IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特許7405233画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム
<>
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図1
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図2
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図3
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図4
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図5
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図6
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図7
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図8
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図9
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図10
  • 特許-画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/015 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
G08G1/015 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022501460
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2020006423
(87)【国際公開番号】W WO2021166098
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 道彦
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-233525(JP,A)
【文献】特開2016-157224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を撮影した画像から前記車両の外観のタイプがトラック型、バス型、normalのいずれであるかを判別する形状判別手段と、
前記車両の外観のタイプに応じて、カメラを用いて前記車両を第1の距離から撮影した第1画像、または同一の前記カメラを用いて前記車両を第2の距離から撮影した第2画像に基づいて前記車両の車種を分類する分類手段と、を備え、
前記車両の外観のタイプが前記トラック型であり、かつ、前記車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に前記車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、前記分類手段は、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類する
画像処理装置。
【請求項2】
前記形状判別手段は、前記車両の車種ごとの大きさおよび形状を機械学習した学習モデルを使用して、前記車両の外観のタイプを判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記車両の車軸が少なくとも2以上、前記車両の長さ方向の前半に存在する場合、前記分類手段は、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記分類手段は、
前記第1画像から前記車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出手段と、
前記第2画像から前記車両のホイールの領域を検出するホイール検出手段と、
前記ナンバープレートの検出結果または前記ホイールの検出結果に基づいて、前記車両の車種を識別する識別手段とを備えた
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記車両の外観のタイプが前記normalである場合、
前記識別手段は、
前記ナンバープレートに示された記号および前記ナンバープレートの色に基づいて、前記車両の車種を識別する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記車両の外観のタイプが前記トラック型である場合、
前記識別手段は、
前記ホイールの検出結果から導かれる前記車両の車軸の数および前記車両のタイヤの数に基づいて、前記車両の車種を識別する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記識別手段は、
前記車両の外装に顕れている特徴に基づいて、前記車両の車種を識別する
請求項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
車両を撮影した画像から前記車両の外観のタイプがトラック型、バス型、normalのいずれであるかを判別し、
前記車両の外観のタイプに応じて、カメラを用いて前記車両を第1の距離から撮影した第1画像、または同一の前記カメラを用いて前記車両を第2の距離から撮影した第2画像に基づいて前記車両の車種を分類し、
前記車両の外観のタイプが前記トラック型であり、かつ、前記車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に前記車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類する
画像処理方法。
【請求項9】
車両を撮影した画像から前記車両の外観のタイプがトラック型、バス型、normalのいずれであるかを判別する手順
前記車両の外観のタイプに応じて、カメラを用いて前記車両を第1の距離から撮影した第1画像、または同一の前記カメラを用いて前記車両を第2の距離から撮影した第2画像に基づいて前記車両の車種を分類する手順、
前記車両の外観のタイプが前記トラック型であり、かつ、前記車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に前記車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類する手順、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、および記録媒体に関し、特に、車両を撮影した画像から車種を判別する画像処理装置、画像処理方法、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の通行料金を課金したり、通行量を把握したりする目的で、道路を走行する車種の識別(判定)が日常的に行われている。関連する技術では、カメラまたはレーザスキャナによって車両を撮像し、車両の車軸の数や車高、および車幅を計測する。そして、関連する技術では、計測結果に基づいて、撮像した車両の車種を判別する。
【0003】
また、特許文献1に記載の関連する技術では、車両全体の形状を示す1枚の画像である全景画像から車軸を検出し、車軸の数および車軸間の距離をそれぞれ算出する。そして、特許文献1に記載の関連する技術では、車軸の数および車軸間の距離に基づいて、車両の車種を判別する。
【0004】
特許文献2には、一台のカメラで撮影した1枚の画像を使って、車両のナンバープレートを検出し、車両検知および車番認識する車両検知・車番認識システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-220076号公報
【文献】特開2004- 94412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の関連する技術では、カメラの向きおよび画角によって、遠近法により全景画像中に車軸が小さく映るため、全景画像に基づいて、車軸の数を正確にカウントできない場合がある。その結果、特許文献1に記載の関連する技術では、車両の車種を判別することに失敗する可能性がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両を撮影した画像から車種を判別する精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係わる画像処理装置は、車両を撮影した画像から前記車両の外観のタイプを判別する形状判別手段と、前記車両の車軸の数に基づいて、前記車両の車種を分類する分類手段とを備え、前記車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に前記車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、前記分類手段は、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類する。
【0009】
本発明の一態様に係わる画像処理方法は、車両を撮影した画像から前記車両の外観のタイプを判別し、前記車両の車軸の数に基づいて、前記車両の車種を分類し、前記車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に前記車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類する。
【0010】
本発明の一態様に係わる記録媒体は、車両を撮影した画像から前記車両の外観のタイプを判別することと、前記車両の車軸の数に基づいて、前記車両の車種を分類することと、前記車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に前記車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類することとをコンピュータに実行させるためのプログラムを格納している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、車両を撮影した画像から車種を判別する精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係わる撮像システムの構成を示す概略図である。
図2】実施形態1に係わる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図3】対象車両の車種(Class)の分類を示す図である。
図4】実施形態2に係わる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図5】実施形態2に係わる撮像システムのカメラが撮影した第1画像(具体的には、Frame1)の一例を示す図である。
図6】実施形態2に係わる撮像システムのカメラが撮影した第2画像(具体的には、Frame2)の一例を示す図である。
図7】実施形態2に係わる画像処理装置の動作を示すフローチャートの一部である。
図8】実施形態2に係わる撮像システムのカメラが撮影した第2画像の一例を示す図である。
図9】対象車両の模式図であり、対象車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割する一例を示す図である。
図10】実施形態2に係わる画像処理装置の動作を示すフローチャートの他の一部である。
図11】実施形態1~2に係わる画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
図1図3を参照して、実施形態1について以下で説明する。
【0014】
(撮像システム)
図1は、料金所ゲートを上から見下ろす俯瞰図である。図1を参照して、対象車両を撮影するカメラ20を備えた撮像システムについて説明する。
【0015】
図1に示すように、料金所ゲートのレーンの間には対象車両がある。対象車両は、図1に示す矢印の方向、すなわち図面の下から上に向かって、レーンの間を通行している。料金所ゲートのレーン上には、対象車両と対向する向きに、一台のカメラ20が設置されている。カメラ20は、対象車両が走行するレーンの間の領域の少なくとも一部を視野に含むように配置されている。例えば、カメラ20は、地上高3mの位置に、レンズをやや下向きにさせた状態で固定される。カメラ20は、本実施形態1に係わる画像処理装置10(図2)と接続されている。
【0016】
対象車両がレーンの間を通過している間、カメラ20は、対象車両の前方から対象車両を撮影する。カメラ20は、対象車両を撮影した動画あるいは連続する静止画の画像データを、画像処理装置10へ送信する。カメラ20が画像処理装置10へ送信する画像データは、カメラ20へ接近中の対象車両を異なる距離から撮影した複数の画像(一例では、動画の複数のフレーム画像)のデータである。以下では、複数の画像を、Frame1~nと記載する。“Frame”の後に続く数字が小さいほど、カメラ20が先に撮影した画像である。カメラ20が画像処理装置10へ送信する画像データは、第1画像(図1では“Frame1”)および第2画像(図1では“Frame-2”)を少なくとも含む。形状判別部11は、Frame1~nを、Frame1~m-1(m>1)と、Frame_m~n(n>m>1)とに分ける。形状判別部11は、Frame1~m-1(m>1)を用いて、対象車両の車種を判別する。Frame1~m-1(m>1)のうち、形状判別部11が対象車両の車種を判別する精度(検出スコアとも呼ぶ)が最も高くなる1枚の画像を、第1画像と呼ぶ。上述したように、第1画像は、対象車両を第1の距離から撮影することによって得られる。また、形状判別部11は、Frame_m~n(n>m>1)を用いて、対象車両の車種を判別する。Frame_m~n(n>m>1)のうち、形状判別部11が対象車両の車種を判別する精度が最も高くなる1枚の画像を、第2画像と呼ぶ。第2画像は、対象車両を第2の距離から撮影することによって得られる。そして、第1の距離は第2の距離よりも遠い。なお、第1画像は、Frame1~m-1(m>1)のいずれかであればよい。第2画像は、Frame_m~n(n>m>1)のいずれかであればよい。
【0017】
カメラ20は、対象車両を撮影することによって得た第1画像および第2画像を少なくとも含む画像データを、画像処理装置10へ直接的または間接的に送信する。例えば、カメラ20は、無線でインターネットに接続し、クラウドサーバ(図示せず)に画像データをアップロードする。画像処理装置10は、クラウドサーバから、画像データをダウンロードしてから、画像データに対する画像処理をオフラインで行ってもよい。あるいは、画像処理装置10は、オンラインで画像処理を行ってもよい。この場合、画像処理装置10は、インターネット上にあるソフトウェアの機能(例えばWebサービス)として実現される。
【0018】
(画像処理装置10)
図2は、本実施形態1に係わる画像処理装置10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理装置10は、形状判別部11、および分類部12を備えている。
【0019】
形状判別部11は、車両を撮影した画像から車両の外観のタイプを判別する。形状判別部11は、形状判別手段の一例である。車両の外観のタイプは、バス型、トラック型、およびそれ以外(“normal”と呼ぶ)の3つである。
【0020】
具体的には、形状判別部11は、カメラ20(図1)の視界から見た車両の見かけ上の変形および伸縮を考慮して、画像内での座標系を、実空間での座標系に変換する。これにより、形状判別部11は、カメラ20の視界から見た車両の見かけ上の変形および伸縮を補正し、実際の(変形していない)車両の形状および大きさを算出できる。そして、形状判別部11は、実際の(変形していない)車両の形状および大きさに基づいて、車両の外観のタイプを判別することができる。
【0021】
次に、形状判別部11は、図示しない記憶部から、車両の外観のタイプごとの特徴を学習した学習モデル(学習済モデルとも呼ぶ)を取得する。学習モデルは、学習済みパラメータを組み込まれたプロセッサによって実行されるプログラムである。一例では、学習モデルは、大量の学習用データ(すなわちサンプル画像)を用いた機械学習を識別器が実行することによって生成される。識別器は、料金所ゲートに設置されたカメラ20によって車両を撮影して得られた画像データを、学習モデルに入力する。識別器は、サンプル画像データを用いて、車両の外観の特徴を学習モデルに分析させ、車両の外観のタイプを学習モデルに学習させる。車両の外観の特徴とは、具体的には、車両の形状および大きさである。しかしながら、車両の外観の特徴は、それら以外の要素も含んでいてよい。
【0022】
形状判別部11は、識別器により生成された学習モデルを受信する。あるいは、形状判別部11は、学習モデルに学習させる識別器の機能を備えていてもよい。
【0023】
その後、形状判別部11は、ある車両(以下では、対象車両と呼ぶ)を撮影した画像データに対し、上述した座標変換を行った後、座標変換された画像データを学習モデルに入力する。そして、形状判別部11は、学習モデルの出力に基づいて、対象車両の外観のタイプを識別し、外観のタイプを示す情報を取得する。形状判別部11は、対象車両の外観のタイプを示す情報を、分類部12へ送信する。また、形状判別部11は、カメラ20から取得した画像データを、分類部12へ送信する。
【0024】
形状判別部11が分類部12へ送信する画像データは、対象物体が撮影された第1画像および第2画像のデータを少なくとも含む。第1画像は、対象車両からカメラ20が遠く離れているときにカメラ20で撮影された画像であり、第2画像は、対象車両の近くから同じカメラ20で撮影された画像である。言い換えれば、カメラ20が第1画像(Frame1~m-1のいずれか)を撮影したときのカメラ20と対象車両との第1の距離は、カメラ20が第2画像(Frame_m~nのいずれか)を撮影したときのカメラ20と対象車両との第2の距離よりも遠い。なお、ここでの「近い」「遠い」は相対的な概念であって、具体的な距離の幅を示すものではない。
【0025】
分類部12は、車両(ここでは対象車両)の車軸の数に基づいて、車両の車種を分類する。車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、分類部12は、3つ以上の軸を備えた車種に車両を分類する。分類部12は、分類手段の一例である。
【0026】
具体的には、分類部12は、形状判別部11から、対象車両の外観のタイプを示す情報を取得する。また、分類部12は、形状判別部11から、第1画像および第2画像を少なくとも含む複数の画像のデータを取得する。
【0027】
分類部12は、対象車両の外観のタイプに応じて、車両を異なる距離から撮影した複数の画像(ここでは動画の複数のフレーム画像)のいずれかに基づいて、対象車両の車種を分類する。本実施形態1では、対象車両の車種は6つのClassに分類される。
【0028】
図3は、Class1~6と車両の車種との対応関係を示す。図3に示す例では、Class1は、乗用車である。Class2は、小型トラック(2軸以下のトラック)である。Class3は、大型トラック(3軸以上のトラック)である。Class4はタクシーである。Class5は、バスである。Class6は、消防車およびパトカーなどの緊急車両である。
【0029】
対象車両の外観が「normal」である場合、分類部12は、車両を第1の距離から撮影した第1画像に基づいて、対象車両の車種を分類する。また、対象車両の外観が「トラック型」である場合、分類部12は、車両を第2の距離から撮影した第2画像に基づいて、対象車両の車種を分類する。一方、対象車両の外観が「バス型」である場合、分類部12は、対象車両の車種はClass5(図3)に属すると分類する。
【0030】
具体的には、対象車両の外観が「normal」タイプである場合、分類部12は、対象車両の遠くから識別できる情報を、第1画像から抽出する。例えば、対象車両の遠くから識別できる情報は、対象車両のバンパーに装着されたナンバープレートに示される記号である。一方、対象車両の外観が「トラック型」である場合、分類部12は、対象車両の近くから識別できる情報を、第2画像から抽出する。例えば、対象車両の近くから識別できる情報は、対象車両に装着されたホイールの形状である。
【0031】
特に、対象車両の外観が「トラック型」である場合、分類部12は、第2画像を用いて、対象車両のホイールの領域を検出し、ホイールの領域の検出結果(以下では、ホイールの検出結果と記載)を用いて、車軸数をカウントする。対象車両の車軸が3つ以上ある場合、分類部12は、対象車両をClass3(図3)すなわち大型トラック(例えばトレーラ)に分類する。
【0032】
しかしながら、カメラ20から見た視界、すなわち第2画像において、遠近法によって、対象車両の第3軸のホイールが第1軸および第2軸の各ホイールよりもきわめて小さい場合がある。このため、分類部32は、第2画像から、第3軸のホイールの領域を検出できず、対象車両の第3軸の有無を識別できない場合がある。なお、ここでいう第1軸、第2軸、第3軸とは、対象車両の先頭から、最後尾に向かって、車軸を数えて言った場合における車軸の番号である。
【0033】
そこで、対象車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に対象車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合も、分類部12は、対象車両をClass3に分類する。言い換えれば、分類部12は、対象車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に対象車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、対象車両の第3軸が存在するとみなす。
【0034】
これにより、分類部32は、第2画像から、対象車両の第3軸の有無を識別できない場合であっても、対象車両の車種を推測することができる。一定の割合は、例えば、前側:後側=1:1である。その理由は、対象車両の第2軸が対象車両の前半にある場合、すなわち、対象車両の前半に車軸が少なくとも2以上存在する場合、対象車両の後半を支える第3軸が存在する可能性が高いからである。しかしながら、一定の割合は、ここで挙げた例に限られず、適宜決められてよい。
【0035】
なお、対象車両の外観が「normal」である場合において、分類部12が対象車両の車種を識別する手法の具体例を、実施形態2において後述する。しかしながら、分類部12は、対象車両を第1の距離から撮影した第1画像に基づいて、どのような手法で対象車両の車種を識別してもよい。
【0036】
関連する技術では、1枚の画像を用いて、対象車両を検知し、同じ画像を分析することによって、対象車両の車種を識別している。しかしながら、この方法では、画像中で、対象車両を識別するための情報が小さすぎたり、画像に映っていなかったりする場合がある。一方、本実施形態1に係わる画像処理装置10は、対象車両の外観に応じて、第1画像と第2画像とを使い分けすることによって、対象車両を高精度に識別することを可能にする。
【0037】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、形状判別部11は、車両を撮影した画像から車両の外観のタイプを判別する。対象車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に対象車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、分類部12は、対象車両をClass3(大型トラックに対応)に分類する。言い換えれば、分類部12は、対象車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に対象車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、対象車両の第3軸が存在するとみなす。
【0038】
これにより、分類部32は、第2画像から、対象車両の第3軸の有無を識別できない場合であっても、対象車両の車種を推測することができる。
【0039】
さらに、本実施形態の構成によれば、形状判別部11は、車両を撮影した画像から車両の外観のタイプを判別し、分類部12は、車両の外観のタイプに応じて、車両を異なる距離から撮影した複数の画像に基づいて、車両の車種を分類する。
【0040】
関連する技術では、1枚の画像を用いて、対象車両を検知し、同じ画像を分析することによって、対象車両の車種を識別している。しかしながら、この方法では、画像中で、対象車両を識別するための情報が小さすぎたり、画像に映っていなかったりする場合がある。一方、本実施形態1に係わる画像処理装置10は、車両の外観のタイプに応じて、車両を第1の距離から撮影した第1画像(Frame1~m-1のいずれか)と、車両を第2の距離から撮影した第2画像(Frame_m~nのいずれか)とを使い分けるので、車両を撮影した画像から車種を判別する精度を向上させることができる。
【0041】
加えて、本実施形態に係わる撮像システムは、1台だけのカメラ20で実現することができる。したがって、複数台のカメラで実現される撮像システムと比較して、カメラの設置に要するコストを削減でき、またメンテナンスコストも削減できるというメリットがある。さらに、撮像システムから画像処理装置10へ送信される画像のデータ量も、関連する撮像システムよりも少ないので、通信に係るリソースを節約できる。
【0042】
〔実施形態2〕
図4図10を参照して、実施形態2について以下で説明する。
【0043】
本実施形態2に係わる画像処理装置30の構成は、前記実施形態1に係わる画像処理装置10とは異なる。本実施形態2に係わる撮像システムの構成は、前記実施形態1と同様である。
【0044】
(画像処理装置30)
図4は、本実施形態2に係わる画像処理装置30の構成を示すブロック図である。図4に示すように、画像処理装置30は、形状判別部31および分類部32を備えている。分類部32は、ナンバープレート検出部321(以下では、NP(Number Plate)検出部321と記載する)、ホイール検出部322、および識別部323を備えている。
【0045】
形状判別部31は、車両を撮影した画像から車両の外観のタイプを判別する。形状判別部31は、形状判別手段の一例である。
【0046】
具体的には、形状判別部31は、前記実施形態1の形状判別部11と同様に、学習モデルを用いて、対象車両の外観のタイプを判別する。形状判別部31は、対象車両を撮影した画像データを学習モデルに入力する。そして、形状判別部31は、学習モデルの出力から、対象車両の外観のタイプを示す情報を取得する。外観の3つのタイプは、「normal」タイプ(第1のタイプと呼ぶ)、「トラック型」(第2のタイプと呼ぶ)、および「バス型」(第3のタイプと呼ぶ)である。
【0047】
また、形状判別部31は、カメラ20(図1)から、対象車両を異なる距離から撮影した複数の画像として、第1画像および第2画像を少なくとも含む画像データを取得する。前記実施形態1で説明したように、第1画像は、車両(ここでは対象車両)の遠くからカメラ20で撮影された画像であり、第2画像は、車両の近くから同じカメラ20で撮影された画像である。
【0048】
形状判別部31は、第1画像(図4では、“Frame1”)を分類部32のNP検出部321へ送信し、第2画像(図4では、“Frame2”)を分類部32のホイール検出部322へ送信する。
【0049】
図5は、形状判別部31からNP検出部321へ送信される第1画像の一例を示す。図5に例示する第1画像において、対象車両は斜め左下方向へ向かって通行している。第1画像中、対象車両を囲む大きな枠の中の小さな枠は、対象車両に装着されたナンバープレートの領域を示す。
【0050】
図6は、形状判別部31からホイール検出部322へ送信される第2画像の一例を示す。図6に例示する第2画像において、枠で囲んで示す領域P0は、対象車両全体の領域である。領域P1は、対象車両の側面(特にドアがある部分)の領域である。また領域P4、P5は、それぞれ、対象車両の前輪のホイール、後輪のホイールの各領域を示す。
【0051】
NP検出部321は、第1画像から車両(ここでは対象車両)のナンバープレートの領域(図5)を検出する。NP検出部321は、ナンバープレート検出手段の一例である。ナンバープレートは、当局に登録された自動車を識別するための標識である。一般的なナンバープレートには、記号(文字、符号、および数字を含む)が記載されている。ナンバープレートはライセンスプレートと呼ばれる場合もある。
【0052】
ホイール検出部322は、第2画像から車両(ここでは対象車両)のホイールの領域を検出する。ホイール検出部322は、ホイール検出手段の一例である。一例では、ホイール検出部322は、ホイールの特徴(例えば、形状、色、装飾)を学習した学習モデルを用いて、対象車両全体の領域P0から、前後のホイールの領域P4、P5を検出する。
【0053】
識別部323は、ナンバープレートの検出結果またはホイールの検出結果に基づいて、車両(ここでは対象車両)の車種を識別する。具体的には、対象車両の外観が第1のタイプである場合、識別部323は、ナンバープレートの検出結果に基づいて、対象車両の車種を識別し、対象車両の外観が第2のタイプである場合、識別部323は、ホイールの検出結果に基づいて、対象車両の車種を識別する。
【0054】
より詳細には、対象車両の外観が第1のタイプである場合、識別部323は、ナンバープレートに示された記号およびナンバープレートの色に基づいて、対象車両の車種を識別する。また、対象車両の外観が第2のタイプである場合、識別部323は、対象車両の車軸の数および対象車両のタイヤの数に基づいて、対象車両の車種を識別する。一方、対象車両の外観が第3のタイプである場合、識別部323は、対象車両がClass5(図3)に属すると識別する。
【0055】
(画像処理装置30の動作)
図7を参照して、本実施形態2に係わる画像処理装置30の動作について説明する。図7は、画像処理装置30の各部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0056】
図7に示すように、まず、形状判別部31は、カメラ20から、第1画像および第2画像を少なくとも含む複数の画像の画像データを取得する(S1)。
【0057】
形状判別部31は、対象車両を撮影した画像から車両の外観のタイプを判別する(S2)。具体的には、形状判別部31は、対象車両が「normal」タイプ(第1のタイプ)であるか、「トラック型」(第2のタイプ)であるか、それとも「バス型」(第3のタイプ)であるかを判別する。
【0058】
形状判別部31は、対象車両の外観のタイプの判別結果を、分類部32の各部、すなわちNP検出部321、ホイール検出部322、および識別部323へそれぞれ通知する。形状判別部31は、カメラ20から取得した画像データに含まれる第1画像のデータを、NP検出部321へ送信する。また、形状判別部31は、カメラ20から取得した画像データに含まれる第2画像のデータを、ホイール検出部322へ送信する。さらに、形状判別部31は、第1画像および第2画像を少なくとも含む複数の画像のデータを、識別部323へ送信する。
【0059】
NP検出部321は、形状判別部31から、対象車両の外観のタイプの判別結果を受信する。対象車両の外観が第1のタイプである場合(S2で“Z”)、NP検出部321は、形状判別部31から受信した第1画像から、対象車両のナンバープレートを検出する(S3)。
【0060】
その後、NP検出部321は、第1画像におけるナンバープレートの領域から、ナンバープレートに含まれる各種の記号(文字、符号、および数字を含む)を検出するとともに、ナンバープレートそのものの特徴(具体的には、記号および/または背景の色)を抽出する。NP検出部321は、このようにして取得したナンバープレートに係わる情報(図4では、NP情報)を識別部323へ送信する。NP情報は、ナンバープレートに示された記号、および、ナンバープレートの色に関する情報を含む。
【0061】
ホイール検出部322は、形状判別部31から、対象車両の外観のタイプの判別結果を受信する。対象車両の外観が第2のタイプである場合(S2で“X”)、ホイール検出部322は、形状判別部31から受信した第2画像から、対象車両のホイールの領域を検出する(S5)。
【0062】
その後、ホイール検出部322は、対象車両のホイールの数をカウントする(S6)。すなわち、ホイール検出部322は、第2画像に含まれるホイール領域の数をカウントする。ホイール検出部322は、対象車両のホイールの数を示す情報(図4ではホイール情報)を、識別部323へ送信する。
【0063】
識別部323は、形状判別部31から、第1画像および第2画像を少なくとも含む複数の画像のデータを受信する。対象車両の外観が第2のタイプである場合(S2で“X”)、識別部323は、ホイール検出部322から、ホイール情報を受信する。識別部323は、ホイール情報に基づいて、対象車両の車軸は3つ以上であるかどうかを判定する(S7)。対象車両の車軸は3つ以上ある場合(S7でYes)、識別部323は、対象車両がClass3(図3)に属すると識別する。
【0064】
一方、対象車両の車軸は2つ(すなわち3つ未満)である場合(S7でNo)、識別部323は、対象車両の車軸が少なくとも2以上、対象車両の前半(1/2)に存在するかどうかを判定する(S75)。
【0065】
ここで、対象車両の車軸は2つであると識別部323が識別した場合であって、対象車両の第2軸が対象車両の前半分にある場合として、識別部323が対象車両の第3軸以降を(実際には存在するにも関わらず)識別することに失敗した場合があり得る。例えば、トレーラー(トレーラーヘッドに荷台が連結された車両のこと)は、前後方向にとても長いので、第2画像において、第3軸に装着されたホイールの領域が小さすぎる場合がある。この場合、ホイール検出部322は、第3軸に装着されたホイールを検出できず、識別部323は、対象車両(トレーラー)の車軸は2つであると誤って識別する。
【0066】
図8および図9を参照して、ステップS75の詳細を説明する。図8は、カメラ20が撮影した第2画像の一例を示す図である。図8に示すように、まず、識別部323は、第2画像から、対象車両の前端部および後端部を検出する。例えば、識別部323は、図8を見る人から見て、対象車両の正面の右側端部(具体的には、対象車両の左ヘッドライトあるいは左サイドミラーの領域)を、対象車両の前端部として検出する。また、識別部323は、図8を見る人から見て、対象車両の側面の右側端部を、対象車両の後端部として検出する。
【0067】
なお、第2画像において、対象車両の向き(通行方向)が逆である場合、識別部323は、まず第2画像の左右を反転する。これにより、識別部323は、上述した手法によって、対象車両の前端部および後端部を検出できる。
【0068】
図8に示すように、識別部323は、図8を見る人から見て(つまり対象車両に向かって)、対象車両の右側面の上端および下端に沿って、2本の水平線を設定する。識別部323は、カメラ20の視界における対象物体の見かけ上の変形および伸縮を考慮して、図8を見る人から見て、対象車両の右側面を、対象物体の前半(1/2)と後半(1/2)に分割する。つまり、識別部323は、対象車両を前後方向に半分の長さに相当する位置で、対象車両を分割する。そして、識別部323は、対象車両の車軸が少なくとも2以上、対象車両の前半(1/2)に存在するかどうかを判定する。言い換えれば、識別部323は、対象車両の第2軸が、対象車両の前半(1/2)にあるかどうかを判定する。
【0069】
図9は、図8に示す対象車両の模式図である。図9は、対象車両を左側面(図8における向かって右の側面)側から見た図である。図9に示すように、対象車両の第2軸は、対象車両の前半(1/2)にある。したがって、この例では、識別部323は、対象車両がClass3(図3)に属すると識別する。
【0070】
識別部323は、第2画像のデータを画像分析することによって、対象車両のホイールに装着されたタイヤがダブルかシングルを判定する(S8)。ここで、ダブルタイヤ(ツインタイヤあるいはデュアルタイヤとも呼ばれる)は、一つのホイールに2つのタイヤが装着されていることを示す。一つあたりのタイヤに係る負荷を低減させるために、車重の大きい車両には、ダブルタイヤが装着される場合が多い。
【0071】
具体的には、ステップS8において、識別部323は、第2画像のデータから、対象車両のホイールの領域を検出し、ホイールに装着された外側のタイヤを検出する。そして、識別部323は、外側のタイヤよりも車体の内側に、外側のタイヤと近接するもう一つのタイヤがあるかどうかを判定する。外側のタイヤよりも車体の内側に、外側のタイヤと近接するもう一つのタイヤがある場合、識別部323は、対象車両がダブルタイヤを備えていると判定する。一方、外側のタイヤよりも車体の内側に、外側のタイヤと近接するもう一つのタイヤがない場合、識別部323は、対象車両がシングルタイヤを備えていると判定する。
【0072】
なお、外側のタイヤと内側のタイヤとの距離を正確に測定するために、識別部323は、前記実施形態1の形状判別部11と同様に、カメラ20の視界から見た車両の見かけ上の変形および伸縮を考慮して、第2の画像内での座標系を、実空間での座標系に変換する必要があるかもしれない。あるいは、第2の画像において、外側のタイヤの領域と内側のタイヤの領域とが部分的に重なっている場合、識別部323は、対象車両がダブルタイヤを備えていると判定してもよい。
【0073】
あるいは、ステップS8において、識別部323は、対象車両のホイールの形状に基づいて、対象車両のホイールに装着されたタイヤがシングルかダブルかを判定してもよい。一般的に、シングルタイヤは、側面が突出した凸形状のホイールに装着されている。一方、ダブルタイヤは、側面の中央部分が窪んだ凹形状のホイールに装着されている場合が多い。そこで、識別部323は、第2画像のデータから、ホイールの領域を検出し、検出したホイールの形状に関する特徴を抽出する。識別部323は、抽出したホイールの形状に関する特徴に基づいて、ホイールを凸形状または凹形状に分類する。そして、対象車両のホイールが凸形状である場合、識別部323は、対象車両がシングルタイヤを備えていると判定する。一方、対象車両のホイールが凹形状である場合、識別部323は、対象車両がダブルタイヤを備えていると判定する。
【0074】
ステップS8において、対象車両のホイールにダブルタイヤが装着されていると判定された場合(S8で“D”)、識別部323は、対象車両がClass2(図3)に属すると識別する。一方、ステップS8において、対象車両のホイールにシングルタイヤが装着されていると判定された場合(S8で“S”)、フローは、上述したステップS3へ移動する。
【0075】
また、対象車両の外観が第1のタイプである場合(S2で“Z”)、識別部323は、NP検出部321から、NP情報を受信する。識別部323は、NP情報を参照し、ナンバープレートに示された記号およびナンバープレートの色に基づいて、対象車両の車種を識別する。
【0076】
具体的には、識別部323は、ナンバープレートに記号「z」(小文字)が含まれるかどうか、ナンバープレート(背景色)が白色かどうか、をそれぞれ判定する(S4)。ナンバープレートに記号「z」が含まれる場合(S4で“A”)、識別部323は、対象車両がClass6(図3)に属すると識別する。また、ナンバープレート(背景色)が白色である場合(S4で“B”)、識別部323は、対象車両がClass4(図3)に属すると識別する。なお、ナンバープレートに記号「z」が含まれており、かつ、ナンバープレート(背景色)が白色である場合、識別部323は、対象車両がClass6(図3)に属すると識別する。
【0077】
一例では、識別部323は、パターンマッチングの手法(すなわち、登録された図形との比較)により、ナンバープレートに記号「z」が含まれるかどうかを判定する。また、識別部323は、第2画像におけるナンバープレートの領域の画素値に基づいて、ナンバープレート(背景色)が白色であるかどうかを判定する。
【0078】
それ以外の場合(S4で“C”)、すなわち、ナンバープレートに記号「z」が含まれておらず、またナンバープレート(背景色)が白色でもない場合、図10に示されるフローのステップS201へ移動する。
【0079】
一方、対象車両の外観が第3のタイプである場合(S2で“Y”)、識別部323は、対象車両がClass5(図3)に属すると識別する。
【0080】
図10は、ステップS4で“C”の場合における以降の処理の流れを示す。図10に示すように、識別部323は、第2画像から、対象車両の特徴を抽出する(S201)。ここでの特徴とは、対象車両の外装に顕れている特徴である。対象車両の特徴は、例えば、対象車両の外装に描かれた模様、色のパターン、記号またはその組み合わせである。他の例では、対象車両の特徴は、対象車両の外装に付着した標識または付帯した物体である。
【0081】
一例では、図6に示すように、識別部323は、第2画像から対象車両の全体領域P0を抽出する。さらに、識別部323は、対象車両の全体領域P0から、対象車両の側面の領域P1をさらに抽出する。そして、識別部323は、対象車両の側面の領域P1から、対象車両の特徴を抽出する。対象車両の属性や所属などを示す情報(例えば文字や紋章)は、対象車両の側面に示されている場合が多いからである。あるいは、識別部323は、対象車両の側面の領域P1の代わりに、対象車両のボンネットの領域や、対象車両の屋根の領域から、対象車両の特徴を抽出してもよい。
【0082】
識別部323は、ここで例示したような対象車両の外装に顕れている特徴に基づいて、対象車両の車種を識別する。識別部323は、まず、対象車両の外装に顕れている特徴に基づいて、対象車両の特徴が「バス」と合致するかどうかを判定する(S202)。例えば、識別部323は、あらかじめ登録された“BUS”の各文字の標準形と、対象車両の外装に記載されている文字とをそれぞれパターンマッチングし、パターンマッチングの結果から、対象車両の外装に“BUS”の文字が記載されているか否かを判定する。対象車両の外装に“BUS”の文字が記載されている場合、識別部323は、対象車両の特徴が「バス」と合致すると判定する(S202でYes)。
【0083】
あるいは、対象車両の外装の色のパターンが特定のカラーリングを示す場合、識別部323は、対象車両が「バス」に属すると判定する。この場合、識別部323は、公営および/または民営のバスのカラーリングを示す情報を、インターネット上から収集してもよいし、図示しない記憶部から、既知のバスのカラーリングを示す情報を取得してもよい。識別部323は、第2画像の画素値データから、対象車両の外装の色のパターンを識別し、対象車両の外装の色のパターンと、既知のバスのカラーリングとをマッチングすることによって、対象車両の外装の色のパターンがバスのカラーリングと一致するかどうかを判定する。そして、マッチングに成功した場合、識別部323は、対象車両の特徴が「バス」と合致すると判定する(S202でYes)。
【0084】
対象車両の特徴が「バス」と合致する場合(S202でYes)、識別部323は、対象車両がClass5に属すると識別する(図7)。
【0085】
一方、対象車両の特徴が「バス」と合致しない場合(S202でNo)、識別部323は、対象車両の外装に顕れている特徴に基づいて、対象車両の特徴が「緊急車両」と合致するかどうかを続いて判定する(S203)。この場合、識別部323は、「緊急車両」を示す情報を、インターネット上から収集してもよいし、図示しない記憶部から、既知の「緊急車両」を示す情報を取得してもよい。例えば、識別部323は、第2画像における対象車両の側面の領域P1(図6)から、対象車両の外装に付着した標識または物体を検出し、対象車両の外装に付着した標識または物体の形状(輪郭および造形)と、警察や消防の紋章(対象車両の外装に付着した標識または物体の一例である)の形状とをマッチングする。警察や消防の紋章が対象車両の外装に付着している場合、識別部323は、対象車両の特徴が「緊急車両」と合致すると判定する(S203でYes)。対象車両の特徴が「緊急車両」と合致する場合(S203でYes)、識別部323は、対象車両がClass6に属すると識別する(図7)。
【0086】
一方、対象車両の特徴が「緊急車両」と合致しない場合(S203でNo)、識別部323は、対象車両がClass1に属すると識別する。
【0087】
以上で、本実施形態2に係わる画像処理装置30の動作は終了する。
【0088】
なお、本実施形態2では、タクシーが装着したナンバープレートは白色であると想定した。また、軍用車などの一部の緊急車両のナンバープレートには、記号「z」(小文字)が記載されていると想定した。しかしながら、本実施形態2の構成は、様々な想定のもとで具現化できる。異なる想定の下では、画像処理装置30の動作は当然に修正され得る。
【0089】
(変形例1)
対象車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に対象車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合(条件)、分類部32は、3つ以上の軸を備えた車種に対象車両を分類する。本実施形態2では、分類部32の識別部323は、対象車両の車軸が少なくとも2以上、対象車両の前半にある場合(S75でYes)、3つ以上の軸を備えた車種(図3ではClass3)に対象車両を分類した。しかしながら、分類部32は、上記の条件の範囲内で、分類手法を変更することができる。
【0090】
本変形例1では、分類部32は、ステップS75の代わりに、対象車両の車軸が少なくとも2以上、対象車両の前端から車両長の1/3までの間にあるかどうかを判定する。そして、対象車両の車軸が少なくとも2以上、対象車両の前端から車両長の1/3までの間にある場合、分類部32は、3つ以上の軸を備えた車種(Class3)に対象車両を分類する。他の変形例では、分類部32は、(第2画像に予め設定した座標系で距離を測定したとき)対象車両の少なくとも2以上の車軸が対象車両の前端から5mまでの間にある場合、3つ以上の軸を備えた車種(Class3)に対象車両を分類する。ただし、ここで挙げた割合や数値は、単なる例に過ぎない。
【0091】
(変形例2)
本変形例2では、ステップS4で“C”の場合、識別部323は、図示しないイリーガルテーブルを参照する。イリーガルテーブルには、対象車両のナンバープレートに示された記号と、その記号と紐付いて登録された車両の車種との対応関係を表すリストが記載されている。識別部323は、対象車両のナンバープレートに示された記号がイリーガルテーブルに記載されているかどうかを判定する。対象車両のナンバープレートに示された記号がイリーガルテーブルに記載されている場合、識別部323は、イリーガルテーブルに記載された対応関係に基づいて、対象車両の車種を識別する。
【0092】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、形状判別部11は、車両を撮影した画像から車両の外観のタイプを判別する。対象車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に対象車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、分類部12は、対象車両をClass3(大型トラックに対応)に分類する。言い換えれば、分類部12は、対象車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に対象車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、対象車両の第3軸が存在するとみなす。
【0093】
これにより、分類部32は、第2画像から、対象車両の第3軸の有無を識別できない場合であっても、対象車両の車種を推測することができる。
【0094】
さらに、本実施形態の構成によれば、形状判別部31は、車両を撮影した画像から車両の外観のタイプを判別し、分類部32は、車両の外観のタイプに応じて、車両を第1の距離から撮影した第1画像または車両を第2の距離から撮影した第2画像に基づいて、車両の車種を分類する。
【0095】
より詳細には、分類部32のナンバープレート検出部321は、第1画像から車両のナンバープレートを検出し、ホイール検出部322は、第2画像から車両のホイールの領域を検出し、識別部323は、ナンバープレートの検出結果またはホイールの検出結果に基づいて、車両の車種を識別する。
【0096】
このように、車両の外観のタイプに応じて、車両を第1の距離から撮影した第1画像と、車両を第2の距離から撮影した第2画像とを使い分けるので、車両を撮影した画像から車種を判別する精度を向上させることができる。
【0097】
〔ハードウェア構成について〕
前記実施形態1~2で説明した画像処理装置10、30の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。これらの構成要素の一部又は全部は、例えば図11に示すような情報処理装置900により実現される。図11は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0098】
図11に示すように、情報処理装置900は、一例として、以下のような構成を含む。
【0099】
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM(Read Only Memory)902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903にロードされるプログラム904
・プログラム904を格納する記憶装置905
・記録媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
前記実施形態1~2で説明した画像処理装置10、30の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム904をCPU901が読み込んで実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め記憶装置905やROM902に格納されており、必要に応じてCPU901がRAM903にロードして実行される。なお、プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記録媒体906に格納されており、ドライブ装置907が当該プログラムを読み出してCPU901に供給してもよい。
【0100】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、前記実施形態1~2において説明した画像処理装置10、30が、ハードウェアとして実現される。したがって、前記実施形態1~2において説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0101】
〔付記〕
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0102】
(付記1)
車両を撮影した画像から前記車両の外観のタイプを判別する形状判別手段と、
前記車両の車軸の数に基づいて、前記車両の車種を分類する分類手段とを備え、
前記車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に前記車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、前記分類手段は、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類する
画像処理装置。
【0103】
(付記2)
前記形状判別手段は、前記車両の車種ごとの大きさおよび形状を機械学習した学習モデルを使用して、前記車両の外観のタイプを判別する
ことを特徴とする付記1に記載の画像処理装置。
【0104】
(付記3)
前記車両の車軸が少なくとも2以上、前記車両の長さ方向の前半に存在する場合、前記分類手段は、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類する
ことを特徴とする付記1または2に記載の画像処理装置。
【0105】
(付記4)
前記分類手段は、前記車両の外観のタイプに応じて、前記車両を第1の距離から撮影した第1画像または前記車両を第2の距離から撮影した第2画像に基づいて、前記車両の車種を分類する
ことを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の画像処理装置。
【0106】
(付記5)
前記分類手段は、
前記第1画像から前記車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出手段と
前記第2画像から前記車両のホイールの領域を検出するホイール検出手段と、
前記ナンバープレートの検出結果または前記ホイールの検出結果に基づいて、前記車両の車種を識別する識別手段とを備えた
付記4に記載の画像処理装置。
【0107】
(付記6)
前記車両の外観が第1のタイプである場合、
前記識別手段は、
前記ナンバープレートに示された記号および前記ナンバープレートの色に基づいて、前記車両の車種を識別する
付記5に記載の画像処理装置。
【0108】
(付記7)
前記車両の外観が第2のタイプである場合、
前記識別手段は、
前記ホイールの検出結果から導かれる前記車両の車軸の数および前記車両のタイヤの数に基づいて、前記車両の車種を識別する
付記5に記載の画像処理装置。
【0109】
(付記8)
前記識別手段は、
前記車両の外装に顕れている特徴に基づいて、前記車両の車種を識別する
付記7に記載の画像処理装置。
【0110】
(付記9)
前記識別手段は、
前記車両の外装に描かれた模様、色のパターン、文字、記号、図形、符号またはその組み合わせに基づいて、前記車両の車種を識別する
付記8に記載の画像処理装置。
【0111】
(付記10)
前記識別手段は、
前記車両の外装に付着した標識または付帯した物体に基づいて、前記車両の車種を識別する
付記8に記載の画像処理装置。
【0112】
(付記11)
前記第1画像は、前記車両の遠くからカメラで撮影された画像であり、前記第2画像は、前記車両の近くから同じカメラで撮影された画像である
付記4から10のいずれかに記載の画像処理装置。
【0113】
(付記12)
車両を撮影した画像から前記車両の外観のタイプを判別し、
前記車両の車軸の数に基づいて、前記車両の車種を分類し、
前記車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に前記車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類する
画像処理方法。
【0114】
(付記13)
車両を撮影した画像から前記車両の外観のタイプを判別することと、
前記車両の車軸の数に基づいて、前記車両の車種を分類することと、
前記車両を長さ方向に一定の割合で前側と後側に分割したときの前側に前記車両の車軸が少なくとも2以上存在する場合、3つ以上の軸を備えた車種に前記車両を分類することと
をコンピュータに実行させるためのプログラムを格納した、一時的でない記録媒体。
【0115】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。上記実施形態(及び実施例)の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0116】
10 画像処理装置
11 形状判別部
12 分類部
20 カメラ
30 画像処理装置
31 形状判別部
321 ナンバープレート検出部
322 ホイール検出部
323 識別部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11