設けられたトレンチと、前記トレンチ内に配置されたゲート絶縁膜と、前記トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されたゲート電極を備える。前記半導体基板が、ソース領域と、ボディ領域と、ドリフト領域と、ドレイン領域と、複数の緩和領域を有している。前記ソース領域は、前記半導体基板の前記上面に露出しており、前記ゲート絶縁膜に接しているn型領域である。前記ボディ領域は、前記ソース領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しているp型領域である。前記ドリフト領域は、前記ボディ領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しており、前記ボディ領域によって前記ソース領域から分離されているn型領域である。前記底部領域は、前記トレンチの底面において、前記ゲート絶縁膜に接しており、前記ドリフト領域によって前記ボディ領域から分離されているp型領域である。前記ドレイン領域は、前記ドリフト領域に対して下側から接しており、前記半導体基板の下面に露出しており、前記ドリフト領域よりもn型不純物濃度が高いn型領域である。前記緩和領域は、前記半導体基板の前記下面に露出しており、前記ドレイン領域によって前記ドリフト領域から分離されているp型領域である。前記緩和領域のp型不純物濃度が、前記ドレイン領域のn型不純物濃度よりも低い。
【0007】
このスイッチング素子がオフすると、ボディ領域からドリフト領域内へ空乏層が広がる。ボディ領域から広がる空乏層がドリフト領域及びドレイン領域を超えて緩和領域へ達すると、各緩和領域から空乏層内へホールが放出される。すなわち、ドリフト領域内にホールが供給される。これにより、電流が急峻に低下することが抑制される。したがって、ドレイン領域とソース領域の間のリンギングを抑制することができる。
【0008】
なお、緩和領域のp型不純物濃度は、ドレイン領域のn型不純物濃度よりも低い。したがって、上記第1のスイッチング素子がオンしても、緩和領域内のホールは、緩和領域からドレイン領域へ流入することができない。このため、緩和領域からドリフト領域内へホールが供給されない。したがって、上記第1のスイッチング素子は、ユニポーラトランジスタとして機能する。
【0009】
また、本明細書では、第2の発明として、接続領域と底部領域を有するスイッチング素子において、トレンチ近傍での電界を緩和する技術を提案する。
【0010】
上面にトレンチが設けられている半導体基板を有するスイッチング素子が知られている。この種のスイッチング素子では、トレンチ内に、ゲート絶縁膜とゲート電極が配置されている。半導体基板は、n型のソース領域とp型のボディ領域とn型のドリフト領域を有している。ソース領域はゲート絶縁膜に接している。ボディ領域は、ソース領域の下側でゲート絶縁膜に接している。ドリフト領域は、ボディ領域の下側でゲート絶縁膜に接している。
【0011】
この種のスイッチング素子では、トレンチの下端近傍における電界の集中を抑制するために、トレンチの底面においてゲート絶縁膜に接しているp型の底部領域と、トレンチの側面においてゲート絶縁膜に接しているp型の接続領域を設ける場合がある。接続領域は、ボディ領域と底部領域を接続している。上述したドリフト領域は、接続領域が存在しない範囲でゲート絶縁膜に接している。このスイッチング素子がオフするときには、ボディ領域及び底部領域からドリフト領域内に空乏層が伸びる。底部領域から伸びる空乏層によって、トレンチの下端近傍における電界の集中が抑制される。しかしながら、トレンチの下端の角部には依然高い電界が生じるという問題があった。
【0012】
本明細書は、第2の発明として第2のスイッチング素子を開示する。前記スイッチング素子は、半導体基板と、前記半導体基板の上面に設けられたトレンチと、前記トレンチ内に配置されたゲート絶縁膜と、前記トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されたゲート電極を備える。前記半導体基板が、ボディ領域と、ドリフト領域と、底部領域と、接続領域を有している。前記ボディ領域は、前記ゲート絶縁膜に接しているp型領域である。前記ドリフト領域は、前記ボディ領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しているn型領域である。前記底部領域は、前記トレンチの底面において前記ゲート絶縁膜に接しているp型領域である。前記接続領域は、前記トレンチの側面において前記ゲート絶縁膜に接しており、前記ボディ領域と前記底部領域を接続しているp型領域である。前記トレンチの前記側面が、前記ボディ領域よりも下側において、段差部を有しており、前記段差部の下側では、前記段差部の上側よりも、前記トレンチの幅が狭い。前記トレンチの前記側面が、前記段差部の上側に位置する第1側面と、前記段差部の下側に位置する第2側面を有している。前記第1側面で前記ゲート絶縁膜に接している前記接続領域が、前記第1側面の上部において前記ゲート絶縁膜に接する第1接続領域と、前記第1接続領域の下側に配置されており、前記第1側面の下部において前記ゲート絶縁膜に接しており、前記第1接続領域の幅よりも狭い第2接続領域を有している。前記第2側面で前記ゲート絶縁膜に接している前記接続領域が、前記第2側面の上部において前記ゲート絶縁膜に接する第3接続領域と、前記第3接続領域の下側に配置されており、前記第2側面の下部において前記ゲート絶縁膜に接しており、前記第3接続領域の幅よりも狭い第4接続領域を有している。前記第1接続領域及び前記第3接続領域には、ドーパントとしてボロンが含有されており、前記第2接続領域及び前記第4接続領域には、ドーパントとしてアルミニウムが含有されている。
【0013】
上記第2のスイッチング素子では、トレンチの側面が、ボディ領域よりも下側において、段差部を有している。段差部の下側では、段差部の上側よりもトレンチの幅が狭い。段差部を設けることで、トレンチの下端の角部と段差部とに電界集中箇所が分散するので、トレンチの下端の角部の電界を緩和することができる。
【0014】
また、このスイッチング素子では、第1側面では第1接続領域の幅よりもその下側の第2接続領域の幅が狭い。また、第2側面では第3接続領域の幅よりもその下側の第4接続領域の幅が狭い。すなわち、第1側面と第2側面のそれぞれにおいて、下側ほど接続領域の幅が狭くなっている。スイッチング素子がオフしているときには、接続領域内に空乏層が広がる。第1側面と第2側面のそれぞれにおいて下側ほど接続領域の幅が狭くなっているので、空乏層と非空乏層の界面が、第1側面の深さから第2側面の深さまで滑らかに伸びやすい。このように界面が滑らかな非空乏化領域によって段差部が覆われるので、段差部での電界集中を緩和することができる。このように、第2のスイッチング素子によれば、トレンチ近傍における電界集中を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】MOSFET10の変形例を示す断面図(
図1に対応する図。)。
【
図3】MOSFET10の他の変形例を示す断面図(
図1に対応する図。)。
【
図4】実施例2に係るMOSFET100の上面図。
【
図7】MOSFET100がオフしているときのトレンチ近傍の空乏層の分布を示す断面図。
【
図8】MOSFET100の製造工程を説明するための図。
【
図9】MOSFET100の製造工程を説明するための図。
【
図10】MOSFET100の製造工程を説明するための図。
【
図11】MOSFET100の製造工程を説明するための図。
【
図12】MOSFET100の製造工程を説明するための図。
【
図13】MOSFET100の製造工程を説明するための図。
【
図14】MOSFET100の製造工程を説明するための図。
【
図15】MOSFET100の製造工程を説明するための図。
【
図16】MOSFET100の変形例を示す断面図(
図5に対応する図。)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例1)
図1は、実施例1のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)10を示している。MOSFET10は、半導体基板12を有している。半導体基板12は、例えば、Si(シリコン)やSiC(炭化シリコン)といった半導体材料により構成されている。以下では、半導体基板12の上面12aに平行な一方向(
図1の左右方向)をx方向といい、上面12aに平行でx方向に直交する方向(
図1の紙面に対して垂直な方向)をy方向といい、半導体基板12の厚み方向をz方向という。
図1に示すように、半導体基板12の上面12aには、複数のトレンチ22が設けられている。各トレンチ22は、y方向に長く伸びている。各トレンチ22は、x方向に間隔を空けて互いに平行に伸びている。各トレンチ22の内面は、ゲート絶縁膜24によって覆われている。各トレンチ22の内部には、ゲート電極26が配置されている。各ゲート電極26は、ゲート絶縁膜24によって半導体基板12から絶縁されている。各ゲート電極26の上面は、層間絶縁膜28によって覆われている。
【0017】
半導体基板12の上面12aには、上部電極70が配置されている。上部電極70は、層間絶縁膜28が設けられていない部分で半導体基板12の上面12aに接している。上部電極70は、層間絶縁膜28によってゲート電極26から絶縁されている。半導体基板12の下面12bには、下部電極72が配置されている。下部電極72は、半導体基板12の下面12bの略全域に接している。
【0018】
図1に示すように、半導体基板12の内部には、複数のソース領域30、ボディ領域32、ドリフト領域34、ドレイン領域35、複数の底部領域36及び複数の緩和領域38が設けられている。
【0019】
各ソース領域30は、n型領域である。各ソース領域30は、半導体基板12の上面12aに露出する位置に配置されている。各ソース領域30は、上部電極70にオーミック接触している。各ソース領域30は、トレンチ22の側面において、ゲート絶縁膜24に接している。各ソース領域30は、トレンチ22の上端部においてゲート絶縁膜24に接している。
【0020】
ボディ領域32は、p型領域である。ボディ領域32は、各ソース領域30に接している。ボディ領域32は、2つのソース領域30に挟まれた範囲から各ソース領域30の下側まで伸びている。ボディ領域32は、コンタクト領域32aとメインボディ領域32bを有している。コンタクト領域32aは、メインボディ領域32bよりも高いp型不純物濃度を有している。コンタクト領域32aは、2つのソース領域30に挟まれた範囲に配置されている。コンタクト領域32aは、上部電極70にオーミック接触している。メインボディ領域32bは、トレンチ22の側面において、ゲート絶縁膜24に接している。メインボディ領域32bは、ソース領域30の下側でゲート絶縁膜24に接している。
【0021】
ドリフト領域34は、n型領域である。ドリフト領域34は、ボディ領域32の下側に配置されており、ボディ領域32によってソース領域30から分離されている。ドリフト領域34は、トレンチ22の側面において、ゲート絶縁膜24に接している。ドリフト領域34は、ボディ領域32の下側でゲート絶縁膜24に接している。
【0022】
各底部領域36は、p型領域である。各底部領域36は、トレンチ22の底面に露出する範囲に配置されている。各底部領域36は、トレンチ22の底面において、ゲート絶縁膜24に接している。各底部領域36は、トレンチ22の底面に沿ってy方向に長く伸びている。各底部領域36の周囲は、ドリフト領域34に囲まれている。各底部領域36は、ドリフト領域34によってボディ領域32から分離されている。
【0023】
ドレイン領域35は、n型領域である。ドレイン領域35は、ドリフト領域34よりも高いn型不純物濃度を有している。ドレイン領域35は、ドリフト領域34の下側に配置されている。ドレイン領域35は、半導体基板12の下面12bに露出している。ドレイン領域35は、下部電極72にオーミック接触している。
【0024】
各緩和領域38は、p型領域である。各緩和領域38は、ドレイン領域35に接しており、半導体基板12の下面12bに露出している。各緩和領域38は、下部電極72に接している。各緩和領域38の厚み(すなわち、z方向の長さ)は、ドレイン領域35の厚みよりも小さい。各緩和領域38は、ドレイン領域35によってドリフト領域34から分離されている。本実施例では、各緩和領域38のx方向の幅は略等しい。各緩和領域38は、x方向に所定の間隔を空けて配置されている。ドレイン領域35は、各緩和領域38の間で下部電極72に接している。各緩和領域38のp型不純物濃度は、ドレイン領域35のn型不純物濃度よりも低い。各緩和領域38のp型不純物濃度は、その厚み方向に略一定であってもよいし、その厚み方向にピークを有するように分布(例えば、正規分布)してもよい。
【0025】
次に、MOSFET10の動作について説明する。MOSFET10の使用時には、MOSFET10と負荷(例えば、モータ)と電源が直列に接続される。MOSFET10と負荷の直列回路に対して、電源電圧が印加される。MOSFET10のドレイン側(下部電極72)がソース側(上部電極70)よりも高電位となる向きで、電源電圧が印加される。ゲート電極26にゲートオン電位(ゲート閾値よりも高い電位)を印加すると、ゲート絶縁膜24に接する範囲のメインボディ領域32bにチャネル(反転層)が形成され、MOSFET10がオンする。すなわち、ソース領域30から、チャネルとドリフト領域34を介してドレイン領域35へ電子が流れる。上述したように、緩和領域38のp型不純物濃度は、ドレイン領域35のn型不純物濃度よりも低い。したがって、MOSFET10がオンしても、緩和領域38内のホールは、緩和領域38からドレイン領域35へ流入することができない。このため、緩和領域38からドリフト領域34内へホールが供給されない。このように、MOSFET10がオンすると、電子による電流が流れる一方で、ホールは電流に寄与しない。すなわち、MOSFET10は、ユニポーラトランジスタとして機能する。ゲート電極26にゲートオフ電位(ゲート閾値以下の電位)を印加すると、チャネルが消滅し、MOSFET10がオフする。
【0026】
MOSFET10がオフすると、ドリフト領域34とボディ領域32の界面のpn接合に逆電圧が印加される。このため、そのpn接合からドリフト領域34に空乏層が広がる。この空乏層が底部領域36に達すると、底部領域36からもドリフト領域34に空乏層が広がる。これにより、ドリフト領域34が効果的に空乏化され、トレンチ22の下端近傍における電界集中が抑制される。
【0027】
また、MOSFET10がオフするときには、ドリフト領域34内へ広がる空乏層が、ドリフト領域34及びドレイン領域35を超えて緩和領域38へ達する。すると、各緩和領域38から空乏層内へホールが放出される。すなわち、ドリフト領域34内にホールが供給される。このために、MOSFET10がオフするときに、電流が急峻に低下することが抑制される。したがって、このMOSFET10によれば、ドレイン領域35とソース領域30の間の電圧のリンギングを抑制することができる。
【0028】
なお、上述した実施例1のMOSFET10では、各緩和領域38が、略同じ形状を有しており、x方向に所定の間隔を空けて配置されていた。しかしながら、例えば、
図2に示すように、緩和領域38のそれぞれの幅が異なっていてもよいし、隣接する緩和領域38の間隔は一定でなくてもよい。また、
図3に示すように、各緩和領域38の側面が傾斜していてもよい。各緩和領域38は、半導体基板12の下面12bに露出し、ドレイン領域35によってドリフト領域34から分離されていればよい。そして、緩和領域38のp型不純物濃度がドレイン領域35のn型不純物濃度よりも低ければよい。
【0029】
また、MOSFET10は、底部領域36を有していなくてもよい。また、MOSFET10は、トレンチゲート型でなくてもよい。例えば、MOSFET10は、プレーナー型であってもよい。
【0030】
(実施例2)
図4~6は、実施例2のMOSFET100を示している。MOSFET100は、半導体基板112と、電極、絶縁膜等を備えている。半導体基板112は、例えば、Si(シリコン)やSiC(炭化シリコン)といった半導体材料により構成されている。なお、
図4では、図の見易さのため、半導体基板112の上面112a上の電極、絶縁層等の図示を省略している。以下では、半導体基板112の上面112aと平行な一方向をx方向といい、上面112aに平行でx方向に直交する方向をy方向といい、半導体基板112の厚み方向をz方向という。
【0031】
図4~6に示すように、半導体基板112の上面112aには、複数のトレンチ122が設けられている。
図4に示すように、各トレンチ122は、y方向に直線状に長く伸びている。複数のトレンチ122は、x方向に間隔を開けて配列されている。
図5に示すように、各トレンチ122の内面は、ゲート絶縁膜124によって覆われている。ゲート絶縁膜124は、底部絶縁膜124aと側面絶縁膜124bを有している。底部絶縁膜124aは、トレンチ122の底部に設けられている。底部絶縁膜124aは、トレンチ122の底面と、その底面近傍の側面を覆っている。側面絶縁膜124bは、底部絶縁膜124aよりも上側のトレンチ122の側面を覆っている。底部絶縁膜124aの厚み(すなわち、底部絶縁膜124aの上面と下面の間の幅(別言すると、ゲート電極126の下端とトレンチ122の底面の間の間隔))は、側面絶縁膜124bの厚み(すなわち、トレンチ122の側面とゲート電極126の側面の間の間隔)よりも厚い。各トレンチ122内には、ゲート電極126が配置されている。各ゲート電極126は、ゲート絶縁膜124によって半導体基板112から絶縁されている。各ゲート電極126の上面は、層間絶縁膜128によって覆われている。
【0032】
図5及び
図6に示すように、トレンチ122の側面123は、後述するボディ領域132(メインボディ領域132b)よりも下側において、段差部140を有している。段差部140の下側では、段差部140の上側よりもトレンチ122の幅が狭い。すなわち、段差部140が設けられることによって、トレンチ122の幅(x方向の幅)が上側から下側に向かうにしたがって狭くなっている。段差部140は、ゲート電極126の下端よりも下側に位置している。段差部140は、半導体基板112の上面(すなわち、x-y平面)と略平行に伸びている。トレンチ122の側面123は、段差部140の上側に位置する第1側面123aと、段差部140の下側に位置する第2側面123bを有している。トレンチ122の側面123のうち、ボディ領域132の下端から段差部140までの範囲が第1側面123aであり、トレンチ122の下端から段差部140までの範囲が第2側面123bである。第1側面123aと第2側面123bのそれぞれは、半導体基板112の深さ方向(z方向)に伸びている。第1側面123aと第2側面123bは、段差部140によって接続されている。
【0033】
半導体基板112の上面112aには、上部電極170が配置されている。上部電極170は、層間絶縁膜128が設けられていない部分で半導体基板112の上面112aに接している。上部電極170は、層間絶縁膜128によってゲート電極126から絶縁されている。半導体基板112の下面112bには、下部電極172が配置されている。下部電極172は、半導体基板112の下面112bの略全域に接している。
【0034】
図5及び
図6に示すように、半導体基板112の内部には、複数のソース領域130、ボディ領域132、ドリフト領域134、ドレイン領域135、複数の底部領域136及び複数の接続領域138が設けられている。
【0035】
各ソース領域130は、n型領域である。各ソース領域130は、半導体基板112の上面112aに露出する位置に配置されている。各ソース領域130は、上部電極170にオーミック接触している。各ソース領域130は、トレンチ122の側面123において、側面絶縁膜124bに接している。各ソース領域130は、トレンチ122の上端部において側面絶縁膜124bに接している。
【0036】
ボディ領域132は、p型領域である。ボディ領域132は、各ソース領域130に接している。ボディ領域132は、2つのソース領域130に挟まれた範囲から各ソース領域130の下側まで伸びている。ボディ領域132は、コンタクト領域132aとメインボディ領域132bを有している。コンタクト領域132aは、メインボディ領域132bよりも高いp型不純物濃度を有している。コンタクト領域132aは、2つのソース領域130に挟まれた範囲に配置されている。コンタクト領域132aは、上部電極170にオーミック接触している。メインボディ領域132bは、トレンチ122の側面123において、側面絶縁膜124bに接している。メインボディ領域132bは、ソース領域130の下側で側面絶縁膜124bに接している。
【0037】
ドリフト領域134は、n型領域である。ドリフト領域134は、ボディ領域132の下側に配置されており、ボディ領域132によってソース領域130から分離されている。
図6に示すように、ドリフト領域134は、トレンチ122の側面123において、側面絶縁膜124b及び底部絶縁膜124aに接している。ドリフト領域134は、ボディ領域132の下側で側面絶縁膜124b及び底部絶縁膜124aに接している。
【0038】
ドレイン領域135は、n型領域である。ドレイン領域135は、ドリフト領域134よりも高いn型不純物濃度を有している。ドレイン領域135は、ドリフト領域134の下側に配置されている。ドレイン領域135は、半導体基板112の下面112bに露出している。ドレイン領域135は、下部電極172にオーミック接触している。
【0039】
各底部領域136は、p型領域である。
図5及び
図6に示すように、各底部領域136は、対応するトレンチ122の底面に露出する範囲に配置されている。各底部領域136は、対応するトレンチ122の底面において、底部絶縁膜124aに接している。各底部領域136は、対応するトレンチ122の底面に沿ってy方向に長く伸びている。各底部領域136の周囲は、ドリフト領域134に囲まれている。接続領域138が形成されている箇所を除いて、各底部領域136は、ドリフト領域134によってボディ領域132から分離されている。
【0040】
各接続領域138は、p型領域である。
図5に示すように、各接続領域138は、対応するトレンチ122の側面123に露出する範囲に配置されている。各接続領域138は、対応するトレンチ122の側面123において、側面絶縁膜124b及び底部絶縁膜124aに接している。各接続領域138は、トレンチ122の側面123に沿ってz方向に伸びている。
図4に示すように、各トレンチ122に対して、複数の接続領域138がy方向に間隔を空けて配置されている。
図5に示すように、接続領域138の上端は、メインボディ領域132bに接続されている。接続領域138の下端は、底部領域136に接続されている。すなわち、接続領域138によって、ボディ領域132と底部領域136が接続されている。接続領域138は、第1接続領域142と、第2接続領域144と、第3接続領域146と、第4接続領域148を有している。
【0041】
図5に示すように、各接続領域138は、トレンチ122の第1側面123aに接する範囲において、第1接続領域142及び第2接続領域144を有している。トレンチ122の第1側面123aに接する範囲では、第1接続領域142が接続領域138の上部を構成しており、第2接続領域144が接続領域138の下部を構成している。第1接続領域142の上端は、メインボディ領域132bに接続されている。第1接続領域142の幅(すなわち、第1側面123aからx方向に伸びる距離)は、第2接続領域144の幅よりも広い。また、各接続領域138は、トレンチ122の第2側面123bに接する範囲において、第3接続領域146及び第4接続領域148を有している。トレンチ122の第2側面123bに接する範囲では、第3接続領域146が接続領域138の上部を構成しており、第4接続領域148が接続領域138の下部を構成している。第3接続領域の上端は、第2接続領域144の下端及び段差部140に接続されており、第4接続領域148の下端は、底部領域136に接続されている。第3接続領域146の幅(すなわち、第2側面123bからx方向に伸びる距離)は、第4接続領域148の幅よりも広い。また、第3接続領域146のx方向におけるゲート絶縁膜124とは反対側の端部の位置と、第2接続領域144のx方向におけるゲート絶縁膜124とは反対側の端部の位置とが、略一致している。なお、第3接続領域146のx方向におけるゲート絶縁膜124とは反対側の端部の位置が、第2接続領域144のx方向におけるゲート絶縁膜124とは反対側の端部の位置よりもゲート絶縁膜124に近い側に位置していてもよい。
【0042】
第1接続領域142及び第3接続領域146には、ボロン(B)が含まれている。また、第2接続領域144及び第4接続領域148には、アルミニウム(Al)が含まれている。
【0043】
次に、MOSFET100の動作について説明する。MOSFET100の使用時には、MOSFET100と負荷(例えば、モータ)と電源が直列に接続される。MOSFET100と負荷の直列回路に対して、電源電圧が印加される。MOSFET100のドレイン側(下部電極172)がソース側(上部電極170)よりも高電位となる向きで、電源電圧が印加される。ゲート電極126にゲートオン電位(ゲート閾値よりも高い電位)を印加すると、側面絶縁膜124bに接する範囲のメインボディ領域132bにチャネル(反転層)が形成され、MOSFET100がオンする。ゲート電極126にゲートオフ電位(ゲート閾値以下の電位)を印加すると、チャネルが消滅し、MOSFET100がオフする。
【0044】
MOSFET100がオフすると、ドリフト領域134とp型領域(すなわち、ボディ領域132、接続領域138及び底部領域136)の界面のpn接合に逆電圧が印加される。このため、そのpn接合からドリフト領域134に空乏層が広がる。空乏化したドリフト領域134によって、ボディ領域132とドレイン領域135の間の電圧が保持される。特に、底部領域136からその周囲に空乏層が広がることで、トレンチ122の下端近傍における電界集中が抑制される。また、ボディ領域132よりも下側において、トレンチ122の側面123が、段差部140を有している。段差部140を設けることで、トレンチ122の下端の角部と段差部140とに電界集中箇所が分散する。このため、MOSFET100では、トレンチ122の下端の角部の電界をより好適に緩和することができる。
【0045】
また、MOSFET100がオフすると、接続領域138とドリフト領域134の界面のpn接合にも逆電圧が印加される。すると、そのpn接合から接続領域138内に空乏層が広がる。MOSFET100では、第1側面123aでは第1接続領域142の幅よりもその下側の第2接続領域144の幅が狭い。また、第2側面123bでは第3接続領域146の幅よりもその下側の第4接続領域148の幅が狭い。すなわち、第1側面123aと第2側面123bのそれぞれにおいて、下側ほど接続領域138の幅が狭くなっている。また、MOSFET100では、第2接続領域144のx方向におけるゲート絶縁膜124とは反対側の端部の位置と、第3接続領域146のx方向におけるゲート絶縁膜124とは反対側の端部の位置とが、略一致している。
図7は、MOSFET100がオフしている状態における空乏層200と非空乏層202(空乏化していない領域)の分布を示している。
図7において、斜線でハッチングされた半導体領域が非空乏層202であり、ハッチングされていない半導体領域が空乏層200である。MOSFET100では、第1側面123aと第2側面123bのそれぞれにおいて下側ほど接続領域138の幅が狭くなっているので、空乏層200と非空乏層202の界面が、第1側面123aの深さから第2側面123bの深さまで滑らかに伸びやすい。このように界面が滑らかな非空乏層202によって段差部140が覆われるので、段差部140での電界集中を緩和することができる。このように、MOSFET100によれば、トレンチ122近傍における電界集中を緩和することができる。
【0046】
次に、MOSFET100の製造方法について説明する。まず、
図8に示すように、n型のドレイン領域135と、ドレイン領域135上に配置されたn型のドリフト領域134と、ドリフト領域134上に配置されたp型のメインボディ領域132bと、メインボディ領域132b上に配置されたp型のコンタクト領域132a及びn型のソース領域130を有する半導体基板112xを準備する。ドリフト領域134、メインボディ領域132b、コンタクト領域132a及びソース領域130は、イオン注入やエピタキシャル成長等の従来公知の方法によって形成することができる。
【0047】
次に、
図9に示すように、開口部180aを有するマスク180を半導体基板112xの上面に形成する。開口部180aは、後の工程で形成されるトレンチ122(
図9では、二点鎖線によりトレンチ122が形成される範囲を示している。)の第2側面123bに接する範囲の接続領域138を形成すべき部分の上部に設けられる。マスク180は、例えば、酸化シリコンにより構成される。そして、マスク180を介して半導体基板112xの上面からp型不純物を注入する。半導体基板112xの上面がマスク180により覆われている範囲では、マスク180によってp型不純物の半導体基板112xへの注入が遮られる。ここでは、p型不純物としてアルミニウムを注入することにより、後に第4接続領域148となる領域148aを形成する。そして、p型不純物としてボロンを注入することにより、領域148aの上部に、後に第3接続領域146となる領域146aを形成する。p型不純物の注入深さは、p型不純物の照射エネルギーを変更することにより調整することができる。ここでは、領域148aのx方向の幅と、領域146aのx方向の幅は略等しくなるように形成される。具体的には、ここでは、形成すべき第4接続領域148の幅に合わせて各p型不純物を注入する。
【0048】
次に、
図10に示すように、開口部182aを有するマスク182を半導体基板112xの上面に形成する。開口部182aの幅は、形成すべきトレンチ122の第2側面123bの深さ位置におけるトレンチ122のx方向の幅と等しくなるように設けられる。マスク182は、例えば、酸化シリコンによって構成される。そして、開口部182a内の半導体基板112xの上面をエッチングすることによって、トレンチ122aを形成する。次に、
図11に示すように、トレンチ122aの内面を覆うように保護酸化膜184を形成する。そして、トレンチ122aの底面に保護酸化膜184を介してp型不純物を注入し、底部領域136を形成する。
【0049】
次に、保護酸化膜184及びマスク182を除去した後、
図12に示すように、トレンチ122a内を充填するように、開口部186aを有する埋め込み酸化膜186を形成する。開口部186aは、トレンチ122の第1側面123aに接する範囲の接続領域138を形成すべき部分の上部に設けられる。埋め込み酸化膜186は、例えば、酸化シリコンによって構成される。そして、埋め込み酸化膜186を介して半導体基板112xの上面からp型不純物を注入する。半導体基板112xの上面が埋め込み酸化膜186により覆われている範囲では、埋め込み酸化膜186によってp型不純物の半導体基板112xへの注入が遮られる。ここでは、p型不純物としてアルミニウムを注入することにより、後に第2接続領域144となる領域144aを形成する。そして、p型不純物としてボロンを注入することにより、領域144aの上部に、後に第1接続領域142となる領域142aを形成する。p型不純物の注入深さは、p型不純物の照射エネルギーを変更することにより調整することができる。ここでは、領域144aのx方向の幅と、領域142aのx方向の幅は略等しくなるように形成される。具体的には、ここでは、形成すべき第2接続領域144の幅に合わせて各p型不純物を注入する。
【0050】
次に、
図13に示すように、開口部188aを有するマスク188を半導体基板112xの上面及び埋め込み酸化膜186の上面に形成する。開口部188aは、x方向において、形成すべきトレンチ122の第1側面123aの位置から、トレンチ122aまでの範囲の上部に設けられる。マスク188は、例えば、酸化シリコンによって構成される。そして、開口部188a内の半導体基板112xの上面をエッチングすることによって、トレンチ122bを形成する。トレンチ122a及びトレンチ122bがトレンチ122となる。トレンチ122a及びトレンチ122bにより、段差部140が形成される。
【0051】
その後、マスク188及び埋め込み酸化膜186を除去し、半導体基板112xをアニールする。これにより、
図14に示すように、領域142a、144a、146a及び148aに注入されたp型不純物(ボロン及びアルミニウム)が活性化し、接続領域138(すなわち、第1接続領域142、第2接続領域144、第3接続領域146及び第4接続領域148)が形成される。ここで、第1接続領域142及び第3接続領域146に注入したボロンは、第2接続領域144及び第4接続領域148に注入したアルミニウムよりも、アニールによる拡散距離が長い。すなわち、半導体基板112xのアニールを実施すると、ボロンは、アルミニウムよりも半導体基板112x中に広範囲に広がる。このため、第1側面123aに接する範囲では、第2接続領域144よりも幅が広い第1接続領域142が形成され、第2側面123bに接する範囲では、第4接続領域148よりも幅が広い第3接続領域146が形成される。
【0052】
その後、
図15に示すように、トレンチ122の底面上に底部絶縁膜124aを形成する。次いで、底部絶縁膜124aの上側のトレンチ122の側面を覆うように、側面絶縁膜124bを形成する。次いで、底部絶縁膜124aと側面絶縁膜124bの形成後のトレンチ122の内部にゲート電極126を形成する。ゲート電極126は、接続領域138が設けられていない断面において、ゲート電極126の下端がボディ領域132の下側に位置するように形成される。
【0053】
その後、従来公知の方法で層間絶縁膜128、上部電極170及び下部電極172を形成することによって、
図4~6のMOSFET100が完成する。
【0054】
なお、上述した実施例2では、ボディ領域132よりも下側におけるトレンチ122の短手方向の側面123が、段差部140によって互いに接続される第1側面123aと第2側面123bの2段の側面により構成されていた。しかしながら、ボディ領域132よりも下側におけるトレンチ122の短手方向の側面123が、2段よりも多くの側面によって構成されていてもよい。例えば、
図16に示すように、ボディ領域132よりも下側におけるトレンチ122の短手方向の側面123が、段差部141によって第2側面123bに接続される第3側面123cをさらに有していてもよい。この場合、第3側面123cでトレンチ122に接している接続領域138は、第5接続領域150と、第5接続領域150の下側に位置するとともに、第5接続領域150よりも狭い幅を有する第6接続領域152を有することができる。第5接続領域150のx方向におけるゲート絶縁膜124とは反対側の端部の位置と、第6接続領域152のx方向におけるゲート絶縁膜124とは反対側の端部の位置とは、略一致してもよい。また、第5接続領域150にはボロンが含まれてもよく、第6接続領域152にはアルミニウムが含まれてもよい。
【0055】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0056】
10:MOSFET
12:半導体基板
22:トレンチ
24:ゲート絶縁膜
26:ゲート電極
28:層間絶縁膜
30:ソース領域
32:ボディ領域
32a:コンタクト領域
32b:メインボディ領域
34:ドリフト領域
35:ドレイン領域
36:底部領域
38:緩和領域
70:上部電極
72:下部電極
100:MOSFET
112:半導体基板
122:トレンチ
123:側面
123a:第1側面
123b:第2側面
123c:第3側面
124:ゲート絶縁膜
126:ゲート電極
128:層間絶縁膜
130:ソース領域
132:ボディ領域
132a:コンタクト領域
132b:メインボディ領域
134:ドリフト領域
135:ドレイン領域
136:底部領域
138:接続領域
140:段差部
142:第1接続領域
144:第2接続領域
146:第3接続領域
148:第4接続領域
150:第5接続領域
152:第6接続領域
170:上部電極
172:下部電極